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加藤シヅエ君
外交の一元化ということをいまの大臣の御
説明で伺っておりますと、所管のいろいろ事柄を持っている役所がやはりある程度の積極的な
外交的な
活動をして、最後の締めくくりを
政府の
外交権を持っている外務省がやるというように承ったんでございますが、私は、そこで少し疑問を感じますのは、日ごろの
外交活動というのは、各国に派遣されております
在外公館の方々が、それぞれの持ち場において十分な情報をとって、これを本国に通報するという、その情報の収集ということが非常に大切なことだと私は思います。そのためにこの
在外公館についてのいろいろな配慮が行なわれるわけだと思います。ところが、今日の
日本の
外交活動がはたしてその任務を十分に果たしておりますかどうか、これは、はかる尺度というものはございませんから、やってるとかやってないとかいうことを一口できめることはできませんけれ
ども、戦前のことを考えてみますと、まあ外務省はたいへんに消極的で、あまりに情報を集める
活動が十分になされなくて、一方、参謀本部がたいへんなたくさんの
予算をもって、人をたくさん
外国に派遣して、情報の収集
活動は参謀本部がやる。また、経済的な情報の収集は商社がやるというようなそんな形になっていて、
日本の
外交というものが少しもほんとうの意味の一元化をしていなかったということが、ああいうような
戦争というところにだんだん持ってくるような不幸なことが起こっていると思います。それはなぜかと言えば、商社なり——あるいは軍部はもちろん
日本にはございませんけれ
ども、商社にしても、自分の商業
活動の利益ということをまず本位に考えて、そして情報を集めたり、あるいは対外的な折衝をしたりするわけで、
外交の問題は、そういうような直接の利害
関係よりも、国全体の利益、そして平和を維持する、それから
日本国という経済大国になったこの国の対外に対する平和を維持するところの任務をほんとうに果たすことができているかどうかということの、この観点に立ってやるわけですから、同じ情報を集めたり、あるいは集まった情報に基づいて
活動しても、そのやり方は違うと思います。
そこで、一つの例をもって
外務大臣に伺いたいのは、先ごろございましたけど、ベネルックス三国から、
日本の電気器具がたいへんにたくさんあちらのほうへ輸出されるので、これに対してはもう少し配慮してもらわなければ困るというような話があったと。ところが、これに対しては通産省のほうと何か折衝されて、何にも結論が出ないで、そのままになって日を過ごした。で、いよいよベネルックスのほうの三国ではもう待っていられないというので、非常に強硬な態度にまた出られたというようなことは、これは私はニュースで知り得たにすぎないことでございますから、その情報がどこまで当を得ているかどうかわかりません。けれ
ども、これは一つの例でございまして、こういうようなことはどうして通産省と接触しているのか。通産省でもってどれだけの責任を持って、このベネルックスが言ってる、こんなにたくさん出してくれちゃ困るからもう少し考えてくれというようなことを言われたときに、これは商取ではなくて、
外交の問題として取り上げられなくちゃならない。通産省という役所ともしそういうことを折衝して、そのままにして外務省が何もそこで発言をなさらなければ、あくまでも
日本の商社の利益を
代表したような折衝になってしまう。そこで、いま
日本の場合には、経済大国としてのいろいろの問題が起こってきて、悪くすれば、
日本が憎まれたり孤立をするような
傾向に押しやられる。そこで
外交というものの重要性というものが起こってくるので、どうも、大平
外務大臣、もう少ししっかりと、全部をひっくるめた
日本の
外交というものをおやりにならなくちゃいけないのじゃないか。このベネルックスとの交渉の経過についても御
説明をいただいて、そうして将来の
外交の一元化ということについてどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、そこを聞かせていただきたいと思います。