○田中一君 そうすると、この公示法というものをおやめなさい、もう。これは全く西ドイツの公示法をそのままうのみにして多少の日本的なものを加味しながらつくられたものであって、西ドイツですらこの鑑定公示法というものを、それはそれで実効があるんじゃないんだと、これは相互の了解によって、双方の
合意によってのみこれが達成されるんだというのが原則なんです。かりに、こうした公示法の
価格というものをあなた方は壁にして、これを規準にやると、しかしながら国民に対しては、公示法でこうなっているんだから、したがって予算が、これが設定されたと、この予算で売りなさいということを要求する形のものは、今日の
用地取得の国家公務員、地方公務員とも
ども苦労している現状なんです。一定の予算を組み上げて、そしてこれは公示法でこのように大体目安の
価格でございますと、だからこれで売りなさいという要求が国民にしいられるという、これは
金丸さんよくおわかりだと思うのですよ。何といっても国家は予算経営をしている企業体とするなら企業体です。したがって、どんぶり勘定で幾らでも金を出せる仕組みではございません。したがって何かの目安を持たなければならない。その目安を持つためには、この公示法の公示
価格を中心にものを
考えている。これが予算でございますという持ち方をするならば、この国がきめた
一つの壁、
土地収用というか、買いたいという壁というものの予算を押えて、それで交渉するということになる。これはやはり強権の行使です。そのためにあなた方の部下は常に泣いているのです。なぜかというと、やはり壁がある、予算という壁がある。予算のうちでもって、あるいは安く、あるいはそのままの値段で
買収できれば
農地官というものは鼻高々でもって有能な公務員ということになる。そうでない。たとえば昨年の秋にもずいぶんこれは質問したものでありますけれ
ども、
道路公団の中国筋の
用地というものはもはやないのです、売ってくれない、私は自分で行って見たのですから。
農民は、これは
土地が上がるであろうと売らない。だまされて売ってしまった者はたくさんあるのですよ、みんな。それは去年の秋ですよ、そういうことが行なわれているのです。そうすると結局、この地価公示というこの行為、この制度というものは一体何を目標にしてやっているのか。民間は目安でやろうと、しかし公共
事業というものは、これは予算化されるのです。これは壁です。どの
事業体でもきめられた予算を、どうしてもこういうおりだから、
あと予備費が二千億もあるのだから出してくれ、出してくれということを言うでしょうけれ
ども、これには特別な災害とかなんとか理由がなくちゃならない。つらいのは、
事業官庁の持つところの宿命的な困難さがあるわけです、予算国家である限り、予算財政である限り。そうすると、これを押しつける
一つの目安なんです。この値段で売りつける目安なんです。だから、この法律はもうおやめなさい。これはやめなさいという第一の理由はこれです。おやめなさいと、こう言うのです。
むろん、われわれの同僚の議員も質問したと思いますけれ
ども、もはや、これはもう値段を上げるという政策の
一つの大きな
協力法です。これはもう私が言うよりも同僚はみんな、与党の諸君もだれもみんな知っております。腹の中ではだれもみんな困ったものだと思っています。それはなぜかというと、この標準というものは、やはり近傍類地の
価格というのが市街地においてはこれはもう原則になっているわけです。どんな
価格的な操作をしても、それだけでもってきまるべきものじゃないのです。先ほど高橋君は、たとえばNHKのごときと言ったけれ
ども、これは異例のものです。しかし、あれも経済的にあの
価格で買ってちっとも損がないんだという計算が出ているのです。あれは例外でありますから、これはもう全然標準になりませんなんということばはあり得ないのです。ああいう例外的な問題も起こってくるのです。したがって、この公示法というものによって値段を下げるという傾向はございません。これよりも上げるという傾向です。なぜならば双方
合意の上でこれが認められるんだということです。双方
合意でなければ、こんな地価公示なんというものは単なる目安で、だれかが参考にするでございましょうというのが提案の趣旨なんです。お手本にしたところの西ドイツの
地価公示法も同じことなんです。はっきりとそう書いているのです。何もこれは絶対のものではございません、売り手、買い手が
合意になった場合に、これはこの効果が出たのでありますと言っている。したがって、これは値段を上げるという面から見ても、この法律は廃法になさい。これは第二の理由です。審議しながら廃法、廃法と言うと、どうもおもしろくないだろうけれど、この際、すっきりとした気持ちでもって、これはもうなるほどやめるんだというようなところにまで追い込みたいんです、私としては。
そこで次の問題を伺います。いま幾らでしたか、鑑定士と補と四千人
程度でしたね、いまいるのは。これで、これから
考えられておるところの市町村が二十四万、それから国が一万四千、都道府県が四万というこの地点の、拠点の完全な
調査は、はたして可能かどうかという問題です。私は疑問に思います。おそらく市町村なんという
——ごめんなさい、市町村なんて言っちゃ悪いけれ
ども、市町村等ではとても
——四十四年、この法律をつくるときに一拠点六千円
程度の予算でやりますと言っておりました。この一拠点六千円ぐらいの予算でやると言いながらも、いまはどうなっておるか、おそらく二万円でも困難でございましょう。その場合に、二十四万拠点というものが二万円かかってごらんなさい、どういう金になるか。そうして人間が士補も入れて四千人。四千人でこれだけのものを、いつ、何のためにこれを実施しなきゃならないか。常に動いております、日本の政権は常に
土地を動かすことのみに専念をしております。われわれは、
土地の
価格、価値というものは眠っておったんじゃ何にもならないんです。じいさんのときからもらった自分のところの宅地、これはもう固定資産税を払います。払いますが、ちっとも利用の価値は変わっておらないんです。これが動いてだれかに売った場合、この場合にわれながらこの価値の変動にびっくりするわけです。その際に
——これは
あとで自治省か来たら質問する
一つですが、その際に初めて税金をかけて、この分の価値はこうでありますから、これだけの税金もらいますという、固定資産税の趣旨なんですよ。ところが三年に一ぺんずつ、何にも具体的に金がふえいなのにかかわらず、税金だけはどんどん、どんどん取っていこうというような、全く平和に暮らしている国民の生活を、あらゆる面で収奪しようという悪法なんです。これはおやめなさい、あるいはその制度をおやめなさい、こういう法律は必要ないんです。
せんだって
——これはもう法律通ってしまいましたけれ
ども、たとえば保有税の問題等で、私は四月の八日の日に、日曜日でしたがね、大蔵省へ行って大いに議論をしたものであります。そんなものをしてどうなるかって。財務当局も、税制当局も、全くそうです、そうですと言っている。したくない、したくないけれ
ども、政府がやれやれと言ってしようがない、保有税をつけろ、取引税をつけろと
——こんなこと悪法ですと主税局長も言っておりました、けれ
どもしなきゃならない。おそらく
建設大臣はあれ反対だと思うんです。ああいう形でもって税金取ったからといって地価が安定するものでもなければ、そのために国民がおどかしに乗ってすぐに
土地を出しましょうというものでもなければ、それだけ地価は上げるんだと、いわゆる税金を受けりゃ、税金分だけ地価は上がるんです。そういうことをやっているものでありますから、こんな法律は要らないということを言いたいんですけれ
ども……。
それで、いわゆる不動産鑑定士に対する教育というか、年々どのくらいの志望者があって、どのくらい資格をとっておりますか、それも説明してください。