○国務大臣(三木
武夫君) これは、長い間蓄積された有害物質があるわけですね。水銀もその
一つです。このように社会的な関心が高まってきて、また被害も起こっておるわけです。この
機会に、もう包み隠さないで、うみを出したらいいと思うんですよ。
それで、全国的に環境の
調査をやるというのも、ヘドロもやるわけですから、ことに水銀を使っておったような工場の周辺というものは厳密な
調査を必要とするでしょうから、一方においてて、近くヘドロの除去に対する
基準、どういう有害物質がどういうふうに含まれておるものに対しては除去するという
基準をつくりたい。これはできるだけ早くこの
基準を、暫定的であっても設定をしたい。環境
調査を一方においてやって、その
基準と照らして、それをこえるような地域というものがあるのに違いない、これは、このヘドロをどのようにするか、しゅんせつするか、あるいは埋め立てるか、いろいろな方法があると思いますが、第二次的な汚染を起こさないようにこれを処理する。
だから、この間の
会議にも、来
年度は建設省が大々的にやろうではないか、
一つの浄化
計画というもの、日本列島の浄化
計画というものを大きな柱にして、そうしてやろうではないかということを言って、いま建設省もこの問題を取り上げて検討をするということで、ことし中には
計画を立てるということを
会議でも言っておったわけです。水俣湾のようなところは、予算もあるものですから、第四・四半期には工事にかかるぐらいのスピードでいま検討をしているわけです。
一般にはそういう
考え方で、ヘドロのようなものがありますと、やはりそのことで微量の蓄積が人体に入って健康被害をもたらすわけですから、ここで過去の蓄積を、みんな禍根を断つ。そしてそれと並行して、有害物質を出さないように、
通産省も
化学工業なんかはもうクローズドシステムにかえていく。いろいろな化学物質が出まして、それがまた重複して重金属なんかが人体に対して被害を与える場合もありますから、そういうことで非常に用心深く安全性について
通産省も今後工場の
指導をやっていかなければならぬ。こういうことで、いまの状態からさらに浄化していく。
こういう、いままでの禍根を断つ、これからはよごさないようにする、さらにまた現状より、できうべくんば経済成長の初期ぐらいの状態に日本の環境を持っていきたいものだ。それを
段階的にやるのでなしに、三つのことを並行しながら取りかかってみたらどうだ。
そういうことじゃないと、もう量的拡大だけでは皆満足しないでしょう。皆やはり質といいますか、質的な面に国民の目は向いてきておるわけですから。そうなってくると、生活環境というものはもう質の一番中心の問題になるわけですからね。そうでないとこれからは国民もこれはとても承知をしない。そういう時代がくるわけですから、そういう意味において、中途半端なことでなしに、思い切ってこういう問題をひとつ日本の
政治が取り上げて取りかかってみたらどうかということで、来
年度の予算にも、われわれとしてもこの予算の編成に大いにこういう
考え方を盛り込みたいと思っておるんです。これは、いろいろいま責任の追及しておっても問題の解決になりませんからね。いまからでもおそくないのじゃないか。
そしてまた、日本人というものは
一つの
目標を定めてやろうということになれば、おそるべきエネルギーを持っておる国民ですからね。よその国よりもそういう点は、これをやろうということになったら
方向転換の早い国ですからね。
企業だって大きな
公害問題を起こせば、チッソの例でもわかるように、
企業経営の基盤をゆるがされるわけです。そういう教訓になるようなことが一ぱい起こっておるんです。したがって、
公害の防除という方面に投資することが生産投資と同じようなウェートをこれから持ってくるのじゃないでしょうか、金額には違いがあっても。
そういう時代だと思うし、外国に比べて日本は領土が狭いですからね、アメリカとか、そんな大陸の国と違うでしょう。こんなに狭いですから、
公害の密度は世界一だと考えなければならぬ。
公害問題の持っておる比重というものは非常に重いものがある。そういうことでひとつ取り組みたいと思っておるわけでございます。