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1973-07-11 第71回国会 参議院 公害対策及び環境保全特別委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年七月十一日(水曜日)    午後二時三十六分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         森中 守義君     理 事                 金井 元彦君                 菅野 儀作君                 杉原 一雄君                 内田 善利君     委 員                 青木 一男君                 君  健男君                 斎藤 寿夫君                 田口長治郎君                 林田悠紀夫君                 原 文兵衛君                 渡辺一太郎君                 加藤シヅエ君                 沢田 政治君                 藤田  進君                 小平 芳平君                 高山 恒雄君                 沓脱タケ子君    国務大臣        国 務 大 臣        (環境庁長官)  三木 武夫君    政府委員        環境庁長官官房        長        城戸 謙次君        環境庁自然保護        局長       首尾木 一君    事務局側        常任委員会専門        員        中原 武夫君    説明員       環境庁自然保護       局計画課長     宇野  佐君       文部省大学学術       局学術課長     七田 基弘君       文化庁文化財保       護部記念物課長   古村 澄一君       林野庁指導部長   松形 祐堯君       建設省道路局次       長         中村  清君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○連合審査会に関する件 ○自然公園法及び自然環境保全法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 森中守義

    委員長森中守義君) ただいまから公害対策及び環境保全特別委員会開会いたします。  連合審査会に関する件についておはかりいたします。  工場立地調査等に関する法律の一部を改正する法律案について商工委員会に対し、公有水面埋立法の一部を改正する法律案について建設委員会に対し、それぞれ連合審査会開会を申し入れることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 森中守義

    委員長森中守義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 森中守義

    委員長森中守義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 森中守義

    委員長森中守義君) これより自然公園法及び自然環境保全法の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回に引き続き質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 私は、自然公園法及び自然環境保全法の一部を改正する法律案につきまして質問をいたすわけでございますが、前回委員会に私やむを得ず欠席をいたしましたために、同僚委員がすでに質問され答弁を得られましたようなことをあるいは重複質問するようなことがございましたら、どうぞお許しをいただきたいと思います。  この法律は非常に簡単な一部の改正と存じますが、この届け出を要する行為の中の、三つございます第一番の「土地形状変更すること。」というのは、具体的にどういうようなことを含めるのでございますか。これを伺います。
  7. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) たとえば道路をつくりますとか、それから宅地造成でございますとか、あるいはゴルフ場造成でございますとか、そういったような問題が土地形状変更の中に当然入ってくるわけでございます。
  8. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 そういうような土地形状変更するということは、公園の中では相当ゆゆしき問題だと思います。したがいまして、この改正によりまして三十日間の着手制限期間というのを新たに設けられまして、届け出があった行為を十分審査して、自然環境悪影響を及ぼすおそれがあると認られた場合には、行為着手前にその禁止制限等措置をとることができるというふうに改められる、実質的には特別地域における許可制に準ずる規制をはかることという改正と承知いたしましたが、これはもっともなことでございまして、いままでそういうことがなかったということは非常に不備であったと思います。  それで、三十日間の制限期間ということはよろしゅうございますけれども、どうもこの三十日間の期間の間にそれが自然環境悪影響を及ぼすおそれがありと認められたような場合にでも、なかなか禁止とか制限措置をとるということは、その場合場合におきましてはそう簡単にできることではないのではないかと思います。  そういう点につきましては、たとえばゴルフ場をつくるというようなことに例をとりました場合に、ゴルフ場はもうこの節のニュースでたびたび聞いておりますところ、全国的にゴルフ場がたいへんな数ができる。そして、いまここで問題になっている制限区域の中でない、全然私有地その他におきましてもどんどんゴルフ場建設ができるというようなことを聞きます。そういうのを航空写真なんかで見ますと、高い山が裸にされてしまって、そこにゴルフ場ができるというようなのが一ぱいできている。そのほかにまた制限地域の中なんかでゴルフ場ができるというようなことになりましたら、これは当然反対すべきことだと私は思います。ゴルフ場というのは非常に大きなスペースをとりますし、それは自然をたいへんに破壊することになりますので、こういうことは禁止制限対象になるべきだと思いますけれども、そういうようなことが着手されようとして届け出があったときには、実際にそれを禁止制限する措置をとるということが、どういうような理由でどういうふうにできるか、あるいはむずかしいのか、その辺を説明していただきたいと思います。
  9. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 国立公園地域内につきまして、特別地域におきましては、従来から、そういう土地造成あるいは土地形状変更というようなものにつきましては、許可を得て行なう必要があるということでございまして、このゴルフ場の問題でございますが、これはそういうようなことで、過去においては許可をしたケースがございますし、また、公園事業としてこれを認可をしたケースがあるわけでございます。しかし、最近におきましてゴルフ場造成というものが急激にふえてまいりまして、いわゆる乱造といいますか、そういうような状態になりましたので、私ども方針としまして、国立公園特別地域内には原則としてゴルフ場を認めないという強い方針を出しまして、特別地域内は、そういうことでゴルフ場造成というものを遠慮願っておるわけでございます。  そもそも、やはり先生お話しになりましたように、ゴルフ場というのは非常に大きな面積にわたりまして土地の自然の状況というものを変えていくということでございますから、したがって、これが乱造されるということは好ましくないということで、そういう方針をとりまして、一斉にそういう方針に従って画一的にやっておるわけでございます。  さらに今回、普通地域につきまして、やはり土地造成について先生仰せになりましたような問題が生じてくるわけでございます。私ども普通地域におきましても、自然の環境保全意味からいって適当でないゴルフ場というものが相当考えられるわけでございますので、そういうものにつきましては、普通地域につきましても、この法律ができますればこの法律を十分活用いたしまして、抑制をしていくという方針で考えておるわけでございます。  普通地域は、これはいわば核心部であります特別地域である国立公園を守るための周辺の地域であるというような性格が多いわけでございまして、そういう意味では普通地域自然環境保全を十分考えていくことが必要でございますが、ただ普通地域は、現在人が生活をしておるといいますか、あるいは農業が行なわれている地域でございましたり、また、その他の産業も行なわれている地域でもございますので、そういったようなところの権利関係調整ということは、私権との調整ということはなかなか実際の問題としてむずかしい点がございますけれども、私どもはこの法律が成立いたしますれば、この法律もとにいたしまして、十分そういったようなことについての規制を強化していきたいというふうに考えておるわけでございます。
  10. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 ただいまの御答弁によりまして、普通地域にまで特別地域に準ずるというような方針で今後お臨みになるということ、これはたいへんけっこうでございますから、ぜひそういうふうに強力に進めていただききたいと思います。  次に、これは長官に伺いたいのでございますが、この自然公園法の中の第三条に「財産権尊重及びその他の公益との調整」ということが書かれております。この第三条は「この法律の適用に当っては、関係者所有権鉱業権その他の財産権尊重するとともに、自然公園保護及び利用国土開発その他の公益との調整に留意しなければならない。」とございます。  この自然公園法という法律ができたのは昭和三十二年というふうにしるされておりますが、昭和三十二年というようなときと昭和四十八年の今日とは、自然環境保全の問題ではもう驚くほどの相違があるわけでございます。したがいまして、今度の一部改正によりましていろいろの禁止制限等措置を講ずるとか、三十日の事前の審査期間を設けるとかいうような、この程度の改正をなさいましても、この財産権尊重公益との調整というようなこういうような条項がございますと、これが非常に問題になってくるのではないか。もとより、私ども財産権尊重ということは決して無視するわけではございませんけれども、実際の問題として自然の環境が破壊されようという危機に瀕しているときに、この条項が非常に問題になってくるのではないかというふうな心配が多分にあるわけでございます。  長官に伺いたいのは、三十二年にできたこういうような法律に対して、この一部の改正ぐらいではほんとうに不十分だと思います。この財産権尊重公益との調整というようなことでも、こういうような問題について、もう少し時代に即した考え方を入れていくような改正ほんとうは行なわれなければ、目的を達することできないのではないかというふうに思いますが、長官いかがでございましょうが。
  11. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 財産権尊重といいますか、私有財産、これはやっぱり尊重していこうというのがわれわれとしての基本的な考え方ですから、その利用権に対して制限を加えよう、所有権に対しては尊重していく、その利用に対して制限を加えようという考え方から、許可制にしたり届け出にする。これはもう全部国有地だったら問題でないんです。民有地の上へ網をかけているわけですからね。そこにやっぱりこういう表現というものが必要になってくる。しかし、この財産権尊重といい、あるいは公益との調整といっても、要はその利用をできるだけ公共福祉に役立てようということでありますから、利用に対しては、いま言った届け出とか許可ということで、できるだけ公共福祉に役立てるようにしていきたい。  たてまえとしては、法律の条文を書くとしたら、こういうようなことになるんですね、財産権というものを否定するようなことはできませんしね。だから、この法律運用する場合に、公共福祉を優先するという方針もとにこれを運用していけば、こう書いてあるからといって、所有権者利用権に対して絶対の権限を持っておるとは私は思わない。いろんな制限をしますからね。届け出もそうです。運用の点で、加藤議員の言われるような点は、われわれとしてそういう公共福祉ということを体して運用をこの法律はしていくべきだと思います。
  12. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 ただいまの御答弁によりまして、財産権の、所有権のほうはそのまま尊重するけれども利用権のほうにおいて公共福祉を優先的に今後は考なければならないという、こういうことでございますね。これはぜひ、そういうふうに考えて進めめていただきたいと思います。  そこで、いま長官の御答弁にございましたように、この国立公園国定公園が、民有地の上に網がかけられているというところにいろんな問題があるということでございますが、聞くところによりますと、アメリカなんかでは、自然公園というのは全部国有地になっているというふうに聞いております。またイギリスとかイタリーとか、こういう国土の狭いとこは日本と同じようで、全部が国有地というわけにはいかないというような、国によっていろいろ違うと思いますけれども、私がいままで経験したところによりますと、アメリカが全部自然公園国有地にして大事にしているということは、やはりそこに自然環境保全とか自分の国の国土をそのままの姿で保全したいという、そういうような非常な深い情熱を持った人々がいて、特に非常な有力なお金持ちのような方がいて、そういうところを率先して早くから買い上げてしまって、そしてこれを自然公園にしたとか、あるいはカリフォルニアの有名なミューアーウッド、私も初めてそこへ参りましたときには、ミューアーウッドという昔からある名前ぐらいにしか理解いたしませんでしたけれども環境保全の問題についてだんだん知りましたときに、ミューアーウッドというのは、ミューアーウッドという自然保護に非常に熱心な、そういう人たちが、あの大きな特有の杉や何かの森を自然の公園として保全した。それまでに非常に苦心して、そしていろいろの勉強をなさったというようなことをものの本で読んだのでございます。  日本におきましては、どうもこの狭い国土に人間が一ぱいおりまして、日本人はあまりにも昔から美しい自然になれてしまったせいか、この大事な自然というものをほんとうに愛していながら、これを保全するというような動きというものが、最近は非常に地域運動として起こってはまいりましたけれども、まだ、これを所有している人はそういうふうに考えないで、やはりこれを経済的な価値というほうに持っていってしまおうという動きが非常に多い。これが今日、日本の方々のせっかくの風景とか、保全されなければならない自然環境というものが次から次へと破壊されていって、これは毎日のニュースで聞いても、多くの人々が非常に心を痛めている問題でございます。最近は、あまりにも破壊がひどいので、いままで自分がいいものを持っているのを忘れていたような傾向があったのが、非常に呼びさまされてきて、いまは何を言っても大事にしてもらいたいという世論のほうが非常に強いように私は感じます。  それで、私が申したいことは、アメリカのようにいまさら金持ちがあらわれて、みんなこれを買い上げ公園にしてくれるわけにはまいりませんので、どうしたらこれがもっといわゆる民有地というものを破壊しないで守ることができるかという、その方法でございますが、国立公園というものは、環境庁長官審議会意見を聞くだけで指定される。また、これについていろいろ何か問題が起こっても審議会意見を聞くだけ。ところが国定公園の場合は、地方自治体の長の申し出によって審議会意見を聞いてできるという、順序が違いますために、そこが、いろいろ問題が起こったときに、どうもこの扱いがややこしくなっていくわけでございます。  それで、この法律の十一条に「指定解除及び区域変更」ということが書いてございますけれども、私はいろんな問題があちこち起こるのは、たいがいは国立公園の場合よりも国定公園の場合のほうが多いように思います。それで、この「指定解除及び区域変更」という条項に基づいて、国定公園国立公園に変えていくというような、そういうことをお考えになったらいかがなものでございましようか。それについて、そういうことができるのか、また、ぜひそういうことを考えていただきたいのですけれども、御当局の御意見はどうでございましょうか。
  13. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 現在自然公園におきましては、自然公園体系といたしまして、国立公園は、これはわが国を代表するような最も傑出した自然の地域というものを国立公園にいたしております。国定公園はそれに準ずるということでございまして、地方的な意味でのそういうすぐれたものというものを対象にしておるということから申し上げまして、そういう意味では、体系的に考えますと、国立公園を国が直轄的にといいますか、国が直接にこういったようなものにつきまして統制をしておくというような考え方で、こういう二つのものを区別をいたしておるわけでございます。  先生の御意見は、解除問題というのが、これが国定公園に多いではないか、こういうふうなお話でございまして、その問題はその問題としまして、私ども解除問題につきましては、これは当然都道府県からの申し出がございましても、国がその計画につきましては、あるいは指定解除につきましては権限を持っておりますので、そういう面で十分これは、いたずらにそういったような解除を行なうようなことをやらないという方針を貫きますれば問題はないのではないかというふうに考えておりまして、その問題と、国定公園を直ちに国立公園に格上げすることによってそういうことにすべきかどうかということの問題とは、若干私は違うと思いますので、これは今後の自然公園体系というものを私どもいろいろ検討いたしておりますので、全体の角度からそういったようなものについて検討は続けたいと思いますが、直ちに現在の国定公園国立公園にするということは、なかなか困難ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
  14. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 それでは環境庁当局としては、自然公園体系の上から現在の状態をもう一ぺん考え直す必要はある、こういうふうに思っていらっしゃるわけですか。
  15. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 現在の自然公園体系としましては、国立公園国定公園都道府県立公園ということで、これを直ちに変えるというふうな考え方は持っておりせんが、なおしかし、こういう問題につきましては、一般的な問題としてこの体系でいいかどうかということについては、これは今後とも研究をしていきたいというふうに考えております。
  16. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 今日の現状から見ますと、どうしてもこれは再検討の必要の期間に到達した、あるいはすでに手おくれかもしれませんけれども、これはぜひ検討していただきたいと私は要望いたします。  その次に伺いたいのは、国定公園の中で、ここに書かれている三つの、土地形状変更とか、水面の埋め立てとか、あるいは鉱物、土石の採取とかいうような問題が起こりまして、それはどうも自然環境悪影響を及ぼすおそれがあるからというわけで禁止制限措置をとろうとなさった場合に、所有権者が、それは困る、これは自分所有物だから、どうしても経済的な理由によって、利益が上がるような方向にこれを措置しなければならないのだというようなことを強く主張された場合には、どういうことになりますのですか。
  17. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 法律的に申し上げますと、これは命令でございますので、所有者の意思にかかわらずそういう命令を出すことができるわけでございます。ただし、その際には、それによって損失を生ずるという場合には、それによって生ずる損失補償ということが問題になってまいりますし、それからさらに、この命令に対しまして、これの異議の申し立てといったようなことも法律的にはできるわけでございます。  私どもは、法律的に申しますと、いま申しましたように一方的にこれをなし得るわけでございますけれども、十分これは、自然環境保全自然公園の維持というような観点から申しまして、適正にこれをやり、本人にも十分これを納得をさせて、やりたいというふうに考えておりますが、これは当然今日の状態でございますから、自然環境保全ということは非常に重要な問題でございますので、個人のそういう問題に対しまして、やはり公共福祉が優先をするといいますか、環境保全ということが優先するというような立場からこれを適正にやっていく所存でございます。
  18. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 それでは、どうしてもこれを売りたい、買ってもらいたいというようなことが起こったときには、六十億の予算措置をしていらっしゃるというふうに聞いておりますけれども、そういうような場合には、その予算で何か経済的に措置できることは措置なさるのですか。
  19. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) ただいまのところ、私どものやっております土地買い上げでございますが、これは国立公園の中で特に厳重な規制のきびしいところ、たとえば特別保護地区でございますとか、特別地域の中の第一種地域でありますとか、そういうところを対象にいたしておるわけでございまして、これは先ほど長官からもお話がございましたが、ほとんど利用権制限をされてしまいまして、所有権ということが意味をなさないというような形になっております。そういうものを対象にいたしまして今日の制度を設けておるわけでございまして、普通地域につきましては、ただいまのところ、そういうような土地買い上げまでということについては制度としてございません。これは先ほど申し上げましたように、いわゆる損失補償といいますか、そういう形でもって処理をするといいますか対処していくというたてまえになっております。  今後の問題といたしましては、しかし、先ほど先生仰せになりました、たとえばアメリカ国立公園がほとんど国有地になっておるというようなこと等もございますので、そういう点も考えながら、今後土地買い上げという問題につきましては積極的にひとつ検討をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  20. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 いま、日米渡り鳥協定に続いて、日ソ渡り鳥協定が次の国会あたりには提案去れることと思いますけれども、その中には、日来の場合よりも、日ソの場合にはよりたくさんの鳥類名前があがっているわけでございます。そうして、そのあがっている鳥類生息地というようなものは、ずいぶんといま破壊されつつある、危険に瀕しているところがたいへんにあるように思うのでございますけれども、これはその協定が発効する前から、やはり環境庁としては、そういうようなかけがえのない生息地、これは復元できないことだと思いますので、早目にそういうところに御注意なすって、手を回して何かやっていらっしゃるかどうか、それを伺いたいと思います。
  21. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 絶滅のおそれのある鳥につきまして、先生御指摘のように、アメリカ、それからソビエトとの間でも最近におきましてほぼ条約の内容につきましては合意をしまして、近い将来これが成立するという段階になっておりますが、私どもといたしましては仰せのように、そういう絶滅のおそれのある鳥の生息地といったようなもの、あるいは繁殖地といったようなものにつきましては、これは非常に重要な地域だというふうに考えておりますので、従来から調査もこれについていたしておりますし、また、そういったような土地開発規制、それからさらには土地の確保といったようなことにつきまして、十分今後ともやってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  22. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 そういう鳥の繁殖及び生息地というような自然の状態のところで、それは必ずしも自然公園というようなところに指定されていな  い、けれどもたとえば北海道の湿原地帯、こういうようなものを保存しなければならない、そういうような場合には、それはどういう名目で保全されるようになりますか。そうして、その保全して  いく上の経費というようなものはどういうふうになってくるのでございますか。
  23. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 現在の手段といたしましては、もちろんそれが公園地域内でございますれば、そういったようなところでの特別保護地区の設定でございますとか、あるいは自然環境保全地域でございますれば野生動植物の地域を考える場合もありましょうし、あるいはまた特に重要な地域としてこれを保全をするという方法もございます。それからさらに現在の鳥獣保護及狩猟二関スル法律の中におきまして、鳥獣保護地区の中に特別鳥獣保護地区というものを設けまして、そこにつきましては開発行為規制をするというようなことになっておりますので、主としていまの先生の御指摘になりましたものは、当面そういったような特定の特別保護地区、鳥獣保護地区の中の特別保護地区というものの設定によりまして、これを保護していくということを考えてまいりたいというふうに思っております。  それから経費の問題でございますが、これは経費と申しますと、管理あるいはこれについてのいろんな鳥の生息状況のための施設といいますか、そういう問題も生じてくると思いますが、管理費につきましては、今後ともその増強をはかってまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
  24. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 それでは次に、これはもうこの委員会でたびたび問題が出ましたのでございますが、鹿児島県の志布志湾の大工業地開発という計画、それから長野県のビーナスライン、この問題、これはいつもこの委員会に出てきて、いろいろと問題になっておりますが、まず志布志湾のほうから先に伺いたいと思います。  これは、経済企画庁の新全国総合開発計画に基づいてこういうような志布志湾の大工業地開発計画とかいうのが出たと聞いております。それで、けさほどの本会議でまた問題になりました国土の総合開発計画というのとこれと、どういう関係になっておりますか。前の新全総というのは、途中でもう中止になっているのですか、それはそれでもってどんどん進められているのでございますか。
  25. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 鹿児島県が昭和四十六年十二月に発表いたしました新大隅開発計画というのがございますが、それは従来からの全国総合開発計画に従いまして、それの一環といたしまして鹿児島県が発表したものでございますが、まだ国全体がこの計画につきましてそれを確定をしたいというものではございませんで、鹿児島県の試案の段階のものでございます。  なお、一般的な全国総合開発でございますけれども、当然従来の全国総合開発というものも、さらに新しい事態におきまして見直しまして、今後そういう問題について、全国的な総合開発計画をさらに検討するということになるものと私どもは承知をいたしておるわけでございます。  お尋ねの志布志湾の問題でございますけれども、これは四十六年十二月に発表になりましたその計画につきましては、御案内のように地元住民の間に非常に強い反対が生じまして、現在鹿児島県のほうで計画案を策定し直しておるというように聞いております。私どもといたしましては、この一帯が日南海岸国定公園の一部でございますし、大規模な埋め立て等がもし行なわれるのならば、同地域の主要景観というものが破壊されるという観点から、公園指定の趣旨に反するだろうという見解を持っておるわけでございまして、この見解は現在のところも変わりはないわけでございます。
  26. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 それでは、日南海岸国定公園指定解除するということは、全然環境庁長官はいま考えていらっしゃらないと、こういうふうに理解してよろしいのでございますか、長官
  27. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 現在のところ考えておりません。
  28. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 先ほども私ちょっと問題にいたしましたのですけれども国定公園ということになりますと、地方自治体と密接な関係がございまして、この志布志湾の問題でも、地元の住民、それから漁民両方が非常に反対して、もう強い反対運動でございますし、またその反対の理由はもっともなことでございますから、環境庁長官としても国定公園指定解除しないという方向でこれを守っておられるわけでございますが、どうも見ておりますと、地方自治体の知事さんのお考えというのは、多くの場合、経済的な開発をするということが何か漁民のために非常にいいことのように考えていらっしゃる場合が多い。それでこういうような問題がどんどんと熱心に進められようとしております。この鹿児島県だけではなくて、ほかの場合を見ましてもそうでございます。  また、残念なことには、地方議会というものの議員が必ずしも、自然環境保全ということがいま日本にとって国益上非常に大事なことなんで、これは一度破壊したら回復のできないたいへんな大切なことだという、ほんとうの価値というものに対する認識が必ずしも十分ではない。むしろ経済的な利用が、開発されたほうが住民が喜ぶのじゃないかというような考え方、それで地方自治体あるいは地方議会というものがこういうものを進めるような傾向が非常にあって、住民はそれに対して、もうほんとうにから手でもって足を運んで阻止の運動をしなくちゃならない、こういうことを、私どもは陳情を受ける側でございますから、全国的にこういうような陳情を始終熱心に受けているわけです。  それで、私さっき申したのですけれども国定公園というようなことになっていると、地方自治体というもののそうした経済的な利益を優先させようという動きが強く出てきて、これを阻止するのがたいへんむずかしいので、それで国定公園というようなそういうものから、むしろもっと規制がもう一歩厳重にできるようなものにしていただきたい。これは私の私見でございますけれども、さっき申し上げたわけでございます。  もう一つ伺っておきたいのは、この志布志湾のことでもたびたび伺いましたのですけれども国定公園解除をしてもらいたいというようなことを、県当局がときどき上京して環境庁長官に陳情をしておられました。これはいまではございません。少し前のことです。そうすると長官が、三木長官じゃございません、前の長官のときでございましたけれども、何か話がわかったようなことをおおっしゃる。そうすると知事さんはたいへん喜んで、長官がこれを許可なさる方向にあるというようなことを帰って報告なすって、それで、そっちのほうへ非常に動きが進んでいくというようなことをたびたび聞くのです。そうすると、地域住民の方はまたたいへん心配して陳情に押しかけていらっしゃるのですけれども、そのとき私が知りたいと思ったことは、国定公園解除するとか知事さんの考え方に賛成するとかいうようなことは、何か書面によって回答なさるのですか。それとも、ただ会話の上だけでなさるのですか。それをはっきり伺っておきたいと思います。
  29. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 私の承知しております限りにおきましては、志布志湾問題につきまして、そういったような考え方が述べられたという事実はないというふうに承知しておりますけれども、一般的なお話でそういったような要望が述べられた際にどういう形で返答をするか、返答というか応待するかということでございますが、それは一般の陳情でございますので、当然、別に書面をもってやるとか、そういうような問題ではございません。  解除の問題でございますが、これは正式な解除につきましては、都道府県から正式な文書での申し出がございまして、その正式な文書に基づきまして、これを、前でいえば自然公園審議会、現在でいえば自然環境保全審議会にかけまして、その計画変更をする、地域変更をするという手続を正式に経なければならないわけでございます。
  30. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 それでは志布志湾の問題は、国定公園解除するという考えはないということで私は理解いたしました。  次にはビーナスラインのことでございますが、こちらはずいぶんたびたび陳情がございまして、この委員会でも問題になりましたのでございますが、このほうは、一応道路建設ということにつきまして県議会の議決を経たというようなことで、それを進めたいという知事さん及び県当局考え方でございまして、この委員会としてもここには現状視察に参っております。そうして、これは環境の破壊になるからやめてもらったほうがいいだろうという結論が出ていると思います。けれども、その後また議会の議決を経たことであるからということで、また進められたというようなことを聞いているのでございますが、最近におきましてはどういう状況になっているのでございまししょうか。
  31. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 美ケ原のビーナスラインの問題でございますが、これにつきましては、現在の公園計画によりますと、公園道路といたしまして台地部を全面的に通過する道路計画というものが、一応国定公園計画として決定をされておるわけでございまして、これにつきまして自然保護の面からの反対が非常に強かったわけでございます。これにつきましては、一応前々長官のときに、前々長官も視察に参られまして、当時長野県知事との間でその点についてお話し合いをされ、その結果、現在の扉峠のところまでにつきましてはこれは工事をやって差しつかえがない、扉峠から美ケ原の台上に至るところ、そこまでのところにつきましては、これはさらに検討をするというようなことでとどままっておるわけでございます。  したがいまして、その後現在長野県で、先ほど先生仰せられました県議会でそういうことをきめてというふうなお話でございますけれども、それの案といいますのは、当初の台上を通じる道路計画をさらに変更をいたしまして、長野県側としては、こちらのほうの側であるならば自然の破壊ということが問題ないのではないかということで、長野県としまして計画変更をしたいということで、それの申し出環境庁のほうにやってきておるわけでございます。しかしながら、この変更案につきましてもさらに自然保護の立場からいろいろ意見がございまして、これを通すべきでないという意見がかなり強くあるわけでございます。  私どもといたしましては、そういう状態にございますので、この長野県の変更案につきまして、現地の事情に明るい地元の専門学者の意見を聞くなどいたしまして検討を進めておるわけでございますが、今後自然環境保全審議会意見も聞きまして、場合によりましては自然環境保全審議会の方にも直接見ていただくなどいたしまして、慎重にこの問題についての結論を得たいというふうに考えておるわけでございます。
  32. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 この問題も、どうぞひとつ環境保全のために十分な御注意を続けていっていただきたいと思います。  それから最後に伺いますのは、この自然破壊の問題では、この節はだいぶ一般の考えが、自然を保護していきたい、ふるさとをそのままの姿で残しておきたい、自然の植物、動物、こん虫に至るまで、そうしたものに対する人間の文化的な愛情というようなものをもう少し育成していきたいという、そうした声は非常に高まっていると思うのでございますが、環境庁となさいましても、こういうようなことを学校にもう少し普及するということがたいへんに必要だと思います。  たとえばこの間テームズ川鯨が来た。そういうような場合に、それを捕獲しないで、こんな珍しいものがここへ来たといってみんなでそれを見て、さあここへ来ないで大きい海へお帰りと言ってそれをまた放してしまう。日本の場合には、珍しいものが来たら、とらなきゃ損だというふうにしてみんなとってしまう。それで結局その種のものが絶滅にまで来てしまう。昔は、ここにも写真ができておりますけれども、どこかの海岸には大きなカメが上がってきて卵を産んで、そしてこの卵がかえるとそこに子ガメがうようよして、またこれが海に帰っていくというような、そんなことが写真にも写っているくらいにあるわけです。ところが、こういうものを見たら、とらなきゃ損みたいにしてみんなとってしまって、生かしておくことができないまで何でもとってしまうというような、ちょっと自然保護には反対なようなおかしな風が日本人の中にはあると思うのでございます。  いまは、子供たちがカブト虫をデパートで買うというような、こういう気の毒な状態にまでわれわれは追い詰められておりますので、こんなことから考えましても、どうかこういうような自然の動植物というものをもっと愛して、保護して、そしてこれが自分たちと一緒に栄えていくものであるという、こういうような考え方を教育の面で、特に子供たちの教育の面で普及するために、環境庁としても具体的な例をあげながらそちらに努力していただきたい、こう思いますけれども、そういうようなことはいかがなものでございましょうか。
  33. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 加藤さんの言われるように、従来、日本人というものは自然との間の調和の中に生きてきた。日本文化というものはそういう中から生まれてきていると思うのです。ところが、最近高度経済成長期に入って、開発というもので経済的な利益を求めて、自然というものに対して昔の気持ちが少し失われてきつつあるという傾向があると思いますね。本来はやはりそうではなかったのです。  そういう点で、また最近では本来のものに返りつつある。意識の変化というものも非常に感じられるわけでありますから、こういう機会に、環境庁としてはいま全国的に自然環境調査をやっておるわけです。地図をつくる。日本自然環境というものにはやっぱりこういう重要度というものがありますから、そういうので地図をつくって、自然環境保護自然環境保全というものに対する価値判断の一つの基準というものをつくってやろうということで、一年かけてやっておるわけです。一年というのですから期間も短いけれども、できるだけいろいろな専門家を動員しまして全国的にやっておるわけでございます。  そういうものができました機会に、もう少し教育の中にも、自然環境保全ということで日本人本来のものに返るような教育と言いますか、そういう点、国立公園などは諸外国でも、国立公園の中にいろいろ青少年に対する施設、人間と環境との微妙な自然相互関係、生態学的な関係というものを子供たちに解説をして、単に人間が景色を見るというだけでなしに、人間の生存にとって環境というものが切り離せない深い関係にあるんだということを子供のときから教育しようという施設をつくってあるのを、われわれも見た場合もあります。そういうことで、そういう地図のできる機会に、何か自然環境保全というものをもう一ペん、本来持っておったのですから、そういうものに返る一つの機会にしたいと、こう考えております。
  34. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 いま長官が申されましたような、一年かかって地図をおつくりになりましたら、ぜひそういうものは各学校に配布されて、広くみんなが読み、これは非常に楽しい課程になると思って歓迎されることだと思いますので、それには大いに力を尽くしていただきたいと思います。  これで私の質問を終わります。
  35. 森中守義

    委員長森中守義君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  36. 森中守義

    委員長森中守義君) 速記を起こして。
  37. 内田善利

    ○内田善利君 質問に入る前に、本日の本会議で、三木長官開発環境破壊か、いずれをとるかという場合には環境保全をとると、このように御答弁いただいて非常に心強く思ったのですが、私は、現段階に立ち至って、いろいろ開発と破壊というものを見ておりまして、環境破壊のない開発というものがあるのだろうかと、このように思うのです。まあ少しぐらいは破壊しなければ開発はできないと思いますけれども、広い意味開発環境破壊かということであったろうと思うのですが、この環境の破壊ということを、この自然環境保全法前回における成立のときの審議の場合にも、これは問題になったわけですが、私は、環境破壊か開発かという、どのように調和していくかということが現段階で一番大事なことではないかと思うわけですが、自然環境保全法を審議しようということになりましたら、いろいろな問題が出てきたわけですね。どれを一体取り上げてやったらいいかと、自分でも取捨に困るようにいろいろな問題が出てきたわけですけれども、そのすべてが開発、破壊、この問題が問題になっているわけです。  こういったことについて環境庁長官にお伺いしたいのですけれども開発環境破壊か、私はもう環境破壊のない開発はないのじゃないかと、このように思うんです。この点の御見解をお聞きして質問に入りたいと思います。
  38. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私はそうは思わないので、何にも変えちゃいけないんだ、環境保全というのは、現状をそのまま維持するのが環境保全だとは思わない。それは、道路の問題にしても、道路というものも必要でありますから、道路を一切つくっちゃいかぬ、保守的に現状のままで、現状の変更はいけないんだということが環境保全だとは私は思わない。それは、人間のいろいろ生活の諸条件を整備していかなければならぬわけですから、環境の破壊という場合には、非常に生態学的なバランスを失して、そのことが人間の生命や健康にいろいろな影響を与える、こういうことで、ただ現状を変えてはいけないんだということじゃなくして、環境の破壊という中には、それを考えるときの尺度というものが単なる現状の変更ということじゃなくして、もう少し人間と環境との間の重要な関連、これに目を注いで考えていくよりほかない。  そこで私は、それならおまえの言う基準は何だということになってきますと、なかなかむつかしい問題になってくるので、いま言ったような、全国的に自然環境保全すべき重要度というものを少し専門家がやって、そうしてそれを地図の上にあらわせないか。もうこれだけの自然環境というものは手を加えちゃいけないんだ、守らなきゃならぬのだというものを、生態学的ないろいろな見地からそれを地図の上にあらわしてもらって、われわれの判断の尺度にできないかと、こういうふうに考えて、地図をつくろうということを始めたわけでありますが、内田委員の言われるように、これは実際に、いずれの場合でも現状のままで置くということではないんだとするならば、いろんな価値判断の問題がそこに起こってくるわけですから、その一つの基準というものは、われわれのほうでもいま環境保全審議会にみな専門家が寄って、その基準というものは一体何だろうかということを第一回の諮問に私は出してあるわけで、そして毎月一回、ほとんど全員が出席して熱心に討議をしておるわけですね。  そういう客観的な基準が、そればかりでもいかぬと思いますよ、最後は政治の責任における判断というものになってくるけれども、一応の客観的な基準というものができないかということでいま検討願っておるわけですが、そこで内田委員に対するお答えは、環境の破壊を伴わない開発はないじゃないかというのは、それは、そういうふうに環境はいまの自然の姿をそのまま変更してはいけないんだというふうな、そういう形において環境保全は考えていない。もう少し、やっぱり環境の破壊ということは、人間の生命、健康、あるいは環境と人間とのバランス、こういうものに対して脅威を与えるような、そういう場合に環境の破壊ということばを使っておるんだと申し上げておきたいと思います。
  39. 内田善利

    ○内田善利君 それで、私は本論に入りたいと思うのですが、宮崎県の霧島の道路建設の問題ですけれども、東霧島の中霧島有料道路建設について宮崎大学にこの調査を依頼した、その報告結果が出た、そういった学術的な調査の結果が出たわけですけれども、これが非常に問題になっておるようですが、まず一番最初に建設省にお聞きしたいのは、この道路建設についてどのように掌握しておられるのか、お聞きしたいと思います。
  40. 中村清

    説明員(中村清君) お話の学術調査の件でございますが、宮崎大学の先生方に県の御当局が委嘱をされまして、あらゆる観点から学術調査をされた。その結果がことしの四月に出たように聞いておりますが、私どもは、県のほうがその結果を踏まえまして現在いろいろな計画検討中であるというふうに聞いております。聞くところによりますと、県の議会も、その関係でわざわざ会期を一日延長して、いろいろ審議がなされたというふうに聞いておりますが、いずれにいたしましても、われわれとしましては、県なりあるいは地元のほうでどういうふうな結論を出されるか、おそらく慎重な検討がなされるというふうに考えておりますので、その検討の結果を待ちまして私どものほうとして対処したい、かように考えます。
  41. 内田善利

    ○内田善利君 私がお聞きしたいのは、ここに道路建設することはいいのかどうか、そのメリットですね。経済学的あるいは生態学的、あるいは文化遺産を守るとかそういったことじゃなくて、建設省としてこの道路は適当であると思われるのかどうなのか。また、その計画等についてお聞きしたいと思います。
  42. 中村清

    説明員(中村清君) いまお話がございました中霧島の有料道路、これは鹿児島県の霧島町と宮崎県の高原町、この間を結ぶ最短の道路でございまして、これが結ばれるということになりますと、いま申し上げました両地方が最短距離で連絡をされるということと、それから現在あそこでは御承知のように、道路公団が管理をしております霧島の有料道路、これがございまして、これとも連結をするというふうになっておるというふうに聞いております。そうなりますと、その道路公団の道路との連結を通じまして、いわゆる東霧島地方と申しますか、その地方の観光開発を通じましての地域開発といったことにも大いにメリットがあるのではないかというふうに考えております。
  43. 内田善利

    ○内田善利君 最短距離と言われますが、どのような短縮ができるのか。それと、ここに道路をつくることがいいのかどうかということです。
  44. 中村清

    説明員(中村清君) 具体的な数字はいま持ちあわせておりませんが、いずれにいたしましても、その両町を結ぶ最短の距離になりますことは間違いございませんが、この道路計画の可否につきましては、私どものたてまえといたしましては、これはあくまでも現在の道路特別措置法のたてまえでまいりますと、いわゆる地元のほうの申請をまちまして最終的な判断をするということになると思います。現在地元のほうでまだいろいろ審議中であるというふうに聞いておりまして、私どもとしてはまだその申請の内容を受け取っておりませんので、現段階ではどういう計画であるかということは、詳細につきましては必ずしもはっきりしておりませんので、この計画の可否といった問題につきましては、もと計画がまだはっきりいたしませんから、この段階ではっきり申し上げるわけにまいらないと思います。
  45. 内田善利

    ○内田善利君 もう一回聞きますけれども、こういう県の道路公社が道路建設する場合に、建設省は何らそういう計画にはノータッチですか。申請とか何とか、こういう計画を持っておるとか、そういうプラン等についではノータッチなわけですか。    〔委員長退席、理事杉原一雄君着席〕
  46. 中村清

    説明員(中村清君) これは、御承知のように予算要求の段階、おおむねこれは前年でございますけれども、中霧島の有料道路について申し上げますと、実は昨年の予算要求の際に県のほうにも来ていただきまして、いろいろ話は伺っております。その際に現地の情勢であるとか、大体こういう計画で進みたいという話は聞いておりますので、全く話を聞いていないというわけではございませんが、ただ有料道路として具体的な計画となりますと、いま申し上げましたような手続をとった上でなされることになっておりますので、そういった手続がまだとられていない段階では、私どもが聞いております一般的な程度の認識しかないということでございます。
  47. 内田善利

    ○内田善利君 ここは自然公園法あるいは自然環境保全法からいっても、非常に何といいますか、日本の高千穂の峰のあるところでありますし、当然国立公園でもありますし、そういった国立公園等にこういった道路をつくっていいのかどうか、こういう問題です。
  48. 中村清

    説明員(中村清君) いま御指摘の、国立公園といったような非常に景観がすぐれたところに道路をつくっていいかどうかというお話でございますが、これは非常にむずかしい御質問だと思いますけれども、一般的には、国立公園のような非常に自然の景観を大切にすべきところ、こういうところにつきましては道路を一切つくってはいけないということには私は必ずしもならないだろうと思うのです。ただ、こういう道路をつくります際、自然をこわさないようにこまかい配慮を工法とかあるいはルートの設定についてしなければいけないというふうに考えておりますし、大体こういう国立公園地域につきまして道路をやる場合には、公園事業ということでなされるのが一般的な例であるように聞いております。そうなりますと、現在は自然環境保全審議会ですか、ここで慎重な審議がなされるというふうに考えておりますので、ここでの御審議を経たものにつきましては、私どもは当然環境上の問題もないものであろうかというふうに考えております。   〔理事杉原一雄君退席、委員長着席〕
  49. 内田善利

    ○内田善利君 環境庁にお聞きしますけれども、この国立公園にいま計画がされておる有料道路のコースは、国立公園の中の特別保護地区に入るのか、特別地域の第一種、第二種、第三種なのか、普通地域なのか、この点をはっきりしていただきたいと思います。
  50. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 国立公園の中の特別地域でございます。
  51. 内田善利

    ○内田善利君 特別地域の中の一種、二種、三種、いずれにしても特別地域である以上は問題だと思うのですが、特別地域ということになりますと、第十七条の三項で非常に制限がされているわけですが、この中に道路をつくるということはないようですけれども、「工作物を新築し、改築し、又は増築すること」とか「木竹を伐採すること」とか、いろいろあるわけですが、道路建設はそういった行為の中に入るのかどうか。いかがですか。
  52. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) それは当然入るわけでございます。  それから、ただいま私が特別地域と申しましたが、この道路の考えております路線というのは、大体特別地域が半分、普通地域が半分といったようなことだと承知をいたしておりまして、特別地域の一種、二種、三種の問題でございますが、この地域につきましては、いまだ全体といたしまして一、二、三種の区分けをいたしておりませんので、これは全体といたしまして特別地域というようなお答えを申し上げたわけでございます。  繰り返しますが、当然道路の場合には、特別地域でございますれば許可を必要とするということでございます。
  53. 内田善利

    ○内田善利君 そうしますと、普通地域がこの道路については半分、特別地域が半分入っておる。したがいまして、自然公園法の第十七条に、こういう道路をつくるときには環境庁長官許可を受けなければならない、こういうことですから、環境庁長官許可しなければこの道路は当然つくれない、こういうことになりますね。
  54. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) そのとおりでございます。  なお、ただいま私許可と申し上げましたが、一般的に民間でやる場合は許可でございますが、公的な機関の場合には許可にかわる協議ということでございまして、これは協議をしなければならないということになっておるわけでございます。  それから、これにつきましてはやはり公園事業でございますので、当然その面につきましても、事業決定について自然環境保全審議会の承認を得なければならないということになるわけでございます。
  55. 内田善利

    ○内田善利君 それでは、この道路計画されたならば、まず国立公園内にあっては環境庁長官許可を受けなければ、してはならない、こうなっておりますね。当然、自然環境保全審議会の審議を経てでなければこの道路はつくられない、こういうことになるわけですね。  そこで私はお聞きしたいのは、この霧島のこういったところに道路建設するについて、県当局は宮崎大学にその調査を依頼したわけですね。そうしてその調査結果が、膨大な調査結果が出た。ところが、そういった権威のある十四名の教授の方々が調査した結果が出たにもかかわらず、それが無視されておるとかいうようなことでいま問題になっておるようでありますけれども、私はこの報告書を見まして、また、みずからあそこを何回も通って知っておりますけれども、こういった原生林といいますか、こうしたところにほんとう道路をつくる必要があるだろうか、そういったメリットがあるだろうか、数十分の時間が短縮できるというようなことであのような環境を破壊してもいいのだろうか。鳥類にいたしましても、また植物にしましても、動物にしましても、他に類を見ないところなんです。そういったところを破壊してまでも、つくるメリットがあるのかどうか、こういうふうに考えるわけですけれども、そのほかにもう一つ文化的な遺産、これがやはりこの地域にあるわけですが、こういった遺跡について文化庁はどの程度把握しておられるでしょうか。
  56. 古村澄一

    説明員(古村澄一君) ただいまの御質問でございますが、通常の場合、道路計画されまして、その道路予定地を分布調査を行なって遺跡のある場所を確認し、遺跡があったときにはそれを避けていただくというふうな手続をとるわけでございますが、この事案につきましては、いまだ道路予定が十分固まっていないという段階でございますので、そのところの分布調査そのものはまだ着手いたしておりません。
  57. 内田善利

    ○内田善利君 私が調査したところでは、道路の線もはっきりしておりますし、また宮崎大学の先生方の報告書にしてもはっきりと文化財について書いてあるわけですが、こういった文化遺産を破壊してはならない、そういうふうに報告されているのですけれども、この宮崎大学の報告書はまだごらんになっていないわけですね。——建設省にしても文化庁にしても、環境庁はどうか知りませんが、そういった問題がことしの二月から起こっているわけですから、もう少し掌握をして、適切な措置をしていただきたい、このように思うわけですが、いかがですか。
  58. 古村澄一

    説明員(古村澄一君) 文化庁といたしましては、宮崎大学に県土木部が依頼しました調査報告書はいただいておりませんので、内容は熟知いたしておりません。しかしながら、この調査の中で遺跡の問題にも調査が入っておるようでございますので、私のほうもその結果を取り寄せまして、ひとつ検討を進めたいというふうに考えております。
  59. 中村清

    説明員(中村清君) 宮崎大学に県のほうが委嘱をされました調査書は、私ども非公式ではございますけれども拝見しております。問題は、県御当局がこの調査書をどういうふうに評価をされて、どういう計画をつくられるか、道路計画とそういった学術調査との結果をどういうふうに調整をされるかということであろうかと思います。私どもは、県のほうがどういう方針を出されるかということを見守っておる段階でございます。
  60. 内田善利

    ○内田善利君 二月にこの報告書は出ておりますし、また問題は道路の問題なんですから、ほかの港湾の問題とかじゃなくて、こういう国立公園の中に、しかも特別地域が半分ある、そういう中に道路をつくろうというわけなんですから、ひとつ早めに計画を持っていただきたいと、このように思います。  文化遺産については「計画路線付近には、昭和九年に県指定の古墳として登録を受けた「皇子原古墳」や縄文時代の遺物が最近発見された狭野遺跡などが点在する。いずれも歴史的記念碑あるいは埋蔵文化財として貴重なものである。また、登山道そのものが古代から使用されており、戦国時代には戦場への道として使用されたと思われる文献もある。そのほか高千穂峰北面登山口手前にある植栽杉の巨木や新燃岳分岐点付近の「坊主小屋」など山岳信仰の遺跡もあり、歴史的な価値は高い。」——私はいま新聞記事を読んでおりますけれども、報告書によりますと非常に詳しく報告がなされております。  こういった文化遺産を、一番冒頭に申し上げましたいわゆる破壊をしてもいいのかどうか。この点ひとつ文化庁としても早急に調査をしていただいて、もし道路ができるとすれば、残すべきは残していただきたい、そのように思うのですが、この点いかがでしょうか。
  61. 古村澄一

    説明員(古村澄一君) 道路路線予定地内に遺跡があります場合には、その遺跡の価値から見まして、残すべきものは十分配慮いたして、道路側と折衝を詰めたいというふうに考えております。
  62. 内田善利

    ○内田善利君 それともう一つは、ここは火山ですから、報告書によりますと「同地域に観測網を持つ東大地震研究所霧島火山観測所が道路建設予定のコース沿いに設置している地震計が、車の振動で計測不可能となり、霧島地震帯での災害対策が不完全になる」と、このように言っているわけですが、やはりこういった地震帯にあるということも考慮に入れていかなければならない、このように思うのです。  その他報告がなされておりますが、この普通地域についても、今度の法律によりますと、これは提案理由の説明ですが「この改正は、三十日間の着手制限期間に、届け出のあった行為を十分審査し、自然環境悪影響を及ぼすおそれがあると認められる場合には、行為着手前にその禁止制限等の措置をとることができるように改めるものでありまして、実質的に特別地域における許可制に準ずる規制をはかることをねらいとしたものであります。」という趣旨説明もお聞きしたわけですが、半分は普通地域になるわけですけれども、この普通地域になった場合、この法律が成立した場合に、ちょっとここをお聞きしたいのですけれども「三十日間の着手制限期間に、届け出のあった行為を十分審査し」——これはどこが審査するわけですか。
  63. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) これは届け出の相手方は都道府県知事でございますが、その措置をとりますのは環境庁長官あるいは都道府県知事、いずれもその措置ができるようになっておるわけでございまして、私どもはそういったような問題につきましては、そういう届け出があれば、直ちに環境庁のほうにそのことにつきましても報告を受けまして、環境庁のほう、それから都道府県知事、その双方におきましてその問題を十分審査をしょう、こういうふうに考えておるわけでございます。
  64. 内田善利

    ○内田善利君 「十分審査し、自然環境悪影響を及ぼすおそれがあると認められる場合には」——これは県知事が認めた場合ですね。
  65. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 環境庁長官あるいは都道府県知事が認めた場合ということになるわけでございます。
  66. 内田善利

    ○内田善利君 普通地域の場合でもそうなんですね。そうしますと、この場合は、県の道路公社が申請をしたいということですね。そして、県知事がそれを受理して認めるということになりますね。県の道路公社が申請して、県知事が認めて、それを遂行しようと、こういうわけですけれどもね、やはり私はこれは環境庁長官にすべきじゃないかと、こう思うのです。県の道路公社が申請して県知事がそれを認めるということになっていますから、こういう宮崎大学のような、三十日間どころじゃない、長い期間かかって十分調査し、そして報告が出た。それでもこれを無視してといいますか、これを何とかしてやるのだということになりますと、県の道路公社が申請して知事がそれを認める、こういうことだから、知事が、こういう報告書が出たにもかかわらず、道路をつくろうという方向に県議会では相当強い姿勢のようですけれども、これは環境庁長官に限るべきじゃないかと思うのですが、この点はいかがですか。
  67. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 土地形状変更につきましては、これは届け出を受けますのは、都道府県知事でございますが、そこの措置命令でございますとかあるいは禁止命令等につきましては、これは環境庁長官がその権限を持っておるわけでございまして、都道府県知事の権限につきましては、政令で委任した場合に初めてそれが都道府県知事の権限になるということでございまして、私ども方針とし接して、土地形状変更につきましては、政令段階の話になりますが、都道府県知事にはそれを委任しないという考え方でございますので、環境庁長官が本件の問題につきましてはこれをみずから審査をするという考え方でございます。  なお、本件に限りますれば、当然これは公園の中のいわゆる公園事業としての道路ということになりまして、かつそれは特別地域の中も通るわけでございまして、本件につきましては当然環境庁長官がそれを判断をするということになりますし、当然その際には、先ほども申し上げましたが、自然環境保全審議会の議も経るということになるわけでございますので、その点は心配ないというふうに思っておるわけでございます。
  68. 内田善利

    ○内田善利君 それではここのところは、「この改正は、三十日間の着手制限期間に、届け出のあった行為を十分審査し、自然環境悪影響を及ぼすおそれがあると認められる場合には、行為着手前にその禁止制限等の措置をとる」というのは、長官ですね。
  69. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) ただいま申し上げましたとおり、道路問題、これにつきましては環境庁長官でございます。
  70. 内田善利

    ○内田善利君 わかりました。  その次は、ここは、報告書にもありますが、非常に稀少鳥類がたくさんおるわけですね。日本に類のない鳥類がたくさんおるわけですが、この保護増殖については文化庁はどのようにお考えでしょうか。
  71. 古村澄一

    説明員(古村澄一君) 文化庁といたしまして、天然記念物として鳥類指定をしておりますのは、学術上価値の高い動物という観点から指定をしておるわけでございますが、この地域の中には、そうした指定をして、鳥の生息地保護をするというふうな指定を行なった地域はございません。
  72. 内田善利

    ○内田善利君 これは環境庁にお聞きしていいのか、ちょっと問題と思いますが、いま各地に非常に地震の多発が憂慮されておるわけです。特に霧島の場合もその心配があるわけですけれども、この地震観測の実態ですね、特にこういった国立公園は、あるいは国定公園もそうですけれども、火山が多いわけですが、こういった国立公園内の、あるいは国定公園内の地震観測はどのようになされておるわけでしょうか。
  73. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) これは私どもの直接の所管としていたしておるわけではございませんで、気象庁のほうでそういう観測所等を設けましてその観測を行なっておるわけでございます。
  74. 七田基弘

    説明員(七田基弘君) 火山噴火予知につきましては、いまお話がございましたように、霧島火山観測所というものを東大の地震研の付属の観測所ということで置いております。この火山観測所は昭和三十九年に置かれまして、現在三名の定員をもって観測をしておるわけでございます。
  75. 内田善利

    ○内田善利君 ここの地震観測についても報告がなされておるわけですが、これは御存じですか。
  76. 七田基弘

    説明員(七田基弘君) 実は私どもも、まだ報告書を拝見させていただいておりません。宮崎大学のほうに問い合わせましたところ、これは実は県のほうで、宮崎大学の先生方を中心にいたしまして、学識経験者ということで調査団をおつくりになったということでございまして、宮崎大学を通じまして現在その報告書を手に入れるように努力をしておるところでございます。
  77. 内田善利

    ○内田善利君 この東大地震研究所の霧島火山観測所の神沼博士は、このように言っておられるわけです。付近の地下活動に異常が現在認められる。有料道路建設が観測を妨げることになるし、人や物に大きな被害を出すおそれがあると、このように警告されておるわけですが、こういった地震観測所の観測が妨げられるということは、自動車の振動とかそういったことで妨げられるわけですか。観測所をどこかに移して道路建設を進めるというようなことば、できるのかどうかですね。この辺よくわからないのですが。
  78. 七田基弘

    説明員(七田基弘君) 現在、霧島地震観測所におきましては定員三名をもってやっておりますが、実際上は方々にそれぞれ観測地点を持って、移動をしながらやっておるというのが実情でございます。そこで道路ができました場合、これがこの観測点からどの程度の範囲内にできるかということが一つの問題になるわけでございますが、かなり近い場合には、これは地震の観測が不可能になるという状態も、場合によってはあるわけでございます。特に、最近の地震観測の関係の地震計その他の機械は、非常に精密な観測を要しておるということでございまして、一番大きな問題といたしましては、たとえば自動車の振動によりまして、かなり遠方であっても、場合によりますとそれがノイズとして入るというようなこともあるように聞いております。したがいまして、そのおそれもあるわけでございますが、その際に霧島火山観測所を移すという問題につきましては、まだ地震研究所のほうでも、正式にその道路計画がきまった時点において検討しようということで、現在のところ、どの程度の影響があるであろうかということをまだはっきりと確定していないという状況でございます。
  79. 内田善利

    ○内田善利君 以上のような状況でございますが、県では、県知事が委嘱したことの報告書に基づいていろいろ論議がなされておるようですけれども、向こうの論議には、国立公園内の特別地域あるいは普通地域についての論議は全然なされていないようでございます。きょうお聞きして、この特別地域内の道路建設または普通地域内の道路建設について、その許可あるいは協議等はっきりしたわけですが、最後に、環境庁長官はこの道路建設の問題についてどのようにお考えか、お聞きしたいと思います。
  80. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 山岳地帯に一切道路をつくってはいけないということは、現実的ではないと私は思っております。しかし、この国立公園特別地域というようなところは、いろいろ自然の保護というものの見地から見て重要な地点である、植生上とかあるいはまた鳥獣類の生息環境であるとか、いろいろな点で重要な、重要であるからこそ特別地域にしたわけでありますから、そういうところの道路建設というものは、その道路建設による影響というものを慎重に検討しなければならない。宮崎の場合でも、そういうことが県のほうから申請があれば、これは慎重な態度で、これがどういう影響を自然環境に与えるかということを慎重に検討をしなければ、これに対する許可は与えられないということでございます。
  81. 森中守義

    委員長森中守義君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  82. 森中守義

    委員長森中守義君) 速記を起こして。
  83. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 この法案について私はしぼって御質問申し上げたいと思うのですが、陸域の場合の、いままでは一キロ以内でしたか、したがって、今度は接続海面以外も規制をしょう、こういうふうになっておりますが、これは無制限規制なのか、その点はどうなのか。この点をお聞きしたい。
  84. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 今回の改正は、海面以外の水面を埋め立てまたは干拓をするという点を改正をいたしたわけでございまして、海につきましては従来と変わりがないわけでございます。   〔委員長退席、理事杉原一雄君着席〕
  85. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 したがって、それには制限なしの規制ですかとお聞きしております。制限はないのですかと。
  86. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) それは従前どおりの制限でございます。
  87. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 もう一つお聞きたいのですが、この自然環境保全法に基づいて、前の国会ですか、管理体制を確立しなければだめじゃないかという附帯決議もなされたと思いますが、その後どういう体制を確立しておられるのか、この点ひとつ。
  88. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 従来国立公園管理事務所は全国に八ヵ所でございましたが、昭和四十八年、本年度からさらに二カ所を増設をいたしまして十カ所とし、またその職員数は、単独に駐在する者も含めましていままで六十二名でございましたが、本年度においてさらに九名を増員をいたしまして七十一名といたしました。しかし、この程度の増員ではなお十分な体制ということはとうていできませんので、今後とも現地管理体制の拡充、職員の増員等というものを年次計画を立てまして、これをさらに増強をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。  なお、国定公園の管理体制の問題でございますが、これは現在、非常に遺憾でございますが、各都道府県でまだばらばらでございますので、そういったような点につきまして、今後統一ある管理体制をとりますように強力に指導をしてまいりたいというふうに考えております。
  89. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 国定公園の場合は、財政的な問題は何もできてないのだろうと思いますが、この点は私もそう考えておるのですが、したがってこの問題は、地方自治体で国定公園と決定はしたけれども、地方の行政上財政上もあって、まさにやる意思のある人は非常に熱心にやっておられる、そこまで手の伸びない地域の地方自治体は案外ルーズになっておるのではないかという感がするわけですよ。なおまた、しかし、統一的な管理内容にしようと考えますと、地方の実情がそれぞれ相違があります。したがってこれもむずかしいことだろうと私は思うのです。  けれども、中央で一応の基準と申しますか、どの地域の国定にもあてはまるような基準は、一応中央できめる必要があるのじゃないか。それだけは、やっぱりこれだけ問題になっております国立も国定も、同様の立場における関心を深くして、そうしてやるべきだと私は思うのです。この法案では、熱心にやる自治体は非常に熱心にやれる。やらぬところには何の注意を与えることもない、基準もないというわけですね。これでは環境保全にならぬですよ。この点どうお考えになりますか。これは大臣の意見もお聞きしたいのですがね。
  90. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 国定公園の管理体制というものが、総体として弱体であるということで御指摘でございますが、こういうような点につきましては、私ども御指摘の点については、確かにそのような面が指摘をされるというふうに考えておるわけでございまして、国定公園の管理は、これは都道府県知事が管理を行なっておるのでございますから、やはりこの国定公園につきましての管理体制というものを確立する必要があるということを私ども痛感をしておるわけでありまして、将来はどの程度の管理体制をつくるべきだというようなことにつきまして、中央の考え方というものも明確にしてまいりたいというふうに考えております。   〔理事杉原一雄君退席、委員長着席〕 ただ、国定公園と申しましてもいろいろまた面積も違いますし、あるいは国定公園のそれぞれの事情も違いますので、必ずしも一律にというわけにはまいらないかと考えますけれども、そういうような点については、私ども指導基準といったようなものを今後考えてまいりたいと思っております。
  91. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 長官、お聞きのとおりですよ。したがって、国定と定めるのは定めましたけれども、定めれば定めるほど荒らされるのです、レジャーの今日に至ってはね。そして中央では何の基準もない。地方の財政は何の確立もできない。非常に熱心な、観光都市として地域のプラスアルファを求めようとする場合は非常に力を入れています。けれども、そうでない場合は全く置き去りじゃないかというような気がわれわれはしておるわけです。  したがって、私はこの場合、国定公園といえども何がしかの財政的なものをきめて、そうして義務づけることは基準をつくって義務づけていく。たとえば公園の入り口にどういう注意書きをするとかいうものは、国定は国定としての全国一定したものにする。あるいは国立の場合には国立の場合の、これは国がやっていることですから、やっておられるようですが、国定といえどもそれくらいの助成をして、感じのいい国定公園としての価値を一般国民に認識するように、かつまた、国定とも決定するならば、それを大事に、地域住民も、レジャーとして見物に行く人も、地域にちり、ごみ等のはんらんをしないように教育をしていくとか、こういうふうな方針法律的にもきめるべきじゃないか、私はこう思うのですが、長官どうですか。財政的なものも考えてやる意思はございませんか、どうですか。
  92. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 高山委員の御質問に関連して私も考えるのは、みな週五日制ということに熱心ですが、しかしその余暇というものは、これはたまに祝祭日が重なるのとわけが違うでしょう、ずっと長期にわたって五日制になって、その余暇というものを毎日毎日家庭でテレビを見ておるというわけにも——それは家庭の主婦は、かえって二日も家庭でじっとおられても困る。そういうことでやっぱり国立公園とか国定公園の一つの、将来余暇もふえてくる時代における価値というものは見直されなければならぬ。スペースを求めますよ。一ぺんぐらいは観光施設へ行くかもしれぬが、毎回というわけにはいかないですよ、相当なスペースも要る。そこには自然との交流もなければならぬ。  そういう点で、高山委員も御指摘のように、自分土地でないのですから、地域主義、こういうことで網をかけておるだけですから、あまりきびしい管理体制ということは国定公園には適当でないでしょうが、全国的な管理基準というものはこれはつくりますよ。これは必要だと思う。それに、施設などに対しては補助金を出しておるようですけれども、もう少し財政的な面でも、基準をきめる以上は何らかの助成というものが必要でしょうね。そういう点で御指摘のような国定公園における管理、全国的な、ゆるやかなものであっても管理の基準というものはつくることにいたします。
  93. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 それから観光の必要とする自動車道路の、国定公園なりあるいはまた国立公園も含めてもいいですが、今日どのくらいの道路開発の申請がなされておるのか。全然ないのか。あれば御報告を願いたい。
  94. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 道路建設のものにつきまして、現在国立公園地域内における件数でございますが、これは改良とかあるいは既存の道路の舗装だとか、そういったようなものも含めまして、それから新設のものについてもございますけれども、全体としまして私どもも手元にございますのが十数件でございます。新設ということになりますと、これは国立公園でございますけれども、五件程度でございます。
  95. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 長官、きょう公明党の方も長官答弁に感心をしておられたのだが、私も感心しておるのですが、いまここでの長官答弁を聞きますると、現状維持が即環境保全ではないんだ、やはりある程度の改良は加えざるを得ないだろうという見解をお持ちのようですから、これは当然だと私も賛成いたします。  ただ、考え方の基礎だと思うのです。改良はしなくちゃいかぬが、一つの仮定を申し上げますと、つまり普通なら人道として一巡できるような山岳地帯を、徒歩で回ることのできるような地域でも、自動車を入れるという改良傾向が出ているわけですね。したがって、これは鳥取の大山の例を一つ申し上げますが、ある一定の場所までは自動車で行って、それからは人道でいいじゃないか、環境を破壊する必要はないじゃないかという私は考え方を持ちます。したがって、そこらの基準の取り方は非常にむずかしい問題だとは思います。けれども、これほど自動車で公害が起こっている現状から考えてみて、すべてのレジャーが自動車で一巡をするという考え方自体を改める時代ではないかと、私はこう思います。  これは日本の交通全体の問題を考えてみまして、道路道路で開設をしている、国鉄は道路が開設されれば赤字になることは当然です、限られた人間が使用するのですからね。これが並行的に国の施策としてなされていないところに、大きな問題のひずみとしていま出ておるわけです。一つの例を申し上げますならば、非常にある地域において観光的にもいい地域だとこう考えるならば、その駅にひとつ自動車のターミナルをつくるとか、それから先は徒歩で行ってもらうとか、こういう計画的なものが日本にないところが私は大きな問題だと思うのです。一貫性がない。この一つの基準的なもの、考え方の基礎を確立するためには、何としてもやはり環境庁としてこれは立案し強く主張して、各所にその要請をする必要があるのじゃないかと、私はこう思うのですが、大臣、ひとつ考え方をお聞きしたいと思います。
  96. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私も、道路というものをつくって、その間、自然の環境の大きな変革が行なわれるわけですから、私は長官に就任してから一つも認めていないですよ。それは、一刻を争うことでもないではないか、一ぺん現状に変革を加えますと、もとに返らないでしょう。だから、これから雪も解けてきたしするから、いろんな専門家に問題になっておる個所を見てもらおう、植物学者もおってもいいでしょうし、経済学者もおってもいいでしょうし、そういうところから問題の地点の現地を見て、そういう意見も徴したい。  なぜ問題がむずかしくなるかというと、過疎地帯の道路というものが、自然の環境にあまねくたくさんの人が景観に接するような機会を与えたいという気持ちもあるでしょう。しかし、一面においては、過疎地帯のやはり解消という問題もあるんですね、道路をつくって。そういう経済的な面における地域開発の問題が入ってくるわけですから、それで非常にこの問題というものが地域の問題としては大きな問題になる。国会の中でも、野党の諸君はみな反対が多いんですね。これも、私から言えばイデオロギーの問題でないですからね、これは。  そういうことで、これに対しては何らかの客観的な基準のようなものがあって、最後はやはり政治的な判断しなきゃならん。いきなりこう政治的判断というのじゃなしに、いま言ったような専門家というものがあらゆる角度から検討して、その意見を徴してするような、何か尺度みたいなものが要ると思うんですね。そのむずかしさは、何も尺度なしにいきなり環境庁長官の政治的判断に求めてくるわけですからね。その問題が、自然の保護という問題ばかりでなしに、過疎地帯の問題、過疎地帯における地域開発という問題を含んできますから、そういう点で地方の自治体とすれば、総じて熱心ですよ道路については。そういうことで、なかなかこの問題は複雑な一つの、自然環境保全の問題というよりかは、政治的な問題になってきておるわけですから、そういうふうな何らかの基準というものがあって、それをやはり大きな判断をする場合の一つの基礎にしたい。そういうことも、先ほど申しました自然環境保全審議会、ここにもその問題も諮問をして、重要な議題になっておるわけでございます。御指摘になるような何らかの基準が要ることということは、私もその必要を感じておるものでございます。
  97. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 そこで、これももうダブっての質問になりますから、あまり申し上げたくないと思ったのですけれども、同じ法律を出されるのに、これだけやかましい時代になってきておるわけです、道の開発をするのにも反対する、あるいはまた国鉄の新幹線を通すにしても反対するという公害の問題が出ておるわけです。こういうふうに考えてみますと、やはり地域住民の意見尊重しないで開発ということは無理だ。これはだれが考えても、今日の時代では私は認識しておると思うのですよ。  なるほど、ここに国定公園の、あるいは普通地域においても開発をしようという行為をする場合には、届け出をした日から原則的に三十日を経過しなければ着手してはならないと、こうあるんですね。私はこの問題についても、もし環境庁長官が最後の決定をされるということであるならば、地域住民の賛成か反対かの、地域住民は賛成しておるかどうかという一つの証明といいますか、そういうものをやはりつけて申請をお願いする、こういうことにならなければいかんのじゃないかと思うのですよ。かりに環境庁長官がこれはよかろうということで許可をされた、現地の住民は反対だというと、このくらい矛盾した話はないですね。  こういう点が大臣、違うんですよ、与党の皆さんとわれわれは。実際問題として。地域住民はあくまでも重視せなけりゃいかん。かってに政府がやっておって、あとで文句だけを聞くといういき方の行政のやり方は、この時代ではもうおそい。この点を私は、ぜひ入れるべきだと思うのですが、この点どうお考えになりますか。あるいは施行令でお考えになるのか、お聞きしたいと思います。  これで私の質問を終わります。
  98. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 高山さんね、その点が、いつも県会とか市町村会というものは、やはり賛成を取りつけて申請するわけです。その民主主義の一つの政治の形としては、手続を整えてくるのですよ。あなたの御指摘のように、地元が反対だというようなものは、申請はしてこないですよ。やはり多数の反対はありますよ、しかし、県会とか市町村会ではみんな賛成であるということで初めて申請をしてくるわけです。そこで、自然の環境を守ろうというグループがおるでしょう、この人たちが直接来るわけですよ、環境庁に。いま内田委員の御指摘になった宮崎の問題も、私きのう陳情を受けたわけですよ。この一応の民主主義の形態として、議会は承認をしてくるんですね、議会で通らぬものは来ないのですよ。  そこで私は、こういう道路問題というのは、地方の一つの大きな政治問題にどこでもなっておるですから、そういうものをきめるときに、県会ばかりでなしに、地域住民の何か公聴会のような形で、そういう地域住民の少数者の、少数といえるでしょうね、やはり議会はもう賛成するわけですから、多数はね。そういうものも徴して、これは自然の環境を守ろうというその目的には、必ずしもだれも異存はないと思うわけでしょう、しかし過疎地帯の開発という、そういう価値判断の比較ですね、そういうところに問題があるわけですから、地域人たちの意向も、申請をする場合に何か地方自治体でそれをこなしてくるというか、その意見を徴するというような仕組みを考えるべきではないかと思うのです。  われわれのところにくるときには、議会が賛成しないものはきませんよ。そこになお、やはり環境庁長官としての政治的判断のむずかしさがあるわけです。いっでも自然環境を守る会のグループの陳情ですよ、反対陳情。議会は賛成をして、多数決の場合もありますよ、少数の反対はあっても、議会の承認を得て申請をしてくる。そういうときに、地方住民の意思というものの判断というものに、非常にやはり御指摘のように、そう簡単なものではないという問題があるわけでございます。それを、しかしできるだけ多数の人々の同意を得るということが、民主政治のもとにおける大原則ですから、何か地方自治体でこなすような仕組みを考えていいのではないか。いろんなグループが次々に東京まで来て陳情するというのもたいへんなことですから。そういう面もあるということをお考えおき願いたいのです。
  99. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 もう一つ。大臣のおっしゃることは私も理解できます。そういう過程もございます。しかし法律ですから、法律というのは、国民が知らなくちゃいかぬ法律なんです。地域住民の国民が反対の意見が出せる道が開けてなければいかぬ。ただ地方議会を通過したら即、地域住民だという仮定をすることがおかしいのであって、地域住民が反対だという意見を唱えることができる道を開くことが法律だと私は思うんですよ。したがって、これは載せるべきだということを主張したいんですよ。それはいままでの過程が、大臣のおっしゃるような過程で申請されたものも多数あるのは私も知っておりますけれども、少なくとも一つの部落とかいうような地域からの反対を押し切って、地方議会できめたということも例がたくさんございます。特に、道路の線引きなんかはそうですね。たくさんあります。したがって私は、この問題はやっぱり地域住民の声が反映できるという道を法律に開くべきであると、このことを申し上げたい。
  100. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 先生の御指摘は、法律上そういったような住民の意見はどうかということについての書類といいますか、そういうものをつける、そういうことを義務づけたらどうかということでございますけれども、一般的に届け出の事項につきまして、これはいろいろのケースがあるわけでございまして、すべての件につきまして住民の意向を確かめるというような、すべてのものについてそういうようなことは、これはなかなか実際の問題として困難だと考えております。  重要な問題につきましては、これは当然私ども、いままで許可等の事件にあたりましても、そういったような大きなたとえば道路の問題でございますとか、そういう問題につきましては、実際上そういった地域の住民の意向といいますか、これは先ほど長官が申されましたように、もちろん住民を代表する都道府県なり、あるいは市町村なり、都道府県の知事なり議会なり、そういったところの意見というものももちろんこれは出てまいりますが、そのほかに、実際の問題といたしまして、そういったような大きな反対あるいは賛成、いずれのケースもございますが、その問題についての意見というものは、これは実際の問題として聴取をいたしまして、これはやはり地域開発の問題というのは地域住民のことでございますから、その点については十分実際上の配慮もいたしますし、そういうことで私どもも慎重に対処をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  101. 森中守義

    委員長森中守義君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  102. 森中守義

    委員長森中守義君) 速記を起こして。
  103. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それでは、常識的な時間に終わるということなんで、もう時間があまりありませんけれども、若干の時間をちょうだいいたしましてお伺いをしたいと思います。  自然公園法及び自然環境保全法の一部を改正する法律案でございまして、現状より規制を強化するという立場でございますから、基本的に歓迎をするべき内容を持っておるわけですけれども、最初に、行政管理庁の勧告によりますと、この破壊行為別の分類表というのを見ますと「道路建設・改良事業によるもの」というのが二十九件で、「林道の建設・改良事業によるもの」というのが十三件、道路関係が合わせて四十二件で一番多くて、その次が「建造物・工作物等施設設置によるもの」、その次が土石の採取によるものというふうなことになっておるわけです。いろいろな角度ですでに質疑がなされておりますので、道路に関連するものとして林道関係についてお伺いをしたい。  最初にお伺いをしておきたいと思いますのは、近年各地でいわゆるスーパー林道というものがつくられておりまして、非常に安い工費で林道が、比較的道路幅の広いものがつくられて、この問題が自然破壊を引き起こしておるという事例がいろいろ報道されております。奥志賀、知床、南アルプスなど各地で問題になっておりますが、これらのいわゆるスーパー林道についての基本的な見解はどうかという点について、まず最初に環境庁の御意見をお伺いしておきたいと思います。
  104. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) スーパー林道でございますが、これは林業のみに限らず、地域交通といいますか、特に過疎地帯等の開発といったような目的、そういう多目的のものをもちまして、これを林野庁のほうで進められておられる道でございます。御指摘のように、このような道の中には、従来国立公園でございますとかあるいは国定公園でございますとか、そういったような地域を通過をいたしますスーパー林道というものがありまして、その点において、かなり従前の例から申しますと、工事が悪かった、あるいはまた路線が、自然環境保全ということからいいますと不適当であったといったような例があるわけでございます。  私どもは、そういうような点につきまして、やはり自然環境保全というような観点から、このようなスーパー林道の点につきましては、十分慎重に、たとえば協議がございました際には、十分これを審査をいたしまして、不必要な——不必要といいますか、適当でないというようなものにつきましてはこれを中止をしていただいた例もございますし、また、これにつきまして路線等の注文もつけ、あるいは工法上の問題につきましてもいろいろ条件をつけ、あるいはその後の植栽等管理の面につきましても、これも十分条件をつける等、十分これは林野庁のほうと相談をいたしておるわけでございまして、最近においては、特にその点を強くやっておるわけでございまして、今後もそういう態度で臨んでいきたいというふうに考えておるわけでございます。
  105. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それでは林野庁にお聞きをしたいのですけれども、南アルプスのスーパー林道ですね、これはこの目的、何の目的を中心にしてつくられた林道であるか、これを最初にお伺いをしておきたい。
  106. 松形祐堯

    説明員松形祐堯君) お答え申し上げます。  南アルプス・スーパー林道でございますが、この林道は山梨県下の甲府野呂川流域と長野県の伊那谷地方、これを最短距離で結んで、あわせて林産物搬出、あるいは先ほど環境庁からお話ございましたように一般交通道路的な性格、さらにはその地域のレクリエーション、観光とか、多目的な総合開発というような意味を持ちましてつくったわけでございますが、やはりスーパー林道でございますので、主たる目的というものは林産物を中心といたしているわけでございます。
  107. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 いまもお話がありましたように、いわゆるスーパー林道だから林業が目的の中心である、同時に、一般交通の目的と観光的な目的というふうな多目的の道路であるというふうにおっしゃっておられますけれども、こういった観光目的を持ったという、この多目的の中身ですね、観光目的を持ったというふうなことが明らかにされる林道について、環境庁の御見解はどうなん、だろうか、それからそれに関連しまして——先にそれをお伺いしましょう。
  108. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 国立公園の中には、いわゆる公園道路といいますか、そういうものがあるわけでございまして、公園利用ということ、これを目的といたします道路というものは公園計画にのせまして、公園事業として把握をいたすということでございます。従来のスーパー林道につきましては、これはそういったような性格のものということではむしろございませんで、これについては私ども、先ほど言われましたような地域的な産業の問題、あるいは住民の交通でありますとか、もちろんその結果としまして、その道が観光に使われるといったような事業上の問題というのはあると思いますが、その目的といたしましてはそういうようなことだということで、私どもとしては公園事業ということではなくして、これは一般の道路そのほかの道路を扱うと同じように、通常であれば公園事業の場合は認可をいたすわけでありますけれども、そうではなくして、一般でいえば許可、これが林野庁あるいは森林開発公団でやられる場合には協議という形で、許可にかわる協議という形でこれを処理をいたしておるわけでございます。
  109. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それで、いわゆるスーパー林道ですから公園計画に入っていないというふうなことはもちろん明らかなんですけれども、これについての自然破壊の実情についてどういうふうにお考えになっておるかということと関連しまして、ことし三月に出されました行政管理庁の勧告によっても、この林道は自然破壊の危険があるということで指摘をされている一つになっておるわけですね。これは御承知ですね。その勧告のあと、どういう対策をおとりになっておるか、それについてちょっとお伺いをしておきたい。
  110. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 南アルプスの国立公園地帯にかかるスーパー林道は、総延長五十九キロメートルの林道でございますが、その中で、北沢峠付近が国立公園の第一種特別地域指定をされておる重要な地域でございます。したがいまして、そこにつきましては実施設計書の提出を待ちまして、今後慎重に検討をするという態度で臨んでおるわけでございます。まだこの実施計書というものがこちらのほうに参っておりません。私どもその実施設計書を見まして、これについては今後そういう破壊というものが生じないというような方法を万全に講じまして、それについて考えていくという態度でございます。  それからなお、長野県下の戸台における崩壊についての対策でございますが、これは目下長野営林局で検討をされておると聞いておりますので、この結果を見まして、環境庁といたしましても自然破壊や災害発生が再度起きませんように、十分林野庁と協議と進めてまいりたいと考えておるわけでございます。
  111. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 ちょっと角度は変わりますけれども、南アルプスの国立公園というのは、そのすぐれた景観の特徴というのは何でしょう。
  112. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 私からお答え申し上げますよりは、専門家であります計画課長のほうからお答えを申し上げます。
  113. 宇野佐

    説明員(宇野佐君) 南アルプスの国立公園は、わが国の構造山地といたしまして非常に典型的なものということと、もう一つは、中にわが国で日本第二番目の高山がある。それを中心にいたしまして、三千メートル以上の高山が連なっておりまして、北アルプスと並びましての代表的な高山地帯でございます。そのほか森林でございますとか、そこにすみます野生動物、そういうものは非常に日本の代表的な景観地帯として保護する価値がある、そういうことでございます。
  114. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そういうすぐれた景観を持つ国立公園で、こういう国立公園にかかわる基本計画である公園計画に、いまもお話のように国立公圏内にいわゆるスーパー林道がつくられるという場合には、公園計画に組み入れられないということですね。公園計画にないわけですね、協議をしてつくらせるというふうにおっしゃっておられましたけれども。ですからその協議が整えば、この道路というのは林野庁が林野庁のイニシアチブでつくっていくわけですね。  そうなりますと、そういう林野庁の責任で工事が進められていく、もちろん実際には公団がやるといたしましてもね。そういう過程で自然破壊がなされる、起こるというふうな場合には、どこが責任を持つのか。あるいは林野庁が協議が整ったからということで仕事がどんどん進められていくという過程で自然破壊が起こる、起こされるという場合に、環境庁はそれで責任を持てるのかどうか。その関係ですね、それはどうですか。
  115. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) これは当然、私ども自然公園法を所管いたしております環境庁におきまして、そういったような工事が自然破壊を起こさないように行なわれておるかどうかについての監督といいますか、指導といいますか、監督指導の権限を持っておるわけでございますので、その点につきましては、環境庁の責任においてそのような問題を抑止していくというか、そういうことになるわけでございます。もちろん国の機関でございますから、林野庁におかれましても当然こういったような点については万全の配慮をなされるところでありますし、あるいは実際の工事についての森林開発公団に対する指導というのは、林野庁のほうにおかれましても当然行なわれるわけでございますが、基本的にそういった監視とかそういう問題につきましては、これは環境庁のほうにおいてそれをやるわけでございます。
  116. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 ちょっとわからないのですがね。たとえば南アルプスのスーパー林道というのは、当初は住民の要求もあって着工したというふうな経過があるわけですね、十年ぐらい前から。そういうものがつくられる経過の中で、自然破壊が行なわれて、先ほど御説明をいただいた日本で一番高い高山を含めての原始的な景観ですか、そういうものが非常にすぐれた景観として指定されている地域で、自然破壊が進行して、いわゆる原始的な景観が破壊をされてきている。あるいは先ほど御説明のあった戸台のくずれ、土砂くずれですか、崩落というのですか、そういった問題、あるいは野鳥がいなくなっているということですね。百数十種おったのがほとんどいなくなっているというふうに研究家の話では言われておりますけれども、そういうふうに自然破壊が結果として起こっていると思いますけれども、結果として起こった場合には、その責任は環境庁が負うわけですか。  復元させるといっても簡単にできないでしょう。原生林あるいは原始的景観というものが破壊されたら、簡単には復元できないと思うのですね。そういう見通しが、立たなかったといえば立たなかった。しかし結果としては、現状では自然破壊がこういうふうに具体的に起こってきている。それが、仕事は林野庁のイニシアチブで行なわれた仕事で結果として起こっているという場合に、これは責任はやはり環境庁が負うわけですか。
  117. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 責任と申ますか、私が先ほど申し上げました、責任を持って環境庁がやりますということの意味でございますが、これは権限といたしまして、私どものほうとしましてそういったような監視の権限を持っているわけでございますから、その権限を責任を持って行使をする、それでそういったような破壊を起こらせないように努力をするということでございまして、もし破壊があれば、これについて原状回復あるいはさらに必要な措置命令というようなものをやるわけでございまして、そういうものも環境庁はやるわけでございますが、もちろんその場合に、それは命令を受けた者の負担という形でこれを行なうわけでございまして、そういった意味での責任というのは、工事施工者の責任ということになるわけでございます。
  118. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そういうことで、施工者のほうが林野庁で、結果として環境破壊が起こされて、環境庁が責任を持ってということになるわけですが、そういうことであれば、破壊された自然というのは簡単に復元できないというのは、これはもう明らかであります。そういう段階にきていて、そういう問題が起こってくるとしますと、たとえばこれは先ほど高速道路の問題も出ましたけれども、いわゆるスーパー林道といえども、これは協議あるいは許可というふうな場合に、根本的に再検討するべきではないのだろうかという気がするわけです。その辺はどうでしょう。
  119. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 私ども、今後新たにそういったようなスーパー林道を新設をするといったようなときにあたりましては、事前に、そういったような破壊が起こるかどうか、そういう問題につきましていわゆる環境アセスメントといいますか、そういうことをやりまして、十分に事前の調査をやりまして、これに対し慎重に対処したいと考えております。このスーパー林道の問題は、先ほど先生御指摘になりましたように、地域からむしろ非常に強い要望がございまして、そういうスーパー林道というものがどんどん普及をしてきた経緯があるわけでございまして、自然に対する考え方というものが、当時から比べまして、今日はそういうものに対して非常にきびしい自然保護考え方というものが一般的になってまいりまして、道路をつけるということに対する処理ということも、今後やはり根本的に考え直しまして、そういう問題について十分厳正な自然保護というような観点から再検討をしていくということ、一般的にはそういうふうな必要があろうかというふうに考えておるわけでございます。
  120. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 林野庁のほうはどうですか。
  121. 松形祐堯

    説明員松形祐堯君) ただいま、スーパー林道が自然破壊というようなことで御指摘がいろいろあったわけでございますが、環境庁からお答え申し上げましたように、特にこういう自然景観のいいところと申しますと、ほとんど国有林でございます。したがって国有林の施業というものが、森林そのものが持っております経済的な木材供給という機能と国土保全、水資源の管理、あるいは自然景観の維持造成、こういうことが使命にあるわけでございまして、当然そのように国立公園国定公園指定されるような場所につきましてのスーパー林道等の開設につきましては、最初からそういう自然景観維持ということが一つの目的でもございますし、したがって、私ども路線の選定というものに非常に神経を使っておるわけでございます。たとえば特別地域の中でも第一種、第二種というようなところはほとんど避けるようにいたしておりますし、また選定いたしましても、工法という場合にも、土砂の切り取りをなるべく少なくするとか、あるいは捨て土、あるいはのり面の緑化を気をつけるとか、そういう施工をするように私ども自体も心がけておるわけでございます。特に、このように自然公園地域を通る場合には環境庁と十分な協議を申し上げておるわけでございまして、今後もただいま御指摘のような非難のないように私ども努力してまいる所存でございます。
  122. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 非難のないようにやっていきたいという御意見なんですが、これはたまたま今月、七月の六日の朝日新聞の記事によりますと、林野庁の岩崎林道課長のことばが出ているわけです。これは非常に端的に御意見が出されている。「十年前には、スーパー林道は国立、国定公園の観半開発にも役立つ、という考え方が強かった。少しでもながめのいいところを通そうというねらいがあったことも事実だ。自然に対する国民の考えが大きく変わってきた以上、われわれが批判を受けるのも当然。スーパー林道はもう〃終戦宣言〃の段階です」という表現をなさっておるわけです。  私は林野庁に先ほどお伺いしたのは、そういう御意見が出ておるので、各地に起こっておる問題でもありますし、こういった点についてお考えはどうなんだろうかということをお聞きしたのですけれどもね。重ねてですけれども
  123. 松形祐堯

    説明員松形祐堯君) 先ほどお答え申し上げましたように、私ども、そのように新聞紙上に出ておるわけでございますが、従来のやや粗雑な、あるいは単価の安いという面があったということをいなまないわけでございます。したがって、現在私どもが施工いたしておりますものは、環境庁と十分相談をいたしまして、世間の批判のないようなというようなことを心がけておるわけでございます。たとえば戸台でございますが、山くずれ等がございます。これは実は現在いろいろ検討しながら、すでに土砂を緊急に取るとか、あるいは治山をやるとかいうようなことも検討し、また実行いたしておりますが、実はあの場合、あそこは国立公園外であるとか、いろいろございます。十分私ども慎重な施工をするよう心がけてまいりたいと思っております。
  124. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 従来の安い道路とかというのは、従来の道路の単価はどのぐらいですか。
  125. 松形祐堯

    説明員松形祐堯君) 大体林道の平均的なものは二万円程度でございますが、現在四万五千円から五万円程度かけるようにいたしております。
  126. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そういう山間部の普通の道路といったら、どのくらいかかりますか、たとえば中央道とか何か、どのぐらいかかりますか。
  127. 中村清

    説明員(中村清君) いま手元に資料がございませんので、正確なお答えができるかどうか、わかりませんが、一般の府県道で幅員が二車線ということで、山間部の場合には一キロメーター約一億程度ということでございます。
  128. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 一キロが一億ということは、一メーターが十万ぐらいですか。それは高速道路じじゃないですね。
  129. 中村清

    説明員(中村清君) 高速道路ではございません。一般の都道府県道のことでございます。高速道路でございますと、高速自動車国道ということで、さらに高規格な道路になりますから、単価はもっと上がると思います。
  130. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 ちょっと、山の中の道路というのは五万か十万でできるかもしらぬですけれども、私は大阪ばかりにおりましたから、道路というものは一メートル五万や十万でできるものだと思ってないわけですがね。いま林野庁がおっしゃった一メートル四万か五万、それは用地費も含めて四万か五万ですか。
  131. 松形祐堯

    説明員松形祐堯君) 林道の場合は用地補償をいたしておりません。提供していただいております。というのは、林道による受益ということがございますので、森林所有者の無償提供になっておりますし、また、御承知のとおり舗装もいたしておりません。一応そういう関係からも、やはり四、五万円というのが一般的でございます。
  132. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 四、五万円というのが安いのか高いのか、私はちょっと判断しかねますけれども、たいへん安いと思うんですがね。なぜこのことをお聞きしたかと言いますと、先ほど戸台のくずれ、簡単におっしゃっておられたようですけれども、現地は約八百メートルぐらい、ことしの三月にくずれているんですね。そうして復旧にかかかって、またついこの間くずれて、その後どないになっておりますか。
  133. 松形祐堯

    説明員松形祐堯君) 戸台の土砂崩壊でございますが、起点から七キロぐらい入ったところでごいまして、ヘアピンになっているわけでございます。この建設に入りましたときは、やや気づかない点がございました、しかし、どうも建設を終わってみますと、少しズルようであるとか、あるいは土砂くずれがあるというような事実が出てまいりまして、昨年電探をもちましてこれは調査をいたしました。そういたしますと、大体〇・五へタタール、つまり五反歩でございますが、この程度の地すべり地帯があるということが地形上もはっきりいたしました。その部分の崩壊でございます。したがって、〇・五ヘクタールで六万立米の土砂がございます。そのうちの一万三千立米がくずれたわけでございます。現在それを緊急除去いたしております。ただし、残りますやはり五万立米近いものがございます。したがって、それをどのような工法でやるかということを現在検討いたしておりまして、その工法等がきまりますと、公団なりあるいは県等にも十分御相談申し上げまして、治山工事をもってこれを完ぺきなものにしたいと、こういうことを考えて現在検討しております。
  134. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これは、おたくのほうからの事情を伺った話では、七月十一日ごろ、きょうですね、この部分については対策が立てられるというふうに話を伺っておるのですけれども、きょうは対策が立っておりますか。
  135. 松形祐堯

    説明員松形祐堯君) 多少この調査、その地質構造等についての検討がおくれておりまして、もうちょっとかかると、こういうふうに考えております。
  136. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 この部分は国立公園の外なんですか、だからよいというわけじゃないのですけれども、問題は、そのことを問題の一つにしておりますのは、スーパー林道という形で車が通れる道路ができますと、当然現在の社会情勢の中ですから、モータリゼーションの影響ですぐ車が通るだろうというのは予測にかたくないわけですが、こういうふうに戸台で起こったような状況というのが、国立公園内の道路に、地質上あるいは構造上そういうふうな危険があるのかないのか、そういう点はどうなんでしょう。
  137. 松形祐堯

    説明員松形祐堯君) 本スーパー林道につきましては、大体九割程度が完成いたしておるわけでございます。この戸台の地すべり地区を除きますと、現在開設いたしました部分につきましては、そのようなものはないというふうには思っております。しかし、先ほど環境庁からお話しございました北沢峠地区は、やはり破砕帯が通っておりますので、したがって現在慎重な検討を、トンネルにするのか、地上を通るのか、その辺を十分検討しているということでございます。
  138. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 もう一つお聞きしたいのは、戸台の崩落ですか地すべり、それの復旧費というのはどこが持つのですか。
  139. 松形祐堯

    説明員松形祐堯君) 先ほどちょっと申し上げました一万三千立米、これの緊急除去につきましては森林開発公団が負担いたしております。しかし、本格的な地すべり対策ということになりますと、治山事業としてやります関係から、三分の二が国費、三分の一が県費ということで、県の工事となるわけでございます。
  140. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 この間の分については、総額どのくらいかかりましたか。
  141. 松形祐堯

    説明員松形祐堯君) 一万三千立米の除去につきましては、九百万円使用しております。
  142. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 今後、かりにこのスーパー林道が完成をいたしまして通過をするということになって、その後、管理は県に移るわけですね。その点が一つ。県に管理が移るということになると、あとでこういう問題が起こった場合、景観をこわすということと同時に何らかの形で道路がこわれるというふうな場合に、これはどこが復旧の責任を負うのですか。
  143. 松形祐堯

    説明員松形祐堯君) 施工主体が森林開発公団でございますので、しばらく安定するまでは開発公団で管理いたしております。しかし、ある程度の安定が見込まれてまいりますと、県なりあるいは町村というものに移管してまりいます。その際災害でもあって路面がくずれたとかというようなことがございますと、これは一般的な災害といたしまして、きめられた法律に従ってそれぞれ対応していく。県工事なりあるいは町村工事として、国が助成しながらやるというような一般的ルールに従うわけでございます。
  144. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そういうことで、スーパー林道についての考え方というものが、林野庁の課長さんがおっしゃっているように、十年前と現在と非常に変わってきておるという問題があるわけです。当初、地元の要求で開発促進がなされたというふうなところから現状までの間に、住民の考え方や要求も変わってきているわけです。  一つは、最初は、つくってもらったら少々は地元の農山林業の関係の方々が利益になるのではないかということで、促進方がやられた。ところが、実際いまになってみると、あれだけの開発をされただけで、森林資源がこわされていて、あまり役に立たないということが一つ出てきた。もう一つは、戸台のようにくずれるというふうな地盤の状況というのが、南アルプスのスーパ林道全体の中にそういう危険があるのではないか。それが県なり市町村なりに管理が移った場合に、そこが復旧費を持たなきゃならぬということになってくると、これはたいへんだというふうなことで、地元の関係から言うと、必ずしも十分観迎されないという状況が起こってきているというふうに聞いているわけです。これは地元の方の直接の御意見ですがね。  そういうふうに状況が変わってきておるというふうな中で、この林野庁の課長さんの御意見が出てきているのではないかというふうに思うのですが、やめたらよろしいというのじゃないですよ、そういう端的な意見じゃなくて、そういう複雑な内容を持っておるという点を、こういう先ほど読み上げたようなことばで表現をされているのではないかというふうに理解をしていますけれどもね。  そういう点について、これは関連して引き続いてお伺いいたしますが、先ほどちょっとお触れになりましたが、総延長の中で、残っておりますのがあと二キロ内外ですね。それについて、この工事予定をどういうふうにやっていくのか。これは林野庁の御意見をもう一ぺん伺いたい。先ほどちょっと触れられましたが。
  145. 松形祐堯

    説明員松形祐堯君) お答え申し上げます。  残工事といたしまして、約二・二キロ程度が残っておるわけでございます。その残っておるところが、先ほど環境庁から、あるいは先生からもちょっとお話ございました北沢峠付近でございます。この地区は、御承知のとおりの特別地域でございまして、しかも破砕帯が通っているということで、一昨年あるいはことしと二カ年にわたりまして、地質調査なりあるいは工法等につきまして慎重な検討をいたしておるわけでございます。その検討が終わりました段階で、これは当然環境庁に協議を申し入れて、いろんな自然保護の問題とか、そういうことを十分配慮しながら施工していく、こういうことの手順で私ども考えておるわけでございます。
  146. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうすると、つくるという方針は変えていない。しかし、調査をしているという段階だと、先ほど環境庁の局長がおっしゃったように、実施計画が出されていないんですね。実施計画が出せるという段階までの調査がまだ進んでいないというふうに理解してよろしいですか。
  147. 松形祐堯

    説明員松形祐堯君) そのとおりでございまして、その実施計画書を出すまでの技術的な検討というものを現在京都大学を中心にして検討していただいておる、こういうことでございます。
  148. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これはちょっと角度が違いますが、昭和四十六年の一月でしたか、前大石環境庁長官が中止命令を出されたというふうなことはあったのですか。
  149. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 法的な意味の中止命令を出したものではありません。これは先ほど御説明申し上げましたが、実施計画書の提出を待っている段階だということを申し上げたわけでありますが、この地域は、先ほど言いましたように国立公園の第一種特別地域でございますから、ここについては厳重にその点についての事前の調査をすべきであるということでございまして、そういう点について、いまの状況のままで直ちに着工するということはこれは困るので、やはりその点十分に調査をして、その上で、その道をつけるということを考えるべきだと、こういう意味でございます。
  150. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それで、非常に先ほどからも議論をされましたけれども、矛盾があってたいへんだなというふうに思いますのは、スーパー林道ができていくということの過程で自然破壊が進んでいく、これを何とかして防がなければならないという片方の側面と、片方では、山梨県ではこう言っているのですね、登山拠点が北沢峠、つまり第一種の特別地域が登山拠点となるというふうに言っているわけですね。山梨県側では、県有林で乱開発の危険がある、これを何とかして規制しなければならぬというふうなことになっているわけですけれども、こういったことについて規制をしていける用意があるのか。  たいへん心配になりますのは、上高地で、この間も新聞で報道されておりましたけれども、梓川の周辺が全く駐車場になってしまって、二人や三人で持てないような大きな石を置いて、駐車を防止しなければならぬというふうな状況が起こっているという報道がなされておりました。そういうばかげたことになったのでは困るのではないかというふうに思うんですよ。名前がスーパー林道であろうが何であろうが、車が通れさえすれば、いまの時代ですし、自然に親しみたいという欲求は非常に強いわけですから、押すな押すなで、通れば押しかけてくるという状況、そういうものに対するレジャーセンターあるいはホテルだとか、いろいろの諸施設、そういったものの開発というものは当然ついて回るわけですね。そういう中で、そういう事態を招かないような保証があるかどうか。  このことが、自然を守るという立場と、国民の自然を愛好するという要求と、どううまくやっていくかということがたいへんむずかしいわけれですけれども、当面はやはりいまの日本の実情からいえば、できるだけ自然を守るというところに力点を置かなければならないというふうに考えるわけですが、特に、この南アルプスというものは、先ほどももお伺いいたしましたように、日本でも唯一の開発の手が伸びていない地域だ、したがって、開発資本からいえば、のどから手が出る地域だと、逆に言えば。そういうことになるわけですし、特に原始的な景観というのが一つのすぐれた景観の中心的なねらいだというふうなことから考えましても、たいへん重要な問題を含んでいると思うわけです。  そういった点についての御見解を一つは最終的にお伺いをしておきたいのと、時間がありませんからちょっとはしょりますが、それに関連をしまして、そういう状況になっておる中で、この南アルプスの国立公園には管理人や管理事務所もないということですね。全体として数が少ないというのは前々からお伺いをいたしておりますけれども、こういうことではやはり管理上、自然がどんどん破壊されていく。片や法律はあるし行政上打つ手は打てる状況にはあるけれども、管理人もいない。管理事務所もない。これではやはり環境庁の責任になると思うのです。そういった点についてはどうなのかということですね。
  151. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 自然公園利用自然保護との調整という問題は、これは非常にむずかしい問題でございまして、私ども自然公園というような観点から申しますと、広く国民の皆さまにこの自然というものに接する機会というものを、これを適正な形で確保していくということは非常に重要な問題だというふうに考えておるわけでございます。  しかし、当然それは利用のしかたということとも関連をするわけでございまして、現在の自然公園というものを一律に、これを同じような形で考えるべきではないというふうに考えておるわけでございまして、最もこういったような国立公園の非常にいい地域につきまして、その適正な利用のしかたということが、今後の非常に大きな問題だというふうに考えているわけでございます。そのためには、基本的に、公園計画というものをはっきりきめまして、その公園計画に基づきまして、それぞれの計画によって全体を統制をしていくというか、そういう考え方でございます。  道路の問題は、確かに先生がおっしゃいますように、上高地において非常に過剰利用といったような点からいろいろ問題が出ておりますことは事実でございますし、そのような中で、川原が駐車場に利用されておるというような状態がございましたので、そこについては、その川原を不法に駐車場に使わせないようなそういう措置を講じたのは、これはやはり上高地としては、そういう環境保全といったような意味から、当然の措置であったろうというふうに考えておるわけでございます。  したがいまして、私どもはやはりそういう計画に従った利用というようなことに誘導していくような形でもって、全体の公園計画をつくりまして、駐車場の位置でございますとか、どこまで道をつけるか、あるいはどこで駐車場をつけるか、そういったような配置、それから施設につきましても、これは道路ができてから、その道路を伝わってくる人のために無制限に施設をつくるということではございませんで、やはり計画においてこれを統制をしていくというような形において、今後の問題として過剰利用というようなことを排除していくということが重要な問題だというふうに考えておるわけでございます。私どもはそういうような意味において、過去においての公園計画というものは、今日のようなレジャー時代というか、そういうものを想定をいたしておりませんでしたので、必ずしも的確なものではないというふうに考えておりまして、公園計画の見直しということを今後やっていきたいというように考えておるわけでございます。  それから第二の問題でございますが、管理人の問題については御指摘のように、先ほどもお答えしましたが、全国的に不足をいたしておりますので、これはぜひ管理人を増員をいたしまして、必要な個所には今後管理事務所の創設ということをぜひ強力に進めてまいるように努力したいと、かように考えておるわけでございます。
  152. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 いまおっしゃた点ですがね、これは早急に環境庁の十分な管理を要望しておきたいと思います。  それから、時間があまりありませんから、ごく簡単にあとお聞きしたいのですけれども、非常にジャーナリズムでも問題になっております、特に自然保護の象徴といわれておる例の尾瀬の問題で、これは前長官も訪れられて結論をお出しになるというふうな、たいへん力を入れられたところなんですけれども、これで三平峠と沼山峠というのが公園計画を廃止して、岩清水−一ノ瀬間は遊歩道とする、車道は一ノ瀬までとするということだったと思うんですがね。ところが四十七年度以降、岩清水−一ノ瀬間が依然として主要地方道として、つまり車道としての補助が建設省から出ていると聞いているのですが、出ておりますか。
  153. 中村清

    説明員(中村清君) この問題につきましては、四十六年の八月に環境庁から関係の各県に対しまして、尾瀬沼の周辺の道路計画変更につきまして提示がございました。そこで関係の各県とも、あるいは環境庁とももちろんでございますが、協議を重ねました結果、当面の処置といたしましては、いま御指摘がございました岩清水と一ノ瀬間、これはすでに三平峠と柳沢の間が、環境庁発足前に着工の承認を得ております。四十六年度は、たまたま一ノ瀬から岩清水の間を工事を実施中でございました。その工事といいますのは土工だけでございまして、いわゆる暫定断面でございます。したがって、のりとか、そういうところは必ずしも十分な手当てをしていなかった。そのまま放っておきますと、かえって土砂の流出とか崩落とか、そういうものを招くということでございますので、四十六、七、八、今年度まで、いわゆるのり面の処理、それから植生といったことを中心にして事業を実施しております。
  154. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうしますと、岩清水−一ノ瀬間というのは、車道としての補助金は出してないのですか。
  155. 中村清

    説明員(中村清君) これはいま申し上げましたように、大体幅員が四メーター程度でございますけれども、そのまま放っておきますと後ほど管理上非常に問題がある、崩落なんか起こりますから。したがいましてその手当てを、こわれないように手当てをしておるという段階でございます。
  156. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 ちょっとわかりにくいのですけれどね、これは大石長官が行かれて、その間は遊歩道にということで、車を通す道路に工事を進めるというふうには言ってなかったようですがね。それが主要地方道という形で整備されたら、当然車が通りますね。その辺がどうなのかということ。
  157. 中村清

    説明員(中村清君) いま大石長官お話が出ましたが、たまたま、四十六年の八月に道路計画変更につきまして提示がございました段階では、すでにもう四メーターの工事に手をつけておりましたから、それをそのまま放っておきますと道路自身がこわれてしまうということになりますので、そこで、のり面の処理を引き続きまして現在やっておるという段階でございます。
  158. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) これは私ども。ただいま建設省からお話がございましたように、当時岩清水まではすでに道といいますか、工事をやっておりまして、岩清水のところでストップをさせているということでございまして、そこについての、これを放置しておきますと第二次的な自然の破壊が生じますので、そういったような工事に伴う事業としまして、土どめでございますとか、あるいはのり面緑化とかいう工事をやっておるわけでございます。  車をそこに通すという問題につきましては、結局四メーター程度の幅のところについては、これは結果的にできておりますものは道でございますから、それをどうするかという問題は、これは道路管理者の問題でございまして、私どもとしては、そこは車は通さないというふうにすべきだということで群馬県のほうにも言っておりますし、群馬県のほうにおきましても、それを前提にいたしまして、当時一ノ瀬あたりに車をとめるような駐車場の適地を選んで、そこまでで車をとめる、その先については車を通さないということでございますので、その点ははっきりいたしておることでございます。
  159. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 その点についてはなかなかむずかしいところなんですが、当時の長官が行かれて、そして一ノ瀬まではということでお話があったんですね。だから、一ノ瀬から先の岩清水までは車を通そうというふうには言ってなかったのだから、当然環境庁としては、そのことを道路管理者に態度を鮮明になさるということは、これは必要で、おやりになっておられると言うのだからけっこうだと思うのです。  いま駐車場の話が出ましたのですが、一ノ瀬に大きい駐車場をつくろうというお考えのようなんですが、これについてはかなり地元でも、あるいは自然保護団体の方々にもかなり御意見があるようなんで、そういった点を、これもまた自然保護の関係と自然を愛好する問題と、たいへんむずかしい関係にもあろうと思いますけれども、先ほども申し上げたように、自然を守るということがいま非常に緊急の課題になっておるという観点で、こういった点について、これは一ノ瀬にぜひつくらなければならぬという立場をおとりになるのかどうかという点については、これはかなり慎重を要するのではないかというふうに私は判断をいたしますけれども、その点について御意見をお伺いしておきたい。尾瀬の自然を守るという立場でどうなのか、その御見解ですね。
  160. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) どこに駐車場を設けるかという問題でございますが、当時、一ノ瀬のところまでで車をストップをさせるということで、群馬県、それから環境庁、それから地域の、まあそういったような理解でもってこの問題を処理をいたしたわけでございます。したがいまして、私ども原則的に一ノ瀬までで車をとめるということでございますから、車をとめるに際しましては、駐車場というのは、その辺に適地を見ましてそれを群馬県のほうでいま検討中でございますので、そういう点については、私ども、それが出ますれば、十分そこが適当であるかどうかということについて検討をいたしまして、その方針でいくことが原則であろうというふうに考えておるわけでございます。
  161. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 一ノ瀬につくるという方針を堅持しておられるようですが、替否両論があるようです。ですから慎重に検討をされて、自然を守るという立場での環境庁の本来の任務をひとつ全うしていただくように、これは要望をしておきます。  それから最後に、直接の法改正問題について若干お伺いをしておきたいわけです。  いま申し上げたように、いろいろと自然破壊が起こっているということは、これはほんの永山の一角の実例でございまして、たくさんあるわけですが、今回はそういった立場で、普通地域における届け出の項目をふやして制限条項をふやすということなので、これはたいへんよいことだと思うのですけれども、これだけの改正条項ではたして十分自然環境が守れるかどうか、その点について基本的な御見解だけをお伺いしておきたい。
  162. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 従来の自然公園法自然環境保全法、これの本法を十分活用いたしますと同時に、従来の法律では普通地域に対する規制が不十分でございましたので、今回の改正によりまして、普通地域についても規制を強化をしていくということでございますから、この法律改正ができますれば、一段とこういうような自然環境保全につきまして、法的な体制が強化されることにもなろうというふうに考えておるわけでございます。
  163. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 四十七年度中に、特別地域にかかわる許可申請というのは七百件あまりあったそうですね。不許可許可をしないということにしたものがわずか七件、しかもこの許可されたものの中には別荘の建設宅地造成、土石採取というふうに、いまの観光資本や民間デベロッパーの開発をどんどん認められておったのではないかというふうな状況が見られます。こういうふうな、一口に言えば企業的なやり方を優先する態度、これをほんとう環境庁が改めない限り、たとえば今度の法案に出されておりますような届け出の項目というふうなもの、あるいは期間制限というふうなものを設けられても、なかなか解決しにくいのではないかというふうに思うのですが、それについての御見解はどうですか。
  164. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) わが国の国立公園は、これはいわゆる地域公園でございまして、公園目的のためだけの専用地域ではございません。したがいまして、そこには住民もございますし、いろいろ産業も行なわれておるものもあるわけでございますから、その全部をストップするということ、これは現実的ではないわけでございまして、その中におきまして、私ども許可の件につきましては自然保護の観点から十分に検討いたしまして、適当でないものは不許可にいたしますし、また御指摘のように七百数件の許可が行なわれておりますが、それにつきましては十分条件をつけ、また方法を変更させてこれを許可をしておるといったようなものがかなりあるわけでございますし、さらに件数にのぼっておりませんものにつきまして、これは指導の段階で取り下げをしていただくとか、そういうようなことも十分やっておるわけでございます。  この許可にあたっての態度というものが、従来に増して今日非常にきびしくやっておるということでございますから、それに比べまして従来の態度がゆるかったのではないかと、こういうような御批判というものはあるいはあるかもしれぬと考えておりますが、今日、自然環境保全あるいはそういう地域自然公園保全といったようなことは非常に大きな問題になってまいりました、世論もまたそういうようなことを支持をいたしておるわけでございますので、私どもはそういう傾向の中で、さらに一段とこういう自然環境保全につきまして強い態度でのぞんでいくということで処理をしてまいりたい、かように考えておりますし、今回の改正をお認めいただけますれば、その点につきましても十分そういったような態度で対処してまいりたいと考えておるわけでございます。
  165. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 持ち時間がまいったようですので、ちょっとそのくだりでは少し突っ込んでお伺いをしたい点があるのですが、きょうは省略をいたしまして、結論に入ります。今回の法改正、また、そのもと法律、これは規制できるという法律があるわけですね。今回の法改正でさらにこれが規制が強化されるということになると思うのですけれども、そういうことになりますと、自然を守るというふうなこと、これは、これをやるかやらないかというのはまさに環境庁の姿勢にかかっているというふうに考えるわけです。先ほども長官おっしゃいましたけれども開発か自然を守るかといったら、やはりいま自然を守らなければならぬというふうに長官もおっしゃっておられましたが、これはまさにそうだと思うのです。その姿勢が、ほんとうにそういった国民全体の世論化しておる自然を守るという側にきっちりと立つか、あるいは、観光資本あるいは民間デベロッパーなどの企業的な方向を向くかどうかというふうなことが、やはり自然保護の問題についても、基本的なかまえとして必要な段階へ来ていると思うのです。これは単に公害だけが企業優先かあるいは国民の立場に立つかというふうな問題にとどまらない、まさに自然環境を守るということも、そういった基本的な立場を環境庁が踏まえられるかどうかだというふうに思うわけですが、そういった点については、先ほどから若干御見解を伺いました。  そこで、そういった基本的な姿勢を貫くというたてまえに立っていただくと同時に、もう一つは、これはお伺いしたいと思いましたけれども、今年度予算につきましても、国立公園関係の予算というのは二十一億だそうですね。たいへん少ない額です、予算全体としても。こういうことでは、これは環境庁自身が自然を守るという立場での道路計画だとかいうふうなこと、あるいは公園計画の中の具体的な計画というのが組まれなくて、そこをたまたま通るという林道が組み込まれたり、あるいは何々スカイラインというふうなものが通ったら、それを公園計画に組み込むというふうな結果になって、本来の法の趣旨を守るという、国立公園保護管理というふうなことを行なえない結果になるのではないか。そういう点について、法を実施して進めていくというたてまえからいっての基本的姿勢と、これに伴う予算の裏づけ、管理体制の陣容ですか、そういった問題も含めての決意をお伺いをしたいと思います。
  166. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 環境の破壊というものは、一ぺん破壊するともとへなかなか返らない。そういう点で、環境保全というものは優先的に考えていきたい。その場合に、地域住民の福祉ということも、これはやっぱり無視できないものがある。その地域住民の福祉とわれわれが考える場合には、地域住民の福祉という観点から開発の問題を考えていきたいということで、一企業の利益というものは、私はもう全然考えない方針です。それはやはり自然環境というものを一企業の利益の手段にするということは、国民に対しても非常な背信行為であります。そういう点で、そういうものでなくて、もう少し幅広く地域住民全体の福祉という観点から考慮をせなければならぬ面があるということでございます。  それからまた、自然環境保全ということについて国民の意識に大きな変化がある。もう少し自然公園に対する管理体制を強化してもらいたいという声が非常に強いわけです。いままでは、どちらかといったら厚生省の中でも、あるいは環境庁へいっても、そんなに環境行政の中の中心の題目ということではなかったわけですね、公害問題とかいろいろあって。しかし、そうではないと思いますから、これからますます自然環境保全ということは重要な行政の目標になってきますから、来年度の予算では管理体制というものを一段と私は強化していきたい、こういう考えでございます。
  167. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 最後に申し上げておきたいのですけれども、特に都市に住んでおる国民といいますのは、私は大阪で西淀川という公害のひどい地域に長らくおったものですから、まさにゴーストタウンに住んでおるような感じです。東京に来ましても、ゴーストタウン、コンクリートジャングルですね。そういうところで超過密の、しかも公害の過巻く地域で都市生活をしている国民にとりましては、まさに自然に親しみたいという欲求というのは、基本的な要求になってきているわけです。したがって、一年に五回や七回は、ほんとうに手軽に自然に親しめるということを望んでいるわけです。まさにささやかな要求です。ところが、いまの高度成長の時代には、観光資本や民間デベロッパー、そういったところに観光地域というのはほとんど食い荒らされて、行けば高い金額とられる。それで自然は食い荒らされている。こういう実情になっているわけです。  国民の要求というのは、国民のすべてが楽しめる豊かな自然というものがやはり求められている。これを実現していくための環境庁の行政というのは、きわめて重要な責任を持っていると思うのです。各委員の質疑の中でも出ましたし、私も申し上げましたが、極端に申し上げて、いまの法律が、まさに申しわけの法律だ、予算も申しわけ予算だというふうなことでは、この重大な使命というのは達成できないのではないか。そういった点で国民の要求を実現していくという立場、特にいまの時代に自然を守るということが第一義的にきわめて重大な段階で、一そうの長官の強い決意を御期待申し上げまして終わりたいと思います。
  168. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私、先ほど内田さんの御質問でしたか答えましたように、ますます広い自然に接したいという要求は強くなっておる。そうなってくると、企業の観光開発という何か手っ取り早いコマーシャリズムでは満足しなくなってくる。そういうときに、自然公園の持っておる、もっとパブリックな意味における自然と親しめるような施設というものは、非常に重要性を帯びてくると思いますので、そういうふうな観点からレクリエーションにおける自然公園の持つ大きな役割りなども非常に重要な意味を持ってくると思いますので、そういう角度から環境行政というものをこれから進めていきたいと思っております。
  169. 森中守義

    委員長森中守義君) 本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十九分散会      —————・—————