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参考人(前川哲夫君) 前川でございます。
まず、
振動障害問題についての私の意見を述べるにあたりまして、私と、この
振動障害のかかわりと申しますか、どういう形で関係をしてきたかということをごく簡単に申し上げたいと思います。
私は、現在
全国山林労働組合の事務局を担当しておるわけですけれども、この
全国山林労働組合と申しますのは、
民有林の
労働者で組織をされております全山労という
全国山林労働組合というのが
一つございます。これは全国組織になっているわけですが、それと
国有林の
労働者で組織をされております全林野
労働組合が一緒になりまして、四十二年から日本のすべての林業
労働者の社会的、経済的地位向上ということを目的に結成をして今日に至っているわけです。私は四十六年まで全林野
労働組合の中央役員として特に中央本部では安全衛生問題の直接の担当者ということでこの問題に携わってきたわけです。皆さんも御承知だと思いますが、四十四年の十二月に林野庁と全林野
労働組合の間で結ばれた例の一日二時間あるいは三日以上使ってはいけない、月に四十時間以上の
使用をさしてはいけないという協定を結ぶにあたっても直接その
仕事を担当してまいりました。そういった意味では今日
民有林の仲間と一緒にいろいろな
生活をしてみて、実は私自身驚くことばかりなわけです。で、いまから申し上げるいろいろな問題についても、
先生方にはそんなことがあるのかと、こういうふうに言われるのではないかという私自身不安すら持っています。
で、まず、
民有林労働者のそういった中で、この
白ろう病問題、
振動障害問題の背景になっている
労働条件の問題ですが、
民有林労働者には八時間
労働という原則がありません。また週休日も、時間外
労働の割り増し
賃金も、年次有給休暇も、年末手当も退職手当もないのです。こういう
労働条件というものを、私はたまたまよその組合へ行って申し上げるのですが、
労働者自身がほんとうにしてくれません。こういうバックグラウンドというものがあって、その中で
振動障害というものがきわめて多発をしているということを私は特に
先生方に申し上げたいわけです。で、なお
先生方も御承知だと思いますけれども、そのほか失業保険も政管健保もあるいは厚生年金も
民有林の
労働者には
適用されていないわけです。
適用する、そういう制度になっていないわけです。で、まさに今日のこの
労働行政の分野では最も深い谷間に押し込まれているのが
民有林の
労働者ではないのだろうか、こういうふうに考えます。また、こういった
状態になったのはどこにあったのかというふうに考えてみますと、それは、
一つは、
民有林の経営の
状態というものがきわめて零細であるということ、それから同時にみずからが企業的に経営をするという立場でなく、財産保持的にこれを経営をしている、こういったところにそういったものを生み出した背景があったというふうに言わざるを得ないと思います。そして日雇い的な不安定雇用あるいは
労働条件がきわめて悪いというような形で、いわば明治時代の
労働条件というものが今日に温存をされてしまっている、オーバーな言い方ですけれども、そういうことになったものというふうに指摘をしなければならぬと思うわけです。で、これはことばをかえて言えば、
民有林経営者のほとんど大多数が労務問題を経営内部の問題として見詰めて、積極的に
対策を立てようとする姿勢が全くないというところにこういった結果を生み出す大きな
問題点があったのだろう、こういった
問題点というのは当然の結果として
労働災害や職業病に対するいろいろな問題の中できわめて明確に反映をされています。どういうふうな点でそれが言えるかといいますと、四十年から四十四年にかけて、
山田先生からも先ほどいろいろ
説明がありましたが、あれだけ
振動障害というものが問題になって、政治的にも社会的にも問題になったにもかかわらず、
国有林で二時間規制の協約が締結をされ、翌年の二月二十八日付で
労働基準
局長通達が出ているわけですが、これが今日なお、ほとんど実施をされていない。私も全国の山を回りますので、なぜ実施をされないのかということを、経営者の皆さんや
労働者の皆さんと話し合います。その中で経営者の皆さんから出てくることばは、二時間規制をしたのでは
仕事にならない、経費がかさむ、人がよけいかかる、いろいろな表現があります。しかしそれらを突き詰めてみますと、まず、二時間規制をするという努力をするという姿勢ではなく、二時間規制をしないために無視するための口実をどう理由づけるか、こういうところにどうも問題の焦点があるように
感じられてならないわけです。この辺に、確かに非常に零細な経営の中でたいへんな問題を含んでいますけれども、根本的な問題が私はひそんでいるというふうにこの際強調をしたいのであります。なお、そういったものをもう一歩突っ込んでいきますと、
けがや職業病が
発生しても
労災保険をかけてある。そこでお世話になればいいじゃないか、こういうところに通じていってしまうんじゃないだろうか。この点
労働省の皆さんや、あるいは直接担当主管官庁である林野庁の皆さんには、もっともっと突っ込んで、こういった問題の根本を掘り下げていただかなければならないのではないのだろうか、こういうふうに思うわけです。また、そういった面とは逆に、私自身
国有林でこの問題を扱ってきて、実は、
昭和四十五年二月二十八日の基準
局長通達を見て驚いたのであります。その理由はどういうことなのかといいますと、世界の職業病の歴史の中でもあれだけ多数が、しかも短
期間に集中して出たという歴史はないと思います。専門家の
山田先生がおられますから、私の知る
範囲では、ないと思います。そういうふうな重大な
状態の中で、しかもそれが拡大をしていっているという最中に出された通達として、あの通達の中に事の重大性と緊急性という問題についてどうも読み取れないのです。私は、ちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、
国有林でも二時間規制をきめたのだから、この際
労働省も
民有林に対して何か出さなきゃ都合が悪いじゃないのか、こんな気分で出された通達ではないんだろうかと、こう言いたいぐらいなわけです。事実、この問題をめぐって昨年いろいろなところで話をし、たとえば奈良の基準局の皆さんとも話をしたわけですが、奈良の基準局の皆さん、現在一生懸命やっておられますけれども、昨年の
段階で、正直に言われたことは、奈良では
労働者も
使用者も
振動障害はないと、こういうふうに言っている。だからあの通達を業者に一応監督署を通じて伝えはしたけれども、その後何もしておりませんと、こういう話でした。また、私どもは奈良にないということはあまりふしぎだということで、
あとから意見を述べられます林業災害防止協会の坂井さんのところに
お願いをして、ぜひ坂井さんのところで健診をなさるにあたって奈良県をその対象地に入れていただきたい、こう
お願いをして
検査をしてみた結果、ないどころか、ほかの県と劣らない、むしろよけいと言っていいぐらいの数字が、結果が出てくるのです。こういった面からも非常にいまの行政分野におけるこの問題に対する取り組みというのは私はきわめて弱いし、問題を持っていると、こういうふうに考えています。同時に、この国会でこうしたことを繰り返し
先生方に御検討いただかなければならないことになったということについては、私
たちみずからのやっぱり運動の不足という点も深く反省をしています、力不足という点について。しかしいま、
先生方に、この機会に
お願いしたいことは、この
振動障害の
対策について、単に
チェーンソーによる
振動によって
発生をするんだから、あるいはこの
振動をどうするか、防止をどうするかという狭い分野でこの問題に取り組んでいただいても私は実効は上がらないだろうと、こういうふうに私の
経験の中から申し上げたいわけです。それはどうなのかというと、林業
労働者の
労働と
生活条件全般について抜本的にメスを入れてみる。そして、
労働と
生活条件全般のかかわり合いの中で総合的に
振動障害対策についてどういうふうに位置づけてこれを推進するのかという、こういった視点でこの問題に立ち向かわない限り根本的な解決にはならないというふうに思います。やはりそのためには今日の不安定の雇用を解消し、
生活のできる
賃金、もちろん
出来高払い制度の廃止というようなことも考えなければならないですし、また、年末手当、夏期手当、いま夏期手当ということが一般的にいわれるわけですが、林業
労働者にないわけですから、そういったものも人並みにという、そういった
条件というものをどうしても確保すると同時に、老後の安定のための社会保障、いわば厚生年金の
適用、そういったことも真剣に考えなければならないのだろう、そういったこととの総合的なかかわり合いの中でこの問題についての
対策が必要なんではないだろうか。そういった場合に何が問題になるかといえば、私は、今日の雇用の仕組み、あるいは経営の零細性、こういった問題があるわけですから、そういった点をどうするのかというやはり措置が必要だろうと思います。そういった観点で林業
労働者の
状態を見てみますと、特に最近、木材の異常な値上がり、そういったことがあげられていますけれども、林業
労働力の減少という問題をめぐっての
対策をどうするかということが
一つあろうと思います。林業白書では一年間に一五%というたいへんな減少を示しているというふうにいっていますが、たとえば日本の三大林業の
一つといわれている奈良県の吉野林業の中心地である川上村というところがあります。この川上村において
昭和四十六年にまとめられた「川上村の経営の基本に関する構想」という資料があるわけです。この資料を見てみますと、
昭和二十五年に千六百人いた林業
労働者が四十五年の国勢
調査では九百人になり、このままの推移で
昭和六十年度を展望したときに、百三十人しか残らないだろうと川上村は判断をしております。川上村の林地というのは非常にすばらしい林地が二万六千三百五十ヘクタールあるわけですから、いまの八百人程度の
労働力でもなお不足をするわけです。それが百三十人になるわけですから、もはや吉野林業は崩壊する以外にないということに立ち至るのだろうと思います。これは日本の林業の中で最も収益の高い経営をやっている吉野林業でこういう状況ですから、日本林業自体が
昭和六十年には全く立ち行かなくなるということを川上村の経営の基本構想というのは明らかにしているのではなかろうか、こういうふうに私は思っています。そういった面では林野庁も林業
労働者の確保のためと称して森林組合の労務班の育成だとかいうことをだいぶ前からやっています。しかし、これは私どもが見る限りにおいては単なる林業
労働者の自主的な集団をつくって、森林組合の
作業の下請をやらせている。直接的に森林組合がそれを、みずから雇用して責任を持って
仕事をしていくという体制には全体的になっていないわけです。こういったようなものを幾らつくってみたところでこれが根本的な林業発展のための
労働力の確保ということにならないことは明らかです。むしろ、こういった労務班的な下請組織をつくるんでなく、林業経営者を
一つの組織にきちっとまとめて通年雇用を前提として地域の森林政策を総合的に組んで雇用関係を明らかにし、雇用安定をはかっていく、こういった制度というものを大胆に打ち出してやっていかなければいかぬのではないだろうか。このことがない限りやはり林業
労働力
対策が生まれてきませんし、あわせて林業
労働者がいま苦しんでいる
白ろう病の問題も解決をしないというふうに私は考えるわけです。そうして、そういった面を考えていきますと、いずれにしろ
先生方の努力によって林業
労働法的なものの必要というものが出てくるのではないだろうか。この点の追求を、今日の林業のいろいろな制度の問題も含めて考えていただきたいものだ、こういうふうに強く
感じています。そういった総体的な考え方と、この次には、若干今後の行政上の問題に対する考え方について述べたいわけですが、
先生方のいろいろな御指摘もあって、
労働省が本年の三月十四日に再度基準
局長通達を出しているわけですが、私はあれを見て、特に「認定事務の促進」という項の中で「客観的資料の整備」などをするという事項があるわけです。しかし、私どもが林業地帯を回って、監督署にも必ずおじゃまをするようにしているわけですが、そこで見る
状態というのはどうかと言いますと、林業地帯における監督署には通常監督官が多いところで三名です。二名のところもだいぶあります。監督官が二名だということはどういうことを意味しているかというと、監督署長と一課長が監督官であって、
あとは監督官はいないということです。そういったところを回って、たとえば
労災保険の
適用事業所の数がどのくらいあるかといいますと、通常二千から三千あります。二千も三千も持っている事業所を三人の署長と一課長という監督官の皆さんがどう回るのかと。ですから、山の
労働者は監督官の顔を生涯見ずにほとんど終わってしまうわけです。また、職員の数もどんどん減少していますから、御承知のように五%削減という問題がありますが、
労働省の削減率はなお高いようですから、こういった山間地帯にある監督署の建物はりっぱでも、中は人がいないという
状態が生まれています。そういうところで、どうして、こういった具体的な資料整備なり何なりが今日できるのでしょう。文書で出すことは可能であっても、これは
実態が伴っていないというふうに私は指摘をしなければならぬと思うわけです。
で、いずれにしろ、またこれをあわせて
国有林の
振動障害の問題で、林野庁いろいろ努力をしてまいりました。しかし、林野庁が
自分の企業の中でやった努力を外部にどれだけやったのか、直接の主管官庁として、
民有林に。私は各県の林政課やそういったところを回っていろいろ聞き合わせる中で、林野庁が具体的にそういった指導を、
国有林でエネルギーを使ったと同じような立場でやったというふうにはどうしても受けとれないのです。ですから、
労働行政の面でも林野行政の面でも全く行政はこの
振動障害の問題についてなでて過ぎただけにすぎないのではないだろうかというふうに強く問題を
感じています。
そういったいろいろな問題がありますので、こういった点では、ぜひ
先生方のほうでも、もっとほんとうに現地の
実態に即応した行政のあり方、そういったことについても御検討を
お願いをしたいと思います。
ちょっと長くなりましたが、
あとは、そういった前提に立って、具体的な幾つかの点について意見を述べたいと思うわけですが、その第一番目は、早期健診の実施であります。これも
労働安全法では、採用時の
健康診断であるとか、
定期健康診断であるとか、有害業務従事者の特殊
健康診断であるとかが義務づけをされております。しかし、私どもが回った限りで
健康診断がきちっとされている事業所というのはないのです。また、これは奈良県や北海道でも基準局のほうに
お願いをして、どうしてもそういうことがされていないものですから、
労働安全衛生法六十六条の四項に基づいて基準
局長がそういった
健康診断をするように
指示をしてくれという
お願いをしています。しかしこれも実現をしていません。理由として幾つかあるようですが、その中の
一つに、林業
労働者の雇用の状況がどうもその制度を
適用するのにふさわしくないというか、若干の問題があるというか、疑義があると、そういったようなことが
一つの理由にされているようです。この点も私どもにはきわめてわからないのであります。そういった面で、何とかしたいと思ってもできないわけですから、やはり国みずからが健診車を配置をするとか、そして山の中でなかなか
受診をするところまで出るのもたいへんですから、やっぱり現地にそういった施設を向けて、そして必ず全体が健診が受けれるような方法というものを何とか講じていただきたいものだ。そうでもしない限り、今日の山の
労働者の
生活の中では完全にこの
振動障害の健診を受けるということは困難ではないんだろうか、こういうふうに強く
感じるわけです。それからもう
一つは、この健診にあたって、林業
労働者というのはかなりの事業所を移動して歩きますから、健康手帳制度というようなものも御検討いただいて、事業所が移ってもその
一つの健康手帳を見れば、その人の、ずっと経歴なり、あるいは
振動機械をどういうふうに使ったか、今後どういうふうにしなきゃいかぬのかということが明らかになるというふうな制度も、常用
労働者と若干趣が違いますから、必要ではないんだろうか、こういうふうに
感じています。
二番目は、
完全治療の実施であります。私の前に柴田さんから、柴田さんの
状態が具体的に出されていますが、私は、何とか早期発見、早期
完全治療という体制を確立していただきたい。で、実はことしの四月の二十二日から五月の八日まで、ILOの木材産業三者構成技術会議がありまして、私もその
労働側の一員として参加をしてきたわけですが、国際的にもこの問題が非常に論議になりまして、そこでの結論は、とにかく
しびれなり
痛みなり、異常が
訴えられたらすぐに
入院治療を完全にして回復をさしてしまう。そのこと以外にきめ手はないと、
治療の面では。こういうふうにほぼいわれています。また、そういうことを現に具体的に実施をしている国もあるわけです。そういった点では
温泉治療その他が
芝田さんからも出ましたが、私も同感です。そういった点を積極的に取り入れて、
完全治療をはかっていただきたい、こういうふうに考えるわけです。
あとは
生活保障の問題、これは柴田さんからもありましたし、
国有林の
労働者がかなり前進をした、こういったことも明らかになりましたので、そういった点からもぜひ考えていただきたい。
民有林の
労働者の場合には、もう、たとえば
労災保険で六〇%の
賃金が補償になるわけですけれども、休業補償ということになるわけですが、それ以外何もありません。普通国家公務員ですと、それに一〇%なり二〇%の療養援護金というのがあります。民間企業では一〇〇%
賃金を補償するのは常識になっています、この種の問題で。しかし、
民有林の場合はゼロなわけですから、六〇以外何もないわけですから、その
生活の苦しさというのはきわめてたいへんなものです。そういった意味では、ぜひとも
生活が維持できるような
条件というのを整えるために、やはり実収額を補償していく、こういう基本原則をぜひ確立をしていただきたい。もし、これが確立できないとすれば、
入院治療や何かを認めても、
生活の問題があってなかなか
入院さえできない。
入院をすれば、これは寝巻きを買うとか、いろんな問題で雑費が要るわけですから、それを出すことが
家族の
生活を脅かすということに、今日追い込まれているわけです。こういった点を、私はぜひ解決をしていただきたいものだと、こういうふうに思うわけです。
同時に、今後の問題として、予防上の問題として、
機械の改良と、あるいは
振動の強度がどうなっているかということを明らかに、国が責任を持って公示をするというような制度を確立していただきたい。一般の業者は
チェーンソーの上にコップに水を入れて、それでそのエンジンをかけて水がこぼれないから
振動がないんだというようなことで売り歩いています。これはまさに科学的にはおかしな話でして、そのことは何の意味もないと思います。また
国有林で、私がおった時代に、直接
作業している
人たちにどっちの
機械が
振動が強いかということで、使わせて感触を確かめてみました。
労働者は
振動の強い
機械のほうが、これのほうが
振動が少ないと思うというふうに答えるのです。それは重量がその
機械のほうが軽かったという問題なんです。ですから、この
機械は改良されたいい
機械だと、こう言われても、それをうのみにするしかないのです。林野庁は、こういった
機械について全部測定をした経緯があります。しかし、私どもとの交渉の中で、これは外部に出してもらっては困る、こういうことで、外部に出すことを禁じているわけです。そういうような
状態では、何の基準をもって
労働者が
自分の健康を守るために、改良されたいい
機械を選択をしたらいいのかということは、今日、できないでいるのが
実態なわけです。この点はきわめて、私は、緊急の問題だというふうに申し上げざるを得ないと思います。それから同時に、
機械の問題では、外国へ行ってもよくいわれるわけですが、日
本人の体格に合った、そして日本の
作業の
条件にあった国産の
チェーンソーをなぜ日本はつくらぬのかという問題の提起を受けます。これはいまの日本の技術、あるいは日本の経済力をもってすれば、こんなものをやるのは、私は、きわめて簡単なことだと思います。こういった点も積極的にいろいろ
対策を立てていただきたい。業者まかせの
機械の改良ということは、まさに
労働者を
保護するという、そういった具体的な精神がその中に反映をされていないことのあらわれだというふうに申し上げざるを得ないと思うわけです。
それから最後に、
労災掛け金のメリット制との問題で、それでなくても林業
労働者は健診を受けて認定をされますと
賃金が下がります。あるいは職種変えをしますと、
芝田さんの場合のように、六千円から二千三百円に
賃金が下がるのです。
生活の問題がありますから、健診を、異常を持っている、異常が出ている人は受けることすら、おそれています。それだけでなく、
仕事に使われないという危険を持っています。それを踏み切って健診を受け、
労災の申請を実はやったところがあるわけです。ところが、業者のほうで、その書類に判を押さないというケースが出たわけです。なぜなのかというふうに言ったところが、実は、あなたは私のところにきてほんの短
期間しかたっていないと、しかし、あなたが、いまあなた
たちがここでこの
労災の認定をすることによって
労災の掛け金はぐんと上がってしまいますと、俗にいうメリット制の問題です。その業者の方に言わせれば、ほかでさんざん
機械を使ってきて、そして悪くなり、たまたま
自分のところで健診を受けて認定をする。認定をするために判を押したら、おれが全部かぶらなきゃいかぬという、こんな不合理ないじゃないかと、まさにそのとおりだと思います。で、そういうところで、最終的には監督署に判を押さないものを出せば、監督署のほうでそこから判をとるからと、こういうことで落ちついていますけれども、私どもには割り切れない問題です。きわめてこれも小さな問題ですけれども、私は、いまの制度の中の矛盾だろうと思います。
いろいろ長いこと申し上げましたけれども、いずれにしろ、ほんとうに福祉の面でも、
労働行政の面でも、深い谷間に入っている林業
労働者の問題について、今後とも
先生方の一そうのひとつ御検討と御協力を重ねて
お願いして、私の意見を終わりたいと思います。