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政府委員(渡部正郎君) 警察といたしましても、いまのお話のように、子供と老人の
事故がなかなか減らないというのが最大の悩みでございます。もう
一つ、御質問にはなかったのでございますけれども、サーキット族といいますか、若い人の暴走、この三つがどうしても減らない。ことに子供の
事故の場合には、九歳以下というお話がございましたが、幼稚園にあがる以前の子供さん、これは人口一万人あたりをとりますと非常に
事故率が高い。それから老人の方も七十五歳以上くらいの方の人口比の
事故率が非常に高いということで、考えてみますと、この三つに共通した
一つのあれがございます。何といいますか、コミュニケーションが非常にむずかしい。お年寄りの方はやはり急激な
交通状況の変化になかなか追いつかないという点もございます。小さいお子さんはなかなか話してもわかってくれぬというあれがございます。それから若い方はまた違ったあれで、スピードに酔うと申しますか、なかなか話してもわかってもらえない。要するにコミュニケーションのできない層の
事故対策というものは非常に
一つのポイントになってきているんではないかと思います。それから、そういう点で、安全教育のやり方も、従来とは違ったアプローチのしかたでくふうをこらしていかなければならぬということでいろいろ考えているところでございますが、子供の
事故について申しますと、いまお話にもございましたように、やはり
道路——子供にとっては
道路が遊び場だというのはどうしても否定できない面があると思うわけでございます。これからも——従来もやってまいりましたけれども——
交通規制におきましても、基本的にはやはり通過
交通と地域
交通というものを分離するという
考え方に立ちまして、地域
交通は安全なものにしていかなければならない。地域
交通を主にする地域におきましては、子供さんは、たとえ車が通っていても大きい
事故は起こらないぐらいに車の
交通というものを押え込んでいかなければならないんじゃないだろうか、そういう観点に立ちまして、地域
交通と通過
交通の分離ということを組織的に広範囲に
実施していきたい。もうちょっと広く申しますと、やはり車が道があればどこを通ってもいいという時代はもう終わったんではないだろうか。やはり
日本の
道路は非常に複雑な構成を持っておりまして、
事故対策上もいろいろむずかしい点はあろうと思いますけれども、やはりその町なら町の
道路全体の使い方というものを考え直す必要があるのじゃないだろうか。つまり、
交通の流れというものを、より安全でより効率的で、そしていわゆる
自動車公害の少ない形で流れを再編成していくと申しますか、そういう、何といいますか、システム的な
規制というものをやっている中で、それでやはり
交通から生活の場を確保するということをまず大前提としてやらなければならないのじゃないだろうかと考えております。子供さん自身につきましては、ちびっ子広場とか子供公園というのも必要だと思いますけれども、非常に必要なのは、たとえばすぐうちの前に出てちょっと遊ぶとか、ことに三輪車に乗っている子供さんがよく
事故にあうわけですが、三輪車を乗り回したりとか、そういうのは離れていてはだめなんでございまして、子供さんの生活の場の近くに三輪車でも何でも乗り回せるところがなければだめだということではなかろうかと思うわけでございます。そういうことで、遊戯
道路というようなものを積極的にやってきているわけでございますが、現在
全国で八百十九区間あるというふうになっておりますが、私はこれじゃとても足りない。これはもっと飛躍的に多くしていかなければならないんじゃないだろうか。地域
交通を主にした生活圏の中で、やはり
自動車を締め出して子供さんが遊べる、うちの近くで遊べるという、そういう
道路の確保、——名前はいろいろあろうと思いますが、「遊戯
道路」というような呼び方をしているところもございますし、あるいは「網の目
規制」というようなことで、車が通る中の
道路は車を通さないで、そこは子供さんの遊び場にするというような
考え方で「網の目
規制」というようなことをやっている県もございますけれども、そういう形で、やはり子供さんの生活というものを
道路というものの中で確保していくような
規制というものを非常に積極的にやってまいりたいというふうに思っているわけでございます。
老人につきましても、老人クラブその他での安全教育というのもあるわけでございますけれども、老人クラブにおいでにならない老人の方の
事故が非常に多いわけでございまして、県によりましては、年間平均して十回ぐらい、老人の家庭、ことに家族のいらっしゃらないひとり住まい、あるいは夫婦だけの老人の家庭をおまわりさんが訪問して、いろいろ
交通のことを
中心にお話しするというようなこともやっているわけでございます。老人の
交通事故対策についても、うちに引っ込んでいろという
考え方があるわけでございますが、私はそれはやっぱりだめなんだろうと思います。老人の方はさびしい毎日を送っておられるわけですから、やはり町へ出て社会の空気に触れてこそ生きがいがあるわけでございますから、老人の
事故対策も、ただ引っ込んでろというのではだめだ。やはり安全な
道路、安全な通行というのを確保して、老人の方の社会的な生活というものをささえるような形でのことをやっていかなければならないというふうに考えているわけでございます。現状はたいへん不満でございますけれども、いま申し上げましたような
考え方に立ちまして、御
指摘のございました小さい子供さん、それから高齢者の老人の方の
対策につきましては積極的に進めてまいりたいと思います。