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1973-06-29 第71回国会 参議院 科学技術振興対策特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年六月二十九日(金曜日)    午後一時三十七分開会     —————————————    委員異動  六月二十五日     辞任         補欠選任      沢田 政治君     成瀬 幡治君      星野  力君     加藤  進君     —————————————   出席者は左のとおり。     理 事                 船田  譲君                 辻  一彦君                 矢追 秀彦君     委 員                 大森 久司君                 剱木 亨弘君                 源田  実君                 斎藤 十朗君                 森 元治郎君                 中村 利次君                 加藤  進君        発  議  者  矢追 秀彦君    国務大臣        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       前田佳都男君    政府委員        科学技術庁長官        官房長      進   淳君        科学技術庁計画        局長       長澤 榮一君        科学技術庁研究        調整局長     千葉  博君        科学技術庁原子        力局長      成田 壽治君        通商産業政務次        官        矢野  登君    説明員        原子力委員会委        員長代理     井上 五郎君        科学技術庁原子        力局次長     倉本 昌昭君        環境庁水質保全        局水質規制課長  太田 耕二君        通商産業省公益        事業局技術長   和田 文夫君        国土地理院参事        官        檀原  毅君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○海洋資源開発振興法案矢追秀彦君外一名発議) ○海洋資源開発公団法案矢追秀彦君外一名発議) ○海洋資源開発技術総合研究所法案矢追秀彦君  外一名発議) ○海洋資源開発委員会設置法案矢追秀彦君外一  名発議) ○科学技術振興対策樹立に関する調査  (原子力開発及び原子力発電安全性に関する  件)  (地震予知に関する件等)     —————————————   〔理事船田譲委員長席に着く〕
  2. 船田譲

    理事船田譲君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る二十五日、沢田政治君及び星野力君が委員を辞任され、その補欠として成瀬幡治君及び加藤進君が、それぞれ選任されました。     —————————————
  3. 船田譲

    理事船田譲君) 去る六月十四日本委員会に付託されました、海洋資源開発振興法案海洋資源開発公団法案海洋資源開発技術総合研究所法案海洋資源開発委員会設置法案、以上四案を一括して議題といたします。  まず、発議者から趣旨説明を聴取いたします。矢追秀彦君。
  4. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 ただいま議題となりました四法案につきまして、その提案理由並びに要旨を御説明いたします。  今日、世界の人口の急速な増加に加え、国民生活向上産業経済発展に伴いまして、各種資源に対する需要が増大しております。このため、最近、海洋資源利用が世界的に注目され、米ソ仏等先進諸国においては、海洋資源開発について国としての長期計画を立て、多額の研究開発費を投入して、これに積極的に取り組んでおりますことは御承知のとおりであります。  これは海洋資源が人類に残された未開発重要資源であるとの認識によるものであり、投資すれば必ずそれに見合うものが返ってくるであろうとの見通しが、ほぼ確実視されるに至っていることによるものと思います。  四面海をめぐらし、国土の七五%に当たる大陸だなを有し、しかも陸上資源に乏しいわが国としては、海中、海底に眠っている海洋資源開発は、最も重要かつ緊急を要する課題の一つであると思います。  最近における科学技術の急速な発展は、海洋資源開発を可能にしております。しかし、海洋陸上と異なり、特殊な環境にあり、その開発には巨額の経費と広範な総合的技術、さらにはすぐれた人材の結集が必要であります。そのため、わが国としても早急にこれが対策を樹立し、国の施策として総合的、計画的に推進する必要があります。  この四法案は、こうした最近における海洋資源開発重要性緊急性、さらに開発体制のおくれ等にかんがみ、海洋資源開発に対する政府の目標、基本的施策等を定め、それに基づき、開発のための機構整備し、海洋調査開発技術研究及び関連産業育成等を強力に推進しようとするものであります。  以下、法案要旨を簡単に御説明いたします。  まず、海洋資源開発振興法案について申し上げます。  第一に、この法律海洋資源開発推進することによって、わが産業振興国民生活向上に資すべきことを明示し、その達成のため、海洋等調査開発技術研究推進、その成果の利用推進研究機関整備研究者技術者の確保と勤務条件適正化等施策を講ずることとしております。  第二に、海洋資源開発平和目的に限られ、しかも、自主、民主、公開、国際協力の原則に従って行なわれるべきことの基本方針を明示するとともに、政府は、これらの施策を実施するため、必要な法制上、財政上及び金融上の措置を講ずべきものとし、政府が講じた施策及び海洋資源開発進展状況に関し、毎年国会に報告すべきことといたしております。  第三に、機構整備につきましては、海洋に関する調査開発技術研究などに関する事項について企画、審議、決定する最高機関として海洋資源開発委員会を設置することとし、さらに開発技術等研究機関として、政府の監督のもとに海洋資源開発技術総合研究所を、また、実際に開発事業を行なう者に対する資金貸し付けを行なう機関として海洋資源開発公団を、それぞれ設立することといたしております。  第四に、委員会海洋資源開発に関する基本計画を策定しなければならないこととし、しかも、毎年基本計画に検討を加え、必要があるときはこれを修正しなければならないことを定めております。     —————————————  次に、海洋資源開発振興法案に基づき設置されることとなっております三機関に関する法律案について御説明申し上げます。  まず、海洋資源開発委員会設置法についてでありますが、第一に、この委員会は、委員長及び委員六人をもって組織することとしております。委員長国務大臣をもって充てるものとし、委員は両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命することといたしております。  第二に、この委員会所掌事務は、海洋資源開発に関する基本計画の策定のほか、海洋資源開発に関する重要な政策、関係行政機関事務総合調整のうち重要なもの、関係行政機関経費の見積もり、研究者及び技術者養成訓練その他海洋資源開発に関する重要事項について企画し審議し、その決定に基づき内閣総理大臣に対して意見を述べることであります。  第三に、委員会の庶務は、科学技術庁計画局において総括処理するものとし、関係行政機関所掌に属するものについては、その行政機関と共同して処理するものといたしております。     —————————————  次に、海洋資源開発技術総合研究所法案について御説明いたします。  第一に、この研究所海洋資源開発を総合的かつ効率的に推進するため、海洋に関する調査海洋資源開発技術及び機器装置に関する基礎的研究及び応用研究のほか、研究者及び技術者養成訓練等を行なうことといたしております。  第二に、研究所政府及び政府以外の者の出資額合計額資本金とすることとし、さらに必要に応じて資本金を増加させることができることといたしております。  第三に、研究所は、理事長、副理事長理事七人以内及び監事二人以内をもって構成し、理事長海洋資源開発委員会同意を得て、内閣総理大臣が任命することといたしております。     —————————————  最後に、海洋資源開発公団法案について御説明いたします。  第一に、この公団海洋資源開発に必要な資金貸し付け及びその資金にかかる債務の保証並びに海洋資源開発に必要な機器委託開発、購入及び貸し付けを行なうことといたしております。  第二に、公団資本金政府が全額出資するものとし、さらに必要に応じて資本金を増加し得るものといたしております。  第三に、公団は、総裁、副総裁理事五人以内及び監事二人以内をもって構成し、総裁海洋資源開発委員会同意を得て内閣総理大臣が任命することといたしております。  以上四法案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明いたしましたが、何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  5. 船田譲

    理事船田譲君) 四案に対する質疑は後日に譲ります。     —————————————
  6. 船田譲

    理事船田譲君) 次に、科学技術振興対策樹立に関する調査議題といたします。  質疑のおありの方は順次御発言願います。
  7. 辻一彦

    辻一彦君 私、前回の金曜日に途中で質疑が打ち切りになりましたので、引き続いて、美浜原子力発電所事故問題を中心に質問をいたしたいと思います。  まず、その前に、科学技術庁のほうから、六月の二十五日に起こった福島原子力発電所放射性廃液があふれたという事件がありますが、これについて簡単に要点の経過を御報告をいただきたい。   〔理事船田譲君退席、理事矢追秀彦君着席〕
  8. 倉本昌昭

    説明員倉本昌昭君) 福島原子力発電所におきます放射性廃液の漏れの事故でございますが、これは六月の二十五日午後二時四十五分、福島の第一号、二号の原子炉の共用のフィルター・スラッジ地下貯蔵タンク廃液上澄み液ろ過作業を開始しましたところ、ドレン弁の締め残しがありまして、さらに一階床面にあるドレンの配管の一部が詰まっておりましたために、この廃液建物一階の床にこぼれまして、その一部が屋外流出をいたしました。これを同日午後四時三十二分ごろに発見されましたので、そのろ過作業を中止いたしましたわけでございます。  それで、この屋外への流出廃液量は大体〇・二立米程度でございまして、浸透面積は約二十八平方メートル、土地の中へしみ込んでおりましたのが大体深さで約五センチメートル、それから汚染密度最大部分で5.5×10マイナス3乗ミューCi/平方センチメートルというような状況でございました。  こういうぐあいに報告を受けております。
  9. 辻一彦

    辻一彦君 きょうはこの問題、私あまり触れませんが、屋外にこれだけの量が出たというのは初めてのことですし、これは放射能の廃液管理、あるいは廃棄物管理からいえば、たいへんなことだと思います。こういうことがこれから出れば、ますます不安に——PCB、水銀の例を見ても、十年、二十年前にはこういう問題は専門の学者以外はその危険性を知らなかった。しかし、少量でも十年、二十年それがたれ流されて、その結果今日の事態を招いている。このことを考えれば、廃棄物処理をどうするかということは、たいへんな私は問題だと思います。そういうことで、これからこういう事態が起こらないようにどうしていくかということを、当面それをちょっとだけ伺って質疑に入りたいと思います。
  10. 倉本昌昭

    説明員倉本昌昭君) この事故に関しまして東京電力のほうから報告書がまいりました段階で、直ちに通産省のほうと連絡をとりまして、この事故経過、またその詳細の状況について報告を聴取いたしました。また、なお、これに対しての対策等につきましても、東電のほうではさっそくその原因等を突き詰めると同時に、特に汚染をいたしましたその土壌等は直ちにこれをドラムかん等に入れましてこれを廃棄をいたしております。また、なお、パイプが詰まっております点につきましては、なおその詳細等については現在調査中でございます。また、その原因がはっきりいたしましたら、それに対しての処置を早急に講ずるように申しております。  また、なお、今後こういった点のないように、特にこの部門については東電のほうで早急にこれに対する対策を講ずるように申し伝えてございます。
  11. 辻一彦

    辻一彦君 ドラムかんに入れて廃棄といいますけれども、いわゆる低レベルの、工具だとか軍手だとか手袋、あるいはその他のいわゆる廃棄物をセメントに詰めてドラムかんに詰めるのと、これはかなり濃度が違うわけですね。その点について、中レベルというか、かなりな高濃度であるけれども、それをドラムかんに詰めて廃棄をするというけれども、どういうようにするのか、その点はどうなんですか。
  12. 倉本昌昭

    説明員倉本昌昭君) その詳細、まあどのようにいたしましたか、その具体的な点については聞いておりませんけれども、その処理をいたします人たちは、きちんと、そういう汚染物質手等に触れないようにいたしまして、この処置をいたしまして、そのドラムかんに詰めましたものはこれを固体廃棄物貯蔵庫におさめるということで、その詰めましたものについての表面汚染量測定でありますとか、そういった点につきましては、十分その許容限度以下であるという確認をいたした上でその保管をいたしているわけでございます。なお、その報告によりますと、これによって人体等への汚染は全くなかったように聞いております。
  13. 辻一彦

    辻一彦君 低レベルの中身じゃないのですね。これはかなりレベルのものですから、それを、新聞では五十本と、いま何本と言われたか、数十本ですね。この固形廃棄物を、各発電所建物をつくって、そこへドラムかんを並べているけれども、ああいう形で五十本をそこに並べておるのですか。どこに置いておるのですか。
  14. 倉本昌昭

    説明員倉本昌昭君) 発電所から出てまいります一般の固体廃棄物を貯蔵いたします貯蔵庫の中にその保管をいたしております。
  15. 辻一彦

    辻一彦君 じゃ、福島や、あるいは美浜の関電で三千本とか二千本ドラムかんを積んでいますね。そこへ同じように並べているわけですか、それで何も心配ありませんか。
  16. 倉本昌昭

    説明員倉本昌昭君) この表面汚染度、またそのドラムかん安全性等の点から見まして、全く問題はないというぐあいに考えております。
  17. 辻一彦

    辻一彦君 科学技術庁現地へすぐ調べに行ったのですか。どなたか担当官が。
  18. 倉本昌昭

    説明員倉本昌昭君) 二十六日に担当官を、私どものほうの原子炉規制課から検査官を現地に派遣いたしております。
  19. 辻一彦

    辻一彦君 心配がないと、こういうふうに言われることですから、私もまだ詳しいことはわかりませんから、一応これについての詳しい資料を提出していただきたい。ちょっと委員長、はかってください。いいですか。
  20. 倉本昌昭

    説明員倉本昌昭君) 資料は提出いたします。
  21. 辻一彦

    辻一彦君 では、私はその資料提出を待って、また現地も見て、いわゆる再処理工場廃棄物の問題は本格的に論議をしなくちゃならない時期に来ておりますから、その上で詳しい質疑を行ないたいと思います。  そこで、この間の続きになるわけですが、まず第一に、美浜の一号炉発電所蒸気発生器事故を起こしていると、これには二千本のめくらせんを行なうということでありましたが、きのう私一部資料をいただきましたが、これはAとBの二つの蒸気発生器があって、それにそれぞれ事故が起きているということでありますから、A、Bの蒸気発生器に分けて、めくらせんをどういうようにやっているか、内訳と総計をもう一店確認をしたいので、報告してください。
  22. 和田文夫

    説明員和田文夫君) A、Bに分けますと、前回の百十本の分でございますが、これが、Aが七十八本とBが三十二本でございます。合計が百十本でございます。今回、いま計画中の数字といたしましては、Aが九百二十二本、それからBが九百七十七本、合計で千八百九十九本で、前回合計いたしまして二千九本になります。ただ、今回のめくらせんをする数量は、現段階計画中の数量でありますもので、今後若干の変更はあるかもしれません。
  23. 辻一彦

    辻一彦君 若干の変動は、あれですか、ふえる見通しなんですか、減る見通しなんですか。
  24. 和田文夫

    説明員和田文夫君) 減ることはないと思います。ふえることがあっても減ることはないと思います。
  25. 辻一彦

    辻一彦君 それでは、前回ちょっと中途半端になった点がありますので、それをもう一度確認したいと思います。  一つは、十二月の九日に運転を再開しておりますが、その前に渦流測定装置という検出する機械ですね、はかっていますが、最後検査をしたのはいつになりますか。
  26. 和田文夫

    説明員和田文夫君) いま、前回検査をした最後の日にち、ちょっと正確に……。資料を持っておりませんですが。
  27. 辻一彦

    辻一彦君 じゃ、正確にはあとで調べてもらっていいですが、およそいつごろ大体最終の検査をやっていますか。それからもう一つは、三月十五日以降の定期検査で、この装置を使って測定して、ほぼ二千本めくらせんの必要ありと判断をしたのはいつの測定か。
  28. 和田文夫

    説明員和田文夫君) 今回は三月十五日からとめまして、三月二十日から四月の三十日にかけてエディオの測定をいたしております。
  29. 辻一彦

    辻一彦君 十二月は大体いつごろ終わったのですか。その正確な日はあとでけっこうですから、およそ何月ごろだったのか。
  30. 和田文夫

    説明員和田文夫君) おそらく最後のほうは十一月だろうと推定いたしております。
  31. 辻一彦

    辻一彦君 そうしますとね、十一月の下旬ぐらいといいますか、半ばになったとすると、三月二十日までというと、十二、一、二、三と、四カ月ですね。四カ月の間にこの装置が特別進歩しましたですか。何か、新しい装置によって、測定装置が、同じ渦流測定装置でも技術的な進歩があったのかどうか、その点はどうですか。
  32. 和田文夫

    説明員和田文夫君) 昨年度やりましたときは、この前ちょっと申し上げましたが、振幅法という方法を主体にいたしまして、補助位相法を使っておりましたが、位相法のほうが非常に進歩いたしまして、これが、わりに精密にはかれるような技術向上いたしたもんですから、今回は位相法を主として、補助振幅法を使っておる、こういうふうな進歩があるわけです。
  33. 辻一彦

    辻一彦君 技術が、測定装置が同じなら、去年、四カ月前にはかって、四カ月後にこれだけたくさんその損傷、異常があるというのが出るというのはたいへんなことですが、測定装置進歩して、当時はわからなかったものが出てきたと、こういう問題はずいぶんあると思いますが、そういう点を考えて、この四カ月間に蒸気発生器細管損傷というか、あるいは侵食というか、そういうものはかなり進行しておったと見るのか、あるいは前回ははかれなかったのが、今度は測定範囲に入ったので数がふえたと見ているのか、どちらなんですか。
  34. 和田文夫

    説明員和田文夫君) 測定精度につきましては、もちろん向上しているわけでございますが、前回百十本めくらにしたうち、いわゆる切り取り、健全なもので試験のために切り取ったものは十本でございます。ですから、悪くてめくらせんにしたものは百本でございますが、それは、この前申し上げましたように、減肉が七〇%以上のものをめくらせんにしたわけでございます。今回は、前回七〇%以上出なくて今回の測定によって七〇%以上出たもの、それから、わずかではありますが損傷疑いのあるもの、それから、そのまわりにある健全細管等も含めまして、今後の運転安全性運転信頼性等も考えまして、思い切って大量にめくらせんをしたわけでございます。ですから、減肉がある程度は進行はしておるとは思いますが、そんなに、さっき先生がおっしゃった四カ月の間にそれほど進行はしていないだろうと、ただ、前回と今回めくらせんをする範囲を、考え方を変えたと、こういうことでございます。
  35. 辻一彦

    辻一彦君 二千九本めくらせんをやって、蒸気が通らないようにしたわけですね、熱湯が。それで、大体進行はほぼとまると考えますか、やはりまだ続いていくというように考えますか。
  36. 和田文夫

    説明員和田文夫君) 原因原因でございますから、徐々には進行いたすかと思いますが、今回相当思い切って、健全なもの、進行する疑いのあるような場所にある健全なものも、めくらせんをしたわけでございますから、今後につきましては、大体これで漏れることはもちろんないのではないか、こう考えております。ただ、御承知のように、年に一回の定期検査等機会もございますので、そのたびごとに、あるいはその中間でも、機会を見ましてチェックして万全を期していきたい、こういうふうに考えております。
  37. 辻一彦

    辻一彦君 蒸気発生器出力裕度といいますか、余裕度というもの、それはどういうふうになっていますか。
  38. 和田文夫

    説明員和田文夫君) 約三〇%ございます。
  39. 辻一彦

    辻一彦君 その三〇%というのは、もうちょっと詳しく、どういう数字に対して三〇%とってあるのか、それから、めくらせんの、この資料では二〇%になっていますが、それとの関係、その出力における蒸気発生器余裕度について、もう少し詳しく報告してください。
  40. 和田文夫

    説明員和田文夫君) 美浜発電所の一号の出力は、御承知のように三十四万キロでございますが、三十四万キロワットを発生するために必要な蒸気の量は一時間について二千トンでございます。で、これに必要な蒸気発生器のいわゆる伝熱面積が約五千二百平方メートルでございますが、現在使用しています蒸気発生器、これは全部が健全としての話でございますが、約六千七百平方メートルありますので、その点からいって、先ほど申しました三〇%の余裕を持っておる、こう申し上げたわけでございます。
  41. 辻一彦

    辻一彦君 ということは、六千七百平方メーターが、設計上、実際上あると、だから、五千二百平方メーターを必要なものとしてそこから引けば千五百になるから、五千二百に対する千五百は三割、約三〇%と、こういう意味ですか。それは間違いないですか。
  42. 和田文夫

    説明員和田文夫君) そういう意味でございます。
  43. 辻一彦

    辻一彦君 それでは、私の資料にも、盲栓をした数と、それからこれを比べれば十分余裕があると、こういう資料が出ておりますが、これについてちょっと説明してください。
  44. 和田文夫

    説明員和田文夫君) 今回新たに千八百九十九本めくらせんをいたしますと、前回とあわせて約二千本のめくらをすることになります。総数が約八千八百でございますので、八千八百に対しては二二・七%と、こういうことになりますので、まだ少し若干設計上の余裕はある、こういうことでございます。
  45. 辻一彦

    辻一彦君 それは、蒸気発生器は三〇%の余裕を見ているから、盲栓をしたのは全体の二〇%だから——正確に言うと二二・七%、だから、まだかなり余裕がある、こういう意味ですか。
  46. 和田文夫

    説明員和田文夫君) そういう意味でございます。ただ、さっき三〇%と申し上げたのは、先生おっしゃいましたように、必要な五千二百に対して三〇%余裕があるわけでございまして、六千七百に対しますとおそらく千五百が二五%くらいになろうかと思いますので、その分母をどっちにとるかで、ちょっと違ってまいりますが、まだ若干の余裕はあるということを申し上げたわけでございます。
  47. 辻一彦

    辻一彦君 それは非常に大事なことです。そこで、若干の余裕はまだだいぶあるということであれば、理論的には、一〇〇%、三十四万の定格の出力ですね、発電所の。それは出せるわけですか。
  48. 和田文夫

    説明員和田文夫君) 先生おっしゃいますように、理論的には出し得るわけでございますが、今回のめくらせん工事の結果でございますとか、定検の結果等も総合勘案いたしまして、それから、われわれのほうでお願いしている原子力発電技術顧問会先生方の御意見も伺いまして、この後の運転条件を定めたい、こういうふうに考えております。
  49. 辻一彦

    辻一彦君 関西電力は、私たち社会党衆参両院で十一名、いろいろな人を入れて二十名の調査団で二日間見に行ったのですが、現地も、十七日に、同様な、蒸気発生器については余裕があるので出力は理論的には出せる、こう言っておったのですが、この関電の見解はどこから出ていますか。
  50. 和田文夫

    説明員和田文夫君) これは推測の域を出ないわけでございますが、おそらく、さっき申し上げたような理論計算から言っておるのではなかろうか、こういうふうに思います。
  51. 辻一彦

    辻一彦君 関電は、そうすれば、通産省のそういう資料に基づいて計算をしているというわけではないんですね。
  52. 和田文夫

    説明員和田文夫君) 現段階では、まだそういう通産省の資料に基づいて計算をしているというわけではないと思います。
  53. 辻一彦

    辻一彦君 これを売り込んだというか、販売元のウェスチングハウスはどう言っているか、わかりますか。
  54. 和田文夫

    説明員和田文夫君) 今回のめくらをしたあと運転条件につきましては、まだウェスチングハウスの意見をわれわれは聞いておりません。
  55. 辻一彦

    辻一彦君 科学技術庁は、これについてどういう見解を持っておられますか。
  56. 倉本昌昭

    説明員倉本昌昭君) 本件につきましては、通産省のほうにおきまして、工事の認可及びその使用いたします前の検査、それから定期検査等については、これは原子炉等規制法七十三条の規定で、これは通産省のほうに一応ゆだねている形になっているわけでございまして、通産省の報告等を私どものほうに、その結果については一応連絡をとっていただくということになっております。
  57. 辻一彦

    辻一彦君 じゃ、科学技術庁は、独自の分析というか、調査、そういうことをやらずに、通産省が報告すればそれをそのまま、だいじょうぶと、こういう見解ですか。
  58. 倉本昌昭

    説明員倉本昌昭君) 通産省の報告を待ちました上で、私どもとして何か判断をする必要がある場合には、またその点については検討いたしたいと思いますけれども、現在までのところ、そういう点については必要がないということでございます。
  59. 辻一彦

    辻一彦君 この通産省の報告を判断する必要がないと、そのままでいいと思っておられますかね。
  60. 倉本昌昭

    説明員倉本昌昭君) まだ本件につきまして、こまかいところについては話は聞いておりませんし、まだ、逐次連絡はとっておりますけれども、通産省のほうにおかれて厳重な監督をしておられると、こういうぐあいに考えております。
  61. 辻一彦

    辻一彦君 通産に伺いますが、細管の本数と蒸気を伝える伝熱面積というものは大体比例をすると考えていいんですか、どうなんですか。
  62. 和田文夫

    説明員和田文夫君) ある程度の大きさを持った構造体でございますので、正確に比例とは申し上げられませんが、大体比例すると考えていいと思います。
  63. 辻一彦

    辻一彦君 そこで、三〇%蒸気発生器余裕があると言われるけれども、正確に、これは何%になりますか。約三〇%とありますが。
  64. 和田文夫

    説明員和田文夫君) さっき申し上げたような、必要な面積五千二百平方メートルに対しまして六千七百平方メートルあるわけでございまして、千五百の余裕があるわけでございますので、三〇%ちょっと切れるかと思いますが、約三〇%です。ちょっと計算すればわかります。
  65. 辻一彦

    辻一彦君 厳密に言えば二八・八%になりますね、それは。そこで、蒸気発生器が、このいわゆるめくらせんをせにゃならぬ場合を考えて、余裕を三〇%持っておったと。正確に言えば二八・八%ですね。約三〇%と言われる。その三〇%と言われる数字と、細管伝熱面積の減少分ですが、これですね、この二〇%というのは、比較のできる数字ですか。
  66. 和田文夫

    説明員和田文夫君) さっき申し上げましたように、三〇%は、五千二百の必要量に対して約三〇%でございます。それからめくらせんの本数は全本数に対して二〇%でございますので、たとえば、何といいますか、めくらせんをしたあとに比べれば一〇〇に対して八〇になるわけでございます。ですから、分母、分子がちょっと違いますので、さっき申し上げた二〇%と三〇%は直接の比較はできないと思います。
  67. 辻一彦

    辻一彦君 直接の比較のできない数字を並べて十分余裕があるというのは、これは私は非常におかしいと思うんですね。まず、設計上、実際上の蒸気を発生する細管の表の面積が六千七百平方メーターですね。これに細管の数は八千八百五十二本ですよ、正確に言えば。八千八百五十二本ですね、A、B合わせて。それじゃ、その必要な面積五千二百平方メーターに対して、これに比例する細管数は何ぼになりますか、一ぺん計算してください。細管の数は正確には八千八百五十二本でしょう。
  68. 和田文夫

    説明員和田文夫君) いま正確に計算いたしておりますが、私の暗算だと大体六千六百から六千七百くらいの間だろうと思います。
  69. 辻一彦

    辻一彦君 いや、だいぶ数字が違う。簡単だから正確に知らしてください。
  70. 和田文夫

    説明員和田文夫君) 六千八百七十九本でございます。
  71. 辻一彦

    辻一彦君 六千八百七十九本ですか。私の計算では六千八百六十九本。十本違う。これ、計算してください、私がいま計算したのは間違っているかもわからないから。  そこで、私の伺いたいのは、全部で八千八百五十二本、二千九本めくらせんをしたら、残りは幾らになりますか。
  72. 和田文夫

    説明員和田文夫君) めくらせんをしますのは二千九本でございまして、それを引きますと六千八百四十三本でございます。
  73. 辻一彦

    辻一彦君 めくらせんを二千九本して八千八百五十二本から引けば六千八百四十三本、これが健全なやつですね。第一次熱湯が通って、そして蒸気が交換できるという健全なのですね。五千二百平方メーターも必要なのに最小限六千八百、あなたの計算は七十九本。六十九本か七十九本かですが、これはどっちが多いですかね。この数字で、どこに十分な余裕がありますか。
  74. 和田文夫

    説明員和田文夫君) 私が余裕があると申し上げたのは、ちょっと間違いがございまして、さっきの計算は、先生のおっしゃるように六千八百六十九本でございますが、厳密には、二千九本めくらせんをいたしますと六千八百四十三本になりますので、約二十本程度不足になると、こういうことになります。
  75. 辻一彦

    辻一彦君 二十六本足りないでしょう、計算すれば。三〇%という数字と二〇%というのは、一律の数字を並べて比較をして十分余裕があると、こういう結論を出されておるけれども、これはごく簡単な計算をやって二十六本実際足りないじゃないですか。私は、これを見て十分の余裕はどこにもないと思うんだけれども、いかがですか。
  76. 和田文夫

    説明員和田文夫君) 私、ちょっとさっき表現を間違えまして、余裕分はわずかでしょうと申し上げましたが、いまの比例計算をいたしますと、余裕がなくて、むしろ不足が若干生ずる、こういうことになると思います。
  77. 辻一彦

    辻一彦君 あなたはさっき若干って、数字を計算したらだんだんあぶなくなったから、わずかにというふうに、だんだん数字を訂正されながら答弁をされたが、私のところに運転実績、出力経過と、蒸気発生器出力裕度というものについて計算された資料が出ていますね。これは、あなた、こう書いてあるのですよ。最初の御答弁のとおりだ。「蒸気発生器出力裕度について。定格出力三十四万キロワットを出すのに必要な蒸気量は一時間当たり約二千トンで、これに必要な蒸気発生器伝熱面積は約五千二百平方メートルであるが、設計上、実際のものは約六千七百平方メートルで約三〇%の余裕がある。今までの盲栓による伝熱面積の減少は約二〇%で十分余裕の中に入るものである」と、こういう計算をされて、これだから理論的に一〇〇%出すとすれば出るというわけですよ。二十六本足りないのを、理論的にだって、出力が出せるはずがないわけですね。これは、いま、ここの言い回しの問題ではなしに、根本的に比較できない数字を比較して、十分余裕があると、こういうことを私は表現されておると思うんですが、この点はどうですか。
  78. 和田文夫

    説明員和田文夫君) 今回のめくらせん工事につきましては、一ぺんに、さっき申し上げた前回と合わせて二千九本を計画したわけではなしに、だんだんふやしていったわけでございまして、たしか、いまの計画では千八百九十九本追加してやることになっていますが、これが少し前は千六百二十一本の計画でございましたので、その当時の計算をおそらく誤ってそのまま書いたものと思います。まことに申しわけございません。
  79. 辻一彦

    辻一彦君 私のところへ出されたこの資料は、九本は足りぬけれども約二千本と出ていましたね。そして計算をされて、余裕は三〇%見ておるから、二〇%せんを打って細管を使わなくたって十分余裕があると、こういう計算をされていますね。これは私は、初めの数字は変化があったとしても、比較してはならない、比較できない数字を並べて、そして余裕があると言っている。ぼくはたいへんな間違いだと思うんですよ。その点、これは若干の数字の問題ではなしに、当然比較できないものを私は並べておると思うのですが、こんなことをなぜ、権威者がいる通産省や科学技術庁や関電が、わからないのですかね。これは、これで動かすというと、三十四万キロを動かすんですよ。理論的にも動かせないはずなんです、実際的には、もちろん。通産、科学両省庁と天下の関電、これらが寄って、私のようなしろうとが計算しても算術で計算できる数字、こういうものをどういう計算をされているのか、私は理解ができないのですが、まことにこれはお粗末ずさんと言うほかないが、この点、どうですか。
  80. 和田文夫

    説明員和田文夫君) さっきの三〇%、二〇%という表現は、先生のおっしゃるように、ちょっと次元の違うパーセンテージでございます。その点、まことに申しわけございませんが、実際問題といたしましては、先ほど申し上げたようないろんな細管ごとの計算をいたしますので、これは計算をしてみないとわからないわけですが、その結果を待って、それから定期検査の結果でございますとか、前の状態等も見て、実際の運転条件を今後きめていきたいと思いますので、現段階で三十四万キロの運転をするとか、そういうことをきめているわけでは毛頭ございません。
  81. 辻一彦

    辻一彦君 私は、まだ出力を幾ら出すかということは聞いていないんですよ。こんな、比べても比べようのないような数字を並べて、十分余裕があるというような計算をしているところが、そもそも間違いじゃないか。これは、国会において、われわれがしろうとだと思って、こういう答弁というか、資料を出されておるのか、あるいは間違っているのか、どっちなんですか、これ。
  82. 和田文夫

    説明員和田文夫君) 三〇%、二〇%という表現につきましては、先生のおっしゃるように、ちょっと比較しにくい数字でございますので、その点は間違いだろうと思います。
  83. 辻一彦

    辻一彦君 じゃ、余裕度が十分あるというのも間違いでしょう。これはどうですか。
  84. 和田文夫

    説明員和田文夫君) 先ほど申し上げましたように、今回めくらせんをする本数を追加いたしまして二千九本になりましたわけで、その前の段階は二百何本少なかったわけでございます。その当時としては余裕がある数字だったわけでございます。
  85. 辻一彦

    辻一彦君 いや、二百本減らしても十分余裕というような数字じゃないですよ、二百本減らしたって。これはもう、比べられない数字を比べて、三〇%だから二〇%、大いに余裕があると、こういう判断であって、計算のもとがそもそも私は間違っておると思うんですね。だから、十分余裕があるということは、これは私は明らかに違った計算だと思いますが、それはそうじゃないですか。どうです。
  86. 和田文夫

    説明員和田文夫君) 計算方法において、考え方でちょっと違った点があると思います。
  87. 辻一彦

    辻一彦君 表現はそれは御慎重で、けっこうでありますが、明らかにこれは間違いです。それはもう断定して私はいいと思います。これは公益事業局長に一ぺんここへ出てもらってください。いままで委員会に来てもらおうと思っても、いろんなほかの関係でお見えにならない。もうちょっと、こういう問題について私は責任ある答弁を聞かなくちゃならないと思います。  そこで、科学技術庁に伺いますが、原子力局というのは専門のところでしょう。それが、いま関西電力は、もしもこの発電所が動かなくなったらたいへんだといって心配をしている。去年から現実には十万キロワットダウンして動かしておるんでしょう。十万キロダウンということは、三十四万キロの発電所を十万キロ落として、二十四万で長い間動かしたら、たいへんな赤字のはずです。それをやっていることは重大なんですよ、この問題は。それを、通産から出された、まあこの前と同じように、その一覧表を見て御安心になっているけれど、一体科学技術庁には専門家がいないのかと聞きたいのですが、どうなんですか。
  88. 倉本昌昭

    説明員倉本昌昭君) 原子力発電所運転の保守の問題につきましては、これが電気事業法によって取り締まられておるわけでございまして、この職制上からも、そういった点については通産省のほうで責任を持ってそれに対処しておられる、こういうぐあいに考えております。
  89. 辻一彦

    辻一彦君 それだから、通産には気の毒だけれども、これだけ聞いているんですがね。職制上責任を持っておるような計算じゃない、実際は、これを見ると。  私は大臣に伺いたいんですが、原子力委員会や、あるいは科学技術庁の原子力局には権威者がおるはずですけれども、こういう実態をどう思われますか。前回委員会においても、環境審査について、魚の関係、水産資源との関係では重大な誤算があったんでしょう。原子力委員会は、あれは軽微なものだという御判断のようでありますが、いずれ、軽微であるかどうか、もっと詳しいデータで論議をしますが、前回においてもそうですよ。また、いまこの原子力発電所の第一号、美浜号炉出力を大きくダウンする。メンツ覚悟で赤字でもやるならダウンしてやるでしょうが、これはたいへんな問題ですよ。こういう問題について、前回、今回二つを私は指摘してみれば、重大なる計算上あるいは調査上のミスが出ておる。これは一体、日本の原子力行政の最高責任者として、長官、どういうようにお考えになりますか。
  90. 前田佳都男

    国務大臣前田佳都男君) 先刻来の辻先生和田技術長の問答をずっと聞いておりまして、辻先生が非常に深い研究に基づいて詳細に御質疑をされた点、私も感服をいたしましたが、とにかく、先ほど倉本説明員からも申し上げましたように、許可前は、原子炉安全審査会等によりまして、当庁、科学技術庁が主管をいたしておりますことは先生御案内のとおりでございます。許可後につきましては、工事計画の認可、使用前検査定期検査等にわたりまして通産省が一生懸命にやってもらっておると私は確信をいたしております。その点で、あるいは先生御不満というか、先生の御満足いけるような回答ができ得なかったかどうか、それは私も専門家じゃございませんからわかりませんけれども、相当慎重に通産省はやってもらっておると私は確信をいたしておるわけでございます。商業用発電所につきましては、そういうふうに、何もかも全部原子力委員会でみなやるということはできません。その点につきましては、許可後は通産省でやっていただいておるということでございまして、研究炉につきましては、やはり許可後におきましても、私らのほうでその点はいろいろ検査等をやっておるわけでございます。大かた先生も御承知のとおりでありまして、そういうふうな点、ただいまの御指摘の点も、私よく通産大臣にもそういう先生の御指摘があったということをお伝えをしたいというふうに考えておる次第でございます。
  91. 辻一彦

    辻一彦君 これは、満足できるか、できぬとか、説明が十分でないとか、そういう問題じゃないんですよ。専門家がそろっておって、比較できないような数字を並べて、十分余裕があるというようなことを言っていることがおかしいと言うのですよ、私は。それは和田さんも原子力発電所の専門じゃないかもわからない。専門か知らないが。だから、こんなこまかい技術的なことを聞いたって、それは十分だれだってわからないと思いますよ。しかし、こんなことは、常識で私ら考えて、これはちょっとおかしいじゃないかと。まあ、しろうとが考える常識の頭のほうが、むしろこういうことはわかるような問題ですよ。私は、そういうことは満足できる、できない答弁であるというものとは全然別だということで、常識で考えてもこれは十分わかる問題じゃないか。  そこで、いま長官が言われるように、安全審査をするまでは原子力委員会がやる、やってしまったあとは通産の分担だと、こういうことで二つに分かれて二元化していますね、原子力についての問題が。人事を見ても、たとえば科学技術庁の原子力局の規制課長は、この間、通産の原子力発電課長に移っておるでしょう。それから科学技術庁官房長は、少し前に、通産省の公益事業局長に移っている。言うなら、これは、ここまでは自分のところで、ここまでは通産というけれども、まあ一つみたいなものでしょう。それがこういう計算をしておいて、それは通産にまかしておったんだからそっちのほうでというのは、私は、原子力というものの最高の責任にある原子力委員長科学技術庁の長官として、ちょっと納得できない答弁であると思いますね。こんな、そもそも原子力委員会、原子力行政が二つに、審査前と審査後に二元化をされておるところにも、大体こういう問題を起こす可能性が私はあると思うのですが、そういう問題を含めて、どうお考えになりますか。
  92. 前田佳都男

    国務大臣前田佳都男君) ただいま先生御指摘のとおり、人事の面においても交流しておるじゃないかと、あるいはまた、児玉君が向こうの原子力発電課長になったじゃないかと、ほんとうにそのとおりでございます。確かに人事の交流はいたしております。しかし、やはり行政機構というものが、先生も十分御承知のように、やはり分担分担というふうに分かれておりまして、その分担のしかたというもの、機構のあり方というものについても、これは原子力行政じゃなくて、すべての行政にいろいろわれわれも意見も持っておりますし、いろいろな批判もあると思います。しかし、とにもかくにも、現実にはそれぞれ分担が分かれておるわけでございまして、その意味におきまして、先ほどのような御答弁をしたわけでございます。決して、われわれ機構が違うから、それは私のほうの関係したことではございませんというふうな、そんな味もそっけもないような考え方ではございません。しかし、形式的な答弁といわれれば答弁でございますけれども、とにかく機構というものが分かれて、それぞれの分担において仕事をやっておるということも、よく御了解をいただきたいと、これは決して逃げるわけではございません。したがいまして、私は同じ閣僚でございまするから、その意味におきまして、そういうふうな問題、各省庁に分かれて、しかも連携をよくするような問題等についてはよく話をすると、そういう機会もあるわけでございますから、そういうふうにいたしたいということで御了解を得たいと思います。
  93. 辻一彦

    辻一彦君 原子力行政のあり方については、きょうは十分な時間がありませんから、別の機会に、これはまたまとめて論議をしたいと思います。  そこで、関西電力は、私たち社会党国会議員団十一名を含む二十名の調査団に対して同様な説明を十七日になされて、余裕が十分あるから心配はないと、こういうことの御説明があったのですが、これも間違いだと言わざるを得ないのですが、これは、通産のほう、どうですか。
  94. 和田文夫

    説明員和田文夫君) その点、先生方がいらしたときに二千九本の計画がもうすでに考えられていたとすれば、先生のおっしゃるとおり間違いでございます。
  95. 辻一彦

    辻一彦君 めくらせんは千八百本とか千九百本、前のを合わせれば二千本ですね、大体。だから、関電の言っておられたのも、大まかな数字は、何本までは別として、それは変わりはあまりありません。そうすれば関電の御説明も間違いであると、そうするなら、私は政府政府だが、関電も関電じゃないかと思いますね。こういう間違った説明を、社会党の二十数名の調査団に対して、衆参両院の国会議員十数名を含むわれわれに対して、こんな間違った説明をした責任は、関電は一体どうするか。皆さん関電じゃないから直接聞くわけではないんですが、一体こういう誤った説明をした責任は、関電としてどういうふうに処置をすべきであると、その指導官庁として考えますか。
  96. 和田文夫

    説明員和田文夫君) われわれとしても厳重に関電に対して注意いたしたいと思いますが、実際の運転条件をきめるときには、単なる本数じゃなしに、いろいろな熱計算をいたしまして、それからそのほかのデータも参考にいたしまして、さっき申し上げたような顧問の先生の御意見も伺って、実際の運転条件をきめていきたいと思っておりますので、今後の問題に影響することはありませんが、そういう、いわばずさんな説明を先生方にしたことについては重々注意したいと思っております。
  97. 辻一彦

    辻一彦君 次回の委員会に私は関電の代表を呼んで、一ぺんこの見解をただしたい、いろいろな問題を含めて、そう思っておりますから、これはまたあとで、はかっていただきたいと思います。  そこで、以上の幾つかの質疑を通して、関西電力の美浜号炉発電所は、計画出力三十四万キロワットを、理論的にも、また実際的にも、今後蒸気発生器でも変えない限り、出すことはできないということは私は明らかであると思います。そこで、三十四万という計画出力が出せないとすれば、そしてまた、去年の十二月からことしの三月にわたる出力経過を見ると、二十四万で運転していますね。二日間だけ三十万キロワットで動かしましたが、あとは全部二十四万キロ。そうすれば、これはもうきめられた出力が出ないということは、欠陥発電所ではないかと、こう私は考えますが、いかがですか。
  98. 和田文夫

    説明員和田文夫君) さっき申し上げたように、今後出力が幾ら出せるかということは精密に計算してやらなければいけないわけでございますが、いわゆる出力計画より少々減じても、欠陥発電所という——まあ能力が十分発揮できないという点においては、能力的に見ては欠点のある発電所ということにはなりますが、いわゆる欠陥発電所と、こう称するのはちょっと酷じゃないかと、こういうふうに思っております。
  99. 辻一彦

    辻一彦君 それじゃ一体、この発電所を何と言ったらいいのですか。ここに通産が出された十二月から三月十五日までの一号炉運転実績がありますね。最初の日、十二月九日に三十万キロワット出して、翌日から二十四万に落としている。三十四万のを十万落としておるんですね。そして、三月十日に三十万に上げて、十一日に二十六万、あとまた二十四万に落としている。平均して二十四万キロワット、十万キロダウンしてやっているわけですね。そして、その間に百十本のめくらせんが二千本打たざるを得なかったというふうに変化してきた。そして、これは理論的にいっても実際的にいっても一〇〇%の出力の可能性は考えられない。二千本めくらせんを打てばですね。定格を切ることは明らかですね。きめられた出力が出ないのを、どういう名前をつけられますか、この発電所に。
  100. 和田文夫

    説明員和田文夫君) 昨年の第一回の修理以降の運転実績を見ますと、先生おっしゃるように、三十万を出したのは二日でございます。あとは大体二十四万程度の運転をしておりますけれども、そういう点からいけば、出力がフルに出ないという点からいえば、能力的に、何といいますか、欠陥がある発電所ということになりますが、この三十万につきましては、昨年運転を再開いたしますときに、特に温度の高い部分の細管がやられているということで、温度について条件をつけまして、その結果三十万以上は出せないような結果になっておりますので、それで三十四万は出してない、こういう意味でございまして、その制約を、関西電力としては、逆にいえば、守っている証拠になっているわけでございます。そういう事情が三十万以上出せなかった理由でございます。
  101. 辻一彦

    辻一彦君 それは、温度を下げたというのは、めくらせんを打って熱が発散する面積が少なくなったから、安全をとって温度を下げたんですよ、違うんですか。
  102. 和田文夫

    説明員和田文夫君) 事故調査の結果、特に入り口側の温度の高い部分に、同じストラップが細管にひっかかっている部分がありましても、温度の高い部分に非常に見られ、温度の低い部分には見られなかったわけでございます。それで、できるだけ細管減肉をとめる目的で、入り口が三百十度で出口が三百五度でございますが、その出口温度まで入り口温度を下げて運転するような指示をいたしまして、その結果三十四万キロがフルに出ない、三十万キロしか出ない、こういうことに相なった次第でございます。
  103. 辻一彦

    辻一彦君 いずれにしても、その説明で私は納得するわけじゃないんですが、時間の点がありますから次に進みますが、とにかく定格の三十四万キロワットは、理論的にも、二千九本のめくらを打つ以上は出ない。この数を減らせば別ですよ。しかし、さっき、ふえても減ることはないというお話でありますから、この細管数はふえることはあっても減ることは普通はない、こう考えなければならない。そうすれば、この出力をいつごろ一体どのぐらいにきめるお考えですか。
  104. 和田文夫

    説明員和田文夫君) 今回の定期点検が終わりまして、その運転再開にあたりましては、定期検査の結果でございますとか、その際行ないます使用前検査の結果、あるいは原子力発電顧問会の先生方のその結果に基づく御意見を伺いまして、総合的に判断して、七月中旬ごろに今後の運転条件といいますか、使用条件といいますか、そういうものをきめていきたい、こういうふうに思っております。
  105. 辻一彦

    辻一彦君 そこで、こういう欠陥発電所——それはいろいろ表現があるでしょうが、いいことばがあれば教えてもらってそれを使いますが、なければ欠陥発電所、これで私は言います。これを抱えておれば出力が大幅にダウンする、そうすれば電力のコストが高くなるはずなんですね。したがって、出力を一〇%、二〇%、三〇%、四〇%ダウンした場合に電力のコストはどうなるか、これはひとつ、あと資料として提出をしていただきたいと思いますが、それはいいですね。
  106. 和田文夫

    説明員和田文夫君) 美浜発電所の一号機のいわゆる発電原価についてはお出しできると思います。さっき先生のおっしゃったような条件でどういう変化をするかということはお出しいたします。
  107. 辻一彦

    辻一彦君 そこで、いま若狭湾で三つ原子力発電所が動いております。六つが建設中、九基あるわけですね。これは御承知のとおりですが、問題の美浜は、一号炉は三十四万、二号炉は五十万、これは動かしておりますね。去年いろいろな故障で、とめたりしておりましたが。三号炉は建設中、八十二万、合わせて美浜だけで百六十七万キロワット。高浜の発電所は、一号、二号炉八十二万六千、合わせて百六十六万キロワット、これもほとんど一号炉は建設ができておる。大飯発電所は一、二号炉百十七万五千キロワットの二つで二百三十五万キロワット、言うなれば、関西電力だけで五百六十八万キロワットがいま稼動もしくは建設中ということになっておりますが、こういう建設状況の中で、十分な実験あるいは自主技術の積み上げ、こういうものが十分に育たない中で、ただ電力会社が要請をすれば、それにこたえてスケールアップしていく、こういう暴走的な開発のあり方を原子力委員長としてどう考えますか。
  108. 前田佳都男

    国務大臣前田佳都男君) ただいまの御質疑でございますが、そういう安全性とか、そういうことをよく確認しないで原子力発電開発を急ぎ過ぎるのではないかというふうな御指摘だと思います。しかし、われわれは、先生にいろいろ御満足いただけない点があるかと思いますけれども、とにかく安全性につきましては原子炉安全審査会というものを設けまして、これによって、原子炉規制法等に準拠して、その許可をするにあたりましては十分にその安全性というものを確保してやっておるつもりでございます。また、許可後につきましても、工事計画の認可、使用前検査定期検査を、これも通産省において専門的に一生懸命やっておるわけでございます。また、環境問題につきましても、これも、従来は地元の知事の意見を聞いておりましたが、今後さらに地元のなまの声を聞きたいということで公聴会にも踏み切るということで、いろいろそういう安全、環境問題のすべてにわたりまして、進歩がおそいのではないか、もっとスピーディーにやるべきではないかと、発電の開発のほうが早過ぎるのではないかという御指摘だと思いますが、われわれも一生懸命、ただ発電所だけ急いでいるわけではございませんで、こういう点に鋭意努力をしておるということも、ひとつ御理解をいただきたいと思うのでございます。
  109. 辻一彦

    辻一彦君 この関西電力、若狭湾に、私が計算すると五百六十八万キロワット、一キロワット八万ないし十万の投資とすれば、五千億の投資がいまこれで行なわれておると見られるのですね。それから、こういう欠陥の原子炉発電所をかかえる、そしてこういう形で暴走的な大規模な開発をやっている。こんなことが電力料金引き上げの有力な原因になっているとお考えになりませんか。通産、どうですか、その点。
  110. 和田文夫

    説明員和田文夫君) 電気料金につきましては、いろんな、先生承知のような、原価要素がたくさんございまして、最近は、特に公害対策等に伴います低硫黄燃料の値段が非常に上がっておるとか、あるいは一般的なそのほかの公害対策設備費も上がっていると、こういうことが主因でございまして、この原子力発電開発が電気料金引き上げの主要な原因と、こういうふうには思っておりません。
  111. 辻一彦

    辻一彦君 関西電力の若狭湾における五千億の投資計画資金計画、これを資料として提出さすことができますか。いかがですか。
  112. 和田文夫

    説明員和田文夫君) 発電所の建設費という意味では御提出できると思います。
  113. 辻一彦

    辻一彦君 予算じゃなしに、資金計画。どういうようにしてこの五千億の資金を調達をし、どうしているかという、その内容について、いかがですか。
  114. 和田文夫

    説明員和田文夫君) これは非常に長い期間にわたる工事でございますし、それから、関西電力といたしましては、ほかの工事もやっておりまして、そっちのほうにも多額の資金を要していますので、その全体の資金計画というものは、まあ実績なら出ますが、将来計画がはっきりいたしておる資料はないと思いますが、発電所の建設費、個個の発電所のプロジェクトの実績、あるいはいま建設中のものは、まあ、予想になりますが、こういう意味では御提出できると思いますが、いわゆる資金計画となりますと、発電所だけで資金計画というものはちょっと立てられませんので、ちょっと無理だと思います。
  115. 辻一彦

    辻一彦君 可能な資料を一ぺん提出するようにしてください。次回に、完全にしていただいて、一ぺんいろいろな論議をしたいと思います。  そこで、あと七分で、かけ足でやりますが、私は、自治体に、原子力安全管理とか環境管理とかいうのが、各県に、あるいは原子力発電所の所在地の市町村にできております。これは民主的な安全管理だと、こういう名前ですが、住民の不安を、私は、ある意味では、おおい隠す隠れみのの役割りを果たしているような感じもします。たとえば、福井県に福井県原子力環境安全管理協議会というのがありまして、五十名の名士が顔をそろえておりますが、中身は、電力会社の言うことをうのみにするような機関になっておる。その中に二人の京都大学の先生、専門家がおられますが、これも、たとえば美浜蒸気発生器事故に、こういう見解を示されておる。たいへんな見解です。  去年の六月二十四日、一回目の事故があったとき、この福井県の安全管理協の顧問である京都大学のある先生は、二枚にわたる見解のメモを出されておりますが、抜粋してみますと、「今回の事故事故と云わず、むしろ小さな故障と考えるべきである。」と、こういうふうにして、そして「細管の本数には設計段階で相当余裕をもたせている。通常、一〇%程度の細管に栓をしても、熱交換器の機能を失なわないようになっている。」と。これは一〇%か二〇%、三〇%は別として、そのあとに注がついているのですが、「美浜発電所の場合、蒸気発生器細管本数は約」——Aで約四千本という意味で、両方合わせれば八千本ですが、「四〇〇〇本であるので、このような故障は発電所の全寿命の間に四〇〇回程度許せる」、こういう見解を県の安全管理協なるものに発表されておる。それから、いろいろありますが、全部は読みませんが、さらに美浜発電所で「故障箇所の発見、その対策等のため、一ケ月近く運転を停止することは、電力という国民の基幹産業にとってはむしろ困った問題である。」と。これはまあいいですが、次ですね。「今回の経験を生かして、今後このような軽微な故障に対しては、速やかに運転再開ができるように要望したい。」と。これが専門家の見解なんですね。この発表のあとに六カ月美浜発電所はとまって、三月たって、またとまっておる。そして欠陥発電所と言わざるを得ない状況になっている。大学の先生が——私は個人を誹謗するわけじゃありませんが、こういう御見解によって、それぞれの県や市町村の住民は安全だという、そういう安心感を持っておるんですが、こういうことについて、地方自治体、通産、科学技術庁は指導する立場にあるわけでありますが、どういうようにお考えになるか、一分間程度でけっこうでありますから、ちょっと伺いたいと思います。
  116. 成田壽治

    政府委員(成田壽治君) 地方の放射能管理協議会等につきましては、われわれは、県なりあるいは市町村、地方団体の自主性に——つくるかつくらないかという、どういう構成でつくるかというのは、まかせておりまして、ただ、できた以上は、われわれもいろいろな点で援助あるいは指導もしておりますので、まあ、そういう今度の京大の先生の見解等については十分検討しまして、県ともよく相談をしてみたいと思っております。
  117. 辻一彦

    辻一彦君 これはひとつ、通産、科学技術庁とも、よく行政指導して、こういうような見解が、この安全であるという判断のもとになっては私は住民のためにも困ると思うんです。強力な指導をお願いしたいと思います。  最後に、公聴会ですが、私は公聴会の個々については触れませんが、この一号炉事故を見ても、美浜事故を見ても、二号炉以下にどういう問題があるかということについて、この不安を地区の住民が持つのは私は当然だと思う。だから、かりに一号炉が住民の反対があっても、公聴会開いて一回やって、その一号炉は認められたと、建設計画としても二号炉以下はもう必要はないというのが今度の原子力委員会の開催要領の中身です。サイト主義、いわゆる地点主義といいますか、敷地主義をとって、一回公聴会をやったら、あとはやらないという仕組みになっておりますね。この事実を見れば、もう福島にしたって、福井にしたって、あるいは東海にしたって、一号炉があったって二号炉にいろいろな不安や問題があるのは当然。こういう住民の声を聞いて、当然公聴会を開くべきであると私は思いますが、その見解について、いかがですか、簡単でけっこうですから。
  118. 井上五郎

    説明員(井上五郎君) 公聴会につきましては、以前、五月の二十二日でございましたか、委員会で方針をきめまして、公聴会をかくかくの場合には開くと、その開くという方針はきめましたけれども、細目につきましては、ただいま検討中でございます。細目がきまりましたらば、いずれ発表はいたしたいと思いますが、同一地点について必ずしも開かないとはきめておりません。新型である場合、大型である場合、特に集中の場合と、こういったような場合には委員会としては公聴会を開く。また、地元を代表する御要望があれば県知事を通じて御要請に応じたい、かように考えます。
  119. 辻一彦

    辻一彦君 まあ三時に私はどうしてもほかの委員会に入らなければならないので、これでとめますが、知事が必要と認めるとか、要請するとか、大体知事はそんな住民の声で要請していないのが多いんですよ、ほんとうは。だから公聴会が急がれる。だから、住民の要求があれば少なくも公聴会を開くというように、原子力委員会の公聴会開催要領を改正をしていただきたい、このことを要望して、時間がありませんからこれで終わります。
  120. 矢追秀彦

    理事矢追秀彦君) 速記をとめて。   〔速記中止〕   〔理事矢追秀彦君退席、理事船田譲君着席〕
  121. 船田譲

    理事船田譲君) 速記を起こして。
  122. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 初めに、今回行なわれました中国の水爆実験についてお伺いいたしますが、現在まで、おそらく観測がされておると思いますが、その範囲におきまして、今回の実験の規模はどの程度であったか、その点についてお伺いしたい。
  123. 成田壽治

    政府委員(成田壽治君) 中国の第十五回の核実験が発表になりまして、外電等で確定しまして、それで六月の二十八日、きのう午前に、科学技術庁におきまして放射能対策本部幹事会を招集しまして、各省の関係者を集めて放射能対策の協議を行なって調査態勢に入ることを指示したわけであります。それでさしあたっての調査としましては、一万メートル程度の高空の浮遊じんの調査につきまして、三カ所の防衛庁の飛行場から、きのうの四時以降におきまして、高空浮遊じんの放射能調査を行なっております。それで、きのうの四時の時点におきましては、まだジェット気流が日本に——まあ九州あたりにはきょうの午前八時ごろということで、東京にはきょうの午後一時ごろに影響が来るんじゃないか。これは一万メーターぐらいの高いところに対する影響でありまして、地上に落ちてくるには、平常時においては二、三日かかるんじゃないかということになっており、雨があったりしますと早まるということもあります。そういう意味で、いまはむしろ、中国の核実験の影響が来る前の時点の、いま高空浮遊じんの調査をやっておりまして、きょうあるいはあしたあたり、そういう高空における影響が出てまいる。そうして二、三日たった時点におきまして、地上に対する影響が——これは各府県、二十九の都道府県に調査を依頼しておりますので、対策本部の事務局である科学技術庁に対して影響報告がなされることになっておりますが、いまのところは、まだ影響の実態が、調査の対象になっておらない時点でございます。
  124. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 そうすると、きょうの午前にはある程度の影響が出ると言われていたのは、現在のところはまだ報告がないわけですか。かなりもう時間がたっておるわけですが、九州あたりではある程度の影響があると思うのでありますが。
  125. 成田壽治

    政府委員(成田壽治君) きょうの午前十一時に、九州の築城の飛行場から飛び立った防衛庁の西部地区調査担当のF86Fが、上空におきまして、パイロットの飛行服を調べましたところ、上腕部ぐらいより八〇〇CPM——平常時は五〇CPMでありますので、平常値よりかなり高い値の放射能を検出しております。詳細はまだ入っておりませんが、このたびの核実験の最初の調査結果が、きょう午前十一時の高空飛行の調査によって検出されております。
  126. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 その、いまの高空調査の内容ですけれども、大体普通はどのような方法でやるようになっておるわけですか、いま何か服のところについたという話ですけれども。
  127. 成田壽治

    政府委員(成田壽治君) 防衛庁の飛行機に集じん器を積みまして、そして翼にガムドペーパーをつけて、それによって調べるわけでございます。
  128. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 それと、いまの服というのはどういうことですか。ちゃんと測定の方法はきまっているわけでしょう。それでやった結果、いまの八〇〇CPMというのが出たというならわかりますけれども、その辺、どうなんですか。
  129. 成田壽治

    政府委員(成田壽治君) 飛行機に対して集じん器を載せて、翼にガムドペーパーをつけまして、その結果は、飛行機がおりてきまして、東京で調べて分析した結果でないとわからないのでありますが、いまわかりましたのは、パイロットの飛行服についた放射能をサーベイしましたところ、八〇〇CPMが検出されたということでありまして、正規の調査——集じん器の調査は東京で分析してみないとはっきりわかりませんのであります。
  130. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 私が言わんとするのは、別にそれがインチキとかなんとかいうのじゃなくて、そういう正式の方法でまだ出ていなければ出ていないとすべきであって、やたらに……。自衛隊の人の服についたというのは、どうしてついたのですか。何メートルで飛んでたのですか。大体ジェット機の中だったらつかないはずですけれども、どうして服の上にそういう放射能汚染があったと考えられるわけですか。いいかげんな非科学的なことでは困るのです。
  131. 成田壽治

    政府委員(成田壽治君) パイロットの上腕部の八〇〇CPMというのは、先ほどの集じん器による正規の調査の結果ではなくて、これはエアタイトでないといいますか、空気が入るような構造の飛行機でありますので、パイロットの上腕部にそういうのが検出されたということでありまして、これは飛行機がおりてきた場合にはそういう点も確認することにはなっておりますが、それは正規の調査体制としては集じん器による分析が正規でございます。平常時の五〇CPMよりも相当高いものがありましたので、多少影響が出たんじゃないかと、浮遊じんが日本の上空に出ているということは、最初の確認としてこれでわかったということでありまして、正規の分析の結果ではないのであります。
  132. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 もちろん、過去の中国の核実験でもある程度の汚染があることは過去のデータで明らかですから、私は、何もないものを故意につくったとは絶対言いませんけれども、しかし、いまのような、そういう局長の答弁だと、非常にずさんだと思うんですね。やはりきちんとしたデータを発表されてからやるべきだし、そういう、自衛官の被服を調べるというふうになっておるならそれでいいわけですけれども、何か、そこだけちょっと調べて、あるぞなんて言ったら、むしろ非常に、何といいますか、妥当性を欠くと思うんですけれども、何もそれが事実であるとかないとかは別として、いつもそういうふうな方法でやっているわけですか。いままでちょっとそういうの、聞いたことがなかったんですが。
  133. 成田壽治

    政府委員(成田壽治君) いままでもパイロットの服装等は調べておるんでありますが、従来は、そういう形での異常値というのが検出されたことがないので、発表したことはないのであります。今回は、そういう、調べることになっておりますので、調べた結果が八〇〇CPM出ましたので、ここでちょっと申しておいたのでございます。
  134. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 あまり人をおどかすような発表をされては困るわけですがね。これ、五〇と八〇〇とでは、だいぶ大きいですからね。  今回の中国の核実験、いろいろ言われておりますが、現在の各国の推測でいった場合、いままでの過去の経験からして、大体どれぐらい出ると考えられますか。
  135. 成田壽治

    政府委員(成田壽治君) 今度の核実験の規模でありますが、アメリカ側の発表では、推測によりますと二・五メガトンということにもなっておりますし、それからインド側の発表によりますと、一ないし二メガトンということで、その点も正確ではないんでありますが、二・五メガトンということになりますと、従来にはない大きな規模であります。しかし、その影響がどういう形で日本の放射能調査にあらわれるかというのは、いろんな条件の問題もありまして予測できない、むしろ、この調査体制の結果を待たないとわからない、予測できないと思います。
  136. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 いや、私の言っているのは、過去の中国の核実験のデータがございますね、それでいくと、今回二ないし三メガトンであるとするならば、どれぐらいの放射能が、雨の中あるいは粉じんの中、そういった中に出てくるかどうか、そういう質問をしているわけです。
  137. 成田壽治

    政府委員(成田壽治君) 単なるメガトンだけの規模だけでいろいろ推測できないんでありまして、爆弾の種類等、それから爆発を行なった高さ、高度がどうであるかとか、いろいろな条件によって違うのであります。従来、第十一回の実験では、これは三メガトン級というふうに言われておりますが、これは高空浮遊じんの最高値は三一ピコキュリー・立方メーター、これは北部、一万二千メーターのところで、一九七〇年の十月十五日に検出されております。しかし、第十四回の実験は二百キロトン級と、非常に、規模としては大きくない、小さいんでありますが、最高値は一〇三〇ピコキュリー・立方メーター、これも北部、一万一千六百メーターでありまして、規模等々、放射能の影響の相関関係というのは、非常に種類あるいは高さ等のいろんな条件によって違いますので、推測できないと思います。
  138. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 現在の観測体制でありますけれども、一応いろいろでき上がっております。諸外国と比べまして、わが国かなりの観測所の数もふえておりますけれども、いままでの過去の例からいいまして、いまの体制で、はたして十分なのかどうか。特に、先ほどからのそういう御答弁だと、非常に、何かずさんなような気がするのですけれども、その点はいかがですか。
  139. 成田壽治

    政府委員(成田壽治君) 放射能対策本部による調査体制、これはいろいろな形のものがありまして、一つは、先ほど言いました、高度約六千から一万二千メーターでの高空浮遊じんの調査を、防衛庁の飛行機を中心に毎日数回行なっております。それから第二番目は、モニタリングポスト、これは常設しておりますが、気象庁二カ所、それから十六都道府県でモニタリングポストによる空気中の影響を調べております。それから第三番目は、地表の浮遊じん、地表の浮遊じんにつきましては、気象庁と放医研が、これも連日実施しておるわけであります。それから第四番目は、雨水とか、落ちてきた落下じんの調査については、二十九の都道府県、気象庁十三カ所及び放医研においてこれを毎日実施しております。それから核種分析につきましては、気象庁、農林省、防衛庁及び放医研等において、いろいろな化学分析あるいは機械分析を行なっており、われわれは、この放射能の調査体制は相当完備された体制であると、そして放射能対策本部幹事会を中心として、一元的な命令下において、調査期間中は相当厳重な調査体制をとっておるというふうに思っております。
  140. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 先ほど言われました、パイロットのほうは出ましたけれども、あとのほうがまだ出ていないといいますけれども、何時ごろ出るのですか。
  141. 成田壽治

    政府委員(成田壽治君) あした午後以降になりますと、調査結果が対策本部幹事会にだいぶ集まってまいるものと思います。
  142. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 午前十一時とさっき言われましたですね。きょうの午前十一時にとったのが、あしたの午後でしょう。だいぶおそいと思うのですけれどもね。パイロットの服のほうがすぐ出て、肝心のほうがまだ出ないとなれば、もし強烈な放射能があった場合、もう一般の国民がかかっちゃったあとで、すごかったということがわかるわけですよね。その辺のスピード化は絶対できないのですか。どういうふうな理由で、あしたの午後になるのですか。
  143. 成田壽治

    政府委員(成田壽治君) 非常に現在悪天候でありまして、飛行機が予定のところにおりられなくて、計画していないところへおりたりして、集めた試料が集まるのがちょっとおくれております。それで、さっきの飛行服の件は、これはその現場で調べまして、電話連絡で入ってまいりましたから、すぐわかっておりますが、試料の集まりが、ちょっと天候のぐあいでおくれておるということのようであります。
  144. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 いま、試料の集まりがおそいと言われますけれども、どういう状況ですか、ちょっと私納得できないのですけれどもね。飛行機に何かつけていっているわけでしょう。そうして、その粉じんをとって持っておりるわけでしょう。おりてからどこか遠いところへ運んで、それから検査するのですか。
  145. 成田壽治

    政府委員(成田壽治君) 飛行機が飛行場におりまして、その試料を集めまして、東京の防衛技術研究所に、東京の一カ所に集めて、そうして分析計測をやるわけであります。したがって、さっきの飛行服の話も、核種は何であるかとか、そういうことは全然わからないわけであります。
  146. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 それは、どうして防衛庁の研究所へ持っていかなければいけないんですか。たとえば、九州で飛ばして、そのとったものは九州で調べることはできないんですか。どういうふうな機構になっておりますか。要するに、きょうの状況を説明してほしいんですね。午前十一時に自衛隊のほうに依頼をして、何機飛ばして、それはどういうふうに収集して、そのものがどう集められて、どうなっておるのか、きょうの状況ですね、落ちついてやってけっこうですから。
  147. 倉本昌昭

    説明員倉本昌昭君) 現在の時点におきましては、昨日から防衛庁におきまして航空機を飛ばして、そのサーベイをやっているわけでございますが、それで、昨日の四時、それから本日十一時、これは西部におきまして——。現在、防衛庁のほうは、西部と中部と北部と、この三カ所から、通常その飛行機を飛ばしまして、その各地域におきます浮遊じんを集じん器並びにガムドペーパーで集めまして、これをそれぞれの基地から東京へ運びまして、東京の防衛技研でこれを分析を行なうということになっておるわけでございますが、西部で昨日集めましたものにつきましては、上部の天候が悪かったために、築城から入間へ、まずこれを空送いたしたわけであります。それで、入間からこれを東京へ、これは陸路で、自動車で持ってきておる段階でございます。そういうことで、今回のこの空におきます浮遊じんの分析というのが、現在若干手間どっておるということでございまして、あとなお、中部地区、それから北部地区におきましては、中部におきましては天候が悪いので、現在のところまだ飛んでおらないという状況でございます。それからなお、雨水等につきましては、昨日から気象庁等におきましてこれは集めておりますので、これの分析等につきましては、データが出次第、今後科学技術庁のほうへ報告がある、こういうことになっております。
  148. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 こまかいことを聞いて恐縮ですけれども、その入間から東京までは、陸送でどれぐらいかかるんですか。ちょっとはっきり言ってほしいんですよね、ごまかさないで。要するに、きのう西部、北部、中部に頼んで、飛行機は何機飛ばしたか知りませんが、飛ばしたわけでしょう。それで、天候が悪いんでおりられなくて、要するに、何時に飛行機が飛んで、どのぐらい回ってとって、どこへおりて、それからそのものをどう空輸して、何時に防衛庁研究所へ着いて、これを分析して何時に発表、こういう、いわゆるコース、きちんと言っていただきたいんですがね。掌握できていないなら掌握できてないで、しようがない。ただ、今回の実験はかなり大きい規模ですし、やっぱり国民の関心も高いですから、非常にこれは問題だと思います。ただ私は、いま全部わかってなければ、これはしようがないですけれども、自衛官の服についてやつだけは出て、ほかのほうはまだだと。その場でガイガーでやられたのだと思いますけれども、もし東京まで陸送して、そういう非常に時間がかかるようなものであるなら、今後の方針としては、九州にだって大学もあるし、いろいろあるはずですから、何も自衛隊機でとった粉じんについては、防衛庁の研究所でやらなければならぬという義務はないと思うのです。ほかでやってもかまわないはずですから、その点でちょっと詰めているのですから、もう少し具体的にきちんと、現在までの状況をお答えいただきたい。
  149. 倉本昌昭

    説明員倉本昌昭君) ただいまの御答弁、若干事実の把握が不足でございまして、まことに申しわけございません。ただいま詳細に聞きましたところ、昨晩飛びましたのは、西部の築城から飛びまして、それで隠岐から対馬地区を回りまして、それで築城におりたわけでございますが、天候状態が悪くて、従来慣例として入間に運んでおったというこの試料が、現在まだ築城から入間に到着しておらない、こういうことでございまして、従来防衛庁によります浮遊じんの収集は、北部、中部、西部のものを、すべてこれを入間に集結をして、入間から自動車で東京へ持ってきて、そして、東京でその分析をしておるというのが慣例になっておるようでございまして、その点、今回のものにつきましては、天候状態が非常に悪くて、西部のものだけが飛行いたしました。そのものは築城に一応おりて、おりた時点で、その飛行士と、それから機体の放射能を一応ガイガーカウンターでそのサーベイを行なうということにいたしておりますので、その際、放射能が一応高かったということは確認されたということでございまして、ここに集められた試料は、したがって現在のところ、まだ築城から届いておらないというのが、現在の時点において私どものところに入っておる情報でございます。
  150. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 そうすると、現在まだ一番もとのところにあるわけですね。
  151. 倉本昌昭

    説明員倉本昌昭君) そうです。
  152. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 だから、それが実際東京に着くのはどのくらいになりますか、いまの天候状態だと。
  153. 倉本昌昭

    説明員倉本昌昭君) 天候の回復状態等にもよりますが、早くても、その分析結果が出ますのは明朝になる予定であるというぐあいに考えます。
  154. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 そうしますと、現在のこういう体制だと、いまのような天候等が起こると、かなりおくれることもありますので、もう少し何らかの方法がとれないものかどうか、その点、いかがですか。たとえば、東京まで集めなくてもできるということ、あるいはまた、天候といってもまあ限界がありますけれども、少々なら動けるものもあるわけです。しかし、飛行場の関係で、よく私もわかりませんけれども、現地をよく知りませんので。この点、いかがですか。
  155. 倉本昌昭

    説明員倉本昌昭君) 中国の核実験ございまして、それから出てまいります浮遊じんがジェット気流に乗りまして東京の上空に大体到着いたしますのが、やはり影響としては一番早いわけでございまして、これを高層の大気上において把握するのが最も早いということで、現在この方法をとっておるわけでございますが、この一番早い影響を把握するという意味で、防衛庁による測定を現在実施しておるわけでございますが、試料を収集いたしまして、入間から東京へなぜ持ってくるかということでございますが、これは、入間におきましては現在その分析の装置がございませんので、せいぜいガイガーカウンターによる放射能がどのくらいあるかということだけしか、そこではわからないということでございまして、この分析については、機器分析、化学分析、それぞれ装置のあるところでなければ、この分析ができないという状況にあるわけであります。  なお、雨水等につきましては、これが核実験の状況、それの高度等によりまして、それから気流に乗って運ばれてくる中に、ある程度大きな粒子がありますと、これが早く地上に落ちてまいるわけでございまして、そういうものがありますと、これは雨水の中から、気象庁と、それから放医研等におきまして集められた試料を分析するということによって確認ができるわけでございます。それについては、まだ現在のところ、本日のところにおいては報告が入ってきておりません。
  156. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 最近の核実験は、フランスとアメリカが最近行なっておりますが、そのときの、特にムルロアのほうは、わが国に対する影響は一応なかったといわれておりますが、その調査はどれぐらいの期間やられて、ないという判断をされたのか、その点はいかがですか。それから、その前のアムチトカですか、ございましたですね、アメリカの。これが一番新しい二つだと思いますが、その点について……。
  157. 倉本昌昭

    説明員倉本昌昭君) 核実験につきましては、核実験が地球上のいずれかで行なわれたという報道が入りました場合に、放射能対策本部の幹事会を開きまして、関係各省が集まってこれに対する調査体制をすぐとるということにいたしておりまして、今回も、インドからの情報に基づきまして、対策本部の幹事会を開いて、直ちに調査体制をとったわけでございまして、これにつきましては、今回も、この報道が入りました段階から直ちにそれぞれの部署においてその試料の収集にかかるということにいたしておりまして、この継続につきましては、さしあたり、今回も一週間やっております。それで、七月の三日に次回は一応幹事会を開きまして、それまでに集まったデータを一応検討した上で、さらにどの程度観測を続けるかということにいたしておるわけでございます。それで、影響が全くなくなるまで一応その観測は続けていくわけでございます。
  158. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 この「原子力ポケットブック」ですが、今年度の。これを見ますと、中国の核実験についての見出しばかり出ておりまして、そして「降下量および降下蓄積量」とか、あるいは「雨水および落下塵による全放射能月間降下量」というのが出ておりますけれども、ほかの米国とかフランスの実験もあったわけですが、それは一切影響ないのでこの見出しに出てないのか。これは二六〇ページ、二六一ページです。その次の二六二ページも各国の回数が出ておりまして、備考のところは、最初のほうは出ておりますが、最後のほうはずっと中国ばかりが出てくるわけですけれども、これは、中国の影響のみがわが国にあって、ほかのほうは一切なかったと、こういうふうなことで出ておるのですか。これはしかもアメリカのAECの資料になっておりますよね。わが国独自のこういうものはあるのかないのか、その点はいかがですか。
  159. 倉本昌昭

    説明員倉本昌昭君) このポケットブックに出ておりますこのデータは、アメリカのものをここに一応転載した、この(1)のほうは転載したわけでございますが、アメリカ及びフランスその他、みな核実験をやりました際に、これは常に同様な調査体制を一応しいてこの調査を行なっておるわけでございますけれども、わが国におきまして実際にそれほど大きな影響が出てこなかったというのが事実でございます。  なお、(1)のところにございます、東京という線がここに入っておりますが、これは気象庁の気象研究所のデータがあわせて出してあるわけでございます。
  160. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 いや、私の言うのは、全然アメリカとフランスの核実験については、過去影響は、わが国に対してこの二つのデータについてはゼロであったということは言い切っていいわけなんですか。その点はどうなんですか。これ、要するに、アメリカだと、どうしても中国のだけしか調べないと思うんですよね。その点、やはり日本はもちろん中国が近いですから、これはきちっとしなければいかぬと思いますけれども、やっぱり南太平洋ですし、アメリカだって影響ゼロとは言えないと思います。その辺はどうなんですか。だから、このデータはアメリカのデータだから、これはこれでいい。私は、何もこのデータをけちつけているわけじゃなくて、日本なら日本独特のものがどうして出せないのかということなんですよね。もし、それが、先ほど言われたアメリカのデータでするとするならば、一緒にこの同じグラフの中に入れ込んであるわけでしょう、気象庁気象研究所というのは。それと両方セットにして書いてあるわけですから、そうなると、やはりこの下に、米国の実験もフランスの実験も入れておいたほうが、われわれにとってはわかりやすいわけです。中国のばっかり書いてありますからね。何も私、変に曲解して言うわけじゃないですけれども、やっぱり、もとがアメリカのデータですからね。そうすると、アメリカは自分のところはあまり書かないですよね、おそらく。影響はあまりないと思います、確かに。ないと思いますけれども、そういった点はどうか。だから、もちろんAECのデータをもとにしてやることもけっこうですけれども、やはり日本のきちんとした科学技術庁なりがちゃんと整理をして、そうしたデータを私は載せたほうが厳正公平であると、こう言いたいわけなんです。その点はいかがですか。これは大臣、いかがですか。
  161. 倉本昌昭

    説明員倉本昌昭君) アメリカまたはソ連におきまして核実験が行なわれました場合にも、これが大気中の実験でありますと、これは確かに影響が出ておるわけでございます。しかし、部分核停条約調印以降は地下実験でございまして、これによる影響が実際上は出ておらないわけでございます。  それからなお、この表の中に出ておりますニューヨークのデータにつきましては、これは米国の原子力委員会数字でございますが、東京の点につきましては、これは気象庁の気象研究所でとった点でございまして、これは私どもの調査の一環としてやったデータがここに出ておるわけでございます。
  162. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 ニューヨークのこのデータというのは、こう、だんだん上がってきております。それから、このニューヨークのデータというのは、この下に書いてある中国の核実験の影響のみのストロンチウム九〇の月間降下量なんですか。自分のところでやったのとか、あるいはその他のが入っていないんですか、入っているわけですか。その辺、これはどうなんですか。
  163. 倉本昌昭

    説明員倉本昌昭君) ストロンチウム九〇の量でございますが、これは、どの実験によるものということははっきり確定できませんで、これは空から降ってきます浮遊じんの中に入っておりますストロンチウム九〇の分析値でございまして、その中には、この実験で降ってきたもの、それ以前の実験の影響で出てきたもの、そういうものが全部重なって落ちてきておるわけでございまして、その時点におきますストロンチウム九〇の量を一応ここに出したわけでございまして、したがいまして、実験のあった直後におきましては、その時点でそのストロンチウム九〇の値が高くなっておるということが、そういった点で影響が出ておるということでございます。
  164. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 これは少しだけ聞いて、ほんとうは地震のほうを聞こうと思ってたのですが、だいぶ時間がたってしまいましたので、最後に、まとめて長官にお伺いいたしますが、中国の核実験がいろいろと国際的にも波紋を呼びます。これは外務委員会の問題でありますので、私はきょうはあまり深く触れませんけれども、核防条約について、やはりこの問題が一つ問題になってくると思います。この批准についていろいろ議論のあるところでございますが、核拡散防止条約についての、特に批准について、政府は、こういったことから、いまの米ソで今回防止協定が結ばれ、それについてすぐ中国が核実験をやったということで、いろんな問題がこれから出てくると思いますが、わが国としてこの核防条約にはどういうふうに、この批准についてはおそらく迫られるという意見が強いわけですけれども、これに対する大臣の考え方と、それから先ほど来質問しましたように、もう少しスピーディにできないものか、データの収集、それから発表ですね、この二点だけお伺いして、核実験については終わりまして、次の問題に入りたいと思います。
  165. 前田佳都男

    国務大臣前田佳都男君) まず最初に、中国の核実験についての問題でございますが、放射能対策本部というのが内閣にございまして、この放射能対策本部において、先刻来政府委員から御答弁いたしましたように、昨日幹事会を開きまして、御説明したような方法でこの調査をしておるわけでございますが、少しくスピーディではないんではないかと、おそいというふうなお話で、私もほんとうに気があせるような気がいたします。ことに、いまは、つゆの時期でありまして、雨が降ると雨の水で下へ落ちてくる、これはしろうと流でありますが、そういうようなこともありますし、とにかく急いでこれをできるだけ早く調査をしてほしいということを、私も事務当局に実は要望したわけでございます。実はけさも、閣議におきまして、放射能対策本部はこういう措置をとりましたということを報告をし、関係閣僚はひとつこの問題に大きく関心を持ってくれということを、実は話したばかりでございます。先生の御趣旨と私全く同じでありまして、できるだけ早くその放射能の測定の実をあげたい、先ほど倉本君がお話しいたしましたように、できるだけそういうデータを集めて、とにかく一週間ほどしたらもう一ぺん集まって、またそれに基づいてさらに今後の対策を講じていこうということを実は考えておりますが、それにしましても、一週間のんべんだらりと能率があがらぬで待っているということではなくして、できるだけスピーディにやりたい、御趣旨を体してできるだけ急ぐようにいろいろ考えたいと思います。  次に、NPT条約の問題でございますが、これはすでに四十五年にわが国が署名をいたしまして、まだ批准をいたしておりません。これ一体どうするのかというふうな問題でございますが、これは政府全体、私が科学技術庁長官の原子力委員長というふうな立場において、もちろん閣僚の一人であります国務大臣として、政府としての御答弁をすべきでありますが、政府としての御答弁は、先般来も外務委員会におきまして大平外務大臣並びに私が出席をしておる席上において、これ一体どういうふうにするんだというふうな御質問がございました。けれども、このNPT条約につきましては目下検討中であるというふうな答弁を外務大臣もいたしておりまして、所管大臣、条約担当の大臣としてそういう答弁をしておるということを、私、そのままに実はお伝えをするわけであります。決してこれに対して、それじゃこの条約が別に要らぬというふうに考えておるわけでもございません。とにかく検討しておる、検討中でありますというお答えを実はしておるわけでありまして、はなはだ矢追先生すっきりせぬじゃないかというふうなお考えかと思いますけれども、とにかくそういうことで担当の外務大臣がそういう御答弁をごく最近もいたしておりますので、そのことを私も同様に実は御答弁申し上げる次第であります。ただ、われわれといたしましては、NPT条約を署名いたしますとき、たしか二つ、三つ条件があったと思うのでございます。核保有国の軍縮が進んでもらいたいということが一つ。それから平和利用等の妨げにならぬことというふうなこと、そういうふうな条件というものがあったように思っておるのでございまして、軍縮の問題は外務省の所管でございますが、その問題、それとは別に平和利用の問題でございます。この問題につきまして、われわれとしては、NPT条約に加盟をすることによりまして、何かこれがかえって平和利用の支障になるんじゃないかという点をいろいろ検討をいたしておりました。現在も検討いたしておりますが、現在までのところは、NPTの保障措置のモデル協定というようなものを見ましても、そのモデル協定の査察によりまして、原子力の平和利用研究活動が妨げられると、実質的に不利という点にならないというふうに私たちは判断しておるわけでございます。そういうふうな点もいろいろ私たちの立場において話をいたしまして、目下閣内において検討しておるということをお答えする次第でございます。
  166. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 この問題は深く入りません。  次の問題についてお伺いいたします。去る十五日の当委員会におきまして地震の問題について質問をいたしました。そのあくる日に根室沖地震が起こりまして、その後予知連絡会が開かれたようでございますが、現在検討をされておる内容、それからその結果、できましたらお教え願いたい。
  167. 檀原毅

    説明員檀原毅君) お答えいたします。  根室半島沖地震につきましては、六月二十六日に地震予知連絡会の臨時会議が開かれまして、いろいろな面から検討をせられまして、一応の結論が出ております。したがいまして、その線に沿いましてお答えいたしたいと思います。それで、地震が起こる前、私たち特定地域に指定したのでありますが、そのいきさつから申し上げると御理解いただけると思うのですが、まず、根室沖、釧路沖におきましては、一九五二年に十勝沖地震がありました。それから一九六九年の国後島沖地震、これに至るまで五つの地震がありましたが、この五つの地震は、いずれもマグニチュードでいいまして八クラスの大地震でございます。これらは余震を伴ったわけでございますが、その余震域を含めまして、こういう五つの大きな地震で、かなり地震のエネルギーが放出されたと考えられていたわけでございます。ところが、その中にありまして、地震活動かない——空白地帯と私たち呼んでおりますが、そういう空白地帯があったわけでございます。それで、この空白地帯の広がりと、いままでの周辺の地震活動から考えまして、マグニチュード八クラスの地震を私たちは予想していたわけであります。それからもう一つ、根室地方は過去六十年ないし七十年の間に六十センチほどの沈下を示し、また内陸に向かいまして約二メートル、これは圧縮を思わせる動きでありますが、水平の運動がありました。これは、現在のプレートの沈み込みから考えられております地震発生理論、そういうものがありますが、それから考えまして大地震が起こる可能性が考えられていたわけでございます。それで、このようなことを考慮いたしまして、地震予知連絡会は四十五年二月にこの地域を特定観測地域に指定しまして、地殻活動、地震活動等の特別の観測を行なってきたわけでございます。  六月十七日に地震が起きたのでありますが、連絡会におきましては、おもにマグニチュード、それからそれ以後二十五日までに発生した余震、特に余震の広がりぐあい、そういったものを検討したわけであります。  まず、今回の地震についてでありますが、今回の地震は一応今後一年間ぐらいは余震活動が続くであろうが、一応まあ今回の地震に関する限りは終息に向かうであろうという結論が出ました。ところが、第一に、マグニチュードが予想されていた八クラスよりも小さく、もしも八クラスのエネルギーが蓄積されていたものと考えますと、その二〇%弱を今回消費したにすぎません。それから第二に、余震域の広がりは空白地域の北部を埋めたかっこうになっておりまして、南部にはなお大きな空白が残されております。この二点が連絡会の問題となったわけであります。それで、南部の空白地域になおエネルギーが蓄積されているかどうか、これはいまのところ確認できないのでありますが、少なくとも残されている可能性はあるという見解であります。それで、今後地殻活動、あるいは地震活動、あるいは地磁気、重力、そういった調査を行ないまして、そういうエネルギーがほんとうに残されているかどうか、そういったことを確かめるためにいろいろ調査を行ないまして、検討を進めるということになっております。  以上でございます。
  168. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 それは大体どれぐらいの期間で、どういうふうな結論で出そうですか。まあ現在の予想としては、いま言われた空白地帯が実際地震として起こる可能性は大体どれぐらい最大限見込まれるか、震度ですね、その点はいかがですか。その二点について。
  169. 檀原毅

    説明員檀原毅君) 調査は七月二日からさっそく始めますが、これは、上下変動あるいは水平変動、地磁気測量、重力測量、それに微小地震の観測、そういったものを——もちろん気象庁の大中小地震の観測網ございますが、そういったものを総合しまして、やっていくわけであります。直ちに——直ちにと申しますか、いつになったら結論が出せるかということはなかなかむずかしいのでありますが、まあ、その調査結果を見て、たとえばいままで沈んでいたところ、それがはね上がるとか、内陸に突っ込んでいたところが太平洋測に向かってはね返っていったとか、そういうことがわかれば、その段階でまた次の、その段階においての結論が出るであろうと思われます。まあ時期といいましても、なかなかむずかしいのでありますが、調査は一応ことし一ぱいぐらいは続ける見込みであります。
  170. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 この六月十九日に、中国の人民日報に、地震の予知に関して、ある程度の予報はし得るというふうな記事が出ており、しかも、その予報どおり過去数回の地震について的中したと、こういうことが報道として出ているわけでありますが、この記事についてはどうお考えになりますか。現在中国はかなりこういったものは進んでおると見ておられますか。また、そういった情報交換等はいままであったのか、もしなかったとすれば、今後やられるおつもりはあるのか。その点はいかがですか。
  171. 檀原毅

    説明員檀原毅君) 六月十九日付人民日報に出ました中国の地震予知の現状というお話ございますが、これで中国の地震予知の話が日本に伝えられましたのは二回目でございます。前回は、前兆現象として地磁気と地下水位の話がありまして、私たちはこまかなデータが何も手に入りませんので、何もわからなかったわけでありますが、今回報じられましたところによりますと、やはり地殻活動、微小地震の活動、地下水の水位と水質の変化、あるいは地磁気の変化、そういった変化を使っているらしいということはわかるのでありますが、何ぶん、こまかいことが何も報じられておりませんので、はたして中国の地震予知が非常に進んでいるかどうか、それはわからないわけであります。それで、たとえば、その報道によりますと、一九七〇年以降予報が的中したという五つの地震が書いてありますが、これが四川省、内蒙古、雲南省、新疆省、それから海を隔てた台湾というような例があげられておりますが、最後の台湾を除きまして、地震はいずれも向こうの震度階でいいまして五・五、日本の震度階でいいますと三でありますが、こういう小さな地震であって、しかも、あの広い土地で、辺境の場所で、どういう前兆をつかまえて、場所とか、大きさとか、期日とか、そういったものを予報できたのか、たいへん興味あるのでありますけれど、いまのところ詳しいことはわかっていません。  また、情報交換につきましては、何ぶんまだ、私たちのところで交換しております学術雑誌がございますが、そういうものには何も発表されておりませんので、いまのところは詳しいデータは何もわからないというのが現状でございます。
  172. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 もう時間がありませんので、せっかく防災センターの所長もお見えですので、まとめて伺いますので、簡単でけっこうですから、御答弁いただきたいと思います。  四十七年度の科学技術白書に、「都市における大地震の際にはパニック現象が発生しやすく被害を拡大する危険性があるので、人間の行動・心理などを解明する研究が急がれている。」と、これについて、この「人間の行動・心理などを解明する研究」、これはどういうふうな研究が現在行なわれ、どの程度進んでおるのか、それが一つ。  それから、大都市などでの高層建築等の耐震性の研究ですね、これがかなりできておるようですが、これは科学技術庁としてどのように進められて、どこまで進んでおるのか。  もう一つは、同じく白書の中にある避難システムですね。「地震への緊急対策に関して、地震を即時に探知し、危険物を非常処理するシステム、緊急に交通・輸送を制御するシステムあるいは避難・誘導システムなどの開発が取り組まれている。」と、こういったシステム化の開発がどの程度現在行なわれておりますか。担当のほうから御答弁願います。
  173. 長澤榮一

    政府委員(長澤榮一君) まず、パニックの現象でございますけれども、先生承知のとおり、パニックを起こしますと、これはまあ地震、火災というような一次的な災害にも劣らずいろいろ災害を起こすと、こう思われます。まあ、もちろん適切な情報の提供であるとか、誘導あるいは一般大衆の防災知識の普及、あるいは建物の従業員の教育訓練などが必要でございますけれども、これとともに、緊急時における群集あるいは個人の行動様式、心理学的な側面等の解明をはかることが大切なことではないかと考えられるわけでございまして、わが国においても、建設省の建築研究所等におきましても、災害時における人間心理と行動に関する調査、あるいは東京都警視庁等におきまして、大震災対策のための心理学的調査研究であるとか、あるいは大震災時における地下街のパニック対策に関する調査研究というものが行なわれております。  それから、大きい超高層ビル等につきましては、新しい建築様式等の耐震建築が行なわれているように聞いております。  それから次に、「地震を即時に探知し、危険物を非常処理するシステム」あるいは「緊急に交通・輸送を制御するシステム」でございますけれども、まあ、都市における危険物といたしましては、石油、ガス、薬品などが考えられます。このシステムは、地震が生じた場合に、地震を即時に探知——これは簡単に地震計があれば探知できるわけでございますが、これと連動いたしまして、すぐこの危険物による被害を防止するために作動するシステムということでございまして、たとえば、一定規模以上の地震が生じた場合に、自動的にガスの供給をとめるといったようなシステムを指しているわけでございます。こんなシステムといたしましては、原子炉等には制御棒等を緊急に挿入して原子炉を停止させるための装置が取り付けられていることは御承知のとおりでございますし、また、都市ガスにつきましては、ガス会社等を中心にいたしまして所要の研究開発が進められておりまして、一部では実用化されつつあります。また、石油化学コンビナート、高圧ガスについては、通産省を中心に保安システムに関する調査研究が進められております。また、緊急時に交通を制御するシステムにつきましては、新幹線のの緊急停止システム等がすでに開発を終えて実用化されているわけでございまして、このほか、高速道路における緊急時の安全確保のための表示警報システムの開発等が進められております。また、避難・誘導システムにつきましては、科学技術庁において特別研究促進調整費によりまして、昭和四十五年度から三カ年計画で、大震時における都市防災に関する総合研究を進めましたが、そのほか、消防庁消防研究所、あるいは建設省の建築研究所等において所要の研究が進められておりますし、また、東京都等でもいろいろこれに関連の計画が行なわれ、避難計画の策定に役立てられております。  以上でございます。
  174. 中村利次

    ○中村利次君 環境庁、お見えになっておりますか。最初に環境庁にお伺いをいたします。  伝えられるところによりますと、関係五省庁でいろいろ協議をされた結果、環境庁で温排水の環境基準を定めようということで、大体一年ないし二年ぐらいで排出基準をきめようということだそうでありますけれども、そういうことをお考えになっておるのかどうか、まずお伺いします。
  175. 太田耕二

    説明員(太田耕二君) お答えいたします。  いまのお話にございましたように、現在、科学技術庁、それから通産省、水産庁等々といろいろ連絡をとりまして、基準設定に必要な調査を四十六年度から実施しておるわけでございます。で、生物に対する影響調査が非常に大きなファクターになるわけでございまして、これが実は四十七年度から始まったばかりでございます。その辺の成り行き等を見ないと、はっきりしたことが言えないわけでございまして、その辺から、大体いつ基準がきまるか、推定せざるを得ないわけでございますけれども、私どもの見積もりといたしましては、四十九年度中ぐらいに基準をきめるように努力したい、かように考えているわけでございます。しかし、やはり温排水の基準設定ということは非常に急がれているわけでございますから、その辺の研究の進展とも、調査研究の進展とも見合って、きまってくるわけでございますけれども、なるべく早く、もっと早く実はできればきめたいと、こういうふうに考えている次第でございます。
  176. 中村利次

    ○中村利次君 これは関連をしますので、通産省にお尋ねをしますけれども、通産省では、また環境審査顧問会を設置をしようという構想のようでありますけれども、そういう構想がおありかどうか、あるいは、おありとすればどういう内容か、簡単にお聞かせ願いたい。
  177. 矢野登

    政府委員(矢野登君) 通産省で環境顧問会をつくる、その性格はどういうものかというようなお尋ねのように感じました。通産省といたしましては、発電所の立地に伴う環境保全の重要性にかんがみまして、従来から電気事業法に基づきまして行なってまいりました環境審査を今後一そう充実強化してまいる考えであります。その一環といたしまして、環境審査を行なうにあたりまして、各専門分野の学識経験者に検討を依頼する体制について検討をしているところでございます。
  178. 中村利次

    ○中村利次君 あっち飛び、こっち飛びするようですけれども、原子力委員会にお尋ねをしますけれども、環境問題、環境審査について現在まで原子力委員会としてはどういうことをおやりになったのか、あるいは、今日以降どういうことをおやりになろうとしておるのか、お伺いします。
  179. 成田壽治

    政府委員(成田壽治君) 環境問題、特に温排水の問題ですが、最近、原子力発電所をつくる場合、地元の問題として非常に大きくなっておりますので、この問題をどう取り組んだらいいかというので、環境・安全専門部会の中に温排水分科会というのをつくりまして、一年余にわたっていろいろ検討をやっております。それで、やり方としましては、環境庁が水質汚濁防止法による基準ができると、その基準に合っているかどうかという審査ができますので非常にいいのでありますが、いま基準ができていない、作成の準備の段階調査中であるということでありますので、通産省が電気事業法によって、いろいろな環境審査というよりも、環境調査、いろいろな、どういう影響があるかという調査をやって、そのやる際の、どんな項目を調査すべきであるかとか、そういう点の答申も、中間的な答申も分科会から出ておりまして、いま通産省が中心になって環境の調査を、申請のある発電所についてやっておるのであります。それで、原子力委員会としましては、この前、浜岡第二号の場合、これは通産で相当分厚い調査報告書ができましたので、これを委員会としては、通産省から、その温排水その他の環境に対する報告書を徴収して、そして浜岡二号の扱いの参考にしたわけでございます。これは、従来のやり方、最近のやり方でありますが、今後公聴会を原子力委員会がやることにきまっておりますが、公聴会を実施しますと、当然、地元の大きな問題として、環境問題に対する意見が地元住民からたくさん出ると思います。これを、出た意見については通産省の環境審査の技術顧問会に、通産省にお願いしましてそういう調査をやっていただいて、そうして出てきました調査報告書を原子力委員会が検討する際には、まあ数人の専門家を、コンサルタント的な役割りを持たせるために、専門家にそれを見てもらって、そして公聴会で出た環境、温排水に対する意見に対する回答等をつくるための——まあそういう形で公聴会に対する回答、それからその原子力発電所の建設許可に関連するものとして環境問題も、そういう形で原子力委員会が取り組んでいくという方針になっております。
  180. 中村利次

    ○中村利次君 これは、まあ環境問題は何も発電所だけではありません。鉄鋼にしろ、石油化学にしろ、もう非常に多岐にわたっているわけでありますけれども、ここでやはり議論の対象になるのは、そのほとんどが原子力発電所原子炉の問題でありますけれども、環境問題はこれは非常に多様多岐でありまして、自然環境から社会環境の問題、いろいろあるのですけれども、いまやはり一番原子力発電にからんで、立地問題にからんで、かんかんがくがくの議論があるのは、いま原子力局長から御答弁のあった温排水問題等が一番やはり、かしましくなってきておると思うんです。そういう実情といいますか、実態といいますか、そういうものを前提とする限りは、環境庁が温排水に排出基準をおつくりになろうとしておる、あるいは通産省が環境審査顧問会を設置をしてこれに対処しようとしていらっしゃること、あるいは、いま原子力局長がお答えになったような原子力委員会の姿勢というものは、非常に当然のこととして受け取られると思いますね。しかし、私がやはりここで質問をしたいのは、たとえば環境庁で排出基準を定めようとしていらっしゃるこの温排水の排出基準が、水質汚濁法の適用でそれでいいのかどうか、それでできるのかどうか、法的根拠はどこにあるのか。それから、やはり通産——同じことです。通産省で設置をしようとしていらっしゃる環境審査顧問会、これはいろんなことをおやりになろうとしておるわけでありますけれども、私が前提で申し上げたように、確かにこれは、いまの情勢からいって、いいことをやっておるということになるんですけれども、日本は法治国家ですからね、納得のできることでやっても、法的根拠がないものを突っ走るということは、これは、いいことだから許され、悪いことなら許されないという性格のものじゃないと私は思うんですね。ですから、原子力委員会も、それから通産省も、環境庁もですね、その法的根拠をどこに求められておるのか、御説明願いたいと思います。
  181. 太田耕二

    説明員(太田耕二君) 排水基準を定めますその法的根拠でございますが、水質汚濁防止法の第三条でございます。第三条第一項でございますが、「排水基準は、排出水の汚染状態(熱によるものを含む。以下同じ。)について、総理府令で定める。」ということに出ておるわけでございまして、これが適用されるわけでございます。したがいまして、基準がきまりますと、総理府令でこれを周知するということになるかと思います。
  182. 中村利次

    ○中村利次君 なるほど、そういう根拠に基づいて法手続を経て実施をする、こういうことになるわけですね、わかりました。それじゃ通産省、承りたいと思います。
  183. 和田文夫

    説明員和田文夫君) 通産省におきましては、発電所の設置にあたりまして、いろいろな問題がありますが、特に最近問題になっておる温排水等の環境に与える影響を従来から調査しているわけでございますが、それを強化しようということで、その法的根拠いかんということでございますが、電気事業法の目的といたします第一条に、「この法律は、」という書き出しで、途中あれがありますが、「電気工作物の工事、維持及び運用を規制することによって、公共の安全を確保し、あわせて公害の防止を図ることを目的とする。」と、こういうのが根拠、目的の第一条に書いてございます。第八条に、発電所やなにかをつくりますときに、行政行為として許可申請というのが出てきますが、その許可の条件の中に、その計画が確実であること、それからそういう許可の設備の建設が公共の利益のために必要でありかつ確実であることというような規定がございます。こういうものを根拠に、やはり地域住民の同意が得られませんと非常に確実なる建設もできない、それから公害防止もできないということで、周辺の環境に悪影響を及ぼすかどうか、できるだけ悪影響を及ぼさないような施設としてはどうしたほうがいいかということを検討いたしておるわけでございます。
  184. 中村利次

    ○中村利次君 原子力委員会
  185. 成田壽治

    政府委員(成田壽治君) 原子力委員会設置法の第二条に、原子力委員会所掌事務の規定がありまして、これを見ますと、「原子力利用に関する政策に関すること。」——あらゆる政策に関すること、九号までいろいろな事項を並べておりますが、最後の十号には「原子力利用に関する重要事項に関すること。」——まあ、それ以外に重要なことは、これは原子力政策の一元的な責任委員会として当然の規定でございます。  それで、ただこれは所掌事務でございますが、原子力委員会設置法の第五条に、原子力「委員会は、その所掌事務を行うため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を求めることができる。」と、各省に対する原子力委員会の協力要請の規定がありまして、この法律を実際に使うわけじゃありませんが、そういう考え方に基づいて、温排水問題に関して、排出基準を所管する環境庁、それから発電所からの排水規制実施面の通産省に対して温排水に対する調査等をお願いしているわけでございます。それによって、通産省がつくりました環境調査報告書を原子力委員会としては提出、説明を願って、そして今後公聴会等で問題になったことについてはそういう判断をしていくというわけでございます。
  186. 中村利次

    ○中村利次君 これは大体環境庁及び通産省あるいは原子力委員会からお答えをいただいたとおりだと思うのですよ。水質汚濁防止法は確かにこれは根拠があると思われますけれどもね。通産省のおっしゃる電気事業法のあれは、まことにこれは、私もずいぶんひっくり返して、第八条あるいは施行規則の第六条ですか、確かにかすかにありそうだか、法的根拠と断定できる根拠は私はないと思う。原子力委員会のほうは、いま御答弁いただいたように、   〔理事船田譲君退席、理事矢追秀彦君着席〕 これは安全審査についてのあれはありますけれども、環境審査についての法的根拠はありません。ですから、やはりたとえば、御答弁いただいたように、通産省に御委嘱をする、それから通産省としては、これは環境レポートを業者から求める。これは私は、いまのこういう情勢の中では出さざるを得ないし、出すと思うんだが、しかし、これは強制的に求めるという法的根拠はないわけですね。ですから、いまのこの実情、実態の中でいろいろなことがやられておりますけれども、私に言わせると、どうもやはり実態に、実情に流された百家争鳴の感があって、いいことであっても、やはり法的根拠を持たないものはきわめて危険性があるという感じを私は強くするのです。もし、これがいま国民世論が相当わいておる環境問題でありますから、だれも文句を言うものはないですけれどもね。これは国民が非難をするようなことを当然のこととして法的根拠によらないことをやれば、私はこれはものすごい反撃があると思う。それから、いいことであっても、私は、けじめはけじめとして、ちゃんとつけていただかなければならないと思います。  結論的に申し上げれば、やはり政府がこういう安全問題、環境問題というものに対してどういうぐあいに政府全体として取り組むのかというこの姿勢の問題、これは私は前からずっと言ってきているんですけれども、そこに結局こういう法的根拠の問題を持ち出すのも、決着はそこへ行くわけですね。環境庁長官が就任されるにあたって、たいへんけっこうな、りっぱな所見表明がございましたけれども、いかがですか、ここへ来て、いま私が申し上げたようなことを含めて、何とかこれは百家争鳴というような感じでないような、政府として、もう総体的にこういう重要な問題に対して取り組むという姿勢をすっきり出すような方法があるものかないものか、お伺いをしたい。
  187. 前田佳都男

    国務大臣前田佳都男君) 中村先生の御質疑は、環境問題ということはよくわかると、しかし、具体的な明確な根拠のないものが、ただそういうムードというか、そういうものに少し流されておるんではないか、ちょっと言い方は悪いかもしれません。しかし、大体そういうふうな御趣旨だと思います。確かに、具体的にすっきりとして、ぴしりぴしりと法律にはそれは根拠はございません。あるものもあり、ないものもございます。しかし、私は、具体的にぴしりと、たとえば原子力委員会において環境問題ということは具体的には書いてございません。また、温排水の問題も書いてございません。しかし、そうしますと、何も根拠がないかというと、そうじゃございませんで、原子力委員会というものは原子力の平和利用において原子力行政を円満に、円滑に推進するという、そういう使命を持っておる委員会でございますることは先生も御案内のとおりでございまして、先ほども成田君から御答弁をいたしましたように、原子力委員会設置法にも、第何条でしたか、第二条に、「原子力利用に関する政策に関すること。」、まあ、「政策に関すること。」というのがございまして、また、そのうちに「第一号から第八号までに掲げるもののほか、原子力利用に関する重要事項に関すること。」、その「政策に関すること。」あるいは「重要事項に関すること。」に環境問題というものは具体的に入るかどうかということは、もっと法規的な根拠がなければいかぬという考え方も一つの私は非常なはっきりした御意見だと思います。しかし、なかなかやっぱり変転する社会の情勢というものは、そのつどいつも法律をぱっぱっと社会的なニードにこたえまして、すぐにその法律を、胸がすくように法律の条文というものをなかなか変えていけないような、追っついていかないような情勢でありまして、現在ある法律、その根拠——全然根拠のないものはそれはできません。しかし、根拠といいましょうか、原子力利用に関する政策であり、あるいは原子力利用に関する重要事項であるということは、これはもう環境問題というもの、温排水の問題というものを私はそう解釈しておかしくはないし、また、それは当然であると。ただ、もっと明確にはっきりとしたらよけいいいじゃないかという、それもまた貴重な御意見だとは思いますけれども、私、現在でも根拠がないということはないと思います。むしろ、非常な重要な政策であり、利用に関する重要な事項であると思いまするので、私は、この法律をほんとうに国民の要請、国民のニードというものにこたえて運用していくという意味におきまして、私はいまにわかに法律の改正をしなくても十分その目的を達することができるというふうに考えておる次第でございます。
  188. 中村利次

    ○中村利次君 これは、私が申し上げているのは、本来ならば、やはりいいことであっても、きちっとした法的根拠に基づいてやるのが、これが当然であると。しかしながら、やはりこの運用解釈でおやりになるんだったら、政府として一致したものでないと、何か、こっちから押されるとそっちへ流される、あっちから押されるとそっちへ流れるというような、各省庁がどうも統一性といいますかね、一貫性を欠いたような行政姿勢というものが、これはどうもやはり国民をして必ずしも信頼するに足る姿勢として見せないようなことになっておるんではないか。すべて、通産省でお考えになっていることも、原子力委員会でお考えになっていることも、環境庁でお考えになっていることも、国民の側に立てばけっこうなことなんです。  それから、私はついでに関連してお伺いしたいと思うんですが、これはいま立地難でたいへんな問題になっておる、たとえば原子発電所開発推進する目的があるんですか、それとも、そうじゃないんですか。それをひとつ。そういう点はいかがですか。
  189. 前田佳都男

    国務大臣前田佳都男君) まことにそのものずばりというふうな御質疑をいただきまして、私も非常に、こう、むしろ勢い込んでお答えしたいというふうな気持ちでございますが、確かに推進したい気持ちで一ぱいでございます。ただし、推進するといいましても、もちろん、先生に詳しく釈迦に説法を申し上げる必要はございませんけれども、やはり現在当面の地元住民といいましょうか、理解と協力というか、そういうふうな点を大きな前提といたしまして、みんなが——まあそれはいつでも全然何も文句がないということは、それはないと思いますけれども、できる限りやっぱりわれわれは理解と協力を得るように全力を尽くしていくと。そりゃ幾ら尽くしましてもまだ足らぬじゃないか、ああじゃないか、こうじゃないかという意見はございますけれども、われわれはそういう姿勢で進んでいきたい。エネルギーが不足しておるということはもう先生も常に御指摘のとおりでございまして、エネルギーというものは、もちろん、その増加率というか、毎年毎年非常なパーセンテージで伸びているわけでございます。それに対処していかなければいけない。しかし、その前提には、やっぱりみんなの協力ということを、とにもかくにも精力的にできるだけ進めていきたいという姿勢でいきたいと思うわけでございます。
  190. 中村利次

    ○中村利次君 それは、大臣のおっしゃることは当然ですよ。そういうことを私は否定しているんじゃない。しかし、たとえば温排水だけを取り上げますよ。とにかく、これはもう大悪党だという立場から取り上げれば、これはけしからぬことが一ぱいあるかもしれない。しかし、全くそのとおりでございますという姿勢では、私は、排出基準にしろ、その環境保全、環境審査に関連をする温排水の問題にしろ、解決をしないと思うのですよ。私は全部回っていますよ。現実に回って、周辺も見て歩いている。そこら辺の御意向も聞いていますよ。こういう実態を御存じですか。漁業組合が補償金を取って、その補償金で、温排水を使って、そして養殖をやっているという——御存じですか。
  191. 前田佳都男

    国務大臣前田佳都男君) その点は、私具体的にはつまびらかにいたしておりませんので、政府委員から補足してお答えいたしたいと思います。
  192. 成田壽治

    政府委員(成田壽治君) そういう形でやっているというのは私も初めてですが、ただ、漁業組合は電力会社から漁業補償をもらっていることは確かであります。また、かなりの数の漁業組合において温排水を使って養殖の実験をやっているということも確かでありますので、あるいはそういう形で漁業補償によってそういうことをやっているということも言えるのかと思います。
  193. 中村利次

    ○中村利次君 それから、皆さんは発電所の周辺にいらしたことがどうもないようでありますけれども、行ってみてごらんなさいよ。もう金網を張って、危険ですから入らせないようにしている金網を破って、釣に行くのですよ。まあ東京周辺は、これはもうだいぶ海が汚染をされまして、魚が少なくなったようでありますけれども、そうでないところは——水温が七度差と一般的にいわれておりますけれどもね。これはその排出をして七度差だけでとどまるわけじゃないのですから、たとえば三陸沖のイワシにしたって、あと二、三度ぐらい水温が上がれば漁ができるようになると漁師が言うじゃないですか。ですからね、その周辺ではなくて、遠いところから、おれのところの魚が発電所水域に行っちまうからこの漁業補償をしろという問題すら起きておる。こういうことを知らないで温排水問題に対する問題を解決をしよう……。害をするものがある。ノリなんか全然だめです、これは。あれはもう冷たくなければいけないわけですから。それからやはり魚は、これは水産庁きょうはお見えになっておりませんけれども、水温がやはり高いものを好む魚もありますし、低いものを好む魚もあるのですよ。そういう点を正しく把握をして対策を講じようとなさらないところに、国民の信頼をほんとうに得る道につながらない。ただただ、起きているいろんな指摘される問題に飛びついて、そしてあなた、それで解決しよう、またひずみが出てくる、あっちこっちにひずみが出るような、そういうやり方というのは私は真に国民の信頼を得る道ではないと思うんです。そういう点は御存じになっていますか、いかがですか。
  194. 成田壽治

    政府委員(成田壽治君) まあ、温排水の影響としては、魚によってプラスのものもマイナスのものもあると思います。これは水産庁を中心に、そういう温排水の生物等に及ぼす影響の調査、今年度一千万円近い予算をですが、毎年取っていろいろな調査をやっております。したがいまして、これはまあ科学的なデータとしても相当集まりつつある段階だと思っております。
  195. 中村利次

    ○中村利次君 私がいつも指摘をしますように、皆さんはやはり国民の利益をあらゆる角度から検討して守らなければならない行政府の責任をお持ちですからね。そういう点では、いろんな角度から、私は、やはり国民の利益を守るような、そういう研究なり検討なり、あるいは選択なりをしてもらいませんと困るんですよ。浮き草みたいに、これは失礼な話ですけれども、ふらふらどうもやられたんでは全く困るんです。ですから、私は、温排水の与える影響は、好影響もあれば悪影響もある、これは正直そのとおりですから、好影響だけを取り上げるのも誤りですし、悪影響だけを過大に主張するのも誤りですから、正しい判断をやってもらわなければ困る。それから、いつもこれは申し上げますけれども、とにかく立地難がたいへんな問題になっておるんですけれども、これは私は、ここでも二回でも三回でも強調するんですけれども、とにかく現在議論をされておるような、そういう状態でいきますと、まあ五十一年ぐらいには、もうどえらい電力危機が訪れるわけですけれども、そういう危機の見通しと実態について通産省は大体どう取り上げて認識をされていらっしゃるのか。私はこれは通産省の設置法の一部改正案のところでも質問をしましたけれども、科技特ではこれが初めてです。ひとつ正確なお答えをいただきたい。
  196. 和田文夫

    説明員和田文夫君) 先生おっしゃいますように、現在の想定されている電気の需要の伸びからいたしますと、まあ現在ある設備あるいは現在工事中の設備で、今後一切できない、新しい一線の設備ができないといたしますと、まあ五十一年でおそらく予備率はほとんどゼロになります。五十二年はマイナス四、五%という状態になります。おそらく、おっしゃるように、非常な電力危機になるわけでございますが、われわれといたしましては、まあ申し上げるまでもなく、電気が、こう、あらゆる国民生活あるいは経済活動に幅広く利用されておりまして、いまや空気と同じような、あるいは水と同じような生活必需品となっておるわけでございますので、そういうことのないように、いろんな、先生承知のような電源危機を推進する方策を講じておるわけでございます。公害防止対策、まあ大気汚染防止対策もありますし、それから温排水、これは物理的に、ある程度は、もう出ることはやむを得ないわけでございますが、その影響を緩和する策、あるいは付近の漁業組合との話し合いによる解決等を主体にいたしまして、そういうことで地元との調整を円滑に進めるために、さっき申し上げたような環境審査の強化等を通じて地元の不安を解消していく、それから一方では、その電源立地が地元に有利になるように、昨年度から、電気事業事業税の配分方式を電源県に有利になるように改正をいたしまして、それから、今国会にお願いいたしております発電用施設周辺地域整備法案等によりまして、その電源立地難を乗り切りまして、そういう電力危機が訪れないような万全の策を講じてまいりたいと、こう思っておるわけでございます。
  197. 中村利次

    ○中村利次君 私がお尋ねをしておりますのは、日本にも、戦後の電力不足のころにいろんな社会問題、あるいは人命問題が起きたんです。私どもはそれを体験をしてきたんです。それから、やはりたいへんにうるさくいわれておるニューヨークが電力不足になって、えらい社会問題が起きたのも、これは外電を通じて私どもは聞いてきておる。そういう外国の事態だとか、あるいは日本の戦後の一時期の事態、こういうものについて通産省はどういうぐあいに正しい調査をおやりになっておるのか。予備率がマイナスになっているんですよ、結果して起こる社会問題、あるいはとうとい人命が失われていくという、そういう実態なんか調査になっていらっしゃいませんか。
  198. 和田文夫

    説明員和田文夫君) その実態調査というものは、いろんな機関を通じまして、いま手元に持っておりませんが、ニューヨークの、たとえば停電のときの影響でございますとか、そういうものは、いろんな、たとえば海外電力調査会を通ずる調査でございますとか、あるいは大使館からの情報等により伺ったり、大要はその時点で聞いているわけでございますが、現在考えている対策を講じましてもどうしても電気が不足する場合は、戦後のときとちょっと性質が、先生承知のように、違いまして、何といいますか、戦後の不足は石炭やなにかが不足でございまして、キロワットアワーが、エネルギー総量が足りないわけでございましたが、まあ今回の電源立地難に基づく不足は、まあいわゆるキロワットが足りないということで、最大需要が出るような施設の土地が足りないわけでございますので、できるだけ大口需要者等の地域調整等を要請いたしまして、需給上混乱が生じないような万全の措置はとっていきたいと、こういうふうに考えております。
  199. 中村利次

    ○中村利次君 そういう答弁だから国民の皆さんが信頼をしないんですよ。確かに、戦後の一時期と現在は、キロワットアワー、キロワットの違いがあります。しかし、ピーク時であっても、社会環境は全く違っているんですよ。当時は、電気を、不足している電気ですが、だれが使っていましたか。占領軍は、あれは一級と称しまして、切れなかったんですよ。一般庶民の三級線がばたばた切られたんですよ。パン屋さんはどなり込んでくる、それから病院で手術している患者は死んじゃったと、やくざっぽい人たちなんか日本刀をかかえてどなり込んで、ぶった切ってやると言ってきたような、そういう混乱状態が続いたんですよ。それは、いま社会環境が全く違って、あらゆるところに電力が利用されている、家庭生活から電力を、あなた、十分取ってごらんなさい、私はどえらい社会問題になると思う。ですから、キロワットとキロワットアワーの差ではないんです、これは。社会環境の差で、どういう事態が起こるのか、これは調査になっておらないならそれでやむを得ませんけれども、こういう問題はたいへんに時間がかかりますからね。私はいずれそのうちに、たっぷり時間のあるときに、ひとつ、一から十まで、むしろ政府の姿勢追及として、これはやりたいと思うんですけれどもね。私は、そういう、どうもいいかげんな姿勢では、本物のやはり電力行政というものはできないと思う。エネルギー行政というものはできないと思う。石油にしてもそうなんですよ。ですから、実態認識、事実認識が正しく行なわれませんと、いま行なわれておるようにですね、これは環境問題あり、安全問題あり、大気汚染の問題あり、確かにある。ですから、そういう問題に幾ら金がかかっても、国民の皆さんの納得できるような技術開発をやる、これは科技庁のやはり役割りでしょう、そして国民の合意を求める、政府は行政の責任者としてやはり選択をする。いずれを選択するのか、国民とともに。何回言っても同じですけれども、そういう姿勢がないと、これはどえらいことになる。こういう会議録は全部残るわけでありますから、私は、昭和五十一年ごろ、そういう事態になった場合には、会議録を証拠にして、政府の責任を——まあ長官がおやめになっていても、現職中の責任として私は追及しますよ、これは。それくらい深刻な問題になっておると思うんです。  きょうは時間がございませんから、私はこの間ちょっと質問のし残しをやっておりました公聴会の問題について簡単に質問をして質問を終わりたいと思いますけれども、公聴会をやるということが報じられましてから、たとえば日本経済新聞、あるいは朝日新聞、毎日新聞等がこの問題を取り上げました。五月二十五日の朝日新聞及び五月二十六日の毎日新聞、これはお読みになっていると思いますね。結局、要約すれば、意見陳述者を指定をし、それから意見陳述者の意見要旨の届け出をするということは、これは問題があるんじゃないかという、大体はそういう論調でありまして、公聴会を開いたということを口実にして、そして民主的な手続を経て結論を出したのだ、そういうことになるおそれがあるんではないかという、そういうのが疑問点として問題提起をされているのです。  そこで、私は質問したいのですが、意見陳述者を指定をする、あるいはその要旨の届け出を必要とするというのは、これはどういう立場からそういうことをおきめになったのか、お伺いをしたいと思います。
  200. 成田壽治

    政府委員(成田壽治君) 原子力委員会が五月の二十二日に決定しました公聴会開催要領によりましても、意見陳述希望者は意見要旨の届け出をする、そして意見陳述者を原子力委員会は指定をするということになっております。これはおそらく意見の陳述希望者は非常に多いだろうと思います。非常にたくさんあって、そのうちから相当数を——なるたけたくさん聞いたほうがいいんでありますが、時間等の関係で、しぼらざるを得ない。それからもう一つは、その意見要旨を見ますと、いろんな、同じような意見のものが相当多いんじゃないか。そういう意味で、やはり地元のなまの声を聞くためには、意見内容が同じものは代表的な一人の方にやってもらって、そしてその陳述の内容が一方に片寄らない、いろんな意見が出るような、そういう構成になるのが望ましいと思います。そういう意味では、意見陳述希望者の届け出をやって、そうしてどういう内容でやるか、あらかじめ原子力委員会としては知っておく必要があるからであります。
  201. 中村利次

    ○中村利次君 そういう点を明確にされているのですか。これは、私はやはり新聞論調そのものも非常にもっともだと思うんですね。しかし、いま御答弁がございましたように、公聴会がやはりお互いが合意に達するような、だめなものはだめ、これはだめの理由を出して、あるいはいろいろと議論をしてみたところが、結果としては、よかった、いいんだということになるかもしれない。そういう、いずれにしても合意を求めるための議論をやるというのに、陳述者は抜き打ち的に、どうもあらかじめ要旨を出すのがぐあいが悪い、おれはもう隠しておいて抜き打ち的にやるんだ、困らしてやるんだという姿勢では、これはほんものの公聴会じゃないわけですから、そういう点は、私は、やはり意見要旨をあらかじめ届け出をするというのは、ほんとうの公聴会の趣旨を理解する姿勢であったら、一向困らないと思う。われわれだって質問要旨を出しているんですからね、これは。堂々と、そうして論陣を張ればよろしい。そういうことをちっとも理解をされないようなうらみがあると思うんですがね。何か、そういうことを、あれですか、発表されてはいないんですか。何か、原子力委員会事業者の側に立って、どうもごまくらかしをするための公聴会だという、そういう感じすらあるような状態ですけれども、そういうものに対してどういう対処をしておられるか、お伺いをしたいと思う。
  202. 前田佳都男

    国務大臣前田佳都男君) われわれ原子力委員会で五月二十二日決定いたしました公聴会が、業者のための公聴会だとか業者寄りであるとか、そういうことに解釈をされるということは、私は心外千万でありまして、まことに遺憾であります。全然そういうことは考えておりません。公聴会という制度を、ほんとうになまの声を聞くという制度に踏み切ったゆえんのものは、なまの声を、地元の声を聞いて、発電立地を円滑に、そういうふうな地元の住民の理解と協力を得るという趣旨でつくったわけでございまして、ただかっこうだけの公聴会であるとか、何か、それをつくろうための公聴会であるというふうな意図は全然持っていないということだけを、私は声を大きくして実は申し上げたいのでございます。あるいは、同じような意見を述べる人が何人かある場合指定をするとか、あるいはその質問の要旨を届けてもらうということにつきまして、いろいろ解釈は自由であります。いろんなことをおっしゃる人もあるようであります。いろいろな意見も出版物等には出ておるということも私も知っております。しかし、私たちは、この公聴会というものは、ただその場において、非常によくもめる場所である、混乱を招くとか、いろんなそういう場合も多いわけでございまして、その点が、秩序正しく、なまの声を聞きたいという、ほんとうのわれわれの心情といいますか、ほんとうの気持ちで、こういう趣旨がつくられたわけでございまして、別にかっこうだけの、天下り式の、官製的な——カンセイというのは官がつくる官製的なそういう公聴会ではないという点だけを、どうぞひとつ私は御理解をいただきたいと思うのであります。
  203. 中村利次

    ○中村利次君 私はそういうことを言っているんじゃなくて、やはり、誤解を受けるような姿勢がどこにあるのか、なぜ、正しい理解をさせようとする、そのことをなさらないのか、そういう点をお尋ねしたんですけれども、それはけっこうですわ。  同じ五月の日本経済新聞の「原子力発電所立地と公聴会への注文」という社説をお読みになりましたか。
  204. 成田壽治

    政府委員(成田壽治君) 日経の社説、読んでおります。
  205. 中村利次

    ○中村利次君 まことに私はこれは敬服する社説だと思いますよ。これはやはり一つの私は意見だと思う。これはお読みになっているんでしたら、原子力委員会は、やはり少しあんた、これも世論の一つですから、けんけん服膺してくださいよ。そうして、もっとぴしっとした姿勢で行政をやっていただきたい。読みましょうか、要りませんか、速記録にとどめますか、会議録に。いいこと書いていますよ。  「原子力委員会はこれまでの開発推進者から開発規制者へ変身するのか、あるいは複雑な利害のもつれる現場から手を引いて局外中立に徹しようとするのか。それとも安全や環境といった至難な問題に進んで介入し、たとえ泥をかぶっても日本の原子力のために積極的な調停者の役割を果たす覚悟があるのか。みずからの立場を鮮明にしなければならない。」——もっともでしょう。「公聴会制度をわが国に定着させて真に実り多いものとするためには、原子炉安全審査体制における正しい位置づけと円滑な運営のルール確立が前提になる。ヘルメット集団やゲバ棒支援勢力はもちろん排除し、当事者間で広く意見を述べ、整然と議論を尽くさねばならない。公聴会の本質は決して弁論大会ではないし、ましてや人民裁判でもない。固定観念をいたずらに繰り返して平行線をたどり、はては声の大きさや票の多さで相手をねじ伏せようとするあやまちに陥ってはならぬ。米原子力委の公聴会はすでに代理人である弁護士同士の法技術論争になっているともいう。主役不在の代理公聴会はしょせん不毛の論議である。」  公聴会を大体考えておるとおっしゃるから、私はこういうことを言ってきた。公聴会は何のためにやるのか。私は、もう少し腰をしっかりして、国民に信頼されるような行政をやってほしいことを要望しまして、きょうは、私の質問を終わります。
  206. 矢追秀彦

    理事矢追秀彦君) 他に御発言もなければ、本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十二分散会