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国務大臣(
三木武夫君) こういうことだと私は思うのです。いままでの経済発展、その間に
公害問題というものをおろそかにしてきたということですね、これはその責任というものは追及されてしかるべきだと私は思うのです。
公害問題というものがやかましく
日本で問題になってきたのもここ数年ですから、その間に企業側にしても、経済の効率を求めて
公害防止ということに対する投資を怠ってきたことは事実です。
政府もまたそういう先を、この問題はどういう深刻な事態になるかということを考えての行政指導を怠ったことも事実です。ここまできたわけですよ。
だから、いろいろあと追いばかりやっているといわれるのですが、この間の推進
会議でも、現に問題が起こっておるわけですから、これは
処理しなければならぬ。あと追いであろうが何であろうが、これはいま問題が起こっておるのですから、やはり
水銀の
汚染というものに対して、
ヘドロの
処理から海域の浄化から、これを片づけなければならぬ。
そうして問題の
原因を除去して、次にくる問題は、その中にもあるように、これ以上
汚染させないために、たとえば
水銀の使用
工場に対しても、来年度までにクローズドシステムで外へ出さないような転換というものを要求しておるわけですよ。通産省もそれは約束しておるわけでね。そうして、これ以上
汚染をさせないようにするばかりでなしに、もっときれいな
日本にしなければいかぬわけですから、そのためには、これからの企業というものは無
公害の企業を目ざさなければいかぬ。いままでは既設の
工場というのは
規制の強化、そういう生産のシステムになっているんですからね。新しい
工場というものは
公害を出さぬということで、そういうことで
日本の経済が発展していくならいいけれ
ども、一方においていままでのような
公害というものを出して、そのことで
日本の環境を
汚染して、これからの経済成長というものは、そうしなければいけないのだったら経済成長はとめなければいけない。
日本の経済成長というものは、
公害を防止しながら経済成長していくということならば、経済の成長ということはいろんな点においてメリットもあるわけですから、そういうことで
一つの心がまえ、
政府も企業もこれからは全くいままでと違ったんだという心がまえの転換がないと、なかなか
目的は達成できない。
だから藤田さんが、いろんな点でどうもきちんきちんと
計画が立っていないじゃないかと言われるでしょうが、いまのところは性根を入れかえたところなんですね。企業もやはり、そうでしょう、こんな問題が各地に起こってみれば、
公害問題を起こせば企業の存立をあぶなくするぐらいの事態になってきておるのですから。
政府自体としても、もう至るところに
公害問題というものが起こって、いろんな社会的に不安を与えておる、こういうことでは国民の安定ということを目ざす政治の
目的には沿わないですから、そういう点で、いろいろ批判をされる側から見れば非常にまどろっこしいものもあると思います。
しかしこれから、いまの推進
会議などにおいても、それはいま問題が起こっていることを具体的に
処理しなければなりませんから、そこにきめられておることはきわめて具体的なことで、
一つだけ「極力」ということを使うことを許したのですがね。
水銀を出さないばかりでなしに、触媒としての
水銀を使わないように二年後にするということは、なかなかこれは実際問題としてむずかしい。一カ所だけですよ、「極力」というのを許したのは。みな具体的な決定を行なったわけでありますから、問題を起こした事態における、推進
会議としてはきめることはきめたという評価はしていただきたいと願うものでございます。