運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1973-06-05 第71回国会 参議院 建設委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年六月五日(火曜日)    午前十時十分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         沢田 政治君     理 事                 大森 久司君                 竹内 藤男君                 山内 一郎君                 松本 英一君     委 員                 上田  稔君                 小山邦太郎君                 古賀雷四郎君                 中津井 真君                 中村 禎二君                 米田 正文君                 田中  一君                 中村 英男君                 高山 恒雄君                 春日 正一君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        大 蔵 大 臣  愛知 揆一君        建 設 大 臣  金丸  信君    政府委員        大蔵省主計局次        長        吉瀬 維哉君        建設大臣官房長  大津留 温君        建設省計画局長  高橋 弘篤君        建設省河川局長  松村 賢吉君        建設省道路局長  菊池 三男君        建設省住宅局長  沢田 光英君    事務局側        常任委員会専門        員        中島  博君    説明員        農林省構造改善        局建設部長    山本  純君        林野庁林政部長  平松甲子雄君        通商産業省化学        工業局窯業建材        課長       原野 律郎君    参考人        日本住宅公団総        裁        南部 哲也君        日本住宅公団理        事        川口 京村君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○水源地域対策特別措置法案内閣提出) ○地価公示法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○建設事業並びに建設計画に関する調査  (公団住宅払下げ問題等に関する件)  (河川における砂利採取問題に関する件)  (沖縄における建築木材確保等に関する件) ○道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 沢田政治

    委員長沢田政治君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  水源地域対策特別措置法案及び地価公示法の一部を改正する法律案を便宜上一括して議題とし、両案について政府から趣旨説明を聴取いたします。金丸建設大臣
  3. 金丸信

    国務大臣金丸信君) ただいま議題となりました水源地域対策特別措置法案につきまして、提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  政府におきましては、水資源開発及び国土保全をはかるため多目的ダム等建設をつとに推進してまいったところでありますが、最近における産業の発展、生活水準向上等に伴い、ダム及び湖沼水位調節施設建設を一そう促進する必要があります。  しかしながら、ダム及び湖沼水位調節施設建設は、その周辺地域生産機能生活環境等に著しい影響を与え、関係住民生活水準維持等に支障を及ぼすおそれもあります。  これに対処するため、従来から、水源地域整備関係住民生活再建等について各種の施策を講じてきたところでありますが、ダム及び湖沼水位調節施設建設による影響を緩和し、関係住民生活の安定と福祉向上をはかるためには、水源地域生活環境産業基盤等計画的な整備及び湖沼水位調節施設建設する湖沼水質保全について特別の措置を講ずる必要があります。  これが、この法律案を提出する理由でありますが、次にこの法律案のおもな内容について申し上げます。  第一に、国、地方公共団体水資源開発公団もしくは電源開発株式会社建設するダム、または国、地方公共団体もしくは水資源開発公団建設する湖沼水位調節施設一定の要件に該当するものを本法律を適用するダム等として政令指定することとしております。  第二に、これら指定ダム等周辺地域でその建設により基礎条件が著しく変化すると認められる地域水源地域として、都道府県知事申し出に基づき内閣総理大臣指定することとしております。  第三に、これら水源地域基礎条件の著しい変化による影響を緩和するため、及びこれにあわせて湖沼水質保全するため必要と認められる土地改良事業等一定事業概要等について都道府県知事の作成した案に基づき水源地域整備計画内閣総理大臣決定することとしております。  第四に、国は、水源地域整備計画を達成するために水源地域整備計画に基づく事業実施する者に対して必要な財政上及び金融上の援助を与えることとしておりますが、とりわけ、地域社会基礎条件を特に著しく変化させるダム等にかかる特定整備事業については、その経費に対する国の負担割合を引き上げることとしております。  第五に、水源地域整備計画に基づく事業に要する経費負担する地元地方公共団体は、ダム等を利用して河川流水を利用することが予定されている者等と協議して、その負担する経費の一部をこれに負担させることができることとしております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださるようお願いいたします。     —————————————  ただいま議題となりました地価公示法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  地価公示につきましては、昭和四十四年に地価公示法が制定されて以来、毎年、対象地域及び地点数の拡充をはかってまいりました。この間、公示価格は、市街化区域内における一般の土地取引について信頼度の高い目安となってまいりましたほか、公共用地取得価格算定等に際してはその基準とされ、地価対策相当の効果をあげてきたものと考えられるのであります。  しかしながら、最近、土地に対する投機的取引適正価格を上回る取引が多く見られ、しかも、その傾向が市街化区域にとどまらず、全国都市及びその周辺地域等において見られる状況となるに至っております。  このため、地価公示対象区域の拡大をはかるとともに、土地取引を行なう者の公示価格指標とすべき責務を明確化することが必要であると考えた次第であります。  以上がこの法律案を提出する理由でありますが、次に本法律案要旨について御説明申し上げます。  まず第一に、地価公示対象区域を拡大することといたしました。  すなわち、従来、地価公示対象区域市街化区域に限ることとされておりましたものを、都市計画区域に改め、市街化調整区域並びに市街化区域及び市街化調整区域に関する都市計画が定められていない都市計画区域においても地価公示を行なうことといたしております。  第二に、地価公示対象区域内において土地取引を行なう者は、公示価格指標として取引を行なうようつとめなければならないものといたしております。  以上が、この法律案提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださるようにお願い申し上げます。
  4. 沢田政治

    委員長沢田政治君) 引き続いて、水源地域対策特別措置法案について補足説明を聴取いたします。松村河川局長
  5. 松村賢吉

    政府委員松村賢吉君) ただいま議題となりました水源地域対策特別措置法案につきまして、逐次、御説明申し上げます。  この法律案は、本則十二条、附則三項からなっております。  まず、第一条は、この法律目的規定しております。この法律は、ダムまたは湖沼水位調節施設建設によりその基礎条件が著しく変化する地域について、生活環境産業基盤等整備し、あわせて湖沼水質保全するため、水源地域整備計画を策定し、その実施を推進する等、特別の措置を講ずることにより関係住民生活の安定と福祉向上をはかり、もってダム及び湖沼水位調節施設建設を促進し、水資源開発国土保全に寄与することを目的とするものであります。  第二条は、この法律対象となるダム及び湖沼水位調節施設について規定しております。この法律対象となるダムとして、国、地方公共団体水資源開発公団または電源開発株式会社建設するもののうち、相当数住宅が水没するダム及び相当面積の農地が水没するダム政令指定することとし、当該指定をするダム指定ダムと定義することとしております。また、この法律対象となる湖沼水位調節施設としては、国、地方公共団体または水資源開発公団建設するもののうち、湖沼及び湖沼周辺地域生産機能または生活環境に著しい影響が及び、かつ、その建設により二以上の都府県が著しい利益を受ける湖沼水位調節施設政令指定することとし、この指定をする湖沼水位調節施設指定湖沼水位調節施設と定義することとしております。また、指定ダム指定湖沼水位調節施設をあわせて指定ダム等と定義しております。  第三条は、水源地域指定等について規定しております。内閣総理大臣は、都道府県知事申し出に基づき、指定ダム等により流水が貯留される土地をその区域に含む市町村区域のうち、指定ダム等建設によりその基礎条件が著しく変化すると認められる地域水源地域として指定することができることとしております。なお、都道府県知事は、水源地域指定または変更申し出をしようとするときは、あらかじめ、関係市町村の長の意見を聞かなければならず、また、内閣総理大臣は、水源地域指定及び変更に関し、あらかじめ、関係行政機関の長に協議しなければならないものとされております。  第四条は、水源地域整備計画決定及び変更の手続について規定しております。水源地域整備計画は、都道府県知事が作成した案に基づいて、内閣総理大臣決定し及び変更するものとされております。  なお、都道府県知事は、水源地域整備計画の案の作成に関し、あらかじめ、水源地域整備計画に基づく事業、同条においてこれを整備事業と略称することとしていますが、この整備事業実施することとなるべき者、関係地方公共団体の長その他関係者意見を聞かなければならず、また、内閣総理大臣は、水源地域整備計画決定または変更に関し、あらかじめ、関係行政機関の長に協議することとしております。  第五条は、水源地域整備計画内容規定しております。水源地域整備計画内容としては、指定ダムにかかる水源地域におけるものにあっては、土地改良事業治山事業治水事業道路簡易水道下水道義務教育施設または診療所整備に関する事業その他政令で定める事業のうち、当該水源地域基礎条件の著しい変化による影響を緩和するため当該水源地域内において実施する必要があると認められるものの概要等について定めることとしております。また、指定湖沼水位調節施設にかかる水源地域におけるものにあっては、土地改良事業河川下水道整備に関する事業その他政令で定める事業のうち、当該水源地域基礎条件の著しい変化による影響を緩和し、または湖沼水質保全するため当該水源地域内において実施する必要があると認められるものの概要等について定めることとしております。  なお、これらの事業で特に当該水源地域外において実施する必要があると認められるものがあるときは、それらについても定めることができることとしており、関係住民生活の安定、福祉向上が十分にはかれるよう措置しております。  第六条は、整備事業実施については、この法律に定めるもののほか、当該事業に関する法令の規定が適用される旨を規定しております。  第七条は、指定ダム等建設及び水源地域整備計画実施に関する関係行政機関の長、関係地方公共団体等協力義務について規定したものであります。  第八条は、関係行政機関の長、関係地方公共団体指定ダム等建設する者及び整備事業実施する者は、指定ダム等建設またば整備事業実施に伴い生活基礎を失うこととなる者の申し出があるときは、協力して、その生活再建のため必要な土地または建物取得等あっせんにつとめるべき義務を負うこととした規定であります。  第九条においては、特定指定ダム等建設に対応する整備事業実施を推進するため、特定整備事業について、国の負担または補助割合等の特例を定めております。  水源地域基礎条件が著しく変化する特定指定ダム建設に対応する整備事業のうち、別表第一に規定する土地改良事業治山事業治水事業道路簡易水道下水道義務教育施設及び診療所整備に関する事業については、国の負担または補助割合を、別表第一に定める範囲内で政令で定める割合に引き上げることとし、また、指定湖沼水位調節施設建設に対応する整備事業のうち、別表第二に規定する指定改良事業河川及び下水道整備に関する事業については、国の負担または補助割合を、別表第二に定める範囲内で政令で定める割合に引き上げることとしております。  第十条は、整備事業の用に供する必要のある国の普通財産を、関係地方公共団体譲渡することができるものとした規定であります。  第十一条は、国が、整備事業実施する者に対して必要な財政上及び金融上の援助を与える旨を一般的に規定しております。  第十二条は、整備事業経費負担する地元地方公共団体は、ダム等を利用して河川流水を利用することが予定されている者等と協議して、その負担する経費の一部をこれに負担させることができるものとした規定であります。  なお、この場合の協議につきましては、当事者の一の申し出により、関係行政機関の長があっせんをすることができることとしております。  附則第一項は、この法律施行期日を公布の日から起算して六カ月をこえない範囲内において政令で定める日と定めております。  附則第二項は、国の負担または補助割合の引き上げに関する第九条の規定は、昭和四十九年度の予算にかかる国の負担または補助金からの適用する旨を規定しております。  附則第三項は、国土総合開発庁設置法の一部を改めて、この法律に基づく内閣総理大臣の権限に属する事務の処理を、国土総合開発庁所掌事務とすることとしております。  以上をもちまして、この法律案逐条説明を終わります。
  6. 沢田政治

    委員長沢田政治君) 両案に対する質疑は後日に譲ります。     —————————————
  7. 沢田政治

    委員長沢田政治君) 次に、建設事業並びに建設計画に関する調査議題とし、質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 田中一

    田中一君 これは金丸さん、あなたに非常にいやなことだけを質問いたしますから、すなおにお答え願いたいと思います。  住宅公団法には賃貸住宅払い下げをするという条項がないわけです。明記されておらぬわけです。公営住宅法には、御承知のように、耐用年限の四分の一を経過した場合は建設大臣の許可を受けて払い下げをすることができると、こうなっておるわけです。そもそも四十六年ころに自民党から公団公営住宅等払い下げをしようという考え方が出た、発想され、四十七年の暮れの衆議院選挙の直前に、大阪である自民党候補者——候補者と申しますのは衆議院人たちでありまするが、これを公にしたという経緯を経て、これはまあ非常に社会的に大きな非難を浴びた、そうして今日に至っておるんでありまするが、法律的な根拠というものをまず先に御説明願いたいと思います。
  9. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) 公営住宅法は、第一条の目的からいいまして、地方公共団体、国が協力をいたしまして公営住宅建設し、これを賃貸することによりまして、公共の、低額所得者生活の安定、あるいは福祉向上をはかるというのが目的でございます。建設賃貸することが目的でございます。したがいまして、賃貸目的でございますから、   〔委員長代理理事松本英一君着席〕 これを払い下げる場合は特別の場合というふうなことで処分の条項が明記されております。限られております。片や公団法のほうは、第一条に書いてございますように、大都市地域住宅難の激しいところで不燃構造住宅供給をすることによりまして社会福祉に貢献する、かようなことでございまして、この供給をする方法といたしまして、次の「(業務)」のところに、建設管理し及び賃貸あるいは譲渡をする、かようなことが書いてございます。この譲渡の中には新しく建てたものを譲渡をするという事項が一つございます。それと、当然、古い賃貸住宅譲渡をする、こういうものが法律的には含まれているというふうに解されておりまして、それの規定は省令の中でうたってございまして、新しいものを譲渡するものは分譲住宅といたしまして、それぞれのやり方が書いてございます。それから賃貸住宅譲渡いたします場合には、特別の必要ある場合にこれを譲渡をする、かような条項がございます。この条項によりまして今回の私どもの方針を立てた、かような次第でございます。
  10. 田中一

    田中一君 沢田君、うそを言っちゃいけないよ、君は。君は住宅公団法審議にあたって説明し、また政府委員としてそのような意思が盛り込まれてあるというように考えておったんですか。住宅公団法審議にあたっての議事録を全部お読みください。明らかに分譲すべき建物分譲するんだという規定でこれを実施してきておるんです。賃貸をするものはどこまでも賃貸するんだという二つ施策をもって住宅公団法は出発をしておるんです。したがって、いま君が言ってるような解釈は、自民党という与党からの圧力によってゆがんだ解釈をして、ここに道があるという一番日本の官僚の中の最悪なるあくどい根拠を求めて、強引な自民党の党議に服そうということであろうと思うんです。沢田君、住宅局長、もうこの問題、君とは議論しません。したがって、この問題は、私のほうには委員長除きまして五人委員がおりますから、その点をはっきりと伺っておきます。住宅公団法の制定当時、私は議席を持っておりました。したがって、その点は非常に強く住宅政策の推進、住宅建設に対しては積極的な共鳴をしながら審議をしたことを覚えております。ただ、読みかえられるような条文になっておるから、そういう読みかえをして、与党のあるいは力屈し——ことに、きょうここにも内閣総理大臣を呼んで再度、これを推進しようという意思を聞こうと思っておったのです。これは金丸さん、あなたから、どうもこれは自分のほうの意思でもあるのだから、総理はまあ呼んでもというようなお話もございました。だから私は呼ばないのです。住宅公団建物政府のものじゃないのです。国民のものなんです。国民に約束しておるという、今日までの三十数万戸建っておる賃貸住宅というものは国民意思によって決すべきである。住宅公団事業というものは賃貸住宅分譲住宅の二本立てで国民住宅供給しているのだというたてまえなんです。  南部総裁に聞きます。あなたが建設し、管理しておるところの賃貸住宅は、いつでも政府意思によって、どこへでもばらばら売り込むことができるんだという理解をして、公団総裁としてそのいすを占めておるのかどうか。南部君、君はあしたやめたっていいじゃないか。したがって率直に、いままで君自身の長い建設省の役人として、公務員として、ことに公団総裁として今日のいすを占めている君のほんとうの精神を、意思を説明してほしいのです。沢田君の言っていることが正しいのであります、賃貸住宅はいつでもかってに売っていいのでありますということを言うか、あるいは、あなた自身賃貸住宅分譲住宅二つ立てでいままでやっておりますという答弁をするか、社会的な大きな責任を感じながら答弁していただきたいと思います。
  11. 南部哲也

    参考人南部哲也君) 賃貸住宅払い下げの問題でございますが、元来、公団といたしましては、従来の実績から見ましても、現在七十万戸の住宅管理しておりますが、このうち四十三万戸は賃貸住宅でございます。したがいまして、住宅を求める勤労者のためには、第一義的には、やはり従来のわが国住宅事情から申しますと、賃貸住宅供給すべきである、これが一つの筋であったと考えます。したがいまして、お説のように賃貸住宅というものを北は札幌から南は鹿児島まで現在建設しております。これらの賃貸住宅は、いわゆる移動する職業にある方々のためには、私は、非常に大きな全国ネットワークというものを現在まで形成しておると思っております。大阪転勤になっても、公団に行けば住宅がある、あるいは福岡から東京転勤になってもそういうものがあるということは、非常にわが国国民全体の住宅政策住宅の安定の上からも大きな力であるということを従来誇りにしてきておるわけでございます。したがいまして、この賃貸住宅を全部バラ売りをしてはどうかということになりますと、公団としては慎重に考えざるを得ない。片や分譲という制度もございますし、さらに本年度からは長期分譲という制度も発足しております。そういう意味賃貸分譲とのウエートをどのように持っていくかということについての住宅事情というものは、刻々と私は変わってきておるというふうに考えております。  従来、日本住宅から見まして関東地方であき家が発生するということはなかったわけでございます。ただいま現在においては約五千戸程度のあき家があるということで、そこら辺の点から住宅対策上の分譲賃貸比率等については、これは将来ともに考えなければならない時期にきておる、このように判断しております。したがいまして、できるだけいろんな問題を十分に煮詰めまして、払い下げをする場合にはしっかりしたデータのもとにこれを行なうべきである。むやみに賃貸住宅払い下げるということについては、公団自身といたしましては消極的な考えを従来とも持ってきておったわけでございます。ただ、今回の問題につきましては、将来のことと現状とをにらみ合わせまして、そうして公団といたしましても、それならば永久に賃貸住宅を持っておれるか。管理戸数はやがて五十万をこします。そういうような情勢から、将来の問題を含めて考えた場合、全く分譲をしないということも、これは刻々に変わっていく住宅事情のもとにおいては必ずしも適切な態度でない、このように考えまして、すでに御承知と思いますが、東京関東、名古屋、関西の三カ所で、試験的に払い下げ実施をするためにはどういうことが問題になるだろうかということの検討ば続けてまいりました。その結果が新聞紙上等に出ているような状態にただいまなっておるということでございまして、これには、われわれといたしましてはバラで売った場合のいろんな管理上の問題がございます。こういう経験はいままでにないわけでございまして、それらの問題を全部詰めていくためにも、どっかでそういう問題について十分に検討をしなければならない、そういう検討をした上でなければ、その後の方針等につきましては、なかなか結論が出せない、実施団体としての公団はそのように考えております。したがいまして、そういう意味で今回の三団地につきまして十分なる検討もし、あるいはこの結果、管理上からいって、現在の法制上からもう少し、建物所有区分法律だけではだめだというような結論が出るかもしれない、そういった十分な検討をした上で対処していきたい、このように考えておる次第でございます。
  12. 田中一

    田中一君 いま南部君言っているように、あなたのほうでこの五月に調査したものを見ても、四十三万六千九百戸のうち大体一割は常に移動する勤労者なんです。働く者たちなんです。転勤その他によって住宅が得られるという、この流通面が非常に円滑にいっているということを証明しております。いま大体、南部君の話を聞くと、沢田君が言っているように、賃貸住宅は売っていいんだという、バラ売りするんだという考え方で住宅公団総裁の席にあるんではないというように理解をします。同時にまた、せんだっても田中総理が促進しろというような意向を伝えてきております。建設大臣、一体何と言っているのか。田中角榮君が、総理が何とあなたに指示しているのか。総理大臣は各閣僚に指示ができるでしょう。権限ございましょうけれども、どういう指示をしているのか。いろいろ新聞で拝見しておりますけれども、そういうものに屈しちゃならぬと思うんです。私、時間がないから急いでものを言うんですが、それでどういう経緯でもって再燃したのか、その経緯を説明してください。
  13. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 物価対策閣僚協議会がありまして、そのおりにたまたま住宅問題が出ました。また住宅問題の話の中に、マイホームというものが得られないために非常にいろいろの問題が起きておると、いわゆる払い下げできるものがあったらしたらいいんじゃないかというような話があったんですが、その問題につきましては衆議院建設委員会においても非常に問題が起きまして、私は総理になお再確認の意味で行って話をいたしたわけでございますが、結論的には、実は総理衆議院建設委員会に招致すると、こういうような話もあったものですから、いや、それは困ると、建設大臣が全部まかされておることだから私の責任でいたしますということで、委員長が、それじゃ総理の再確認を得てこいということで総理といろいろ話したんですが、総理結論的には、建設大臣にまかせますと、こういう話であったわけでございます。実は総理から指示があったという新聞発表を私も記者諸君にいたしたわけでございますが、そのときも、この問題については省の幹部と十分に打ち合わせて、また公団幹部とも打ち合わせて全きを期してまいりたい、こんなに大きな問題になる前に、もっと私のほうでは慎重にこの問題を掘り下げてまいりたいというような考え方でおったわけでございますから、右から左にすぐ、こうやるぞと、こういう考え方ではないわけでございますが、まあ衆議院、参議院の意見を通してみましても、非常にきびしい御意見でございますから、私はこの問題につきましてはなお十分意見を尊重して慎重に対処してまいりたいと、こう考えておるわけですから、私は総理の考え方はどうであろうと建設大臣の考え方で推し進めてまいりたいと、こう思っておるわけでございます。
  14. 田中一

    田中一君 住宅局長、大臣の意思がわかっていますね。ただ、どういう実態で、どういう形でそれが可能か不可能かの問題を検討しているのが現状なんですか、住宅局長
  15. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) ただいま大臣からも総裁からもお話がありましたように、この実施についてはいろいろと問題がございます。したがいまして、この実施の問題につきましては慎重に検討して進めなきゃいかぬと思います。ただ、私どもがこういうものを考えましたというか、前から準備しております考え方からいきますと、実は何でも全面的に十年たてば売ってしまうんだと、こういうふうな考え方というよりも、むしろ何と申しますか、住宅というものは特殊な性格がございますので、これの定着性といいますか、安定性といいますか、そういうものの一つの手法として、まあ政策的ということではなく手法的にこういうものを入れたらどうかと、かようなふうに実は考えた次第でございます。と申しますのは、公団には御存じのように収人の上限がきめてございません。したかいまして、この勤労階層、所得の向上いたします階層の人たちが入りまして十年もたってまいりますと相当所得も上がってまいります。ただ、十年前でございますから、場所が非常にいい場所でございます。したがって、勤務地その他の、学校その他の関係から——まあ、そこで所得が上がって持ち家をほしいという方も出てくるだろう、その場合に、先ほど先生おっしゃいますように、一般的には、公団には分譲制度というのがございまして、これを実は盛んに建てております。建てております中で、半数近いものをこの賃貸住宅から持ち家化される人々に提供して優先的に供給をしておる、入れておるというのが現状でございます。しかし、古いものの中には、半分程度のそういう——私がいま言いましたような十年以上のものには十年以上の定着者というものが半分近くございます。この方々の中には、そういうところに移って持ち家化する御希望の方もおられます。あるいは先ほど言いましたように、非常に地縁というものがかたくて、そこで、ほしいという方もおられるというふうに私どもとっております。したがって、そういう意味で、分譲の一つの延長的な手法といいますか、そういうふうな意味で、私どもはかようなものをやったらどうかと、かように考えておりまして、ただ、やることに関しましては、いろいろな、ただいま総裁から言われましたような管理問題その他がございます。したがって試験的にということで、家は計画の、何といいますか、検討を進めておった次第でございまして、その線が表面に出た、かような次第でございます。
  16. 田中一

    田中一君 住宅局長はね、むろん住宅政策も担当しなきゃならぬでしょうけれども、公団住宅公団が建てている住宅というものは君らのものじゃないんだよ。もはや国民のものなんです。国民のものなんですよ。君らは公務員住宅に入っている。安い住宅に入っている。転任になればどこでも、あっちでもこっちでも、たいへんな数つくっていますから入れる。国民意思は聞かないで、国民が、たとえば十年定着して、五十人のうちの一人が、おれはここのうちを一生の終わりの住みかとしたいと言うから考えるのだという、手法なんということは考える必要はないんです。この問題について、一般、全国的に配布されている新聞のうち、一社でもその手法を、君の言う手法というものを歓迎すべきものだと言っているマスコミは一つもないんです。全部反対です。それには君らが、君ら官僚がだ、これはおれが管理して、おれが自由になるのだというような認識を持っているところに大きな間違いがあるのだ。間違いを私はしちやいかぬと。ことに法的根拠があれでいいんだなんということを言うのはおかしい。おそらくバラ売りをしてもいいんだという広義の解釈で、君はそういう手法として検討住宅公団に命じ、また大臣には、相談あったときに、いや、これならいけますという一つの根拠を示したものと思う。だから、君は一つの手法として扱っているものだと思うけれども、法律というものは、条文の問題じゃないんです。これはいま提案理由の説明をされている法律だって、法律の案文というものは短いものです。表現、内容にあるその立法の精神なんです。法律というものはどこまでも立法の精神というものは一切に優先するんですよ。一々こまかい問題までは書けない。政令にもする、条例にもする。また、それぞれ国民の迷惑にならぬようなものだったら、政令なり、あるいは省令でもってものをつくって、受けて地方が条例もつくる。この精神というものをじゅうりんするのは、君らの役目じゃないんです。法律を改正すべきなんです、もう、そうなら。君らがかってに——法律をつくったときのわれわれの精神、国民の要求というもの、これが盛り上がったものが住宅公団法であったはずです。これこそ一つの手法です。その中で分譲賃貸というものに分けて国民供給をしたのが現実、現在までそのとおりなんです。それをいたずらに広義に解釈して、都合のいいようにごきげんとりなんていう立場をとるべきもんじゃないんです。ましてや、法律の精神というものを一局長の君が、こういう解釈もできますなんて言うことはあり得るもんじゃないんです。私は愛すべき沢田君だから、非常にいままで君のことを信頼しておりました。いまでも信頼度はなくなっているわけじゃありませんよ。ただ、権力の横車で君は動いちゃいかぬと言うのですよ、かってな解釈をして。  そこで結論は、こういうことを言っても、まだまだ尾を引くんだと思うけれども、建設大臣、あなたもずいぶんいろんな新聞をごらんになって、この払い下げの問題については、どのくらい公正な、ちまたの声としてあり得るもんじゃないという批判を受けていることは御存じだと思うんです。ここで公団住宅バラ売りはいたしませんという結論をお出しなさい。私はあなたと非常に長い、党の所属は違うけれども、いろんな意味において建設行政等についても長い間話し合いしてまいりました。あなたには決断があるはずです。それはしばらく時間をかせと言うならば、いままで住宅公団は、かつて、一棟、一区画あるいは一地域全部の承認が、希望があればこれに売ってもいいというようなことを、この前は、前回には意思表示をしておりましたが、いまバラ売りですよ。じゃ、バラ売りというものがどういうものか、住宅公団が十分調べたと思いますから、調べたものについて説明を願いましょう。そして可能か不可能か、それに対して多数の市民が要求しているかどうかという点について説明してください。こまかに説明してください。また現にいままでにもバラ売りをしたあるマンションもございます。民間マンション等のその実態はどうなっているか。また土地あるいは共有部分というものは、これはまあ共有になっている、一現在は管理権は公団が持っている。しかし、そういうものがバラ売りされた後にどういう形で運営されるか。国民の中に相克が、同じ居住者の中に相克が起きないかという点も調べたと思いますから、詳細に説明していただきたいと思うんです、その点を。これは公団にそういう調査をさせたと言うならば、沢田君、君が説明してくれてもかまいません。そうして、それを全部データにしてお出し願いたいと思うんです。だれが報告してくれるか、南部総裁かあるいは住宅局長か、どちらか、詳しく説明してくださいよ。
  17. 川口京村

    参考人(川口京村君) バラ売りにつきましては、先生のおっしゃるとおり管理上いろいろ問題がございます。それで、いわゆる民間マンション等については公団は調べておりませんですが、今度の候補地にあがっております千里園というのが大阪にございます。これは三十三年ごろ管理開始したわけでございますけれども、当時千里園の団地は分譲として公団が建てたわけでございます。ところが当時の社会情勢からなかなか売れなくて、その中の二棟だけ分譲いたしました。で、その二棟というのが団地のほぼ中央にございます。その周囲は売れませんでしたものですから、賃貸住宅に切りかえまして、現在、賃貸住宅になっております。そこはもちろん一棟単位ではございますけれども、敷地その他共有になっておりまして、現在までのところさしたる問題はございまいません。ただ、今後バラ売りにいたしました場合にはいろいろな問題が起こると思います。現在、公団が考えておりますのは、区分所有に関する法律というものを基礎にいたしまして管理組合というものを結成し、公団も、いわゆる家主といいますか、の一員としてそれに加わって、分譲を受けた方と管理組合を結成して、それで管理していきたいと思うわけです。こういう管理の中で一番問題になりますのは、共益関係は、従来とも共益費は平等といいますか、分譲の方も賃貸の方も同じようにいただいております。一番問題になりますのは、修繕費であろうと思います。それで千里園の例をとりますと、分譲の棟の修繕についてはこれは全部分譲の方が持っております。それから賃貸公団が持っているわけですが、バラ売りの場合は、その修繕費についてはやはり譲渡契約等におきまして一定の額を積み立てていただく、それで管理組合においてそれを積み立てて修繕費に充てるというような方法を考えておるわけです。その他予想できない問題があるいは出てくるかもしれませんが、現在、公団のほうで想定されるであろう問題については鋭意検討中というのが現状でございます。
  18. 田中一

    田中一君 それはバラ売りの場合のことを言っているんですね。
  19. 川口京村

    参考人(川口京村君) さいでございます。
  20. 田中一

    田中一君 自分の家を持っている人たちが、おれは管理組合に入らぬと言ったらどうなります。
  21. 川口京村

    参考人(川口京村君) 普通分譲住宅あるいは別分におきましても、これは譲渡の条件になっておりますので、入らないという人には譲渡いたしません。
  22. 田中一

    田中一君 入ると言って譲渡を受けて、入らないと言ったらどうします。
  23. 川口京村

    参考人(川口京村君) これは契約の違約ですから、契約解除ということに当然なります。
  24. 田中一

    田中一君 そうすると、それは裁判で立ちのきを命ずるわけですね。そうですね。
  25. 川口京村

    参考人(川口京村君) 立ちのきを命ずるというよりも、いわゆる現在賃貸を受けておりますから、いわゆる分譲契約を解除するわけですから、賃貸として残ると、そういうことになると思います。
  26. 田中一

    田中一君 どこまでもそこに住んでいたらどうします。どういう転勤も受けない、何も受けないということになったらどうします。
  27. 川口京村

    参考人(川口京村君) そのまま賃貸でずっとそこに住んでもらう、そういうことになると思います。
  28. 田中一

    田中一君 金は払ってしまったんです。そうして金がないからよその銀行なら銀行、金融機関なら金融機関、兄貴なら兄貴に金を借りて、それを担保にしているという場合は第三者に及びますか。
  29. 川口京村

    参考人(川口京村君) まあ管理組合は現在かってに脱退できません。ですから、当然、譲渡契約の中で管理組合の結成ということになっておりますので、初めは組合に入っておって途中で脱退するということになれば、これはやはり民事訴訟において争うと、そういうことになろうかと思います。
  30. 田中一

    田中一君 そうすると、一軒が賃貸、あとの四十戸は全部自分の家だという場合には、その二戸の場合に公団管理組合として参加するわけですね、当然。
  31. 川口京村

    参考人(川口京村君) そのとおりでございます。
  32. 田中一

    田中一君 その場合に比重の問題です。一つの仕事を行なう場合に、管理組合は絶対な権力がない、多数決で、おそらく自治会みたいなものできめるんでしょう、と思うのです。自治会的な運営できめると思うのです、その場合に。その賃貸者が非常に不利な面になった場合には、それはどうなるんです。そういうこともあり得るでしょう。
  33. 川口京村

    参考人(川口京村君) 現在、具体的に、たとえば四十戸の中で賃貸が一つ残って、それが残っている人が不利な状況というのは現在私どもちょっと想定できないわけでございますが、団地の管理全体について不自由があれば、分譲を受けた方も当然由自由を感じるはずですし、残った賃貸だけ、入居している方がかりに二戸と、まあ、それはかりの話なんですが、どのような不都合な目にあうか、ちょっと私どもそこまで想定できておりませんです。
  34. 田中一

    田中一君 いまの千里園で何軒かが自分の家だと。居住者の、賃貸者の意思住宅公団のほうがこれを代行しているわけですね。そうすると、自家家を持っている者と公団が相談をしてものをきめたって決定にならない。やっぱり居住者の意思というものを尊重しなければならない。そうすると、新しいトラブルが起こると思いませんか。
  35. 川口京村

    参考人(川口京村君) 現在、千里園では大きなトラブルというのは聞いておりませんです。まあ、あるいは公団が一括、まとめてめんどう見ているせいかもしれませんけれども、現在はそういうことはございません。ただ、いろんな問題というのは賃貸だけの団地におきましても現在まで相当ございまして、そういう種類の問題はこれはとうてい解消されないと、そういうふうになると思います。ですから、賃貸のまま残った方については従来のサービスが当然低下しないようにわれわれはっとめなければならぬと思っておりますし、できると、そういうふうに考えておるわけでございます。
  36. 田中一

    田中一君 そうすると、結論としてはバラ売りも適当であるということなんですね。
  37. 川口京村

    参考人(川口京村君) 適当という意味が政策的意味で適当かどうか別にいたしまして、われわれの現在の見通しでは、この管理組合の規約あるいは譲渡条件をしっかり定めれば、その中身については現在検討中でございますが、やれるんではないかと想定しております。ただ、公団始まって以来のことですので、予想しないことが起こり得るんではないかと思います。そういうことを前提にいたしまして、私どもは試験的ということでこれを実施いたしたい、そういうふうに考えておるわけです。
  38. 田中一

    田中一君 あとで春日君も質問しますが、そういうところはひとつ春日君にまかせましょう。  ただ問題は、南部総裁のほんとうの精神というものが好ましくないという気持ちを持っておるわけで、あなた方、川口君、君もそう思っている。さっき言っているように、分護と賃貸という二本立ての事業公団事業であるというように認識して公団であなた仕事をしておるんでしょう。それは間違いないですね、総裁並びに川口理事も。どうなんですか。
  39. 川口京村

    参考人(川口京村君) 私、総裁の指示に従って仕事をしているわけですから、総裁と同意見でございます。
  40. 田中一

    田中一君 金丸さん、建設大臣、もうこれだけ言っていたら大体いいでしょう。きょう、いまあなたが答弁すればそれで済むのです。もう公団バラ売りはいたしませんと、バラ売りどころじゃない、賃貸住宅はあくまで賃貸住宅として労働者のために、勤労者のために、どこまでも流通面の一番よいところを発揮しているこの制度であるからこれを存続いたしますという答弁をすれば、八月人事であなたも延びる。はっきりおっしゃい、もう。
  41. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 私は、この問題は十二分に慎重に対処しなければならぬということは前提でございます。いま田中先生からの御指摘のことも十分わかります。ただ、これは、総理から指示を受けた受けないという問題は別問題として、私自体の気持ちの中に、いわゆるマイホームというものは人間の本能じゃないかと、こういう考え方を持つ。ただ、この時点において、一方において、賃貸住宅も建たぬじゃないかと、建たぬのに何やつているかと、こういうまた賃貸住宅へ入れないという人、こういう人と、一方は、今度は入った、良好にも入れて、それが自分のマイホームになれるといったら、そこに一つの大きな断層が出るのじゃないかと、こういうこともこれは十分考えなくてはならぬ問題だと私は思います。そういう意味でこの問題については私は十二分にひとつ慎重に対処して、右から左というようなことを考えておるわけじゃないのですから、ぜひその辺を御理解をいただいて、私は十二分に慎重に対処してまいります。
  42. 田中一

    田中一君 先ほど言っているように法的な根拠というものが私は不十分だと思います。したがって公団法改正をして、いいですか、そうして後にそれをするということを約束していただきたいと思うのです。公団法を改正して——かりに、やるという決意をしたならば、先行するのは公団法の改正です。その上で、その決意をする以外にないと思うのです。同時に沢田君は、この法律提案され、これには長い審議をかけました、その際の議事録を全部、衆参両院の議事録を読むことです。沢田局長いいですか、全部読むことです。読んで、この法律の立法精神というものがここにあるのだということをつかまえて、それで、この解釈ができたということになるならば、いまの、さっき言ったような拡大解釈もあり得るかもしれませんが、ただ、くどく言うけれども、法律というものはそういうこまかい考え方にまで入っておらないのが実情なんです。質疑の中において念押しをし、それは政令なりあるいは省令にまかす部分があるわけです。しかし、われわれは、審議をするわれわれは、どこまでもその精神がどこにあるか、この精神でこれは一項が書かれてあるはずだという認識のもとに法律に対するところの審議をしているわけなんです。一住宅局長がわれわれの意思を無視して、かってな解釈をして権力に迎合するようなことは君の将来のためにも慎むべきです。今晩からずっとひとつ勉強してください。住宅公団に対する、この払い下げに対する問題はまだ留保しておきまして、これからまた質問いたします。  次に伺いたいのは公営住宅の問題です。公営住宅払い下げの問題については、先般、住宅問題に対するところ質問のときにもこれは伺って触れていましたけれども、これに対する払い下げ等の問題についてはどういうようにお考えになりますか。建設大臣いかがです。
  43. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 都市における公営住宅の問題また都市でない公営住宅の問題、こう二つに私は考えられるだろうと思います。私が建設大臣をやる前に、交付税交付市の一番へんぴなところにあります団地を払い下げてほしいという話がこのときは市会議員がついておりました。それは共産党の市会議員、社会党の市会議員がついて、ぜひ、一緒になってやってくれないかという話で、承ってみれば、その内容は、われわれは、これは払い下げしていただけるという話だから、きょうまで自分で非常に修繕をして修理もし、そして大事にここまで持ってきたんだという姿を見まして、私は、これは払い下げてやるべきものだ、政治がそういうように約束しておる以上、払い下げるべきものじゃないかと、こういう私は考え方を持って、ま一つこの一般公営住宅の問題は、建設省がそういう考え方を持ってみましても、いわゆる自治団体が踏み切らなければやれないことでありますが、ただ実際問題として市が修繕もするわけにはいかない、あるいは町もいかない、どうもこうもつかないといって、このままではどうにもつかないんだから、別にここで払い下げをしてもらって、みんなのものにしてもらったほうが、自治体がよろしいというような状況もあるわけです。それは私はつぶさきに、大臣になっても陳情を受けておるわけですが、そういうようなことを考えてみると、そのケースはいろいろあろうと思いますが、そのケースの問題はケース・バイ・ケースで考えるべきだという考え方、こういう私は考え方を持っておるんですが、すべてがそうやるべきだということについては、私もそうは考えておりません。しかし、その払い下げという問題については、マイホームという人間の本能、また政府の当時の約束したというもの、そういうものがある。そういうものを私は聞けば、これは何とかしてやるべきじゃないか、これも政治だ、こんなように考えておるんですが……。
  44. 田中一

    田中一君 公営住宅法の制定当時からその精神です。しかし、これはどこまでも当時、木造建築だけをつくっている時代のころの考え方であって、いまのように九〇%以上耐火住宅になっているという実情から見ると、これも変革されているんです。しかし、何といっても、相当数の建てかえなきゃならぬという土地もあります。住宅もあります。東京都の例を見ましても約二万戸でしたか、四万戸でしたか、それくらいある。もう木造でどうにもならぬ、修繕したって修繕もできない、あるいは環境もよくない、何とかしなきゃならぬというものもあります。この木造建築の時代には、四年たったら分護しましよう、払下げしましょう、こういうような規定は、そのときの精神なんです。いまではおのずから違っております。おそらく共産党、社会党の市会議員が先頭に立ってお願いに上がったのもそのケースだと思うんです。私もそれはわかります。しかしながら、これは三大都市圏というものを中心に考えてみましても、東京都は、昨年は一万九千戸予算に計上した公営住宅が、一割ちょっとしか事実建設されておらないのです。思い起こしてみますと、三十年か三十一、二年のころです。この払い下げの条件というもの、これを払い下げてくれという要求が相当ございました。その時分ば、ぼつぼつわが国も戦後の立ち直りをしかけてきた時期でありますが、その場合には緩慢ながら地価というものはやはり上昇し続けてきております。建物は二戸五百円で建って、運賃にも満たないような建物で、五百円で払い下げたっていいのです。土地というものは払い下げれば再び得ることができない。建物は農てればいいんです。過小宅地が三大都市圏にはたくさんあって、ことに戦後の公営住宅というものは中枢の空地に建ったものであります。その場合は、それはそういうものであります。同時にまた、地方に相当土地の多い行政区域がございます。これらは、むろん、そういうことも一つのケース・バイ・ケース、行なわれたこともあります。今日ではないはずです。いま建設大臣の言っておるケースば、おそらく地方都市の問題だと思うのですが、沢田君、三十年後に、どの地区にどれくらい木造住宅払い下げを行なったか、あるいは耐火建築の払い下げも行なったことがあるかどうか説明していただきたいと思います。
  45. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) 木造の払い下げ譲渡処分の戸数でございますけれども、これは三十六年までに約七万七千戸払い下げております。それ以後毎年四千戸ないし五千戸程度やっておりまして、たとえば四十七年度におきましては四千二十四戸ということになっております。これらはすべて木造の低層公営住宅でございます。合計で十二万四千七十六戸というものが現在までに譲渡処分をされております。それで、いわゆる中層耐火構造のもの、これは私の知るところでは、譲渡はされておらないと思います。
  46. 田中一

    田中一君 地域はどうです、従来は。
  47. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) 従来は私どもこの木造の払い下げにつきましても非常にシビアに扱ってきております。三大都市圏及びこれに準ずるところ、これには絶対だめだということでございますから、特殊な例外を除きましてほとんどございません。大体人口十万の周辺部、こういうところでございまして、大体私どものいわゆる省令とか、政令とか、そういうところに基準がありまして、その基準に合うほかに譲渡の条件といたしまして、地域的に押えておりまして、人口十万の都市、あるいは三十万の周辺都市はだめだとtだめだというよりも、そこはいろいろ都市事情、宅地事情について建設省相当見る、こういうことでございましたから、その辺で相当強く縛られております。それ以外のところで、かなり出ておるというのが実情だと思います。  今回の措置をあわせて申し上げますと、木造低層公営住宅、木造が主でございますが、これの問題の方針をここにまた一つ述べた、こういうことでございまして、ただいま大臣からお話のございましたように、木造の公営住宅も、三大都市圏及びそれに準ずるところ、非常に宅地難あるいは住宅難のひどいところ、ここに集中いたしまして、これは原則的に払い下げない。払い下げないばかりでなしに、これは法律改正を先年お願いをいたしました建てかえを行なう、立体化を行なう、こういうことを宣言しておるわけでございます。それ以外のところでは、もちろん法律政令、通達の範囲内でございますけれども、いままで私どもは画一的にやっておりました承認条件というものを、大臣の御意向の中に、地方管理団体の良識——いわゆる地方管理団体におきましても、その地方の行政がございます。そういうものに重点を移すと、かような方針をとったわけでございまして、特に三大都市圏の中での建てかえの場合には、ほんとうは木造の賃貸住宅を、公営住宅を建てかえますと、二倍半、三倍の戸数が建ちます。しかし、ここにおられる方々は、それもやはり地縁性、収入増等がございまして、そこで住居がほしいという方が非常に多うございます。非常に強烈でございます。そこで東京都あたりも建てかえは年々数千戸やっておったわけでございますが、四十七年度におきましては建てかえ計画がほとんど進行しないという実情に立ち至りました。先生おっしゃいましたように一万九千戸の割り当ての中、二千戸しか発注できなかった。この原因の一つには、この建てかえ、立体化のストップというふうなことも大きな原因の一つになっております。そこで私どもば、この建てかえに際しまして、これを何とか動かさないと緊急事態に対処できないということで、その場で別途の資金で分譲住宅を建てます。これは公庫融資その他公共団体の融資もつくりまして、激変化を防ぎつつ質のいい住宅を、既入居者には、持ち家のほしい人にはお分かちをしながら片方の建てかえ計画を御承諾いただく、かようなことを実は今回打ち出した次第でございます。
  48. 田中一

    田中一君 三月に、美濃部知事が木造建築の建てかえの問題についてこういう答弁をしております。「都市の不燃化と、土地の有効な利用を図ることを促進することは、どうしても必要であろうと思います。この場合に、住宅分譲を希望する居住者も多い現状でありますので、お話のように建替後に分譲できる住宅を或る程度用意する必要があろうかと思います。具体的には、この分譲住宅建設につきましては、住宅金融公庫の資金を利用したいと考えておりますので、国及び住宅金融公庫と、その具体化について、できるだけ早い機会に協議をいたしたいと考えております。」ということなんですが、この答弁をよく考えてみると、公営住宅を建てて、それを分譲するんではない、どこまでも。ちょっと読みかえて、うっかりすると、公営住宅を建てて、それを分譲してくれるんだというような誤解をされる向きがあろうかと思うのですが、どこまでも公営住宅じゃないわけです。これでいいんですかね、沢田君。
  49. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) そのとおりでございます。
  50. 田中一

    田中一君 そうすると建設大臣。いま三大都市圏並びに三十万都市周辺等々言っておりますが、現実にこんなものがある。たとえば小平市の周辺に十四、五戸木造の公営住宅がある。十四、五戸の過小宅地では、現在の環境から、そこに中高層の家を建てることはできない。そうすると、そういうものはしようがないから払い下げちゃうのかということ、これは払い下げすると、いま、こういう方針にはずれますからできない。こういう場合にやっぱり相当な代替地なり交換なりして建てるという方針をどこまでも貫かなければならない、こう思うのですが、その点はどうですか。過小宅地が相当に残っております。当時ば町有地あるいは市有地、公有地が点在している場合には、そこに建ったんです。また、土地を提供するなら優先的に公営住宅を建ててあげましょうという時代もあった。そういう場合はどういうぐあいに運営しようとするんですか、そういう場合には払い下げするんだということになるのか、これは建設大臣ひとつ御答弁願いたいと思います。
  51. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) 非常に五戸とか十戸とか、そういうものもございます。いままでそういうのはだいぶ整理されてきておりますが、まだ多少はございます。そういうものの中には、特に土地が借地であったり、そういうふうなものもいろいろケース・バイ・ケースでございます。こういうものに対しましては、一義的にやはり土地利用の問題でございますから、これは地方公共団体意思というものが大きく出なければいけない。しかし私どもは、公営住宅はやっぱりふやさなければいけない。でございますから、その周辺の代替地の話もございましょう。あるいは周辺公営住宅の建てかえがあれば、それと計画を組み込んでやっていって、あいた土地都市計画上、小公園にするほうがよければ、これは公共団体の判断で、別の判断から、さような土地利用をするという判断で私どもはいいんじゃないか。私どものほうからいえば、そういうふうなものはできるだけいわゆる公営住宅がふえるという方向に利用していくということでございまして、そのほかの土地利用問題は公共団体の判断におまかせするということでございます。
  52. 田中一

    田中一君 金丸さん、いつごろまでに公団分譲というものの結論がつくか。あなたの任期中に結論をつけようというつもりですか。それとも長期のかまえで、もっと検討させるというつもりでございますか。その点はどうですか。
  53. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 世論の動向その他慎重にと、こう申し上げておるわけでございますから、私の任期中きまるか、任期中にきまらないか、それははっきりいたさないと思います。十分慎重にやってまいりたい、こう思っております。
  54. 田中一

    田中一君 建設大臣、また田中首相が出てくるんです。実は河川砂利をもっと活用することはできなかろうかということの発想が総理から出てきたわけであります。この問題についてはどういう経緯であなたの耳に伝わったのか。聞くところによると、河川局長にじかに言ったなんということを言っている新聞記者もおりましたけれども、この経緯をひとつお示し願いたいと思います。
  55. 金丸信

    国務大臣金丸信君) この問題につきましては、たまたま別な問題で河川局長が総理のところへ行ったらしいのであります。そのおりにこの問題が出たということでありますから、私は全然この問題にはさわっておりません。ただ、結果としては、河川局長からいろいろな内容は聞いております。
  56. 松村賢吉

    政府委員松村賢吉君) これは四月九日の日に、私だけではなく、実は事務次官が最初に総理に、この問題だけではなくいろいろな問題について呼ばれておりまして、私、実は国会のほうへ出ておりまして、私おくれて、それが済みましてから実は参上いたしまして、このときには、砂利の話につきましては、田中総理と次官との間の話は大体終わっておりました。それで、私あとから次官に話を聞いておりますけれども、砂利の問題につきましては、総理は、やはり相当砂利が不足しておるといいますか、そういう関係から、河川の砂利について、まあ検討ができないかというようないろいろな話があったようでございます。それで、その結果、私ども帰りまして、いろいろとその内容について検討しておるという段階でございます。
  57. 田中一

    田中一君 五月二十九日に中間報告したじゃないか、君たちは。ごまかすな。五月二十九日に、総理に対して中間報告したでしょう。
  58. 松村賢吉

    政府委員松村賢吉君) はい。
  59. 田中一

    田中一君 建設省は、主要河川河川の砂利の実態調査について、治水上に必要な改修事業をすれば、約七千五百八十万立方の採取が可能であるという中間報告をしたじゃないか。検討じゃない、もうちゃんと報告しているじゃないか。建設大臣、この点について御存じですか。
  60. 松村賢吉

    政府委員松村賢吉君) 私、ただいま中間報告と申しましたのは、実は、河川の砂利につきましての内容については、私どもすでに検討しておるわけでございますが、そのうち、特にただいま十河川につきまして、いわゆるケーススタディーといいますか、いわゆるサンプル調査を実はしておりました。それで、これの中間的な資料、これがまとまりましたので、これにつきまして、総理に中間的な御報告はしております。ただ、私どもは、これを全体のうちの一部と考えておりまして、これに基づきまして、全国的にどうすべきかということについての検討をさらに続けておるわけでございます。そういう意味合いで検討中という御答弁をいたしたわけでございます。
  61. 田中一

    田中一君 建設大臣総理からじかにそういう注文があれば、建設大臣を通じないで、局長なり事務次官なりがかってに総理にまた復命するというようなシステムが現在の内閣には新しく生まれたのですか。
  62. 金丸信

    国務大臣金丸信君) その報告は、私は、中間報告といいますか、十河川の問題につきましては、前に私は河川局長から報告を聞きまして、これを報告したいということですから、慎重にひとつ砂利の問題であるし、相当砂利は不足しておるけれども、河川の災害という問題等もあることだから、十分に勘案してあるだろうなということで——十分してあります、こういうことですから、見せていただきまして、その結果を、河川局長が総理にその中間報告をしたということであります。
  63. 田中一

    田中一君 ちょうどいまから十七、八年前に災害が起こった河川、ことにダムが完成したところの上流に、ダムのふところの中に相当たくさんの砂利、砂が埋蔵されている、まあ堆積しておるわけですね。これを何とかしなければならぬじゃないかという発想から、いろいろ考えたことがあるのです。ただ、御承知のように、砂利は、その管理者から許可を受ければ、一年ごと一年ごとに大体の採取料というものを、金を払いながら、そのものだけを取っているのが現状でありますが、二、三年前にもこの委員会でやかましく追及した、市街地に近いところの橋脚等に取りついている砂利、砂等を盗掘している例がたくさんあった。また、河川砂利があそこも禁止、ここも禁止となったものだから、おか砂利を掘るようになって、またいろいろな災害を生んでいる。河川の砂利を、土砂、砂利、砂というものを取っちゃいけないという規制をしたのは、いまから十年ぐらい前です。十二、三年前になりますけれども、そのころから、災害を招くおそれがあるというので規制をしているわけなんです。その中に、この十河川というものがどの地点を——名前を言ってもいいですけれども、たとえば名取川の場合はどういう状況だからいいのだと、こういうことになっているのか、これは詳細に説明していただきたいのです。かってに建設大臣を通じないで総理大臣だけに報告して、この国土保全のあらゆる立法というものを審議している当委員会に報告しないなんということはあり得ないのです。これは行政権をもって規制している。これは国民生活社会を安全に保つためにはそうしなければならないのだという発想から規制しているにかかわらず、これだけの膨大な数量の砂利が取れるのだというこの報告を国民に一われわれに報告することは国民にすることなんです。ないがしろにして、かってにやって、これを進めているなんということはあり得ないことなんです。したがって、どういう場合にどうなっているのかということです。その一つの鬼怒川なら鬼怒川、名取川なら名取川を中心にして説明していただきたいと思うのです。
  64. 松村賢吉

    政府委員松村賢吉君) まず実は申し上げたいことは、この砂利の規制につきましては、ただいま先生からお話がありましたように、ずっと規制してきているわけでございます。ただし、その規制を始めた当時からまいりまして、河川計画このものにつきましても相当実は変遷がございます。それで、私ども河川工事をやるに際しまして、河川工事実施計画というものをつくりまして、これは河川審議会の議を経てつくるわけでございますが、こういうものをつくりまして、この計画に基づきまして河川工事を進めているわけでございます。ところが、最近のいろいろな出水その他につきまして河川計画洪水量、こういうものが相当大幅にふえております。そういうようなことから、河川の工事実施計画そのものも変更を迫られておる、それで徐々に変更をしているわけでございます。その変更内容におきまして、やはり堤防のかさ上げもございます。川幅を広げることもございます。また、低水路河床を掘さくして疎通能力をふやすというのも、この計画内容になっております。それで、それらの河川計画、この河川計画計画個所までの掘さく、こういうものをやることによってどれだけ掘さく量が出てくるか、それによってまた砂利としてはどれほど取れるかというものを検討したものでございまして、ただし、その掘さくを行ない砂利が出るには、単に無秩序に取ってはいかぬわけでございます。やはり河川工事と並行いたしまして、必要なる護岸、床固め、そういうものが並行して進まなければこういう掘さくはできない。そのために、こういう掘さくをするのに、どれだけのやはり河川工事が伴ってくるかというような検討をしてきたわけでございまして、個々の十河川につきましても、名取川以下十河川ございますけれども、みなそれぞれの河川、たとえば鬼怒川等につきましても河川の流量が変わっておりまして、それによりまして計画河床、こういうものも河川工事として変更する必要があるということ、こういうところにつきましてこれをやっておるわけでございます。
  65. 田中一

    田中一君 建設省は、四十一年以降、河川砂利の採取規則を定め、また河川管理体制というものをきめております。たとえば河川砂利基本対策要綱、河川砂利の用途規制、砂利等採取許可準則等を出して規制しておる。けれども、もはや、いま言う河川改修のいろいろな新しいくふうによって生み出される砂利があるから、だから一応新しくこの十カ年についてはこれだけの、約一億立米ぐらいのものが取れるんだというように方向が変わったんですか。いままでは規制をしておるんです。それはどうなんですか。
  66. 松村賢吉

    政府委員松村賢吉君) ただいま御指摘のように、四十一年に河川砂利の基本対策要綱をつくりまして、これに基づきまして、それ以前にいろいろな乱掘問題等がありましたのを規制する方向に持っていっております。それに基づきまして、砂利等の採取の許可準則等を定めてやっておるわけでございます。このこと自体につきましては今後も続けていきたいともちろん思っておるわけでございます。ただし、その許可準則に基づきまして掘る場合に河川計画断面、こういうものに変更と申しますか、河川改修上、洪水量の超過その他において変更がきておるということで、こういうものを加味すると、掘さく量といたしまして、この十河川におきまして掘さく量が約一億四百八十万立方メートルですか、約一億の掘さく量が出る。これはこの河川全部じゃありません、検討した部分はごく一部でございますが、これについてそれだけ出ると、そのうち砂利に使えるのは七千五百八十万立方メートルほどあろうという結果でございます。
  67. 田中一

    田中一君 建設大臣、いまお話のあったような規制をしながら、当時百七十六水系で約六億トンぐらいのものが掘さく可能だ、採取可能だということがいわれておった。ところが、いまこうしてそれが集約されて、一億立米程度のものが新しく生み出されるということが再度報告されたわけなんですが、この点はどうなんです。河川管理の最終責任者である建設大臣としては、砂利採取という至上目的のためには、砂利を取るための施設、取るための方向転換というものを省議で決定をしておるんですか。それとも、これも総理の思いつきからくるところのそれに答えたものであるのか、その点は建設省としてはどういう態度をとるのか。
  68. 金丸信

    国務大臣金丸信君) たまたま総理からそういう質問というか、指示があったということでございますが、それ以外に、建設省自体もこの骨材の問題についていろいろ検討しておったわけでございますが、たまたま軌を一にして総理からの話が重なったというようなことに相なったと思うんですが、先ほども申し上げましたように、河川の問題は骨材が主ではありません。あくまでも治山治水ということを考えての上でなければならぬことは当然言をまちませんし、その上に立って、河川改修上あるいはその他の必要の上で、砂利採取、砂の採取をしても何ら支障ないということであるならば、それはこの骨材不足のときですから、それに充当することも必要だろうけれども、より以上の過剰サービスということは考えられない、それはまたやってならない、こう私は考えております。
  69. 田中一

    田中一君 この十河川の中間報告、これは農林省とも相談しておりますか。
  70. 松村賢吉

    政府委員松村賢吉君) この内容につきましては、私ども中間ということでこの十河川につきましても最終結論とは考えておりませんので、まだ現段階におきましては関係各省とその内容についての御相談はやっておりません。今後やる予定でおります。
  71. 田中一

    田中一君 そうすると、四十一年に策定したところの六億数千トンというものの数字の根拠はどうなんですか。
  72. 松村賢吉

    政府委員松村賢吉君) 四十一年の基本砂利対策におきまして出しました六億数千トンという数字、これにつきましては、これはその当時における河川計画河床と申しますか、こういうものから掘れるのはこのくらいの量であろうということを推定しているものでございますが、今後これにつきましても、この新しい河川計画と申しますか、こういう内容検討していきまして、全体でどの程度掘さく量があり、砂利としてどのくらい使えるかということを現在検討しておる段階でございます。これは砂利対策要綱の変更ではございませんので、数量のほうでございますので、計画断面等が変わってきますというと変わる可能性がございますが、全体を検討して推定をしたいと思っております。
  73. 田中一

    田中一君 どの水系のどの地点で、どういう状況の中で取れるんだということになっているのか、これは詳細を刻々、調査の結果は報告していただきたいと思うのです。  それから私は常々考えておったのですが、何年前でしたか、三峰川の美和ダムができ上がったときに、あそこに視察に行ってみました。そうすると、完成した翌年に大きな出水があった。そうして三分の一は埋没しておりました。そのときに、その上流をずっと見ますと、どうにもならない大きな瓦れきと申しますか、砂利、砂ですね、石、砂利、砂がもう重なり合って三分の一を埋めているわけなんです。これがもし都市における建設に骨材として使えるならば、かえって——ダムの寿命は百年といわれておりますけれども、一年で三分の一埋没、これを除去するならば寿命が延びるであろうし、また、その他、水並びに発電等にも有効にこのふところが使えるのではなかろうかと思ったことがあるのです。そのために、河川なりダムのほんとうの機能を守るために、それを除去する方法を考えたらどうかということをしろうとながら気づいたものでした。いまでもこの考え方は変わっておりません。たとえば木曽川にいたしましてもたくさんございます、そういう地点が。あるいは一番かつて古いものでは天竜の泰阜ダムなどばもう九九%埋没しています、堆砂がある。こうしたものを利用するなら利用することがたぶんできるのじゃないか。いたずらに農業用水というものを考慮しないでこういう検討をするなんということは間違いです。なるほど農業用水も取り入れ口などを許可するのも建設省でしょう。しかし、どういう根拠でこれやったか、まあ中間の調査だというからあくまで追及できませんけれども、水は生きものなんです。河川は生きものなんです。これは民間の砂利採取業者におそらく許可するんでしょう。その場合に乱掘、盗掘等が行なわれないという保証はないんです。多くはやられておるんです。許可量よりも数倍多く採掘しているのが現状であります。一体、先年、河川法改正に伴って河川監視員制度ができたはずです。建設省は各地建に、直轄河川に対するところの河川監視員というものを何千人これに充当させておるか伺っておきます。
  74. 松村賢吉

    政府委員松村賢吉君) 河川監視員につきましては相当私ども増強してやっておるわけでございますが、ただ全国で現在いま何人の河川監視員がいるか、ちょっと私ここで数字は持っておりませんが、おおよそのところを申しますと、一河川につきまして、まあおそらく平均しますと十数人ではないかということになりますというと、全河川、直轄でいきまして千人から二千人というところではないかと、これは確定した数字、いま表を持っておりませんので、はっきりしたことは申し上げられませんが、オーダーとしてそういうものが、主として、そのほか補助的にいろいろ臨時にやっているものはございますけれども、こういうことで監視業務に従事しているというふうに考えておるところであります。
  75. 田中一

    田中一君 そこに官房長いるから官房長に聞いてごらんなさい。そんなにいやしないんです。工事事務所ですね、そこに兼務で名目だけの監視員がいるだけなんです。そんなにいやしません。あれだけの長い水系に対して十人や二十人でこれを守れると思っているんですか。そんなことを考えたんじゃ、これはとても野放しだと言ってもいいくらいなんです。そこで現在でも管理者が、その採掘の申請がくると、これに対する許可を与え、料金を取って採らしているんです。いま申し上げたような三峰川の美和ダムの上流などは取る方法はないんですか。
  76. 松村賢吉

    政府委員松村賢吉君) ただいま貯水池に堆積した土砂、これを取って利用するということは一石二鳥の方法でございますので、私どものほうとしても極力これを進めるように検討しておるところでございますが、ただいま言われたところの三峰川の美和ダムの上流の土砂につきましては現在採取をやっております。それで四十八年度からは年間約五十万立方メートルを掘らせるように、これから計画してやっていく予定でございます。現在でも相当量取っているはずでございます。
  77. 田中一

    田中一君 私は当時要綱を書いたんです。それば何かというと公社方式なんです。各府県は、自分の担当する河川を持っておりますから、必要でないところに土砂がたくさん堆積しているんです。これは経済的に運賃がかかりますから、あったって高いものにつきます。そこで、いま田中総理が発想で砂利をもっとほしいから出す方法はないかと言うならば、この十河川に対する一億トンのこの費用でも、大体あなたのほうで推定しているのは一千億円ぐらいかかると言っているんですね、取るための費用としては。取るための費用というのは河川改修の費用でしょう、特別に取るために。そうすると、採取業者がたくさん何万とおるでしょう。採取業者には採取させるという仕事をさしている。そして国民のほしいのは、安定した価格で品物が供給されることが一番望ましいんです。かつ、そのうちで安いほうが一番いいということになるんですね、経済性がありますから。たとえば諏訪なりあるいは松本なりで使う砂利、砂を美和ダムから持ってくるということになると運賃は非常に高くつく。こういうものを全部公社が買い取る、品物を全部買い取る。それは堆積している土砂がたくさんあるんです。そういうものは全部県の公社が買い取る、そしてプールされた価格で長期に砂利の供給をするという考え方で、それがさつき君が言っているように一石二鳥、貯水池の貯水量がふえ、そうしたじゃまものがまた活用されるということになる。私企業に頼んでおったんじゃだめなんです。品物を全部採取業者に採取してもらって、それは全部一定の場所なりあるいは距離に関係なく価格はきめて供給するという方法をとったらどうかということを言ったことがある。そのときに反対があった。そんなことをやったんじゃ——市会議員、県会議員、国会議員にもたくさん全国に砂利業者がいるわけです。そういう人たちが、それじゃうまみがなくなるといってなかなかそれに対して耳をかさなかった、その当時。   〔理事松本英一君退席、委員長着席〕 しかし、いまこそ国土計画というものがもっと高度に進んでいくという段階で建設資材というものが必要であります。ただ発想は農林省にも相談しないでかってに一つの調査をするなんていうことはないんです。それよりも建設大臣が所管して、建設大臣が自由になるというこの範囲内におきましても、そうした一つの手法を用いて砂利の安定した価格での供給ということこそ新しい発想として考慮しなきゃならぬ問題だと思うんです。その点はどうです。
  78. 松村賢吉

    政府委員松村賢吉君) 砂利の総合的採取と申しますか、高いところ安いところプールするという考え、これは非常に一つの考えでございまして、私どもといたしましてもその点についてはいろいろと検討したいと思っております。  また、先ほど申し上げましたものをちょっと補足いたしますと、十河川で千億あまりかかるということですけれども、これは実はその砂利の採取のためというだけではなく、河川工事として必要なものでございまして、ただ、砂利を掘るためにはそういうような河川工事を同時にやらぬというと、それだけの数量は出ないという数字でございます。
  79. 田中一

    田中一君 そうすると、要求されている数量を生むために河川改修の工法をかりて生み出そう、こういうわけですね。
  80. 松村賢吉

    政府委員松村賢吉君) いや、そういうことではございません。河川改修計画がございます。それで、その河川改修計画に基づいて掘りますと、これだけの掘さくができると。しかし、その掘さくをやるには河川改修の護岸とか床固め、こういうものが伴わなければ掘さくだけ先行してはできないということでございます。
  81. 田中一

    田中一君 それで、いまの田中指令というものは、総理令というものは、いつごろまでにこれをまとめられるつもりでいるんですか。
  82. 松村賢吉

    政府委員松村賢吉君) 田中指令というものは特にございませんので、私ども河川の砂利の採取計画検討、これにつきましては河川計画そのものが相当大幅に変わってきておりますので、これに基づいてどれだけ出るかという検討をいましているところでございまして、これが実はいつまでできるかということにつきましては、現在ちょっとはっきりとした見込みは実は立てられておりません。
  83. 田中一

    田中一君 一つの検討を始める場合には、農林省とこれから相談するというよりも、事前に農林省と相談したというケースはいままでないんですか。と言うのはね、もはやもう最近社会においてば常識になっているように、食糧難時代が来ると。三、四年来米がうんとできたからといって減反さしている。せんだって農林省の資料をとってみると、大体保有米というものは、必要量の三分の一は保有米として年を越すということであります。ことしのように、こういう例外的な現象を持っている気候状態の中ではどうなるかわからぬです。米の収穫がどうなるかわからぬです。麦はもはや買ったほうが安いから二%か三%しかとっておらない。こういう現状からくると食糧の問題が最優先するわけです。河川改修の場合には事前に、計画を立てる場合には事前に——今度は農林省の農地局が妙な名前に変わったんで、あとでどういう局になったか説明してもらうけれども、事前に相談しないでやってるということがあっちゃならぬと思うんです。水はですね、川は生きものなんです、先ほど言ってるように。農林省もどしどし——かってな計画を立てた場合、将来あなた方の農業用水の取水の計画に支障があると思われるものはどんどん言うべきである。どうも農林省、米をつくるというほう、食糧をつくるというほうが後退しているような気持ちがする。こんなことがありゃ困るんです。私は再三言うようにどこまでも農本主義者なんです。まず農業というものを確立しなければ日本の民族の平和と安定がないわけなんです。その点について建設省はどういう態度をとっているか、今後どうするか、ことに、こうした砂利採取なんというものは相当流れに影響があるわけなんです。伺っておきます。
  84. 松村賢吉

    政府委員松村賢吉君) この農林省と協議をこれからすると申しましたのは、具体的な今後の砂利の採取の進め方、これについての話でございますけれども、それのもとになります河川の工事の実施基本計画計画河床をどこまで掘るか、どれだけの流量をどれだけの断面でどう流すかということにつきましては、工事実施基本計画というものをつくる段階におきまして、農林省ともこれは十分と協議をいたしまして、そのもの自体につきましては常に密接な連絡をとってやっておるものでございます。ただ、ただいま申し上げましたのは、その十河川について、工事そのものは——工事というか、計画そのものについては協議済みでございますけれども、それを実施に移す際にはどういう手段でどういうふうにやるかということについての相談、これについては今後やっていくというふうに申し上げておるわけでございます。
  85. 田中一

    田中一君 農林省のほうで不満があると思うんです。これはひとつ農林省の立場からこうしてほしいという要求をしていただきたい。そうして砂利を採取するためにこうしようああしようと言っているんですから、その場合の将来に対する影響ということを考えながら一言、農林省側この問題について言っておいていただきたい。
  86. 山本純

    説明員(山本純君) 先ほどの局の名前の問題ですが、前は農地局でございましたが、旧農政局と農地局と合併いたしまして、現在、構造改善局という名前になっております。  ただいまの御質問に対してお答えいたします。河川内の農業用の構造物につきましては、河川管理者がきめました計画河床に従って設計し設置されております。したがいまして、計画河床より上の砂利採取等については農業用の構造物には影響がないと考えます。しかしながら、計画河床を越えまして掘さくいたしました場合は、これは河床が低下いたしまして農業用の取水が困難になる。また、洪水時につきましては、急激な河床勾配の低下により、洗い掘り現象を来たし、農業用の構造物が破損するといった、そういう危険が生ずるわけでございます。したがいまして、今後、建設省ともよく協議いたしまして、農業用の構造物に対して十分考慮を払いつつ河川計画を立てていただきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  87. 田中一

    田中一君 建設大臣、いまの貯水池の堆積している石、砂利、砂等の除去、これによって価格の安定をはかるためには、長距離であろうと近距離であろうと、これはプールして一定の価格で販売する。販売というものを県にやらせるんです。公社なら公社、県の直接のものにする。民間にやらせない。民間は、これは採取業者として採取させるということにすれば計画的な採取ができ、そうして価格も安定する、盗掘、乱掘等もなくなるということになろうと思うんですが、これに対する考え方はどうであるかということと、それから通産省は砂利採取法で、これは商品としておれのほうの所管だとおっしゃっているけれども、その品物は、いま言うとおり、貯水池の土砂というものは——土砂というよりも砂利等は建設省管理している、あるいは地方公共団体管理している。これは民間に行なわせるから砂利採取法という法律によって規制をしますけれども、この法律のワク内において公共性を持つ機関に行なわしめるということについてはどういう意見か。最初に通産省のほうで説明していただきたい。総括的な、これに対する対策は建設大臣から御答弁願いたいと思います。
  88. 原野律郎

    説明員(原野律郎君) 先生御指摘の点は、私どもにおきましても実は検討を始めたいというふうに考えておるところでございます。ただ、御承知のように、砂利の供給体系というものは、河川、山、丘、海その他、いわゆる砕石、人工軽量骨材等々、数も非常に多い、種類も非常に多いものでございます。こうした全体の体系をどういうふうにとらえていくかということは慎重に検討する必要があるというふうに考えております。
  89. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 全国ダムを見渡してみましても、御指摘のように埋まっておるダム相当数ある、私の承知しているダムの中にも相当あるわけですから、それを蘇生させるという意味からも、これは貴重な御意見だと私は思います。十分検討させていただきたい、こう考えております。
  90. 春日正一

    ○春日正一君 公団公営住宅払い下げの問題、これは住宅政策の根本にかかわる問題なんで、時間も短いのですけれども、幾つか質問したいと思います。  で、一番先に、今度公団——公営もそうですけれども、特に公団住宅バラ売りまで含めて払い下げをするというようなふうに方針が転換してきた理由ですね、そこを聞かしてほしいのです。
  91. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) これは主として公団の御質問かと思いますが、公団につきましては、先ほど来説明しておりますように、私どもはいわゆる政策上の大転換というふうには考えておりません。いままで公団賃貸住宅供給し、片や分譲住宅供給しておりまして、この際、先ほども申しましたように、公団には収入の上限というものがございません。都市勤労者が入居されて、当初は収入の一五%なり二〇%という家賃で出発された。ところが、これがやっぱり十年、一五年たつうちに所得が向上してまいります。それによりまして、家賃負担率というものも非常に低下してくる。そこで、いわゆる負担能力というのが片や出てまいります。こういう方々は収入基準がなくてそこにずっとおられるわけでございますが、収入がふえてまいりますれば、持ち家指向型というふうなかっこうになってくる。それを分譲住宅というほかに、新たに建てますほうに優先的に吸収しておる、分譲住宅供給戸数の相当部分をこれに充てて優先的に賃貸住宅をあけ、ここを賃貸住宅の階層に供給しておる、こういうことをやっておるわけでございますけれども、その場合に、先ほど来申しておりますように、住宅は非常に職場その他の問題で非常に地縁がございまして、そこにいたい、そこで持ち家的なすでに傾向を呈しておる、どうしてもここで持ちたいというふうな方がございますれば、これは分譲住宅制度の延長のような考え方で、そういうふうな手法もあってもいいんじゃないか、かようなことで実は前々からこういう検討をしておったわけでございます。その際、一棟単位が云々と——一棟単位でこれをという事態もございます。一棟単位でございますれば、管理上の問題も比較的割り切りやすい問題もございます。しかし一棟単位でございますれば、また希望者にこたえられる量もおのずからさらに制限されてくる。そこで一応今度のためしの条件といたしましては、いわゆるバラ売りというふうなことで三団地でためしてみまして、この条件でいけるかどうかというふうなことまで含めてためしの問題を扱い、それを検討の上で、さらにそれを手法としてのせるかどうか、こういう判断をしよう、かようなかっこうで実は計画を進めてまいった次第でございます。
  92. 春日正一

    ○春日正一君 大臣の考えはどうなんですか。
  93. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 私は、まあ、いま局長から申し上げましたとおりでございますが、この問題につきましては、あくまでも検討をするということがまず第一でありまして、東京、名古屋、大阪公団払い下げという問題につきましても、これはさっきからきまった話でありまして、それをたまたま記者会見で発言のおりに申し上げたということで、検討しておるということについては何ら方針が変わっておらない。ただ私は、この問題はあくまでも検討の結果を待つということでありまして、検討の結果が悪ければ考えなくちゃならないし、その検討を慎重審議してもらいたいということで、建設省の幹部にも伝達をいたしたわけでございますから、右から左にすぐあしたからやるぞというような考え方でないということを御理解をいただきたい、こう思います。
  94. 春日正一

    ○春日正一君 新聞なんかの報道からみると、だいぶん慎重になされたようですけれども、しかし私この間、衆議院のこの問題の質疑を、ちょっと行って聞いておったのですけれども、まあ理由として大臣は、持ち家を持つというのは人間の本能だから、何とかそれを満たしてやりたいんだ、こういうふうに言われたし、それからまあ局長のほうは、分譲住宅があるけれども、そこに長く住んだ人ば移転しないので払い下げてやることが親切なんだというような趣旨のことも言われた。そこで、そういうことで三つの住宅がいま実験的に払い下げ対象としてあげられているわけですけれども、それがうまくいったら結局全部の団地ですね、それにバラ売り方式というのが適用されるということになるのですか。
  95. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) うまくいったらという話は、いろんな条件がついてこようかと思うのでございますが、たとえば最初から十年を経過したものとか、いろいろございます。それからまた応募者がどのくらい実際にあるのかというふうな問題、あるいは管理上の問題、こういうものがございます。——で、直ちにそういうものがうまくいくかどうかというのは検討を通じなければわかりませんけれども、ただいま大臣申しましたように、その結果を十分踏まえて、慎重にこれを進めていくという趣旨なんでございまして、すぐ全部にわたって一斉に全部売り払うというふうな基本的な態度ではないということでございます。
  96. 春日正一

    ○春日正一君 私聞いているんでは、まあ、これがうまくいけば、十年以上経過した公団住宅で、一DKとかテラス住宅というようなものは、これは除くし、あるいは道路が通るとか鉄道が通るという、都市計画払い下げては困るというようなものは除くけれども、あとのものには全部適用されるんだというふうに聞いたんですけれども、そういうことはやらぬということですか。——どこに歯どめがあるんですか。
  97. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) 十分慎重には進めるという話でございますけれども、これが皆さん方の御希望にかなって、非常に好評である、うまくいったということであれば、その十年後ということでございますれば、いま言いましたように、公団は十年経過したものをいまストックとして十万余持っております、そういうものの中から逐次対象を選んで、これを広げていくということになろうかと思います。あくまでこれはうまくいったという仮定のもとでございます。
  98. 春日正一

    ○春日正一君 そこで、いま説明された理由からすれば全部ということにならざるを得ないのですね。持ち家は本能なんだと、持ちたいんだといえば、買いたい人には全部買わせてやらなければ、この団地の人には売るけれども、こっちの賃貸住宅の人はいかぬということになれば、大臣の親心というものは通じないわけですから、道理からいっても全部に普及せざるを得ない、その思想からいえば。あなたの言うのも同じ理由ですわ。所得がふえてきた、そうしてそこに十年も住んでおった、何年も住んでおった、そこでそのまま買えれば移転しなくても済むから親切になるというなら、すべての団地に対してそれは適用せざるを得ない論理になる。慎重にやりますとかなんとか言っても、どこに歯どめがあるか。その心情から言えば、そういう心情的なものからだけ出発して住宅政策を論ずるなら、全部の住宅払い下げるということにならざるを得なくなる、まあ、そういうことですね。  そうすると、私これ公団のほうからもらったんですけれども、四十七年度には三百二十二団地、十二万四千三百七十九戸が十年経過住宅。ところが、五十一年には四百七十一団地、二十二万二千六百七十三戸。現在の賃貸住宅のほぼ半分近いものがそうやって処分の対象にされちまうということになるわけですね。そうすると、これ住宅政策の根本的な転換じゃないですか。そうすると、いままでは公営は非常にきびしく払い下げを規制してきたし、同時に、公団でも賃貸住宅払い下げるという方針はどってこなかった。それを転換する、バラ売りでもするということになると、結局、公団賃貸というものは、まあ、これから建てていくにしても公団払い下げていけばあまりふえなくなる、場合によれば減ってくると、こういうことになるわけですね。そこのところですね。つまり持ち家にどんどんかえていって賃貸を少なくするというのが政府の政策なのかどうなのか、そこのところですね、そこを聞かしてほしい。
  99. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) 公団に限らず公営住宅まで含めまして、賃貸住宅は必要なだけこれは確保する、これは新たな建設によりまして確保する、かようなことは変わらないわけでございます。したがいまして基本的な政策転換ではございません。こういうふうに最初申し上げたわけでございまして、実は先生のいまおっしゃいました数字、公団のほうから出しておるわけでございますが、この十年を経過のものが二十万をこえるということでございますが、十年経過したものの内容、入居されている方々の内容を調べてみますと、大体半数近くの方々が十年以上そこにお住みになっておる、あとのまあ半分程度のものがどんどんどんどん入れかわって、いわゆるあき家率を構成しておる、こういうパターンを構成しております。私どもは、収入の向上しておりますものも、最初に申しました、ここに十年以上お住まいになっておる方々だというふうに思っておりますし、また、そこにずっと住まいたいという方々もその範囲の中の方々だと思います。その中でさらに普通分譲住宅でほかに移ってもよろしいと、移ったほうがよろしいというふうな方々、こういう方々があるわけでございますから、これがまた引かれるということで、そこで希望するという方々の率というものはかなり低い率と申しますか、先生のおっしゃるような対象は全部でございますけれども、その対象全部がそういうふうにすぐなるんだということではなしに、賃貸譲渡されるものはその一部分ではある、かように実は考えておる次第でございます。
  100. 春日正一

    ○春日正一君 あなたの言っているのだいぶ違うんですよ。住宅局長がそんな二とで政策立てられるんでは大臣もえらい困るし、国民も困ると思うのですよ。いま対象は上木崎ですね。これ公団から出してもらった資料によれば、二Kの住宅で十年以上住んでいる人が二九・二%です。五年以上十年未満が二五・一%、五年未満が四五・九%、つまり五年未満が約半数、それだけ流動しているのですね。それから二DKのほうは若干高くなって五四・一%が十年以上ということになっている。それから千里園のほうでも二Kは二二・九%が十年以上です。もう一つの棟は、二Kで二一・三%、二割ちょっとぐらいしか十年以上住んでないんですね。入れかわっている、この数字で言えば。それから虹ヶ丘西、これは三Kで五〇%、だから住居条件の非常にいいところはわりあい落ちついているけれども、二Kとか、そういうところでは落ちついてないし、現に雑誌に発表されておる公団調査でも、四十五年度の調査によれば、公団住宅に、ここに永住したいと言っている回答は一〇%ですよ。越していきたいと言っている人が五〇%をこえておる。これは「住宅」という雑誌に出ております。そうすると、あなたの言っていることは違うんですわ。金がたまってそれは自分の家を持ちたいというのはだれでも持ちたいけれども、しかし、もっと条件のいい家を持ちたいということになっている。そういうことなんですね。だから、その論は成り立たない、それが一つ。  それからもう一つ、大臣のあれもついでに、時間がありませんから私、言い添えておきますけれども、持ち家を持ちたいというのは、これはだれでもの希望ですわ。だれでもの希望ですけれども、実際に一生働いても自分の家を買えない、それだけしか収入がない、そういう人が勤労者の過半数、六〇%を占めているんですね。そうして現に建設省からもらった資料によっても、いわゆる木賃住宅といわれるところに住んでおる人たち、この人たち全国で二百七十一万九千、東京都で八十八万。それで四十七年度では一年間に全国で十八万八千九百、それから東京都で四万八千百、こういう住宅が新設されている。しかも、その中には六畳一間とか四畳半一間で炊事場も便所も共用というような世帯が東京だけでも六十万世帯もおるというふうにいわれておる。そういう人たちはいま言われた二Kでもけっこうだ。私、八王子の都営住宅へこの前、選挙のとき行ってみましたけれども、あそこの主婦の人たちはそう言っています。アパートに住んで、もう子供に大きい声で泣かせるのも遠慮しなければならぬ、だから、あそこは都営の二種ですわ。都営の二種に入って天国に来たような気がすると言っているそういう人たち住宅をあなた方どうするのか。買える人たちに買わせるということが先なのか、一番どん底で、ほんとうに人間の生活も保障されてないような人たち住宅、入るところ、つまり貸し家ですわ、安い、それをたくさんつくるということが先なのか、ここが住宅政策の根本の分かれ目だと私は思う。大臣はどっちへ目をお向けになるか。
  101. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 私は持ち家政策を推進することも必要だという考え方を持っておりますが、先生のおっしゃられるような、いわゆる持つに金なし、入るに入られぬという人がたくさんおるというこの現今です。それは賃貸住宅をたくさんつくって、まずその人にしてやるということは、これが政治だと、こう考えております。
  102. 春日正一

    ○春日正一君 だから、そういうことになれば、何も住んでいる人に払い下げるというようなことをするんじゃなくて、法律できまったとおり賃貸住宅賃貸住宅として建てる。むしろ国民の持てる比率からいえば持てない人が多いわけですから、賃貸の比率を、私どもいままでも、まあ持ち家六、賃貸四というのを逆にして、賃貸六、持ち家四ぐらいにはすぐでもやったらどうかと、私どももっと大きい比率にしなきゃいかぬと思っているけれども、そういうことまで言ってきた。だから、いまでも賃貸が少ないために、東京だけでも八十万というような人たち、特にそのうちの六十万という人たちは、ほんとうに人間が住むとしては最低の条件のもとで住んでいる人がおるというようなときに、貸し家を払い下げるというようなことが許されるのか、もっと建てなければならぬのじゃないか、そうして買いたい人には、土地が安く手に入るような政策をやるべきなんです。だから、私ども、大企業が買い占めて持っている土地を、適当な値段——買ったときの値段にプラス金利に幾らかめんどう見るくらいなことで提供させれば、相当安く提供できますよ。そうして宅地を保証してやり、あるいは住宅建設資金の融資もやるというようなことで、その人たちには援助をして、自分で建てる分もふやすし、公団としても、それは分譲をおつくりになってけっこうだと。しかし、賃貸をもっとふやさなければならぬというときに、なぜ払い下げというようなことが出てくるか、そこのあなた方の思想ですね。単純に、持ちたいのが本能なんだからやると、持てない人のことが頭にない。長くいるから、所得がふえたから便利だと。そこら辺に、あなた方がどうもそそくさとバラ売りということを言い出したのには無理があるような気がするのですよ。  そこで、もう一つお聞きしたいのですけれども、こういう問題について、たとえば住宅宅地審議会というような諮問機関がある、そこに、ことしの二月に住宅政策の基本についての諮問をお出しになっているわけでしょう。そこでこういう問題は論議されたんですか、そうしてどういう意見が出たんですか、そこを聞かしてほしい。
  103. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) 二月に、いわゆる住宅政策の基本的な体系ばいかにあるべきか、こういう諮問をいたしておりまして、ただいまそれの作業を開始したところでございます。基本的には、あるべき水準、負担率、こういうものを軸に政策を検討していく、こういうことでございますけれども、実はその前に、この公団分譲の話は、昨年ニュースに流れたとき、ここでは問題になりませんでしたが、そのときにも実は二回ばかり審議会の席上で問題になっております。いろいろ議論がございました。しかし、そこでの結論ということはなく、そういうことの私どもの考え方なり何なり説明をし、それに対します各人の意見というものが交換されたということで終わっております。ですから、具体的にこの問題につきまして諮問というふうなことをしておるわけではございません。そこで、当然その基本的な問題には関連はしてまいりますが、私が先ほどから申しておりますように、これは政策の大きな問題ではない、これは手法の問題だというふうに実は私ども考えております。したがいまして、先ほど来御説明申し上げているような、いわゆる分譲住宅の一つの変形の手法、許されたいまの制度の中での手法というふうに考えておりますので、当然その住宅宅地審議会の中でも、これに関連したものは出てくると思いますけれども、そういう意味で実は諮問をしてない、また議論もそこまで煮詰めていない、かようなことでございます。
  104. 春日正一

    ○春日正一君 手法の問題だとあなたは言われるけれども、私がさっきも言たように、とにかく公団賃貸住宅の現在の数の、五十年になれば、約半分に当たるくらいなものが少なくともバラ売り対象になる。そういうことになれば、賃貸住宅がそれだけ減っていくわけですから、これは住宅政策の、さっき言った賃貸と持ち家をどの比率でやっていくかというような問題の根本にかかる問題ですよ。しかも、その意味では、単に手法の問題だなんて言って逃げられるような問題じゃないでしょう。大体、公団住宅というのは、土地収用法で土地収用できる権限を持ったような——実際に収用したかしないかは別として、というような重要性を持った建物です。それを、賃貸住宅として建てたものを、ちょっとふところが豊かになったから十年たったら払い下げますというようなふうに変えることを、単なる手法の問題として考えるところに私は問題があると思う。決して手法の問題じゃないと思うんですよ。私は時間がないから先へ進みますけれども、持ち家が人間の本能だとか、あるいは買う金ができてきたからというようなことを賃貸住宅払い下げ理由にすることは、これは妥当じゃないと思いますよ、さっき言ったように。むしろ賃貸住宅の拡大の必要がいろいろの面から大きくなっている。たとえば土地の事情からいっても、公営にしろ公団にしろ、この三大都市圏、特に首都圏では非常に土地の入手が困難になって団地が建てられなくなってきている。あるいは地方自治体のいろいろな関係もありますけれども、そういうような状態になっている。だから、どんどん払い下げたって、あとどんどん建てられるかといったら、そういう状態にないわけでしょう。そういう条件もある。しかも住宅難は、さっきも言ったように深刻になってきておるし、あるいは労働力の流動化という面から見ても、賃貸住宅というものが絶えず予備が準備されでなければ、労働者が転勤するというような場合に、非常に困難を来たすというようなことにもなるんだし、それから都市計画上からいっても、権利が零細化するということにまって、そこにスラムを固定さしてしまう、改造が困難になるというような問題が出てくる、それから投機の対象にもなるというような問題もあるし、同時に、バラ売りというようなことになれば、管理上の問題も出てくるし、住民の自治というような問題も出てくる。これはさっき公団総裁は、公団もたくさん住宅をかかえるようになって、管理上、手一ぱいになってきたようなことを言ったけれども、そういう状態のもとでバラ売りして、管理がますます複雑になることが望ましいのかどうかということになれば、当然問題があると思う。私もその中の幾つかの問題について質問さしてもらいます。  そこで一つの問題は、こういうことが、先ほど田中さんも言われたように、国会にはからずにやれるのかという問題ですね。これは法律上の問題が一つあります。たとえば公営住宅法第一条、目的住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸することにより、」云々と、安い賃貸をつくるということで、所得の上限まできめて制限しているくらいなんです。賃貸です。これの払い下げを緩和するというような問題になってくると、これは重大な問題になってくる。二十四条では、だから払い下げの場合には「耐用年限の四分の一を経過した場合において特別の事由のあるときは、建設大臣の承認を得て、」云々と、こうなって、例外として払い下げが認められておって、公営というものはあくまで貸し家だと、しかも先ほど私の言ったように、自分で家を持てない低額所得者に対して公共体が行なうサービスとしての貸し家なんだというたてまえになっている。そういうものを恣意的にワクを広げて払い下げをする、これはあとで時間があれば聞きますけれども、この通達の中身をどう考えているかという問題は、そういう問題もあるし、それから住宅公団にしても「住宅の不足の著しい地域において、住宅に困窮する勤労者のために耐火性能を有する構造の集団住宅及び宅地の大規模な供給を行なう」、こうういうふうにし、業務の範囲として「住宅建設賃貸その他の管理及び譲渡を行なうこと。」になっています。これがずっと書いてあるから、あなたはさっき言ったように、賃貸住宅を売り渡してもいいというふうに解釈できるみたいに言っているけれども、そうじゃなくて、住宅公団法の施行規則の中の十五条でいえば「公団は、特別の必要があると認めるときは、建設大臣の承認を得て、」「譲渡することができる。」というふうに、やはりこれは例外行為として賃貸住宅譲渡というのは規制されているんですよ。そういう規定をきちんとしてあるものを、その法律なり省令なりを動かす〃つまり国会にはかって変えていくということをせずに、一つの役所の判断でもってワクの伸び縮み、かってな解釈ができるということになれば、これは法の権威を非常に低くすることになってしまう。そういう面で、これはあなた方が単純に都合がいいからどうのということでできるもんじゃない、これが一つある。  もう一つは、公団の問題にしても、住宅五カ年計画にしても、賃貸を何戸あるいは分譲に何戸というような形で、やはり国会でも報告もされ、審議もされて承認されておることですよ。それを途中でもっていきなりバラ売りもけっこうというようなことでもって変えられてしまったらどうなるか。公団総裁にお聞きしますけれども、そういう形で十年以上たったものをどんどん払い下げていくということになれば、大体東京都内のものは一番先にそういう状態になってきます、首都圏周辺のものは、新しいものはだんだん遠くなっていますから。結局、理想的に払い下げができた場合には公団は都落ちをするということになると思うんですけれども、それが公団の任務なり運命としてあり得るものだと考えておるのか、それとも、まさにこの住宅難東京で、あるいは首都圏こういうところでこそ住宅難緩和に役に立つのが公団の任務だと考えておいでなのか、そこらどう考えていますか。
  105. 南部哲也

    参考人南部哲也君) 公団といたしましては、もちろん住宅難のはなはだしい地区、すなわち三大都市において賃貸住宅管理していくということがいままで最も大きな使命であり、今後もその使命については何ら変わりはないと思います。
  106. 春日正一

    ○春日正一君 そこで、いまの法律上の問題と、それから道義上の問題ですね、政治上の、つまり国会にこういう形で、公団では分譲これだけ、賃貸これだけどいうふうに報告してつくってきたものを、途中でがらっと変えてしまうという道義上の問題を含めて大臣はどう考えておられますか、ぼくは大臣に考えを聞きたい。
  107. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 当然、国会優先でありますから、国会に隠れていろいろなことをやることはできないというのは当然だと私は考えます。そこで、一応こういう問題につきましてはまだ検討中ということで、実際問題新聞にえらく大きく書かれたわけでございますが、書かれたほど話が進んでおるわけではありません。慎重に対処して結論が出ましたら国会に報告いたします。
  108. 春日正一

    ○春日正一君 そういうことでまだきまってないと言うけれども、これはさまってしまったらたいへんなんですよ。きまるまでにもつと論議がされなきゃならぬし、そして公団に住んでおる住民にアンケートをとるなり何なりして意見を聞くとか、あるいは住民組織である公団自治協だとかあるいは公団の従業員の組織である労働組合とか、こういうところの意見も十分聞いて、そういう上で結論を出さなきゃならぬ。そういう意味で私、問題点をもっと進めますけれども、管理上の矛盾の問題にしても実際どういうことになるかというと、修繕とか共同施設の利用、そういうものが一そう複雑になってくるんですね。たとえば例として、ここでこういうものがありますわ。「KEY」という新聞——団地にただで配布する新聞らしいですけれどもね。それで見ると、「賃貸分譲併存団地の悩みが続出」と、「進まぬ補修工事」ということで、「横浜市西区にある花咲団地——賃貸三十一戸と分譲五十七戸の賃分併存団地です。」、そしてずっときて、「公団管理を受託している唯一の分譲団地で、共益費業務は賃貸と同様に横浜営業所が行っていますが、団地全体あるいは棟全体に関係する補修がスムーズにゆきません。原因は〃戸数に応じた費用負担〃が原則となっているためで、営業所が修繕周期に応じて計画を立てても分譲居住者の同意と負担がない限りは実施できず、どうしても工事が遅れてしまいます。」というようなことになっているんですね。現にこのようなことがあるわけです。だから、そういうものをもよく研究しなければならぬだろう、こういうふうな状態になっておるわけですね。そして、こういう問題については労働組合のほうからも意見が出ておるわけです。たとえば総裁あてにも出ておりますし、各政党にも出ておりますけれども、「住宅政策の面から見ても、その発想の点から見ても、法的に見ても、入居者の側から見ても、さらには、住宅公団で働く労働者の側から見ても、多くの根本的な問題をはらんでいる」というふうに言って、1、2、3というふうにあげています。「住宅建設戸数の減および、その中での賃貸住宅の減と分譲住宅の増という住宅政策の基調の変節を背景にして行なわれる」というように、私がさっき指摘したように、住宅政策の流れがここで変わるということを非常に心配しておる。「十年以上たった住宅のうち、一定の条件を備えたものを払下げるという方針は、確実に公団住宅の切り捨てを意味するもの」になるというふうにも言って心配しておる。こういう点でどうですか、総裁は労働組合と、申し入れがありたんだけれども、話し合いはされたんですか。
  109. 南部哲也

    参考人南部哲也君) 組合との問題につきましては労務担当の理事がおりまして、その問題については担当者で話をしておるわけでございます。ただ、現在の試験的の云々という問題は実験途上の問題でございまして、まだ何ら結論が出ていない、一体どれだけの希望者があるのか、それから管理についてその結果どうするのか、何にも結論が出ていないわけです。そこら辺の問題がありますから、われわれのほうとしては、そういった一連の——いま花咲団地の事例があるとおっしゃいましたが、これは確かに全国唯一の前例でございます。
  110. 春日正一

    ○春日正一君 うまくいってない。
  111. 南部哲也

    参考人南部哲也君) それがうまくいってないことを重々承知でございますので、それにどのように対処していけるかというような問題をどうしても詰めなきゃいけない、そして自信を持たなければ公団としてはなかなか踏み切るべきではない、こういうような状態になっているということを組合側には説明したわけでございます。
  112. 春日正一

    ○春日正一君 局長も大臣も、いまの私の読んだところと公団総裁の答弁、これはよく腹に入れておいてほしいと思います。そういう前例があってうまくいってないんだと。そうして、そういうことを総裁は頭に置いてこの問題は考えておるというし、労働組合とも話し合っていかれると思うんだけれども、そういうことなんですね。だから、管理上にも問題がある。特にそういうものだけでなくて、たとえば持ち家の者と賃借りの者とがまじって住んでおればいろいろな面で条件が違うから、いままでは仲よくやってきた者が反目が出てくるようなことにもなる、そういう意味で住民の自治をこわしてしまうような結果にもなる。だから、そういう点をあなた方考えておられたのかどうか、いまの話だって初めてでしょう、花咲団地、知っていますか。
  113. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) 花咲団地の詳細は知りませんが、そういう団地がありまして、ある程度の情報は私知っております。そういういろいろなことがございますが、いま総裁が言いましたような問題のつかまえ方をしまして、それによって対処していく、かような計画を立てた次第でございます。
  114. 春日正一

    ○春日正一君 それで、もう一つ問題は、これはほんとうは都市局長もいれば一番いいと思うんだけれども、そうやって団地を払い下げた場合、当然これはいま対象になっているものももう相当古いもんで、私どものほうで行って住んでいる人に聞いたんでは、こんな古いの買ったってしようがないと、修繕代と税金がかかってやりきれないと、うんと安ければ買うけれども、というようなことなんだけれどもね。そういう古いものがだんだん陳腐化していくのは当然ですね、十年、二十年たてば。いまは相当なものと思われているやつも陳腐化していくのは当然ですわ。そういう場合に、これを建て直すというのに、一体バラ売り分譲とまじっておったらどういう手法がとられるのか、あなた方どういう手法でその問題を解決していこうというふうに考えていますか。
  115. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) かなり将来にはそういう問題が起ころうかと思います。ただ、私どもはまだそこまで想定しておりません。と申しますのは、現在の公団の団地と申しますのは、都市計画的な水準から申しまして相当環境的には高い水準にあると思います。そこで、あの土地利用計画からいきますと、日照問題もございませんし、緑もちゃんととってございます。そういうことで、あれを再開発をするというのはかなり遠い先の話であろうというふうに考えておりまして、私どもは、そのときにはそのときの手法があるだろうというふうに考えますが、それが具体的にどういうもんであろうかということは想定はしておりません。
  116. 春日正一

    ○春日正一君 そこですね、問題は。あなたのかなり先というのは何年先か知りませんけれども、この対象になっている三つの団地というのは、二Kとか二DKというような、もういまでは陳腐化した、そういう状態のものでしょう、いまでは。そうして、あなたは一年か二年局長をつとめられれば栄転されるからそれでいいけれども、住んでいる人はそういうわけにはいかぬ。当然、陳腐化してくる。都市計画から考えて、コンクリ住宅を考える場合には、やはり三十年、五十年という耐用年数というものを、七十年というものを考えておるのだから、そういう先まで当然考えなければならぬわけでしょう。そういう長い先まで考えたものが、いま言ったようにバラ売りで、個人の所有の部屋もあり、賃貸の場合もあるというような状態の建物になった場合、これを建てかえようということが将来、といっても、これはあなたの局長時代にはないだろうけれども、これから十年、二十年先には当然出てくる。その場合どうなるか。そこまでやはり住宅政策というものは考えなければいけないのでしょう。どうですか。
  117. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) 私は相当先だというふうに感じております。それは、公団住宅は確かに小さい、古いものほど小さいというものはございます。ただ、それがいろいろな状況が入れかわり立ちかわり流動している、そのときに、小さい住宅ば小さい住宅なりにやはり効用を果たす時代がまだ相当あろうかと思います。それからまた、そこで持ち家になられた方yは、それはやはり相当先を考えて定着するというようなことでございますから、一応、土地利用からいえば都市計画水準の相当上のほうでございますから、そういう意味からいっても再開発ということはまだまだ先の話だろうと思います。
  118. 春日正一

    ○春日正一君 いつごろまでですか。
  119. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) それはちょっと私もわかりませんが、耐用年数が相当ございます、それからああいうところにいたしましても、いまの土地利用計画が陳腐化するというときには必ずそういう問題が出てきょうかと思いますけれども、それはまだまだ遠い先であるというふうに感じております。そして、それが来た場合には、そのときまでやはり管理組合体制があれば、その中でどういうふうに話し合っていかれ、どういうふうに進んでいくかという問題がその時点で、その社会背景できまっていくのだろうというふうに考えます。
  120. 春日正一

    ○春日正一君 そういうことで、あなた方この問題についてはほとんど研究も何もしていない。それでばっと発表してしまって、とりあえず実験してみるという態度でやっておいでになるけれども、住宅政策というものはそんなことじゃいけないと思うのですよ。もっとしっかり研究もし、そうして人間が落ちついて住めるようにつくっていく必要があるので、その点では、あなた方のほうはほとんど考えてもいない。つまりスラム化していく危険があるという問題、そのときには手の打ちようがなくなるということは考えておいでにならないということははっきりしたから……。  その次にもう一つ、投機の問題ですね、払い下げの問題も当然、投機が起こると思うのですよ。たとえば、払い下げた、非常に安いから、まあ、こんなところに長く住むつもりはないけれども、買ったと、そしていい値が出たら売ってよそのもう少し条件のいいところへかわっていったというような形で転売なんかがどんどん起こる。そういうことのための事務というものも相当非常に大きなものになるし、公団の職員の労働というものはずいぶんふえると思うのですけれども、そういう問題もあると思うのだけれども、同時に、そういうふうな問題について建設省としては研究して、どのくらいな人が定着しておるかということを調べたことありますか。
  121. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) 分譲住宅の話でございますか。
  122. 春日正一

    ○春日正一君 分譲でも、いままでそういう払い下げたもので——分譲の場合はわりあい落ち着いているでしょう。しかし、払い下げた、都営でもいいし何でもいい、払い下げた場合ですね、賃貸住宅というようなものを。そこに、あなたは越さずに住むと言っているけれども、落ちついている率というものはどのくらいかということを当然あなたは、それをやるなら責任をもって調べていなければならぬはずでしょう。
  123. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) 公団住宅の話でございましたので、ちょっといまデータを——公団と公営とちょっと話は基本的に違う点はあろうかと思いますけれども、公営住宅のいまの数字はちょっといま調べておりませんので、後ほど御報告させていただきますが、公団住宅はいままでそういう例はないわけでございまして、しいて言いますれば、先ほどの分譲賃貸にかかわらず定着率の話かと思います。私が先ほどちょっとおしかりを受けました、いわゆる半分近くという話は、これは公団の全体の中での二DK以上のもの、これの昭和四十五年の公団調査によりますと、公団全体で二DK十年以上のものについて十年以上住んでおるものがおおむね半分近く、かような結果が出ております。しかし、三団地につきましては、先生のおっしゃることは正確だと思うんです。そういうことで、一応私どもは、まず先生の御趣旨は投機の問題だろうと思います。投機は、いわゆるその場で売るというようなことでございますから、趣旨は、そこに地縁がある人がそこで安住してもらいたいということでございます。投機がこれによって起こるということは、これは全く私どもは考えないし、また、こういうものは絶対に起こさせちゃいけないという立場に立つべきものだと思います。そこで、具体的にはどうするのかという、こういうことになるかと思いますが、現在、公団の普通分譲住宅におきましては、割賦期間中か、あるいは一時償還の場合でも五年以内には転売禁止ということになっております。今回の問題は、これはいろいろ普通分譲住宅と違う状況がございますし、さらに、社会的背景も最近の状態は、普通分譲住宅制度をきめた時代と違うと思います。そこで、これは評価をして投機を防ぐという対策を契約の中に入れなきゃいかぬ。それは転売禁止の年限を長くするとか、あるいは転貸禁止とか、そういう条項を十分検討いたしまして、極力そういうものは押えるということに私どもは考えておる次第でございます。
  124. 春日正一

    ○春日正一君 この問題出てから東京都で追跡調査をやった結果だと——建設省の指示で、東京都は二十七年から四十四年まで四千三百四十七戸の木造平家建て住宅を民間に払い下げておるけれども、これを追跡調査、五つの団地についてしてみたところが、三十八年に払い下げた品川区の大井伊藤町第二住宅では約四割が転売されている。そのほとんどが小さな工場になっておった。中には、二戸当たり販売価格は平均二百万だったけれども、三年後には千五百万円で売られておったというようなケースもある。それから練馬の大泉学園第三住宅、ここでは平均面積が二百三十平米というような、わりあい広いものだから、一戸分の敷地に五棟の二階建ての商店が建っていたというような形で、だから払い下げられたものが、その払い下げた人に長く住んでもらうというような目的に使われず転売されて、そうして金を手に入れてよそに移っていくとかなんとかという形に使われておるというのが、この東京都の都営住宅払い下げの追跡調査の実績です。あなた方もこういう調査をやらなきゃならぬし、やって、絶えず国会に資料を出してもらわなきゃ困ると私は思う。しかし、今回の場合は、何にも資料がない。話は、これから考えながら研究して進めるんですからということですから、もうそれ以上押しようもないわけですね。  そこで私は言っておきますけれども、さっき田中さんもおっしゃいましたが、とにかくあの大新聞がほとんど筆をそろえて、それはだめだと、やめろということを言っておるし、労働組合も反対しておるし、それから、住んでおる住民の機関である公団の自治協なんかも、これについてはいろいろな理由で反対をしておる。そうして住宅政策の根本から見ても、先ほど来、私が指摘したような問題があるんだから、これはやっぱり撤回して、もっと根本的に住宅問題——土地問題も含めての住宅問題というものに取り組むのがいまの急務なんじゃないかというふうに私は思うんです。大臣はさっき、その点は慎重にやっていくと、わしのいるとき必ずしもきめるとは限らぬと言いましたから、私はそれ以上にあれしませんけれども、しかし、いま言ったように、問題が幾らあってもちっとも解決されてないし、調査もされてない。そういう意味で、この問題は一応引っ込めて、そうして住宅問題そのものとしてもっと真剣に考える方向をとってほしいと私は思うんですが、その点について大臣の所見をお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。ただし、これ進行中ですから、やはりこの後の進行の事態に従って、この間を何回でも聞きますから、これで終わったということじゃありませんから……。
  125. 金丸信

    国務大臣金丸信君) ただいま先生からの御指摘の点につきましては、十分に世論の動向から、また御指摘の点等を十分踏まえまして検討していく、ことに、住宅政策はいかにあるべきかという諮問の最中でもありますから、この結論も得ることでありますから、それとにらみ合わせながら検討してまいりたい。あわてず、あせらずやりたいと思っておりますから、御理解いただきたいと思います。
  126. 沢田政治

    委員長沢田政治君) ただいまから休憩に入り、二時に再開いたします。    午後一時七分休憩      —————・—————    午後二時九分開会
  127. 沢田政治

    委員長沢田政治君) ただいまから建設委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き調査を続行いたします。質疑のある方は順次御発言を願います。
  128. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私は国有林材の払い下げにつきまして、去る五月十日の当委員会で次のことを林野庁に尋ねたわけでありますが、沖縄の復帰前は熊本営林局管内国有林から国有林材を特別払い下げをしてもらっておった。ところが、それが復帰後になりますと、これができなくなったわけでなんです。それで、ぜひ復帰前と同じように国有林材を払い下げをしてもらいたい、さらに沖縄の開発からしますと、復帰前以上に量的にもふやしてもらわなければいけない、こういう要望をいたしましたところ、即答が願えませんで、まあ一週間後の当委員会で、一番早い建設委員会において回答するというお約束があったわけでありますので、その後十分検討されたと思いますが、その検討された結果の回答をお願いしたい、こう思います。
  129. 平松甲子雄

    説明員平松甲子雄君) 先般、喜屋武先生からお話がございました際に、現地の事情が十分判明いたしておりませんので、延ばしていただいて恐縮に存じます。  その後、調査いたしました結果、沖縄が、従来、復帰前に外国扱いになっておりました際には、国有林といたしましては、輸出向けに木材を販売するということがございますので、沖縄向けの輸出につきましても、鹿児島、宮崎、熊本県下の地元製材工場に沖縄向けの輸出材として払い下げをいたしておったわけでございますが、沖縄  琉球の復帰に伴いまして、輸出でないということになったものでございますから、ただいま先生が御指摘のような事態になったわけでございます。  で、復帰になりましても、木材の需給関係につきましては変わらないわけでございますから、やはり何らかの手当てを必要とするだろうというふうに私ども考えておりまして、その関係の検討をいたしておったところでございますけれども、沖縄県における木材需給の安定に資するために、四十八年度におきましては、熊本、宮崎、鹿児島の各県の地元製材工場に対しまして、沖縄へ販売をするということを条件にいたしまして、国有林材を供給するということにいたしまして、その三県と、それから沖縄県と両方、出荷と荷受けになるわけでございますけれども、そのおのおのに窓口ということで、組織を整備いたしまして、製材品の円滑な流通をはかっていくというようなことで、ぜひ指導してまいりたいというように考えておるわけでございます。
  130. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いま基本的な態度が述べられましたが、もう少しこの内容に立ち入って、具体的にその話し合われたことを述べてもらいたいのですが。
  131. 平松甲子雄

    説明員平松甲子雄君) ただいま、ある程度具体的なところまでお話を申し上げたつもりでございますけれども、大体まあ復帰以前におきまして、沖縄に対しましては、沖縄向けの輸出ということで、二万立米前後の材を輸出用として地元工場に販売をいたしておったわけでございます。で、四十八年度につきましても、先生御指摘のような事情もございますので、約二万立方メートル程度の国有林材の供給を行なうということにいたしまして、その供給の相手方といたしまして、熊本、宮崎、鹿児島各県の地元製造工場に対して、沖縄に対する販売を条件として原木を供給するということにいたしまして、その三県におのおの出荷の組織を整備すると同時に、沖縄のほうにも荷受けの組織を整備していただいて、流通に円滑を期するというような形にいたしますと同時に、営林局といたしまして、出荷、荷受け両者の間に円滑な流通がはかられるように営林局として指導するというような形で、対処してまいりたいというように考えております。
  132. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いま二万立方メーターと、こうおつしゃいましたが、この二万立方メーターを押えられた根拠はどこにあるのであるか。  それから、しろうとでわかりませんが、二万立方メーターというと、ちょっと具体的にはどの程度の量になるか、かいもく想像がつきませんが、もし、その点、具体的に、たとえば、何トントラック一台にして、これがどれぐらいの数になるのであるか、それが聞きたいのですけれども……。
  133. 平松甲子雄

    説明員平松甲子雄君) 二万という数字は、従来四十五年度に二万立米、四十六年度に二万立米、四十七年度に一万九千立米というふうな形で販売をいたしておりましたので、その従来の実績を尊重するという立場でございます。  熊本営林局の伐採量でございますが、御存じのとおり、国有林材につきましては多少過伐の傾向にあるというようなこともございまして、三十九年をピークに伐採量を減らしておりまして、熊本営林局につきましても、昭和四十七年度に二百六十八万立米の伐採を予定しておったわけでございますけれども、四十八年度につきましてはそれを二百四十七万五千立米と約一割程度落とすというふうな形で、木材、営林局における国有林材の供給が約一割落ちておる。その中で、沖縄につきましては、四十七年度よりは千立米ばかり多い二万立米ということにいたしたわけでございます。二万立米を具体的な姿で説明しろという御要求でございますが、丸太にいたしまして、六トン積みのトラックで二千台分というふうに御理解いただいてけっこうだと思います。
  134. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 そうしますと、いままでの実績に合わして二万トンということですが、これから必要によってはなおふやしてもらえる可能性もあるのでしょうか。これが第一点。  もう時間もないと思いますので、まとめて……。その木材の種類は限定されておるかどうか、どういう木材の種類がおもになるか。  それから第三点、その販売価格は市価との関係はどうなるのであるか、その点をお聞きしたいと思うのです。
  135. 平松甲子雄

    説明員平松甲子雄君) この量をふやせるかどうかというお話でございますが、先ほども御説明いたしましたように、営林局の伐採量自身が一割減っておるというような中でございますから、なかなかむずかしい事情にございますが、沖縄が復帰いたしまして経済的に変動しておるということもございますので、一般の民有林の製材、民有林の材のほうにつきましても、沖縄総合事務局と連絡をとりまして、私どものほうでは輸入材の供給につきましてもいろいろ指導することができるわけでございますが、そちらのほうともあわせまして、適当な措置をとってまいりたいというふうに考えるわけでございます。  それから樹種は何だというお尋ねでございますが、これは主として杉でございます。  それから価格はどういう価格であるかというお話でございますが、国有林から販売いたします材につきましては時価によるということが会計法で定められておるわけでございますから、その原則に従って販売をいたすわけでございますが、できるだけ国有林をわざわざ沖縄向けに販売するという趣旨を生かしまして、適正なる価格が実現するように、先ほど申しました組織を通じまして指導をしてまいりたいというふうに考えております。
  136. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 もう一点です。  いまさき述べられたこの需給方式ですね、需給方式は、これは現地沖縄側とも合意の上、あるいは鹿児島等三者ですね、合意の上にこのことがきめられておるのであるかどうか、その点お聞きします。
  137. 平松甲子雄

    説明員平松甲子雄君) 先ほどもお話を申し上げましたように、沖縄県のほうにも荷受けの窓口をつくってもらうということでございまして、これは当然、沖縄県なり、あるいは総合事務局なりというところとの連絡の上で処置をしてまいるというふうにしてまいりたいと思っております。
  138. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 そうしますと、もうレールも敷かれたし方針もきまりましたので、あとは現地側から要望があればいつもそれに応じてもらえる、こう受け取ってよろしゅうございますね。
  139. 平松甲子雄

    説明員平松甲子雄君) ただいま申し上げましたように、出荷いたしますところの熊本、宮崎、鹿児島三県の出荷の体制の整備と、沖縄のほうの受け口の整備というものができましたらば、いま先生おっしゃるような形の供給は可能であろうというふうに考えております。
  140. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 じゃ、わかりました。ぜひ、ひとつ、いまの御計画のとおり、そして、いまの需給方式でスムーズに現地側の、沖縄側の要望にこたえて流してもらうように、実現してもらうように重ねて要望申し上げて終わりたいと思います。     —————————————
  141. 沢田政治

    委員長沢田政治君) 道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  142. 田中一

    田中一君 せんだっての委員会で十九兆五千億の財源措置について質問しておいたんでありますが、私は第六次五ヵ年計画と比較いたしますと、質問の要点としては、特殊財源というものが伸び悩みになる。したがって、これに対する財政措置をとらなければならない。それには計画的に、この計画案につけてこういう財源措置をとるんだということにならなければ、もはや第七次五ヵ年計画の仕事はやっておるわけでありますから、その点を明確にしてほしいと、こういう要求をしておった。一応これは公式な発言じゃありませんけれども、四十九年度の予算措置の場合にこれを決定すると、いわゆる国の諸税の問題と比較しながらこれをきめるんだということを言っておりましたが、しかし計画を出していながら、財源的な措置が明確にならぬということは、これはあり得ないことなんです。もしもそうならば財源措置をつけてもう一ぺん出し直しをするということにしていただかぬとこれはわれわれ困るわけです。きょうは大蔵大臣来て、はっきりと、どういう増税かあるいは新税を設けるか、あるいは国費を、もっと一般財源を投入するか、どちらかの方法をとるということを言明をしてもらわぬと進まないわけであります。それで現在考えられておるところの建設省の考え方、これを伺っておきます。
  143. 菊池三男

    政府委員(菊池三男君) ただいまの先生のお話、ごもっともでございます。五ヵ年計画をきめるのに財源がついてなければ御審議できないということでございますけれども、実は五ヵ年計画につきましてまだ緊急措置法が通っておりませんので、その内容につきまして先般閣議了解を得てございます。その閣議了解のときに、財源問題については次の予算編成時までにきめるんだということでございますので、いま考えていることは何だと言われましても、いろいろな検討はいたしておりますけれども、ここでこういうようなものをこうするんだということが実ば申し上げられないんで、たいへん恐縮でございます。これは緊急措置法によりますと、五カ年計画事業量というものをきめることになっておりまして、必ず財源をつけるということに法的にはきめられておりませんけれども、ガソリン税というような道路特定財源、そういう税財源が充てられるということから、これは密接不可分なものでございますので、たいへん、そういう意味では、いま申し上げられないのは残念でございますけれども、たとえば昭和四十八年度につきましては一応一般財源をずっとふやしまして、これは対前年比の伸びが一・五七倍というふうになっておりますけれども、そういうことで一般財源を投入して、四十八年度というものの計画が立っておるわけでございます。
  144. 田中一

    田中一君 それじゃ、大蔵大臣来るまで待ってましよう。
  145. 沢田政治

    委員長沢田政治君) 速記中止。   〔速記中止〕
  146. 沢田政治

    委員長沢田政治君) 速記をつけて。
  147. 田中一

    田中一君 これは愛知さんの耳にも入っておられると思いますが、第七次五カ年計画道路整備事業でありますが、十九兆五千億という、六次から比較すると倍近い大規模な事業量なわけなんです。そこで、政府自身が考えておるこの財源の問題についてですが、むろんガソリン税その他の税の税収の伸びは相当鈍化する。したがって、六次で行なったような、計画されたような税収はないという見込みのもとに、この法案提出の前に閣議了解を経て四十九年度の予算編成の際までに財源措置を考えるということになっているそうでありますが、これ、おかしなことであって、われわれは、この計画というものが生活道路というような性格を変えたものである以上、大いに歓迎すべきものと考えておるわけです。そこで、前回の委員会でこの不足財源というもの、見込まれる不足財源というものは、一般財源でこれは補うのか、あるいはガソリン税の増徴——増徴というよりも税率の改正によるもの、あるいは重量税の税率の改正によるもの、あるいは道路法にはあります受益者負担という新税をつくるのではないか等々、財源の考え方について伺ってあるのであります。ところが、これはどこまでも政府としては四十九年度予算の編成の際に固めるということをいまも答弁しておるのですが、しかし、それではわれわれは納得できないのです。常に、いままでの事業計画の中で膨大な計画を持ちながらこれが実現されないものもあります。なるほど数字だけは合っておりますけれども、実質を伴っておらぬという数字の計画がたくさんあるわけであります。そこで、たとえばガソリン税はあと二〇%増税をして増収をはかるのだ、この原資を求めるのだとか、いろいろな考えがあると思うのです。これを明らかにしていただきたいのです。ただ、計数でありますから、はじき方にいろいろ問題もあろうから、大体においてガソリン税をあと現行法から二〇%増徴する、こういうような方針なら方針のように明らかにしていただきたいのです。御答弁願います。
  148. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) ごもっともな御質問で、新道路五カ年計画策定に際しまして、なるべくすみやかにその財源措置の考究をしなければならないと考えておるわけでありますけれども、具体的に何税をどうというところまで実ばまだ結論が出ておりません。ただいまもお話がございましたように、従来の計画に比べますと計画の規模が一・九倍でございまして、それに対して揮発油税等のいわゆる特定財源だけで勘定いたしますと、収入の伸びが鈍化しているというような状況からいたしまして、特定財源が一・二倍しか見込まれないわけでございます。したがいまして、現行制度を前提にしますと、かなりの財源不足が見込まれる、これは御指摘のとおりでございます。したがいまして、このままでいきますと、一般財源に対する依存度が非常に高くなるわけでございますけれども、一般財源だけでまかなうということについては、現在までの考え方もそうでございますけれども、相当の受益者の負担とか、あるいは公害対策というようなことを考えれば、原因者に負担をしてもらう考え方とかというような、やはり特定財源を相当充実しなければならない。それから、たとえば有料道路等につきましては、民間資金の導入、あるいは自己財源の充実といったようなことも考えたい。要するに、多角的に財源措置を考えたいと思って鋭意ただいま勉強中でございます。  で、十九兆五千億円の中で、数字的に申しますと、国費の所要額が全体で約六兆九千二百億円と見られるわけでございますけれども、いま申しましたような傾向からいたしますと、その中の特定財源が四兆八百億円、残り二兆八千四百億円というものが、かりに一般財源ということになりますと、一般財源の比率が四割一分にまで大幅に上昇いたしますし、特定財源の比率は五九%まで低下するようなことになりますので、そうなっては全体の構想がいかがかと思いますので、実は率直に現在としての政府の考え方としては、こういう方法もある、こういうこともあるということで、たとえば特定財源につきましては、揮発油税の税率の引き上げ、それから石油ガス税の税率の引き上げ、あるいは地方の負担になる分につきましては、地方道路税の税率の引き上げとか、あるいは軽油引取税率の引き上げとか、いろいろの方法を具体的に考えておりまして、これはある程度ざっくばらんに、中間的な考え方も御披露、従来もしておったかと思いますわけでございます。同時に、来年度については例年よりも非常に早いわけでございますけれども、来年度の税制の全般的改正をいま手がけ始めておるわけでございまして、それらとの関連を見まして、できるだけ早急に——般財源への依存度は現在の程度で、特定財源がどうやってひねり出せるかということについて、できるだけ早く、大づかみでもいいですから結論を出したいと、こうして現在鋭意勉強中である次第でございます。どうしてもこの新道路五ヵ年計画は、政府としても決定をし、あえて公表もいたしておるわけでございますから、この完全施行ということは何としてもやり遂げてまいりたい、こういうふうな考え方でおります。
  149. 田中一

    田中一君 それじゃ困るんです。それじゃ、もう来月になればぼつぼつ四十九年度の予算編成にも原案は出そろうと思うのでありますから、その後にお出しになったらどうですか。十九兆五千億が不動のものであるならば、それの裏づけを考えるのは当然なことだ。したがって概算でもいいから、たとえばガソリン税はあと二〇%増徴するんだとか、どれを何%こう上げるんだとかというようなことで、概数が出てくると思うんです。国費を昨年度並み、前年度といっても、第六次並みに押えようとするならば、当然、税制の改正を考えなければならぬ、いまおっしゃるとおりです。ある特殊な新聞でありますが、ガソリン税は現行法から二〇%値上げするんだというものが出ておりました。これはおそらく建設省関係でそういう一つの構想を発表したものだと私は見ているのですが、まあ物価を上げることが好きな政府でありますから、当然そこにしわ寄せを持ってくるのではなかろうかと思うのであります。したがって、ここで大体の構想、たとえばいま地方譲与税も含めてこの程度のものがなくちゃならぬのじゃないかというような、あなたの構想だけでけっこうですから、お示しを願いたいと思います。
  150. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) まず第六次の道路計画のときにも、法案の御審議をいただいたときに、長期にわたる財政計画の具体的な数字までは、これは政府としても出せなかったわけでございます。出せなかったというのは、持っていて出せないというのではなくて、事柄の性質上、そこまでこまかくはじき出し得なかったというふうに申し上げることが正確であると思います。それから五カ年計画道路について非常に大事なもので、何としても守り抜きたいわけでございますけれども、同時に、御承知のように予算は単年度主義ございますから、他の計画についても同様でございますけれども、的確に各年度ごとの御審議というものを願うのには、やはり各年度の予算の審議と合わせていただかなければならないということもございますので、第二年度はこう、第三年度はどうということを的確にはじき出して事前に御審議をいただくということは、これは性格上できにくいものであるかと思います。  そこで、ただいまもお尋ねのございましたように、大ざっぱでいいから大体の構想を示せというお話でございますが、大体の構想といたしましては、できるならば特定財源の比率を、現在は八二・五%になっておりますけれども、大体このことを頭に置きまして、先ほど申しましたように、受益者の負担という考え方、あるいはこれからますます国民的な要請にもなりますが、公害の防除ということなども念頭に置きまして、一般財源はともかくとして、特定財源の中身については、やはり揮発油税その他の税率に若干手をつけなければなるまい。それから有料道路等につきましては、自己資金の充実といいますか、民間資金の活用ということも考えねばなるまい。同時に、いまもお話がございましたが、物価その他等の考え方も十分頭に入れまして、考究をいたし、立案をいたしたいと考えまして、大ざっぱに取り上げなければならない項目等については、揮発油税それから石油ガス税、それから地方道路税、軽油引取税、自動車重量税、こういったようなものの税率をどういうふうに考えていったらいいかという二とが一つの問題の、内容的には重要な点になると思いますが、これらについてはそれぞれ関連するところもありますし、いたしますから、何を何%というところまで現在構想をまだ持っておりません。新聞等にいろいろの記事も出るようでございますが、政府としての見解がまだそこまで固まっているわけではございません。なるべくすみやかに、大ざっぱでもよろしいから、政府といたしましても構想を固めたい、なるべくすみやかにこれをやらなければなるまい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  151. 田中一

    田中一君 そういたしますと、一般財源の投入は前回分程度で押えるんだと、これはさまっておるわけですか。
  152. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) これは私、率直に申し上げておるわけでございますけれども、一般財源を何%上げるとか下げるとかいうところまではまだきめておりません。しかし、でき得るならばやはり特定財源の比率というものは現在までのところと大体同じにすることが総合的に見て適当ではなかろうか、こういうふうに考えるわけでございますが、ただ特定財源も、いま申しましたような具体的には内容のものでございますから、そうやって上げ得る限界というものもあろうかと思いますから、その場合におきましては一般財源等の関係を考えて結論づけなければなるまい、こういうふうに思っております。
  153. 田中一

    田中一君 この財源が第六次と比較いたしますと相当大幅なんです。したがって、もしその財源措置ができない場合にはこの計画を改定されることもあり得るわけですか。それとも、あるいは十九兆五千億は不動のものである、どうしてもこれをやるんだ、やるには一般財源も場合によれば相当数の投入をしなきゃならない場合もあるというように理解していいんですか。
  154. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 考え方としては、先ほど申しましたように、十九兆五千億、この道路計画は守り抜きたい、実施をいたしたい、これが基本でございます。そして、その財源をどうやってくふうするか、その財源については、できるだけ現状のような状況が望ましいと考えておりますが、しかし内容的に、しからば一般と特定の財源が現在のような比率になるかどうかということは今後の検討に待つべきものである、かように考えております。
  155. 田中一

    田中一君 有料道路の問題につきましては、これは道路公団その他の公団等が行なっているもの、これは償却すれば無料公開の原則に立ち戻るというのが原則になっておりますが、これに対する料率の何といいますか、通行料の増徴というのはどういう構想から出発してきているんですか。いまお話の中でもって有料道路等の料率の改定とかという発言があったように考えますが、それはどういうお考えがあっていらっしゃいますか。
  156. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 先ほど私が申し上げましたのは抽象的であったかもしれませんが、やはり利用者に相当負担をしてもらうということは必ずしも有料道路の場合の料金だけの問題ではなくて、やはり特定財源を考えます場合の利用者の負担という考え方から割り出されるのが特定財源の重視の思想であるかと私考えるわけであります。それから有料道路について料率をどういうふうにしたらいいかというところは、現在まだ先ほどから申し上げているような状況でございますから、確たる料率をどれくらいにしたらいいかというところまでは、まだ考えを固めておる段階ではございません。
  157. 田中一

    田中一君 有料道路は融資でいいんでしょう。金利を含めた融資でまかなえるんじゃないかと思うんです。したがって、これはこの十九兆五千億に入っておりますけれども、財源としては金を借りておけば、いずれだんだん返してもらえる。大体推定しているように、これは十八年だ、二十年だ、二十五年だというふうな形でもって返ってくるわけであります。これは有料道路の特質であります。この財源等については、これは融資でいいわけだ。したがって一般道路、国道、地方道ともこれに対する財源措置になると思うんです。これは有料道路の通行料を値上げすれば償還が早まるということにすぎないというものではなかったでしょうか。もう一ぺん伺ってみます。
  158. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 大体そのとおりでございまして、有料事業については先ほど申しましたように、自己資金の調達、そして民間資金の活用ということを申し上げましたのは、まさにその点でございます。
  159. 田中一

    田中一君 したがって、これは財源を考える必要はありません、これは当然政府が保証しているものとみなされますから。  そこで、せんだっても建設大臣に伺ったんですが、産業優先の道路じゃないのだという新しい道路に対する思想的な解明がこの第七次五カ年計画に織り込んである。なるほど産業道路的なあるいは観光道路的な——観光道路もこれは特定なものでありますけれども、特定というか、建設費が回収されれば無料公開になるんでしょうけれども、もしも有料道路道路法の法律を改正して、償却をした後までも徴収しようという意図が政府におありなんでしょうか。たとえば一番最初に言いましたワンマン道路、これは無料公開になっております。しかし、これも全体をプールして、有料道路全部が新しい財源として通行料から得るために、たとえば償還後には無料公開というこの原則を破って、そして有料道路によってこの財源を新たにつくるのだという構想ならば、これも一つの、是非の問題は別にいたしまして一つの考え方であるわけなんです。全部をかりに五十年なら五十年、八十年なら八十年というものは有料道路として、その収入から今後道路整備の財源を生み出すのだという考え方がどっかにあるんでしょうか。
  160. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) ただいまのところは、どっかにございません。財政当局としてそこまで現在考えておりません。しかし道路の五カ年計画実施内容につきましては、これは建設省のほうの御計画を尊重して財政計画も立てるわけでございますから、いま現在の時点において財政当局としてそこまで考えておりませんということを申し上げるにとどめておきたいと思います。
  161. 田中一

    田中一君 そういたしますと、十九兆五千億のこの事業計画の財源というものは、建設大臣から、ガソリン税の増徴分何十%、重量税がどうだ、軽油引取税その他何%取ってほしいという要求があれば、これを受けて立とうというふうな大蔵大臣のたてまえでありますか。むろん、こうして法律で今度は十九兆五千億の規模の計画を承認される以上、これは義務づけられるわけです。しかし、この財源については、一応、建設大臣がこの財源を求めるという構想をきめなければだめだよと、こうなっておるのですか。先ほど大蔵大臣も言っておるように単年度予算でございますから、長期のものはおれの持ち分じゃない、それは事業計画するほうでもってひとつ考えてくれ、こういうことなのか。その点は建設大臣、あなたのほうでこの財源というものは一応この方向で求める、この方向でどうだろうかという原案をつくるのは建設大臣がつくって大蔵省に持ち込むということになるのですか。いままではどうです。
  162. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 建設省ばかりでなくて、大蔵省ともども話し合ってきめると思います。
  163. 田中一

    田中一君 それは事業決定法律でされればそうなんでしょうけれども、所要の資金というものは、大蔵省が、大蔵大臣がこれにこたえて調達するのがたてまえでございましょう。しかし、それには、諸般の社会情勢等を考えながら、一番安易な、また国民に納得のいくような形でもって税制の改正等も行なって、これにこたえてやるということになるのですけれども、まあ意思決定というものは建設大臣が相談する必要はないのです、相談するのは、閣議の当然のことですから、一蓮托生ですから、内閣の責任ですから。しかし、財源を求めるということについては、建設大臣が先に方向を決定して大蔵省に持ち込むのが、いままでの慣行になっているのですか。
  164. 金丸信

    国務大臣金丸信君) いままでの慣行としては、そういうものを持って大蔵省に折衝するというのが、こういうのがいままでのいきさつのようでございます。
  165. 田中一

    田中一君 それじゃお二方に伺いますが、新税はつくる、いま先ほど、しばしば愛知さん言っているように、地方道路税、それから石油ガス税、軽油引取税、それから自動車重量税あるいはガソリン税、こういうものを読み上げておりましたが、これに限って、これだけのものに対して、税原資充足のための税制の改正はこれに限って行なうんだということなのか、あるいは、先ほど申したような道路法に規定されておるところの受益者負担的なものを拡大解釈してこれに使おうというつもりなのか。あるいは他にまた——いま伺ったのは、有料道路の金が余ったら、その場合には無料公開にするのだと、これは考えておらない、これは明らかになったわけです。他に新しい税金を考えておりますか、また考えようとしているのか、その点を明らかにしていただきたいと思います。
  166. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) ただいま建設大臣からお答えもありましたように、建設省としていろいろと知恵を出していただいて、そして、私のほうがこれにできるだけの御協力をして計画を完遂したい、これが基本的な姿勢でございますし、同時に事務のやり方も、従来もそうでございましたし、これからもそうやるつもりでございます。したがって、建設省のほうで何か新しいお考え方があれば、できるだけこれを尊重してまいりたいと思いますが、いまのところ、先ほど申しましたように一生懸命勉強しているわけなんですけれども、率直に申し上げまして、先ほど読み上げましたような税目以外にはなかなか知恵は私ないんじゃないかと思います、これはどなたがお考えになりましても。  また、有料道路の問題は別でございますけれども、有料道路の問題は別でございますけれども大体これらの種目以外にはちょっと考えられないのではないだろうか。要するに、これの配合と申しましょうか、いま申しましたもの全部税率の引き上げが適当かどうか、あるものの取捨選択は十分考えなければなるまいと思いますし、また、大蔵省の立場から申しますれば、税目の選択やあるいは税率のきめ方等については、他の税との権衡その他もございますから、そういう点につきましては十分御相談をいたしたい、こういうふうに考えております。
  167. 田中一

    田中一君 そうすると、建設大臣、いま大蔵大臣が御答弁になったと同じようにあなたも答弁しますか。どうですか、いまの点。
  168. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 先ほど来から大蔵大臣が述べておるような財源が常識だろうと思います。私ば、それ以外の問題等についてもいろいろ考えてみたんですが、考えてみてもなかなか不可能なことも多いし、ただいま大蔵大臣が述べた点等が一番妥当な線じゃないかと、こう考えております。
  169. 田中一

    田中一君 最後に、それでは何十%値上げをするかわかりませんが、とにかく財源としては、税を相当改正して増加させなければならぬ。率を上げなければならぬ。しかしながら、それでもなおかつ財源が見込み違いになった場合、これはガソリン税等も、非常に物理的に石油がないから使えないのだ、ガソリンがないから使えないのだという事態も起こるでしょうし、今後これを勘案して、もしも財源が計画どおりいかない場合には、全部一般財源をこれに充ててこの計画を実行させますと、こういう意思は大蔵大臣お持ちでしょうね。
  170. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 先ほど申しましたところで尽きているかと思いますが、この事業量はぜひにこの五カ年計画として実行をいたしたいというのが何よりの基本でございます。  それから特定財源と一般財源の比率については、できれば現行程度が望ましい。というのは、一般財源のほうでは、まあ申すまでもないところでございますけれども、財政需要というものに対しては国民的なニーズといいますか、要請というものがきわめて多岐多様にわたっておりますし、財政規模も年々相当ふくらむことは否定できませんので、それらのところも勘考いたしますと、道路の財源についても一つのこういうパターンができておったわけでございますから、なるべくそれに従ってまいりたいと、こういうふうに考えておりますが、しかし、これは仮定の問題になりますけれども、どうしてもそういうことで財源の都合がつかねとか、あるいはそうした歳入が足りないというふうなことがしかと見通されるような場合には、これはやはり十九兆五千億を達成しなければならないわけでございますから、一般財源のほうにおいてもくふうをしなければなるまいと、こういうふうに考えております。
  171. 沢田政治

    委員長沢田政治君) 大蔵大臣、御退席願ってけっこうです。
  172. 田中一

    田中一君 そこで、いままでの道路計画、これに付帯するいろいろな諸条件というものが、最近は、ことにいままで予想されなかったものがこれに付加されてきておるのですよ。環境整備の問題も一つ、そのとおりです。したがって、財源も予想以上に伸びることば、もうはっきりわかっているような気がするのです。  そこで伺いたいのは、今度のうたい文句では、はっきりと、これは生活道路である、人間優先の道路であるというように受け取れておるのですが、この資材、労賃等の高騰の推移をどの程度に計画されておるか、計算され計画されておるかという点を伺ってみたいと思います。
  173. 菊池三男

    政府委員(菊池三男君) この五カ年計画の積算の根拠は四十七年度の単価でございます。したがいまして、材料あるいは労務その他のものが、今後五カ年間に、いまのままですとあるいは上がるということが考えられますけれども、これは五カ年計画というものは四十七年度の単価で押えておりますので、あるいはそういう物価が大きく上がれば事業量に影響してくるということはあり得ると思います。ただ、私どもば、それをいろいろな省力化あるいは合理化等あるいは工法のくふうというようなことで、少しの値上がりに対してはまた弾力的に解決してその事業量を達成できるものと考えております。
  174. 田中一

    田中一君 用地費はもうどんどん上がっております。あなた方がやろうというところは、新線は大体もうだれかが投機の対象として買い占めております。都市計画法の未指定区域等はもうたいていつかまっております、だれかに。したがって、土地問題というものも根本的な決断を下さぬと私は達成されないと思うんです。したがって、そういう点についての見通しというものですね、なるほど四十七年度これにプラスアルファ値上げ率なんというものを入れることは役所じゃできないでしょうけれども、実際において下がるという見通しはあるでしょうか。上がるということになっておるならば、それだけで、これに対する原資調達のための相当な配慮を払わなければ完成できないということになろうかと思うんですが、その点は四十七年度の分で、あと、もし値上げが激しければどういう手を打とうとするのか伺っておきます。
  175. 菊池三男

    政府委員(菊池三男君) ただいまお話しのとおりに、ここ数年前から振り返ってみましても、用地等につきましてはやはり下がっているということはございませんで、上がっております。そうなりますと、今後そのままいったときにどうなるかという御質問でありますけれども、先ほど申しましたように、若干の値上がりに対しましては、これは非常に弾力的なものでございますので、いろんなくふうをこらしてそれを達成したい。ただ、そうは申しましても、この値上がりが非常に大きければ、この五ヵ年の中で事業ができないということも、あるいは将来五年先には出てくるかもわかりませんけれども、これはまだ先の想定でございますので、ちょっといまから、そうなった場合にはどうするか、あるいは変更するのかとか、あるいはどうするかということを申し上げるよりも、何とかこれを消化できてその事業量がこなせるようなことをくふうしてまいりたいということしか申し上げられないと思います。
  176. 田中一

    田中一君 えてして道路事業は、土地が上がった、労務が上がった、材料が上がったといえば短くすればいいわけなんですね。いわゆる建設大臣が設計変更を認めればいいわけなんです。したがって、延長が計画どおりいかないでも済むわけなんです。済むわけというのは、変更を認めればいいわけなんです。そういう安易なことでは、この金の問題は別にして、これだけの規模の道路整備しようというものとは相反する結果が生まれるということなんです。なるほど、あなた方は設計変更認めればそれで済むわけなんです。じゃ、四十七年度で地方、中央を問わず、あるいは有料道路、高速道路その他を問わず、設計変更をしないで予定どおりある期間に完成した例がいままでにありましたか。それから、あったならばどこそこにあるか、その場合には十のものは三で、十キロやるものは三キロでもって設計変更してそれを認めておりますという点と、極端はものを二つ説明してください。
  177. 菊池三男

    政府委員(菊池三男君) 設計変更につきましては、実は工事を発注します段階である程度調査も終わりまして、土質の状態やらまわりの状態を調べまして設計をやるわけでありますけれども、実際に工事にかかりますと、当初調査したのより別の土質の層があらわれるとか、いろいろ途中で工法が変わることがございます。あるいは、実際に精査いたしますと、土量が一万立来であったものが一万一千立来になるというようなことがございまして、設計変更はほとんどがつきものでございます。初め想定したとおりぴちっと出来高が押えられて、ぴちっとでき上がることはございません。そういう意味ではどれも設計変更になりますけれども、ただいまの御質問は、そういうものとは別に、何か非常に当初予定したものが値上がりあるいはその他によって全体の量を減らさなければできないというような、そういう意味だと思いますけれども、そういうような事例は、これは大体単年度の工事でございますし、あるいは債務負担で、一年半あるいは二年にまたがることがございますけれども、そういうことによって延長を切るとかいうような例はあまりないと思います。それよりも、途中で工法が変わったために、いままで軟岩という予定だったものが非常にかたい岩が出てきたために予定より非常にお金がかかる、そういう意味でお金を追加してやるということ、こういう設計変更はございますが、そういうものは結果的には延長が縮まったと同じことかもわかりませんけれども、しかし主たる理由は、そういう工法の相違ということで変わってくるのが多い例かと思います。
  178. 田中一

    田中一君 私の言い方が悪かったけれども、計画変更が常にあるでしょう。むろん施工者と契約したものは、これは設計変更がありますけれども、全体の年次計画変更のやつですよ、それはずいぶんあるでしょう。
  179. 菊池三男

    政府委員(菊池三男君) はい、それはございます。計画の段階では当初百億だったものが、実際にやるときにそれが百五十億かかるというような例はございます。
  180. 田中一

    田中一君 その場合には建設大臣が認めればいいわけでしょう。たとえば道路公団に対しましても首都高速道路公団に対しても、それを認めればいいのでしょう。そういうことの事例は四十七年度には相当多かったと思うのですが、どうですか。
  181. 菊池三男

    政府委員(菊池三男君) そういう事例はありますけれども、これは計画の問題でございますので、ちょっと四十七年度にどのくらいあったとか、四十八年度にどうだったかということはちょっと数字的にわかりかねますけれども、ただ、ある工事を計画いたしまして、当初総事業費が百億かかる予定だったものが結果的に百五十億かかったというような、これは長年の、三年ないし五年建設の間に変わったということはございますけれども、いまの計画の、単年度の場合は比較的正確につかめますので、あまり大きな数字で変わることばないかと思います。
  182. 田中一

    田中一君 たとえば昨年、私たち中国のものを見に行きました。道路公団の広島の局長をしておりました、何と言ったか、局長が、三分の一も買えません、用地は取得できません、完全にお手あげでございます、こう言っておりました。その場合には、これは不可抗力として計画変更すれば、それはあなた方も認めるわけでしょう、認めているはずです。そこで、そういう事例がたくさんあるのです。用地の面からいっても、あらゆる工事に着手してからいろいろな面があると思うので、限られた予算というものでできれば、その予算でカバーすればいいわけです。その予算を使えばいいわけです。個々に五カ年計画という長期の計画を持つ場合には、いまの場合には用地の問題で、用地に大幅な先行投資をして取得をしておくということのほうが先決ではないかという気がするわけなんです。かつてダムをつくった、いまから二十年近い前にダムをつくった。その場合に、単年度に水没する用地だけを買ってまた来年買えばもうかる。いま非常に早くなりましても五年、六年かかってダムをつくっているわけなんです。そうしますと、地元の連中たまったものではないと言って泣き出す。何年か後に、たしか西目屋ダムだったかな、古賀君なんか知っていると思うけれども、この場合に大部分のものを買収してしまえと言って買収さしたことがありますけれども、道路も同じなんです。いまのように用地の取得については、この五カ年計画では資金をできるだけ調達して、まず用地を買ってしまうということにならなければ、これは完成できるものではない、いまの場合は。したがって、そういう手法はとることができないですか。これは建設大臣が腹をきめてそうやれと言えばできるわけなんです。そういう点はどういうお考えですか。大臣に伺っておきます。
  183. 菊池三男

    政府委員(菊池三男君) ただいまお話しの先行取得はたいへん有利なことでございますので、その方法は実はございますし、現在でもやっております。これは一般道路の場合におきましても、従来のお金ですと三分の一しか買えないというときに県なりあるいは公社が用地先行いたしまして、全部まとめて買ってしまうというようなかっこう、そしてそれをあとで国が返すというような形で、この返す場合にはちゃんと金利もつけ、いろいろ事務費的なものを全部つけて返しております。そういう制度で現在やっておりますし、相当な、いまちょっとここで見ますと、そういう分だけで五千億ぐらい——四千八百億、これは国道、それから高速道路が入っておりますけれども、それぐらいのものが現在の段階で用地の先行取得ということになっております。それから有料道路の場合でも債務負担で用地先行取得というものが認められておりまして、やはり同じように先行取得をやっておるのでございます。
  184. 田中一

    田中一君 じゃ見方を変えまして、最近都市部の中におきますところの高速道路にいたしましても、それから一般道路にいたしましても、新道あるいは改修等を行なうにあたっても相当な環境問題が起きております。したがって、これらの点について話し合うという問題について、どういう姿勢を持って立っておるかということを伺っておきたいんですよ。なるほど産業優先道路でなしに、いわゆる地域社会の人間的な道路なんだという前提から考えると、いままでのような道路をつくってやるんだというような形だけでは通らないんです。したがって、はっきりした生活道路としての性格を持たすならば、あなた方の姿勢が違ってこなきゃならないんですよ、姿勢そのものが。それに対する、非常に抽象的になるけれども、あなた方の仕事を遂行するにあたっての持ち方、それから地元等に対する話し合いの問題等は相当くだけた、やわらかいもので、また実際に納得させるという説得力がなければできない。その点はどういう姿勢を持っているか、説明してほしいと思います。
  185. 菊池三男

    政府委員(菊池三男君) 都市周辺におきましては特に、ただいまの先生のお話のように地域の方々とのいろんな話し合い、これは非常に大切なことであろうと思っております。したがいまして、私ども道路をつくりますときに従来と非常に変わった姿勢をとっております。  その第一は、実はルートをきめるときから、そのルーティングのときからそういう思想が入っております。なるべく住居地域は避けるように、あるいはやむを得ずそれを通る場合でも、なるべくそういう被害が少ないように、そしてまた、それでもなおかつ通る場合にはいろんな構造的な面等を配慮いたしまして、できるだけ地元の方に受け入れられやすい形にして地元の方々に交渉するというのが第一点でございます。  それから第二点といたしましては、特に国道等につきましては、従来は単独にそのルートについての地元との話し合いだけでやっておりましたけれども、最近は、市街地におきましては全部都市計画決定の手続を経て事前に住民の方々の意思というものをはっきり聞いて、そして計画決定した上で事業実施をしております。  それから第三番目に、今度それが事業化します場合にもやはり地元の方に納得してもらえるように十分地元の方と話し合いして、いろんなまた構造的な問題、あるいは側道の問題、あるいは地下道の問題、いろいろ密接な問題、中には、最近は環境の対策の問題もございます。そういうものを十分に打ち合わせをいたしまして事業実施をするということで、これは姿勢的にもまたそういうふうなことをしなければなかなか納得をしてもらえる時代ではございませんので、私どもそう指導もしておりますし、現地でもそういうやり方で仕事を進めておるわけでございます。
  186. 田中一

    田中一君 いままでの道路、早くてこれが経済性がある道路というようなものでない道路をつくるという構想も地域住民のためには必要であろうと思うんです。というのは、高速道路あるいは国道、東京の例でいえば七環にしても八環にしてもおれたちの道路じゃないという見方をしている。むろん、これが距離なり時間なりが物価に反映することが現実にわかれば、これはもう反対もしないでしょうが、そうではなくマイナスの面で自分たちの生命を脅かしているところにあるんです。大体、高速道路が通る市街地にしても相当大きな幅員のところを選ぶということが必要だと思う。まあ最近は非常に変わってまいりましたけれども、大阪の阪神高速道路などは軒先をかすめて通っている。東京にいたしましても、わりあいに広いといわれている二百四十六号線にしても、どうにもならない公害をまき散らしているのは事実です。車の絶対通らない人間だけが通るという道路を並行して裏道でもいいから整備して、樹木を植えた道をつくるなんていうことを考えてもよかろうと思うんです。いままであなた方が考えている道路が裁つ経済性、道路というものは目的地に早く到達すればいいんだということとか、道路に対する道路行政のあり方が、過去の高度成長政策というもの、産業的なものというところにあった。この姿勢を根本的に変えるという声明——声明というか、考え方を建設大臣社会に声明する。それくらいの勇気と、それから道路はあなた方のもんだということが証明される道路を新しくつくるという考え方を持って市民との話し合いをしなければ、といていこの計画というものは急げば急ぐほどおくれるという結果になると思うんですが、これは建設大臣がひとつあなたの人柄で現場に自分が乗り込んでいって話をするんだというような勇気と信念を持たなければ、今後の道路計画というものは流れていかないというように考えますけれども、それをひとつ覚悟をお示し願いたいと思います。
  187. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 私はたびたび申し上げておることでございますが、道路行政の問題につきましては、いままでのような考え方であってはならない。あくまでも話し合いの道路でなくちゃならない。それにはまた公害——あるいは公害の中に騒音だとか、排気ガスとか、あるいは日照の問題もあるでしょう。あるいは振動の問題等も、その道路の通る地域住民の十分なる真意も、またこちらの真意も伝えて、話し合いの上で道路というものができ上がらなくちゃならぬと、そのためには私も前線へ出て、何でも通すんだぞと、権力によって道路をつくるんだということはさらさら考えておりません。今後そういう考え方で私は建設行政、道路行政を進めてまいりたい、こんなように考えております。
  188. 田中一

    田中一君 大臣、あなたは、こういう人たちは行政官として、おまえのためにやってやるんだというような気分がいままで非常に強いんです。やっぱり問題がある。これは局長も、君のほうは全国の国道を中心に考えておられるだろうけれども、地方の、ことに用地の処分なんぞには相当そうした意味の人間的な教育をするようにしてもらわなきゃ目的は達せられないと思うんです。  そこで、次に道路災害の問題について聞いておきたい。それは飛騨川の問題、御存じですね。飛騨川、訴訟起こしました。結局ある程度の管理責任は認めるけれども、運転手にも過失があったんじゃなかろうかということでああした判決が下ったわけなんです。こういう例も知っております。仙台市内で道路に穴があいておった。オートバイでそれを通った。穴に前輪がひっかかって、飛ばされて、不幸にして死んだ。ところがその人、これはもう十年以上前の話ですが、酔っぱらっておった。お酒を飲んでおったというところで減点になって、八十万円程度のものを仙台市が払えといって、仙台市が払ったことがあります。私自身もずいぶん方々を歩いておりますけれども、安全な道路、山岳部のですね、まず少ないということです。おそらく数万カ所あるんじゃなかろうかと思うんです、危険区域というものは。これは落石の危険区域です。あるいは陥没。これに対するはっきりした道路管理者の責任というものが明確化されなきゃならぬ。ケース・バイ・ケースじゃ困るんですよ。道路工手が穴を埋めるのを忘れて、そこにさっき申したような相当スピードのオートバイが突っ込んで死んだなんという例も、これはやっぱり責任は管理者にあるわけなんです。道路災害について、裁判で決定しなけりゃ何ともなりませんということ、これは当然でしょう、国でありますから。もう三つの権利がはっきりしてますから、なあなあで民間ならできますけれども、あなた方はできないでしょう。しかし、やはり不幸にして飛騨川のような問題は相当責任があると思うんです。国に責任があると思うんです。私ごとし一月に現地をずうっと見て歩きました。落石じゃございません、これはもう。集中豪雨で相当災害警報が出ている地点です、あそこは。こまかい問題、落石でもって命を落とした人も知っております、道路災害というものを見て。これらの問題も、明確にこれに対する措置、たとえば道路公団等はいろいろ裁判まで持っていかないものも多いんです。したがって、これらの点を、安心してその道路は使えると、通れるというようなものにする、また信頼するということを制度化するということは考えておらないかどうか。そうして落石等の個所がどのくらいあるか、数万カ所あるんじゃないかと思うんです。これに対する調査というか、これに対する手当てをしているかどうかという問題について一連の答弁を願いたいと思います。
  189. 菊池三男

    政府委員(菊池三男君) ただいまの道路管理の問題、私どもも、先生のおっしゃいますとおり、安全な走行のできる道路というものを確保したいということで、実は日夜頭を痛めておる問題でございます。従来と違いまして、最近は国道におきましても県道におきましてもパトロールというものをやりまして、穴ぼこがあけば事前に発見して早期に手当てをするということで、もう穴ぼこにおきますけがあるいは事故というようなものがあったら、これはたいへん恥ずかしい問題でございます。ただ、のり面の落石、あるいは飛騨川の土石流の問題になりますと、実は日本の地形が非常に山地が多いということから、道路ばつくりましても、山の上のほうまでの手当てがいままで行き届かなかったというようなことで、飛騨川の場合にいたしましても、あるいはそのほか伊豆でこの前も落石のためにバスが転落いたしましたけれども、そういうような上のほうまでの手当てがいかなかったということで事故が起こっていることも事実でございます。実は、飛騨川の事故がありましたのが昭和四十三年でございます。そこで、それまではまだ異常気象のときでも、交通は、もう本来道路はとめるべきものではないという考え方から、道路はどんどん通りたい人は通ると、新幹線のように自分で運転しているものは、これはとめるということがございましたけれども、道路につきましては、各人の意思にまかせてどんどん通るのが道路であるという考え方であったわけでございます。ところが飛騨川の大事故がございましたので、その後は十分手当てのできていないところにつきましては、やはり事前に交通の規制をして、交通をとめるべきであるということで、これはその後、各道路ごとに、時間雨量が何ミリになったらとめる、連続雨量が何ミリになったらとめるという基準をきめまして、いま現在実行しております。これを実行いたしますと、いろいろまたトラブルもあるようでございます。おれはここを毎日通って知ってるんだ、落石なんかあるはずないと言って、そこで、とめているところでけんか腰になるということもございます。ところが、そうやっているうちに、十五分ほどたったら大きな土砂くずれが目の前で起こりまして、そのもめている人が青くなってそのまま帰ったという事例も実はあるわけでございますけれども、そういうふうに非常に交通の規制はむずかしいのでありますけれども、これはどうしてもいまの段階ではやらざるを得ないということで交通の規制をしております。  それからのり面の手当てにつきましては、四十三年の飛騨川の直後総点検をいたしまして、二万カ所くらい、ABCというランクをつけまして、危険な個所があるということでありましたが、これは四十三年、四十四年、四十五年くらいでほとんど手当てをいたしました。その後、高知の落石の最高裁における判決がございました。これはまだ未改良の道路でありまして、未改良ですから道路そのものの手当てもできていないくらいで、もちろんのり面の手当てもできていなかったのですが、落石による事故が最高裁まで行って、やはり道路管理の瑕疵ありということで負けた例がございます。そこで、これではまたたいへんだということで、さらに総点検いたしまして、また交通危険個所を洗い直してございます。それからその後、また静岡の大崩というところで、やはりこれは落石に対する手当てをしてあったのでございますけれども、それより予想以上の非常に大きな落石がございまして、それがつぶれて、そこで車がつぶれたということがございました。そこでまたあらためて四十六年に総点検を全国一斉にやりまして、その結果、危険個所が三万四千ヵ所あるということになりました。四十七年に早急に手当てをすべき九千カ所、これを四十七年度と四十八年度で全部やるという予定でございます。今年度で早急にやる場所はなくなります。あとの二万五千カ所につきましては、また引き続き四十九年度以降、今度の五カ年では全部きれいにしたいと思っております。これは私ども危険個所と言いますと、ほんとうにこう何か危険のような、あぶないというような感じがいたしますので、私どもは危険個所と言うよりも、やはりのり面の防護をすべき個所というような言い方をしております。これは非常にむずかしい問題でありまして、いままで予想していたところがくずれずに、その横がくずれるとか、雨の降り方その他でなかなか的確に、ここは危険であるからこういう手当てをしなければならないということが非常にむずかしい問題でございます。それからもう一つは、道路から八十メートルも百メートルも上のほうからおっこってまいります例もございますので、とてもそこまで道路のほうでは監視が行き届かないということもございますけれども、やはり道路を利用する方がそれによって事故を起こすということがあってはならないということで、実ば私どももそこまで十分気をつけながらやっておりますけれども、パトロールをしても百メートル上のところの石までなかなか見切れないのが実態でございますので、異常の気象とかそういう場合にはもうやむを得ず、けがするよりはそのほうがいいということで、とめておりますので、今後も当分の間そういう交通規制とあわせのり面の手当てをしてまいりたいと考えております。
  190. 田中一

    田中一君 大崩の問題も、あれは迂回道路をつくって、その先がまた落ちましたね。どうしていますか、それは。
  191. 菊池三男

    政府委員(菊池三男君) お話のように迂回路を海岸に出しまして迂回路をつくりましたけれども、今度その先のほうがこわれておるようでございます。のり面手当てしますと、その手当てしたところはよくなって、その次々とどうも移っていくような傾向でございますが、これではやはり危険であるということで、あそこにもう一本、今度は恒久的にトンネルを掘っております。そうして迂回路をつくりまして、海に出しましたルートは、やはりその沿道に住民の方もおりますので、全然なくすわけにまいりませんので、そういう方が使い、もうほかの通過交通その他のものは全部、あぶないときには、別のトンネルを現在掘っておりますので、そちらを使うというような恒久対策をやっております。
  192. 田中一

    田中一君 最後に、建設大臣に伺いますから御答弁願いたいと思います。国道で、むろん一般道路もそうでありますけれども、路肩危険、落石注意なんという標識があるところは、もう日本全国に無数にあるのです。何ですか、路肩危険、こっちに落ちますよということを知らしています。落ちないようにしたらいいじゃないかと思います。それから落石注意、石が落ちますよと言っている。そんなばかなことが……。おかしいです。石が落ちないようにすればよい。落ちますよと言ったところで——落ちますよと言うなら通さなきゃいい。どちらかです。国道に、路肩危険とか落石注意なんという標識は、完全に一掃するという行政をしていただきたいと思う。あなたの選挙区の山梨県なんかも相当多いのです。富士川沿線などは相当あるのです。ちょっと横道にそれたら、もうますますどれもこれもみんな路肩危険、落石注意の標識がないところがないくらいです。これは道路行政の恥です。むろん一般道路も含めてです。そういう意味で、新建設十九兆五千億けっこうでしょうけれども、これらに対する一般財源の投入というものはますますしなきゃならぬと思うのです。そういう意味で、あんまり税金なんか上げないようにして、上げるといろいろな——選挙で損しますから上げないようにして、そうして一般財源を取るくふうをしていただきたいと思うのです。あんまり自衛隊の増強なんかしないで、路肩危険、落石注意、これらの標識を取ると。財源は。この財源を十分に投入するように努力をしていただきたいと思うのです。これ建設大臣に答弁を願います。
  193. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 全国たずねてみれば、そういうところはたくさんあると思いますし、現に私のふるさとである山梨県も、御指摘のように非常にそういう危険な地区が多い。そういうことば極力解消するようなことにつとめなければならないと思いますから、そのような行政指導をしてまいりたいと思います。  なお、今回の第七次五ヵ年計画につきまして、十九兆五千億の財源につきましては、一般財源をできるだけいただけるようなくふうも大蔵省と折衝いたしたいと、こう考えております。
  194. 沢田政治

    委員長沢田政治君) 本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十七分散会      —————・—————