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1973-03-02 第71回国会 参議院 公害対策及び環境保全特別委員会 第2号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
四十八年三月二日(金曜日) 午後一時八分開会
—————————————
委員
の
異動
十二月二十三日
辞任
補欠選任
栗林 卓司君
高山
恒雄
君 一月十六日
辞任
補欠選任
矢野
登君
斎藤
寿夫
君 一月二十七日
辞任
補欠選任
高田浩運
君 君
健男
君
伊部
真君
藤田
進君 占部 秀男君
西村
関一
君
茜ヶ久保重光
君
杉原
一雄
君
—————————————
出席者
は左のとおり。
委員長
大矢
正君 理 事 金井 元彦君 菅野
儀作
君
杉原
一雄
君 内田
善利
君 委 員
斎藤
寿夫
君 寺本 広作君
林田悠紀夫君
原 文兵衛君
加藤シヅエ
君 小平 芳平君
高山
恒雄
君
加藤
進君
国務大臣
国 務 大 臣 (
環境庁長官
)
三木
武夫
君
政府委員
公害等調整委員
会委員長
小澤 文雄君
公害等調整委員
会事務局長
川村
皓章
君
科学技術庁研究
調整局長
千葉 博君
環境政務次官
坂本
三十次君
環境庁長官官房
長
城戸
謙次
君
環境庁企画調整
局長
船後
正道
君
環境庁自然保護
局長
首尾木
一君
環境庁大気保全
局長
山形 操六君
環境庁水質保全
局長
岡安 誠君
厚生省公衆衛生
局長
加倉井駿一
君
厚生省環境衛生
局長
浦田 純一君
農林大臣官房技
術審議官
遠藤 寛二君
水産庁次長
安福 数夫君
通商産業省公害
保安局長
青木 慎三君
通商産業省公害
保安局参事官
田中 芳秋君
通商産業省化学
工業局長
齋藤 太一君
事務局側
常任委員会専門
員 中原
武夫
君
説明員
通商産業省重工
業局電子機器電
機課長
藤本 和男君
労働省労働基準
局補償課長
山口 全君
参考人
公害防止事業団
理事長
江口
俊男
君
—————————————
本日の
会議
に付した案件 ○
理事補欠選任
の件 ○
参考人
の
出席要求
に関する件 ○
公害
及び
環境保全対策樹立
に関する
調査
(
公害対策
及び
環境保全
の
基本施策
に関する件) (
昭和
四十八年度
環境庁関係予算
に関する件) (
昭和
四十八年度各
省庁
の
環境保全関係予算
に 関する件) (
公害防止事業団
の
事業
及び
予算
に関する件) (
公害等調整委員会
の
業務概況
に関する件) (
公害
及び
環境保全対策樹立
に関する件)
—————————————
大矢正
1
○
委員長
(
大矢正
君) ただいまから
公害対策
及び
環境保全特別委員会
を開会いたします。
委員
の
異動
について御報告いたします。 去る一月十六日、
矢野登
君が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
斎藤寿夫
君が
選任
されました。 また一月二十七日、
伊部真
君、
茜ケ久保重光
君及び
高田浩運
君が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
藤田進
君、
西村関一
君、
杉原一雄
君及び君
健男
君がそれぞれ
選任
されました。
—————————————
大矢正
2
○
委員長
(
大矢正
君)
理事補欠選任
についておはかりいたします。
委員
の
異動
に伴い、当
委員会
の
理事
が一名欠員となっておりますので、この際、
理事
の
補欠選任
を行ないたいと存じます。
理事
の
選任
につきましては、先例により、
委員長
の指名に御一任願いたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
大矢正
3
○
委員長
(
大矢正
君) 御
異議
ないと認めます。 それでは
理事
に
杉原一雄
君を指名いたします。
—————————————
大矢正
4
○
委員長
(
大矢正
君)
参考人
の
出席要求
に関する件についておはかりいたします。 本日の
委員会
に
参考人
として
公害防止事業団理事長江口俊男
君の
出席
を求め、同
事業団
の
事業
及び
予算
について
説明
を聴取いたしたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
大矢正
5
○
委員長
(
大矢正
君) 御
異議
ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————
大矢正
6
○
委員長
(
大矢正
君)
公害
及び
環境保全対策樹立
に関する
調査
を議題といたします。
公害対策
及び
環境保全
の
基本施策
について、
三木環境庁長官
から
所信
を聴取いたします。
三木環境庁長官
。
三木武夫
7
○
国務大臣
(
三木武夫
君) 今回、
環境庁長官
に
就任
をいたしました
三木
でございます。よろしく御
協力
をお願いいたす次第でございます。 本日は、参議院における
公害対策
及び
環境保全特別委員会
の第一回の
審議
でございますので、この際、私の
所信
を申し述べたいと存じます。
わが国
は、従来久しく
経済成長
を促進することを軸に内政の展開をはかり、その結果、
所得水準
も大幅な向上を示してまいりました。しかしながら、その反面、
大気汚染
、
水質汚濁等
の
公害
の
発生
と
自然環境
の
破壊
が急速に激化し、
国民
の健康と
生活環境
が脅かされるという深刻な事態が
発生
しました。 今日、
国民
は、
経済成長
の成果を享受しながらも、いままで営々と追い求めてきたものがはたして何であったかに強い疑いを持ち始め、金銭であがなうことのできないきれいな空気と水、生き生きとした緑を求めております。
国民
の欲求に対する
価値観
は大きく変わってきております。 一国の文明の度合いは、その国が
環境
の
保全
にどれほどの努力を傾注し、また、
破壊
された
環境
の復元にどれほどの
能力
を有し、熱意を示しているかにあると言っても過言ではないと考えております。私は、いまや、
環境
問題こそ政治の
出発点
であり、この問題の
解決
は、われわれに課せられた至上の命題であると確信いたしております。 率直に申し上げて、従来の
環境行政
は、
公害
が
発生
し、自然の
破壊
が深刻になってからようやく
対策
を講じるという、いわゆるあと追い
行政
であったことは否定できません。しかし、一たび
破壊
によって失われた
環境
を再び回復することはきわめて困難なことであります。 われわれは、われわれの共通の資産である美しい
国土
、豊かな自然を
破壊
の手から
未然
に
防止
し、これを次の世代に伝える責務があります。私は、このような
基本的姿勢
のもとに、
環境行政
の前進のために全力を傾ける覚悟でありますが、当面、次の事項に
重点
を指向し、
所管行政
の積極的な
推進
をはかってまいりたいと考えております。 まず、第一は、
環境アセスメント
の
確立
であります。道路、
港湾等
の
各種公共事業
の
実施
及び
地域
の
開発
について、その
環境
に及ぼす影響の内容及び程度、
環境破壊
の
未然防止策等
について検討を行ない、これらの
事業
が
環境破壊
をもたらさないと認められる場合に
限り事業実施
を認める
制度
、すなわち
環境アセスメント
の
確立
をはかってまいりたいと考えております。 現在、
国土全般
にわたる計画的な
地域開発
が
推進
されようとしておりますが、これにあたっては、さきに述べたような
基本方針
のもとで、厳正なチェックを行なってまいる
所存
であります。 また、
環境
の
破壊
を
未然
に
防止
するためには、全国にわたって保存すべき
地域
を明らかにし、そこでは
開発
を認めないこととすることがぜひとも必要であります。このような視点から、私は、まず、動物の
生息状況
、
植物分布
、
地形
、
地質等
の
自然環境
を詳細に
調査
するとともに、これら
自然環境
の
改変状況
を把握するという、いわば自然の国勢
調査
を
実施
し、
自然環境
を
保全
すべき
地域
の
指定
を
推進
して、美しく、かつ繊細にして変化に富んだ
わが国
の
自然環境
を
保全
してまいりたいと考えております。 次に、
公害
の
発生
を
未然
に
防止
するため、
各種公害
にかかる
環境基準
や、
排出基準
、
排水基準等
の
設定
、
見直し強化
につとめるとともに、
総量規制方式
の導入をはかってまいりたいと考えております。 また、このような
基準
に基づいて、
環境
の
汚染度
の
測定
、
公害発生
の
監視取り締まり
を担当する
地方公共団体
に対しては、
監視測定体制
を
整備
するための
助成
を一そう
推進
する
所存
であります。 現在、不幸にして
公害
により
被害
を受けられた方々が、
相当数
にのぼっていることも遺憾ながら事実であり、このような
公害被害者
の
救済
に万全を期することは、最も緊急を要する課題であります。現在、
公害
にかかる
健康被害
の
救済
に関する
特別措置制度
がありますが、この
制度
に基づく
救済
は必ずしも十分でないので、この
制度
にかえて、新たに
公害被害者
の
損害賠償
を保障する
制度
を創設することとし、成案を得次第今国会に
法律案
を提出する
予定
であります。
公害対策
を
推進
するためには、
調査
及び
試験研究
を充実することが何よりも重要であります。このため、来年一月に
筑波学園都市
に、
公害
に関する中核的かつ総合的な
試験研究機関
として、
国立公害研究所
を設置することとしておりますが、この
研究所
は、国際的な
水準
をゆく
設備
と
能力
を備えたものにしたいと考えております。 また、特に、広域
水質汚濁
問題に対処するため、
瀬戸内海
の
環境保全対策
の一そうの
推進
をはかるとともに、新たに
東京湾
、
伊勢湾
についても
調査
を
実施
することといたしております。さらに、
光化学スモッグ
、
PCB
、
赤潮等
の新しい
公害
に対する
対策
のための
調査研究
をなお一そう促進する
所存
であります。 昨年の
国連人間環境会議
で、
わが国
とセネガルの
共同提案
により、毎年六月五日を
世界環境デー
とすることが決定されました。
わが国
としては、この日を初日とする
環境週間
を設け、全
国民
的な運動を展開する
予定
でありますが、これに対する
国民
の御
協力
を切にお願いする次第であります。 以上、私の
所信
の一端を申し述べましたが、
環境行政推進
のために、今後とも本
委員会
及び
委員各位
の御支援、御
協力
を切にお願い申し上げる次第であります。 何とぞよろしくお願いいたします。
大矢正
8
○
委員長
(
大矢正
君)
坂本環境政務次官
から発言を求められておりますので、これを許します。
坂本環境政務次官
。
坂本三十次
9
○
政府委員
(
坂本
三十次君) 一言ご
あいさつ
を申し上げます。 このたび
環境政務次官
に
就任
をいたしました
坂本
三十次でございます。
委員各位
の御
指導
を賜わりまして、職責を尽くしたいと思います。何とぞよろしくお願いをいたします。ご
あいさつ
といたします。ありがとうございました。
—————————————
大矢正
10
○
委員長
(
大矢正
君) 次に、
昭和
四十八年度
環境庁関係予算
及び
昭和
四十八年度各
省庁
の
環境予算
について、順次
説明
を聴取いたします。
城戸官房長
。
城戸謙次
11
○
政府委員
(
城戸謙次
君)
昭和
四十八年度の
環境庁関係
の
予算案
につきまして、その
概要
を御
説明
申し上げます。
昭和
四十八年度の
総理府所官一般会計歳出予算
のうち、
環境庁
の
予算
の
総額
は百十億四千九百三十一万四千円でありまして、これを前年度の
歳出予算額
八十一億七千十万二千円に比較いたしますと、二十八億七千九百二十一万二千円の
増額
となっております。 このほかに
建設省
の所
官予算
として計上されております
国立公害研究所
及び
公害研修所
の
施設整備
の
経費
がありますので、これを合わせますと、
昭和
四十八年度の
環境庁関係予算
は百三十一億一千五百十六万六千円となり、前年度の
環境庁関係予算
に比べ、四十六億七千五百六万四千円の
増加
となっております。 なお、
建設省所官予算
の
官庁営繕
の
国庫債務負担行為
として、
国立公害研究所
にかかわるものが新たに十六億四千万円
予定
されております。 次に、個々の
施策
の
予算
の
重点
について御
説明
いたします。 第一に、
公害対策
について申し上げます。 まず、
大気汚染防止対策
及び
水質汚濁防止対策
につきましては、
環境基準
の
設定
のために
所要
の
経費
を計上いたし、計画的にこれを
推進
するとともに、
排出基準
、
排水基準
をはじめ
各種公害
の
規制基準
の一そうの
強化
をはかり、また、
総量規制
の
確立
を検討するための
経費
、
都市
型の
大気汚染防止
のための
調査等
の
経費
のほか、
自動車公害
、振動、
悪臭並
に航空機及び新幹線の騒音について
対策
の
確立
のための
調査
を行なう等、五億三千六百八十一万円を計上いたしております。 このほか、
地盤沈下
及び
廃棄物対策費
に三千六百十万円、
土壌汚染防止
及び
農薬対策費
に一億二千九百六十七万円をそれぞれ計上するなど、
公害規制基準
の
強化等
の
経費
として、
総額
七億二百五十八万円を計上いたしております。 また、
公害監視設備整備費
につきましては、
地方公共団体
の
監視測定体制
及び
地方公害研究所等
の
分析体制
の計画的な
整備
を一そう
推進
するため、
補助金
の大幅な
増額
をはかり、これが
施策
を一そう
強化
するとともに、新たに大
規模発生源
に対する常時
監視体制
の
整備費
の
補助
の
経費
、新たな構想による
国設大気測定網整備
のための
経費
などを合わせ十億八千四百十三万円を計上しており、前年度
予算
に比し大幅な
増額
となっております。
環境保全企画調整等
の
経費
については、
開発
に際しての
環境アセスメント
の
手法開発
のための
経費
ほか、
環境保全パイロットモデル
の作成に必要な
経費
などのため四千四百二十六万円を計上いたしております。
公害防止計画策定
については、
公害防止計画策定
のための
基礎調査
を十
地域
において
実施
するほか、
公害防止計画策定
第一次
地域
について
公害防止計画
の
見直し調査
を行なうなどのため三千三百十九万円を計上いたしております。
公害健康被害救済対策
については、
医療手当
の額の引き上げ、
支給制度
の緩和をはかるほか、
地域指定拡大
に要する
経費
を見込むなど
制度
の一そうの
充実強化
をはかるため、一億九千八百七十四万円を計上いたしております。 また、
公害
にかかる
被害者
の
救済
をはかるための
損害賠償保障制度
の創設のために
各種
の
調査
を進める必要があり、このために必要な
経費
として九千四百二十六万円を計上いたしております。
公害防止事業団
については、
事業規模
を七百三十億円に
拡大
するとともに、
中小企業等
の
公害防止施設
の
整備
を促進するため、金利の引き下げ、
事業団
の
業務範囲
の
拡大
を行なうこととし、これに伴う
事務費等
の
助成費
を含め九億五百十二万円を計上いたしております。 次に、
公害
の
防止等
に関する
調査研究
の
推進
のための
経費
については、科学的な
調査
及び
試験研究
を一そう
推進
するため、
総額
三十二億四千九百八万円を計上しております。 まず、
国立試験研究機関等
の
公害防止等試験研究費
として三十二億九百八十万円を
環境庁
において一括計上いたし、各
省庁
の
試験研究機関等
の
公害
の
防止
に関する
試験研究
の
総合的推進
をはかることといたしております。 さらに、社会的に強い要請のあります
光化学スモッグ
にかかる
調査研究
については、
東京湾周辺地域
のほか、新たに
大阪湾周辺地域
を
対象地域
に加えることとし、これに要する
経費
として一億八千二百四十八万円を計上いたしております。
広域水質汚濁総合調査
については、
瀬戸内海
について
補足調査
を行なうとともに、新たに
東京湾
及び
伊勢湾
についても
調査
を
実施
することとし、また
広域水域
の
水質
の常時
監視
に必要な
水質監視ブイ
の
試験設置
のための
経費
を計上するなど、一億二百五十七万円を計上いたしております。 そのほか、
健康被害
、
自然保護
、
大気汚染
及び
水質汚濁等
に関する
調査研究費
として三億七千四百二十二万円を計上し、
重点
的な
調査研究
を進めることといたしております。 以上のほか、
環境保全総合調査研究促進調整費
として三億八千万円を計上いたし、
関係省庁
の所管する
各種
の
環境保全
に関連する
調査研究
の総合的な
調整
をはかることといたしております。 また、
政府
における
公害等
の
試験研究
の
推進
のための中核的な
機関
として、
昭和
四十八年度中に発足する
予定
の
国立公害研究所
に必要な
経費
として九千八百四十七万円を計上いたしております。 さらに、
公害行政担当者
の
研修
を行なうため、
昭和
四十七年度中に発足する
予定
の
公害研修所
に必要な
経費
として二千四百三十六万円を計上いたしております。 以上、これら
もろもろ
の
施策
に必要な
公害対策費
として、
総額
六十四億三千四百二十二万円を計上いたしております。 第二に、
自然環境
の
保護整備対策
について申し上げます。 まず、
自然環境保全対策
については、
わが国
土の動植物、
地形
、
地質
の
自然環境
の
実態等
について
基礎調査
を行なうほか、
自然環境保全
のための
基本方針
の
策定
などのため二億五千二百七万円を計上いたしております。 また、
交付公債
による
民有地買い上げ制度
により、
自然環境
を
保全
すべき
民有地
の
買い上げ
を行なうため、
事業費総額
を六十億円と
予定
いたし、このために必要な
経費
として三億三千九百十一万円を計上いたしております。
鳥獣保護行政
については、新たに
地方公共団体
に対する野鳥の森の
整備費
の
補助
を行なうほか、タンチョウの生息する
湿原保護
のための
調査
を行なうなど、これが
施策
を一そう
強化
することとし、一億三千四百八十万円を計上いたしております。 さらに、
自然公園等
の
施策
の
整備
につきましては二十億八千八百八十四万円を計上し、
国立公園等
の
整備
をはかる等これまでの
施策
にあわせ、新たに
国民林養地
の
整備
を行なうほか、
国民休暇
村の増設に着手することといたしております。 また、
自然公園
の
維持管理体制
の
充実強化
のために、
管理事務所
を二カ所増設するなど、
自然公園等維持管理費
として二億四千三百七十四万円を計上いたしております。 以上、これら
もろもろ
の
施策
に必要な
自然環境
の
保護整備対策費
として、
総額
三十億五千八百五十七万円を計上いたしております。 なお、このほか
建設省所管
の
予算
として、
国立公害研究所
の四十八年度
建設費
として十六億四千百八十四万円、
公害研修所
の四十八年度
建設費
として四億二千四百万円がそれぞれ計上されております。 以上をもちまして、
昭和
四十八年度の
環境庁関係予算案
の
説明
を終わります。よろしく御
審議
のほどお願いいたします。
大矢正
12
○
委員長
(
大矢正
君) 次に船後
企画調整局長
。
船後正道
13
○
政府委員
(船後
正道
君) 各
省庁
の
昭和
四十八年度
環境保全関係予算
の
概要
について御
説明
いたします。 まず、
歳出予算
について御
説明
いたします。
昭和
四十八年度における
環境保全関係予算
の
総額
は、二千七百三十七億円となり、新年度の当初
予算
に比べ千四十四億円、六一・七%の
増加
となっております。 このうち
一般会計分
は二千五百十九億円と、前年度の当初
予算
に比べ九百三十九億円の
増加
となっており、各
特別会計分
は二百十八億円と、前年度の当初
予算
に比べ百五億円の
増加
となっております。 これを
公害防止関係
と
自然環境保全関係
とに分けますと、
公害防止関係予算
は二千四百四十四億円、
自然環境保全関係予算
は二百九十三億円となっており、それぞれ前年度の当初
予算
に比べ、九百二十一億円、百二十三億円の
増加
となっております。 次に、各
省庁別
にその
予算
の
主要項目
について御
説明
申し上げます。 第一に、
総理府
におきましては、
公害等調整委員会
の
経費
として一億八千九百万円を計上しております。 警察庁におきましては、
公害事犯
の
取り締まり
に万全を期すべく、これに必要な
資器材
、
指導等
に要する
経費
六千九百万円を計上しております。
首都圏整備委員会
におきましては、
首都圏
における広域的な
排水計画等
に関する
調査
及び
近郊整備地帯
の緑地の
現況等
の
調査
を行なうこととし、
調査費
九百万円を計上しております。 北海道
開発
庁におきましては、
下水道事業費補助
、
公園事業費補助等
の
北海道分
として
総額
七十九億四千九百万円を計上しております。 防衛施設庁におきましては、
防衛施設周辺
の
整備等
に関する
法律
に基づき、
学校等
の
防音工事
の
助成
、家屋の
移転補償等
を行なうこととし、これに必要な
経費
二百五億四千万円を計上しております。 経済企画庁におきましては、離島における
下水道事業
、
廃棄物処理施設整備事業等
を
実施
することとし、
総額
二億四千五百万円を計上しております。
科学技術庁
におきましては、
公害
を起こさない新
農薬
の
創製開発
をはじめとする
各種調査研究
を
実施
することとし、
所要
の
経費
五千七百万円を計上しております。 沖縄
開発
庁におきましては、沖縄における
下水道事業
、
廃棄物処理施設整備事業
及び
公園事業
を
実施
するほか、
公害防止
のための
各種調査
、
指導
を
実施
することとし、
総額
二十五億四千五百万円を計上しております。
環境庁関係予算
につきましては別途御
説明
申し上げましたので、
説明
を省略させていただきます。 以上
総理府関係
の
予算
を合計いたしますと、
総額
四百二十六億五千二百万円となります。 第二に、文部省におきましては、
公立学校
の
公害防止工事等
の
補助
につき
大幅拡充
をはかることとして十七億二千九百万円、さらに、少年の健康を守るとともに自然についての
体験的学習
を行なわしめることを目的とする少年自然の家の
設置費用
の
補助
についても
大幅拡充
をはかることとして十億円、
大気汚染地域
の
公立小中学校児童生徒
を
対象
として、
特別健康診断
及び
移動教室
を
実施
するとともに、
学校環境
の緑化を
推進
することにより
児童生徒
の健康の
保持増進
に資するための
経費
として三億八千八百万円を計上するほか、
史跡等
の
買い上げ
を行なうための
史跡等買い上げ費
三十億円を含め、
総額
七十二億五千七百万円を計上しております。 第三に、
厚生省
におきましては、近時における
廃棄物発生量
の
飛躍的増加
と
処理
の
困難化
の実情にかんがみ、
廃棄物処理施設整備計画
に基づく
補助
を飛躍的に
拡充
することとし、百五十八億一千四百万円を計上しております。このほか、
PCB対策
として、
各種
の
疫学的実態調査等
を
実施
するための
経費
二千万円、
浄水場
の
排水処理施設整備
四億五千九百万円、保健所の
公害関係
諸
経費
一億六百万円等を含め、
総額
百六十四億三千百万円を計上しております。 第四に、農林省におきましては、まず
農業関係公害防止対策
として、
都市排水等
による
農業用水
の
水質汚濁
に対処するため
水質障害対策費
九億円、
土壌
に蓄積された重金属の
排除等
をはかるため
公害防除特別土地改良事業費
二億三百万円、
畜産経営
の
規模拡大
をはかるとともに
公害
問題の
解決
に資するため、
畜産団地造成事業
十三億七千八百万円及び
畜産経営環境整備事業費
六億六千百万円、
地盤沈下対策
として
新潟地域等特殊排水事業費
十八億六千万円を計上する等の
措置
を講ずることとしております。 また、
瀬戸内海赤潮対策等水産関係環境保全対策
四億四千七百万円を計上しており、このほか
農林水産業
の
環境保全機能
の解明その他
公害関係
の
試験研究
の
強化
、
農薬残留対策
の
充実等
をはかることとしており、これらを合わせて
総額
として八十億五千三百万円を計上しております。 第五に、
通商産業省
におきましては、まず、
公害防止技術
の
開発
を強力に
推進
するため、
重要技術研究開発費補助金
について、新たに新
技術企業化
をその
対象
に加えることとするほか、従来からの
クローズドプロセス技術等
の
開発
を進めることとして十五億六千万円を計上し、さらに
大型工業技術研究開発費
、
資源再生利用技術システム研究開発調査費等
を大幅に
拡充
することとしております。 次に、
公害
の
未然
防止
のため、産業
公害防止
対策
調査
のための
経費
二億一千六百万円を計上するとともに、新たに内陸工業
開発
総合事前
調査費
として三千万円、
環境
汚染を経て人体に悪影響のある化学品についての安全性を確保するための
対策
として一億四千四百万円を計上しております。 また、鉱山による鉱害の
防止
により一そう
推進
するため、金属鉱物探鉱促進
事業団
を改組
拡充
して計画的に鉱害
防止
対策
の促進をはかることとし、二億九千万円を計上するとともに、従来からの休廃止鉱山鉱害
防止
対策
関係
経費
も七億四千五百万円と大幅に
拡充
することとしております。 このほか、
地盤沈下
防止
対策
工業用水道
事業
費
補助
の飛躍的
拡充
をはかることとしており、これらを合わせて
総額
八十一億八千六百万円を計上しております。 第六に、運輸省におきましては、まず、海洋汚染
防止
対策
として、海上
公害事犯
の
取り締まり
を効果的に行なうための
監視
・
取り締まり
体制の
整備
のための
経費
として一億一千四百万円、港湾における汚泥しゅんせつ
事業
の
補助
に要する
経費
として八億四千七百万円を計上するほか、新たに海洋の清掃のための清掃船の建造、港湾内の廃棄物
処理
施設の
整備等
を
実施
することとし、合わせて五十八億五千六百万円を計上することとしております。 また、空港周辺の騒音問題に対処するため、
学校等
公共施設の
防音工事
の
助成
^家屋の
移転補償等
の
事業
の
拡充
をはかるとともに、新たに民家の
防音工事
に対する
助成
、大阪空港周辺
整備
機構(仮称)の設置による空港周辺の土地利用計画の
策定
、これに基づく緩衝緑地の造成等を
実施
することとし、百十億四千万円を計上することとしております。 このほか、自動車の低
公害
技術の
開発
等による
自動車公害
防止
対策
、観光レクリエーション地区の
整備等
の
自然環境保全対策
も
推進
することとしており、これらを合わせて
総額
百七十三億二千七百万円を計上しております。 第七に、労働省におきましては、労働
環境
整備
の見地から
各種
専門技術
指導
を行なうため、有害
環境
改善
推進
費として四千二百万円を計上しております。 第八に、
建設省
におきましては、まず、下水道
整備
対策
について、下水道
整備
五カ年計画を大幅に繰り上げ
実施
することとし、千四百六十六億三千五百万円を計上することとしたほか、
下水道事業
の円滑な
実施
をはかるため、
下水道事業
センター
助成
に必要な
経費
として二億八千万円を計上しております。 次に、
都市
における産業
公害
を緩和
防止
するための
措置
として
実施
している緩衝緑地
整備
事業
の
拡充
をはかることとし、二十二億円、
地盤沈下
に対処するため、高潮
対策
事業
費につきましても
所要
の
予算
を確保することとし、三十億六千万円をそれぞれ計上する等、
各種
の
公害防止
事業
の
拡充
をはかることとしております。
自然環境保全関係
の
施策
としては、
都市
の
生活環境
の改善をはかるため、
公園事業
費の飛躍的
拡充
をはかることとし、百七十二億八千三百万円を計上するとともに、大
都市
近郊の
自然環境
の
保全
及び古都における歴史的風土の保存をはかるため、古都及び緑地
保全
事業
として六億四千七百万円を計上しております。 以上の
経費
を中心といたしまして、
建設省
においては
総額
千七百三十七億五千二百万円を計上しております。 次に、
公害防止関係
財政投融資について御
説明
いたします。
昭和
四十八年度における
公害防止関係
財政投融資は、全体として、
事業規模
または貸し付け規模において
総額
四千二百九十九億円を
予定
し、前年度の当初計画に比べて千六百六十七億円の
増加
となっております。
公害
規制諸法の
強化
に伴い、民間企業等においては
公害
防除装置の設置等
公害防止
事業
の飛躍的増大が必要となってきており、これを円滑に
実施
せしめるため、
政府
関係
機関
等の果たすべき役割りはきわめて重要であります。 まず、
公害防止事業団
におきましては、
事業規模
において七百三十億円と、前年度に比べて百四十億円の
増加
をはかるとともに、金利を引き下げることとし、さらに業務
対象
として、産業廃棄物の
処理
を行なうため
地方公共団体
が設立する公社等及び産業廃棄物
処理
業者を追加することとしております。 次に、日本
開発
銀行におきましては、貸し付け規模において六百五十億円と、前年度に比べて三百億円の
増加
をはかるとともに、金利を引き下げることとし、さらに工場立地法(仮称)の制定をまって、工場周辺
地域
の
環境
整備
を行なう
事業
を融資
対象
として追加することとしております。 さらに、中小企業金融公庫におきましては、貸し付け規模において百億円と、前年度に比べて二十億円の
増加
をはかることとしております。
国民
金融公庫におきましては、貸し付け規模において、三十億円、農林漁業金融公庫におきましては、
畜産経営
環境保全
施設に関し、貸し付け規模二十九億円を設けるほか、貸し付け条件の緩和をはかることとしております。 また、新たに、金属鉱物探鉱促進
事業団
におきまして、金属等の鉱山の鉱害
防止
工事に対し、長期低利資金の融資を行なうため十一億円の貸し付け規模を確保するとともに、日本私学振興財団におきましても、私立学校の
防音工事
等に関し四億円の貸し付け規模を
予定
しております。 このほか、
地方公共団体
の下水道
整備
、廃棄物
処理
施設整備
等の
事業
を
推進
することとし、地方債計画において二千七百四十五億円を
予定
しております。 最後に、
公害防止関係
の統制上の
措置
についてそのおもなものにつき御
説明
いたします。 まず、無振動鍛造機等の無
公害
化生産
設備
について、初年度三分の一の特別償却
制度
を創設するとともに、
公害防止施設
の特別償却
制度
について、
対象
となる施設の範囲を
拡大
し、さらに適用期限の到来する施設についてはその延長を行なうこととしております。 次に、
公害防止
準備金
制度
について、その適用
対象
業種を
拡大
するとともに、
公害防止事業団
から
事業
協同組合等が譲渡を受けた土地をその組合等から再譲渡により組合員等が取得する場合の登録免許税の税率の軽減
措置
について、適用期限を二年延長することとしております。 また、
昭和
五十年度に適用される運輸省が定める保安
基準
に適合する乗用自動車の
開発
普及を促進するため、低
公害
車の物品税について課税標準を
昭和
四十八年度は四分の一、
昭和
四十九年度上半期は八分の一相当額だけ減額することとしております。 さらに、ガス製造に供される燃焼用揮発油に対する揮発油税及び地方道路税を二年間免除することとしております。 以上をもちまして、各
省庁
の
昭和
四十八年度
環境保全関係予算
の御
説明
を終ります。よろしく御
審議
のほどお願いいたします。
—————————————
大矢正
14
○
委員長
(
大矢正
君) 次に、
公害防止事業団
の
事業
及び
予算
について
説明
を聴取いたします。
江口
公害防止事業団
理事長
。
江口俊男
15
○
参考人
(
江口
俊男
君)
公害防止事業団
の
理事長
でございます。
公害防止事業団
の
事業
の
概要
につきまして御
説明
をいたします。 まず、
公害防止
事業
のこれまでの
実施
状況につきましては、当
事業団
が
昭和
四十年十月一日に設立されまして以来、
昭和
四十七年十二月三十一日現在まで、すなわち七年三カ月の間に、造成建設
事業
におきまして七十三件、約五百三十億円、貸付
事業
におきまして九百五十五件、約八百六十四億円、合計しますと千三百九十三億円に及ぶ
事業
を手がけてまいりました。 当
事業団
が行なっておりまする造成建設
事業
には、お手元にお配りをいたしておりまする資料の三枚目にございまするように、共同
公害防止施設
の設置、譲渡、共同利用建物の設置・譲渡、工場移転用地の造成・譲渡、共同福利施設の設置・譲渡、以上の四種類がございます。 共同
公害防止施設
に関しましては、三重県四日市の共同
公害防止施設
など十三件について建設業務の受託及び譲渡契約を結び、十五億円を投じ、すでに八件について完成譲渡いたしております。 共同利用建物につきましては、第一次ないし第四次の神戸ゴム工場アパートなど十一件、約六十四億円について契約をし、そのうち九件が完成をいたしております。 工場移転用地は、三十五件中二十七件がすでに完成しておりまして、
事業
費はおよそ二百二十億円に達しております。 また、
公害
が
発生
するおそれが特に著しい
地域
に、工業
地域
と住居
地域
とを遮断するための、いわゆる緩衝緑地地帯を設ける共同福利施設では、市原、四日市、大阪泉北地区、第一期の赤穂地区及び徳山の五地区がすでに完成をいたしまして、現在、鹿島など八地区で工事を行なっております。この
事業
費は、総計約二百三十億円に達する見込みであります。 一方、貸付
事業
のほうでありますが、
昭和
四十一年度は十三件、二十四億円とわずかでございましたが、ここ数年来
公害
が大きな社会問題となるにしたがいまして、企業からの申し込みも殺到し、四十六年度は三百九十七件、約三百八十億円、四十七年度は十二月末までに二百四十八件、百九十三億円の貸付契約が行なわれ、一月末現在の貸付決定は三百九件、二百五十七億円に及んでおります。 次に、当
事業団
の
昭和
四十八年度
予算案
について御
説明
申し上げます。 まず、
事業
費は、お配りしました資料の一枚目にございまするように、契約ベースで七百三十億円、その内訳は造成建設
事業
百八十億円、貸付
事業
五百五十億円であります。また、資金ベースでは六百九十二億円、財投資金借入額では五百七十億円であります。 また、
公害防止施設
の設置には多額の資金を必要とするのに、企業利益に直接には寄与しない
設備
投資であることをも勘案し、その設置を促進いたしまするために
助成
条件の緩和をはかる必要があると考えまして、資料の二枚目にありまするように、金利の引き下げが認められることとなりました。 すなわち、共同
公害防止施設
につきましては、中小企業及び
地方公共団体
の場合、これは建設
事業
の場合も貸付
事業
の場合も同様でございまするが、現在は当初三年間五%、四年目以降五・五%となっておりまするのを、当初三年間四・五%、四年目以降五%に引き下げる。大企業については、建設
事業
の場合も、昨年十月一日以降引き下げられました融資
事業
の場合と同様に、当初三年間六・七五%、四年目以降七%となっているのを当初三年間六・五%、四年目以降六・七%とすることとし、さらに、共同利用建物、工場移転用地、共同福利施設の建設
事業
及び
公害防止施設
に対する個別融資につきましては、中小企業及び
地方公共団体
の場合、現在六%となっておりまするのを五・五%に、大企業の場合七%となっておりまするのを六・七%に、それぞれ引き下げることになったわけであります。 さらに、
事業団
の
実施
する
事業
のうち、共同福利施設いわゆる緩衝緑地の建設につきましては、その高度の公共性にかんがみまして、毎年
補助金
が交付されておりましたが、
昭和
四十八年度も二十二億円の国庫
補助
が行なわれることになっております。 以上のような
事業
量の増大に応じまして、それを遂行する事務費として、人員五名の増員分も含め九億四百万円の交付金
予算
となっております。 最後に、納付業務関係
予算案
につきましては、納付業務費約五億四千万円となっております。これは
昭和
四十四年十二月に公布されました
公害
に係る
健康被害
救済
に関する特別
措置
法によりまして、
公害
病認定患者の
救済
に当てるため、
事業団
から県に納付する医療費等と事務費の
総額
でありまして、国からの交付金と
公害対策
協力
財団の拠出金の合計額でございます。 以上が、簡単ではございますが、
公害防止事業団
の
事業
及び四十八年度の
予算案
につきましての概況でございます。よろしく御
審議
をお願いいたします。
—————————————
大矢正
16
○
委員長
(
大矢正
君) 次に、
公害等調整委員会
の
業務概況
について
説明
を聴取いたします。小澤
公害等調整委員会
委員長
。
小澤文雄
17
○
政府委員
(小澤文雄君)
公害等調整委員会
委員長
の小澤文雄でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 ただいまから
公害等調整委員会
が所掌しております
公害
紛争の
処理
に関する事務の概況につきまして、
説明
申し上げます。 事務の
説明
に入ります前に、まず、
公害等調整委員会
の設置の経緯につきまして
説明
申し上げます。
公害等調整委員会
は、昨年の第六十八国会において制定されました
公害等調整委員会
設置法により、従前の中央
公害
審査
委員会
と土地
調整
委員会
とが統合されまして、
総理府
の外局たる
行政
委員会
として昨年七月一日から新しく発足いたしたものでございます。
公害等調整委員会
は、鉱業、採石業または砂利採取業と一般公益等との
調整
をはかるという従前の土地
調整
委員会
の任務権限は持ちますが、そのほか、
公害
紛争
処理
法の定めるところにより
公害
にかかる
被害
に関する民事上の紛争につきまして調停、仲裁及び裁定を行なうとともに、
地方公共団体
が行なう
公害
に関する苦情の
処理
について
指導等
を行なうこととなっております。
公害等調整委員会
の
公害
紛争
処理
に関する任務権限のうち、裁定を行なう権限は、当
委員会
の発足後三カ月を経過いたしました昨年九月三十日から新たにつけ加わったものでございまして、そのほかの任務は、いずれも、従前の中央
公害
審査
委員会
から当
委員会
が引き継いで行なうことになったものでございます。 続きまして、これらの事務の概況について
説明
申し上げます。 第一に、
公害等調整委員会
が行ないます
公害
紛争についての調停及び仲裁は、ともに、紛争
解決
の基礎を当事者の合意に求めるものでございますが、当
委員会
が管轄する
公害
紛争は、人の生命、健康に重大な
被害
を生ずる
公害
に関する紛争あるいは農作物や魚介類など人の生活に密接な関係を有する動植物に一億円以上の
被害
を生ずる
公害
に関する紛争、それから新幹線及び航空機の運行により生ずる騒音に関する紛争、それから
被害
地、加害地が二つ以上の都道府県の区域にまたがる
公害
に関する紛争などでございまして、いずれも、社会的に重大な影響を有し、かつ、広域的な見地から
処理
することが適当と考えられるものでございます。なお、当
委員会
の管轄に属しない、そのほかの比較的
地域
住民の日常生活に密着した
公害
に関する紛争につきましては、
公害
紛争
処理
法に基づいて全国の都道府県に設けております都道府県
公害
審査会等が行なう和解の仲介、調停及び仲裁の手続によって
処理
されております。 第二は、
公害
紛争についての裁定でございますが、これには、責任裁定と原因裁定の二種類がありまして、ともに訴訟手続に準じた慎重な手続によって紛争を
処理
することとなっております。まず、責任裁定と申しますのは、
公害
による
被害
について
損害賠償
に関する紛争が生じた場合に、
被害者
からの申請に基づいて、その相手方の
損害賠償
責任の有無及びその範囲について判断するものでございます。一方、原因裁定と申しますのは、
公害
紛争においてその解明が困難で、当事者間の争いの中心となることが多い自然的、事実的因果関係について、当事者からの申請に基づいて、その有無を明らかにする裁定でございます。いずれも
公害
紛争の特質を踏まえて設けられた
制度
でございまして、これらは先ほどの調停、仲裁とは違いまして、当事者間の合意を必要としないわけでございます。 第三の事務は、
地方公共団体
が行なう
公害
に関する苦情の
処理
について
指導等
を行なうことでございます。住民から申し立てられます
公害
に関する苦情の数は、その
地域
の
環境
問題の指標的な意味を持つものでありますと同時に、また、
公害
苦情は
公害
紛争の前段階的な性格を有しているものでございますので、その適切な
処理
をはかることは、
公害
紛争の
発生
の事故
防止
という面におきまして、きわめて重要な機能を果たすものでございます。このような
公害
苦情の適正な
処理
の重要性にかんがみまして、
公害
紛争
処理
法においては、これに当たるべき
地方公共団体
の責務を明らかにし、
公害
苦情相談員の
制度
を定めておりますが、
公害等調整委員会
は、
地方公共団体
が行なう
公害
苦情の
処理
について
指導
、助言、
協力
等をすることとなっております。 次に、最近までの当
委員会
の事務
処理
の
概要
を御
説明
申し上げます。
公害
紛争の
処理
に関しましては、当
委員会
に係属したものは二十件でございまして、いずれも調停の申請であります。そのうち十件は、従前の中央
公害
審査
委員会
から引き継いだもので、残る十件が、
公害等調整委員会
の発足後申請されたものでございます。これら二十件の調停の申請を、
公害
事件別に見ますと、鹿児島湾における
水質汚濁
による真珠養殖不能事件一件、
瀬戸内海
の燧灘東部海域における
水質汚濁
による漁業
被害
事件一件、不知火海沿岸における
水質汚濁
によるいわゆる水俣病事件十四件、渡良瀬川沿岸における鉱毒による農業
被害
事件三件及び大阪国際空港周辺
地域
における騒音による
生活環境
被害
事件一件でございまして、これらを通じ申請人の総数は約四千八百人の多数にのぼっております。これらのうち、紛争
処理
が終結いたしましたものは、燧灘東部海域における
水質汚濁
による漁業
被害
事件一件でございますが、この事件は、申請人約千四百人、相手方会社七十社という事件であり、昨年十月に、調停の申請以来約一年で、調停が成立いたしました。そのほかの事件は、目下、手続進行中でございます。 また、最近とりまとめを終わりました
昭和
四十六年度の全国の
公害
苦情の総件数は、約七万六千件となっておりまして、前年度に比べて約一九。パーセント
増加
しております。 次に引き続き、
昭和
四十八年度の
公害等調整委員会
の
予算案
につきまして、その
概要
を
説明
申し上げます。
昭和
四十八年度の
総理府
所管一般会計
予算
のうち
公害等調整委員会
の
予算
の
総額
は、一億八千九百四十三万九千円でありまして、これを前年度の
歳出予算額
一億六千六百二万二千円と比較いたしますと、二千三百四十一万七千円の
増額
となっております。そのうちの
重点
項目は、
公害
の因果関係の解明に要する
調査
のうち、特に専門的、技術的要素の強いものを外部の研究
機関
に委託するための
公害
紛争
調査
経費
、並びに
公害
苦情の
処理
について
地方公共団体
の職員に対する
研修
指導等
を
実施
するための
公害
苦情相談
制度
経費
でございます。 以上が、
公害等調整委員会
が行なってまいりました
公害
紛争の
処理
に関する事務の概況及び
昭和
四十八年度の
予算案
の大要でございます。 なお、
公害等調整委員会
設置法第十七条に定められております
昭和
四十七年の所掌事務
処理
状況の報告書は、会計年度で取りまとめ、追って所定の手続を経てお手元にお届けいたしますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。
—————————————
大矢正
18
○
委員長
(
大矢正
君) 本
調査
に関する質疑を行ないます。 質疑のある方は順次御発言を願います。
杉原一雄
19
○
杉原一雄
君 いわゆる
公害
国会といわれた
昭和
四十五年の十二月、十四の
公害関係
立法が、われわれも相
協力
をして成立をしたわけですが、きょう質問するのは、その一つの、農用地の
土壌
の汚染
防止等
に関する
法律
、
法律
一三九号ですか、これがもうすでに二年有余、月日を経過しておりますので、どのように適用され、その適用の中から、いわゆるいま長官が申した自然を愛するとか、あるいは農用地の効率的適用の問題とか、そうしたさまざまな問題をその中から掘り出していきたいと思うのであります。 言うまでもなく法第一条には、その中に「農用地の
土壌
の特定有害物質による汚染の
防止
及び除去並びにその汚染に係る農用地の利用の合理化を図るために必要な
措置
を講ずることにより」云々と、こうあるわけであります。 最初に、そのような目的によって施行されたこの
法律
が、すでにいま申し上げたように二年有余を経過いたしておりますが、この
法律
の具体的な動きとして、第三条の「農用地
土壌
汚染
対策
地域
の
指定
」ということなどが仕事の初めになると思います。現在、法三条による
指定
地域
の状況が一体どうなっているか、総括的な、つまりあらましの姿、概況をひとつまずもって報告をいただきたいと思います。
岡安誠
20
○
政府委員
(岡安誠君) 農用地の
土壌汚染防止
法の施行状況でございますが、現在、この
法律
によりまして特定有害物質として
指定
されておりますのは、カドミウムと銅でございます。 まずカドミウムについて申し上げますと、
昭和
四十六年度におきまして、全国の百十七
地域
につきまして細密の
調査
を行なったわけでございますか、その結果、二十八
地域
からカドミウムを一PPM以上含む玄米が検出されたわけでございます。これらの
地域
につきましては、この
法律
によりまして
地域
の
指定
が行なわれるというようなたてまえになっておりますが、現在までこの
法律
によりまして
土壌
汚染
地域
の
指定
が行なわれましたのは、福島県磐梯
地域
など七
地域
でございます。それ以外の
地域
につきましては、現在、
地域
指定
をすべく、各関係都道府県知事が作業を進めておるという段階でございます。 なお、この
地域
指定
がなされまして、その次の段階におきましては
対策
計画が樹立されるわけでございます。その
対策
計画につきましては、現在二つの
地域
につきまして計画が樹立されております。その
地域
は、群馬県の碓氷川流域の
地域
、それから兵庫県の生野鉱山周辺
地域
、この二つでございます。 〔
委員長
退席、
理事
金井元彦君着席〕 それから次に銅でございますが、銅につきましては、先般、この
法律
に基づきます特定有害物質としての
指定
が行なわれ、それから
対策
地域
指定
の
基準
が定まった段階でございますので、目下、その
基準
に従いまして、各都道府県知事が
地域
指定
の準備をいたしておるという段階でございます。
杉原一雄
21
○
杉原一雄
君 そうしますと、最初のところでは、一PPM以上は百十七あったということですね。そのうち二十八にしぼられていったわけですが、その二十八以外のところは問題がない、このように軽く理解していいですか。
岡安誠
22
○
政府委員
(岡安誠君) これは四十六年度の
調査
結果でございます。御承知のとおり、
土壌
中のカドミウムの量と、それが玄米中に検出される関係は複雑でございまして、その年の天候その他いろいろの条件が変わりますと、吸収その他の状態が変わってまいります。そこで私どもは、四十七年度以降におきましても、引き続きこれらの
地域
並びにそれ以外の
地域
におきましても細密
調査
をいたさせておりますので、今後さらに、この二十八
地域
より以外に、一PPM以上のカドミウムが含まれる玄米を産出する
地域
というものがふえる可能性はあるというふうに考えております。
杉原一雄
23
○
杉原一雄
君 そうすると、いまの報告の中で百十七が二十八にしぼられて、いま
局長
の答弁では二十八以外のところもなおかつ、単純に言えば警戒警報中だというふうに理解をしていいと思いますが、そこで、二十八というのはどういうことなのか、いまの
説明
でははっきりした限界が理解できないのですけれども、二十八と、ただの七ですね、だんだんと詰められているわけです。最後は二でしょう。この辺の関係で、二十八ということはどういうことなのか、もう一度。
岡安誠
24
○
政府委員
(岡安誠君) 申し上げますと、四十六年度の
調査
によりまして、玄米中のカドミウムの量が一PPM以上出たという
地域
の数が二十八でございまして、その二十八は、一応この
法律
に基づきます
地域
指定
の
対象
になり得るということになるわけでございます。 そこで、それらの二十八のうち、県がそれぞれ
指定
をしてまいりまして、現在までに、過去のデータをも含めまして、実は七つでございますけれども、それが
地域
指定
ができました。それ以外につきましては、現在近く
指定
の
予定
中の
地域
であるとか、この
法律
によらないで県単独で
対策
をすでに実行した
地域
であるとか、それから農用地以外に転用をした
地域
であるとか、現在休耕中の
地域
であるとか、いろいろ
対策
が分かれるわけでございますが、それぞれ必要に応じまして、この二十八
地域
のうち
地域
指定
が
拡大
をされていくというふうに考えております。
杉原一雄
25
○
杉原一雄
君 そうしますと、二十八の中に、先ほどしぼって七とおっしゃったけれども、七が八になり九になり十になるという可能性というのか、危険性がまだ存在している、こういうふうに理解していいわけですね。
岡安誠
26
○
政府委員
(岡安誠君) そのとおりでございます。
杉原一雄
27
○
杉原一雄
君 それでは次に、七が二になる段階ですが、二つは、いまおっしゃったように安中と生野ですが、いよいよ第三条による
地域
指定
が県知事段階で確認され、
環境庁
でもそのことを裏打ちされたわけでしょうけれども、七引く二ですから、あと五ありますけれども、これは明らかに一PPM以上であることは
環境庁
も十分承知のことだと思うけれども、ただ、その五が、なぜ早く第三条のような線引きが行なわれないのか、その辺の事情。私は具体的なところも承知しているつもりだけれども、庁として把握しているところですね、あと五。その五はどういう事情で、いわゆるこの第三条のそれにきちっと線引きを完了していないのか。その辺の事情は、具体的に個所をお示しをいただいても、何も差しさわりのないことだから、お示しいただきたいと思います。
岡安誠
28
○
政府委員
(岡安誠君) 先ほど申し上げましたように、七つの
地域
につきましては
地域
の
指定
が完了いたしておりますので、その
地域
内の汚染状況によりまして具体的な
対策
計画が樹立される。
対策
計画の中には土地改良
事業
——土地改良
事業
の中にも客土もございますし、客土の方法につきましても、相当深い厚さの土を入れかえるもの、混層をするもの、それから土をどこから持ってくるとか、そういう具体的な
事業
計画を樹立しなければなりません。そういう
事業
計画の樹立のために、現在各県が検討を重ねているという状態でございまして、遠からずの間に、残りの五つの
地域
につきましては
対策
計画、これは県でできますと、
環境庁長官
並びに農林大臣の承認が要りますので、私どものほうに上がってくるというふうに考えております。
杉原一雄
29
○
杉原一雄
君 ちょっと私の理解が悪かったと思いますけれども、七つは線引きがきちんと終わっている。そういうことですね。
岡安誠
30
○
政府委員
(岡安誠君) はい。
杉原一雄
31
○
杉原一雄
君 そのうち二つだけは、いわゆる改良計画をつくってしまったという意味ですか。計画に入っているという意味ですか。どういうことですか、この辺は。
岡安誠
32
○
政府委員
(岡安誠君)
対策
計画ができまして、
環境庁長官
並びに農林大臣の承認を受けましたので、二つにつきましては実行の段階にこれから入るところということでございます。
杉原一雄
33
○
杉原一雄
君 そうしますと、二つは、ですに安中なり生野というのは明確になってきたわけですが、
対策
計画が進行中だと思いますけれども、いまこの場を通じて、あとの、これから
対策
計画を樹立しようというところもあるわけですから、そうしたところに対する
指導
行政
の一つの見本といった意味もありますので、大体いま簡単におっしゃったようでけれども、生野なり安中で現在どういう形でいわゆる第五条の
対策
計画を立てているかという、計画の内容等について、もちろんそれぞれの連絡
指導
があると思いますけれども、簡単に、こういう方法とこういう方法とがあって、望ましい作業が進んでいるのだということなど、御披瀝いただければと思います。
遠藤寛二
34
○
政府委員
(遠藤寛二君) 碓氷川流域
地域
、群馬県の安中でございますが、それと生野の鉱山周辺
地域
でございますが、まず碓氷川の流域
地域
につきましては、
対象
となりました面積百二十三ヘクタールのうち、農用地として利用いたしますものが百十六ヘクタール。これは改良して農用地に使うことになります。それから農用地以外として利用するというもの、二ヘクタール。これは宅地にするということで転用をいたす計画になっております。合計百十八ヘクタール。あと、ちょっと差がございますのは、農道等耕地に関係のないところが含まれて
指定
に入っているためでございます。 それから、その改良のほうでございますが、改良の内容といたしましては、排土及び客土をやるという
事業
が一つございます。排土は大体十センチから二十センチの排土をいたしまして、十センチから三十センチの客土をする、これが一つの
事業
でございます。それとあわせまして
土壌
改良剤を加える。たとえば溶成燐肥、過燐酸石灰、珪カル、鶏ふん、こういったものを入れます。これは客土を入れまして土地がやせるものでございますから、それを補うという意味が非常にございますのと、もう一つは、カドミウムがアルカリ性に傾きますと溶解度が減りますので、その両方を兼ねた目的を持ってこういうことをいたしております。 それからもう一つ、再汚染
防止
対策
といたしまして、用水路に昔から汚泥がたまっておりまして、その汚泥の中にカドミウムがございますので、それの除去。それから工場敷地がそばにあります。そこに積んでありますガラのようなものから雨水によって流れ出ることを警戒いたしまして、それの承水路をつくる、こういう
事業
。それから、そういったものがきくかどうか、汚染が今後起こらないようにするための、
監視
をするための
監視
田といいますか、観測田といいますか、そういうものを四カ所設ける。 こういったものが一つの碓氷川の計画でございまして、
事業
費といたしまして大体六億三千万でございます。この中身につきましては、四分の三は
事業
者負担でございまして、残りにつきまして、国と公共団体で大体負担をするということになっております。それから
実施
主体は、この場合、群馬県が
事業
主体になるということになっております。 生野のほうにつきましては、農用地利用いたしますのが二二・九六ヘクタール、農用地以外が七・五六ヘクタールでございまして、これの内訳は宅地が一・四八ヘクタール、これは町営住宅だそうでございます。それから工場用地、これは
公害
企業と関係ない新しい工場を誘致するための工場敷地にするのが四・九〇ヘクタール。それから杉の植林をいたしますのが一・一八ヘクタール。合わせまして三〇・五二ヘクタールが
事業
計画の
対象
になっております。 これも同様に客土、
土壌
改良剤の施用、それから再汚染の
防止
、この場合は、その辺の
地質等
の関係もございまして、いままでの水が再び流入しないように、水路のところで
調整
をいたしますゲートをつくる。これは頭首工ごとに、そういうものが入ってこないようなゲートをこしらえて水路を変えるというものと、それから先ほど申しました観測田を設ける、こういったようなことを
事業
計画といたしまして、
事業
費三億一千七百万。目下この
事業
費の負担につきましては、いま県の知事のところで御検討のようでございまして、まだきまっておりません。
事業
実施
主体は兵庫県でございます。 以上が大体両方の計画の内容でございます。
杉原一雄
35
○
杉原一雄
君 いまの報告で大体わかったのですけれども、ただ、本来農用地でしたから、宅地その他の問題は別ですけれども、農用用地を農用地として、なかんずく米をつくっていたから米をつくるということになりますと、いまの報告の中では、排土客土、こういうことで三十センチとか言われておりますね。
総額
の
経費
はわかりますけれども、大体そういうものは、作業をする場合に一坪に対してどれくらいの
経費
がかかりますか。
遠藤寛二
36
○
政府委員
(遠藤寛二君) ちょっといま内訳ごとに計算してございませんので、承水路その他の
事業
費を全部面積割りで割りました場合、十アール、これは一反でございますが、一反歩当たりで碓氷川の場合が五十四万三千円、生野の場合は百三十七万八千円ということになっております。
杉原一雄
37
○
杉原一雄
君 これは土地の事情もありましょうけれども、ずいぶん違うのですけれども、生野は丘陵地帯なんですか。どういうことでこんなに違うのですか。
遠藤寛二
38
○
政府委員
(遠藤寛二君) 生野の場合は、一つは客土を運ぶ場所の問題が一つございますのと、それからもう一つは、非常にざる田でございまして、水がどんどん抜けまして酸化状態になってしまいますものですから、その水が下へ抜けるのをとめますと、かなり還元状態になりまして、カドミウムの溶け方が変わってまいりますので、下のほうに床締め客土のようなことをやりまして、その上に普通の客土をするというかっこうになりますので、
事業
費が非常に高くなるわけであります。
杉原一雄
39
○
杉原一雄
君 先ほどの
予算
説明
によりますと、
環境保全関係予算
についての
説明
、
環境庁
ですが、これの九ページに「農林省におきましては」とありますね。この中に「
土壌
に蓄積された重金属の
排除等
をはかるため
公害防除特別土地改良事業費
二億三百万円」、これはいま集中的にこういう作業が進んでいる
地域
に投入されるものなのか、それとも各
地域
に、準備
調査
作業等にこれをばらまかれていくお金なのか。ちょっとその辺のところが見当つきませんが、それは一体、二億でわずかですけれども、これは
事業
費ですから、計画内容はどうなっているのですか。
遠藤寛二
40
○
政府委員
(遠藤寛二君) 掲げてあります
予算
の大部分につきましては、当初年次でございますので、全体
実施
計画を立てます計画費が主でございまして、
事業
費につきましては、計画が立ちましてあと、ということになります。 たとえば今年度の場合を例に引きますと、碓氷川の場合、本年度全体
実施
計画に使います金が五百二十五万円で、工事費は三千三百七十五万円、これは何年間かの年次計画でございまして、主力は明年度以降の
事業
になるというかっこうになるためでございます。それから生野鉱山につきましては、本年度
事業
着手と申しますけれども、全体の
実施
設計費五百二十五万円が計上されている、そういうことでございまして、当初年次につきましては、先ほど申しました
地域
全体の面積が直ちに直るという
事業
量の計算にはなっておらないわけでございます、この二億何がしという金につきましては。
杉原一雄
41
○
杉原一雄
君 まだたくさん具体的な改良計画が進められていないところがあるわけですから、いま幸いにして先進的に作業が進んでいる二つの
地域
があるわけですけれども、そうした
地域
の
指導等
を進められる過程の中で、これからあとの
地域
、五
地域
その他あるわけですが、そうしたことに対して、
環境庁
としては、やはり客土方針をもってあくまで農用地として復元させるという方向に作業を進められるのか、さもなければ、あるいは転用の問題等もあるわけですから、その辺のところをやはりあくまで都道府県知事にげたを預けるというような態度を貫いていかれるのか。その辺のところ、きわめて簡単なことですけれども、はっきりしておいてください。
岡安誠
42
○
政府委員
(岡安誠君) これは
土壌汚染防止
法の第五条の「農用地
土壌
汚染
対策
計画」という条項の中にも書いてあることでございますが、やはり都道府県知事は当該関係農民の意思を尊重しながら、土地利用上の区分等を明らかにいたしまして、
対策
計画を立てるということになっております。したがって、現在農用地であるからといって、すべてそれを農用地にするということでなくて、これをやはり転用その他にすることもございましょうし、また現在の作目が水稲等でありましても、これを花卉その他の食用農作物以外のものにかえるということもございましょうし、それは関係農民と相談の上、都道府県知事が
指導
権を握りまして樹立していただくということにいたしたいと思っております。
杉原一雄
43
○
杉原一雄
君 先ほど来の
説明
の中で、一部、米づくりじゃないが、植林か何かということをおっしゃったと思いますが、それは何を植えつけたのか、報告はどうなっておりますか。
遠藤寛二
44
○
政府委員
(遠藤寛二君) 生野の計画になっておりますのは、杉の植林をするという計画になっております。
杉原一雄
45
○
杉原一雄
君 苗づくりですか。それとも、そこでいわゆる植林をしていくという永久的な計画なんですか。
遠藤寛二
46
○
政府委員
(遠藤寛二君) そこを杉林にするということでございまして、苗づくりではないわけでございます。
杉原一雄
47
○
杉原一雄
君 先ほどの
局長
の話だと、それは転用も可なり、植林も可なり、必ずしも稲作でなくてもよろしいと、こういう非常にゆるい態度のように思います。しかし地元民とすれば、やはりもとへ返してほしいという気持ちが非常に率直に出てきていると思います。そういう点は今後
指導
に当たる場合に、かなり心にとめてがんばっていただきたいと思いますが、先ほどの報告を見ますと、生野などは十アール百何十万、たいへんな
経費
がかかります。その辺のところ、かなりデリケートだろうと思いますけれども、今後のそうした
指導
にあたりまして、
行政
上十分の御配慮をいただきたいと思います。 ただ、ここで非常にやっかいな問題は、これは私の県にも二カ所あるわけですが、線引きした隣の隣接地、あぜ一本で隣合わせになるわけですが、それは米に一・〇PPM出なかったとか出たとか、そういうことによって区別されるわけですが、
地域
住民の気持ちから見れば、変わらぬじゃないか、また、米が減収じゃないか、あるいは稲の苗が黄色く変わって困るじゃないかというような話も出てくるわけですが、その辺の隣接のところに対する
指導
ですね、これをどういうふうにするか。 線引きの中へ入っていないから、それはそういうことはかまわぬじゃないか、しかたがない、
法律
がきびしいんだと、こういうことではねのけていけるものかどうか。その隣に田を持つ人たちにとっては非常に真剣な問題になっておりますので、いわゆる
公害
に対する今日までの長い運動の経過もあったからでありましょうけれども、何とかしてほしい、こういう声が出てきているわけですが、こうしたことに対して、それは汚染の度合いもありますけれども、しかし、全然ゼロなところでそういう提起は出てこないと思います。だから、そういったものに対して何かこう、県が主体になることだと思いますけれども、
行政
上めんどうをみてやる手だてがないのか。その辺のところ、おそらく陳情等もあったと思うが、検討された向きはございませんか。
岡安誠
48
○
政府委員
(岡安誠君) やはり
土壌汚染防止
法のたてまえからいきますと、この
法律
に乗りまして
対策
事業
を
実施
するのは、線引きをされた
地域
以内ということにならざるを得ないと思いますが、その周辺につきまして問題が全くないというわけではないことを私ども承知いたしております。 そこで、具体的に
事業
を
実施
する場合におきましては、周辺の
地域
につきましても、あわせて
事業
を
実施
をするというような方策を、これは事実問題としてなし得るように、農林省その他関係のところと相談をいたしております。ただ問題は、費用の負担区分その他非常に困難な問題が生ずるわけでございますけれども、その辺は地元の話し合いで
処理
をしていただくように、これはなかなか困難ではございますが、当該関係の知事にお願いをいたしているのが実情でございます。
杉原一雄
49
○
杉原一雄
君 それは、農林省のほうかどこかへお願いしてきた
地域
があると思いますが、隣接のところでは、線の外だから、いまのこの汚染
防止
法の適用がない。だがしかし、これは土地改良その他の適用によって何とか援助を御
協力
いただきたいという陳情が上がっていると思いますが、それは結論は聞いているのですけれども、それ以上一歩も出ないのか。ということは、
局長
がいま申したように、何か弾力性のあるような表現を実はとりましたけれども、それに寄りすがっていいのかどうか。土改法等によって何とか
補助
するとか、そういう点がほんとうにないのかあるのか。やっかいなことですけれども、もう一度お聞きしたいと思います。
岡安誠
50
○
政府委員
(岡安誠君) まあ正式の御返事ということになりますと、
土壌汚染防止
法によりましては
措置
しがたいわけでございます。 しかしながら、実際問題といたしまして、何か周辺の農家の方々の御要望に沿える道がないものかということを研究するように、知事にもお願いをし、また農林省とも相談をしているのでございますが、先ほど申し上げましたように、負担につきまして、
土壌汚染防止
法によりますと、当該
地域
内につきましては、汚染原因者である企業のほうの負担というものを相当部分導入することができますが、その
地域
以外につきましてはやはり問題がございますので、その辺、
法律
によらない
措置
として可能かどうか、これは検討をお願いしておるというのが実情でございます。
杉原一雄
51
○
杉原一雄
君
行政
当局とすれば非常にやっかいなことでございまして、
指定
地域
と、準ということばが当たるかどうか知れませんが、少なくとも、めくらめっぽうにわしのところも関係があるとは、だれも言わないと思います。その該当
地域
にいわば準ずるような
地域
等も、県当局とも話をして、改良しようとか汚染を排除しようという努力等について何か手だてがあるものならば、いまおっしゃったように今後御検討をしていただいて、住民のそうした願いにこたえていただくような努力をいただきたいと思うのでございます。 私は、大体質問しようと思った要点にかなり的確にお答えいただきましたから終わりたいと思いますが、ただ、先ほどの七つ、二十八、こうなるわけですから、その七つ、つまり七引く二ですから五ですが、それらの計画の出てくるめどですね、連絡等からある程度御判断いただいておると思いますが、その辺のところと、次に
拡大
すれば、あと二十一になりますね、そうしたもの等の見通し、てこ入れのあなた方の段取りですね。それはどういうふうになっているか、お聞きしたいと思います。
岡安誠
52
○
政府委員
(岡安誠君) 現在のところ、今年度中には、ちょっと
対策
計画が出てくる様子はないようでございますが、四十八年度中には相当大部分のものが出てくるのではなかろうか。ただ、この七つの
地域
の中には、たとえば具体的に申し上げますと、渡良瀬川流域の
地域
というものがございまして、これは銅の
指定
とも関係が出てくる
地域
でございますので、そのほうの
調査
ともからみまして、若干おくれるかもしれないというようなことを私どもは考えておるわけでございます。
小平芳平
53
○小平芳平君 私は、昨年の十二月二十一日に
政府
が発表された、一連の
PCB
汚染についての実態
調査
について質問をいたします。 最初にヘドロの
対策
について質問をいたしますが、
三木
長官、特に、この発表によりますと、一〇〇PPMをこえるヘドロの個所が全国で二十八カ所ある。その二十八カ所の
対策
として、しゅんせつ、封じ込め等の
対策
を
推進
することというふうな
対策
を
環境庁
は発表しております。しかし、実際にはなかなかそのヘドロ
処理
の有効な方法がないではないか。一体どういう方法でこのヘドロ
処理
をやるか。
PCB
の汚染もあるし、あるいは水俣湾のような水銀のヘドロ汚染の
地域
もある。これを一体どうするのかということですね。 それで、いま実際に作業を始めているのが、この富士川河川敷で田子の浦港のヘドロ
処理
を始めております。この問題は水かけ論になっては困るわけですから、ぜひとも私は
三木
長官のはっきりした御答弁をいただきたいために、
委員長
にも特にお願いをして、黒板と河川敷の略図を用意してまいったわけです。 初めに、
環境庁
から、一体この一〇〇PPMをこえる二十八カ所については、しゅんせつ、封じ込め等の具体的処置をとれということを指示しておられますが、私がいま理解している範囲では、田子の浦だけが始めようとしておるのですが、第一次、第二次、第三次としてやってきておるのですが、そのほか、こうすればいいという方法がありますかどうか。ただこういう指示を流しただけで、具体的にこうすれば非常にいい方法だというものがありますかどうか。その辺をひとつ簡単にお答えいただきたい。
岡安誠
54
○
政府委員
(岡安誠君) まず、
PCB
によります底質の汚染につきまして、私どもの
調査
によりますと、一〇〇PPMをこえるような
PCB
を含んでおります底質の地点は、工場排水直下におきましては十九地点、それから工場近接
地域
につきましては五地点、一般公共用水域では三地点という
調査
結果が出ております。 これにつきまして、どういう
対策
をしておるかというようなお話でございますが、なかなか先生のおっしゃるとおり、これらの
対策
はむずかしい点もございます。一般的には、しゅんせつ、封じ込めということで、それぞれ県を
指導
いたしまして、直接企業にさせたり、その他をやらしているわけでございます。 たとえば滋賀県の日本コンデンサにかかります公共用水域の
PCB
汚染底質につきましては、
農業用水
路等をしゅんせついたしまして、ため池に貯留をいたしております。このため池につきましては、すでに民間からの買収を終わっておりますので、このため池に貯留されました
PCB
汚染汚泥を、化学薬品で固定をするという方法を現在検討いたしているのでございまして、まだ完了はいたしておりません。 それから静岡県の共和電器の関係の
PCB
汚染底質でございますが、これにつきましては、
農業用水
路並びに来光川の一部の底質をしゅうせつをいたしまして、工場内に密閉コンクリート槽を設けまして、これに封じ込めを行なっているということでございまして、これも、最終的なこれが
処理
であるかどうかという点は問題があろうかと思いますが、そういうような
措置
をいたしております。 それ以外のところにつきましても、現在、各都道府県が、一〇〇PPMをこえる
PCB
を含む汚泥の存在範囲といいますか、それを確定中でございまして、それがきまりますれば、それぞれしゅんせつ、封じ込め、その他の
対策
をするわけでございます。中には、どういう方法でしたほうがいいかということにつきまして、必ずしも確信を持たない府県がございますので、最近のうちに関係県の担当者を呼びまして、本庁のほうでも
関係省庁
合同でその
対策
につきましてヒヤリングをし、必要があれば指示をいたしたいと、かように考えておる状態でございます。
小平芳平
55
○小平芳平君
三木
長官、田子の浦のヘドロ
処理
については、第一次
処理
のときには、当時の山中長官が、陸で
発生
したものは陸で
処理
するというのはいい考えだ、こういう発言をしたことが非常に力となって、ヘドロを富士川河川敷で、脱水と言ったって、そんな水なんかほとんど減りませんけれども、脱水して
処理
をするということになったわけです。それから第二次
処理
のときには、当時の大石長官が、
PCB
をヘドロが大量に含んでいるという新しい事実もあるので慎重にすべきだという私の発言に対して、大石長官は検討しますと言って、そのまま着工してしまっているのです。 ですから、今度第三次
処理
を県は計画をしておるのですが、
三木
長官はどう考えられますか。
三木武夫
56
○
国務大臣
(
三木武夫
君) 第二次
処理
については、私もいま、その結果が第二次
公害
の原因になってもいかぬという非常な関心をこれには持って、これは非常な
監視
を、河川敷の中に埋没しておるわけですから、そういう場合の常時の
監視
というものは厳重にしなければいかぬということを言っておるわけですが、現在のところは、第二次
公害
と称すべきような影響はないのです。ないというのは、結果的に見てそういうものはあらわれてきていないわけですけれども、御指摘のように、
PCB
なんかの分析法がまだやはり十分に研究の成果が上がっていないのです。そういう点で、この問題については、いままでは第二次
公害
と称すべきものの結果はあらわれてないようだけれども、十分に今後やはり
監視
をしていかなければならぬと考えております。
小平芳平
57
○小平芳平君 長官、第二次
公害
が起きてないという、そこにそもそも間違いがあるのです。そのことはこれから指摘をいたします。 第一、今度第三次
処理
を始めようというときに、悪臭で非常に
地域
住民は悩まされる。大迷惑を受ける。じゃ
局長
、悪臭に対する
処理
は、昨年に比べて今度の計画は何かしていますか、どうですか。
岡安誠
58
○
政府委員
(岡安誠君) これは作業中に
発生
いたします硫化水素ガスの結果、悪臭その他の問題が出るというように考えておりますが、これにつきましては、昨年の実行段階で確かに不手ぎわがあったと思います。もちろん、その不手ぎわの中には、天候が悪かったという点も加わっておりますけれども、田子ノ浦港から河川敷へ送る送泥といいますか、その
能力
と、河川敷におきます乾燥の
能力
というものが食い違いまして、完全に乾燥が行なわれないうちに次の新しい汚泥が送られてくるというようなこともございまして、硫化水素によります悪臭その他の
被害
が出たようでございますが、まだ詳細、第三次計画につきましては打ち合わせば済ませておりませんけれども、第二次計画の
実施
中、またその後におきましては、直ちに送泥計画その他につきましては、天候等も十分にらみ合わせまして、そごのないように指示をいたしております。
小平芳平
59
○小平芳平君 あれだけの広い河川敷へ、これから八十七万五千トンもヘドロを移動すれば、どうやったって、くさいにきまっているじゃないですか。河川敷のそばへ住んでみてごらんなさい。それを、食い違いだとか天候だとか、そんな食い違いや天候じゃないですよ。 それから次に、脱水というけれども、あまり水は減らなかったけれども、脱水後のものはどうしました。
岡安誠
60
○
政府委員
(岡安誠君) 第二次計画におきまして、脱水後のヘドロが約十五万トン出たわけでございますが、これは、そのうち九万トンを河川敷の中に仮置きをする。それから二万四千トンにつきましては河川敷内に、ほかの土砂とまぜまして盛り土をいたしまして、運動場といいますか、それをつくる。残りの三万六千トンにつきましては、富士川と田子の浦の間の田子道路といいますか、その道路敷に使ったというように聞いております。
小平芳平
61
○小平芳平君 要するに、覚え書きがあるんです。その覚え書きでは、知事と県漁連で覚え書きをかわした汚泥
処理
後の処置として、脱水をしたヘドロの残物を漁業に影響なきよう処置をするということ、それは要するに、これからまだ八十七万トンもやろうとしているのですが、河川敷へそのまま置けば、洪水が出たら海へ流れるにきまっているじゃないですか。それから浸透の、地下水の汚濁については次に申しますが、その河川敷は、かわかすだけで、ほかへ持っていくというはずだったのでしょう。それができなくなっただけでしょう。どうですか。
岡安誠
62
○
政府委員
(岡安誠君) 当時の、作業を始める当初におきましては、河川敷内に運動公園のようなものをつくる敷地にする
予定
のヘドロは二万四千トンでございまして、それ以外のものは仮置きという状態で置かれておりましたけれども、その後、この残りにつきましても、河川敷内に公園をつくる敷地としてこれを
処理
をしておるものと聞いております。
小平芳平
63
○小平芳平君 要するに、河川敷へそのまま置けば漁業に悪影響があるといけないから、ほかへ持っていくということなんですよ。それをやらないだけですよ。 それから観測の井戸を掘ったでしょう。観測の井戸は、最初にCODの汚濁が急上昇しているでしょう。それはどうですか。
岡安誠
64
○
政府委員
(岡安誠君) CODにつきましての、周辺の観測井五カ所におきます値についての報告は、いずれも県漁連と打ち合わせました限界値、一〇PPMをこえてはいないというふうに聞いております。
小平芳平
65
○小平芳平君 それは、観測の井戸Aのほうですね。いま
局長
が
説明
したのはAのほう。Bのほうは一〇〇をこえているのですよ。御存じですか。
岡安誠
66
○
政府委員
(岡安誠君) いま御質問のAの井戸Bの井戸というのは、ちょっと私、どれかということはよくわからないのでございますが、おそらく、いま先生のおっしゃった一〇〇PPMをこえているというのは、周辺の井戸ではなくて、乾燥または仮置きをいたしましたその場所に掘りました井戸のCODの計測値ではなかろうかというふうに考えますが。
小平芳平
67
○小平芳平君 いいです、
局長
、聞いてください。
処理
をする、乾燥させるという置き場のその近所に掘った井戸が、ここに書いてあるAです。近所といっても離れておりますけれども。要するにそこの地下水でしょう。 ここでヘドロを沈でんさせておいて、こういう離れたところへ井戸を掘って、その地下水がどういう結果を示しているかというと、初めのうちは〇・六三とか六八とか、一・七二PPMであった地下水が、それがヘドロ
処理
が始まった五月の一日、五日ごろ、集中豪雨があった。それから急にCODの汚濁が増して、五月八日で九・一八、それから六月まで分析を続けて、八ないし九PPM。要するに、ヘドロ
処理
を始める以前とヘドロ
処理
理を始めてから、このCODが十倍にはね上がっているということは、それだけ地下水に影響があったと見る以外にはないでしょう。どうですか。
岡安誠
68
○
政府委員
(岡安誠君) おっしゃるとおり、結局河川敷で乾燥させると申しますのは、水分を、天日によって蒸発する以外は地下へ浸透をさせるということがねらいでございますので、その地下の浸透水は、初めはもちろんよごれております。それが
土壌
の浄化その他によりましてだんだん希釈といいますか、汚染物質は少なくなるわけでございますので、若干はやはりよごれるかもしれませんが、私どもといたしましては、それが
環境
汚染といわれるような数値まで上がらないように、いろいろ乾燥方法等については十分注意するように、というふうに言っているわけでございます。
小平芳平
69
○小平芳平君 じゃ、地下水の
環境基準
は幾らですか。
岡安誠
70
○
政府委員
(岡安誠君) まだ地下水につきまして、CODがどれだけでなければならないかということはございませんが、先ほど申し上げましたように、県と県漁連との打ち合わせの段階では、一〇PPMをこえないということでやっておりますので、少なくともそれをこえないように
措置
をすべきだというふうに私ども考えております。
小平芳平
71
○小平芳平君 要するに
環境基準
によれば、一〇PPMというのは工業用水としても三級という、一番使えない水じゃないですか。地下水は普通きれいでしょう。常識で考えてきれいであるべき水、しかも初めは一PPM以下だったのだから、それが一〇PPM近くはね上がるということは、工業用水三級としてしか使えないということは、それだけの汚染があったのじゃないですか。そうでしょう。
岡安誠
72
○
政府委員
(岡安誠君) おっしゃるとおり、地下水を汚染をしてもいいということはございませんで、なるべくこれをきれいに保持すべきであるというふうに考えておりますが、これも観測井その他の場所につきましては、現在飲用等には使われておらないのでございまして、もしこれが、もちろん飲用等に使われている井戸にそのような影響があれば問題でございますが、主としてこれは、さらに下流を経まして漁業に影響があるかないかということで
調査
をし、
監視
をすることにいたしておりますので、少なくとも漁業のほうには影響はないというふうに私どもは考えております。
小平芳平
73
○小平芳平君 漁業にどういう影響があるか、あるいは地下水ですから、どこの井戸の地下水が汚染してくるか、地下水ですから、どこへどういうふうにその汚染が出てくるかわからないですからね。
三木
長官、そういうわけですよ、十倍にはね上がっているということですね。 それから次に、こうしたヘドロ
処理
をやったあと、結局ここで乾燥させたと。ほとんど乾燥しませんでしたけれども、要するに少し水の減ったものを今度は別の河川敷へ移して、そうして砂、ヘドロ、砂、ヘドロ、そこへ表土というふうにやったというふうな
説明
になっておりますが、実際はブルドーザーで土砂と一緒にひっくり返して積んであるだけですが、しかし
説明
はこういうふうにして、この観測井1という井戸は地下水へいっている。観測井2というこの井戸は、ヘドロの部分にも穴をあけ、地下水へも通じている。これは
環境庁
の
説明
がこういう
説明
をされたから、ぼくはそのとおり書いてきたわけです。 そうすると、だれが考えても、
局長
、この井戸は2のほうがよごれるわけでしょう。ヘドロのほうへ穴があいているのだから。ところが、1のほうがよごれている井戸がある。それは御存じですか。これは、
環境庁
からきのうもらった資料にそう出ているじゃないですか。九月五日には、Hという井戸は1のほうが三九・五〇、2のほうが七・二。五倍もよごれているのです、1のほうが。それからEという井戸、Eという井戸は1のほうが五三・三〇PPM、2のほうが一四・七〇PPMA四倍もよごれているじゃないですか。こんなことをやっていて、二次
公害
がないなんて何で言えますか。どうですか。
岡安誠
74
○
政府委員
(岡安誠君) どうも先生のおっしゃるような数字になっているようでございます。ただ、ヘドロを堆積いたしました直下の井戸でございますので、どのような関係からそういう数字が出たのか、その辺ちょっと検討しないとお答えは……。
小平芳平
75
○小平芳平君 ですから、そんなのんきなことを言っていて、いるようでありますと言ったって、これは
環境庁
からきのうもらった資料がそうなっている。ぼくは一目見て、これはおかしいと思うにきまっているじゃないですか。そういうことを何ら検討しないで、
三木
長官、二次
公害
がないなんて、もってのほかですよ。 それから次に
PCB
です。
PCB
は、こちらの井戸からは、要するに地下水ですね、こちらの地下水からは一・二、それから一・六PPBという
PCB
が出ている。それからこちらの井戸からは二PPBから八PPB検出されているですよ。それは去年のうちに検出されておりながら、なぜいままで黙っているのですか。これはどうですか。
岡安誠
76
○
政府委員
(岡安誠君) これは、CODもそうでございますが、
PCB
等につきましても、もっぱら私どものねらいは、周辺にどういう汚染が広がるか、それが一番問題でございますので、周辺の観測井の現状を明らかにするということと、あとはヘドロの中の井戸につきましては、関係といいますか、その関係を調べるためのものというふうに実は考えておりまして、私どものねらいは、周辺汚染というものに
重点
を置いて調べているというわけでございます。
小平芳平
77
○小平芳平君 そういうふうに、聞いたことに答えないで、別なことを言ったって答えにならないですよ。周辺も調べているし、この
処理
をしている中も調べているじゃないですか。そうでしょう。そういういまのようなCODが一五〇PPMとか、
PCB
が八PPBとか、わかっていながら、なぜいままで発表しないのですかと聞いているんですよ。
岡安誠
78
○
政府委員
(岡安誠君) これは、もちろん県に委託をいたしまして徴した
調査
結果でございます。 〔
理事
金井元彦君退席、
委員長
着席〕 私どもは、CODにつきましても漁連との約束の数値以下になっておりますし、
PCB
につきましては、いま先生おっしゃったとおり、PPMに直しますと、周辺の井戸につきましては〇・〇〇一二PPM、それから〇・〇〇一六PPMということで、この程度の数値というものは、現在の分析方法からいたしますと信頼性を置けるような限界以下であるというふうに考えておりまして、県といたしましてもそのように扱ったのではなかろうかというふうに考えております。
小平芳平
79
○小平芳平君 そういうふうに言うだろうと思ったんだね。それは、工場排水の
基準
は〇・〇一PPMですね、要するに一〇PPBですね、工場排水の
基準
は。その工場排水の
基準
を、なぜこの地下水へ当てはめて、そういう答弁をするんですか。
岡安誠
80
○
政府委員
(岡安誠君) おっしゃるとおり、水の種類によりまして、分析方法、いろいろ変化をしなければならないわけでございます。ただ、私どもといたしまして、現在の
行政
指導
上、どういう
水質
のものについてはどういう検査方法というふうに指示をいたしておりませんので、現在では、やむを得ず一般的な水につきましては一〇PPBというものを検出限界というふうに定めて
指導
いたしておりますので、その
指導
に従ったものであろうというふうに考えております。
小平芳平
81
○小平芳平君 そんな、
環境庁
の
局長
が、水は何でも一〇PPBだなんて、とんでもない話じゃないですか。
厚生省
、どうですか。
厚生省
は、水道は、検出限界というか、要するに
PCB
はないのがいいわけでしょう。あってはならないわけですが、その
PCB
は、水道用水の場合はどういうふうに規制してますか。
浦田純一
82
○
政府委員
(浦田純一君) 水道中の
PCB
の許容量でございますが、人体の
PCB
一日摂取許容量との関連で検討する必要がございますので、全国の主要な水道について、
厚生省
、あるいは地方自治体で独自にやられた検査もございますが、検査をいたしました結果では、水源の種類を問わずに、すべて不検出でございますけれども、本来、私どもといたしましては、水道水、飲料として使う水には、
PCB
は検出されてはならないといったたてまえで考えております。いま
基準
は
策定
いたしてはおりません。
小平芳平
83
○小平芳平君 〇・五PPBということは
環境庁
でも
厚生省
でも全然そういうことは言っておりませんか。
浦田純一
84
○
政府委員
(浦田純一君) 特定する物によっていろいろと信頼限界、あるいはその前の問題といたしましては分析方法が異なりますが、水道水についてのみ申し上げますと、私どもは、
昭和
四十六年度の
科学技術庁
特別研究促進
調整
費によりまして設置されました
PCB
分析研究班が研究を行ないました、その結果、水中、これは透明な水でございますが、水中の
PCB
については、五リットルの水にアセトンとノルマルヘキサンを用いまして抽出したものを濃縮後、ガスクロマトグラフィーを用いまして
PCB
を定量するという方法を、現時点では最も適切であるというふうに結論を出しました。 この方法によりますと、水の場合〇・〇五PPBまでは分析は可能でございます。しかしながら、用います試薬の純度あるいは
測定
機器の精度などから、やはり信頼し得る定量の限界としては、一けた上の〇・五PPBに置いたほうが適当であるというふうに結論が出ております。
小平芳平
85
○小平芳平君 それで
環境庁
、この〇・〇一PPM、要するに一〇PPB、これは工場排水の
基準
ですよ、工場排水の。ですから水道は、いま
厚生省
の浦田
局長
が言われたように〇・五PPB、ほんとは〇・〇五までできるが、まあ〇・五にしたという発言をされておりますが、アメリカでは、魚を五PPMに押さえるためには、
環境
用水はどれだけでなくちゃならないか、これは計算の上からいえば〇・〇七PPBですね、アメリカのこの研究発表は。〇・〇七PPB、あるいは安全度を見て〇・〇一PPBまでも規制しなくてはならないのではなかろうかということが、アメリカ
政府
PCB
合同
対策
本部の
調査
で発表されている。御存じですか、
局長
。
浦田純一
86
○
政府委員
(浦田純一君) いま御指摘の、米国
政府
の
PCB
基準
の状況については、概略は承知いたしております。
小平芳平
87
○小平芳平君 そこで、同じくアメリカのハモンドさんという人の論文で、ニジマスは八PPBで死ぬ。小エビは、これはどういうエビか、まあ駿河湾はエビが盛んですが、一PPBで死ぬという研究発表もされている。そういうときに、その田子の浦で、富士川河川敷でヘドロ
処理
をやろうというときに、一〇PPBあたり以下なら、まず二次
公害
がないなんていう考えはもってのほかじゃないですか。どうですか、岡安
局長
。
岡安誠
88
○
政府委員
(岡安誠君) おっしゃるとおり、私ども、まだ
水質
といたしまして、分析方法を示しまして限界数値等は示しておりません。おっしゃる、とおり〇・〇一というのは、工場排水の場合に、現在信頼性が置ける限界を示しまして、それを守るようにという指示をいたしておりまして、一般の公共用水域につきましては、おそらくはそれよりも低い数値になるべきであろうと思いますが、それらの
測定
をする方法というものを
確立
いたしておりませんので、指示をいたしておりません。 問題の観測井から出ました
PCB
の値の問題でございますけれども、私どもの受けている報告によりますと、先生のおっしゃった〇・〇〇一二PPM、〇・〇〇二八PPMという観測がされましたものは、観測井の水でございます。周辺の民家の井戸六カ所につきまして、昨年の七月七日から十月十六日まで、毎月一回
測定
をいたしておるわけでございますが、それらはいずれも検出をされておらない、こういう報告を受けておりまするので、現状におきましては、周辺の汚染というものが、問題にする程度ではなかろうというふうに考えておるのでございます。
小平芳平
89
○小平芳平君 一・二あるいは一・六PPBの
PCB
は、さっき言ったようにあそこの井戸ですよ。観測井とはいいながら、ヘドロ
処理
場じゃないですよ。離れたところの地下水ですからね。それは、民家の井戸から検出されたら大ごとですよ。すぐ井戸の使用禁止、そういうことになるわけでしょう。 そこで
三木
長官、そういうように、いま私が示した数字は、全部これは県の数字を
環境庁
を通じていただいた数字だけなんです。しかし、一体この水はだれが採水しているか、これは
局長
御存じですか。だれが採水しているか。そういうような問題もあるけれども、時間の関係で、もうこれ以上できませんので、長官、そういう問題があるということを前提にして考えた場合に、幸いにして二次
公害
はなかったと。それで去年は三十二万トン、ことしは八十七万トン、約三倍にもなろうという大量のヘドロを、最初長官のおっしゃったようなことを前提にして
推進
されたら、これは大迷惑ですよ。もっと、時間は多少かかってもやむを得ないから、もう田子の浦だけじゃない、ほかにもそういう
PCB
や水銀や、全く始末の悪いヘドロがいっぱいあるわけですから、そう田子の浦だけ急いでみたってどうしようもないですよ。 それよりも、まず、いまの技術では、これならもう
公害
を将来に残すとか災いを将来に残すことはなかろうという、そういう全国的な研究、専門家による研究、これが先じゃないですか。それを、研究は中途はんぱにして、県から持ってきたデータだけでもこれだけの二次
公害
のデータを発表しておきながら、何でもかでもまた第三次着工をしようというのは、早まり過ぎているじゃないですか。まず悔いを将来に残さない、
被害
を将来に残さない、この
対策
、専門家による研究こそ、まっ先に大事なことだと思いますが、長官いかがですか。
三木武夫
90
○
国務大臣
(
三木武夫
君) 全くこのヘドロは、御指摘のようにヘドロの中にいろいろなものが含まれる可能性があるし、ヘドロが大量であるということで、この処置というものは、いろいろ皆が研究しなかったわけではない、知恵をしぼってああいうことにしたのでしょうけれども、
国民
の健康にも重大な影響がありますので、このヘドロの処置というものにはできる限り頭脳を動員して、
国民
に不安を与えないような
処理
の方法をするということに対しては、今後も積極的に研究を
推進
していきたいという考えでございます。
小平芳平
91
○小平芳平君 今後積極的に研究するということは、そう田子の浦だけあわてないということですね。
三木武夫
92
○
国務大臣
(
三木武夫
君) 小平
委員
も御存じのように、三次計画というのはまだ
実施
の段階ではないので、計画中でありますから、いろいろ御質問の趣旨も体して、三次計画の内容についてはよく検討をいたします。
小平芳平
93
○小平芳平君 それから岡安
局長
、ちょっと確認しておきたいのですが、先ほど示したような観測井の、それは井戸の構造とかいろいろあるでしょう、いずれにしてもこれらの観測井は、工場排水と同じだ、一〇PPB以下なら問題ないんだというような見解は、
環境庁
はとってないわけでしょう。どうですか。その点はっきりしておいてください。
岡安誠
94
○
政府委員
(岡安誠君) 実は先生も先ほど申されましたように、民家の井戸水から
PCB
が、たとえば水道の
基準
以上に出るようなことがあれば大問題でございます。ただ、私どもの観測井は、
処理
地より川下のほうでどのような
PCB
の挙動があるかということを主にいたしまして観測をいたしておるわけでございます。もちろん、低ければ低いほどいいということに私ども考えておりまして、今後このような数値をできるだけ下げるような
処理
方法というものを、できるだけ早く採用するように、静岡にも指示をいたしたいと思っております。 ただ、一般的な御質問といたしまして考えれば私どもは、汚水の中にある
PCB
を純粋に取り出す技術というものが
確立
しておらない現状におきましては、一般的に〇・〇一PPMというものが信頼性の限界だとするならば、それ以下の数値を示すわけにまいらないというふうに実は考えておるわけでございます。
小平芳平
95
○小平芳平君 何だかよくわからないんですがね。〇・〇一PPMは工場排水だ。工場排水の場合は、確かにそういう
基準
を昨年きめましたですよ。ところが、この観測井は、工場から流れてくる水じゃないんです。地下水ですよ。それが工場排水と同じで問題ないのだというようなことを前提に、長官が、これから検討しますと言われる場合、そういうことを前提じゃ何にもならない。よろしいですか。
岡安誠
96
○
政府委員
(岡安誠君) 私が申し上げましたのは、その井戸の水が飲料に供されるという場合には、当然飲料水
基準
というものにつきまして評価しなければならないと思っておりますが、観測井の水、もちろん地下水には違いありませんけれども、飲料水以外の一般の公共用水域につきましての
基準
というものは、きめておらないということを申し上げたわけでございまして、〇・〇一というものは、
指導
基準
では工場排水の
基準
でございますが、じゃ、それ以外の
基準
があるかといいますと、現在のところはないということも申し上げたわけでございます。
小平芳平
97
○小平芳平君 私の質問していることに答えてくれればいいんですよ。それは、
基準
がないことはわかってますよ、工場排水しかないことは。しかし、水道水はもっと厳格でなくちゃいけない。要するに、こういう
説明
をするんです。国の考えは、あの田子の浦の観測井は工場排水の
基準
でいいんだ、国がそういう方針だというふうな
説明
をした場合に、それは間違いです、国はそういうことをきめてはおりませんと、こういうことでしょう。どうですか。
岡安誠
98
○
政府委員
(岡安誠君) 端的にお答えいたしますと、観測井の水が飲料用に供される場合には、飲料水としての
基準
に適合しなきゃならぬと思いますけれども、観測井は井戸水に違いございませんけれども、飲料に供する水ではないとするならば、一般公共用水の
基準
ということになるかと思います。そうしますと、一般公共用水の
基準
というのはきめておりませんので、〇・〇一PPM以下にその観測井の水を押えるようにしろということは、ちょっと言えないのではなかろうかというのが、まだ私の現在の考え方でございます。
小平芳平
99
○小平芳平君 言えない——。こういうことですか。 さっきぼくの言ったとおりでいいわけでしょう。国が、この観測井の
PCB
の限界は、それは工場排水と同じでいいのだということは、
政府
はきめておりませんねということです。
岡安誠
100
○
政府委員
(岡安誠君) 繰り返すようでございますけれども、一般公共用水におきます
PCB
の含有量につきましては、
政府
はきめておりません。工場排水につきましては、〇・〇一PPMというふうに
指導
基準
をきめております。しかし一般の、工場排水以外の公共用水、これは地下水を含むかと思いますけれども、その水の
基準
はきめておりません。他方、飲料に供される水の
基準
といいますか、それは私どもとしましては、水道用水につきましては厳重な配慮がなければならぬと思いますけれども、観測井は直接飲料に供せられるものではないものですから、私ども、何ぼでもそれは
PCB
が含まれてもいいというつもりはございませんけれども、じゃ〇・〇一PPMを何ぼ下げなきゃならないかという
基準
も現在私どもはないものですから、できるだけ下げるという
指導
はいたしたいと思いますけれども、どの
基準
をこえてはならぬということは、現在いえる段階ではないということを申し上げておるわけでございます。
小平芳平
101
○小平芳平君 要するに〇・〇一PPM以下でなくてはならない、工場排水と同じに扱うべきではないと、こういうことでしょう。——それならそういうふうに初めから言ってくれれば、一問で済んだのです。 それから
三木
長官、いろいろこれからもヘドロ
処理
が、田子の浦港だけで済むならまだしも、各地でこれからやらなくちゃいけないわけです。あれで、これはうまい方法だなんて
環境庁
が言うと、各地でまた
地域
の住民が大迷惑を受けることになるから、やかましく言っているわけですよ。ですから、先ほど来何回も申しましたように、こういう問題点を十分御検討いただきたい。長官さっきおっしゃるように、第三次
処理
はまだ工事にかかっているわけでもないし、地元も承知したわけでもありませんから、十分ひとつ第二次
公害
ということに注意をして、ただそこだけあわてるのじゃなくて、専門家による御検討をいただきたい。これはよろしゅうございますね。先ほどそういう御答弁をいただきましたから。 次は同じく
PCB
の問題ですけれども、
科学技術庁
の方おられますか。
科学技術庁
から出されました労働衛生
研究所
に委託をされて発表されたこの特別研究ですね。この特別研究によりますと、問題が非常に多いですね。問題が非常に多いにもかかわらず、結論は、毒性はあまり心配ないという結論になっているのですね。こういう取り組みはきわめてよろしくないと思いますが、いかがですか。
千葉博
102
○
政府委員
(千葉博君) ただいま御指摘の点は、おそらく四十六年度の特別研究促進
調整
費で各方面にお願いしておりましたグループ研究の、そのうちの一つでございまして、おそらく労働省の労働衛生
研究所
のグループにお願いした研究だと思います。 それで、この結論でございますが、この結論によりますと、約九十九名、そのほかのものを入れますと全体で百三十一名について、七つの
事業
場におきまして、
PCB
を扱っていた方々の
調査
を行なった結果、内容は、血液とか尿の生化学的な検査、研究だと思いますが、それによりますと、血液中の
PCB
の濃度が〇・四ないし〇・九二PPMという、この辺のところで影響がいろいろ出始めてはおる。ただし、臨床的にはこれはたいして問題はないという結論に、この研究グループではなっております。 先生の御指摘は、臨床的にたいしたことないというのはおかしいのじゃないか、相当血液中にあるにもかかわらず、そう簡単に、臨床的にはたいしたことはないんだということ自体がおかしいと、こういうことだろうと私実は推定いたしますが、この点につきましては、実はこれが出てまいりましたのが、去年の六月に要点が出てきまして、詳細は十一月に出てきたわけでございます。
政府
といたしましては、本件につきまして、また本件だけじゃございませんで、慢性毒性の問題は、それ以外に催奇性、奇形児が出てくるおそれもありそうだというのがここにも出ておりますが、これも含めまして、もう一段と研究をする必要があるんだということで、
PCB
全体につきましては、
政府
としては、昨年の五月の二十九日に、この
PCB
汚染の総合的な
対策
推進
会議
というのを設けまして、それで各分野分担をきめまして、それで
対策
を
推進
するということをきめたわけです。 この研究のいろいろな成果をもとにしてその
推進
をすることになっておりまして、その中で、いまの先生の御指摘のような問題は、労働省でまたさらに続ける。それから慢性毒性の問題などにつきましては、さらに一段と研究を進めるということで、
科学技術庁
といたしましても特別研究促進
調整
費を八千数百万円出しまして、慢性毒性の問題につきましては、四千二百万円出しまして、関係各省にさらにその研究をいま進めていただいておる最中でございます。
小平芳平
103
○小平芳平君 時間がもう過ぎておりますので、
科学技術庁
と
三木
長官に伺いますが、この
PCB
によるいろんな問題は、私がこんな限られた時間で提起できる範囲は、もうきわめてわずかな問題しか提起できませんでしたが、この労働衛生
研究所
の、
PCB
取り扱い
事業
場における従業員の健康
調査
、この報告を読んで非常に驚きもし腹立たしくも思うことは、一貫してこの報告は、
PCB
の毒性はあまり問題でないように見える、要するに、皮膚に症状が出ている、これは血液から行ったのじゃなくて直接
PCB
を手に触れたからだろうというふうな、とにかく問題はない問題はない、たいしたことはないで一貫している報告書である。
政府
のそうした報告書を、これは第一線の
PCB
を研究していらっしゃる方、いま私が手にしているのは、京都の藤原邦達博士のあげられた問題点ですが、簡単にあげても八つ。八つの点から、そういう結論を下すのはおかしい、と。結局、毒性はあまり問題ないように見えるなんていうのはとんでもないことであって、問題が数多くあるから、今後の研究、あるいは今後の検診がきわめて大事であると、こうすべきでしょう。どうですか。
千葉博
104
○
政府委員
(千葉博君) 先生の御指摘のとおりでございまして、
政府
としては、先ほど申し上げましたように、
PCB
汚染の
対策
推進
会議
におきまして、さらに
PCB
の毒性その他について、これはきわめて問題であるとしていま
推進
しております。特に、いま申し上げました催奇性があるかどうか、それから発ガン性があるかどうか、それからBHCとかいうような
農薬
あたりとの複合で来た場合に、どういったような毒性が出るか、それからそれ以外にも、母子の健康にどんなような影響を及ぼすかというような点につきましては、さらにいま進めておりまして、この取り組み方は前向きに進めておるわけでございます。また近々、第二次の報告が出るかと思います。
小平芳平
105
○小平芳平君
三木
長官、
局長
と簡単に結論的なことだけをやりとりしていたのですが、やはり
政府
の取り組む姿勢は、
PCB
は毒性はたいして問題はないという、そんな取り組み方ではもってのほかだ。そうじゃなくて、先ほど来指摘するような取り組みをしていただきたいと思いますが、最後に長官の御意見を承りたいこと。 それから
厚生省
に、これは結論だけでいいんですが、お米とか、いろいろな十二月二十一日の発表、たくさんあるから私は一ぱい質問したいことがありますが、できませんので、米の
基準
はつくられるかどうか、その一点だけお答えいただきたい。
三木武夫
106
○
国務大臣
(
三木武夫
君) いろんな角度から研究というものはされるべきだと思います。しかし、次々に新しい化学物質ができてくるんですね。これに対する
政府
の態度というものは、非常に疑いを持って慎重な態度をとらなければいけないと私は思います。 それから、これは労働省の労働衛生
研究所
ですか、この一つの研究の結果であっても、これはいろいろと検討の材料にはなっても、これを毒性がないと、私もこれ読んでおるわけではないのですけれども、そういう断定のもとに
PCB
の問題を片づけるというのは、
政府
の態度ではないということを申し上げておきます。
浦田純一
107
○
政府委員
(浦田純一君) 米に残留する
PCB
の規制値についての
設定
でございますが、これは食品衛生
調査
会のほうに現在、検討をお願いしている段階でございます。なお、
昭和
四十七年度に
調査費
をいただきまして、米をはじめとして十数食品について
PCB
汚染の状況を
調査
中でございます。 その結果を待って具体的な数字を計算していくことになろうかと思いますが、現在まで、都道府県が独自に
調査
した結果から見ますと、これは四十二例ほど報告されておりますが、例の滋賀県の草津市におきまする一・三PPM等、一部汚染の状況が報告されておりますが、約半数は不検出か痕跡程度ということでございまして、現段階において不安はないのではないかというふうに考えております。しかし、重大な問題でございますので、具体的な検討を食品衛生
調査
会のほうにお願いしておる段階でございます。
小平芳平
108
○小平芳平君 もう一つ、通産省、せっかくお呼びしまして……。この
PCB
の回収はどうやっているか。モンサントとか、有料で回収をやっているのです。アメリカのモンサントは有料でやってないのに、日本のモンサントは有料でやっている。そうすると、
PCB
のような毒性の強い不良な、人類絶滅の危機を招くようなものをつくって、今度は販売しておいて回収するときは、逆にお金をとって回収するというのはもってのほかじゃないですか。それが一つ。 それからもう一つは、この螢光灯にも
PCB
が入っているのかどうか。それはどこで見分けるのか。そういう点をはっきりさせておかなければ、こうした廃棄物が
環境
に投げ出され、
環境
汚染が深まるばかりだと思いますから。 以上二点についてお答えいただきたい。
齋藤太一
109
○
政府委員
(齋藤太一君) 回収
PCB
の
処理
の費用をだれが持つべきかという問題でございますが、これにつきましてはいろいろな考え方があろうかと存じますけれども、一応産業廃棄物
処理
法等の考えによりますと、最終的に
PCB
を使用した者がその廃棄を責任を持ってやるということになろうかと存じますけれども、現実には廃棄の方法が非常にむずかしゅうございます。したがいまして、熱媒体等につきましては、全部もともとのメーカーでございます鐘淵化学あるいは三菱モンサント化成に全部返送いたしまして、そちらが持っております焼却炉で、無害にするべく焼却を現実にやっておる状況でございます。 その場合の費用の負担でございますけれども、現在鏡淵化学も三菱モンサントも、ドラムかん一本当たり一万円の費用を徴収いたしております。これは焼却の費用、それから受け入れました
PCB
を、非常に大量になりましたので、タンクを建設したりいたしまして、タンクに入れております関係で、そういった保管費用等も含めての費用というふうに聞いておりますが、これにつきましては一万円が妥当かどうか、当事者の話し合いでこの費用はきめてもらうというふうな考え方で私どもはおります。 それから第二問のほうは、通産省の重工業局の所管でございますので、重工業局の課長がまいっておりますので、そちらのほうからお答えいたします。
藤本和男
110
○
説明員
(藤本和男君)
PCB
入りのコンデンサーの確認につきまして、過去にメーカーが生産したものについては、メーカーが専門的にきめます製造型式の表示がございますが、これを見ますと、
PCB
が入っているかどうかということはわかるわけでございますけれども、螢光灯の場合は、普通家庭に入っております百ボルトで使う螢光灯につきましては、
PCB
入りは全然使われておりません。それははっきりしております。ただ、ビルの場合等に二百ボルトなどでつけておりますものがあると思います。あるいはもっと高いものをつけておるところがあると思いますが、それには過去に
PCB
入りのコンデンサーが使われておったこともございます。
内田善利
111
○内田
善利
君 最初に、先ほど
所信
表明のありました中から、長官に一言お聞きしたいと思いますが、冒頭に、「
わが国
は、従来久しく
経済成長
を促進することを軸に内政の展開をはかり、その結果、
所得水準
も大幅な向上を示してまいりました。しかしながら、その反面、
大気汚染
、
水質汚濁等
の
公害
の
発生
と
自然環境
の
破壊
が急速に激化し、
国民
の健康と
生活環境
が脅かされるという深刻な事態が
発生
しました。」と、このようにお認めになっておるわけです。
公害
国会でもあのように
法律
がたくさんできました。にもかかわらず、
環境庁
も発足し今日に至っておりますが、いまだに
公害
がなくならない。このような、
公害発生
政策と私は言いたいのですけれども、
公害発生
政策、高度
経済成長
はこの辺で考えなければ
公害
はなくならないのじゃないか、このように思うのですけれども、
環境庁長官
としてどのようにこの点をお考えか、お聞きしたいと思います。
三木武夫
112
○
国務大臣
(
三木武夫
君)
経済成長
を否定するということは、これはやはりこの日本の
経済成長
がとまってきたならば、いろんな問題が起こってくることは明らかである。しかし、その成長のあり方が、いままでのような
設備
投資と、その増大した供給力を輸出に向けていくという、この日本の成長のパターンに問題がある。今後は国内における
国民
生活の充実とか
環境
の
保全
とか、そういうことに力を入れて、そうすれば立ちおくれておるいろんな社会資本の充実とか社会福祉政策の
拡大
であるとか、こういうふうなことが当然に起こってくるわけですから、そういうことによって内需を、いままで外に伸びておった日本の
経済成長
のパターンを、立ちおくれておるそういう方面の政策を充実することによって、内需を喚起して経済政策のパターンを考えることだと私は思います。 また
政府
も、そういうことをしばしば
政府
の方針として述べて、今年度の
予算
もそういう意図がこの
予算
の編成の中にあらわれておることは事実であります。だから、成長はいかぬという、否定でなくして、成長のパターンを変えなければいかぬというのが私の基本的考えでございます。
内田善利
113
○内田
善利
君 その成長のパターンですけれども、今後の課題であろうかと思いますが、これを通しまして、
環境庁長官
として今度
三木
副総理が長官になられたわけですから、
環境行政
に相当大転換があるのじゃないか、このように期待しておるわけですが、この内容を見まして、どうやったら
公害
を
防止
することができるかということについて、いろいろ
環境基準
を変えるとか、
排出基準
を変えるとか、あるいは
総量規制
をするとかありますが、
総量規制
をするにしても、私はむずかしい問題が一ぱいあると思うのです。個々にこういったことをやるよりは、もう少し日本国全体の
環境
容量といいますか、そういった
環境
容量の限界、そういったものなどを詳しく
調査
して、はっきりした
設定
をした上で
開発
はすべきじゃないか、このように思うわけです。 濃度規制をやった結果、今度は
総量規制
をしなきゃならない。そういったことでは
公害
は
防止
できない、このように思うわけですね。私はPPMの問題があるときに、
総量規制
をすべきである、このように二年前の
予算
委員会
でもお願いしたわけですけれども、まだいまだに、
総量規制
をすべきである、こういう段階なんですね。非常にむずかしい問題があろうかと思いますけれども、そういうことでは
公害
はなくならない。 それと、
公害発生
源
対策
ということも私はこの際長官にうたっていただきたかったのですが、それも出ていないようでございますし、
公害発生
源
対策
、それと日本全国のあるいは地球の
環境
容量ということをもう少し考慮に入れるべきじゃないか、このように思うのですが、長官いかがでしょうか。
三木武夫
114
○
国務大臣
(
三木武夫
君) 私は
環境庁長官
に
予算
編成の末期に
就任
をしたわけですが、やはりいま内田さんの言われるような、何か日本のこの
環境
の
保全
というものについて、これだけの自然的な
環境
というものは
保全
しなければならぬという基礎的な
調査
が要るということで、
予算
を追加要求しまして、一年かかって
環境保全
の国勢
調査
をやろうと考えておるわけでございます。そういうことで、守るべき
環境
というものの一つの尺度というものを持ちたい。 これは、いま言われたような
環境
容量と、こういいましても、そういうふうな基礎的な
調査研究
という上に立たないと議論は抽象的になりますから、そういうことで何か
環境庁
というものが、
公害
の問題が起こったら、あとからその事後
処理
するために狂奔する役所ではなくして、やはりこの日本の
国土
計画というものの中に、その計画をする当初から
環境
の
保全
ということがもう前提になって、
国土
開発
の計画がなされるような政治の流れに変えていかなければならぬ。そういうことで今年度の
予算
、これで私も満足しておるわけじゃないのですが、そういう方向に今後の
環境庁
政というものを持っていきたいということで、今後
施策
を進めていきたいという考えでございます。
内田善利
115
○内田
善利
君 それでは私の本題の質問に入りますが、土呂久の亜砒酸
公害
に対する問題でございますが、すでに七名の方が、宮崎県では亜砒酸中毒による
公害
と認定されておるわけですが、現在、検診のときに三人漏れた、その方を含めて七人の第三次検診が行なわれておるわけですけれども、この点どのようになっておるのか、
環境庁
にお聞きしたいと思います。
三木武夫
116
○
国務大臣
(
三木武夫
君) いま御指摘のようなことで、宮崎県当局でチェックする臨床的な
調査
もしておると思いますが、まだこちらのほうに、患者の認定というものを宮崎県はまだしていないわけですが、近く認定をするものだと考えております。
船後正道
117
○
政府委員
(船後
正道
君) 宮崎県の土呂久の砒素中毒の問題でございますが、これは御承知のとおり、去る二月一日に
地域
指定
と、
公害
病の
指定
をいたしたわけでございます。これによりまして、宮崎県では認定審査会、これを編成するわけでございまして、この人選も終わりまして、
被害者
の申請に基づき、認定を行なうということになるわけでございます。 それにつきましては、まず先般の検査によって慢性砒素中毒とされております七名の方、これが申請をされますと、これはもうおそらく審査会の審査の結果それぞれしかるべき認定があると思うのでございますが、なお、この七名の以外の方につきましても、第三次検診に回っている方、あるいは検査のされなかった方といったような方があるわけでございまして、これらの点につきましては、さらに精密検査を要する方は精密検査をやっておりますし、また一般的に土呂久地区の約二百七十名の住民の方々に引き続き健康診査をする、こういう計画を県は持っておりますので、それらの健康
調査
の結果、慢性砒素中毒の疑いのある方が出てまいりますと、今後はこの審査会でそれぞれ認定を追加していく、こういうことになるわけでございます。
内田善利
118
○内田
善利
君 その辺のところまでは私も知っておるわけですが、
環境庁
の砒素中毒の
健康被害
者の認定
基準
ですね。これは皮膚と鼻粘膜と頭髪の砒素、この外症だけを言っているわけですけれども、これでは外症がなくて内臓に疾患がある方々は救われないわけですけれども、この点はどのようにお考えですか。
船後正道
119
○
政府委員
(船後
正道
君) 砒素による中毒は、職場における労働衛生の問題はかなり事例があるわけでございますが、一般の住民の方が
環境
汚染の結果
健康被害
が生じたということの判明いたしておりますのは、この宮崎県の土呂久地区の社会医学的
調査
報告のみでございます。 この社会医学的
調査
報告によりますと、土呂久鉱山の周辺におきまして、現在の知見で十分
説明
し得るというものは皮膚的所見のみである、こういう結果が出ておるわけでございます。もちろん、この
調査
報告におきましても、皮膚的所見のほかに、なお呼吸器の悪性腫瘍だとか、あるいは肝障害、血液変化、神経系の変化等が知られておりますので、こういったものにつきましては今後十分観察していく必要があるということは指摘いたしておりますけれども、ともかく前回の
調査
の結果出てまいりましたのが皮膚所見でございます。 したがいまして、私どもも今後いろいろな
調査
の結果を待って、そういった内臓関係のいろいろな認定
基準
というものをそろえてから、ひとつ認定条件をつくるという方法もあるわけでございますが、それでは現在判明しておる方々の
救済
問題がおくれるという問題がございます。そういうことで、先般はこの土呂久のデータをもとに、皮膚的な症状と鼻粘膜の症状ということを中心に認定条件をつくったわけでございます。もちろん、この問題は、今後も引き続きまして検討を進めるということになっておるわけでございます。
内田善利
120
○内田
善利
君 先般、二月の七、八日に名古屋大学の大橋先生が検診に行かれて、二十三人検診されて、ほとんど全員異常を認めておられるのですね。しかも内臓がほとんどなわけですが、こういったことなどで、外部症状だけでなくて内臓のほうも早く診断
基準
をきめて、私はこういった方々も早く救っていくべきであると、このように思うのですけれども、この点はどのように考えられておるのですか。 いまのお話ではこれからのことなんですが、どうも昨年でしたか、
環境庁
が一番最初に
調査
に行かれたその報告は、亜砒酸による
公害
の事実はないと思われるというような中間報告をいただいたわけですけれども、事実はこうして七人公認の状況になっておるわけです。さらに大橋先生の報告では、これは新聞報道ですけれども、診断に来られた二十三人全員が何らかの内臓疾患を訴えておったと、こういうことなんです。砒素中毒は潜伏期間も長いと聞いておりますし、症状も多様であると聞いておりますが、こういった観点から、皮膚症状だけじゃなくて、外部症状だけじゃなくて、内臓のほうも健康診断
基準
に入れるべきであると、このように思うのですけれども、どうなんでしょうか。
船後正道
121
○
政府委員
(船後
正道
君) この問題は、砒素による
健康被害
の検討
委員会
、砒素中毒の日本の権威といわれる方々に委嘱いたしまして、認定条件あるいは健康
調査
方法等の御検討をお願いしておるわけでございます。それが、先ほど申しましたような経緯で、土呂久のデータをもとに現在わかっておるという限りにおいて、皮膚的所見を中心に認定条件をつくったわけでありますが、これでもって万事終わりというものでは決してございません。先ほども申しておりますように、内臓的な障害というものも、この倉恒先生を
委員長
とする土呂久地区の報告書でも指摘されておるところでございますから、専門の先生方は当然問題の所在を御承知でございます。ですから、一般的な
環境
汚染による慢性砒素中毒において、どのような症状というものを砒素との関連において考えていくかという点は、引き続きこの
委員会
において早急に検討していただき、結論を得たいと、かように考えております。
内田善利
122
○内田
善利
君 私は、
公害
病というのは普通の一般の
環境
では
発生
しないと思うんですね。やはり異常な
環境
があったときに
公害
病というのは
発生
しておる。大正末期から戦前の、掘れよ掘れよと言って掘っていた、ああいう異常な、しかもあの亜砒酸の炉などは、いまでは考えられないような全く非人道的な掘さくが行なわれておった。そういう異常な
環境
から
公害
病が起こっておる。 だから、そういう異常な
環境
にあったということを認めて、その上で
発生
している
公害
病、そういう
被害
については、重い軽い、外部症状だ、内部症状だ、そういう区別はあり得ないと思うんですね。そういう
環境
にあって健康をそこねておる人は、当然私は
救済
していくという方向が、
行政
の立場の基本的な考え方でないか、このように思うんです。この点はいかがでしょうか、長官。
三木武夫
123
○
国務大臣
(
三木武夫
君) これは、認定の
基準
はいま御
説明
申し上げましたように、専門家が寄って
基準
をきめたわけですが、やはりこれは
救済
するということが目的ですから、したがって外部的な症状ばかりでなしに、内臓の変化等に対しても今後認定する場合に参考にするように、そういうふうなことをひとつ認定の
基準
の専門家の中に相談をしまして、そしてできる限り慢性砒素中毒患者に対して、そういうことが可能ならば、そういう方向で検討してもらうことにしたします。
内田善利
124
○内田
善利
君 それと、七人の方々は県のあっせんによりまして、仲介によりまして、住友金属から補償が出たわけですね。そういった七人の方々はもう
公害
病は認定にならないのだと、このように
環境庁
は言っておられるわけですが、もう補償がなされたから
公害
病には認定しないのだ、こういうことですか。
船後正道
125
○
政府委員
(船後
正道
君) 特別
措置
法による
公害
病患者の認定と民事の
救済
の問題とは、これは全く関係はございません。したがいまして、土呂久におきましては、具体的には七名の方は鉱業権者である住友金属鉱山からそれぞれ補償と申しますか、平たく補償と申しますが、受けておられるわけでございます。しかし、申請がございますれば、これは当然特別
措置
法に従いまして、
公害
病の患者として認定する、こういうことになるわけでございます。ただ、そういった場合に、所定の給付がいくかどうかという点につきましては、これはまた
損害賠償
の内容との関連においてきまってくる問題でございます。
内田善利
126
○内田
善利
君 私は、
公害
病として認定した以上は、特別
措置
法によって
救済
の給付はすべきだと思うのです。それと企業の補償といいますかがなされるということは別問題じゃないか、このように思うのですけれども、その給付はやるのか、やらないのか、いま言われましたけれども、どうなんですか。
船後正道
127
○
政府委員
(船後
正道
君)
救済
法の
法律
の規定によりますと、
公害
の
被害
に関連いたしまして加害者から
損害賠償
が行なわれまして、その
損害賠償
の中に、この特別
措置
法に基づく医療費あるいは
医療手当
の給付相当額の補償がありますれば、その部分につきましては、この特別
措置
法による給付と重複して支給しないという、二重支給禁止の規定がございます。 これは一般的な不当利得
防止
的な考え方のほかに、本来この
公害
による
被害
というものは原因者の責任において
救済
すべきである、それが実際問題として裁判その他に手間どってできないという点に着目された
制度
でございますから、当然、公平の原則と申しますか、あるいは費用負担の原則から申しまして、加害者の明らかとなったものは、加害者において医療費その他の給付を持つというのが私は筋ではないか、かように考え、そのように
指導
いたしておるところでございます。
内田善利
128
○内田
善利
君 そのことはまだ疑問が残りますけれども、一応そのままにします。 次に、土呂久の場合には複合汚染が考えられるのじゃないか。これも前々から言ってきたわけですけれども、銅とかアンチモンとかカドミウムとか、そういったものが廃水等を通して川に流れているわけです。それと流域の
土壌
汚染の問題、こういった問題が起こってくるわけですが、今度
損害賠償
法が成立すればこの問題は
解決
するかと思いますが、
土壌汚染防止
法という立場からも、
土壌
が相当砒素その他の重金属によって汚染されておるわけですけれども、こういった財産
被害
についてはどのようにお考えでしょうか。
環境庁
と農林省にお伺いしたいと思います。
遠藤寛二
129
○
政府委員
(遠藤寛二君) 先生のお話の土呂久その他、土呂久だけでございませんで、あちらこちら砒素の害というものが出ておりますが、当然これはまだ砒素がいわゆる
土壌汚染防止
法の特定有害物質に
指定
されておらない段階にございますので、その点でいろいろデータをそろえまして、
基準
を定め
指定
をしていただきまして、当然そういったものにつきまして、
土壌汚染防止
法を適用して改良
対策
を
実施
すべきものだというふうに考えますけれども、私どものほうといたしましては、土呂久、笹ケ谷その他、何カ所かで現地試験圃場を設けまして、
土壌
・作物との関係、関連を求めます試験、あるいは
土壌
調査等
を現在
実施
しているところでございます。
岡安誠
130
○
政府委員
(岡安誠君)
土壌汚染防止
法関係の砒素
対策
でございますが、現在砒素との関係が二つございまして、
土壌
中に砒素がある場合に、農作物中に砒素が含まれまして、それが人体に影響があるという面と、それから
土壌
中に砒素がありますと農作物の生育に障害を及ぼすという、二つの面がございますので、両面あわせましてその関係等を
調査
中でございます。できるだけ早く、この砒素につきましても
土壌汚染防止
法の特定有害物質に
指定
をいたしたいというふうに考えまして、作業をいたしておるような次第でございます。
内田善利
131
○内田
善利
君 鉱山保安監督局はお見えになっておりますか——。私は、こういった財産
被害
といいますか、こういうことについては、石炭のほうは非常に優遇されておるわけですね。ところが金属鉱山のほうは、皆無といっていいほどこういった
被害
についての
救済
がないわけですが、金属鉱山も石炭同様に、こういった
救済
について考えておられるのかどうか、お聞きしたいわけです。
青木慎三
132
○
政府委員
(青木慎三君) 金属鉱山の鉱害によります財産
被害
の問題につきましては、現行法では鉱業法の規定によりまして、鉱業権者が賠償の責任を負うという規定になっております。現在はそういうかっこうで
処理
されておるわけでございますが、今後の問題につきましては、
被害者
救済
に関する新しい法的
措置
、あるいは
土壌汚染防止
法等の運用の面とあわせまして、いかにすべきかは総合的に検討していくべきものと考えております。ただいま現在では具体的な案を持っておりません。
内田善利
133
○内田
善利
君 まだお聞きしたいことはいっぱいあるわけですが、労働省にお聞きしますが、宮崎県の松尾鉱山の労災の問題ですけれども、第一次中間報告がありまして、それから昨年の七月にさらに検診があったわけですが、いまだに労災適用の認定の報告を受けていないのですけれども、一体どのようになっているのか。
山口全
134
○
説明員
(山口全君) 松尾鉱山につきましては、先生お話しのとおり、昨年第一次検診、さらにその結果によりまして第二次検診を行なったわけでございますが、その後、二次検診の結果につきまして、その評価分析を専門家にお願いしておりまして、ただいま最終報告が、ごく近く宮崎
基準
局長
に提出されるというふうに聞いております。最終報告があり次第、宮崎労働
基準
局としては早急に
措置
を行なうように準備を進めております。 中間報告の結果によりますと、何らかの異常の認められた者は二十五名となっております。そのうち砒素中毒の疑いのある者が九名ございまして、十三名がじん肺症の疑い、さらに三名が亜硫酸ガスその他による影響というふうに報告されております。 具体的な補償につきましては、近く提出を見込まれます最終報告があり次第、早急に行なうこととなっております。
内田善利
135
○内田
善利
君 二十二年の九月以前の
被害者
、こういう人たちが金山の場合も非常に多いわけですが、また、この松尾鉱山の場合もそういった方々が非常に多いわけですが、これに対する
救済
対策
ということがなくて、ことしは監察委託費として七千万円、
補助
をするようになったわけでしょうか。これができれば、二十二年以前の方々も
救済
ができる。戦時中のそれこそたいへんな中で働いて、ああいう悲惨な姿になっているわけですから、こういう人たちこそ国の責任において
救済
すべきであると、このように思うのですけれども、私は亜砒酸鉱山の場合も金山の場合も、この労災関係は、企業の責任はあるでしょうけれども、やはり国の責任として
救済
をすべきであると、このように思うのですが、この点はいかがでしょうか。
山口全
136
○
説明員
(山口全君) 金鉱山の関係では、すでに元労働者、法施行前の労働者が二名入っております。松尾鉱山については、近く出る最終報告によりまして判明すると思いますが、もし松尾鉱山の元従業者について同様の
被害者
があれば、労働省としては、たてまえといたしまして労災保険法による補償を行なうことはできませんので、当時の
事業
主が現存する場合にはその
事業
主、さらに鉱業権を承継した方がおられればその
事業
者に、実効性のある
救済
を行なうよう
行政
指導
することをたてまえにしています。 土呂久鉱山の場合には、先ほどもお話がありましたように、宮崎県知事のあっせんによりまして、七名の補償問題が話し合いが行なわれたように聞いておりますが、松尾鉱山につきましても、ただいま最終報告の結果を待ちつつ、鉱業権者であります日本鉱業に対して
行政
指導
を行なっております。 なお、先生のお話の一般の休廃止鉱山に対する検診等援助
対策
については、お話がありました七千万ほどの
予算
が認められておりますので、これの具体的な施行、
実施
の方法について、ただいま慎重に検討しておるところでございます。まだ成案を得ておりません。
内田善利
137
○内田
善利
君 この松尾鉱山の場合もそうですけれども、土呂久の場合も、非常に検診がおくれまして、まだ非常に悲惨な姿にある方がたくさんいらっしゃるわけです。こういった鉱害
被害者
に、あるいは水俣の場合もそうですが、
環境庁長官
は会って激励される御意思があるのかどうか。この辺、伺っておきたいと思います。
三木武夫
138
○
国務大臣
(
三木武夫
君) 土呂久の状態なども私は報告を受けておるわけでございますから、現地の事情というものはある程度承知をいたしておるわけでございます。できるだけ早くこういう気の毒な方々の
救済
的な
措置
が迅速に行なわれることを期待をいたしておるわけでございますが、なおかつ、私に対していろいろ現地の方々がお話しの必要があるというときには、いつでもお目にかかることにいたします。
内田善利
139
○内田
善利
君 最後に、
公害
分析その他の薬品分析等の基本になる試薬の点について、前回小平
委員
からも質問があったわけですが、この
公害
を規制するための根本になる分析用の試薬品、これが最近、前々からもそうですが、品質上あるいは表示等の問題で問題になっているわけですが、今回そのための答申も出されまして、その法制化が期待されておるわけですけれども、今国会にこれを提出されるのかどうか。通産省に実情をお伺いしたいと思います。
齋藤太一
140
○
政府委員
(齋藤太一君) 出回っております試薬が、表示と違いまして中身が違うものが入っておったとか、あるいは表示された品質よりやや低い品質のものが入っておったといったような例が若干ございまして、表示と中身を合致させるべき
対策
を講ずべきである、こういう声が強くなりまして、私どもとしましては、昨年七月に通産省の軽工業生産技術
審議
会という
審議
会に、試薬の表示の適正化
対策
いかんという諮問をいたしたのでございますが、昨年の十二月二十一日に答申をいただいたわけでございます。 この答申の骨子は試薬の表示と中身の一致義務を課しますとともに、表示の様式を統一するとか、製造業者につきまして登録制をしくとか、あるいは立ち入り検査等の権限を主務省に与えるとか、こういった
所要
の法的
措置
を講ずる必要があるという答申になっておりました。 私どもとしましては、この答申を踏まえまして、法制化のための検討を続けてまいったわけでございますけれども、以下述べますような問題点が若干ございまして、どういうふうにこれに対処してまいるか、まだ成案を得ていない段階でございます。 問題点と申しますのは、試薬の中身と外側の表示が一致しておるかどうかということを、たとえば抜き取り検査等で検査をいたしますためには、試薬の、その品質に応じました検査方法というものが
確立
がされておることが必要でございます。現在試薬が約二万ほど出回っておるといわれますけれども、そのうちで、現在JISによりましてその試薬の品質規格、それから検査方法が
確立
されておりますものは約七百種類でございます。 答申におきましては、この検査方法が
確立
している試薬を当面、法の規制の
対象
にいたしまして、そのほかのものにつきましては、漸次検査方法が
確立
されるに従って
対象
に加えていったらどうか、そういうふうに段階的にやっていったらどうかという答申になっております。 当面、法規制を加えるといたしますと、この七百品種を
対象
にする、こういうことになるわけでございますが、現在のJISが、大体一つ一つの試薬につきまして標準的なものにJISがきまっております。もしこの法規制を加えますと、今度は同じ
指定
の、規制の
対象
になりました品目につきまして、もっと高い品質の試薬であるというような表示をされますと、高い品質のものについては別の検査方法が必要になりますが、そのための検査方法がまだできていないとか、あるいはJISできまっております規格よりもやや低い規格のものを業者がつくりまして、これはJIS以外のものだというような表示をいたしますと、同じく検査方法がありませんために、その表示と中身が合致しておるかどうかの検査ができない。 こういう状況がございまして、七百品目を
指定
いたしましても、同一品目につきましても、さらに違った規格のものをつくられると規制が逃げられてしまう。こういう問題がございまして、この辺をどういうふうにしたらいいか、現在検討を続けておる段階でございまして、今国会への提案を、まだ断念いたしたというわけではございませんけれども、ただいまのところ法案提出の見通しがまだついていない段階でございます。
内田善利
141
○内田
善利
君 最後に。いずれにしてもこの問題は大事な問題だと思います。それで今後、国会に間に合わない場合は、どういう
行政
措置
をすべきであるかということも大事な問題だと思います。
行政
措置
によってでも、これは悪い試薬がよい試薬を駆逐することのないように、具体的な
行政
措置
を講ずべきであると、このように思います。最後にこれをお聞きして終わりたいと思いますが、どのようにお考えでしょうか。
齋藤太一
142
○
政府委員
(齋藤太一君) もし今国会に法案の提出ができなくなりました場合には、通産省としましては
行政
指導
によりまして、法案のねらいとしておりましたところをできるだけ実現するようにいたしてまいりたいと考えておりまして、そのために、業界の
協力
を得まして、たとえば表示方式の統一の点につきましては、試薬の名称、品位、製造月日、あるいはロット番号とか、貯蔵上の注意とか、こういったものの表示様式、現在まちまちでございますけれども、表示様式の統一を
行政
指導
してまいりたいと考えております。 それから二番目には、試薬メーカーの自社検査体制をチェックをいたしまして、それが整っております業者につきましては、優良
事業
者という認定
制度
を設けます一方、それが不十分なものにつきましては、さらに改善
指導
をいたしてまいりたいと思います。 それから、町に出回っております試薬を
政府
がアトランダムに
買い上げ
まして、これを私どもの検査所で検査をいたしまして、不良品があります場合には、その業者の
指導
をいたしますとともに、もし優良
事業
者と認定されたものの製品にそういうものがありました場合は、認定を取り消すといったようなことをいたしたいと思います。 また、試薬メーカーの検査員につきまして、分析技術を中心とした講習会をひんぱんに開催をいたしたいと、こういうふうに考えておりまして、こういうことで試薬メーカーの検査体制の向上をはかりまして、その品質の改善と、それから表示と中身の一致を実際問題として促進してまいりたい、かように考えております。
加藤進
143
○
加藤
進君 私は、
自然保護
の問題について若干質問をしたいと思います。 長官は、先ほどの
所信
表明の中でこういうふうに述べられています。「従来の
環境行政
は、
公害
が
発生
し、自然の
破壊
が深刻になってから
対策
を講じているという、いわゆるあと追い
行政
であったことは否定できない。こうした従来の
環境行政
についての反省を加えながら、これからは、自然
破壊
、
公害発生
を
未然
に
防止
して、これを次の世代に伝える責務がある。このような基本姿勢のもとに今後の
環境行政
を全力を傾けて進めていきたい。」、こう言っておられます。けっこうだと思います。 そこでお聞きいたしますが、これは長官が
就任
された直後の記者会見で、やはり趣旨としては同様な内容の発言をされておるわけでございますけれども、今後いろいろな
開発
計画がさらに出てくるわけであるが、この
開発
計画についても、
環境保全
を第一とし最優先として、いやしくも
環境
を悪化
破壊
させるような
開発
計画はこれを認めない、こういう基本姿勢で取り組む、というふうに言っておられるわけでございますけれども、これは、先ほどの
所信
表明の趣旨もまさにこれと同じであるというふうに理解してもよろしゅうございましょうか。
三木武夫
144
○
国務大臣
(
三木武夫
君) 私は
開発
の否定論者ではないのです。やはり日本は片寄った
開発
をいままでされてきましたから、もう少し均衡のとれた
国土
の利用ということが必要である。したがって、
開発
は進めなければならぬ面があるが、その
開発
というものが、いま御指摘になったような、
環境
を
破壊
して、そうして自然の
環境
を
破壊
しながら
開発
を進めていくという、
開発
第一主義者ではないということであります。
環境
と
開発
というものとを両立をさすために、政治家というものは英知を働かさなければならぬと考えておるわけでございますから、したがって、今後
開発
をする場合においては、
環境
の
保全
というものを前提にしながら
開発
を進めていくという心がけが必要である。いまもそう考え、
所信
においてもそのような趣旨を述べておる次第でございます。
加藤進
145
○
加藤
進君 それで一つ具体的な問題をお聞きしますけれども、鹿児島県の志布志の問題ですね。これはもう周知のように、日本で有数の美しい海岸を数キロにわたって埋め立てるという
開発
計画が出されてきまして、これに対しては
環境庁
は、大石長官の時期にも、小山長官の時期にも、これは国定公園であるから、その
指定
を解除してそのような埋め立て計画をやらせるわけにはいかない、こういう立場から、公園の
指定
解除については断固としてこれを拒否して今日まで来ておられるわけでございますけれども、
三木
長官になられまして最初の質問でございますから、この点も確かめておきたいのでございますが、志布志については、従来以上の
自然保護
の決意のもとで、公園の
地域
解除などということはさせない、こういう御決意と判断してよろしゅうございましょうか。
三木武夫
146
○
国務大臣
(
三木武夫
君) 志布志湾の
開発
については、鹿児島県側においてもいろんな総合的な見地から練り直しておるということで、いまは
開発
計画というものが具体的に出されておりませんから、そういうことになりますから、やはり自然の
環境
を
保全
しながら
開発
しようということで再検討されておるのだと思いますので、おそらく
開発
には、そういう
環境
の
保全
ということを前提にした
開発
計画が出てくるものと私は考えております。
加藤進
147
○
加藤
進君 一言確かめておかなくちゃならぬのは、これは
環境庁
権限として、
自然公園
の
地域
指定
については、解除し、あるいはこれを解除しないという権限があるわけです。したがって私は、
環境庁長官
に、そういう場合に
自然公園
の
地域
指定
を解除するなどということは考えていない、この程度のことは、私は決意としてはっきりさせていただきたいと思います。
三木武夫
148
○
国務大臣
(
三木武夫
君) 原則としては、
自然公園
の解除というものはそんなに簡単にできるものではない。これは
自然公園
というものに対しては、その自然的な
環境
を守っていこうというのが基本的な
環境庁
の態度です。だから、具体的な問題については、そういう計画が出てきた場合にわれわれがどうするということを申し上げることが適当であると思いますが、原則論としては、容易に
自然公園
を解除するようなことはしないつもりであるというのが、基本的なわれわれの立場でございます。
加藤進
149
○
加藤
進君 もう少し確かめたいと思いますけれども、時間の都合上、前へ進みます。 長官も
所信
表明で指摘されましたように、
環境庁
が今日とっておる
自然保護
の姿勢について、相当きびしい批判が行なわれています。 その一つのあらわれは、去る二月八日の日に、全国
自然保護
連合が四カ所にわたって各地で集会を開きました。東京、大阪、札幌、新潟で開いたわけでございますが、この
自然保護
連合の集会では何が問題になったかといえば、
環境庁
が、
開発
という名で今日至るところで行なわれておる自然
破壊
に対して、本来守るべき任務を果たしていない、このことがきびしく指摘されています。決議の中には「
環境庁
は住民の側に立つという本来の姿勢に立直って、日本の自然を守るべきである」ということがいわれています。こういう点で、全国
自然保護
連合という
自然保護
団体の総意を結集したところでございますから、こういう総意を代表するこのような決議、
環境行政
に対する批判について、長官はどのように受けとめられるのでありましょうか。
三木武夫
150
○
国務大臣
(
三木武夫
君) 決議についての私のコメントを求められたわけですが、私は
環境庁
の
環境行政
が後退したなどとは、毛頭思っていないわけでございます。
環境庁
という一つの官庁は、常に住民の側に立たなければ、住民の支持と理解を得なければ
環境行政
はできないわけです。
自然環境
を守るといっても、末端の
開発
までわれわれが行ってどうこうせよというものではないわけです。だから、みなが
自然環境
を守っていこうという
国民
的な理解、合意、それにささえられなければ
環境保全
の
環境行政
はできるものではない。
政府
だけの力ではとてもできるものではありませんから、そういう意味で、各
地域
でいろんな会合が行なわれて、自然の
環境
を守ろうという
国民
の声が、非常にほうはいとして起こっておる傾向を私は喜ぶものであります。 しかし、その中にある、本来の姿に返れということは、そういうふうには考えていないわけでございます。このわれわれの姿勢というものを後退したとも思っておりませんし、そういうことをわれわれは今後とも、いま申したような態度で貫いていきたいという考えでございます。
加藤進
151
○
加藤
進君 それではさらに質問を続けますが、昨年の十月三十一日、
自然公園
審議
会が開かれたはずであります。この
審議
会に
環境庁
が諮問をした自動車道路計画というのは、どんな計画なんでしょうか。
首尾木一
152
○
政府委員
(
首尾木
一君) 国立公園でございます大雪山における道路と、同じく国立公園でございます妙高高原のルートの問題、その他あと四路線につきまして諮問をいたしたわけでございまして、いま冒頭申し上げました二つの路線につきましては、当該
審議
会の計画部会におきまして結論が保留をされて、今日に至っておるものでございます。
加藤進
153
○
加藤
進君 いま言われたのは六路線でございましたか、その路線の中で、大雪、妙高、霧降の三つは、従来
環境庁
が発足されて以来、自然
破壊
のおそれがあるとして今日まで承認されなかった路線ではなかったのか。それが、その後一年余りたって
環境庁
として認可に踏み切られたという理由は、どういう理由なのか。
首尾木一
154
○
政府委員
(
首尾木
一君) いずれも
環境庁
といたしまして事務的に
調査
をいたしまして、その十月三十一日に諮問を申し上げました路線につきましては、一応事務的には、通しても自然
破壊
といったような面ではおそれがないのではないかという考え方から、事務的に
調査
をいたしまして諮問を申し上げたわけでございまして、ただその点につきまして、大雪山の場合と妙高の路線につきましては非常に問題があるということで、
審議
会におきまして、なおこれは継続して検討すべきであるということでございまして、霧降につきましては、これはやはり
調査
をいたしまして、その結果について、
審議
会といたしましては支障ないというような御意見でそのときにきまったものでございます。
加藤進
155
○
加藤
進君 私の聞いておるところによりますと、霧降の認可につきましても、ほとんど論議らしい論議は行なわれなかったというふうに聞いています。それから大雪山あるいは妙高については、従来も、このような重要な
自然環境
を
破壊
してまで道路をつくるというなら、われわれのところも当然のことながら道路をつくるのがあたりまえじゃないかというような陳情が、どんどんと
環境庁
に来ておるという話も聞いております。ですから、そのために、
審議
会の開かれる前日、十月三十日には全国二十一の
自然保護
団体が連名して、
環境庁
に反対の意見書を提出したということであります。 いま長官が言われたように、自然を守るということが
地域
住民の
協力
と理解なしにできない、こういうことなら、なぜ、このような声を無視してまで、
審議
会にあえてこのような道路計画を承認せよと求められるのか。この点を私はお聞きしたいと思います。
首尾木一
156
○
政府委員
(
首尾木
一君) 先ほど申し上げましたように、当時私どもといたしましては、この問題になりました道路につきましては、過去にいろいろ経緯がございまして、それの
調査
をいたし、また、そのような過去の経緯も考えまして、一応
審議
会の御意見を承るというようなことに踏み切ったわけでございます。 私どもは全般の方針といたしまして、今後の問題として、山岳道路、山岳における観光道路というものにつきましては、全体的に抑制をするというような考え方に立っておるものでございまして、個々の具体的な路線につきましては、先ほど申し上げました点は、非常に長い懸案事項になっておりまして、一応の結論といいますか、事務的な意味での結論をつけまして
審議
会におはかりしたわけでございますが、当
審議
会におかれまして、大雪については特に強い反対の御意見も多く、また妙高の問題についても、なお検討すべきものが多いと、このようにされておりますので、私どもといたしましては、今後十分に
審議
会の議も尽くしていただきまして、これをどうしても無理やりに通すべきであるといったような考え方は、現在持っておらないわけでございます。
加藤進
157
○
加藤
進君 私も
審議
会の内情について若干お聞きしておりますけれども、この大雪、妙高の道路計画については、
委員
の大半が反対であるということは、事前に
環境庁
としてもわかっていたはずであります。しかも、
環境庁
自身が、道路計画をぜひ通してほしいというので、反対の
委員
の間を回って説得に行かれたというのでありますけれども、こういうことは
環境庁
本来の任務なんでしょうか。
環境庁
は本来、
自然環境
の
保全
のために尽くすべきが任務であって、道路計画を実行していくために
委員
の説得に走り回るなどということは、私は
環境庁
設置法第三条にも違反するような懸念があると思いますが、その点はどうでしょうか。
首尾木一
158
○
政府委員
(
首尾木
一君) 昨年、
審議
会の計画部会におはかりをする前に、事前にそのような路線の御
説明
に各
委員
のところをお回りをしたということは、事実でございます。その際に、私どもといたしましては原案をこのように考えたということを御
説明
を申し上げたのでございますが、それは、
環境庁
案に対してぜひこれをやっていただきたい、そのとおりにしていただきたい、こういうような趣旨でお回りをしたわけでございませんで、この路線につきましては、当時新聞報道等におきましても、これについてのいろいろな意見が出、また各方面からもいろいろの意見が出ておりまして、そのようなことに対して、各
委員
から御
説明
を求められたというような向きもございまして、そのような御
説明
に回ったわけでございます。 しかしながら、結果といたしまして、事前にそのような点につきまして原案についての
説明
に熱心なあまり、それがあたかも
審議
会にこの道路をどうしても通してほしいというようなふうにとられたということにつきましては、結果としてたいへん遺憾に考えておるわけでございます。
加藤進
159
○
加藤
進君 そういうことで、霧降高原の有料道路はとうとう
審議
会をパスしたわけでございますけれども、ともかく大雪山、妙高の自動車道路については、継続
審議
、保留ということに現在なっておるわけでございます。 そこで私は長官にぜひお願いしたいのは、この大雪山をはじめとする、
審議
会に諮問をしておる自動車道路について、その諮問を撤回して、そしてこの道路計画についてはむしろ
環境庁
として中止を進める、こういうことが基本的な姿勢ではないか、こう思いますけれども、長官の
所信
はいかがでしょう。
三木武夫
160
○
国務大臣
(
三木武夫
君) いま御指摘のように、
審議
会でもいろんな角度から見て、これに対する反対の意見も多いというわけでございますから、そういう意見を尊重して、もう少しやはり慎重に検討しなければいけない。しかし、一たん諮問をしたものを、私はいま取り消してしまうという考えはございません。しかし、
審議
会の中でいろんな角度から反対の意見があるという場合に、これを押し切ってやるという考えはないのでありまして、皆かいろんな角度から——これは評価についていろんな角度があり得ると思いますよ。自然というものは現状に少しも変更を加えていかぬとも思っておりません。しかし、それは自然の
環境
、あるいは動植物との関連もありましょうし、鳥獣・植物の生息の関係もあろうし、その
自然環境
との関連もあろうし、いろんな角度からこれは検討されなけれ臓ならぬわけでありますから、したがって、
審議
会の中に強い反対意見があるということは、その意見というものは尊重して、これに対しての軽率な決定を下すべきものではないと、かように考えております。
加藤進
161
○
加藤
進君 なぜこの問題が世論の大きな問題になったかといえば、言うまでもなく、
自然公園
内においては少なくとも
政府
の権限が及ぶ。そういう
自然公園
内において、このような自然
破壊
が今日もなお続いている。こういういわば現状に対する非常に深い憂慮から発しておる問題だと思います。 したがって、いま、検討をするということでございますけれども、その検討にあたっても、ぜひとも地元の
自然保護
の団体あるいは大学関係の学者、専門家、こういう諸君の意見を十分に尊重して、この問題についての最終的な結論を出す、こういうことだけはお約束できると思いますが、その点はいかがでしょうか。
三木武夫
162
○
国務大臣
(
三木武夫
君) 広く
地域
住民の意向というものを参考にして、きめる場合にはそれも参考にする。広く
地域
住民と申し上げておきたいのでございます。
加藤進
163
○
加藤
進君 それに加えて、
自然保護
団体や学者はどうですか。
三木武夫
164
○
国務大臣
(
三木武夫
君) それも、広く
国民
の意向という、広く
地域
住民の意向という中には、これは有力な意向の中に入ることは当然でございます。
加藤進
165
○
加藤
進君 続いて、長野県の国定公園内で問題になっておりますビーナスライン、美ケ原の問題について質問します。 これは四十六年の十月に、大石元長官が西沢長野県知事と会談いたしまして、まず第一に、和田峠と扉峠の間は、登山道を横切るとか、あるいは尾根を伝うような道路ではいけないけれども、ともかく自然
破壊
が起こらないような十分な配慮をもって進めるなら、という保留条件のもとで部分的な着工が認められた、こういういきさつは御存じだと思います。 そこでお聞きしたいのは、この和田峠−扉峠間の、いわゆる自動車道路の工事そのものについてでありますけれども、これがはたして
環境庁
と長野県当局との会談のように、自然
破壊
が行なわれなくしてともかく今日進行していると、こういうふうに御認識されるのかどうか。
首尾木一
166
○
政府委員
(
首尾木
一君) 長野県当局に対しましては、この道をつけることにつきまして、和田峠−扉峠間における自然
破壊
の問題が生じないようにということで、十分な
指導
といいますか、指示をいたしまして、これをやっておるわけでございます。 ただ、現実の工事の結果におきまして、なお、その道路の区間についての土砂の流出の問題でございますとか、そういったような問題があるということにつきまして、地元の
自然保護
団体のほうから強い指摘を受けておるところでございます。万一そのようなことがありますれば、それにつきましては、これを可及的に復元といいますか、
措置
をとらせる考え方であります。 目下その工事が、工事の進捗段階にありますので、特別にそいったような点については、新しい道を開きます場合には、どうしてもそのような工事の中間段階におきましては、印象的に
破壊
の印象が非常に強くなるということ、これはある程度避けられない問題もあるかと思うわけでございますが、しかし、今後の
措置
といたしましては、できるだけそのような
破壊
につきましてはこれを復元をし、りっぱな道路として完成をさせたいと、かように考えておるわけでございます。
加藤進
167
○
加藤
進君 事実が証明しておるわけで、私は、ことばよりも写真記録によりまして、いま長官にその現場をお見せしておるわけです。おそるべき自然
破壊
ですよ。しかもこれが、
環境庁
と長野県当局との間で、自然
破壊
はいたしませんという合意のもとで行なわれた工事が、このような状態だ。これははっきり見ておかなくちゃいかぬと思います。しかも、そこにありますけれども、登山道はこれを横切らないという、そういう約束までできておるにもかかわらず、登山道はもう無残にも分断されています。 こういう状態をこのまま許しておいて、そうして
自然環境
の
破壊
につながらないような
開発
なら認めますと言われてみても、その
開発
が、結果においておそるべき状態であるということを、私はこの問題がはっきり示しておると思うのです。この点をひとつ、今後とも十分に長野県当局に対しても警告してもらいたいと思います。よろしゅうございますか。
首尾木一
168
○
政府委員
(
首尾木
一君) 先生の御指摘になりました歩道との交錯の点でございますが、私どもが長野県から聞いておるところによりますと、現在、道路の工事をいたしますためのパイロット道路が歩道と交錯をしておるということでございますので、これは道路完成の際には、この交錯の問題というものは
解決
をするというふうに考えております。ただ、全体の問題といたしまして、御趣旨に沿いまして、十分自然
破壊
の最終的に起こらないような形でもってこの道路を完成させたいと、かように考えておるわけでございます。
加藤進
169
○
加藤
進君 それはパイロット道路だから、本物の道路をつくるときには修復しますとおっしゃいますけれども、こんなに立ち木はどんどん枯れていく、こんなにもう
土壌
は崩壊する、こういう状況で、修復なんていうのはおよそ考えられない。これは
土壌
の状況もここにはあります、非常に脆弱な
土壌
なんですから。こういう状況のもとで美ケ原線が、いまや新しく路線を広げていこうと、こういう問題になっておりますから、事柄は重大だということを申し上げたいのです。 そこで第二の問題ですけれども、扉峠−美ケ原間の問題については、昨年十月二十日に
環境庁
の見解も出され、十一月の十日には長野県側に通告されたようであります。この内容は、どのような内容でございましょうか。
首尾木一
170
○
政府委員
(
首尾木
一君) 扉峠から王ケ頭へ抜けまして松本のほうへ入っていくというこの路線計画が、従前の、現在ございます八ケ兵中信国定公園の計画路線になっておるわけでございます。その路線につきまして、扉峠から美ケ原の台上に至る、茶臼山の付近を通りまして美ケ原に至る路線が稜線の上を通っておるわけでございますが、その稜線部分を通ることは、自然
破壊
が非常に多いというような見解から、そこについては通すべきでないという点が一点でございます。 それからもう一点は、美ケ原に台状の
地域
がございますが、その
地域
はレクリエーションの地帯といたしまして、いわば車が、自然探勝あるいは台上のレクリエーションの徒歩による利用というようなことを妨げるおそれがございますので、台上につきまして、王ケ頭を通っていく路線は適当でない、台上については通すべきでないというのが第二点でございます。
加藤進
171
○
加藤
進君 ともかく、尾根筋を通ってはならない、それからまた高原台地を通るのも認めがたい、これが
環境庁
の正式の見解でございますね。 そこで私は聞きますけれども、そのあと、長野県当局から新しい修正ルートなるものがつくられて、この承認を求めてきておるようでございますけれども、この修正されたルートについての
環境庁
の見解はどうですか。
首尾木一
172
○
政府委員
(
首尾木
一君) 修正されましたルートにつきましては、
環境庁
といたしまして、いまだ結論を得ておりません。これにつきましては、従前の稜線を通るという問題は一応避けてございます。 それから台地上の問題でございますが、従前のように非常に長い区間を台地上を通すというような問題は避けられております。 しかしながら、この新しい路線につきましても、さらに地元における
自然保護
団体あるいは一部の学者等におきまして、なお、この路線は適当でないと、こういったような御議論もございますし、私どもとしましては、それらの意見をも聞き、また、私どもの
調査
の結果も照らし合わせまして、慎重に検討いたしておる段階でございます。
加藤進
173
○
加藤
進君 この修正ルートといわれるものが、
環境庁
がここは通ってはならないという高原台地を通る。山本小屋付近を経て巣栗林道に結ばれるのは、これは台地上通過ですね。こういうことがもうはっきりわかっておる以上、なぜ
環境庁
は、これについてさらに検討を要するなどということを言われるのでしょうか。これもまた従来の方針から言うなら許しがたい。これは当然出てくる結論ではないでしょうか。
首尾木一
174
○
政府委員
(
首尾木
一君) 昨年、台地上につきまして、これを通過すべきでないというような結論を出しましたのは、従前の計画路線につきまして、稜線上のほかに、台地上は、先ほど申し上げましたように、特に徒歩利用等による利用の妨げに非常になる。車が通行することによりますそういう
被害
が大きいというような判断で行なったものでございまして、この台地上については全然これを通過することはできないのだという、そこまでの結論を必ずしも出したものではございません。しかし、新しい路線につきましては、したがいまして、山本小屋から七百メートルぐらいの区間か今度の案としてもなっておりますので、その七百メートルの区間に確かに検討すべき問題があるということは、これはまた事実でございますので、このような点についてはさらに具体的に、ここを通すべきでないか、あるいは通してもさしつかえはいのかということを検討する必要があるというふうに考えておるわけでございます。
加藤進
175
○
加藤
進君 きわめてあいまいもことするような結論になってきそうでありますが、私は、だからこそ一番最初に、
環境庁長官
自身にその
所信
をただしたわけでございますが、今日、
自然保護
局事務当局自身は、いまのような答弁で、なおかつ修正ルートは認める余地があるなどというようなふうに受け取り得るような言質を言われたわけでございますけれども、私は、この美ケ原の修正ルートなるものが、十一月十七日、長野県の
自然保護
審議
会においても、何ら実地の
調査
も科学的な検討もしないままで、強行採決と言われるような異常な手続で承認を得たものであるということを、私は忘れてはならないと思います。このために、
委員
の中に、
辞任
をせざるを得ないとして
辞任
され、また、
審議
会に抗議書まで出されておるという事態を私たちは重視しなくてはならぬと思うのです。 しかもこの修正ルートなるものについて、私たちは、ただ
自然保護
団体の言い分がこうだというだけではなしに、科学的な
調査
の結果がまとめられてまいっております。これは長野県の信州大学の生物学校室等々の実地
調査
の結果でございますけれども、この中にはきわめて重大な自然の宝が存在する、もしこのような修正ルートが山頂近くを通るということになれば、おそらくこの
地域
における自然の様相は一変するであろうという警告を発しておるわけでありまして、こういう見解については、すでに
自然保護
局としましても、現地に行かれて十分に学者の意見は聞いてきておられるはずだと思います。 そういう全体の結論として、
自然保護
局、いやむしろ
環境庁
自体が、このような修正ルートは認めがたいという立場を明確にしてもらうということが、いま必要ではないか、こういうふうに考えるわけでございますけれども、長官、美ヶ原線はもうこれ以上、扉峠以降のところは建設は取りやめるべきである、こういう立場に立った長官あるいは
環境庁
の積極的な対処が必要だと思いますけれども、その点の御所見を承りたいと思います。
三木武夫
176
○
国務大臣
(
三木武夫
君)
加藤
さん、きょうも美ケ原の沿道ですか、それを取り巻く町村の町村長が大挙して来られて、この道路を認めてほしい、こういう陳情がありました。それで私が言ったのは、やはり自然の
環境
というものは一ぺん
破壊
するとなかなかもとへ返ってこないので、この問題についてはきわめて慎重に——独断でもいきませんからね、私の。いろんな専門家の意見も徴して、これは慎重に検討して結論を出すので、陳情にたくさんみえて来られたけれども、これは、ノー、イエスというようなことを申し上げることはできない、やはり決定の前にいろいろ事前に私は言わないほうがいい、と。 ただ、申し上げることは、自然の
環境
というものは一ぺん
破壊
するとあとへ戻らないということですから、きわめて山岳地帯の道路については私は慎重論者なんですよ。しかし、いま言ったように、どの道路も、山岳地帯に道路をつけてはいけぬという、そういう否定はできないと思います。現実的でもないと思います。しかし、自然というものはこわされたらあとへ返らないというこの事態から考えて、私はきわめて慎重な態度で、山岳地帯の道路というもの、自動車道路というものに対しては決定を下そうとしておる、このことだけは申し上げておきたいと思います。
加藤進
177
○
加藤
進君 最後に一つ。いま長官が言われたように、自然は
破壊
されたら二度と取り返しがつかない貴重な宝だと、この点を大前提に置いて、ひとつ
自然環境
の
保全
のために
環境庁
は努力してもらいたいと思います。 特に、私はきょうは世論ということばを使いませんけれども、
環境庁
の長官のほうにもいろいろ陳情がきておられるようでございますが、私のほうにも相当の陳情がまいってきております。これをどちらの側で受けとめるかという問題になりますけれども、「信州毎日」が昨年の十一月段階で
調査
されました世論
調査
によりますと、長野県の県民の世論の大半はこのような計画に反対である。それから地元周辺の
地域
住民の世論もまた、四割方反対の立場に立っている。こういうことを正確に数学的にあらわしています。 私は、この世論の動向はきわめて重要なことであって、その心とするものは、何をおいても
自然環境
の
保全
でありますけれども、同時に、この美ケ原を水源とする、いわば生活水がここに源を発するという問題がきわめて重要になってきておるのでありまして、このような水源地、上水道の危険、飲み水の危険までわれわれに及ぼすような
環境破壊
は許しがたい、こういう立場で今日
地域
の住民が運動に立ち上がっておる。こういう点を認識されまして、ぜひとも、慎重はけっこうでございまして、悪い決断を早くするなどということはしない、慎重にいい決断をする、こういう立場でひとつ善処してもらいたい。 この点だけお願いして、私の質問を終わります。
大矢正
178
○
委員長
(
大矢正
君) 本件に対する質疑は、本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。 午後四時五十六分散会 —————・—————