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1973-03-29 第71回国会 参議院 建設委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年三月二十九日(木曜日)    午前十時十二分開会     —————————————    委員異動  三月二十七日     辞任         補欠選任      竹内 藤男君     柴田  栄君  三月二十八日     辞任         補欠選任      柴田  栄君     竹内 藤男君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         沢田 政治君     理 事                 大森 久司君                 竹内 藤男君                 山内 一郎君                 松本 英一君     委 員                 上田  稔君                 熊谷太三郎君                 小山邦太郎君                 古賀雷四郎君                 中津井 真君                 中村 禎二君                 田中  一君                 中村 英男君                 田代富士男君                 二宮 文造君                 高山 恒雄君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        建 設 大 臣        国 務 大 臣        (近畿圏整備長        官)        (中部圏開発整        備長官)        (首都圏整備委        員会委員長)   金丸  信君    政府委員        大蔵省銀行局長  吉田太郎一君        農林大臣官房審        議官       澤邊  守君        農林省構造改善        局長       小沼  勇君        建設大臣官房長  大津留 温君        建設省計画局長  高橋 弘篤君        建設省都市局長  吉田 泰夫君        建設省住宅局長  沢田 光英君    事務局側        常任委員会専門        員        中島  博君    説明員        大蔵省銀行局銀        行課長      清水  汪君        国税庁税部長  吉田冨士雄君        通商産業省化学        工業局窯業建材        課長       原野 律郎君        自治省財政局地        方債課長     石原 信雄君    参考人        住宅金融公庫総        裁        浅村  廉君        住宅金融公庫理        事        沖  達男君        日本住宅公団理        事        島  守一君     ————————————— 本日の会議に付した案件     —————————————理事補欠選任の件 ○参考人出席要求に関する件 ○建設事業並びに建設計画に関する調査  (建設行政基本施策並び建設省関係予算に  関する件)      —————・—————
  2. 沢田政治

    委員長沢田政治君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  三月二十七日、竹内藤男君が委員辞任され、その補欠として柴田栄君が、また、三月二十八日、柴田栄君が委員辞任され、その補欠として竹内藤男君が、それぞれ委員選任されました。     —————————————
  3. 沢田政治

    委員長沢田政治君) 次に、理事補欠選任についておはかりいたします。  ただいま報告いたしました委員異動に伴い理事が一名欠員となっておりますが、その選任につきましては、先例により委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 沢田政治

    委員長沢田政治君) 御異議ないと認め、それでは理事竹内藤男君を指名いたします。     —————————————
  5. 沢田政治

    委員長沢田政治君) 参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  建設事業並びに建設計画に関する調査のため、必要に応じて住宅金融公庫並びに日本住宅公団役職員参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 沢田政治

    委員長沢田政治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  7. 沢田政治

    委員長沢田政治君) 建設事業並びに建設計画に関する調査を議題とし、建設行政基本施策並び建設省関係予算について質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 田中一

    田中一君 いま大臣お聞きのように、各党とも——自民党は除きますけれども各党とも政府に対していろいろの質問をしたいという時間の要求をしばしば申し上げてあるんであります。いまは、いろいろの予算関係があって、予算委員会のもたつきからなかなかお見えにならないのは、まことに残念であります。十分時間をもらいまして——いわゆる田中内閣の初めての予算編成でございますが、これに対して十分に質問をしたい、この点をどうか御了承願って、法案の審議を急ぐという姿でなくて、根本の予算の問題について十分な時間をとっていただくように、最初にお願いを申し上げます。  私が担当したいのは、実は住宅問題でございます。この委員会でも住宅の問題につきましては、二、三年来そのまま質問をしないできておりますけれども、もうこの辺で、根本的に住宅国民が求める住宅とは何であるか、そうして、政府がいままで過去二十数年行なってまいりましたところの住宅政策そのものがもはや今日の段階では国民が求めるものではなくなっているんではなかろうか。そうして御承知のように、日本列島改造論という声が上がって以来、各資材——資材値上がりに伴うところの労賃の値上がり、ことに買占め等による品不足といういろいろ理由がありましょうけれども、私はただ単に品物をだれかが、大資本がそれを買い込んでしまっておくということだけではないというように感じております。いわゆる品不足という、この不安から、五〇%買えばいいものを一〇〇%注文しておくというような傾向もあろうと思うのです。これは当然社会におけるいろいろの不安というものを醸成したのは、政府責任でございます。したがって、これはただ業者が、資本家がどうこうという問題ではないので、政府行政的な指導というもの、それから今回の四十八年度予算に盛り上がったところの、すべて一切の計画というものがこれに拍車をかけているというようなことになるのでございますから、そういう点についても露骨に質問申し上げますから、率直に御答弁を願いたいと思います。最初に申し上げたいのは、いま申し上げた住宅政策というものを、何を基本とし、何を柱として考えておられるか、政府関係のものとしては、いわゆる公営住宅、次には公団住宅融資住宅、この三つ。そのほかありますのは、各省が原資を持つ関係から自由にコントロールしておりますところの諸施策がございます。それで、ことに一番ひどいのは、厚生年金住宅とか、あるいは公務員住宅とか、それぞれ政府住宅政策ワクをはずれた計画を、原資を持っておる関係上自由にしております。したがって、これらに関連して、政府自身住宅政策について、最初に御答弁願いたいと思います。
  9. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 御案内のように、第二次五カ年計画は九百五十万戸という、公的なものを三百八十万戸、こう予定いたしておるわけでございますが、どちらにいたしましても、先生が御指摘なさっておりますように、いろいろ問題点が数多くあるわけでありまして、私はこの第二次五カ年計画は洗い直すべきである、こういう考え方で、住宅政策はいかにあるべきかということについて、審議会にいま諮問をして、その答申の結果を待っておるというところでございます。
  10. 田中一

    田中一君 そうすると、四十八年度予算というものは、前内閣政策を踏襲しているのだ、こういう理解を持ってよろしゅうございますか。
  11. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 私が大臣に就任しましたのは十二月二十二日でありまして、そのときはもうほぼ予算というものはコンクリートされておったということでありますので、そういうように御解釈願って間違いないと思います。
  12. 田中一

    田中一君 この四十八年度予算に盛り込んだところの住宅予算というものは、佐藤内閣時代、四十七年度のときの構想と変わっておるのであります。変わっておるところは何かと申しますと、結局家をつくるということは、国民責任においておつくりなさい、住宅公団を通じて一応つくって貸しましょう、買ってもらいましょうという政策が後退している。いわゆる公営住宅に重点を置いておることは間違いないのでありますが、公営住宅を分析してみますと、これはたいへんなものであります。いままでにも二分の一補助、三分の二補助というような、一種、二種の住宅がございますけれども、これがそのままスムーズに計画どおり建ったためしがないのであります。たとえば東京都の例をとりましても、東京都は昨年、四十七年度の初めに一万九千戸公営住宅を建てるという美濃部知事からの発想がございました。これに対して昨年の暮れまでに注文を出されたもの、いわゆる着工しているものは千八百戸にすぎません。一割にも満たないのが現在の都営住宅いわゆる公営住宅の姿であります。自来二月、三月と陸続と入札に付しておりますが、一つも落札しておりません。したがって、このまま推移するならば、四十八年度公営住宅予算というものは大体増大しております。戸数もふえております。そうすると、できなきゃやむを得ぬということでそういう組み方をしたのか、できなきゃどうしようかという考え方があってこれの推移を見ているのか、その点を伺いたいのであります。  これは大臣に伺いません。沢田君のほうで、公営住宅の四十七年度までの推移、これは二十五年かかっております。それから四十八年度に盛り込んだところの計画というものはどこにどういう発想から転換してきたか。いわゆる住宅公団が建てて貸しましょうという考え方は後退しておる。それから公営住宅は大体前年度並みでありますが、住宅金融公庫資金というものは非常に増大しておる。そしてこれは国民に、お建てなさい、金は貸しますよ——なるほど二百五十万まで貸し付け金が伸びましたけれども、それだけじゃどうにもならぬわけです。建たないわけです。いま大体一坪、木造建築にいたしましても二十五万円かかります。二十坪のうちもつくるといたしましても五百万円かかる。公営住宅も同じであります。相当後退しておりますから、木造が後退しておりますから。後退しておりますけれども用地難資材難等によってこれも当然後退されると思う。どういう意図のもとに今回の四十八年度予算を立てられたか。これは沢田君からでも聞きたい。
  13. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) 幾つかの点があると思いますが、まず持ち家借家のお話が一つあると思います。それよりも先に、公共が手を抜いてむしろ民間にお建てなさい、こういう予算になっているじゃないか、こういうことでございますが、民間公共との比率は、これは五カ年計画に従いまして予定どおり組んでおります。公共が減ったという数字にはなっておりません。ただし、住宅公団だけについて見ますと、いままで八万八千戸というペースで四十七年度まいりましたやつが八万戸になっておる。これは御指摘のように、たとえば宅地取得難、それ以上にまた取得した宅地に建てることが、いろいろ公共施設の費用の問題あるいは団地お断わりの問題、そういうことが四十七年度に非常に強く出てきておりまして、このために四十七年度進捗は非常に悪うございまして、そういうことも勘案いたしまして、とても八万八千戸のペースというのは維持できないということで八千戸減じております。こういうものはほかの分野でカバーをするという考え方でございますが、したがいまして、全体としては公共ペースは落としておりませんが、局部的には公団戸数が落ちておる、かような問題がございます。  さらにもう一つ御懸念のいわゆる借家的なものが減って持ち家がふえておるじゃないか、こういうことでございますが、公営住宅等はふえておりますが、これもやはり公団にその現象があらわれております。これは公団戸数が全体で八千戸減りました。しかし全体の戸数の中では賃貸住宅か一万四千戸減っております。減った分が分譲住宅になっておる、かようなわけでございますが、私どもは、この問題は簡単に持ち家に変わったんだというふうな企画で予算を組んだわけではございませんで、公団について見ますと、いま団地拒否の問題、これは賃貸住宅団地が、非常に膨大な団地が拒否されるという事情もございますし、さらには、公団住宅応募者階層を見ますと、希望を見ますと、公団住宅に応募する方々の半分より上ぐらいの階層方々は、何とか持ち家が持ちたいというふうな希望が非常に強くなってきております。そこで私ども考えまして、賃貸住宅並み割賦金、こういうものを支払うことによって何とか持ち家にふさわしいような広さの規模のこういう住宅供給するという、希望に合ったような線がないだろうかということで新しい制度を実は予算的に組んだわけでございます。私ども長期特別分譲住宅と言っておりますが、これは最初の五年間は元金据置きでございまして、六分二厘の利子だけ払う。次の五年間は六分二厘の元利均等、次の二十年間は七分二厘で元利均等、かようにいたしますと、最初支払い額が、三DKあるいは三LDKといういままでの賃貸より大きなもので、これが大体二万五千円ぐらいから出発をいたしまして、次に三万円ぐらいになります。そして四万円弱のところでとまります。三十年間こういう支払いによりまして一応長期分譲が手に入る。これによりまして一応希望にも沿えるし、この手法は私ども持ち家借家間の手法じゃないか。いわゆる持ち家というのは、最初にもうぽんと自分のお金で建てるというふうな常識ではございませんで、長期割賦となれば、要するに住居費負担がどうかという点が非常に問題でありまして、そういう需要に合って、しかも持ち家と言えるかどうかわかりませんが、そういう立体化されたものを供給をする。これが二万二千戸組まれております。したがいまして、そういうものを勘案いたしますと、簡単に公団住宅でも一万四千戸の賃貸住宅全部がおっこってしまった、かようなふうには私ども考えておりませんで、需要に即応した、いわゆる住居費負担に即応した予算を組んだ、かようなふうに私ども第三の手法というふうに感じておる次第でございます。  持ち家借家の話はそのようなことでございますが、また一つ先生の御指摘のように公営住宅進捗ができてないじゃないか、全体的には八〇%あるいは九〇%弱、この程度発注率を確保できるという見通しでございますが、肝心な東京都等は、すでに新聞等にもございますように、私どもの現在の見込みでは年度末の発注率が二〇%程度、一万九千戸の二〇%程度と見ております。しかし最近の資材の高騰によりまして、これが多少また落ちてくるかもしれない非常に緊急な事態でございます。全体で見ますと九〇%弱でございますからややいいように見えますが、一番大切な東京都においてさようなことが起きておる。これは何とか宅地対策なり、あるいは宅地を持ってても、やはり国における団地拒否のような問題があるとか、そういういわゆる行政的に処理しなければならない問題が山積しております。こういうものに手を打みまして解決をしなければいけない。都営住宅につきまして——公営住宅全体でございますが、これは大体三年間、たとえば四十七年度でございますと、四十七、四十八、四十九年度と、事故繰り越しまで入れますと三年間で完成し得る、予算の使い得る年次が三年間ございます。これはいいことではございませんけれども、しかし東京都はやはり公営住宅を必要としております。したがいまして、その期間内にいま言ったような問題を極力解決をいたしまして、これは五カ年計画にきめられました戸数東京都でいいますと十万戸という戸数、こういうふうなものを達成するような手を私ども専心考えざるを得ない、考えるべきであるというふうに感じておる次第でございます。  なお、公団につきましても同じような事情で八千戸減っておりますが、これにつきましては、四十七年度の分につきまして考えますと、八万八千戸の分がこれも難航しております。発注率はおそらく年度末で五〇%を切ると思います。公団予算の執行はおおむね二年まででございます。したがいまして、四十七年度中に発注率が五〇%以下でございますので、四十七年度分の戸数は八万八千戸の中から、おそらく——いま私ども詳細に監査をいたしておりますが、一万五千戸ないし二万戸というものは戸数減にならざるを得ない。こういうことをしないと、四十八年度の八万戸の確保が逆にできないというふうな羽目におちいっているわけでございます。これにつきましても、宅地対策あるいは人口流入を拒否しておる行政との話し合い、そういう大きな段階でのいろいろな手を専心打っていかなきゃならない。今度の四十八年度予算につきましては、さような非常に大きな予算面にあらわれない問題が横たわっておるということを私どもは痛感しておる次第でございます。
  14. 田中一

    田中一君 痛感しているから、どういう手を打とうとしているの。
  15. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) まず一番大きな問題は、宅地の問題だろうと思います。公共住宅だけではなしに民間の問題まで含めまして、宅地供給をどうするかということを解決しなければ上ものができないということでございます。これは宅地対策要綱等政府の閣僚の間でもきめられております。こういう線に沿いまして、さらにブレークダウンをいたしまして、私どもがどういうことをやらなければいかぬか。たとえば、私どもが緊急に考えておりますものは、一団地住宅施設という都市計画決定がございます。これは収用につながる方法でございますが、こういうものは現在あるものでございますから、こういうものを極力生かして使う方法とか、そのほか、またいろいろな大きな手法につながろうかと思いますが、こういうことによりまして、民間を含めまして、公共も当然それに乗るというふうなことで、宅地取得ができるような手を打つということが第一だと思います。  第二番目には、手に入れました宅地というものの上に計画が実施できる、都市計画できめられました計画ができる、このためには地方財政の問題が関係してまいります。これは関連公共公益施設、こういうものに対します地元市町村負担というものが大きいということが問題でございますので、四十八年度におきましても、かなり手当てをしておりますが、まだまだ将来に向かっては不足するかと思います。四十八年度におきましては、たとえば学校——一番問題でございます学校等におきましては、校舎の二分の一補助、これを三分の二補助にするとか、そのほかのかさ上げを考えております。  さらには、そういう事業をやる際に、つなぎ資金地方公共団体に要ります。これが公団あるいは公庫等におきまして増額をし、金利を下げ、御迷惑がかからぬようにできるだけ予算では組んでおります。その辺を将来に向かってはさらに増強し、地元市町村財政に御迷惑をかけないような方法、かような方法をとるのが次かと思います。
  16. 田中一

    田中一君 それで、そうしたから必ず完成するんだ、完遂できるのだという考え方に立っておるのですか。
  17. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) 現在の段階におきましては、いろいろ検討の問題もございますが、四十八年度予算前提にいたしますと、現在の五カ年計画完遂、これを目標にいたしております。したがいまして、完遂に必要な手は十分打った上で完遂をするという決意を持っておる次第でございます。
  18. 田中一

    田中一君 じゃ、具体的にこうする、ああするという答弁が聞きたいのです。君の計画——計画というものは、四十七年度実績によってわかるのは明らかなんです。そうすると、四十八年度予算を完全に遂行するには、こういたします、ああいたしますという具体的な手を打たなければならぬ。いまのこれは建設省希望にすぎないのです。そうなるであろう、そうなってくれればいいんだということにすぎないと思うんです。その点、もう少し具体性を持ったものを出していただきたいと思います。
  19. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) たとえば住宅公団の八万戸、四十八年度についての八万戸でございますけれども、四十七年度は八万八千戸から一万数千戸減らしまして七万数千戸になる、合計で十五、六万、かような消化をしなければならない、四十八年度につきましては。かようなかっこうになるわけでございますが、これを、住宅公団につきましては、これらの土地の四十七年度分はすでに具体的に確保し、張りつけが終わっておるわけでございます。終わっておっても、個々にできないものができてきておる。四十八年度においても、ほとんど一割ぐらいを残しましてその手配は済んでおるわけでございます。一割はもちろんこれから買うわけでございますが、大部分はすでに取得済みで、計画の張りつけ済みでございます。  そこで問題は、これを一体どうやって四十八年度中に発注に持ち込むか、これが問題でございまして、団地ごとに全部洗ってございます。したがって、これを、その団地団地につきまして、いわゆるいままでの関連公共ワクを越えて、一体道路がどうなのか、あるいはごみ処理施設がどうなのか、あるいは学校はどうなのか、これをいままでもやっておりましたけれども建設省の中だけでもさらに強力に、各局共同作戦と申しますか、そういうものをとって集中的にそこに集中していく。中ではそうでございますし、五省協定の五省の問題の中では、さらにそれを強力に進めて個々に問題をつぶし、個々の問題でできない問題はさらに上へ上げまして政策的な手を打っていく、かようなことでございますし、さらにその土地を買う——買えないというところの問題につきましては、先ほどちょっと申しましたように、一団地住宅施設都市計画、こういうものの活用、こういうものも今後この活用をはかりたい、はかってでも手に入れていく、かようなふうに考えた上で四十八年度のこの事業量は遂行したい、する所存でございます。
  20. 田中一

    田中一君 四十七年度実績から見ても、できないということなんです。私の推定は、できないということなんです。したがって、島君、来ているから、住宅公団の何を出してほしいと思う。四十七年度の完成見込み、四十六年度はどうなっておるか——島君、来ているのでしょう。
  21. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) 住宅公団来ておりませんのでいま提出するわけにいきませんけれども、私どものほうでいま四十七年度事業のおくれを非常に心配をいたしまして、促進監査を行なっております。そういう結果もあわせまして、それは個々団地個々のケースについて全部洗ってございます。そういう資料がございますので、後刻提出したいと思います。
  22. 田中一

    田中一君 では住宅公団——住宅金融公庫に対する土地融資は、一応事務当局では相当熱意を持って推進してきたけれども、結局だめになりましたね。そうすると、国民は全部いつでも自由に土地は得られるのだという前提に立っているのですか。
  23. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) 現在、国民が思うようなところに思うような土地自分負担力の限界で手に入らないということがやはり一番問題で、土地問題になってきたのだろうと思います。したがいまして、私ども先生のおっしゃったように、みんな自由に手に入るのだというふうなことで了解はしているわけじゃございません。ただし、まあ私ども予算の設定の際には、土地まで含めまして全体の貸し付け量をふやす、とにかく一千万から八百万、少なくとも八百万程度、現在家を持つにはかかる、それの半分をこえたいというふうなことで、半分こえますれば、平均的な勤労階層、おそらく二百万円、年収そのぐらいだと思いますけれども、その方々が何とか割賦の負担にたえるという感じがいたしますので、そこまでを努力目標といたしまして実はお願いをしたわけでございますけれども、それが、先生がいまおっしゃいましたような木造で二百五十万程度、耐火構造で三百万程度に終わった。その結果、土地の問題が実際はおっこちたようなかっこうになっておる。ただし、住宅金融公庫でも、現在総量の一三%程度、これにつきましては宅地融資をしております。予算も、今度の予算の中にも入っておるわけでございますけれども、この考え方は、区画整理なり、あるいは公共宅造なり、スプロールでない良好な意味で供給される宅地、こういうものにつきましては融資をするという道が開かれております。私どもはそういうものに限らずに、ひとつ貸し付け総量の問題としてお願いしたいというふうに実は考えておりましたけれども財政的な問題からとどまったということでございます。そこで、私どもはひとつ反省いたしますのは、当然総量のワクをふやし、宅地にも貸せるように今後とも努力をしなければいかぬということが一つと、さらに良好な宅地造成、区画整理なり公共宅造なり、そういうふうなものに準ずるなり、こういうものの量を多くふやすとともに、あわせていまの土地貸し付けというふうなものの拡大をはかるというふうなことが必要なんではなかろうかというふうに考えております。
  24. 田中一

    田中一君 どうも作文のようなことばかり言っているのでね、その段階じゃないと思うんです。たとえば二百万程度の勤労者は、自分の自己資金土地が手に入るんだという前提に立っているならば住宅金融公庫の金は借り手がないんです。昨年の住宅金融公庫十四万何千戸でしたか、これに対しては十五万戸程度しか要求がなかった。どうやらこれは住宅生協という土地を持っている団体が相当負担する形でもって完成したということになるんです。そうすると、住宅金融公庫の金というのは、庶民の住宅金融の機関じゃなくして何でしょう、それは。土地があるであろう、国民土地を持ってくるであろう、自分の持っている土地に建てるであろう、こういう前提でこの予算が組まれているということになりますと、これはもうたいへんなことです。できないということです。だから私はできないと言っているんです。それじゃ、このままじゃできないと言っているんです。昨年ですらそういう現状です。いまはもう、昨年は百五十万が二百五十万になったんですから、少しふえたろうというがふえてないんです、実態は建てられないんです。建てられない予算を組んで五カ年計画の総戸数ができるんだという間違いを、誤認を国民に与えることは犯罪です。したがって、もはやあらゆる住宅供給という問題に対しては考え直さなきゃならぬ時期がきている。考えようと金丸建設大臣は言っているけれども、現在われわれの、国民の前に示されているものというものはそういうものじゃないわけなんです。そうしていま区画整理事業とかあるいは住宅金融公庫宅地の造成に資金を貸しているというけれども、これは業者です、すべて。公共団体ばかりじゃございません。住宅金融公庫宅地造成をやっているのは、これは別でありますが、住宅金融公庫ですよ。住宅金融公庫がやっているのは別でありますが、そういう事業主体ではないわけです、家の金貸しなんですから。そうすると、それらをやっているから必ずしも安い適地が国民の手に入るかどうかという問題になると、これは疑問があるわけです。その点はどうなんですか。
  25. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) 宅造業者なりあるいはデベロッパーなりに金融公庫の融資をするという制度はございます。これは考え方といたしますと、建設の運転資金でございまして、したがって、金利も五分五厘、五分二厘というふうないわゆる最終需要者金利ではございませんで、こういうふうなものを使っていわゆる供給のエネルギーを活用する。できたものは、たとえばデベロッパー融資で言いますと、家つきで土地を買うわけでございますが、この際には、今度は個人融資のほうに切りかえる。いままででございますれば五分五厘、今度は新しい予算要求いたしておりますのは五分二厘、こういうものをいま先生のおっしゃった二百五十万なり何なりというものに切りかえる、かようなふうな連動作用になっておる次第でございまして、個人の分につきましても、区画整理なり何なりというふうなもの、こういうふうなもののいい宅地には貸す制度がある。ただし、そういうものは徴々たるものでございますので、私どもも、そういうことでは将来に向かってはよくないというふうに、もっと拡大すべきであるというふうに考えております。
  26. 田中一

    田中一君 そうすると、四十八年度の組み上げてあるところの住宅予算というものは、沢田君自身でも、これじゃ実行できないんだな、これじゃ家が建たないんだなということの実感をそのまま伝えているように見られるけれども、それでいいんですか。
  27. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) 住宅金融公庫の対象といたしております人々は、大体五分位別に分けますと、二分位から四分位ぐらいの方々を相手にしておるわけでございます。そして貸す金が少ない場合には自己調達が多くなりますから、したがって何となく上のほうの需要から先に満たされてくる、かようなかっこうになろうかと思います。私どもは、本来はやはり下のほうの階層は困るわけですからそういうふうなものに優先的になるような条件を醸成したい、かように考えておる次第でございます。さらには下のほうの二分位の階層、三分位の階層であってもそれぞれ特殊事情がございます。たとえば親譲りの何かがあるとか、いわゆる収入だけではなしに、収入階層だけで論ぜずにほかの条件がございます。たまたまそういう条件が合った人たちがまず救われる、かような現状であろうと思いますが、私どもが対象階層といたしました人々は、ほんとに困った人からできるだけ救えるようにという意味では先生のおっしゃるようなことかと思います。
  28. 田中一

    田中一君 君も答弁がつらいだろうけれども、金を持っている者に金を貸すんだというのが住宅金融公庫の現在のあり方なんです。いまの答弁もそうなんです。金を持っている者に貸す。これは借りてくれるだろう、そういうことを言っているのでしょう。一体、最初から建設大臣は、いま十分にその時期がきたと思うから検討しておりますと言えば、あと金丸さんに質問することはなくなってしまうのですよ。しかし実態としては、昨年も浅村君もここへ来てもらってだいぶ聞いてみると、十五万戸程度のものに対してようやく一ぱい一ぱいになりましたということでもってつじつまを合わしているわけです。沢田君も苦しいだろうけれども、ほんとに今年度予算国民が喜んで住宅供給資金——住宅金融公庫の場合ですよ——借り手があるかどうかという点は自信を持って言えますか。
  29. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) やはり現時点で、都市でありますれば耐火構造で三百万あるいは老人を含めますと三百三十万、こういう金は昨年、一昨年の九十五万あたりであまり相手にされなかった時代から比べますと、これはやはり相当何といいますか役に立つ金だという実感は私は出てきておるんじゃないか、この実感を将来とも拡大していきたいというふうに考えておる次第でございます。
  30. 田中一

    田中一君 借りるであろうという仮定のもとに考えておるということですね。金丸さん、それでいいですか。われわれは四十六年、四十七年の実績から見ても、借りた金は返さなければならないのですよ、なるほど、この春闘でも二万円、二万五千円ぐらい賃上げしてくれればその分だけ住宅へ回そうということになりますから、その階層の人はいいかもしれない。しかし、そうでない層の人たちはどうするか、一体。私は昨年も浅村君に言ったんだけれども住宅金融公庫法という法律は、家を建てる金を持たない者、家を建てる金がほしくても信用がなくてどこからも貸してくれない人にこの金を貸すんだというのがたてまえなんです。これは法律の目的を見ればわかるとおりです。ところが、金を持っている者だけに貸すんだという実態、二十数年の実態から見ると、金丸さん、もはや金を持たない者には金を貸しませんよと宣言したほうが自民党の伸びるもとであります。うそをついてはいけません。昨年聞いてみると、住宅金融公庫は、二十数年たって損をしたのは八千何百万だけ未回収があるという、何千億という金を貸しながら二十何年間でたった八千万や一億の未回収があったということになると、まるで完全なる金貸しですよ。悪い金貸しですよ、それも。損をすべきであると私はいつも言っているのです。だから、住宅金融公庫資金というものは、金を持っている者、金をいつでも借りられる者の呼び水として、その金を特定なる金持ちに融資をしているんだということにならなければならないんです。根本的に住宅金融公庫法ができたころの精神、原点に立ち返って、住宅政策というもの、住宅対策というものを考え直す時期がきているというのは、それで言っているんです。金丸さん、ひとつ、どういうことにしようか、あなたは実行する人だと信用しますから……。
  31. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 先ほど住宅局長からもお話があったわけでございますが、宅地を求めるということが現下の急務でありまして、それができるかできないかという問題、いまの現状のままでは、実際問題は御指摘のとおりだと私は思います。そこで、土地というものは国民の保有する領土だと、こういうような考え方、それはいわゆる公益優先、私権を抑制するという、私はここに一つ大きなウエートを置いて、この問題、いま局長も非常にあいまいな答弁というか、できるできないという問題——こう考えてみると、いまの状況ではできない。しかし、私権に対して強い抑制をするところに宅地の問題を解決する方向があるだろうと、こういうように私は考えております。  また、住宅金融公庫の問題につきましては、まさに御指摘のとおりでありまして、金のある人に金を貸す必要はないと、私も大臣という立場を離れて、政治家として困る者を助けるということが政治の本義であろうと、こう私は思います。そういう意味で、この問題につきましては、ひとつ設立当時の原点に返って十分に検討してみたいと思います。
  32. 田中一

    田中一君 住宅金融公庫がいま宅地造成、宅地取得のために融資している金額と総面積、総量を説明してほしいと思います。
  33. 浅村廉

    参考人(浅村廉君) お答え申し上げます。  まず、四十七年度と四十八年度とここに表がございますので、分けて申し上げますと、大きく言いまして、私どもは全体の、いただきました予算のうち、約一割五分が宅地関係に使わせていただいておるという形でございます。数字的に申し上げますと、四十七年度は、宅地取得造成等に回しました金額は八百二十七億円でございます。それから四十八年度は九百七十五億円という一応予算上の計画になっております。  それから面積を申し上げますと、四十七年度でございますが、取得が二千三百一ヘクタール、造成が三千九百三十七ヘクタール、四十八年度は取得が二千四百五十ヘクタール、造成が二千五百ヘクタール、このような計画でいま一応やることにいたしております。
  34. 田中一

    田中一君 いまの、予算のうちの一割だけを宅地造成にやっている、一割だけ使っているということでもって、沢田君があれだけの大きなたんかを切るんだ、やっているんだという……。一体、浅村君、あなた方のほうは安い価格で分譲させる権限を持っておらぬ。そういう契約はありますか、たとえば、おれのほうから金を貸してやった宅地造成に対しては四割高がリミットだ、それ以上もうけてはいかぬなんという契約はやってるんですか。なるほど四割ぐらいはかかるんですよ。住宅適地とすれば、四割分ぐらいのものがどうしてもかかる。場合によれば倍になるのはあたりまえなんですよ。その程度にとどめよというような、融資する場合の契約でもしているんですか。
  35. 浅村廉

    参考人(浅村廉君) 私ども宅地造成に対する資金融資いたしておりますが、その相手方は、おおむね現在のところは各県に、あるいは市にございます住宅供給公社でございます。こういう公的な機関が私ども資金を借り受けまして宅地を造成しておるということで、別に、私どものほうで、でき上がったものを幾ら以内という、いま制限をつけておるわけではございませんが、金利も、一般に比較して非常に安いことでございますし、原価主義ですべて計算しておりますので、市価よりは非常に低いところで供給をしておるのが実情でございます。  ただ、一つ、三年ほど前から、民間宅造という制度を私どものほうに認めていただきまして、これはいわゆるデベロッパーと称される方々宅地造成の資金を貸すということで、いろいろ検討を加えました結果、あんまり小さいものでは、また乱に流れるしということで、ただいま一団地の面積が二十ヘクタール以上なければお貸ししないと。非常に大きな、非常に合理的な宅地造成というものに対して融資をいたしております。この場合は民間事業でございますから、あまり乱にわたるようなことでは困るのでありまして、私どもは、その事業計画を十分に審査いたしまして、いろいろな規定もございますが、取得いたしましたときの価格とか、いろいろ造成に要した費用とかいうようなものを検討いたしまして、私どものほうで適当と認めた場合に、これを融資対象に決定しております。大体、私どもの見通しでは、一般市価よりは相当安いものが供給される、また、そういうことでなければこういう制度を開いた意味もないということで、まだほんの始めたばかりの制度でございますけれども、こういうものも、やりようによっては非常にいい制度になるんではないか、両方ともに拡大をしていきたい、こういうふうにただいま考えておるわけでございます。
  36. 田中一

    田中一君 いま、総裁が言われるように、住宅生協が勤住協を元請として宅地造成をやっている、また、労働者の住宅供給していること、これが救いなんです。ところが、どこでどういう異論があるのか知らぬけれども住宅生協に対する融資というものは、非常に警戒して貸しております。楽な気持ちで、信用して貸しているんじゃなくて、どうもあぶなっかしいような気持ちを持ちながら貸しているように見受けられるんです。二百億でしたかね、住宅生協に勤住協から貸している、融資している金は……。
  37. 浅村廉

    参考人(浅村廉君) お答え申し上げます。  私ども、ただいまのところは、住宅生協には直接にお貸しはいたしておりません、先生御承知のとおり。住宅生協は、勤住協——勤労者住宅協会の業務の代行ということで、私ども融資を受けておる形でございます。融資の額は、先生のおっしゃった額と同じであると私思いますが、ちょっといまここにこまかい資料がありませんので調べますが、私どもは、おっしゃいましたように、別に住宅生協に対して他意があるわけでも何んでもございません。ただ、私どものたてまえといたしまして、たとえば住宅について申しますれば、ある限定された範囲の方々に対して分譲するとかなんとかという、そういう仕組みの融資をする制度になっておりませんので、その辺に私どものつらいところがあるわけでございます。勤住協は、御承知のように、その造成いたしました宅地なり、あるいはつくりました住宅国民大衆にこれは広く譲渡することになっておりますので、その限りにおいて、勤住協の仕事を受託するという範囲においては、特別な法の規定によりまして、住宅生協もそのような運用ができることになっておりますけれども住宅生協さんのほうが単独におやりになりますと、その組合員だけに限るということに法の上はなるのでございますので、私どもはそこら辺で、規在は先生御承知のような方法住宅生協さんのほうにも融資が回っておるという状態でございます。
  38. 田中一

    田中一君 宅地造成は住宅生協にじかに貸しているんですか。これもおのずから勤住協からの責任において貸してるんじゃないんですか。
  39. 浅村廉

    参考人(浅村廉君) ちょっと私いまことばが足りませんでしたが、私の申し上げましたのは分譲住宅のことでございまして、宅地造成については勤住協や住宅生協のほうにお貸しをしておりません。
  40. 田中一

    田中一君 当初そういう住宅生協等に融資をしてるんだということを言ってたでしょう。そう言ってましたね。やはり勤住協を通して融資してるんでしょう。
  41. 浅村廉

    参考人(浅村廉君) たてまえといたしましては勤住協を通じましてやはりお貸しをするということになっております。どのくらい融資を申し上げておるか、ただいま何かあいまいなことを申し上げましてたいへん恐縮でありますが、それは一応調べましてお答えをいたしたいと思います。
  42. 田中一

    田中一君 住宅生協が特定なる組合員を対象にするから、住宅金融公庫融資というものの性格からいってまずいんだということなんですね、たてまえを。一体、住宅生協は、住宅をほしい、求めている者が融資要求しているんです。それがなかなか自分たちには力がない、そこで何人か集まって協同組合をつくって、そこで融資をしてもらいたいということを申し出ているんであって、これはいわゆる個人に対する一つ手法じゃないですか。じゃなきゃ貸してくれないから、多くの大衆が住宅をほしいためにそうした機関をつくって、組合をつくって貸してくれということなんであって、私は奨励すべきだと思うんです、そういう考え方は。その点は、もし法律を改正するなら改正したらいいじゃありませんか。住宅のほしい者が個人個人で借りても貸してくれないから、労働金庫の資金なり、それらの資金を集めて協同組合をつくっている労働者の資金なんです。そういう団体をつくってやってるんだというものに対しては促進すればいいじゃありませんか。いまだって、大体昨年の例からいっても、住宅生協は、いま言うとおり、勤住協から宅地造成の金も借りているから、これは住宅金融公庫として借りているから、だから任事ができるんだということをいみじくも浅村総裁言っておったじゃありませんか。宅地造成というものは、住宅生協に勤住協を通じて貸している金、これは宅地なんですよということを言っておったじゃありませんか、いま。なぜそれをもう少しりこうに、じょうずに、強く使わないかということなんです。そうして、あなたのほうで融資ワクを増せば、勤住協は大型の宅地造成も行ないます。これは労働者の集まってつくっている生活協同組合だから信用できないんだと、あぶないんだという前提に立って考えているんじゃないんですか。そうして民間デベロッパーに対して大型な——二十ヘクタールというと六万坪、この大型のものならよろしいんだというようなことじゃ、ちょっと考え方がもうずれてきている。だからそういうものに貸すんだ。それを呼び水として、三つの都市圏における土地の買いあさり、いわゆる住宅適地というものはもうなくなってきたと言うのです。これを推進したのが住宅金融公庫政策です。土地政策です。これが拍車をかけたんです。  そう考えると、当然、先ほど建設大臣が言っているように、土地はないんだと、もう適地はないんだ、こういう前提宅地の問題を考えているということになりますと、これは住宅金融公庫が大型のデベロッパーと組んで地価の値上がりを増大さしているんだということになると思うんです。そうじゃないと言えますか。どうも最近の中部、近畿、首都、この三つの都市圏における宅地というものは、極端なことを言えば、もうなくなっているんです。その点はどうですか。もう少し政府としても——これは住宅金融公庫は、そういう制度を建設省がきめてくれればそれに従わざるを得ないから従っているにすぎないんです。おそらく住宅金融公庫とすれば、もっと国民大衆に対して立法の精神に乗っかったりっぱな仕事をしたいという意欲があるんじゃないかと思うんです。それをはばんでいるものは、いままでの官僚統制じみた住宅政策が災いをしているんじゃないか、こういうことになるわけなんです。この点ひとつ金丸さん、あなたどこに諮問しているか、いまちょっとぼくはわからぬけれども、何かあなたの発想として、それの対策としてどうするかということを一言言ってください。
  43. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 先ほども申し上げたわけですが、いろいろ住宅金融公庫の内容の中に検討すべき問題もあろうと思いますし、また実際問題、成文できめられているものですから、それに従ってやらなくちゃならぬということで、それを逸脱してやることのできないという金融公庫の立場もあろうと私は思います。そういうことですから、こういう問題も十分にひとつ原点に返って、直すべきものは直し、そうして、ほんとうに住宅金融公庫の発足の精神にのっとるようなことを考えてみたいと、こう思っております。
  44. 田中一

    田中一君 私が先ほど申し上げたように、住宅金融公庫は、うちを建てるのに金がない者に金を貸すんだときめているんです。いいですか。うちを建てようにも信用がなくて金を借りられない人に対して貸すんだと言っているんです。法律がそうきめているんです。なぜ住宅を建てたい人に金を貸さないのですか。金を持っている者だけに貸すのですか。法律を守るということは、私がいま申し上げたような融資方法が正しいんです。原点というのはそれなんです。うちを建てたい人に金がない、金がない者に貸しましょう、金を借りることのできない者に貸しましょう、これが住宅金融公庫法のねらいなんです。なぜ貸さないのですか。したがって、昨年もくどくど言ったんでありますが、たとえば働いている御主人が、金を借りていながらも、御主人が交通事故等でなくなった、あとはもう金を返す道がない、金を返すにしても、木造建築十八年の償還ならば、どうしても三十年ぐらいかかる、子供が大きくなったら返しますから、どうかこのうちに置いてくださいと言ったって置きはしないのです。立ちのきを命ずるのです。原点に返るということは、悪意でなくて善意でどうしても金が返せなくなった者にもあたたかく、十年たてば子供がもう働くからそのときに返すからここに置いてくれと言った場合には、貸しておくというのがほんとうの原点に返った住宅金融公庫法の精神なんです。ただ制度を変えればいいのです。この住宅金融公庫の制度というものは国民に対する融資の制度なんです。おそらく住宅金融公庫も、昨年は十四万幾らという戸数だった、ようやくそれに追っついたという。しかし二百五十万という金を今度貸すんだとなりましても、借りるのでありますから、もらうんじゃないのでありますから、それだけに危険が伴うのです、やはり。二十億でも、五十億でも、百億でも欠損しろと私は言っておる。欠損するのはあたりまえじゃないか。金を返せない弱い国民に貸すんだという前提に立っている以上、払えなくなるということはあり得るじゃないか。その場合には欠損すればいいのです。税金でも欠損処分という方式があるわけです。それがたかだか二十何年やって、何千億という金を融資をして、返ってくる、金を返せるという層ばかりに貸しているところに問題があるのです。制度が悪ければ、法律が悪ければ、法律を変えようじゃありませんか。どうも、ここにくるとひっかかってしまうのです。うちを建てるのに金がないという者に貸すということならば、善意で返せなくなる場合があると思うのです。その場合に、なぜそれを強制的に立ちのきをさしたりなんかするということをするんですか。浅村君、これは政治的なものだから、君が答弁するものじゃないぜ。
  45. 金丸信

    国務大臣金丸信君) おっしゃるとおり、私もそういう問題について、御主人がなくなったあとに女手で家族が残ったと、それが返せないから返せと、出て行けと、こういうことでは、これは国のやる仕事じゃない。そういう意味で、そういう問題につきましては、ひとつ私も受け合って、そういうことのないようにしていきたい。私も、住宅金融公庫がえらくもうける必要はない。赤字であってもしかるべきだと、こうも思います。それは福祉国家建設という大きなにない手の土台石ですから、当然そうあってしかるべきだと私は思うのです。そういう意味で、この問題につきましては、十分法律を直すべきところはひとつ直して、そして先生方の御協力を得て直して、非常に国民から喜ばれるようなものをひとつつくり上げていきたい、このように考えています。
  46. 田中一

    田中一君 浅村君、何か言いたい……。
  47. 浅村廉

    参考人(浅村廉君) ただいまいろいろ御指摘をこうむりまして、大臣からお話をいただいたんでございますが、私ども金融公庫の立場といたしまして、先生のおっしゃいました点につきまして平素考えておることを簡単に申し上げたいと思いますが、別に私どもは所得の多い階層をウエルカムということでやっておるわけではないのでございまして、先生御承知のように、二分位から四分位くらいのところ、中堅所得層というものを対象に従来ともやらしていただいております。いろいろな統計をとりましても、大体、総理府の家計調査等でおやりになりまして、全国の勤労者世帯の平均が月額どのくらいかというようなところを押えてみますと、少し資料が古いことになりますけれども、四十五年あたりで、全国の勤労者世帯の平均収入は月額十一万三千円、こういうようなものも出ております。私どもはそのころの統計で調べますと、大体、利用者の方々の平均が十一万六千円くらいにとまっておりますので、まあ私は大体、公庫は中堅所得層を対象に融資をするというその使命にまあ一応適合した仕事をさしていただいておるというふうに考えております。ただ、先生のおっしゃいますように、決してこれで十分とは毛頭思っておりません。貸す金もふえたとは申しながらまだまだでございますし、別に返さないでいいわけでございませんので、額がふえればまた償還額もふえる、利子もふえるということで、そこらの相関関係で、なかなかこれは住宅一軒建てるということはほんとうにたいへんでございます。そこで、今後いろんな制度のからみで、どう持っていったらいいかということは、いつも建設省と一緒に私どもも具体的な意見を申しながら前向きでやっていきたいと考えております。  それからもう一つ、私どもは、先生がおっしゃいました、すぐ立ちのき、取り立てと、そういうことは毛頭いたしておりません。私どもは、まあ政府関係の機関でございますから、もちろん回収には慎重を期さなきゃなりません。成績もたいへんよろしいわけでございます。しかし、住宅資金というものの性格上、これは一種の——一種と申しますか、生計の中に組み入れられて住宅というものの資金を返済しておるわけでございまして、非常にまじめに皆さんこれを返してくださるということがずうっと長い傾向でございまして、したがって、私どもはあまりいやな思いをしないで、いい成績をあげさしていただいておることをいつも感謝をいたしております。ただ、多い件数でございますから、もちろん、いろいろな事情で返せないという事態が起こります。そういう場合は、私どもはできるだけその実情に即して、特に先ほど御指摘のようなお気の毒な場合には、ほんとうにぎりぎりの線までこれをお譲りして、いけなければもうこれを切り捨てると、こういうようなことを従来やっております。これからも、この点は私どもで許されるぎりぎりの限度までしんぼう強くやりまして、決してそういうことについて心なきあれをするつもりはございません。できるだけ皆さんに喜んで資金を使っていただく、気持ちよく返していただくということで、今後ますます努力をいたしたいと思っております。
  48. 田中一

    田中一君 そこで一つの提案なんですがね。木造建築、大体いま十八年でしたね、償還が。住宅金融公庫融資はわりあいに木造が多いと思うのです。これが木造建築ですと、大体十五年くらいたつと相当根元やその他が腐ってくるのです。これはもう日本のように湿気の多い国でもって北向きのところは大体いたむんです。これは皆さん経験があると思うんです。これに対して四十八年度の金が、もう予算が通ったすぐに一ぱいになって、全部きて、また何倍なんというようにくるようなことを想定すればこれは別ですけれども、昨年のように、十四万何千も貸そうというのに対して十五万程度のものしか申し込みのない場合もあると思うんです。先ほどから言っているように、持ち家がほしくなる傾向だといっているところを見るとそういうことがあり得ると思う。その場合に、十五年たったら必ず木造建築に対しては、担保力は十分とっているんですから、建物もとり、いまは土地をとらぬかしらぬけれども、従来は全部土地も担保にとっておった、だから、いま十五年たった木造建築には、住宅金融公庫のほうから、もしもいまここで建てる費用の三〇%ぐらいの修繕費を大幅——大幅というよりも改造費を使うならば、もう三十年このうちは寿命はございますよ、お貸しいたしましょうというくらいのあたたかい気持ちを持つ。これは国富を守ることなんです。国の富なんです、やはり。個人々々が住宅を持っているということは、ただ単に個人の財産のみならず国全体の富なんです。朽ちてしまうものを守るのが、これ富なんです。国富なんです。したがって、そういう制度をつくったらどうかということなんです。十五年たったら必ずもう相当検査をしなさい、あるいは住宅金融公庫がだめならばどっかの機関で調べてあげましょう、これは幾ら幾らかけるともう三十年もちますからと、こういう大修繕の金を貸すという制度を設けたらどうであろうかと言うんです。いまから十年か十五年前に、貸すといえば何十倍きたといってにこにこして、困っている人間これだけいるのに、てめえたちはにこにこしている。えらい住宅金融公庫資金を貸したらこれだけきたと、これだけ期待されているんだと、その時代は過ぎたんです。住宅金融公庫なんかから金を借りるなんという人は少なくなったんです。この時分に、ほんとうにそうです。何十倍あったといって笑って喜んでいる。その時代をもう経てきましたから、いま言う大修繕の資金を貸すという方向を見出す。そうすれば、それだけ個人の持っている財産も安定すれば——国の財産です。朽ち果ててからやったってこれは間に合わないんです。勤労者が一軒のうちをつくる、御自分が死ぬまでに、次の世代にかわるまでにもう一ぺんもっといいうちをつくるんだという人はまれにあると存じますけれども、少なかろうと思うんです。そういう親切な配慮を考えることができないか。これは住宅金融公庫に聞きませんよ、あなたのほうは自分の意思は何もないんだから。政府がそうするんだといったら、それ、できるんだから、建設大臣に伺います。
  49. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 先生の御提案、まことに時宜を得た御提案だと私も思います。ひとつそれらは作業してやっていきたいと、こう考えます。
  50. 田中一

    田中一君 今度、公営住宅の問題について伺ってみます。公営住宅は現在残っているというのは何戸ありましたかな。いま、二十七年から建ってきて、総戸数どのくらいありますか。
  51. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) 四十七年十二月現在で百二十九万五千六百何がしになっております。
  52. 田中一

    田中一君 じゃあ、もう少し長く言うからね。公営住宅出発以来何戸建ったかということが一つね。それから、それを払い下げしたのはどのくらいあったか。払い下げの場合には土地はどうしたか。それから、そのうちの木造建築はどのくらいあるか。公営住宅ですよ。それから耐火建築——簡易耐火、鉄筋のうちですね、これがどのくらい。ほんとうの耐火建築がどのくらいありますか。そして現在残っている木造建築はどのくらいあるか、どの地方に多くを占めているかという点等、説明してください。
  53. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) まず建設戸数から申し上げます。四十七年度計画まで入れまして全国で百七十一万三千七百余戸、かような戸数が建てられております。その中のおもなところを申し上げますと、たとえば東京、これが二十五万一千余戸でございます。大阪府は二十一万六千三百弱でございます。それから愛知県には十万三千二百余戸。主要なところではこのようなことになってございます。  それからその内訳でございまして、その中でいままで公営住宅として払い下げました戸数、これは三十六年度までに払い下げましたものが七万七千三百三十戸でございまして、それ以後三千ないしは四千というふうな数で毎年、特殊ケース等特別な事情のあるものについて払い下げておりまして、合計で四十七年の現在までに十二万四千余戸、正確に申しますと十二万四千七十六戸、これを払い下げております。そのほか用途廃止等もございますから、実数は、先ほど申し上げました管理戸数になる、かようなことでございます。さらに木造戸数でございますが、十二月現在の管理戸数の中で木造が三十四万三千百七十戸ございます。簡易耐火構造の平家建てが三十一万三百六十二戸、簡易耐火構造の二階建てが十八万三千六百十九戸、中層耐火構造が四十二万三千二百三十五戸高層耐火構造が三万五千二百二十一戸かような内訳になっております。
  54. 田中一

    田中一君 払い下げる分の土地はどういう方法で……。
  55. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) 先ほど申しました、払い下げいたしました戸数につきましては、全部、市の所有のものにつきましては土地を込めて払い下げております。
  56. 田中一

    田中一君 四十八年度の、私わかっているけれども、あなたのほうでひとつ一ぺんずっと洗ってみてください。四十八年度公営住宅はこれだけのものを建てるのだ、そして、こうして建てるのだ、ああして建てるのだと、ひとつ説明してください。
  57. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) 四十八年度につきましては、総戸数が十二万四千戸でございます。そして内地、北海道、沖縄と地域的に三つに分かれておりまして、その中で一番多い内地が十一万三千七百戸でございます。北海道が八千六百五十戸、沖縄に千六百五十戸、かような数になって、合計で十二万四千戸ということでございますが、種別に分けますと、種別で第一種、すなわち二分の一補助のほうが八万六千八百戸でございます。三分の二補助の第二種のほうが三万七千二百戸でございます。さらに構造別に申し上げますと、非常にこまかくなりますが、全部申し上げましょうか。——第一種の簡耐平家が——木造はもうこの年にはなくなっておりまして、簡耐平家が五千三百、簡耐二階が四千九百、中層耐火が五万三千七百、高層の七、八階が六千二百八十六、高層の九階から十一階が六千六百、高層の十二階以上が一万十四戸、これが第一種の内訳でございます。第二種は、簡耐平家が八千戸、簡耐二階が六千五百戸、中層耐火が一万七千三百、高層七、八階が千八百九十一戸、高層の九階−十一階が二千三百三十戸、高層の十二階が千百七十九戸。かようなことで地域別、構造別、種別に分かれて実施されます。
  58. 田中一

    田中一君 住宅金融公庫にちょっと言うのを忘れたんです。金丸さん、先ほど総裁は、勤労者住宅協会を通じて住宅生協に貸し付けてしている仕事は、適正な地価でこれを各勤労者に分けているのだと、こういう話がありました。そのくらいまじめにやっておるのです。しかし、どうも特定なる組合員にだけ金を貸すということはなかなか困難だということを言っておるのです。しかし、現在でも、たいへんな百億以上の金を出して造成あるいは融資をして家をつくっているわけであります。したがって、本年度、四十八年度は、相当これらの労働者に、自分で家がほしい連中に、土地ぐるみ売ってくれるわけなんです。それで、いま浅村総裁が言っているように、正直な、良好な土地を売ってくれるそうです。こういうもの、こういう機関を積極的に活用する方法をとらなければならぬと思うのです。いわゆる民間デベロッパーに対する融資をおやめになる、四十八年度はやめる、そのかわり住宅生協、いわゆる勤労者住宅協会、これに相当な融資ワクを広げていく、こういう方法をとるようにしていただきたいんです。これに対する——君にできっこないじゃないか。建設省がうんと言わなければできない。だから、もう大臣に聞くんです、これは。君はいやでもおうでもかまわない、予算が通ったら。大臣、ひとつそういう方向をとるということを期待しております。
  59. 金丸信

    国務大臣金丸信君) この問題につきましては、いま理事長から手があがったように、何か考え方もあろうと思います。ひとつ十分に、私も先ほどお約束したこともあることですから、ただ検討するということでなくて、十分ひとつ話を聞きながら前向きで御期待に沿うように進めていきたいと、こう思っております。
  60. 浅村廉

    参考人(浅村廉君) お答え申し上げます。  先ほど私がちょっとあいまいなことを申し上げまして、後刻調べて御報告すると申し上げておったことは、二百億円の融資をしたかどうかという点でございまして、実際調べますと、住宅生協に対しましては、私どもは勤住協を通じておりますけれども、やり方としては、土地だけ、宅地だけを造成して分譲するという仕事に対してはいまだ融資をいたしておりません。じゃ、どうしておるのかといいますと、結局、土地の上に家が建って分譲されるわけでございますので、土地費も含めてその分譲の金を貸しておるわけでございます。その金が——先生が二百億円という御質問がございましたのに対してお答え申し上げますと、正確には百十五億円になっております。こういう融資をいたしておりまして、ずっと従来おつき合いをいたしておりますが、私どもは先ほど申し上げましたように、一つの法律上の制約がございますので、そのワクの中でやらせていただいておるわけでありまして、もちろん、たいへんいい仕事でございますから、私どもは従来のやり方を、これは法律上そうせざるを得ませんので、同じやり方をやらしていただきますけれどもワクをできるだけ広げる努力をいたしたい。結局は一つワクの中でどうあんばいするかということになりますので、もとの大ワクをふやすことも当然でございますけれども、実施にあたっては、大いに私のほうで来年度以降も努力をしてまいりたい、先生のおっしゃいますような方向でできる限り努力をいたしたいと思います。  それからもう一つお話がございました、せっかく始めました民間関係のデベロッパーに対する融資は、これはたびたび国会でも御指摘いただいておりますが、乱にわたらないようにということで、私どもも十分その趣旨は体した上でやらせていただいておりまして、決してもうけさせるつもりでやっておるわけではございません。何とかして良好な宅地なりあるいは分譲住宅なりが少しでも多く大衆の手に渡るようにということで、一つ方法論として、ただ、できたものを買うのにお貸しするだけでは、あまりにも方法が少な過ぎるような気がいたしますので、供給する段階からひとつ手伝って、いいものを大量に供給する方向をだんだんと開いていきたいということを始めさしていただいておりますので、これはこれで慎重に運営しながら、いい成果を得るように持ってまいりたいと考えております。  以上、私どもで考えております点を申し上げます。
  61. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 私は、勤住協のワクを広げるという問題につきましては、これはできるだけ消化できる限りひとつ広げるということだけはお約束いたしたいと思います。
  62. 田中一

    田中一君 民間デベロッパーに貸す金はおやめなさいと言うのです。おやめなさいと言うのです。まさか浅村総裁が、いまこうして日本の国をずたずたにして破壊しているという、これと何か因縁があって、それに援助しなければならぬという気持ちを個人的に持っているのかどうか、ぼくは長い間つき合っているけれども、君はそんな人間じゃないと思う。それなら勇気を持っておやめなさい。建設大臣、これ、やめさせてください。これはもう地価の値上がりの元凶なんです。住宅金融公庫から金を借りているぐらいだからといって銀行は喜んで貸してくれるんです。それでなくても財界とつながっているからね。浅村君、君、進言しなさい、大臣に、やめましょうと。やめましょう、やめさせなさい。
  63. 金丸信

    国務大臣金丸信君) その問題につきましては、私も最近よく大企業大企業、デベロッパーデベロッパーということで、田中先生のような考え方も持たないわけでないわけでありますから、この問題を本省でいろいろ話し合いもいたしたわけでございますが、まあ、ひもをつけて、条件をつけてやるという案ならばいいじゃないですかと、こういうような話がありまして、そのひもと条件という問題が理解ができればいいと思うわけですが、そのひもと条件という問題が理解できなければ、これはいろいろ問題を起こすということにもなろうと思うんですが、私は、土地がないときでございますから、あらゆる方法を勘案してデベロッパーの手も借りながら、何しろ低廉な土地を提供するような方向に持っていきたいと、こういうような考え方を持っておるわけでございます。
  64. 田中一

    田中一君 住宅金融公庫の総裁は、勤住協を通じて住宅生協が開発しているところの土地はまことに良好であって安いと、良心的だと、こういう承認をしたんです。したがって、それらの前提を踏まえて実行したらいいじゃないかと、それにやらせればいいじゃないかということです。あるいは民間デベロッパーに融資している金に対しては原価計算をする、これならばよろしいという価格で売る、国民大衆に売るんだと、売り惜しみをしない、必ずそれは国民大衆のためにやるんだという一札の契約があれば、これは場合によればやっているんならやってもやむを得ぬという気持ちもいたしますけれども、それがない限り、ほかにかわって仕事をする人がいるじゃありませんか、なぜそれにさせないんですか。勤住協が保証する、そうして住宅生協は各都道府県にあるんです、これにさせればいいじゃありませんか。これに百億でも二百億でも五百億でもやって、隣の民間デベロッパーが高い土地を売っている。ところが、その隣にあるところの住宅生協は何も利益を受けるんじゃございません、組合がやっているんですから。利益を受けるものは組合員なんです。したがって、安い土地を売っていれば、それに対する反省にもなるじゃありませんか。だから、どういう条件とかなんとか、条件がはっきりしてもどこで抜け道があるかわかりませんから、これはどうしても住宅金融公庫総裁がほめている住宅生協にやらすことです、勤住協にやらすことなんです。四十八年度民間デベロッパーの融資をやめるという答弁をすると、これはもうあなたいずれ内閣総理大臣というよりも日本列島改造論以上のいいアイデアがあなたから生まれます。これを期待します。これはいま言うとおり、いままでやっているんだからしようがないんだと、次々融資しなかったら向こうが困るというならば、価格をきめる、条件をきめる、売り出しの。こういうことにするならば、いままで行きがかりでやっていたものはしようがない。さもなければ打ち切る。大臣ひとつ……。
  65. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 先生の御指摘のように、条件つきで安い土地が入る、こういうことであることは当然であります。ですから、高い土地をむやみに買うなんていうことは考えられない。私もそういう説明によって納得をいたしたわけですが、勤住協の問題については、ひとつそれを、もっと安いものができるということであればそれを研究すべき問題点だと思いますから、研究させてください。
  66. 田中一

    田中一君 浅村君、君さっきから黙っているけれども、君なんか民間デベロッパーとつき合いあるのかと言うと黙っているけれども、何かあるの。
  67. 浅村廉

    参考人(浅村廉君) 民間デベロッパーに対する融資につきましては、ただいた大臣からお話ございましたように、私のほうは条件をもちろんつけております。宅地を造成する資金を貸す場合には、先ほど申し上げました二十ヘクタール以上とか、ずいぶんきつい条件をつけておりますし、譲渡する場合は一ブロックが九百万円をこえるような高値ではいけないとかいうような制限を置いております。それから、住宅を分譲いたします、分譲住宅を売り出す場合に、その建設資金を貸すという場合には、一戸の値段が千二百万円をこえてはいけないというところに頭打ちの線を出しております。もちろん、その他いろいろこまかい指図をいたしておりまして、環境等についてもやかましく私のほうは指導をいたしております。それから、計画書なども十分調べまして、適正なものであるという判断の上でやらせていただいておりまして、民間事業とはいいながら普通の事業のようなわけにまいらないので、相当安値のものが供給されております。たとえば、具体的に申しますと、民間でつくって売り出しておる、私のほうの金を借りて売り出しておる分譲住宅がどのくらいの値段かと申し上げますと、千二百万円を限度だと申し上げましたが、平均いたしますと大体八百万円というような線で売られております。ただ、しかし、いろんな事情が最近変わってまいっておりますから、これから先どうかということはにわかに予断を許しませんけれども、ただいまの時点で申し上げますと、そのような状態でございます。なお、この民間——分譲住宅の場合について申し上げますと、ただ建設資金を貸すというだけではなく、結局は国民大衆が安い住宅を手に入れるということに目的があるんでありますから、民間に貸す場合の金利は七分五厘で貸しますが、でき上がったものを今度は買う立場に立って、買いたいという方には金利をただいま五分五厘、法律を通していただきますればこれが五分二厘に下がるわけでございます、その金利で、普通の条件で融資を切りかえるということで、目的はそこにあるわけでございます。安い金利でそういう住宅を手に入れていただくというところに目的があるので、単に手段として、一応その前の時期にそのようなことをさせていただいておるというのが現状でございます。何度も申し上げますけれども、この制度は十分慎重に運用をしてまいりたい。他にもいろいろ私のほうで従来からやっておるものがございますので、そういう面はもちろん第一番に伸ばしていきたい。しかし、こういう新しい制度も、最近できた制度も慎重に運用させていただいて、全体としていい成果をあげてまいりたいというのが私の考えでございます。
  68. 田中一

    田中一君 じゃ、もう帰っていいよ。  沢田君ね、本年度予算——公営住宅ですよ、完全に都道府県、市町村ともに予定されている住宅建設されるという前提に立っておりますか。そう言うと、いますという答弁をしなきゃならぬね、結局、予算が通らないんだし、正直に言ってほしいんだ。
  69. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) おそらく先生、最近の資材高騰の問題が一番大きな要素として内容にあると思います。四十八年度予算につきましては、最近の異常な資材の高騰の問題は考慮に入ってございません。したがいまして、この成り行きが鎮静化するのではなしに、さらに私どもが予想した段階まで戻ればこれは遂行ができます、こう確言を申し上げられるわけでございますけれども、しかし、それがいまのままで横ばいで鎮静化するにしても、そういう程度だということになれば、まず建設単価の面でかなりの難渋が出てくる。これは地方では比較的消化できやすいところもございますけれども、特に大都市地域におきましては、これに対して何らかの処置をしなきゃいけないという事態が出てまいろうかと思います。
  70. 田中一

    田中一君 自治省——もしも、いま言っている地方公共団体負担がほんとうに実行するには重くなる、どうにもならぬ場合には、自治省として何か特別な縁故債でも出して助けてやるという考え方を持っているのか、予算も通らぬのにそんなこと考えませんと言うのだろうと思うが、その点はどうなのか。これは決して地方自治の財政が云々ということでなくて、不当な支出になるんですよ。補助率にしても、いまの単価にしても、いまの単価で云々と言っているけれども、現在積算されている公営住宅一戸当たりの単価もとても法律できめられている二分の一とか四分の三とかという程度のものでないんです。実際に建てる場合には。あなた、うち持っていますか。自分のおうち持っている、課長。あなた、自分のうち持っていますか。
  71. 石原信雄

    説明員(石原信雄君) 持っています。
  72. 田中一

    田中一君 そうすると、お建てになった場合に、政府は積算して一戸当たりこれでできるんだといって出しているもので建つと思いますか。一戸のうちが建つと思いますか。公営住宅によって、四十七年度で都道府県が、これは東京都の例をとってみたんですよ、そうすると二百六十九億円、法律できめられている、都が負担する金以上に支出しているんです。二百六十九億円。四十四年度ですら百六十億です。四十五年度百六十九億、四十六年度二百五十五億、四十七年度でいままで推定されているのが二百六十九億円の過重な負担をしているわけなんです。東京都は金があるから、起債がないからいいやというんじゃないんです。これは東京都の例で一番近いからとったんです。そうしてなおかつ、この手当ては土地に使っているか、あるいは土地にも使うでしょうが、これはただ公営住宅をつくるということだけに使われている金なんです、これ。こうして公営住宅をつくる。これはもう県民、市民の切なる要求でありますから、これにこたえようということは全国の都道府県市町村の長は考えておる。しかし、何といっても今日の政府から配分される補助金、これでは補助金だなんというけれども補助金じゃないんです。こんなものくるからたいへんなことになっちゃうというような印象を受けるわけです。こういう事実に対して何か手当てをしようという考え方ありますか。  いま沢田住宅局長が、安定すればということは、値段が安くなればできますよということなんです。安定しないことはもう明らかです。なぜならば、物価の上がるような政策をとっているのがいまの田中内閣なんです。買い占めその他に対しても、何らの手を打たない、打てないという実情から見れば当然のことなんです。そうすると、これに対して特別な起債をするという考え方を持っておりますか。
  73. 石原信雄

    説明員(石原信雄君) 現在、公営住宅に対する地方債の充当の考え方としましては一種住宅の場合であれば、二分の一国庫負担であり、二種であれば三分の二国庫負担であります。したがいまして、その国庫負担率による地方負担額に対しまして八五%の充当率による地方債を許可いたしております。なお、この八五%というのは、現在の普通建設事業の中では最も高い充当率を適用しているわけであります。  ただいま御指摘の、最近における建築物価の異常な高騰に対応して地方債の面で独自の対応策を考えるかという御指摘でありますが、私どもは、地方債の充当につきましては常に元利償還の将来の財政負担に及ぼす影響を考えながら運用いたしておりまして、公営住宅につきましてはあくまで地方負担額に対して何%という充当方式をとっております。したがいまして、建設費の面ではやはり国庫負担、国庫補助基本額のほうの改善に対応して起債充当をふやしていくという措置をとることにいたしております。  なお、用地につきましては現在国庫補助制度がありませんので、これは各地域地域の土地の価格の実情に応じて基準単価を定め、それによって地方債の許可をしておりますが、用地の先行取得、建てるよりも先に取得する場合には実所要額に対して一〇〇%の起債充当を行なっております。
  74. 田中一

    田中一君 時間がなくなるから、急いでものを言っているけれども、大体わかりました。あなたの言うことはわかりました。  そこで住宅局長、できない場合にどうするつもりでいますか。これは全部拒否する、とてもできませんということになった場合にどうするの。補助率を上げるつもり。これは建設大臣に伺います。いま予算を積み上げた住宅局長すらどうも危険だということを言っております。その場合に、できませんと言ってお手あげになるところもあると思うんです。なぜならば、各市町村は施工能力持っておらないから、どっちみち建設業者に依頼をしなきゃならない。最近、大阪市ではもう土地が得られない、だからできませんということを言っているんです。証明は何かというと、入札制度でもって当然入札しますから、その場合に予算が不足で契約にならない、落札にならぬという現実がこれ証明します。その場合はどういたしますか、こう聞いているわけなんです。これは沢田君に聞いているんじゃない。どうです、金丸さん。
  75. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) まあ、かような住宅事情でございますから是が非でも完成をしたい、かようなことが前提でございますが、それじゃ処置はどういうことか、これに二段階あろうかと思います。一段階は、私どもの範囲内でいろいろとくふうのできる話、これも一つあろうかと思います。これはまあ地方自治体とそれぞれのケースにつきましてお話し合いをして、工事費をどうするとか、あるいは新しいくふうをするとか、かような技術的な問題も一つあろうかと思います。さらには、地方公共団体のほうで多少でも持ち出しができるか、正直に申し上げますと、そういう話も出てくるかと思います。かようなことで極力まあ進捗をはかるわけでございますが、それでもできない問題が出てくるという事態も考えられるわけでございますが、これはおそらく私ども公営住宅事業だけの話では、その時点ではないことになろうかと思います。したがいまして、公共事業全体とか、あるいは公共事業でないほかの学校その他のも同じ問題でございますので、そういう問題とよく関連をとりながら今後の事態に至急に対処していくということよりほかないと感じておる次第でございます。
  76. 田中一

    田中一君 いや、対処するとかしないということを言うけれども、どう対処するのかと聞いているわけなんだよ。
  77. 金丸信

    国務大臣金丸信君) いま局長から抽象的な説明があったわけでございますが、この問題につきましては、先生いま御指摘のように縁故債、まあ起債というようなことを考えて、しかし、これは住宅の問題ばかりでなくて、建設省としましては、公共事業は非常に大きなウエートを持っているわけですから、そういう面でいま大蔵省と折衝をいたしておるわけでございますが、その成案の上で各省とも連絡をとらなくちゃならぬと思っております。どちらにしても、この現状では単価を上げるということだけはしなければならぬだろう、このように考えております。
  78. 田中一

    田中一君 かりに融資の面で縁故債でもってこれが何とか金さえ——金ができたということだけで措置するということじゃ、私はいかぬと思うんです。適正なる単価というものが生まれるわけなんです。適正なる単価が生まれる。その適正なる単価の半分の幅でもいい、二分の一なら、半分の幅でも補助金をふやすことなんです。補助金はどうしてもふやさなきゃならぬです。場合によれば、金利も負担してやるんですよ。金利、全免してもいいんです。その金の金利は、地方公共団体の金利は全部、全免する。そうして補助金をふやす。大体、公営住宅はできて以来、一ぺんだって適正なる単価でもってやれと言ったことはないんです。全部、地方公共団体負担において、犠牲においてのみ建設されてきたことは、あなた一番承知のとおりです。いまあなた大臣になっているから弱っていらっしゃるけれども、あなた急先鋒じゃありませんか、そういうことに対する、けしからぬという。その措置とらなければこれは拒否します、みんな。こういう点について、もう少し大臣の決意を示していただきたいと思います。
  79. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 適正な単価をきめなくちゃなりませんし、また、利子補給という問題も考えなくちゃならぬだろうし、市町村の財政も、どこの市町村にしても非常に逼迫しているときですから、それに輪をかけるようなことを強要いたしましても、これを快く受けるところはないわけでありますから、あらゆる角度からこの住宅難の問題に対処するためには、そういうようなもろもろの問題点をいま大蔵省と詰めておるわけでございますが、私はそういうようなことをしてやらなければ自治体が喜んでやってくれない、こう思うわけでありますから、いま御指摘のような考え方で話を進めておるわけでございます。
  80. 田中一

    田中一君 これは想定する家賃はどのくらいになるだろう 沢田君、今度、四十七年度のもりも含めてですね、四十八年度は家賃がどのくらいになると思うか。
  81. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) たとえば四十八年度におきます第一種の中層耐火、これは全国平均でございますから、前後に開きはあるわけでございますが、一万一千三百円でございます。これが前年度実績で申しますと九千六百五十円、かようなことでございます。第二種の中層耐火構造では、四十八年度では八千六十六円、端数がこまかくついておりますが、これが前年度では六千七百七十二円、かようなことになっております。
  82. 田中一

    田中一君 耐火建築で一番安い家賃は幾らです、同じ規模のもので。
  83. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) ちょっといま数字を持ち合わせておりませんけれども、地方に建つ耐火構造は、用地費の関係で安くなろうかと思います。これは建物はどこでもたいして変わりません。そこで、そういう結果になろうかと思いますが、大体土地の値段の差によりまして、二割程度の下がりと、先ほど申し上げたものから二割程度の下がりがあるのではないかというふうに思います。さらに地方の公共団体、もちろん東京都でもそうでございますが、いまのはいわゆる算出家賃でございまして、こういうふうな、いわゆる家賃算出方式でいくとこうなるということでございまして、地方におきましては、それぞれ実情に応じまして政策家賃、すなわちこれを値下げをしておる。これは結局、前年度そのほかの事情、バランス等の事情によりまして、これを値下げしている政策家賃をやっております。そういうものの実態もございますが、おおむね私どものにらみでは、その程度の差があるのではなかろうかというふうに考えております。
  84. 田中一

    田中一君 北海道では一種で一万二千八百円、最高が。それから最低が二千四百円。二種で八千九百円、最高が。最低が千六百円。こんなようになっていますけれども、これはなんですか、政策家賃算定方式をとって市町村が自由に家賃をきめても文句はないのですね。
  85. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) 家賃の算定方法によりまして上限がきめられておりまして、いま先生のおっしゃった数字も、その算定方法によるものでございます。その範囲内で、その政策家賃を決定するということは差しつかえないことでございます。
  86. 田中一

    田中一君 そこで、いま四十八年度の家賃がどれくらいになるか、三万円以上になるんじゃないのかな。四十八年度の現時点で積算されている単価というものから見た場合には、三万円をこえるのじゃないかな。
  87. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) 詳細な計算をしておりませんが、東京都が一番高いかと思います。この場合にも三万円はこえないのではないか、三万円台ではなかろうかというふうに思います。と申しますのは、やはり東京都あたりでは、中層耐火よりも、高層のようなものをむしろとりまして、用地の負担を軽くしております。そういうふうなくふうをいたしておりますので、おそらく二万円台、計算家賃でいくと二万円台ではなかろうかというふうに思っております。
  88. 田中一

    田中一君 先年から始まっている、公営住宅入居者の総合収入が一定限度を越えれば出てくださいよという方法をとっておりますね、この前の法律改正以来。そうして収入の限度もそれぞれ毎年ですか、隔年ですか、一応下限をきめるのですか、上限をきめるのですか、そうして勧奨をしております、出てくださいよと。その人たちが入る家が、これから公共的な住宅公団あるいはその他のもので入れるという見込みを持っておりますか。入れるという見込みですよ。
  89. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) いま先生のおっしゃったのは、公営住宅の明け渡し基準のお話だろうと思います。これは現在明け渡し基準は、大体二百五十万程度の収入になった方は明け渡してもらいたい、かようなかっこうになってございます。したがいまして、二百五十万程度方々がいまの公営住宅にどのくらいおられるかというと、これは五%以下でございます。いま戸数を調べますが、数千戸でございます。したがって、私どもはこういうものに対しまして、その上の供給方法であります公団住宅、あるいは公庫の融資、あるいは公社、こういうものに優先的にワクをとって、お移りになりたい方は受け入れるという用意もしてございます。したがって、お入りになりたい方はそれをお選びになる。しかも、数が少のうございますから十分余裕があるだろうというふうな気がしております。それからまた、二百五十万程度の方と申しますと、いま現時点で全国の世帯を五分位に分けますと、大体五分位のほうに入ってしまいます。最高の分位でございます。そういう二百五十万の方の負担能力からいいますと、まあ公庫の融資でももちろんそうでございますし、かなりの住居費負担能力があって、まあ相当な住宅の獲得能力があるということでございますので、一般的には、ここに住まなきゃいけないというふうなことの条件を除けば、私どもは十分に能力があるというふうに考えております。いまの実数は全国で三千七百世帯でございます。
  90. 田中一

    田中一君 これは沢田君、君四十七、八になったね、もう。
  91. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) いえいえ、五十一です。
  92. 田中一

    田中一君 君の坊ちゃんは大学どこへ行っているの。
  93. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) 大学を昨年卒業いたしました。
  94. 田中一

    田中一君 一人きり……。
  95. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) 昨年卒業いたしたもので、まだお嫁さんはありません。
  96. 田中一

    田中一君 これは伺うのは、いまどき核家族時代とはいいながら、まあ高度成長政策によって賃金が上がったという人たち、これは何かというとサラリーマン、うんと賞与も何も上がったということ。それから物価の上昇率、教育費、そういうものをずっと見て、教育費それらを見て二百四十万の年収というものは、その生計費というもの、家賃負担といういうものはどれくらいの比率になるかということをひとつ算定してみてください、ここで。夫婦二人に子供二人となっているけれども、これがどれくらいに生計費をみるか、教育費をどうみるか。ただ二百四十万ということ、これは賞与も何もみんな入っているでしょう、全部。子供がアルバイトしているそれまでも調べるなんということはしないでしょうけれども、少なくとも夫婦二人でもって子供を育てるのに共かせぎしながらやっているという人たちは、それは年間二百万ぐらいになる人もいるでしょう、賞与その他も入れば。それはお互いの夫婦の生活を何というかすり減らしても、子供の教育なり何なりしなきゃならぬということになっている。昔はそんなことなかったのですけれども、いま大学出なきゃ一人前にしてくれないもんですから、どうしてもそうなる。そこで二百四十万なんという基準では、もはやこれは勤労者です、ほんとうに。私は国会議員になったときに四千円もらったですよ、月に。いま四十五万円。これで手に入る金というのは税金その他でもって二十万入らないんです、実際は。二百四十万の収入の人たちが税金どのぐらい取られるか。いいですか。そして子供が三人あったら、三人の教育費その他でもってどのくらいかかるか、高所得者でない時代がきているんです。物価はどんどん上がってます。物価の上昇の指数はおそるべきものがございます。まだ二百四十万基準でもって今度の立ちのきをさせようというつもりであるのかどうか、もし、つもりであるならば私は立ち上がらざるを得ないと思うんです。かわりに低廉なるうちが持てるという希望がなくなったのです、今日ではもはや。これは供給公社とか、あるいは住宅公団とか、その他にいっても、それはどうしても高くなります。したがって、かわりのうちを提供するということが地方公共団体においてはできなくなったということです、現状は。二百四十万の年収というものは手取りが幾らになるか、教育費、生計費、その他で幾らかかるかということを考えますと、これは当然是正しなければならない。二百四十万の収入で幾らの税金を取られ、夫婦二人でやってどうなるかということを考えたことがありますか。沢田君、君、月給幾らだ。手取り幾らになる。
  97. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) みんな渡しちまうものでわからないです。
  98. 田中一

    田中一君 これは現在の時点で凍結すべきです、この考え方を。金丸さん、いまの物価の上昇率というものはたいへんなものです。二百四十万で移転させる、すすめて、あなたは高給取りだからよそへ移ってくださいということをこれは凍結すべきです、この政策は。この法律をつくったときにわれわれはうんと反対したのです、ばかなことを言うなと。とうとう押し切られたけどね。これは現在の社会不安、生活の不安、これを前提として凍結すべきです。こういう非常措置をとってください。二百四十万取っている人たちが公営住宅に入れないなんということはありません。つらい思いをして入っている人がたくさんいるんです。しかし、他に三万、四万といううちに行く人もあるでしょう、まれにあるでしょう。けれども、家族構成が多ければ多いほど苦しいのです。二十万や、三十万取るのはもう平気だ、いまの時代がですよ。したがって、明け渡し請求のこの法律は、当分、物価が安定し、社会の不安がなくなるまで凍結するという意思を建設大臣お持ちください。あなたならやってくれると思うんです。そして、それを閣議かなんかで話すときには、全部こまかいデータをつくって差し上げますよ。一家の生計費はどのくらいかかるか、税金がどうなって、何がどうなっているとか、なるほどこれはひどいと、あなたの坊ちゃんも、今度は次男の方が御結婚なさるんだから、それはお子さんきっとそう思うですよ。これはたいへんだぞと、おやじのまるがかえはよかったなと思うですよ。これが現在の時点における最悪なる法律です、方法です。大臣答弁を願います。
  99. 金丸信

    国務大臣金丸信君) まあ、その中に——二百五十万、二百五十万というのだけれども、確かに二百五十万というその接点におる、その辺におる方の家族というものは、これは考えさせられる問題ではあると思うんだけれども、いやしくも会社の社長、大学の教授、こういうような人が入っておるという問題について、いわゆる世の指弾を受けざるを得ないという問題もあるわけでございますが、しかし、そういうものは数多くあるわけじゃないと私は思います。十分、先生のおっしゃる点は配慮しながら、そして強制立ちのきということのないように、親切に、そして公団なり、あるいは次の住宅があるまでとか、ひとつあたたかい方法をとってまいりたいと、こんなように考えております。
  100. 田中一

    田中一君 現在の時点で一番怒っているのは、公共施設である住宅というものが家賃が相当上がるということは、いま沢田君が説明しておりました。その上に非常に不安な生活をしているのが現状なんです。もうここにいらっしゃる大部分の人がそう思っていらっしゃる、われわれも含めて。だから、悪いものは凍結するのです。たった五%にすぎないと言っております。あなたはいま会社の重役と言っていますが、会社の社長なんというのは、とうふ屋だって会社の社長なんですからね。そんなものは形のものじゃないですよ。小売り商店の税金を少しでも安くしようと思って会社にしているところ、たくさんあります。会社の社長だからどうこうじゃないですよ。きょう発表された所得の多い会社、銀行、金融機関、証券界、土建屋——大手の土建屋、こういう方々こそ大社長であり、大重役なんであります。これは現在、現時点で、もうこれだけはあなたがはっきり腹をきめて、凍結するという決意をきめてください。善政です、これは。あなたならできると思う、どうですか。いまのような答弁じゃ納得しません。さっきはなかなかいい答弁したのだけどなあ。
  101. 金丸信

    国務大臣金丸信君) その問題は、私は、先生考え方は同じだと思うんですが、ただ社長にももちろんピンからキリまであるわけでございますが、たとえば、公営住宅の中に、ある一人の社長さんがおった。その金額をどの程度と、私、実際を承知しているわけじゃないんですが、五百万、六百万を取っておると、こういう人があって、ああいう人がいるのにという考え方、あるいは一千万取っておる、こういうような人が公営住宅にいるということ自体については、私はちょっと抵抗を感じるんですよ。だから、そういうものがあるとすれば、そういうものは一つの常識判断で出ていってもらいたいと思うし、また、実際問題として、三百五十万が四百万であろうと、この時代にそんな金たいした金じゃないと思います。私は、そういうことで、その問題については十分熟慮、配慮をしなくちゃならぬと、こう考えて、凍結しろという問題については、凍結した弊害というものはないかなと、こういうことを逆にいま一回考えてみるんですが、弊害がないとすれば、それは、こう物価高のときですから、それも一つ方法であろう、こう思うんです。反面、弊害はないのかという、ちょっと慎重さを持っているのですが、こんな御返事しかできません。
  102. 田中一

    田中一君 これは居住している総員の合計額なんです。いいですか、何も一人で二百五十万取っているのじゃないのです。奥さんがあったら、一緒に合わしたものです。そこで、大体普通のサラリーマンで二百五十万年収があるという人はざらにいます、いま。その人たちは、もはや定年になってやめる方です。やめた場合に、また入れてくれますか、ここへ。優先的に戻してくれますか、やめた人を。御主人一人でもって二十万の給与をもらう人は、賞与その他でもって二十万の給与を取っている人は大体どのくらいになるのかな、五百万ぐらいもらえるようになっているのかな、倍ぐらいは。年収といったところが、株の配当その他のものはわかりはしないのですからね、形の問題だけなんです。それは、一人が年収一千万ある、二千万あるという人をどうこう言っているのじゃないのです。普通の勤労者で公営住宅に入れる人、入った人が、いいですか、そのくらいの、二百五十万くらいの年収があるという人は、もうおやめになる時期になってくるのですよ。いまは取っている、なるほど、どこそこの会社の部長をやって取っている。しかし、もうあと三年で定年だ、大体そういう方が多いのです。沢田君だって五十幾つになって、もう局長——局長まだ短いけれども、もう二、三年たてば首になるのですから——実際そうなんです。これは実態なんです。サラリーマンの一人です、この沢田君だって。やめた場合にどうするかというのです。三分の一の年金もらって食っていくだろうけれども、いまはどっか下がって、官僚はどっかいいポストへ入るだろうけれども、これは一般の勤労者はそうじゃないです。二百五十万の年収がある人たちは、大体もうやめる時期がきているのです。二、三年たったら、やめる人たちなんです。それを、出ろなんということはないですよ。八百万、一千万と取っている人を言っているのじゃないのです。公営住宅に入れる人、入ることのできる条件を持っている人が十年なり——今日、公営住宅法でもう二十三年になります。百二十何万戸とあるわけなんですよ。その中に入っている多くの人たちは、長くいる人たちは、食うや食わずでもって子供たちを養ってきた人たちです。それが、こうした高度成長政策で、いろいろな問題を残しながらも、物価をつり上げる、物価に見合ったところの賃金がようやく二百五十万になったにすぎないのですよ。この辺で、子供の教育その他でもって、あとどれくらい長くその会社につとめられるかというと、もう夕暮れなんです。さびしいですよ。夕暮れです、もう。その場合、その環境におちいった場合にその人をどうするかという、これはあなたに——あなたがはっきり言ったのなら、ぼくはそれに対して了承しましょう。やめたら優先してここへ入れますと言うことができるなら——それは準備しておきますと言うなら、認めます。二百五十万の給料を取っている、収入がある人たちは、サラリーマンとしての晩年であるということは、あなた御存じのはずですよ。だから、凍結をなさいと言うのですよ。いけません。初めから金があるやつが入れるわけじゃないのです、公営住宅には。また、株か何かでうんともうけたのは、もっともうけたいというやつもいますけれども、そこにがんばっていようなんという人もまれにはいますけれども、そんなのはいないですよ。成金じみて喜んでしまって、もっといい家をつくりたいなんて考えるのです。芸能人なんかには、それが多いですよ。大きな邸宅をつくったり何かする。そういう階層じゃないということです、二百五十万の収入があっても。ここであなたが、それに対する——私ばかりじゃないですよ、おそらく与党の諸君だってその気持ちはちっとも変わらないと思うのです。いま、ここで答弁してくれれば非常にうれしいです。
  103. 金丸信

    国務大臣金丸信君) まあ私が半面の話を申し上げたのですが、入りたくても入れない、こういう人もたくさんいるということを考えての私はお話を申し上げたのですが、また福祉国家建設というとき、晩年をどうするかということも、これも考えなくちゃならぬ問題点であることも十分わかります。そこで、これはいろいろ創意くふうも必要だろうと思うですが、所得のワクを拡大するというような方法一つ考え方じゃないか。凍結することばかりがいいのか、その辺、ひとつ研究さしてくれる時間を与えてくれぬですかな。お願いいたします。
  104. 田中一

    田中一君 それは、先ほど言っているように、一千万、二千万持っている人、もうけてゆうゆう自適の人、それをどうこうと言いません、それは。しかし、方向としては、その人がかりに善意で一千万収入の道をはばまれている、その場合に、住宅というものはすべて社会保障の一つであるという前提に立ってお考えくださるならば、これはまた別の見方もあります。そうでなく、金を持っているんだからず太いやつだという考え方を持つならば、これはもう全然論外なんです。そんなに安定して、いつまでも楽な気持ちで高収入でおるということはないわけです。人間というやつは、経済、ことに日本の経済というやつはあぶなっかしくてしようがないのはあなたも御存じのとおりですよ。いつどうなるかわかりゃしないですよ。一人の公害病を持っている家族をごらんなさい。幾ら収入があろうとも耐えられるものじゃないんです。私のおいにも何とか病という目の見えなくなる患者が一人おります。悲惨です。そのおやじはなるほど三百万ぐらい取っています。その患者一人をかかえてどうにもならぬ、家族が、夫婦とも。医療費は十万円以上かかっているんです。だれも救ってくれるものじゃないんです。そういうケースを、それは特別だという考え方じゃなくて、いまの社会ではそうした悲惨な実態がたくさんあるということです。幸い大臣はそういう患者をお持ちじゃないから実感がないと思いますが、実際はそうなんです。私は身近に自分のおいがそういう病気になって、大学を出て、就職して間もなくそれがわかった。そのために、もうどうにもならない悲惨な家庭生活を送っている。公営住宅から出発している人生の人たちは、いろんな意味で成功者の一人であると言ってもいいくらいだ。しかし、いつ転落するかわからぬという階層でもあることは間違いないわけです。何といっても住宅というものは、これは城です。それによらなければ何にもできないことなんです。だから、国民住宅要求の声が強いわけなんです。あなたはおわかりだと思うんです。何とかその方向で検討するという意思表示をしていただきたいんです。これは沢田君だって大津留君だって同じ心境ですよ。おまえ二百四十万、二百五十万取っているから追い出すぞなんということは、いままでの高度経済成長策時代の施策であって、今日この苦しい生活というものを国民が実感としてとらえている現状においては、もはやこれは修正すべきである。凍結ということばを使いましたが、それが最善なるものであるという信念を私は持っているわけなんです。時代は変わっております。あの当時の時代とは条件がすっかり変わっております。その面で検討しようという御答弁があれば幸いであります。
  105. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 御指摘のとおり私も政治家であります。政治家としてだれしもが先生の話に反発するものはないと私は思うわけでありますが、ただ一つ、先ほど来私が申し上げましたように、半面ということを私は考えて強く申し上げたんですが、ひとつこの問題につきましては、私も血が通っております。すべてを考えまして、十分これは検討して御期待に沿えるようなひとつ何とか方向を見出していきたい、こう考えております。
  106. 田中一

    田中一君 これは大津留君、沢田君よく、ちょっとあとであなたにも言うけれども、私は公営住宅法の全面改正をしようという考えを持ったのが昭和三十二年なんです。そのときに与野党に働きかけまして一応の要綱をつくったのです。ちょっと読み上げますから——自分の書いたものを読み上げるのも何か変ですが、これは非常に大事なことですから申し上げるのですが、これは三十二年に書いたものです。「一 第一種公営住宅及び第二種公営住宅の別を廃止すること。」、住関係で人間の格差をつけるな、収入が多い少ないの問題でなくて、平等な公営住宅にしなさいということなんです。金の少ないやつは二種だ、能力のあるやつは一種だというような区別をつけるのはおやめなさいと言うのです。「二 事業主体に対し、共同施設の建設を義務づけ、床面積を異にする数種の公営住宅建設に努めなければならないこととし、また、中高層耐火建築物の一部として公営住宅又は共同施設を建設するように努めなければならないこととすること。」「三 公営住宅建設、共同施設の建設及び災害に基く補修についての国の補助率を一律に十分の七に引き上げること。」「四 家賃は、入居者の月収と同居の親族の月収の合計額に百分の十を基準として条例で定める割合を乗じて得た額とすること。」、一律な家賃法をつくれということなんです。いまの原価方式の家賃ではないということです。「五 入居者の選定については、登録制を採用し、被登録者のうちから、住宅の困窮度、同居の親族の員数、住宅の床面積、通勤の利便等を考慮して入居者を選定することとし、また、入居者の同居の親族の員数に増減があった場合には、事業主体の長は、増減後の員数に応ずる床面積を有する他の公営住宅に移転させるように努めなければならないこととすること。」「六公営住宅又は共同施設の処分は、できないこととすること。」、売ってはいけませんよということです。「七 施行期日は、昭和三十三年四月一日」、これはいいですが、「八」、これもいいです。「十八によって公営住宅の入居者が支払う家賃と、その入居者についてこの法律による改正後の公営住宅法の規定により算出される家賃とを比較して、前者が後者より」、新しい家賃になったときに、いままで入っていた人たちの家賃が、今度きめた家賃より高い場合には、これは国が補助しなさい。全部公平な家賃にしなさい。そのときに、三十二年に積算したときには、ちょうど二十数億——一律家賃をつくると一の支出で済んだということです、当時戸数も少ないものですから。そうすると、十年前に公営住宅に入った人も十年後今日入った人も同じ家賃だということです。この法律をきめるときに、前の人が安く、そのときには八百円出しておるわけです。今度のやつは一万円になった場合には国が一律に補助しなさい。これを一定年限まで補助しなさい。だんだん収入もふえてくるでしょうし、上昇してくる。こうすると家賃法がきまるのです。いまのように四十八年度公営住宅ができ上がった場合に二万何千円、三万近い家賃を払う、これに対して二十年前に入った人たち、この人は六千円で住んでいるということのアンバランスをなくする。もう家賃法をつくるときです。あなた方は、公営住宅だからこれはかりに使用料を取って貸しているんだと言っておりますけれども、民法上はっきりした借家です。これは使用者じゃないですよ、借家なんです。住んでいる者の権利は厳然としてあるのです。相変わらずあなた方は、公共施設というものは、これはどの場合でも、どけと言えばすぐ立ちのかなければならないという前提で、公営住宅の居住者に対してそういう目を向けている。それが合法であるという見方をしている。私は三十二年にこの問題をずいぶん議論をし、要求をしてきたんです。同じことをいま要求しなければならぬと思うんです。  もう時間がありませんから、持ち時間過ぎちゃったから、もっともっと言いたいことがあるんです、あるけれども、それは次に譲りますけれども、どうか金丸さん、あなたの任期中にですよ、いままでどうしてもできなかったという住宅対策に対する問題を解決してください。協力します。そうして、きわまりない変動を予想される今日の社会において、せめて住宅だけは安心して住める、安心してやれるんだという基盤をつくり上げようじゃありませんか。  これだけ申し上げて、私の質問終わります。
  107. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 非常に有益なお話を承りまして、私も勇を鼓して住宅対策に当たりたいと思いますが、先ほど申し上げましたように、住宅政策はいかにあるべきかという諮問をいたしてありますので、その答申を待ちまして、ひとつ大いに取っ組んでみたいと思いますし、また、皆さま方の御協力をひとつ心からお願いをいたす次第であります。  まことにありがとうございました。
  108. 田中一

    田中一君 ちょっと、大蔵省に——呼んでおいたんだが、ちょっと一つだけ聞きます。  実は金融機関の、土地買い占めからくる反射的なあなた方の行政指導として、住宅ローンをも選別制にするとか、それから制限をつけるとかということが新聞に書かれております。これに対してどういう対処のしかたをするのか、伺っておきたいのです。
  109. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) 土地融資の規制をいたしておることは、いま先生がお話しのとおりだと思いますが、ただ、一般金融機関が不動産業者に金を融資する場合に、一定のワクをつくって、これを縮減するように指導しておりますが、個人の住宅ローンと、それから公共団体に対するものは、別ワクにしておるわけです。したがって、それは規制はいたしておりません。もしも、そういう新聞の報道がございましたら、それは多少間違っておる、かように考えております。
  110. 田中一

    田中一君 どうもありがとう。先ほど言っているように、どんなに社会変動があっても、住宅さえ持っておれば何とか生き延びれるという知恵があるものです、人間、庶民というものは。ぜひとも、そのことを徹底するように、各銀行で誤解する向きもあるかもしれませんから、その点は十分に指導していただきたいと思います。ありがとうございました。
  111. 沢田政治

    委員長沢田政治君) では、これで、一時四十五分まで休憩いたします。    午後零時四十四分休憩      —————・—————    午後一時五十分開会
  112. 沢田政治

    委員長沢田政治君) これより委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  113. 熊谷太三郎

    熊谷太三郎君 御承知のようにセメントはたいへん不足している状態でございます。物資の不足はひとりセメントだけではございませんが、特にセメントの不足は建設工事の進捗に根本的な支障になっているわけであります。そこで、現在施工中の、あるいはもう発注しなければならない時期になっております公共工事、準公共工事、つまり公社、公団等の準公共工事、それから中央、地方を通じましたそういう公共工事の量と、それに特に必要なセメント量について、まあ、ごく大ざっぱでけっこうでございますが、御調査でもされましたら一応ひとつお伺いいたしたいと思います。
  114. 大津留温

    政府委員(大津留温君) 建設省関係公共事業に要しますセメントの所要量でございますが、これは年間約千七百万トン程度を消費しております。これは生産の総量に対しまして二三・一%、約四分の一近い割合になっております。
  115. 熊谷太三郎

    熊谷太三郎君 いま建設省関係だけの、工事の必要セメント量でございまして、まあ、おわかりにならなければけっこうでございますが、そうしますと、ほかの公共工事並びに公共工事でない民間の一般工事に要するセメント量というものも非常に多量になると思いますが、まあ、ちょっと量がおわかりじゃないと思いますが……。  それでは通産省にちょっとお伺いいたしますが、大体、通産省においては年間のセメントの需要量といったものについてのお見通しをいつもお立てになるかどうか、ちょっとその辺をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  116. 原野律郎

    説明員(原野律郎君) 通産省におきましては、毎年度当初におきまして各年度のセメントの需要量を算定いたしております。それで、ことし昭和四十七年度のセメント需要につきましては、当初六千二百万トン、対前年比七・一%の増という形での需要推定をいたしたわけでございます。しかしながら、その後非常に第二・四半期に入りまして、民間のセメント需要が非常に旺盛になってきたこと、及び十月に経済見通しのGNPの改定、補正予算の追加というようなことがございましたので、これを十月の時点においてさらに改定をし、また、二月の時点におきまして官公需の増大が非常に大きいということからさらにこれを改定をいたしまして、二月の時点におきましては当初の六千二百万トンから六千八百五十万トン、対前年度比一七・五%の増ということに改定して、現在その線での供給の確保をはからせておる次第でございます。
  117. 熊谷太三郎

    熊谷太三郎君 大体いま承りましたが、この需要に見合うために輸入といったような方法はとっておられますかどすか、お伺いいたします。
  118. 原野律郎

    説明員(原野律郎君) 最近非常にセメントの需給が逼迫いたしておりますので、まず第一に、年度当初約二百万トンを見込んでおりました輸出を内需へ転換を命じまして、その半分の約百万トンが内需に振りかわっておると思います。しかし、現時点におきましてはとてもそれだけでは間に合いませんので、現在、韓国その他からの特に袋詰めを中心といたしましたセメントの輸入をはかるように要請をいたしております。
  119. 熊谷太三郎

    熊谷太三郎君 大体いまセメント業界としましてはフルに運転をしていると思いますが、修繕中のものも運転するものとしまして、大体、現在の年間供給量の見通し、あるいは今後近い将来に増産されるとしましたら、そういう供給増加量の見通し等についてお伺いをいたしたいと思います。
  120. 原野律郎

    説明員(原野律郎君) セメントの生産能力は私ども年間約八千五百万トンというふうに推定をいたしておりまして、これに対しまして去る昨年の七月以降八〇%以上の非常な高稼働率をもちまして生産の増大につとめさせております。特に十二月の時点におきましては九四%稼働というような全くフル操業に近いような形で、特に工場の操業に危険を及ぼさない範囲では定期修理等も繰り延べをするようにという形で生産の増大をはかっておるわけでございます。  なお、四十八年度につきましては、私どもすでにセメント業界に対しまして生産設備の増強並びに流通段階におきまするサイロ等の貯蔵設備の拡張ということを要請いたしておりまして、四十八年度中には約一千万トンの設備能力の増加がはかられるものと期待をいたしております。
  121. 熊谷太三郎

    熊谷太三郎君 先ほど承りますと、大体セメントの年間の、昭和四十七年度需要量が六千二百万トンをさらに幾ばくか増加されたようでございますし、それから供給量は八千万トンということでございますから、そういう数字だけを比較しますとセメントが足りないというような、算術的なそろばんではそういう結果にお伺いするんですが、実際いまセメントは、私どもの調べたところでは別に買いだめ、売り借しみといったような事情もないと思いますが、しかし、現実に不足しておりますことはもう事実明らかであります。したがって、なぜそういう状態になるか、まあ、お気づきの点がありましたらおっしゃっていただきたい。
  122. 大津留温

    政府委員(大津留温君) 災害復旧をはじめといたしまして、公共事業を担当しております建設省としましては、その主要な資材でございまするセメントが、ことしに入りまして出回りが非常に悪くなりまして、したがって、特に中国地方、それから東海地方を中心に、市町村が行ないます災害復旧工事、これにセメントが手に入らないという現象が深刻化してまいりました。このために、本年度中に完成すべき災害復旧事業その他の公共事業がおくれまして、災害復旧事業について申しますと、来年度に繰り越しせざるを得ない額が約六十億円に及ぶと思われますが、このうち、セメント等資材不足による繰り越しが約八割、四十九億円はそれによるという状況で、私どもとしましては、この事態はまことに深刻な事態でございまして、直ちに、これを所管される通産省をはじめセメント協会に対しましても強く申し入れをしたわけでございます。  この供給不足に至りました原因等につきましては、通産省のほうの御説明を伺うほうがより適切かと思いますけれども、私ども事業執行の立場にある者といたしましては、とにかく生産をふやしていただくことと、それから輸出をやめれるものはやめていただきたい、また、輸入できるものはできるだけ輸入もしていただきたい、それより何よりも、そういったものをほんとうに必要な場所に回していただきたいということを強くお願いしまして、まあ通産当局もたいへんこれに御協力をいただきまして、生産者サイド、需要者サイドの連絡協議会を持ちまして、そういったところには優先的に回すというたてまえで協議を進めてまいっております。おかげさまでその効果も出てはきておりますけれども、しかし、実態から申しますと、まだまだのどから手が出るほどほしいところに必ずしも十分に回ってこないというのが実態でございまして、出水期をもう数カ月後に控えまして、これは何とか、そういう的確な手を打って解決しなければならぬ、こういうふうに考えております。
  123. 原野律郎

    説明員(原野律郎君) 熊谷先生指摘のとおり、数字の上では、セメントの生産能力と、現在私どもが最終的に修正いたしました六千八百五十万トンの需要というものと比較をいたしますと、十分な供給余力があるということが言えるかと思います。事実、私どもが見ております範囲におきましては、セメントの需給逼迫が非常に問題となってまいりましたのは二月の半ば以降のことでございまして、いわゆる暖冬によりまして、民間建設工事の消化が非常に旺盛であったということに加えまして、年度末の官公需要が重なった。そこへまことに不幸な事態であったわけでございますが、二月の末から三月へかけまして国鉄の順法闘争が行なわれまして、内陸工場におきましては、燃料の重油が手に入らないために焼成炉の操業を停止せざるを得ないという事態が重なったために、この年度末におきまして、非常に各方面に御迷惑をかけることになったということを非常に申しわけなく思っている次第でございます。  ただ、いま建設省官房長のほうから御説明がございましたように、私どもは現在、地域の実情に応じました具体的なセメントの需要者とメーカーというものを結びつける方向でもって作業を進めておりまして、セメントの中央の需給協議会には、建設省、農林省、運輸省及び私どもを入れました四省からなる委員会を設けまして、ここにおきまして官公需要発注計画の事前連絡、それから年間を通じましてできるだけ発注の平準化をはかっていくこと、並びに三月をどうしても間に合わなくて繰り越さざるを得ない官公需要の繰り越し量はどれぐらいあるかというようなことの算定を行なう会議を、明日持つ予定にしておりますほか、私どもの各地方通産局を中心にいたしました地域需給協議会におきまして、傘下の各府県あるいは中央の出先の各機関等の地域別のセメントの需要量、それから供給先のメーカーの支店、営業所等の出張所等を直接に結びつける方向での指導を行なっております。  以上のような対策によりまして、特に災害復旧、治山治水というような重要かつ緊急を要する工事に対しましては、セメントの優先的な出荷、結びつけを行なっておるわけでございます。
  124. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 ただいまセメントの不足の問題とそれからその対策についてお話がございましたが、昨日も災害対策委員会におきましてこの問題を取り上げたわけでございます。建設省から、四十九億のセメント不足による繰り越し工事があるという話でございます。農林省のお話を聞いていませんが、農林省あたりも、せきの災害等によりまして、かなりそういった問題をやらなきゃいかぬセメントの必要な事業がたくさんあろうかと思います。しかも、農林省のせきは、これは稲作その他に、ぜひ出水期前にやり上げないといけない、ぜひ五月までにやり上げないといけないという緊急を要する問題でございます。  そこで、私、いろいろ話を伺って疑問に思いますのは、中国地方で非常に不足している。もちろん災害も非常に多かった関係もありましょう。しかし、中国地方は、私が考えてみますと、セメント工場は小野田セメント、宇部セメントというような生産工場の大きなやつがございます。そこで、その中国地方で足りないという理由を私にお聞かせ願いたいと存じます。
  125. 原野律郎

    説明員(原野律郎君) 御指摘のとおり、中国地方が非常に全国的に見ましても需給が逼迫しておる、かつまた、その需給の逼迫のあらわれ方も非常に早かったということがいわれまして、私ども特に中国地方につきましては、注意をして、各県別の動向までチェックをしておったわけでございますが、確かに中国地方におきましては、昨年の十月の時点におきまして、前年同月と比較いたしまして五五%という非常な需要の増大がございました。以降、十一、十二と、三六%、三四%増というような増加を続けてきておりますので、私どもは特に中国地方に対しましては、これを重点供給地区という形で指定をいたしまして、三月時点におきましては、前年同月比で五六%増のセメントを供給すること及び地元のセメント工場から出荷するセメントは、優先的に地元の需要にこたえるようにすることということを、広島通産局を通じて指示をいたしております。
  126. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 まあ指示をされまして、たぶんそのように行なわれるだろうと私は思いますが、ただ、こういう事態になるまで放置されておったということは非常に問題であろうかと思うわけです。災害復旧の問題はセメント需給計画の中に災害復旧の査定がきまり次第当然起きてくるという問題でございます。それが大体十月ごろきまる。そうすると、各省のセメントの需要数量というものは大体把握できる、そのころからどの地点にどの程度のセメントが要るというのは、年度内のセメント需要量というのは大体見当がつくと思うんです。そこで、どうも今度のセメント不足の問題と災害対策ができないという点で非常に私は残念に思っておるわけですが、まあ、いまから努力していただいてさようなことがないようにしていただきたいんですが、今後の需給計画にそういったものを具体的に織り込んでいただくということが非常に必要であろうかと思います。もちろん補正予算も出ましたし、いろんな点でセメントの需要が非常に多くなったということはわからないわけではないですけれども、しかし、それらに対する少なくとも官公需の発注のものでございますから、少なくとも需給調整協議会で十分の協議ができたというぐあいに私は思うわけです。まあ、これ以上、私は関連でございますので質問はいたしませんけれども、もっとそれらの見通し的な問題で需給調整を十分やっていただきたいと思うわけでございます。  それからもう一つは、災害とか補正とかいわゆる景気対策の問題もございましょうが、そういうのを出される事態というのはもう大体事前にわかるわけでございます。実はセメントの六千五百万トンに対しまして八千五百万トンの需要がある。そうすると、すでに二千万トンの不足を生じておるわけでございますが、セメント工場には私は余裕のキルンが比較的少ないんじゃないかという気がするわけでございます。秩父セメントの工場で焼成炉がストップしておるという話を聞きますけれども、全国的に余裕の焼成炉が少ない。東北に東北セメントでございますか、そういったものがいわゆる東北開発金融公庫の融資によって公的に行なわれておるという話を聞きますが、もっとそういう点を考慮されまして、今後の増産設備にひとつ具体的に地域的な需要ができるような態勢のキルンの増設についてぜひ御研究をお願いしておきたいと思うわけでございます。  関連でございますので、答弁は要りませんから。
  127. 熊谷太三郎

    熊谷太三郎君 では結論だけ簡単に申し上げますが、いずれにいたしましても、計画としては、見通しとしては供給量が需要量を上回ること千数百万トンということになっているわけでありますし、また需給計画協議会というものもおつくりになって需給計画をお立てになる、あるいは重点的にこれから振り向けるといったようなこともいろいろむろん御検討になっておりますけれども、しかし、いずれにいたしましても現在ないし近い将来におきまして、このような現実の需要に見合うだけのセメントの供給は困難ではないかと考えるわけであります。このために公共工事の推進ははばまれておりますし、それからもう一つ見のがしてならないことは、このセメントを直接使いますたとえば左官業者、中小の左官業者でありますが、これは労務だけを提供する業者もありますし、セメント持ちで工事を請け負っているといったようなものもありますが、この中小業者が非常に困難を痛感しているわけであります。そういう中小の左官業者等の仕事が進まないということは、これらの業者が困るというだけでなしに、やはりそういう小さい業者によっていろいろ国民生活に必要な問題がはばまれているというような状態でありまして、業者なりそれに関係ある国民としては、小さいことのようでございますが、こういう問題がやはり政治の上に、政治の不信といいますか、そういうことにはね返ってくるわけだろうと考えざるを得ないわけであります。  それから、このセメントの不足に乗じまして、業界については、先般も公取委員会において、この不足に乗じて不当に価格をつり上げるということがないかどうか御調査になっているそうでございますが、現に生コン業者はすでに一割のアップをいたしまして、そしてそれを実施している。この傾向はますます今後強くなってくるんじゃないかと思うわけでございます。したがって、需要に見合うだけの供給がある程度確保されますまではということは、そういう中小業者の左官業者等の需要も御考慮の中に入れていただいて、そうしてそういう供給がある程度円滑になるまでは、公共工事の発注等についてはその時期的な調整を私どもはお願いしたい。どうせ足りない状態で発注されましたところで工事は遂行できませんし、それだけではなしに、やはりセメント業界を通じて悪質なインフレというものが助長される一因になるのではないか。できないのに無理に工事を発注されて、やはり業者の実態というものは、あとのことはとにかく仕事だけは取ってしまおうというようなそういう業界の実態でもありますから、それでますますセメントの値段がつり上がるというようなことで、値段さえ出せば供給を得られるというものなら別問題でございますが、供給が得られないのに価格だけがつり上がって、そうしてインフレを助長する一助になるということはたいへん残念ではないかと思うわけでございます。この点におきましてセメントの需給計画等がある程度調整の見通しがつくまで、建設省のお講義だけではなしに、ひとつ建設省から呼びかけていただきまして、そうして一般の公共工事等の発注についても、ある程度見込みがつくまで時期等について考慮していただくというような御配慮がぜひ政治的に望ましいんじゃないかと考えますので、建設大臣から御所見を承りたい。
  128. 金丸信

    国務大臣金丸信君) このようなセメントの逼迫事態になりまして、いろいろ私の耳にも入ってまいりますし、ことに中小業者、先生のおっしゃる左官業者というような人たちが倒産寸前だというような状況も耳にいたします。このような結果になったのは、どういうようなことになるんであろうかと、私もいろいろあれやこれやと考えてみたわけでございますが、これは膨大な公共事業予算もあります。それに対しては、セメントの需要というものに対する対策も考えなくてはならぬことは当然でありますし、あるいは流通機構の問結も考えなくちゃならぬ、あるいは輸送の問題も考えなくちゃならぬ、あるいはセメントをつくるいわゆる燃科の問題も考えなくちゃならぬ、原料の問題も考えなくちゃならぬ、あるいは労働力の問題も考えなくちゃならぬ、いろいろ総合して考えなければならぬと思うわけですが、いわゆる物動計画が全きを得たかと、こういうところに一つ問題点があるんじゃないかという私は感じがいたすわけでございますが、今後かようなことのないように十分注意してまいりたいと、こう考えておるわけでございます。  そこで、現実の問題をどうするかということでございますが、現実の問題につきましては、いま災害復旧の問題につきましては、これは急を要することでございますから、まず第一にやるということでございますが、災害復旧以外の任事につきましては、建設省関係においては、できるだけひとつ繰り延べられるものは繰り延べていこう、そしてセメント需要を緩和していこう、なお、地方公共団体にもそのような趣旨を通達しようと、こういうような考え方で、この場を、少しでもセメントに余裕を持たせるようなことを考えておるわけでございまして、建設省も寄り寄り相談をまとめまして、最近のうちにその通達を出す予定にはなっておるわけでございます。
  129. 二宮文造

    ○二宮文造君 私は先般の金丸大臣の所信表明に対しまして、主として土地政策について質疑を続けてまいりたいと思うわけであります。  午前中は同僚の田中委員から住宅政策について質問があったわけですが、一月二十六日に地価対策閣僚協議会、これを開かれまして、いわゆる土地対策要綱というものが決定を見て、今国会にそれを中心にしてもろもろの施策が提案される、こういうお話になっております。大臣もまた所信表明の中に、そのことを冒頭に掲げられて、土地政策に取っ組む姿勢というものを明確にされているわけですが、ただ私、この大臣の所信表明を見ましても、それからまた、土地対策要綱ですね、これを見ましても、これほど緊急性を要する土地対策について、緊急という文字をどこにも使っていない。現下の情勢に「対処するため」とか、あるいは「一日も早く」もろもろの施策をとりたいとかいう表現はありましても、待望の——こう話している最中にも地価は値上がりしているわけですね。そういう性質が緊急性を帯びるにもかかわらず、要綱そのものには緊急という字は避けている。さて、そういうふうな土地対策要綱では、はたして問題に対処できるかどうか。そこで、私は、田中内閣の売りものが決断と実行ということですし、大衆もまたそれを非常に期待したわけです。決断と実行には必ずその頭に緊急というものがなきゃいけません。そういう趣旨から考えてみますと、今日の土地問題について緊急に処置をしようとする、そういう対策が必要ではないか。まず冒頭に、それを加味しながら現在の土地問題に大臣としてどう対処しようとするか、これをまずひとつ冒頭にお伺いしたい。
  130. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 土地問題は非常に重要な問題であることは申すまでもないわけでありまして、ことに、大都市地域における最近の地価の値上がりというものは、異常な値上がりをいたしておるわけでございますから、この問題は、いわば土地住宅という問題にも関連をいたしますし、この問題を解決せずして、ほかにもう政治問題がないと言っても私は過言でないと。この土地の問題も、いわゆる三大都市、東京、大阪、名古屋、この辺のところを解決することによって、何とか土地問題も住宅問題も解決つくのだろうと、こういう感じが私はいたしておるんですが、緊急ということばを使わなかったという点については、いろいろニュアンスの点もあろうと思いますが、まさに、私の気持ちは緊急の気持ちで訴えておるわけでございますが、全く、この土地問題は、このまま放置しておったらどうなるんだと。若い青年は奥さんをもらって希望を持って働こうとしても働けない。こんなことでは、もう先に望みがない。いわゆるデカダンな気持ちになって、希望を捨てて、将来に対する勤勉さというものをなくしたら、将来の日本はどうなるんだろうか。こういうふうなことなんか考えてみれば、この問題を解決せずして、ほかに解決する問題はない。まず、これが解決する最大の問題であると、こういうように考えておるわけでございまして、この問題に対処して、閣僚協議会等でいろいろ土地要綱等をきめ、税制の問題や、その他いろいろきめたことは御案内のとおりであるわけですが、まあ土地にいたしましても、先ほども私は申し上げたんですが、土地というものは、この時点へくれば公益優先であるべきものである。土地というものは、いわゆる国民の保有する領土だと、こうまで私は極言をいたしておるわけでございますが、そういう意味で、相当な制圧、抑制をしてもいいんだと。そうしてまた、大企業等の土地買い占めというような問題に対しては、相当きびしい姿勢で臨むべきであるというようにも考えておるわけでありまして、どちらにしても、この土地問題という問題は、きょうの最大の政治の大きな大きな宿題であると、こういうように私は考えておるわけでございます。
  131. 二宮文造

    ○二宮文造君 午前中は田中委員から、住宅というのは城であると、こういう発言がありました。また、いまは、いみじくも土地は領土であると大臣から発言があった。なるほど、双壁をなす建設行政の中の大事な問題であろうと思います。そこで具体的に、一月二十六日に土地対策要綱を閣議決定された。ただ、私ども土地問題をこうやって検討してまいります場合に、ここは、場所は建設委員会でありますけれども、いわゆる日本の行政が縦割り行政になっておりますし、この土地対策要綱一つ見ましても、各省にまたがる対策が出てくるわけです。  そこで官房長、たいへんめんどうなお願いで恐縮なんですが、この土地対策要綱の項目について、今国会で措置をされようとするその問題について御説明をいただきたいと思うのです。新しい法律案の提出とか、あるいは改正とか、具体的に案件の件名ですね、これをあげながらひとつ概略御説明いただきたい。計画局長でもけっこうです。
  132. 高橋弘篤

    政府委員(高橋弘篤君) 一月二十六日に政府できめました土地対策要綱というものにつきまして、法律に関連のある項目につきまして、順次、簡単に御説明申し上げます。  最初は、法律の名前を申し上げますと国土総合開発庁設置法でございます。御承知の、国土利用の適正化をはかり、その総合開発を積極的に推進するための機構でございます。御承知の総理府の外局でございます。これは二月七日に衆議院に提出されております。  それから国土総合開発公団法、これは国土総合開発を進める、特に地方都市の開発整備の業務を行なうというものでございます。二月十九日に衆議院に提出されております。  それから国土総合開発法でございます。この内容は、あらためて申し上げるまでもなく、全国総合開発計画を樹立する、また全国土にわたる土地利用基本計画を策定すること、さらにまた土地取引の規制及び土地利用についての規制というものが内容になっておるのは御承知のとおりでございます。国土総合開発法の全面改正、これは三月二十七日に閣議決定になっておるわけでございます。近く国会に提案されることと存じます。  それから、この国土総合開発法、ただいま申し上げました土地利用につきましては、具体的には、それぞれの地域に応じた各省の所管の法律でその規制の強化をはかるということになっております。順次申し上げますと、建設省所管のものでは都市計画法及び建築基準法の一部改正でございます。御承知の、開発許可の対象区域の拡大、開発許可基準の追加、それから開発行為の範囲の拡大、市街地開発事業等予定区域の創設というものを内容としたものでございまして、二月二十八日に衆議院に提出されております。  それから森林地域につきましての土地利用規制の強化のための森林法の一部改正でございます。いままで保安林につきましてはそういう規制がございましたけれども、保安林以外の森林につきましても新たに一定規模以上の森林の土地の形質変更を規制する、許可制度でございます。そういうものの内容にしました。その他いろいろ改正案の内容がございます。そういうものの改正をはかります森林法の改正でございます。三月二十九日、本日の次官会議できまります。これは農林省の関係でございます。  次は、自然環境保全区域、自然公園区域、こういう区域につきましての土地利用規制の強化でございまして、自然環境保全法の一部改正、自然公園法の一部改正、それぞれ環境庁所管でございます。内容は、両地区におきまして、開発行為につきましては届け出制を一部許可制に改めるというものでございまして、これにつきましては、なお環境庁が中心になって検討を続けている次第でございます。  それから、いままで申し上げましたのと少し性質が違いますけれども、工場環境を整備するという趣旨の工場立地法、これは通産省所管でございます。三月十六日に衆議院に提出されております。  それから地価公示法の一部改正でございます。これは御案内のとおり、従来の市街化区域から、市街化区域以外につきましても地価公示を行なうという内容のもの及び地価公示価格につきましては一般の土地取引におきましてもこれを手法としなければならないという責務を規定したものでございまして、建設省所管でございまして、三月二十日に衆議院に提出されております。  それから、以上は土地利用計画その他の土地利用規制関係のものでございますが、税法、土地税制の関係で、御承知のように、租税特別措置法の一部改正、法人の土地譲渡益に対する課税の強化、これは二月十七日に衆議院に提出されております。  それから地方税法の一部改正、御承知のように、これは特別土地保有税の新設でございます。やはり二月十七日に衆議院に提出されておるのでございます。  それから公有地の拡大の推進に関する法律の一部改正でございます。土地の先買い制度を拡充、強化するという趣旨のものでございまして、三月二十日衆議院に提出されておる次第でございます。  大体おもなものは以上申し上げたとおりでございます。
  133. 二宮文造

    ○二宮文造君 いま計画局長説明していただいた中で、たとえば六ページの「宅地供給の促進等」の「一」の「宅地開発事業の促進」、これに対応する案件はないんですか。
  134. 高橋弘篤

    政府委員(高橋弘篤君) ただいま申し上げましたのは、今国会で法律改正を要し、提出する予定のものでございますが、宅地開発事業につきましては、関連公共の整備について特別の配慮を行なうという意味におきまして、いま、まだいろいろありましたものですから申し上げなかったのですが、さらに申し上げますと、一つは、関連公共につきまして一番問題になりますのは学校建築でございます。これの補助率、負担率のアップの問題義務教育学校施設費国庫負担法の一部改正、二月十六日に衆議院に提出になっております。  それから宅地開発供給を促進するための手段としまして、農協等が農地のレンタル方式で促進しようという意味におきまして農業協同組合法の一部改正、三月六日に衆議院に提出になっておる次第でございます。
  135. 二宮文造

    ○二宮文造君 ただ、いろいろ施策をされようとすることはよくわかりますが、私どもの一番心配しております当面の問題について、いわゆる即効的な効果を及ぼすようなそういう手はないのか。たとえば総合開発庁の関係もけっこうです。しかし、一番いまやかましくいわれております土地利用基本法の制定にしましても、五十年の三月を目途にする、こうなってきますと、それまでの虫食いの状態は一体どうなるのか。現に虫食いの状態になっております、地方においても。ですから、これは二律背反のようなかっこうになるわけですね。都市あるいはまた大都市では宅地供給を促進しなければならない。ところが今度は、地方ではいわゆる環境保全のため、あるいは災害を防止するため、先ほど大臣の言われた大企業が買い占めをしていく、こうなると、非常に問題になっております。両々相合わせて地価がウナギ登りに上がっているわけですね。国民が待望しているのは——なるほど長期的な展望に立った一つ土地政策というのも必要です、ラインを引くためには。しかし、当面です、いまほんとうに国民が問題にしているような、当面の課題について政府は何をやろうとしているのか、この点がどうもいまの案件の説明の中からは、そのものずばり出てこないのですが、当面効果を発揮するような対策というものは建設省としてはどう理解されていますか。
  136. 高橋弘篤

    政府委員(高橋弘篤君) ただいま御説明いたしましたのは、御質問に応じまして法律の案件を簡単に申し上げたわけでございます。土地対策を解決するためには、先生おそらくお気持ちの中にはあると思いますけれども、何といいましても、宅地需要に対して、国民大衆に対して供給をもっとふやすということが必要だということと同時に、現在地価を高騰せしめておるところの原因を除去するためにいろいろな規制が必要だということだろうと存じます。その点につきまして、ただいま申し上げました各法律につきましては、時間の関係で簡単にしか申し上げなかったわけでございますけれども、内容は、それぞれ成立をさしていただきましたならば、直ちに四十八年から効果をあげるというものがたくさんあるわけでございます。ただいま御例示にあげられました全国の総合的な開発計画、これは五十年と書いてございますけれども、全国的なものでございまして、全国にわたる土地利用基本計画、これは五十年というんじゃないんでございますが、直ちに都道府県を指導してつくります。それから先ほどちょっと触れました土地取引の届け出、勧告制度というようなものにつきましても、これは直ちに適用になるわけでございます。特定地域における土地利用規制の強化ももちろんのことでございます。さらにまた、特別規制区域というものにおきましての土地取引の許可制度というものも、これはもう直ちに効果をあげるものでございまして、そういう土地利用規制の強化が、法律をお認めいただけますと、四十八年から動いてくるわけでございまして、それによりまして、投機的な土地取引の規制なり、また乱開発の規制ができるというふうに存じておる次第でございます。同時に、土地税制につきましては、これはお認めいただければ、それぞれ効果をあげるべく措置されるわけでございまして、何も五十年ということではもちろんございません。経過措置はございますけれども、これは直ちにやはり実行できるものでございまして、土地税制を通じまして、土地を持っておることが、これはもうけにならない、得にならないということの効果があらわれてくるというふうに考えておる次第でございます。
  137. 二宮文造

    ○二宮文造君 計画局長、だいぶ強気でお話しになったんですが、ことしの末あたりに、また、遺憾ながらというふうな前文句がつかないようにですね……。  まあ法案そのものの内容につきましては、それぞれのまた審議の場所がありますから、そのときに内容をお伺いすることにして、問題点はそのときにこまかく御質問したいと思っておりますが、ただ、私どもこうやって国会に出てまして、とにかく地方へ帰ってもう顔向けできませんね。どうしてこんなに物価が高くなるのですか、どうして土地が高くなるのですか、三十年も四十年もつとめていて退職金で家の一軒も建ちませんと。何だかこう肩身の狭いような思いで陳弁これつとめなければならない。これはもう政府のかわりに私ども帰って陳弁これつとめておるわけですが、たとえば地価公示法の一部改正について今度もお出しになる。しかし大体その地価公示法を制定した趣旨というものは、これは私の浅い理解ですけれども、とにかく土地の価格ですね、これをさや寄せしたい。そうでしょう。とにかく地価公示法に準拠して取引がされることを期待しながら地価公示法というのをずっと広げていったわけですね。ところが実際問題としてこれは何ら拘束力はないわけです。いま改正されようとするのにも、それはまだ織り込められないわけですね。じゃあ具体的な、どんな問題が出たかといいますと、たとえばこの間のNHKのあと地。これは、あの周辺の地価公示法による地価公示価格というのは一体幾らになっていましたか。
  138. 高橋弘篤

    政府委員(高橋弘篤君) あのNHKのあと地寄り約五百メーターのところで新橋一丁目二十八番の一でございますが、これで平米——これはいままで公示しているのは昨年でございます、四十七年一月一日の価格でございますが、平米当たり百八万円、坪に直しますと約三百五十六万円ということでございます。
  139. 二宮文造

    ○二宮文造君 これ一カ所ですか、この周辺で。この新橋一丁目二十八番の一というのは、内幸町のNHKあと地、あれから直線に出たかどですか。
  140. 高橋弘篤

    政府委員(高橋弘篤君) ただいま申し上げましたのは協和銀行の敷地でございまして、これは一番近くは、これだけでございます。それから少し離れますと、千代田区丸の内三菱本館でございますね。これが平米当たり、やはり四十七年一月一日で百三十三万円、坪で四百三十九万円。御承知のように、この地価公示の地点は、それぞれ、その地形だとか、それから社会的、経済的ないろいろな条件に応じまして評価されておるわけでございますので、直ちにこれがそのままじゃなくて、それを基準にしまして、いろいろなその周辺の地価の評価をするという基準にいたしまして地価の算定をするということになっております。
  141. 二宮文造

    ○二宮文造君 大臣お聞き及びだろうと思うんですが、NHKのあと地は、御存じのように坪一千百万円をこえましたね。それから同じようなあの一角で、大蔵省の別館と称する国有財産ですね、これがたしか昨年の暮、十二月の二十七日だったと思いますが、第一勧銀に払い下げされましたね、売り渡しされた。それが四百九万円程度だったと思うのです。NHKというのも、御存じのとおり予算、決算は国会で承認をする、まあいわば政府機関のようなものですね。公的な機関ですね。それから同じように今度、大蔵省の財産、もう向う三軒両隣と言ってもいい関係のこの二つの土地が、一方では入札によって坪当たり一千百万円をこえた。大蔵省の所管の財産は随意契約で四百九万円で、これは入札も何にもしない随意契約で第一勧銀に売り渡しをされた。こういうふうな、いわば政府並びに政府機関に準ずるようなところが関係をする土地の売買にこれほどの格差があっていいものかどうか。しかも、その地価公示法ですね。地価公示法という、そういうもの、これからどんどん推進しようとする建設省の鼻づらをなでてしまうようなやり方を政府自身がやってしまう、こういうやり方でいいものだろうかどうか、大臣のいわば所感の一端をお伺いしたいと思う。
  142. 金丸信

    国務大臣金丸信君) NHKの問題につきましてはまことに迷惑千万な話でありまして、非常にこの問題は社会問題を起こしたことは御指摘のとおりであります。  そこで、今度、国総法の中に、いわゆる著しく地価公示法より高いものについては中止勧告ができるという規定を入れたわけでございますが、ただ、私はNHK側でもないし、逓信委員会でもないわけでございますが、当時あの売買の問題について逓信委員会では高く売れと、こういう注文をつけたという話を聞いておりますし、そうして、その注文の結果が競争入札というようなことで、入札の一番高いところをとると、こういうようなことをした。そういうところにこんなような結果が出て、まことに遺憾千万でございますが、まあ実際問題としては、常識としては判断できない、こう私は考えております。
  143. 二宮文造

    ○二宮文造君 NHKの問題、これはもう大臣のおっしゃるとおり遺憾千万です。ただ、私は両者をなぜ例に出したかといいますと、まず計画局長にお伺いしますが、この新橋一丁目二十八番の一は、お話によりますと、四十七年一月の地価公示価格ですね。四十八年一月はそれから類推しますと、どれくらい値上がりを見ますか。
  144. 高橋弘篤

    政府委員(高橋弘篤君) これはまだ発表になっていないわけでございますけれども、大体推定は四百五十万強であろうかというふうにいわれております。
  145. 二宮文造

    ○二宮文造君 いまお聞きのとおり、この新橋一丁目二十八番の一のこの公示価格は、四十七年は一月三百五十六万円、四十八年一月は大体四百五十万円だろう。よろしいですか。大蔵省が別館をその第一勧銀に売り渡した金額は四百九万円だったと思います、私もその数字明確に覚えておりませんが。しかも、これは随意契約だと。なぜ随意契約にしたかといいますと、時価の三割増しで有利に売れるから随意契約にしたんだと、こう言っているわけです。どこに四百九万円が時価よりも三割も上積みされたという根拠が出てくるか。出てこない。これは明らかに国損です。こういうこと、一方ではむやみやたらに高くしてしまう。一方では国の行政機関が地価公示法をしんしゃくしないような、そういう売買を平気でやってしまう、おひざ元で。これに対しては私は建設省として大蔵省に一言なかるべからずだと、こう思うんですが、この点いかがでしょう。
  146. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 確かにそういう点はもう認めざるを得ないわけでございますが、ただ、この地価公示法もまだ国民に定着していないという点もあろうと思いますので、十分にわれわれもこれを広報につとめまして、国民に周知させる。そして国民の目安にし、あるいは公共事業のですね、これを買い上げる算定の基準にするというような方向に持っていき、また、これだけでは実際問題としては有効な形にはならない、そこで相続税の課税の問題もあります。固定資産税の税率の問題もあり、そういうものを一本にして強固なものにするところにこの地価公示制度の私はあり方があるんじゃないかと、こういうように考えて、また、政府自体もその方向に考えをできるだけ早くまとめると、こういうことでございますから、三省いま話し合いをいたしておるところでございます。
  147. 二宮文造

    ○二宮文造君 わかりました。地価公示法の取り扱いについてはわかりましたけれども、私もう一つ大臣に、いわゆる大蔵省の国有財産の払い下げのしかた、しかも随意契約で時価の三割増しだという説明をしながら、地価公示価格にも及ばないような、本来ならば、三割増しなら坪単価六百万円で売らなきゃならないわけです。それを四百九万円で第一勧銀、これに払い下げをしたということについて大臣の所信はどうかとお伺いしている。具体的な問題でひとつ……。
  148. 金丸信

    国務大臣金丸信君) その話につきましては、私もまことに不合理の話でありまして、いま一応不合理だと申し上げただけですが、それについてはこういうことをお互いの政府の中でやるということになったら、これは地価公示法も何もあったものじゃないということになりますし、おそきに失するわけでございますが、大蔵省へひとつ十分に抗議を申し込んで、今後こういうことのないように、ひとつ是正をしてもらうような注意を喚起いたしたいと、こう考えています。
  149. 二宮文造

    ○二宮文造君 この問題は、まあ、わき道ですから、あまりくどくあれしませんけれども、ことほどさように一つ一つ土地対策に対する施策が、方向性としては納得できるけれども、その具体的な経過の中で、何かこう目の前に阻害されているような、そのために土地対策が進まないという感じが私はしてならぬわけです。ですから、せっかくこういう機会に、まあ、これだけ政府が懸命になって取っ組もうという姿勢だけは認めます。しかし、それにはよほどの決断、よほどの対策というものがなければ進まないんじゃないかということで一つ申し上げたわけです、具体的な例として。  それで、その次に、今度は、先ほど御説明のありました土地新税の問題ですがね。まあ、私どもも昨年非常に短時日に調べたんで調査も不十分でした。また、全貌も明確につかむわけにはまいりませんけれども、全国の土地の買い占めの状況、これはもうほんとうにはだが寒くなるような、そういう実態が出てまいりました。そこで、四十八年度から法人に対する土地の譲渡税とか保有税とか、こういうのが新設される、そのための法律的な手当てがいまされているわけでありますけれども、伝えられるような税率ではたして地価高騰を抑制する、こういうことに効果があるかどうか、これは私いまの時点では疑問です。ただ、土地にからまる譲渡所得、国税庁の発表によりますと、昨年度でしたか、国税庁の査察の結果、脱税の一番多い業種が医師、病院経営者、二番目が不動産業、建設業、こういうふうに大口脱税のリストが国税庁の査察の結果明らかにされました。私は、はたして国税庁がこの土地の新税について実効があげられるかどうだろうかという心配を持つために、この問題だけをお伺いするんですが、その前に、国税庁の査察の結果、いわゆる不動産業の脱税の概況ですね、これをひとつ御説明願いたい。
  150. 吉田冨士雄

    説明員吉田冨士雄君) 国税庁の直税部長でございます。ただいま先生のお話の四十六年、四十七年におきます不動産業者の逋脱の状況でございますが、先般発表いたしました、先生のおっしゃいましたとおりワーストテンの中で、土地売買業が第二位でございまして、それから家屋建て売り業が第四位でございます。これは個人所得につきましての増差の大きい順から並べましたので、第一位が病院、第二位が土地の売買業でございますが、その一件当たりの金額で脱漏所得額は約四百万円でございます。これは個人でございますので四百万円で、四十五年が四百万円で、四十六年が五百十一万円で、申告に対しまして大体九一%の脱漏割合、つまり申告を一〇〇としましたら実際の所得が一九一のところを九一だけ脱漏した、そういう脱漏割合でございます。さかのぼりまして四十五年につきましては、不動産売買業は第五位でございまして、家屋の建て売り業は第二位でございます。その順位がちょうどひっくり返りまして、四十六年は不動産売買業のほうが第二位、家屋のほうが第四位になっております。
  151. 二宮文造

    ○二宮文造君 私、これですね、いわゆる土地売買業あるいは宅地建物ですか、仲介業といま言われましたか。
  152. 吉田冨士雄

    説明員吉田冨士雄君) 家屋建て売り業でございます。
  153. 二宮文造

    ○二宮文造君 家屋建て売り業。これはあれですか、土地売買業、それから建て売りですか、これは全員を対象にしたんでしょうか。あるいは氷山の一角式にわれわれは理解していいんでしょうか。いわゆる税務署の人員の問題等も出てきまして、おそらく私の理解では、たまたまひっかかったのがこういうことになってきたというふうな感じにしか受け取れないんですが、この点はどうでしょう。悉皆調査をされたかどうか。
  154. 吉田冨士雄

    説明員吉田冨士雄君) 国税庁の、この発表しました計数あるいは調査の性質と申しますか、内容でございますが、ただいま先生のおっしゃいましたように、国税庁も個人の事業所得者全部を現在調査する体制にはなっておりませんので、これはこの場合ではなくて、あらゆる事業につきましてなるべく大きいものから、申告所得あるいはその他の資料がありまして脱漏所得が見込まれる場合に、できるだけ大きいものから選ぶというやり方でやっております。また、若干小さくても、先ほど申しました脱漏割合と申しますか、申告に対します脱漏の割合が大きいもの、絶対額でなくても、脱漏の割合の大きいものもやはり悪質と見まして、できるだけ大きい順、悪質の順から選んでおります。それで実地調査をいたしまして、その実地調査の結果の増差が大きいものから並べたものでございまして、これは病院にいたしましても、医者にいたしましても、大体同じ実地調査の割合でございますが、先生のおっしゃいますように、悉皆調査ではございません。ごく部分的な調査をやっておりまして、しかし、その部分的な調査の中では医者とか不動産業とか、あるいは家屋の建て売り業とか、こういうものはほかに比べてはウエートを高くしろというぐあいにして、四十五年から実は重点業種といたしまして調査をしております。しかし、それにいたしましても悉皆調査ではございません。
  155. 二宮文造

    ○二宮文造君 現在ですらそういうふうな状況なのに、新たに大企業などの土地の譲渡益ですね、これを中心にしていわゆる新税を賦課していくわけですが、これはどうでしょうか、国税庁の現在の陣容なり何なりで、大体、売買価格というのは土地の場合はつかめないのが実態でしょう、どうですか、これ、現在の状況でやっていけましょうか。
  156. 吉田冨士雄

    説明員吉田冨士雄君) 二つの問題がございますので、最初に、あとのほうの御質問である調査の場合に取引の内容をどの程度つかめるかという問題でございますが、これはなかなかおっしゃいますようにいろいろ苦労しているところでございます。特に、非常に大きな会社で、わりあいに帳簿組織のはっきりしている場合には、比較的きちんと数字等が出ている場合が多いわけでございますが、中の法人あるいは個人の場合には、なかなか帳簿のほうも完備してない場合が多うございますから、その点でなかなか把握しにくいのが一つと、それからもう一つは、そもそもわりあいに、これは残念なことなんですが、この業界の取引では、いわゆる二重契約と申しますか、そういうものが他の業界に比べまして非常に多うございますので、だんだんと税務署のほうも、四十五年以来重点的にやってまいりましたので、いろいろ手口と申しますか、勉強はしてまいりますが、さらに先々といろいろ新しいアイデアが出てまいりますので、これをお互いに知恵の比べっこで、いろいろ調査手法を開発しながらやっておる段階でございます。さらに第三番目は、いわゆる中抜きと申しますか、登記の関係を押えていただけではなかなかわからない。どうしてもやはりまん中の辺が抜けているという中抜き業者が多いという場合。それから特に法人の不動産業者を仲介している場合には、いわゆる赤字の法人を使いまして、そこで黒を消すというようなやり方もよく発見されているわけでございます。このように、われわれとしましては、いろいろな調査手法を用いましてやっておりますが、他の業界に比べてなかなかその点では調査のほうでむずかしい面が多いというように考えております。  それから最初の御質問の、これではたして土地税制がうまくいくかどうか、現在の陣容でどうかというお話でございますが、実は土地税制ができます間、御承知のとおり、税制調査会でいろいろ議論したわけでございまして、法人の重課の場合と、それから保有税の場合、場合によれば空閑地税の問題いろいろ議論いたしまして、その際に、税制調査会に、ただいま先生お話しのような、国税の現状、税務執行の現状、詳しくお話しいたしまして、われわれといたしましては、ぎりぎり、こういう場合にはできるけれども、こういう場合なら非常な大きな問題があって、現在の執行の体制ではなかなかむずかしいということをいろいろ詳しくお話しいたしまして、その結果、いろいろ執行の面も考えていただきまして、現在、法人を中心にしました——わりあいに帳面がしっかりしていますが、それに対する二〇%の重課を国税でやる、それから土地保有税、これは非常に国税でやる場合には問題が多うございますので、地方税のほうでやっていただくというかっこうになりまして、しかし、そこは両者がよく連携してやらなければいけない。それにしましても、先ほど先生お話しのように、土地問題は国をあげての緊急問題であるから、それぞれ各部門において、政府の機関においても、できるだけ協力し合ってやっていこうということで、資料の連絡等もそういう前提でいろいろやっておるわけでございます。それにいたしましても、今度四十八年度からスタートする場合には、いろいろわれわれの陣容のほうでも問題がございますので、まず第一に、できるだけ国税庁内部の体制を効率化いたしまして、しかもなるべく、こういう直税事務でございますので、ほかの事務から直税事務のほうにできるだけ集中的に実員を持っていく、定員だけではなかなか、やはり現在やっていますベテランの人が必要になりますので、できるだけ実員を持っていく、しかし、それでもさらに新規にやはりいただきました増員につきましては、この土地問題の重要性にかんがみまして、優先的にこちらのほうに配置するというような努力をいたしてこれからもやっていきたい、そして新税の実施のために遺漏なきように配意していきたいと考えております。
  157. 二宮文造

    ○二宮文造君 私は、事務量の増加それから捕捉の問題等々で、税率にも問題がありますけれども、これを運用をしていく面にも相当に隘路が出てくるんじゃないか、そういうことで、これは具体的にまたそのとき質問したいと思いますが、一点だけお伺いしたわけです。  それからさらに今度は建設省に返りますが、田中総理が、土地対策要綱、これを決定する際に、都市計画法に基づく市街化区域あるいは市街化調整区域、この線引きを再検討して宅地供給を促進すると、そういう意味で、調整区域内の宅地化を認めるように指示をしたと、こういうように報ぜられておりますけれども大臣、この点についてはどうでしょう。特に総理からそういう意味のものがありましたか。
  158. 金丸信

    国務大臣金丸信君) この線引きの問題については、総理からは何の話もなかったわけですが、私は、この線引きの問題は、市街化区域と市街化調整区域と、この二つをきめることにつきましては、市町村、知事、それを受けて建設省が認可をした、こういうことでございます。そういうことでありますから、この線引きというものは、相当権威あるものでなくちゃならない、かりそめにも簡単に取りかえるというようなことが、あるいは変更するというようなことがあってはならない。しかし、市町村あるいは県等でこの地域を線引きしたいというような場合があると思います。その場合については、十分慎重に審査して、必要かつ適正なものであるとするならば、これはひとつ進んで認めていきたい、こういうような考え方を持っておるわけでございます。
  159. 二宮文造

    ○二宮文造君 御存じのように都市計画法で改正されまして、線引きが行なわれたのはついこの間です、ほんとうについこの間のように思います。しかも改正のときには、私、法律の条文はあまりよくはっきり覚えていませんけれども、たしか今後十年間は移動させないということを心得て線引きをするようにという、十年間とかいうような明文があったと思うんです。五年でしたか、たしか十年だったと思うけれども、五年ですか。それが、もういまこの時点で、あれほどの大騒ぎをしてやった線引きを、軽々にまた再検討するというふうな考え方は、あまりその法律の精神にそぐわないんじゃないか、こう思うんですが、この点、もう一度確認しておきたいと思うんです。
  160. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 先生の御指摘のとおりでありまして、私も軽々にこの線引きを変更するということについては考えておりません。
  161. 二宮文造

    ○二宮文造君 ところが、実際の動きはそうでもないようですよ。たとえば、これは三井不動産の社長の江戸さんですね、江戸さんが理事長だと思うのですが、不動産協会の加入業者、この不動産協会加入業者の保有地の七割までが市街化調整区域内にある。したがって、市街化調整区域内の開発規制の緩和、これを業界としては非常に強く望んでいる。圧力というんでしょうか、早くこの問題を解決してほしいという熱心な動きがあるように聞いております。しかし、私はこれは大臣のおっしゃったように、厳正な、いわゆる都市計画法の趣旨にのっとって取り扱っていただきたいと思う。ただ、これは一つの試算ですけれども東京工大ですか、助教授の華山さん、この方が計算したところによりますと、東京、埼玉、千葉、神奈川、この一都三県で、三県の市街化区域の三十一万ヘクタールの中に約八万ヘクタールの農地が残っている。これを全部宅地化すれば首都圏の住宅難は解決すると、これは一つの提案ですが、こういうふうなことも言われておりますしね。それで、今度の農地の宅地並み課税という問題、これは私ども反対ですけれども政府のほうでいわゆる宅地仏を推進するという政策の一端もあるんでしょう。政府のほうはそういうように提案をしたいという趣旨のようですが、したがって、この線引きの再検討という問題については、これは大臣の発言を私は了とします。ただ、市街化区域内での宅地化という、これはさらにまた税制等を含めて進めるべきではないかと、こう私は思うわけです。  それから問題は市街化調整区域の開発の規制ですが、大臣の発言ではありますけれども、最近これはやはり大幅に緩和しているような感じがするんですが、たとえば大阪の泉北ニュータウンですか、あよ周辺に——主体は大阪市と住宅公団ですかね、開発を進めているのは。しかし、その周辺に民間デベロッパーが入っていって、もうすでに土地を買い取って、同じように線引きの変更のワクの中に入れようという動きがある。それは都市周辺の各地にあるようです。ですから、厳正にやりたいと、こうはおっしゃっておりますけれども個々には相当緩和する方向になっているんじゃないかと私は思うんですが、この点はどうでしょう。
  162. 高橋弘篤

    政府委員(高橋弘篤君) 調整区域の開発方式につきましては大臣から申し上げたような考え方でございます。数字について申し上げますと、昭和四十六年に市街化調整区域における二十ヘクタール以上の大規模な宅地開発、御承知の開発審査会で開発許可基準に合えば都道府県知事が許可できるようになっております。全国で三十四件、約千二百ヘクタールでございます。これは四十七年になりますと、実はこれはまだ九月か十月末の秋ごろまでの数字でございますけれども、八件、三百三十八ヘクタールということでございまして、いろんな、もちろんそういう開発規制という都道府県知事のおのおのの考え方もございます、それから人口抑制とか水の問題、交通の問題その他もございます関係か、数字的にはこういう開発の許可の現況でございます。
  163. 二宮文造

    ○二宮文造君 数字で見ますと、昨年は減ったみたいですけれども、これはもう御存じだろうと思うのですがね、個人の場合は調整区域は手がつかないわけです。全く手がつかない。ところが、二十ヘクタール以上だと、やはり安易にということをあえて私つけたいんですけれども政治力もあるんでしょう、発言力も持っているんでしょう、案外これは二十ヘクタール以上になりますと、規制というものがほんとうに法律でただとめられているということにすぎないようです。こういう感じがします。したがって、市街化調整区域というものの趣旨に戻って、これはやはり開発の規制というものは厳正にしなければ、いわゆる環境整備というものはもうこわれてしまうと思うのです。この点も、現在の状況の中からひとつ御注意をいただきたいと思うのです。  それからさらに土地の有効利用、この有効利用の促進ということが当面の対策としては一番大事なわけです。大企業等による買い占めなんかもこの土地の有効利用という面から非常に問題になってくるわけですね。そこで、たとえば即効的な効果を期待するために、企業や個人が持っております一定面積以上の大規模な用地ですね、これについては利用の状態とか、利用の具体的な計画とか、そういうものを市町村長等に届けさして、そして一定の年度以内に利用計画に基づいた具体的な建築等の行為がない限りは、これを市町村が先買い権とかあるいは収用権を持って有効利用を促進する、こういうふうな制度に入っていくべきではないかと思うのですが、この点はどうでしょう。
  164. 高橋弘篤

    政府委員(高橋弘篤君) ある一定規模以上の土地を保有している個人、法人にこれを届け出させて、それを有効利用していくという御提案でございました。この土地対策の解決一つの御提案だろうと思います。現在、御承知の、土地を売買するときには今度の国総法の届け出制度がございます。届け出する場合にはそれを売買価格で届け出るし、同時に土地利用計画、何に使うかというようなことにつきましても、これは届け出することになりますので、そういうことで十分今後は把握できることになるわけでありますが、現在すでに持っているものについてどうするかという問題であろうかと存じますけれども、これを一定規模以上の土地を保有している者がこれを宅地開発するという場合におきましては、御承知のようにこれは都市計画法で開発の許可が要るわけであります。従来は線引き地域だけだったのでございますけれども、今回の都市計画法の改正で、都市計画全般にこれを及ぼすということに規制の強化をはかっておるわけでございます。問題は、これはそういう開発をしようということで申請してきた者につきましては、そういうチェックができます。これはさっきおっしゃいました環境問題とか、土地利用の見地から規制ができるわけでございますが、じっと土地を保有している者に対して何か規制がないかということでございます。これにつきましても、その土地を有効に利用して、一般国民大衆のための住宅用地として供給することが必要になってくる地域が相当あろうかと思います。そういう適地が多かろうと思います。そういう場合におきましては、私ども積極的に公的機関がこれを買収し、そして宅地化し、住宅供給するということにすべきである、そのためには一団地住宅施設という都市計画決定をする方法もございますし、また新住法という手法もございます。そういう方法を用いますと、任意買収だけではなしに収用権もかかるわけでございますので、積極的にそういう方法活用して、そして環境のいい、良好な住宅地を造成するという必要があろうかと存じます。また同時に、先ほどから議題になっております新しい土地税制によりまして、土地を保有することが得にならないという措置が今度でき上がるわけでございます。そういうことで保有している土地供給に回すという、そういう促進剤になろうかというふうに考えている次第でございまして、そういうことによりまして、先生の御心配の点は解決できると存じますけれども、なお先生の御提案につきましても今後ともいろいろ検討してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  165. 二宮文造

    ○二宮文造君 まあ国総法の制定とともに、届け出制とか一部許可制とか、そういうことがあるということも私十分承知しております。ただ、それは売買ですよね。いま局長のおっしゃったように、現在の保有地、問題はやっぱり現在の保有地にあろうと思います。この土地問題を解決していく喫緊のかぎは現在の保有地です。これに対して保有税等を新設する、だからそれが売買促進のあるいは土地利用促進のかぎになろうかというような期待ですけれども、私、これはたいして期待できないと思います。むしろこれは懲罰的なといいますか、そういう趣旨のものであって、積極的に吐き出していくためのそういう税法ではないように思うんです。したがって、これだけの限られた国土です。そして限られた土地です。ですから、その有効利用を進めていくためには、それはむずかしいとかなんとかいうことよりも、早く利用しなさいと、この利用方法を届け出することを義務づけるということは、これは非常に大事じゃないかと思います。ただもう新税があるからとか、あるいは売買で許可制をとるだとか、そういうことよりも、いまこの土地をどうやって使うんですかと、利用計画をお出しなさいと、出さなければこちらにはあれがあるから、案があるから公有地として利用したいと、こういう積極的な何というんですか、促進剤ですか、そういうものを加味しなければ、現在の保有地、遊休地というものは活用できないんじゃないでしょうか。この点大臣どうでしょうか。
  166. 高橋弘篤

    政府委員(高橋弘篤君) ただいま私どもの考えておりますことは御答弁申し上げたとおりでございますけれども、先ほど申し上げましたように、先生の御提案、一つの検討課題として今後も研究いたしますけれども、私どももう一つ考えておることがあるわけでございまして、先ほどからの御提案のように、市街化区域内の空閑地を大いに利用する、特に東京都におきましての空閑地を大いに利用するという方法でございます。この方法、いろいろ関係省とも、また省内におきましても検討いたしておりまして、そういう適地につきましてそれぞれの条件、規模、地形その他がございます。そういうものに応じた開発手法というものを現在考えまして、そういう地域を設定いたしますと、その地域内におきましてはまず土地の所有者がみずからそういう開発をしなければならない、共同してやらなければいけないというふうにいたしまして、一定の期間内にそういうことをやらない場合におきましては、法的な機関が乗り出して強制的にもこれを行なうという方法をいま検討中でございます。まだ十分固まっていないので先ほども答弁まだ申し上げていないわけでございます。そういうことを検討する際に先生の御提案の趣旨も十分取り入れたいというふうに思うわけでございます。
  167. 二宮文造

    ○二宮文造君 それは具体的にはどういう措置で進められるわけですか。
  168. 高橋弘篤

    政府委員(高橋弘篤君) これは全く新しいことを私ども考えるわけでございますけれども、その一つのきっかけとしましては、土地対策要綱の中では、宅地開発の供給促進の中で宅地開発予定区域というのがございます。これは先ほど一番最初先生が申しておられましたように、私どもも今度はこれは緊急宅地開発区域ということで、予定じゃなくて緊急だという先生のような御趣旨で目下検討いたしております。これとともに、それ以外の、先ほど申し上げたようなこともあわせて、市街化区域内の既成市街地も含めて宅地化、高度利用できるような施策を目下詰めておるわけでございます。
  169. 二宮文造

    ○二宮文造君 それは緊急の問題として今国会に間に合いますか。
  170. 高橋弘篤

    政府委員(高橋弘篤君) 私どもも緊急性がございますので、できる限り早くこれを間に合わしたいと思っておるわけでございますけれども、ともかくなるべく早く見通しをつけたいということで目下作業を急いでおります。
  171. 二宮文造

    ○二宮文造君 また説明だけに終わっちゃしようがないと思うんですね。ですから、その点については経過を見ましょう。  で、その次に、これは私近来の企業者のモラルといいますか、近来のできごととして評価したいと思うんですが、先日新聞で報ぜられたところによりますと、鐘紡が栃木県で進出を予定しておった。ところが、その進出の目途が立たなくなったために買い値で市に返却をした。これは鐘紡の経営者は、私どもは出る予定だったと、ところが出なくなったと、だから迷惑料のようなつもりで——地元にもたいへん御迷惑をかけたと、したがって、迷惑料のようなことで時価は相当上がっているけれども買い値でお返しをしますと。何か相互の売買契約によりますと、もし市が買うときには時価で買うというような一札が入っていたようですが、あえて買い値で市当局のほうへ売却をしたと、こういうふうなことが新聞に報ぜられておりました。私、これからもあると思うんです。企業が進出をする、地方の都市は待っております、やっぱり。何とかして工場誘致をしたいという、特に公害のないような企業を誘致したいというのはもう各市町村なんかの強い要請ですね。だから工場誘致を条件にして企業が土地を買収をした、ところが、工場が実際に実現しなかった、こういう場合には、この鐘紡のような先例を制度として取り入れたらどうだ、こう私は思うんですが、この点はどうでしょう。
  172. 高橋弘篤

    政府委員(高橋弘篤君) 鐘紡が栃木県で行ないました先生のおっしゃいましたこと、こういう点につきましては、まことにこれは好ましいことでございます。特に、協定では時価となっているものを時価じゃなしに買収価格にしたということにつきましては評価するべき点が多かろうと思います。これはまあ当該市役所がこういう協定を結んだということは、その市内の土地を有効に利用しようというような配慮から出たものと思います。そういう意味におきましては、もちろん土地を合理的に有効に使おうという措置でございますから歓迎すべきでございまして、政府におきましても、先ほど申し上げたような国総法、都市計画法その他の改正を通じまして土地の有効利用というものをはかっておるわけでございます。ただ、具体的にこういう問題につきましては、売り戻しといいますか、買い戻すといいますか、そういうものも民事契約とのいろいろな関係もございますし、そういう協定とか特約というものをそれぞれの立場で結ぶということは好ましいことでございますけれども、これは制度ということでなしに行政運用ということで指導してまいりたいというふうに考えておるわけでございまして、法律制度にするということにつきましてはなお慎重に検討すべきであろうかと思います。
  173. 二宮文造

    ○二宮文造君 では一歩譲りまして、制度としては非常にむずかしいと、ただ行政指導としてそういう趣旨の指導はしたいということは、そのとおりすなおに受け取ってよろしいですか、ここだけの答弁じゃなくて。
  174. 高橋弘篤

    政府委員(高橋弘篤君) まあ、それぞれの土地利用の条件だとか、また、どういうふうに利用するか、そういう具体的な事案におきまして差異があろうかと思いますので、一律にいかないわけでございますけれども、私ども先生の御趣旨を十分体しまして今後の行政運営を進めてまいりたいと思います。
  175. 二宮文造

    ○二宮文造君 なぜ私これ言うかといいますと、これほど大企業の土地の買い占めということが問題になってきますと、企業としてはやっぱり適当なところへ、そして公的機関から土地を買い受けるというケースが非常にふえてくると思うんです。したがって、今度は、この鐘紡のようなやり方をするばっかりじゃないと思うんです。したがって、この点は明確に工場進出と、こうきめて売買をやった場合、それが実現しないときは、こういうふうにしなさいというはっきりした指導をなさるべきだと、でなければ、必ずまた地方都市で問題が起こってくるだろうという予感がしますので、何度もくどく質問したわけです。  さらに、企業の土地の買い占め、これは非常に問題になりました。もう建設省もお調べになった、われわれも調べた、大蔵省も金融機関等を通じて実態調査をなすったと伺っております。土地取得関連融資の抑制についての通達、さらにまた、その前にいろいろな実態調査をされましたが、それで掌握をされた結果について御説明をいただきたいと思います。
  176. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) 大蔵省はこの前、かつてここの委員会で御説明申し上げましたが、三月おきに調査をいたしております。そこで、いま私どもがまとめております数字は昨年の十月−十二月ということの実態でございます。それはいままとまっておりまして、時間がございましたら御説明申し上げますが、その前にちょっとお断わりいたしておきたいことは、その状況を見ますと、中で不動産業に対する貸し出しが非常に伸びておるという状況でございましたので、ことしに入りまして通達を出しまして、銀行、あるいは相互銀行、信用金庫が不動産業に対する貸し出しについては、ほかの貸し出しのテンポに押えるということを基本方針とする指導を現在やっております。その結果、これは非常にきびしい線になっておるわけでございまして、今度の四月から六月までの貸し出しの増加額というのは、昨年までの状況、特に十月−十二月までの貸し出しのおそらく三分の一から四分の一というワクに圧縮されることになろうかと思います。なお、その中で住宅ローンとそれから公共団体に対する貸し出しは別ワクにいたしておることは、けさほどお答えいたしましたとおりでございます。  具体的に申しますと、全国銀行で例をとってみますと、全国銀行の貸し出しの伸び率は、ちょうど昨年の九月から十二月の間では約八%弱の増加率でございましたが、不動産業はその間一六%弱と伸びておるわけでございます。これを総貸し出しの伸び率に押えるということからいたしますと、約半分にしていかないといけない、こういうのがことしに入ってからの指導でございます。ただ、特に日本銀行が全体の貸し出しについても貸し出し指導をいたしておりますので、それは結果的には、さらに目標が今度の四月から六月には下げられるということになるわけでございます。この辺のところは、相当のきびしい指導が行なわれておるということでございます。  なお、ヒヤリングの結果についてお答えいたしますと、まず使途別に見ますと、全国銀行の場合でございますと、土地取得関連の融資とその使い道、その土地が何に使われているかということを見ますと、昨年の十月から十二月の状況では、分譲宅地用、マンション用が五七・二%でございます。工業団地公共用地が一四・一%、貸ビル用が五・二%、自社用が四・〇%、分譲別荘、レジャー用が一〇・八%、転売用と称するものが六・八%でございます。その他一・九%。この、その他の中には、なかなか私どもに対して納得のできる説明ができないものというものも入っておるわけでございます。そういう状況でございます。地域別では関東が過半、約五二%でございまして、あと近畿が二〇%、東海が八%、あと各地区に分かれておる、かような状況でございます。
  177. 二宮文造

    ○二宮文造君 いまの使途別の分も、私がちょうだいした分とちょっと違いますけれども、パーセントが若干あちこち動いておりますけれども融資の実行額の状況はどうでしょう。
  178. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) 昨年末で申し上げますと、全体の都市銀行、信託、長期信用銀行でまず申しますと、五十一兆一千四百五十七億円が総貸し出しでございますが、不動産業とそれから百貸店、それから運輸業、それから建設業、商社、この五つの業種について見たわけでございますが、十二兆一千四百九十四億円でございます。そのうちの不動産業が四兆円、こういう状況でございます。
  179. 二宮文造

    ○二宮文造君 五業種で十一兆ですね。
  180. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) 十二兆です。
  181. 二宮文造

    ○二宮文造君 その十二兆の五業種の内訳をちょっとおっしゃっていただけませんか。
  182. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) 全体の業種をいま持ち合わせております。いまはなはだ申しわけなかったのですが、都市銀行と信託、長期信用銀行と申し上げたのですが、いまここにございますのは、そのほかに地方銀行も含めた数字がございますが……。
  183. 二宮文造

    ○二宮文造君 五十一兆でしょう、それは。
  184. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) これは六十九兆の数字でございますが、どちらを……。
  185. 二宮文造

    ○二宮文造君 どっちでもけっこうです。
  186. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) 不動産業が五兆一千という数字でいま申し上げたのは、都市銀行、信託、長期信用銀行のほうでございますが、全体のほうで、いまちょうど資料がございましたので申し上げさしていただきたいと思います。
  187. 二宮文造

    ○二宮文造君 全体からもう一ぺん言い直してください。
  188. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) もう一回申し上げます。全国銀行総貸し出しはこれは六十九兆でございます。そうして、不動産業が五兆一千四百八十八億、建設業が三兆九千五百七十億、私鉄が一兆一千四百億、百貨店が七千二百億、それから商社、これは各種商品御売り業という産業、分類でとっておりまして、商社は全部ここに入っておりますので、これで申し上げますが、四兆二千二百六億でございます。
  189. 二宮文造

    ○二宮文造君 私がちょうだいしておった資料は四半期ごとの実行額のあれをいただいておったわけです、私のほうがいだだいていたのはですね。それで四十七年の十月から十二月期で五千六百九十億円という数字になっております、都市銀行、信託銀行、長期信用銀行、この三種で。銀行局からいただいた資料ですよ。それで五千六百九十億円の中で不動産業が四千三百三十二億、それから建設業が八百八十四億。五業種とはいいながらも、五業種で五千六百九十億円としますと、不動産と建設を除きますと、あと三業種で四百億円しか実行額が出てないような、そういう資料をちょうだいしているわけです。この点ちょっと、いただいた資料といま説明いただいた資料と食い違っておりますので、ちょっと詰めてもらいたいと思います。
  190. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) ちょっと銀行課長から説明させていただいてよろしゅうございますか。
  191. 清水汪

    説明員(清水汪君) どうも失礼申し上げました。先生にお届けいたしましたのは、私どもがヒヤリングのデータといたしまして各銀行から直接とった資料に基づいた貸し出しの実行ベースの数字でございます。先ほど銀行局長が御説明申し上げましたのは、貸し出し実行から返済等を引きまして実際の残高のベースの、いわば純増ベースの数字で申し上げたわけでございます。したがいまして、その点がベースがややずれておるということをお断わりいたしたいと思いますが、ただいま先生指摘の数字は申し上げましたとおりでございまして、たとえば四十七年の十−十二月期におきましては、都市銀行、信託銀行、それに長期信用銀行の三種を加えますと、その間におきまする貸し出しの全体の実行額は五千六百九十億円でございます。その中で不動産業向けにつきましては四千三百三十二億円、それから建設業は八百八十四億円ということになっております。あと、これは五業種調査でございますので、このほかには私鉄それから百貨店、スーパー及び商社という三業種がございますけれども、これは実は三つ合わせましてこの差額になるわけでございますが、それぞれが金額が非常に少ないということで、あえてここで一々は御説明申し上げなかったわけでございますが、たとえば、この中にも商社という数字は、ちょっと正確な記憶がいまございませんが、毎期数十億円とか百億円ぐらいの数字は報告の中にきていたと記憶しております。
  192. 二宮文造

    ○二宮文造君 私、これ非常にこまかいことが気になる性分でしてね。時間とって申しわけないんですけれども、この十月−十二月期あるいは四月−六月期それから七月−九月期ずっと見ても、いわゆる五業種とはいいながら不動産あるいは建設業がほとんど九割まで占めているわけですね。ところが、先ほどのいわゆる総貸し出し、それで言われますと、不動産は五兆一千億、商社は四兆二千億の残高があると。じゃ毎期の中にはほとんど顔を出さなかった商社が総貸し出しのワクの中ではどうしてこんなに不動産と肩を並べるほど出てきたんですか。
  193. 清水汪

    説明員(清水汪君) どうもことばが足りなくて失礼いたしましたが、こちらの、いま申し上げました数字は、土地取得関連融資という範囲につきまして一件当たりの融資契約が一億円以上というものについての調査をやった結果の集計でございます。そのことは注に多少書いてございますけれども、したがいまして問題は、たとえば商社——先ほどの商品卸売り業という中に商社は該当いたしますけれども融資の実態が、よくいわれておりますように年間の総運転資金の不足分を見るというような形で融資が行なわれている場合が実際に多いようでございまして、こういう土地のために、土地という契約で幾ら貸したかというような調査の場合にはほとんどそういうものが出てこない。出てこない理由というのは、結局銀行が融資する段階でそういうふうに融資してない。いわば商社手形の割引とかいうような形で短期に、一般的には短期運転資金のしりを見ているというケースが多いからこういうことになろうかと思いますが、しかし商社の場合でも、この調査の中で、やはり長期にこれは土地関係の借り入れ金であるというようにはっきり使途を定めまして契約をしておるものにつきましては、この報告の中に上がってきておる、こういうことでございます。しかし、そういうものが非常に少なかったということを意味しているものだろうと思います。
  194. 二宮文造

    ○二宮文造君 私、総貸し出しの残高で商社関係土地融資が四兆二千億円出てきたということは非常にけっこうだと思うのです、この実態がここまでつかめてきたから。これまでの、いま説明を受けるまでのこの資料では、私は非常にふしぎでならなかったわけです。というのは、商社の土地の買い占めというのは非常に各地で問題になっている。具体的に会社名をあげませんけれども、私ども調査の中でも、もう二、三の会社は全国各地域に顔を出している。にもかかわらず銀行局から出していただいた資料では、銀行貸し出しというものには商社があんまり出てないみたいな、そういう資料が出てきましたのでふしぎだったわけです。何か銀行が商社の土地買い占めを応援しているのじゃないか、隠蔽しているのじゃないかという悪い解釈さえも私はしたぐらいです。ただ、いま総貸し出しのワクの中でこれだけのものが出ているということが出てきましたから私も納得しましたけれども、確かに商社に対する土地融資というのは非常にふえていると思います。で、先ほどの銀行局長の説明のように、今後は総貸し出しのワクの中で前期をこえないようにというふうな行政指導をなすったと、さらにまた日銀自体が貸し出しのワクについて相当規制をしたいというので、全体のワクとしてはおそらく伸び率が三分の一以下になるだろうというふうな期待をされておると思いますが、しかし、これは今後も——通達も出していただいておりますが、実際に運営面について目を光らしていただいて、要するに融資による土地の買い占めというものが目に余らない状況にするために格段の努力をしていただきたいと思うのです。  それに関連をして、私は具体的に土地の買い占めの状況について、たくさんありますけれども、一点だけ、こういうことが行なわれてはもうならないじゃないかという理解を深めていただく意味で、一件だけ具体的に問題にしたいと思うのですが、宮城県の白石市——農林省の関係の方お願いしたいと思いますが、白石市の三住地区開拓農業協同組合が経営しております白萩共同育成牧場、この約百ヘクタールについての転売問題このことについてお伺いをしたいと思うのです。私はあえてこれ一つだけ問題にしますけれども、農林省の、あるいはまた農林省に限らず、補助事業の対象区域が、しかも開拓地だとかあるいはまた林野だとか、そういうところがいま買い占めの対象になっているわけです。それを防ぐ意味で私一件だけ問題にしたいわけですが、まず最初にこの牧場用地、これを三住開拓農協が取得した経緯、これをあらまし説明願いたい。
  195. 小沼勇

    政府委員(小沼勇君) 三住地区は白荻共同育成牧場というのを開拓農協が持っているわけでございまして、これは昭和二十五年の十一月及び昭和二十七年の七月に、自作農創設特別措置法の第四十一条の規定に基づきまして、蔵王開拓農業協同組合に売り渡した付帯地のうち、蔵王開拓農業協同組合の地区の変更に伴いまして、三住の開拓農業協同組合に贈与された二百九十四・二ヘクタールがございますが、その土地の一部七十五ヘクタール、それから昭和四十年二月に農地法の第六十一条の規定に基づきまして売り渡された土地約三十ヘクタールと開拓者の離農あと地六ヘクタールを合わせて百十九ヘクタールというふうになっております。
  196. 二宮文造

    ○二宮文造君 この白荻共同育成牧場の事業の概要あるいは経営収支の状況、これはどうでしょう。
  197. 小沼勇

    政府委員(小沼勇君) 三住地区開拓農協の育成牧場の事業でございますが、組合員及び組合員外もございますが、育成牛の預託を受けまして、おおむね五月から十月までの間、放牧管理を行なうものでございます。近年おおむね百頭前後の預託がございますが、月齢に応じまして、一日一頭当たり百三十円から二百円、これは四十六年以降でございますが、放牧料金を徴しておりまして、経営収支はほぼ相償うという状況でございます。
  198. 二宮文造

    ○二宮文造君 牧場としては経営収支は相償う、こういう状況ですね。
  199. 小沼勇

    政府委員(小沼勇君) はい。
  200. 二宮文造

    ○二宮文造君 わかりました。  ところが、この牧場がすでに転売されているという話なんですが、この点は農林省おつかみになっておりますか。もしおつかみになっておれば、その概要をお伺いしたい。
  201. 小沼勇

    政府委員(小沼勇君) 実は先生のほうから資料の御要求等がございまして、大急ぎ地方農政局、県を通じて調べたわけでございますが、東北農政局の調査によりますと、三住地区の開拓農協は、その持っております白荻の共同育成牧場用地約百十九ヘクタールにつきまして、宮城県の仙台市にございます、仙台塩釜の仙塩興業株式会社というところに売るという約束で、四十七年の七月三日に売買契約を締結しております。  代金は四億一千万ということでございまして、その一部分、その全部じゃございませんで、三億八千万が農協に支払われているというふうに承知しております。
  202. 二宮文造

    ○二宮文造君 この仙塩興業の社長は、現在公職にある方じゃないかと思うのですが、社長の名前及び公職にある方だったらその現職をちょっとお伺いしたい。
  203. 小沼勇

    政府委員(小沼勇君) 仙塩興業株式会社の役員について調べますと、代表取締役は遠藤要という人がそうでございまして、この方は現在宮城県の県会議長をしているというふうに伺っております。
  204. 二宮文造

    ○二宮文造君 要するに、開拓農協のいわゆる育成牧場が現在収支は相償っておる。それで、その状況の中で、お話によりますと、仙塩興業が四億一千万円で昨年の七月の三日に売買契約をやって——代金の一部とおっしゃいますけれども、ほとんど全部ですね、三億八千万ですから——支払い済みであると。これは一体、仙塩興業は何に使うためにお買いになったのか。私は謄本を見ますと、この会社の事業目的ですね、これがボーリング場の経営、レストランの経営、遊技場の経営、前各号に付帯する事業——全く農地には関係ありませんし、牧場にも関係ありません。そういう会社が、現に農地である牧場をお買いになった。しかも、農地法の転用の手続も何もとっていらっしゃらない、ただ売買の契約をやって代金を支払ったという状況ですが、何に使うためにという、何に使用するためにという何か調査はつきましたですか。  それからまた、私どもの聞いた範囲内では、この会社は、払い込み、発行済みの株式が四千九百五十株ですから、資本金は四千九百五十万円の会社のようです。それを何に使う目的でお買いになったか。
  205. 小沼勇

    政府委員(小沼勇君) 私のほうに、まだこの転用許可の申請が出てきていない段階でございます。その点では、まだ調査を十分行なう段階でございません。転用許可に対応する事前審査の段階ではかなり詳しく調べるわけでございますが、それは別といたしまして、この仙塩興業株式会社がいかなる目的でこの土地を入手しようとしたかということにつきましては、どうもつまびらかでございません。いま先生が御指摘ございましたように、ボーリング場の経営なり、レストランの経営とか、遊技場の経営ということでございますが、具体的にどういう計画で、どのぐらいの期間でどうするということは、一切まだ計画が明らかにされておらないようでございます。
  206. 二宮文造

    ○二宮文造君 農地やそれから採草放牧地、これを処分しようとするときには、農地法の七十三条ですか、七十三条の許可が必要だ。で、その許可を受ける以前にこのように売買契約をし、代金の授受が行なわれたということについて、法的に疑義はないのですか。もしあるとすれば、この売買契約というのはどういうふうに取り扱われるのか、この点をお伺いしたい。
  207. 小沼勇

    政府委員(小沼勇君) 御指摘のように、農地の所有権を移転いたします場合には、農地法の許可が必要でございます。農地を転用するために農地売買の契約を締結しまして、手付金あるいは契約保証金などを支払いまして、また契約を担保するために仮登記を行なうということは、その段階では農地法五条に違反する行為とはどうも言えないのではないかというふうに考えております。  なお、農地法五条の許可を受けないで、転用目的で売買契約を締結いたしまして、かつ、土地代金を全部払ってしまう、あるいは土地を現実に引き渡してしまうというふうな場合には、法律上この売買としては効果——農地法の許可はありませんから、効果は生じないのでありますけれども、やはり実態から見て、農地法の五条に違反する行為が行なわれたものというふうに解釈できるのではないかと思います。そういう意味では、この売買の事実は、売買が完全に行なわれたというところまで農地法上から見るならばいっていないというふうに思われます。あえて言うならば、その一歩手前というのですか、そういうことで、現在申請も出ておりませんし、完全に仮登記の段階でとどまっているというふうに理解されるわけでございます。
  208. 二宮文造

    ○二宮文造君 じゃ、この売買契約はあれですか、正当ですか。何だかそのように聞けるわけです。売買契約をやっても、代金を全部払ってないあるいは所有権が移転されてない、仮登記でとどまっている、したがって売買契約は正当である、こういうような理解なんですか。
  209. 小沼勇

    政府委員(小沼勇君) 正当か不当かということではございませんが、農地法第五条の条文に照らしまして、違反する行為とはまだ言えないのではないかというふうに申し上げたわけでございます。
  210. 二宮文造

    ○二宮文造君 だから、この売買契約はこれでいいんですかと私は伺っているんです。農地法第五条に違反している、してないという判定を求めているんじゃなくて、こういう売買契約がされて、これでいいんですかと、こう伺っているわけです。
  211. 小沼勇

    政府委員(小沼勇君) どういう目的で転用をしたいということで売買の契約をしているか、十分その内容が明確ではございません。しかし、開拓地でございますから、その放牧場についていろいろの農業投資もされているという、そういうところについて、売られようとするということは、一般的に言って決して望ましいことではないというふうに思います。
  212. 二宮文造

    ○二宮文造君 どうも私の質問にそのものずばりお答えが願えないようです。ですが、局長さんのおっしゃるような事件の経緯ではないんです。なぜ所有権の移転が行なわれてないか。これは御承知のように、この牧場には国庫補助金、県の補助金、そういうようなのがついているわけです。したがって、そういうものの制約で地元の理解では、本年の三月三十一日までに所有権の移転をすると、補助金の返還とかなんとかいう問題が出てくると、三月三十一日以降過ぎればその問題も解消するので、そのあとに所有権の移転をしようと、こういう話し合いで所有権の移転行為が行なわれてないわけです。私が言いたいのは、共同牧場として完全にペイできている、しかも、それに牧場を育成しようというので県並びに国から多額の補助金が出ている、完全にこれは農地法のいわゆる規制する範囲内の土地です。それを対象に売買が行なわれた。ただ、所有権の移転が行なわれてないし、また何にするか実際行為が進んでないから、私どもは転用許可が出てくるのを待っておりますということでは、何のための農地法であり、何のための補助金の支出でありということになってくるわけです。その辺の農林省の姿勢が私非常に明確を欠くと思うんです。もっと確たる御意見を答弁いただきたい。
  213. 小沼勇

    政府委員(小沼勇君) 共同育成牧場を売りたいということの背後には、おそらく推測いたしますに、開拓農協が今度解散をして一般の農協に吸収されるという、そういう方向で現在進んでいるわけでございますが、その際に開拓農協の関連の負債、実質的にはいろいろ農家負債になるわけでございますけれども、そういう負債を整理をしたいという意図があるのではないかというふうに考えられるわけでございます。そういう背景を踏まえましてこの育成牧場を売り、それによってその負債の解消を行ないたいということであろうというふうに思われるんでございますけれども、もともと、いま先生も御指摘になりましたように、こういう土地改良投資等を行ないました農地について、これをみすみす転売するというふうなことは決して望ましいことではないし、私どもとしてはたいへん残念なことでございます。何とかそういうようなことがないようにということでいろいろと現在も指導をしているところでございますけれども、いかんせん私どもが事実をキャッチする以前にそういうことが事実として動きつつあるということで、今後こういう優良農地を確保していくということにつきましては、さらに私ども、いまの農地法の規定によりまして厳に規制をしてまいるという基本線で進めてまいらなければならないというふうに思っているわけでございます。
  214. 二宮文造

    ○二宮文造君 その是非はまたあとで論ずるとしましても、では補助金は一体どのような金額が支出されておりますか、その実態をお伺いしたい。
  215. 小沼勇

    政府委員(小沼勇君) 白萩の共同育成牧場にかかる国庫補助事業といたしましてはかなり以前からございますが、小規模の草地改良事業——それは草地造成なり牧さくをつくるというふうなものがございますが、それから農業構造改善事業、これは昭和四十年度から始まっております。で、四十一年で終わっておりますが、それから飼料基盤整備特別対策事業ということで、牧さく、草地の造成改良をやっております。さらに開拓の未利用地開発事業ということで飼料畑等をつくるということをやっております。全体として、これのトータルの事業費は三千四百九十三万円でございますが、国庫補助は千六百六十四万円というふうに、合計で見ると国庫補助はそうなっております。
  216. 二宮文造

    ○二宮文造君 県の補助金がありましょう。
  217. 小沼勇

    政府委員(小沼勇君) 国庫補助に伴います県の補助があるものとないものとがございます。小規模の草地改良事業等に……。
  218. 二宮文造

    ○二宮文造君 総計でけっこうです。
  219. 小沼勇

    政府委員(小沼勇君) 総計はいまちょっと抜かしておりますので、総計は早急に入れて報告いたします。
  220. 二宮文造

    ○二宮文造君 約六百五十万ほど、合計ですね、県と国と合わせて約二千五百万ほどの補助金が出ているわけです。したがって、私はここで問題にしたいことは、開拓農家がいわゆる牧場等をやって、そして採草地などをつくって自分たちの農家経営にプラスをしたいという考え方はいいわけですけれども、これは当然国としても援助しなければならぬと思いますけれども、こうやって補助金を出すならば、出したその事業が所期の効果を発揮するように、きめのこまかい指導なり、あるいはその継続した補助なり、それをやるべきじゃないかと思うのです。従来の農林省の補助金というものを見ますと、その事業単独には道路をつけるとか、あるいは採草地をどうするとか牧場のさくをどうするとか、こういう事業そのものには補助金がつきますけれども、その後の経営というものについては全くわれ関せず。したがって、この前も私は四国のほうでやはり採草地ですが、この補助金が所期の目的を果たしていないというので問題にして、結局それはもうやめました。補助金を返還してやめましたけれども、こういうふうに補助金を出すのはけっこうですけれども、その事業を健全に育成をしていくというきめのこまかい配慮が国にはない。だから、それをやってきた農家の方は負債がかさんでくる、金利に追われてくる、後継者ももうできなくなる、勢いやはりこういうふうに他に転売をして負債の荷を軽くするとか、あるいは他の事業に手を出すとか、そうせざるを得なくなる。これは補助行政の大きな私は欠陥ではないかと思うんです。しかし、現実にこうやって補助金を入れた。ところが、その負債を支払うために転売をした。そういう場合に、この補助金の取り扱いというのは一体どうなるんですか。
  221. 小沼勇

    政府委員(小沼勇君) この共同育成牧場につきまして、国及び県から補助金を交付いたしております状況については、ただいま御報告申し上げたとおりでございますが、県補助の合計は五百七十三万九千七百五十円でございまして、約六百万円ということでございます。で、これらにつきましては、この売却あるいは他用途への転用をするということが明確になってまいりますと、当初の補助目的どおりに事業を継続し得ないということになるのでございまして、そういう場合には、国といたしましては、補助金の適化法なり、交付の際に付している交付条件等がございますので、それに照らしまして、国庫補助金額の相当額について返納を求めることができるようになっているわけでございます。
  222. 二宮文造

    ○二宮文造君 返納ができるようになっているという答弁ですね。返還を求めるという答弁ではありませんね。
  223. 小沼勇

    政府委員(小沼勇君) ケース・バイ・ケースでかなり事情が異なるかと思いますけれども、返納を求めることができるようになっております。
  224. 二宮文造

    ○二宮文造君 たとえば国庫補助金を見ますと、あなたは古いほうばっかりおっしゃったけれども、四十五年には百三十五万、四十六年には二百十九万、五百七十五万と、この三つ合わしただけでも約九百万円ありますね。その裏にやっぱり県がついてます。四十年だとか、四十一年だとかということだけじゃない。二千四百万相当の約半額が四十五年、六年に補助金として出ているわけです。こういう場合の取り扱いは返納を求めることができるというようなそんな安易な答弁でいいんでしょうか。
  225. 小沼勇

    政府委員(小沼勇君) いま御指摘ございました四十五年の飼料基盤整備特別対策事業、それから四十六年の開拓未利用地開発事業が行なわれております。これについて、国庫の補助、県の補助が出ているわけでございますが、これにつきましては補助金を交付する場合に、返還の条件がございまして、飼料基盤整備特別対策事業の場合には六年以内、それから開拓未利用地開発事業の場合には八年以内に、用途変換なりあるいは売買をするというふうな場合には、これを求めることになっております。
  226. 二宮文造

    ○二宮文造君 それはだれが負担するんでしょうか。農家の方は借財がある。そうしてその補助金をもらっただけじゃない。自分たちの金も相当額、それ以上に相当する金額を入れて事業をやってきたけれども、おたくのほうではペイできているというけれども、将来に見込みがない、だから転売したわけですね。だから、農家の事情というのは私はよくわかると思うんです。そこには、先ほど言いましたように、その事業を育成するというきめのこまかな指導がなかった。これはやっぱりその責めは、農林省は避けることができないと思うわけです。農家の方は、もう食うか食われるかという問題ですから、やっぱり自分の食える道をとらざるを得ない。そうして、自分が投下した資本も、資金も、つぎ込んでしまって、それで転売するわけでしょう。補助金の返還を求めるといっても、その返済能力は農家にはないですよ。これはどうしますか。
  227. 小沼勇

    政府委員(小沼勇君) この事案につきましては、転用の申請が提出されておりませんので、その申請があった場合に十分審査をしてきめることになると思いますが、農業用の公共投資がなされた農地、採草放牧地につきまして転用する場合には、それぞれ、いま申しましたような交付条件で返還を行なわせるという指導も従来からやっているところでございます。  そこで、だれがということでございますが、これは事業主体としては補助事業を実施した以上、転用に伴います返還を要する補助金を負担するのは、その事業主体であるということでございます。その負担は、この転用のための売買に当然付随してくるものと考えられます。返還すべき補助金を、転用する土地の買い受け人に負担させるというふうなことにつきましては、これは行政で介入する筋合いでもございませんし、当事者間の問題であろうというふうに思いますが、先生がいま御指摘になりましたように、農家負債をとにかくこれでなしにしたいということでやっているという事情もございます。で、その点等も含めまして、この申請がありましたら、その際に十分審査をしなければならないというふうに思っているわけでございます。
  228. 二宮文造

    ○二宮文造君 さっきから局長答弁されていることは、昨日の予算委員会における農林大臣答弁と全く反するんですよ、農林大臣答弁と。昨日、予算委員会で公明党の藤原議員が、同じようなケースを質問しているわけです。青森県の七戸町野々上放牧地主組合所有の野佐掛の共有地、これがやっぱり京成電鉄に転売をされている。よろしいですか。そうしてこの土地は、昭和四十八年農業振興地域、それから昭和四十五年に林業構造改善事業地区、それから四十六年に草地造成事業地区、こういうふうに、いわゆる農業構造改善事業としてずっと進められてきて、そうして約五百七十四ヘクタールですが、これを京成電鉄に転売をした。このことについて農林大臣は、農業振興地域だと。農業構造改善事業も進められてきた、そういう地域を、その農地を他に転用することは認めません、その転用許可の申請が出てきても、許可は認めませんと、こういう答弁を明確にされているわけです。  ところが、私の質問のしかたも悪かった。食い違いが起きるような質問のしかたになってしまったんですけれども、もし、これ転用手続を、転用許可を申請してきたときに、青森県の場合は却下する、許可しない、本件の場合は転用を認めるということになりますと、農林省の農地に対する、いわゆる構造改善地区に対する指導性というものが疑われるようなことになります。どうなります、これは。原点に私はここで返ったわけです。申請が出てきたら転用を許可するのかどうか。一方では、大臣はしないと言っています。あなたは何かするような答弁のしかた。この点、明確にお答え願いたい。
  229. 小沼勇

    政府委員(小沼勇君) 昨日、大臣予算委員会において申し上げました件につきましては、あの地区の中に農用地がございます。これにつきましては、その売買の対象から除外するという指導が、現に県を通じてなされているわけでございまして、それについて大臣が申されたであろうというふうに思いますが、また、保安林の問題がございますが、その保安林の解除はいたしたということを申し上げたんであろうというふうに思います。本件につきましても、この転用許可の申請がまだ出されておりませんのでございますが、転用申請が出てきた場合には、これは本来、この土地改良投資等十分いままでも長年にわたってやってきたところでございますから、その意味では、農地法の転用基準では優良農地に入っているわけでございます。それを転用するということについては、よほどのことがない限り認めないという考え方で現在まできているところでございます。しかし、開拓農協が解散をするというような事態でございますし、その辺は事態をよく見てみなければならないというふうに思っている次第でございまして、原則的には、この転用については優良農地は認めないという基本線を持っているわけでございますが、それぞれのケースについて十分慎重に審査をして判断をしたいというふうに思っているわけでございます。
  230. 二宮文造

    ○二宮文造君 開拓農協は解散をするということを非常に強調されておりますが、私が伺ったところによりますと、この開拓農協の所属の農家の方は別途自分の農地は持っているわけです。そこで営農はやるわけですよ。ですから、決して農家をやめるんじゃないんです、この農家の人は。この牧草地を売って、そして自分の負債を軽くする、あるいはまた、その他ほかにも使いたいということでしょうが、だから簡単に開拓農協が解散をするからこの転用の問題は考えなきゃならぬというのは、私ちょっと理由が違うと思う。なるほど現在の経営主体は開拓農協でしょう。しかし、その構成員は一般農協の構成員でもあり、開拓農協の構成員でもあるわけですね。ダブっているわけです。一方のほうをやめようというわけですから、単に開拓農協を解散するということだけでこれは考えられる問題ではない。そのそばで自分で農地を経営しているわけですから、それと関連をして検討をすべき問題だろうと思うわけです。で、もしその転用が許可されるとすれば補助金の返還の義務者はもちろん組合ですね。開拓農協ですね。ですけれども、金がありません。その補助金の返還が実施されないときは転用を許可しないという条件になりますか。
  231. 小沼勇

    政府委員(小沼勇君) 私のことばが足りませんでしたんですが、確かに開拓農協の解散だけではなくて、その地域の農家が今後いろいろ経営をやっていきたいというふうな場合も含めて負債を整理していくという考え方基本にあるというふうに推測されるわけでございます。  そこで、その開拓農協の問題はそれといたしまして、この補助金が返還されなければ転用を許可しないかという話でございますが、これも先ほど申しましたように、転用の許可申請がなされた段階でこの補助金返還のそれぞれの具体的な措置について十分判断をしなければならないというふうに思っているわけでございます。
  232. 二宮文造

    ○二宮文造君 非常に明確を欠きます。というのは苦慮されてるんだろうと思います。転用を許可すると言えば、そんなものになぜ補助金を出したというようなことにまたなってきますしね。だから、その辺のことも考えながら御答弁されてるのだろうと思うんですが、私はここに現在の農家のやっぱり当面している問題点というのが含まれていると思うんです。また同時に今度は、おそらくここは調整区域だろうと思うんですね、白石市ですから。無指定地区ですか。調整区域だろうと思うんです。そこで、この仙塩興業が買ったことになっておりますけれども、私どもが聞いた範囲内では、その裏に大手の商社がいると聞いております。仙塩興業独断の仕事ではないようです。したがって、私は建設大臣にお伺いしたいことは、こういうふうに土地対策が線を引いてみても現実にはあちこちでこういう虫食いの状態が起こっているわけです。ですから、緊急の措置をとらない限りはどうしようもない。この牧場はゴルフ場になると、こういうふうにいまいわれております。ゴルフ場になる。しかし、おそらくこれは別荘地か何か分譲地になるんじゃないかと私は考えております。こういうふうに調整区域あるいはまた無指定地区、こういうところで土地の買い占めが行なわれて周辺一帯の地価を値上げしております。あるいは根本的に農家を不安におとしいれるような土地を手放せばたちまち生活は楽になる、こういうふうな状況にまでいま追い込んでいると思うんです。したがって、この補助行政のあり方にも問題がありましょうし、こういう売買ですね、売買についての大臣の所感というのは一体どうですか。
  233. 金丸信

    国務大臣金丸信君) これはごたぶんに漏れずどこの県にも起きていることだろうと思いますし、私も選挙区が山梨県ですから、山梨県へこの間も帰ったんですが、また私のところに国有林を売ってくれぬかと、こういうような話をずうずうしく持てくるのもいるわけでございます。とんでもない話だ、いま土地売って金もらって何になるんだと、こうまあさとして帰すんですが、そのように全く先生の御指摘のとおりでございます。そこで国総法等によってこれを緊急に御審議願って、そしてこれを国会で採択していただいて、まあこれじゃまだ手ぬるいぞと、こういう声もあると私は思いますが、しかし、やらぬよりやったほうがいいと、そこで、ひとまずこの問題を、緊急に先生方にもひとつ御理解いただきながらこの法案を通していただいて、なお足らなければ足らぬでまた今後やると、私はこの法案のほうにつきましては強い強硬派でございますが、しかし、まあ党というものはなかなかいろいろの関係考え方もたくさんおるわけでございますから、私の考えどおりにいかないという、まあ一つの最大公約数を求めてつくるというような面もあるわけでございますから、ぜひひとつこの国総法等の問題につきましては御協力をいただいて、一日も早くすみやかに通していただけるようにお願いをいたしたいと思うわけであります。まあ、どちらにしても虫食い状態、このような状態はまことに困った状態であるということだけは先生の御指摘のとおりだと、こう考えております。
  234. 二宮文造

    ○二宮文造君 時間が来ましたので、私、建設省の共済組合が何か変なルートで手に入れた土地をいい値段で売って、何だか財政が非常に豊かになったというような話があるんで、それもお伺いしようかと、こう思っておったんですが、時間が来ましたから、これはまたあとに譲りましてしたいと思いますが、ただ、農林省の局長さんにお願いしておきます。この問題は全国に波及します。もし、これを安易にお取り扱いになったら全国に波及します。したがって、この取り扱いについては、転用許可の申請がきた時点においては、いわゆるしっかりした方針でやっていただきたいし、さらにこういう事態が陸続と起こらないように、その一つ事業補助金を出したらこと足れりというのじゃなくて、めんどうをしっかり見てもらうようにお願いしたい。  それからもう一つは、農家に負担にならないようにしてもらいたい。これは好きこのんで売ったんじゃないと思います。借財があるから、その肩がわりのために売ったんだろうと思います。したがって、農家に過重な負担にならないように、できれば、何か利用目的があってお買いになるんでしょうから、いわゆる買い主のほうに何かワクを着せて、そしてその肩がわりをさせるようにでも最終的には指導しなきゃならぬかと思います。そういう点をあわせて私要望として申し上げて、この問題のしっかりしたお取り扱いを私見守りたいと、このように思っております。  また、たいへん恐縮なんで、例の共済組合の土地の問題で住宅公団の方にも御説明いただこうと思ったんですが、申し合わせの時間が過ぎてしまいました。道義上やめざるを得ませんので、たいへん失礼しました。おわびをいたしておきます。じゃ、よろしく。
  235. 沢田政治

    委員長沢田政治君) 本件に対する質疑は、本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時三十一分散会      —————・—————