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1973-09-26 第71回国会 参議院 外務委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年九月二十六日(水曜日)    午前十時四十二分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         平島 敏夫君     理 事                 木内 四郎君                 佐藤 一郎君                 八木 一郎君                 田  英夫君     委 員                 杉原 荒太君                 加藤シヅエ君                 田中寿美子君                 羽生 三七君                 森 元治郎君                 渋谷 邦彦君                 松下 正寿君                 星野  力君    政府委員        外務政務次官   水野  清君        外務省経済協力        局長       御巫 清尚君        外務省条約局長  松永 信雄君    事務局側        常任委員会専門        員        服部比左治君    説明員        警察庁警備局参        事官       中島 二郎君        防衛庁防衛局調        査第一課長    島本耕之助君        防衛庁人事教育        局人事第一課長  馬場 義郎君        外務省アジア局        外務参事官    中江 要介君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○日朝両国関係正常化促進に関する請願(第二  五号)(第四二六号) ○世界連邦建設に関する決議に関する請願(第三  八九号)(第三八六一号)(第三八六四号)  (第三八七五号)(第三八七六号)(第三八七  七号)(第三八七八号)(第三九〇〇号)(第  三九三七号)(第三九四〇号)(第三九五六  号)(第三九六四号)(第三九九七号)(第四  一三一号)(第四二一二号)(第四二一七号)  (第四六一七号)(第四七四八号)(第四七四  九号) ○ドイツ民主共和国承認に関する請願(第一五  八八号) ○南北朝鮮統一支持に関する請願(第五〇九六  号) ○日中航空協定に関する請願(第五五〇六号)  (第五五〇七号)(第五五〇八号)(第五五二  三号)(第五五二八号)(第五五二九号)(第  五五三一号)(第五五四五号)(第五五四六  号)(第五五四七号)(第五五四八号)(第五  五四九号)(第五五五〇号)(第五五六九号)  (第五五七〇号) ○国際情勢等に関する調査  (金大中事件に関する件)  (国連における朝鮮問題に関する件) ○継続調査要求に関する件 ○委員派遣承認要求に関する件     —————————————
  2. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  まず、請願審査を行ないます。  第二五号日朝両国関係正常化促進に関する請願外三十七件を議題といたします。  まず、専門員から説明を聴取いたします。服部専門員
  3. 服部比左治

    専門員服部比左治君) 今国会中、外務委員会に付託されました請願は、お手元の表のとおり、全部で三十八件でございます。  まず第二五号外一件は、アジアの平和と繁栄に寄与するため、政府はすみやかに日朝両国関係正常化をはかられたいというものであります。  次に、第五〇九六号は、南北朝鮮統一自主的平和的推進のため、政府は特段の配慮をされたいというものであります。  次に第三八九号外十八件は、わが国民の間に世界連邦達成への熱望が高まりつつあり、国会においても超党派で「世界連邦日本国会委員会」が結成されているので、この際本院で「世界連邦建設に関する決議」を採択されたいというものであります。  次に、第一五八八号は、ドイツ民主共和国承認と国交の正常化をはかられたいという請願でございます。なお、この請願は、本年四月に受理されたものでありまして、その後、五月十五日にわが国とドイツ民主共和国との間に外交関係が樹立されております。  最後に第五五〇六号外十四件は、日華両国航空を制限あるいは拒否しようとする動きには著しいものがあり、わが政府当局も中華民国への信義を捨て、その動きに同調しようとしているが、政局担当者は悔いを千載に残すことのないようにされたいというものでございます。  以上でございます。
  4. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 速記をとめて。   〔速記中止
  5. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 速記を起こして。  請願の取り扱いについて協議の結果を御報告いたします。  請願第五〇九六号南北朝鮮統一支持に関する請願は、議院の会議に付するを要するものとして、内閣に送付するを要するものとし、第二五号日朝両国関係正常化促進に関する請願外三十六件は保留とすることになりました。さよう決定することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  8. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 国際情勢等に関する調査議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
  9. 田英夫

    田英夫君 一昨日の本会議社会党安永議員から取り上げられました、金大中事件自衛隊員加担をしていたといいますが、この問題から伺いたいと思いますが、きょうは大臣おいでになりませんので、政務次官に伺いたいと思いますが、本会議場でも総理大臣から御答弁がありましたけれども、あらためてこの問題について政府がどういうふうに考えておられるか、基本的な立場を伺っておきたいと思います。
  10. 水野清

    政府委員水野清君) 金大中事件に関しまして、自衛隊員が、退職直前でございまして、ちょうど待命中というような立場でございましたが、私立の探偵社依頼で、将来そこへ就職をするという前提になっていたようでありますが、この事件関係を持っていたということは、外務省の所管じゃございませんが、政府としてはあまり好ましくない、遺憾なことだというふうに思っております。ただ問題は、御理解をいただきたいのでございますが、自衛隊自身が、韓国情報機関と見られるようなものと自衛隊組織全体が組んでいるとか、そういうことでは全くないわけであります。その点は、誤解のないようにお願いをしたいわけでございます。
  11. 田英夫

    田英夫君 同じことをひとつ、防衛庁の方おいでになっておると思いますので、防衛庁立場からお答えいただきたいと思います。
  12. 馬場義郎

    説明員馬場義郎君) 本件退職自衛官退職直前休暇をとって金大中氏の事件に関与しておったということでございます。現在調査中でございますけれども休暇中であるとはいいながら自衛隊に席を置いていた当時のことでございますので妥当なことではないというふうに考えられます。今後、退職直前の行動につきまして、幕僚長通達その他できびしく指導しておるわけでございますけれども、今回のようなことが起こらないように、今後さらに調査隊のみならず、自衛隊全般に対しましてきびしい指導をしてまいりたいと考えております。
  13. 田英夫

    田英夫君 これに関係をした人が現在のところ二人出てきておるわけですが、政府のほうは本会議の席では名前を発表しておられませんけれどもこれが何という人で、いつ正式に退職をしたのかこの席で明らかにしていただきたいと思います。
  14. 馬場義郎

    説明員馬場義郎君) 該当すると思われます所長につきましては、三十二年の三月、一般幹部候補生として入隊いたしまして、名普通科連隊を歴任、三十七年八月一日に東部方面調査隊勤務をいたしました。その後、陸上幕僚監部の第二部に勤務の後、四十八年六月三十日退職をいたしております。もう一人の調査員として該当すると思われます者につきましては、三十年の一月二十七日入隊いたしまして、三十七年の十月東部方面調査隊勤務、四十八年八月一日退職をいたしました。以上でございます。
  15. 田英夫

    田英夫君 名前は言えませんか。
  16. 馬場義郎

    説明員馬場義郎君) 警察捜査との関連もございますので、名前は差し控えさしていただきます。
  17. 田英夫

    田英夫君 それでは私のほうから申し上げますけれども、一人は所長をしていた人が坪山元二佐、それからその部下になっていた、その退職直前にあった人が江村菊男元二等陸曹、こういうふうになっているわけですが、二人ともいわゆる調査隊にいたという、この点はいま言われたとおりでありますけれども、このような調査隊出身者興信所を開くという例がほかにもあるかどうか、これはおわかりならお答えいただきたいと思います。
  18. 馬場義郎

    説明員馬場義郎君) 退職後の就職につきましては、ある程度縁故関係で世話した者もございますが、現在つまびらかにいたしておりませんので、興信所等につとめておる者につきまして、現在詳細申し上げかねます。
  19. 田英夫

    田英夫君 私のほうの調べでは、調査隊におられた方が興信所をやっている例がほかにもあるということなんですが、この点はひとつ非常に問題だと思いますので、実は警察庁の万もおいでになるけれども警察も、今度初めてわかりました自衛隊も、あるいは公安調査庁も、やめてからという形ではなくて、現職の人が興信所という形で調査をするというやり方をとっている実、例があるわけであります。こういうやり方でやっているところは今回の坪山氏のミリオン資料というところがまさにそうであるように、このミリオン資料の場合は電話帳にさえ載っていない。行ってみるとビルの表側には全然看板が出ていない。そしてその部屋の入口にだけ看板が出ている。これは興信所という性格からみると非常にふしぎなことであります。ほかの警察などがおやりになる場合もほとんどそういうやり方をとっている。つまり興信所という性格からすれば、一般の人に広くそこにそういうものがあるということを知ってもらわなければ、できれば新聞広告から、ビルの表に看板を出すのはもちろんであります、そうでなければだれも頼みにこないわけですね、商売ができない。それを表に看板も出さずにやっていけるというのは、何か特殊のルートがあるか、それはただ看板であって別の仕事をしているというか、そういうことになると考えざるを得ないわけですね。そこに問題の金東雲書記官依頼に行ったというところに、今回の事件の非常に重要な焦点があるんだと、こう考えざるを得ないわけです。この坪山陸佐は六月に退職ということをいま言われましたけれども、実はこのミリオン資料という興信所はもっと以前から開業していたんじゃないですか。その点は防衛庁のほうはどういうふうにお調べになっていますか。
  20. 島本耕之助

    説明員島本耕之助君) ただいまの御質問につきましては、人事課長がお答えいたしましたように、六月の末に退職をしたという事実をつかんでおるだけでございまして、その後、興信所と申しますか、資料サービス所をつくったということを聞いておりますが、まだ本人にも直接事情聴取をしておりませんので、いつそれをつくったのかは、日にちは確認いたしておりません。ただ退職後設立したと、そのように現在承知しております。
  21. 田英夫

    田英夫君 警察のほうも、この問題は本人警察に知らせたんで御存じなわけですけれども警察のほうの調べではいまの点はどうですか。ミリオン資料という興信所がいつごろから仕事をしていたか、おわかりならお答えいただきたいと思います。
  22. 中島二郎

    説明員中島二郎君) その点は、私承知いたしておりません。
  23. 田英夫

    田英夫君 私どものほうの調査によると、すでに五月ごろから仕事を始めていた。ただし一人ですね。坪山氏一人で仕事を始めていたというふうに聞いております。で、これは警察のほうへ伺いますけれども、問題の張り込み金大中氏の張り込みをやったということ、これはそのとおりだというふうにお考えですか。
  24. 中島二郎

    説明員中島二郎君) 七月中旬ごろ金大中氏の所在を確認してくれという依頼佐藤と名のる人物からありまして、これを引き受けて依頼主の指定した立ち回り予想先原田マンションに対して、個人タクシーを雇って数回、張り込みを行なっております。
  25. 田英夫

    田英夫君 そこで、その写真を見せて、金東雲書記官であるということを確認をしたということも事実ですか。
  26. 中島二郎

    説明員中島二郎君) 写真を見せたところ、金東雲書記官によく似ているということを申しております。
  27. 田英夫

    田英夫君 佐藤という男が依頼に来たということですけれども、それは七月半ばということをいま言われましたけれども、これは佐藤という男が一人で来たのか、この辺のお調べはいかがですか。
  28. 中島二郎

    説明員中島二郎君) 一人で来たように聞いております。
  29. 田英夫

    田英夫君 この問題の張り込みをした江村菊男という人は、実は事件の当日グランドパレスのホテルにあらわれているという事実がありますけれども、これは警察はつかんでおられますか。
  30. 中島二郎

    説明員中島二郎君) 承知しておりません。
  31. 田英夫

    田英夫君 非常にその辺のところ、これは私どものほうの調査でそういう、当日江村菊男という人物があらわれている。このときにはすでに退職をしておるわけですけれども、問題は、肩書き上退職をしていたか、していないかということよりも、非常に密接に金東雲書記官を通じて、この金大中事件関連をしていたというふうに考えられるわけなんで、先ほど申しましたように表に看板も出ていない、電話帳にも載っていない、それをどうして金東雲書記官が知っていて、佐藤と名のって依頼に行ったのか、この辺のところは私どもも疑問に思いますけれども捜査当局はどういうふうにお考えになっていますか。
  32. 中島二郎

    説明員中島二郎君) 先方からの一方通行的な連絡依頼をしてきたようでありまして、その時点では素性はよくわからなかったということでございまして、なぜこの探偵社を選んできたかということについて、私どもも、いま先生から御質問のありましたような点も含めまして、いろいろと尋ねたわけでございますが、どうしても心当たりがない、かように申しております。
  33. 田英夫

    田英夫君 警察は、これをいつごろから、佐藤と名のる人物金東雲であるということを、似ていると言われましたけれども、いつごろから知っておられたわけですか。
  34. 中島二郎

    説明員中島二郎君) 金大中事件が発生いたしましてから、この探偵社人たちが不審を抱いて、事件発生後、数日中に警察に申告してまいりましたので、その段階で承知をいたしたわけでございます。
  35. 田英夫

    田英夫君 そうすると、写真を見せて似ているというふうに言ったのは、やはり事件直後ですか。
  36. 中島二郎

    説明員中島二郎君) 申告をしてまいりましてから、いろいろと写真を見せまして、金東雲書記官写真に似ているということになったわけでございます。
  37. 田英夫

    田英夫君 そうすると、金東雲書記官出頭韓国側に求めた時点では、すでにこの事実はわかっていたということになるわけですね。
  38. 中島二郎

    説明員中島二郎君) そういうことになります。
  39. 田英夫

    田英夫君 これは非常に重要なことで、当時金東雲書記官容疑というのは、指紋が現場の指紋と一致したということと、エレベーターの中で目撃をした人物金東雲書記官に似ているというその二点を根拠にしておられたわけですけれどもそのときすでに、この自衛隊員張り込みをしているという事実を知り、そしてその依頼主金東雲書記官であるということを捜査当局、つまり政府は知っておられたのか。外務省はこの点いかがですか、警察から連絡があって、金東雲書記官出頭要求するということは、外交上非常に重要な問題ですから、このときにいまの、さっき申し上げた二点以外に第三点の容疑があったということを外務省は御存知じだったかどうか。
  40. 水野清

    政府委員水野清君) 外務省には、そういう連絡はございません。
  41. 田英夫

    田英夫君 これは、非常に疑うようで申しわけありませんけれども、二点までで、第三点、非常に重要な、これが当時表へ出ていれば、さらに金東雲書記官がこの事件犯行グループの一人であるという、そういう疑いが濃厚だということがさらにはっきり確認され、国民にもそのことが知らされていれば、わかったはずなのに、あるいは韓国側要求をする上でも、強い根拠になったにもかかわらず、このことを政府側が押えて、捜査当局が押えて表に出されなかった。外務省にさえ、いまのお答えだと知らされておられないということは、自衛隊員が関与しているからだという、いわば恥部を持っていたから、政府としてはこれを表に出せなかった、こういうふうに考えざるを得ないのですけれども、この点はいかがですか。
  42. 中島二郎

    説明員中島二郎君) 私どもはその時点で申し上げておりますのは、金東雲書記官指紋が二二一〇号室遺留指紋の一部に合致したということ、それからエレベーター内での目撃者金東雲書記官に間違いないと証言をしておるということ、その他などということで御説明をしておるわけでございまして、決してそのほかに証拠がないということを申しておるわけではございません。その時点では指紋があるということで十分に金東雲書記官本件加担をしているという容疑が明らかであると考えておりましたので、捜査上の秘密といいますか、といたしまして、そういうことを具体的な内容について明らかにしていなかった、こういう経緯になっております。
  43. 田英夫

    田英夫君 一般国民の方は、今回のこの事態を報道を通じて知られて、やはりいま私が申し上げたような疑いを持つのが当然だと思います。自衛隊員が関与していたから、これは政府が発表しなかったのだなあということであって、非常に残念なことだと思いますが、観点をかえて伺いたいのですが、防衛庁調査隊というのはどこにあって、どういう規模で、どういう任務を行なうのか、この点をお答えいただきたい。
  44. 島本耕之助

    説明員島本耕之助君) 調査隊陸上自衛隊航空自衛隊にございまして、陸上自衛隊には中央の調査隊六十五名、各方面に五百数十名、合わせまして約六百名の隊員がおります。航空自衛隊にはおおむね七十名の調査隊員がおります。その任務につきましては、外部からの自衛隊に対する働きかけに対し部隊秘密を保全するなど、部隊を防護するために必要な情報資料収集整理及び調査を行なうことを任務といたしております。
  45. 田英夫

    田英夫君 これは全国の陸上航空各隊に何人かずつ配置をされているということになりますか。
  46. 島本耕之助

    説明員島本耕之助君) 何ぶん人数が少のうございますので、限定されておりますが、陸におきましては各方面総監部師団などに数名ずつ、航空に関しましても、全国的ではありませんが、そのような中心的なところに置かれております。
  47. 田英夫

    田英夫君 この機会にお願いしておきたいのですが、そのどこの隊に何人配属されているかという資料を提出していただきたいと思います。それはできますね。
  48. 島本耕之助

    説明員島本耕之助君) 帰りまして上司の決裁を求めなければならないと考えますが、おおむねの任務組織は出せますが、詳細についてどこに何名までは提出することが無理ではないかと考えております。
  49. 田英夫

    田英夫君 それはどういうわけですか。そんなに秘密仕事をしているんですか。国会に出せないような秘密仕事をしているわけですか。
  50. 島本耕之助

    説明員島本耕之助君) 任務につきましては、先ほど申し上げましたような仕事をしておるわけでございますが、各部隊ごとにどこに何名ずつということは一応御提出できると思いますが、どの師団に数名、あるいはどこに幾らとまでという点につきましては、後日決裁を受けた上でお答えさせていただきたいと思います。
  51. 田英夫

    田英夫君 これは今度の問題が起こって、国民防衛庁調査隊というものに対して非常に一つの疑惑を持っているわけですよ。私は、坪山江村両氏退職をしたということさえ、私は手続的なものじゃないかという疑いさえ持っている。現職のままじゃぐあいが悪いから、手続的にそういうことをしたんじゃないかとさえ思うわけですが、国民の中にもそういう疑惑があると思います、いろいろな。そういうものに答える意味で、やはりやましいことをしていないなら、詳しい資料国会にお出しいただくことがむしろいいと思うのですが、この調査隊というのは、いまお聞きしていると、自衛隊の中の問題をやるように、外部からの働きかけに対して防ぐ、防護するという、そういうお話でしたけれども、昔の憲兵の中にもそういう役割りは確かにありましたが、憲兵まもっといろいろなことをやっていた。この調査隊というのは、名前からしても、それだけではなくてもっと海外事情とか、外国情勢とか、防衛庁からいえば、さしずめ共産圏情勢というようなものをお調べになっているというふうに聞いておりますが、この点はいかがですか。
  52. 島本耕之助

    説明員島本耕之助君) 先ほど申し上げましたように、調査隊がそのようなことをすることはございません。
  53. 田英夫

    田英夫君 坪山氏は、それでは隊にいたときにはどういう担当をしていた人ですか。
  54. 島本耕之助

    説明員島本耕之助君) ただいま名前をおあげになりましたが、それに該当すると思われます元陸佐は、調査隊に在職しておりましたこともありますが、やめる前は数年にわたりまして陸上幕僚監部の第二部に勤務いたしておりまして、これは一般的な情報収集整理、たとえば防衛駐在官各国に駐在しておりますが、このような駐在官から来る情報その他を扱っております。いわゆる一般的な情報収集整理に関する仕事をいたしておりました。
  55. 田英夫

    田英夫君 その点詳しく伺いたいのですけれども情報収集というのはどういう情報を集めるのか。つまり、各国政治情勢軍事情勢、そういうものを集めるのでしょうけれども、具体的な内容を、どういうことを集めてどういうふうに役立てるのか、この点を教えていただきたいと思います。
  56. 島本耕之助

    説明員島本耕之助君) ただいまの御質問関連いたします情報内容に関しましては、先ほど防衛駐在官の例をとりましたが、そのほか公然資料、あるいは各省からお教えいただく情報などで、安全保障防衛に必要な情報収集整理して、安全保障防衛等政策に必要な、法令で申しますと、防衛庁防衛局が行なっております政策の立案に必要な情勢判断参考にいたしております。
  57. 田英夫

    田英夫君 韓国駐在のソウルの日本大使館にも防衛庁から、部官というのですか、派遣をしている人がいますか。
  58. 島本耕之助

    説明員島本耕之助君) 現在陸上自衛隊から一名、航空自衛隊から一名、それぞれ一佐が防衛駐在官として駐在いたしております。
  59. 田英夫

    田英夫君 逆に、東京にある韓国大使館の中にもアタッシェとして部官が来ていると思いますが、これは数は何人ですか。
  60. 島本耕之助

    説明員島本耕之助君) 東京に来ております韓国武官につきましては、担当渉外のほうでございますので、主管ではありませんので、陸海空から来ておると承知しておりますが、詳細に何名かは、私、存じておりません。
  61. 田英夫

    田英夫君 当然、この坪山氏が最終的に勤務をしていたところの役割りからすると、こうした韓国武官との接触ということも考えられるわけですか。
  62. 島本耕之助

    説明員島本耕之助君) 武官は、陸上幕僚監部におきましては、やはり渉外方面と接触しておりますので、興信所の某陸佐がおりました情報第一班は外国武官等と接触していなかった、いないと考えております。
  63. 田英夫

    田英夫君 先ほど警察当局で、このミリオン資料依頼に来たのは佐藤と名のる男一人であるというふうにいわれましたけれども、実際にやってきたのは、佐藤こと金東雲書記官であったようですが、金東雲書記官ミリオン資料に紹介をしたのは自衛隊の人であるという事実を警察では御存じでしょうか。
  64. 中島二郎

    説明員中島二郎君) そういうことは聞いておりません。
  65. 田英夫

    田英夫君 言えないのか、ほんとうに御存じないのか、この辺が疑問だと思いますが、この坪山江村という二人の人物は、これは警察立場からいうと、事件との関係ではどういうことになりますか。参考人ですか。
  66. 中島二郎

    説明員中島二郎君) 事件の前段階における証人的存在だと、かように考えております。
  67. 田英夫

    田英夫君 どうも伺ってくると、もう一歩突っ込んだ国民疑惑にこたえるような点が伏せられているのか、お調べになっていないのかわかりませんけれども、いまの御答弁の中から表へ出てこないわけですね。みんなが一致して疑問に思っているのは、ほんとうに看板が出ていないようなそういう興信所、私立探偵社といいますか、これにどうして金東雲書記官依頼に来たのかという、この疑問はぬぐい去ることができないわけです。政府がほんとうにまあ証人として扱い、この事件のワク外の人物であるということを確信しておられるならば、そして現職自衛隊員であったということはまことにけしからぬことですけれども、そういう問題を一応除外して考えられたときに、なぜここのところをはっきり言われないのか、あるいははっきりしようとする態度さえないのか、ここのところが非常に疑問だと思うのですよ。現職自衛隊員がからんでいたから、これはここまで伏せておいたということは、わからないではありませんよ、これは恥しいことですから。だから金東雲容疑も二点だけしか外務省にも知らせなかったという、そういうことになってくるというのは、捜査当局自衛隊をまあかばうというか、そういう気持ちになったということは、わからないじゃないのですよ、ほんとうはおかしなことですけれども。しかし、それよりもさらに、いま申し上げた金東雲書記官がどうしてこういう興信所を知ったのかというこの疑問にこたえないと、自衛隊立場はより悪くなる。現職の自衛官がこの問題にからんでいたということは、それだけで防衛庁長官の辞職ものだと私どもは思いますけれども、さらに、それよりも、なぜ金東雲書記官がここに依頼しに来たのかというそこを解明しないと、自衛隊に対する国民疑惑というのはますます深まると。この点はあらためて伺いますけれども中島事官捜査のほうの立場からいって、全然そこのところは調べてないわけですか。
  68. 中島二郎

    説明員中島二郎君) 先ほども申し上げましたように、この探偵社の者は心当たりがどうしてもないと申しておりますので、積極的に御協力いただいておると思いますので、いまのところそのことばを信ずるほかないわけでありますが、私どもとしても、その点については何とか事情を明らかにしたいと考えておるわけでございまして、金東雲書記官がもし任意出頭に応ずるならばその点も究明をしてみたいと、かように考えております。
  69. 田英夫

    田英夫君 ぜひこの点は政府立場からも究明をされることが私は重要だと思います。さっき申し上げたように、調べていくと、紹介したのは実は自衛隊の人であるというようなことが出てくるかもしれない。私どもはそういうふうにつかんでおりますけれども、そういう事実が出てきても私は疑問を解明したほうがいいと、こう思うんですね。それをされないと、ますます自衛隊とKCIAとは何らかの関係があるんではないかという疑問に発展をしていかざるを得ないわけで、この点はますます重要なことになってしまいます。ぜひ解明をしていただきたい。  時間がありませんので先へ進みますけれども韓国国会でもきのうまで連日のようにこの金大中事件が取り上げられていたようですが、そのやりとりの中で申法務大臣が、法務長官というんですか、指紋は証拠とは言えないと、日本の捜査当局指紋を示してきていないと、こういう答弁をしておりますけれども、これに対して捜査当局はどういうふうにお考えですか。
  70. 中島二郎

    説明員中島二郎君) そういう発言があったということについて公式に連絡を受けておりませんので、かりにそういう発言があったとしてということでお答えすることになろうかと思いますが、指紋があったということは、これは非常に確信の持てる証拠でございまして、その点について、指紋の評価という点についてどうも若干の私ども考えておりますのと距離があるような感じがいたします。その点につきましては、指紋の価値というものについて外務省を通じて今後よく認識してもらうようにつとめてまいりたいと思っております。
  71. 田英夫

    田英夫君 後宮大使が帰任されたわけですけれども、大使がこの指紋資料を向こう側へ提示するために持って行かれたというようなことはありませんか。
  72. 水野清

    政府委員水野清君) この指紋の取り扱いでございますが、韓国側外務省が言っておりますのは、現場から金東雲一等書記官の指紋が発見されておりますと、この事実はいま警察庁の答弁にもありましたように、普通犯罪捜査の常識からいって、金東雲氏がこの事件に重大な関係があった疑いが非常に強いということを注意を喚起をしているわけであります。この指紋がこういうわけでございますと、証拠を持って行って突き合わせなさいとか、そういうようなやり方ではないわけでございます。ですから、後宮大使が資料を持って韓国に渡っていると、そういうことではございません。
  73. 田英夫

    田英夫君 向こうの捜査当局の責任者といいますか、法務長官が、指紋は証拠にならぬというようなことを言っている、こういう新しい事態が出てきたわけですから、政府としては金東雲書記官出頭をさらに引き続き強く求めるなら、当然韓国側にそれはこういうふうに一致しているんだということを示すのが当然だと思いますが、そういうことをおやりになる意思は外務省にも捜査当局にもありませんか。
  74. 水野清

    政府委員水野清君) 先ほど申し上げましたように、これまでは発見された指紋という一つの証拠を突きつけておりませんけれども捜査当局の判断として、それを韓国政府に提示をして、さらに金東雲氏が事件にどういう関係があるかということを解明されたいということは、捜査当局からの要望もありますれば今後やってみたいと思っております。
  75. 田英夫

    田英夫君 中島事官どうですか。
  76. 中島二郎

    説明員中島二郎君) 指紋があったということで当然容疑が強いというふうに考えていただけるものと私ども考えておったわけでございますが、もし指紋を見せてもらいたいということであれば十分検討をしてみたいと思います。
  77. 田英夫

    田英夫君 ニューヨークの国連では大平さんが金溶植外相とお会いになっているようですし、後宮大使も帰任をされるということで、外交的に新しい発展があるのではないか、この問題、国民が広く関心を持っているし、正しい形で、しかも日韓の国民の間の友好関係がそこなわれないようにということを願いながらみんな注目をしていると思いますので、これからの外交的な処置、いま、やや、いわば行き詰まっている状態と思いますが、どういうふうにお考えになりますか。
  78. 水野清

    政府委員水野清君) 新しい発展が期待されるのではないかというお話でございますが、外務省のこれまでの態度は、捜査当局の正確な事実というものを踏まえて、それを相手国政府に通告をして捜査協力という形で金大中氏の再来日を依頼するとか、その他金東雲書記官出頭を求めるとか、そういう形をやってまいったわけでございます。この方針は変わっておりません。いささかも、何か妥協をしてまとめていこうと、じょうずにまとめていこうというような、世評いろいろ週刊誌などではそういうふうな書き方をされておりますけれども、そういう妥協は全く考えていないわけであります。ただ、私どもは、何べんもしんぼう強く日本政府考え方を、決して私ども考え方が間違っていると思っておりませんので、韓国政府に繰り返しあらゆるルートを通じて、あらゆる階層の連絡を通じてやるということが必要だと思っております。その中で、大平外務大臣と金外務大臣がたまたま国連総会で行き会わせて、この問題についても話し合われることであろうと思いますし、後宮大使も帰任をいたしましたから、当然これまでの問題を詰めていくということはあろうかと思います。ただ、先生にも御理解をいただきたいんでございますが、よく西ドイツの例が出されますが、西ドイツにおける事件にしましても、完全に解決するまでに一年数カ月を経ております。ですから私どももただ早く何とかしたいというだけでいいかげんな妥協もできないし、ともかく事実と——失礼しました、一年数カ月に大局がまとまったわけでございますが、完全な解決は約四年を経ております。私どももこの問題は日韓両国の友好というものを阻害しないということは前提に考えておりますが、また阻害しないだけを前提に置いて妥協をする、あるいはあいまいな処置をとるということも考えていないわけであります。しんぼう強くやっていく以外は方法がないと、こういうふうに思っております。
  79. 田英夫

    田英夫君 西ドイツの場合、人数が非常に多かったわけですね。それぞれのケースもかなり違っていたようです。したがって、そのままあてはまらないし、今度の日本の場合は何といいますか、金大中という人物立場、地位、そういう状況が違っていると思います。その一番大事なのは人道的な立場ということからやるべきだし、考えるべきだし、同時に日本にいる外国人の安全を守るという政府の義務という立場からも考えなくちゃならない。時間をかけていいということではないと思いますね。御本人の健康状態もよくないようですし、そういうことを考えて処置をしていただきたい。いかにも政府がいままでとってこられた措置というのは、まあ一言でいえば手ぬるいと、こういうふうに国民一般は思っている、こう言っていいと思います。ですから確かに打つ手がむずかしいことはわかります。特に両国の国民感情ということを考えなければいかぬ。このことが一番大事なことだと思いますので、私どもがこうやって国会でやっていることも、韓国の朴政権側はまことに好ましくないと言って批判をしている。国会での与党の質問はおおむねそういうことに集中をしているようですけれども、しかし一方で、たとえば新民党の金泳三議員の国会における主張も伝えられておりますけれども、この人は金大中氏と同じ仲間でありますから当然かもしれませんけれども、私どもがこの国会で言っていると同じことを韓国国会でも主張をしておるわけですね。金東雲書記官を日本に出頭させろと、こういうことを求めているし、金大中氏を日本に渡せということも言っている。こういう声が実は韓国国民の中にも広くあると考えていいと思います。朴政権側とのつき合いということが政府はどうしても大切にお考えになるだろうけれども、要は両国の国民の間の関係なんですから、そこのところをぜひ政治の立場から判断をしていただきたい。これ間違いますと非常に不幸なことになります。その点をお願いして、きょうは時間がありませんので私の質問を終わります。
  80. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 金大中事件について若干触れてあと別な問題に移りたいと思いますが、八月八日以来、約五十日にもうなんなんとしておりますし、国民感情としてもやり切れないというのが率直な印象であろうと、こう思います。  で、いま田委員からもいろんな角度から質疑が行なわれたわけでありますが、いままでの政府の答弁をずっと振り返って、私なりに整理してみた場合に、やはり非常にむずかしい、相当長期化の様相を帯びる、その解決の保証は何にもない、こういうことに結論がつけられるんではないだろうかという気がしてならないわけですね。いまも西ドイツの例が出されましたが、これは前回私もその点については、大平さんがまだアメリカへいらっしゃる前にお尋ねをしましたけれども、これは全く客観条件というものが違うと思いますし、必ずしも西独の例をもって日韓関係に当てはめるということは私は不可能であろうと思います。しかも経済交流というような日韓関係の軸をなすそうした面を考えますと、これはやはり早期に何らかの解決方法を考えていきませんと、ますますこじれた状態になって、不測の事態が起きかねないと言えないこともないんではないか。最近こういろいろと伝えられております韓国国会の模様等も、たいへん激しい口調で日本政府考えていることあるいは特定の国会議員の名前まで指さしまして痛烈に批判をしている。また一方、日本のマスコミ界に対してもずいぶん手きびしいそういう評価をしている。こうしたことが、じゃあ直ちに火が消えるように韓国内において終息するであろうかということになると、これも非常に疑問である。いままで大平さんは一貫して、筋を通して、粘り強く努力をしてと、何回か伺いました。まあそれにはもちろん違いないだろうと思いますけれどもはたしてそれだけでいいのかという問題がございましょう。南北朝鮮問題も未解決のままでございますし、やっぱり日本が何らかの形で今後の経済交流を軸にしながら一体どういう手を打っていかなきゃならぬのかという、非常にやりきれない気持ちというのが率直な感想でございましょうな。で、いまも指紋の話やら、韓国の法務長官のお話等も出ました。それは政府としては、公式にそういう問題についての入電がなければ何とも言えないと言う。しかし、伝えられる中身というものはそう極端に事実無根のことがあるわけじゃございませんし、そういう韓国政府の最高責任者の方々の言動、特に金鍾泌首相の言動については、金大中氏を今後国事犯として扱う可能性があるというような発言までしているやに私どもは伺っているわけです。そうなりますと、一体どこで整理がなされて、どういう形で一体日本政府の望むような——ということよりも、日本国民の望むような方向で解決がなされるんだろうかと、非常に疑問視せざるを得ない。これは何回繰り返しても同じことになると思います。おそらく一つのめどとしては、大平さんが国連から帰られた、あるいは訪欧から帰られたその直後の十月下旬あたりが一つの山場になるんではないかというようなことも考えられないでもないだろうと思いますが、やはり西ドイツの四年というようなことじゃなくて、まあできれば半年とか一年ぐらいの短期間の間に、いろんな技術的なそういうやっかいなこともあるだろうとは思いますけれども、めどは立たないものだろうかどうかですね。最近この問題を通じて、いろんな奇怪な事件が次から次へ派生的に起こっているわけです。きのうも、本会議でも質疑の中にございましたし、いまもやりとりがありました、元自衛官が関連している問題だとか、ますます、すそのほうが広がっていくみたいな、かえってそのほうがうみが出ていいと言えばいいのかもしれません。そういう事柄を考えると、これはもうもちろんいままで大平さんが言われておりましたように、いいかげんな解決の方法ではあかんということになるのは当然だと思います。まあ政務次官としては、いままでのいきさつについては大平さんと表裏一体でありますから、依然としてこういういろんないま客観情勢が毎日のように変わっていると思います。韓国情勢も。日本のほうは変わりはないにいたしましても。そういう客観情勢を踏まえながら、なおかつ、やはり将来の見通しは暗いものなのか、見込みがあるものなのか、たいへん抽象的な聞き方で申しわけありませんけれども、その点どういうふうに政府側としては判断されているのか。苦しいことはわかるのです。しかし、何らかの手の打ちようがあるだろうという、そういうことがわれわれ外交のしろうととしては考えざるを得ませんよ、何かあるんじゃないかということですね。その辺、政務次官として意のあるところを開陳できないものだろうか。非常に総合的な言い方で申しわけありませんが……。
  81. 水野清

    政府委員水野清君) 正直なところを言いまして、この事件が当初予想されたよりも解決が簡単につかない。まあ私どもから言いますれば、これだけいろいろな証拠があり、客観的な事実というものを踏まえて韓国政府にこの事件捜査に協力してもらえないかという、きわめて私のほうは低姿勢なお願いをしているわけであります。それにもかかわらず、なかなか向こうのほうが御承知のような、たとえば新聞に伝えられますような韓国国会の議論に見られるような、田先生の御指摘のような常識的な発言もあったようですけれども、大勢は必ずしもそうでないという韓国の国内の情勢でございます。私どもも決してただしんぼう強くというだけでなくて、何か方法はないものか、あるいは方法はないというよりも、韓国側が日本の言うことを冷静に受けとめてくれて、自主的に考え方を変えてもらえないものであろうか、こういったことに日夜苦悩しているわけでございます。しかし、何か新しい外交的な手を打つとか何か快刀乱麻を断つような方法がないかという御指摘でございますが、それはないということは、政府のこれまでやってきましたことは、捜査当局捜査状況にしましても、ほとんどこれは公開をしているわけでございますし、政府がやっておりますことも、ほとんど、あらゆる報道機関に報道されているわけでございます。やはりしんぼう強く相手がわかってくれるまで、これは御承知のように外国でございますから、そうかさにきてものを言ったり、何か条件をつけてあまり強く出るということも日韓両国の将来にとって不幸な事態も招きかねない。特に、現在の韓国の政情からいって非常にむずかしいという面から見れば、やはり大平外相の常に言っておりますように、しんぼう強く、絶えずきちんとした捜査の進展状況を踏まえて、向こうに反省を求めつつ、捜査協力を依頼すると、私はこれ以外はないと思います。決して西ドイツの例が四年かかったから、四年かかっていいと言っていることではございませんので、この問題、対韓国との問題のむずかしさを、西ドイツの場合もこれだけかかったということだけを申し上げたわけでございまして、そのぐらいは当然だということを申し上げているわけでもございませんので、御理解をいただきたいと思います。
  82. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 いままで韓国に対する経済援助、とりわけ資金援助については、きわめて膨大な金額になるはずでありますし、しかも、その中には不正使用されたというような事実も暴露されている。日本の国民一人当たり、子供まで入れますとこれも従来問題になったと思いますが、大体平均三千円ぐらいの負担になっているんですね、韓国に対する経済援助。こうした面を考えてみると、一体日本は何なんだという、一方においてはそういう負担を感じながら、一方においては主権侵害でもまともなことが言えないと、それはいまおっしゃたように、これは力んじゃって、まっ正面からやらないとこうだぞという開き直ったようなやり方ということをわれわれは期待しているわけじゃないわけですね。そこまでにいくまでの間のいろいろなプロセスがぼくはあると思うんです。弾力的にいろんな話をにおわせながら言うという場合もあるでしょう。しかし、いままでの関係考えてみた場合に、ばかをみるのは一体だれなんだということ、これは言わずもがなでありまして、やはり日本国民全体が被害者ということになりはしまいかと、こういう点で私は何としてもやはりすっきりしたそういう解決を早期に望みたいものだということをしばしばこの委員会において申し上げてきたわけなんです。ですから、経済援助にいたしましても、それは政府としてもいろいろな考え方を私はお持ちになっていらっしゃると思います。  それは民間の援助もあるでしょう。政府の援助もあるでしょう。しかし、せめて政府の援助については若干弾力的にいろいろな考え方をその中に導入しながら、しばらく事件の解決までの間には若干凍結をするとか、いろいろな方法が考えられないかというふうに常識的に考えまして、別に報復措置とか、そういうことじゃなくして、何とかその辺も考えられないものだろうか。これもしばしばいままで指摘されてきた問題だろうとは思いますけれども、そういう点についてもやはり表向きあまり力み過ぎてかえって日韓関係の阻害要素になる得るというふうに判断されておりますか。
  83. 水野清

    政府委員水野清君) 御指摘の点でございますが、これまで国会の各委員会で、たとえば対韓の経済援助を即時停止しろというような指御摘がいろいろに先生方からあったことも十分承知をしております。ただ、これだけ申し上げられますのは、この事件が起こってから以降、これまで日本と韓国との間に御承知のように毎年定期閣僚協議がございまして、大体この定期閣僚協議というものがその翌年の対韓援助の大綱を話し合うというような場所であったわけでございますが、これは現実に無期延期というような形になっております。本来は、田中総理、大平外相が訪ソから帰ってみえるまで延期ということになっておりますが、現在の情勢では、来月の中、下旬にもこの定期閣僚協議が開き得るという見通しは立っておりません。また、昨年までの援助にいたしましても、実際にはまだ進行していない部分がたくさんあるわでございまして、場合によっては、その一つ一つに交換公文をかわして援助の細目をきめていくというような問題もありますが、これも現在は全く接触がないという情勢でございます。こういうことは、決して外務省としては韓国に対する経済援助を全面的に停止するということではございませんけれども、事実上この事件を明快に解決をしていただけないならば、日本政府としては国民の手前もあり、国民の世論というものを前にして経済援助、先ほどお話ございましたように、韓国に対しましてはほかの国よりは非常に金額の多い経済援助をしているだけに、今後の進行はむずかしいという気持ちを持っているわけでございます。ただこれを、先ほど申し上げましたように、相手側に強く言うということは、また別の反応が出てまいりますので、向こうもじっくり考えていただければおわかりいただけるだろうという気持ちで考えているわけです。
  84. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 いまの御答弁の中で、次に私、確認しようと思っていた日韓閣僚会議、これはもう方針としては無期延期、こうなったというふうに理解してよろしいんでございますね。
  85. 水野清

    政府委員水野清君) 失礼いたしました。無期延期でなくて、この前の延期をいたしましたのは、来月の、要するに十月までということで、総理訪欧後両者の意見が一致する摘当な時期までと、こういうことになっておりますが、いまの情勢では来月総理の訪欧後も、簡単に開催することは非常にむずかしいであろうと、こういう見通しでございます。まだ方針としてそういうふうになったということではございません。
  86. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 この問題一応、また次の機会に譲るといたしまして、今回の国連総会において、いろんな重要な案件が課題になっているわけでございますが、朝鮮民主主義人民共和国、これに対してもうすでに加盟の意図を単独ですべきじゃないかというような意見もあるようでありますし、また、国連軍の撤退の決議案というようなものについても、相当強く今回の会議を通して、そういうような意向がそれぞれの国から持ち上がっていると、こういう状況を踏まえた上で、一体日本としては、今度の国連総会にこの種の問題に限ってどういう態度でいま現在臨んでいらっしゃるのか、とりわけ国連軍撤退の問題、これについて見解を伺っておきたいと思います。
  87. 中江要介

    説明員(中江要介君) いま開かれておりますニューヨークの国連総会で問題になっております朝鮮問題といいますのは、これは朝鮮動乱の収拾に当たって国連が果たした役割り、それの継続として存在しておりますUNCURKと、言われる朝鮮統一復興委員会、それからいま先生御指摘の国連軍の存在を前提とします休戦協定の問題、そういった朝鮮半島における国際の平和と安全という観点から国連がこの問題を取り上げているとこういうふうに私ども認識しております。したがって、日本政府がこの朝鮮問題に対して臨みます立場も、朝鮮半島における国際の平和と安全という観点からこの問題を考えておるわけでございます。そういう観点からみまして、いま特におあげになりました国連軍の問題をどう考えるかということになりますと、これはいまの三十八度線を境として休戦状態にあります南北両鮮の、この休戦協定の当事者である国連軍というものが一つ、国連司令部というものが一つございます。この休戦協定の一方の当事者である国連司令部をどういうふうに扱うかという問題は、これは国連の中では本来は安全保障理事会の権限に属する問題でございますので総会で、はたしてどこまでの意思を表明し、それがどれだけの実効があるかという法律問題も一方でございますが、日本政府がいま考えておりますのは、南北両朝鮮の間で対話が始まっているこの現状にかんがみて、また、六月二十三日の朴大統領の声明、また、これにこたえる北朝鮮の金日成主席の考え方、そういうものを踏まえて、この朝鮮半島における平和と安全に貢献する、これを乱さないという観点からこれを取り上げたい。で、そういう意味で、国連軍がはたしてそのまま存続することがいいのか悪いのかという問題は、むしろ国際連合が、特に安全保障理事会がその権限の中で、朝鮮半島の、平和と安全の維持のためにその存続なり休戦協定の有効な継続なりがどれだけ重要であるか、こういう判断をすることになると思います。それにわが国も加盟国として貢献していきたいと、こういう考えでございます。
  88. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 つい最近、ニクソン大統領でありましたか、あるいはキッシンジャー国務長官でありましたか、記憶が鮮明でありませんが、実際国連軍とはいうものの、実質的には米軍でありますので、その米軍の撤退については向こう十八カ月以内において全部完了するんだという、こういう表明が出ておりますね。そういう表明と国連との脈絡、そうして日本が一体どう判断していいのかという問題点、これはどういうふうに理解したらよろしいんでございますか。
  89. 中江要介

    説明員(中江要介君) 大韓民国からの米軍撤退につきましては、最近ソウルで米韓両国の国防担当者の間の会議がありまして、その結果、当面大韓民国にある米軍を撤退することはないということがたしか発表されたと記憶しておりますので、いま、ただいまこの時点で米軍の撤退を前提としてものを考えるというふうには私どもはとっておらないわけでございます。
  90. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 そうしますと、たとえそれが米国の意向であろうとも、まああれば、これは日本としても、いままでのいろんな経過がありますので、断わるというわけにもいかない、ただずるずるそれに従うというふうになるのか。それとも、やはり現在、戦争に対する危機というのが遠のいて、平和的な要素というものが、対応条件というものが整ってきた。はたしてそういうような国連軍の存在というものが認められていいのかどうなのか。やはりアメリカとしても、そういう国内の財政問題等も踏まえつつ、この機会に十八カ月ごろをめどにして全部撤退したいと、それは米中、米ソのいろんな関係等も頭の中に入れつつ、そういうような考え方というものが出たんであろうというふうにわれわれとしては判断せざるを得ない。そうした場合に日本として、いつも何かこう、うしろについて、イニシアチブがとれないままに引きずり回されているような印象を受けはしまいかと、むしろこの機会にさらに一歩突っ込んで、国連軍の撤退というものもあわせてこうした国連総会において提唱するというような立場がとられてこそ、初めて新しいアジアの体制というものが確立されていくんではないだろうか。まあしかし、そうは私申し上げましても、政府の基本的な考え方というものはそう簡単には変わらないだろうと、こう思いますけれども、しかし、国際情勢の変化というものには絶えずそれに適応できるかどうかという、それでこそ初めて日本政府としての外交のほんとうのあり方というものがあるのではないだろうかということなんですがね。まあ、時間もありませんからそれを水野政務次官にまとめとして伺っておいて、きょうのところはこれで質問をとめたいと思います。
  91. 水野清

    政府委員水野清君) 御指摘の点はよく理解ができますが、私は、いま朝鮮半島にある休戦ラインというものがございます。先生も御承知のように、この朝鮮戦争の休戦の当事者は、南側は国連軍でございます。この国連軍というものが引いたあと、事実上の休戦ラインというものが、急にここに戦争状態が発生するとか、そういったことは考えられませんけれども、国際的にも、法的にも、この問題をどう処置していくかというような問題がまだ国際間で具体的に議論に乗っておりません。この問題は、私は、日本の周辺の、いま世界的なひとつの緊張緩和という情勢の中でございますが、日本の周辺の情勢について私はそう簡単に考えていけないんじゃないかと、やはり国連軍撤退後の朝鮮半島における情勢というものがもちろん南北両朝鮮で平和統一の話し合いをしておられますけれども、これも私どもは期待はしつつも、いますぐにまとまってどうという形でもないし、それだけに、もう少し情勢を見ながら日本の態度をきめていく、あるいは国連における日本の方針を決定づけていくということのほうが妥当ではないかというふうに思っております。
  92. 星野力

    ○星野力君 まず警察防衛庁にお聞きしますが、政務次官にもお伺いしたいと思います。  警察にお聞きしますが、この金大中事件自衛隊との関係の問題について、これまで報道機関に発表なされたことがございますか。
  93. 中島二郎

    説明員中島二郎君) この関係の記事が一部の新聞に報道されました日に、質問に答えるという形で警視庁の外事二課長が記者会見をいたしております。
  94. 星野力

    ○星野力君 この関係はかなり早く警察としては知っておられたのを、いま言われた取材に応じたというのは昨日のことと思いますが、それまでどうしてこれ、取材に応じなかったわけですか。
  95. 中島二郎

    説明員中島二郎君) 私ども捜査の常道といたしまして、手の内を明かすということは捜査に支障があるわけでございます。特に、今回の事件は重要な事件でございまして、金東雲書記官に対して任意出頭を求めているが協力を得られない、こういう段階において、金東雲書記官調べるにあたって必要な資料というものについては、原則としてこれを秘匿するというのが必要であろうかと、かように考えておったわけでございます。
  96. 星野力

    ○星野力君 この問題については、政府の上層部といいますかね、報告なされておったと思いますが、どうですか。
  97. 中島二郎

    説明員中島二郎君) 具体的にいつだれにということまでは私は存じておりませんが、逐次状況が判明するに従いまして、大臣等にも、私どもの所管の大臣等にも報告いたしております。
  98. 星野力

    ○星野力君 この問題については厳重に秘匿するように、外部に漏れないようにという指示を受けておられましたか。
  99. 中島二郎

    説明員中島二郎君) 先ほど申し上げました一般原則からいたしまして、この問題は積極的に外部に漏らすべきものではないと、かように私どもは認識いたしております。
  100. 星野力

    ○星野力君 あなた方の当事者の判断をお聞きさしておるのじゃなしに、大臣にも報告しておると、上から厳重に漏れないようにしろという指示がなかったかどうかということをお聞きしておるのですが、お答えにならぬだろうと思いますからやめます。  ミリオン資料サービスですか、この探偵社所長、この人は退職時に、いわゆる退職時にはどういう地位ですか。これは防衛庁
  101. 馬場義郎

    説明員馬場義郎君) 陸幕二部の勤務ということになっております。
  102. 星野力

    ○星野力君 兵隊の位はどうです。
  103. 馬場義郎

    説明員馬場義郎君) 三等陸佐でございます。
  104. 星野力

    ○星野力君 三等陸佐退職理由はどういうことですか。
  105. 馬場義郎

    説明員馬場義郎君) 本人から出ております退職理由は、父が発病に伴って家業を継ぎたいということでございます。
  106. 星野力

    ○星野力君 家業というのはその探偵社でございますか。
  107. 馬場義郎

    説明員馬場義郎君) その点は、つまびらかにしておりません。
  108. 星野力

    ○星野力君 坪山晃三という三等陸佐、たしか大学を卒業して自衛隊に入ったということのようでありますが、三十八歳、自衛隊の幹部であり、いわばエリートコースを歩んできた人だと思いますが、そういう人が中途退職し、まことにあいまいな理由で中途退職をやり、まことにちっぽけな探偵事務所を開設するということは、ちょっと考えられないことなんですよ。まあ旧軍時代にも諜報関係、謀略関係、いわゆる特務の仕事のために軍籍を抹殺して民間人として行動するということは多々ありましたし、私は今度の場合もそれに類似のケースでないかと考えております。坪山三等陸佐自衛隊の籍がなくなっているかどうかも疑わしいと思っておるわけであります。  そこでお聞きしますが、自衛隊調査隊というものの予算はどの程度でございますか。大づかみでよろしい。
  109. 島本耕之助

    説明員島本耕之助君) 自衛隊調査隊には、旅費が予算として計上されておりますが、その額につきましてはいま詳細わかりません。わかりませんと申しますのは、資料を持っておりませんので。
  110. 星野力

    ○星野力君 その資料をあとで出していただけないでしょうか。  自衛隊の各セクションには英語の呼び方がついておりますが、調査隊はどういう英語の呼び方をしておりますか。
  111. 島本耕之助

    説明員島本耕之助君) 調査隊には、英語の呼び方は正式にはございませんが、一般に言われておる調査隊としての英語の呼び方は承知しておりません。
  112. 星野力

    ○星野力君 自衛隊というのはみんなございますですね、英語の呼び方。あなた方アメリカなんかに説明する場合でも 調査隊という日本語で言っておられるわけじゃないんですから。私の見た資料によるとカウンターインテリジェンス・コーですか、略称CICと、こうなっておると思うんです。  御承知のようにCICというのは、CIAに対応する機関としてアメリカにもあれば韓国にもあります。諜報、謀略などの特務機関でありますが、調査隊というのもそういうものであろうとわれわれ理解しております。調査隊人たち調査学校で学ぶ、訓練されるというのですが、調査学校の修得科目というのはどういうものでございますか。
  113. 島本耕之助

    説明員島本耕之助君) 調査学校につきましては、実は教育課長が主管でございますので、その詳細は承知しておりませんが、一応語学教育、それから一般的な情報の知識などが教育科目になっておると聞いております。それから調査学校の出身者が調査隊に配属されるとは限っておりません。
  114. 星野力

    ○星野力君 その語学は 英語、ロシア語、中国語、韓国語だと、聞いておりますが、そのほか体術——体術というのは体育の体と忍術の術でありますが、それから変装、暗号などの術についても教育をやっておるんですか。
  115. 島本耕之助

    説明員島本耕之助君) 先ほど申しましたように、その詳細は承知いたしておりませんが、ただいま御質問にありましたような科目はないのではないかと思います。
  116. 星野力

    ○星野力君 調査学校の卒業生は、六、七年間ですが、開校されましてから、八千五百人になっておるということを昨日の本会議でも山中長官から答弁ありましたが、この人たち調査隊はもちろんでありますが、このほか全国の普通隊といいますか、一般兵科の中にもこれは配置されておるわけですね。
  117. 島本耕之助

    説明員島本耕之助君) 先ほどから申しておりますように、調査学校と調査隊とは直接の関係はございませんので、全国の自衛隊に配置されていっておるわけでございます。
  118. 星野力

    ○星野力君 警察にお聞きしたんですが、この探偵社について当然詳しくお調べになっておられると思うんでありますが、探偵事務所の前の借り主は、七年前に警視庁の公安部外事二課に勤務しておられた人だと、そして所長の知人だということがわかっておるそうですが、そのとおりでございます。
  119. 中島二郎

    説明員中島二郎君) ただいま御質問になりましたその前の借り主であるかどうかという点でございますが、これは六年ほど前警視庁を退職した者が営業するために一昨年の七月に賃借りした事務所が、その後営業がだんだん手広くなりまして、器材が多くなって手狭になったので、ことしの五月に事務所を移しております。その直後にこの私立探偵社を始めたいという方から話があって使わないままになっているので使ったらどうかということで、同探偵社にまた貸しをいたしておるわけでございます。
  120. 星野力

    ○星野力君 まあかつて外事課員をやっておったところの前の借り主、その人と知人関係にあるということは坪山所長自身が新聞記者に語っておるところでありますし、私はこのミリオン資料サービスという探偵社は、要するに看板を掲げただけのことであって、仮装の調査隊機構の一部であると、こう考えておるわけであります。昨日来のこの問題についての政府答弁の中には、いろいろふに落ちないことが多いんでありますが、この探偵社金大中事件関係しておったことがわかった経路につきましても、先ほどの御答弁でも探偵事務所のほうから申告してきたと、こう申されておる。ところが、これも新聞記者との会見で坪山所長自身はそれを否定いたしております。警察のほうから調べにきたんだと、こう言っておるわけであります。また、事件直後にこの探偵社金大中氏の張り込みのために雇った個人タクシーから警察がたぐり出したと、この探偵事務所をたぐり出したというふうに考えられる報道もありましたが、だいぶ早くからそのことは言われておった——先ほどの御答弁違うんじゃないですか。
  121. 中島二郎

    説明員中島二郎君) 先ほど答弁したとおりでございます。所長警察のほうから調べに来たと申しておるのは、どういう事情でそういうことになっておるのか、よく存じません。
  122. 星野力

    ○星野力君 まあこの問題についてはいろいろあとで真相が判明することもあると思うんであります。そうした場合に、皆さんの現在までの発言が国会でうその答弁をやった、ごまかしたということになるおそれも私は感ずるんでありますが、そうなると責任問題が起きるわけでごだいますが、その辺も用心してお答え願いたいと思うんです。  念のためにお聞きしますが、金大中事件の起きたホテル、あそこのガードマン関係ですね、これは現在までに事件関係がないか、将来も絶対にないと思われるかどうか、その辺のことをお聞きしたいんです。
  123. 中島二郎

    説明員中島二郎君) 事件関係がないと思っております。
  124. 星野力

    ○星野力君 将来もそういう可能性はないとお考えになりますか。
  125. 中島二郎

    説明員中島二郎君) 現在までの調べ関係がないと思っておるわけでございますので、したがって、将来もそういうことになろうかと思います。
  126. 星野力

    ○星野力君 坪山所長は三等陸佐、東部方面総監部調査隊勤務しておった幹部でありましてこの人が六月初めに退職して七月一日に探偵事務所を開設した、部屋の前の借り主は知人であるところの警視庁の外事関係韓国関係勤務しておった人物である、探偵事務所は所長一人に所員がただ一人、その所員も陸上自衛隊調査隊勤務しておった、これは現職自衛隊員ということでございますね。  それから最初のお客が金東雲、紹介したのも元警察官だということがいわれておりますが、こうなるともう役者はそろい過ぎるほどそろっているわけですね。自衛隊がこの事件関係しておる、あるいは警察関係しておるという点から見ますとこれは偶然ということでは符合し過ぎる点があまりに多過ぎるんです。そうは思いませんか。
  127. 中島二郎

    説明員中島二郎君) 警視庁を退職した者が元外事二課員であるというところから、韓国関係仕事をしておったというふうにおっしゃいますが、この人は韓国関係以外の係の仕事をしておった者でございます。また、金東雲書記官を紹介したということでございますが、そういう事実はございません。
  128. 星野力

    ○星野力君 あるいは紹介なんか必要なかったかもしれぬので、その点は私ちょっとこれは違っておるかもしれませんね。私、前々回のこの委員会で金大中事件について日韓政府の共謀説があるということを御披露申し上げたわけですね、両国政府のある程度の了解のもとでこういうことが行なわれたという見方もあるし、日本の政府機関関係者か、あるいは日本政府の息のかかった右翼分子などがこの事件関係しておると、協力しておると、そういう考え方が相当強く行なわれておるということを申し上げたんでありますが、今度のような事件が明らかになってみますと、そういう日韓共謀説というものも根拠なしとは言えなくなったと思うんであります。  私、そのとき大平外務大臣に、日本側にもいろいろ弱みがあるんで強い態度に出れない、両方が傷のつかないように政治的解決の道を探っておるんではないかということを申したのでありますが、大平外務大臣は、そういう考えはないということ、そういう才覚もないということを言われましたが、こういう事件が起きてみますと、さようですかで済ますわけにもいかなくなった。また才覚という点では、日本の政府は十分にこれは持っておるわけであります。また、重ねてお聞きするようでありますが、こういうことが起きて、お互いに傷がつかないようにという考えから、事件の真実をひた隠しにし、真実追求をあいまいにしながら政治的解決をはかろうとしておるのではないかという疑いをどうしても私たち消すわけにはいかぬですよ、それは。その点もう一度はっきり政務次官お答え願いたいと思います。
  129. 水野清

    政府委員水野清君) 金大中氏の誘拐事件につきましては、これまでもたびたび外務大臣から、当委員会のみならず、両院の各委員会で申し上げましたように、政治的な取引をするとか不明朗な解決をはかろうという気は全くございません。その事実は、警察当局捜査の事実に基づいて、私どもは公明な韓国政府に対する捜査協力という形での交渉を引き続いて行なっていることからも御理解がいただけると思います。
  130. 星野力

    ○星野力君 先ほど日韓閣僚会議のことで御発言ありましたが、日韓閣僚定期会議は、金大中事件韓国政府が日本側の要求にこれは何一つ応じておらないわけでありますが、そのために事態は全くデッドロックにおちいっておる。こういうデッドロックの状態が続く限り閣僚会議は開かれない、こういうふうに先ほどの御答弁を理解してよろしいと思うんですが、どうでしょうか。
  131. 水野清

    政府委員水野清君) 私の申し上げましたのは、日韓定期閣僚協議が、総理、外務大臣の帰国後に、来月の適当な時期に両国政府の合意のもとで行なわれるだろうというこれまでの延期の状態が、いまの情勢では、来月の、これはいまの情勢というのが大前提でございます。たとえば金大中氏を捜査協力で返してもらえるとか、新たな展開があれば別でございますが、いまのような情勢下では来月にも本定期閣僚協議を開催するということは望めないだろう、こういう意味で申し上げたわけです。
  132. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 星野君、時間が参りました。
  133. 星野力

    ○星野力君 わかりました。いまの情勢が続く限り、総理や外務大臣が訪欧、訪ソから帰られても閣僚協議会は開かれない、こういう情勢が続く限り、あなたが言われたようにこれは無期限に開かれる見通しはない、こういうことだろうと思うのであります。  最後に一つ、昨日の本会議で山中防衛庁長官が、自衛隊とKCIAが相互に表敬訪問をやっておられるというようなことを言われたのでありますが、これは毎年行なわれておるのか、どの程度の規模で行なわれておるのか、どういうやり方がされておるのかということと、それから調査学校は韓国に留学要員を送っておられるのかどうか、これだけのことをお答え願いたいと思います。
  134. 馬場義郎

    説明員馬場義郎君) ただいまお話のございましたKCIAとの相互表敬訪問ということではなくて、自衛官として隣国の軍事事情その他を承知するために、防衛研修所の一年の研修が終わったその卒業研修として現地研修に行く者、それから競技大会、体育大会等に参加する場合、その他一般的な軍事情勢視察ということで参ります者、それから韓国国軍の記念日に参加をするというふうなことで、四十六年四十三名、四十七年三十六名、四十八年、いままでに十一名が参っております。  調査学校から留学という事実は承知しておりません。
  135. 星野力

    ○星野力君 最後に。  たびたびお聞きしたことでありますが、金在権公使が、反共法、国家保安法関係事件で、日本国内で司法行為を行なっておる、それに基づいて在日韓国人に召喚状が発送されてきておるという問題ですね。これは事実明らかになったと思います。外務委員会でもたびたび申し上げましたし、この間は法務委員会、また衆議院でもこの問題をわが党の委員からお聞きしておりますが、この問題については韓国側に申し入れるとのことでございましたが、その後どう処理されましたか、お聞きしておきたいと思います。
  136. 中江要介

    説明員(中江要介君) 御指摘のペ・ドンホ氏に対する出席要求書、これは召喚状というふうにいままで考えられておったんですけれども、先日渡辺委員に外務省に御足労いただきまして、そのものの現物を見せていただきましたら、これは出席要求書というものでございましたが、これも韓国の刑事手続上の文書であるということははっきりいたしましたので、そういう出席要求書というものを日本でペ・ドンホ氏に送達したということについて、日本政府は特別の合意も与えておりません問題でございますので、これは韓国の国際法上許されない行為であるということで、ただいま在日韓国大使館に申し入れる手続を進めている段階でございます。
  137. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 本調査に対する質疑は、本日はこの程度といたします。
  138. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 継続調査要求に関する件についておはかりいたします。  国際情勢等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  139. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  140. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
  141. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 次に、委員派遣承認要求に関する件についておはかりいたします。  閉会中、国際情勢等に関する調査のため委員派遣を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  142. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 御異議ないと認めます。つきましては、派遣委員、派遣地、派遣期間等の決定は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  143. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。なお、議長に提出する委員派遣承認要求書の作成につきましては、便宜委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  144. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十九分散会