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政府委員(
渡邊健二君) 労災保険の
給付改善につきましては、ただいま
大臣から答弁されましたように、ことしの一月、すでに労災保険
審議会に全面的な
検討を御諮問申しておりまして、
審議会がその中に基本問題懇談会というものを設けていま御
検討を進められておりますので、遠からぬうちに御
答申がいただけると、かように考えておりますので、それをいただきましたならば、それを尊重いたしまして
給付の
改善をはかりたいと、かように考えております。
それから、第二点の全面適用の問題でございますが、これもかねてから
労働省が目標といたしているところでございまして、すでに四十四年の臨時国会で成立いたしました失業保険法及び労災保険法の一部
改正法によりまして全面適用というたてまえをすでにうたっております。ただ、従来任意適用
事業場でありましたものを一挙に強制適用にすることについては、処理
能力その他から見て、なかなか困難でございますので、現在は
政令によりまして当分の間任意適用とする
事業を定めて、そして逐次それを全面適用に移していく、こういうたてまえをとっておりまして、昨年四月にも、製造業、鉱業、運輸業につきましては、従来任意適用であったものを全部強制適用にいたしました。それらの三業種につきましては、もう
労働者を常時雇っているものでありますと一人以上の
企業でも、すべて強制適用になっております。現在なお任意適用で残っておりますものは、五人未満の商業、サービス業などでございますが、これにつきましても、体制を整備し次第、できる限りすみやかに適用拡大をはかって、全面適用に持っていきたい、かように考えているところでございます。
それから、
職業病の予防対策の問題でございますが、これは事、人命に関することでございますので、私ども、
職業病といったものができるだけすみやかに大幅な減少をし、目標といたしましては絶滅をはかりたい、かように考えておるところでございまして、一方、生産技術の進歩、
労働態様の
変化などから新しい型の
職業病なども出ている。こういう
現状の中におきまして、それに対処する体制を整えますために、昨年、御承知のように、
労働安全衛生法というものを御制定をいただいたわけでございます。昨年十月からこれが
施行になったわけでございますが、同法に基づきまして、
労働衛生管理体制の整備、それから
労働衛生教育の拡充・徹底、それから健康診断、その他健康管理の充実・強化、それから有害物に対するチェック、そのために有害物製造につきましては禁止あるいは製造許可制度、こういうものを設けております。あるいは毒性の事前
調査制、あるいはそういう有毒物の取り扱いにかかる機械等の設置につきましては事前に届け出で審査を受ける、こういうような制度も設けておりまして、この新しい
労働安全衛生法による
規定を十分に活用いたしまして、
職業性疾病の発生の予防をはかりたい。また、実体的な裏づけにつきましても、現在、産業医学総合研究所というものを建設中でございまして、これができましたならば、そういうものを活用して
職業性疾病の予防に関する科学的な研究を進める。それから、
企業におきまして、そういう
職業性疾病を予防するための設備
改善等をいたすにつきましては、昨年から安全衛生融資制度というものを始めまして、これも昨年は二十億でございましたが、ことしは五十億、これもまた、もう要望が融資のワクを越えるほどきておりますので、今後ともこういうものを拡充していく、それらの
施策を総合いたすことによりまして、
職業性疾病の予防対策に遺憾なきを期してまいりたい、かように考えているところでございます。