○渋谷邦彦君
金大中事件について若干触れてあと別な問題に移りたいと思いますが、八月八日以来、約五十日にもうなんなんとしておりますし、
国民感情としてもやり切れないというのが率直な印象であろうと、こう思います。
で、いま田委員からもいろんな角度から
質疑が行なわれたわけでありますが、いままでの
政府の答弁をずっと振り返って、私なりに
整理してみた場合に、やはり非常にむずかしい、相当長期化の様相を帯びる、その解決の保証は何にもない、こういうことに結論がつけられるんではないだろうかという気がしてならないわけですね。いまも西ドイツの例が出されましたが、これは前回私もその点については、大平さんがまだアメリカへいらっしゃる前にお尋ねをしましたけれ
ども、これは全く客観条件というものが違うと思いますし、必ずしも西独の例をもって日韓
関係に当てはめるということは私は不可能であろうと思います。しかも経済交流というような日韓
関係の軸をなすそうした面を
考えますと、これはやはり早期に何らかの解決方法を
考えていきませんと、ますますこじれた状態になって、不測の事態が起きかねないと言えないこともないんではないか。最近こういろいろと伝えられております
韓国国会の模様等も、たいへん激しい口調で日本
政府の
考えていることあるいは特定の
国会議員の
名前まで指さしまして痛烈に批判をしている。また一方、日本のマスコミ界に対してもずいぶん手きびしいそういう評価をしている。こうしたことが、じゃあ直ちに火が消えるように
韓国内において終息するであろうかということになると、これも非常に疑問である。いままで大平さんは一貫して、筋を通して、粘り強く努力をしてと、何回か伺いました。まあそれにはもちろん違いないだろうと思いますけれ
どもはたしてそれだけでいいのかという問題がございましょう。南北朝鮮問題も未解決のままでございますし、やっぱり日本が何らかの形で今後の経済交流を軸にしながら一体どういう手を打っていかなきゃならぬのかという、非常にやりきれない気持ちというのが率直な感想でございましょうな。で、いまも
指紋の話やら、
韓国の法務長官のお話等も出ました。それは
政府としては、公式にそういう問題についての入電がなければ何とも言えないと言う。しかし、伝えられる中身というものはそう極端に事実無根のことがあるわけじゃございませんし、そういう
韓国政府の最高責任者の方々の言動、特に金鍾泌首相の言動については、
金大中氏を今後国事犯として扱う可能性があるというような発言までしているやに私
どもは伺っているわけです。そうなりますと、一体どこで
整理がなされて、どういう形で一体日本
政府の望むような——ということよりも、日本
国民の望むような方向で解決がなされるんだろうかと、非常に疑問視せざるを得ない。これは何回繰り返しても同じことになると思います。おそらく一つのめどとしては、大平さんが国連から帰られた、あるいは訪欧から帰られたその直後の十月下旬あたりが一つの山場になるんではないかというようなことも
考えられないでもないだろうと思いますが、やはり西ドイツの四年というようなことじゃなくて、まあできれば半年とか一年ぐらいの短期間の間に、いろんな技術的なそういうやっかいなこともあるだろうとは思いますけれ
ども、めどは立たないものだろうかどうかですね。最近この問題を通じて、いろんな奇怪な
事件が次から次へ派生的に起こっているわけです。きのうも、本
会議でも
質疑の中にございましたし、いまもやりとりがありました、元自衛官が
関連している問題だとか、ますます、すそのほうが広がっていくみたいな、かえってそのほうがうみが出ていいと言えばいいのかもしれません。そういう事柄を
考えると、これはもうもちろんいままで大平さんが言われておりましたように、いいかげんな解決の方法ではあかんということになるのは当然だと思います。まあ
政務次官としては、いままでのいきさつについては大平さんと表裏一体でありますから、依然としてこういういろんないま客観
情勢が毎日のように変わっていると思います。
韓国の
情勢も。日本のほうは変わりはないにいたしましても。そういう客観
情勢を踏まえながら、なおかつ、やはり将来の見通しは暗いものなのか、見込みがあるものなのか、たいへん抽象的な聞き方で申しわけありませんけれ
ども、その点どういうふうに
政府側としては判断されているのか。苦しいことはわかるのです。しかし、何らかの手の打ちようがあるだろうという、そういうことがわれわれ
外交のしろうととしては
考えざるを得ませんよ、何かあるんじゃないかということですね。その辺、
政務次官として意のあるところを開陳できないものだろうか。非常に総合的な言い方で申しわけありませんが……。