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田中寿美子君
労働大臣、たいへん朝から
労使間の前近代的なやり方がいまでも残っているということをいやというほど聞かされていらっしゃったと思いますが、
労働大臣の所信表明に対して
委員各位からもうほとんど質疑がございました。残っているのは私一人ぐらいらしいので、それできょうお伺いするわけなんですが、
労働大臣の所信表明の中では、きょう朝からいままでやられていたようなのとは今度はずっと違って、第一番に、「週休二日制の普及促進」ということをあげていらっしゃいますね。週休二日制というのは先進資本主義国では、すでにずいぶん実施しているわけなんです。たいへん
労働大臣も、これは促進しているというふうに報道されております。私
ども社会党は週休二日、時間短縮の法案を作成して国会に提出することにもうなっているわけなんですが、このことについて私はもっと時間をかけてじっくりお聞きしたいことが一ぱいございますけれ
ども、この際特に御要望しておきたいと思っておりますのは、週休二日というのは
労働大臣の所信表明のほうでは「週休二日制の普及促進と余暇対策」というふうに出ておるわけですね。週休二日制という場合の、
日本でいう週休二日制というのは非常に不完全なのが週休二日制と呼ばれている。これまでの
労働省の
調査でも完全な週休二日制というのの比率は非常に少ないのですね。
企業では四、五%
——、最近はどうですか、四十六年の九月の
調査を拝見しますと、四・四%くらいしか、完全な月四日間の週休二日制というのはない。ですから、非常にはんぱな週休二日制しかいままでは実施されていない。今後完全な週休二日制に向かっていかなければならないということと、それに際して、それじゃ時間のほうは短縮しなかったら何にもならないわけですね。ですから、現在の時間を、二日休んだあとの日の中に全部たたみ込んでしまうというようなやり方をするのではいけないので、週休二日制と同時に時間短縮のほうに向かってほしいということ、そういうふうな指導をしていただきたいということ。それから賃金がそのため引き下がるというようなことはないようにしなければいけない。これはまあ
労働大臣は御承知の上だと思いますけれ
ども、現実の問題として非常にたくさんそういうことがございます。それから深夜業なんかもなるたけこれはなくしていく
方向に指導していくということと、つまり
日本の
労働条件が国際的に非常に悪いということが問題になって、通貨問題なんかでも外国からの圧力が非常にかかっているということが週休二日制を進める、
政府がみずから進めようという原動力にも半ばなっているわけですから、そういう
意味では
内容をよくしてもらわないと困るということで、この問題に関しての質疑は私はきょうはいたしません。じっくりとぜひやりたいと思っております。
ところが、その週休二日制、時間短縮や
労働条件全体をよくする
方向に向かうその
労働条件の
改善と逆行するような形で、実は
労働条件が悪化させられつつある部分がずいぶんある。たとえば私の
ところにもずいぶん陳情に見えておりますけれ
ども、
労働大臣が週休二日、余暇の利用、余暇対策というふうにおっしゃるけれ
ども、たとえばマスコミとか、レジャー
関係とか、サービス
関係のほうはその週休二日で二日休ませてもらうかわりに、かえってたいへん忙しくさせられている。長時間
労働や深夜業が多くなっていく傾向があるので、そのほうの
調査をぜひしてもらいたいと思います。ですから、形式的に週休二日ということの実施をしてもだめでございますから、具体的にちゃんとほんとうに
労働条件をよくすることによって、
日本の
労働者も西欧並みの
労働時間と賃金をもらっているということにするようにしていただきたいと思います。特に、マスコミ
関係で印刷
関係の
労働者なんかは大
企業ほどひどい
労働時間体制をもっておりますね。これは凸版印刷とか、大
日本印刷とかいうようなあんな大きな印刷
労働者の場合ですね、御存じだと思いますけれ
ども、拘束時間十二時間というのがざらですね。そして、三組二交代の勤務を今度週休二日にするということで、九日制にして、ちょっと見たらわけわからないような勤務状況で、これで一体時間が短くなるのかどうかわからないような体制をとろうというような
方向に向かっているわけです。よく調べていただきたいのですが、例の三六協定ですね。あれで約束しているのだからしかたがない、
労働基準監督署は介入の余地がないというふうな態度をとっていらっしゃるように私は聞いております。この辺も今後週休二日制を
議論しますときに、ぜひ
議論したいと思いますけれ
ども、よく調べておいていただきたいと思います。
それからもう
一つはレジャー
産業、サービス
関係ですね。これが非常に最近発達していってるわけで、そこで働きます私は女子
労働者は相当の深夜業や
労働条件がひどい条件で働いているというふうに申し上げなければならないんですが、きょうは、
大臣の所信表明の中には、婦人の地位の向上の問題というのは別にあったわけじゃないけれ
ども、
労働省には婦人の地位の向上という行政があるんですね。それで婦人少年局もあるわけなんですが、この際、私
どもが婦人の間でずっと問題にしてまいりました売春問題の中で、特に、トルコぶろにおける売春の疑いが非常に多い、濃厚である、そのトルコぶろ営業に関連してきょうはお尋ねしたいと思っているわけなんです。
売春防止法というのを御存じだと思います、
労働大臣。完全実施になって十五年になるわけなんです。あれをつくりますときには、婦人の
人権を守る、婦人の解放というようなこと、あるいは人格の尊厳を守るというようなことを旗じるしにして、婦人団体の人たち、それから各党の婦人がみんな一緒になって、これは
議員立法で出してつくったものです。そのときのねらいは、婦人の肉体を売らせる業者、管理売春を罰するということが一番の中心になっておりました。それから
場所を提供して女性にそういうものを、女性の肉体を売らせてもうける者を罰する、あるいは困惑させて売春に誘っていく例のヒモのような人とか、そういう者の処罰、それから婦人の場合は、勧誘する行為が見つかったときには、つかまるというふうになっている法律でございます。それができてから十五年で、あれには保護処分もついておりまして、そういう売春行為をやった人たちを保護処分に付すると、で、保護と更生という部門があるわけでございますね。
ところが、十五年たちました今日ですね、社会環境は決して私たちが最初にねらったような状況をなくすようにはなっていない。むしろたいへん複雑化し、多様化して、そしてすっかり潜在した形、あるいは擬装した形の売春がどんどん行なわれている。そこで、売春防止法制定以後、これがほんとうに行なわれるために運動してまいりました
ところの婦人団体の方々、それからさらに、昨年の沖縄復帰以前に、沖縄では非常に前近代的な売春の業態がありましたので、沖縄の売春と取り組むための運動を起こしました婦人、そういう者がみな一緒になりまして、二十二の団体が一緒になって「売春問題ととり組む会」という会をつくっております。個人もこれに参加しております。これはもう超党派のものでございます。そこで、売春防止法全体をほんとは洗い直さなければならない、いまの状況に合わない面がたくさんある、あるいは社会福祉なんかと関連させなければならない面もたくさんある、婦人相談員の
仕事の
内容も変わってきている、そういうようなことで全般的にこの法律はやり直さなきゃいけないというふうにみんなで
考えているわけなんですけれ
ども、さしあたって、今国会中にぜひやりたいとみんなで
考えておりますのは、もう公然と売春の巣くつといわれているトルコぶろの営業に関して規制するような法律をつくりだい、こういうことで、もうこの一月に「売春問題ととり組む会」という会を結成しましてから、しばしば婦人
議員に対しての要望が出されているわけでございます。それで先日、その団体から千葉の栄町
——これはトルコぶろではデラックスで有名、川崎の堀之内と千葉の栄町、おいでになった男性がいらっしゃるかもしれませんけれ
どもね。そこを私
ども、その婦人団体で、みんなで一緒に見学に参りました。そのときの状況から
考えまして、まず、次々にお尋ねしていきたいと思いますけれ
ども、トルコぶろという
ところに働いている、いわゆるサービスをする女性ですね・接客をする
ところの女性、トルコ嬢と呼ばれております。このトルコ嬢の
労働条件について、どういうふうに
労働省は把握していらっしゃいますかということを最初にお尋ねしたいと思います。