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国務大臣(
齋藤邦吉君) 看護婦不足の問題につきましては、先ほど
先生がお述べになりましたように、病院は建てたが看護婦がいないから空床になっている。特に重症の重度心身障害児の施設などについては、看護婦がないためになかなか思うように入れることはできない。こういうふうな状態にあることはほんとうに私遺憾といたします。国民医療というものの
責任を負う厚生省として、いままで何していたと私も言いたくなるような感じを実はしておるんです。いまや、看護婦の問題はこれは大きな社会問題であり、厚生省だけで
考えてみれば国民医療の水準を低下せしめる非常に大きな問題だと私は
考えております。
そこで、就任以来この問題何とか解決しなけりゃ相すまぬじゃないかと、こういうことを実は痛感をいたしておるわけなんですが、実際いま
考えてみますと、四月になりますと、いろんな学校とか養成所に五万四千人も入るんですね、入る。卒業するころには一割減っています。その間に、せっかく卒業して入ったかと思えば、病院のほうからは何万人も抜けていく。それは病院の数もどんどんふえておりますから、なかなかふやすことも容易じゃないとは思いますけれ
ども、これではせっかく養成しては一、二年たって減っていくというのでは、ざると言おうか、かごに水を注ぐようなものじゃないかということはしみじみ言っているのです。これはどうすればいいのかということを、実は私は私なりにいま
考えております。それはもちろん養成所の数をふやしたり、それから
先生お述べになりましたような学校
教育法による養成施設の一本化、これは私はそういう方向だと思うのです。そうしなくてはならぬと思いますが、まず急場の問題として、どうしたらせっかく出た卒業生をそれだけ純増になるように、ふやすことを
考えなければいかぬと思うのですね、減るんじゃ何にもなりませんから。卒業したら一年たったらまた減っていくのでは何にもなりません。どうすればいいだろうか。結局、私は看護婦さんというものの職種は、国民医療上もなくてはならぬ貴重な職種である。しかも、女性にとってもこれは非常に大事な職種であるということを
考えて、思い切った処遇の
改善をやる以外にないんじゃないかと思っているのです、私、卒直に言って。それも実はことしあたり、人事院にもこの前もお願いをしました。学校の
先生方と同じような、学歴等をにらみ合わせて学校の
先生方と同じような——最近下がっているのです、看護婦さんの給与は。それを学校の
先生並みに上げるとか、それからさらにもっと、人事院などではわりあい数字で低めにやりますからね。何かこれ、看護婦さんだけを人事院の
勧告とか何とかいうことは別と.しまして、そんなことを言うとほんとうはいけないのかもしれませんが、思い切ってね、これ、文部省の例のやつもありますから、あまりおこられるといけないんですが、やっぱり学校の
先生は別として、看護婦さんだけは人事院の
勧告を上回ったようなことを思い切ってやる必要があるんじゃないかということを、実は
考えているのです。人事院には上げろということを言ってあります、いま。しかし、それだけで
一体十分なのかという実は私も
考えを持っているのです。それと同時に、こういう処遇の
改善。
それから、もう
一つはやっぱり労働強化ですね。労働強化。最近ニッパチ勤務
体制ということを言われておるんですが、ニッパチ勤務
体制を頭に描いての養成計画は厚生省になかったんです、いままで。前にあった計画は四対一とかいう医療法の数字でまいりましたね。ところが、その後ニッパチ
体制というやつが最近になって非常に大きな深刻な問題になってきた。だから、どうしてもこのニッパチ勤務
体制というものを必ずやるという前提に立って、勤務条件の
改善をどうやってはかったらいいのか、これは第二番目の私は大きな問題だと思うのです。
それからもう
一つは、結婚されておやめになるという方がたくさんおるわけなんです。これをつなぎとめるといっては語弊があるかもしれませんが、できるだけ入っていただく。あるいはまた結婚されてもけっこうですが、子供さんができた
あともですね、お手すきのときは手伝っていただくようなやり方を
考えないかぬと思うのです。それには少なくとも、まあいなかなどではそうできないと思いますが、子供さんある家庭の御婦人にお手伝いしていただくためには、やっぱり昼間その子供さんを預かるような保育所ですね、これを私、つくる必要があるんじゃないかと思うのです、保育所を。それも、児童家庭局が
考えているようなまじめな——まじめなと言ってはおかしいですが、法律どおりの児童の保育なんということにとらわれないで、子供をまず預かって、その働いている間はお預かりするというふうな保育施設を、これひとつ大きな都市にはつくっていく。こういうやり方をする以外に道はないんじゃないか。こういうふうに実は
考えて悩んでおります。
したがって、総括的に申しますれば、養成所の数をふやすことも大事でございます。もちろんそれには努力いたします。けれ
ども、処遇の
改善。第二番目には勤務条件をどうやって
改善するか。それからもう
一つはリタイアを防ぐ意味において、潜在看護婦を活用する意味において、そういうふうな保育施設、特に夜間勤務ということは、看護婦さんにはひとつ難儀していることは別として、避けられないことでございますので、夜間保育までも含めたそういうものを思い切ってやりたい。こういうように
考えております。それで、ほんとうにやってくれるかと言われるわけでございますが、実は、御承知のように、経済社会基本計画というものが先般できまして、それに基づいて厚生省では社会保障長期計画をつくることにいたしております。
昭和四十八年度を第一年とする長期計画をつくることにいたしておりまして、その中には、もうすでに
先生御承知のように、年金問題、社会福祉問題ありますが、その中の最重点を、この医療水準を維持し向上させるという観点に立って、看護婦問題に全力を尽くしてみたいと私は真剣に
考えております。したがって、大体八月ごろまでに五年計画の草案をつくりますから、またその節には、
先生方専門の方々でございますから、知恵をおかりいただかなければならぬと思いますが、大体八月一ぱいに、四十九年度の概算要求前にこの看護婦を、数だけの問題ではなくて、質・量両面にわたる、待遇の問題も含めて、質・量両面にわたる看護婦
確保の具体的な政策を八月までにつくりたいということで、四月早々その長期計画の懇談会の
委員の人選をいたしまして、四月から着手いたしまして、八月末までに質・量両面にわたる看護婦の
確保、医療水準の
確保、そういうことを頭に描いた計画を私は真剣につくりたいと思います。いままで多少、ほんとうに私自身も歯がゆく思っているようなことが一ぱいあるわけでございまして、私は在職中真剣に、この問題だけは解決の糸口を見つけるというふうに真剣に取り組んでまいりたい、こういうふうに
考えております。