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政府委員(
齋藤太一君) この
法律は、
化学物質がいろいろ使用されまして
環境に廃棄されました場合に、
環境におきまして残留をいたしまして、魚等の
体内に蓄積をして、それが
食物連鎖によりまして人の健康をおかすおそれのある、そういった物質をあらかじめ
環境に出ないように取り締まりをしようと、こういう趣旨の
法律でございます。
環境にそういう形で投与されますものにつきましては、たとえば農薬がございますけれ
ども、農薬は、農薬取締法で現在取り締まりが行なわれております。それから肥料がございますが、これも肥料取締法で取り締まりが行なわれております。それからそのほかに、いわゆる公害諸法によりまして、たとえば水質
汚染濁防止法、大気
汚染防止法、海洋
汚染防止法、こういったものによりまして
工場の
生産過程での排水、あるいは大気への排気ガス等々にまじります有害物質の
規制は行なわれておるわけでございます。
本法は、主としてそういった
工場の
生産工程での排水等に流れ込むものを
規制するということよりは、
工場から製品として
出荷をされまして、それが使われて
あとで捨てられて
環境を
汚染すると、こういうものを取り締まるのが主たるねらいでございます。そういう意味で申しますと、
PCBは農薬でも肥料でもございませんために、そういった取り締まりの穴場になっておったわけでございます。それから直接に人が触れまして、直接作用としての
毒性を持つ
化学物質の取り締まりは、毒物劇物取締法、あるいは労働者に関する安全、健康の問題としましては労働安全衛生法等々がございます。また、薬事法、食品衛生法等もあるわけでございますが、ただいま申しましたように、これは
化学物質で食品という形でございませんで、一般に使われまして
環境を
汚染するおそれのあるものと、こういうものを取り締まるわけでございます。
どういうものが対象に今後出てくるかという御質問でございますが、おそらく第一号としましては、
PCBが指定の第一号になろうかと存じます。で、そのほかには、これからこの
法律を適用しまして
化学物質を
審査をしてまいりますが、
環境での分解性が悪い、魚等への蓄積性が高い、そしてなおかつ
慢性毒性を起こすような
毒性を持っておるものと。こういう
基準でまいりますと、一番危険性があるものとして考えられますのは、
PCBに類似をいたしましたハロゲン化合物で多環物質、つまりベンゼン環がたくさんついておりますような系統のもの、これは過去には農薬の
関係ではDDT、BHCというものがございましたし、産業
関係の製品としては
PCBがあったわけでございます。この塩素あるいは臭素、弗素といったような系統のハロゲン化合物がそういう意味での
基準から見ますと危険性が高いように思います。
それからもう
一つのグループは、重金属を含みます化合物のグループでございまして、たとえば水銀化合物等につきましてはその
環境汚染のおそれが高いかと存じますので、至急にこの
法律施行後そういった化合物の
審査を急ぎたいというふうに考えております。