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加藤シヅエ君 ただいまの
大平外務大臣の御答弁の中でも、
日本の
援助についてとかくの批判があるということをお考えになって、今後ひもつき
援助はもうやめる決意であるというこのおことば、これは非常に大切だと思います。どうかこれはもう必ずそういう方向で御
指導なさるようにお願いいたします。
それからもう一つは、低開発国の問題、人口の
増加の問題でございます。これは世界じゅう、先進国といえども、この問題に対しては、非常に今日は地球全体の人口が、どれだけ包容できるかということ。これは物資の問題、そしてナチュラル・リソース、天然資源の開発の問題というようなことが、もう底をついているのじゃないか、つき始めているのじゃないか。それから今日の高度の文化生活によって廃棄物というものが、非常にその量を年々増していって、その処分をどうしたらいいか、こういうような問題が、この人口の問題と密接に結びついておりますので、将来の地球全体が、われわれ人類がどうやって生き延びることができるかというような問題にまでこれを突き詰めて考えなければならない大きな、深刻な問題としてこれは考えていただきたいと思います。
日本でもだんだんと御理解をこの節は高めておりまして、
国連の人口
活動基金も、年々
外務省からこちらのほうに
予算をとっていただきまして、ことしは、四十八
年度の
予算では二百五十万ドルとっていただいております。これはたいへんけっこうなことだと思いますが、決して多過ぎるというわけではございませんです。これはどんなふうに使われているか、私はその
内容のこまかいことにまでタッチしておりますものですから、これは非常に有効なお金として使われてまいりますので、今後ともこういうものはもっともっとふやす
傾向で、来年は五百万ドルぐらいいただきたいという要求が出ているということも、どうぞ御記憶願いたいと思います。
それからこれは、ほかの国が非常に寛大にこのお金を出してくれるのでございます。それで
日本でも、経済大国としての割合から言って、やはりこれは相当たっぷりお出しになって、非常に有効に使われるお金であるということを御
承知いただきたいのでございます。
私、いまそこに「世界と人口」という資料を皆さまに御配付——大臣には差し上げなかったか——これは差し上げますから、どうぞごらんになっていただきたいのでございますが、アメリカなんかでも、ニクソン大統領が三年前に人口に関する教書というものを、非常に具体的なものを出しておりまして、それ以来、人口
増加とアメリカの将来に関する
委員会というようなものをロックフェラー三世——この方はもう戦争前のほんとうに初期から人口問題、家族計画に関心を持っていらした方で、この方が
委員長になって、三回にわたる報告を出していらっしゃいます。そしてそれは、一つの結論をそこで出して押しつけるものではなくて、黒人あるいは若い学生、あらゆる階層の人たちのあらゆる意見をそこに網羅して、そしてそれをみんなで検討していって、それでよい結論を出すというようなやり方で、押しつけがましいやり方でないというところに非常に特典があるのじゃないかと思います。
でございますけれども、特にこの問題になっております開発途上の国には、この問題についての
指導ということが非常に大切でございます。これは大切でございますけれども、ややもすると、おまえの国はあまり子供を産み過ぎるぞというように聞こえるみたいで、ちょっと、そういうようなことを言うのも感情を害するのではないかというように、非常にそこのところに注意が必要なんでございます。で、私もそういう経験をたくさん国際
会議でいたしておりますから、それはよくわかるのでございますけれども、今日の段階になりましては、そういうことは遠慮すべきことではなくて、これはお互い地球に生存する人類全体の問題として、遠慮なく考えていかなくちゃならないという観点から、強くこの問題は推進しなくちゃならないと思います。
特に、
日本の立場というものは、これはたいへんいい立場をとっております。それは私がいまここでるる申し上げることは必要ないと思いますけれども、
日本が徳川時代から明治の初期まで三千三百万とか三千五百万とかいう人口で、少しもふえもせず減りもせずというような人口を持っておりまして、それから非常に徐々にしか
日本は人口をふやさなかったわけでございます。そうして、
日本が工業国として立国を始めたそのときの人口の成長率と、それから資本の蓄積力、こういうもののバランスというものが、いつも資本の蓄積のほうが人口の伸びよりも上回っていたということが、
日本の経済的に非常に大きな点だということを人口問題の学者の方々が
説明していらっしゃるわけでございます。これは全く理のあることでございまして、開発途上の国にはこういうことがまだあまり理解できていないかもしれませんけれども、
日本も、そういうところを通ってまいりました時分にはいろいろ苦労をしましたとか、戦争前にはずいぶん産めよふやせよの国策でやりましたけれども、ああいう戦争をおっぱじめてひどいことをいたしましたとか、自分の失敗をも含めて
指導するというやり方が相手国に納得してもらえるのじゃないか。そんなことで、この
国連人口
活動基金とか、それから
日本における特に人口問題、家族計画の技術
指導というものを私は非常に重要視していただきたいと思います。
で、きょう、この
予算のお
説明のこれを拝見いたしましたら、なかなかそういうことについてよく考えていてくださるので、これはたいへん心強いと思いましたが、
日本の場合、開発途上の国から家族計画に関する、あるいは人口問題に関する
技術協力の面で技術
指導する場合には、
海外から
研修員というものが送られてくるわけでございますね。その
研修員というものは、これは非常に大事な役でございまして、人口問題がどうだとか、家族計画がどうだとか言っても、結局、その技術を
指導する人が開発途上の岡でどういうふうに働いてくださるかということによって初めてこれは成果を得ることでございまして、もしそれがなければ、幾ら口の先で理論だけ言ってみても、これはどうにもならない問題でございますね。
それで、いま
日本でセミナーとかグループトレーニングとか、こういうことをやっていてくださいます。なかなか一流の先生方が熱心にやっていてくださいますから、その技術
指導の面では満足を得ていると思います。私もそういうところに参加いたしますので、じかに、来られた方々とも会話をいたしまして、たいへんに皆さんに喜ばれているということを私は知っております。ところが、
日本の
研修員に対する待遇というものは——これは大臣、御存じでございましょうか。たいへんにみみっちい待遇をしているのでございますけれども、これは一体、どういう根拠でこういう待遇をなさるのか。
研修員の方たちは、普通に
研修員としていらっしゃる方たちというのは、それぞれ、送られてくる国のほうでは保健所の所長とか、あるいは大学に学んで博士号を取っているとか、そういうような教育
程度、ある
程度社会的地位を持った方が送られてくるわけです。そういう方が勉強するのでなければほんとうに役に立ちませんので、来る方はそういうクラスでございます。その方々の滞在費というものは、一日十一ドル、三千三百円でございます。で、それは国際センターとかいう——どういう名前でございますか、市谷にございますそういうものにおもに宿泊をしていただくのでございますが、その宿泊所というものは、決してたいへんけっこうな宿泊所じゃございませんで、その宿泊料は一日一千百円、食費が全部で一千円というようなことでございまして、外へ出るタクシー代にもこと欠くようなわけでございます。私は、その宿泊所の部屋も見ましたし、それから食堂に行って食事もいたしてみましたけれども、朝二百五十円、昼三百五十円、夜四百円、同じメニューで、ほんとうに無味乾燥な食事を出されたのでは、一方で一生懸命勉強をしていただいても、休養の時間に、
日本というのは何というけちな待遇をしてくれるのだろうという気持ちが始終
研修員の方々の心の中に起こってくるのではないか。
最後に、結論としてどんなふうでしたかというような話をしますと、結局、この待遇があまりにもつつまし過ぎるので、どうもこれが非常に不愉快であったというような
発言がたいへん多いというようなことを聞いております。これは、ことばを私少し慎んで申しましたけれども、ほんとうに露骨に言えば、
日本に対する反感にさえなっている。そういうふうでもって国へ帰られたのでは、これは友だちをつくらないで、恨みを持った人をまた帰してしまうようなことになるので、これはたいへんにまずいことだ。それがたいへんお金がかかることなら別ですけれども、わずかなことでこんなことは改善できるのでございますから……。
四十八
年度は、
研修員受け入れ事業の
拡充費と・いうようなものをここへ出していらっしゃいますけれども、その
拡充費は
人員だけ
拡充していらっしゃいますね。それで、これは、この滞在費のほうも
拡充なすったのでございましょうか。どうでございましょうか。