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須原昭二君 たった二十五分の間でありますから、率直な
意見を交えて二、三の点について御
質問いたしたいと思います。とりわけ、前総理の佐藤さんが、
沖縄が返らなければ戦後は終らない。こういうふうな名言を吐かれましたが、昨年の夏、
沖縄復帰が実現をいたしました。しかし、グアム島の
横井庄一さんをはしりにいたしまして、いまなお捜索が続いている
小野田少尉の救出問題、あるいはまた、日本人の
現地妻の帰国、国籍の問題、そういう多くの戦後処理の問題がたくさん残ってるわけですが、時間の
関係上きわめて残念でございますが、きょうは戦争による内地の
戦災障害者の
問題点にだけしぼりまして御
質問を実はいたしたい。とりわけ、
大臣、
新任でございますが、
新任のときは非常に
熱意があるわけでありますから、
熱意を買って、その
熱意と決断をひとつまずもって要請をしておきたいと、かように存じます。
まず、太平洋戦争全期間におけるところの空襲による国民の
被害者、
被害総数については事務当局にこまかく
質疑をいたしたいわけでありますが、時間の
関係上要約をいたしますと、戦時災害保護法、当時の戦時中の法律でありますが、その受給者の数だけ残っておる
——その後死亡した人たちもたくさんございますから変動があります。したがって、現状を正確につかんでおられるかどうかという問題については、後ほど資料等々で出していただきたいと思います。
当時の戦時災害保護法の受給者の資料もひとつ後ほど出していただきたい。特に私が調べたところによりますと、米国の戦略爆撃
調査団の
調査報告によりましても、空襲による日本人の死者は三十三万人、そして負傷者は四十七万三千人、全日本におけるところの軍人の死者が七十七万八千五百五十人ということになりますから、内地における
戦災の
障害者というのは非常にたくさんあるということが、この数字からもわかるわけです。したがってきょうは、この四十七万三千人、この民間負傷者の
対策について御
質問をいたしたいわけであります。
太平洋戦争は、御案内のとおり、日本がかつて経験のない、内地までこの戦禍が及んだことは言うまでもございませんが、この戦争中におけるところの防空法、その灯火管制を含めて消火義務を国民に強制し、それに違反をした者については五百円以下の罰金を科する。当時の貨幣価値から見るときびしい罰則だと私は思うわけです。そういう国民に対する義務づけに対応して戦時災害保護法をつくり、たとえば住宅が焼けた場合には三百五十円、たき出しの場合には四十五銭、負傷した場合には治療費は全額補償、あるいは埋葬料は十二円以内、こういうふうに具体的にきめられて
一般国民を対象にした保護あるいは救助、給与等を法制化いたしておるわけです。しかしながら残念なことには、敗戦と同時に占領下の日本においては戦争や軍人に関する法律はすべてGHQの命令で停止をされたことはすでに御案内のとおりでありまして、戦時災害保護法もその例外ではなかったわけです。したがって、戦後それらに対する対応策ができておるかといいますと、
昭和二十七年、日本が独立をいたしますとともに、
昭和二十七年には戦傷病者戦没者遺族等援護法、あるいは
昭和三十一年には旧軍人等の遺族に対する恩給等の特例に関する法律、三十八年には戦没者等の妻に対する特別給付金支給法、三十八年には戦傷病者特別援護法、四十年には戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法、四十一年には戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法、四十二年には戦没者の父母等に対する特別給付金支給法、その他
救済や援護の法制化が多くなされておるわけでありますが、肝心の戦傷病者戦没者遺族等の援護法にいたしましても、あるいはまた、戦傷病者特別援護法におきましても、国家補償の精神に基づいて軍人軍属等の公務上に限って援護することになっておるわけであります。ここで
一般国民の被災、
障害者に対しては一片の援護の手も差し伸べていないのです。ただ、御案内のとおり、原水爆の
被害者に対してはおそまきながら若干の施策は講ぜられてはおるものの、その他はすべて戦後二十七年間、戦時災害保護法等が米軍によって停止をされて以来、置き去りになっておるわけであります。これはすでに皆さんも御承知のとおりです。
一般国民の戦争犠牲、戦争による
障害者に対して国家補償の精神は該当しないのかどうか。この点は明確にひとつ
厚生大臣から御
答弁をいただきたいと思うわけであります。
時間の
関係がございますから、総括して御
質問を続けてまいりたいと思うわけでありますが、国家の名において戦争を開始しておきながら、国家の名において戦争参加、戦争協力を一億国民に強制しておきながら、かつ戦地も銃後もなく一億国民を戦争にかり立てたことはわれわれは苦い経験を持っておるわけです。同じように殺され、同じように
障害者にされても、なお、おまえは軍人だから、おまえは軍属だからとか、あるいはまた、おまえは公務上の災害であった、こういう理由だけで
一般国民の
障害者は置き去りになっておるわけで、少しも顧みられておらないわけであります。一体どういうことなのか、この点についての御所信を承りたいと思うとともに、今日世界第二位のGNPを築き上げたこの富裕国家であります、今日それにふさわしい福祉国家をつくろうというお題目から言ってもまさに嘆かわしいという時代でありますが、
大臣は、はたして国の
責任はないとお考えになっておるのか、はっきりとひとつ御
答弁を賜わりたいと思うわけです。