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説明員(中江要介君) ただいま
厚生大臣が御説明されましたことをさらに具体的に御認識いただきますために、ことしに入りましてから日本
政府と韓
政府の間でどういうふうに話し合いが行なわれておって、どういう方向を向いているかということを御説明さしていただきます。
まず、ことしの一月の二十六日に駐日韓国大使が外務
大臣のところに参りまして、本件について韓国
政府としては先ほど柏原先生がおっしゃいましたように、本件は人道的な問題であるので、日本
政府としても人道的な見地から何らかの医療協力、たとえば在韓被爆者医療センターの建設というような、そういうことを考えてもらえないだろうかという話がございました。で、これは
法律的には先ほど先生も御
指摘のように非常に、日韓
関係正常化のときに処理されているとはいえ、問題が人道的な側面の多い問題でございますので、
政府といたしましてもいろいろと考慮しておるわけでございますが、ただいまの駐日韓国大使の申し入れに引き続きまして、二月の二十一日に韓国の保健社会部と申しますから、日本で申しますと
厚生省に当たるかと思いますが、そこの沈という医政課長
——医療行政の医政課長が外務省に参りまして、そして、その大使から外務
大臣への申し入れをふえんした形で外務省の
係官との間でいろいろ話をいたしました。そのときに、沈課長の言われますのには、韓国にある原爆症患者という人たちは主として慶尚南道という地域がございます。慶尚南道というところにかなり集中しておるので、その慶尚南道の
中心都市、たとえば晋州というような町があるわけですが、そういうところに原爆医療センターを設立するというような形で具体的な処理を考えていってはどうかという話があったわけです。こういうふうにだんだん話が具体化しておりまして、それに対しまして、そういう医療センターの設立というのは人道的な
措置としていきなり持っていくということも考えられないわけではありませんけれ
ども、すでに日本と韓国との間には有償無償、いろいろの経済協力のワク組みができておりますので、そういうことであるならば、経済協力の
一つのプロジェクトとして韓国側から強力に推進して持ち出していただくということが非常に役立つのではなかろうかと、つまりそういった医療センターの設置というものを韓国
政府のほうから優先順位を高くして、具体的な経済協力案件として日本
政府に御提案いただくならば、これは日本
政府としても非常に具体化しやすいという説明をして、それを了解されて、いま韓国
政府では御検討中だろうと思います。
それから、そのときにまた別な話といたしまして、日本は初めての、世界で最初の原爆被爆国として原爆医療については他国よりも進んでおるわけでございますので、そういう日本の原爆医療についてのいろいろな資料をできれば参考としていただきたいという要望。それから先ほど来
厚生省のほうからもお話に出ておりますけれ
ども、
専門家を韓国に派遣して、韓国における原爆医療の実態をよく
調査していただきたい。そういうふうにすることによって韓国におられる不幸な原爆患者の
方々のために日韓で、
政府レベルで協力してやっていこうではないかという話がございまして、これに対しましても具体的にそういった
調査団の派遣だとかあるいは資料の提供とかという要望があれば日本
政府としてもできるだけ協力いたしましょう、こういう段階でいま終わっておる、こういう次第でございます。