○
政府委員(
齋藤太一君) 次に、第二十二条の
関係の
特定化学物質の
指定に伴います
措置命令でございます。
新規にこれからつくられます
化学物質は全部
事前に、
製造前に
審査いたしますので、
特定化学物質という
指定があります場合に、そういったものがすでに出回っておるとというふうなことは考えられないわけでございますけれ
ども、
既存の流通を現在いたしております
物質につきましては、これを
本法施行後
安全審査をいたしましたときに、
特定化学物質に該当するということで
指定をいたすことになりました場合は、すでに出回っておるものをどうするかという問題がございます。で、それが少量でございます場合には、あるいは
回収の必要がない場合もあろうかとも思いますが、相当大量に出回っておりまして、これ以上の
環境の
汚染の
進行を防止するためには、それを
回収をしたほうがいいと、こういうふうに考えられます際には、そういった
特定化学物質の
メーカーあるいは
特定化学物質を使った
製品の
メーカーに対しまして、その
特定化学物質なりそれを使いました
製品の
回収をはかることを命ずる
規定を設けております。また、
製品の
回収以外にもたとえば
使用製品の
製品名を公表するとか、在庫を動かさないように指示をするとか、
販売先を全部確認して報告しろとか、各般の所要の
措置命令が出せるような
条文を置いておりまして、これによりまして
既存の
化学物質につきましても、それが
特定化学物質になりました場合の
汚染の
進行を極力食いとめたい、かような
規定を設けております。
それからもう
一つは、二十三条の
関係で勧告という
規定を置いてございます。これは
特定化学物質に
指定をいたすにつきましては、先ほど申し上げましたように、一年ないし二年の
毒性試験を必要といたしますが、その
毒性試験のまだ完了しませんうちに、どうも
試験の中間的な結果では、相当
特定化学物質になる可能性が強いというふうな事態になりました場合、あるいは、外国ではすでに禁止
措置がとられているといったような事情が判明いたしました場合には、まだ国内では
特定化学物質にするほどデータが全部
試験が終わっておりません場合でも、自主的にこの
製造なり
輸入、あるいは
使用を制限するように勧告をすることができる
規定を置いておりまして、これによりまして当面それ以上の
汚染の
進行を中止させまして、さらに
試験が完了しました結果、
特定化学物質ということになりますれば、
特定化学物質としての
指定をいたしまして、所要のこの
法律に基づく
規制を行なう、こういうことになるわけでございますけれ
ども、そこに道程での、中間的な過程でも、
製造、
輸入等をとめさせる勧告をする
規定を設けております。
それから、
審査がミスがございましたりして、
化学物質を
審査して、一応安全であるということで
製造を認めましたのちに、これが有害
物質等であったというようなことが判明をいたしまして、いろいろ
対策を講じなければならぬ、こういうことになりました場合の国、企業の
責任はどうかという点でございますけれ
ども、まず国につきましては、この
法律に基づきまして、
新規の
化学物質等は
事前審査を行ないますが、その
審査につきまして過失が国側にございました場合には、国家賠償法の賠償の適用があろうかと存じます。したがいまして、
審査につきましては、十分慎重を期しまして、さような事態がないようにいたしたいと考えます。
それから、国が
審査をして、一応安全であるということで認めたものについては、後ほどそれがそうでなくなった場合には、企業は賠償の
責任を免れるかということでございますけれ
ども、およそ企業は、自社の
製造販売いたします
製品の
安全性につきましては、常にそれが安全であることを確認する注意
調査義務があろうかと存じますので、その注意
調査義務に懈怠がありました場合には、たとえこの
法律によりまして一応
製造を認められたものでありましても、その企業としての民法上の賠償
責任を免れないものと判断いたします。
それから、化学工業におきます無公害化のためにどういった施策をとっていくかという問題でございますが、私
ども考えますのに、大体三つの
段階があるのじゃないかと考えております。
第一は、
製造工程におきまする無公害化の問題でございまして、そのためには、
一つはクローズドシステムをとりまして、有害
物質を絶対に外に、大気あるいは排水中に排水をしない、こういった生産工程をとらせるように努力をいたしたいと考えます。さらにもう一歩進めまして、およそ有害
物質が出ないような生産工程に切りかえていく、こういうことも必要かと存じます。たとえばいま問題になっております水銀電解法によります苛性ソーダにつきましては、現在も水質汚濁防止法の
規制がかかっておりまして、排水中からは水銀を検出してはならないことになっておりまして、この点はいろいろの慎重な排水処理をいたしておりまして、監督をいたしておられます都道府県の立ち入り検査によりましても、
違反は現在は判明するようなケースはございませんが、さらに念を入れまして排水を外へ出さないで、水銀工程に使いました水は全部もう一ぺんもとの工程に戻しまして循環をさせる、こういった水の工程に切りかえるような指導をいたしまして、来年の九月までに苛性ソーダ
工場は全部そういう工程にかえさせたいというふうに考えております。さらに抜本的な
対策といたしまして、おおよそ水銀を使わない
製造工程に
工場を転換をさせたいというふうに考えておりまして、これは五十年の九月をめどにいたしまして極力その転換を進めたい、かように考えております。
それから二番目が、ただいまのは
工場の工程におきます無公害化の問題でございますが、次に、つくりました
製品が公害を起こさない、これが二番目の問題でございます。この点が
本法の主たるねらいとするところでございまして、つくられた
製品が市場に出回りまして使われて廃棄された場合に
環境を
汚染しないように、世界にもあまりまだこういった立法例ございませんが、
事前審査制というものを導入をいたしたわけでございます。
それから、三番目が廃棄物の安全の問題でございまして、これにつきましては、プラスチックの廃棄物等が非常に処理が困難である等の問題がございますので、プラスチックをさらに油に還元する方策、それからプラスチックをもう一度プラスチックに変える方策、あるいはこれを完全に燃焼させまして無害化する方策、こういったものの
試験、研究を進めますとともに、プラスチックの処理
専門業者の
設備の増強に対しまして国が債務保証資金を出しまして、そういった処理業者を多数つくりましてプラスチックの安全処理を急ぐ。それからただいまの
試験、研究につきましても業界のプラスチック処理促進協会に補助金等を交付いたしまして研究をさせる、こういった施策等を講じまして廃棄物の無公害化に現在努力をいたしておるところでございます。
御
説明、概略以上のとおりでございます。