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1973-10-12 第71回国会 参議院 決算委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年十月十二日(金曜日)    午後二時三分開会     ―――――――――――――    委員異動  十月十二日     辞任         補欠選任      河口 陽一君     嶋崎  均君      河本嘉久蔵君     大森 久司君      君  健男君     佐藤  隆君      小林 国司君     平井 太郎君      寺下 岩蔵君     鹿島 俊雄君      加瀬  完君     鶴園 哲夫君      峯山 昭範君     阿部 憲一君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         田中寿美子君     理 事                 小谷  守君                 塚田 大願君     委 員                 大森 久司君                 鹿島 俊雄君                 佐藤  隆君                 嶋崎  均君                 温水 三郎君                 平井 太郎君                 片岡 勝治君                 杉山善太郎君                 村田 秀三君                 阿部 憲一君                 二宮 文造君                 萩原幽香子君    国務大臣        農 林 大 臣  櫻内 義雄君    事務局側        常任委員会専門        員        佐藤 忠雄君    説明員        警察庁刑事局保        安部保安課長   相川  孝君        大蔵省関税局監        視課長      本多 行也君        大蔵省関税局輸        出課長      齋藤 盛之君        農林大臣官房長  三善 信二君        農林省構造改善        局次長      杉田 栄司君        農林省構造改善        局農政部長    今村 宣夫君        農林省農蚕園芸        局審議官     二瓶  博君        農林省畜産局長 大河原太一郎君        林野庁長官    福田 省一君        通商産業省貿易        局輸入課長    真野  温君        会計検査院事務        総局第四局長   田中  稔君    参考人        農林漁業金融公        庫総裁      武田 誠三君        畜産振興事業団        理事長      岡田 覺夫君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○昭和四十六年度一般会計歳入歳出決算昭和四  十六年度特別会計歳入歳出決算昭和四十六年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和四十六  年度政府関係機関決算書内閣提出) ○昭和四十六年度国有財産増減及び現在額総計算  書(内閣提出) ○昭和四十六年度国有財産無償貸付状況計算書  (内閣提出)     ―――――――――――――
  2. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  本日、加瀬完君が委員を辞任され、その補欠として鶴園哲夫君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 次に、昭和四十六年度決算外二件を議題といたします。  本日は、農林省とそれに関係する農林漁業金融公庫決算につきまして審査を行ないます。  この際、おはかりいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれも口頭報告を省略して、本日の会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  それでは、これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 村田秀三

    村田秀三君 私は、四十六年に開始をされました米の生産調整、当初計画によりますると、休耕奨励金は四十八年度まで、その他転作奨励金等は五年間、こういう計画でございまして、この休耕奨励金はことしで打ち切られる。こういうことでありますが、この四十六年度農林省関係決算を見まして、あらためてこの生産調整――このことばどおり生産調整であれば問題ありませんけれども、特にこの休耕問題について、大金を投入をいたしましたその政策がはたして妥当であったかどうか、こういう観点に立って若干の質問をいたしてみたいと思うわけであります。  そこで、農林省農蚕園芸局長ですか、それから構造改善局長、きのう付で交代になったというような話を実は聞くわけであります。そういう意味で、私の質問もなかなか、何といいますか、ぴたりとした答えがはたして返ってくるかどうか懸念をするものでありますが、まあ、きょうから初めての局長ということではこれまた気の毒でございますから、それぞれの担当者の、現在のところ、責任のある方からの御答弁でけっこうでございます。  初めに、四十六年度、それから四十七年度、四十八年度計画実績、これについてお示しをいただきたいと思います。
  6. 二瓶博

    説明員二瓶博君) 四十六年度生産調整目標でございますが、二百三十万トンの目標でございます。これに対しまして実績が二百二十五万七千トン、九八%の達成率ということでございます。続きまして、四十七年度でございますが、二百十五万トンの目標に対しまして実績が二百三十二万七千トン、達成率が一〇八%。それから四十八年度目標といたしまして二百五万トンでございます。これに対しまして現在町点の見込み、これは六月三十日の時点実施計画を積み上げたものでございまして、まだ最後的なものでございませんが、二百三十一万八千トン、一一三%という達成率見込みということでございます。
  7. 村田秀三

    村田秀三君 いまの場合、もう少し詳しくお答えをいただきたいと思いますが、それぞれ転作休耕とも奨励金を支出したわけでありますから、その額等について単位当たり幾ら、それからまた、出初予算それぞれ一〇〇%をこえているわけでありますから、補正をいたしまして幾らという、その奨励金について、転作並びに休耕についてお示しをいただきたいと思います。
  8. 二瓶博

    説明員二瓶博君) 米生産調整奨励補助金予算額決算額を申し上げます。  四十六年度当初予算におきましては千六百九十六億円の当初予算でございます。これが補正後の予算といたしまして千七百二十四億九千三百七十八万八千円、それから決算額でございますが、千七百十一億四千七百六十万九千円というのが四十六年度予算補正後の予算決算でございます。続いて四十七年度でございますが、当初の予算額が千七百十九億二千万円、それから補正後の予算でございますが、千八百十一億八千九百万円、決算額が千八百九億三千九百五十九万一千円でございます。それから四十八年度は、これは当初の予算だけでございますが、千七百五十八億四百万という数字になっております。  なお、この予算額あるいは決算額等におきまして休耕奨励補助金転作奨励補助金、この関係がどうなっておるかというお尋ねでございますが、その転作をいたしました地域につきまして、下から積み上げまして転作休耕というふうに実は分けておりません。総額のただいま申し上げましたような決算額というのを下から積み上げまして一本で出ておりますが、これをさらに休耕転作というふうに区分けはいたしておりません。正確な決算額というお話でございますので、まあこの辺でというようなことで申し上げるのもいかがかと思いますので、その辺は御了承いただきたいと、かように存じます。
  9. 村田秀三

    村田秀三君 それでは、次にお尋ねいたしますのは、ことしは国際的に見まして食糧危機が叫ばれております。そしてまた、わが国にとりまして具体的な問題といたしましては、アメリカにおけるところの農産物の規制問題あるいは大豆輸出規制と、こういう問題等もございまして、にわかに自給関係を考慮して国内生産を高めなければならないという、そういう風潮というものは、これはいま国民的な一つ世論といいますか、食糧に対する危機感、そこから出てまいります世論、この世論を受けて農林省は四十九年度から特別に対策を立てる、こういうことをしばしば聞いておりますし、また新聞発表等も私は見ておるわけでありますが、その施策、すでに大蔵省予算要求をされておるはずでありますから、その予算要求の基礎となりました対策等について数字示してひとつお答えをいただきたいと思います。
  10. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 四十九年度のまず農林省の現在考えておる需給の見通しを申し上げますと、潜在生産量を千三百五十万トン、こう見まして、需要量を千百四十万トンと踏んでおるのであります。そういたしますると、単年度の余剰が二百十万トンと見込まれます。本来でありますと、これが第三年目の生産調整対象になるべきでありますが、現在、在庫復元をはかっておりますので、それを五十万トンと見込んでおりますので、したがいまして、要調整数量が百六十万トンと見込まれます。しこうして、このうち二十万トンは土地改良通年施工によって調整される見込みであります。したがって、実際の転換の目標数量を百四十万トンと見込んでおるわけでございます。これにつきましては転作奨励金交付いたしますが、なお、ただいま御質問にありましたように、食糧需給の国際的な動向から見まして、自給度の向上を必要とする麦類大豆飼料作物について、国内生産の増強をはかるための基盤整備の促進、機械施設整備、融資の充実等を行なう、これはまあ一般的な農林省振興政策と申し上げていいと思うのでありますが、それにさらに生産振興奨励金交付する考えでおります。  詳しいことは担当官のほうから申し上げさせますが、たとえば麦生産振興奨励金交付としては一俵当たり二千円にしようとか、それから大豆の場合につきましても、同じように生産振興奨励金として一俵当たり二千五百円支給しようとかいうことで予算要求をいたしておるわけでありますが、御質問に応じて、なおこれらの振興対策につきましては詳細申し上げてよろしいかと思います。
  11. 二瓶博

    説明員二瓶博君) ただいま大臣から大豆、麦、飼料等国内自給率を高めるというような角度での新しい緊急対策といいますか、その面の考え方要求の大筋の御答弁があったわけでございますが、私から細部を申し上げてみたいと思います。  まず、麦でございますが、麦につきましては、昨年の十月に生産目標試案農林省として公表をいたしております。したがいまして、五十七年時点生産目標というものを達成をしていくために、四十九年度から緊急対策を講じていこうということで、目下予算要求いたしておるわけでございます。麦につきましては、麦の生産費を中心にいたしまして、将来とも麦作振興をはかることが適当と認められます地域、大体麦作面積のおおむね七割相当になろうかと、かように考えますが、そういう地区麦作振興地区として指定をいたしまして、将来、麦作のにない手となります経営を対象としまして重点的に施策を講じてまいりたい、かような考え方でございます。  具体的な施策の中身でございますが、総額といたしまして約九十五億円要求をいたしております。  まず一つは、麦生産振興奨励金交付でございます。これはただいま申し上げました麦作振興地区内におきまして麦作振興しようとする生産者に対しまして生産奨励金というものを交付いたすわけでございますが、単価といたしましては、一俵当たり約二千円ということで考えております。金額は約七十八億円ということに相なります。それからもう一つは、モデル麦作集団奨励補助金交付でございます。これはただいま申し上げました麦作振興地区内におきまして機械化体系を導入しますモデル集団対象にしましてモデル麦作集団奨励補助金というものを交付しようというものでございます。単価といたしましては、一集団当たり約二十万円ということでございまして、対象集団を四千集団考えておりまして、所要金額が約八億円というものでございます。それから第三番目には、麦生産技術普及等事業の強化ということで、農業改良普及員等によります栽培技術及び集団育成指導育苗施設の導入、それから乾燥調整施設改善というようなものをやはり強力に推進していきたいということで、この関係で約六億円。それから四番目に、飼料用麦生産利用機械施設整備、これが約一億円。五番目に、麦生産振興緊急対策指導活動推進等ということで約二億円ということで、麦関係が、当初申し上げましたように、総額約九十五億円という要求を四十九年度予算においていたしておるわけでございます。  次は、大豆でございます。大豆につきましても先ほどの生産目標試案というのを公表いたしておりますが、その生産目標に即しまして、五十七年時点食品用大豆の約八割、これを自給いたしたいということを目標にいたしまして、施策を進めてまいりたいということでございます。考え方としましては、大体麦と同じでございまして、やはり将来とも大豆の主産地として生産振興が適当だと、そういうふうに考えられますところを大豆生産振興地域として指定をしまして重点的に施策を講じていきたい。大体、大豆作付面積のおおむね九割相当ぐらいになろうかと考えておりますが、そういうところを生産振興地域指定をするという考えでございます。これに対します所要予算総額は約四十七億円に相なっております。  これにつきましては、一つ大豆生産振興奨励金交付というのがございまして、これは単価が一俵当たり約二千五百円ということで、交付総額を約三十八億円と考えております。それから第二点が大豆作機械施設整備等ということで、機械施設の導入なり、あるいは大豆増産技術改善展示圃の設置というようなことを推進したいということで約五億円。それからやはり指導活動も重要でございますので、指導活動推進等ということで四億円、合計で先ほど申し上げました約四十七億円の予算要求農林省として行なっておる次第でございます。  以上でございます。
  12. 村田秀三

    村田秀三君 だいぶ詳しく御説明をいただいたわけでありますが、そのほかに、これは飼料作物でありますが、飼料作物のうちの草地ですね、十アール当たり七千五百円ですか、これを準備しておる――これは局が違いますので、答弁が一緒にならなかったということですね。そういうことを聞いていますが、それでよろしゅうございますか。
  13. 大河原太一郎

    説明員大河原太一郎君) お答え申し上げます。  飼料作物については、耕地飼料作物につきまして十アール当たり七千五百円、考え方といたしましては、ただいま園芸局のほうから御説明申し上げたような、集団栽培に即した増加面積に対して助成をいたすということに相なっております。
  14. 村田秀三

    村田秀三君 ここは農水委じゃございませんので、いまお知らせをいただきましたそれらの問題については農水委の場であらためて論議する機会もあろうかと思いますけれども、その奨励金対策が妥当かどうかということは、きょうはおきます。  ただ、ここで一つ解せないのは、先ほど生産調整費転作休耕補償金、いろいろと伺いましたが、もちろん私も承知しながらこれ伺っているわけであります。少なくとも、この転作奨励ということであれば、ある程度わかります。しかしながら、休耕奨励金を出した、これはずっといままでの四十二、三年ごろ、つまり米が余ってくるんじゃないかというような、そういうときからずっと考えてみませんとぴんとこないわけでありますけれども、とにかくこの休耕補償というのは、これは問題だと、いろいろ私ら国会の場でも質問をいたしたことがありましたし、それはやめるべきであるというような言い方をしたことがあります。ずっと記憶をたどってみるわけでありますけれども、米が足りないということで開田を奨励した時期というのは御存じのごとくあるわけです。昭和三十九年、四十年ころはそうであったろうと思います。たしか四十二年だったと思いますけれども、また、米がそれほど目立たない、ようやく一〇〇%自給が可能であるというような、そういうときでありますけれども、開田状況を地方を回りまして見たり、それからまた、農林省統計等を見ます限りは非常に進んでおる、であるとするならば、これは事米に限っては過剰状態が来るであろうということを私は予算委員会で――多分当時西村農相であったろうと思うのでありますけれども、質問をいたしまして、米は余ってもいたしかたあるまい、輸出をするとか援助をするとか、現実には多少過剰状態の中からそういう施策はとられておるようでありますけれども、しかし、なけりゃ困るんだから、必要な分だけは当然確保するように自給するようにしなくてはならないけれども、過剰状態をつくってよろしいということではない、したがって、開田規制をしてはどうかというような質問をいたしましたところが、これは自由主義経済であるから開田規制はできませんという御答弁を当時いただいております。それから下りまして四十四年、四十五年、実際問題として、これは休耕ということばが出、休作ということばが出てきたのは四十四年ごろからだと思いますけれども、そのときからいろいろと論議をいたしました。そして生産調整という、そういう表現はようやく四十六年になって使われたと私は思うのでありますけれども、その際に、本来的にいって生産調整というのは必要である、これは認めよう。しかしながら、では何をつくれということを農林省責任を持って指導しなくてはなるまい。しかも、今日の麦作状況飼料状況を見ると、急角度にこれは国内生産が低下をしておって、そして輸入増加をいたしておる。こういうことであるならばですね、休耕をするなどというような施策ではなくて、政府が、つまり麦なら麦、あるいは大豆、あるいは飼料作物としてのトウモロコシ、そういうものをつくるように進めることが、せしめることが必要である、こういう論議をいたしたことがあるわけでございます。ところが、結果的には休耕補償というかっこうで今日まで続けられたわけでありますけれども、いまずっと聞いてまして、にわかにこれは対策を立てなければならぬということで、来年度からこれは生産奨励金を出す、こういうことでありますね。  そこで、まあ質問のやりとりということではなくて、私が考え方を述べる結果になるわけでありますが、休耕奨励金、これは単純計算でありますけれども、キログラム六十八円、反当四百四十四キロ生産されるものとして、十アール当たりは三万円というのが単純休耕奨励金でありましたね。この奨励金を出すならば、その奨励金を――つまり国内生産があがらないというのは、これはペイしないからだ。外国の輸入小麦等と比較いたしまして国内生産割り高であるからと言われながらも、その小麦なら小麦販売価格というのは、これは農家生産をいたしましても所得にはならないという問題もあって生産が低下しておるとするならば、この休耕補償金を逆算して、つまり大豆価格なり、あるいは小麦価格なりにそれをプラスしてはどうかというような議論もしたことがあるわけでありますね。だから、もしも四十六年度段階において、休耕補償金を出すという時点において、これはまあ土地効率利用という観点に立ってもですね、少なくとも、まあ三万円に星合うかどうかは別でありますけれども、とにかく休耕補償金というかっこうではなくて、むしろ大豆小麦や、あるいは飼料作物生産奨励のほうに回しておったとするならば、私は、今日のように、きわめてろうばいした形で、木に竹をついだような、そういう新たな農政の展開をしなくても済んだのではないか、こう実は考えているわけであります。  したがって、はたしてこの決算を見るにあたりまして、今日までとられましたところのいわゆる休耕政策というものが妥当であったのかなかったのか。私は、妥当でなかったと見るわけでありますけれども、とにかく休耕補償を打ち切る今日の段階では、農林省はこれを評価すべきである、こう思うのです。そういう意味で、これはいまどうお考えになっているのか、話を聞いておりまして農林大臣が思うところありますかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  15. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 村田委員のただいまの御指摘は、私として非常に傾聴に値すると思います。ただ、この休耕奨励金交付された当時の実情からまいりますると、生産調査を実施するのに、稲作からこの部分転作がよろしいのである、この部分休耕するがよろしいのである、そういう計画的な行き方ということのしにくい状況にあったと思うのです。これ以上過剰米が出てはいけない、調整をしてもらおう、そうなると各県へ平均的な割り当てをする、こういうようなことが実情としてあったと思います。また、この生産調整をして、そしてその必要な面に転作をさせるという方向から考えてみまするのに、この転作の前提となる農家対応あるいは土地条件改善等の諸条件整備されませんと、右から左に転作ということの非常に困難であるということは、村田委員もお認めいただけると思うのであります。  そこで、七百二十万トンから古々米があるという実情で、お話のように、まあ当初一部休耕というようなことでございましたが、しかし、計画的な生産調整をやろうということで、四十六年の閣議決定で、五年間の生産調整をやる、こういうことになりまして、その場合に、いまの転作農家対応する上においても、直ちにこの転作の可能な面については奨励金を増額した転作奨励金の用意をし、また、すぐ対応のできない面については二、三年の間に諸条件整備をしてもらうがいいではないかという、そういう趣旨においての休耕奨励金、こういうことであったと私は思うのです。しかし、実情としては、休耕奨励金をもらって、さあその転作対応する準備に入っているのかどうかというと、その点はきわめて小範囲のことで、実際には休耕奨励金休耕奨励金としてだけ受け取っているというような点があると思うのです。しかし、少なくとも、いま申し上げたような、急には転作は無理なんだ、その準備のためもあって、ある部分休耕奨励金である、すぐできるところは転作奨励金である、この考え方はお認めをいただきたいと思うのであります。  いま承っていると、休耕奨励金など出さずに、転作に必要なように何かそれだけのものを使ったらいいじゃないかということであろうと思いますが、しかし、なかなかすぐ右から左に当時の状況転作に持っていきかねた。しかし、生産調整の必要がある、それじゃ、まあわれわれの気持ちとしては、準備のために二、三年は休耕奨励金を出そう、こういうことであったと思いますので、御理解を賜わりたいと思います。
  16. 村田秀三

    村田秀三君 農政論議にこれは入らざるを得ない気がするわけですが、その三年間休耕奨励金をやるからその間に転作準備をしろなどというような、明確な指導というものが出ているとは私は聞かないですね。それから、同じ水田でも、確かに直ちに畑作に転換するなどという条件のないところももちろんあります。そういうことも考慮しながら、当時、私は、土地改良の問題に触れまして、とにかく生産調整というのは将来ともあり得る、これは。あり得るけれども、日本の場合考えてみて、はたして小麦であるとか大豆であるとか、あるいは飼料全般について需要量を一〇〇%まかない得るかどうかというと、私自身もそれは懸念なしとしないわけでありますけれども、いずれにいたしましても、米は一〇〇%必要である、ただし、それ以上少なくとも増作が見通せるような場合は、ことし稲をつくって、来年直ちに豆をつくるとか、あるいはトウモロコシをつくるとかいうぐあいに、常に転換できるような、そういう耕地の整理、田畑輪換できるところの、輪作できるところの土地改良というものも考えてみてはどうかという議論を実はいたしております。しかしながら、いろいろ大臣は言いますけれども、米が余った、どうしよう、そのどうしようを解決するためにのみ力点が置かれたと、どうしてもやはり見ざるを得ないわけでございまして、そういう意味からは、私は、この休耕奨励というのは失敗であったと、これは考えざるを得ない。  そこで、お伺いするわけでありますが、この問題、ここでいつまでもやっていてもしかたがないわけでありますから、将来あってよいということではないと思うのですね。これは日本農政の将来に、つまり四十六年からとられたような、そういう政策というものがあって私はならないと、こう思うのです。そういう意味において、つまりはこの大豆麦類あるいは飼料作物等に対するところの四十九年度対応策というのは、これは単年度であってはならないと思いますし、これは恒久的なものにすべきであろうと思います。そういう意味から含めて、つまり休耕などというものは、これはばからしいことなんだと、土地生産上からいってみてもばからしいし、また、農民の生産意欲を減退させるという意味においても、これは間違った政策である、今後はやらない、こういうような考えにおなりになるかどうかですね。農林大臣がかわるとこれまた常に政策が変わるなどということでも困るわけでありますけれども、将来、私は、日本の農政にとってあってはならない、そう強く思いますがゆえに念を押すわけでありますが、ひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  17. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 過去のような過剰米を経常的に持つ、これはもう私は今度の経験で当然考えなければならないと思うのです。したがって、この生産調整の四年目を迎える、転作を定着をさせたいと、一方におきまして、天候異変などで国際的な食糧事情の逼迫というようなものの影響も受けておるのでございまするから、そこで、先ほど御説明を申し上げたように、転作の定着を急ごう、転作を促進しよう、こういうことで転作奨励金以外の緊急振興政策はこれを特にやろう、また、それについては大体五年見当やっていこうと、こういうことでありますが、しかし、本年の生産調整が実際上は目標を、一一三%になって、上回っておるわけでありまするが、結果としては七十五万トンぐらいの過剰米を持つ、まあ豊作ということで非常に稲作が順調であったわけでございます。しかし、一昨年七十万トン程度目標よりも切れた場合もたしかあったと思います。そういうことも考えますると、必ずしもこういう天候に恵まれての豊作がこれがもう通常であるというようなふうには思えません。ですから、一応転作をしながらの生産調整をいたし、また、それによってある程度の過剰米がございましても、これはいわゆる備蓄の意味合いで持とう、そして他の面は、これはぜひ転作が定着をするようにしていこう、そして村田委員の言われるように、従来のような意味合いの休耕奨励金のごときが再び必要になると、こういうような事態は当然避けるべきではないかと、かように考えます。
  18. 村田秀三

    村田秀三君 これはいずれ農水委等において本格的にやってみなくてはならない問題であろうと、こう思います。いずれにいたしましても、先ほど生産調整費――転作はともかくといたしまして休耕補償金額的には分類をされておりませんが、相当膨大な資金を投入しておるわけでありますね。私から言わせれば、これはむだ金であったと、そう実は思うわけでありますが、それはそれでいいでしょう。  そこで、ちょっと事務的なことでお伺いをいたしますが、来年度麦作にしろ、大豆作にいたしましても、草地にいたしましても特別に奨励金を出すわけでありますが、これはつまり水田の転作、来年度も今日まで休耕いたしておりました田を転作をするという場合には、これはいままでの奨励金がつくわけでありますから、その場合に、これは上積みされるものなのかどうか、そういう点について疑問を持ちますので、お伺いいたします。
  19. 二瓶博

    説明員二瓶博君) 四十九年度におきまして、生産調整ということで転作をする、したがいまして、たとえば大豆をつくるということになりますれば転作奨励補助金がまいります。それとともに、先ほど申し上げました生産奨励補助金、これも一俵二千五百円でございますが、これもつけたい、こういう考え方でございます。
  20. 村田秀三

    村田秀三君 そうしますと、ことしまで、たとえば大豆転作しておった、一定の条件を満たしておるとするならば、それもやはり上積みされると、こう理解していいわけですね。
  21. 二瓶博

    説明員二瓶博君) 四十九年度からの施策として麦、大豆等について緊急の対策を講じたいということでございますので、四十九年の大豆、それから麦につきましては、ことしの秋、もうまいでおりますが、そういう麦につきましては対象にしたい、こう考えておるわけであります。したがいまして、四十八年の大豆ということになりますと、これはそういうわけにはまいらないと、こういうことでございます。
  22. 村田秀三

    村田秀三君 転作奨励に従って四十六年度から大豆をつくっておった、ことしも。来年も大豆をつくるはずなんです。ことしの分は、これは特別奨励金がつかないことはわかりますが、四十九年度は、これは上積みされるのかどうかですですね。
  23. 二瓶博

    説明員二瓶博君) 四十九年度は、転作をすれば転作のあれが行ったほかに、ただいま先生お話のございます奨励金が上積みになると、こういう考え方で運用することにいたしております。
  24. 村田秀三

    村田秀三君 それでは、別な問題に移ります。  まあ、時間がどうも予定した時間少し足りなくなりそうですから、答えはお伺いした部分だけひとつ御答弁をいただきたいと思います。  そこで、この土地改良十カ年計画、第二次にもうそろそろ入らなくちゃならない時期にきておるわけですね。そういうことで、第一次十カ年計画ですね、それの当初計画と、それからあと進捗状況予算とそれから面積等についてひとつお伺いをいたします。
  25. 杉田栄司

    説明員(杉田栄司君) 第一次土地改良長期計画というのは、昭和四十年を初年度といたしまして、十カ年計画として策定されたものでございます。この計画は、内容は圃場整備とか基幹かん排とかいろいろございまして、それらすべてを含めまして、計画期間内に総事業量で規模を二兆六千億というふうにきめられております。このうち、国がみずから行ない、または補助するというような事業が二兆三千億、それから融資事業が三千億というような内訳できめられたわけでございます。うち、前期五カ年というようなことで、四十四年までには大体その半分、一兆一千五百億程度を実施するということで予定されております。計画策定後の実績といたしましては、予算ベースで四十年度から四十七年度までの八カ年、この八カ年間に合計事業量が二兆七千億となりまして、この二兆六千億をオーバーするというようなことになったわけでございます。そこで、四十八年度から新しい第二次長期土地改良計画をつくるということになっております。また、四十年度から四十六年度までの七カ年でございますが、この間に、これら主要事業の実施面積は、当初の十カ年計画において予定いたしました総量のほぼ五〇%の消化というふうになっております。これをちょっと面積表示で申し上げますと、たとえば圃場整備等につきましては、当初八十五万町歩というふうに十カ年で予定したわけでございますが、四十六年度までの実績がございますけれども、これが三十四万町歩、約四〇%でございますが、進んだということでございます。あるいはまた、農用地造成等につきましても、ほぼ予定量の五〇%、十七万町歩、あるいは草地造成で十九万町歩というような実績があがっております。金額は、それぞれ区分した数字はございますけれども、これは名目の数字でございまして、総額で二兆七千億でございますが、実質ベースに直しますと約二兆になるというふうに思います。  以上でございます。
  26. 村田秀三

    村田秀三君 いま御答弁いただきました数字、実は私も資料をちょうだいして承知をいたしておるわけでありますが、この数字を見まして、今日の事業、これは道路にいたしましても港湾にいたしましても、大体同じことが言えるんじゃないかと思いますが、すでに当初計画が二兆六千億、それがもう四十七年度で二兆七千億と、ずっとオーバーをいたしておるわけですね。確かに資金的には、資金量としては、これは十カ年を待たずして達成をいたしましたというようなあるいは表現もできるかもしれませんが、しかし、その実面積を見ます限り、これはいまもおっしゃいましたように、年度は一年ずれておりますけれども、四十六年度までで、これは水田の場合ですと四〇%、農地造成、干拓、草地造成等につきましては、これは四九、四八で、五〇%になっておらないわけですね。そうすると、十カ年計画を立てまして、その計画達成をいたしましたということは、どの部分をとってこれは見たらいいのか、単に資金的なもので一〇〇%達成できたというのか、あるいは実面積でもってこれは達成率は五〇%でございますと、努力不足でございましたと、こういうような言い方になるのか、その考え方を少しお聞かせ願いたいと思います。
  27. 杉田栄司

    説明員(杉田栄司君) これは三十九年の土地改良法の改正に基づきまして十カ年計画を立てることになりまして、四十年に立てたわけでございますが、いろいろな表示のしかたはあろうかと思いますけれども、土地改良事業というのは、非常に長期にわたって効果が発生するというような、そういう種類の仕事でございます関係で、長期的な投資の目標を示すことが、これに続きますいろいろな事業のやはり一つの指標にもなるというようなことがございまして、金額でその土地改良長期計画の投資目標示してあるわけでございます。ところが、この金額を一〇〇%消化いたしましても、実は年々のいわゆる資材、労務賃等の物価増等がございまして、予算上は消化したけれども仕事は一〇〇%できないというようなかっこうになっておるわけでございます。もちろん十カ年のうちの六カ年なり七カ年分でございますから、もう少し時間がたてば、事業量についてもさらに物価増に見合う金を追加することによって達成できるものであるというふうに思っておるわけでございますけれども、予算上ほぼ達成したようなかっこうになりました関係もありまして、また、その後の農業の諸情勢が非常に変わりまして、いまの米の問題とか、いろいろな国際環境というような変化もございまして、それらに対応するために新たな土地改良第二次計画をつくるということになって、第一次計画は、いま申し上げましたような数字で終わったということでございます。したがいまして、結論としては、事業量としては達成をしていないということになると思います。     ―――――――――――――
  28. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) ここで委員異動について御報告いたします。  ただいま峯山昭範君、河口陽一君、河本嘉久蔵君、君健男君、小林国司君及び寺下岩蔵君が委員を辞任され、その補欠として阿部憲一君、嶋崎均君、大森久司君、佐藤隆君、平井太郎君及び鹿島俊雄君がそれぞれ選任されました。     ―――――――――――――
  29. 村田秀三

    村田秀三君 意見を申し上げたいと思うのですが、事業率、これは五〇%、そういうことではならないと思うのですね。とにかく農地造成というのは、食糧需給計画に基づいて自給率を高めようとしながら農用地を造成すると、こういうことにこれはなるわけでありますから、これはいま私が申し上げる必要もないほどあまりにも常識的な話であります。だとすれば、これは物価の上昇による、あるいは工事の高度化、こういうような問題があろうかと思いますが、しかし、ここでは物価の問題を論議する場所じゃございませんから、それには触れませんが、いずれにいたしましても、つまり造成を必要とする土地が十カ年計画の中で達成できるように予算措置を講じなくてはこれはなるまいと、こう思うのですね。そういう立場から見ますならば、これはどうもやはり、建設省なんかもそうでありますけれども、金さえ使えばそれでいいんだというような傾向というのが見られるわけですね。それではいけないと、こう思いますので、つまり実事業量がどの程度進捗したか、進捗させるためには必要な予算措置は当然やる、こういう方針で今後ひとつ臨んでもらいたい、こういう意見でありますけれども、ひとつこれは農林大臣のほうからお伺いいたしましょう。
  30. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) ただいまの御意見は、これをそのまま受けとめれば、資金計画のほうでなくて、何ヘクタール十年間で土地造成をするとか改良するとか、そういう実情のほうを示して、その必要な資金を確保する、こういう考え方をするようにというように私は受けとめたのであります。それも一つ考え方だと思いますが、従来、わが国のこの予算制度は、どちらかというと金額表示のほうに重点が置かれておって、ただいまも御指摘のような、第一次計画が二兆六千億円、それがすでに金額としてはオーバーしておるけれども、実際の土地改良の実態というものはそれに沿ってはおらないじゃないかと、この点は、私どもとしても十分今後配慮しながら、できるだけ計画が、資金の面でない、実態が進められていくという必要は当然あると思います。
  31. 村田秀三

    村田秀三君 それでは、次の問題に移りますが農業振興地域指定及び農業振興地域整備計画の策定状況ですね、これも簡単にひとつお伺いいたしますが、どうも私の見るところ、農振法が制定をされまして、はたしてこの法律の目的どおりに作動してるのかどうか、作用してるのかどうか、こういう点について、最近の列島改造を持ち出すわけじゃございませんけれども、もうどんどんどんどん土地ブローカーが地方に進出をいたしまして、そしてこの土地の買い占め問題というものはいま私が申し上げるまでもなく、これは大きな問題になっておる。そういう面から見ましても、この農振法というのがはたしてどういう効果をいまあらわしておるのか、こういう点について、はなはだ疑問を持っておりますので、そういう点でひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  32. 今村宣夫

    説明員(今村宣夫君) 御質問の農振地域指定整備計画の策定状況でございますが、昭和四十八年の七月末の現在で見まして、農業振興地域指定が二千七十九地域行なわれております。私たちとしまして、地域指定を行ないます目標を三千三十と置いてございますので、相当部分がすでに地域指定が行なわれておるという状況にございます。  それからその地域指定をいたしますと、市町村が整備計画を策定するわけでございますが、同じく七月末で整備計画の策定が千四百八十一行なわれているわけでございます。これは若干地域指定整備計画がずれるという関係がございますので、現在数は若干下回っておりますが、私たちの考え方といたしましては、四十八年度中に指定を完了すると同時に整備計画も完了するように、各都道府県及び市町村を指導して鋭意努力をしてまいっておるわけでございます。  御存じのとおり、農振法は、土地の利用区分を明らかにして、土地の有効利用と農業の近代化をはかるための措置でございまして、整備計画を策定し農用地区域を指定して、できるだけそういう優良な農用地を確保し、あわせて農業生産をそういう面に志向するという効果を持つものでございまして、私たちは、この指定及び整備計画の推進を鋭意進めることによりまして、先ほど御質問のございましたような農地買い占めその他の点につきまして十分効果を発揮し得るものというふうに考えておる次第でございます。
  33. 村田秀三

    村田秀三君 私も、これ十分な調査がなされておりませんから、詰めてものをきょうは申し上げることはできません。しかしながら、この整備計画はできたけれども、いろいろ聞いてみますと、整備計画に基づいて、ではそれなりの投資がなされておるかというならば、それはまあ平面的には、部分的にはあるのでありましょうけれども、つまりこの法律を策定をいたしましたその趣旨が貫徹できるような徹底した施策というものが集中的になされておるかとするならば、私は、それなりの効果を持っておるとか、そういうことは言えないんじゃないかと思うんですね。  で、ちなみに申し上げますが、ここに申し上げます資料は、これは福島県の場合でありますけれども、福島県の農業会議がまとめたものであります。この土地、まあ農地、山林含まっておるわけでありますけれども、わずか四十五年十月から四十七年十月までの間にどれだけ移動しておるか、こういうことについて調査をしたようであります、その結果は、二万六千三十九ヘクタール移動いたしておりまして、その中に農用地が千五百十六ヘクタール、山林が二万三千八百九十一ヘクタール、こうなっております。それからこれを用途別に見た場合には、工場用地あるいは分譲住宅用地、ゴルフ場用地、観光レジャー用地、会社の住宅厚生施設等、いろいろございますけれども、驚きますことは、農振地域指定をされました、整備計画がすでに策定をされております地域内の農用地、したがいまして、指定をされました区域内の農地と、それから山林も指定をされるわけでありますから、そういう意味では山林も含まっておるわけでありますけれども、七百六十一ヘクタールがゴルフ場用地にこれは取得をされております。そして、その中の農地は四百三十ヘクタール、こういう資料が出てまいりました。このことを考えてみますと、この農振法というものは一体何のためにこれは策定をされたのだ、こう思います。おそらく、おたくのほうでお調べになって、いやそれほどの数字はないと、こうおっしゃるかもしれませんけれども、しかし、なかなか巧妙に出ておりまして、つまり仮登記をするとか、裏契約をするとか、こういうような手続が実は進行をしておるということを聞きまして、裏契約も仮登記も含めてのいまの数字でございますけれども、よしんば裏契約であろうと、表面的にはまだ農地法の転用許可申請が出されていないなどと、そういうことで楽観をするわけにはいかぬようなこれは情勢であろうと、こう思うわけです。したがいまして、いま御答弁いただきましたその答弁については、どうも私どもも、あまり農林省としまして楽観をし過ぎているのじゃないか、むしろ放置しているのじゃないか、こうさえも思うわけでありますが、これは具体的にどういう施策というものを考えていますか。
  34. 今村宣夫

    説明員(今村宣夫君) 農振地域指定を取り進めてきたわけでございますが、従来はやはり農振予定地域ということもございまして、農振地域指定が逐次進みつつございますが、農振地域だけ、あるいは農用地区域のみに農林省施策を集中するということは、まだ過渡的段階としては必ずしも適当ではないということで、農振予定地域ということを考えまして、将来農用地になる、あるいは農振計画が策定されると、そういう地域をも対象にして、いろいろ構造改善事業でありますとか、基盤整備をやってきた経緯がございますけれども、最近農振の指定相当進み、先ほど申し上げましたように、農用地の整備計画相当進んできましたものですから、本年度以降における農業関係事業の実施方針ということで、先般次官通達を出しまして、土地改良事業だとか、第二次構造改善事業等の農業生産基盤の整備開発事業でありますとか、あるいは農業生産近代化施設の整備事業というものは、農用地区域を対象として実施をする。これは四十八年度以降はそういう農用地区域の整備計画を策定していないものについてはそういうものを行なわないというぐらいな方針で対処をしてまいっておるところでございます。したがいまして、いままでの整備の過程におきます取り扱いと今後相当指定が進んでまいりました今後の農林省施策の集中的取り扱いというものは、先ほど申し上げましたように、次官依命通達の線に従って処理をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  なおまた、福島県の土地買い占めの状況でございますが、私たちとしましては、決して現在の農地の買い占められておる状況を楽観をいたしておるわけではございません。むしろ、こういうふうな農地の買い占めが農業生産あるいは農業経営に非常な不安定といいますか、マイナスの要素として働らくということにつきまして非常に心配をいたしておるわけでありまして、これに対応いたしましては、いろいろ農振の指定をすみやかに取り進めるということも一つでございますし、あるいは農地法の運用を厳正適確に行なうということも一つの方法でございますが、あわせて本年農地の移動状況を調査をいたしまして、すみやかに移動状況を掌握して、適切な対策を講じ得ますように、各都道府県及び市町村、さらには地方農政局にそれぞれのそういう調査チームをつくり、関係機関でよく情報を交換し、その時点時点において適切なる措置を講ずるように措置してまいっておるわけでありまして、今後とも、そういうふうに各般の私たちのできるだけの努力を重ねまして、優良農地の確保あるいは農用地の適正な利用、さらに進んでは土地計画的な利用ということについて努力をいたしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  35. 村田秀三

    村田秀三君 また別に機会を改めてやってみたいと思いますけれども、これは大臣たいへんな問題だと思うんですね。農業会議では、こういう数字を調査をいたしまして、ひとつ農用地を守ろう、そういう運動を提起しておるようであります。まことにけっこうではありますが、しかし、実際土地を保有する農家の人々にとって、では、どういう考えであろうかということもまた私は見てみなくちゃならぬと、こう思うんですね。いまも申し上げました仮登記であるとか、裏契約ということでありますから、ここに問題を提起して、いまこの問題をどうすべきだというようなことには、いまはなりません。なりませんが、とにかくどんどんどんどん観光資本は入ってくる。ゴルフ場は福島県の場合は百十六もあるそうでありますが、百十六もゴルフ場をどうするのだろうと実はふしぎに思うわけであります。いずれにいたしましても、とにかく持っていてもしかたないから、値がいいようだったら売ろうという、そういう雰囲気。これは生産調整休耕奨励というふうなことも影響いたしまして、農家の人々の生産意欲というものは相当に減退をしていることは間違いないわけであります。指定はされましたけれども、では何をやってくれるんだ、いいところないじゃないか、ただ土地だけ押え込んで、そうして売れないようにして、おれの暮らしをどうしてくれるんだというような、そういう意見に変わってきていると私は思いますね。農業団体とか私らがいかに声を大にしまして、これはたいへんだから気をつけろと、こういうことを言いましても、それでは個人個人はどうかということになりますと、これは問題があります。そういうことを考えますと、いまも積極的、集中的にやろうというのでありますから、これからしばらくその経緯を見たいとは思いますが、とにかく集中的にひとつ近代的な農村建設をするという立場で、単に田をよくするなどという、そればかりではなくて、総合的な農村生活というものを近代化し、そうしてそこに住む人々が喜んで農業生産にいそしめるような、もちろん農産物の価格関係等もございましょうけれども、そういう施策を講じながら、いわゆるその法の精神を生かすようにしなくてはなるまい、こう実は思います。とにかく、これは登記をされまして、表面に出たものだけの調査をして、それほどまだ進化していないなどというようなことを言っておったのでは、これは手おくれになるわけでありますから、したがって、農林省はこれは早急に大点検をしてみる必要があるだろう、こう思うのですが、大臣はどうでしょうか。
  36. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 基本的に農業が成り立つような農業振興政策を十分とっていくということは、これは言うまでもないと思います。そこで、現に買い占めをせられているところの実情を見まするに、たとえば御指摘のゴルフ場用地に農用地が四百三十ヘクタール買い占められていると、こういうような問題は、これは農地転用許可の適正な運用をしていかなければならないと思います。それから農振法の中における農用地区域、これはお示しの七百六十一ヘクタール、これが農振地域内の農用地以外の土地ということでありまするならば、それらの、かりに山林原野といたしますれば、開発の規制をすると、これは農振法の改正につながる問題であると思いますが、できるだけそういうようなことをして優良農地を確保していく、この必要があると思うのであります。ただ、まあ農業をやっておるよりも土地を売ってしまって、この際資金を得たほうがいいというような、そういう実情について、できるだけそういうことのないようにするためには、現行法のもとにおきましてどうしてもやみ取引が起こりがちであるということから、農林地の買い占め等については極力情報の収集をいたしましてそれを防ごうと、しこうして、それで間に合わない点については、現に森林法の法改正をお願いして、規制をしようとか、きょう御指摘の農振地域の中でもおかしいじゃないかと、こういうことであれば、やはりその規制措置を考えていかなければいけないと、かように考えます。
  37. 村田秀三

    村田秀三君 いま大臣は農振法を改正するというようなことも含めて御答弁ありましたが、どの部分をどのように、改正をするとすれば考えておられるのか、その点についてちょっと触れていただきたいと思います。
  38. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) ただいま御質問に応じて私の感じを申し上げたとお答えしたわけでございまするが、農業振興地域内で農用地以外の土地、そういうものがおそらくこの福島県の例でも、七百六十一ヘクタールの中では山林原野のようなものが買い占められておるのではないかというふうに私思うのであります。そうであるとすれば、農振法の中でやはりそういうものの規制をするような措置を考えたらばどうかと、他面、森林法の改正をいま国会にお願いをしております。そのほうで規制をするようにしておりまするので、幸いそのほうでできるならば、あえていま私の申し上げるような措置をとる必要はないかもしれませんが、しかし、農振法で地域指定はやっておるが、そこに買い占め等があるとすれば、それはそれなりに法の上での規制を考えるほうがいいんではないかと、かように思った次第であります。
  39. 村田秀三

    村田秀三君 それでは、まあきょうは一般論で申し上げましたが、こまかい部分については、いずれ機会をあらためてまたひとつ取り上げてみたいと思います。  次に、この四十六年度決算検査報告、この報告雷を見ましてふしぎに思いました事柄がございますので、その点について質問をしてみたいと思います。  この公共事業を除く補助事業について処置を要求された事項について、いろいろございますが、ただ一点だけひとつお伺いをいたしますけれどもこの中で補助の対象とは認められない事業を実施したりしていて、そして不当と認められる、こういうものがあるわけですね。幾つかにこれは事犯の内容が分類されるようでありますけれども、工事に不正があったとか、あるいは水増し計画を立てたとかいうような、そういう問題もあるようであります。まあこれらは間々あることだと言ってしまえば、これは検査にはならないわけでありましょうけれども、補助のできないものをなぜ補助をしたんだろうと、こう実は思うんですね。――これはどなたが担当ですか。抽象的なものの言い方で恐縮ですけれども、この補助の対象とは認められない事業を補助の対象としたというのは、一体どういうことなのかということについてまずお伺いをいたします。
  40. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 村田委員の御質問の趣旨がちょっとわかりかねるのでありますが、補助対象にならないものに補助金を出しておるといえば、これはもう明らかに違法のことでありまするから、これはもう当然決算面では不当行為として指摘されて当然なことだと思います。また、そういうことがありますれば、私どもが深く反省をし、そのようなことを繰り返さないということは言うまでもないところであります。
  41. 村田秀三

    村田秀三君 会計検査院の方、来ておりますか。
  42. 田中稔

    説明員田中稔君) 検査報告で補助の対象にならないものといいますものの一番多い代表的な例を申し上げますと、構造改善の補助金というものは、受益者が協業組織をつくりまして、その協業組織の中で使うための機械設備、施設、そういうものを購入するから補助金をくれという申請になっているわけでございます。それを私どもが検査しましたところ、それは共同の施設ではなくて、各個人個人が自分で買って、しかも、それは各個人個人が自分のものとして使っておると、ちっとも協業組織の中の一環として生かされてないので、そういうものは補助の条件あるいは補助のねらう目的からはずれておるので、そういうものは補助の対象と認めないというような事態がほとんどでございます。
  43. 村田秀三

    村田秀三君 これは大臣答弁は全くすなおでございまして、私もすなおに考えているのですが、ふしぎでいたしかたないのであります。しかし、いま会計検査院のほうからも御答弁ありましたが、実はこれでは不十分でございますので、その内容について取り寄せてみました。一件当たり直接行って調査をしたわけじゃありませんから、不十分な面があろうかと思いますけれども、おおよそこの補助の対象とは認められない事業に補助をしておると、こう言われておりますけれども、申請の段階では要件が満たされているというふうに私はこれを見るわけですね。つまり、いま会計検査院のほうでおっしゃられたように、これは共同行動でございますと、代表者を選んでそうして申請をしている。例外なくそうですね。結局、結果的には代表個人が資金を全部出して、そうして補助をしてもらっているというような形になっておるのが多いようです。検査院に申し上げますが、これを見ますと、事務的な不なれとか、あるいは理解不足と、こういうような表現をされておりますが、私はそうじゃないような気がするのですね。というのは、きわめてこれを悪意に考えれば、たとえば人の名義を借りて、了承を受けたかどうかは別にいたしまして、しかるべく要件を作成して申請をした。そして県当局等は書類審査をして、これはまあ適切であるという、そういう許可を与えた。もしもこれが当初から個人がそのように計画をしたとすれば、これは私は犯罪じゃないかと思うのですね。それからもう一つの場合を考えてみますと、予算はどんどん地方自治体に参ります。その予算を消化するために何かひとつ条件整備しなくてはならぬということで、特定の人と特定の地域を選んで、ひとつあんたこうやれば補助金が出るぞ、ひとつやってみないかというような、つまり予算を消化する意味において積極的に県当局等が行動を起こす、こういうような場合とか、どっちなんだろうと、実はこう考えるわけです。会計検査院はどうこれをごらんになりましたか。
  44. 田中稔

    説明員田中稔君) 私どもの検査の過程におきましても、ただいま先生がおっしゃいましたような二つの類型がございます。ただ、しかし、初めから明らかにその補助金を詐取するというような目的でやったものであるかどうかということは、なかなか立証困難な場合が多うございまして、私どもの検査の権限でもなかなかそこまでまいらないということでございますので、私どもの批難のしかたといたしましては、適正化法による補助金の詐取ということではなくて、補助金の対象にならない事態だということで両者を一括して表現しているというのが実情でございます。私ども心証としましては、なるほど最初から意図したんではないかなというふうに思われる事態も皆無ではございません。
  45. 村田秀三

    村田秀三君 いまの答弁の最後の部分、きわめて重大だと思うんですね。この抽出をされました――ここでは六件でございますけれども、このことについてとやこう私は言うつもりはありません。つまり私どもが承知しております限りは、県の担当者なり、これはもう巡回して補助金を出したところは調査して歩いているはずですよ、これは。選挙の場合なんか特にひどいようであります。わかんないわけないんですね。会計検査院にこれを指摘をされて初めてここに顕現化したなどという、そういう単純な問題ではないと私は見るんですね。しかも、これは会計検査院は抽出調査をしてこれだけ発見しているんでしょうから、全部見たら何があるかわからぬというのが私のこれは類推です。だとすれば、これは農林省として、何か農政局を督励をいたしますなり、制度化するなりして、会計検査院の指摘を待つまでもなく、その補助の目的というものが達成されておるかどうかということについて点検をする、こういうことでなくちゃなるまいと思います。と同時に、善意に解釈をいたしまして、当初は確かに組合をつくってやったんだけれども、共同行為というのはなかなかむずかしいものです。一人抜け、二人抜けして、そして自分で全部借金を肩がわりして、ある特定の人がうんと苦労している、こういうこともありましょう。その場合には、つまり助成をした補助をした目的が達成できるように積極的な指導をするというのもまたこれは補助をした立場の責任であろうと、こう思うんですね。そういう点についてひとつ、いま申し上げました、つまり事前にチェックする、指導する、そういうようなものが農林省としてはあるのかないのか。これは構造改善やら、あるいは園芸やら畜産やらいろいろに関連をしておるわけでありますから、どこで答弁をなさるか存じませんけれども、なければつくる必要があるし、そういう立場で県を、農政局を啓蒙指導する必要がある、こう思います。どうでしょう。
  46. 三善信二

    説明員(三善信二君) ただいま先生の御指摘、ごもっともだと思います。ここに指摘されております件につきまして六件ございますが、その中で一部は返還さしたのもございますし、それから一部については、先生いま言われましたように、指導をしてその目的を達するような指導をしたのもございますし、いずれにしましても、やはり補助金を交付しました場合に、その適格条件に該当するかどうかということは当然調査をし、それをまず見きわめていくべきであるということは当然でございます。その後、その補助金がまた適正に使われているかということにつきまして、私ども、地方におきましては、農政局あるいは県に補助金を出します場合には、県の農政部等を通じて極力指導いたし、また、そういう調査をいたしているわけでございますが、中にはやはりそういう手抜かりがあるということもございますし、今後ともその点は十分先生御指摘のように指導いたしてまいりたいと思っております。
  47. 村田秀三

    村田秀三君 では、次の問題に移ります。  やはり報告書の問題でありますが、これは国有林の産物の処分ですね、「展示会等に出品する素材の売渡しについて処置を要求したもの」と、こうなっております。時間もありませんから簡潔に申し上げますが、この内容を要約して申し上げますと、展示会でありますから、優良材を展示するわけでありましょう。この場合は全国木材組合連合会外百二十名――「木材関係団体」と、こうなっておりますけれども、それと随意契約を行ないまして、売り渡したところの木材を譲り受けた団体が展示会に出品をいたしまして、そこで入札なりあるいは競売をやりまして、そして非常に高く売っておる、こういう例であります。そして指摘をされております内容は、営林署が直接その展示主催団体に委託販売をするならば相当な利益をあげることができるであろう、こういう内容です。そういうことで、この販売方式、契約の方法等については本委員会等でもずいぶんと論議をされてきたところであります。この指摘を受けまして林野当局はどのような措置をなされましたか、ひとつお知らせをいただきたい。
  48. 福田省一

    説明員(福田省一君) 御指摘の展示会の出品の問題でございますが、この展示会に出品いたします材は、先生からお話しございましたように、国有林の材の中でも主として優秀な品質でありますところの、たとえば銘木というふうなものが多いわけでございます。これを国有林材の販売の促進という目的でそれぞれの団体に展示しておるものでございます。いま申し上げました普及宣伝のほかに、またそういう優良材の市況の調査であるとか、また収入を十分にあげるような目的ではございまして、有利に販売するというふうなことを主たる目的としておるものでございます。昭和四十一年度予算執行方針の際に、販売方針におきまして次のように局長に指示したのでございます。「展示会その他これに類する行事に出品していた銘木およびこれに類似の優良材については、」できるだけすみやかに販売委託に切りかえなさいというふうに指示はしてございます。四十七年の十月十七日付で、四十七年の検査第三〇五号によりまして、会計検査院から是正改善の処置要求を受けましたので、昭和四十七年の十月に四十七林野監第八〇号をもちまして「素材の販売方法について」及び昭和四十八年一月二十三日付、四十八林野監第四号「展示会等に出品する素材の売渡しについて」の林野庁長官通達をもって、営林局長に対しまして、優良素材を展示会等に出品する場合には主催者に販売を委託する方法に改めるよう指示したのでございます。  その実績でございますが、従来、展示会の出品量のうちどれぐらいがこの販売委託によりましたかということを申し上げますと、昭和四十六年が四一%程度でございました。いま申し上げました通達を出しまして、昭和四十七年には六一%になっておるのでございます。現在さらにこの辺の指導を徹底しておりまして、四十八年の現在予定では九六%に委託販売の率がなるという見通しを立てておるものでございます。
  49. 村田秀三

    村田秀三君 それでは、いろいろこまかい点で触れたいと思いましたが、時間がございませんから、いま林野庁の方針は展示会に限っては承知をいたしました。これは承知をいたしました。  そこで、今日までもいろいろと問題になるわけでありますが、つまりこの指摘した精神というのは、単に展示会だけの問題ではないと思うんですね。つまりは販売方法を検討するならば、もっといわゆる収益をあげることができるであろう、とりわけ林野会計はいま赤字云々ということが言われておるわけでありますから、特別にそういうことであろうと私は理解をするわけです。単なる展示会だけの問題ではない。  そこで、これは会計検査院からいただきました資料に基づいて、よく見てみたわけでありますけれども、これは参考までに申し上げますけれども、ただいま指摘をされました事項については、その営林署から団体に売り渡しました価格をもとにして転売価格との差を見ていますから、その差は三二%ですね。ところが当初予定価格、営林署の予定価格から見ますと、いわゆる随契で受けました業者が入札をいたしましたその価格の差というのは、私が計算いたしますと四一%になってるんですね。この価格の開差額四一%です。こういう問題、これは参考までに、これは会計検査院の方にもひとつお知りをいただきたいと思いますが、開差額というのはそういう取り方をすべきであろう、こう思うわけです。  そこで、この販売状況、立木、素材に分けてみますと、金額、数量等については時間がございませんから申し上げませんが、立木の場合、一般競争は、すべて四十六年の場合でありますが、一七・八%、指名競争が五・八%、随意契約が七六・四%、こうなっております。そして営林署の予定価格よりも一般競争の場合は平均して、つまり値開き率、開差率ですね、一一五%になってるんです。そして指名競争入札はまあ一般競争と見まして、一応随意契約のつまり販売価格と一般競争でやった場合どれだけの違いがあるかというふうに見ますと、随意契約では、販売価格は二百四十一億八千二百九十九万四千円であります。しかし、これを一般競争にした場合には二百七十四億二千二百五十八万三千円、三十三億の違いがあるわけですね。それから素材の場合、一般競争を見ますと三三%、指名競争が一七%、随意契約が五〇%、こういう分類であります。そして素材の一般競争もやはり二五%でございまして、これを見ますと、結論的に言って、三十六億ほどこの随契した場合よりも利益があると、こういうことになるわけです。それを見まして、つまりこの会計検査院の指摘の趣旨からいたしまして、すべて随契をやめろというのも無理でありましょう。随契の趣旨は、地元の産業を育成するとか云々という問題もありましょうから、あるいは緊急の場合の出荷、販売ということもありましょうから、すべてというわけにはいきませんけれども、これはまあ前回触れましたように、見てまいりますると、それはもう地元に契約される、落ちる木材なんというものは、量からすると非常に少ないようにも見受けるわけでありまして、この問題についても再検討してはどうか、こう私は思うわけですね。だから、この会計検査院の趣旨というのは、単に展示会だけが指摘されたものではなくて、つまり木材の価格を、市況を高騰させるために価格操作をするなどというようなことはもとよりいけませんけれども、しかし、正常な結局販売、運営をしなさいという指摘と私は理解するわけです。でありますから、この販売方法については検討してしかるべきであろうと思いますが、これはいまはどうなっておりますか。
  50. 福田省一

    説明員(福田省一君) 先生まことに御指摘のとおりでございまして、国有林の改善計画につきましては、ただいま鋭意具体策を検討中でございます。その中でも、特にこの販売方法の改善ということは一つの大きな柱と考えているわけでございます。原則といたしまして、会計法は、国有林材の販売につきましてはこれを競争入札によるというふうになっておるわけでございます。いま先生からお話もございましたように、ただ単純にしかし全部を一般競争にいたしますというと、たとえば昨年の秋の木材高騰のような場合には非常に問題があるわけでございます。御指摘のように、随意契約される場合は、一般原則から見ますというと一つの特例でございます。すべてこれは法律に基づいて、予決令その他でこれを適用して、随契の場合は厳に限定しているわけでございまして、その中におきましても、さらに細部につきましては毎年大蔵省と協議してまいっているところでございます。そこで、この一般競争入札のあり方につきましても、こまかい点は省略いたしますけれども、特に限定公売等を考えております。また、随意契約を行ないます場合におきましても、単純な随意契約じゃなくて、やはり見積もり合わせ等の方法をとりまして、競争原理を導入するというふうな考え方をとってまいりたいというふうに考えております。そういうぐあいにいたしまして、その販売につきましては、公正、しかも妥当な価格でこれが販売されるように鋭意検討してその具体策を、一部はもうすでに実行しておりますけれども、そういう先生のおっしゃるような方法でただいま検討中でございます。
  51. 村田秀三

    村田秀三君 率を見ますと、全くこれ、まあ検討はするということでありますから、当然そういう方向で検討してもらいたいと思いますが、立木で七六・四%、素材販売で五〇%がこれ随意契約ですからね、この率が問題ですよ、やっぱり。そういうことでひとつ前向きに検討してもらいたいということ、これをまあ意見として、これから何回でもこれは申し上げます。  それから、それと関連をするわけでありますが、まことに時間がなくて私としては非常に残念でありますが、九月の十四日に農林水産委員会において一度取り上げました問題でありますが、青森営林局青森営林署管内の戸門山国有林百十八林班のヒバ、杉ほか立木の随意契約による売り払い問題立木の随意契約、私はこれが一番問題だろうと思うんですね。だから、青森のあの事件もやはりそういうところから根本的にはきていると、こう実は見ます。  そこで、また、決算でおそらく問題が解決をしました時点でさらに追及をするといいますか、質問をしなけれりゃならぬ事態になろうかと思いますが、その際の論議の中で、参考までにこれはここで申し上げておきますが、会議録が昨日できましたので、私も内容を見て数字等間違いないと、こう思うんでありますが、主物件は省略をいたします。で、その主物件の搬出のために、その搬出路を作設する支障木売り払い。契約は千四百六十六本で四百八十三立方メートル、価格は、中身ずっと見ますと長官は三通りに答弁をいたしております。二百十六万と言ってみたり二百五十一万六千円と言ってみたり、これはどちらが正しいかということをひとつ確認をしたいということと、それからまあ私のほうの調査では、本数二千六再四十八本、材積二千百五立方メートル、こう申し上げておきましたが、長官は調査の結果、本数三千百八本、材積千三百四十一立方メートル、こう答弁をされております。  そこで、つまりその契約をいたしております材積よりも多く伐倒をされ、そしていつの間にか搬出をされたということだけは、これは認めたわけでありますか。そして、その認めた結果、これは盗伐なのか、あるいは何かの手違いなのか、そういう点で明快な回答というものはまだいただいておりません。調査をいたします、こういうことでありました。その調査の経過ですね。――私の持ち時間は、これ四時ということでありまして、まことにきょうは、これははんぱになってしまうわけでありますが、お答えをいただきたいと思います。
  52. 福田省一

    説明員(福田省一君) 先般申し上げましたことと一致するのでございますけれども、結論から申し上げますというと、御指摘の点、これ事実とすると、まことに遺憾でございます。目下鋭意調資を継続中でございます。その中間報告を再確認いたしますというと、先住ただいまおっしゃいましたように、売り払い契約数量は千二百二本、材積で三百八十五立方メートルでございますけれども、この物件を調査いたしましたところ、これは伐根によって推定したんでありますけれども、三千百八本、推定材積は一千三百四十一立方メートルと、かようになっております。したがいまして、差し引きしますというと千九百六本、推定材積で九百六十五立方メートルが売り払いの物件以外に伐採されているということになるわけでございます。
  53. 村田秀三

    村田秀三君 そこで、単純にこれ聞きますがね、これ盗伐ですか、いままでの調査の中で。盗伐ですか、あるいは間違いですか。
  54. 福田省一

    説明員(福田省一君) その点の確認をただいま鋭意急いでいるところでございますけれども、中間の報告でございますが、その内容等につきまして向こうの報告をもらいましたところ、一つは作業道路線の変更が安易な判断により行なわれたことということが一つの原因であるし、第二点として、作業道の支障木の売り払い区域以外を伐採している事実はないので、この分についての盗伐行為はないと判断される、これが第二点です。第三点は、作業道の変更承認手続の経緯に供述の違いがございまして、若干の問題点がある。それから第四番目としまして、作業道支障木の収穫調査実施の内容について供述の食い違いがある。不当な調査が行なわれたのではないかという疑いが濃いのでございまして、目下、作業道の支障木の収穫調査の実行内容を中心に調査を進めておるところでございます。  ですから、盗伐であるのかないのかという点についてのお答えになりますけれども、そういたしますと、盗伐ではないということになると、最後の第四点で申し上げましたように、この不当な調査が行なわれたのではないかという疑いがあるわけでございます。つまり結論としては、盗伐であるか、あるいは不当所得ということになるのか、不当利得ということになるのか、こういう疑いが持たれるわけでございまして、監察官を動員してただいま調査しておりますけれども、調査の対象の人間が不在であったりいたしまして、そういう事情がございますので、私も再三局に連絡をいたしまして、この点を早く詰めて至急、場合によっては、内部牽制組織でございますところの監査官でこれが不可能ということがわかるならば、検察当局とも連絡をとって、至急この結論を出すようにということを督促しておる段階でございます。
  55. 村田秀三

    村田秀三君 この搬出路作設指定地域内であるから盗伐でないと、こうはっきりおっしゃいましたがね、これはきわめて重大な問題です。そんなにいま断定していいのかどうか、調査の段階で。
  56. 福田省一

    説明員(福田省一君) ちょっとお答えの点、不十分な点がございました。向こうのほうの調査の結果は、そのように思われるという報告でございます。
  57. 村田秀三

    村田秀三君 まあ時間がないので、これはもう中身ずいぶん触れなくちゃならないんですが、それじゃ、まあ聞きますが、よしんばこれが盗伐でなかったとするという場合には、これは私この前は追徴の点についても触れておいたわけでありますが、当時の価格に換算をいたしましても、つまりおたくのほうで調査されたその材積をもって計算をいたしましても、当時売り払い価格ですね、これは商いほうをとりました、七千六百円。そうすると、八百三万円のこれは開差があるんですね。まあ私どもの調査からいえばもっと高くなるわけでありますが、そうすると、二年間切らずにおいた、今日の価格幾らかということになりますと、今日の材木の価格相当いいわけでありますからね、当時の展示会に出されました価格平均は二万三千円です、一立方。いまは三万円ぐらいする。そうすると、もっともっとたいへんな価格になるわけですね。これを追徴しなくてはならぬという場合に、収穫調査のミスであるとかという結論がかりに出た場合に、この責任はだれが持つわけですか。これはまあ参考までにお伺いしておきます。
  58. 福田省一

    説明員(福田省一君) 御指摘のように、伐根から調査しました結果は相当食い違いがあるわけでございまして、これを私たちも当時の価格で、かりに――これは材積は推定でございますので、すでに現物はございませんから、中には空洞もないし、あるいは腐りもないということを想定いたしまして、普通材であるというふうにして推定いたしますというと、大体九百万円程度になるわけでございます。それを見積もりの契約しました価格を差っ引きしますというと、約六百五十万円程度になるのではなかろうかと推定されるわけでございます。  そこで、この問題につきまして、まあ真相の究明の結果を待ちまして回収措置にするかどうかということを決定いたしたいと、かように思っておるところでございます。
  59. 村田秀三

    村田秀三君 ただいま最後の部分はおかしいですよ。調査ミスで済ましてしまえば、担当者をだれか処分すればそれで済む、こういうことだろうと思うのです。しかし、そんなことで済むはずがないですよ、これは。つまり重大な国損を与えているわけですから、これはあくまで追及して追徴する、こういうことでなければならない。これは大臣のひとつ考え方示してもらいたいと思う。だれか担当者を懲戒免にすればそれでいいなどという問題ではありません。もっとも担当者を懲戒免にするまでには――私もずいぶんと資料持ってますから、まだやります、そういうことならば。決してそうじゃありませんよ、これは。そこで、大臣答弁をいただきますと同時に、会計検査院はもう一ぺんこれは四十六年度の分として洗うべきであろう、こう思いますが、会計検査院はどうですか。
  60. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) ただいま長官のほうから御答弁を申し上げたとおりで、私としては、なおまだ解明の不足の分がある、こういうふうに思います。そして事態が明白になりますれば、たとえば盗伐であると、こういうことであれば、それは犯罪要素を持つわけでありますから、司法当局の手にゆだねなければなりませんが、農林省自体としては、その責任を問うという意味においての処分をすると、これは順序ではないかと思うのであります。しかし、このような事態を起こしたということは、私としても非常に残念でありまして、事態が明白になれば明白になったその段階におきまして厳正な措置を講じたいと思っております。
  61. 田中稔

    説明員田中稔君) 会計検査院といたしましては、青森営林署に本年の五月に検査に参っておるわけでございますが、その際は特定の項目に検査の対象をしぼりまして検査いたしましたので、本件の事態についてはつまびらかにしておりません。したがいまして、損害賠償の回収の措置という点につきましては、民法の不法行為あるいは不法利得の規定に該当するかどうか、そういう点は後刻検査を持ちました上で検討いたしたいというふうに思います。
  62. 村田秀三

    村田秀三君 もう一問、簡単に。その営林署、林野庁で監査しているわけでありますが、その監査を私は疑うわけじゃありませんが、いまの会計検査院の答弁を聞いてちょっと私も解せないですよ。ことしの五月に行ったそうでありますが、これは私も初耳でありますが、しかし、この林野庁として積極的に再調査を開始したのは、この七月に私が現地に行って調査をしてきて以降これは調査をしているわけですね。そしてつまり帳簿上の数値とそれから大きく乖離しているということを再調査の結果発見をして、それを国会で報告している。林野当局の検査を待たなければ会計検査院が動き出せないなどということは、これはちょっとおかしいじゃないですか。むしろ、こういうことがわかれば積極的に乗り込んでいってひとつやってみてはどうですか。これは私は行くべきだと、こういうつもりで御意見を申し上げておるわけです。
  63. 田中稔

    説明員田中稔君) 私どもといたしましても、事態の究明はしなくちゃならぬというふうに思いますので、できるだけ早い機会に実地調査に参りたいと思っております。
  64. 塚田大願

    ○塚田大願君 私は、先般摘発されました輸入豚肉にからむ脱税事件についてきょうはお伺いしたいと思うのであります。  この事件はすでに新聞その他で報道されておりますので、その内容、背景あるいは今後の処置について私は政府の見解をお伺いするわけでありますが、まず最初に、大蔵省並びに警察庁に、事件の概要と、関係商社名、それから脱税総額、それから脱税の手口などについてお伺いしたいと思うのであります。  なお、私の持ち時間が六十分しかございませんので、ひとつ答弁はごく簡潔にお願いしたい。
  65. 本多行也

    説明員(本多行也君) お答え申し上げます。  本年八月二十七日に、東京、横浜及び神戸の三税関は、七法人――大手商社でございますが、及び十一名の犯則行為者につきまして、通脱額の総計二億五千二百四十三万円の関税法違反の嫌疑で、それぞれの関係地方検察庁に告発いたしました。  告発内容は、これらの商社は、主として昭和四十六年から四十七年の間におきまして、オーストラリア及び米国からの輸入豚肉につきまして、真実の価格を偽り不正に高価申告をすることによって関税を免れていたものでございます。  その犯則手口は、海外の支店または代理店と密接に共謀・結託いたしまして、二重契約書――二重インボイスを作成し、また関連帳簿類はすべて改ざんしておきまして、非常に計画的かつ知能的なものでございます。  告発商社名を申し上げます。伊藤萬、逋脱税額五千七百五十一万一千円。トーメン、同じく五千五百四万円。兼松江商、三千八百二十万九千円。それから東京丸一、一千七百五十三万四千円。丸紅、一千八百二十万四千円。それから日畜、一千三百九万一千円。それから野崎産業、一千百万円でございます。
  66. 相川孝

    説明員(相川孝君) 警察のほうからお答え申し上げます。  兵庫県警の報告によりますと、兵庫県警では、株式会社日本食肉市場共同などが明治屋など大手四商社と結託いたしまして、台湾からの豚肉を輸入するにあたりまして、豚肉に設けられております差額関税制度、これを悪用して脱税をいたしておりました関税法及び外為法違反容疑事件について捜査をいたしておりましたが、本年五月十六日以降、関係場所を捜索いたしたり、関係被疑者を逮捕あるいは取り調べをいたしまして、現在までのところ、株式会社明治屋にかかる犯罪事実につきまして、捜査を遂げまして検察庁に事件を送致いたしております。さらに、現在引き続きまして株式会社東食、それから日畜、日冷に対しましても、この明治屋と同じような脱税事件の容疑がありますので、現在これについて捜査中でございます。  なお、明治屋につきましては、八月十六日以降関係被疑者一法人三名が検察庁のほうで起訴されております。この起訴されました明治屋にかかわります脱税事犯の手口といいますか、あるいは脱税額等について申し上げますと、この日本食肉市場共同では、株式会社明治屋にこの豚肉の輸入事務を代行させておったわけですが、この明治尾は台湾の中央冷凍食品股フン有限公司という会社から、昨年の二月二十八日ごろからことしの二月五日ごろまで約一年の間ですが、六回にわたりまして、豚肉約三百二十一トンを輸入するにあたりまして、輸入価格を虚偽申告いたしまして、そういう手口によって千二百六十四万円余りの関税を通脱していたというものであります。
  67. 塚田大願

    ○塚田大願君 いま御答弁がありましたように、今回の事件の特徴というのは、単に個人であるとか、一会社というものによる脱税ではなくて、まさに組織的な、非常に大がかりな脱税事件であるというふうに考えるわけであります。でありますから、同じ手口で食品共同株式会社関係も含めますと、全体で三十社ということになります。しかも、そのやり口が、いまも答弁にございましたように、差額関税制度を悪用いたしました非常に悪質な知能犯的な犯罪であったというふうに考えられる。そういう意味で、私は、農林大臣が今回の豚肉脱税事件についてどのようにお考えであるか、その辺のまず所感をお伺いしたいと思います。
  68. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 塚田委員の御指摘のように、三十社にも及ぶ会社が差額関税制度を悪用しての脱税事件でありまして、きわめて遺憾に存ずるのであります。私としては、国内の豚肉価格安定制度との斉合性をはかるため、安定上位価格と安定基準価格との中間価格である基準輸入価格と現実の輸入価格との差額あるいは輸入価格の一〇%相当額のいずれか大きいものを関税として徴収すると、こういう制度でありまするが、   〔委員長退席、理事小谷守君着席〕 この脱税事件を調べてみまするに、この制度の悪用、輸入申告価格を実際の輸入価格より不正に高く申告することによっての脱税、こういうことで、御指摘のとおりに、このような脱税事件を繰り返すようなことがあってはならない。また、司法当局の摘発を受けた、こういうことについては、われわれも反省をいたしておるわけでありまするが、私としては、この制度の悪用というものが、今回の摘発によって出校的すぐ把握できる脱税事件ではないか、そういう見地からいたしますると、この制度というものは、やはり国内豚肉価格の安定制度との斉合性から見て、私は、やはりあってよいと思うのであります。そういう見地からいたしまして、脱税事件を起こしたこの現時点で、今後このようなことが起こらないように、われわれとしても十分注意をし、また、関係業者に再びこのような事態を繰り返さないようによく行政指導してまいりたいと、こう考える次第であります。
  69. 塚田大願

    ○塚田大願君 いま大臣が差額関税制度についての御意見を述べられましたが、これは別に私もここで問題にしようとは思っておりません。これはこれなりに国内の養豚業者を守るという意味がございますから、それはいいんですが、私が聞きたいのは、この犯罪の問題、脱税行為の問題であります。これは非常に重大なんで、そういう意味では、やはり監督・所管官庁である農林省としては私は重大な反省をしていただかなければならないと思うわけでありますが、さらにお伺いしたいのは、この日本食肉市場共同会社にかかる脱税事件でありますけれども、この脱税事件には、社団法人であります日本食肉市場卸売協会という、いわば豚肉輸入業務の指導監督にあたっているところの法人の幹部がこの事件に関係しておるわけでありますが、この点は一体どのようになっておりますか、この法人の幹部の処置というものは。
  70. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 日本食肉市場共同株式会社の取締役として処分、起訴された清水喜一氏が食肉卸売市場協会の会長であると、この清水喜一氏がこういう要職にあって今回の事件によって起訴をされたと、これはもう言うまでもなく遺憾なことでありまして、この清水喜一氏につきましては、農林省の担当局による行政指導によってかかる事態を起こした以上、責任をとらす、こういうことで、本人自身が食肉卸売市場協会の会長は辞任をいたしました。また、日本食肉市場共同株式会社の取締役も辞任をしておるわけでございまするし、なお、政府機関の畜産振興審議会の委員でもございましたが、これも辞任をしておると、責任の所在は明らかにしたわけでございまするが、こういう地位にある者の脱税事件として、私としては、非常に遺憾にも思いまするし、このようなことが再び起こらないように、これから十分監督をしてまいる考えでございます。
  71. 塚田大願

    ○塚田大願君 まあ、大臣が遺憾の意を表されておるのでありますから、私はそれ以上申し上げる必要はないのでありますけれども、とにかく、今度の事件は、いわばいまもお話がございましたように、監督指導すべき社団法人、しかも、これは農林大臣の認可の法人でありまして、そういう意味では、まさに業界ぐるみと申し上げて差しつかえない。それだけに、私は、この問題は非常に重要だと考えるわけでございますが、とにかく、いま大臣答弁もございましたから、さらにもうちょっと具体的に話を進めたいと思いますが、大蔵省が告発をいたしました脱税事件だそうであります。通告処分を含めて二十七社が不法なやり方で脱税をしたと、こういうことになりますと、とにかく食肉共同会社と同じことでありますけれども、何らかの談合なり、組織的な連絡があったと私は判断するわけであります、二十七社という会社でございますから。たとえば一社だけが何かそういうことをやっても、これはすぐばれてしまいます。したがって、この二十七社というものがこういう組織的な連携をもってやったと思うわけでありますけれども、この辺を告発されました大蔵省あるいは捜査当局としては、どのように判断をされているか、それをお聞きしたいと思います。
  72. 本多行也

    説明員(本多行也君) 先ほど申し上げましたように、今回の豚肉事件につきましては、昨年末から鋭意調査を行なってきたわけでございますが、捜査の過程及び調査の結果を考えてみますと、ただいま御指摘のような商社間の談合の事実は、われわれはキャッチできなかったのでございます。今回の事件が御指摘のように非常に広範囲にわたって、まあ一斉に行なわれたと私どもは考えているわけでございますが、商社間に働いております非常に激烈な競争原理、それから商社の中で従業員に対して非常にメリットシステムをとっておる。こういう点が刺激材料になりまして、たとえば一社がやりますと、そのうわさが業界におのずから蔓延いたしまして、各社の犯則行為を誘発したんではないかと、こういうふうに考えております。たとえば同じ豚の輸入に関しましても、通関業者――まあいろいろお手伝いをしている会社があるわけでございますが、そういうところからうわさが漏れてきたのじゃないか。ちなみに、われわれの捜査の過程を簡単に申し上げますと、今回の事件は、商社及び複数商社を商取引先とする輸入代理店、この輸入代理店というのがございまして、これが代理業務を営んでおるわけでございます。これは一つの商社だけではございませんで、複数商社の輸入代理もしている場合もございますので、そういうところが情報を流すというようなことも考えられたわけでございますが、そういう輸入代理店を次々と強制調査をすることによって、いわばイモづる式に摘発されたものでございまして、一斉に強制捜査をしたり、一斉に摘発したと、こういうものではございません。
  73. 塚田大願

    ○塚田大願君 いまのお話でありますが、つまり談合したような形跡はないと、こういうことですけれども、どうもこれはいまのいろいろ商社の物品買い占めその他の事例を見ますと、そんなふうに甘く私は判断できないのではないかと考えるわけです。しかし、これはまあこれからのもっと捜査の中で具体的になる問題でございましょうから、これはこれとしてやっていただくといたしまして、さらにもう一つ私がお伺いしたいのは、非常に消費者にとりましては重大な問題でございますのでお聞きするんですが、つまり高く申告された輸入豚肉ですね、今度の場合には。実際よりもずっと高く申告をした。ところが、この豚肉はほとんどが加工用に回る、そういうものでございますから、この品物がさらに売るときにはもっと高くごまかした価格で売ったということになりますと、これは脱税でもうけ、さらに売ってもうけるという、いわば二重の不正といいますか、ごまかしをやったことになるわけでありますが、この辺は一体どういうふうになっておりますか。
  74. 本多行也

    説明員(本多行也君) ただいまの御指摘でございますが、税関の調査は、おもに関税法違反、すなわち関税通脱があるのではないかというところに主眼を置いておりますので、その輸入されたあと、当該輸入豚肉が商社等によって国内でどのように売却されているか、また、その他国内の流通過程につきましては詳細には調査してございません。したがって、商社等が国内で売却している価格が正規の輸入価格を基準としてきめられているのであるか、または税関の申告価格を基準として――高い価格でございますが、きめられているのであるか、あるいは国内の需給状況から総合的にきめられているのであるか、これについては、御指摘どおり、問題があるわけでございまして、高い価格でそのまま加工業者等に売っていれば消費者に大きな影響があると思います。  なお、これらの商社等が、まあこれは商社の影響の問題でございますが、買い占めがあるのじゃないかというお話もございますんですが、これも税関では、先ほど申し上げましたような観点で残念ながらつかんでおらないわけでございます。
  75. 塚田大願

    ○塚田大願君 やはりその辺も私は捜査当局はきびしく追及する必要があると思いますね。これが国民にとって重要な食料であるだけに、政府としては、もっときびしい態度で、あいまいな態度でなくてきびしくやる必要があると思うのです。  次に、政府にお伺いしたいんですけれども、今回のこの脱税事件には農林省出身者がいるという問題であります。最初に、先ほど知能犯と私は申し上げましたし、また、捜査当局もそのように言っておられますが、この食肉市場共同株式会社の社長田中良男は、元農林省畜産局の出身の人であります。いわば天下りということになるわけであります。この田中良男がいつごろ農林省を退職されたのかという問題も、わかれば聞かしていただきたいのでありますが、同時に、ここの専務の白井という人、それから常務の楠目という人、これも農林省出身ということでございます。この人たちは何年にどういう役職から移られたのか、わかったらこれも教えていただきたいと思うのでありますが、とにかく、こういう幹部がみんな農林省出身だと、これはやはり天下り問題として一つ問題になろうかと私は考えるわけであります。なるほど、大きな重要な役職にいなかったかもしれない。しかし、とにかくこの食肉市場共同株式会社が設立されましたのは四十六年の九月、豚肉の自由化が行なわれたのは四十六年の十月、まことに時期的にぴったりくる。だとすると、こういう会社を設立してすぐ脱税をやったということになりますと、まさに脱税のためにつくられたようにも見受けられる。しかも、この会社が、いまの説明のように、社長、専務、常務、これがみんな農林省出身だ。いわば農林省のおかかえ会社みたいなものだといたしますと、これはいろいろ疑惑が私は生まれてくると思うのですが、この点について、農林大臣としては、いわば農林省のOBだけがつくっている会社がこういう大じかけの脱税をやったということについては、どういうふうにお考えでしょうか。
  76. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) ちょっと説明を先にさせていただきます。
  77. 大河原太一郎

    説明員大河原太一郎君) 事実関係について先に御説明申し上げますが、ただいまの農林省出身者の関係した会社が今回の脱税事件を起こしたことについてきわめて遺憾であることが前提でございますが、食肉市場共同株式会社の田中社長は、十年前の三十九年に斎藤局の衛生課長を退官しております。それから白井専務は、四十七年の五月に畜産局の調査官を退官しております。それから楠目常務は、三十五年の七月に当時の農林省振興局の特産課の補佐を現職として退官しておるということでございまして、食肉市場共同会社は、先生御案内のとおり、各食肉市場に対して輸入豚肉の共同供給というようなことで発足した会社でございまして、現在におきましてもそのような事情があるわけでございますが、食肉関係は最近非常にその市場が拡大されてきた分野でございまして、食肉の関係の経験者というものの能力から他の職にあって、すでに他の職にあったこの田中社長以下がその職についたというような経緯もございまして、先生おっしゃるように、自由化なり、あるいは今回の税金と直接の関係を持つような行政指導関係その他は一切ないということを断言したいわけでございます。
  78. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 御質問のとおりに、田中社長、白井専務、楠目常務がいずれも農林省出身の人であるということは、これはもう、ただいまその履歴を申したとおり、明白でございます。したがって、これらの出身者が脱税事件に関係をしておるということは、私として、まことに残念に思います。遺憾にたえないところでございます。これらの諸君の社会的影響、これらの諸君の行為が社会的影響が大きいと、こういうふうに思います。したがって、農林省関係局より行政指導に大いにつとめまして、会社の職責を去ることはもとよりでございますが、その中で一人楠目常務につきましては、これは現在平取締役の格下げ処分になっております。これは事件の関係において処分保留となっておることからであったと思います。田中社長は、この会社の社長を辞職したのみならず、そのほかの各種審議会の委員や公益法人の役員を辞職すると、こういうことでそれぞれその責任を明らかにした次第でありますが、私としては、ただいま申し上げたとおりに、きわめて遺憾に存じておる次第でございます。
  79. 塚田大願

    ○塚田大願君 この問題は、天下りと私先ほど申しましたけれども、まあ従来のいわゆる天下りとはだいぶ性質も違うかもしれませんけれども、しかし、とにかく農林省の役職におられた人たちだということになれば、やはりこれは政治的に私は責任を免れないだろうと思うわけでありますが、これは大臣もいま遺憾の意を表されましたので、この問題はこれぐらいにしておきます。  次にお伺いしたいのは、大蔵省の処分のやり方、あり方の問題であります。今回の大蔵省の処置で疑問に私考えますのは、二十七社脱税というものがあったと、しかし、そのうち七社は告発したけれども、残り二十社は通告処分にした、この通告処分の問題であります。この通告処分というのは、御承知のように、いわゆる罰金を払えばそれでよろしいということで、その法人名も一切公表されてない。でありますから、大曲社、大企業にすればわずかな罰金ぐらいは大したことはありません。罰金さえ払えばだれにもわからない、これならこの次もやろうかということにもなりかねないですね、だれだってそうでしょう。名前が全然だれにもわからない、われわれ国会にもそれが報告されてない。しかも、ただこの企業のモラルにまかせられているというふうな、この申告にまかされているわけでありますから、これではやはり社会的、道義的な責任というものを明らかにする必要があると思うのです。そういう意味で、私は、この二十社の法人名についてひとつ公表すべきだと考えるのですが、この点はどうですか。
  80. 本多行也

    説明員(本多行也君) 大蔵省といたしましては、先ほど申し上げましたように、商社のこういう関税通脱につきましては徹底的に処分をするという基本方針は、告発をいたしますことから見てもおわかりだと思います。ただ、ただいま御指摘のように、今回通告処分にしました商社の数は計二十社、その関連行為者は二十五名でございまして、逋脱総額は合計で四千六百四十四万円、これは全体の通脱税額の大体二八%、したがって、あとの八四%が告発分でございます。罰金相当額は合計約二億六千万でございます。ただ、御指摘のように、この通告処分の法人名、これを公表せよというお話でございますが、たとえば――いい例かどうかわかりませんが、羽田の旅具検査あたりでも、かなり著名な方が通告処分を受けておるわけでございますが、こういう個々の具体的な名前につきましては、従来から一貫して公表することを差し控えておるということでごかんべん願いたいと思います。その理由といたしましては、やや法律的な解釈になりますが、関税法にございまして、犯則者が通告の旨を履行したときは、同一事件につきましては公訴を提起されないというのが関税法の百三十八条第四項にございます。そういうことになっておりますので、情状懲役に値しない――値すると告発でございますが、これも関税法に書いてございます。情状懲役に値しないと判断される関税法違反者につきましては、税関長の通告処分の履行によって刑事責任が消滅させられるという趣旨でございます。したがって、これらの刑事責任がすでに消滅した者につきまして個々の秘密に属すると考えられる通告処分の内容をあえて一般に公表することは、国家公務員法百条の守秘義務あるいは刑法二百三十条の規定するところの名誉毀損罪、これに抵触するおそれがあるという解釈でございまして、この点はひとつごかんべん願いたいと思います。
  81. 塚田大願

    ○塚田大願君 かんべんしてくれと言うのですけれども、私はかんべんできません。なぜならぱ、いま、羽田でだれか著名な人が脱税行為をやったと、そういうのも発表していないと、こう言う。それはそうでしょう。それは当然でしょう。一個人が外国旅行してたばこを買ってきた、あるいはウイスキーを買ってきた、あるいは万年筆を買ってきた、それが脱税行為だとして一々これを発表するというようなことは、これは確かに刑法の二百三十条でありますか、名誉棄損罪というふうなことにもなりかねないので、そういうことは私どもはそれでけっこうだと思うのですね。だれにも迷惑かかるわけじゃないのですから、少々たばこをよけい買ってきた、ウイスキーを買ってきた、しかし、今度の場合は明らかに脱税をやって、国民の食糧、豚肉の価格を引き上げるという非常に悪質なことをやっておるのです。これは全然次元の違う問題であります。この刑法二百三十条の名誉棄損罪の場合でも、その二に、公益を守るためにはそれは罰せられないということがちゃんと明記されているじゃありませんか。だから、一方的な法律解釈でそんなことを言うのは、私はこれは承知するわけにいかない。関税法百三十八条にしてもしかり。これだって関税法の場合に、悪質なものはこれはやるのだと書いてあるじゃありませんか。一体、悪質でないのと悪質だというのと、どこで基準を設けるのですか。あなた方は七つも告発された、これは悪質だということで。二十は通告処分で発表しない。それは一体どこに線があるのですか。――いや、わかっています、これは。もう時間がありませんから一々答弁聞かなくともわかっている。いまおっしゃったように、全体の脱税額からいえば一六%、四千六百四十四万円だと、だからこれはたいしたことはないのだと、でかいやつだけは七つ告発しましたと、こう言うのだけれども、しかし、四千六百四十四万だって、一社平均すると二百三十万円ですよ。決して庶民の立場からいえば、これだけの脱税が少々、微細なものだというふうにはわれわれには判断できません。そうでしょう。あなた方だってたいして月給もらっているわけでもない。しかし、二百三十万の脱税ということになれば、これはやはりでかいですよ。大体一年分ぐらいの給料になるじゃないですか。ですから、一体、こういう区別をかってにして、それで片一方は全然公表しないというのは、これは説得力ありませんよ。今日、前国会でも通過いたしました買い占め取り締まり法などでも、ちゃんとああやって公表するということはちゃんと法律で盛られたじゃありませんか。買い占めよりもっと悪質でしょう。買い占めなら商取引でやれるのだ。しかし、これは明らかに脱税行為ですよ、違法行為ですよ、もっと悪質ですよ。だから、あの商社の買い占めについては、勧告を聞かない者は公表するのだと政府自民党は大いに主張して、そういう法律をこの間つくられた。これはやはり一つの社会的な趨勢だと思うのです。不法ではないけれども、悪質なことを、商品買い占め、食糧を買い占めた者については罰則を加えるという点からも、私はやはり公表すべきだと思います。  それからもう一つは、いま官庁でいわゆる職員の諸君が、高級官僚の諸君がしばしば汚職事件を起こす。業界と結びついて、バー、キャバレーのつけをみんなそっちへ回す。通産省から建設省から科学技術庁、この間はたしか林野庁もそういう事件があったと思う。そういう汚職というふうなことを考えてみますと、いわゆる政界、官界と業界の癒着、黒い霧というふうなことは、当然一般の国民としては疑惑を持ちますよ。ですから、そうなると、当然政治不信というものも生まれてくるわけなんです。そういう意味で、私は、やはり法的な立場から、あるいは社会的な状況、あるいはいまの政治的な動向などを考えて見ましても、この二十の法人の名前は公表してしかるべきだと考えるのですが、この辺もう一度大蔵省の見解と、それからさらには農林大臣のお考えもお聞きしたいと思うのです。
  82. 本多行也

    説明員(本多行也君) 先生御指摘のように、この通告処分をした法人も、まあ社会的責任というか、影響が非常に大きいということはごもっともなことだと思うのですが、われわれ公務員といたしましては、法律を守って一切の行動をとらなくちゃいかぬということで、いまの通告処分の発表につきましても、法制局の見解等も十分伺いまして、まあ公開の場でこれを発表するということは差し控えたほうがいいという結論になりました。そういうことでございますので、ひとつ御了解いただきたいと思います。
  83. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) ただいまこの種の事件の措置について、これは大蔵当局のほうから御説明を申し上げたわけであります。塚田委員は、影響の大きいことから、そのような措置では不十分であると、こういうことで、私は、御意見は御意見として十分承りました。  この通告処分は、やはりこれは処分でございます。二十社の処分が、こういう処分を受けてひそかに反省しておるという事実は当然なければならないと思うのでありまして、そのことによりまして、今後このようなことを再び繰り返すというようなことは、もう常識的に見まして、さようなことは考えられない。彼らは彼らとしての公表はされなくとも、その責任を痛感しておると、このように思いまするし、また、こうやって国会でお取り上げ願って、ただいまのような御意見をちょうだいいたしますれば、そのことはまた関係者に当然反映していくことと存じまするので、大蔵当局において慎重に考慮しての今回の措置でありまするので、塚田委員にも御了解をいただきたいと思います。
  84. 塚田大願

    ○塚田大願君 私、繰り返すようですけれども、その点では了解をいたしません。しかし、いまここでそのことでいつまでもやっておる時間はございませんから、いずれまた別の機会で私はこういう問題を、いわば一つの政治的な、社会的な問題にしていきたいと思うのです。やはり今日の時代の流れを考えてみますと、こういうことをそのまま認めていくことになりますと、われわれは一体何のために国会議員になっていたのかということになります。そういう意味でも、私は、この問題はやはり今後ともひとつ追及していくことを述べて次に移ります。  次に、これは農林省にお伺いしたいのですけれども、並びに通産省にもお伺いしたいんですが、いま言ったように、こういう問題については非常に政府、行政府は甘い。どっちかというと、商社寄りの措置しかとらない。これでは私はやはりいけないと思うので、なるほど法律もございまして法律解釈もあっていまのような長い慣例もあるかもしれませんが、しかし、この際私が農林省、通産省に求めたいのは、こういう脱税を根絶するためには何らかの行政措置をとる必要があると思うのです。具体的に言いますと、豚肉は自由化されておるわけでありますから、この商社の輸入をとめるわけにはいきませんが、この商社は、同時に輸入割当制をとっております牛肉などのやはり輸入をやっておるのが多い。したがって、こういう割り当て制をとっております牛肉の割り当てなどについて考えてみる必要があるんじゃないかと思うんですね。過去の実績に基づいて輸入牛肉の取り扱いというものがいわゆる特権的に与えられてまいりました。実績ですね、過去の取り扱いの。ところが、そういう商社が関税法違反、外為管理法違反とか、こういう違法行為をやっておるわけでありますから、そういう脱法行為をした者に対しては、私は、当然今後行政指導の責に当たられる官庁としては考えてみる必要があると、こういうふうに考えるわけです。その場合ですね、検討されておるかどうかはよくわかりませんが、その辺をはっきりさしてもらいたい。とにかく中肉割り当ての権限というものは行政府側にあるわけですな、これは具体的には通産省でありますか。しかし、農林省としても、これは当然関与しているわけでありますから、いままでのようにあいまいな措置でなくて、つまり自主規制、モチ米やなんかの米の輸入のような場合に自主規制なんというあいまいな措置でごまかそうとされた例がありますけれども、そういうやり方でなくて、やはりはっきりした措置を私はとるべきではないかと思うんですが、この辺についてはどういうふうにお考えでありますか。
  85. 真野温

    説明員(真野温君) ただいまの豚肉の脱税事件につきましては、八月にこのことが公表されまして、通産省としても非常に遺憾に存じまして、直ちに翌日貿易局長名をもちまして厳重な戒告を各商社にいたしたわけであります。これによって、もちろん当事者である各商社、経営者を含めまして、それぞれに非常に遺憾である旨、及び今後かかることを再発しないという旨について私どものほうに報告書が参っております。ただいまそのほかに、塚田委員のほうから今後の関連する商社等に対する牛肉の割り当てについて何らかの具体的措置を検討せよというお話でございますが、このような今後の措置につきましては、もちろん農林省の事務当局と密接に連絡をとっておりまして、今後の措置につきましては、たとえば今年度の下期の輸入牛肉の取り扱いにつきまして一定期間自粛させるという行政措置をとるよう農林省と現在検討中でございます。
  86. 塚田大願

    ○塚田大願君 私が言っておるのは、自主的な規制というふうな、自粛というふうなことでなくて、やはり行政指導として明確な態度をとるべきだ、これが政治に対する国民の不信を回復する一つの道ではないかと、こういうふうに考えて申し上げておるわけでありまして、その点をなおひとつ通産省、農林省としては考えていただきたいと思うわけであります。  さて、そこで私の時間がたいへん迫りまして、まだまだ重要な問題があるんですけれども、いま牛肉の問題が出ましたから、ここでひとつ牛肉の問題について最後に質問したいと思うんです。  牛肉の問題でありますけれども、いま一番問題になっておりますのは、牛肉が一体どのくらい在庫をしているのかということですね。ことしは、とにかく牛肉の輸入は上期だけで去年の一年分を輸入しているわけですな、七万トン、上期だけで。去年一年分なんですよ。それだけ輸入しているのに牛肉の値段というのは、これは皆さんも奥さん方から苦情を受けているんじゃないかと思うんですけれども、大体七割高いんです、去年より。たいへんなものですよ。これはちゃんと値段も私調べております。七割近く上がっておるんですね。これはもう時間ありませんから、一々数字はあげません。これはもう畜産局もよく御存じだと思うんです。したがって、そうなりますと、やはりこの牛肉の問題というのは、どこか大商社が買い占めあるいは投機をやっておるんではないかという感じがするわけです。  そこで、まず大蔵省にお尋ねしたいんですが、東京税関の調べで、輸入の肉類の在庫というのは一体どのくらい今日あるのかですね、そしてまた、その在庫のうち、内訳ですな、牛肉、豚肉というふうに一体それぞれどのぐらいずつあるのか、この辺まず最初に簡単にひとつお答え願いたいと思うんです。数字だけでけっこうです。
  87. 齋藤盛之

    説明員(齋藤盛之君) 私ども東京税関の保税地域内にあります冷凍倉庫の倉主に照会いたしました肉類の在庫数量は、八月末で七万三千五百トンでございます。この肉類の中は牛、豚、マトン、クジラ、チキン等でございますが、これらの内訳につきましては、残念ながらつまびらかにしておりません。
  88. 塚田大願

    ○塚田大願君 その辺が、この内訳がわからないというのはちょっと困るんですな。  これはわが党といたしましても、先日赤旗にも発表いたしましたが、平和島の冷凍団地などを調査いたしまして、独自に調査をやっておりますが、この平和島の冷凍団地だけでも肉類だけで約九千トン近く在庫していたという事実をつかみました。この九千トンというのはたいへんな量でして、これは農林省がお調べになった数字によりますと、国民一人当たり一カ月の肉類消費量が約七百グラムでありますから、だとすると、平和島のこの冷凍団地分だけで、東京の世田谷の区民約八十万人おりますけれども、この八十万の区民が一年食べても余りあるという、そういうものが在庫をしておる。しかも二カ月、三カ月眠ったままである。これはやはり重大な問題だと思うんです。しかも、その場所が保税上屋で、本来は外国貿易を一時保存する場所ですね。  そこで次にお伺いしたいんですが、畜産振興事業団では一体どういう調査をされておりますかね、畜産事業団として、この輸入牛肉の在庫量、これについて調査されておりましたら、ひとつ聞かしていただきたいと思うんです。
  89. 岡田覺夫

    参考人(岡田覺夫君) ただいま御質問の点でございますが、御承知のように、輸入牛肉の大部分畜産振興事業団が買い入れをするというたてまえになっておりますので、お話のように、四十八年度の上期におきましては六万三千トンの割り当てが事業団に対して行なわれておるわけでございます。で、これは一挙に買うということは、現在の国際の市況等から見まして、また需給関係から見まして非常に問題がある。非常にまあ国際価格をつり上げるというふうな問題もございますし、また、必ずしもそれだけの供給量が直ちに得られるというものでもございません。そういう観点から、国内との需給調整をはかるたてまえから……
  90. 塚田大願

    ○塚田大願君 時間が来たと言っておりますから、ひとつ私が言ったその調査の数量だけでいいです。在庫、それだけ言ってください。
  91. 岡田覺夫

    参考人(岡田覺夫君) そういうことで、毎月平均をして買うというたてまえにしております。それで、毎月事業団が買いましたものと売り渡したものは全部調査をいたしておりまして、現在八月の末におきまして、事業団の所有として在庫いたしておりますものは二千六百トン程度でございます。毎月一万トン程度が輸入されておるわけですけれども、直ちに売り渡しをするというふうなことで、八月の末におきまして事業団が在庫いたしておりますものは二千六百トンということに相なっております。
  92. 塚田大願

    ○塚田大願君 どうもいまの事業団ではさっぱりわかりません。じゃ、農林省としては調査していますか。
  93. 大河原太一郎

    説明員大河原太一郎君) 輸入牛肉の在庫量について網羅的な調査は、なかなか各種の調査はむずかしいわけでございますが、私どもが、畜産振興事業団指定倉庫が輸入牛肉の相当部分をカバーしておるということで、その数字を見ますと、八月末の牛肉の在庫量は二万九千トンという報告を受けております。なお念のため申し上げますが、この数量は大体輸入量の二カ月分でございまして、ランニングストックとして、これは従来の過去の例を見ましても、ほぼ輸入量の三カ月分が在庫しておるというふうな点でございまして、七万トンという昨年の年間を通ずる以上の数量の輸入が上期に集中しておりますので、したがって、在庫量もそれなりにふえておるというふうな実態と承知しております。
  94. 塚田大願

    ○塚田大願君 二万九千トン、大体三万トンであります。私どもも、独自に調査したところによりますと、大体三万トンから四万トンの間ぐらいあるというふうに考えておるわけでありますが、一応三万トンぐらいあるという、これだけでもしかし私は大問題だと思いますね。いま二カ月分の輸入量はストックだと言われましたけれども、これが三万トンぐらいある、在庫しているというのはやっぱり大問題だと思いますよ。去年の輸入量がとにかく上期を通じて二万三千トンしか輸入していないのですから、去年の実績からいいますと。  そこで、もう一つだけお伺いするのですけれども、振興事業団が扱っておられるこの随契分、これがまだ契約が全部済んでいないと思うのですけれども、上期分の未契約分がどのぐらい残っておるか、数字だけ教えてください。もう時間がありませんから、数字だけ一言。
  95. 岡田覺夫

    参考人(岡田覺夫君) 大体随契分といたしましては二六%程度が成約をされておりまして、残りがまだ残っているわけでございます。
  96. 塚田大願

    ○塚田大願君 二六%というと、何トンになりますか。
  97. 岡田覺夫

    参考人(岡田覺夫君) 随契分が二万五千七百五十トンでございます。それに対しまして、現実に売り渡しが行なわれましたものが六千六百九十四トンということに相なっております。
  98. 塚田大願

    ○塚田大願君 そうすると、幾ら残っておるんですか。
  99. 岡田覺夫

    参考人(岡田覺夫君) まず、大体いまのを差し引きますと一万八千トン程度が……
  100. 塚田大願

    ○塚田大願君 一万八千トン残っておる、農林省のお調べのその数字で約三万トン近く、二万九千トンでしょう。それにいまの振興事業団がまだ未契約として持っておるものが一万八千トン、そうすると、皆さんどうです。四万四、五千トンということになるんじゃありませんか。これはたいへんな数字ですよ。四万トンがとにかくストックされておると、消費者に渡ってないと、こういうことになりますと、ことしの上期で七万トンワクを拡大したと、しかし、その半分も消費者には渡ってない。一体これはどういうことなんだと、しかも、価格は昨年より七割高と、これはどうしてもおかしいんで、この問題をやはりはっきりさしていただかなければいけない。いまもう最後の時間が来たという通知がきましたからこれでやめますけれども、とにかくこれは徹底的に追及されなければなりません。その点で、私は、最後的に農林大臣あるいは通産省にもお願いしたいんですが、もっと正確な資料をひとつ出していただきたいと思うんですね。これは国民が非常に関心を持っております。これがちゃんと成規の手続で正当に在庫しているなら別です。しかし、その在庫はこんなにたくさんあると、しかも、これが寒い冬の時期へ向かって高くなっていくんじゃないか、すき焼きのシーズンになってどんどん肉が高くなっていくんじゃないか、こういう不安を持っておりますので、この辺の資料を出していただくことをお願いして私の質問を終わりたいと思います。
  101. 小谷守

    ○理事(小谷守君) 農林省に申し上げます。  ただいまの塚田委員の御要求の資料は当委員会として要求いたしますから御提出願いたいと思います。  他に御発言もないようですから、農林省とそれに関係する農林漁業金融公庫決算につきましてはこの程度といたします。本日はこれにて散会いたします。    午後五時六分散会