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国務大臣(
田中角榮君) 事前調整があれば、木材とか、それから大豆の緊急
輸出停止、くず鉄の問題など起こらないんじゃないかと、こういう御指摘でございますが、うまくいっているんです、実際。
アメリカはまあずうたいが非常に大きいですから、そういう
意味で
日本ほど的確にいかないかもしれません。しかし、木材に対しては法律案をもって全面禁止をしようというような提案がされておるわけですが、そうではなく、事前に話し合いをしたために、対前年度の一〇%減でもって話をつけようと。これはまあ
アメリカ政府としては、法律案が三本も出ておるときに、最低
考えても一五%という減でございましたが、木材が上がっておるときにそんなことできるわけはないじゃないですかということで、事前交渉を行なって一〇%という自主規制で話をつけたわけであります。そのかわりに、カナダから入れている場合も、
日本とカナダは
輸出入ぶつかっておりますから、そういう場合ひとつカナダとの間は
日本がよく交渉するように、
アメリカも乗ってもらいたいということで、うまくいっているわけです。大豆に対しては、まあ
日本が少し買い過ぎたという面もあります。一時三十万トンばかりよけいに買ったということで、戻してくれというような問題があったわけです。これはまあ
日本だけじゃなく、ほかの国との問題もあり、大豆の
輸出禁止ということになったわけですが、しかしその後、
日本の在庫の問題とか、八月までは持つということは
数字はよくわかりましたので、九月からは
日本の大豆に対しては特別に出しましょうということになっておるわけでございまして、これは二国間の外交問題から
考えてみると、ちょうど利子平衡税を適用しましたときに、
日本とカナダに対しては特別に
考えましょうと。ただ、新年度の
生産目標が立たないうちはある
程度の規制を発表すると、前提とすると。しかし、特恵を与えなきゃならないような国はそれから早急に解除しようということになっておりまして、大豆の問題に対しても大体愁眉を開ける
状態になっておるわけです。ですから、
アメリカでも、まあ国会の問題とか、いろんな新しい事態に対処して行
政府がやらなきゃならない問題があることは理解できるわけでありまして、
日本の
実情を十分理解をせしめて、
日本の国民に影響が及ばないようにというためにはお互いが努力を続けておるわけであります。
日本にもそういうことはあるわけです。
日本にも同じように、今度逆に、どうもあの
状態では二十五品目ぐらいまで自由化をしなきゃならない。まあ一品目だけやりまして三十二品目になったわけです。ところが、
あと残る農産品に対しましては、これはどうもできるようなできないような、努力をしますと言っておりましたが、その後の
状態から
考えたら、どうも調べてみたらオレンジはできませんというようなことで、こちらも情勢の変化に対応しまして
実情を述べて理解を求めておるわけですから、これは
両国の間で、まあ国民的感情に訴えるようなことがなくて事務ベースで詰められるような
状態になっておるということは、一年前に比べて
相当前進をしていると理解していただいていいと思うんです。
ベトナムの援助との問題とか、これは先ほど申し上げたように
アメリカだけの問題じゃなく、国連を通じて一体どうするのか、第二世銀を通じてどうするのか、アジア
開発銀行を通じてどうするのか。いわゆる新しい機構というものを
日本が提案した場合それを
アメリカものむのか。その場合、ヨーロッパはのむにしても
ソ連との話し合いはどうなったのかという問題は当然出てまいりますから、これは
アメリカ側としても
相当関心のある問題であるとともに、
日本としても十分意思の疎通をはかってまいりたいと、こう思います。
それから対外援助が削減されて、二五%の削減ということが報道されておりますが、これは、そのかわりに
日本が肩がわりするということはありません。これは全くない。ただ、
日本が、DACの平均的な
数字よりもはるかに下回っておるという現状、それから特にひもつきでないアンタイイングの推進という面から見ますと、
日本はちょっとおくれておると。DACの平均
数字が、〇・三二%でありすでに〇・四%になっておるというのに、
日本は、〇・二三%だったものが〇・二%に下がっておる。まあ、これは特異な
状態でもあります。そういうような事態もありますので、これは先進工業国から言えば指摘をされるものもあるでしょう。あるでしょうが、しかし、UNCTADの会議で、
アメリカができないと言われた、この七〇年代末にはGNPの〇・七%まで無償援助を広げたいという声明をしておるわけですから、そういうような事態を前提としながら、お互いに国際機関を通じて援助するものはどうである。また、国際機関というものがアンタイイングということを進めるなら、これは二国間だけでもってできないので国際機関を使わなきゃならぬわけです。ですから、アジア開銀に対しては五〇%の負担を認めるということを実行しているわけですから、そういう問題を述べれば理解はしますし、
日本自体が
アメリカの
国内情勢によって削減されたものの肩がわりを自動的に行なうということではなく、あくまでも独自に、独自な立場で、しかも、国際的なルールまた責務というものを果たしていくという
考え方で対外援助は増大してまいるということの姿勢を明らかにいたしたいと、こう思います。