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1973-09-11 第71回国会 参議院 建設委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年九月十一日(火曜日)    午前十時二十一分開会     —————————————    委員異動  八月三十日     辞任         補欠選任      上田  稔君     林田悠紀夫君  八月三十一日     辞任         補欠選任      林田悠紀夫君     上田  稔君  九月四日     辞任         補欠選任      竹内 藤男君     金井 元彦君  九月十日     辞任         補欠選任      金井 元彦君     竹内 藤男君  九月十一日     辞任         補欠選任      中村 禎二君     菅野 儀作君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         野々山一三君     理 事                 大森 久司君                 竹内 藤男君                 山内 一郎君                 沢田 政治君     委 員                 上田  稔君                 熊谷太三郎君                 小山邦太郎君                 古賀雷四郎君                 中津井 真君                 中村 禎二君                 米田 正文君                 中村 英男君                 高山 恒雄君                 春日 正一君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        建 設 大 臣  金丸  信君    政府委員        経済企画庁総合        開発局長     下河辺 淳君        環境政務次官   坂本三十次君        環境庁自然保護        局長       江間 時彦君        運輸省港湾局長  竹内 良夫君        建設大臣官房長  高橋 弘篤君        建設省河川局長  松村 賢吉君        建設省河川局次        長        川田 陽吉君        建設省道路局長  菊池 三男君    事務局側        常任委員会専門        員        村田 育二君    説明員        環境庁水質保全        局水質管理課長  山村 勝美君        法務省民事局参        事官       古館 清吾君        通商産業省立地        公害局工業再配        置課長      志賀  学君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○公有水面埋立法の一部を改正する法律案(内閣  提出、衆議院送付)     —————————————
  2. 野々山一三

    委員長野々山一三君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  九月四日、竹内藤男君が委員辞任され、その補欠として金井元彦君が、また九月十日、金井元彦君が委員辞任され、その補欠として竹内藤男君が、それぞれ委員に選任されました。     —————————————
  3. 野々山一三

    委員長野々山一三君) 次に、理事補欠選任についておはかりいたします。  ただいま御報告いたしましたとおり、委員異動によりまして理事が一名欠員となっております。理事補欠選任につきましては、先例により委員長の指名に御一任願いたいと存じますが御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 野々山一三

    委員長野々山一三君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事竹内藤男君を指名いたします。     —————————————
  5. 野々山一三

    委員長野々山一三君) 公有水面埋立法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 沢田政治

    沢田政治君 この前の委員会で、公有水面公有物ですね、これを埋め立てて、これを免許して、そして私有権を与えていく、財産権ですね、こういうことは、現下の情勢から言って非常にわれわれは納得できぬと。一方においては公有地取得法律案なんか出しながら、片一方は公有地を今度は私の権利に属する財産権として与えていくと。全くこれは矛盾しておると、こういうことを指摘したわけでありますが、そういう問題があると同時に、やはり工業のために水が足りない、ダムだ、今度は土地が足りない、埋め立てだ、こういうことが一体自然環境なり生活環境にどういう影響をするのか、こういうことを考えずに、そこに山があるから登るという式に今日までまいって、日本列島が総公害を引き起こしておるわけでありますが、いまこそ、もっと原点に返って、生活中心原点に返って問い直す必要があるのじゃないかということも、この前強調したはずであります。ところが、たまたま今度は東京湾横断橋ですか、これをつくる計画新聞に出ておるわけであります。当初は技術的に非常にまだ未解明なところがある、あるいは及ぼす影響環境に及ぼす影響についても、まだ把握できておらないということだと思いますが、そういうことで、今日まで調査をしてまいったわけでありますが、そういう若干の考えるべき点について、ある程度解明ができたと、こういうことで今年一億二千万円ですね、来年度予算要求をして、そうして本格的に調査をして、昭和六十年に供用を開始する、こういう点が発表になっておるわけであります。私は新聞で見る限り、以上のことはわかりませんが、はたして環境等に及ぼす影響というものを、どういう結果になるかということを明確に把握したかどうかということであります。一九五〇年代から六〇年代にかけて、特に未開発国中心になって人口が増大する、食糧が不足だ、そこでダムをつくって、かんがい用水とか発電用水をつくるということで、これはエジプトでもそうでありますし、パキスタンでもそうでありますし、ブラジル等でも盛んにそういうダム、そういうものが進められてまいったわけでありますね。その結果が、いま現在の人知では考えられない自然の反発を受けておる面も世界随所にできてきておるわけであります。そういう面から考えて、工業のために必要だから横断道路をつくる、まあ支障がなかろう、こういうことだけで踏み切られたんでは、これはたいへんだと思います。しかも、今年度を初年度とする第七次道路五カ年計画が発足したわけでありますが、その審議の際にも、今度できる道路というのは、いままでのように自動車と産業のための道路じゃいかぬ、生活道路を重点にすべきだ、こういうことを各委員が強調してまいったわけであります。ところが、今度の発表によりますと、三千八百億円かけて昭和六十年までに、また何というか、技術的にも環境に及ぼす影響も私どもは疑問があると思いますが、それを進めようとしておる。そういうことから考えて、やはり建設行政というものは全然発想の転換とか流れを変えておらぬ、依然として産業中心であり、企業中心建設行政である、こういうように見ざるを得ないわけですよ。われわれのひがみかもわかりませんがですね。この点について大臣はどうお考えになっておられるのか。いままでの答弁に、いや、生活道路中心にやるのだ、意を用いたいのだということを言っておるわけだけれども、次々出てくる実際のこういう現象というものはそうじゃない。依然としてそれをもう促進しよう、拡大しよう、強化しよう、こういう方向にとられてならぬわけでありますから、その点に対する大臣の所信をお伺いしたいと思います。
  7. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 環境保全等につきましては当然考えなければならぬ問題でありますし、また、ただつくればよろしいということではないということも当然であります。ただ、現状の状態考えてみますと、千葉−東京間等交通状況を見ましても、幾つかの道路がありますが、交通渋滞はまことにはなはだしいものがある。そういう意味でバイパス的な東京湾横断道路というものを考える。あるいは京浜地区人口あるいは工場生産機能というようなものを分散するというような考え方、そういう上に立ってもこの横断道路は必要だというような考え方。私はこの道路を来年度の予算にも要求をいたしたわけでございますが、そのとき、これをつくるに公害という問題はどうなるんだということを十分詰めたわけでございますが、七年間調査等をやってまいりまして、公害等技術的に及ぼす影響というものは全然ないとは申しかねるけれども、いままでのような公害というものは考え得られない、技術的にそれは解明できるというような説明も承りまして、この際、非常に私のところへもこの道路をつくってほしいという要望、要請が強いものであるものですから、一応道路局長道路局幹部等とも十分打ち合わせまして提案いたしたわけでございます。これをつくるにつきましては当然関係公共団体等とも十分な協議の上に今後やっていかなければならないし、また東京湾総合開発協議会等もあるわけでございますが、そのほうの要請も強い要請が来ております。しかし、この協議会から東京都知事が脱会したいというような話も聞いております。まだその状況はつぶさに私は聞いておらないわけでありますが、辞表は預かっておるという程度だということで、その辺にもいろいろ問題点はあろうと私は思いますが、そういうものも何もかも、理解ある結論のもとにこの話をつけてまいりたいということで考えを持ったわけであるということを申し上げて御理解をいただきたいと思うわけであります。
  8. 沢田政治

    沢田政治君 「船舶航行および湾内環境に及ぼす影響」、これを読みますと、——これは皆さんのほうで出した資料でありますが、「シミュレーション手法により潮流および汚濁の計算を実施した。」ということで、その「(2)」のほうで、「東京湾横断道路を設置することにより生ずるCOD濃度分布変化は、横断道路の近傍に限られ、湾奥部での変化は、かなり小さい。」、何を基準にしてかなり小さいのかですね。非常に自信がないんですね。影響ないとは言っておらぬのです。かなり小さいとか、また一番末尾のほうに、「港奥部並びに湾口部における変化は、かなり小さいと推定される。」——これは汚濁ですね。まあこういうように非常に、推定されるとかかなり小さいというのだけれども、絶対にいまのより変化ありませんと、影響ありませんと断言できないんですね。断言しておらぬわけですよ。そういうあやふやなものを三千八百億円もかけて何のために無理強行しなくちゃならぬかということに私は疑問を感ぜざるを得ないわけですよ。人が通る生活道路とはこれは全然違うわけであります。そうでしょう。しかも人工島を二つつくると。そうしてこの沈埋函といいますか、沈めてトンネルつくるあれですね、沈埋函でやると。こういうのは影響しないはずはないし、と同時にまた、これは産業中心道路なわけですよ。でなくとも、今度は事務所新設税を設けようとか、一方においては都市過度集中というものを排除しようということをしながら、その必要性を痛感しておりながら、今度はこの横断道路ができたことによって経済効率が高くなるわけでありますから、ましてやこれは人口集中一つ引き金になる可能性があるわけですよ。でありますから、私は、先ほど生活道路とこういう工業道路——あるいは都市集中化を、過密化を排除するという政策を一面やっておきながら、一面においてはまた人口過密引き金となるような相矛盾した政策をとるということは、これは納得できないと思うのであります。このメリットというものをどこに求めてこの道路をつくろうとするのか。デメリットということを考えなかったかどうかですね。これ以上やはり京浜京葉人口というものを集中させようというような意図があるのかどうか。そうであるならば、皆さんが今日までわれわれに答えてきた数々の法案審議の際の答弁というものは全くうそであったと、その場のがれであったと、こう言わざるを得ないわけだ、悪く邪推すると。どうも判断に迷うわけだよ。これは道路局長、あんたこの面については、これは所管であるから、そういう面を明確に考えてやっているのかどうか。どうもおかしいと思うのですよ。何か利害関係者が早くつくれ、つくれと言うから、まあ行政官庁も腰を上げてやろうと、こういう気持ちなのかどうか、悪くとれば。どういうことですか、これは一体。
  9. 菊池三男

    政府委員菊池三男君) 初めに、ちょっとこの資料に「かなり小さい」とかというようなことが書いてございますので、何か自信がないじゃないかというようなことでございましたので、ちょっと簡単に申し上げますけれども、確かに「かなり小さい」というふうに書いてございます。ただ引き続きまして、かなり小さいけれども実際にどのくらい変化するかということが続けて書いてございます。一番変化するところで、たとえば橋のすぐそばで二・五PPM程度のものが最高一番上がって三・五PPM程度に増加するところもあるし、逆に現在五PPM程度のものが最低で一番下がって四PPMというふうに、一PPM程度の増減があるということが続けて書いてございます。したがって、それが最高の場合でそれだけなんだから、もう最高でなければほとんど影響はない。それが橋の近辺で、横断道路近辺でそういうことでございますので、湾口部とかあるいは湾の奥のほうへ参りますと、もうほとんど、まあゼロになると。しかし、これも絶対にゼロになるという——これは一つシミュレーション方式という手法潮流を計算して、そして汚濁を計算してございますので、まあ絶対と言うには——われわれ技術面から見ますと絶対ということばは非常に慎重に使いますので、かなり小さいという書き方してございますけれども、いま言いましたように、それじゃあ実際の変化するところは一番大きいところでも一PPM程度であるから、かなり小さいということは、それよりうんと小さいのだというふうにお続みいただきたいと思います。しかし、これは東京湾汚濁の問題でございますので、いままでいろいろ調査をやりました結果、そういうことではありますけれども、この汚濁の問題についての解明はさらに進めなければならないと思っております。  それからこの横断道路メリットデメリット考えたことがあるかという御質問でございます。確かにメリットもございますし、デメリットもございます。ただこの道路は、東京湾沿い湾岸道路をいま計画しております、もう現実に仕事もどんどん着工しております、その湾岸道路のこれは一部をなすものでございます。東京湾沿いにずっと道路をつくりますと、それが閉じることによってその効果は非常に大きい効果をもたらすのでございます。かつては湾口部、これは富津とそれから三浦半島の一番先の横須賀の先でございますけれども、それを結ぼうという計画がございましたけれど、そこは非常に水深も深いし、距離が長く、いまの技術では非常にむずかしいということで、そちらのほうはまだちょっと問題点があろうかと思います。この中央部におきましては、技術的にも可能であるし、これを結ぶことによっていまの湾岸道路とともにその効果があるというふうに考えております。  それから先ほどお話ございましたように、一部沈埋トンネルをいたします。これは全部橋ですと——これは橋ですから足は立ちますけれども、普通の川に足が立っているように、そういう湾の水の動きということに対しては非常に影響が小さいわけでありますけれども航路関係で二千メートルグラスの大きい航路をとりますので、どうしてもそこの間は橋では、いまの技術ではできない。やむを得ず沈埋トンネルをやることにしております。そうしますと、水面の上を橋で行ったものが下へくぐりますにはどうしても人工の島をつくりまして、その島の中で地下へもぐるという形をとらなければなりませんので、島が二カ所できます。これは表面に出ているのは長さ五百メートルぐらいですから、それが二カ所で約一キロ、それに少しすそのほうが出るとして一キロ五百か二キロぐらいのあるいは阻害するものになるかもわかりませんけれども、まあ全体で十五キロほどあるところでございますので、それの潮流に与える影響もほとんどありませんし、したがって環境が、いまより水質汚濁が多くなるということもないというふうに考えてございます。  そのほか、これをやることによって、あるいは房総、あるいは京浜京葉工業地帯がますます人口過密になるのではないかというお話でございますけれども、確かにそういう見方も成り立つと思いますけれども、また一方、先ほど大臣が申しましたように、京浜工業地帯あるいは京葉工業地帯にございます工場がこちらへ移って工場の再配置ということになりますと、少なくともいまの過密が比較的過疎の地域へ動けるということにもなりますので、そういう意味メリットはあろうかと思います。ただ、その場合も無制限に野方図にやりますと、これはスプロール化いたしますので、これはちゃんとした一つ土地利用等計画を立ててやらなければならないと思いますけれども、そういう意味で必ずしも過密を促進するばかりのものではない。しかも、これは昭和六十年を目標に考えておりますので、まだ十年以上先のことでございますが、そのときの交通状態等考えますと、湾岸道路をつくっても、湾岸道路が全部一ぱいになり、しかもさばき切れない交通が残るということになりますので、この横断道路利用して東京なら、たとえば東京の都心を通らなくても済む車はこの横断道路を通っていくというようなことのメリットもございます。メリットデメリットいろいろございますけれどもメリットが非常に大きいことと、それからデメリットについてはいろいろなまた対策を講ずることによって、それをある程度減らせるということもございます。  それからもう一つ質問で、市町村道等生活道路をやると言いながら、これは産業優先道路じゃないかということでございますが、確かにいまの私ども考え方生活道路中心にやっていこうというふうに考えております。それはいまも変わりません。この横断道路の場合は、実は有料道路でやろうという計画でございます。したがいまして、全体で三千八百億という数字でございますけれども、ほとんどそれが有料道路事業でございますので、市町村道等を整備する、いわゆる公共事業の費用というものはこの中に一割程度しか入らないと思います。残りは財投等によります有料道路でございますので、これをやったために市町村道のほうを圧迫するということはございません。市町村道市町村道なりに五カ年計画を御審議いただきましたときと同じ考え方で進めていくつもりでございます。
  10. 沢田政治

    沢田政治君 第三セクターでやるから全然関係ない、影響ないと、こう言われておりますが、約十九兆五千億円ですか、第七次の五カ年計回。この中から一銭も取らぬのですか、どうですか。これとの関係はどうなっていますか。
  11. 菊池三男

    政府委員菊池三男君) 十九兆五千億の中からこれに対して支出がございます。
  12. 沢田政治

    沢田政治君 そうでしょう。だから影響ないじゃない、影響あるじゃないですか。この影響の率がどうか別として、影響ない、支障がないということは、これは言えないと思うのです。それからもう一つは、開発にあたって第三セクター方式をとると。これはつまり不動産会社とか商事会社とか、これはどこかわかりませんが、官民共同出資になるわけだね。つまり、それが第三セクター方式になるわけで、これをとるということはどういう意味ですか。やっぱり一番裨益を受けるのは開運産業とか一般に金融資本を含めて産業界だと、であるから応分の銭を当初出してやるべきだと、投資すべきだと、こういう考え方じゃありませんか。ほんとうに国民のために必要な生活道路国民に利便を供するものであったならば、これは全部国費でやるべきだね。そうじゃない、第三セクターによってやるということは、産業に裨益する度合いが大きいと、こういうことをいみじくもここに露呈しているじゃありませんか。どうですか、だれのためになるのですか、一体これは。
  13. 菊池三男

    政府委員菊池三男君) 有料道路をやりますときに、いまの考えは第三セクターという形で国とそれから民間エネルギー集中利用いたしまして、民間エネルギーと両方でこの仕事を進めていきたいというふうに考えております。いまの考え方では、大体半分ずつ出そうじゃないかということをいま考えております。これは、その分だけ産業利益があるからじゃないかという御質問でございますけれども、これは確かに道路なり橋なりをつくりますと、これはもう多かれ少なかれ産業にもあるいは生活にもすべてに利益があるわけでございます。したがって、公共事業でやるわけでありますけれども、ここの場合は非常に地域的であり、国で全額やるのが、これが一番いいわけでありますけれども、いまの国の段階からまいりますと、なかなかこの一部の地域に大きな投資をすることができないということから、これはまた本州、四国の連絡橋につきましても、やはりこれは公団をつくっておりますけれども、国が公団をつくってやっておりますけれども、やはり国とこれは地元の公共団体でありますけれども、双方でやっていくというような形をとっておりますが、そういうふうに非常に地域的であるがために国だけで全額投資できない、またそれだけの余裕もないということもあります。また一方、先ほど申しましたように、昭和六十年時点では湾岸近路だけではだめなんで、しかも沿岸道路効果的な利用をはかるには閉じてないといけない、リングになっていないと効果がないということから、国のほうもそれだけのメリットがございますので、それでは半々ずつ出し合ってやろうということにしておるわけでございます。
  14. 沢田政治

    沢田政治君 これは人工島をつくるということは海を埋め立てるわけですから、当然、公有水面埋立法が適用になるわけですね、これは海を埋めるのだから。しかし、そんな問題はいいんです。いいんですが、肝心の東京都知事がこれには反対だと、何かの組織に入っておったわけですが、これも抜けたわけですね。これは東京湾というのは東京ばかりじゃないけれども東京湾といったら東京都ですね。この都知事責任者が、公害が明確に湾岸におる人、湾岸後背部におる人に影響がないということが立証されない限りにはこれは加担できぬと、こう言っているわけだね。きわめて歯切れのいい態度を表明しているわけです。にもかかわらず建設省は、東京都がどういう態度をとろうがこれを無理強行しようとしておるのかどうか。ぼくはやはり少なくとも東京湾東京都が納得できないものを無理強行すべきじゃないと思います。これは感情的に反対しているわけじゃないのですから、これ以上都民の生活環境を悪化させちゃいかぬと、慎重には慎重を期すべきだという、当然地方自治体の首長として住民の生活環境を守るというものからいくならば、それだけの慎重を期するのは当然だと思うのですよ、これ。大臣東京都が反対してもともかくわが道を行くということでやりますか。私は絶対そういうことはすべきじゃないと思います。それを建設省が、東京都がどう反対しようが無理強行しようということになると、私が冒頭に言った、産業のためにのみ貢献しなくちゃならぬという一つの片寄った観点に立っていると私は思わざるを得ないわけですが、どうです。
  15. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 先ほど来から私も申し上げておりますように、関係公共団体等と十分な話し合いの上でこの道路をつくらなくちゃならぬ。また、東京都知事がこの会から脱会したいというような申し出もあったという話も、私もうすうす聞いておるわけでございますが、そのようなことで、あくまでも反対してもつくるぞということでなくて、十分な話し合いの上でやらなくちゃならぬということは当然だと私も考えております。
  16. 沢田政治

    沢田政治君 いまの御答弁を私なりに解釈いたしますと、湾岸一帯の地方自治体の首長が、これは疑問がある、納得できぬと、こういうことであるならば、こういう計画は持っているのだけれども建設省としてはもう待ち切れないということで、来年度からこれにもう本格的に乗り出すという、俗に言う見切り発車はしない、もっと慎重な態度をとりたいと、こういうように解釈していいんですか。
  17. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 見切り発車はいたしません。
  18. 沢田政治

    沢田政治君 わかりました。  それで、河川局長を含めた話でありますが、やはり自然を克服したのか自然を改良したのかは別として、自然というものをある程度変形せしめた場合はたいへんなしっぺ返しがきていると、自然の何というか、抵抗を受けているという例を先ほど若干言ったわけでありますが、特に東京湾以上相当な緻密なものをエジプトのアスワンハイダムですか、あそこはしたと思いますね、あれだけの世紀の事業ですから。十一年ぐらいかかったでしょう。あれでさえも当初の計画から相当の誤差が生じておる、こういうことがいわれておるわけです。でありますから、ともかく産業発展のためには自動車を通さなきゃならぬと、東京湾にさえも通さなきゃならぬと、こういう単純な発想と動機だけじゃいかぬと、こういうように私ども考えているわけです。でありますから、何とか方式でやってだいじょうぶだろうと、こんな簡単なものじゃいかぬと思いますよ。もっと綿密にやっぱり時間をかけて調査をする必要があると思います。  そこで、一度建設省の認識の度合いをお伺いするために、一体あのアスワンハイダムとか、あるいはまたパキスタンのダム、こういうものは所期の計画どおりにいっているのかどうか、どういう影響が今日起きておるのか、こういう点の皆さんの理解ね、自然に対する改造というものがどういう自然の反撃を受けるかという一つの理解の度合いを私はためす意味で聞いてみたいと思います。アスワンダムはどうなっていますか、いま。
  19. 松村賢吉

    政府委員(松村賢吉君) アスワンハイダムにつきましての詳しい内容については、私、実はよく理解しておりません。ただし、まあある程度相当影響があるというようなことについてのばく然としたニュースのみでございますので、これに対する私ども態度といいますか、これについては論議を実はしておらないわけでございます。
  20. 沢田政治

    沢田政治君 だから、東京湾にしても信用できないわけですよね。やはり世界各国に起こっておるそういう自然を改造した場合の生態学的な影響というものを考えずに、ただ技術的にこれは解明できるとかできないとか、工法がどうとかと、こういう簡単なことでやられたんじゃ人間さまのほうはこれはたいへんですよね、橋がかかるかもわからぬし、ダムができるかもわからぬけれども。こういうのはもう少しやっぱり世界各地にそういう現象が起きているんだから、他山の石じゃなく、わがこととして、こういうことをぼくは勉強しておく必要があると思いますね。私も専門家じゃありませんから、何もこれを勉強したわけじゃありませんが、朝日新聞等でもエジプトの模様をある程度概略伝えているでしょう、これは。それと、リーダーズダイジェストの一九七二年の九月号にクレア・スターリングというレポーターが詳細に報告しているわけだよ、こういう現象が起きているんだと。だから、各国ともこの種の自然の脅威、また自然の何というか、反撃に対して情報を交換する時代に入ってきたんだということを言っているわけだ。建設行政のトップレベルにおる皆さんが、どうなっておるのか、これはたいへんなことということはわかるけれども、調べておりませんなんというのは、まさにもう認識不足ですね。  これは当初の計画どおり水がたまらぬでしょう。しかも、これは計算が狂ったのは、そういう膨大な水面の上では風速というものが高くなるという計算が入っておったとかおらぬとか、こういわれておりますね。しかも何というか、かんがい用水によって多毛作の作物をとるというのは、あの沈泥の中に含まれている自然の有機質の肥料ですね、これはもうダムでせきとめられるわけでありますから、これは全然肥料がかからなくなっておる、もう年間一億ドルの肥料を投下しなくちゃならぬだろうと、こういうことですよね。金がもうかるどころか金をかけなくちゃならぬだろうと、イワシも一万八千トン、これはプランクトンの影響でとれなくなったと。しかもパキスタンと同じように、ああいう砂漠地帯の地下水の水位というものは非常に低いわけですね。ところが、かんがい用水をやることによって地下水の水位がこう上がってくるわけだ。となりますと、砂漠地帯の底というのは塩分が非常に多いわけでありますから、毛細管的な現象によって水位が上がるわけでありますから、パキスタン等では毎年四万ヘクタールの耕地が逆にかんがいを引いたことによって投げざるを得ないと、二千万ヘクタールのうち半分がその塩害によって影響を受けているだろうと、こういう報告がされているわけですね。  これはダムのことだから、いまの埋め立てとは関係ないにしても、こういうように自然というものはやっぱり自然で、みんなと競合して生きてきたわけだ。そうして人間はそれに順応して生きてきたわけだ。その自然を変えることによって何らかの影響というものがわれわれの周辺に出てくるということは当然予測しなければなりませんね。まだまだ宇宙まで行く今日といえども、地球周辺、地下、こういうものの構造、メカニズムというものは完全に把握し切っている段階じゃないと思いますよね。でありますから、慎重の上にも慎重を期すべきだと思いますよ。わずか一年や二年の調査で、シミュレーション方式によって推定されることぐらいで着手されたのでは、これはたいへんなことになると思います。そこで、何方式でもけっこうですから、どういうことで、どういう検討の結果、どうしてこれを着手してもいいと考えたか、いまここで口頭で答弁を求めても時間がかかると思いますから、そこに到達するまでの一つ皆さんの論議の内容というものを委員会資料として私は出してもらいたいと思います。これは要求しておきます。いいですね。
  21. 菊池三男

    政府委員菊池三男君) 資料として提出いたします。
  22. 沢田政治

    沢田政治君 それで、いま当面、これは東京湾もそうですし、日本列島全部そうですが、瀬戸内海のいまの立地条件は一体どうなっているのか。どういうものがたくさん立って、どういう影響で今日瀬戸内海が死の海と称されているか。称されるじゃなく、これはまさに死の海になっているわけです。したがって、これをもっともっと、まあ、まだ七万ヘクタールですか、埋め立てる予定のようですが、もうこれ以上埋め立てたんじゃ完全に、どんな方法をとろうが、工業用水、生活用水等によってこれはもう海流も変わってくるし、それからもう汚濁というものはこれは進行すると思うんだよな、いまの人知で、どういう方法を考えたところでですね。それは部分的に水質を規制したところで総量でいくわけですから、これは全体としては瀬戸内海が死の海の方向に向かって、ますます何というか、進んでいくということは明らかなわけであります。でありますから、いまのところは飽和状態だと思いますね。これ以上はもう瀬戸内海の埋め立てというものはこれはすべきじゃない、こういうふうに考えておるわけですが、これは運輸省も来ておりますが、環境庁、建設省、これ以上瀬戸内海の埋め立てというものをふやしていく気があるのかどうか、もうここで規制しなくちゃならぬというように考えているのかどうか、三省のほうから御答弁願いたいと思います。
  23. 竹内良夫

    政府委員竹内良夫君) 運輸省として考えておりますのは、現在これ以上瀬戸内海を埋めるということは極力押えなくちゃいけない。しかし、先生のおっしゃいますように、そこにはやはりメリットデメリットが確かにあると思います。また瀬戸内海というところは、産業だけではなく、やはり人間の生きていく上で非常に重要なところである、いろいろの点から考えまして、完全にここで全部ストップしてしまわなくてはいけないというものではなく、やはりその点を十分考えながらメリットデメリット考えまして、地方公共団体等の意見も十分いれまして考えていくべきであると思います。そういう点を中心といたしまして、環境庁を中心とする瀬戸内海環境保全特別措置法案を現在御審議中でございますので、それに従ってやっていきたいというふうに考えております。
  24. 沢田政治

    沢田政治君 今後埋め立て計画の灘別ですね、何々灘、何々湾、これの埋め立て計画面積がどうなりますか。私の聞いたところによると総計して約六万九千四百一ヘクタールの埋め立ての計画があるやに聞いておるわけですが、どうなりますか、それは。
  25. 竹内良夫

    政府委員竹内良夫君) いま先生のおっしゃいました六万云々という数字は、ちょっと私のほう現在持っておりませんが、大体埋め立ての計画と申しますのは各地方公共団体あるいは港湾管理者がそれぞれ毎年つくる形になっておりまして、国といたしまして、たとえば港湾整備五カ年計画というような形で全体的に計画的に埋めていくということはやっておりません。いま手持ちとして持っております資料で申し上げますと、瀬戸内海地域には新産業都市が四つございまして、工業整備特別地域が三つございます。それぞれの造成済みの面積とか、あるいは造成中の面積は、私のほういま調べておりますけれども、トータルとして計画としては持ってございません。
  26. 沢田政治

    沢田政治君 昭和三十五年には埋め立て面積は約一千百七十タールですか、昭和四十五年には約十五倍に当たる一万七千四百八十九ヘクタール、今後七万ヘクタール埋め立てる計画があるんだと、こういうように私ども聞いているわけですね。したがって、今後どこを、たとえば紀伊水道地区はどうとか、大阪湾あるいは播磨灘、あるいは備讃瀬戸、安芸灘、伊予灘、周防灘というふうに、どういう計画であるのか、これを一応きょうここで資料をお持ち願えなかったら、あとでこれも資料として出してほしいと思います。
  27. 竹内良夫

    政府委員竹内良夫君) 現在港湾審議会等におきまして、港湾管理者のつくりました計画をチェックしている、運輸大臣のほうで審議しているという形をとっておりまして、その審議会を経ました計画はそれぞれの港において持っております。したがいまして、先生のおっしゃいました御要望に対しましては、それぞれの港湾ごとの計画資料として提出することはできます。
  28. 沢田政治

    沢田政治君 私はいろいろな言い回しで言っているわけですけれども、これ以上埋め立てちゃいかぬということですよね、瀬戸内海は。たとえば瀬戸内海国立公園管理事務所、これは国立公園の管理事務所はもと厚生省でありましたが、いま環境庁に入っていますね。ここの報告書を見ましても、こう報告していますね。「瀬戸内海は、戦後沿岸部の相次ぐ埋め立てと干拓で浅海漁場は失われ、干拓、埋め立て地は汚染源に一転した。これ以上の埋め立てを国として強力に規制しなければ、瀬戸内海の自然は守れない」、こういうふうに報告しているわけだね。一方においては、そのメリットデメリットと、一がいに規制されないというあいまいなことをこれは言っているわけだ。でありますから、国の機関がこういうふうに報告しているわけだよ。これ以上、何というか埋め立てたんじゃ、強力に規制しなければ自然は守れないということを告白しているわけだ、国の機関が、それを今度は港湾審議会にはかってどうとか、すべったころんだという議論聞くとおかしいと思うんだよな、ぼくとしてはね、はっきり国の機関は報告しているんだから。どうですか、環境庁のほうとして、これ以上埋め立てることが環境保全という見地、次元からいって好ましいのかどうか、この点を環境庁のほうで明らかにしてもらいたいと思います。
  29. 山村勝美

    説明員(山村勝美君) 水質保全の立場から埋め立てに対する態度について申し上げたいと存じます。  私どもといたしましては、港湾等の埋め立て計画があります場合に、この事業者に対しましてそういった環境に対する影響調査を十分していただきまして、厳重な議論とチェックをいたしまして環境汚染が進行しないように対処するというのが一般的な基本的な姿勢でございます。瀬戸内海のような例では、すでに御指摘のとおり汚染がかなり進行いたしております。したがいまして、その埋め立てを行なうことによって流況の変化あるいは汚濁物質の増大に伴って水質が悪化するようなことは絶対にあってはならぬという観点で、かなり窮屈な条件にあろうかと存じております。したがいまして、新規の埋め立て計画につきましては、当然ながら必要最小限度ということになってまいろうかと存じます。必要最小限と申しますのは、私どもは、瀬戸内海、現在衆議院のほうで特別立法等も審議されておるようでございますが、総量規制という立場から少なくとも現状の汚濁をカットして戦前レベルにまで戻したいというような目標で進めることとして現在検討いたしておるところでございます。そういうことを考えますと、埋め立てとして利用すべき土地というものはおのずから緑地、公園でありますとか、下水道あるいは廃棄物処理場といった公害防止施設の立地のためのぎりぎりの埋め立てをしたり、あるいは都市の再開発、それも汚濁の発生しないような都市の再開発といったものの用途に供するような最小限にしぼるべきであろうというような感じを持っております。
  30. 沢田政治

    沢田政治君 水産庁の瀬戸内海漁業調整事務局ですか、ここからも報告が出ていますね。もうこれ以上じゃ魚もみんな死に絶えてしまうという切々たる、もう何というか、慎重に審査してとか必要最小限度とかじゃないんですよ、現時点が。でありますから、そんなのんきなことを言っておられぬと思うんですね、事瀬戸内海に関しては。いずれにしても、私はこの質問の昌頭に入る際に、まだ依然としてこれは免許法だ、埋め立ての促進剤にすぎないと。でありますから抜本改正ということを大臣要請して、大臣も、これだけの改正では今日の時点に合わぬ、最も近い時期に抜本的な改正を提案しますと、こう言っておるから、この法案を土台にして私は審議したんじゃもうどうにもならぬ。言いたいことはたくさんあります、具体例をあげてですね。これはもう言いませんよ。  そこで話をちょっと角度を変えるわけですが、この前に同僚議員の二宮議員が、海の所有権というものは一体どうか、こういう質問がなされました。領海の面から入っていったと思いますが、海は三海里説でもいいんですね、わが国は三海里説を主張しているんだから。それは何海里説とかということはここで拘泥しませんが、海の帰属といいますか、所有権といいますか、こういうものをやはり明確にする必要があるんじゃないか、結論まで至りませんでしたが、そういう問題提起を二宮議員がしたわけです。私もある程度この点を明確にしておかなければならぬじゃないかと思います。私の知る限りでは、たとえばこういうケースが出た場合どうなるかということです。私は法律屋でもないから、素朴なことは質問になると思いますが、最近、日本列島の随所で海流、潮流によって在来の既成の陸地が洗われる、陸が海になった、墓地まで取られちゃったなんというところがあるわけですね。そういう場合、海というのは公有物だと、こう言っておるわけでありますが、しかし登記上は陸地なわけですね、滅失登録しない限りは。そういう場合に、これは海になったんだから、これは自分の所有権がなくなるわけです。それをどういう法律でどういうように扱えばいいのか、なかなかこれはまためんどうなことだと思いますね。そうして今度は、もう何というか、陸が海になった。しかし登録上は自分の土地でしょう。したがって、それを復旧するために海を埋める、経済的に価値があるかどうかわかりませんが。そうなると、海を埋めるということになると、いまの公有水面埋立法の対象になってくるわけだね。そういうように私有財産権の、特に領海内の公有水面との関係、これは民事上の問題になった場合にどうなりますか。これは法務省のほうからお聞きしたいと思います。
  31. 古館清吾

    説明員(古館清吾君) まず海が私所有権の対象になるかならないかという問題でございますけれども、民法では、私所有権の対象になるものにつきましては、支配可能なもの、つまり不動産または動産ということになっております。そういうように考えてまいりますと、海は不動産にも動産にもあたらないということから、私所有権の対象にはならない。また、それを所有権の対象にする法律の措置も考えるべきじゃなかろうかという問題になりますと、海そのものが支配可能なのかどうかということでは、古今東西を通じまして、海は支配不可能であるということから、海につきましては私所有権を認めていないということでございますので、海について私所有権の対象にするという法律の措置を考えることにつきましては相当問題があろうかというように考えます。  次は、海流などによりまして土地が海没したという場合でございます。で、この海没が一時的に海没した場合と確定的に海没した場合の二通りの場合があろうかと思います。一時的に海没いたしましたる場合には、その土地に対する所有権は、これは滅失いたしません。しかし、確定的に海没いたしましたる場合には土地は物理的に滅失いたします。したがいまして、その土地の所有権は失われるということになります。ですから、一時的に海没したのかどうか、あるいは確定的に海没したのかどうかということは、ケース・バイ・ケースで検討し、判断すべき事柄であろうかと思います。
  32. 沢田政治

    沢田政治君 海は支配権が及ばぬから所有物というものの確定はむずかしい、そういう説も知っています。しかし、これは海全般を支配することはできないとしても、最近の何といいますか、沿岸漁業のようにその周辺だけ支配できるところもあるわけですね。でありますから、その点は非常に疑問があると思いますが、その議論は別といたしましても、ケース・バイ・ケースで、たとえば永久的にこれは海没した、水没した、これは一時的と、ケース・バイ・ケースというんだけれども、これはどこにその恕限度があるわけですか、一時的と。たとえば三年ぐらい待って、またこれは潮流変化によって陸地になった場合には、これはまた当然所有権というものは復活するのか、ケース・バイ・ケースというのはどういうところに——一つの恕限度がなければ、ケース・バイ・ケースといったって、これは無原則にケース・バイ・ケースではないでしょう。そういう判例があるわけですか。
  33. 古館清吾

    説明員(古館清吾君) 判断の基準は社会通念によることになろうかと思います。
  34. 沢田政治

    沢田政治君 私は常識のない男ですからその社会通念がわからぬわけで、その社会通念というのも、一つのおおよそこれは常識だろうという社会通念があると思いますが、その社会通念の具体例はどういうことですか。
  35. 古館清吾

    説明員(古館清吾君) 一番端的な例は、きょう海流で土地が海没しまして、翌日また土地があらわれたというような場合は、これは一番典型的な例だと思います。
  36. 沢田政治

    沢田政治君 そんなことは聞かなくたってわかっていますよ。きょう水がたまってあす引いたというのは、これは河川がはんらんしたら、三日ぐらい河川がはんらんしたら川でしょう。そこは河川敷になるかといったらそうじゃないでしょう、それは。  まあこの議論は漫談のようですからやめますが、もう一つは、これは海流に土地が奪い取られた、さらわれた、海没したというケースもありますが、土地の隆起によって陸地が造成される場合もあるわけです。おそらく百二、三十年ぐらい前だったと思いますが、秋田県の象潟というところでかつての海がこつ然と陸地になったわけですね。これは地球上の造山作用といいますか地殻作用といいますか、その場合海は所有権がないわけですから、支配することはできないから、所有権の設定はできぬということだから、さらわれた場合はわかりました、ところが土地が隆起して陸地を造成した場合はどうなりますか。それはもう所有権がないのだから、海は。海がある日こつ然としてこれは陸地になったわけでありますから、登録上では無主物なわけだね。でありますから、先に発見した者が拾いもので所有権になるのかどうか。そこに、地先に権利があるのは当然地先権利としてこれは認められるのか、この点はどういうケースになるのですか。
  37. 古館清吾

    説明員(古館清吾君) 民法の二百三十九条二項によりますと、所有者のない不動産は国庫に帰属するという規定がございます。したがいまして、いまの設例では国の所有になるというふうに考えるべきであろうと思います。
  38. 沢田政治

    沢田政治君 この前、二宮議員が聞いたと思いますが、四条の今度改正で埋め立ての免許基準ですね、これは第四条第二項、免許基準のうち技術的細目を命令で定めると、こういうことになっていますが、河川局長、この技術的な細目の内容というのはどういうものですか。
  39. 川田陽吉

    政府委員(川田陽吉君) 四条第二項の命令で定める技術的細目といたしましては、第四号の関係で申し上げますと、護岸とか道路とか公共空地等の公共施設につきまして、都市計画開発基準等を参考にいたしまして一定のスペースを確保するように定めたいと考えております。それから第五号では処分方法とか対価について記載せよということになっているわけですが、それについての技術的細目は、処分方法につきまして処分の時期とか処分の形式とか処分の相手方の選考方法というような問題とか、それから予定対価の額につきまして造成の原価または時価を基準とする場合はどういう場合であるかとか、そういう細目をきめたいと考えております。
  40. 沢田政治

    沢田政治君 次に、埋め立て権の放棄ですね、これは法律を見ましてもあまり明確な規定がないようです。でありますから、実際問題としてこれをどう扱うかということですね。たとえば、埋め立て免許者が指定期間以内に工事に着手しなかった、または埋め立て工事は着手しないから当然これは竣功しないわけですね、その場合は、これはもうその効力を失うことになるわけですが、このような期間の満了前にいろいろな都合によって埋め立て権者が埋め立て権を放棄する、そういうことによってこれは消滅できるのかどうか、別にこの項がないわけです。反面、この埋め立て権を放棄することを禁止するという規定もないわけですね。でありますから、実際問題、これは法律解釈としてどうするかということですね。これはいろいろなケースがあると思いますね。たとえば、この免許条件が不満だとか、あるいはまた漁業的権利の補償の額によって、これは埋め立てても、業者でありますから、とてもペイしないと、経済的にね。そういうことでやむを得ず引き下がる場合、あるいはまた地域住民の反対、住民パワーによってこれはどうしても完工できぬと、こういうことで引き下がる場合があるわけですが、実際問題、こういう場合どういう解釈をするのですか。
  41. 川田陽吉

    政府委員(川田陽吉君) 埋め立て権の放棄につきましては、先生御指摘のとおりに明文上の規定はございませんが、一種の特許として埋め立てを申請した人に与えられた権利でございますので、特別の免許として与えられた権利でございますから、権利を放棄するということは、権利者のほうから提案すればそれは行政官庁としては受け入れられる問題だと考えております。ただ、実際上の実例から申し上げますと、埋め立て権というのは、御質問にもございましたように、一種の私権、財産権の範疇に属するというふうに考えられておりますので、一たん埋め立てを免許された人は免許料も納めていることでもございますし、実際問題として放棄の実例はごくまれに、長崎県等で、これは私人ではございませんが、農林関係の干拓を放棄したというケースを覚えているだけでございます。
  42. 沢田政治

    沢田政治君 そうなると、法律には何らこの埋め立て権の放棄を規定しておりませんから、これは形式とか手続も何もないわけですから、ともかくおれはやめたと、せっかく免許を取ったんだけれどもやめたと、こういえば、それで足りるわけですね。それで確認もできるでしょう。
  43. 川田陽吉

    政府委員(川田陽吉君) 法律上放棄という規定もございませんので、その放棄手続も定められておりませんが、免許そのものが厳格な要式行為によって定められておりますので、放棄の意思表示も本来なら口頭によっても効果があるというふうに一応考えられますけれども、行政の処理のしかたとしては、要式行為といたしまして申請を書面によってさせまして、それからまた放棄したので取り消したというようなことも告示する必要があるかあると思います。
  44. 沢田政治

    沢田政治君 定められた期間に着工しなかった、また定められた期間に理由なく竣功もしなかったと、こういう場合は、これは歴然としているわけだ。無効になるわけだね、そうでしょう。ところがその前に、期間前に放棄の手続がないわけですよ。したがって、口頭か書面かはこれは別としても、おれはここをやめましたと、こういう場合、すでにそのときは免許料を払っているでしょう。いろいろな理由があるでしょう、下がる場合はね。先ほど言った住民パワーとの関係、漁業権との関係ですね、いろいろあるだろうと思いますが、その場合の免許料は一体どうなるんですか。規定に何もないんだから、それはもう一たん認めたんだから徴収しますということで徴収しますか。この付近をこれは明確に——この法律がいいか悪いかは別として、この法律が存在する以上はそこまでやっぱり議論しておく必要が手続上の問題としてあるんじゃないかと思うんだけれども、これはどうですか。
  45. 川田陽吉

    政府委員(川田陽吉君) 実際問題として埋め立て権を放棄する場合、どういう場合に放棄が考えられるかといいますと、食糧増産の政策によって、お米のための、水田造成のための干拓をやろうと思ったけれども、必要がなくなったからやめようじゃないかというようなケースもございますが、任意的に埋め立て権者の都合によりまして放棄するというような場合には、当然納付した免許料等は返す必要がないと思いますけれども、いろいろデリケートなケースとしては漁業補償がととのわなかったので、やめたいというようなことがかりにあるといたしますと、それはやはり申請者のほうの調査不十分と申しますか、不行き届きな面があるわけでございますから、そういった場合には、役所のほうでも一たん免許を下す前にいろいろ調査もし、相当手間もかけているわけですから、漁業補償がととのわなかったから埋め立てを放棄したいというような事情では、やはり免許料は返す必要はないのではないか。一たん与えられた特権を自分の調査不行き届きのために行使し得なくなって放棄するというなら、その免許料は返す必要はないのではないかというふうに考えておりますが、全文改正等の機会に、埋め立て権を放棄する場合の法規的な手続等が必要かどうかということにつきましては、法制局その他法務省等、関係各省とも十分相談の上、慎重な条文を必要に応じて整備したいと考えます。
  46. 沢田政治

    沢田政治君 この前にもお聞きしたわけですが、公有水面の埋め立て権は大審院の判定があったと、これは私権だと、こういうことを言われたわけですが、その説だというわけじゃないけれども、そういうことを答えられているわけですが、しからば私権である場合は、これは私有財産だね、私権だからね、財産だね。その場合一定割合の公用地をこれは国のものにするわけですね、出させるわけだね。そうなると、これは無償だね、その場合は。私権だということになると、これは私有財産だと。私有財産を国が収用する場合は、憲法上によって適当な補償のもとにこれを収用できるわけであって、無償でこれを収用できないわけだ、憲法上のたてまえからいって。だから、この前あなた軽い気持ちで、これは大正何年だかそういう判定があったから、これは私権に属するだろうと、こう言っておりますが、これはやっぱり建設省としても完全に私権だというふうにとっているわけですか。いろいろな説はありますよ、私権、公権論。どだい公有水面に私権の設定なんて存在しないと、こういう歯切れのいい論理もあるわけだね。どっちですか、これは明らかにしておかなくちゃならぬじゃないですか。
  47. 川田陽吉

    政府委員(川田陽吉君) 前回もお答えした次第でございますが、公有水面の埋め立て権というようなものは、権利の範疇としてみるならば、私権すなわち財産権である、しかし非常に公権的な色彩の強い財産権でございますという、はなはだある意味では徹底しないお答えをしたわけでございますが、その背景としましていろいろな制約がついておると。ただいま先生御指摘の埋め立て地について、公共用の土地として必要な、あるいは公用の土地として必要な部分は埋め立てした私人に渡さないで、国または公共団体が取り上げるぞというような、そういう公用負担のついた権利であるというふうに解されるわけでございます。
  48. 沢田政治

    沢田政治君 まあ私権であるけれども、公共性の強い私権であるというように、非常に表現くるくる変えてつけ足ししておりますが、私さらにまた強調しておきますが、公の公用物に私権を設定して財産権を認め、譲渡権を認めるなんということ自体がもう時代おくれだと思います。でありますから、なるほど若干の進歩は出ています、十年に限り用途規制とか、譲渡を禁止しておりますし、そういう意味の進歩が認められるわけでありますが、これは根本が間違っているんですね。私有財産権としてこれを認めるということは、これは納得できませんよ、国民が。これだけ土地が問題化されておる今日、海を埋め立てて国の領土を個人にくれていくというのは、何というか、どう考えても納得できません。まあ、これは抜本改正に待ちましょう。大臣がここで約束しましたから、次の機会には抜本的に改正しますということを全部肯定しましたから、これ以上強調いたしません。そういうことで時間がきたようでありますから、午前中に終わりたいと思いますので、またいずれ保留しておいて、私のきょうの質問は一応これで終わっておきます。
  49. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 公有水面の埋め立てについての質問を申し上げる前に、わが国の経済の高度成長は、いわゆる埋め立てによる臨海工業地帯の造成を軸として発展してきたと思うんです。したがって、その結果はまさに前者の質問者が言われたように、水銀あるいはPCB等による沿岸海域の汚濁ですね、なお、沿岸漁業については国民が安心して食べることのできないような今日の状態に至っております。特に、公有水面の埋め立てによる工業立地をこの際根本的に再検討をする必要があるんじゃないかという考え方を私は持つわけですが、これについては、大臣に聞く前に、工業立地のあり方について通産省としてはどうお考えになっておるのか、この点をまずお聞きしたいと思うんです。今後の産業考えて通産省としての基本的な考え方、これをまずひとつお聞きしたいと思います。
  50. 志賀学

    説明員(志賀学君) ただいま先生から、現在の日本の臨海工業地帯におきましていろいろな問題が発生しておるという御指摘を受けたわけでございますけれども、現在日本の工業の配置を見てみますと、東京湾、伊勢湾、大阪湾、この辺を中心にいたします、いわゆる太平洋ベルト地帯に大体工業出荷額の七割ぐらいが集中しております。そのような過度な集中が、先生御承知のように、いろいろな問題を引き起こしておるということでございますけれども、そこで私どもといたしましては、そういった過度に集中しております工業につきまして、太平洋ベルト地帯以外の地域に、公害の防止あるいは自然環境の保全、あるいは農林漁業その他の産業との調整、さらに地域住民との融和、そういったいろいろな問題を考慮しながら太平洋ベルト地帯以外の地域工業の立地の流れを変えていこうということで、現在立地政策というものを進めているところでございます。先生ただいま、将来の日本の産業の方向との関係でどうかという御質問でございましたけれども、日本の製造業の進むべき方向といたしましては、いわゆる知識集約化、省エネルギー、省資源、そういった方向に進むべきであると私ども考えておるわけでございまして、そういう意味から申しますと、もちろん今後といえども基礎資材の国内における安定供給というものは確保する必要がございますし、それから知識集約型産業の中にも臨海型のものもございます。しかしながら、一応その知識集約化、省資源、省エネルギー型の方向に日本の産業構造というものが進んでいくというふうに考えてまいりますと、そういった知識集約型の産業、その典型が機械工業であろうかと思いますけれども、主として内陸型の工業が多いわけでございます。そういう意味から申しまして、今後の立地の流れといたしましては、従来に比べれば内陸型指向の立地というものに向かっていくであろうというふうに考えておるわけでございます。   〔委員長退席、理事沢田政治君着席〕
  51. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 依然として今後の開発については通産省としてはあまり考え方が変わっていないんじゃないかという気がするのです。  田中総理の日本列島改造論に述べられておるごとく、わが国の産業構造をいままでのような重化学から知識産業中心に転換をすべきだ、それに従って工業立地も埋め立てによる臨海工業地帯から内陸型の団地に切りかえなければならぬと思う、こう言っておられるんです。そうしますと、いま御承知のように日本の製鉄産業は世界で一番か二番という地位でしょう。不況になれば不況カルテルを適用して生産をする。今日のように滞貨もない、あすの生産に追われているという事態になってくると、まさにこれも膨大な利益をあげていくわけですが、利益をあげるということは、営利会社ですからやむを得ぬにいたしましても、この上日本のそういう重化学工業が必要かというと、ある程度まで、この点はやはり限界にきておるんじゃないか、こういうことをわれわれは考えざるを得ないのであります。したがって、今後の石油化学工業にいたしましても、すべてが輸送、いわゆる運輸面における輸出、輸入の関係から臨海工業地帯というものを中心産業が進められてきている。それが今日の、先ほど言われたように、伊勢湾にしても、   〔理事沢田政治君退席、委員長着席〕 あるいはまた東京湾にしても、大阪湾にしても、さらに瀬戸内海にしても、国民生活に重大な影響を与えておるということは論をまたない事実です。だから基本的に日本の産業構造をどう切りかえるかということにならなければ、埋め立ての基準を幾らきめてみても、私はこの問題は解決つく問題ではないと思うんですよ。  特に大臣に私は申し上げたいのですが、今日まで建設省が埋め立てております土地は、港湾埋め立ての——これは建設省以外でやっているわけです。大体三分の一しか建設省は担当してないんですよ。いままでやった仕事は、三分の二というのは港湾、いわゆる運輸関係でやっておるわけですね。それを大体建設省自体で審議をすることは私はおかしいと思う、実際からいえば。こういう重要な問題であるならば、建設大臣も運輸大臣もやはり同席をして、そうしてこの問題の審議に入るというのなら私は妥当だと考えますけれども一つの例を申し上げますと、昭和四十年から四十七年の九月までの実績で七千五百九十七ヘクタールの埋め立てが瀬戸内海の実績として出ているのです。建設省でやったのは約二千九百八ヘクタールですか、三分の一ですよ。なお、いま造成中の埋め立てがこの瀬戸内海では九千三百六十八ヘクタール、こういう膨大な数字です。一つの法律の基準をきめたからといって、今日のような公害の多い社会情勢の中でこの埋め立て法案の基準をきめたにしても、なかなかこの公害の絶無といいますか、まあ法律の内容についてはあとで質問いたしますけれども、私は産業の将来のあり方をどう考えていくのかということにならなければ解決つく問題ではないと、こういうふうに考えるわけです。それで、通産省は今後この内陸のほうに産業開発を向けようとされておるのか、依然として輸出、輸入のいわゆる高能率をあげるために、沿岸を中心とする臨海工業地帯というものを設置して産業を育成しようとするのか、そういう点がはっきりしなければ、どんな法律をつくってみたって今日の日本の近海公害というものは私はなくならないと、こう思うのですが、ひとつ大臣と通産省関係の方のそれに対する考え方をお聞きしておきたいと思います。
  52. 金丸信

    国務大臣金丸信君) この時点にくれば、産業優先という考え方考え直さなければならぬ時点であろうということは、当然これだけの経済成長をいたしておるわけでございますが、またたれ流しておる公害環境破壊というようなものを考えてみますと、いろいろ考えざるを得ない問題点があるわけでありまして、そういう意味で、先ほど通産省からもお話がありましたように、いわゆる内陸部面の開発ということをおっしゃられておるわけでありますが、私は都会の再開発、地方の開発、こういうようなことをやることが日本総合開発とまた環境保全あるいは人間の住みよい地域社会をつくるということになるんではないかということを考えるわけであります。今回提案いたしました法案等につきましてはまことに不十分でありますし、また御指摘のように、建設省の埋め立てておる面積というものは運輸省の港湾関係の三分の一だと、まさにそのとおりであります。また、この法案が大正十年来五十年、かたかなで書いてあるようなまことに幼稚な法律であるということも考えざるを得ない。そういう意味で、今回この問題につきましていろいろ両省との間で話し合いをいたしたわけでございますが、なかなか共管ということになりますと話し合いというものもなかなか困難であるということは御推察願えると思うわけであります。ことに、この法律の中で環境保全の問題や、あるいは適正な土地利用、あるいは土地の帰属、あるいは補償の限界、範囲というようなもの等について先生方からもいろいろ御指摘を受けているわけですが、そういう点については十分な今後検討しなければならぬ問題点がたくさんあるわけでありますが、どちらにしても私は、公有水面埋め立てという問題については、日本の国というものは狭い国でありますので、そういう面で必要な場面もあろうと思うわけでございますが、不要不急の問題につきましては極力これは排除していくことが当然ではないか、そうしなければ環境保全というものはでき得ないという先生の考え方に私も共鳴せざるを得ないわけであります。
  53. 志賀学

    説明員(志賀学君) 日本の製造業の構造問題につきましては、ただいま私どもの省に置かれております産業構造審議会という審議会の場におきまして知識集約化あるいは省エネルギー、省資源の方向について検討を加えようということになっておりまして、本年度末あるいは来年度初めぐらいまでに結論を、一応のめどを得ようということで検討を進めておるところでございます。ただ、いずれにいたしましても、従来のような輸出に大きく依存した形での基幹産業、基礎資源産業の発展というものについては十分な検討が必要であるというふうに私どもも承知しております。それで、これらの基幹資源型の産業の立地問題につきましては、これは輸入の可能性であるとか、あるいは海外立地の可能性、それから国内立地の可能性、その他いろいろの問題を総合的に考えて方向をきめていく必要があろうかと思うわけでございますけれども、ただ大きな流れといたしましては、先ほども申し上げましたように、その知識集約化の方向から当然内陸型の、機械工業中心といたします内陸型の産業というものが今後の日本産業の中でたきなウエートを占めていくことになるわけでございますから、そういう方向に沿った形でやはり立地政策というものも考えていく必要があるというふうに考えております。
  54. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 環境関係からその問題に対するひとつ見解をお聞きしたいのですが、長官も見えないようですから、次官のほうからひとつお聞きしたいと思うのです、どうお考えになるのかですね。
  55. 坂本三十次

    政府委員(坂本三十次君) 戦後二十数年の超高度成長というものがなし遂げられて、世界的に見ればその経済成長というものについては非常な評価を得ておる面もございます。しかし、この二十数年の間、やはり高度成長に走るあまりに環境破壊ということがずいぶん行なわれてきた。ヘドロ一つとってみても、ずいぶんなたまりようであります。そういう環境を破壊してまでも高度成長を求めていくという考え方は、いまや国民的にも否定されてきておる。やはり開発環境保全か、どちらか二者択一で選ぶというならば、環境の保全を選ぶべきである、そういう基本的見解に立ちまして、環境庁といたしましては、残念ながら、環境庁発足以来二年間ぐらいでありましょうけれども、いままでは二十数年のそのあと始末に追われてきたわけであります。これでは本来の姿ではございませんので、これからはそういう事業にあたりましては、やはり事前にいろいろと調査、検討、評価をいたしまして、そうして環境アセスメントと申しましょうか、そういうものはやっぱりじっくり先にやって、ころばぬ先のつえというものがこれからは非常に大切になってくる、そういうふうに痛感をしておるのが私どもの基本的な考え方でございます。
  56. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 そこでお聞きしたいんですが、これは経済企画庁が刊行した新全国総合開発計画で、中国、九州を中心として開発しようとしている。で、問題は、この「広島〜愛媛〜大分〜福岡〜山口を結ぶ環状ルートを軸として、」「とくに、周防灘周辺地域に基礎資源型工業を中核とする大規模な工業基地の建設を図る。」「また、志布志湾地区を外洋性工業基地として形成し」ていきたいということが一応出されておるわけです。これはいま検討中だという話を聞いておるのでありますが、実際問題として、やるつもりなのか。たいへんだという気が私らはするわけです、この計画だけを見ますと。実際は検討中だが、場合によってはやっぱりやろうとされるのか。先ほど私が申し上げましたように、いまの石油工業並びに製鉄工業等を考えてみまして、これ以上日本の沿岸地域開発だけに依存してやることが正しいかどうかということを、まずわれわれしろうとが見て直感せざるを得ないんです。いま現に瀬戸内海においては赤潮が発生しておる。近海の漁業はもうカキすら食べることができないという現状におちいっておる。しかも、この周防灘は、この周辺の埋め立てをした場合は約四十キロに及ぶというようなことになっております。もしこういうことを日本がやった場合、その産業はある程度世界的な優秀な一産業として生きることができるでしょうけれども、一方において人類の生命をそこなうような産業のみが集中産業として一定の地域にこれは強化されるということはどうしても見のがすことのできない重大な問題だと私は思うんです。これを全部埋め立てによってやろうとする計画であります。現にそれだけの公害が出ておるにもかかわらず、まだ検討中だということでこの周防灘を中心とするいろんな計画が出ておるのでありますが、基本的に、やるのかやらぬのかという問題に結論はなるわけです。私は、この点はひとつ建設大臣あるいは環境庁長官等と、やっぱりほんとに歯どめになるんだと、われわれが歯どめにならなければ——これはやっぱり日本の産業ということを中心考えれば、それは内陸の産業開発よりも沿岸の産業というのは、輸出、輸入等においてそれは原料入れるのも楽でしょう、出すのも楽でしょう。しかし、そういうことだけが日本の発展かというと、私はそうじゃないと思う。先ほど志賀工業再配置課長からの答弁がありましたように、やはり知識産業に変えなくちゃいかぬということを一応まあ考えておられるようですが、実際問題としてこの周防地域をやるのかやらぬのかという点についてはどうですか、ひとつ大臣の見解をお聞きしておきたい。
  57. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 周防灘の関係建設省関係にはないようでありますが、姿勢としては、私は公害環境保全という問題を十分検討しなければならないと思っております。これは全体的な考え方で申し上げておるわけでございます。
  58. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 それで、実際問題としてこれを今後やるかやらぬかの問題について、環境庁が参加しておるんですか、ちょっとお聞きしたいんです、その点を。
  59. 坂本三十次

    政府委員(坂本三十次君) 周防灘開発計画はまだ正式には環境庁は承ってはおりません。
  60. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 そこで最後に伺ってみたいと思うのでありますが、この埋め立てによる環境破壊を防止して環境の保全をはかる意味から、建設大臣あるいは運輸大臣の認可を必要とする五十ヘクタール以上の大規模な埋め立ての免許について、その認可にあたって環境庁長官の意見を聴取することができると、こういうような法律になっているわけです。で、まだいま周防灘問題については何も聞いていないような御答弁があったわけです。ところが、私はこれは一つは、周防灘がいま企画庁から出ておるからこの問題を現に取り上げておるのでありますけれども、今後この埋め立て法案に基づいて一つの基準ができたと、そうして地方自治体においてある程度計画を立てたと、地域住民もそれに賛成をしたと、そうして大臣に認可を得るために手続をとったと、それから環境庁長官が意見を差しはさむことができるということでこの法案は済んでおるわけです。そういうことで環境庁はいいかということです。下から一ぺん上がってきたものの決定を、いやそれはいかぬと、環境上絶対やるべきでないというところまで押し詰めることができるかということを私は疑うわけですよ。こういう基準ならば、先ほど申しますように、これからやろうとする重大なこの周防灘地域におけるところの開発もきまってしまってから、幾ら環境庁がその環境整備のためからこれを主張しても、私はくつがえすだけのなにはできないと、いまの状態では。ここに持ってくるためにはまず通産省が関係するでしょう。あるいは港湾関係の運輸省がこれに関係するでしょう。あらゆるところで審議して、そのできた詰果に申請があったからといって、これをくつがえすだけの権限が環境庁に今日付与されておるかというと、そうではない。事前にやっぱり参画をして、やるべきかやらざるべきかという点を確認し合って、そこで討論をした詰果が、これは環境についても決して影響はないのだという点までやらなければ、この法案で基準をつくっても、先ほど私が申しますように、建設省から見れば建設大臣の支配下にあるものはわずかに三分の一だ。日本のいまの開発状況から見て、すべて運輸省を中心とする開発が主体を持っている。それにまた乗っかってやろうとするのが日本の産業、いわゆる通産省を中心とする開発ですよ。こういう根本的な問題に、私は環境庁等は、まだ生まれて二年しかたっておりませんけれども、いまこそこの重大な時期にそういう姿勢が日本には望ましいのではないか。  したがって、これの審議にあたって運輸大臣一ぺんも来てみえない、むしろ運輸大臣のところでこれは審議すべきだと私は思ったんですが、しかし、これは建設省でやるということですから建設省にいま質問しているんですけれども、実際はそうなんですよ。それだけ各省に関係する、たとえば港湾関係、運輸関係、建設ですね。建設といったら河川を中心とする問題でしょう。それに農林漁業、あるいは干拓地域をどうするかというような問題です。これもまあ微々たるものですよ。要は、やっぱり運輸省を中心とする日本の開発がなされておる、それにまた通産省が関係をして、地域用発の要望を強くし、そこから総合的な計画が出て、企画庁がそれを発表し、今後やろうとしておるのであります。こういう問題について環境庁に、いわゆるその出てきたものに対して一応意見を聞くということは一歩前進ですよ。これはいままではない法律ですからね、意見を聞くということは、私は決して後退とは思っておりません、前進ではありますが、実際問題としてこれでは不十分ではないかということを私は申し上げたいのでありますが、大臣どうですか。環境庁からもその意見についてはひとつお聞きしたいと思います。
  61. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 意見を聞くということでありますが、政府の機関であります環境庁、大臣が、これはいけないということであれば、当然その意見を尊重してそれに従うという考え方であります。
  62. 坂本三十次

    政府委員(坂本三十次君) 高山委員おっしゃるように、現在までの環境の破壊ということを考えてみまするに、やはり環境庁がもっとしっかりしなさいと、事前に各省と連絡をとって、そして環境の破壊などは許してはいかぬというその御意見に対しては、まことに同感でございまして、私ども非常に勇気づけられておるような気持ちでございます。  環境庁は、まあ先ほども、発足早々二年間でございまして、いままでのあと始末に追われてきたとは申しまするが、最近になりまして、十七法律案につきまして、協議、あるいはこの公有水面の埋め立てのような、意見を述べるというような法律の改正につきまして、積極的に環境保全の立場からがんばろうとしておるのは御案内のとおりでございます。ただ、いろいろ各省間の協議の上で、法律の明文でもってその環境保全ということを強くうたってある場合、その場合におきまして、行政ベースではやはり基準、基本方針をつくるとか、それからまた何カ年計画をつくるとか、そういう一般的と申しましょうか、基本的な面につきましては協議というような態度で臨みまして、そして非常に具体的、個別的というニュアンスの強いような場合には、その意見を、法律、法文の中に環境保全、環境保全計画ということを強くうたってございまするので、当然主管官庁はその責任があるわけでございます。その場合に、個別的、具体的な場合には意見を聞くというふうに大体なっておるやに承っておりまするけれども、いま委員のおっしゃるように、意見を聞くというのは一番最後に聞かれるんじゃないかと。そんな段階で聞いても、環境庁は押し切られるのではないかと御心配でございましょうが、私どもは、法文のていさいは意見を聞くということになっておりましても、その計画につきまして事前に、あらかじめもうわかっておりまするから、各省庁と連絡を十分とりまして、そして、きまってしまってからどうだと言われるようなことのないように各省庁と十分連絡をとるということは、これはみんなの了解済みのことでもございます。万一、委員のおっしゃるように、環境庁がこの成案に対しまして最終的に反対の場合には、明確に反対の意思表示をいたしまして、そしてそれに対しては、私は必ずや環境保全という現代のこの大勢を無視して開発が行なわれようとは思いません。そういう面では今後ともひとつ御指導、御鞭撻をお願いをいたしたい。一生懸命やって、環境保全だけはこれはやっぱり私どもは譲歩するつもりはいささかもないという点を申し上げたいと思います。
  63. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 運輸省の港湾局長ですか、竹内局長ですか、見えていますか。——しからば、これは企画庁だけが発端して、企画庁だけの構想になって今日考えておられるのか。目下検討中だと話を聞いておるんですが、運営上は局長どういうふうにお考えになっておるのか、今日までやってこられた経過、それには環境庁も入っておるのか、どうなっておるのか、詳しくひとつ御報告願えませんか。
  64. 竹内良夫

    政府委員竹内良夫君) おっしゃるように、周防灘におきましては港湾が非常にたくさんございます。重要港湾が九つございまして、その他の港湾が八港ございまして、両方合わせまして十七港の港湾がございます。この港湾内の埋め立て関係、運輸大臣が所管しておりますが、先生のおっしゃるように、現在までの工業発展、港湾を中心にして、埋め立て地を中心にしてやってきたという実績がございます。このことは、やはり島国であるわが国にとって、この海岸を使ってきたということは非常に大きなメリットがあったと、私たちはいまでもそういうふうに思っております。しかし、その土の使い方であるとかいろいろのところに非常にやはり反省すべき点があると。また、むやみに埋めてその上に産業をつくるということは、産業そのものからの害と、また埋め立てそのものの害というものが確かにあると、そういう点に十分反省しなければいけないという考えでおります。そういう意味を含めまして、実は周防灘という地域は、日本列島をずうっとこう見てまいりますと、たとえば東京湾であるとか大阪湾であるとか、そのような形で、世界的に見ても非常に立地のすばらしい場所であることは確かでございます。それをいかにして使うかという点がおそらく数年前に各界の話題となりまして、ここのところに考え方集中したわけでございますが、それに応じまして運輸省といたしましては、やはりそこの調査をしていくという姿勢でございます。  しかしながら、一つ一つの港の計画と申しますのは、どこまでも、山口県であるとか福岡県あるいは大分県、それぞれの地方公共団体がみずから計画し建設するということを港湾建設のたてまえとしておりますので、この周防灘の全体の計画に関しましては、それぞれの管理者の意向を十分尊重しなければいけない。しかしながら、運輸省のほうから見ましても、この周防灘をいかに考えていくかという点につきまして、過去、昭和四十四年から現在までずうっと調査を続けております。この調査費は、運輸省の港湾の調査費と、それから企画庁のほうで調達していくところの国土総合開発事業調整費というものがございます。そのほかに、それぞれの県がみずから出して調査している、そういうものをトータルいたしまして、大体港湾関係のものでございますが、四十四年から四十八年までに約六億円の調査費を投入しております。で、それのおもな調査の内容は、交通体系、これは船がふくそういたしますと非常に危険になるというような感覚から交通体系の問題、それから海岸線の利用をいかにすべきかというような考え方、それから、もちろん大きな意味におきまして環境保全をいかにすべきかという点、それから何というんですか、自然的な、たとえば深浅であるとか波浪がどうであるとか、そういうような自然条件の調査、こういうものに調査をいたしまして、現在までのところ約六億円の調査をしております。  環境庁が一緒にこれに参画したかどうか私ちょっといまのところ手持ち資料ございませんが、実は港湾の計画のつくり方をちょっと申し上げますと、一つ一つの港湾計画は、先ほども申し上げましたように地方公共団体である港湾管理者が計画を提出いたします。で、その計画につきまして運輸大臣が審査をいたします。その審査のときに、港湾審議会がございまして、その港湾審議会の中に当然環境庁の次官が委員として入っておられまして、環境庁側の御意見を非常に強く出していただいていると。また各地方の港湾管理者が計画をつくるときにも、知事部局の中には環境に対して非常に強い発言を持っておられる部がございまして、そちらのほうと十分相談しながらやっていくと。そういう点におきまして環境庁の御意見は地方の段階におきましても十分反映いたしますし、私どもの中央段階におきましても強く計画論の立場において反映していただいているわけです。その計画が通らなければ埋め立てはやはりやっていかないというような姿勢でございますので、実行にあたりましては常々環境庁のほうと十分連絡をとっているというのが現状でございます。
  65. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 いまお聞きしますと、結果的にはわれわれが心配しているような状態が出ておるんですよね。したがって、運輸省の考え方としては、やっぱり従来の周防灘沿岸を中心とする遠浅を利用して約五万ヘクタールの土地の造成を考えておるんでしょう。しかしそれが、この法律の基準ができたとするならば、地方自治体がすべてこの基準に基づいてやろうという計画になるわけです。それを地方自治体がやるということになれば、今後は申請をするということになるし、申請をした結果において港湾審議会で発言を十分してもらっておると、こうおっしゃるけれども、私はとうていそれをくつがえすことはできないと思うんですね。したがって、これは建設大臣にも意見を聞いておきたいんですが、環境次官にも意見をお聞きしておきたいんですが、何としても建設大臣環境長官は協議をして、そうして沿岸あるいは湖、沼等も全部含めて日本の全体の状態を、動植物の生育条件が確保できるのかという点も含めて、埋め立てによって自然環境を失うことのないように、事前に、やってはいけないひとつ推定地を先にやるべきじゃないかという感じを持つわけですが、これは事後ではなかなか困難だ、審議会何人構成でやっておられるか知りませんけれども審議会でいかに強い発言をされても、地方自治唐だから上がってきたものはなかなか困難だと思うんです。その困難性は、大体ここに面しております市が幾らですか、十一市でしょう。昭和四十年現在の状態から見ると周防灘沿岸に十一市あるわけです。町が十四町ですね。それに山村、人口が二百九万あるわけですね。こういう実態の中で思い思いの考え方をこの基準に基づいてやろうとしてもそれは困難ですよ、大臣。したがって、事前にやっぱり建設省環境庁が中心になって、私は運輸大臣も入ってもらいたいと思うくらいですけれども、まずとの法律を通す限りにおいては、建設省でこれを審議しておるんですから、建設大臣中心になって環境庁と全国全部の地域における環境の破壊というものをしてはならない地域を指定すべきだ。これをやる意思ありますか。
  66. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 先生のおっしゃられることも十分わかるわけでありまして、ただ、そういう問題につきましていまここでどうしろと——私は最初からこの法案というものはまことに未熟な法案だということを申し上げておるわけでありまして、環境保全の問題や土地の帰属の問題や土地の適正な利用の問題やその他もろもろの問題がこの改正の中にいろいろ疑義を生じておるわけでありますので、近き将来に抜本的な改正をやるということで、また環境庁との関係も意見を聞くということでなくて、協議するというような強いあり方、それも私は現在の国の政治情勢から考えてみましても要請されるところであろうと、こう考えますが、ぜひその問題につきましては抜本的改正のときひとつあわせて考えさしていただきたいと思います。
  67. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 建設大臣に非常に責任負わすような御質問申し上げておるのですけれども、なかなか建設大臣もはっきりしたこと言いにくいと思うんですよ。主体性が違いますからね。  そこで運輸省にお聞きしたいんですが、運輸省の局長として、あなたのほうは法律上の提案者でもないからどうお考えになっておるのか知りませんが、この法律の内容でも私はいま申し上げましたように、事前にやっぱり指定地域をつくるべきだということを主張するのと同時に、しからば、それがどうしても不可能であるならば、少なくともその地域における環境庁の関係者がおられるわけです。その関係者がそうした開発をやる場合には参画できて、そこで発言ができるという機会をつくるべきだと考えるが、それについてはあなたのほうはどうお考えになるのか。なお、これ環境庁も次官その点はどうお考えになるのか。せっかくできて二年になっておりますけれども、地方にはそういう関係者がおるんです。一人ぐらいしかおりませんよ、一人ぐらいしかおりません。なかなか困難かもしれませんけれども、やっぱりそういう計画を立てるときに環境庁も参画をすべきだ、そうして中央と連絡をとりながら規制するものは規制していくという方針にならないものかどうかということを考えるわけですが、運輸省はどうお考えになるかお聞きしたい。
  68. 竹内良夫

    政府委員竹内良夫君) 先ほど建設大臣のお答えになったとおりでございますけれども、埋め立てに関しましては十分地域の市民の皆さま方の御意見を十分承るという考えを持ちます。また、その前の埋め立ての計画そのものはやはり一つの港湾の計画そのものの中に入りますので、その点につきましてはやはり十分環境庁の御意見等の入るような杉で地方の審議会等の意見を聞いていきたいというように考えております。
  69. 坂本三十次

    政府委員(坂本三十次君) いま地方段階で一番最初の段階から埋め立ての問題についても環境庁は環境アセスメント等についてしっかり地方と連絡をとれというお話でございました。全く同感でございます。これにつきましては私の承っておるところでは、関係各省庁間の覚え書きというのがございまして、そして地方段階においても、埋め立て免許にあたって環境保全部局とそれから埋め立て所管部局ができる限り早い段階から内部で調整をとりながら環境保全をはかっていくというような指導も環境庁といたしましては十分事前にやっていくつもりでございます。県に対してもそういう要請を抜かりなくやっていきたいと思っております。
  70. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 そこで先ほど申しますように、私の希望意見とするならば、やはり建設大臣環境庁長官の協議の上で全国的にやはり指定を先にやるべきだということを強くこれは要望しておきます。それなくして今後の埋め立ての環境破壊阻止が完全に全うされるかどうか、阻止することができるかどうかという点には疑問を感じざるを得ないのであります。これは希望意見として申し上げておきます。  なお、この埋め立ての地価の格差ですが、これは宅地等によってはかなりの格差が出ております。したがって埋め立ての竣功時における当該埋め立て地の近傍類地の地価に比して埋め立てに要した総費用で計算した地価が低い場合は、これはその差額に相当する金額を当該都道府県の知事に納入する義務を負わせてはどうか、そして地価の格差を押える方法を考えるべきだと。御承知のように今日の日本の経済情勢の基本をなすものは土地である、土地の造成に基づいて、あらゆる地域開発が住宅地その他の地価の高騰を続けておるという事実を見ますときに、どうしてもこうした地価の格差は出てくるのです。したがって、その差額に相当する金額を当該都道府県知事に逆に納入するというような、全部というわけにはいかないでしょうけれども、納入するという一つ考え方を挿入していってはどうかと、こういうふうに考えますが、これは建設大臣どうお考えになりますか。
  71. 川田陽吉

    政府委員(川田陽吉君) まず事務的な面からお答え申し上げたいと思います。  免許料の額の問題と、それから払い下げの土地の価格の問題と両方からこの問題はやはり考えられるのではないかと思うわけでございます。  免許料の額につきましては、現在近傍比隣の土地の百分の三ということで、これは確かに現在の社会情勢から見れば非常に安い額でございます。そこで、今度法改正を契機といたしましてこの額も改定しなければならないということで検討しているわけでございますが、その際に、一つの要素といたしまして、土地の対価という要素を考えなければならないというふうに私ども考えております。ただその際、対価から埋め立ての費用を引いたもの全額がふさわしいかどうかということはいましばらく検討する必要があろうかと思うわけでございますが、そういった意味で、先生の御指摘の点もひとつ十分な検討の項目に私ども考えている次第でございます。  それから同時に、これが払い下げの土地の価格という問題に次になるわけでございますが、それにつきましては改正法の四条二項の命令で定める技術的細目の中で、予定対価の額につきましては、非営利企業のときには大体造成原価というようなものを基準に考え、それから営利企業のときには、時価と埋め立てに要した費用というようなものとの差額等を基準にして考えたらどうかというようなところをただいま検討しているわけでございます。そういった双方とも関連がございますので、ただいま御指摘の点を十分慎重に検討して答えを出したいと考えております。
  72. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 先生の御意見はまことに貴重な御意見だと思うわけですが、私はいま一歩前進して、土地の帰属というような問題、私有権を持たせるべきかどうかというような問題も検討しなければならぬ問題だろうと私は思います。そういうような問題等あわせまして今後の法改正のひとつ大きな目玉として研究さしていただきたいと思います。
  73. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 これは新聞でちょっと私見た程度でありますから調査もいたしておりませんが、概要と内容がわかっておればお知らせ願いたいと思いますが、その概要がわかってきて質問の必要があれば次に質問を回したいと思いますが、大阪の堺臨海工業地帯というのが法人に渡っておりましたですね。今度は逆に大阪府がこれを買い上げたと、こういうことが新聞に出ておったと思いますが、これは工業開発が不可能でそういうふうになったのか、あるいは今日の社会情勢から大きな公害等が問題になって新設することができないというようなことなのか、特にそうした集団産業としては公害のおそれがあると、こう考えたのか。とにかく内容がわかっておるならばこの問題のひとつ詳しい御報告をお願いしたいと思うんです。なおまた、大阪府がこれを買い上げたというのは、当時売った値段からどのくらいの価格で買い上げたのか、これも内容がはっきりしておるならばお知らせ願いたいと思うんです。
  74. 竹内良夫

    政府委員竹内良夫君) 現在手持ちの資料ございませんので、さっそく調べて御報告したいと思います。
  75. 野々山一三

    委員長野々山一三君) それでは港湾局長、いま手持ちがないと言うんですから、早急に調査の上、資料として御提出いただけますか。
  76. 竹内良夫

    政府委員竹内良夫君) 大阪と連絡いたしまして、資料を提出させていただきたいと思います。
  77. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 その結果によっては私は質問したいと思いますから……。
  78. 野々山一三

    委員長野々山一三君) 本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後零時三十分散会      —————・—————