○春日正一君 大体いまの御答弁で原則論としての政府の態度というものは了解できるわけですけれ
ども、具体的な問題について三つほどお聞きしたいんです。
第一番は横浜の金沢地区の
埋め立ての問題なんですけれ
ども、これは
埋め立て計画が、一号地百九十万平米、二号地百七十万平米、三号地が二百三十万平米、それに海の公園七十万平米と、こういうことで計画されて、現在一号地はほぼ完成、それから二号地のほうは、外郭堤防をつくって、
あとは土を入れるというような
段階にきております。そしてこの一号地と二号地は横浜市長が認可の権限を持っておるものですから、先ほど話したように、自分で申請して自分に認可するというような形で、これは簡単にいったわけですね。ところが、三号地は県知事が認可をするということになっておって、しかもそれがこういうふうになっているんです。(地図を示す)これが三号地でもって、ここまでが港湾区域で、だからここからうちは
運輸省の認可事項ですね、承認事項といいますか……。それからこっちは
建設省の承認事項、両方にかかっているわけです。県知事が認可をするということになっているわけですけれ
ども、この三号地の
埋め立てについていま非常に反対の運動が強くなって問題があるし、私も行ってきてみて、これは
考えにゃならぬ大事な問題だというふうに思ったんですけれ
ども、つまりここのこの
埋め立てをやるために――ここは釜利谷地区といいますけれ
ども、ここは市街化調整区域になっており、ここは、この幅の中は緑地保全法による緑地になっている、この続きになって、横浜市で残された最後の緑地帯といわれるようなところで、御
承知のように金沢八景という駅もあって、そこからハイキングコースでずうっと鎌倉に入れるというような、非常に景勝な
土地です。ところが、この
埋め立ての土の二千五百万平米を取るために、この調整区域のこれを解除して、京急興業とかいう、これは京急が全部買っているんですが、京急興業に宅造を許可する、この山を削った土を持ってきてこれを埋める、こういうことになっているんですね。だから、地元の人たちにしてみれば、海もこわされるし山もこわされるということで、これは反対運動がいま非常に大きくなっている。六月の県議会には反対請願が出されて、そして自民党、公明党、共産党、民社党――
社会党はこれは与党なものですから署名はしないけれ
ども、請願の紹介になってそれが出されたというようなことで、県知事もこの問題の解決を議会できめてくれなきゃ決定はしないというようなことになっておるわけですね。私はそういう
政治的などうこうよりも、この海岸というのは、すでに市川から
東京湾ずっと歩いてみて、
東京湾の中で残されたほんとうに乏しい海岸ですね。しかも金沢八景と昔からいわれているように非常に景勝の地で、いまでも海水浴もやれれば潮干狩りもやれるというような、七キロの残されたわずかな海岸、これを埋めてしまう。そしてこのハイキングコースのここを削って住宅地にしてしまうというようなことが簡単にやられていいものだろうかと、私、横浜市へ行って聞いてみたんです。こういうことをして、山を削って海を埋めて、そのためにこの海面、あるいはこの
地域に――ここはまあ植物、鳥類保護区域にでも指定しようといわれているような、鳥やこん虫、横浜としては残された豊富な
土地だ、だから何とかそういう点について、これだけ取っちゃったら鳥やそういう生物はどうなるか、あるいは海を埋めたらここの魚の生態はどうなるか、そういうようなことについて調査された資料はありますかと言ったら、そういうものは調査したことありませんと言うんです。だから、いま言われているような
環境アセスメントといいますか、そういうような問題については全然調査なしに、ただ
法律にきめられておる、
埋立法施行令できめられておる
埋め立て面積と使用目的云々というような書類だけでこれが審理がされるということになると、先ほど来
大臣、次官の言われたいまの時点での
埋め立て認可の
基準には合ってこない。だからこれは当然県知事が認可をするとしても、これは大規模なものですから、
運輸省あるいは
建設省に承認を求めてくるだろうし、その時点では
環境庁にも相談があるはずなものだというように思いますけれ
ども、これらの点を十分やはり
検討して、そうしてこれを削ることが災害にどういうふうにつながるのか、あるいは自然
環境にどう影響されるのかというようなことを十分に
考えて、そういう資料を出して調べた上で
検討するということをこれはやってほしいと思うわけです。
ついでのことですけれ
ども、この
地域に御
承知の金沢文庫があります。あそこの称名寺というお寺の境内のぎりぎりきわまである宅造会社が買い占めて、それで海岸寄りの山を何メーターか削ったんですね。その時点で住民が反対して、文化庁なんかもいろいろ世話をやいてくれて、まあそこは県が買い取るということにして保存はできたわけですよ。あのとき館長の話を聞いてみますと、金沢文庫の建物というのは西洋風のきちっとした建物にいま建て直されておりますけれ
ども、この山が削られたという、数メーター削られたというだけで気象条件が変わって、そして古文書のいたみが激しくなってきているから、もうこの建物は建て直して十分保存のきくようなものにしてもらわなきゃしようがなくなっているというようなことを聞きました。わずか数メーターの山を削っただけで海の空気が入ってきて非常に微妙な変化が出てくる。幸い文化庁のほうでもその点考慮して建て直すことにきまったそうですけれ
ども、そういうことを
考えますと、これだけの山を――これは横浜で一番高い山ですよ、削ってしまって、海に埋めてしまって、それで変化が起こらぬという道理はないわけですね。ところが、そういうことに対して何らの調査もなしに、ただバイパスをつくるんだとか、あるいは工場を誘致するんだというようなことだけで計画がされてきておるし、それからまたそういうことで認可がされてきているということになれば、いままでのまた繰り返しになってしまう。だから、そういう点で十分そういう調査してないというんですから、きちんと調査研究をさせて、そうしてその必要との考慮の中で住民の納得の得られる形で認可するなりしないなりということできめられていくというような手続をとってほしいと思うんですが、先ほど私読み上げた
公害審議会の報告にあるように、認可する場合に十分前もって調査をして、その被害が起こらぬような条件をつくった上でやるかやらぬかをきめるということにしてほしいと思う、これは実際問題ですからね。で、九月の県議会できまればすぐ出てくるわけですから、その点ひとつ
考え方を聞かしておいてほしいと思います。