○須藤五郎君 中曽根さん、私たちは、この
法案は
通産省も相当苦労してつくった
法案だろうと思うし、
内容的に言っても、私たちも一つの前進した
法案だと思うので、不十分ではあっても賛成するという態度を持っておるんですよ。しかし、反対すれば反対してしまって、あとでどんなことが起ころうと、そら見たかと、それで済む問題だと思うのですが、賛成するとなるとよけいにこの
法案の
審議に対しては私は
責任を感ずる。
委員長に言うているんだ。
責任を感ずるわけですね。だから、一時間でこの
法案の
審議を済ましてしまえということでは、なかなかむずかしい点があると思うのです。だから、私たちも十分
審議は尽くしてまいりたい、こういうように
考えております。
そこで私は、この
法案を出してきた
政府当局の基本的な態度といいますか、姿勢について、今後この
法案が通ってどういうふうな態度をとっていくのか、こういうことについてまず
大臣に少し
質問しておきたいと思うのです。
これはたいへん古い話になってはなはだお気の毒に思うんですが、
昭和四十五年の七月九日です。
公害対策特別
委員会の席上、時の
通産大臣宮沢喜一君に、私は四エチルの問題について
質問をしたことがあるんです。その当時、四エチルというこれは毒物だということは、よく世間的にも、学者の中でも問題がはっきりしておった時点ですね。ところがその時点に、東洋エチルという山口県にある
工場、そこの田内五郎という常務がこういうことをしゃべっておったんです。
政府が無鉛化するという意味は、無鉛化の方向に接近させていくということで、五年ぐらいでは全く鉛を除くようなことができるはずがない。わが社としては計画を変更する方針は全然ない。むしろ外国から輸入していたものを国内で生産するのだから国益に沿ったものと自負しておる。」こういうふうに常務が語っておったわけです。
そこで私は、このようなことを東洋エチルの田内常務が言っておるが、これらに対して
通産省はどういう行政
措置をやるのかという
質問をしたわけです。ところがそれに対しまして宮沢喜一君は、
認可につきましては私どもは取り消すつもりはございませんと、こういう
答弁——これ長いですから、私は要
所要所だけちょっと読みますがね。そうして私は、
資本金を投入してつくって——新しい会社です、まだこれは。会社としても困ったことに追い込まれるではありませんかと、だからいまのうちにやめろと、こういう行政
指導をなさったほうが私は適当だと思いますと、五年後も会社がなおその四エチル精製を続けるならば、そのときには断固としてその
認可を取り消すという決意を持っていらっしゃるのですか、どうですかと、こう私は尋ねた。東洋エチルの四アルキル鉛生産計画は、当初一万八千トンだといわれております、そのうち一万四千トンを国内向けで
処理する、残りの四千トンは韓国、台湾、東南アジア全域にこれを売る計画だと、こういうことが話の中に出ているわけですね。
そのとき
通産大臣が、私がこういうことをやめろと言ったら、「外国がそこまで
公害の問題を
考えずに、あるいは
わが国ほど
公害の問題がやかましくなくて、なおアンチノック剤を入れたガソリンがほしいということでしたら、それを供給することは別断われわれとして非友好的なことでもありませんし、非人道的なことでもないと、こう
考えるわけでございますから、要は、会社がなお将来輸出の需要があるかないかということをそれらの国の実情を
考えて判断すればよろしいことではないかと思います。」こういうふうに答えている。それて私は、非人道的な行為ではないか、国際的にも問題がありやしないか、自分のところで毒だから製造はやめますと、そこまで言っているものを、外国が買うなら売るということでは、アヘンを外国に売るのと同じ精神だと思うんですね。買い手があるから売るんだと、こういうことは。それでは非友好的だと、こう私が
質問しましたら、「これは兵器や武器のことではございませんから、突然悪もの呼ばわりされました四エチル鉛はかなり迷惑を感じておるだろうと思うのであります、」と、こういう
答弁を宮沢君はしているんですよ。私は、日本の
通産大臣としてははなはだ不見識な
答弁だとそのとき思いましたから、その点は言っておきました。しかるに、やがて私が言ったように、この東洋エチルは操業できるばっかりに工事はできたが、操業は始めないでこれをやめてしまったということを私は聞いたんです。やめたことはけっこうでありますけれども、時の
通産大臣がこういう不見識な
答弁をしておったことに対して私ははなはだ遺憾だった。そこで
中曽根通産大臣に伺うのですが、今後、こういう誤った態度はよもやおとりにならないだろうと思うんです。私の意見が正しかったのか、宮沢君の意見が正しかったのか、
中曽根通産大臣はどういうふうに御判断になりますか。