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辻一彦君 まあ個人の負担といいましても、それは非常に財産家かどうか私はわかりませんが、これはしかも事実としてそんな簡単なものではないと私は思いますね。
そこで、これから、私は、これがこのままのような形で放任されたとすれば起こり得る懸念について
——過去における事実としては私は確認できないけれども、これから起こり得る懸念について若干申し上げて
考え方を伺いたい、こう思うのです。というのは、
日本分析化学研究所が国際的にもまた国内的にも
分析の結果については高い評価を受けている。
電力会社も
自分の技術者はかなり持っているはずですが、そこでやってみても、それはおまえのところでやったいいかげんな
数字だわと、こう言われればなかなか
周辺の住民が信用されないと。そこで、
分析研ではこうだったという。これを持ち出すことによってこの
数字の権威というものがいま私は裏づけされておると思う。そういう意味で、非常に権威が
内容的にも評価も高い
分析研ですが、逆に、私は、これだけの評価を受けている中で、公の運営やそういうものは別として、その中に古い仕組みが残っておるとすれば、今日、公害源の
企業、
水銀や
PCB排出の
企業からも、あるいは問題に非常になっている
電力企業からも、
お金を集めるとすれば簡単に集められることが私はできると思うのです。たとえば、これはまあ一々
会社の名前をあげることはないと思いますが、浜岡
——静岡県における中部
電力のいわゆる住民をどういうように説得するかというような動き、あるいは
関西電力あるいは
東京電力が、福井県の若狭湾一帯あるいは福島等におけるいろいろな動きを見ますと、たとえば婦人会というのがあります。こういう婦人会の全員をバスで招待をして、お弁当を出して、おみやげをつけて安全だというPRをやる。あるいは学校に申し出をやって、小学校の子供たちが来ると、これに対して鉛筆だとかいろいろなサービスをしている。それぐらいはまだやさしいのでありますが、所によれば、反対をした町村の議員をほかに招待をして、全議員をかかえて出る。町長や村長が、どこへ行ったか議員がおらないといってさがしているという事実も過去にあったわけです。あるいは、ある六十尺七十戸の漁村部落が反対をすれば、六億、七億という、二月平均六百五十万というような
お金を軒並みに並べて、そこへ銀行が預金をしてくれといって二、三日ついている、こういう事実があったということもありました。あるいは反対をしておった自治体が手の平を返したように変化をしてくる。その中には六億、七億、五億という町村振興費というような形でこの
お金が寄付されている、こういうことによっていろいろな住民の反対しておった動きが、ある意味においてはそういう形の説得が進んで様子が変わっている、こういう事実があります。これは、私は、
考えてみると、一カ所にいわゆる発電所を集中すると、いま大きなメリットがあります、
企業のほうからいえば。御存じのように、福井県の大飯、いわゆる日本最大の百十七万キロの発電所では、一号炉の
予算は一千億、これは敷地やいろいろな補償費が含まれます。二号炉になると八百億で、
二つ目からは二百億安くつくと、こういう事実がありますし、八十三万の高浜の発電所を見ると、一号基が六百八十億、二号基は五百三十億で百五十億
二つ目から安くなっていく。だから、よそのほうではいろいろな住民の運動があって簡単に新しい敷地や立地が困難であるとすれば、なるべく確保された敷地に集中すればそれだけでも
企業からいえばメリットがある、こういうことが言えると思います。したがって、前にも私はこの
委員会で申し上げたことがありますが、若狭湾でも
関西電力等は四百五十億ぐらい立地の集中によって新しくつくるよりも安くあげることができる、集中のメリットを得ているのじゃないかと思います。したがって、一割の
お金を使ったって四十億、五十億です。だから、五億、六億という単位で、いまいろいろな形である意味では援助、ある意味では補償、いろいろな形でそういう
お金が出されております。これは、中部
電力、
東京電力あるいは
関西電力に限らぬ。いま四国
電力の動きを見ても、新しい敷地を確保して立地を得るためには、その
企業内にたいへんなそういう意味の犠牲を払っておると思うのですね。こういう状況の中に、
日本分析研というものが中身においてはきわめて権威のある、しかし、その仕組みにおいていろいろな問題を持っているとすれば、もしこの古い仕組みというかつながりというものがよくないほうに動くとすれば、私は、これらの
電力企業から
一つの
企業から何千万であろうと
お金を集めるというようなことはきわめて容易に行ない得る条件があると思うのですね。もしもこういうことがあったとしたら
分析研の
分析結果に一番信用されている、あるいは、
周辺のその結果に信用しているそういう人たちにとっても、国民の安全という点からいっても、私はたいへんな問題であろうと思います。こういう問題をどういうように今後起こり得ないというような保証をし、どういうように改善をし、そして
日本分析研という、一人一人の技術者を見れば、きわめて善意でしかも良心的な科学者のその努力が十分生かされるようにするために一体どうする
考えなのか。私は、ある面においては非常に大きな不信感がいまある、いろいろな問題が起きている、これをやはり拭い去っていくには、改善策として十分な対策が必要であると、こう
考えますが、これについて、これを
監督をし、あるいは、まあ言うならば
委託をしたり、きわめて
関係の深い
科学技術庁としてどうされる
考えか、また、具体的にどうすべきか、そういうことについてお伺いをいたしたい。