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1973-10-11 第71回国会 参議院 決算委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年十月十一日(木曜日)    午前十時六分開会     —————————————    委員異動  九月二十日     辞任         補欠選任      寺下 岩蔵君     原 文兵衛君  九月二十七日     辞任         補欠選任      原 文兵衛君     寺下 岩蔵君  十月八日     辞任         補欠選任      黒柳  明君     峯山 昭範君  十月十一日     辞任         補欠選任      石本  茂君     安井  謙君      鶴園 哲夫君     加瀬  完君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         田中寿美子君     理 事                 渡辺一太郎君                 小谷  守君                 塚田 大願君     委 員                 河口 陽一君                 温水 三郎君                 松岡 克由君                 安井  謙君                 加瀬  完君                 片岡 勝治君                 鈴木  力君                 村田 秀三君                 二宮 文造君                 萩原幽香子君                 野末 和彦君    国務大臣        法 務 大 臣  田中伊三次君        大 蔵 大 臣  愛知 揆一君        文 部 大 臣  奥野 誠亮君        通商産業大臣   中曽根康弘君        郵 政 大 臣  久野 忠治君        国 務 大 臣        (沖繩開発庁長        官)       坪川 信三君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       小坂善太郎君    事務局側        常任委員会専門        員        佐藤 忠雄君    説明員        公正取引委員会        事務局取引部長  熊田淳一郎君        警察庁刑事局保        安部長      綾田 文義君        沖繩開発庁総務        局長       岡田 純夫君        沖繩開発庁振興        局長       渥美 謙二君        法務大臣官房営        繕課長      水原 敏博君        外務政務次官   水野  清君        外務省経済協力        局外務参事官   菊地 清明君        外務省経済協力        局外務参事官   石井  亨君        大蔵省理財局長  竹内 道雄君        大蔵省理財局次        長        井上 幸夫君        大蔵省銀行局総        務課長      米山 武政君        文化庁長官    安達 健二君        通商産業省通商        政策局長     和田 敏信君        郵政省郵務局長  石井多加三君        自治省行政局選        挙部長      土屋 佳照君        会計検査院事務        総局第一局長   高橋 保司君        会計検査院事務        総局第二局長   柴崎 敏郎君    参考人        日本輸出入銀行        総裁       澄田  智君        海外経済協力基        金総裁      大来佐武郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○昭和四十六年度一般会計歳入歳出決算昭和四  十六年度特別会計歳入歳出決算昭和四十六年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和四十六  年度政府関係機関決算書内閣提出) ○昭和四十六年度国有財産増減及び現在額総計算  書(内閣提出) ○昭和四十六年度国有財産無償貸付状況計算書  (内閣提出)     —————————————
  2. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十月八日、黒柳明君が委員辞任され、その補欠として峯山昭範君が選任されました。     —————————————
  3. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 次にただいま御報告の黒柳君の委員異動に伴い、理事が一名欠員となっておりますので、この際、理事補欠選任を行ないたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事中尾辰義君を指名いたします。     —————————————
  5. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 次に、昭和四十六年度決算外二件を議題とし、本日は総括質疑第二回を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 鈴木力

    鈴木力君 主としてきょうは、昭和四十六年度中心としての財政投融資といいますか、その状況あるいはその効果などについてお伺いいたしたいと思いますが、最初に申し上げておきますけれども、正直申し上げまして、私、この財政投融資の御質問を申し上げようと思まして、少し調べてまいりました。ところが、私自身が調べてみればみるほどわからなくなったというふうな実態でございます。これはどの辺に原因があるのか、まあ私自身の勉強はまだもちろん入り口にもいっていない、そういうこともありますけれども最初大蔵大臣にお伺いいたしたいのは、もう少しだれでもが日本の財政投融資、この財政的な動きがわかるような、何かそういう方法を政府としてやっていただくべきではないかという感じを実は私いたしました。いろいろ資料をちょうだいして見ておりますけれども、そちらの資料とこちらの資料とだんだん渡っていくうちに前の資料がわからなくなったり忘れたり、きわめて複雑過ぎるような気もするのですが、まずそれらのことについての大蔵大臣、何か所見があれば先にひとつお聞かせいただきたい、こう思います。
  7. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) ただいま仰せのありましたことは私も同感でございまして、御案内のように、財投関係につきましては、その規模も大きくなってまいっておりますし、それから先国会におきましては国会議決をいただくような法律改正もいたしまして、その御審議の過程におきましても、この内容というものがかなり複雑多岐にわたっておってなかなか理解しにくいという御意見はしばしば伺ったところでございますので、政府としてもぜひこの点に努力を新たにしなければならないと考えまして、実は一つ試みでございますけれども説明書をできるだけわかりやすく、かつ初めての試みでございますから、沿革的な経過にも触れまして、かなり広範のものをただいま調製中でございます。早ければ今月中に印刷を完了いたしまして、まず、国会先生方に見ていただく。そして、これは、初めての試みでございますから、また、それを通してこういう点がさらに不明確であるというようなことがあったり、あるいはこれは専門的に過ぎるというような御批判もあり得るかと思いますが、その御批判を通してまた、さらに必要な措置を講じたいと。要するに国民皆さま方が、この内容はこういうような内容である、こういうふうに動いていくということをわかっていただいて、そこから民主的ないろいろの御批判をしていただく御参考に供したい、こういうつもりで、早ければ今月中に御批判を仰ぎ得る第一の試みはできようかと思います。
  8. 鈴木力

    鈴木力君 それではいまの件につきましては、その説明書を、それに期待いたしまして、そのあとにまた御質問させていただくことにいたしますが、きょうは、そういう意味で先に申し上げましたような意味で、どうもよくわからない、わからないままに、しかし四十六年度財政運用を考えてみますと、私は、最近では、この年ほど財政運用で非常に大きな役割りを果たした、あるいは非常に大きな動きを見せた、そういう年はあんまりなかったのではないかと、こう思います。ちょっと私ども拝見いたしただけでも、七次にわたってのこの財投追加をしておる。これは財投追加ということではなしに、経済変動がきわめて激しかった、それに財政としての財政対応処置として七回繰り返されたと、こう思うのです。もちろん補正予算も組まれてもおります。そういうこの七回にわたっての財投追加をなされた意図ですね。一つ一つまず御説明を伺いたいとこう思います。大体、まあ、この円問題が大きくなった年であるだけに、いろんな基本的な問題がひそんでいると思いますので、お伺いいたしたいと思います。
  9. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 詳細は、御質疑に応じて政府委員からお答えいたしたいと思いますが、概略を申し上げますと、四十六年度中はお話のとおり、七回にわたって財投追加が行なわれております。その七回の中身を申し上げますと、第一回と第二回は不況対策ということが言えると思います。  それから、第三回は九月に行なわれておりますが、これは主として、当時のいわゆるドルショック緊急対策でございます。  それから第四回は十月に行なわれておりますが、これは補正予算補完するためでございます。  それから第五回は、十一月に行なわれておりますが、当時の年末の中小金融対策。  それから第六回は、災害対策に伴う技術的の追加で、これは金額は比較的少ないわけでございます。  それから第七回にやはり金額は百四十億円でございますが、第三回に行なわれましたドルショック対策補完追加するものでございまして、合計いたしますと、追加額が七千八百九十億円に相なっております。そして、この対象機関としては、その大部分は政府関係中小金融機関、それから地方公共団体、これが主たる対象に相なっております。
  10. 鈴木力

    鈴木力君 ちょっと、いま伺いしましたが、この一次と二次、一次と二次が不況対策中心にして、それから三次がドルショックですか、ちょっと私ども何かこう大蔵省のいろいろな資料拝見をいたしますと、それは逆になっているみたいに見えておったんですけれども、いかがですか。
  11. 竹内道雄

    説明員竹内道雄君) 四十六年中の財投追加は第一回は六月の二十九日、第二回が七月の二十七日にされておりまするが、御承知のように四十六年は景気があまりよくなかった年でございますので、景気を振興するという意味で、六月並びに七月に景気対策のために財投追加を行なったわけでございます。  第一回は何と申しますか、主として事業中心ということが申せると思いますが、住宅でございますとか、道路あるいは上下水道というようなものを中心に、財投追加を行ないました。  第二回目はいわば融資中心でございまして、開発銀行住宅公庫、あるいは中小機関というようなところを中心にいたしまして、財投追加を行なったわけでございます。そういうようなことで、景気がやや回復のきざしを見せてくるかどうかというときに、八月十五日にニクソン声明が行なわれたということで、いわばニクソン声明までは一般的な景気振興のために財投追加をやっておった。しかし、八月の半ばに至りましてニクソン声明があって、そのショック産業界に及ぶおそれがあるということで、それから以降の財投追加はそうでないものもございますが、主としてそういった国際的なショック産業に及ばないようにという意味で、いろいろな追加をやったものがあるわけでございます。その八月以降のものを申し上げますと、九月の二十三日に千億の財投追加をいたしましたが、これはドルショック中小企業に及ばないようにということで、中小機関に対しまして千億の財投追加を行なったものでございます。先ほど大臣からお話ございましたように十月に約二千億、二千六十四億の追加をやっておりまするが、主としてこれは補正予算関連のものでございまして、国鉄、電電、それから地方団体に対する財投追加を行なっております。  なお第五回には、さらに年末の中小金融対策として、これはまあ例年やっておるようなものでございますが、九百九十億の追加をやっております。さらに四十七年に入りまして、三月の十日と三月の二十九日におのおの追加をやっておりまするが、これは災害対策に伴うもの並びにドルショック対策追加として財政投融資追加をやったものでございます。合計いたしまして、四十六年度中の財投追加は七千八百九十億にのぼっておるという状況でございます。
  12. 鈴木力

    鈴木力君 それで私がお伺いいたしたいのは、財投というのは第四次が補正予算補完ということをおっしゃいましたけれども、大体金額からすると半分ぐらいになりますが、そういう形で予算とそれから財政投融資資金とが動いていって、景気補完という形にあるいは景気対策なり、まあドルショック対策といっても、景気対策といっても総合的なものだとこう思いますけれども、そういう効果を果たすだろうと思います。  通産大臣がお見えでありますから、通産大臣にまずいまの件でお伺いいたしますが、この明和四十六年の一次、二次、この不況対策。特にこの三次は中小企業機関に一千億ドルを預託して、そして中小企業対策としての財投追加をなさった、こういう御説明なんですけれども、この一千億ドルが、年末の中小対策は別のものだと思いますからおそらく金融関係のものだと思いますが、中小企業にどういう効果がいつごろからあらわれてきたのか伺いたいと思います。
  13. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 数量、係数的に的確に景気効果を申し上げることはちょっとむずかしいと私思います。しかし一面にはそういう措置をしましたことからくる安心感とか心理的な要素が金融の場合には非常に大きいようでございます。それから時間をかけて徐々にその金融措置がしみ込んでいって三機関を通しましたりして手元をゆるやかにしていろんな、たとえばストック過剰で資金運営が詰まってきたというのを緩和してあげるとか、そういうような措置でかなりさいてきでおるのではないかと思います。その当時の資料手元に持っておりませんので、たいへん抽象的な答弁で申しわけございませんが、とりあえずお答えいたしました。
  14. 鈴木力

    鈴木力君 まあ私の聞き方も突然ですから一々資料がなくてもやむを得ませんですが、私はいまこれも数字のものを持って申し上げるんじゃないですけれども、この年の中小企業の問題はいま大蔵省説明にもありましたように、第三次のドルショック対策というのがほとんど中小企業対策というふうな御説明だったわけです。ところが中小企業側に言わせますと、まあ私どもが聞いておる限り何かその千億ドルというのがあのころのドル問題についてはまだ直接中小企業にはそれほどの脅威というものがなくて、逆にいったら中小企業は毎年の前半のほうの不況ムードにあおられておったというほうが非常に大きかった、したがって中小企業側に言わせると財投の使い方というものが中小企業対策ドルと直接結びつけた何かそれによって円の切り上げを防ぐんだというような政府一つ方針のように植えつけられたものが結果的には円も切り上げざるを得なかった、こういう形になってあとでかえって中小企業のほうが不安感を持ったと、こういう批判中小企業人たちからも聞いておる。しかし通産省はそういう現象はなかったというふうに把握をなさっておるのかどうか、まず伺いたいんです。
  15. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) あのころはかなり景気は停滞のぎみにございまして、ただでさえ中小企業関係手元が苦しい状態にあったんではないかと私思います。そういうやさきに国際通貨関係変動もありまして、一つはやはり輸出を促進していくと、まあそれによって景気を回復させると、そういう意味もあり、中小企業関係手元をゆるやかにするという意味措置が行なわれたのではないかと私思います。その結果ばかなり有効に私は動いてきたんではないかと思っております。ともかく非常に不況で苦しんでおるときにそういうような金融措置が講ぜられるということは企業活動に対してかなり余裕を、何と申しますか、前途に対する活動意欲を与えてきていると思うのであります。そういう意味において内外ともに有効に作用してきたと私想像しております。
  16. 鈴木力

    鈴木力君 これはまあうんと時間をかけて当時のこの中小企業の具体的な状況等をもう少し数字で検討しなければはっきりしたことにはならないと思います。もちろんそれなりにいま大臣がおっしゃったような中小企業対策として三機関に預託をして、そこに資金余裕金といいますか、国民安心感を与えるという、そういう効果は確かにあったと思います。しかし、さっき——さっきといいますか、前にも申し上げたと思うのですけれども、たとえばそれでも年末の融資にまた追加をしなければいけなかった、これも中小企業対策として九百九十億ですかの追加をなさっているわけであります。もっともこの年末に中小企業対策として追加をしておる、あるいはそういう手当てをするということは四十六年度だけではなかったと思いますけれども、そういうような形に中小企業を持っていく、それでもどちらかというと中小企業のほうはきわめてまだ窮屈な、あのドル問題とからんだ不況問題からの脱出ということについては、きわめて不十分であったようにも私どもは見ておったわけであります。  特にたとえば大蔵大臣にお伺いいたしたいのでありますけれども、四十六年六月四日に「総合的対外経済政策推進について」という緊急閣僚会議というので方針が出されておりますね、その方針拝見をいたしますと、どう見てもいまの御説明のようではなしに、どちらかというと円対策のほうにもっともっと重点が置かれているように私どもは見受けられるのです。この総合的対外経済政策推進という六月四日の閣僚会議決定と、いままで御説明をいただいた追加意図と、その点がどうもぼくはよくはっきり合わないみたいな感じがするんですが、いかがですか。これは大蔵大臣にお伺いいたします。
  17. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 確かに六月四日の関係閣僚懇談会できめました政策の中の総合的対外経済政策というものは八項目にわたって世にいわゆる第一次円対策というものが掲げられておることは御指摘のとおりでございます。しかし同時に、当時は不景気状況が相当深刻と思われておった、そうして中小企業等においてもその心配は相当ございましたということがこの財投の第一次及び第二次の当時の追加計画にあらわれているわけでございまして、その間の関連はもちろんございましょうけれども、この財投関係追加を必要とし、またこれを実行いたしましたのは第三回以降である、こういうふうに先ほど申し上げました事情はそのとおりと考えておる次第であります。
  18. 鈴木力

    鈴木力君 結局は六月四日現在では政府円切り上げを避けてそういう方針でいろいろな手を打った、こう思うのです。しかし、八月十五日のアメリカの新経済政策が出てきた。したがって私に言わせると、八月十五日以後と以前とではだいぶこの経済的な意図というのは違っておったのではないかというふうに見られるのです。したがって、私がいまこういうことを申し上げたいのは、そういう七回にわたって財投追加をして、いま説明を聞いたように、いろいろな効果をねらってこうおやり下さっておった、しかし、実際はこの八月十五日以前と以後とで財政運用政策に大きな変化を来たしたのではないか。ところがその大きな変化というのが前とあととの間に直接的な結びつきというよりも、ややあとのほうが円対策に追われるといいますか、合わせてきた。したがって、たとえばそのあとに、あとのほうの五次以降でありますか、特に社会資本とでもいったらいいかと思いますけれども、そういう方向に重点が置かれてきたと、こう思うのです。これは景気浮揚策とも直接結びついていると、こう思いますけれども、そういう形に転換をしてきたけれども、その効果というのはどうもあまり出ていなかった。と申しますのは、具体的にお伺いいたしますけれども、そういうことをねらってやったにもかかわらず、たとえば四十六年度からといってもいいのですけれども繰り越しが非常に出ておるわけですね。それから不用額も非常に大きくなっておる。これは私が拝見をいたしますと、昭和四十四年は四千八十三億ですか、そういう台であった。昭和四十五年も五千台だった。四十六年になって急に九千台に繰り越し額が大きくなっている。不用額も多くなっているわけですね。そういたしますと、七次にわたって追加をした、追加した額は、さっきの説明によりましても七千八百九十億、ところが繰り越額が総額から見ると九千二百十六億出ている。結果的に見ますと、追加という役割りというものが、いま私が言ったような、これはまことに単純な話ですから、そう経済は単純には動いていないことは承知しておりますけれども、いずれにいたしてもそういう繰り越しが出、不用額が出る、その辺と追加意図というのは意図どおりいっていなかったということを物語るのではないのか、この辺の事情大蔵省はどう見ておりますか。
  19. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) ちょっと申し忘れましたが、先ほど申しました八項目の「総合的対外経済政策推進について」も、その中に第八項目として「財政金融政策機動的運営」という項がございまして、「景気情勢を注視しつつ、状況に応じ財政投融算計画追加」を検討するということがこの八項目の中に入っておったわけでございまして、その点をちょっと申し落としましたので追加申し上げておきます。  それから、財投繰り越しが非常に多いではないかということは、過ぐる前国会予算委員会等でもしばしば御指摘をいただいた点でございまして、いろいろ事情の御説明もいたしましたので繰り返して恐縮でございますが、大体こういうふうな事情でございます。  財投計画のおもな対象は、公団、事業団金融機関というようなものでございますから、たとえば一般会計の国の予算対象になっておる機関の行なう事業とはやや性格を異にいたしまして、性質上から申しましても弾力的な運営をする必要がございます。したがって、一般会計等とは違いまして、年度区分を越えて継続して弾力的に使用しなければならない性質のものが多いということが一つまず指摘されると思います。  それから、事業の進捗が予定どおり政府機関と違いまして進捗していかないということも予想しなければならないわけでございます。  それから特に三機関等につきましては、金融環境によりまして具体的な貸し出しを実行しあるいは回収に当たるというようなことがございますのと、有償の貸し付け金であるということからいたしまして、貸すほうも借りるほうも、できるだけ、金利のつく金でございますから、なるべく慎重に、かつ、その他の資源が活用し得る限りはそのほうに重点を置いてそうして運営をするということになります関係で、年度末から年度を越えてのところで実際の実施計画運営決定されるということがどうしても多くならざるを得ない。あるいはまた、これも予算委員会等でしばしば御指摘を受けたところでございますが、地方公共団体を経由して地方公共団体の支出や事業になるものが多い。これが必ずしも国会議決あるいは政府決定と時間的にいろいろの関係でずれてくることがある。こういう点が一つ原因となりまして、繰り越しが非常に多くなってくる。それから財投の量が多くなりますと、自然、こうした環境から繰り越しの比率が多くなってくるということが過去における事実であったことは否定できないことでございます。で、これらの点については、今後の運用の問題としては、もう少し合理的と申しますか、てきぱきいかなければならないということは政府としても十分心しておるところでございますけれども、四十六年度あるいは四十七年度におきましてもこういったことは事実としてあらわれておるということは御指摘のとおりでございます。
  20. 鈴木力

    鈴木力君 まあその事情は御説明のとおりだと思うんですね。だから、私がいま申し上げようとするのは、さっきの七次にわたって追加をした。それはそれなりの経済動きに対して財政的な対応策としてそれぞれの意図と目的があった。それで、いま御説明を伺った限りにおいては、中小企業にしては、通産大臣からの御答弁のように、数字はともかくとしても、それなりの一つの効用、効率は果たしてきたという御説明も伺ったわけです。しかし、結果的に数字を見ますと、これは私がしろうとでわからないといわれれればそれまでの話、七千八百九十億を追加した、これによってそれぞれの対策をするんだというこの対策は、結局は九千二百十六億円を繰り越しているわけですから、かりに追加をしてもしなくても同じ効果は出たはずだ。これは、しろうと考えとしてはどうしてもそう言えるわけですね。その点からすれば、いま大蔵大臣がおっしゃったように、弾力的運営も必要だ、それはそのとおりだと思います。それから事業の進捗も予定どおりいかない、私はここのところか、予定とおりいかない——それは、政府が直接やることでないから予定どおりいかない。そういう説明は、いかなかったという説明は、私はわかる。しかし予定どおりいかなかったということは、さっき私がお伺いいたしました第一次の意図は何だ、この追加意図が何だということを聞いた。その意図予定どおりいかなかったということにならないのかどうか、ですね。この財政投融資追加なりその資金意図意図どおりいったけれども、仕事が予定どおりいかなかったということではどうしても私は理解ができない。その予定どおりいかなかったというおもな原因はどこにあったのですか。
  21. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 一つ予定どおりいかなかったというのは、事柄の性質年度を越えて繰り越しが多かった。その事実を私も認め、そうしてその原因は性格上からくるものとそれから実行上からくるものと両方あるわけでございますが、しかし財投追加をきめたその意図と趣旨は十分私は効果を発揮しているものと、こういうふうに考えるわけでございます。で、特に、三機関等については、先ほどもいろいろお話が出ましたが、具体的に申しますと、この三金融機関についての資金の手当てが繰り越されたということはございませんので、この金融機関に対する分は繰り越しはなく実行されておる次第でございます。
  22. 鈴木力

    鈴木力君 そこで、ますます私は、その金融機関のほうは繰り越しがない。そうすると、その事業の進捗が予定どおりいかなかった。これは年度を越えてやることもあると、こういうふうな説明なんです。これは、しかし大臣、こういうことなんでしょう。その年度を越えて——年度末から年度を越えていくことがあるという、たとえば道路なり、そういう社会開発事業とか、いろいろそういう事業はそういう傾向がある。それはそのとおりだと思うんです。だけれども、これは四十六年度に限ってそういう傾向にあったということじゃないんでしょう。おそらくこの種の事業というのは毎年そういう傾向を持っているわけでしょう。だから、私は四十六年度というこの年がドル問題もあり、不況問題もあり、特別に非常に動いた年なんです。それなのに前の年までは、おそらく四十五年度は五千二百四十六億円の繰り越しなんでしょう。そうすると、四十六年度がいきなり九千にふえておる。逆に言ったら四十七年度になりますと、一兆三千四百二十九億にふえております。繰り越しがこの四十六年度を境にして急カーブに上がっているんですね。  そうすると、この財投の、特に四十六年度に限って私はしっこく申し上げているのは、追加意図というものが予定どおり事業が進めなかったという経済事情があの年にはあったはずだ。そこを私は率直に認めるべきだと、こう思うんですね。たとえば建築、住宅なら住宅工事というものが、地価の値上がりで土地というものが十分に手に入れることができなかった。そういう関係からの事業の繰り延べというものが意図にかかわらず相当出てきた。そういう現象が四十六年度から出たのとは違うんですか。そういう条件はそろっておったのに、年度末から年度を越すことがあるということになれば、これは通年の説明であって、四十六年度説明としては、どうしても私は受け取れないんですけれども、いかがですか。
  23. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 先ほど来申しておりますように、この財投の、特に追加関係金融機関機関と、それから地方公共団体、それから住宅関係というようなものがその大宗をなしておるわけですが、その中で繰り越しが一番多いのは地方公共団体関係でございます。これは一つは、まあ技術的な問題もありますが、決算期が違っているということも一つ原因で、地方公共団体関係は、五月期が決算であるというようなことで、三月期の現況でいえば繰り越しが多いということも技術的には実はございますが、試みに四十六年度で申しますと、地方公共団体関係で繰り越されたものが六千億円ございますから、これは財投追加分の中からいえば相当の比率を占めております。これを四十五年度に比較いたしますと、繰り越しが四十五年度では約五千億、その中でやはり地方公共団体が三千二百億、これは概数でございまして、それに対して四十六年度地方公共団体分が六千億で、繰り越し全体が九千億円、こういうわけでございます。これは四十六年度につきまして、そのこまかい点はちょっと私から自信を持って説明申し上げるだけの準備をしてまいりませんでしたけれども、特に四十六年度分について地価の値上がりその他がここに原因しているものとは、私は客観的に見て考えておりません。これはむしろ先ほど来申しておりますような補助事業等がその中の大部分ではなかろうかと思いますので、むしろ手続的あるいは性格的なことから三月末現在では繰り越し額が相当多かった。全体の量がふえればそれだけまた繰り越しの量が相対的に多くなる、こういう関係ではなかろうかと思いますが、なおこまかい点につきましてはさらに御説明申し上げたいと思います。
  24. 鈴木力

    鈴木力君 まあ、この点は蒸し返しても同じことになると思いますけれども、これは自治大臣にでもおいで願ってもう少し詰めなければいけないと私はいま思います。  いまの大臣の御説明で、どうしても私はなるほどと思えないのは、地方公共団体の決算期が五月というのは四十六年度に始まったんじゃない、ずっと前から続いているんでしょう。そうすると、地方公共団体政府との決算期の違いというのは、四十六年度の特別にあらわれた現象の説明にはならないわけです。そうでしょう。量がふえたからというけれども地方公共団体に対して出ている財投が四十六年度に二倍になったはずはないでしょう。同じ比率でふえているというならいまの説明もわかるわけです。だから、私はその他の三千億についても言えると思いますが、少なくともそういうような、いままで大臣説明をなさったような機構と仕組みでは説明のつかないものが四十六年度経済動きの中にあったんですよ。その動きがあったものを、たとえば最初スタートするときには政府はできるだけ円の切り上げを避けようとしていろいろな手を打った。しかし円の切り上げはせざるを得なかった、切り上げはせざるを得なかったわけでしょう。そういうような形からの経済動きというものが、意図と異なった動きが出てきている。私は私なりにしろうとですけれども考えるのは、要するに、財投というのはおそらく短期の対応策と一応見てもいいものだろうと、こう思いますが、もっともさっき御説明にあったように、年度を越して一年ごとの、単年度ごとの事業計画にははまらないものがたくさんあるわけです。事柄の性質上はそうだと思います。しかし、財投資金をふやしたり減らしたりというこの操作というものは、私は短期の財政対応処置といいますか、財政措置としての意義というものは非常に大きいような気がするのです。しかし、政府全体としての、私はいまの物価問題なんかを考えて特にそう思うんですが、一年度ごとに手当てをしてもどうにもならないものであって、むしろ、もっと私は、この四十六年度が急に繰り越しが出るような状態をつくったのは、私は四十五年度なり四十四年度なりからの経済政策に対する見通しと対処に誤りがあったのではないか、そういう条件が四十六年度に出てきた年ではないのか。そうすると、国内的にもそういう条件が出てきた。その条件の出てきた理由の中には円問題というような国際的な問題が影響をしてきてあおられてきた。何かそういうような問題がいまのこういう現象になって出てきているのではないか、こう思いますけれども、これは御見解がお違いになるとすればやむを得ません。しかし、あともう少しいまの大臣の御答弁を基礎に、たとえば地方自治団体がどうなってきたのか、公共団体の事業が具体的にどうなったのか、もう少し調べた上でこういう問題はさらに検討をさせていただきたいと、こう思います。いずれにしても私は、いまの年度を越すといったような、決算期の違いといったような、そういうことでは説明がつかないとどうしてもそう思いますので、申し上げておきたいと思います。  なお、さっき繰り越しあるいは不用額の問題につきましては、これは査定の問題もあるだろうと思うのですけれども大臣は先ほど、今後の運用の問題として研究したい、そういう御答弁があったと思いますが、具体的にどういうことをお考えになっていらっしゃるのか、ちょっと伺っておきたいと思います。
  25. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) ちょっと繰り返して申し上げますけれどもお話のように、決算期の問題などは四十六年度に始まったことではございません。そこで、たとえば例として、四十五年度の例を申し上げたわけですが、四十五年度繰り越しの中で、地方公共団体の分が六割以上あるわけでございます。そして、四十六年度ではその六割以上という——同じ六割台ではございますか、パーセンテージが相当ふえたと、七割まではいっておりませんが。こういう傾向は、過去においては、先ほど来申しておりましたような制度や、あるいはきめ方の関係からくる繰り越しであったということが、私としては一応説明申し上げることはできると思いますが、今後の問題としては、性質上、一般会計のようにはまいりませんけれども、しかし、きめたことがなるべくすみやかに実効の上にもあらわれるということが望ましいことには違いがございませんから、繰り越しというようなものが、ことに長期にわたってそれが尾を引くというようなことはないようにしたいこと。これについては、地方公共団体等とも十分いろいろと協議をいたしまして、これは、制度の問題というよりは、運用の問題もだいぶくふうの余地があろうかと思います。さらに一そう検討を進めてみたいと考えておるわけでございます。
  26. 鈴木力

    鈴木力君 いまの問題は、そういう者題を残しておいて、あとで地方自治団体等を、もう少し私も勉強さしていただいて、あり方をまた検討さしていただきたいと、こう思います。  その次に、私は、この今度の四十六年の財投資料を見てみますと、たとえば、先ほど中小企業対策ということが出てまいりましたですね。私は、中小企業という問題は、日本の産業構造上からいっても、経済のになっている役割りからいっても、非常に重要な役割りを持っておる。役割りを持っておるというだけではなしに、中小企業それ自体が今後どうするかという非常に大きな問題も、それ自体が持っていると、こう思うんですが、その中小企業に対して、先ほどから四十六年度は二回にもわたって中小企業対象にした財投という処置をとられておることについては、私もよくわかります。ただ、いまの全体の、今度は資金の配分から見ますと、どうも私は、不公平だと——少しことばがよくないかもしれませんけれども、いま申し上げたような立場からすれば、どうも不公平に見えてならない。それはこの産投会計ですね。産投のほうからの資金運用と、それから資金運用資金、そちらからの出てくる金と資金運用部の資金、それらのバランスが、ちょっと見ますと、輸出入銀行が大部分産投会計からはいっておる。そうして中小企業対象にした機関あるいは国民の生活福祉を対象にするような機関のほうには、ほとんど産投からの資金が出ておらない。金利の高いほうの、資金運用部の資金運用のほうでずうっとこういっておる。この辺の差をつけておる理由はどこにあるんですか。
  27. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 四十六年度につきましては、いま御指摘のような状況でございますが、これは御案内のように、その後の政策の問題といたしましては、これは相当抜本的に改善をいたしておりまして、四十六年度当時から、できるだけ中小企業あるいは国民生活環境の改善等にできるだけ多くの比率をもって投融資をしたいということを考えておったと思いますけれども、さらに、これは今年度の計画等におきましては、すっかりこの内容が変わってきておりますことは、御承知のとおりだと思います。これらの数字的の比較等について、なお時間がございますれば、十分御説明いたしたいと思っておるところでございます。
  28. 鈴木力

    鈴木力君 もうちょっと、いまここにあわてて数字は見ていないんですけれども、私は昭和四十六年度と四十七年度を見たんですけれども、そうすると四十八年度からは、輸出入銀行に対しての産投からの投資というのはぐっと減って、そうして国民生活、社会福祉関係機関、あるいは中小企業機関のほうにぐっとふやしていく、そういうことになったと、こういういまの御答弁ですか。ちょっとそれでは四十八年度数字説明してくれませんか。
  29. 竹内道雄

    説明員竹内道雄君) ただいまちょっと数字を調べておりますので、恐縮でございますが、一般的に申しまして産投会計からの出資をしておりますのは、各政府機関の収支が償うように、そのために通常の資金運用部あるいは簡保資金等の資金によっては収支が償わないというような場合に産投から出資をして、その埋め合わせをしておるという場合が多いわけでございますが、御承知のように、輸出入銀行につきましては長い間輸出については四分というような非常に安い金利で事業が行なわれてきた関係から、産投会計の出資は毎年かなりの多額にわたっておったわけでございますが、円問題を契機といたしまして、輸出入銀行の輸出金利等についても、金利を上げておるというような状況がございますので、増加の傾向は四十八年に至っては落ちておるという状況だと思います。輸出入銀行に対します産投会計の出資は、毎年増加しておったのでありますが、四十七年、四十八年は横ばいの同額ということになっております。六百三十億でございます。
  30. 鈴木力

    鈴木力君 そうすると話がおかしいじゃないですか。大臣は四十八年度はぐっと変えている、見てもらえばわかると胸を張った。ところが四十七年度も六百三十億でしょう、四十六年度は六百二十億ですか、そうして四十八年度も六百三十億、そうすると産投会計の資金総額がどれくらいで、六百三十億というのは何%になりますか。
  31. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 私は財投計画全体について申し上げておるわけでありまして、いまの出資の関係等については、ただいま理財局長から御説明したとおりでございます。
  32. 鈴木力

    鈴木力君 私の質問申し上げていますのは、産投会計のほうは利子がゼロでありますから、だから輸出入銀行のほうには、利子がゼロのほうが大幅にいっておって、そうして中小企業なり国民の生活福祉なり、そちらを対象とするほうには利子の高いほうの資金がずっといままでまかなわれてきておる、私はこのバランスがとれないのではないかということを伺っておる。全体の量のことを伺っているんじゃありません、ここでは。資金の配分というものを、もう少し国民生活、中のほうを、少し重点的にみてくれたらどうか。さっき御説明にありましたように、なるほど収支がまかなえば、収支が償うように配分をしておる、そのとおりだと思います。しかし、いまの住宅問題にしても、あるいは中小企業人たちが特にいまいっておるのは、金融上の利子が高いということが盛んにいわれておるわけです。あるいは中小企業金融公庫とか、それぞれの機関からの融資額が非常に少ない。あるいは担保が非常に強くって、たどえぱ、小売り商店の運営にも非常に困る。したがって、一般市中銀行から歩積み両建てを使っても金を借りる、こういう経営上の問題の苦しいところに追い込んでおるわけでしょう。そういう人たちからみれば、産投会計の大部分を使っている輸出入銀行と、それからこの中小企業対策機関に対する財投の使い方というのは、資金の配分は不公平だと、どう見てもそう見える。したがって私はもうそろそろそういう配分を公平に手直していく時、期が来ているんではないか。時期が来ているというよりも、いまの中小企業の現状なりあるいは政府が盛んに言っておりますような社会福祉ということが、もう福祉の年とかいろいろかけ声をされておるんですが、こういうときにそういう資金の配分というものの手直しをするべきではないか、こう思うんですけれども、いかがですか。
  33. 竹内道雄

    説明員竹内道雄君) 先生御指摘の問題は、中小企業対策全体に対する国としての配慮はどうかという問題につながる問題かと存じますが、財政投融資計画におきまして産投会計、これはもうほとんど一般会計から資金を繰り入れてもらいまして、それによって配分をしておるわけでございますが、これにつきましては先ほど申し上げましたように、資金コストとそれから貸し出しの関係によって産投会計の出資がきまっておるという状況でございますが、この関係だけで直ちに中小企業対策として不足ではないかという御意見につきましては、いろいろな観点があろうかと思うんでございます。たとえば中小企業に対してそれ以外の一般会計全体としていろいろな配慮をしておる、あるいは金額的にも輸出入銀行のほうは輸出が伸びないということになれば、おのずから金額が減ってくるというような性格のものでございますが、中小機関に対しましては毎年相当額の財政投融資の伸びを見ているというようなことがございますので、一般会計財政投融資全体を通じてごらんいただくと、中小企業については私ども、まだ御不満があるかと存じますが、相当な配慮をしておるつもりだということでございます。
  34. 鈴木力

    鈴木力君 どうも私の申し上げていることが全然聞いていただいていないと言ったほうがいいと思うんですが、収支償うためにと、こういうことはよくわかるんです。しかし、中小企業のほうには利子を高く貸しておるんです。それで収支が償うわけなんです。中小企業のほうが利子が高いと言っているということをどう聞くかというところに、いまの御答弁の私が納得できないところがあるんです。  これは通産大臣にお伺いいたします。いま申し上げましたように、私はどう見ても中小企業の三機関は、資金は確かに豊富だと、こうおっしゃる。ところが借りる側からすれば決して豊富ではないわけですね。だから市中銀行から歩積み両建てまでしている、だいぶ無理しても借りている。それから担保の問題にしても経営上四苦八苦しているでしょう。だから、せめて中小企業機関に対する財投融資というものが、もっと金利の上からいっても高率を下げていくような配慮、あるいは額をずっと回していくようなそういう配慮というものは私はするべきであると、こう思うんです。私がいま申し上げているのは、そのうちの一つとして、たとえば産投会計のほうからは輸出入銀行にほとんど全部いっている、あるいは基幹産業に若干いっているんですか、中小企業関係にはほとんどその保護がないために中小企業の借り受けの金利というものは高くなってくる。だから額の大小はともかくといたしまして、私はこの産投会計の資金というようなものは、そういう国内向けにもっと切りかえるべきではないかということを言っているんです。中小企業をかかえていらっしゃる通産大臣の御所見をひとつ伺いたい。
  35. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 御趣旨は私も同感でございます。しかしこれは中小企業の行なわんとする仕事の内容によりましてそういういろいろな措置を講ずることが適当である、大蔵省もそういう見地に立ちまして近代化資金あるいは合理化資金、あるいは公害関係に関する資金、そういうような問題につきましてはかなり低利のものもめんどう見ていただいておりますし、ものによっては無利子という、八割方無利子という特別の制度も設けてもらっているわけでございます。今度、小売商業振興法という特別の法律をつくりまして、それによりましても、中小企業が合併して仕事をするとか、あるいは共同して街路灯をつくるとか、あるいはパーキングブレースをつくるとか、そういうような仕事については八割無利子という、そういうような思い切った措置も今度の国会でお認めいただいたわけでありまして、仕事仕事によってそういう方向には徐々に進んでいると思うのです。今回、十月中に仕事を開始したいと思いますが、中小企業、零細企業を目途にした無担保無保証の金融制度、そういうのもやはりそういう性格のものとして大蔵省の英断をお願いして実行するということになったわけでございまして、だんだんにそういう領域を広げていくように今後とも努力していきたいと思っております。
  36. 鈴木力

    鈴木力君 そういう領域を広げていく、これは政府資金を投じて、こういう形になると思いますが、そういう面をもう少しふやしていく、そのうちの一つとしての財投なんですね、私が言っているのは。もうほとんど全部資金運用資金を使っておって——たとえば住宅もそうです。住宅金融公庫なんかもうそちらのほうの資金をほとんど使っておるわけです。だから、これは大蔵省に私は要望して、もう時間がだいぶ過ぎておりますから置いておきますけれども資金の公平な配分ということは大蔵省の当局としても検討に値すると私は思いますので、検討すべきだという要望を申し上げておきましてこの件についての質問を終わります。  なお、その他、私さっき一番先に申し上げましたように、財投を調べてみると、読めば読むほどわからなくなる、見れば見るほどわからなくなるという、これに対しては大臣のほうから冒頭に、あとでわかりいい資料を、資料といいますか説明書をお出しくださると、こういうことでありますからそれには触れませんけれども、いろいろとどうも私は問題点がたくさんあるような気がいたします。この政府保証債の弾力条項の使い方等につきましてもいろいろ問題があるような気がいたしますし、そういう問題につきまして私はあらためてなお説明書が出たあとにまたお伺いをさせていただきたいと、こう思いますが、ただ説明書を出されるにあたりまして私のほうからお願いをいたしておきたいのは、いまのところはそういうまとまったものがないためもあり、たいへん大蔵省なりあるいは通産省なり外務省なりにわれわれ御迷惑を実はおかけしている。正直いって、資料を出してくれということでいろいろなことをお願いをする、そうすると膨大な資料をちょうだいしたり、だからそういうことはあまり御迷惑をかけないような説明資料というものをひとつお願いしたいし、私どもが知りたいのは、金が形の上でどう整っているかということもさることながら、その金がどう効率的に動いているのかということを実は私どもは知りたいのです。したがってそれが、財投という制度がどんな役割を果たしておるのかということを見るのにはそこを見ないといけないと思うものですから、でありますから、たとえば政府機関までいった、その機関から、たとえば開発銀行なう開発銀行資金がいっている、その開発銀行からどういうところにどうその金が働いて日本の財政をささえているのか、日本の経済にどういう役割を果しておるのか、その末端のほうがわかるような説明をひとつ資料としてぜひおつくりをいただきたい。何か企業秘密でありますとか、企業機密でありますとか、いろんな事情によって大事な私どもが知りたいというところがなかなかわからないような仕組みの説明ですというと、あまり効果がない、こう思うんです。あらかじめそういう点もつけ加えてひとつお願いを申し上げたいと、こう思います。  きょう実はもう少しの時間で同じ財投関係がありますけれども、海外経済協力についての若干の点についてお伺いをいたしておきたいと、こう思うんですが、まず外務省にお伺いいたしますけれども経済協力のうちの全体といったらたいへんなことになりますから、いまよく問題になっております韓国に対する経済協力の実情について、特に私はいまいろいろマスコミ等でも経済協力のあり方ということが問題になっていると思いますから、そういう側面からも見ても現状どうなっておるのか、ひとつ外務省の見解を先に伺っておいて、それから若干御質問を申し上げたい、こう思います。
  37. 水野清

    説明員(水野清君) 対韓援助の問題でございますが、これは日韓基本条約ができまして以来、有償援助あるいは無償援助、さらに民間の投資と、こういうふうに分かれておりまして、その内容は膨大な内容になっていることは先生も御承知のとおりでございます。この点につきまして御質問の御趣旨をできましたらもう少ししぼって御質問いただきたいと思っておりますが……。
  38. 鈴木力

    鈴木力君 それでは、たとえば一九六五年の日韓の正常化から正式な経済協力ということが始まったと、こう思います。それから政府の協力としては無償三億ドル、有償二億ドル、それからそのほかに民間の三億ドル以上という協力がそのときの協定ではなされておるわけです。私ちょっと伺いたいのは、いろいろいま経済協力についての問題が表に出ておりますのはそのあとの問題じゃないかというふうに見ているんですけれども、私の見方が間違っておれば御訂正いただきたいわけです。たとえば七一年に日韓閣僚会議と別ワクに国際収支対策資金として三億ドルの借款申し入れが韓国からあったと、私はそういうふうに記憶しております。そうして七二年になりましてから佐藤総理の決裁で五千万ドルと海外協力資金と輸出入銀行を通じて供与をしている、協力をしている。こういうふうに記憶をしておりますけれども、間違いでなければその五千万ドルというのがどういう形で行って、どういう役割を韓国でしておったのか、お伺いいたしたいと思うんであります。
  39. 水野清

    説明員(水野清君) 第四回の日韓閣僚会議で話し合われた一億ドルの借款について御質問でございますが、この点で申し上げますと、昭和四十五年——一九七〇年に開かれました第四回の日韓閣僚会議において、韓国側は、農水産業の近代化の問題に対して一億ドルの要請を行なっております。それに対して日本側は、前向きに検討するという約束をいたしました。具体的にはこの問題は引き続き事務的なレベルで協議をすることになったわけでございます。そして、その後、両国の間で協議をしました結果、四十六年の二月、六月にそれぞれ七十二億円及び百八億円、合計百八十億円、当時の為替レートの換算でございますが、五千万ドルの円借款を供与するという交換公文の署名を行なったわけでございます。  具体的な内容につきましては、二月の十八日署名をいたしました分は農水産業近代化のための借款が七十二億円。その内訳をさらに申し上げますと、農水産開発事業計画の遂行に必要な国内資金調達のための資材の購入——これは機械類か主でございますが、五十四億円。それから農水産業の機材の購入に十八億円。合計七十二億円になるわけでございます。それから六月に署名をされました分は、輸出産業の育成について五十四億円。中小企業振興について五十四億円でございまして、貸し付けの相手先は韓国の中小企業銀行あるいは韓国の外換銀行——向こうの名前て外換銀行、これは外国為替銀行のことであろうと思います——に貸し付けをいたしまして、そこからさらに韓国の企業に、それぞれの融資基準とか内容を検討して貸し付けしておると、大体、こういう内容でございます。
  40. 鈴木力

    鈴木力君 私かさきに伺いましたのは——これは聞き方が悪かったかもしれません。いまのは七〇年の第四回の閣僚会議できめて、七一年に三回に分けて実施した、そのことですね。
  41. 水野清

    説明員(水野清君) さようでございます。
  42. 鈴木力

    鈴木力君 私が一番先に伺ったのはちょっと年度がずれるんですがね。その翌年のことなんです。その閣僚会議とは別ワクに、七一年に国際収支対策資金として韓国から三億ドルの要求があった。そして、佐藤総理の裁断で、これを実施したのは七二年になると思いますけれども、五千万ドルを実施しておる。こういうふうに覚えておりますけれども、その事実はありませんでしょうか。
  43. 水野清

    説明員(水野清君) そういう事実はございません。いろいろな非公式な形では、当時、そういう形で国際収支の赤字補てんということで要請があったということは言われておりますが、日本政府としては、国際収支の一般的な赤字補てんということについては応ずることができないという態度で終始交渉に当たったわけであります。正式には、その話は結局成り立たなかった、こういうことでございます。
  44. 鈴木力

    鈴木力君 これはちょっと調べてみなきゃいけませんけれども……。そうすると、七二年の七月に輸出入銀行と海外協力基金のほうから五千万ドル韓国に借款している。この事実はなかったことですね。
  45. 水野清

    説明員(水野清君) 結局、いま申し上げましたように、韓国側は、国際収支の赤字補てんのためにいろいろなことを考えて、日本側からそれを引き出そうというような話はあったわけでございます。これに対しまして、先ほど申し上げましたように七二年の初めに、もっと具体的な内容ということで農水産業の近代化であるとかあるいは輸出産業の育成であるとかあるいは中小企業振興であるとか、こういったものに対して資材の供給のために借款を行なおうということになったわけでございます。これが先ほど申し上げました五千万ドル内容でございます。
  46. 鈴木力

    鈴木力君 そうすると年度が合わないんですよね。七一年に三億ドルの要求があって、それに対して七〇年の第四回閣僚会議で一億ドルをきめたというんじゃ話が合わない、これは。そうでしょう、いま次官の御説明いただいたのはですね。——よろしいですか。いま御説明いただいたのは、七〇年の第四回閣僚会議決定をしたもので、七一年に実施をしたものでしょう。これはあとでまた伺いますけれども、その前に私が伺ったのは、まあなければなかったでいいんです、あとで私のほうも調べてみますけれども、私が読んだ資料には出ておるものですからちょっと事実確認で聞いたのですけれども、七一年にその閣僚会議とは別ワクで三億ドルの要求があって、それに佐藤総理の裁断で五千万ドルを輸出入銀行それから基金を通じて貸した、こういうことがあるというふうに私が読んだものですから、それについていまお伺いしたのです。
  47. 水野清

    説明員(水野清君) 失礼いたしました。その内容については、韓国側から先ほど申し上げたような事情でいろいろございましたが、日本側としては七二年の初め、これに対して、これは七月一日でございますが、五千万ドルの商品援助をするという交換公文をかわしております。
  48. 鈴木力

    鈴木力君 商品援助ですね。
  49. 水野清

    説明員(水野清君) 商品援助です。日本からたとえば工業用の原材料及び資本財の購入に充てられる、そういうふうに資金のワクを設定して、そのワク内で日本側から品物を買うと、こういう援助でございます。
  50. 鈴木力

    鈴木力君 そうお答えいただければそれでよかったんです。  それで、そのあとにも出てきますけれども、この商品援助というやり方ですね、その商品援助という向こうからの要求と、こちらからのこたえてやるやり方は、具体的にどういうものが主として多かったのか。このいまの七一年の、七二年七月に行なった五千万ドルについての内訳なんかわかりますか。これは突然お伺いするんですから、あるいはわからなければやむを得ませんけれども
  51. 水野清

    説明員(水野清君) 現在は資料を持ち合わせておりませんが、御要望なら資料を提出することにやぶさかでございません。
  52. 鈴木力

    鈴木力君 それでは、あとでまたこの海外経済援助についても、きょうはあまり時間がありませんので、あとの機会にもう少しお伺いすることがあると思いますから、いまの商品援助の具体的な内訳等をひとつ資料として、あとでけっこうですからお出しいただければたいへん幸いだと思います。  それで、その次は、先ほどの御説明のありました一億ドルのほうですね、この農水産業の近代化資金、それから輸出産業中小企業育成と合わせて一億ドル、これはどういう形で朝鮮に金が行っているのですか。何か私が読んだものには、一億ドルのうち、政府から五千万ドル、それからあとは日本の銀行ですね、いろいろな日本の中央にある銀行から五千万ドル、これが韓国側の銀行に供与されておる、こういうふうに私は見たんですけれども、これは事実でしょうか。
  53. 石井亨

    説明員石井亨君) 先ほど政務次官からお答えいたしましたように、五十四億円の農水産開発事業計画遂行に必要な国内資金調達のための資材の購入、これは事実上は商品援助の形でやることになっております。これは各種の資材が内容になるわけでございます。それから農水産業用機材の購入、これはトラクターだとか水産加工施設等を供与するわけでございますが、これも、それから輸出産業育成、中小企業振興の目的のために供与しましたものも、すべて機材の供与が中心でございまして、これは貸し付け相手先は韓国の外換銀行と中小企業銀行ということでございます。
  54. 鈴木力

    鈴木力君 それはわかりましたが、金のいくルートですね。政府のほうから直接五千万ドル、それからあとは日本側の民間銀行から五千万ドルが行っている、こういうふうに私は資料によって調べたんですけれども、事実かどうかですね。そうすると民間銀行から韓国側に行く手続きはどういう形になっているのか、ちょっと伺いたいんです。
  55. 水野清

    説明員(水野清君) 政府借款としてこの年の借款は五千万ドルでございまして、これは輸銀を経由して向こうへ貸すことになっております。民間については承知をしておりません。
  56. 鈴木力

    鈴木力君 これはどなたに聞いたらわかりましょうか。第四回の閣僚会議で一億ドルという決定をしているわけですね。それで政府のほうからは五千万ドル行ったのは承知をしておるけれども、民間から行ったのは承知していない。そうすると閣僚会議決定したことも、民間ベースの場合はもう一切タッチしないわけですか。
  57. 水野清

    説明員(水野清君) この年の交渉の結果を申し上げますと、韓国側は一億ドルの借款を希望したわけでございます。それに対しましていろいろ交渉あるいは日本側で検討した結果、先ほど申し上げましたように、五千万ドルの借款を認めた。その、おそらく先生の御質問は、残りの五千万ドルについては民間の経済基金か何かの、政府が誘導したんじゃないかというような御質問のように受け取りましたが、そういうことは政府としてやっておりません。
  58. 鈴木力

    鈴木力君 先ほど次官が一億ドルという御答弁があったじゃないですか。
  59. 水野清

    説明員(水野清君) 韓国側の要求は一億ドルと、こういうことで、日本側はそれに五千万ドル政府借款でこたえたということでございます。
  60. 鈴木力

    鈴木力君 わかりました。私の調べたのでは、これもまあ確実かどうか私も確信はありませんけれども、銀行の名前は一々害いませんけれども、大体日本の七銀行があとの残りを受け持って、そして韓国の銀行のほうにこれを何といいますか、預託といいますか、借款に応じたとこういいますか、やっておる。ただ、そのやり方がどうもドルとの関係でその金を送り込んでおる。したがって短期資金のような長期資金のような、きわめてあいまいな金の出し方をやっておる。こういうふうに私聞いたものですから、そういうことになってくると閣僚会議というものを通じたものがきわめてあいまいな形で金が流れていく。これがいろいろ後に経済協力の問題を起こすもとになっておりはしまいか、こう思ったものですからいま聞いてみました。はっきりと、ないということであれば、そうすれば、もしその七行が融資したとすれば、これは政府としては一切責任を持たない、こういう質のものと確認をしてよろしゅうございますか。
  61. 水野清

    説明員(水野清君) 政府として責任持たないという、政府として全く関知をしていないと、こういうことであります。
  62. 鈴木力

    鈴木力君 それではこの問題はあとに残します。  そうしてもう一つ、いまの、この年だと思いますが、農業近代化が、七〇年から農業近代化資金というので出ておる。先ほどの御答弁で七十二億円ですか、これの資材の購入五十四億円、機材の購入十八億円と、こうありますけれども、これらは現物で日本から行っておりますか、それとも金のほうが行っておって、あとの取引は民間のメーカーと韓国自体がやっておるんですか、どういう形ですか。
  63. 水野清

    説明員(水野清君) 日本から品物、現物が韓国へまいりまして、それを韓国で売却をして、その金を積み立てて韓国の農業の近代化に使う、こういう仕組みになっております。
  64. 鈴木力

    鈴木力君 それの、日本の現物が行って、いまのおっしゃったような形で働いておる。それを追跡調査なさっておりますか。
  65. 石井亨

    説明員石井亨君) 追跡調査は各種の形で行なっておりますが、まとまった形では、四十四年度に韓国産業経済全体につきまして、それとわが国との経済協力との関係全体につきまして、調査団を派遣いたしまして、これは公表されておりますが、その後もいろいろ調査団を出したり、それから在外公館に照会して、それの使途の問題点になるようなこととか、そういうものは常に点検しております。
  66. 鈴木力

    鈴木力君 ついでだから伺っておきますけれども、これはたぶん衆議院でも質問されたはずだとこう思いますから、まあ何番せんじかわかりませんけれども、どうも私もはっきりしないものでお伺いいたしますが、海外技術協力事業団というのがありましょう。この農業関係の調査団を出しておりまして、去年の八月に報告書が出ておりますね。その報告書の一番末尾に、「韓国の農業関係の試験研究機関には(無償経済協力による)日本からの研究機器が相当額購入されている。韓国側にも問題があると思われるが、それらの研究機器が全然使用不可能の状態になって放置されている。例えば作物試験場に購入されたgrowth chamb−er(植物培養のための人工気象室)3台は全然作動しないままで日本製品が不完全であるという印象を与えている。また電子卓上計算機3台も同様に全然使用不可能の品であった。韓国の農業研究者にとっては、この研究機器の整備に期待しているのに日本から不完全品が送られている現況は誠に残念である。」、こういう報告書が、去年の八月に出ておりますのですね、それで去年の八月ですから、少なくともこういう報告書が出た以上は、何らかの処置は講じたと思いますけれども、それについてのもう少し詳細な説明をひとつ伺いたいと思います。
  67. 水野清

    説明員(水野清君) ただいまの先生の御指摘の、昨年八月に出されましたOTCAの韓国農業開発計画調査報告書の八十一ページにある問題点であろうと思いますが、これにつきまして衆議院でも御質問がございましたが、問題になっております、たとえば不完全品が提供されておるという指摘を受けております。たとえばの例として、いま御指摘のグロスチェンバーという機械でございます。これは植物培養のための人工気象室というふうに訳されておりますが、これ三台が全然動いていない、日本製品が不完全であるという印象を与えていると、こういうふうに、この報告書に書いてありますが、その後調べてみましたら、これは電源のボルテージを、韓国のボルテージと日本のボルテージの違うことを知らないで品物を納入しているということがわかりました。もちろん現在はそれは訂正されて、完全に作動をしております。  それからまた、もう一つ、電子卓上計算機三台が全然使用不可能の品であったと、こういうふうに指摘をしておりますが、この点についても調べてみますと、これはこの電子卓上計算機なるものが、技術的に非常に高度なもので、韓国側が当時こなせなかったと、こういうことでございます。これも現在ではうまく作動しております。
  68. 鈴木力

    鈴木力君 そこで私は、これは経済援助という——援助というのか、協力というのか、意図はきわめていいにしても——まず最初には政府機関を通じてのことについて少し申し上げたいんですけれども、どうもいままでのやり方が少しずさん過ぎておったのじゃないかという感じがするんですがね、これは通産大臣にちょっとお伺いしたいんですが、こういう場合にはどうなっているんですか、たとえばいまの機械ですね、これは結局日本製が輸出をする場合ですから、そうするというと、たとえばボルテージが合わないで使えないでほっておいた、あるいは卓上計算機のほうは、韓国側が使いこなせないということであれば、そういう機器なり、機械なりというものを、何十億円という、七十二億円とか、毎年そういうものを送り出すけれども、動いていないということでは意味がないんですが、メーカーのほうに対しては、これは通産省のほうの指導がなければいけないと思うんですけれども、こういう場合には、通産省としては指導なさっているんですか、関係がないですか。
  69. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 政府資金が関与するものにつきましては、これはやはり内容をよくチェックいたしまして、りっぱな品物が向こうへ届いて、経済協力の実を果たすように、われわれとしても積極的に関心をもってやらなきやならぬと思いますし、また、輸出入銀行、あるいは開発銀行、あるいは通産省その他各機関においてそれはチェックしてやっていると思います。
  70. 鈴木力

    鈴木力君 いまあげたのは一つの例にすぎないですね、だが、これは政府機関の調査団の報告にあったことですから、私も念のためにもう一度お伺いをしたんですけれども、どうも日本の海外協力のやり方の中に、だいぶ商品援助というものかいろいろこう出てまいります、あるいは——あと通産大臣にもう少し詳しくお伺いしたいと思っておりますけれども、いろいろな形での協力のあり方の中に、ほとんど全部日本のメーカーなり企業なりというものがそれの仕事をやっておるわけですね。その場合の責任をはっきり持って、きちっと効率をあげているものと、あげていないものというのが非常に多いような気がする。で、私はいま指摘——指摘というか、これはもうとっくに指摘になっておる使い古された材料でありますけれども、こういう問題が氷山の一角でありはしないか、そう思うんですけれども、いかがでしょうか。
  71. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 商品援助という場合は、やはりこれは厳重にチェックいたしまして、送られた原料や製品が所期の目的の用に使われ、稼働していると、そういう点をわれわれとしても確かめる必要があるように思います。御指摘のように、初めの段階におきましては、サイクルとか、そういうような問題やその他でおくれたり、不都合なものがあったようでございますけれども、最近はそういう点はチェックをかなり厳重にやっておると思います。
  72. 鈴木力

    鈴木力君 話はどうもあちこちになりますけれども、厳重にチェックをなさっていらっしゃる。ただ私がどうしても疑問なのは、まあ外務省の「日韓経済協力」と題する視察団の報告書があるのですね。これは六九年の八月に出たものと、それから四十七年の七月に出たものと、外務省の経済協力局から出ておる報告書があるのですが、このうちのたとえばおしまいのほうの「日韓経済協力の問題点」、これは主として民間のものが多いと思いますが、この問題点としてのいろいろの指摘をされていることですね。中身は一々は申し上げません。それから、四十七年の七月のこの報告書に指摘をされていることというのは、文字の表現は多少違っておっても同じ問題が指摘をされている。たとえば、いまの農業問題についてみますと、韓国はセマウル運動というので盛んにこれをやっている。そして、七〇年、七一年から日本がそれに協力をしている。ところが、この農村の実態と、それからいま日本から発動しておる経済の協力の度合いというものがきわめてちぐはぐだということが六九年にも指摘をされておる四十七年、七二年にも指摘をされておる。そうするというと、その後チェックをしておっても、はたして協力をした資金なり機器なり、資材なりというものが、いつになったら一体これが機能的に合うような、そういう形のものに、効率を上げるようになるのか、そのためにいま政府としてどういうことをやっておるのかを伺いたいです。これは通産省も関係があると思います、民間協力のほうが相当の問題を持っておるということになりますから。全体としては外務省にもお伺いしたいと思うのですが。
  73. 水野清

    説明員(水野清君) 先ほど来の、先生の御指摘の問題点でございますが、ひとつ御理解をいただきたいことがありますが、それは韓国というと特に差しさわりがありますが、日本が開発途上国に対する援助をする際に、相手国のものの考え方でございますが、たとえば日本に来て工場見学などをいたしまして、非常に高度の技術を要するよらな機械であっても、日本側としては、こういう機械を商品援助なり、借款なりでお買いになって、お持ち帰りになっても、非常に運営や、特にメンテナンスにおいて将来問題があるというふうに思いましても、相手の政府は最新式のものを導入したいという意向を、発展途上国であればあるだけに持っておられます。こういう問題が先ほどの電子計算機の例にもあるわけでありまして、これはやっぱり国と国の問題でありますので、過去においてかなりそういう点でむだもあり、試行錯誤のようなことをやってきた経緯もございますけれども、ある程度はこれはやむを得ない。また将来は、しかし、こういう問題については相手国の理解を得て、その国の労働需要なり、社会需要に応じたものを導入してもらう、こういう方向へ持っていく以外は私はなかろうと思うんでございます。これは、ただいま先生の御質問とちょっと問題が違いますけれども、そういう問題もあるということをひとつ御理解をいただきたいと思います。  それから、このいろいろな機械の契約上の問題でございますが、場合によっては借款をして、そのワク内で商品を向こうで、——商品というのは機械その他すべて入っております、機械類を買う場合に、向こうの政府が主体になってやっております。こっち側は日本の民間業者。その点において確かに完全に向こうの入札状況その他を追跡して把握し得ないものもあることも事実でございますが、先ほど事務当局から申し上げましたように、韓国につきましては各種の調査団を派遣しまして、あるいはソウルの公館において専門の技術者をそこへ長期出張させまして、こっちの援助の状況、機械の作動状況などを追跡調査をさしている、こういうことでございます。
  74. 鈴木力

    鈴木力君 まあここで私が申し上げたいのは、やっていることが韓国の福祉の向上なり、生活レベルの向上なりということにせっかく手伝おうとしてやっているところがせっかく手伝おうとしてやっていることが、逆にいったら、飛ばっちりというとあれですけれども、飛ばっちりを受けるようなところがいろいろ出てきているわけです、実際は。たとえばいまの機器の問題にしてもそうだと思うんです。調べてみれば何のことない、ボルテージの違いであるとか、あるいは向こうの技術がおくれているために使えない。しかしそれが日本の製品がだめだということに、民衆にずっと伝わってしまっておったり、あるいは日本の企業がどうも少しどん欲過ぎる、使えないものを売り込んだというような形になってきたり、こういうことは私は経済協力という趣旨からいったらきわめて残念なことだと、こう思うんですね。したがって、もうチェックをします、追跡調査をしますという調査団を毎年出していらっしゃるようです。その調査団を出していらっしゃって、調査報告がある。しかし何年たっても同じ問題が指摘をされて、そうしてしかも要求どおり金と援助は同じ形で出ていっている。こう見てみますと、私はどうも、韓国に対しての経済協力というものを、まあ相手方主導型の経済協力、それは向こうが、相手の国が要求することは相手の国が主導することは当然ではありますけれども、しかし効率があがろうがあがるまいが、そちらが言うならそのとおり、はいというような、それでは少し無責任過ぎはしないかという感じがするのですね。  で、最近非常に経済協力のあり方のうちに、特に日本が経済進出をするんじゃないか、あるいは経済的にもう一つのやや、占領とまではいかないにしても、直接日本の経済支配を受けるという、そういう批判が最近の学生運動等にも起こってきている。そういう問題等も、事実そういう面も私はないとは言えないと思いますけれども、そういう面と、いまのような面とがこう二つ組み合わさるというと、意図せざるようなところにいくような気がするんです。それはそれとして、もう少し私は具体的な問題もなお検討してみるべきだと、こう思いますから、政府に特に調査団の調査報告に基づいたものは何年たっても同じことでは意味がないのであります。それによって今度は協力のしかたを変えるなり、どう要求があっても別の方法をとるなり、そういうことに私は検討し直さなければいけないのじゃないか、こういうふうに思います。これはひとつ御要望申し上げておきたいと思うのですが、あと通産大臣に少し伺いたいのですね。  いまもお伺い申し上げましたけれども、この経済援助、まあ経済協力でありますが、これがいろいろな見方があると思いますが、一つの見方には、やっぱり日本の資本進出だ、こういう見方がある。経済的な経済支配だという見方が韓国の特に野党なんかには相当にあるようです。それから学生にもあるようです。まあこれはあまり報道されていないというだけで、こういう面もやっぱり私どもは配慮をする必要があると、こう思うんですがね、その中で私どももどうも疑問だと思う点がたくさんある。  それで通産大臣にお伺いいたしたいのですが、いま一体日本の企業が韓国の企業との合弁会社をつくるとか、そういう形でどれだけ韓国に出かけておるのか、全体の数どれくらいかおわかりでしょうか。
  75. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 通商政策局長から御答弁申し上げます。
  76. 和田敏信

    説明員(和田敏信君) わが国企業の韓国に対しまする直接投資は最近急速に増加しております。お尋ねの点でございますが、四十八年七月末現在で投資許可を与えた件数は四百九十三件、金額で二億三千九百万ドルとなっております。やや詳細に申し上げますと、製造業四百三十一件、二億一千八百万ドルでその大宗を占めております。また、製造業のうちでも繊維産業が四六%とその比重が高くなっております。  また、冒頭のお尋ねに関連してでございますが、わが国企業の対韓投資が韓国経済に与えます影響につきましては、韓国政府が基本的には外資導入を民生の安定と国民経済の発展のために活用していくと、こういう方針を打ち出していることがございますが、わがほうもまたこの韓国政府方針に従いまして韓国経済の発展に寄与してまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
  77. 鈴木力

    鈴木力君 この件数は私は去年あたりから急にふえているというふうに見てるんですけれども、その件数と金額、まあ大ざっぱでいいですけれども、最近のこの傾向をちょっと教えてくれませんか。
  78. 和田敏信

    説明員(和田敏信君) 御指摘のとおりでございまして、四十七年度におきまして百九十六件、一億四千六百万ドル、四十八年四月−七月の間におきまして八十七件、三千三百万ドルと、かようになっております。
  79. 鈴木力

    鈴木力君 これ大臣にお伺いしますけれども、去年からこう上がってきて、ことしぐうっと上がったというのは資本の自由化と関係があるんですか。
  80. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 関係あると思いますし、それから景気の問題、それから韓国政府が重化学工業化に踏み切って協力を求めてきておるという問題、またあるいは国内における労働力の問題そういういろんな問題が関係しておると思います。
  81. 鈴木力

    鈴木力君 それで一つ一つはもう時間もありませんからあまり申し上げません。特にいままでに日韓経済協力という問題が、さっき私が言いましたように、資本の経済支配だという見方が非常に韓国でも強いと思います。そうしてやっていることがさっきの農業機械のように、あるいはこの報告書にはずいぶんいろいろな例が出ておるようでありますけれども、実際にその機能を果たしていないというような問題もたくさん出ておりますが、それが四十七年、四十八年から急カーブに上がってきたということですね。いま大臣がおっしゃるようにいろいろな要因があるとは思います。もしこのままいきますと、おそらく韓国の企業で日本側の息のかからない企業がどれだけあるか、これ調べてみたらわかると思いますが、調査しておるものがありましょうか。あったらついでですから……。なければけっこうですけれども
  82. 和田敏信

    説明員(和田敏信君) 韓国の総企業数に対しまして、日本との資本関係がある企業がそのうち何件であるかという数字に関しましては、われわればこれを承知しておりません。ただ、いわゆる資本関係のある業種といたしまして、われわれは数字的にこれをチェックし、かつ衆議院の決算委員会の御示唆に基づきまして提出いたしました資料によりますれば、第七の項目というのがございまして、韓国の業種、合繊、板ガラス、ミシン等に関しましては、わが国の資本提携ある企業によりまする生産シェアが、われわれの推定でございますがかなりのパーセンテージを占めておるという調査は御報告申し上げたところであります。
  83. 鈴木力

    鈴木力君 そういう形でいまやもう事実上、これはもう大臣は御承知のはずなんですから、くどくど申し上げる必要もありませんけれども、事実上韓国の主たる企業はもう日本の企業の息がかかっておる、あるいは日本の資金がそこに関係をしておる。そうすると、それらを除いた日本の企業なり、日本資本なりの関係のない企業というものは、もう韓国経済とはほとんど影響がないみたいな形になりつつある、私はなってしまったという断言はとてもできないと思いますけれども、このままにしておいたらそうなってしまう。そういたしますと、さきに私が言いましたように、日本の経済支配という形に、そういう批判を受けてもこれはやむを得ないようになってくるんじゃないか。そうするといまのうちに私はこれを何とかしなければいけない。そこで、大臣に何かそういうことについての施策なりお考えなりありましたらひとつお伺いいたしたいと、こう思います。
  84. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 外国に対する経済協力を行なう場合に、官民いずれのサイドを考えてみましても、これを無制限に秩序を待たずに行なうということは適当でないと思います。特に大事なことば、こちらの善意が悪意にとられたり、誤解を生むという危険性がなきにしもあらずでありまして、特にその国における反応や国民感情というものをよく考えならがら進んでいかなければならぬと思っております。韓国につきましても、日本の資本が量的にもあるいは質的にも過大に進出し過ぎますと、そういう危険性もなくはないし、、特に学生や若い青年に対する反応というものは、われわれとしては深甚の注意をもって考えなければならぬところもあると思います。したがいまして今後の経済協力につきましては、相手側の国民感情というものをよく考えつつ、相手側政府とわれわれとしてはよく協議して進んでいきたいと思います。
  85. 鈴木力

    鈴木力君 そのとおりだと思いますが、少なくとも私は現状がすでにもう過ぎているのではないか、過ぎてはいけないという認識と、いまはもう過ぎているという認識とでは私は違うとこう思うんですけれども大臣はどうですか。いま少し日本の資本が来過ぎている、そういう感じはしませんですか。
  86. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 最近の発展途上国の経済成長、経済発展の実態を見てみますと、産油国がかなり力を持ってきていることは事実ですが、その率を著しく引き上べているのは韓国、それからシンガポール、それから台湾、それから香港、この一つの国の経済成長、国民所得の増大というものが非常に寄与しておるわけで、それらの国々はみんな外資導入政策をやりまして、かなり自由経済的な政策を持って外資を歓迎して、経済成長と国民所得の増大を行なって成功した例ではないかと思います。わが日本も昭和三十年代、あるいは二十年代の後半にはそういう政策をやって成功した先例でもあると思います。そういうような世界的な経済政策の通念、あるいは現状から見まして、韓国当局が、日本のみならずアメリカや西独やフランスや、各国の外資を歓迎して、成長と国民所得の増大を期しておられるということは、われわれもよく理解できるのでありまして、われわれも合理的な範囲内においてそれについては協力して、民生の安定や福祉の向上に協力していきたい、そう考えて、基本的には私たちも同調しておるわけでございます。しかし、行き過ぎがありはしないかという点になりますと、この点については、われわれとしても深甚の注意をもって、何回も何回も検討しながら進まなければならぬ要素があると思っております。今日行き過ぎではないかと言われますと、私は行き過ぎであるとは思っておりません。韓国国内における総生産、それからアメリカや日本やドイツの資本進出等を見ますというと、日本が国民感情にさかなでをして国民から排斥されるような行き過ぎをやっているというふうには考えておりません。
  87. 鈴木力

    鈴木力君 まあこれは政府の代表として行き過ぎだということはおっしゃりにくいだろうと思うのですが、少なくとも私はいろいろな現象的に出てきていることを見ますと、たとえば浦項の製鉄所という問題もある。ここに実に私は不正があったとかどうかという、そんなつもりで申し上げておるわけではありません。浦項の製鉄所を日本が政府援助であそこを建設をした。ところが、その建設をいたしましたそこの日本の建設をしておる企業は、ほとんど全部が日本の大企業が行って実施しているわけですね。そうしてその製鉄所というのは公害のおそれがある。そうしますと、日本の企業が国内においては公害問題として非常にやかましい。ところが浦項では、これは私も行ってみないから当たらないかもしれませんけれども、伝えられるところによると、公害除去施設というのはきわめてずさんであると言われている。それで、もし私が言うとおりであるとすれば、そういう形で日本の経済進出、日本の資本というものが与える影響、そういう見方をされているとすれば、それを是正する作業というのは私はいまからでもおそくないと、こう思うのです。不実企業の問題やさまざまな問題がたくさんあります。それらの問題はもう前からの調査によって明らかなんです。何べんも申し上げますように、さっきも言いましたように、同じ不実企業を出す理由なり状況なりというものは何べんも同じようなものが重ねられてきている。これはもう韓国の問題だと言えばそれまでですけれども、しかし、そういう状況をつくり出すのに日本側も一肩背負っているという見方があるとすれば、この辺は私は直さなきゃいけないだろうと思う。そういう面からの私はやっぱり総点検をするべきだと、こう思うのですね。これは政府に対して政府のやっていることは間違いだと言うと、政府は間違いないという言うにきまっておりますから、そんなつまらぬことは申し上げませんけれども、少なくともいま国際的にも大きな問題になっている。私はまだ幾つかの機会にもう少し詳しくお伺いしたいのですけれども、少なくともこの弊害の一つ政府資金のほうが民間より非常にシェアが少なくなっているということも一つではないかという感じがするんです。もっともっと政府のほうの経済協力といいますか、援助、その幅をもう少し広げていくという努力が日本ではできないのか、これは全体の経済協力についてです。一般に日本のほうはどうも民間が多過ぎる。たとえばいまGNP一%ということをよく政府が言っておられたと、こう思います。これにはいろいろな言い方があるんだそうでありますけれども、純粋に政府のベースでいったら、GNPについていったら、非常にパーセンテージが少ない、全体の民間の協力まで含めると相当のものに高まっている、これを逆転させるような方向に努力をするというようなことはいま政府としては考えられないのですか。そういう問題が一つあると思う。  それから、韓国でいろいろな誤解を受けるというのは、二国間援助方式というものがあまりにも多過ぎるということじゃないですか。日本と韓国の間でやっちゃう。あそこで協力をするいろいろな団体、国があるわけです。それならそれで客観的にもう少し全体のものが取り組んだ多国間援助方式というものがもっと討議をされていいんじゃなかろうか、こんなふうな点や、まあ思いつきみたいなことを申し上げますけれども、抜本的に韓国の経済援助というものは私は洗い直してやり直す必要がある、いまのままで進んでいったら、きわめて危険なものがある、こういうふうに感じますので、これは政府側の御見解を伺うと同時に、私のほうとすれば強く御要望を申し上げておきたいと、こう思います。  それから最後に、このあと、きょうはまあ時間がありませんが、この経済協力の問題も、いま御答弁いただいたような一つ一つについても実は私どもが聞いていることとも違うこともだいぶございます。時間をかけてそういう一つ一つの問題についてもなお私のほうが伺っていく機会を持ちたい、こう思っております。そのためにも、財投でも申し上げたのですけれども経済援助についてもきわめて機構が複雑で、私みたいなしろうとがやってまいりますと、なかなかつかんでいくのが非常にむずかしい、わかりにくい、そういう点についてひとつ検討する用意がないのかということもあわせてお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  88. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 中曽根通産大臣大臣の決意をお尋ねになっておりますので……。
  89. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 経済協力につきましては、この国に対する反応貢献度等を常にチェックしながら進んでおるわけであります。韓国に対しても、経済閣僚会議のたびごとに、事務レベルのチェックをずっと行なってきまして、その事務レベルの結果報告を聞いて閣僚会議においてそれを決定する、そういう順序を経てやっておりますし、常に検討は繰り返しておるところでございますが、御指摘の点も大いにわれわれは考うべき点があると思いますので、今後も引き続き検討を続けていきたいと思います。
  90. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 私からも特につけ加えることはございませんが、一般論としていえば、ことに財政当局の立場からすれば、経済協力はやはりODAというか、直接政府の援助方式ということがもっと比重を多くしなければいけない、しかしそれは主としてマルチの組織を通じてということが一番私はきれいごとと、俗なことばで言えばきれいごとでよろしい、そういう観点からたとえば世界銀行、それからIDAといわれておりますが、これらの増資については、この一年間世界で一番多い額を拠出することにいたしましたし、アフリカ開発基金等についても同様でございます。これはアジア開発銀行についてはもともとそうでございます。こういう方式が財政当局としては一番望ましい、こういうふうに考えておりますことをあわせて申し上げます。     —————————————
  91. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) それでは委員異動について御報告いたします。  ただいま鶴園哲夫君が委員辞任され、その補欠として加瀬完君が選任されました。     —————————————
  92. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) それでは午後一時に再開することといたしまして、暫時休憩いたします。    午後零時十分休憩      —————・—————    午後一時十七分開会
  93. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  午前に引き続き、昭和四十六年度決算外二件を議題とし、総括質疑を続けます。質疑のある方は順次御発言を願います。
  94. 二宮文造

    ○二宮文造君 四十六年度決算の総括の質疑にあたりまして、沖繩の問題を中心質疑をいたしたいと思っておったんですが、開発庁長官が記者会見の都合でおくれられております。ですから、順序が逆になりまして、琉球切手を中心にしまして、切手の問題を最初にお伺いさせていただきたいと思うんです。  切手の問題につきましては、私もこれで取り上げるのが四回目です。今日、切手人口が三百万人とか、あるいは四百万人とかいわれて、一種のブームを起こしておりますし、その広がりはますます大きくなってくると、こう私は思います。で、ただいわゆる切手に関心を持つ人たちの間には子供たちも非常に多いわけでありまして、このあり方というものがかえって幼い子供たちの心をむしばむようなことになってはマイナスです。そういう意味で、いままでもそういう趣旨で質問を続けてきたわけでありますけれども、この郵便切手、特に記念切手は、通常の郵便業務のほかに、いわばそれを収集するという人を対象に、まあ従来の売り上げなんかも相当大きな金額になっております。そういうことで、ひとつ郵政省のほうでしっかりした姿勢で、この業界の指導をやっていただきたいという趣旨から、私は質問をさしていただくわけですが、これまで私が取り上げましたのは、発行の枚数をふやして、そういう収集しておる人たちの便宜をはかったらどうかとか、あるいは特定の団体が大口の割当を受けて、その特権に基づいて、私どもから見ると不当な利益をあげてきたんじゃないか、こういうところは是正すべきではないか。あるいは外国切手と称するものの中には、これは先般も野末議員が質問をしたようですが、きわめてその趣旨もあいまいなものもある。こういうものも取り締まったらどうかとか、あるいは初日カバーと称して、発行日に特定のイラストをやって、私どもから見ますと不当な値段で売られている。これもひとつ是正すべきではないか。あるいは模造切手の取り締まり、これは幸い法案ができまして郵政省の姿勢もはっきりしたわけですが、そういうもろもろの問題を今日まで三回にわたって取り上げてきたわけです。ところが、どうも業界自体を見ますと、私どもの耳に入ってまいりますのは、幾つかの流れがあって、お互いがお互いを牽制すると、こういうかっこうになっているんじゃないかと私は思うわけです。  そこで、まず郵務局長にお伺いしたいんですが、切手にかかる業界の流れというのは一体どのように郵政省は把握をされ、それをまたどのようにして適切に指導されてきたのか、また今後されようとするのか、この点、まずお伺いしたいと思います。
  95. 石井多加三

    説明員石井多加三君) お答えいたします。  現在、切手の業界の組織ということでございますが、まず郵政省として認可いたしました財団法人、これは昭和三十六年にできたものでございますが、全日本郵便切手普及協会というところがございます。これは郵便切手の普及、健全な郵便切手に対する趣味の普及をはかるということを目的とした財団法人てございます。その次に——財団法人としてはそれだけでございまして、あと全日本郵趣連合、あるいは日本趣味協会、郵便切手商共同組合、全日本切手商協会といったようなそれぞれの協会、あるいは連合会があるようでございます。郵政省といたしましては、先ほど申し上げました財団法人によってそういった健全な趣味の普及をはかるということに重点を置いておりまして、いま申し上げました四つの共同組合その他の連合会につきましては、郵政省のほうから、いろいろ行政指導をするとかいったようなことは現在までいたしておりません。
  96. 二宮文造

    ○二宮文造君 これはどうでしょうか。現在までやっていらっしゃらないようですが、事態がここまできますと、やはりこういう切手収集というものの健全な発展とその育成をはかるということは郵政省に与えられた大きな仕事だろうと思うんです。ですから、いままでやっていらっしゃらなかったとしても、今後おやりになる用意があるのかどうか、これはどうですか。
  97. 石井多加三

    説明員石井多加三君) 郵政省の法律的に認められております権限等から見まして、民間のこういった団体がそれぞれの立場で競争しながら営業いたしておるということについて、これをいろいろ行政指導をするということは、郵政省の権限からいってもいかがであろうかと考えまするので、現在までのところは、こういった団体に対して直接指導するというようなことは考えてないわけでございます。また今後も、その辺どの程度までわれわれとしてタッチすべきかということにつきましても、いろいろまたむずかしい問題もあろうかと思いますので、従来は慎重に、消極的に考えておったわけでございます。
  98. 二宮文造

    ○二宮文造君 それでは、いきなり具体的な問題から問題点を出しまして、そしてさらに今度は業界を指導する必要があるかどうかということを最後にかためたいと思います。  まず第一点は、琉球政府時代、琉球政府立公園シリーズで沖繩の西表公園の切手が印刷されましたけれども、これが切手として使用されないまま今日本土内に相当数出回っておりますし、その状況をあらまし説明いただきたいと思うんです。ただ時間がありませんので、この切手の問題は三十分ぐらいと私思っておりますから。
  99. 石井多加三

    説明員石井多加三君) ただいまのお尋ねの切手は、沖繩の返還前に琉球政府が発行されたものでございまして、実は私のほうとしてその詳細な数字は、何か……
  100. 岡田純夫

    説明員(岡田純夫君) 琉球政府がいたしましたもの、その後沖繩県になりましてから実情を把握し、あるいは関係者を呼びましていろいろ調査したという前提においてお答え申し上げたいと思いますが、初めいわゆる通貨確認用証紙として五千万枚印刷局に発注いたしまして、その申し入れの中から三千万枚は四十六年の九月、いわゆる円・ドルチェックが行なわれる直前でございますが、琉球政府に納入いたしたということでございます。残り二千万枚は翌年の四十七年の四月、復帰直前でございますが、さらに琉球政府に納入した。しかしながら、このほうにつきましては、それほど必要でないということで、琉球政府といたしましては、静岡県の富士宮市でこれを、何と申しますか、煮つぶしによりまして溶解し廃棄処分にいたした、二千万枚につきましては。三千万枚を琉球政府は受け取っておりまして、その中から必要な、要するに通貨確認のための証紙としての使用をすべく金融機関等に配布いたしまして処理していったということでございまして、そういうふうな経緯、さらに御質問ございますればお答え申し上げますが、復帰の時点で、沖繩県になりました段階で本土政府としては二千九百七十万枚——多少あと余部がございますが、二千九百七十万枚を受け取りまして、さらに、沖繩開発庁といたしましては、現地にありますところの総合事務局を通じまして極力関係金融機関に回収にあたりまして、百七十六枚はさらに捕捉いたし、都合二千九百七十万四千九百四枚ということになりますが、この分につきましては責任をもって、また立ち会い者を置きまして煮つぶしによるところの廃棄処分をいたした。これは沖繩県でいたしております。  そういうような状況でございます。
  101. 二宮文造

    ○二宮文造君 要するに、もう少しはっきり説明していただきたいんですが、西表公園の記念切手は、当初記念切手として印刷をしたと、五千万枚。ところが例の通貨交換、ドルと円との交換にその現在高を証明するために、切手として使わないで、その現在高を証明する証紙として使ったと、三千万枚。あと二千万枚は煮つぶしをした。ところがその三千万枚のうちで、先ほどおっしゃった二千九百万何がし、これは回収をして煮つぶしをしましたと。要するに、通貨交換の証紙として使われたもの、それはあとでその証明書を引き取って、そうしてその差額を国のほうがめんどう見たわけですから、一ドル当たり五十五円ですか、差額をめんどう見たわけですからね。本来ならば全部琉球政府のところ、あるいは本土政府へ返ってこなければいけないわけですね。ところが証紙として使われた、いわゆる消し印をしたもの一万九千七百三十三枚が要するにいま未回収であると。それがいま市価一枚二万五千円で云々されている。さらにふしぎなことは、消し印をしない証紙がやっぱり出回っている。それの話によりますと一枚が十五万円とか二十万円とかものすごい希少価値なんでしょうね。要するに政府が扱って、通貨の確認のために証紙として使われたものが、こんなに、二万枚になんなんとするような消し印済みの切手の証紙が返ってこない。あるいは消し印をしていないものが出回っているということについては、やっぱり復帰以前のことであるとかと言いながら、ちょっとその辺のやりくりが非常にあいまいであったんじゃないか、それが業者の間に希少価値を生んで、いわば切手業界を混乱させている、こういう感じも私はするんですが、この取り扱いについてどういう心証を持たれますか。
  102. 岡田純夫

    説明員(岡田純夫君) この問題は、いわゆる円・ドルチェックという、全く極秘裏に進めざるを得なかったということから実は出発いたしておりまして、琉球政府の職員もごくごく一部の者を除いては、一体これはどういうふうな性質のものかということを知らない、教えるわけにもいかなかったということでございますが——というままで、実はこれはいわゆる金融機関に分けまして、それぞれ保管してもらって、円・ドルチェックの時点、すなわち十月九日に備えるということであったわけでありますが、十月九日が円・ドルチェックの時点でございますが、その二日前の十月七日の午前九時から徹夜で各島なり何なりに分けるというふうな作業に入ったということから、要するに下の者には教えることはできなかったというままに作業に入ったということから、どうしても管理において十分でなかったということは認めざるを得なかった。しかし、とにかくそういうことで一生懸命にやったんでありますということは、その後の沖繩県の説明であります。  それから金融機関もたくさんございまして、銀行等はもとより、農業協同組合でありますとか、その他三百五十一個所でこの取り扱いをいたしておりまして、この三百五十一の金融機関と申しましても、これまた、どういうふうなものかわからないままに受け取った。これも現地での話でございますが、農協等一部の金融機関では窓口にその証紙を置いといて、どうぞこれをとって呈示票に張ってください、こういうことになっておりますので、そのようにお願いしますということで、住民の方たちに、自分たちでその証紙をとって張るというふうなことをしたというふうな状況もあるとか、その他いろいろ、とにかく管理については確かにございましたが、そういうふうな特殊な、極秘裏に進めざるを得なかったというふうなことと、金融機関もまたその受け取り方がまちまちであったというところから、おっしゃいますように、一万九千枚でございますかの不都合——突き合わせのできない部分が生じておる。それがいまおっしゃいましたことになっていったかということでございまして、その点は残念でございますが、私どもの調べました限りでは、そのような事情であったという報告を得ております。
  103. 二宮文造

    ○二宮文造君 復帰時の混乱期にこういう問題が発生して、そのために本土の中での切手の値段が非常に変調を来たしているといいますか、われわれ理解できないような高値で売買——売買もないようです、もうから相場みたいですが、非常に思わしくない事態が発生しているということ、ひとつこれは問題点として指摘しておきます。  次は、郵務局長にお伺いしたいんですが、琉球切手は非常に希少価値がある。本土で発行したのは何千万枚という発行だけれども、沖繩の場合は百万枚とか、それ以下とか、あるいはその前後とかというような発行枚数しかないので希少価値があるということで、投資会員を募集して、そしてこれに投資していると必ず二倍、三倍もうかるんだ、こういう宣伝文句で投資会員が募集されてきたようでありますけれども、その辺の実態は、郵政省はどういうふうにおつかみになっていますか。
  104. 石井多加三

    説明員石井多加三君) お答えします。  ただいまお尋ねのような、昨年でございましたか、沖繩切手を投資の対象にするような商法が新聞等で行なわれているというようなことを私たちも承知いたしておりますが、あまり中身の詳細のことは存じておりません。
  105. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうでしょうか。そんな詳細なことを知らないでいいんでしょうか。新聞等で知ったということで、あとそれを分析もされなければ、またそれがいいとか悪いとかという感覚も出てこないんでしょうか。同じ政府部内で公取とか、あるいは警察庁あたりでは、その問題について事情は聴取しているんですよ。ただ琉球政府のやったことで、本土は関係ないんだと、こういうことですが、郵便切手となりますと、しかも琉球政府の一切の事務を引き継いだのが本土政府ですから、これだけのいわゆる収集家というんですか、そういう人たちをかかえている現在において、ちょっと郵政省はあんまり野放し過ぎやしませんか。御存じなんでしょう。
  106. 石井多加三

    説明員石井多加三君) 私たちも新聞等で承知したことで申し上げるわけでございますけれども、沖繩の切手が二年間で大体三倍ぐらいに騰貴するというふうなことがキャッチフレーズになっておったようでございまして、何か五万円とか十万円とかいったような、コース別にそういった契約をいたしまして、その契約をされた方には二年後にそのときの相場で買い戻すといったようなことが主たる内容であったように聞いております。
  107. 二宮文造

    ○二宮文造君 御存じでも、どうしても言いにくそうですから、私のほうから知っている限りのことを申し上げて、その判断を伺うことにしましょう。沖繩切手でもうけるとか、二年で三倍の値上がりというのがこのキャッチフレーズです。そうして五万円、十万円、三十万円、百万円の四コースがあります。何だかお買いもの競争みたいですけれども、で投資会員を募っておったわけです。要するに会員になろうとする人がそれぞれのコースに応じて、その二〇%を内金として納める、そして二週間以内に残金を届けて、いわゆる投資パックというんですか、一つのパックですね、それに入れた切手を受け取るわけです。この切手は、その会社が月ごとにつくっております日本切手市況の仲値二〇%増しで計算されているわけです。仲値よりも二〇%増して計算されると。それから二十万円の場合ですと二十五万円分の切手を投資者は受け取ると、こういうかっこうになるわけですね。そうしてまる二年間保管をすると、まる二年たったらその会社が発行している日本切手市況の仲値で引き取りましょう、さらに投資会員は切手投資に興味を示しそうな人二人紹介するという、いわゆるネズミ算式に会員がふえていくということを予定したようであります。  問題なのはその仲値ですが、一体この仲値というものは権威があるものかどうか、その会社が発行している市況による仲値ですから。そうなりますと、これはこのままほっておきますと、いま国内で切手として通用しているものにまで、古いものになりますと、そういう投資商法が始まるんではないか、こう思うわけです。すでに会員が四百名ぐらい出てきたようであります。しかも私、心配しますのは、その仲値が確かなのかどうかわかりませんが、ことしの五月の二十八日と八月の二十八日のその会社が発行した日本切手市況というものを比べてみますとだいぶ値下がりをしております。そうすると二年間で三倍になるというキャッチフレーズ、それで二年間保管してください、二倍、三倍はもうかりますよと、こういうことですすめていったことが、業者としてはそのときの市況で買いますということが逃げ口上になりますしね、預けた人は二倍になるというのが頭にありましょうし、こういうふうな商法がはたしていいものかどうか、これは郵政省としてはわれ関せずというわけにはいかないと思うんですが、もう一ぺん郵務局長の考えをお伺いしたい。そういう事実は御存じなんでしょう。
  108. 石井多加三

    説明員石井多加三君) 値段の変遷等につきましての詳細は、実は私ほんとに承知してないんでございますけれども、そういった商法が行なわれて、それによって加入された、いまおっしゃった四百人の方々の中には、あるいはそういうような値下がりによって損をされているようなことが、あるいはあるんではないかというふうに考えるわけでございますけれども、われわれとしましては、あくまでわれわれ郵政省としての、できる範囲内での努力はいままでも切手の趣味の普及についてやってきたつもりでありますし、今後もやらなければならぬと思うんでありますが、何ぶん先ほど申しましたように、沖繩の復帰前に出された切手であり、現在は国内ではもう通用してない切手でもございまするので、いまの沖繩切手を対象にした商法については、われわれとしては非常に好ましくないとは思うんでございますけれども、省としては手の打ちようがいまないんではないかと思うわけでございます。
  109. 二宮文造

    ○二宮文造君 公取のほうは事情をお聞き取りになったんですか。
  110. 熊田淳一郎

    説明員熊田淳一郎君) 公取といたしましては調査をいたしております。昨年の十二月に、この会社につきまして調査をいたし、どうも表示の内容が適切でない。先ほど御指摘がありましたような、二年間で三倍の値上がりというようなことを言っておりますけれども、それが過去における実績とか、あるいは将来性を加味して、目標値として出したというふうに言っておりますが、しかしながら、過去においてほんとに二年間で三倍になったかどうかというような点につきましては、事情を聞いてみましたところ、必ずしもそうはなっておらないものがあるというようなことでございまして、どうも表示のしかたに適正でなかった点があったようでございます。  そこで公取といたしましては、そういう一般消費者といいますか、あるいは投資家といいますか、そういうような者を誤認をさせる表示は取りやめるようにということを、ことしの二月に警告をいたしております。
  111. 二宮文造

    ○二宮文造君 警察庁のほうでも事情は聴取されたのか、あるいは向こうが説明に来たのか、その辺はどうですか。
  112. 綾田文義

    説明員(綾田文義君) これは警視庁に社長を呼びまして事情を聴取したわけでございますが、警察としては切手の値段そのものも不安定であるし、この会社、切手投資センターの倒産その他によって購入者に不測の損害を与えるおそれもあるということで、投資別の販売方法を自粛するように勧告いたしましたところ、六月の十九日にこれを中止いたしますと言ってきております。先ほども先生おっしゃったように、現在は約三百七十名で、一億円近くの金を払った購買者がおるようでありますが、現在は販売を中止いたしております。ただ二カ年後でありますので、ちょうどことしの十一月ごろに最初契約した人が二カ年になりますので、そのときにはどういう事態が起こるか注目しておるところでございます。
  113. 二宮文造

    ○二宮文造君 念のために伺いますが、大蔵省の方はいらっしゃいますか。——一般投資家から任意の会社がこういう投資を求めるというやり方は、現在の法規の上では差しつかえないんでしょうか。
  114. 米山武政

    説明員(米山武政君) お答えいたします。  現在出資法と称する法律の第二条に、「何人も業として預り金をしてはならない。」と書いてあるわけでございます。預かり金の禁止規定があるわけでございます。この預かり金と申しますのは、不特定多数の者からの金銭の受け入れで、預金等と経済性質を同じくするようなものを受け入れてはいけない、こういうふうに規定されているわけでございます。したがいまして、これは不特定多数の者からの金銭の受け入れであることは間違いないところでありますが、これがいわゆる預金等と同様な経済性質を有するものであるかというところが問題になるわけでございます。この預金等と同じ経済的な性質を有するというのは、これは元本の返還を約し、かつ預かり主のためにするものである、こういうふうに一応私ども解釈しております。  したがいまして、ここで見ますと、元本の返還が約されたようではありますが、その前に、どうもこれは切手という具体的にそれ自体に一つの価値を持つ商品を投資家に交付しているということ、それからもしそれが投資家とは——その規約を読みますと、投資家がその切手を買ってそれが破損とかよごしたりした場合には受け取らない、こういうふうになっておりまして、これは私どもは無条件に預金者のために、預かり主のために預かっているというものでなくて、これはいま言ったような二つの点から見ますと、買い戻し条件つきのやはり切手の売買であると、こういうふうに解しまして、この出資法に基づく預かり金と解するのは、私ども承知しております限り、ちょっと無理ではなかろうか、このように解釈しております。
  115. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうしますと、投資という字句を使うことは正しい使い方ではありませんね。
  116. 米山武政

    説明員(米山武政君) はい、その点を私どもちょっと……
  117. 二宮文造

    ○二宮文造君 買い戻し条件つきの売買ですから、切手投資と、こういうふうな表現を使うことはよくないんじゃないでしょうか。それは相手方、いわゆる購買者には、自分は投資したんだというふうな預け金的なニュアンスを本人に意識させるような字句じゃないでしょうか。
  118. 米山武政

    説明員(米山武政君) そういうふうな感触も受けると思いますが、いわゆる投資というのは非常に広く使われますので、これがこの出資法による投資あるいは出資法にいう預かり金であるかどうかという点につきましては、これは私ども現在、解釈する限りどうも無理だと思いますが、この用語が適当かどうか、ちょっと私ども判断しかねます。
  119. 二宮文造

    ○二宮文造君 わかりました。そういう問題があることを大臣、ひとつ覚えておいてください。  それから、われわれに関係ないと郵務局長が言われましたが、今度は関係あるほうを言いましょう。昨年の八月十日に中部山岳国立公園の十円及び二十円の切手が出ました。この会社では、その十円と二十円の初日カバー、例の封筒みたいにイラストしまして、そこに切手を張って、発行日、発行場所の消し印ですか、それをつけた初日カバーというのが、全国の収集家はたいへん興味を示したようですが、十円と二十円の初日カバーを一組にしまして、御承知のように一万部出しました。これを一部三百円で売ったわけですね、初日カバーですよ。発売日にカバーにして、消し印をつけて、十円と二十円のものを一組にして三百円に。さらに広告をして、これは非常に部数が少ないですから、いつでも四百円でお買い戻ししましょう、こういう広告をやって飛ぶように売れたそうです。  こういうやり方ですね、私も、全日本郵便切手普及協会が初日カバーをつくったときに、六十円、七十円の段階でもまだ高いじゃないか、これはひとつ財団法人の商法としては思わしくないじゃないかということで、郵政省のほうも指導なさっていただいたと思うわけです。ところが、これはほかに六十円、七十円という初日カバーもあるんでしょう、ここは三百円で売って、しかも四百円で買い戻しましょう、こういう宣伝をしますと、これは一体どうなりましょうか。こういう初日カバーの作成はこれはどうでしょう。郵政当局は、今度は非常に責任が出てくると思うのですが、これもわれ関せずでしょうか。
  120. 石井多加三

    説明員石井多加三君) ただいま御指摘のありました中部山岳国立公園の初日カバーの問題でございますが、御指摘のように、あるところでは三百円で売っているということを聞いております。この値段につきまして、ただいま高いじゃないかという御指摘でございます。私どもあまり安いものではないと思うわけでございますけれども、初日カバーのつくり方につきましては、各業者の方々でいろいろつくり方が違うようでございます。御存じのように、私たちのほうの監督しております財団法人で発行しておりますのは、比較的安いものでございますが、同時に封筒等の質も違うようでございますが、いまの三百円のものを、私どもちょっと見てみたんでございますが、封筒とか、あるいは何か包むカバーのようなものでございますが、ああいったようなもの等は、かなり良質の紙を使っておるようでございまするので、一がいに他のものと比べて非常に高いと言えるものかどうか。まあそれでも飛ぶように売れたというようなお話でございますけれども、多少この辺は、業者の方の商法にみんな踊らされたんじゃないかという私も感じがいたします。
  121. 二宮文造

    ○二宮文造君 その認識が問題なんです。買うほうの方が業者に踊らされたんじゃないかと、わがほうとしては全く関係ないと、こういう姿勢がだんだんだんだん趣味の世界から投機の世界にオーバーヒートしているわけです。それを指導される必要があるんじゃないかということを、私はもう前から言っているんです。  じゃあ、もう一点、また具体的な問題を出しましょう。さらに、そう高いものじゃないとおっしゃいますけれども、あなたのほうからいただいた資料では、大体六十円、六十五円、七十五円、高いところで百二十円、二枚一組で三百円。通常の価格から言いますと、やっぱり倍くらい高いですね。これはひとつ認識してください。しかも、おたくのほうでは大口の割り当て団体に対しては割り当てはしますよと、ですけど一カ月以内にプレミアムをつけて売っちゃいけませんよと、そういう念書まで取って大口団体に割り当てるわけですね。ということは、こういう記念切手などは、そんなにプレミアムをつけちゃいかぬという基本方針が郵政省にあるわけですよ。ところが業者がやるんだからかってですよと、また紙が違いますからそんなことは言えませんよという姿勢では、この問題はいつまでも続きますし、結局郵政省で処理をしなきゃならぬ問題になってきますよ。私、念のために申し上げておきます。  それから、もう一点あります。今度はお年玉つきの年賀はがき、これは百枚について三枚五等が当たって切手が入ってくる。ところが、この会社は非常に頭もいいんですね。たしか二千部だと思いますが、年賀はがきの当選切手の初日カバーを二千部つくって、そして、一部八百円で売ってるわけです、おまけのほうを。これは百枚について三枚は必ず当たるわけです。しかも下のほうの当選番号を切って持っていけば、その切手シートと交換できるんですね。それで、そのはがきのほうは、二円足せば別にまたはがきがもらえるわけですね。そうしますと、まあ二千部ですから、たいへんな年賀はがきを買い占めたことになります、百枚について三枚ですから。こういうふうなことがよろしいとすれば、何のための年賀はがきなんだと、年賀はがきの販売方式にもつながってくる大事な問題になるんじゃないかと思うんですが、この点どうですか。
  122. 石井多加三

    説明員石井多加三君) いまさら私から申し上げるまでもなく、年賀はがきといいますものは、利用者の方々に年賀状として差し出していただく、そういう目的のために発行しておるものでございますが、昔からこれにわずかでも賞品をお年玉としてつけることが慣例化して今日に至っておるわけでございます。その中で、ただいま御指摘の点は、一等から五等まで賞品があります中のちょうど五等に該当するものは、昔から切手をこれに充てておるわけでございまして、その切手が投機の対象になる、そのものずばりが対象と言いますよりも、これをシートとして、同じような初日カバーとして発行して八百円で売っておるというような御指摘でございますけれども、私たちのほうは、もちろんそういったことは、年賀はがきを発行している郵政省としては望ましいことではございませんけれども、年賀はがきの目的自体は、申し上げるまでもなく、年賀状としての発行でございます。たまたまつけておる賞品について、そういったようなことが行なわれておるとすれば、これはまたわれわれも検討しなければならぬと思うのでありますけれども、われわれとしては、現在、御存じのように、二十三億枚も年賀状を発行いたしておりまして、個人について二千枚とか三千枚しか売らないというふうな制限をいたしておりませんので、まあそういったような用途を確かめてまで年賀状を売るということは、われわれとしてはできないと思うのでございます。なお御指摘のような点は、いろいろまた売りさばき、あるいは賞品のつけ方等の問題としては、あるいはもう少し検討する余地があろうかと思います。
  123. 二宮文造

    ○二宮文造君 私が言うのは、だから業者を指導する必要があるじゃありませんかというところへ結びつけたいわけです。  もう一点あります。この沖繩切手ですが、いま私も見て驚いたんですが、いわゆる切手の市況ですね。この切手の市況が、それを発表する会社または団体、そういうところによってまちまちなんです。たとえばここに出ておりますが、一九六〇年の十二月一日に発行されました国勢調査という欄を見てみますと、日本切手市況というのではシート単位の相場が一万五千円、それから一九七四年のオールカラー版日本切手カタログ、これに示されている市況はシート換算の三万三千円、それから一九七四年の原色日本切手図鑑、これによりますと二万九百円、それから今度は一九六二年七月五日の切手趣味週間の分は、日本切手市況の発表ではシート単位の相場が一万円、それから一九七四年オールカラー版日本切手カタログでは二万二千円、それから一九七四年原色日本切手図鑑では一万五千四百円。こういうふうに、もう倍とか半分とかという、かってな市況がつけられているわけです。これは私どういう意味でこうなっているのかわかりません。  ただ業界にはAという業者とBという業者、さらにはCという業者、これはそれぞれ自分の得意とするものがあるし、それを営業の主力として、それでかせいでいこうとする、一方ではそれに反対する会社がそれを引き下げようとする、こういう結果ではないかと思うんですが、要するに切手市況というものが株式市況のように、いまマニアの間では関心の的になっているわけです。それが出すところによって、倍も半分もその差が出てくるような、そういう切手市況を公然と許しておくということは、これは趣味の世界が全く混乱してしまう。こういう状況があると、思うんです。  で、公取りのほうにまず最初にお伺いしたいんですが、公取では中古車の問題について、これはまずいじゃないかということで、非常に適切な措置をとられたようです。自動車公正取引協議会をつくりまして、そして自動車ガイドブック、これを認定する、この協議会がですね。そういうふうにして、大体価格の点についても協議会がチェックをする。こういうかっこうで中古車の価格というものは、大体まああんまりでこぼこのないように調整されていってるというんですが、いま私が申し上げたような切手の市況の扱い方は、公取の考えとしてはどうでしょう、心証をお伺いしたいんですが。
  124. 熊田淳一郎

    説明員熊田淳一郎君) 自動車——中古車につきまして、価格ガイドブックという制度が公正競争規約上ございますが、これは一般消費者の商品選択の便宜といいますか、表示が適正であるかということを判断するための一つの目安といたしまして、そういうような制度を導入いたしたわけでございます。ただ、これを、それでは切手にまた導入をしたらどうかというようなことかと思いますが……
  125. 二宮文造

    ○二宮文造君 いやそうじゃないんです。この三つばらばらになっているのを、どう受け取るかということです。
  126. 熊田淳一郎

    説明員熊田淳一郎君) 確かに、いま先生がおっしゃいましたように、非常に業者によって市況の表示のしかたが、価格に大きな開きがあるということは、一般消費者の側から言いますと、商品選択を惑わすといいますか、そういう面があると思います。ただ、これを自動車の価格ガイドブックのようなやり方で規制をするということは非常にむずかしい、技術的にもむずかしいと思いますし、また、これはへたをしますと、例のカルテルというようなものにおちいってしまうおそれもございますので、なかなかその点はむずかしいと思いますけれども、ただ業界に表示についての公正競争規約というようなものをつくらせまして、そして表示の適正化について検討をさせると、こういうことは考えられると思います。
  127. 二宮文造

    ○二宮文造君 まあ、以上言ったような問題がありまして、それで迷惑をこうむるのは結局国民なんですよ、消費者なんです。しかも、その消費者の中には子供たちが相当ウエートを占めているわけですね。ですから私も前からこの問題をくどく言うわけです。あんな善意の子供たちを自分たちの営業の巻き添えにすることは、ほんとうにしのびない、だから的確な指導をされるべきではないかと前々から言っているわけですが、これは事がここまできますと、沖繩切手だから関係ないとか、あるいは商売でやるんだから関係ないとかいうんじゃなしに、もともとそれを発行したのは郵政省なんです。また郵政省も、そういうマニアがいることを承知をし、業者がいるということを承知して、一般の郵便業務に使用されない量まで発行しているわけですよ。一番簡単なのは、いま公取の方がおっしゃったように、公正競争規約を業者同士でやらせる。もう一つは、やっぱり郵政省がこういう業界の人たちを呼んで、ひとつ健全な育成をやろうじゃないか、郵政省もそれに肩入れする、あなた方もひとつコマーシャルベースだけでなくて、ほんとうに健全な発展をするというように知恵をしぼってもらえないかと、そういう橋渡しを久野大臣なら私はやってもらえると思うのです。そうでなければ、ほんとうに消費者が困ります。  これで、そういう決意があるかどうか。もう時間がありませんので、いま実態を四点ほどあげましたが、そういうことで大臣の答弁を伺って、この問題を私は終わりにしたいと思います。
  128. 久野忠治

    国務大臣(久野忠治君) ただいま切手の趣味を逸脱した投機の対象になっておる実例につきまして、数点にわたって、詳細にわたって御指摘がございました。このような事実は、私としてはたいへん好ましくない事態であるという認識でございます。好ましくないということであればどうするかということでございますが、現在の法令の定むるところによれば、これを規制する法律上の制約はないわけでございます。しかしながら、法律にないからこれを黙認しておるかということでございますが、やはり、あくまでも切手は趣味としてこれを扱え、投機の対象にすべきではないということは当然のことでありますけれども、そのような現実的な問題につきましては、でき得る限り実態を調査いたしまして、そして投機の対象にならないような具体的な措置を行政指導という形ででき得ないものかどうか検討さしていただきたい、かように存ずるような次第でございます。
  129. 二宮文造

    ○二宮文造君 郵政関係、けっこうでございます。どうもありがとうございました。期待しております。もう再び質問しないでいいように、ひとつよろしくお願いします。  それでは次に、私は沖繩の問題、これをお伺いしたいんですが、四十六年決算です。四十六年といいますと、いわゆる待望の本土復帰の前の年になりまして、開発庁としても精力的にその対策を練られた非常に重要な年度であったわけです。ところが現在、沖繩はどうなっているかと言いますと、大臣も御承知のように、海洋博というものを目の前に控えまして、沖繩の人は非常に物価高に困っております。あるいは基地の問題要するに沖繩に行ってみて、戦後は終ってないというのが、もうそのものずばりの私の実感だったわけです。そこで、わずか一週間か十日ですから、しさいな検討というものは私もできておりません。ただ幸いに、坪川長官も二日から四日まで沖繩に行っていらして、最近の沖繩の事情というのをその目で視察をされたということでございますので、もう時間も限りがございますから、問題点だけをお伺いしたいんですが、どうですか、大臣が向こうへ行かれての、もろもろの問題を控えた沖繩、率直な実感はどうですか。
  130. 坪川信三

    国務大臣(坪川信三君) 二宮先生御指摘になりました、復帰二年目を迎えての沖繩の現状、決して安易を許すような状態でないほどまで重要な問題が山積いたしておることを深く認識もいたし、また憂慮もいたしておるような次第でございますとともに、特別国会において衆参両院の各委員会を通じて、各諸先生から御要望、御指摘になりました点等も非常に重大であると踏まえまして、国会終了とともに直ちに現地に出向きまして、論議の焦点となった諸般の問題をこの目で見、この耳で聞いてまいりたいと思っていったわけでございます。就任いたしまして以来、これでちょうど三回目でございます。就任前三回行っておりますが、そうした気持を持って参りましたのでございます。  第一に、私といたしましては、やはり戦後が終ってないという御指摘を受けるほどまで——私は、沖繩の振興開発計画は、祖国に復帰してよかったという感激と喜びを与える沖繩行政でなければならぬということを、基盤に置きまして、配慮をいたしておるわけでございますが、その中にあって最も重要なことは、沖繩開発振興計画によっての、措置法によるところの、裏づけした行政を推し進めてまいりたい。  第二番目には、御承知のとおりに、政府、いな沖繩県自体が決定されまして、そうして政府もこれに賛同いたしまして、五十年の、一年半後に迫った海洋博をどう進めていくかという、このリミットのある重要な計画の現状がどうあるべきか。これは私も、衆参両院において申しましたように、この海洋博を行なうことによって、沖繩がしわ寄せを受けて、沖繩の振興開発計画がおくれるという犠牲は絶対に避けたい。沖繩海洋博が沖繩振聞計画の、開発の起爆剤であり跳躍台にならなければならぬ、こういう方針の海洋博でありたい、あるべきである。またこれが他産業に大きいしわ寄せを及ぼしてはいけないというかまえを持った方針で、これに取り組んでいるその後の状況がいかにあるべきかということを見てまいったわけでございます。  これに関連いたしましては、私も本部町の開催される地域まで、これで二度目でございますが、出向きましたが、一時予想されているほどまで、幸い施設部会、物価部会等の適切な計画、指導も並行いたしまして、期待いたしましたより幾らかおくれがちではあるが、かなり進捗をいたしておるということでございます。しかし労務、資材、物価高によるところのしわ寄せが大きく押し寄せていることは事実であります。これに対しましても、それなりの対策は講じつつあるというようなことでございまして、私の帰りましての閣議における報告は、これを縮小いたすとか、あるいはこれを延期するという方針をとるべき何ものも原因はないと把握したという報告もいたしたわけでございます。  次は、やはり沖繩の重要な産業である農業政策の問題これがいわゆる他産業に流れ、労務の圧迫を受けながらきている現況を考えるときに、沖繩の農業政策に対して、やはり大きな施策を来年度予算を通じながら、またもう間もなくおとずれるサトウキビの価格形成の問題等を含めまして、適切な対策を講ずべきであるという点。  もう一つは、私は来年の予算編成にも心得ておりますことは、沖繩の医療行政、救急対策というような問題これにひとつ前向きで取り組みたい、これらを踏まえて視察してまいったようなわけでございます。したがいまして、沖繩県の屋良知事とも二回にわたって協議を続け、またこれらに関連する各位とも十分協議をいたして、沖繩県も前向きの姿勢で積極的に取り組んでおるということで、大いに力強く感じたわけでございますが、決して、しかし安易な道ではない、容易ならない道であるけれども、やはり沖繩県のバイタリティここにありという意欲をもって推進をお願いをし、政府も責任をもってこれに努力するというような体制で臨む覚悟であることを表明して、御了解願いたい、こう思います。
  131. 二宮文造

    ○二宮文造君 大臣、私の時間が四十五分までなんです、申し合わせが。で、ひとつその中身の問題を簡便に御答弁いただきたいのですが、まず海洋博、これは予定どおりやると、規模は縮小しないと、しかし観客の動員は、これは当初の五百万人から、やっぱり輸送事情等によって、三百五十万人に減らさなきゃならぬじゃないだろうか、こういうような話も出ております。いわく陸上輸送は北部の縦貫道と言っても、石川から名護までであって、那覇から石川までどうするんだ、あるいはその名護から会場までどうするんだという道路事情は、当初の予定よりも相当に削減をされて、陸上の輸送がはなはだ困難である。それからもう一つは、海上輸送といっても、いま数社が航路申請をし、ホーバークラフトだとか、あるいは水中翼船等を通じて、一日に高速船によって五千人を送るとかなんとか言っておりますけれども、宿泊施設の問題もあるというようなことで、観客の規模は縮小せざるを得ないと、こういう様相でありますけれども、現地では海洋博が行なわれて、一体現地に何が残るのかと、それがこれからの沖繩の要するに開発にいう、いわゆる大臣の言われる起爆剤であり跳躍台に何が残るかということです。  ただ海上航路だと何も残りません。こういうことで、海洋博を五十年の三月二日やるということはけっこうですけれども、その点について、公共投資のおくれとかなんとかで、現地は非常に心配を持っている。ただ物価高だけが残るのじゃないかという心配を持っていますがね。この輸送手段というもの、あるいは道路事情というものに、もう少し手を加えるという考えはありませんか。
  132. 坪川信三

    国務大臣(坪川信三君) 海洋博関連事業の進捗状況、全く二宮委員指摘のような点か、やはり強く感じられてまいっております。幸いに国道の開発、拡幅の起工式も私いたしてまいったわけでございます。それとともに高速道路等をもって——しかし御承知のとおり、名護から向こうの問題これが一番なんでございます。これについて何とかいい方法を考えなければならぬということで、いま海岸に、あの本部町のところを道路をつけるとか、あるいはいろいろと考えていく。これと、いまお話しになった、ヘリポートなどで運搬をしたいというようなこと、いろいろと対策を講じておりますけれども、受け入れのいわゆるホテルの問題も大きな問題になってきておると思います。那覇市等における受け入れは、ホテルのほうは心配ないと思いますけれども、あの名護、本部町などにおいて、もう一、二のホテルはどうしてもなにせなければなりません。  ただ私としましては、いまお話しになったごとく、海洋博が終わってあの辺一帯がたださみしい、あと残骸が残るような海であってはならぬ。それはやはり古来の沖繩の東洋のリゾートゾーンとしての保養の地を形成したい。観光、保養、レクリエーションの場としての沖繩のあと地計画を関連して推進するよう、下水あるいはその他の環境整備事業等に格段の配慮をしたい。それには私はもっともっと公園などをふやすべきである、下水の完備をせなければならぬというようなこと。あるいはその他道路等を十分ひとつ、終わった後の沖繩のかくあるべき未来像というもののひとつ夢を残してほしいということを行政に対して強く指示いたしておりますので、二宮先生御心配になる点、全く私も同感でございますので、その方向の姿で、海洋博のあとの沖繩というものを、ひとつ夢見ながら万全の施策を講じてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  133. 二宮文造

    ○二宮文造君 私の質問は、あるいは大臣の所管外のことになるかもわかりません。といいますのは、沖繩には総合事務局がありますし、それぞれ各省の出先になっているわけです。ですから、もしこれ私、ほんとうに質問しようとすれば、各省にそこに並んでいただかなければならぬわけです。だが、とてもそんなことはできませんし、いわば沖繩の開発振興の窓口としての開発庁の長官として、私は所管外にわたる問題もお伺いするようになると思います。  まず道路ですが、大臣の答弁は私は了とします。ですけれど、大臣はパトカーを先導につけて走ったでしょうから、おそらくあまりその混雑ぶりを実感されなかったかもわかりませんが、現在、那覇から名護まで六十キロですね。これに何時間かかります、いまの渋滞では。たいへんなものです。三時間かかります。那覇市では現在でも、もう時速十五キロでなければ走れません。しかも毎月登録台数は二千五百台ずつふえているというんです。こういう状況で、道路事情をよくしなければ、那覇からあの本部半島の海洋博の会場まで、一日行程ではとうてい行けやしません。だから、那覇市に幾ら宿泊施設があっても、これは海洋博のための観客をという、帰りには利用できましょうけれども、たちまちには非常にむずかしい問題がある。だから本島内の道路事情というものは、現在の拡幅の状態だけでは足りないんではないか、こう考えます。これが一点。  それから先島のほうへ行きますと、一番悪いのが県道なんです。いわゆる沖繩本島に予算関係は全部取られてしまって、先島のほうへは、石垣にしても八重山にしても予算がつかないわけです。したがって、ここの辺では何とか県道をうまくしてくれないか、できれば国道にでも昇格をして、この先島の幹線道路をよくしてくれないかという希望さえもあるわけです。この道路の問題については、先ほど一生懸命考えるということですから、私いま言いました先島の、いわゆる改良あるいは改善の拡幅がおくれている県道を国道にでも昇格をして、国のほうから措置をする意思があるかどうか、これをお伺いしたい。まずこれだけ伺っておきましょう。
  134. 坪川信三

    国務大臣(坪川信三君) 全く二宮先生のおっしゃったように、交通問題は、渋滞しておる、また重要な問題である。決して私はパトカーを前につけていばって走らせるような、そんな政治家観念は持っておりませんから、皆さんと一緒にパトカーをうしろにつけて、そして御承知のとおり、二時間半かかって、往復疲れたからだで帰ってきたということでございますから、二宮先生と同じ感覚でおることだけは、御信頼願いたいと思います。  御承知のとおりでございますが、私としましては、沖繩のやはり問題は道路にあると、そうした意味から、御承知のとおりに、五十八号線の整備計画を急がせて、私の行っている間に起工式をやって、そしてこれを来年の五、六月までにはぜひとも完備せよと、それから御承知のとおりの高速道路、こうしたことでいきまして、ただ心配になるのは、いわゆる名護から本部へのあの道路でございます。これをどうするか。どうしても私は海岸のほうに少しまた拡幅すべきであると、こちらの山を行くのはどうしても不可能であろう、こういうようなことで指示もいたしておりますし、何とか名護から向こうの輸送体系をどうするかということを、ひとつ早急に考えるように指示もいたしてまいったようなわけでございます。  それと、非常にいいことをおっしゃっていただいたことは、どうもあの辺一帯が沖繩の一つの非常にいいところになって、南部地帯と離島——先島や宮古を含めてこれが不均衡の、アンバランスの沖繩県になるという憂慮とひがみを非常に持っておられることを痛感したわけでございます。それでございますから、私は沖繩県に対しましても、またわれわれの事務局に対しましても、均衡のとれた沖繩の開発という基本計画を間違ってもらっては困る、ことに離れ島——離島対策に対する道路の政策について、十分配慮をすべきであるということを土木部長に対しましても指示もいたしてまいってきておりますので、全く私は、この点はバランスのとれた、均衡ある沖繩全体の保健、観光の地としての未来像をつくり上げてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  135. 二宮文造

    ○二宮文造君 大臣お話ですけどもね、その財源の問題で、沖繩県としては先島に、あるいは南部に手が届かないわけですよ。だからそれはやっぱり、沖繩県にこう言ったということよりも、国のほうでこうすべきではないかと、先取りして指示をしてやる必要があるんじゃないかということを、たとえば国道昇格などを、幹線道路だけでも、先島のですよ、幹線道路だけでも国道昇格を考えるというようなことまで打ち出して、手配をすべきではないかと、私は言いたいわけです。  それからもう一点、海洋博に関連しまして、これも防衛施設庁の問題ですが、那覇空港、これがたいへんな混雑ぶりです。しかも、あそこは沖繩返還の目玉商品で、ほんとうは米軍はのくはずだったんですがね。ところがいまでもP3が実在しております。それからそこへ自衛隊が入ってきています。それから民間航空機の便数もふえておりますしね。しかも、これは私もびっくりしたんですが、ことしの一月から八月までのいわゆる沖繩空港事務所の緊急出動調べ、これによりますと、事故が七十七件、その中で民間はわずかに六件、それから米軍および自衛隊によるものが七十一件、いわゆる米軍等はあの那覇の空港を航空母艦の飛行甲板のように離着陸の訓練をやるらしいんです。そのために何かガイド灯ですか、滑走路の灯があるわけですが、それをぶっこわしちゃって、何か滑走路の中心線の灯がありますね、光が。それを八十四のうち、訓練のために二十七個もぶっつぶしてしまう、こういうような事態が起こって、とにかく、わずか八カ月間に、七十七件のうち七十一件も自衛隊あるいは米軍の訓練による事故が起きていると。これは海洋博を控えまして、民間が増便でもしたり何かしたらたいへんなことになります。これはもうP3は撤去するはずになっているわけですがね。ひとつこの海洋博を頭に置かれて、これをどうなさいますか。
  136. 坪川信三

    国務大臣(坪川信三君) 御質疑になりました二点にわたっての第一点でございますが、いわゆる国道昇格の問題私も四年前に建設大臣をいたしておりまして、沖繩の道路政策の実態というものにいささか取り組んでまいった。またあのときに国道昇格をいたしました場合における沖繩の問題等も取り組んでおります。私は、いま二宮先生御承知のとおりに、沖繩の県道は補助率十分の十でございますから、国道昇格いたしたと同様ななにでございます。ただ……
  137. 二宮文造

    ○二宮文造君 いや違う、計画が違ってくる。
  138. 坪川信三

    国務大臣(坪川信三君) まあその点はあれでありますけれども、市町村道と、こういうような関係の合理性というものどう持っていくかということ、また国道に昇格すべき宮古あるいは八重山の問題等の点も、十分ひとついま現地でなにしておりますから、そうした面で取り組んでまいりたいと、こう考えております。  那覇空港の問題につきましては、一応原則的には合意されていることは、御承知のとおりでございます。しかし、これに関連いたしましては、嘉手納飛行場における代替施設の提供あるいは普天間飛行場における改良措置等というような必要性もございます。そういう点を踏まえながら、私としましては、潜繩の海洋博までには、この問題はぜひとも解決したい、こう思っておりますので、やはり那覇空港が完全に返される姿で海洋博を迎えてまいりたい、こういうような気持ちで積極的に取り組んでまいりたいと、こう考えております。
  139. 二宮文造

    ○二宮文造君 海洋博までと言わないで、早くやらないとたいへんです、これはもう八カ月でも七十七件も起きているのですから。  それから自衛隊はどうします。この自衛隊が、また非常に、那覇空港のいわば事故につながる原因にもなってくるんじゃないかと。米軍はのいても自衛隊との共同管理ということになりますと、これもまたたいへんな問題になりますし、この点もあわせ早急に——これは海洋博まてと言ったって、再来年の三月まであるわけですよ。それまでに重大な事故が起こるような感じがします。したがって、もう一日でも早いほうがいい、こういうように督促をしていただきたい。  それから今度は、大臣が一番心配されております農業の問題ですが、キビの価格がいまトン七千円です。これじゃとてもじゃないが労務費にも再生産の意欲にもつながらない。もう農業を放棄すると。しかも、このキビが沖繩の農業生産の四〇%を占めているということは、大臣も御承知のとおり。このキビ価格を、いまもう大臣の腹の中にあるように、現地ではトン一万三千円以上を要望したい、そうでなければ、沖繩ではもう農業は全く見込みがありませんと。一たんそれから散ってしまうと、あとからもう畜産を奨励するにしても、養蚕を奨励するにしても、蔬菜園芸をやらすにしても、要するに農業というものに意欲を失ってしまうとこれは帰ってきませんと、これを現地の屋良知事をはじめ各市町村の理事者に私は要望されてまいりました。  これは大臣も耳がたこになるくらい聞かされたことだと思うんですが、さて、このキビ価格、やがてやがてなんて言わないで、もう来ますよ、大量に動員して。まず大臣のところへ来るんじゃないかと思います。だって、大臣は沖繩の父と、これはだれが言ったか知りませんけれども、沖繩の父という名前もありますし、ついこの間は沖繩の農業の父というようなことも出たというんですから、そういう発言があったのかないのかそれは知りませんけども、そういう立場にいらっしゃるのですから、一番に波状攻撃の対象になりますが、このトン一万三千円以上というキビ価格の問題について、大臣の率直な見解をお示しいただきたい。それで農家の方を安心さしてあげたい、こう思うんです。   〔委員長退席、理事小谷守君着席〕
  140. 坪川信三

    国務大臣(坪川信三君) 二宮先生御指摘の沖繩の農業問題、その農業の基本は砂糖キビの問題、非常に重要な問題でもあります。先刻沖繩に参りましたときに、農村に出向きまして砂糖キビ畑をよくながめながら、現地で働いておられる耕作農民の皆さんともいろいろと話をかわしたんでございます。いかに栽培上大きな苦労をされているか、しかも農業生産の四〇%を占めておる、その重要なウエートを思うときに、日本の米同様の大事な産業であり作物である、こういうような気持ちで私は沖繩に立つ前にも、櫻内農林大臣あるいは愛知大蔵大臣にも強く要望いたし、見てまいりまして、帰りましてからも、両大臣に私なりに官房長官を含めて強く要望をいたしまして、櫻内農林大臣に、このときこそひとつ御協力を願いたいという要請を、両大臣にも強くいたしておりますので、いまおっしゃったように刻々と迫る——十一月の十日前後はもうあと一月でございます。櫻内君に対しましても愛知さんに対しましても強く働きかけて、大いに事務当局もいま盛んに接触を続けておるのでございますので、何とか期待の線に沿うような姿でまいりたい。だれがつけたか知りませんが、父であり、母である。父母以上の愛情を持ってこれに取り組む覚悟でございます。
  141. 二宮文造

    ○二宮文造君 期待していただける値段ということで折衝している、そういうことは、大臣は、現地でトン一万三千円以上にしていただきたいということを承知の上で両大臣に話をしているわけですか。
  142. 坪川信三

    国務大臣(坪川信三君) 私は一万三千円以上という熱意を持って取り組まなければ一万三千円には近づかぬと、こう思っておりますので、何しろもう真剣にこれに取り組んで、一万三千円をこえたら万々歳でございますし、一万三千円近くになれば、まあ九十点の点数はひとつちょうだいしたい、こう思っておるわけでございます。
  143. 二宮文造

    ○二宮文造君 よくわかりました。万々歳でされるように、このことを現地の人は待っております。それで九〇%の成果なんというのは、そういうことにはならないように、もうくどく申しません。  まだ養蚕の問題も畜産の問題もあります。ですけど、これはいずれにしても内地で、いわゆる主産地形成みたいな考え方を農林省は考えているわけですよ。ところが、現地ではまず自分で始めたいと。要するに、たとえば肉牛なら肉牛が十頭以上なら何か補助の対象にしてやろうと。ところが、まだ未開の分野でしょう、未聞の分野でしょう。ですから、現地の人は自分の力で十頭ということはまずできないわけですよ。一頭からでも始めたいと。そして、自分がその経験を積みながら多頭化に持っていきたいという、まず手始めには最小の負担で当たっていきたいという気持ちですね。これが現在の補助対象にはならないわけですよ。だから、国のほうで考えている農業の振興と、現地の農民の方が頭に描いている農業に取っ組む姿勢というのは、そういうところに大きな差があると思われる。これを踏まえて、もっときめのこまかい補助対象なら対象に持っていかなければ、畜産の振興もできないと思うのです。  それからまた、養蚕にしましても、戦前には経験があったそうですが、私は平良市へ行きまして市長さんにもお伺いしたんですが、やがて数百町歩にして、この平良市に製糸工場を誘致したいと、こういうところにまで積極的に取っ組もうとしているわけです。ただ、私は養蚕の経験——養蚕というのは業界がどうなっているか知りませんけども、中国の生糸というものが非常に安い、しかも、それが豊富であるということを頭に持っております。それからもう一つは合繊の関係で、そう海外の生糸に対する需要がいつまでも続くとも、私はこれもちょっと断定できないと思う。そういうところへまた主産地形成みたいなかっこうで団地をつくると、それ桑を植えろ、補助を出すというようなことでやると、内地におけるミカンのような、ネコもしゃくしもミカンというようなかっこうになって、国の農業方針というものが、農業政策というものがもう全く信頼できないと、本土ではそう言われているわけですよ。  沖繩の人はここまで苦労してきているんですから、そういう国の思いつきで、何か食らいついたらいいというような、そういう農業政策はひとつ慎しんでいただきたい。もっときめのこまかいものをやっていただきたいということを希望として申し上げておきます。  それからもう一点、沖繩ば御承知のように地籍簿が全くありません。もう米軍が掘り起こして基地にもしてしまったしね。そうしますと、いま鋭意その地籍簿をつくりつつあるようですけども、この地籍簿ができるまで、要するに旧地主に対する補償というものを国のほうでやっていただきたいというのが、これが現地の要望のようです。  それからもう一点、もう時間がありませんから、問題点だけ申し上げておきますが、これは昨年の沖繩の総合事務局財務部の発表ですけども、米軍から返還になったでしょう。そして、普通財産として国が受けましたね。その普通財産については個人がいま借りていると。これはことしの五月十五日までに実態を調査をして、そうしてその判明次第、確認次第、民間のいわゆる賃貸し料にベースを上げると同時に、三年以内に現在の借りている人に払い下げをする方針を、昨年の十月二十四日に発表されているわけですよ。それが遅々として進まないということ、これが一点。  それからもう一つは宮古、石垣のほうですね。陸軍か海軍かの飛行場に強制買い上げされた、戦前、戦時中にね。それがその手続もきわめてあいまいな、まあ当時は戦争一本ですから、国が要るんだ、寄こせということで、非常にずさんな手続で買い上げられた。したがって、その旧地主からも返還要求が起きておると。こういう問題についてもやっぱりそれを明確にして、それは返還するんなら、その案がきまるまで、要するに、買い上げ方がずさんな買い上げ方しているわけですから、それに地代、賃借り料にふさわしいようなものを補償すべきではないか、こういう希望があります。この点についてどうなさるのかお伺いしたい。  それからもう一点は、伊江村——あの伊江島ですね、伊江島の給水、これはどうなさるおつもりか。あそこへヘリポートができるんでしょう。海洋博とも直接つながってくるわけですから、この伊江島の給水、これをどうするかということ。  以上、これだけを伺って私、質問を終わりたいと思います。まだまだあるんですけれども、時間がありませんから。
  144. 坪川信三

    国務大臣(坪川信三君) 沖繩におけるところの地域境界等の不明、これは非常に重要な問題となっておるのでございまして、政府といたしましては、昨年度から予算を計上いたしながら、その明確化にいろいろと努力をいたしておるような次第でありますが、国土調査法に基づく地籍調査を実施することが非常に困難であるというような実態もございますので、先般、沖繩に行きましたときも、知事もいろいろと苦労されている実態の報告も受けたわけでございます。したがいまして、沖繩開発庁といたしましては、予算化されたそれぞれの立場で地域の明快——いま作業を急いでおりまして、どうしても私は、来年度までにはぜひ完了したいという方向のめどでいま取り急いで行なっておる、また、関係出先機関とも協力をいただきながらやっておるというような状態でございます。  その他、詳しい大事な事務的な問題は、両説明員から答弁させます。
  145. 岡田純夫

    説明員(岡田純夫君) 地籍の調査につきましては、四十七年から一千万円、それから四十八年度は約二千三百万円ということで、主として、主としてと申しますか、非軍用地につきまして、その現況なり問題点なりを現在把握中でございます。また航空写真でありますとか、公図、公簿といったようなことにつきまして収集に当たっております。  来年度につきましては、いま大臣が言われましたように、でき得ることなら、もう来年度一ぱいには現況の把握を終えたいものということで予算要求をいたしておりますが、先生の御指摘の地代問題につきましては、基地内にある間になるべく早くその実態が把握されるのが望ましいのであります。その実態が把握される見通しが得られないままに返還されるということになりますというと、当然地代の問題が出てまいります。本土の場合でありますというと、約三カ月間、管理費といったようなことでつなぐようでありますけれども、沖繩の場合そのようなぐあいにはなかなかまいらぬと思っております。この点につきましては、防衛施設庁が中心となりまして、現在、関係当局と検討を進めておるというふうに聞いております。   〔理事小谷守君退席、委員長着席〕
  146. 二宮文造

    ○二宮文造君 地代を払う方向で検討を進めているんですか。
  147. 岡田純夫

    説明員(岡田純夫君) そういう方向で相談と聞いております。  それから第二点の国有地になっておるもの、それから戦時中にいわゆる強制接収されましたとか、あるいは買い取りがなされたというふうなことによって現在国有地になっておるものの、それぞれいわゆる地主に該当される方々がおって問題になっておるということは、先生も御指摘のとおり、現在、大蔵省当局が現地の財務関係を督励いたしまして、調査、実態把握につとめておるところでありまして、その事実関係が明確になりましたところで処理方針を確立したいと、こういうふうに聞いております。私どもとしても、現地のほうのすみやかにというふうな要望もございますので、たえず大蔵関係当局に促進してもらうように、推進につとめておるということでございます。
  148. 二宮文造

    ○二宮文造君 民間に貸し付けている分の、三年以内に払い下げるという財務部の方針は。
  149. 岡田純夫

    説明員(岡田純夫君) その点につきましても、そういうふうなことかというふうに聞いておりますが、なお確認いたしたいと思います。
  150. 二宮文造

    ○二宮文造君 伊江勘……。
  151. 渥美謙二

    説明員(渥美謙二君) 伊江島の給水の件につきましては、県から具体的な要求、説明がこれからあると思います。ですからそれを聞きまして、関係省庁とも打ち合わせまして検討いたしたいと、かように考えております。
  152. 二宮文造

    ○二宮文造君 海洋博までに……、
  153. 渥美謙二

    説明員(渥美謙二君) いま申しましたように、県から具体的な説明というものがまだ私どものところに参っておりませんので、どういうふうな御要求になりますか、いずれにしましてもその県のほうの要求、説明というものを承りまして検討いたしたいというふうに考えております。
  154. 二宮文造

    ○二宮文造君 大臣、最後に国有地の問題でちょっと一言……。
  155. 坪川信三

    国務大臣(坪川信三君) 大事な問題でございますので、いま大蔵事務当局とよく話し合いを進めている状態でございます。     —————————————
  156. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) それでは、委員異動について御報告いたします。  ただいま石本茂君が委員辞任され、その補欠として安井謙君が選任されました。     —————————————
  157. 塚田大願

    ○塚田大願君 私は、いわゆるこの対韓経済援助の問題について、政府にお伺いしたいと思うわけであります。  この対韓経済援助の問題は御承知のとおり、今日たいへん重大な問題となってまいりました。衆議院の決算委員会におきましても、かなり討論がされてまいったようでございますが、とにかく最初にひとつ確認をしておきたいと思うのでありますが、この経済援助が一体どのくらい行なわれておるのかということにつきましては、先般、衆議院の決算委員会に提出された資料が私のところにもございます。経済企画庁、外務省、大蔵省、農林省、通産省の共同の資料でございますが、これを拝見いたしますと、数字はもうすでに新聞その他でも発表されておりますとおりに、無償援助で七百七十七億円、有償で八百二十八億円、その他技術協力OTCAベースで十四億二千万円、合計下六百二十億円という数字政府のほうから提出をされておる。その他この資料拝見いたしましても、民間輸出信用、いわゆる承認ベースでございますけれども、これが六億一千百三十一万ドル、また、民間向後投資が三億三千九百三十五万ドルというふうになっておりまして、私どもドル換算をいたしましたら、大体総計十二億六千六百万ドル、こういう大きな数字になっておるわけであります  この中からかりに民間直接投資の分を除きましていわゆる政府ベースの借款を考えてみましても、九億八千四百七十七万ドルという数字でございます。約十億ドルでございます。十億ドルといいますと、日本の人口一人当たり約十ドル、つまり三千円ということになるわけでありまして、赤ちゃんから御病人まで含めまして一人当たりこれだけの経済援助をやっておるという計算になります。したがいまして、この膨大な経済援助がはたしてどのように韓国で使われているのかという問題は、これは当然国民の関心事でございましょう。これに対しまして政府は、いや、これは後進国に対する援助である、韓国の経済の発展のために使っておる、また、民生向上のために出しておるんだと、こういうきれいごとを盛んに衆議院でもおっしゃっておられるわけでございますけれどもはたして実態はどうなのか、まあこの問題でございます。  そこで、最初にお伺いしたいのでありますが、先ほども問題にされましたが、この対韓経済援助の動向を調査されました外務省の報告書、これがございます。一九六九年八月のものと、それから七二年七月のものでございますが、第一に、六九年の外務省の報告「日韓経済協力」というこの報告書を見ますと、まず、六つの問題点が指摘されているわけであります。「第二節日韓経済協力の問題点」というふうにいたしまして、六つの問題点が出ておる。これは非常に重要な指摘だろうと私は思うのです。もちろん、いろいろ考え方や立場の違いがございますから、必ずしもこの指摘に全面的に賛成するわけではありませんけれども、しかし、一応いまの段階で日韓経済協力の実態を解く上におきまして、一つのかぎをここは示しておるんじゃないかと私は考えるわけであります。しかし、この六点を全部一つ一つ指摘するということはたいへんでございますから、私はこの二つの点についてお伺いしたいと思うのです。  第一は、この第三項目に書いてございます問題であります。ここにはこういうふうに書いてあります、国内貯蓄能力(内資調達能力)および元利償還を厳密に考慮せず、経済開発計画の修正拡大および無定見に外資導入を認可したため、一方において代払い企業、不実企業の発生、二会々と、こういうふうに指摘しております。  それからもう一つの私が指摘したいと思うのは、次の四項目です。ここでは、「韓国企業の企業家精神があまりにも旺盛なるため、内資調達力および製品の需給見通しも不充分のまま、政府の指導力不足とあいまって、外資導入により無謀な設備投資を行なった結果経営不振に陥った場合があること。こういうふうに外務省の報告は指摘しているわけでございます。  まず、第一にお伺いたしたいのは、第一に私が指摘した問題であります。いわゆるこの無定見に外資を認可したため不実企業が発生をした、こういうふうに言っているのですが、ところが、この外務省の報告を見ますと、これに該当する韓国企業の事例というものが具体的にないのです。そこでお伺いしたいのは、この問題点に該当する韓国企業並びにそれに対応する日本の企業、あるいはさらに経済協力実施機関、つまり輸銀であるか基金であるか、その辺おわかりであったらまず教えていただきたいと思うわけであります。
  158. 菊地清明

    説明員(菊地清明君) ただいま御質問のありました「日韓経済協力——韓国経済産業視察団報告書——」というものの第二節に述べられております六点、特にその第三点、第四点について御指摘があったわけでございますが、第三点は、国内貯蓄能力とかそれから元利償還方法を厳密に考慮しないで、無定見に外資導入を認可したではないかということでございますが、この点につきましては、実は一昨年ぐらいまではこういった傾向がなきにしもあらずでございまして、この三点と四点とは非常に関連がございまして、第四点の理由のために第三点ということが起きておるということもございますわけでございます。それでこの事情はその後、韓国内におきまして改善いたしまして、これは一般的に去年以降韓国経済が非常に順調であるということ、ことにことしに入りましてから輸出が非常に伸びてきたということ、それから、ことに去年の八月三日でございますけれども、大統領令が出まして、いわゆる私債と申しますけれども、私債の制限その他を行ないまして、この第三点及び第四点というものが大幅に改善されておるということでございます。これは、第三点、第四点が起きる大きな原因一つは、従来韓国内の利子が非常に高いということでございまして、それに基づきましてどうしても資金ソースを外資に求めるということがあったわけでございます。  以上が最初の御質問でございます。第二の御質問に対しましては、韓国側のこういった企業、いわゆる不実企業というものの実際のリストといいますか、そういうものにつきましては二十六社、韓国の財務部で韓国の国会に報告しました二十六社というものは私のそうでわかっておりますので、後刻リストで差し上げたいと思います。
  159. 塚田大願

    ○塚田大願君 いま答弁の中で、一つは、非常にその後改善されたというお話がございましたが、私は、いまの時点でどうなっておるかということを聞いておるわけではございません。当時のこの時点において、過去において、とにかくこういう借款企業が不実企業になったと、実際問題事実問題としてこういうことがあったわけであります。いま改善されてどうなったかは、これはまた違った問題であります。その点についてはやはり問題をすりかえないで、はっきり答弁していただかなければならない。  それから、二十六社につきましては、これはもういま見ましたこの中にちゃんと入っておりますから、私どもはわかっております。  そこで次の質問でありますが、いま二十六社をあげられましたが、この第二の指摘、私が取り上げました四項目の問題、つまり、外資導入により無謀な設備投資を行なったために不実になったと、この問題であります。この問題では、外務省の報告は非常に具体的に企業の名前をここに発表しておられまして、大体十社あがっております。政府支払い保証分では八社ですね。韓国電気冶金、ユニオン・セロファン、韓永工業、興韓化繊、邦林紡繊、忠北セメント、共栄化学、韓国麻紡、この八件です。それから市中銀行支払い保証で二件、韓国鉄鋼と新興水産。この十件を外務省の報告はあげられておるわけであります。  いま政府がおっしゃいました二十六社でありますが、この中にあがっておるのは、外務省が指摘したこの十件のうち、韓国の財務部が国会に報告したという二十六社の中にはたった四件しか入っておらないんです。これを比較していただくとわかる。四件というのは韓国電気冶金、それから韓永工業、興韓化繊、韓国麻紡、この四つだけが韓国では不実企業だといって国会に報告した。つまり残りが六つあるわけでありますが、これは韓国ではまだ不実企業として発表しておりません。しかし、日本の外務省はそういうふうに発表しておる。しかもこの十件のうち輸銀の融資関係企業というのは三件ございます。韓国電気冶金、それから共栄化学と忠北セメント、この三つ、これは輸銀関係の企業でございますが、その点は確認してよろしゅうございますか。
  160. 水野清

    説明員(水野清君) いま先生御指摘の、韓国政府が韓国の国会に報告をいたしました不実企業の問題と、外務省がただいま資料として差し上げましたものとはこれは観点が違うわけでございます。御承知のように、先ほど菊地参事官からもお答え申し上げましたが、当時としては、これは企業でございますから、最初から非常に景気がいいと、つくったものが全部売れるというわけでございませんし、当時の世界的な経済状況からは、かなり御指摘のように無理な資本導入をやった点もある。これは外務省の調査報告でも指摘をしているとおりであります。それがその後の国際的な経済情勢の中から浮かび上がっていった、こういう時間につれて様態が変わってきた、こういうことでございます。その中で外務省で当初としては無秩序な、無謀だと思われたものも、現在は不実企業として残っていないのが大半でございます。個々のこまかいことは事務当局から申し上げますが、この二つの資料の食い違いというのばそういう点であろうかと思います。
  161. 塚田大願

    ○塚田大願君 それはおかしいんですね、いまの答弁は。韓国の出したこの不実企業二十六社と、外務省が六九年に指摘した事情とはこれは次元も違うし問題も違うと、こういうふうに言われているわけですけれども、そういうことはないんです。いま申しましたように、六九年の外務省の報告でもちゃんと出た。そして、いまおっしゃった韓国の財務部の報告は、これは七一年であります。確かに二年のズレはある。しかし、ここでもう一つもし資料を出したいんだったら、これは先ほど申しました外務省の昨年、七二年の報告書です。これにもちゃんと共栄化学は載っておるんですよ。六九年に載り、七二年に載っておる、しかし、韓国の七一年の報告には載ってないと、つまり、まだこれは途中ですよね。ですから、その後企業が回復したんだということにもならないし、向こうとこっちが全然違った資料を出しているということは、これは解明にならないと思うのです。そこで、その点はどうなんですか。韓国の当局と外務省の不実企業の認識というものが違うのか。一体その違いの原因というのはどこにあるのか、その辺をはっきり解明していただきたいと思うのです。
  162. 水野清

    説明員(水野清君) 外務省で先ほど申し上げました資料は、これは日本政府が調査をしたことでございます。日本の政府として、日本のいろんな企業的な分析とかそういったものをやった人たちがやった結果でございます。この点については、私ども間違っているとは思いませんが、先ほど申し上げましたように、いままで韓国の政府が韓国の国会に出した資料というのについては、これはこの資料を、どんな不実企業があるかということでこれまでもいろんなほかの委員会でも御質問がありましたので、それを持ってきて、こういうものもございますと、こういう形で提出をしたわけでございます。ですから私どもは、韓国政府のほうの不実企業のリストというものについて、日本の政府がこれで正しいとか、これでいいとかいうことではない、ただ一つの例としてこういうものがございますということで御提出したわけでございます。ですから、外務省のほうの資料中心にして私どもはものを考えていきたい、こう思っております。
  163. 塚田大願

    ○塚田大願君 それはもちろん、日本政府として独自に調べが出たわけですから、これはこれで権威のあるものと見て差しつかえがない。ただ、この間衆議院にお出しになりましたこの韓国の二十六社、そうしてこのうち不実企業が輸銀融資関係では八社だ、こうおっしゃったんですけれども、これが衆議院の決算委員会で相当意見が出まして、実際は不実企業は三十一社だ、そうして、いわゆるこの輸銀関係の不実企業は十三社だというふうに五社ずつふえてきたという経過がございます。これは新聞にも出ております。そういうふうにたいへんこの不実企業なるものの数字があいまいだということは、まだまだ不実企業というものがあるんじゃないか。特に日本の政府融資した企業で不実になっているものがあるということが考えられるわけであります。  そこで、いま私は六九年の報告書だけで問題にしたんですけれども、七二年の報告書を詳細に見ますと、こういうふうに書いてあります。二二五ページ、「民間信用の無秩序な導入による設備の非効率化と不実企業の発生」という、この節でありますけれども、ここに六件あがっております、会社の名前が。大韓プラスチック、共栄化学、韓国製鉄、仁川製鉄、韓国アルミ、韓国肥料、六つあがっておるんですね。この六つのうち輸銀の融資関係企業というのは三つです。大韓プラスチック、韓国アルミ、韓国肥料です。こういうふうに見ますと、結局、輸銀の経済協力の対象企業で無謀、無秩序な借款で不実企業になったというものが、少なくとも現在判明した分だけで六社あるということになるわけであります。この六社につきましては私のほうで表をつくりまして差し上げたのではないかと思いますが、「無謀・無秩序な設備導入型の典型的不実企業」(その一)、(その二)と二枚になっております。六つあるわけであります。  この点で確認したいと思いますが、いかがでしょうか、いわゆる典型的な不実企業、いわば日本政府、外務省が認めた典型的な不実企業として六つあるというふうに確認してよろしゅうございますか。
  164. 水野清

    説明員(水野清君) 輸銀のほうから答えてもらいます。
  165. 澄田智

    参考人(澄田智君) ただいま御指摘の六社につきまして輸銀の融資関係というお話でございますが、御承知のとおり、この場合は、輸出延べ払い信用として日本輸出入銀行は本邦の輸出業者に対して信用を与える、その信用に基づきまして本邦の輸出業者が韓国に延べ払い輸出という形で輸出を行なっておる、こういう事例でございます。ただいまの六社とおっしゃられたものが私の理解しているものと同じでありますれば、この場合は、そういった形の輸銀の延べ払い金融というものによる輸出が行なわれた相手先の会社でございます。  ただ、不実企業という点につきますと、不実企業という問題は、これは韓国側の指定と申しますか、韓国の定義によって韓国のほうで不実企業として認めている、こういうことになりまして、それにつきましては、韓国が発表いたしました二十六社以外のものについては、どれが不実企業であるかどうかということについて、われわれはそれ以上の知識を持ち合わせておりません。
  166. 塚田大願

    ○塚田大願君 信用延べ払いでも、とにかく融資をされていることは間違いないわけでありまして、そういう点ではやはりこの六つ、これは外務省が指摘した企業から私が選び出したものでございますから、私がかってに選び出したものではなくて、外務省のこの六九年、七二年の報告書の中から私が出した。そのうち六九年度は十件、今度の七二年では六件あるわけでありまして、その中から輸銀関係を選び出した、こういうことでございますから、これは外務省にもし何だったら輸銀のほうから抗議を申し込まれてもしかるべきではないか、こう思うんです。しかしとにかく外務省の報告に出ておる。  そこで第二段の質問ですけれども、そういうことになりますと、この六社のうち忠北セメントというのがございますけれども、この忠北セメントというのは、衆議院の決算委員会へ提出された資料あるいは質疑の中では一つも出なかった会社の名前であります。だとすると、衆議院では不実企業が十三社ということになっております。大体、この会議録を見まして申し上げるんですが、もちろん外務省や輸銀は必ずしもそれを全部認めておられるかどうか別といたしまして、とにかく名前があがった。そうしますと、この忠北セメントはいまだかつてどこにも名前の出なかった会社でございますから、これを加えると十四社ということでございます。  しかもこの不実企業、全体として十四社のうちこの六社というものが非常に典型的なものであるという点が重要だと思うわけです。これは、要するに、外務省も指摘していますように、無謀・無秩序な借款導入によって行なわれたものだということであります。これは日本側から見れば、われわれの立場から見れば非常にずさんな信用供与をしたということにもなるわけでありまして、言うならば非常に典型的な不実企業だということだと思います。  しかも典型的なものとしてあげましたこの六社か、十四社の全体の不実企業の借款額——これは別表第二に私は配付いたしましたけれども——この借款額全体のトータルが一億二千二百万ドルでございますが、この六社だけで約七千万ドルでございますから、全体の五七・三五%を占めておる。六社だけで五七%を占めるという、こういう大企業でございます。それだけに輸銀が信用供与をした韓国の企業が不実になっておるということはやはり重大な問題だと思うわけでありますけれども、この点につきましては政府はどういうふうに責任を感じておられるか、それをお伺いしたいと思います。
  167. 澄田智

    参考人(澄田智君) 輸出入銀行の輸出延べ払いに際しましては、直接の融資の相手方であります本邦の輸出企業の信用を第一といたしまして、その点の信用につきましては十分にこれを確認いたしております。そしてさらに現実の輸出にあたりましては、韓国側の輸入承認及び日本政府側の輸出承認、両方が整いまして、そうして現実に船積みが行なわれる、その船積み書類を確認いたしまして、そうして融資を行なう、こういう手続をいたしておるわけであります。さらに韓国に輸出されましたその延べ払いの債権の確保につきましては、韓国の一流の銀行——政府系銀行その他の銀行の信用保証を徴求いたしまして、延べ払い債権の確保という点について万全を期しておるわけでございます。こういうふうな次第でございまして、したがって輸出延べ払いの融資につきましては、いままで過去においても滞った例はないわけであります。  ただ、御指摘のように、そういう形で輸出をされました機械器具等を設備投資として用いております相手方の企業におきまして、経営の問題が、先ほどからございましたようないろいろな原因によりまして、過去において必ずしも十分でなかった、こういう事態が生じているという点が問題でございますが、輸出入銀行の金融といたしましては、ただいま申し述べましたような形で、十分にその信用を確実であるという保証を得た上で実行してきておるものでございます。  なお、先ほど忠北セメントのお話がございましたが、いま実は資料をさらに確認をいたしておりますが、いま私ども手元に持っております資料によりますと、どうも輸銀の融資関連というふうな中に出てまいりませんので、なお私どものほうも確認をいたしております。
  168. 塚田大願

    ○塚田大願君 いまの忠北セメントですが、これはひとつ調べてください。外務省のこの六九年度の報告の一六七ページにあります。  この問題につきましては、やはり担当所管大臣として、私、通産大臣の御所見も伺いたいと思うんです。
  169. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 韓国に対する経済協力につきましては、ケース・バイ・ケースでいろいろ事務的にまずチェックいたしまして、財務能力、景気の動向、わがほうの負担、返済能力等を見て一々やっているところでございますけれども、御指摘の企業については、数年前に一つは見込み違い、あるいはその後における景気の停滞等々の理由もございまして、不実企業と称されるものが出てきたことはまさことに遺憾でございます。しかし、その後、韓国側も非常に引き締めまして、これらの企業に警告を与え、また景気も回復いたしまして、大体、大部分のものは立ち直って、いま韓国の国民所得の増大に非常に寄与しているのが現況でございます。  しかし、かりそめにもそういうようなことが指摘されたということは不名誉なことでありまして、われわれとしても、将来について大いに戒慎して、そういうようなことが再び起こらないように注意していかなければならない、このように思います。
  170. 塚田大願

    ○塚田大願君 いま輸銀としても通産省としても、一応、こういうものはよかったとはおっしゃらない、さすがに。やっぱり悪かったということは認めておられるわけなんですね。  そこで次にお伺いしたいのは、そういう輸銀の輸出信用供与の際のチェックというのはどんなふうにおやりになるのかその説明をしていただきたいと思うんですね。いまもちょっとございましたけれども、よくわからないんですが、もう一度簡単に説明をしていただきたいと思います。
  171. 澄田智

    参考人(澄田智君) 輸銀の場合の輸出金融でございますが、これは御承知のようにプラント等を輸出する、その場合に輸出を行なうところの国内の業者に対して金融を行なう、こういう形でございます。  そこで、その融資を行なうにあたりましては、まず、その借り入れ人となります国内の輸出業者、この輸出業者の信用力というものについて、これを十分審査いたしまして、さらにその当該案件の輸出契約につきまして、両国政府、すなわちこの場合でいえば日韓両国政府のそれぞれの輸入並びに輸出の許可と申しますか、承認がとれているかどうか、いわゆるライセンスであります、輸出と輸入のライセンスがとれているかどうかという点について、これを十分確認いたしております。さらにこの契約内容が輸銀の融資対象として適格かどうか、こういう点についてももちろん十分審査をいたします。そして延べ払い代金の回収が確実かどうかという点につきましては、先ほどちょっと申しましたように、韓国側の銀行保証というようなもの、それも韓国側の一流銀行に限って、そういう銀行保証を徴求する、こういうことをいたしまして、これらのそれぞれの点につきまして納得がいきました場合に、本邦の輸出業者に対して、船積みが行なわれ船積み書類が整って現物が輸出されたということを確認いたしまして、そこでその分に見合うものについて融資を行なう、こういう形をとっております。
  172. 塚田大願

    ○塚田大願君 この問題では、韓国の国内の民間信用借款の手続ですな、これについて日本側が何らかの関与をするのかどうかという問題が一つあるわけです。  これは外務省の六九年の報告書にも書いてあるのですが、韓国内の借款手続は借款供与者の要請により三つの方式に分けられている旨が書いてございます。つまり一つは「政府支払保証の必要なもの」、二は「金融機関支払保証の必要なもの」、三は「支払保証の不要なもの」、こう三つに分けられておるわけです。このうち政府支払い保証の場合は、予算であるとか国会の同意であるとか大統領の裁可であるとか、たいへん手続がむずかしい。そこで、現在は、ほとんどこの金融機関支払い保証方式によっているというふうに書いてあります。  で、借款供与者である輸銀は、このような韓国の内部の手続のスピード化といいますか簡素化について、要請をしているのかどうか、つまりそういう銀行支払い保証方式でやるように、そういう要請を何らかの形でやっておられるのかどうか、その辺はどうなんですか。
  173. 澄田智

    参考人(澄田智君) いままで輸出延べ払いでこちらが輸出をするという場合にあたりまして、韓国側の企業からすればその延べ払いの信用というのを受けるわけでございますが、その信用につきましては、常に韓国の銀行の保証を取りつける、こういうことをいたしております。日本の輸出業者が相手の輸入業者に対してその点を要請しまして、輸入する韓国企業が韓国の一流銀行の保証を取りつけるということによって輸出を行なっております。いま御指摘の第二の方法というのがすなわち銀行の保証によるものというのでありまして、輸銀の融資の場合には、その形による保証を取りつけた上で輸出延べ払いを行なう、こういう形をいたしております。  この保証は、これは韓国側の内部の手続でございますが、円滑に行なわれておりまして、いままで私どもの輸出延べ払いの場合に、韓国側の銀行保証が取れなくて輸出の話ができなかったというような事例はないように聞いております。この点につきまして、いま御質問は、そういう手続を督促するように何らかの手段を講じたかと、こういう御質問のように伺いましたが、いままでのとろ、この点は順調にまいってきておると承知をいたしております。
  174. 塚田大願

    ○塚田大願君 では次にお聞きしたいのは、こういう不実企業が現実に生まれてきておる。この状態の中で、こういう企業に対する日本側の借款の審査というものは、これはいつ、どのようにして行なわれるのか、わか、わかったら個々の企業についても説明していただきたいと思うのですが、まあその時間的余裕もないかもしれませんが、一応どんなふうにおやりになるのか、また韓国側の支払い保証というものがどういうものなのか、その辺をもう一度お伺いしたいと思います。
  175. 澄田智

    参考人(澄田智君) 韓国側の企業に対する内容の調査という点でございますが、これは先ほどから申しておりますように、日本の輸出業者に対する信用でございますので、その相手方たる企業につきましては、日本の輸出業者を通じまして、相手はどういう企業であるかということについて必要な情報というものは入手をするようにいたしております。直接の関係でございませんために、この点は日本側の輸出業者を通ずるという形をとらざるを得ない次第でございます。  それから銀行の保証はいかなるものか、こういうお尋ねでございますが、この点は通常の銀行の支払いに対するギャランティ、保証でございまして、格別特別なものではございませんし、一般に広く行なわれている形の保証を取りつける、こういうことでございます。
  176. 塚田大願

    ○塚田大願君 日本の民間の商社あるいは企業に対する信用だから、それをまあ信用してよろしい、その調査を信用してよろしいんだとおっしゃるんですが、しかしこういう借款であれば、当然、契約書なり何なりを輸銀としてはチェックをされるんだろうと思うんですが、そのチェックのしかたを私はお聞きしているわけです。どういうふうにしてそのチェックをされているのか。  もしチェックがほんとうに厳密に正確に行なわれておれば、こんなに膨大な不実企業が生まれるということはちょっと考えられないわけですね、常識としまして。それはたまには十のうち一つぐらいあってもいいかもしれない、しかしとにかくこうやって十三も十四もあるというのは、ちょっと常識としても納得できませんし、国民感情からいったって、これだけの膨大な金ですから、なかなか納得できないわけです。そこで輸銀としては、そういう借款の契約書なり何なりをどういうふうにチェックされているのか、事実そういうチェックをされた経験なり事例なりというものがあるのかどうか。みんなもういわばフリーパスでめくら判でいったために、こういうことになったんじゃないかという疑惑があるわけです。ですから、その辺をどういうふうにやっていらっしゃるのか、お伺いしたかったわけです。
  177. 澄田智

    参考人(澄田智君) この場合は、その契約書は輸出延べ払い契約でございます。日本の輸出業者とそれから相手側の韓国企業の間でもって当該の設備あるいは機械を延げ払いで輸出をする、そういう契約でございますので、両当事者の間で、契約の金額でありますとか期間でありますとか、もちろん設備の内容でございますとか、そして延べ払いはその期間どういうふうに支払われるか、それから先ほどの銀行保証のことでありますが、担保はどうなっているか、そういうような事項を記載した契約ということになるわけでございます。で契約のチェックは、輸出入銀行としましては、その審査機能を通じて十分契約は審査をいたすわけでございますが、この契約は輸出入の延べ払いに関する契約でございますので、それが輸出をされ、その設備が据えつけられて稼働した後の経営という点になりますと、遺憾ながら、この契約を通じてそれを十分に把握するということはなかなか困難である、こういう性質を持っていることは御了承いただきたいと存じます。
  178. 塚田大願

    ○塚田大願君 じゃもう少し具体的な問題でお伺いしていきましょう。  まず韓国アルミ工業の問題です。韓国アルミの問題というのはこの間も国会に出ておりますし、その他の新聞雑誌にももう非常に盛んに報道されております。NHKテレビでもこの前放映をいたしました。まあ韓国でも、これはいわば一つの不実企業の伝説だとまでいわれるほど代表的な不実企業でございます。  これについてあまりくどくど申し上げる必要もないだろうと思うのでありますが、先日、衆議院の決算委員会でもこの韓国アルミ事件が取り上げられまして、韓国の国会会議録、これは一九七一年の九月九日の韓国国会でありますが、この国会の中身を援用されて質疑が行なわれておりました。このときに、外務省の経済協力局長は、そういうことはつかんでおりません、知りません、つまり韓国の国会のことについては、こういう答弁をされた。  そこでお聞きするんですが、この時点で韓国国会会議録も読んでいらっしゃらなかったかもしれないんですが、このいまの時点ではどうでしょう。その後、政府はこの韓国アルミ事件に対する韓国国会会議録などを調査されて、この事件関係というものを相当お調べになったのかどうか説明していただきたいと思うんです。
  179. 水野清

    説明員(水野清君) 韓国アルミの問題につきましては、ソウルの在外公館を通じて相手国政府に調査を要求いたしまして一応の報告が入っておりますので、それを申し上げたいと存じます。  韓国アルミは、社長の経営能力が不足をして、過剰設備投資により欠損が累積したために、役員が一斉に交代し、その後七二年七月に企業合理化委員会ができまして再建策を検討しておりますが、最近、フランスのペシネーという会社と合弁計画が進められておりまして、その投資比率もフランスのペシネー社が五〇%、韓国アルミが五〇%、こういうようなことで再建策がかなり進んでいる、こういう報告が韓国の日本大使館から寄せられております。
  180. 塚田大願

    ○塚田大願君 私が申し上げましたのは、その後の韓国アルミがどういうふうになっているかということではございません。要するに、日本の借款千三百四十八万ドルをこの韓国アルミにつぎ込んだ、そうしたら工場建設にはその半分、約七百五十六万ドルは使われた、しかし残りの五百九十二万ドルはいわば行くえ不明になったということで有名なんです。つまり半分しか使われなかった、半分はピンはねで行くえ不明になってしまった、蒸発してしまった。そういうことで韓国アルミが伝説的な企業になっているわけですけれども、この問題で韓国の国会ではけんけんがくがくの論議が行なわれた。これについてこの間の衆議院では質問されたわけであります。  つまり千三百四十八万ドルという膨大な借款の約半分に近いものが消えてしまった、一体どこへ消えたんだという問題です。この問題は韓国の国会でも大問題になりまして、七〇年の七月には韓国国会予算決算特別委員会というので問題になって、だんだん明るみに出てきたわけであります。この半分近い行くえ不明のピンはねというものがどうやって帳じりを合わせてきたのかということがこの特別委員会で問題になった。で、そこでわかったことは、いわゆる工場建設用の鉄筋を、時価トン当たり九十二ドル、当時のですよ、トン当たり九十二ドルのものを三百四十ドルに評価した、つまりこういうごまかしをやった。九十二ドルを三百四十ドルでありますから三・七倍であります、約四倍に近い。こういうインチキ評価をやって六百万ドルに近い金が行くえ不明になった。これは一部には朴大統領をはじめとする韓国の政治家の選挙資金あるいは一部は日本の政治家にも流れた、こういうふうに韓国の国会では言っておるんです。そういうしろものです。  したがって私がお聞きしたのは、そういう点をほんとうに調べられて、外務省なり通産省なりあるいは輸銀なりが、トン当たり九十二ドルの鉄筋を三百四十ドルに評価をして帳簿をごまかしているという、これは明らかに不正でありますけれども、こういう不正が堂々とまかり通っていたというところに問題があるわけでありまして、これについて関係機関がどのように調査をされたかということを私はお聞きしたわけでございますが、その点についての答弁がございませんから、もう一回ひとつ関係大臣並びに輸銀からもお聞きしたいと思います。
  181. 水野清

    説明員(水野清君) 外務省に関係したことから申し上げますが、まず最初に、韓国アルミにつきましては、これは政府借款でございませんので輸銀のほうから答えていただきますが、ただいま先生から御指摘があったように、韓国の国会で非常に問題になったというようなお話で、外務省としてソウルの大使館に調査を依頼いたしましたが、その返事としましては、韓国の国会事務局に照会をいたしましたところ、国会財政委員会行政室長の答えでございますが、七一年の九月ごろ国会で——これは韓国の国会です——不実企業の討議はあったが、特別調査委員会の設置については全く記憶をしていない、調査報告書についてもその存否を承知していないということでございます。以上でございます。
  182. 澄田智

    参考人(澄田智君) 輸出入銀行関係の点について申し上げます。  韓国アルミにつきましては、先ほどから御指摘のあります輸出契約はどういうふうにチェックをするか、こういうことに関連して申し上げますれば、輸出契約は、輸出の買い主は韓国アルミで、売り主は東洋綿花、そしてエンジニアリングのコンサルタントは昭和電工、こういうことになっております。  その内容は、生産一万五千トンのアルミニウム製錬設備一式を輸出する、こういうことでございます。金額は、先ほど御指摘になりましたように千三百四十八万六千九百ドル、こういうようなことでありまして、その内容は、機器代のCIF価格が千二百十四万一千ドル、それから技術援助料が百三十四万五千六百ドル、こういうような内容になっております。これに対して支払いの保証といたしましては韓国銀行のギャランティレターをとっている、こういう内容でございます。こういう契約に基づきまして、輸出許可が四十三年一月に出まして、船積み開始が四十三年六月でございます。先ほど申しましたような手続で、この契約に基づきまして船積みのつど船積み書類を審査いたしまして、そうして東洋綿花に対して輸出の延べ払いの金融を輸銀は行なっておる次第でございます。四十三年の六月から四十四年にかけまして五十二回わたって船積みが行なわれております。内容は先ほど申しましたようなアルミニウムの製錬の設備一式でございますが、そういうふうなことで船積みが行なわれ、それについて四十四年の九月にプラントの組み立てが完了いたしまして、そうして年産一万五千トン、当初の目標どおり一万五千トンの生産ができる設備が完了したという点について、エンジニアリング・コンサルタントである昭和電工がこれを確認いたしまして確認書を作成いたして、これは両当事者のサインを得ております。こういうことで目的どおり設備が輸出をされまして、そして組み立てが完了して性能テストも経ておる、こういう次第でございまして、この間に、先ほどお話しのような、鋼材の価格がべらぼうに高いものであったというようなことを証明するような、あるいはそういう疑いを持たせるような何らの材料もないわけでございます。
  183. 塚田大願

    ○塚田大願君 まず第一に、外務省のいまの御答弁でありますが、そんなことはなかった、特別委員会なんかというものは知らないと、こうおっしゃるのですけれども、これはもし大使館がそんなことを言っていたのだとすれば、私は重大な職務怠慢だと思うのですね。これは金大中氏——御承知の有名な金大中氏、この方は国会議員です。この方が七〇年の九月十八日付で本を出しておられます。この本の名前は「私の歩む七〇年代」という本です。しかし日本語にはまだ翻訳されておりません。おりませんが、この本の中でこの調査委員会のことを言っておられるわけです。そして自分が発言したことを言っておられるんです。ですから、これを何か架空の話だというふうに考えていたり、そんな報告をしていたとすれば、私はこれはもう重大な職務怠慢だといわれてもしかたがないと思うのですね、在外公館として。こんなことを知らない、われわれが知っている、われわれが読んでいる本にちゃんと書いてあるのに、そんなことは知らないなどということはもってのほかだと思うのです。これが一つ。  それから、いまの輸銀のお話であります。経過の報告がございまして、すでにに工場の組み立てが完了されていると言っておられますけれども、実は、そうではないのです。アルミの工場の建設は、大体、最初の予定からいいますと大きく分けて二つあるんです。第一はボーキサイトからアルミナをつくる工程、これが前半工程、第二が電解から製品にするという後半の工程であります。ところがアルミ工場として建設できたというのは、実は、第二の電解から製品にするほうの後半の工程分の工場だけができたのでありまして、前半の工場は建設されていないわけであります。ですから、もしあなたのほうに工場が全部完了したと、建設資材も全量輸出されたという報告があったならば、これは明らかにインチキです。半分ぐらいどこかに行っちゃっているのです、つまり工場は半分しか建っていないのですから。こういう事実がある。このことをやはりチェックされる必要があると思うのです。だからこそ韓国ではこれが有名な不実企業の代表として喧伝されているゆえんがあるのです、あまりにもひど過ぎるから。日本の常識ではちょっと考えられないかもしれない。しかし現実に韓国にはこういう実態がある、こういうことであります。  そこで、もう一つ政府にお伺いします、こういう事実を御存じなのかどうか。いま申しました一九七〇年に、韓国アルミの特別調査委員会が与野党の議員を含めて設置をされた。この委員会の調査の段階で、この件に関する証人として技術提供者であった昭和電工本社の当時の技術担当課長がこの国会に招請をされたんです。このことを御存じだったら、どなたでもけっこうですから、御答弁願いたい。通産大臣どうですか。
  184. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私はまだそういうことを聞いておりません。
  185. 塚田大願

    ○塚田大願君 それでしたらもう少しお話しいたしましょう。  この技術担当を請け負った昭和電工の技術担当課長は招請をされまして、国会に出席するために韓国に参りました。そうしたら、いよいよ国会委員会に出席する前日に、この課長は行くえ不明になって出席できなかった。これについては一説にはKCIAがこれに介在をした、こういうふうにいわれている。これにはちゃんとした証人がおられます。しかし相手が、事がKCIAですから、うかつに証人の名前も——韓国の有力者でありますが、出せませんけれども、とにかくこういう事実があったことは事実なんです。したがって、いま政府はこういうことを知らないとおっしゃるんだけれども、それだったら調べればすぐわかることです、昭和電工をお調べになればすぐわかるはずです。何も韓国まで行かなくたっていいことであります。ただ問題は、こういうことがあったということ、それはいかに黒い手がこの韓国アルミの借款の裏に動いていたかということを裏づけるものだと思うんです。とにかくこういう事態でございます。  もう一つ紹介しておきましょう。これはこういう非常に黒い霧、黒い手がうわさされておるこの韓国アルミの問題でありますが、NHKがこの間韓国の状況を放映いたしましたときに、この韓国アルミ事件を取り上げられました。これはソウルで取材したわけでありますけれども、そこに出てくる韓国の人の名前は公表しませんでしたし、またある韓国経済人と紹介しただけで顔は写さない、こういう気の配り方であります。まさに軍事独裁のファッショ的な朴政権におびえる国民の姿というものが非常によくわかるわけでありますが、しかし、にもかかわらず、あえてこうして真実を語ろうとする韓国の方々がおられるということは、やはりこれは国民の非常に強い怒りを証明していると思うんです。  そこで外務省にここでもう一つお伺いしたいんですけれども、この外務省の七二年度の報告の中に、最初の二ページでありますけれども、外務省もこれを認めておられますね。「商業借款供与枠を受けるためにはすべて有力者の口添えが必要である」、このことであります、これは外務省が書いている。つまり口添えが必要だ。  ですから、そういう意味では、この黒い霧の政治的な基礎と申しますか、そういったものがあるということは、これはもう疑う余地がないと私は考えます。そういう意味で、この韓国アルミの問題はやはりたいへん政治的な問題としてもっと事実を私は政府は明らかにする義務があるだろうと思うんです。いろいろ黒い霧がうわさをされておる。もし政府が潔白であったならば、こういういわば典型的な代表的な不実企業に対する実態を明らかにしていただく、このことを要望したいと思うんですが、その辺、これは通産大臣にもお聞きしたいし、外務省にもお聞きしたいんですが、大蔵大臣がきょうは何か時間で間もなく退席しなければならないというお話でございますから、大蔵大臣の所見もひとつお伺いしたいと思うわけであります。
  186. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 輸銀の融資につきましては、先ほど来、輸銀の総裁から御説明がありますとおりでありまして、政府といたしましては、対外経済協力の中で輸銀に活動をお願いする部面については、いわゆる輸出延べ払いの信用供与ということがその大きな部分になっております。したがって輸出の延べ払い金融としては、そうしたプロジェクトが適当であるかどうかということについては、いろいろケースによって違いますけれども政府としては、ものによりましては輸出の許可その他で直接関連することもございますけれども、大部分は輸銀の自主的な判断と活動におまかせをしている。そしてその輸銀としては、先ほど来総裁お話ししておるとおりの考え方で実行をいたしておるわけでありますが、韓国の場合におきましても、問題提起されておりまする企業に対する金融というものは、したがっていわば間接金融——輸銀の相手方は日本の商社あるいは企業でございます。その企業が契約どおり韓国側の関係の向きと事業を進める、あるいはプロジェクトによるプラント輸出その他が適切に行なわれているかどうかということについては、輸銀がその契約に基づいて十分注意を払っておられるわけであって、したがって私の承知しておりますことは、個々の案件について政府が一々関与しておりませんけれども、その終局においては、その契約が円満に履行されて、そして回収が確実に確保されているというところがその完結の終点になるわけでございます。幸いに、現状におきましては、回収等において契約にそごした状況が起こったり、あるいは延滞をしているというようなことはないように聞いております。これはすなわち韓国側とすれば、輸入の代金というものが契約どおり日本側の契約の当事者に支払われておって、輸銀の相手方であるところの日本側の企業から契約どおり輸銀に対する返済が期限どおりに元利払いの支払いが行なわれている、輸銀としては回収の点からして十分職責を果たされておる、私はかように承知をいたしております。それ以上、輸銀が韓国内における企業のマネージメントに入ってとやかくと監督、指導するということは、私は、輸銀の立場から、あるいはこの輸出代金延べ払い金融という、これを担当しておられる輸銀としては、それ以上に韓国内における企業のあり方やマネージメントに対してとやかく細部にわたってどうこうということは、これはむしろ行き過ぎではないか。これはまた別途の角度からいろいろ御懸念の点もあるようでございますけれども、そういう点については別途政府としても戒心しなければならないところがあろうかと思いますが、そういう点は関係の各省庁の協力によりまして十分遺憾のないようにやってまいるべきものである、かように考えておる次第であります。
  187. 塚田大願

    ○塚田大願君 大蔵大臣、あなたは輸銀に対する責任上からいろいろ輸銀の立場を説明されたんだと思うのですが、私がお聞きしたのは、政府としてこういうことでいいのかと、その政治的な責任というものはどのように感じておられるかということを実はお聞きしたわけであります。  輸銀が金を貸した、それは金が返ってくるからけっこうじゃないか、商業ベースでうまくいっている、もうかってもいる、けっこうじゃないかと、こういう低次元の問題ではないんです。なるほど輸銀としてはそういう状態かもしれない。しかし日本の借款が韓国へ行って不正に使われて、その企業が倒れる。しかし政府は責任があるから、韓国政府は税金でも何でも取り上げて、そして日本に返してくる。こういうことになりますと、これは商業ベースの問題ではありません、いわば社会的な政治的な問題であります。  ところが、政府は、いままで韓国に対する経済援助は韓国の経済発展のためだとか民生向上のためだとかたいへんりっぱなことを言っておられたんだけれども、結果からいうと韓国人を苦しめ、そして今日韓国でもああいう学生問題などが起きる、物情騒然たる事態になるということになるわけでありまして、こういう事態を生むようなそういう経済援助、政府のやっておる経済援助ははたして正しいのかどうかという点について、私は反省をしてもしかるべきではないか、どのようにお考えなのかということをお聞きしたわけでありますけれども、その点、もう一度大蔵大臣のお考えを正確に聞かしていただきたい。
  188. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 輸銀につきましては、ただいま申しましたとおりですが、もとより日本輸出入銀行は政府の監督下にございます。これは大蔵省がその職責に当たっておるわけでございますから、輸銀の活動自身についても、いま申しましたように個々の案件についてこまかい審査というようなことは輸銀におまかせをしておるわけでありますけれども、その限りにおきましても政府の監督責任というものは十分に自覚しておるつもりでございます。しかし輸銀の活動に関する限りは、ただいまのところ、先ほど申し上げましたように、どこかに非違があったということは私は少なくとも見出すことはできないと思います。  それから先ほども言及いたしましたが、いろいろ御指摘のあるような点については、むしろ別の角度から政府の責任を追及されたり、あるいは政府側として反省すべきところがあるかどうかということは、別に経済協力全体のあり方の問題であろう、こういうふうに私は感ずるわけでございますから、そういう点について政府の責任を追及される、あるいは反省を求められるお立場からいろいろの御批判や御追及をいただくことは十分ちょうだいをして、政府として改むべきところがあれば改めるにやぶさかではございません。これは当然のことであると思います。
  189. 水野清

    説明員(水野清君) ただいま大蔵大臣からお話をいただいたことで十分でございますが、大蔵大臣お話もございましたように、日本側としては、これまで輸銀の保証というものについては日本側の企業で押えるしがなかったということでございますが、先ほど来御引用なさいましたこの外務省の調査報告というのは、先生の御指摘のような問題をあえて政府の調査団その他がまとめたものでございます。それをあえて高度な政治的社会的な判断からもう一度見直す必要もあろうかということで、こういう調査報告が私はまとまっているものだと思います。そういう意味で、私どもも決していままでの対外経済協力の全部がよかった——中には相当試行錯誤的なものもあったということは認めているわけでありまして、今後ともこういう問題には十分注意をしていきたい。  ただ、私は、御指摘のように韓国アルミの問題かどうか知りませんが、これにからんで相手国政府側にどういうことがあったかということまではつまびらかでございませんが、日本の政府に何か黒い霧のようなものがあったというような御指摘があったようにも受け取れますが、その点につきましては、これは何ともここでお答えもできませんし、私はそういうことはなかったと。日本側の態度としては、あくまでも商業ベースとしてきちっと話を詰めていかれた。ただ受け取る側においては、いろいろ問題があったかもしれない。この点は、だだ不正ということではなくて、相手国政府の、これは韓国だけでございませんので、いろいろな政治状況、そういったもので日本では理解しがたいような風土もある、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。   〔委員長退席、理事小谷守君着席〕
  190. 和田敏信

    説明員(和田敏信君) 御質問に関連しまして、ちょっと事実関係を御説明申し上げさしていただきます。  この韓国アルミに関しましては、当初ボーキサイトからアルミをつくるという計画もあるにはありましたが、いよいよ契約の実施の段階に至りましては、電解から製品をつくるということで最終的な契約はでき上がっております。原料のアルミナは昭和電工が運転開始から昭和四十七年七月ごろまでこれを供給しておりましたが、それ以後はフランス企業——外務省から報告のありましたのとちょっと発音が違いますが、われわれの調査ではテシネー社ということになっておりますが、テシネー社から購入をしてまいった、こういう実情にございます。
  191. 塚田大願

    ○塚田大願君 いろいろもっとその辺の詳しいことをお聞きしたいと思うんですけれども、もう時間も迫まりましたので、最後に一、二お聞きして終わりたいと思います。  次にお聞きしたいのは、ソウルの地下鉄の問題であります。きょうは経済企画庁長官も見えておりますし、基金からもおいでを願っておるので、やはりこの問題をお聞きしたいんですが、このソウルの地下鉄の問題は、この間、衆議院の決算委員会でもだいぶ大きな問題になりました。これはさっき韓国アルミで例をとりましたけれども、韓国アルミの場合には鉄筋の評価をごまかした、まあ非常に不正に評価をしたということであります。しかしソウルの地下鉄の場合には、この間問題になりましたのは車両の価格がやっぱり非常におかしいと、日本の車両の倍じゃないかという問題で問題になりました。   〔理事小谷守君退席、委員長着席〕  そこでお尋ねしたいわけでありますけれども、こういう場合、この契約の審査の方法ですね、あるいはその審査の基準というものはどうなっているのかということですが、これをちょっとまずお伺いしたいと思います。
  192. 大来佐武郎

    参考人(大来佐武郎君) ただいまの御質問でございますが、せんだって衆議院の決算委員会で松浦委員からの御質問もございまして、基金のほうからも資料を提出いたしまして、日本の地下鉄の車両の値段を、いろいろなケースがございますので、比較をいたしたわけでございます。確かに三千数百万のものもございますし、四千数百万のものもございますし、東京都の八号線のごく最近のものにつきましては五千七百万、それに対して韓国のソウルの地下鉄が六千三百万ということでございまして、一応基金のほうといたしましても、そういう全体的な価格について、先ほど輸銀総裁から話がございましたような、大体似たような方法でチェックをいたしておるわけでございます。もちろん政府借款で相手国政府の中身にあまりに立ち入るということに多少問題があるわけでございますけれども、一応総括的なチェックを従来からやっておるわけでございます。
  193. 塚田大願

    ○塚田大願君 どうもその説明だけでは、どうしてソウルでは六千三百万円、日本ではいろいろあっても都営地下鉄は三千五百万と、たいへんとにかく差が開き過ぎる、そこでだれしも何かあるんではないかという気持ちになるわけですけれども一実際に、技術的にこの地下鉄の全部品について正確にチェックして、このソウルの地下鉄には何と何が必要なんだと、そのそれぞれの部品の価格は正当かどうかというふうにやはり審査をされなければ、ああいう問題が起きるのは当然だと思うわけですけれども、そういう審査の体制といいますか、そういうものは基金にはあるんでしょうか。
  194. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 韓国の地下鉄の問題が先般の衆議院の決算委員会で問題になりまして、非常にこれは唐突に出まして、その提示される資料についても、私どもは東京都の広報室の資料というものを見ておりませんものでありましたので、さっそくその委員会の終わりますまでに、こういう問題は疑惑を生ずるおそれがあってはいけないということで資料をいただきまして、私どものほうの資料もそろえまして、松浦委員との間にいろいろお話をいたしたわけでございます。  その結果は、その御提示になりましたのは、発注の時期が問題でございまして、非常に前の発注でございましたりいたしますと、倍近いというような値段があるいは出ます場合もあるわけですが、ただいま基金の総裁が申し上げましたように、八号線の場合でございますと、これは一九七〇年から七七年までの間でございますが、五千七百七十万、それからソウルの場合は、これは御指摘のように六千三百九十万ということで、これはソウルの場合は一九七一年から七四年まででございます。まあその辺、御提示になりましたほどの非常な開きはない。  しかも直流、交流が併用されておるとか、あるいは新規の地下鉄でございましたり、あるいはその補修関係が整備されておらないというために新たに部品を多く用意しなきゃならぬ、それもしかも規格にないものであるというような点、あるいは車体が先方は広軌でございますので、車体が非常に大きいということ、あるいは非常に寒冷地向けのものでございまして、たとえばヒーターの設備がよけいに要るとか、あるいは客の込んでいない部分のとびらを開かないようにするというようなこと、また輸出でございますので、運賃、荷役等の費用、そういうものをいろいろ入れてみましたり、しかも最近の物価上昇の問題を取り入れてみますと、非常に大きな開きはないんじゃないかということになりまして、一応の御了解をいただいたわけでございます。しかしながら、ただいまの御指摘のように、こういう問題について疑惑を生ずること自体ははなはだ好ましからぬことでございまするので、そういうことが生じないように、基金のほうにおいても問題をさらに整理いたしておきたいということでございます。そういう審査の機能云々の問題については、総裁からお答えいたします。
  195. 大来佐武郎

    参考人(大来佐武郎君) 機能につきましては、基金のほうに審査第一部、第二部等の機構がございまして、できる限りやっておるつもりでございます。ただ、経済協力関係の規模もだんだん拡大してまいりまして、現在、基金の定員百三十六名ということでやっておりますので、今後、もう少しその活動の規模に応じた人員ということも政府の側で御考慮いただきたいということをいろいろ政府側にも申し上げておるわけでございまして、現在の人員で可能な限りのことはやっておるつもりでございます。
  196. 塚田大願

    ○塚田大願君 時間が参りましたので、萩原先生にも御了解を得て、最後の一問だけひとつやらしていただきたいんです。  自治省来ておられますか。
  197. 土屋佳照

    説明員(土屋佳照君) はい。
  198. 塚田大願

    ○塚田大願君 最後に、これは締めくくりとしてお聞きしたいんですが、自治省で発表されました政治献金ですけれども、つまり昭和三十八年から四十七年、ちょうど十年間ですね、この政治献金の中で、国民協会への政治献金をちょっと私のほうで調べてみました。この対韓援助で対韓輸出をしておられる大手の企業三十社をあげて調べてみたんですが、この統計をずうっと見ますと、一つ疑問が起きるわけです。  それは対韓援助の始まりました日韓協定が締結されました六五年、それから第二次五ヶ年計画の切りかえが行なわれました六七年、それから第三次五ヶ年計画の切りかえられた七二年、この前後ですね、こういうときに、非常にこういう大手の企業からの政治献金がぐっと上がっているようにこの統計が示しているわけでありますけれども、こういう数字は自治省では持っておられますかどうですか、お調べになったかどうか、ちょっとお聞きしたいんです。
  199. 土屋佳照

    説明員(土屋佳照君) 政治資金につきましては、私ども、一応、それぞれの政治団体から収支について報告があったものを正確に公表するという立場でございまして、それぞれの企業のサイドから、そういった企業がどこへどれだけやったという形での報告でもございませんし、またそういった取りまとめでもございませんので、もちろんにわかにはお答えできかねるわけでございますけれども、ただ慣行で公表はしておるわけでございますから、そういった会社の名前がわかって、それがどういう形になっておるかということは、これは調べれば可能なわけでございますが、ただいまおっしゃいました点につきましては、にわかにはお答えできかねるわけであります。
  200. 塚田大願

    ○塚田大願君 私のほうから自治省に頼んだけれども、きっと間に合わなかったと思うんですが、統計できましたか、この三十の会社の献金について。
  201. 土屋佳照

    説明員(土屋佳照君) 先ほどの御連絡で、こういった会社であるということはお聞きしております。
  202. 塚田大願

    ○塚田大願君 統計は、数字は出なかったのですか。
  203. 土屋佳照

    説明員(土屋佳照君) 非常に大きな数でございますし、また過去長期にわたっての数字になりますと、十年くらいのものを全部拾っていくということになりますとたいへん時間がかかるものでございますから、ちょっと間い合いかねるわけでございます。
  204. 塚田大願

    ○塚田大願君 じゃ最後に、これだけ申し上げて終わりたいと思います。  要するに、これは私が調べた数字ですからほんとうに正確だとは申し上げられないかもしれないんだが、大体の間違いないところを申し上げますと、六五年ですね、つまり日韓協定が結ばれた年の大手三十社の輸出業者の献金は一億三百万円です。六六年が二億二千万円、それからずうっと横ばいが続きまして、第二次五カ年計画の切りかえのころになりますと、これが飛躍的に約三億円になるんです。そして昨年の四十七年ですね、一九七二年では四億七千万円、もう非常に最近急速に献金がふえている。実にこのタイミングが合っておるわけなんで、私はこの辺もいずれゆっくりこの問題は追及する価値があると思うんですけれども、そういう意味ではいままでいろいろ質疑をしてまいりましたけれども、この韓国に対する経済援助、この問題は私は早急にやはり検討すべき問題ではないかというふうに考えます。  そういう意味で私の結論を申しますと、要するに、いろいろ論ぜられてきたんですけれども、やはりいままでの日本の対韓経済援助というのはいわば侵略的な経済援助でありまして、とにかくやらずぶったくりといいますか、韓国の実態がどうであろうと資本の進出をやるという、いわば非常に帝国主義的な侵略的なやり方でこの対韓経済援助なるものが行なわれてきた。これは決して韓国の経済の発展のためでもないし、民生の福祉向上のためでもない。そういう意味では、いままでのようないわゆる日韓経済援助というものはやめるべきだ、もちろんその根底にある朴政権との軍事同盟、日韓条約というものは廃棄さるべきものだと思いますが、それにかわってほんとうにアジアの発展途上国に対する援助というものをあらためて検討してみる必要があるだろうと思うんです。それはあくまでも自主、民主、平和という原則の上に立った経済援助、経済協力であってしかるべきだというふうに考えるんですが、この点について最後に政府の見解をお聞きして、終わりたいと思います。——だれもいなくなっちゃった——じゃいいでしょう、そういう私の考えを申し上げまして、質問を終わります。
  205. 澄田智

    参考人(澄田智君) 先ほど忠北セメントに輸銀の融資があるかという点につきまして、私の手元資料では忠北セメントは見当たりませんものですから、ないのではないかということを申し上げましたが、実は、昭和四十年と四十一年に延べ払いにつきまして輸銀から忠北セメント関連融資をいたしております。私の手元資料が四十二年度以降だけでございましたので、それ以前のものがございませんもので取り寄せて調べましたところ、ございますので、訂正いたします。
  206. 塚田大願

    ○塚田大願君 わかりました。
  207. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 最近、姫路城跡の特別史跡指定と商工会議所立ちのきをめぐって文化庁不信の声が非常に強く、地元の国会議員として、また文教委員会の末席を汚す者として黙視することができず、私は私なりに今日までいろいろ調査を進めてまいりましたが、文化庁の取り扱いには納得しがたい重要な点がございますので、お尋ねをしてまいりたいと存じます。  最初に、奥野文部大臣にお伺いをいたしますが、大臣の文化財保護と当該地域の中におきます住民の生活権との調整をどのようにお考えになりますか、承りたいと存じます。
  208. 奥野誠亮

    国務大臣(奥野誠亮君) 史跡は、貝づか、古墳、城跡その他の遺跡で、わが国にとりまして歴史上または学術上価値の高いもののうち、重要なものを文化財保護法の規定によりまして地域を定めて指定するものでございます。現在、九百五十一件が指定されておりまして、このうみ五十四件が特別史跡に指定されております。  指定された地域内におきましては、その現状を変更する場合、または保存に影響を及ぼす行為をしようとする場合には、許可を受けなければならないこととされております。このように史跡に指定された地域内におきましては、その歴史的または学術的価値の重要性から、現状変更行為等が制限されているのでありますけれども、この現状変更等の処理にあたりましては、当該史跡地内の住民等の生活状況等を十分考慮し、また当該現状変更が行なわれる地域の指定物件に占める重要性をも検討の上、その現状変更の可否をきめてまいっているわけであります。したがってその史跡を保護する観点から、たとえば建物の新築、改築がどうしても好ましくないと認められます場合には、当該土地を買い上げるなど、所有権等との調整もはかりつつ、無理のない時期、方法で他の場所への移転を指導して、史跡の保存を進めるということにいたしておるわけでございます。
  209. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 私も文化財保護につきましては人後に落ちぬ熱意を持っておるわけでございますけれども、個人や団体の生活権を全く無視しては、文化財保護の本来の趣旨をそこなうものと考えます。それは先ほどの文部大臣のお答えの中にも明確に示されておったと思います。  姫路市は、御案内のように、人口四十五万の商工業都市であり、商工会議所の現在地は姫路市の最中心部をなすところであって、姫路市の発展上、市の内外を通じてその高度利用が強く要請をされております。現会議所は、すでに二十数年の長きにわたって業務を遂行してきたところであり、いま新しく史跡を実質的に変更するものではございません。さらに歴史的に見ましても、この場所は古く武家時代から会所のあったところで、現在の会議所と同様の役割りを果たしてきた由緒ある場所なのでございます。それが不幸にいたしまして、昭和四十五年四月八日、火災のために木造一階の一部を残して全焼をいたしましたために、業務機能は半減し、数千の中小企業会員はもちろん、地域社会に物心両面の甚大な損害と迷惑をかけておりますことはたびたび文化庁に訴え続けたところで、長官はこの点十分御承知かと考える次第でございます。にもかかわりませず、昨年の衆院文教委員会で、史跡は空地にしておくのが保存である、このようなおことばは全く市民の意思を無視した暴言と言わざるを得ないと思います。あらためて長官の史跡に対する御認識を承りたいと存じます。
  210. 安達健二

    説明員(安達健二君) 史跡は「貝づか、古墳、都城跡、城跡、旧宅その他の遺跡でわが国にとって歴史上又は学術上価値の高いもの、」ということで、文化財保護法によりまして指定をいたしまして、その保存をはかる、そういうことになっておるわけでございますが、特別史跡は、その中でも特に重要なものであるという観点によりまして指定をいたしておるわけでございまして、先ほど大臣からお話がございましたように、現在、史跡に指定してございますのが九百五十一件ございますが、その約五%に当たる五十四件が特別史跡に指定をされておるわけでございます。  したがいまして特別史跡は、史跡に比較しましてより一そう、これを現状のままと申しますか、なるべく旧記に服しながらこれを保存するということをたてまえにいたしておるわけでございまして、わが国が現在経済的な面で非常な繁栄をしておりますけれども、同時に、精神的なもの、過去の文化財、遺産を大切にしようという機運が高まっておるわけでございまして、私どもといたしましては、力を入れまして、この史跡の保存、特に特別史跡の保存には配慮をいたしたい、かように考えておるところでございます。
  211. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 それが非常に文化庁長官は現地を御存じない御発言になる。こういうことは後ほど私も申し上げてまいりたいと思います。  で、いま問題になっております現在地を史跡に指定されたのはいつでございますか。
  212. 安達健二

    説明員(安達健二君) 昭和三十一年に特別史跡に指定をいたしたわけでございます。
  213. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 その前に、史跡に——私かいまお尋ねしたのは、現在地を史跡に指定されたのはいつでございますかとお尋ねしているわけなんです。
  214. 安達健二

    説明員(安達健二君) 最初に史跡に指定いたしましたのは、史跡名勝天然記念物保存法によりまして、昭和三年に指定をいたしたわけでございます。
  215. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 それは長官かみ合いませんよ、お答えが。私がお尋ねしておりますのは、現在地を史跡に指定されたのはいつですかとお尋ねしているのです。
  216. 安達健二

    説明員(安達健二君) ちょっとごたごたいたしましたが、姫路城というのは、あの地域につきまして変動がございます。  私が昭和三年と申し上げましたのは、つまり史跡の狭い地域についての指定のことを申し上げたわけでございます。それから三十一年に特別史跡に指定する際に、史跡地の拡大をいたして、同時に特別史跡に指定した、こういうことでございます。
  217. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 長官、それはどうもおかしいんですよ、そのお答えは。私がいま問題になっております特別史跡というのは、史跡に指定をされた後に特別史跡という指定があるわけでございましょう。それに対しまして、いま現在地は史跡に指定されたのはいつですかとお尋ねしているんです。
  218. 安達健二

    説明員(安達健二君) この場合は、史跡に指定すると同時に、特別史跡に指定をしているわけでございますから、したがって同一の日で昭和三十一年になるわけでございます。
  219. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 史跡に指定されたのと同日でございますか。
  220. 安達健二

    説明員(安達健二君) はい。
  221. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 そうしますと、昭和二十七年三月二十九日というのはどういうことなんですか。
  222. 安達健二

    説明員(安達健二君) まず、あの史跡の追加指定でございますが、これは昭和三十一年の十一月二十六日付の告示がございまして、その告示をもちましてこの地域の追加指定をしておるわけでございますが、その昭和二十七年三月二十九日付をもってという、いわゆる日付のさかのぼりがあるというわけでございますが、追加指定をした告示は昭和三十一年十一月二十六日である、こういうことでございます。
  223. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 そうしますと、同時に史跡に指定してそのまんま特別史跡に指定をされた、こういうことなんでございますか。
  224. 安達健二

    説明員(安達健二君) そのとおりでございます。
  225. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 私の調査したところでは、昭和二十七年三月二十九日というのは補償に関する規則で、これは告示ではございませんね。その三十一年十一月二十六日に告示したもの、特別史跡に指定した同日に、昭和二十七年三月二十九日付をもって史跡を追加するというのは、一体、これはどういうことなんですか。
  226. 安達健二

    説明員(安達健二君) これは二十七年の三月二十九日にこの史跡の追加指定の委員会があったということをいっているわけでございますけれども、史跡の指定の効力というのはやはり告示をもって効力を発生するわけでございますから、その委員会の決定があったということを明らかにする意味で、そのような趣旨の告示の字句になっておるものと考えるわけでございます。
  227. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 どうもそのあたりが非常にあいまいもことしておりましてね、もやもやするんです。  一体、その四年前にさかのぼって、昭和二十七年三月二十九日付をもって史跡を追加するという、そういうことがなぜ必要なんですか。昭和三十一年になるんだったら、その昭和三十一年でよろしいじゃありませんか。それをわざわざ昭和二十七年三月二十九日付をもって——この付とは一体何んでしょうか。それに史跡を追加する、この四年前にさかのぼって史跡を追加するというようなことが、これは法的に認められることなんですか、いかがでしょう。
  228. 安達健二

    説明員(安達健二君) 実際問題といたしますと、史跡の追加指定あるいは史跡の指定をする場合におきまして、委員会で決定しました後、いろんな関係方面の調整などに非常に時日を要し、あるいは地目地番等の調査に日時を要しますものですから、したがいましてその告示が相当おくれて下されるということが従来の例でございまして、したがいましてそういう委員会の決定の日付を明らかにするという意味で、この三月二十九日付をもってと書いてございますけれども、先ほど来申し上げておりますように、告示と効力と申しますか、指定の効力がやはり告示の日をもって効力が発生するものと考えておるわけでございます。
  229. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 それでは、もう一回確かめますが、昭和二十七年三月末から三十一年十一月二十五日までは、現在地は史跡ではございませんね。
  230. 安達健二

    説明員(安達健二君) 追加指定をされないところの、従来からの史跡分は別でございますけれども、このときに追加されました分については、さように考えます。
  231. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 こういうあなたの論でいきますと、十年でも二十年でも指定がさかのぼるということになりますね。こんな無理のことをなぜなさるんでしょうか。
  232. 安達健二

    説明員(安達健二君) いや、私は指定の効力がさかのぼるということを申し上げておるわけではございません。ただ、委員会の決定のあった日を明らかにするということで従来こういう告示が行なわれておったというように考えられるわけでございまして、したがいまして指定自体の効力はあくまでも指定の日以後であることでございますから、さかのぼるという意味ではないわけでございます。
  233. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 たいへん苦しい御答弁のようでございますけれども、そういう昭和二十七年の三月二十九日付をもって史跡を追加する、私はそういうことは要らないんじゃないかと思うんです。  昭和三十一年十一月二十六日ということでおやりになったらよろしいんじゃないですか。そのときに史跡になさって、それから何日かを経てこれを特別史跡にされるということでよろしいんじゃないですか。四年もさかのぼるなんていうことは大体おかしい話ですよ。長官おかしいとお思いになりませんか、私はたいへんおかしいと思う。で四年間もかかってもたもたと調整しなきゃならないということはありませんよ。なぜかといいますと、おたくが指定されているのは六十八番地ということだけでございますよ。そういう六十八番地ということだけをなさるのに、そんなにもたもた長く日がかかるはずがございませんし、私はおかしいと思います。  昭和三年には約六万七千坪、同十六年には約三千坪と、いずれも内堀の中が文化財の指定を受けております。その際は文部省から調査に来られて、建物等対象物は詳細に指定をされているわけでございます。ところが昭和三十一年、中堀の中の約二十五万坪の特別史跡指定の際には調査にも来られず、しかもさきに述べたように、史跡として追加のなかった分まで昭和二十七年三月二十九日付をもってと、四年前にさかのぼって追加をする、同日に特別史跡にするなど、全く私は常識の域を脱しているというふうに考えるわけでございます。  さらに問題なのは、千三百坪の所有権者である商工会議所に対しても、何らのさたもなかったというに至っては、全く言語道断と言わざるを得ません。長官、この点について、どのように釈明をなさいますか、承りたいと存じます。
  234. 安達健二

    説明員(安達健二君) 最初のほうは、実は、その付をもってというふうにさかのぼるということについては、御指摘のように、まあ問題があると申しますか、適切であるかどうかについて疑問もあろうかと思います。最近は、もうそういうことはやめております。  それから第二の点でございますが、所有権との調整につきましては、これは史跡保存の一番むずかしいところでございます。この史跡名勝天然記念物の指定につきましての指定のやり方といたしましては、この指定は、六十九条の三項でございますが、その旨を官報で告示するとともに、「所有者及び権原に基く占有者に通知してする。」そして第四項で「前項の規定により通知すべき相手方が著しく多数で個別に通知し難い事情がある場合には、文部大臣は、同項の規定による通知に代えて、その通知すべき事項を当該特別史跡名勝天然記念物又は史跡名勝天然記念物の所在地の市町村の事務所又はこれに準ずる施設の掲示場に掲示することができる。この場合においては、その掲示を始めた日から二週間を経過した時に前項の規定による通知が相手方に到達したものとみなす。」こういう規定がございますので、この第四項の規定によって処理をいたしたということでございます。
  235. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 それは長官おかしいですよ。その通知する者が非常に多数な場合ということでございますが、商工会議所というのは一つでございますよ。姫路商工会議所に通知するということは一人一人にやってくださいと言ったのではなくて、姫路商工会議所からおたくのほうへ申請が出ている、そうするとおたくのほうは商工会議所に対して通知をなさったらいいわけでございましょう。それを多数だからできなかったとおっしゃるのは私は当たらないと思うのです。それがお役所仕事ということで、国民サイドに立ったやり方ではないんじゃございませんか、いかがです、それは。
  236. 安達健二

    説明員(安達健二君) 実は、三十一年のことでございまして、どうもいろいろ御指摘いただきました場合につきましては、その時代時代によってわれわれといたしましてはできるだけ尊重したやり方をやっておるわけでございますけれども、そういう事情がございますので、その当時は、大体におきまして指定する場合には、当該市町村から指定の申請と申しますか、してもらいたいというような通知をやるとか、主として管理団体としてやっていただくことの市町村を相手方にいろいろ話をしておる、こういうような状況下でございましたので、現在、十七年たった後において考えますと、おっしゃるようないろいろな問題があろうかと思いますけれども、一応、従来の慣例等もございまして、その六十九条の規定に基づきまして指定の手続をいたしましたと、こういうことでございます。
  237. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 まあいまの長官でございませんので、それは私のときではなかったというふうにおっしゃるかもしれませんけれども、しかしこれは長官がお考えになってもおかしいとお考えになりませんか。それぐらいの通知がなぜその商工会議所に対してできなかったのか。何もかも市町村におまかせをするということでは私は納得できないような気がいたします。  その後、商工会議所から、文化庁に対して、当該特別史跡指定に関する文化財保護委員会の会議録の提示を要求したのに対して、的確な御回答に接しておりません。少なくとも当該所有権者には、当然、指定になった理由が明確に示されるべきだと思うわけでございますが、その点はいかがでございますか。
  238. 安達健二

    説明員(安達健二君) ちょっと私、その指定の当時の会議の議事録を公開してほしいという話は直接伺っておりませんので、まだ私どものほうまでその話は聞いておりませんので、あとでまた聞きまして、その状況は御報告いたします。
  239. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 これ議事録はございますか、長官、ございますか、あとで出すとおっしゃいますけれども、ございますか。
  240. 安達健二

    説明員(安達健二君) 当時、議事録といたしまして、その審議会なり専門審議会での一つ一つの議事を速記にとったり、あるいは詳しく記録はいたしておりません。この審議会におきまして指定が決定した、こういうような点でございまして、したがって、かりにお示しいたしましても、そのようなものでございまして、特にその詳しい事情その他につきましての記録は、会議録はおそらく残ってないんじゃないかと、こういうふうに考えるわけでございます。
  241. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 そんなにあいまいなもので千三百坪も、これは特別史跡でございますよといって、いまどうしても困っているようなことさえも好ましくはありませんなんて認可されないということになりますと、これはたいへんなことだと私は思うんでございますよ。あんまりあいまい過ぎるんじゃございませんか、いかがです。
  242. 安達健二

    説明員(安達健二君) 私はやはり成規な手続によりまして指定をし、保存をするべく姫路市に管理団体というのをお願いもいたしておるわけでございますから、したがいまして私は、手続の点その他につきましてもう少し親切にやるべきじゃないか——まあいろいろな点て御批判はもちろんでございましょうけれども、成規の手続によりまして特別史跡に指定をされておるわけでございますから、その点について何ら問題はないと思うのでございます。
  243. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 成規の手続とおっしゃいますけれども、やっぱり成規の手続というのはこの商工会議所にもちゃんと知らせなければならないということが規定されているわけですから、それはね、長官、成規の手続とおっしゃっても、私はちょっと了承しがたいんですよ。  そこで文化財保護法第四条三項には「政府及び地方公共団体は、この法律の執行に当って関係者の所有権その他の財産権を尊重しなければならない。」とあり、また同法第七十条の二の第一項には、特別史跡の指定を行なうにあたっては「特に、関係者の所有権、鉱業権その他の財産権を尊重するとともに、国土の開発その他の公益との調整に留意しなければならない。」という趣旨が出ているわけでございますね——長官、お聞きでございますか。それをどのようにあなたは理解をされているんですか。現在の文化庁の姫路商工会議所に対する態度は、全くこの規定に違反していると私は考えるんでございますが、その点はいかがでございますか。
  244. 安達健二

    説明員(安達健二君) 一つ前の指定のときに、所有者が一カ所だけだというお話でございましたが、そのほかいろんなそのときの指定のところにはあったわけでございまして、所有者は一人というわけではございません。  それからもう一つ、従来の姫路商工会議所の改築問題の経緯につきまして、少しく申し上げさせていただきたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。
  245. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 いや、それはあとでまたお聞きしますから、改築の問題は別にしてください。
  246. 安達健二

    説明員(安達健二君) 私どもといたしましては、この姫路商工会議所の改築の問題は、四十四年の七月の十六日付でこの改築の申請が出てまいりまして、四十四年の九月二十日には指定地の保存上好ましくないということを文化財保護部長より兵庫県の教育長あて通知をいたしたわけでございます。ところが四十五年の四月八日に不幸にして商工会議所は火事になりまして、先ほどお話しのように、二階と一階の東半分が全焼するというような不幸な事態になったわけでございます。  そこで、その後につきましては、いろいろ県市関係者あるいは商工会議所会頭らが数次にわたりまして来庁されまして、現在地の改築などの陳情もありましたけれども、市からは公会堂の一部を貸し付けるなど仲介して、何とかこの焼け残った建物をとりあえずは修繕使用するというようなことで話し合いがつきまして、それによりまして、それに基づくところの一応の現状変更というようなことは許可をしてまいったわけでございまして、その後いろいろこれについての御陳情等もたびたびございまして、私も竹田会頭とばしばしばお目にかかりまして、いろいろお願いをしたり、またお話を伺ったのでございます。  そして四十六年のころになりまして、また商工会議所からの御要望もございましたので、四十六年の九月には、文化庁の長官名義、今長官名義で、現地再建は許可しない方針に変更はないが、まず市が代替地のあっせんに努力する旨確認しているので、土地買収に必要な財政的援助の方途は講じたい、こういうような趣旨を通知申し上げたわけでございます。同様な方針は四十六年の十月四日、四十六年の十二月十五日付文書で差し上げたわけでございます。その後、昨年の十月ごろになりまして、会頭が来庁され、またお電話等もございまして、姫路の郵便局の隣接地を会館の新築予定地として市より提案があったので、現在この線で解決するように努力するから、いましばらく待ってもらいたいということでございまして、まあ三月終わりごろまでには解決をするようにというようなお話しぶりでございまして、そして姫路市長と商工会議所会頭との間の覚え書き案——その郵便局の隣のところの先ほどの土地の問題についての覚え書き案についてもお示しを、これは市のほうからでございますが、いただいておったわけでございます。したがいましてこの問題について適切なる解決がこの三月末ごろには実現するのではないかということで、心待ちにしておったというのが私の実感でございます。
  247. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 それは私の聞き及んでいるところとは非常に違うように思います。あとあとお尋ねをしてまいりますけれども、長官、この現状変更許可申請書を提出したのは四十三年の十二月二十五日であったわけでございますね。これは文化財保護法第八十条の規定によって文化庁長官にこの申請書を提出しているわけでございます。ただ、好ましくありませんとか、現地での新築は認めない方針に変わりありませんとか、こういう通知だけでございますが、一体、こういう文書というものはどういう性質のものでございますか。
  248. 安達健二

    説明員(安達健二君) 私どもは、現状変更を処理する場合に、いきなり不許可とかそういうことをしないで、なるべく話し合いでもって適切な措置を講じたい、こういう方針を基本方針といたしております。  したがいまして、もし認めないということになれば、代替地の問題、それへの移転の問題それに要するに経費の問題そういう問題が当然あるわけでございます。そういう問題について何とかして解決の見通しをつけたい、こういうことで、いきなり不許可というような方法にしないで、好ましくないからひとつ話し合いをしていただきたいとかというようなことで、一種の指導でございますね、私どもの考え方を明らかにして、またそれが同時に私どもとすれば、それを買い上げる場合の補助の問題とか、そういう問題に関連してくるわけでございまして、したがいまして私のほうでそういう通知を出す以上は、その土地についての買い上げについての予算を用意するとか、いろんな問題を含めまして、また管理団体である姫路市との関連等も、予算のまた裏づけもあるし、あるいは兵庫県におきましてもこれについて補助をするというような問題もございますから、そういうことを含めて、なるべくひとつ話し合いで現状変更をしない場合の措置の見通しをつけたいということで、好ましくないということを御通知申し上げて、話し合いに入り、解決するというのが私どもの従来やっておりましたところの行政のやり方でございます。
  249. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 あのね、その代替地を見つけてくれとか、そういうことを商工会議所は決して言っているわけではございません。そういうことを市とあなたのほうでお話しになったとすれば、これは明らかに他事考慮ということではございませんか、こういうことは私は認められないと思うのです。そしていままで四年八カ月も九カ月もの間にどういう話し合いができたかというと、私は何も話し合いはついていない、こう思います。  そこで、市のほうもそういうことを言われたということだけれども、そういうことは私たちのほうは考えておりませんというのが吉田市長の文化庁長官にあててのこの手紙でございますね。こういうもの御存じでございましょう、これ御存じですね。たとえばこの前のときに、その会議所の土地を買い上げるということを国会で長官、あなたが答弁されたのに対して、姫路市会で非常に問題になった。市は急いで、そのような買い上げるなどの事実はない旨を市会の委員会に答え、文化庁に対しても抗議をしました文書がここにあるわけでございますね。ですから、そういうことは市としても考えてはいない、こういうことなんです。  それから先ほど長官、あなたは郵便局の隣の土地ということをおっしゃいましたね、会頭とお話をしたとおっしゃいましたね、でもそれはそんなことをおっしゃるはずはないと思うのです。なぜかと申しますと、部長はこの間おいでになったから私はその土地をごらんになったと思うのですけれども、わずか百五十坪か二百坪のその土地とそれから千三百坪もあるようなものと、どうして交換されるのですか。しかもいままでの土地はどれぐらいのものだとお考えなんでしょうか、いま文化庁はどれぐらいの予算をもってその土地を買い上げようとなさっているんでしょうか。いろいろな点から考えてみても、私はどれもこれも誠意のある態度とは思えないのです。  そこで商工会議所が許可申請をいたしましてから、同番、同史跡内で個々の現状変更許可の申請は実に約四十数件にも達しております。そのいずれもが一カ月ないし六カ月以内、ほとんど三カ月以内に許可されているわけなんです。例をあげますと、実業会館、大手前ビル、大手前地下駐車場、検察庁、裁判所、カトリック教会、国立病院、関西電力、姫路市中央保健所、市役所、すぐ西隣の白鷺宮、護国会館、北隣の県労働会館、道路の向こう側には警察署、実に枚挙にいとまがないほどございます。それがまたみな永久建造物でございまして、それが林立をしている。いま三十メートル離れた場所では堂々と賢明学院の新増改築の大工事が行なわれております。また県立ろう学校も許可されて、建築予算がいま県会で審議をされているということでもございます。そういったことは、私は、おそらく去る二日に現地視察に行かれた部長は十分御確認になったことだと考えるのでございます。  その一つ一つについて、会議所は、よそは許されたんだと、その許可された理由は一体どういうことで許可されたのかということで、許可の理由を求めたのに対しても、何ら納得のいく回答もなされなかったというのはどういうことですか。これはおそらく不平等な差別扱いを文化庁は自覚をされて、返事ができなかったのではございませんか、長官、いかがです。
  250. 安達健二

    説明員(安達健二君) 最初の、市のほうで代替地のあっせんあるいは買い上げ等に協力をするということにつきましては、私どもは、再三市長からも伺っておるところでございます。また、その代替地のあっせんについて、私ども何回も会頭ともお話し合いをしておるわけでございます。したがいまして代替地のあっせんについて市なり商工会議所が全然お考えにならないとは、私はとうてい想像しがたいところでございます。  それから第二の点でございますが、この姫路城の特別史跡の現状変更の問題につきましては非常にむずかしいのでございますが、私どもといたしましては、昭和四十三年の十二月から四十四年六月にかけまして、文化庁、建設省それから兵庫県、姫路市、それに大蔵省の近畿財務局を加えました四者といいますか五者協議会におきまして、この姫路城跡の整備の方針等につきましていろいろお話し合いをいたしまして、こういう方針で建設省もそして文化庁も兵庫県も姫路市も大蔵省もいこうと、こういう方針を立てたわけでございまして、その方針に沿いまして現状変更の処理をいたしておるわけでございます。したがいまして私どものほうで、それとの関係におきまして差しつかえがないところはできるだけ早く現状変更をする、こういうことでございます。この商工会議所につきまして、私どもが特にいやがらせをやるとか、あるいは差別扱いをするなどということは毛頭ございませんので、これはぜひひとつ御訂正をお願いいたします。
  251. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 これは長官のおことばですけれども、私は訂正できません。  ここでひとつ、法務大臣にお尋ねをいたしたいと思いますが、いま申し上げました地域にあります検察庁、裁判所はすでに三十一年、特別史跡に指定されたあとの許可になっておりますね。その際にどういうことで検察庁や裁判所は許可になりましたのか、その際の事情をひとつつまびらかにお聞かせをいただきたいと存じます。
  252. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 具体的な事案でございますので、大事なことが間違ってもいけませんので、担当の事務当局から御説明いたします。
  253. 水原敏博

    説明員(水原敏博君) 事項が営繕課の所掌事務にわたりますので、私から御説明さしていただきます。  裁判所のことはちょっと資料の持ち合わせがございませんので、法務省関係の建物につきまして御説明することでお許しいただきたいと思いますが、現在、特別史跡に指定されております現在地に姫路法務合同庁舎が建ちましたいきさつにつきましては、昭和三十七、八年ごろ、その当時、姫路市から市街地造成計画の一環として法務関係の各役所の集中化をひとつお願いしたいという申し出がございました。なお、それは一般市民のための便宜供与にもなるんだと、法務官署は同じところにお集まり願ったならば、たいへん一般市民のためにも便宜を来たすことでございますので、たまたま当時裁判所が現在地にすでに新営いたしておりましたので、その隣接地に約五千平米ほどの市の所有地がございます。その市の所有地に法務官署はお集まり願いたいという申し出がございました。そこにひとつ法務合同庁舎を新営してほしい。で、在来持っております法務省所管の検察庁姫路支部、それから法務局の姫路支局でございますが、それらの在来ありました敷地につきましては、姫路市が福祉センターなどの公共目的に使用いたしたい、したがって、そういうわけで現在姫路市の持っております五千平米の土地と、それと当時法務省が検察庁支部、それから法務支局の敷地として使っておったそれらの土地とを交換していただきたいという市からの要請がございました。法務省といたしましては、市のせっかくの御要望でもございますし、市民のための便宜供与ということに相なりますならば、これは法務官署を同じところに集中できますと、私ども事務の能率促進のためにも非常に便利でございますので、候補地を調査させていただきましたところが、地理的にも、また環境的にも法務官署といたしましては適当なところであると考えましたので、市からの御要望に応じまして交換に応じさせていただくことになりました。これが姫路の法務合同庁舎が特別史跡地に移るようになったいきさつでございます。  なお、先生からの御指摘ございました、これは特別史跡地でございますので、文化財保護法の九十一条の史跡の現状変更についての——当時は文化財保護委員会の御同意がいただけなければなりません。それで、その御同意は昭和三十九年の十一月に御同意をいただきました。そして、同年の十二月に新営いたしまして現在地に移ったのが、現在建っております法務合同へ検察庁、それから法務局の支局が移りましたいきさつでございます。
  254. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 そうしますと、特別史跡内であるということはもう御存じであったわけでございますね。それでは、そのときに同意をされたのはどういうことでございましょうか、こちらから聞きます。それで、ここも一緒になったほうが便利だということでございますね。便利ということからいえば商工会議所ももとのところに新築するということが最も便利なわけでございますね。便利さということからいえばどちらも同じ条件だ。にもかかわらず、一方には三十九年十一月にちゃんと同意をされた。にもかかわらず、商工会議所については好ましくありませんとおっしゃるのは一体どういうことなんでございましょうか。
  255. 安達健二

    説明員(安達健二君) まず最初に、その法務省のほうからの、当時の文化財保護委員会に同意を求めてこられましたときの条件と申しますか、それにつきましては、将来都市計画等により、この地域を整備する必要が生じた場合はこれに協力すること、こういう条件をお願いしているのが第一点でございます。  それからもう一つ、それでは同じような地域について、三十九年に一たん許可して、あといまの段階になって許可をしないのはどうか、こういうお尋ね、まことにごもっともだと思います。この点につきましては、実は私ども、この史跡の保存という面につきまして、やはり時代とともに進歩すると申しますか、そういう考え方でございまして、史跡を整備する場合に、従来許したから、またその次その次というふうにやってまいりますと、もう史跡の中はほとんど建物が建ってしまうと、こういう状況になるわけでございます。  それからもう一つ、城あとにつきましては全国にいろいろございます。したがいまして、その全国的な城あとの整備という、そういう一環といたしまして、一カ所だけ許可すると、またそのほかの姫路城以外の市のほうは、これはどうだと、こういうふうに参られますものですから、したがいまして、私どもは、ある一定の時期から若干きびしくなるという状態が実はあったわけでございます。これがまさに、そういういわば時代とともに史跡の整備をより一そう完全にしていこうという方針の変更があったということを申し上げざるを得ないと思います。それが第二点でございます。  それからもう一つ、こういう問題につきまして、この姫路城の問題につきましては、先ほど申しました四十二年から四十四年にかけまして、いわゆる五者協議会でもって方針をいろいろ検討されたわけでございます。その結果いま申し上げましたように、商工会議所あたりのところは、ひとつなるべく現状変更を認めないといいますか、現在の建物があれば別ですけれども、新しく大きな改築等はしない、こういうことでいこうという、まあ申し合わせができたわけでございます。したがいまして、そういう申し合わせのある前とあとでは、その辺のところの違いがあるということを私は率直に、方針の変更があったということを御了承いただかないと、この問題についてはなかなか御理解いただけないのじゃないか、ある時点とある時点との間におけるところの時間的なずれ、そうして史跡保護に対する国の全体的な考え方、それは同時に、国民の確信にもささえられておるわけでございますが、そういうことをひとつ御了承いただかないと、過去のことはすべてさかのぼって、いつに許可したからこうだということになりますと、史跡の保存が後退に後退を重ねる、こういうことになるわけでございますので、その辺のところの御事情を御了承いただければありがたいと思います。
  256. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 それでは法務省ですが、最近までに文化庁から立ちのきの申し出がございましたですか。
  257. 水原敏博

    説明員(水原敏博君) 法務合同庁舎につきましては、現在まで立ちのきの御交渉はございませんでしたが、そのすぐそばに本町拘置支所というのがございます。そこの支所の庁舎とそれから職員宿舎につきましては、昭和四十四年の六月に姫路の市長、これは先生御案内の姫路城管理事務所の責任者でいらっしゃるわけでございますけれども、市長からひとつ移ってくれないか、移転してくれないかという御要望がございました。しかしながら、現在拘置支所といたしまして、被疑者を勾留いたしまして、業務を続けておるわけでございます。適当な移転候補地がございませんので、御要望に現在沿うことができずに、現在のままに至っておるわけでございます。
  258. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 文化庁にもう一回質問をお返しいたしますけれども、この本件の現状変更許可に関して、いわゆる四者協議会とか五者協議会とかいうことをよくおっしゃるわけでございますがね、その四者協議会とか五者協議会とかいうものは一体何でございましょうか。
  259. 安達健二

    説明員(安達健二君) この地域は国有財産と申しますか、そういうものもたくさんございまするし、同時に、建設省はこれを都市公園として整備する計画を持っておるわけでございます。そういう観点から、今後都市計画を進めていく場合に、これはどういうふうにしようとかいうことは当然問題になるわけでございまするし、文化庁といたしましては、現状変更の申請があった当時に、どういうふうに許可していったらいいか、あるいはその際、地元であるところの県なり市はどういうふうにお考えになるか、こういうことをやはり連絡をいたしまして、同じような考え方で整備なり財産の処理等に当たっていかなきゃならぬ、こういう基本的な考え方でその四者と申しますか、五者の間でいろいろな今後の行政をやっていく場合の方針について統一的な見解を持とう、こういう趣旨で設けられたものでございます。
  260. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 じゃ、法的根拠は何にもない、こういうことでございますね。ただ申し合わせのためにつくられたもの、こういうことでございますね。
  261. 安達健二

    説明員(安達健二君) 特に文化財保護法によってつくるとか、何かそういう法的なものではなくて、あくまでも関係各省あるいは地元がこの問題を処理する、当面するそれぞれの問題を処理する場合に、相互にそごがないように十分な密接な連絡をとってやろう、こういう趣旨でございます。
  262. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 たいへん金科玉条のようにその協議会をお考えのようでございますが、そこでちょっとお伺いをいたしますが、四者協議会の第三回の打ち合わせば四十三年の八月九日になされましたね。これは御承知だと思います。そのときに大蔵省が、意に反した移転は封建城主の時代ならいいけれども、いまはそうはいかない、文化庁は白鷺宮の二階建てを認めたんだから、その認めたということについてはやはり一貫性がないではないかということを言ったわけです。そうすると、そのときに文化庁は、白鷺宮は条件づきで許可したが、確かに一貫性はない、すなわち他の永久建築物が移転の際は立ちのくという一札が入っているし、クスノキの中にあるので影響が少ない、こういうことをおっしゃったわけでございますね。それはいかがでございますか。
  263. 安達健二

    説明員(安達健二君) ちょっと私、その当時のことを知りませんので、いまここで、どういうことを申し上げましたか、私はいま何とも申し上げかねるわけでございます。
  264. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 それは長官、おかしいんですよ。私がこういう質問をいたしますにつきましては、ずっとその前々のことを十分御研究になって、その四者協議会とか五者協議会というものを金科玉条のようにおっしゃるんだから、私は聞いているのです。ですから、そういうことをおっしゃっては私は困ります。それは返事にはならないと思うのですね。それじゃ調べておいてください。  そこで、大蔵省にお伺いをいたしますけれども、近畿財務局長から昭和四十三年十一月七日に近財指第一一七号で、兵庫県知事あてに出された「特別史跡姫路城跡整備管理方針案」、こういう文書についてちょっと伺いたいと思います。
  265. 井上幸夫

    説明員(井上幸夫君) 文書の件名は存じませんけれども、その時点で近畿財務局長が意見を出している事実は承知しております。
  266. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 どういうものをお出しになったか御存じございませんか。
  267. 井上幸夫

    説明員(井上幸夫君) 詳しい内容は多少あやがあるかもしれませんけれども、電話で照会しました結果でございますので、多少あやがございますが、法務省以南地区の整備方針は将来公園緑地化する、ただし当分の間は現状維持とするというのが趣旨であろうかと思っております。
  268. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 それはね大蔵省、御自分の出先がなさったことですから、もう少しよく調べておいていただかないといけませんよ。これはね、こういうことを言ってらっしゃるんです。「姫路城を中心とする城跡は歴史、学術上貴重な存在であることは異論ないところであります。従って、文化財保護の観点からすれば、広い範囲にわたって、保全を計ることが理想であるとは推察するが、当該地は姫路市市街地の中心部を占めており、かつ一部については既成市街地として、二〇数年を経過してみることから、市街地整備との調和を計りつつ整理をせねばならない事も止むを得ない実情と思われる。問題は文化財保護の見地から、どの線で調整するかということであるが、当局としては今後ますます増大する土地需要に対処して、本地区をより一層の高度利用を計ることにより、社会的、経済的要望に応えつつ、重点的な整理保全を計るべきだと考える。すなわち、最も重要と思われる内濠内は既に整備されて居り、現在検討されている地域は、これらの従たる性格を有するものであることから、文化財保護は本地域の発展と対等に検討さるべきで、緑地計画等については、必要最少限にとどめ、且つ実行可能とする為には、若干の譲歩をするなど、現状をよりよくする方向で考えざるを得ないものと信ずる。」、こういうふうに出先では事情がよくおわかりですから、こういうことをちゃんと言ってるわけでございますよ、大蔵省。よろしゅうございますか。  そういうことでございますから、先ほどから長官が盛んに、世の中が進展するにつれておっしゃる。進展するにつれてどうあったらいいかということですね。いわゆる生活権と文化財保護との立場というものをうまく調整するということが私は大事だと思うんです。にもかかわらず、まああき地であってもよろしいんですよと、あとあと、そんなものを建てさす建てさすといったら、もうどこもかもなってしまうじゃありませんか、なんていうことば、これは私たちに対する答弁にはならない、私はそう思うんです。つまり、五者会議とおっしゃっても、文化庁のお考えとあるいは大蔵省のお考えとはかなりな食い違いがあるということを私はここであらためて申し上げておかなければならないと思うんです。  しかも、いまおっしゃったんですけれども、自分のところの土地を処分されるのに、一番大事なところを疎外しておいて何にも言わない、聞かせないでおいて、そういうことをおやりになるということ自体があなたはおかしいとお考えになりませんか、その点はどういうふうにお考えでございましょう。私は、一体文化庁は何をもってそういうことをおっしゃるのかわからないんですね。
  269. 安達健二

    説明員(安達健二君) 先ほどおあげになりました近畿財務局長からの兵庫県知事あての文書かございますが、それにはいま御指摘のようなことが書いてございますが、その御意見に基づきましてこの四者協議会での管理整備方針を変更いたしたわけでございます。したがいまして、それは大蔵省の近畿財務局長の御意見も入れて修正したのが現在の五者協議会の案であるということでございますから、考え方であるということでございますから、大蔵省のお考えを十分聞いた上でさらに再検討したものが現在私が申し上げているその五者協議会の整備計画であると、こういうふうに御了承いただきたいのであります。
  270. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 それでは五者協議会というのはこの時点よりもさらに後退をしたものというふうに考えてよろしいんですか。たとえば史跡というものは空地でおくことが保存である、こういう考え方になったとおっしゃるんですか。そこのところ、はっきりしてください。
  271. 安達健二

    説明員(安達健二君) これは、やはり具体的な先ほど来お話の出てございますようないろんな所有権の問題生活権の問題その他ございますから、そこで大蔵省の御意見もごもっともでありますし、私どもも住民の方々あるいはそこに所在するところの団体等の考え方、あるいは利益というものを無視してやろうなどとは毛頭考えておりませんので、そういうようなものを調整してさらに練り上げたものが現在の整備計画であるというように御理解いただければ、と思うわけでございます。
  272. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 それじゃね、その現在つくり上げた整備計画とは一体どういうことなんですか。それが私は一番大事な問題だと思うんです。いわゆる、その住民の生活権も何も奪ってもなお史跡はあき地でおいてよろしいというのが最後にきまった結論でございますか。それなら私は、この五者協議会なるものは非常に国民の意思を無視したものだと言わなければならないと思うんです。その点いかがですか。
  273. 安達健二

    説明員(安達健二君) 所有権の問題につきましては、先ほど大臣からもお話がございましたように、所有権は尊重しなければいけませんから、それはやはり所有地を買い上げて公有化した上での整備でございまして、個人に持たせたままその整備をするなんということは毛頭考えていないわけでございます。そういう点を十分考え、またその場合におきましても、代替地とかいうようなところでのあっせんとかそういうようなことは市とも十分お話し合いいたしまして、県・市と三者でもって、しかるべきところがあればそこで言っていただくようなふうにして、そして土地は買い上げをするというようなことでございまして、本年度から史跡の買い上げ費は、大臣の御努力で五割が八割になりました。したがいまして、地方公共団体の負担は二割でございますので、そういう面からいたしましても、市町村なり県なりの御協力をいただければ、そういう面での配慮は十分できるんじゃないかということでございまして、決して所有権を侵すとかそういうようなことは毛頭考えていないわけでございます。
  274. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 しかし長官、実情は侵していらっしゃることになるんです。あなたが幾らそんなことをおっしゃいましても、実情はやはり侵していらっしゃることになる。これははっきり申し上げることができると思うんです。そして市のほうも、そんなことは私たちは考えていないと、いま実は、市の庁舎の問題でさえもなかなかむずかしくて、ことしは調査費さえも一銭もついていない実情なんです。市会ではこの問題がかんかんがくがく、実に騒然としているわけなんです。そういうときに、商工会議所の問題についてどのように市がくちばしをいれることができるかということなんです。これは常識で考えていただいても私は十分わかることだと思います。  そういうことをおっしゃって、商工会議所がいまほんとうに困っている、数千の中小企業人たちがどんなに困っているかということをあなたは実際に御存じですか。それを御存じないでおいていまのような御答弁は、これはまことに官僚答弁だと私は思うんですよ。実際、そこに住んでいる人たちの実態というものを把握しながらものを言っていただかないと、これはほんとうの答弁にはならない、私はそう思うんです。こういう問題についてほんとうに商工会議所とあなた方との間にいろんな争訟が起こるなんということは、私にとっても一番悲しいことだと、それをいまあえて申し上げなければならない実態をおつくりになったのはあなた方ではございませんか。非常に誠意がない。もう少し誠意をもって国民に当たらなければならないんじゃないか、私はそういうことを考えるわけですね。  私はいまさら、特別史跡に指定しておりますものがずっとこうある、それがいつどうなってどうなったかということをもう申し上げません。もし知っていただきたければ、ここにちゃんとございますから十分ごらんください。こういう中で私はは四者協議会がどうだの、五者協議会がどうだの、絶対に私たちの納得のできないようなことばっかりおっしゃるということば、ほんとうに私は残念なことだと思います。  ここで文部大臣にひとつお伺いをいたします。特に公平を旨とすべき教育の立場からこの文化庁の取り扱い、いわゆる白鷺宮は認めました、どこそこは認めました、現に認められているわけなんです。そういうことについてこんな不平等な扱いを受けているいわゆる商工会議所に対して、公平を旨とすべき教育の立場からこの扱いというものを文部大臣はどうお考えになるでございましょうか。あるいは文化庁の言われる、ある程度の年月を経過したものは、こわれたものから順次撤去していくなんというばく然とした話は、現段階では絶対に通用するものではないということを十分お考えをいただかなければならない。この点について、この不平等、だれが考えても不平等な差別でございます。その問題について文部大臣はどのようにお考えになりますか、承りたいと存じます。
  275. 安達健二

    説明員(安達健二君) 大臣御答弁の前にちょっと私から。  先ほど私の答弁が官僚的であるというおしかりを受けたわけでございますが、もしそういうことであればたいへん残念なことでございます。私どもといたしましては誠心誠意この問題に当たっているつもりでございます。現に私は竹田会頭から再三お話を承りまして、昨年の十二月、これでもう解決するからというようなお話を承っておったわけでございます。したがいまして、私どもが特にその不利益を与えるとかそういうような意思は全く毛頭もございません。何とかしてこの問題につきまして皆さまの御協力を得て、円満に解決したいということだけを念願しておることを御理解いただけばありがたいと思います。どうもありがとうございました。
  276. 奥野誠亮

    国務大臣(奥野誠亮君) 特別史跡姫路城跡、これはわが国第一級の名城でありますだけにこういうむずかしい問題が起こってきていると、かように考えるわけでございます。同時に、萩原先生のお話を伺いながら、いろいろな紆余曲折を経てきているものだなという理解も、考えさしていただいたわけでございます。  ただ文化庁としては、昭和四十二年の、たびたび出ておりますいだゆる五者協議会、特別史跡姫路城跡周辺地区整理促進連絡協議会、ここで具体の案が練られまして、その結果に基づいて姫路商工会議所のところは移転をしてもらうというたてまえになって進められてきているようでございます。したがいまして、文化庁だけの問題といいますよりも、この五音協議会と商工会議所との間もすっきりしていなかったのだなという感じを深めさしていただいたわけでございます。  特別史跡の地域をどう将来管理していくかという問題につきましては、何といいましても姫路市の考え方、これは非常に重要なことだと思います。文部省といたしましては、文化財を保護するという大きな責任を負っておるわけでございますけれども、同時に、どう管理していくかということにつきましては、姫路市がまた非常に大きな役割りをになっておられる、こう考えるわけでございます。この五者協議会の案が一応できておりますので、それを無視して文部省がその考え方を変更するということはまた混乱を起こすのじゃないだろうか、こう考えるわけでございます。  いま萩原先生からいろいろお話もございましたので、従来の経緯もさらによく私なりに勉強していきたいと、かように考えております。
  277. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 いまたいへん文部大臣から私はいいお話をお聞かせいただいたと思うのです。と申しますのは、市とよく相談の上、市の意見というものが非常に重要だと、こういうことでございますね。その点は非常にありがたかったと思います。  そこで、私はちょっとここで、もう時間もございませんので非常に残念なのでございますけれども、いまその同史跡内にありますものを全部撤去をするということでございますならば、姫路市の商工会議所としてもこれは了とするということでございます。ところが、そんなことは実際はできないのではないかということを私は考えるのです。護国会館はごく最近できた鉄筋でございますよ。そういうものをすぐに撤去させるということが実際できるか。これこそ私はまた国費の非常な冗費でもあるというふうにも考えるわけです。  そこで、これはひとつ法務大臣にお尋ねをしたいわけでございますけれどもね。この土地はいま、ある外国からも買いたいという声が出ているわけでございます。で、そういう場合に、その外国がそれを買いましたときにどういうことに使うかということは、これはいろいろ考えられる。たとえば領事館に使うとか、あるいは企業の総合出先機関に使用するとかいろいろなものが考えられます。そういうときに、これは法務大臣としては、所管外とおっしゃるかもしれませんけれども、もう非常に近い姫路市のことでございますし、そういうときに、ひとつそんな史跡の中に外国の旗がへんぽんとひるがえるというようなことを想像したときに、私はもう耐えられない気持ちがするのですけれど、それは法務大臣は、国務大臣としてこういう事態をどういうふうにお考えになりますでしょうか、これは承りたいと思います。
  278. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) せっかくのお尋ねでございます。私の答え得る範囲でお答えを申し上げますと、外国にこれを売却すると、外国がどういうものに使うということを要件としてこれを払い渡すというような手続上の問題については、私が発言ができないのでございます。先生からおことばをたびたびいただいておりますように、この土地には法務合同庁舎もある。それから私の法務省の親類であります裁判所もおありになると、こういうことでございます。一体こういう問題の腹のきめ方、解決というものは、根本的にどうこの事態を考えることがよろしいかということが一番大事なことだと思う。  こういう文化財というものにつきましては、申し上げるまでもなく、先ほどからもところどころお話が出ておりますが、わが国の歴史、わが国の文化などを理解する上に貴重な先祖の遺産、財産でございます。こういう遺産、財産を保全をしていく上にじゃまになると、こう仰せになる場合、客観的にじゃまになるという事情があります場合は、どんな犠牲を払いましても積極的な態度でこれを取り払うことに協力をしていくという義務が私はあろうと思うんです。  そういう意味から申しまして、私の関係いたします法務庁舎であるとか裁判所であるとかいうようなものの存在につきましては、まず裁判所、大蔵省、私たちの法務省、心より理解をもって協議をいたしまして、協議の決するところ、適当な出先関係機関の御協力をいただいて、またみずからも大いにひとつさがしてみて、そしてその見通しがつきます場合においてはその方面に移りまして、最初がどうでこうでという理屈を言わずに、必要ならばという見通しがつきますならば、その必要に応じてこれに御協力をして出ていくという態度は、これは私の法務省だけでなく、各省どこもその態度でやらなければ文化財というものは永久に大切に保存されていかないのでありますから、そういう考え方に立ちまして、文化財を保存するということを最優先的に考えまして検討をしていきたい、関係機関と十分の相談をしてやっていきたい、こう考えております。
  279. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 時間が参りましたからもうこれでやめますけれども、それで私は最後に、いわゆる護国会館あるいは裁判所、検察庁、そういったようなところと同じ条件にする、いわゆる条件づきでこの申請を許可するということはいかがなものなんでございましょう。たとえば護国会館が撤去する、あるいはその法務省関係のものも撤去する、そういうときには、たとえ新築直後でありましょうとも商工会議所は撤去することにやぶさかではない、こういうことを言っております。ただ、護国会館が目の前に建っていたのに、それを見ながら自分のところだけが、しかも私が申しましたように会所あとであって、ここはほんとうに昔から、武家時代からその仕事をしてきたところだと、そこでもう一ぺんこの仕事をやらせてほしいと商工会議所が言っているわけですから、そういうことでは、私は、少なくとも護国会館並みのいわゆる条件づきでもここは許すべきではなかろうかというふうに考えるわけでございます。  最後に、これは文部大臣と法務大臣の御意見を承って質問を終わります。
  280. 奥野誠亮

    国務大臣(奥野誠亮君) 場所によりまして取り扱いが、同じ特別史跡の地域内においても異なること、これはあり得るんじゃないかと、かように考えるわけでございます。同時にまた、移転可能な状態になったときから移転を要するものについてはやはり移転してもらうというのが、すべてのものの進め方の順序であるように思います。具体の問題についてお答えするわけじゃございませんけれども、一般的には移転可能な状態になったときから移転をしてもらう。やはり政府の保存の計画を完全に達成しますのには相当な期間を要するんじゃないか、かように考えるわけでございまして、一挙に全部一緒に処理するということは私は不可能に近いんじゃないだろうか、かように考えるわけでございます。  いまの問題につきまして御意見として承らしていただきますけれども、一般的な方針は、いま私が申し上げたようなことで進めているということの御理解は得ておきたいと思います。
  281. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 文部大臣御所見のとおりであるべきである。関係官庁といたしましては、文部大臣の御意見に協力をして善処したいと思います。
  282. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) それでは、本日の質疑は一応この程度にとどめます。  次回の委員会は、明十二日午後二時開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十五分散会