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1973-06-20 第71回国会 参議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年六月二十日(水曜日)    午前十時七分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         星野 重次君     理 事                 岩動 道行君                 黒住 忠行君                 鈴木美枝子君                 三木 忠雄君     委 員                 今泉 正二君                 楠  正俊君                 柴立 芳文君                 高橋雄之助君                 町村 金五君                 秋山 長造君                 田  英夫君                 松下 正寿君                 春日 正一君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)、(沖繩開        発庁長官)    坪川 信三君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  山中 貞則君    政府委員        防衛庁参事官   長坂  強君        防衛庁防衛局長  久保 卓也君        防衛施設庁総務        部長       河路  康君        防衛施設庁施設        部長       平井 啓一君        防衛施設庁労務        部長       松崎鎮一郎君        沖繩開発庁総務        局長       岡田 純夫君        沖繩開発庁振興        局長       渥美 謙二君        外務省アメリカ        局長       大河原良雄君        外務省欧亜局長  大和田 渉君        郵政省電波監理        局長       齋藤 義郎君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  保君        常任委員会専門        員        服部比佐治君    説明員        環境庁水質保全        局企画課長    松田豊三郎君        外務省アメリカ        局外務参事官   角谷  清君        外務省アメリカ        局安全保障課長  松田 慶文君        文化庁文化財保        護部記念物課長  古村 澄一君        通商産業省企業        局沖繩国際海洋        博覧会管理官   中沢 忠義君        運輸省港湾局参        事官       高橋 全吉君        海上保安庁警備        救難部長     船谷 近夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○沖繩及び北方問題に関しての対策樹立に関する  調査  (VOA撤去等に関する件)  (北方地域安全操業及び墓参等に関する件)  (沖繩米軍牧港補給基地による海洋汚染に関  する件)  (沖繩文化財保護等に関する件)  (リゾート開発公社運営問題等に関する件)  (自衛隊の沖繩移駐に伴う諸問題等に関する  件)  (那覇空港の返還に関する件)  (沖繩米軍基地整理縮少に関する件)     —————————————
  2. 星野重次

    委員長星野重次君) ただいまから沖繩及び北方問題に関する特別委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  沖繩及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査のため、参考人出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 星野重次

    委員長星野重次君) 御異議ないと認めます。  なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 星野重次

    委員長星野重次君) 御異議がございませんので、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 星野重次

    委員長星野重次君) 沖繩及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 田英夫

    田英夫君 最初に、これはおそらく外務省が御担当でしょうけれども、アメリカ局長おいでですから伺いますが、去る十七日に、沖繩アメリカ海兵隊が、例の四月十二日ですか、に起きました薬きょう拾いの婦人が死亡した事件について、アメリカ側には刑事責任がないという態度を表明をしておりますけれども、この問題は沖繩で非常に大きな波紋、反響を呼んだ事件でありますけれども、第一に、第一次裁判権日本側にないということになって、アメリカ側裁判に移されていたわけですけれども、この事件経過、そして、この海兵隊がこういう態度を決定して発表したそのいきさつを、ちょっとお聞かせいただきたい。
  7. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 六月の十七日に沖繩海兵隊が、ブルービーチで起きました戦車事故に関しまして、米側としては慎重に取り調べた結果、この問題については当事者に刑事責任なしという決定をみるに至ったということを日本側通知をしてまいりました。この通知は、現地司法当局に対して行なわれたものでございますけれども、現地司法当局はこれを受けまして、日本側としては起訴という措置をとることができなくなった、こういうことを申しておるわけであります。
  8. 田英夫

    田英夫君 この事件が起きました当時のいきさつというのは、私も新聞報道を知る以外に手はないわけですけれども、同時に、現地調査いたしました者の話も総合いたしますと、当日、アメリカ側演習当日立ち入りを許していた。そして、戦車演習が始まる直前になって、どけと、立ち去るようにという、まあ警告を、注意をしているということのようでありますけれども、そうなりますと、今度の海兵隊のほうの連絡によると、当該米兵には刑事責任がないということは、向こうの言い分として向こうなりの理屈はあるかもしれませんけれども、同時に基本的な状況考えると、当時立ち入りを許していたという、こういうことを考えると、日本人の感情としては、これはいささか認めがたい状況である、こういうことになってくると思いますが、この辺の事情外務省でおつかみになっておられますか。
  9. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 問題になりまする演習は、四月の八日から十二日までということで、日本側に対しまして一週間前に予告があった問題でございますが、その米側の通報の中に、採草、採木のための立ち入りは許可するということがございまして、問題の起きました当日には、そういうことにかんがみまして、現地の数名の方々演習場に入っていたようであります。その演習が始まる際に、米側といたしましては、その演習地の中におりました数人の現地方々に対して、戦車演習が行なわれるのでこの場所から立ち去ってもらいたいということの注意がありまして、その注意を受けた数人の人たちは現場を立ち去った。ところが、事故によりましてなくなられた安富祖さんという老婦人が、その一行の数名の方々の中におったにもかかわらず、安富祖さんお一人は立ち去りをしないで草むらの中に隠れておったと、こういう事情があったというふうに米側は言っているわけであります。  そこで、日本側といたしましては、御指摘のとおり、採草、採木のための立ち入りを認めるということを米側が言っておるにもかかわらず演習を行なった。この演習によって事故が起きた。このことに対しましては、当時遺憾の意を表明してあるわけでございますが、その後、米側といたしましては、今後こういう事故の再発を防ぐために、演習にあたっては被害予防のための万全の措置を講ずるということを発表いたしまして、日本側にその内容についても通報してきているところでございます。したがいまして、採草、採木のための立ち入りということを言っておきながら、そういう事情はありますけれども、米側といたしましては、戦車のその時点における演習実施については、立ち去りを求める云々ということで十分の措置をしたつもりだったと、それにもかかわらず草むらのために御当人が見えずに事故を起こしたことはまことに遺憾だと、こういうことを言っておるわけであります。
  10. 田英夫

    田英夫君 この問題は、いわゆる演習場とからんでの問題でありまして、まあ当然、ああしたアメリカ軍基地演習場というものの存在が問題になるのは当然でありますけれども、さらにこうした演習にからまる事故以外に、やはりアメリカ兵による犯罪というものが復帰後もあとを断たない、一年以上たった中で、むしろ件数からすると一向にあとを断たない。ベトナム戦争終結をしているそれ以後の状況がどうなってきているか、こういうことを含めて、最近のアメリカ兵刑事事件日本人に対する事件、これを、昨年復帰以後のところで数字をつかんでおられましたら、それを出していただきたい。
  11. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 沖繩復帰以後におきましても、米軍人にからまりまする犯罪が非常に多い、あるいは、むしろふえているということがかねがね報ぜられているわけでございまして、申しわけありませんけれども、この数字をいま手もとに持ち合わしておりませんけれども、一般的な状況といたしまして、かなり犯罪件数が多いということについては、私どもまことに遺憾なことと考えております。  ことに、最近は、例の集団暴行事件というふうな非常に遺憾な事件も起きておりますし、こういうふうな犯罪の問題につきまして、私どもといたしましては、米側に対しましてかねて基地問題との関連もあり、かかる犯罪が多いという事実はまことに遺憾なことであり、これでは現地方々の理解を得て基地の機能を円滑に営むということすらも非常にむずかしいという事態が十分理解されなければいけないということは、米側にいろいろな機会に言っているところでありますし、また、この集団暴行事件の際には、私からシュースミス公使並びにパースレー米軍司令官に対しまして遺憾の意を表明いたしましたに対して、米側といたしましても、かねて軍人軍規維持ということについては十分な注意を払い、また努力も払ってきたにもかかわらず、このような不祥事件が起きたということについてはまことに残念に思っておりますということを言っておりますと同時に、今後とも軍規維持については全力をあげて努力していきたいということを約束しておったわけであります。  なお、沖繩における犯罪問題に関連いたしまして、麻薬がかなり関係があるんではないかということも言われておりますけれども、麻薬取り締まりにつきましては、わがほうの当局者が非常な努力をいたしまして、米側と協力しつつ麻薬取り締まりに当たっているということも申し上げてよろしいかと存じます。
  12. 田英夫

    田英夫君 坪川長官おいでなりましたので……。例の薬きょう拾いの老婆の問題、アメリカ側刑事責任がないという発表をつい数日前いたしました。外務省のほうからこれに対する経過は伺ったわけですけれども、それに関連をして、いまアメリカ兵犯罪が一向に減らないという問題ですね。これは政府責任者として、ひとつ、この問題について、窓口は外務当局でありますけれども、沖繩担当責任者として、この問題はやはりもっと重大に考えていただきたいと思いますので、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  13. 坪川信三

    国務大臣坪川信三君) 田先生指摘の本問題につきまして、その後幾たびかこうした遺憾な不幸な事件が引き続き発生いたしておる事態、また、いま特別御指摘なりました先般のこうした事件、まことに遺憾きわまりない残念な事件だと思いまして、沖繩県民生活に対する大きな不安感危機感を与えるという重要な問題にも関連いたしておりますので、政府といたしましては、こうした事態の再発生に対するアメリカ当局の猛反省といいますか、より一そうきびしい措置をとっていただかなければならない、また、そうした不幸が再び繰り返されないように、外交ルートを通じ、それぞれ要望、また厳重な忠告もいたし、また、私からも大平外相に、とくと沖繩開発庁長官県民生活を守る立場からもお願いをいたしておるのでありますが、こうした事態は、やはり基地の根本問題がそうした不幸な偶発事件につながっておりますことを思うときに、基地整理縮小という点からも、こうした点をば強く日米協議会の場において要望もいたし、いささかではございますが、その後、いささかなりとも基地縮小話し合いがまとまって、過日発表も申し上げておるような事態でございますので、私といたしましては、いま御指摘の点に対しまして、さらに強く、また細心の配慮をいたしながら、外務省を通じましての適切な指導及び適切なるところの注意及び厳重なる今後の取り締まり等お願いをいたしてもおりますが、さらに推進いたしてまいりたいと、こう考えております。
  14. 田英夫

    田英夫君 この問題は、時間がありませんので、次に移りますが、例の返還協定にはっきりと明記されているVOAの移転の問題です。これは、すでに返還協定発効後一年以上を経過して——二年というのが一つめどになっているわけですけれども、これは政府としてどういうふうに考えておられるか。あるいは、この問題について、すでにもう来年が一つのポイントですから、この点、何らかの検討を進められていると思いますので、その基本的な態度を伺いたいと思います。
  15. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 御指摘のとおりに、沖繩返還協定の第八条によりまして、日米両国政府は、協定効力発生の日から二年後、すなわち明年の五月から、沖繩にありますVOA中継局の将来の運営について協議に入ることに規定されております。政府といたしましては、明年の五月から協定に従いまして開始される将来の運営に関しまする協議が円滑に行なわれますよう、通常外交チャンネルを通じましてこの問題に対する米側の動きの把握につとめてまいると同時に、わが国の国内におけるこの問題に関するきわめて強い関心米側に伝えながら準備を進めていきたい、こういうふうに考えております。
  16. 田英夫

    田英夫君 来年から始まるとねうのが、二年後の時点からというふうに返還協定はなっていて、それで五年という一つめどを立てているわけですけれども、いまのアジア情勢——実は私、返還協定が審議されている国会でも、あの状況で、すでにもう、VOAというものを沖繩に置くのは適当でない、こういうことを申し上げたわけですけれども、現在は、あの沖繩国会時点よりもさらにアジア情勢は変わっているのは言うまでもありません。日中国交回復が実現をし、さらにベトナム戦争終結をする、こういう状況の中で、沖繩VOAというのは、中国ベトナム朝鮮、これをおもな対象にして、使用していることばも大体中国語と朝鮮語であるということから、大体中国朝鮮対象にしてアメリカ政府宣伝放送をやっておると、こういうことになってくると、来年を一つの区切りにして、それ以後五年という、こういう形では非常におかしいと、すでに返還協定審議段階で私は指摘いたしましたけれども、現在ではさらにこれが変わっているということは、だれが見ても明らかだと思います。何も五年間待たなくてもいいわけで、返還協定ではそういう縛り方はもちろんしていないわけですから、この点、どういうふうにお考えなのか。やはり二年、五年というこの考え方を変えるおつもりはないのかどうか。この点を伺いたいと思います。
  17. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 沖繩復帰前からありましたVOAの取り扱いにつきまして、返還交渉におきましていろいろな経緯がありましたことは田先生御承知のとおりでございます。その結果、いろいろな交渉経緯を踏まえて協定の第八条の規定ができ上がっているわけでありますが、この第八条の規定に従いますと、効力発生の日から五年の期間にわたり、VOA運営を継続することに同意ということが日米間の約束でありますし、また他方、効力発生の日から二年後に同沖繩にありまするVOAの将来の運営について協議に入るということも規定されているわけであります。さらにまた、合意議事録の第八条に関する合意といたしまして、VOA日本国外へ移転される場合において、予見されない事情により代替施設が五年の期間内に完成されないことが明らかになったときは、日本政府としては、その五年の期間の後その代替施設が完成するまでの間沖繩VOA運営を継続する必要性に対し、十分な認識を払う用意があるということもうたってあるわけでございまして、五年の暫定期間というものは協定で一応合意されている問題でございます。もちろん、日本側といたしましては、予見されない場合を除きまして、五年以後さらに運営を継続ということは想定はいたしておらないわけでありまするけれども、協定に定められた五年の期間内にこれの立ちのきを要求するという立場にはないことは御理解いただけるかと思います。ただ、VOAが従来果たしてまいりました役割りというものが国際環境変化に伴っていろいろな見方が出てきているということは、これはアメリカ国内においても現実にある点だろうというふうに考えられます。ただ、この点に関しまして、米政府といたしましては、VOAというものは何ら敵性放送をやってきたわけではありませんし、アメリカ通常ニュースをとにかく広く放送してアメリカ事情をわかってもらうという趣旨のものであるという説明をしておるわけでありますから、そういう意味におきまして、中国あるいはソ連、北朝鮮、こういうものを対象とする敵性放送であるがゆえに状況変化によってこの意味がなくなったとは、米政府考えておらないということのようでございます。
  18. 田英夫

    田英夫君 VOA敵性放送をやっていないということは、返還協定審議段階でも、アメリカが言っているということで政府は言っておられましたけれども、私もワシントンのVOA本部に行ったこともありますし、どういう放送をやっているかも調べてまいりましたが、これは考え方ですけれども、放送を受ける側の、たとえば中国や、特に現在の時点では、朝鮮民主主義人民共和国の側、この側からすれば、これはアメリカ人からすればただのニュースだというものが、実はアメリカ宣伝放送である——これは私も長い間ジャーナリストをやってきましたから……。これはそういうもんです。したがって、そうしたアメリカ宣伝放送本部日本の一部にあるというこの事態、これを私は政治的に考えるべきだと思います。百歩譲って、安保条約というものの存在を認め、基地というものがあることを認めても、このVOAという問題は全然異質のものでありますから、これが返還協定でああいう形で残されたというところに、すでに問題があるわけですけれども、これは既成の事実ですからやむを得ないとしても、いまの段階で、いまのアジア情勢という中で、しかも中国との国交回復をやり、北ベトナムとも国交樹立をやろうというのが田中内閣方針であるということもはっきり打ち出されている、朝鮮半島についても、平和を望んで北側とも交流を深めたいということも政府は言っておられるわけです。そういう中でVOAが依然として存在するということはまことに不可解だと思うわけですが、これはひとつ、坪川長官国務大臣として、また沖繩担当として、沖繩にあるわけですから、お考えを伺いたいと思います。
  19. 坪川信三

    国務大臣坪川信三君) いまの御指摘VOAの問題でございますが、私は私なりに、その問題点もいささか聞き及んでおり、私の守備範囲内ではございませんけれども、沖繩立場からこの問題は推移を深く注視もいたしておるのでございますが、いま外務省アメリカ局長も申しましたごとく、協定第八条によっての取りきめによって一つの計画的な話し合いの進む基本方針はきまっておるような次第でございますので、この協定に基づきながら早急にこうした問題の解決を、ぜひひとつお願いしたいと、また沖繩のためにも、そうした点に対する疑義を、不安を与えるようなことも避けたいと思いますので、外交ルートに乗っての折衝がすみやかに解決されるよう深い関心要望をいたしておるような次第でございます。
  20. 田英夫

    田英夫君 これはどこの担当か、開発庁かあるいは郵政省か私はわかりませんけれども、現地VOA放送局のある周辺で、以前から電波公害の問題が言われておりまして、最近、私沖繩へことしになってから行っておりますが、その現地での調査によっても、やはり依然として電波公害があると、木の枝から木の枝へ電線を張ればそこで電灯がつくという、そういう状況は以前と変わりがないし、テレビは見られないと、こういうことを現地の人は言っておるのでありますけれども小さいことのようであり、範囲は狭いと言えばそれまでですけれども、これは、いまのような情勢の中で、私から言えば要りもしないものがそこにあるために、生活が非常にしにくくなっている現地の方がいるわけで、明らかにこれは公害だと思いますが、この状況をつかんでおられますか、政府のほうでは。
  21. 齋藤義郎

    政府委員齋藤義郎君) VOAが初めて沖繩に設置されました当時は、確かにそういうような問題がございまして、いろいろ公害的な被害が出たわけでございますけれども、その後米軍側で、たとえば電話線を地下に埋没するとか、あるいはテレビの場合におきましては、有線テレビ混信地帯有線テレビを送るとか、そういうような措置をいたしまして、現段階におきましては、公害的なものはないということになっております。
  22. 田英夫

    田英夫君 それは、電波監理局長、一度、郵政省担当の方ですね、当然沖繩県にもおられるわけでしょうが、遠いですけれどもね、現地をお調べになったほうがいいと思います。私の知っている限りでは変わっていないと、こういう陳情があります。で、この点はひとつ、政府としてもつかんでおいていただきたいと思います。以前より度合いがよくなったという程度で、依然としてあるようです。  それから、このVOAで働いている日本人職員の問題です。これはアメリカ政府の直接雇用という形になっているというふうに聞いておりますが、そのとおり、間違いありませんか。
  23. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 沖繩にありますVOA中継局に働いております職員は、米政府との契約に基づいて働いておる職員でございます。
  24. 田英夫

    田英夫君 いま日本人雇用者が大体七十人余りあるようですけれども、たとえば、返還後、電話施設を自動化したというようなことで電話交換手が整理されたとか、そういうような事態が起きて、従業員の間に不安が起こった。ところが、それでは、当然のこととして、団結権を行使して労働組合を結成しようということを、働きをしたところが、アメリカ側はその組合結成を一切認めないと、こういうことで、労働組合労働組合活動というものも承認されていない、こういうふうにVOAで働いている人から直接私聞いたことでありますけれども、これは日本人であって、アメリカ側雇用されているということの中で、しかも駐留軍関係離職者臨時措置法、こういうものも適用されない。何か、駐留軍に働いている人とも違うし、そうしたまた法律の適用もないという中で、しかも組合結成も認められない。これは返還以前の問題であればやむを得ないということも言えるかもしれませんけれども、まさに本土と同じ状況にならなければならぬところで、しかも、人数は少なくとも、こういう状態にあるということは非常に問題だと思うのですが、この辺はどういうふうにつかんでおられますか。
  25. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) VOAVOAとしての就業規則というものを持っておりますが、その規則内容が必ずしもわがほうの労働法規の要求する基準と合わないものがあるんじゃないかという問題が、かねてございます。ただ、この問題につきましては、わがほうの法律的な立場日本国内法が当然及ぶと、こういうことになるわけでございますが、労働条件といいますか、職場での待遇の問題とかいろいろ複雑な問題があるようでございますので、われわれといたしましては、かねてこの問題について、どういうふうに考えるべきかということについての検討をいたしてきた点でございます。
  26. 田英夫

    田英夫君 いま大河原局長が言われたように、当然、日本国内であり、日本人であって、主がアメリカ政府であっても日本労働法規というものは適用されるというふうに基本的に考えなければいかぬということになると、非常におかしなことになってくると思いますね。駐留軍関係離職者等臨時措置法というものが適用されないということ、不安を現に私に訴えておりましたけれども、しかもその中で、電話交換手が整理されると、こうなってくると非常に不安になると思うのですが、大臣、この点はいかがでしょう。その沖繩の中でこういう事態が起きているということ、ここをひとつ政府態度をはっきりしておいていただきたいと思います。
  27. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) VOAで働いておりまする人たちは、駐留軍労務者離職者退職資金、こういうものの適用には職場の関係でならないわけでございまして、そこいらの点にいろいろ問題があるということはわれわれとしても聞いております。したがいまして、この問題は、労働者その他関係の官庁とよく協議をいたしまして考えていきたいというふうに考えておる問題でございます。
  28. 田英夫

    田英夫君 大臣、この問題は、人数は百人足らずのものですけれども、日本の中で日本の法律が適用されないという事態が起きているということは非常に重大だと思いますので、いま大河原局長が言われたように、関係各省の間で至急に連絡をおとりいただいて対処していただきたい。  時間がなくなりましたので、終わります。
  29. 坪川信三

    国務大臣坪川信三君) いまアメリカ局長も申されましたように、非常に検討すべき重要な問題だと思いますので、各省庁間で、その問題の取り組み方、今後の方針等について前向きの姿勢で検討を加えさせるよう、十分指導をいたしたいと、こう思っております。
  30. 高橋雄之助

    高橋雄之助君 私は、北方領土の関係において、若干お尋ね申し上げたいと思います。  北方領土の復帰の早期実現については、今日までいろいろ努力を重ねてまいっておりますが、すでに戦後二十八年になる今日、なお、わが国の固有の領土でありまする歯舞群島あるいは色丹、国後、択捉等は、いまだにソ連の支配下に置かれておるわけでございます。これら島々の早期復帰は北海道民の悲願でございます。これにつきましては、いろいろ北方対策本部においても事業を取り進めておるわけでございますが、ことに、四十八年度におけるこれらの実現のために、関係するいろいろな事業、あるいは予算を組んでおられるわけでございますが、これらの取り進めについて、今日どのようにとり行なわれておりますか、その点をひとつお尋ね申し上げたいと思います。
  31. 坪川信三

    国務大臣坪川信三君) 高橋先生御指摘の北方領土問題は、私は、ほんとうに重要な国民的課題であると、こう踏まえており、この北方領土問題が、もう国際法上、また歴史上、当然わが国に帰属すべきものであるということも、十分、われわれといたしましては、その立場に立って、外交ルートに乗せながら、悲願の達成に最善の努力をいたしてまいりたいと、こう考えておりますので、北方領土対策本部長の私といたしましても、そうした気持ちを持って、また決意を持って取り組んでおることは当然でございますが、まずもって、やはり歯舞、色丹、択捉、国後等の問題については、もとの島民の方々の問題も十分心情的にお聞き申し上げて、また、この目でその実態というものも深めてまいりたいというような気持ちで、早く現地に出向きたいと思っておったのでございますが、御案内のような国会の重要審議を放てきするわけにもまいりませんでしたが、幸いに、衆参両院の各党の国対関係の御理解もいただきましたので、明後日立ちまして、三日間にわたりまして現地に出向きまして、北海道の知事さんはじめ、地域住民の方々の御意見も十分お聞きをいたし、また、許す範囲内の海にも出まして、よく現地の雰囲気というものを把握いたしてまいって、そうしたものを踏まえながら一もういまや、私は北方領土の問題は、一つの大きな国論の統一された国民的要望に相なってきておるということを深く信じてもおり、当然の推移であることを考えますときに、私は、そうした立場に立って、御承知のとおりの諸般の問題について、国内的に処理すべき問題、また、外交ルートを経まして、復帰あるいは墓参の問題、あるいは漁業交渉等の問題について、ひとつ、国務大臣立場からも、関係省庁の関係大臣に強くお願いをいたしたいと、その結果は、もちろん、外務大臣あるいは農林大臣、総理にも報告いたし、また閣議の場においても報告をいたして、政府、国民一体となって、また各政党一体となった姿で、これに取り組むべき基本方針を表明申し上げておきたいと、こう考えるのでございます。
  32. 高橋雄之助

    高橋雄之助君 いま坪川長官から非常に熱意のあるお話を承りまして、敬意を表する次第でございます。明後日——二十二日に立たれまして、三日間、現地また洋上の調査もいたしまして、しさいに現地を見てくるということでございまして、北海道の新聞も、大々的に、長官がおいでになるということで、非常に大きな期待をかけている記事が出ておるわけでございますが、それぞれ現地にもおいでなりまして、非常に励ましのことばを、引き揚げ者の諸君、あるいはまた地域住民の人にも申し述べられておるわけでございますが、なお、なかなかそれが前進しないというようなことでございます。しかし、長官、非常に情熱を傾けてこれをやろうという決意のようでございまして、まことにその点、大きな期待を寄せておるような次第でございます。そしてまた、総理が九月ごろソ連に行かれるということでございますから、当然、行かれますれば領土の問題が出てまいると思いますし、また、総理もその腹がまえでソ連に行かれると、かようにわれわれは考えられるわけでございますから、このたびの視察、また現地事情、それを十分ひとつ見てこられまして、総理はじめ、関係大臣にも十分ひとつお話を願って、これが早期に実現されるように、一段の努力お願いする次第でございます。ことに、道もそのとおりでございますが、現地の根室市長が、このことに一年を通じて非常な熱意を込めて全国に呼びかけ、あるいはまた、いろんな行動をしておるわけでございます。乏しい予算の中で、実にきめこまかいいろいろな対策を講じつつ、道との連絡の中で進められておるような状況でございますから、おいでなりますれば市長からも、あるいはまた、議会のほうからも、あるいはまた地域住民の人からも真剣ないろいろなお話があろうかと思いますので、どうぞその点については、十分ひとつ、よく長官の目で見られ、また、耳で聞かれてお帰り願うことを心から期待しておる次第でございます。  そしてまた、何と申しましても、いまお話のありました、国民的な規模においてこれを推進しなければなかなか実現しないということも言うまでもないことでございまして、いわゆる国民の世論を結集しまして、いわゆる国民的な大運動の中でこれが実現されていくことがきわめて肝要であろうと思いますので、対策本部でも、それらについてのいろいろ具体的な対策をさらに進めてもらいたい、かように考えるわけでございますが、当局はそれに対してどのように進めんとしておりますか、その点をひとつお伺いいたしたいと思います。
  33. 坪川信三

    国務大臣坪川信三君) 北方領土の問題に対しまして、高橋委員が非常に真摯な、熱烈なお気持ちを持って要望、御指摘なりましたことを深く感謝もし、感銘もいたしておるような次第でございます。ことに、現地の根室市長さんが非常な市政の大黒柱としての方針でこれに取り組んでおられ、市の理事者並びに議会等の非常な御協力も十分聞き及んでおり、しかも、非常なアイデアを持った宣伝活動などにも取り組んでおられる現実も私は高く評価したいと思うのでございます。そうした立場から、現地の皆さまにもよく敬意を払いながら十分傾聴してまいりたい、また、多数の関係の島民の方々が苦しい生活を続けておられることを思いますときに、こうした、もとの島民の原住者に対しての十分な配慮もいたすべく、じかにこれらの方々要望等も十分お聞きもいたしてまいりたいと、こういうようなことを踏まえて、いよいよ外交ルートの場に近づきつつあるこのタイミングを考えながら、全力を注いで御期待に沿いたいと、こう考えておる次第であります。
  34. 高橋雄之助

    高橋雄之助君 たいへんどうも大臣の適切な御答弁をちょうだいいたしまして敬意を表する次第でございます。北方領土の復帰の問題はいま申しましたようなことでございますが、当面の問題として安全操業関係でございます。このことについても前々からいろいろと外交ルートの中で、赤城農林大臣とイシコフ漁業相との間におけるいろいろな話し合い、あるいはまた、その経過、それぞれあるわけでございますが、今日までのいわゆる安全操業に関して、日ソ政府間においての交渉が持たれた経緯について、この際ひとつお伺いいたしたいと、かように考えるわけでございます。
  35. 大和田渉

    政府委員(大和田渉君) 日ソ間の安全操業の交渉の経緯でございますが、交渉それ自身は、すでに古く、昭和三十二年から始まっております。われわれの考え方といたしましては、北方水域において平和な産業を営んでいる日本の漁民が拿捕される、船も没収されるというような事態がある。この不幸な事態を何とかなくしたいというねらいでございます。これは日本にとって不幸であるばかりでなく、そういう事態が引き続き起こることは、ソ連にとっても必ずしも幸福でないだろうというアプローチを続けております。その後引き続き交渉が行なわれましたのですが、具体的には、一九七〇年に、万博の機会に、先方のノビコフ副首相が参りまして、日本側はこの問題について特に交渉を集中的にやりたいという希望を受け入れまして、その後モスクワ及び東京で交渉を続けております。昨年、イシコフ漁業大臣が日本に参りまして赤城大臣と会われ、その際に、この交渉の促進方を赤城大臣から申しましたのに対して、日本側から書面によって具体的な日本考え方を出してくれという要望がございました。それに対しまして、政府内部で相談の結果、一案をまとめまして、昨年の九月十九日に新関駐ソ大使からイシコフ大臣に日本の現在の案というものを提出して、その返事を待っている段階でございます。その間、近いうちに返事が来るということを先方から数回聞きましたのですが、今日まで、先方からは日本の案に対して反対提案というものをまだ受け取らない状況でございます。
  36. 高橋雄之助

    高橋雄之助君 文書をもって申し入れてくれということで、いまお話があったとおり、文書を差し出した、それに対する回答はいまなお、ないということでございますが、駐ソ大使のいろいろな連絡の内容については、それだけのことでございますか。何か内容について、こういう事情でまだ回答がないんだというような問題はございませんか。
  37. 大和田渉

    政府委員(大和田渉君) 私自身も、昨年十二月、先方の極東部長が参りましたときに催促しておりますし、また、なぜ返事がないのかということも聞いておりますのですが、先方は、ただ、近いうちに返事があるであろう、現在漁業省及び外務省で検討中であるというだけの返事で、どの点がひっかかっているとか、どの点に問題があるというようなコメントはまだ聞いておりません。
  38. 高橋雄之助

    高橋雄之助君 安全操業と拿捕との関係が当然起きるわけでございますが、これもいろいろ数字をもらって見ておるわけでございます。この関係について、現在向こうに抑留されておる者、あるいは刑に服しておる者等について、大体今日の状況についてお尋ね申し上げたいと思いますが、その内容をひとつ教えてほしいと思います。
  39. 大和田渉

    政府委員(大和田渉君) 昭和二十一年以来今日に至るまでに拿捕されました船舶の数は、千四百十七隻でございます。また、逮捕されました漁夫は、一万一千八百七十八名でございます。そのうち、船舶につきましては、いまだに五百二十三隻が先方の手にとどまっておりまして、返還されておりません。それから、抑留されました漁夫に関しましては、現在まだ六十九名が抑留されております。この抑留されている人たちは、彼らの国内法に基づいて通常領海侵犯あるいは不法漁労というようなかどで刑に服しておられる方がかなり入っております。大体ハバロフスクの収容所に収容されておりまして、在ソ日本大使館から定期的にこの方々に面会をする、健康状態を尋ねる、あるいは留守家族からの慰問品、手紙その他を届けるということはやってきております。  以上でございます。
  40. 高橋雄之助

    高橋雄之助君 いまお話のありましたようなことでございまして、留守家族の心中まことに察するに余りあるものがあろうと思いますので、いろいろと交渉を強く続けておると思いますが、この点についても、さらに一そうひとつ、いろんな交渉を通じて、一日も早くこの六十九名の者が帰還するように一段と努力を続けていただきたいと思います。  それから拿捕されるということについてはいろんな事情があろうと思いますが、この拿捕される問題について、やはり日本政府として、あるいは海上保安庁として、どのような監視、あるいはこれに対するところの拿捕を防止する対策が講ぜられているか、その点をひとつお伺いいたしたいと思います。
  41. 船谷近夫

    説明員(船谷近夫君) 海上保安庁といたしましては、昭和二十七年の五月に閣議決定がございまして、その線に沿いまして、道北と道東に常時巡視船を派遣して、拿捕が起こらないように直接指導するようにし、引き続き今日までやっております。また、北海道庁とか漁業関係の組合等を通じまして、海難防止と拿捕防止に関する講習会をあらゆる機会を利用しましてやっておりまして、そういう間接的な事故防止ということにもつとめております。
  42. 高橋雄之助

    高橋雄之助君 その事故防止についていろいろやっておられますけれども、この数字が示すような状況にあるわけでございますから、さらに一そう今後これらについてはひとつ力を尽くして、拿捕のないようにいろいろ注意もしなければなりませんし、また、そういうことについても御努力をいたしていただきたい、こういうように考えるわけでございます。  次に、北方地域におけるところの墓参の問題でございますが、これも相当の方がソ連領土内において戦死をしておられるし、また、その島々においても戦死をしておられるわけでございますが、これも六回にわたって墓参が実施されておるわけでございます。ところが、三十九年からであるようでございますが、四十三年と、四十六年、七年——去年、おととしですね、この二年は、いろいろと申し入れましたけれども、これは許可にならなかったと、こういうことでございます。遺家族の者は、戦死した場所に参りまして霊を慰めてきたいという、その切実な願いが実はあるわけでございます。それで、四十六年、七年、これがついに認められなかったということでございますが、今年もすでに六月でございますが、おそらく八月ごろを中心として毎年行なわれておるようでございます。そういうことで、いまの状態ではどのような交渉がされておるか、また状況はどういうことでございますか。その点をひとつお伺いいたしておきます。
  43. 坪川信三

    国務大臣坪川信三君) 墓参の問題は、北方領土問題に関連は十分いたしておりますけれども、それを引き離しましての人道的な問題であろうと考えておるのであります。政府といたしましては、墓参の実現に最大な努力をいたしておるのでございますが、いま御指摘なりましたような、四十三年、四十六年、四十七年の、この間、これらの大事な問題が実施でき得ないというような状況考えますときに、昭和四十八年度の八月の墓参の大切な時期を控えておりますので、本年も五月十日に、駐ソ大使を通じましてソビエト当局に強く要望、手配をいたしておるのでございますが、さらに外交ルートを通じまして、積極的にこの問題に対する進捗方を督促いたすべきことであろうと、こう考えておりますので、現地に参りました上に立って、この問題に対しましても、外務当局と十分相談いたしたい所存でございます。
  44. 高橋雄之助

    高橋雄之助君 いま長管から経過について、なおまた、ソ連に対するところのいろんな働きかけ等についてお話がありましたが、向こうでそれを許可しないということについての理由は何でございましょうか。
  45. 大和田渉

    政府委員(大和田渉君) いま坪川国務大臣から仰せになりました大筋でございますが、わがほうからの要望は、ソ連本土、樺太及び北方諸島という幾つかの個所についての墓参の要求を出しているわけでございます。それに対しまして、先ほど先生御指摘のように、四十六年、四十七年というものは先方は認めてきておりません。その理由といたしましては、特に北方諸島地域については外国人立ち入り禁止区域であるということで、外国人には上陸させないのだ、こういう理由を述べております。
  46. 高橋雄之助

    高橋雄之助君 そういう事情だという答弁でございますが、これはひとつ、長官、いまお話のあったとおり、根強く事情を訴え、そして遺家族の心境も十分ひとつ伝えていただいて、確かに禁止区域ということもあるでございましょうが、いろんな話し合いの中で、やはりそういう向こうで困るようなことについては十分ひとつお互いが理解し合って、とにかく墓参をさしてもらうということでございますので、いま言う人道上の問題としてこれを取り上げてもらう、認めてもらうということに一そう努力をいたしていただいて、今年こそ墓参のできるように最善を尽くしていただきますことを特につけ加えてお願い申し上げておきます。  以上、私の質問を終わりたいと思います。
  47. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 最初に基地公害の問題について何点かお聞きしたいと思うのです。  特に、最近、沖繩の米軍基地牧港の補給基地の廃油あるいは廃液のたれ流しによる環境汚染が非常に沖繩では深刻な問題になっております。この問題について具体的な対策はどのように講じておるか。それから、その他の沖繩基地からのいろんな公害問題についてどのように把握されているか、この問題について、まずお聞きしたいと思います。
  48. 松田豊三郎

    説明員松田豊三郎君) ただいま御質問のありました沖繩における米軍基地関係公害の問題でございますが、先生御指摘のとおり、牧港の補給基地におきましては、最近、浦添市の排水口において、非常にたくさんの濃度の高い油分でございますが、そういうふうなものを含みます廃液の流出が認められたわけでございます。その他、この排水口の調査によりますと、カドミウム、鉛等につきましても若干基準値を上回っております。そういうことで米軍側でも非常に憂慮をいたしまして、私どもの聞いておりますところによりますと、沖繩県と共同で調査をするという手はずになっておるように聞いております。政府といたしましても、すでに御答弁申し上げてありますように、全国十九基地につきまして現在米側調査表の提出を求めまして、いま検討しておりまして、牧港につきましても今週の末か来週に米側協議をいたす予定にいたしております。これは外務省を通じて申し入れておるわけでございますが、その上で問題点を詰めまして、必要があれば立ち入り調査をいたしたいと、こういうふうに考えております。  それから沖繩におきますその他の基地のうち、沖繩は十一基地調査を予定いたしておりますがが、そのうちで海兵隊関係の五基地、それから海軍関係の一基地につきましては、すでに五月第一次調査をいたしまして、今月末から来月の初めにかけまして第二次調査を実施するということで、土壌あるいは水の関係の汚染状態、そういうものを把握することにいたしております。これはもう調査表の回答にかえまして、米側に能力がない等の理由もありまして、政府調査を実施することになったわけでございます。
  49. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 私は、この牧港の問題だけで、きょうは深く入りたくありませんけれども、沖繩のこの米軍基地をはじめとする、特に本土のほうも同じでありますけれども、基地公害というのは前前から指摘をされておった問題だと思うんです。牧港は、たまたまこういう姿になってあらわれてきた。カドミウムあるいは鉛等が排出するような問題で、漁業の問題に非常に深刻な問題だと私は思うんです。この問題について、わが党は昨年三月からずっと基地公害問題に対して調査をしてきました。昨年十月六日に総理並びに環境庁長官にも、この基地公害の問題については、沖繩の実態を含めての具体的な提案を私たちはしているはずです。この問題については、環境庁としてどのように取り組んできたか、この経緯について伺いたいんです。
  50. 松田豊三郎

    説明員松田豊三郎君) 昨年の十月に、御指摘のとおり、公明党のほうから申し入れを受けまして、政府といたしましては、外務省から、まず米側に申し入れの点につきまして連絡をいたしております。その結果、そのことに対しまして、十一月の——日にちがちょっとはっきりいたしませんが、たしか下旬に米側から、御指摘調査の資料につきまして米側の見解が出されております。しかし、これは米側といたしましてはいろんな事情調査が十分できなかった、米側としての分析調査をいたしたかったのでありますけれども、早天その他の事情で採取ができなかったと書いてございますが、十分な回答にはなってございません。そういうことを踏まえまして、政府といたしましては、先ほど申し上げましたように、十九基地につきまして一斉調査をいたしたい、こういうふうな申し入れをしたわけでございます。ところが、いきなり調査をするということ、立ち入り調査をするということではなくて、まず第一段階としまして、米側に対してクウェスチョネア、質問書を発しまして、汚水の処理状況でありますとか、あるいはばい煙発生施設の設置状況でありますとか、それの発生する排出水の汚染状態といいますか、あるいはばい煙の濃度でありますとか、あるいは廃油の処理状況でありますとか、そういうものにつきまして詳細な調査表の提出を求めているわけでございます。調査表の提出につきましては、その後若干のやりとりがございましたけれども、結局、本年の四月に至りまして、先ほど申し上げました海兵隊関係基地を除きまして全基地から調査表の提出を受けたわけでございます。その内容につきまして、専門の各組当課におきまして調査検討いたしまして、疑問点、あるいはどうしても立ち入り調査しなければならないというふうな問題点につきまして整理をいたしまして、外務省から、いま米側との会議の折衝、打ち合わせの折衝をいたしている段階でございます。こういうふうなことを踏まえまして、必要な立ち入り調査をまたいたしまして、必要であれば立ち入り調査をいたしまして、その上で改善の措置を講じてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  51. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 十九カ所ですね、これの選定の基準、これは私も資料をいただいておりますけれども、こういう調査表で全部がまともな回答が来るとは私は思わないのです。向こうの一方通行の問答書を書いてもらうだけですから、これて公害調査ができるとは私は毛頭思っておりません。しかし、この十九カ所にしぼった、限定した、基地公害調査考えが及んだというか、そういうふうな調査に踏み切った理由は何でしょうか。
  52. 松田豊三郎

    説明員松田豊三郎君) 十九カ所を選びました考え方といたしましては、まず、かつて基地公審といいますか、そういうふうな基地の、基地から原因いたします排水等によります公害問題、こういうものがかつて起きた基地、あるいは施設の機構等によりまして、規模が大きいというふうな事情もありまして、やはり調べる必要があるだろうというふうに考えられる——まあこれは施設の規模とかあるいは人員でございますけれども、そういうふうな点から考えまして、規模のかなり大きな基地というふうなものを選んだわけでございます。政府が一斉調査をいたすとしますと、政府として実施するということになりますと、能力的なものもございますので、とりあえず、そういうおそれのある、あるいはかつてそういう危険のあった基地というものにつきまして一斉調査をいたしたい、こういうことで選んだわけでございます。公明党からの申し入れもございましたそういうふうな基地につきましては、当然、そういう意味で問題があるわけでございますから、その中に含めておるわけでございます。
  53. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 この十九カ所の問題で議論は進めたくありませんけれども、これは、はたして環境庁からこの十九カ所に限定して調査をするということを外務省に依頼したのかどうか、この点はいかがですか。
  54. 松田豊三郎

    説明員松田豊三郎君) ちょっと申しおくれましたけれども、基地の選定につきましては、内閣で関係各省の会議を開きまして、関係各省——その中には防衛施設庁あるいは外務省その他農林省とか関係省がございますが、そういうふうな関係省の情報を交換し合いまして、それで関係各省協議して選んだわけでございます。
  55. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 外務省は、この問題についてはどういう見解をとっていらっしやいますか。
  56. 松田慶文

    説明員松田慶文君) お答え申し上げます。  外務省の基本的な考え方といたしましては、安保条約のもとでわが国が施設区域を提供し、に駐留を認めているという実態の上に立って、その運用上、単に公害等の問題のみならず、あらゆる側面において日米間に問題が免じないようにしていくことが私どもの一つの責務だと考えております。それは外務省というよりは、むしろ地位協定二十五条に基づきます日米合同委員会の担当省庁としての私どもの仕事の最も重要なものの一つであろうと考えております。その意味におきまして、客年公明党から御指摘のあった点を含めまして、その他にも公害という形で基地の活動が問題提起をされましてより、私どもといたしましては、関係省庁と十分御協力をしつつ、日本側として、日本政府の責任でなさなければならないことは何であるかを考究しつつ、所要の措置をとりつつあるという現状でございまして、単に米軍であってもその活動がそのまま放置されてよいというふうには毛頭考えておらない次第でございます。
  57. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、環境庁が具体的にこの調査表に基づいてこれから調査を開始すると思うんですね。そうしますと、いろいろ外交ルートに乗せる問題として、外務省ともいろいろ問題が出てくる。私はいろいろ、いやな話を聞くわけでありますけれども、まあ実際に、たとえば牧港、こういう例がありますね。こういう公害を具体的に排出しているようなところも、環境庁自体が調査の手がなかなか入れられない。こういう問題が、外務省の圧力と言っては語弊があるかもしれませんけれども、公害問題等についてはなかなか基地への立ち入り調査ができない、こういう状態に追い込まれているんじゃないかと思うのですけれども、いかがですか。
  58. 松田慶文

    説明員松田慶文君) 御質問中、外務省の圧力という御発言がございましたけれども、私どもといたしましては、外務省が、環境庁であれ何省であれ、何か圧力をかけるというような立場にあるものでないことは御承知のことだと存ずる次第でございます。私どもは対米折衝の窓口である、そういう観点から、各省庁からそれぞれの所管に基づく御要望ないしは問題提起がありますならば、それをお受けいたしまして、御一緒になって米側に出たるというのが仕事の筋道でございます。なぜならば、私どもは各行政の側面に対する専門知識を持ち合わせるわけでもございませんし、一人で仕事ができるはずのものではないわけでございます。私どもといたしましては、この公害問題を含めまして、常時密接に関係省庁と協議は続けておりますし、事案の重大性によっては、先ほど御答弁のありましたように、内閣に関係省庁が集まりまして協議し、一定の指針を出してもらって、そのもとで私どもは働いている次第でございます。
  59. 松田豊三郎

    説明員松田豊三郎君) ただいまの御質問に関連いたしましてお答え申し上げますが、牧港の補給基地に関しまして先ほどもちょっと御説明申し上げましたけれども、段取りといたしまして、具体的な調査表をめぐる議論といいますか、そういうものが今週末か来週に予定されております。それは、調査の必要がある場合の立ち入り調査のための話し合いといいますか、そういうものも予定しておるわけでございまして、これも外務省が中心になりまして会議を開いていただいて、われわれ関係各省もそこに入りまして具体的な問題について突っ込んでいくというふうな形で話し合いをする予定にしております。そういうことでございまして、外務省と一緒になりまして折衝している、こういう状況でございます。
  60. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、具体的に昨年私たちが申し入れをした在日米基地の廃油処分及び生活汚水の処理状況立ち入り検査を実施してもらいたいということを、沖繩の各基地を含めて、何百カ所か具体的な資料を提出したわけです。この問題については、立ち入り検査あるいは生活汚水あるいは廃油処分の問題についての具体的な検討は行なわれましたか。
  61. 松田豊三郎

    説明員松田豊三郎君) 先ほども申し上げましたとおり、沖繩海兵隊関係基地立ち入り調来、この調査項目といたしましては、各排水口の水を取りまして、それも日本国内法に準じて規制されております全項目、こういうものを分析をいたします。それから、それが出てまいります施設、たとえば汚水処理場でありますとか、そういうふうなものにつきましても、その構造、規模等も立ち入り調査いたしまして、その規模の欠点あるいは改善すべき点というふうなものも検討中でございます。そういうふうにいたしまして、廃油の場合も同様でございますが、たとえばモータープール、これにはいろいろな車両がたくさん置いてあるわけでございますが、そのモータープールから出てまいります排水、この排水はかなり油を含んでおるわけでございます。そういう油を含んでおる排水の水と油の分離装置といいますか、分離処理装置、そういうものが完備されていないとか、いろいろやはり問題があるようでございます。そういうものにつきまして、具体的に御指摘のあった点も含めまして、具体的な個所について具体的に測定をして、具体的な改善の申し入れをしたいと、こういうふうにいま進めているわけでございます。
  62. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 前向きにやっていらっしゃることは私も決して否定するわけじゃないのですけれども、こういう牧港の問題がたまたま出てきた。この問題に限らず、もう少し早く手を打っておけばこういう問題も解決できたのじゃないかという点は何点かあるわけですよ。したがって、もっと積極的な、たとえば沖繩の県が調査をするといっても、それだけの調査機関もなければ、あるいはそれだけの陣容も整っていない。こういう実態の中で、特に米軍基地の問題については政府がこの問題を積極的に調査をし、あるいは基地公害の問題を解決する方向に政府みずから積極的な姿勢を示していかなければ、沖繩県でたとえばこの牧港の問題をやれといっても、それだけの陣容がないわけです。あるいは調査機関という、それだけの問題じゃなしに、たとえば恩納であるとか、あるいは北谷村であるとか、その海岸はほとんど海水が汚濁しているという、こういう実態に追い込まれているわけですね。そういうふうな問題を調査する機能というか、あるいは組織というか、人も実際は少ないという、こういう実態の中で、すでにわかっている問題点についても、もっと積極的にこの問題の対策を講じていかなければならないのじゃないかということを私は申し上げたいわけなんですよ。
  63. 松田慶文

    説明員松田慶文君) 御指摘の点は、まさにおっしゃるとおりでございまして、政府の深く肝に銘じなければならない点だと存じます。公害問題と申しますこの問題は、先生方御承知のとおり、沿革的には必ずしも古くから社会的、政治的に問題化されているというよりは、近年の一つの国民的問題意識であろうかと思います。米軍関係につきましても、たとえば日本人従業員の労務災害というのは、非常にはっきりした問題でございますので、従前より、災害が起こった場合には日本側官憲が入っていってこうするという、仕組みと申しますか、やり方は確立されております。公害問題につきましても、この機会に、まず現状で問題が生じておりますものを洗い出して対策を講じますと同時に、先生御指摘のとおりに、今後の問題発生を一般的に防止し、対処していくという仕組みの確立が必要だと考えております。したがいまして、当面の問題に対処すると同時に、今後の一つのメカニズムとして、一つの制度、仕組みを考えていきたいと、その二面におきまして政府は鋭意努力をいたしたいと思うわけでございます。
  64. 松田豊三郎

    説明員松田豊三郎君) ただいま外務省から御答弁がありましたけれども、環境庁といたしましても、確かに従前、国内法がそのまま直接に適用にならないというふうな点がございまして、公害問題、基地公害の問題につきましては必ずしも十分でなかったという点を反省しているわけでございます。ただいま外務省から御答弁がありましたように、一般的なルール化といいますか、沖繩なんかは確かに能力的な問題もございますけれども、その他の県等につきましては検査分析能力は十分にあると、そういうふうな体制はございますけれども、駐留軍といいますか、そういうふうな米軍の立場上、ほかの工場、事業場等と同一の公害規制が十分には働かないということでございますので、その辺につきましては、そういうふうなルール化がさらに進めば、その府県の段階におきましても公害対策が十分になされるのではなかろうかというふうに考えておりまして、外務省とも調整をはかっている段階でございます。
  65. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 調整の段階ではなしに、すでにもう、こういう基地公害が出ているわけですよね。したがって、いま外務省からも答弁があったけれども、具体的な、プロジェクトチームと言ったらおかしいですけれども、いろいろ総合的な基地公害調査班といいますか、こういう問題、特に私は、沖繩県については、そういう問題をもっと積極的にやらなければ、基地の数からいっても、あるいは公害の数からいっても非常に多いわけです。また、調査能力からいっても非常にそごを来たしているわけです。こういう問題について、もっと積極的に政府として取り組んでもらいたい。これは開発庁長官要望として申し上げておきたいと思うのです。  それから、やはり立ち入り検査の基準ですね。確かに、今度の報告書、おそらく十九カ所から出てくる報告書も、出てくる書類については大体基準以内だと思う。しかし、実際に民間団体がいろいろ調査をすれば、そういう基準オーバーをする問題が数多くあるわけです。こういう場合の立ち入り検査の基準ですね、基準を越したから立ち入り検査するとか、そういう明確な線が何ものもないわけです。私は全部立ち入り検査できるような体制にしてもらいたいと、こういう強い要望ですけれども、ただ基準以内だからとか、いろいろなことで、そのまま手を抜いてしまった結果というものが次から次へ大きな発生を生む原因になってしまっているのじゃないかと思うのです。こういう問題の立ち入り検査のルールというか、これははっきり明確にしておくべきじゃないかと思うのですけれども。
  66. 松田豊三郎

    説明員松田豊三郎君) 先ほどちょっと申し上げました立ち入りのための一般の手続化といいますか、手続のルール化、こういう問題は、たとえば府県レベルにおいて、基地責任者との間でいろいろ話し合いをして入る、こういうふうなルールの問題がございますが、ただいま先生おっしゃいましたような、立ち入りのための前提といいますか、条件、そういうものにつきましては、現在の扱いといたしましては、われわれはクウェスチョネアに対する回答、この回答は、確かに先生御指摘のとおり、必ずしも十分なものではございません。たとえば、汚染の場合を示します数値につきましても、確実にはかっていない、あるいは抽象的な表現で書いてございます。あるいは、汚水処理場等につきましても、当然あるべき施設が表示されていない、そういうふうなことがございまして、その辺の問題点といいますか、矛盾といいますか、そういうものにつきまして、理解のできない点につきましては全部追及いたしまして、その数値につきましても、出ていないものは調べるというふうな言い方で協議をしてまいりたい。それを不明のままでは困りますので、その点について立ち入り調査をしたい、こういうふうな持っていき方をしたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  67. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そこがやはり、私は報告書の中身を見ておりませんけれども、すでにいまの御答弁から伺っても、報告書類がいいかげんであるということ、あるいは実際にそういう施設がないとかあるとか、書いてないかどうかわかりませんけれども、実際に皆さん方がごらんになって納得のいかないような資料で、またおっ返さなければならない、もう一ぺん調査しなければならないという調査をやっている間に、国民側は、もうすでにそういう問題で汚染で困っているわけですね。こういう点に対する立ち入り検査をもっと早くできるような体制を私はやるべきじゃないかと思うのです。この点については、外務省の交渉の問題もあると思いますけれども、いかがでございます。
  68. 松田慶文

    説明員松田慶文君) 御指摘のとおりの問題点がございまして、私ども過般より鋭意、ルール化と申しますか、仕組みの確立化について努力し、交渉中でございます。
  69. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 時間もあまりないので、この基地公害の具体的な調査の問題、また別な機会にやりますが、外務大臣にも、あるいは環境庁長官にも、やはりもっと積極的なこの基地公害に対する取り組み方というか、あるいはプロジェクトというか、あるいはそういう調査班的なものをしっかりつくって、こういう問題、各県の補えない分をやはり国で積極的に在日米基地基地公害調査に手を加えていく、こういう点をどうか要望していただきたいと思うのです。  それから開発庁長官に伺いますが、沖繩でいま、学校校舎ですね、この建築が非常に難航しているという問題を私たち耳にしております。具体的には、やはり沖繩基地が二二%あるという、こういう実際の基地の問題で非常に沖繩県民は困っている。なかんずく、校舎を建てようとしてもなかなか土地が取得できない、いわんや非常に高いと、こういう問題で小学校の建築等にも非常に困っている。あるいは二千人以上の学校が、全国の基準から比べても沖繩が大多数を占めているということで、校舎問題が沖繩では非常に困っている問題です。こういうことについて、この軍用地の開放ですね。なかんずく、私もいろいろ何点か調べてみました、たとえばキャンプ・マーシーにある国有地等の開放、あるいは遊休施設等の開放——確かに防衛庁、外務省というのに、なかなかこれを返せというようなことを積極的に言う立場みたいなものはないと思うんです。私は。よう言わないと思うんですな。そういう点で、やはり開発庁長官が具体的に沖繩——この前も北谷村からも申し出を受けました、私たちは、当委員会で。こういう具体的な、学校の教育施設をつくりたいという問題も、土地がなかなか取得できない、こういうことについて、とりあえずキャンプ・マーシーの国有地の開放とか、あるいは遊休施設を開放して、そこに校舎を建てると、こういうことに積極的に開発庁として取り組む姿勢があるかどうか、この点はどうですか。
  70. 坪川信三

    国務大臣坪川信三君) 三木委員御指摘なりました沖繩の教育上の学校用地の問題、非常に重要な問題でございます。やはり、これを解消し、目的を達成するためには、米軍基地縮小ということが前提に相なってくるわけでございますので、過般来、これに対する私の考え方は十分申し上げておるわけでございますが、さらにその縮少に目標を置きながら政府も全力を注ぎたいと、こう思うのであります。それを受けて県の土地利用計画をどう進めていくか、また合理的な土地の将来の利用計画をどう立てるべきかというような問題に関連いたしまして、いわゆる国有地等の、また民有地の実情等も考え、また学校用地の転用の実態というようなものも考えまして、大蔵省あるいは防衛庁その他とも絶えず連絡をとりながら、地元の要請の実情に照らし合わせましての推進を、私も責任担当大臣といたして、その調整に十分力を注いでまいりたい。過般、御承知のとおりに、沖繩の教育者関係方々が十数名私のところにもおいでなりまして、具体的な個々的な問題点の解明 また要望も承っておりますので、その場でも申し上げておるような次第でございますが、いま申し上げました方針で進みたい。御承知のとおりに、いわゆるガソリンスタンドあとの与儀小学校の転地ということも大蔵省との話し合いもつきまして、一つ問題点が解決いたしましたことは、当然ではございますが、こうしたきっかけを一つの波といたしまして、ひとつ大きくこれに対する問題に対して真剣に取り組んでまいりたいと、こう考えております。
  71. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 時間が参ったそうで、あと二点だけ端的に総務長官に伺って私の質問を終わりたいと思うのですけれども、一つは、校舎等をはじめ、公共事業の入札が非常におくれているということは、前回も委員会で問題になりました。実際にこの問題について、やはり単価の問題、聞くところによると、三〇%何かアップするというような、そういう話も聞いておりますけれども、この公共事業の発注方針をどういう方向で開発庁として考えているのか、この問題を伺いたいと思うのです。  それからあと、校舎、先ほど申しましたような具体的な——たとえば、連絡はし合っていると思うのですけれども、具体的に、沖繩なら沖繩県からいろいろ要望が出ていると思うのですね。この問題についての実際の詰めというか、あるいは校舎が七校ほしいという那覇市内の具体的な問題について具体的な検討が開発庁を中心にして行なわれているのかどうかですね。絶えずわれわれには、国会では検討している、連絡しているという話は聞くのですけれども、具体的にこの校舎の用地確保のために軍用地開放として具体的にどことどこを連絡あるいは折衝しているのかどうか。その点を明確にしていただきたいと思うのです。
  72. 坪川信三

    国務大臣坪川信三君) 非常に重大な問題でもございますし、私も、いま御指摘なりました問題点も非常に憂慮いたしておりますが、そうした現在の時点に対するところの具体的な措置あるいは進捗状況につきましては、政府委員から具体的に答弁させていただきます。
  73. 岡田純夫

    政府委員(岡田純夫君) 米軍地の学校用地の転用の要望につきましては、私ども資料と申しますか、現地からの要望をいただきまして、さっそく、ただいま大臣から言われましたように、与儀の小学校への国有地の無償譲渡といったような問題につきましては、具体的な政令のあり方につきまして詰めを行なっております。早晩、最終的な政令を閣議に出せるというところまで来ております。それ以外の点につきましても、地元からの要望、さらに県市町村の要望というものを並行して現在地元のほうに意見を聞いておりまして、そういったようなことについての現地の意見、さらには私どもの考え、あるいはまた防衛施設庁のほうの努力というものと密接にしていく必要がありますので、協議会と申しますか、その間での打ち合わせの会議を何回も持っております。その中から、ぜひ要望の線によっての具体的な方向を生み出してまいりたい、こういうふうに考えております。
  74. 渥美謙二

    政府委員(渥美謙二君) 公共事業の執行の件でございますが、四十七年度は、御承知のように、復帰という非常に特殊なときに当たりましたために、それが大きな原因になりまして執行率は非常によくなかった。特に県の補助事業につきましては、三月末で契約が約六〇%程度しか進まなかった、こういうふうな事情にございます。いろいろ事務手続がおくれて、発注がすべて年末以降に集中をしてしまった、こういうこと、たまたまその時期が沖繩県におきましては農繁期に当たって人手が足りない、また、全国的な資材の高騰、不足と、こういうふうな時期にぶち当たったというふうな、もろもろの事情が重なってしまったわけでございますが、それにいたしましても、二月末では大体四〇%程度の契約率であったのが、態勢が整うに従いまして、一カ月で二〇%程度の契約ができたと、こういう状況でございまして、仕事が平準化することにつれまして、四十七年度のような状態というものが今後続くことはないだろうというふうに考えております。ただ、全般的に資材関係、労務関係、これがかなり値上がりしてまいりまして、四十七年度のそのままの工事施行の単価というようなことではなかなか仕事がやってまいらない、こういう状況は明らかになってきております。そこで、現在、私どもといたしましては、各省といろいろ御連絡をとりまして、沖繩の実情に合ったような単価で工事ができるように、住宅にいたしましても、学校あるいは保健衛生関係、一般の公共事業関係、それぞれ事情がございます。また、特に仕事が相当ふえたというようなところから、いわゆる県内産の資材あるいは労務ということだけではなくて、本土その他から相当なものを持ってこなければいけない、請負業者にいたしましても、相当本土の請負業者の応援を得なければいけない、こういうことになりますと、従来のような積算方式そのままでは必ずしも十分ではございません。そういったような実情を踏まえまして、実情に合うような単価で仕事が進められるように、まあ現在鋭意各省と検討中であると、こういうことでございます。
  75. 春日正一

    ○春日正一君 私、この前、海洋博との関係で、沖繩県の公共事業の執行が渋滞している問題、それから農業が非常に困難におちいっている問題について質問したんですけれども、きょうは、沖繩の文化財と自然の破壊をどう防ぐかという問題をお聞きしたいと思います。  もう政府のほうでも御承知だろうと思うんですけれども、共同通信社の調査で、ことし二月末現在で、上位の五十社ですね、一万一千四百五十一ヘクタール、それからもう少し小口の二十ないし一ヘクタールぐらいなのを買っておる会社四十五社で五百六十四ヘクタール、合計一万二千十五ヘクタールというものが買い占められておると、ここに、これは会社の名前全部入れて、どこの会社がどれだけ買ったというような数字も出ております。これを計算してみますと、沖繩県の全面積二千二百三十九・二二平方キロですか、これの五・四一%に当たる。これを基地の面積と合わせると一八%以上になる。そういうことですから、基地と合わせて沖繩の経済なり県民の生活に非常に大きな影響を及ぼすということは避けられないと思うんです。ここに出ておる、そこの調査の買収目的を調べてみますと、まあ西表の銅鉱山の採掘というような特別なものもありますけれども、しかし、それを除けば、観光、レジャー施設、それからゴルフ場、ヨットハーバー、ホテル、別荘地と、まあそういったようなものがおもな内容になっております。そこで、海洋博がやられて、本部半島を中心として相当の地域にいろいろな建設事業、そういうものがやられ、それに加えて、いま言ったような広範な土地が買い占められて観光開発がやられるということになれば、当然、全島的な自然の破壊、文化遺跡、埋蔵文化財の破壊ということが避けられないというふうに予想されるんですけれども、政府として、これに対してどのような対策を考えおいでになるのか。これは文化庁のほうからもお聞きしたいし、それから開発全体を締めくくっておる開発庁のほうからもお聞きしたいと思います。
  76. 坪川信三

    国務大臣坪川信三君) 沖繩の大切な自然環境の保全あるいは文化財の保護ということは非常に重要なことであり、しかも、歴史ある文化財の、数々の文化財の貴重なものを持っておられる沖繩の現状、しかもまた、今後の沖繩の大きいビジョンとなるべき、観光あるいはリゾートゾーンとしての保養の地というものを一つの未来像として強く描いておるようなわけでございますので、そうした点から考えてみましても、自然環境の保全あるいは文化財の保護ということは非常に重要なことでございますので、私は、自然公園法等によっての地域の指定とか、あるいは文化財の指定の拡大強化をはかるとかいうような問題が現時点において緊急に取り行なうべき問題点であり、また、そうした点を解決いたしたいと。現地に参りまして、いろいろの美しかった、かつての沖繩の自然の山川がくずれ去って、そして採石等によって自然環境が乱されてきている姿を見ましたときに、私自身も非常に、さびしさといいますか、幻滅を感じておるような次第で、そうした点を私は基本に置きまして、今後も沖繩が、土地利用の計画あるいは環境保全等について条例等も制定する意向のあることも児当局からも聞いており、ぜひ私はそうした制定を急ぐべき時期に入ってきておる、こういうような気持ちもいたしますので、これらの促進を十分にはかりまして、大切な沖繩県の自然の環境保全と、また文化財の保護に最善の努力をいたしたいという基本方針だけを申し上げて御一理解いただきたいと、こう思っております。  具体的な問題の御質疑があれば、さらに事務当局の政府委員から答弁させます。
  77. 春日正一

    ○春日正一君 文化庁、どうですか。
  78. 古村澄一

    説明員(古村澄一君) 埋蔵文化財があります地域で土木工事が行なわれる場合におきましては、その計画段階におきまして当該事業者と協議を行ない、工事計画を変更して事業区域から除外するもの、事業区域には含めますが公園緑地に取り込む等によって保存をはかるもの、及び発掘調査を実施して記録保存の措置をとるものと、この三つに区分して、当該事業と文化財保護の調整をはかるように指導しておる次第でございます。具体的に沖繩海洋博及びその関連事業と文化財の保護につきましても、この基本的な方針に従いまして、沖繩県教育委員会は、県の海洋博協力局、県の土木部その他の機関との間で強力な協力体制をつくりまして、事業計画の段階で文化財保護の事前の調整を現在行ないつつあるというふうに理解しております。
  79. 春日正一

    ○春日正一君 そうすると、文化庁は黙って見ておるということなんですか。沖繩県にまかせて、黙って見ておるということなんですか。
  80. 古村澄一

    説明員(古村澄一君) いま申し上げましたのは一般的なお話を申し上げた次第でございまして、具体的に、ある文化財の処理をどうするかということにつきましては、絶えず文化庁と県教育委員会の間に連絡をとりまして、その保護に遺憾のないように処理をしている次第でございます。
  81. 春日正一

    ○春日正一君 遺憾のないように処理をしておると、そう言われて、そのとおりなら非常にありがたいんですけれどもね。ここに沖繩県公害防止対策協議会、会長は那覇市長の平良良松さんですが、そこから文化財及び自然保護についての要請というものが出されて、具体的にいろいろ中身も書かれております。しかし、私これ、一々具体的なことを言っておるとあれですから、ここで、現地の琉球新報に、ここでの調査、そういうものをもとにして総括的にまとめたものがありますから、これを参考にしてお聞きしたいと思うんですけれども、埋蔵文化財の破壊状況、「現在県下には約百件の埋蔵文化財がある。うちすでに全壊された遺跡は二十九件、一部または半壊された遺跡は二十二件、破壊される危険性のある遺跡二十二件、一部または半壊されているが今後もまだ破壊される危険性のある遺跡三十一件——となっている。結局、すでに破壊されたものが五十一件、今後放っておくと完全に損壊される危険性のあるものが五十三件もあることになる。」ということで、ここに全部リストがあげてあります。ごらんになったことありますか。まあそういうことで、これほど広範に破壊されておる。そして先島のほうもそういう破壊が進んでおるわけですね。そういうことについて、私聞きたいのは、文化庁として積極的にこれを監視し守っていくというような体制がとられておるのかどうかということなんです。どうですか。
  82. 古村澄一

    説明員(古村澄一君) 埋蔵文化財の保護につきましては、まず基本的に埋蔵文化財の所在地の確認という仕事が必要なわけでございますが、沖繩の埋蔵文化財につきましては、昭和三十五、六年のときに調査をいたしまして、約三百五十カ所の埋蔵文化財包蔵地があるということでございました。しかしながら、埋蔵文化財の包蔵地につきましては、その性格から、地面の下にあるということから、なかなかわかりにくいということで、もう一回徹底した分布調査をやりたいということで、昨年度国庫補助金もつけまして、県の教育委員会において、まず埋蔵文化財の包蔵地の調査ということをやった次第でございます。その結果、現在整理中でございますが、そういった基本的な調査の上に、今後のそれぞれの保護対策というものを立てていかなければならないかというふうに考えております。
  83. 春日正一

    ○春日正一君 まあ、そんな気楽なものじゃないのですよ。だから私聞いているのですけれども。  それじゃ具体的に聞きますけれども、たとえば、あの塩川という、まあ塩けを帯びた川だという、これは指定になっている。ところが、それが今度の海洋博の工事のための山砂利の採石、採砂というようなことが付近でやられて、まあこういうふうにこわされていますわ。(写真を示す)その結果、ここでなめてみていますけれども、塩けがなくなっちまってるというようなことで、こわされているのですね、現に。これに対してどういう処置をとってますか。
  84. 古村澄一

    説明員(古村澄一君) 塩川は、塩分を含んだ水が流れている川ということで、復帰と同時に天然記念物の指定をいたしたわけでございますが、天然記念物の指定地域の外での採石工事が塩川に対して影響をもたらしているということでございますので、それにつきましては、関係の県の商工労働部と十分協議いたしまして、その土石の採石場をどこかほかに移すということを折衝しているという段階でございます。
  85. 春日正一

    ○春日正一君 それからもう一つ、国の史跡になっておる今帰仁の城あと、城址、これが、国の指定区域が小さいために、保護が十分でなくて、この今帰仁城の入り口左側、城壁の真下、これは一部指定部分に含まれているそうですけれども、ホテル用建設用地として整地されてしまっておるとか、三の丸や城の右側もホテルやモーテル予定地になり、建設が行なわれておるということで、城あとが非常に破壊されているというようなことが、先ほどの対策協議会の調査なんかでもはっきりしているわけですが、これに対して、指定を広げ、破壊を防いで復元するというようなことは考えおいでですか。
  86. 古村澄一

    説明員(古村澄一君) 今帰仁城を史跡として指定いたしますときには、現在問題になっております地域は指定地域に入ってございませんでした。といいますのは、ブッシュでおおわれておりまして、その範囲が城の外であろうということで、範囲をそのときにきめたわけでござますが、木を切ってみたら、そこに石垣が出てきたということで、急拠その工事を中止してもらいまして、現在追加指定の方向で準備を進めております。
  87. 春日正一

    ○春日正一君 もう一つ本部の海洋博の会場地域の中に非常にたくさんの貝塚とか拝所とか、そういった遺跡があるわけですね。これがどんどんこわされていっているということが指摘されておるわけですけれども、それらのものについてどういう対策をとっておいでですか。
  88. 古村澄一

    説明員(古村澄一君) 海洋博の敷地の中に十数カ所の貝塚その他の遺跡が発見されております。その結果、現在海洋博の設計の段階で、その遺跡をはずすということで、海洋博を担当する部局と協議を進めておる段階でございます。
  89. 春日正一

    ○春日正一君 いま私幾つかの例をあげたのですが、まだ、具体的に言えば、離島にしてもその他にしても、非常にたくさんのものがこわされているわけですよ。そして、実際調査に当たっている方々の書いたものを見ても、人手が足らぬということが一番大きな悩みになっているわけですね。現地の新聞で見ますと、「教育庁文化課には、芸術文化班と文化財保護班が置かれ、十一人の職員がいる。そのうちの文化財保護班は直接、文化財の指定、管理、修理、記録保存とそれに必要な調査研究をする専門員(五人)を置いている。ところが、建造物担当の欠員、天然記念物担当は兼任のため思うように活動してないのが実情。同文化課によると「各分野にそれぞれの専門員がいなければならない。しかし、いまは美術工芸担当者が全く専門外の天然記念物を兼任し、芸能担当者が工芸技術や民俗資料を兼ねている。また埋蔵文化財の全国平均担当職員数は四・六人(昭和四十六年現在)だが沖繩の場合一人しかいない」と指摘している。このため、現在の職員構成では文化財破壊の現状に対処することが出来ず、保護も後手に回っている。文化課では「史跡名勝、天然記念物、工芸技術、民俗資料担当者を各一人、埋蔵担当者四人、あわせて八人の増員は焦眉の急である」と訴えている。また、文化財庶務係、文化振興関係担当者の増員も必要である」というふうに言って、人手不足を非常に訴えておる。  それで大臣にも考えていただきたいし、文化庁のほうも積極的になっていただきたいのは、いま沖繩で起こっている事態というのは、過去一世紀に行なわれた沖繩での変化ですね、それを一年か二年のうちでわっとやってしまうほど大きな掘り返しがやられ、変革が行なわれておるわけですが、そういう状態に対応するのに、ふだんの状態のままの態勢でいったんでは間に合わないということは明らかでしょう。まして、いまこの現地の新聞も指摘しているように、本土に比べても人手が足りないというような状態にあるとすれば、当然、本土のほうから緊急に応援隊を操り出すなりなりして、全島にわたって、やはり文化財の所在を突きとめ、破壊されようとするものをとめるというような努力もしなければならぬだろう、それから国のほうとしても、そういうものを買い上げたり、そうするための予算もつけなきゃならぬだろう、私そう思うわけですわ。だから、その点について、ひとつ大臣のほうからも、文化庁のほうからも、その点の決意ですね。どんなに保存するという願望をあなた方が言われても、実際に人をやって押えなければこわされちまうということなんですから、そこをどうしてくださるか、聞かせていただきたい。
  90. 坪川信三

    国務大臣坪川信三君) 春日委員が、沖繩の大事な文化財保護に対して、まじめに——と言うと失礼でございますが、真摯な気持ちで検討を加え、憂えておられる先ほどからの御意見に私は非常に感銘いたしております。やはり、われわれといたしましては、歴史のある沖繩の文化財を保護するというのは、民族の私はやっぱり責任だと思います。そうしたことを考えますときに、沖繩海洋博、あるいは沖繩の開発の犠牲になるというようなことはぜひとも避けてしまいりたい。それには前もって調査をいたすべきである。また、調査によって、それをどう保護、保子すべきか、また移転すべきものは移転するとかというような万全の行政措置を講ずることも必要であると思います。いま記念物課長のお話を聞いて、文部省の文化庁として苦労しておられる心情は私はよく理解できます。しかし、やっぱりもっと高度な立場において、一つの国策の立場からこれを推進するということが必要であるということを、いま、なお一そう痛感いたしておりますので、私の部下の関係、事務当局の責任者にも、ひとつ、沖繩県と十分連絡し、また文部省の文化庁とも十分連絡いたして、具体的に、積極的に取り組むよう——私も屋良知事に対しまして、土地の利用計画、あるいは条例等の制定、あるいは改正等にも、ひとつ提起いたし、また注意お願いしたいと、こういうような気持ちでおりますとともに、奥野文部大臣等に対しましても、私は早急に、いま申し上げました気持ちをお願いいたしまして、文部省と開発庁が一体となって沖繩の大事な文化財を守る、また自然の環境保全を維持するという積極策を打ち立てたいと、こうかたく決意を表明申し上げておきたいと、こう思います。
  91. 古村澄一

    説明員(古村澄一君) 先生御指摘のとおり、沖繩におきます文化財保護の体制といいますか、陣容といいますか、非常にほかの県に比べて貧弱であるということは私たちも十分認めている次第でございます。したがいまして、文化庁といたしましても、できる限りの援助体制というものをとってまいりたいというふうに考えております。
  92. 春日正一

    ○春日正一君 大臣のおことば、非常に心強いのですけれども、これ、急ぐのですよ。そして具体的でなければならぬ。すぐ人を送るということでなければ、いまこういう瞬間にもこわされているわけですから、これはぜひやってほしいと思います。この前もちょっと言いましたけれども、沖繩の文化というものは、大和の文化とのかかわり合い、それから中国大陸とのかかわり合い、南方文化とのかかわり合いという点から見て、日本の文化、アジアの文化を解明していく上で特殊な位置を持っているわけです。だから、ここで手を抜いて悔いを千載に残すというようなことがあってはいけないと。だから、そういう意味で、真剣に、すぐにでも人を出して、そしてそういうものを防ぐような措置をとる、これをやっていただきたいと思います。  それからもう一つ、最後にお聞きしたいのは、米軍基地の中に六十あまりの文化財というか、遺跡があるというふうに言われておりますけれども、これはいままでの現状では調査はされていなかったと思うのですけれども、これも至急調査をして、きちんと保存をする、そういう措置をとるべきだと私は思うのです。これは、管轄からいえば、防衛施設庁とか外務省とかいうものがここに入ってくるはずだと思うのですけれども、しかし、やはり一番先に問題を出すのは文化庁でなければならぬと思うのですよ。その面では、文化庁はやはり建設に押されて、何か非常に仕事がやりにくいようですけれども、私ども積極的に応援しますから、あなた方のほうから問題を提起して、基地の中の文化財を点検させてくれというようなことはやるべきだと思うのですよ。その点について、まあ大臣も国務大臣ですから、大臣もその立場から、基地の中の文化財の点検をやり、この保存の措置をとられるかどうか、その点について決意のほどをお伺いして、私、質問を終わりますけれども、両方から御答弁願います。
  93. 坪川信三

    国務大臣坪川信三君) いま御指摘なりましだ、いわゆる基地内におけるところの文化財の保存、また、これらに対する取り扱いということは非常に重要なことでございます。私の所管の外になりますけれども、しかし、非常に沖繩に、いや日本にとって大事なことでございますから、開発庁、いや防衛庁の施設庁その他に、事務的にもまた政治的にも連絡いたしまして、これに対する措置に遺憾なきを期したいと、こう思います。  また、一般の問題につきましては、私は、物の繁栄を喜ぶ前に、やっぱり日本のその心が歴史的ににじみ出ている文化を保護するということは、民族の上において、また日本人としての心を養う上においても非常に重要なことでございますので、そうした立場から政治的にも十分ひとつ努力をしてまいりたいと、こう考え、いまも関係局長にぜひ取り組むように、私は私なり国務大臣立場から、政治的に強く、いま御指摘になられました点などについて推進をいたしたいということを表明を申し上げておきたいと、こう思います。
  94. 古村澄一

    説明員(古村澄一君) ただいま総務長官のほうからもお話がありましたように、たいへん重要な問題でございますので、文化庁といたしましては、関係する省庁と十分協議いたしまして、その調査についての方策を考えていきたいというふうに考えております。
  95. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 沖繩にいま何が起こりつつあるか、私は毎日の新聞を見て胸を痛めておるものであります。いままでも、多くの方から、もうあすではおそい沖繩の問題、いま手を打たなければならない問題が、切実な問題がたくさんあることは御承知のことだと思います。私は、そういったせっぱ詰まった沖繩の中で、時間がわずかしかありませんので、三つの問題について尋ねたいと思います。  まず一つは、軍港湾問題について。この軍港湾労働者の不当解雇問題が起こってからもう八十日をこえている、三カ月になんなんとしております。その情勢の中で、この軍港湾労働者は死活問題として沖繩のあの炎天下ですわり込みを続けて今日に至っておるのであります。ところが、政府の出方によっては、もう解決寸前に迫っておるのであります。そこで、私は、この問題に対して、関係省庁は、第四種の問題、第四種問題連絡会議の中でどのように対策をとっておられるか、まずそのことをお聞きしたい。関係庁から、開発庁。
  96. 岡田純夫

    政府委員(岡田純夫君) ただいまの点につきましては、労働省が中心になりまして、労働、防衛施設庁、沖繩開発庁、外務省等の五省庁でもって幾たびか受けざらになりまして会議を重ねておりますことを御承知だと思います。最近の状況につきましては、米側から請負契約について呼びかけがございまして、一、二の業者がこれについて希望いたしてまいりました。それで、雇用関係について米側が落札してこれにしたいと言ってまいりましたものが、港湾運送業法の免許業者でないものが落札したということはございます。したがいまして、国内法は何としても米側雇用する場合守ってもらわなければ困るということで、関係省庁の間で協議いたしました。これは、米側に対して、かねて、日本国内法によってやってもらいたい、その内容は、港湾運送事業法の認定業者であるということ、免許業者であるということ、それから料金につきましても、認可料金というものを守ってもらうといったようなことを中心にして申し入れをしておったにもかかわらず、それに必ずしも該当しないものに落札していくというようなことであっては趣旨に反しますので、中央におきましても、また現地の対策本部長からも、それぞれ申し入れをいたしております。契約に至りますまでに、そういうことにならないように努力いたしておおるところでございまして、具体的には運輸省のほうで努力してもらっております。現状はそういうことでございます。
  97. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いま具体的な問題として解決寸前のところまで来ておると、こう私言いましたが、次期請負業者の競争入札を申請した三社があるということを御存じですね。——運輸省見えていますね。御存じですね。その三社のうち一社は免許保持者である。一社は無免許である。ところが、軍はその無免許のものに早く免許を与えてそれと契約したいという意図だと聞いております。これに対して運輸省並びに外務省はどういう態度を持しておられるか、まずお聞きしたい。
  98. 高橋全吉

    説明員高橋全吉君) ただいま開発庁のほうから御説明ありましたとおりの事実でございますが、運輸省といたしましては、すでに解雇問題が発生した以降、次期請負契約を得る業者の問題につきましては、現地の運輸部長をしまして再三米軍司令部に対しまして、次期請負契約者は港湾運送事業法に基づく免許業者でなければならない、それから認可料金を順守してもらいたい、というようなことで、いわゆる日本の港湾運送事業法を尊重してほしいと、こういうことを再三申し入れをしております。ところが、米軍の入札に応募した二社がございますが、その一社が免許を取得しておりません業者でございますが、この業者に対しましても、港湾運送事業法上契約ができないということを通告をしております。そういう状態でございましたが、たまたまこの六月七日に、その免許を持っていない業者が免許申請を出してまいりましたので、これに対しまして現地ではいろいろ協議会で検討しましたところ、やはり新しく免許を取得するには相当時間を要する、すでに既存業者が八社ございますが、それらの関係がございまして、非常に日時がかかるということ、そのためには、現在の社会問題になっておりますこういう問題を解決するには、やはり既存業者と契約を結ぶのが一番よい方法ではなかろうか、こういう趣旨のことを、この十八日に、現地では向こうの司令部に申し入れをしたようでございます。一方、私たち中央におきましては、運輸省としましては、外務省のごあっせんによりまして、こちらの総司令部の担当官に、私みずから行きまして、港湾運送事業法の説明及び、やはり港湾運送事業の契約をするについては免許事業者でなければできない、それから認可料金を順守してほしい、こういう申し入れをすると同時に、よく沖繩現地に運輸省の意図を伝えてほしい、こういうことを申し入れをいたした。これは六月の七日までございますが、私みずから申し入れをいたしました。それで、実はその反応を現在待っているところでございますが、一方、われわれといたしましては、さらに現地におきまして、米軍に対しましていろいろの申し入れをいたしまして、これが円満に解決するように努力をいたしたい、このように考えております。
  99. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いまあなたの御説明を受けて、ちょうどそれを裏づけるごとく、六月の十八日に——現地では、対策本部、すなわち、県と総合事務局、労働基準局、防衛施設庁、四者をもって結成されている対策本部がありますね。そこでは、この免許を持たないものに地域限定免許申請をしているが、それに与えることは妥当でない、そして、免許保持者の琉球港運に請け負わすことが妥当であり、そして早くその結論を出すこと以外に問題解決の方法はない、このように衆議一決をして決定をしているという報に接しているわけです。この線に沿うて、運輸省としてすみやかにこの結論に沿うてこたえてもらうように、ぜひひとつ決意を新たにして早くこの問題処理をしていただきたいということに対する御見解と、そして最後に、外務省に対しては、聞くところによりますと、府中にある司令部、そこでのかかわり合いが最終的だと、こういわれておりますので、外務省として、そこに前向きで、すみやかに申し入れをして、その方向に結論を出してもらいたい、こう要望するものでありますが、それに対する両方の御見解を承って、この問題を終わりたいと思います。
  100. 高橋全吉

    説明員高橋全吉君) いま先生から御質問のありました、現地におきます協議会のメンバーの一員としまして運輸部長が入ってございます。したがいまして、私のほうと連絡をとりまして、十八日の米軍司令部に申し入れる原案につきましても相談を受けております。したがいまして、私たちも運輸省の意向をその中に含めまして、そしていま先生からお話のありましたような内容の申し入れをした、こういうことでございまして、私たちは、あくまでも免許業者と契約することが最良であるという趣旨を、現状においてはそれが一番最良であるという趣旨をやはり米軍に納得していただくように努力をする、それで円満に解決をはかりたい、このように考えております。
  101. 角谷清

    説明員(角谷清君) 外務省態度について御質問ございましたので……。  外務省といたしましても、本件は直接には運輸省に御折衝していただいておるわけでございますけれども、もちろん、多数の方の生計にかかわる問題でもありますし、外務省といたしましても、さらに今後米側との話、あっせんということに全力を尽くしたいと思っております。
  102. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 次に、開発庁長官に、沖繩の開発にあたっては、いかなる開発といえども、まず一つには、沖繩振興開発計画の一環とすること、二つには、県民自治を基調とすること、三つには、県民の主体的参加の道を開くこと、このことがいかなる開発をする場合におきましても柱にならなければいかぬと、こう思っておりますが、長官の御見解いかがでしょう。
  103. 坪川信三

    国務大臣坪川信三君) 喜屋武先生が御指摘なりました大事な点、三つの条件といいますか、三つの基本的姿勢が最も必要であるということ、全く私は同感でございまして、何と申しましても、沖繩の振興開発というものを今後計画的に年次的に強く進めてまいる。作目、海洋博関連閣僚協議会を開きました場合においても、関係諸大臣に対しまして私みずからも発言いたしましてこの基本方針をもっての海洋博であるべきであるということを強く要望、指示もいたしておるような次第でございますので、この線に沿って、沖繩の開発計画並びに沖繩の海洋博事業推進に取り組んでまいりたい。全く同感でございます。
  104. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 その姿勢を前提とするならば、それじゃ通産省に聞きますが、いま問題となっておりますリゾート開発公社の問題について尋ねたいのですが、ずっと新聞紙上一貫して移りかわりを読んでみますと、ある時期は本部開発公社と言い、ある時期は北部開発公社と言い、それから最近は沖繩リゾート開発公社と名前がちらほら変わってあらわれておるが、このことはどうも解せない面があるわけなんです。いまの精神からするとならば、沖繩リゾート開発公社と、こういう名称が妥当ではないか、こういう気もいたしますが、いかがでしょう。
  105. 中沢忠義

    説明員(中沢忠義君) 先生御質問の開発公社の問題につきましては、この公社の設立の必要性が、海洋博に多数の観客を迎え入れる必要がということから、それらの観客を地元に適切な宿泊施設あるいは周辺のユーティリティー等を整備するために地元の市町村単独でこれを行なうということは困難があるということ、また、さらに民間企業のみにそういう整備の問題をまかせるということは環境破壊につながるとか、あるいは乱開発が行なわれるおそれがあるということがございまして、沖繩県あるいは地元の市町村がそういう問題を総合的に解決するために、海洋博周辺の宿泊あるいは関連施設の整備を行ないまして、また、その会場周辺に、本部半島全域に海洋性のリゾートゾーンを行く行くは発展させていくという構想が振興開発計画等にも盛り込まれまして、その一環といたしまして沖繩県が中心になりまして開発構想の具体的なにない手といたしまして、いわゆる第三セクター構想が考えられてきたわけでございます。通産省あるいは関係省に対しまして、昨年末に、沖繩県からもこういう第三セクターの設立につきまして協力あるいは助言がほしいということがございまして、具体的には財政投融資といたしましてこの公社あるいは周辺の施設に対する沖繩開発金融公庫等の融資制度が設けられたわけでございますが、そのような第一次的には周辺の海洋博のための観客受け入れ施設を計画的につくらなければいけないということから、本部開発公社というような名称で沖繩県当局もスタートしたわけでございますけれども、政府としても、本部半島全域あるいは北部、さらには中南から離島の観光開発も同じような手法で開発することが好ましいという県の方針によりまして、現時点では沖繩リゾート開発公社というふうに呼びたいという意向で受けとめているわけでございます。
  106. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それじゃお聞きしますが、この開発構想はいわゆる第三セクター方式だといわれておりますが、全国でいま第三セクター方式による開発がどれくらいあるか、そのことをまずお聞きしたい。そうして、その実績はどうなのか、うまくいっているのか、問題があるのであるか、このことを、もしお答えできるならお答えしていただいて、あとで私、資料としてこれを求めたいと思います。
  107. 中沢忠義

    説明員(中沢忠義君) ただいま手元に第三セクターの前例等の数字を持ち合わせませんので、正確なお答えはできませんが、いわゆる県あるいは市町村等と民間企業の参加によります第三セクターの数は、相当——数十という数にのぼっているかと思います。それから、その実績につきましては、数あるいはその事業内容というのは千差万別でございますので、一がいにこれを申すことはできませんし、その目的につきましても、地域の工業開発でありますとか、あるいは観光の開発でありますとか、市街地の開発でありますとか、いろいろな目的に分かれておりますので、全体としてこれをくくりまして第三セクターの実績がきわめていいとか悪いとかというふうに一がいに断定するわけにはいかないと思います。ただ、申し上げられますことは、今度県当局が中心になって考えられております構想というのは、相当長期にわたりまして、かつ、大規模な開発を計画的に行なうということでございますので、従来本土にございます第三セクターの例とは必ずしも前例として比較できるようなものがないのではないかというふうに考えております。
  108. 星野重次

    委員長星野重次君) 質問者に通告いたします。長官はちょうど向こうに約束の時間がありますので、もし御質問があるなら、ここで質問していただいて、長官は退席しなければなりませんから、先にお願いいたします。
  109. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 長官への直接の質問は、きょうはよろしゅうございますから、どうぞ適当なときに……。  それじゃ、直接比較はむずかしいとおっしゃったが、これはどうしても参考にしたいと思いますので、全国でまずどれだけあるか、一覧表にして、そうして、その実績は一がいには言えぬと、こうおっしゃいますが、あるいはうまくいったか、問題点は何か、そういった程度でけっこうですから、そういう備考欄にして……。そうしていつまでにお約束できますか。
  110. 中沢忠義

    説明員(中沢忠義君) 全国の第三セクターの前例でございますとか、あるいはその業務目的でございますとか、あるいは実績等につきまして、調べられる限りのものを早急に資料としてまとめまして、私の考えでは一週間程度でできるかと思いますので、先生の手元まで資料としてお届けいたします。
  111. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それじゃ、そのようにお願いいたします。  次に、先ほどの計画は沖繩側が中心になってと、こうおっしゃいましたが、このことにちょっとひっかかりがあるんです。いまこの開発公社問題が表面化するや現地沖繩では非常に大きな反発、不満があることは御承知かと思います。その反発、不満が、私が最初に申し上げた、この沖繩振興開発計画の一環としてなされているかどうか、あるいは県民自治を基調としておるかどうか、県民の主体的参加の道を開かれておるかどうか、ここに問題があるからこそ、現地では反発があり、大きな不満があるわけなんです。そうしますと、これは沖繩側が中心になってやっておるとおっしゃったけれども、私の判断では、政府と大企業のペースで立案されたものを、それが現地沖繩がのまされるかっこうであらわれてきたと、このような印象を多分に受けますが、どうですかな。
  112. 中沢忠義

    説明員(中沢忠義君) いわゆるこの第三セクターの準備につきましては、振興開発計画上は、沖繩国際海洋博覧会の開催と海洋開発という項目の一つといたしまして、国際海洋博覧会を契機に、会場施設を一つの中核として本部半島に国際的なリゾートゾーンを形成し、沖繩の観光開発の拠点とするとともに、海洋開発研究など各種の研究、教育の場として活用をはかるという全体の構想のもとにおきまして、それの実際に進める手段といたしまして、昨年の年末に屋良知事からの文書依頼が出されておりまして、その内容を若干御披露いたしますと、「このリゾートゾーンの形成は、本県が基地経済から脱却し、今後の経済社会の振興開発をすすめていく上での拠点となるべきものであります。また、さしあたって、海洋博等の宿泊需要に対応するため、早急にその第一期計画を実現する必要があります。このため、本部リゾートゾーン開発の推進母体となる(株)本部開発公社(仮称)を、県、地元市町村および関係企業の出資により、早急に設立する必要があると考えておりますので、政府におかれましても、この計画に対する全面的なご協力をお願いいたします。とくに、本土企業が本部開発公社(仮称)へ積極的に参加するよう助言していただくとともに、本部開発公社および進出企業等に対する財政投融資について、格段のご配慮を賜わりますようお願いいたします。」と、こういうような御依頼に基づきまして、実際の進め方といたしましては、県の企画部が中心になりまして、その中に議長会を中心といたします第三セクターの準備会というものができまして、本土側のいろいろなアドバイスあるいはその定款を作成する上での助言というものは、余暇開発センターのほうが県の企画部と連絡をとりながら従来慎重に進めてきたものでございます。したがいまして、私どもで承知しております限りは、従来、昨年十二月以降この原案をつくっております形というものは、県の企画部あるいは関連する部との十分な調整をはかりながら、その希望する形によりまして実務的な準備を進めてきたというふうにいたしております。
  113. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 時間もございませんので、確認するという形で質問いたしたいんですが、まあアドバイスということをいまおっしゃったんだが、どうも国会活動の動きを見ますと、そうでもないのではないかという疑問を持ちまするのは、たとえば、去る六月十五日の衆議院商工委員会における中曾根通産大臣の発言からしましても、何か通産省としては、政府としてはこういう用意があると、こういった形で現地側の要望にもこたえられておるような——アドバイスなら、あくまでも県民が主体である、沖繩側が主体である、それに求めに応ずるという、こういった形でなければいかぬと思うんですが、何か、国会におけるやりとりからしますというと、主体制は政府にある、通産省にあるような印象を与えかねない。私はそう思います。  そこで、特に現地で問題にしておりますのは、その出資金、役員人事、公社運営の問題、こういうことが非常に問題になると思うのですが、将来民主的の運営をしていく、県民本位の公社たらしめる上からも、このことは最も大事であろうと思います。そこで、そのことに対して、中曾根通産大臣は、去る六月十五日の衆議院商工委員会における御答弁として、新聞紙上によりますと、四つ答えておられる。一つ、本土企業の出資金が県市町村の出資金を上回らぬようにする。出資金については、できるだけ地元の負担にならないような措置考える。二は、役員人事については県市町村から半数を出す。三、公社の運営については、県民の意思が反映できるよう運営協議会を設置する。四、公社の本社は那覇に置く。この四つを述べておられますが、これは間違いのないことと受け取ってようございますか。
  114. 中沢忠義

    説明員(中沢忠義君) この公社の設置の基本的な目的が、海洋博の事前準備が第一義として必要でございますけれども、地域住民の福祉でございますとか、地域開発全体の円滑をはかるということにございますので、その構想の主体、あるいは運営の主体というものは県が中心にやるということは、私ども当然前提として考えております。したがいまして、従来もその構想の準備につきましては、先ほど申し上げましたように慎重に進めてきておるというふうに考えておりますけれども、ただいま御指摘のような点が、現地で公社設立の基本的な問題として指摘されておるということは、私どもも承知しておりますので、ただいまの項目につきまして、県側の原案といいますか、県の公社でございますので、県としての構想がはっきり出てまいりますれば、私どもはそれに沿ってあらゆる御協力と申しますか、たとえば、そういう前提のもとでの企業参加等について助言あるいは指導をするということにつきましては、私ども大臣が、申し入れがありましたような方針で準備を進めたいと思っておるわけでございます。現時点で、県がこういう構想で進めたいというものを正式に受け取っておりませんので、それをいただき次第、その構想が実現できるように御協力をしたいと思っております。
  115. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それじゃ、最後に。  いま現地で検討しておる問題の一つに、公社運営に対する現地の重要な要求の一つとして、参加企業に対して県知事への株の預託方式の採用が検討されている、こう報ぜられておりますが、これに対して通産省は、企業に対し、この線に沿うて説得する意思がおありかどうか、そのことをお聞きしまして、私の質問を終わりたいと思います。  あと、なお具体的な問題についても掘り下げたいのですが、これはまた次に譲りたいと思っております。以上です。
  116. 中沢忠義

    説明員(中沢忠義君) 私ども正式には、預託制度を盛り込んでほしいとか、あるいは定款上の処理をするのか、別途の協定と申しますか、約束でいくのかどうかというような具体的案について、県からまだいただいておりませんけれども、新聞紙上等で、そういう問題が非常に重要に問題として論議されておるということは承知しておりますので、それが、たとえば商法上認められるかどうかというような研究は当然しております。さらに、おそらくこの預託制度というものが現地側で強い希望として出ておりますのは、その企業運営について県の主体性、逆に申しますれば、企業側のリーダーシップが強くなるということに非常に不安があるということだと思いますので、私どもとしては、実質上県の御希望に沿えるような形で、極力企業の指導できる限りでの指導をいたしたいと思っております。
  117. 星野重次

    委員長星野重次君) 午前の調査はこの程度とし、午後二時で休憩いたします。    午後零時四十一分休憩      —————・—————    午後二時二分開会
  118. 星野重次

    委員長星野重次君) ただいまから沖繩及び北方問題に関する特別委員会を再開いたします。  午前に引き続き、沖繩及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  119. 田英夫

    田英夫君 山中長官は沖繩のことについてはたいへん御理解が深いわけですから、新防衛庁長官として今度は防衛庁の立場から沖繩をごらんになるわけですが、まず、七月一日という日取りが自衛隊の配備、アメリカ軍との関係一つの日時として目標が示されているわけですが、これが迫ってまいりましたので、その観点からひとつ伺いたいのですが、七月一日を目の前にいたしまして、自衛隊の配備状況はほぼ完了しているというふうに聞いておりますが、この状況を大まかにひとつ伺いたいと思います。
  120. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) 詳細な部隊の配置その他については久保防衛局長より答弁いたさせますが、七月一日には、沖繩の専守防衛の範囲の局地防空というものについて、日本側が完全に、アメリカ側のいままでやっておりましたものを日本がかわって行なうという形は一応準備ができております。
  121. 田英夫

    田英夫君 いまのお答えで、当面七月一日一番問題になりますのは空のほうだと思いますが、この点については、すでに自衛隊の104も那覇空港に配備をされているようでありますけれども、完全にいつでも引き継げるという状況になっているのかどうか。
  122. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) 準備は終わっております。
  123. 田英夫

    田英夫君 そこで、まず空の問題が出てきましたので、そういう七月一日以降の状況について教えていただきたいんですが、自衛隊が緊急発進の体制を完全に受け継ぐ、そうするとF104Jの緊急迎撃体制といいますか、これが常時整っているという状況になるわけですが、アメリカ軍から引き継いで、たとえばもうすでに国籍不明機がことしになってからあらわれて、結果的にはソ連の飛行機だったようですが、発進をしている。いままでの状況ならいいんですけれども、これはまあこういう問題が、万が一ということを考えますと、国籍不明機があらわれて緊急発進をする。これはまあ自衛隊機が飛び上がるわけですが、そこで依然としてその相手側の国籍不明機は沖繩なり日本に向かって飛び続けてくるという状況の中で、かなり危険な状況になってきたような場合、アメリカ軍というものはそういうときにはどういう関係になるのか。自衛隊が緊急迎撃体制ですぐ飛び上がっているわけですけれども、アメリカとの関係はどういうことになるのか。その辺はどうなりますか。
  124. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) 文字どおり沖繩の局地防空の任を引き継ぐわけでありますから、その任務に関する限り、わがほうが行なうわけでありまして、アメリカ側との間の連絡その他によって、あるいは相互作戦と申しますか、そういうような形ではやっておりません。ことに、アメリカは核弾頭装着可能なミサイルというものを持っていたことは間違いありませんが、それは全部、ありましたものは買い取って、全部日本側で核弾頭装着不可能な弾頭にかえておりますし、いま配置しておりますものは、日本でライセンス生産いたしました、核弾頭はもともと装備できない、無理に装備しようとすれば全体がこわれるというようなものを配置しているわけでありますから、全然その性能においては異なるわけでありますが、本土と同じように周辺の空域に対するアラート態勢あるいはスクランブルというようなことは日本側自体の手によって行なう。それから先、ほんとに防衛出動とか、そういうようなことが起こるか起こらないか、これは、国際情勢、極東のムード、平和への定着傾向というようなもの等があって、これは備えはしておかなければなりませんが、それに備えてアメリカ軍との間で何かやっているというようなふうの体制には、目下のところ、ありません。
  125. 田英夫

    田英夫君 これは本土についても当然言えることかもしれませんけれども、沖繩の場合は、嘉手納空港というような非常に有力なアメリカ軍基地があるということの中で、やや事情は違うというか、非常に特徴的だというふうに言ってもいいと思うので、そういう意味でお伺いするのですけれども、久保さんもおいでなりましたから、専門家が来られましたから、あれだけのアメリカ軍基地沖繩に持っていて、アメリカ軍立場からすれば、緊急迎撃体制というのは日本の航空自衛隊にまかせたとしても、もし万が一という、いまの長官のお話のようなことが出てくる場合に、それは日本にまかせてあるからいいやということにはならぬと思いますよ。当然、あれだけのアメリカ軍基地を守るという体制は、しかもかなり緊急に、しかも空からの攻撃というようなものに対しても備えを持っているに違いないと思うのですが、この辺はどうなりますか。日本の104の迎撃体制と、アメリカのほうはより有力な空軍を持っているわけですが、この関係はどうなりますか。
  126. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) これは本土も沖繩も変わるところはないわけでありますが、沖繩について、より実際的でありますので御説明申し上げますと、今年の一月一日以降は領空侵犯に対する措置日本側がやっております。それから七月一日以降は、防空任務全部を日本側が引き受ける。そこで、七月一日以降に、いまお話しのような沖繩に対する航空侵攻があった場合に日米がどうするかという問題になろうかと思いますが、日本は那覇に防空管制所——ADCCと申しますが、それから与座岳に防空指令所——ADDCと言っております。司令部はCCであり、それの現実に航空機に対する指令を出しますのはDCサイトから出すわけでありますが、そこで全般的な指揮はCCがとり、具体的な要撃機に対する指令はDCが行ないます。そこで、わがF104に対しては、DCサイトの自衛隊側の専任指揮官がそこから指令をします。  そこで、米側は、七月一日以降もCCサイトDCサイトに人を派遣しております。英語でADOT——アドットというふうに通常申しておりますが、航空連絡員であります。航空連絡員がおりまして、米側に対する指令は米側のADOTが行ないます。したがいまして、こういった指令統制室のようなところに自衛隊側の人と米側の人と両方配置されておりまして、自衛隊機に対しては自衛隊側が指令をする、通常の領空侵犯措置であれば米側はやりません。しかし、いまの仮定のお話のように、沖繩に対する全般的な侵攻があるというような場合には、米軍機も当然飛び立ちましょうから、自衛隊機の足らざるところ、米側の指揮により米側の航空機が飛び立っていく、そういうふうになると思います。
  127. 田英夫

    田英夫君 いまのそこのCCとDCのそこの仕組みが、本土の場合も実は従来から同じようにやっておるわけでございますけれども、今度は沖繩という非常にはっきりした問題が出てきたので、さらに明らかにしておいたほうがいいと思うので伺うんですが、いまのお話ですと、確かに指揮命令系統というのはそれぞれのほうにいくと、そしてまん中で一緒にいるからだいじょうぶだということかもしれませんけれども、大きな事態が起こったときに、結局は、いまの軍事力というものからすれば、これはアメリカの指揮系統の中に入らざるを得なくなるんじゃないかというふうに、しろうとの考えで感じますけれども、この辺の指揮命令系統というのは、明らかにあくまでもこの二つなのか、最後はこう一つになってくるんじゃないか。ここのところの仕組みはどうですか。
  128. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) NATOにおきましては統合司令部でございまするし、韓国におきましては国連軍の総司令部があります。したがいまして、この二カ所では、いわば統合軍というものが編成をされまして、指揮命令を一本化されております。しかし、第二次大戦、第一次大戦でも、特にフランスを中心とする、そういった連合軍の中の指揮権の独立ということが問題になったことは御承知のとおりでありまして、それは、その国の自負心といいますか、自尊心といいますか、そういうものが確立されている限り、われわれとしましては、やはり指揮系統は、便、不便は別といたしましても、二本化する、これは従来から、日本の防空全般については日米間での話し合い——具体的なものがあるわけではありませんが、日米間の話し合いでは、米国は米国、日本側日本側ということで、平時におきましてはもちろん、有事におきましても、おそらくそういう体制をとらざるを得ないのではないかというふうに思います。
  129. 田英夫

    田英夫君 それは、私は沖繩のは見てないんですけれども、本土のほうで、従来は一緒のところにいて、結局、向こうが英語を使うもんで自衛隊のほうも英語を使うということで、英語を勉強したりしておられたようですが、沖繩の場合も、用語は英語になるわけですか。
  130. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 御承知のように、民間航空の管制業務そのものが、これは外国の飛行機が入る関係上、英語を使っております。したがって、いまの航空、防空の関係におきましても、米側といろいろ意思疎通をする関係があります。それから、表示そのものも、やはり同じものを使って表示するという関係もありますので、基本的な用語についてはやはり英語でやらざるを得ない、これはヨーロッパでもNATOでも同じことであります。
  131. 田英夫

    田英夫君 これは、実際にそういう体制をつくった以上は、英語でやらざるを得ないんだと思うんですね。いま久保さんの言われたように、NATOの場合には、統合司令部がありますから、これは一つ別の機構を確立していると見ているわけでしょうが、わがほうの場合は二つだと言いながら、実際は一つになるというふうに感ぜざるを得ないんですけれども、この点はひとつ、水かけ論のようなことになりますからこれ以上お聞きすることはやめておきますけれども、次の問題で、かねてから、これは長官が沖繩開発庁の立場から、しばしば関連しておられた例のP3の移転の問題ですね。これは現在どうなっておりますか。
  132. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) これは、私が総務長官をやめました後、田中内閣なりましてから、ことしの一月、日米閣僚レベル会議の際に、最終的に嘉手納移駐ということが合意されております。ただ、その年月が、工事消化能力の問題等もありますけれども、やや私にとって、復帰時において那覇空港にP3を含む米軍機が存在しないという前提がくずれているという感じがして、私自身としては、それを何とか取り戻したいということて、いま一生懸命米側と直接あるいは外務省とも連絡をとっております。これは、一ぺん申し合わせをしたからその日取りを守るということじゃなくて、申し合わせがあっても、それを早く現実に処理するという姿勢をとるべきだと私は思っておりますし、ことに那覇空港のターミナル・ビルの建設の問題が、当初私の総務長官在任中は、米側のほうに、米側使用の野球場——現在は自衛隊も一部入っております。かまぼこ兵舎等のところをレイアウトいたしますと、本来ターミナル・ビルが置かれているにふさわしい場所である滑走路のほぼ中央ということが想定できますので、その線で計画を立てておったわけであります。それがいつの間にか普天間移駐論争に移りまして、それが間に合わないということで、海洋博に四百数十万から五百万の世界各国の人を迎えるのに、仮設みたいなターミナルでお迎えしなければならないということは国としてもおかしな現象であると私は思いますので、したがって、いまのところP3機の移駐も急がせることは当然のことでありますが、まず、ターミナル・ビルの建設という、その必要場所の敷地については、これはすみやかにターミナル・ビルが建設できるように、これはもう沖繩復興開発金融公庫でも資金措置もしてありますし、また一方、関係航空会社、沖繩の民間の方々等の出資によってすぐにでも建設着手可能な状態にあるわけでありますから、これはすみやかに建設を始める、と申しましても、それが機能するためには、そのターミナル・ビルの必要な付帯施設である駐機場その他の進入路のかさ上げとか、いろいろ付帯工事があります。その際には、確かにP3の地上機能と関連する施設にぶつかります。ここらのところはすみやかにこれを技術的に解明をしながら、私としてはできるだけ海洋博の際にはターミナル・ビルが那覇空港に完成をしていて、外国から来るお客さんに恥ずかしくない状態にしたい。単に外国機がいないという状態だけでない、整備されたものにしたいと思っているわけです。ただ、アメリカ側のほうもそれに異論は唱えておりませんが、むしろ、そんなことをおっしゃっても消化能力のほうはだいじょうぶですか、移るほうのリロケーションの実態ですね、完成できますかというようなことを聞き返してくるくらいで、いま技術的に運輸省も含めて詰めております。したがって、私としては、その当初の目標に向かってやはり前進する、そしてどうしてもだめな場合は、それはターミナル・ビルというものもほぼ完成しておる、しかしそれでは全体的に機能していないから、その補助として現在の構想の仮設ターミナル・ビルあたりが、むだづかいでないように、将来使えるものとして、まあ国内航空等に使えると思いますから、そういうような構想のもとに、最悪の場合は備えながらも新しい展開をしていきたい、運輸省のほうも技術面、消化能力の日時の問題でたいへん困難でございますけれども、財源としては飛行場特会のほうで処理できる範囲であると思います。こういうことを言っておりますので、これは関係閣僚との詰めも必要でありますし、対米折衝ももちろん必要でありますが、移ることにきまった以上、アメリカが少しでも長く居すわりたいという気配はいまのところありませんので、私どもの努力を懸命に展開したい、こう思っております。
  133. 田英夫

    田英夫君 ターミナル・ビルのお話は、まあ開発庁長官のような立場からお話しいただいたわけですけれども、実際にいま那覇空港へ行ってみますと、P3がそのままいて、P2Vが、自衛隊がいて、例のF104Jが迎撃体制でいる、そこへ民間航空が入ってくるということで、管制塔へ上がってみると、ほんとうに、しろうとが見ていると、よくまあさばけると思うくらい離着陸が多いわけで、羽田に匹敵するぐらいじゃないか、あるいはもっとひどいんじゃないかという、それに非常に羽田と印象が違うのは、対潜哨戒機が、これは訓練のためでしょうが、しきりに離着陸するという光景を見てきたわけですが、そういう状況の中でのことですが、いまのターミナル・ビルの話がちょうど出ましたので伺いますが、長官言われるように、いまのどうしようもない状況、あれではとても海洋博を迎えられない状態ですが、新しいものをつくる、確かにそれはまん中辺がいい、これはもう常識ですが、ちょうどそのまん中のところに自衛隊の施設があるんですね。F104の格納庫は、やや、どっち寄りというのですか、いまのターミナル・ビルの反対側のほうに寄っておりますけれども、それが一番端で、あと自衛隊の格納庫がずらっと並んでいるあたりが、まさに一番ターミナル・ビルにとってはふさわしい位置だと、こういうふうに感ずるんですが、この辺の配置をどういうふうにお考えになっているのか。ほんとうのことを言えば、私どもの気持ちとしては、P3はもちろん嘉手納なら嘉手納に早いとこ行ってもらいたいし、P2Vもいなければなおさら、民間航空、海洋博を迎えるというような形の中では一番望ましいことになるわけですが、ところが、隊の施設がまん中にがんばっている。この状況の中で理想的なターミナル・ビルの位置というここになるとどういうことになるのか、その辺は防衛庁長官としてどういうふうにお考えですか。
  134. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) これは日本の中の問題ですから解決はできますし、私が考えております当初からのターミナル・ビルの予定地は、現在の自衛隊機のP3の使っておりますところよりか、地図で申しますと、南に下ったところですね。したがって、あと駐機場その他をつくりますときにP3の地上施設にぶつかる、こういう環境だと私は見ております。したがって、自衛隊のもので支障があります場合には、これはもう民間優先で、自衛隊のほうがどいてもらうという姿勢をとっていきたいと思っております。
  135. 田英夫

    田英夫君 この点は、前沖繩開発庁長官というお立場で、いまの言われました点は……。私のようなしろうとが現地を見ましても、いかにもターミナル・ビルをつくるにふさわしい場所に自衛隊の格納庫があるというような印象を、現地の人も言っておりましたけれども、受けて帰ってきたわけで、このP3の移転の問題とからんで、そのことを非常に強く感じております。  そのP3の移転のことですが、一体いつごろはっきりするのか、工事の問題もありますけれども、次の日米協議委員会あたりで、はっきりできるのかどうか、この辺の見通しはどうですか。
  136. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) ことしの日米協議委員会、一月においておおむねの段取りはして、あるようでありますが、私は、ただいま申しましたとおり、こちらの対応する準備ができれば、それに従ってもらう。したがって、なるべく早く移してもらうという姿勢で臨むつもりでありますから、それまでには、こちら側から、こういう態勢ができたので、したがってこのころまでには出ていってもらいたいという姿勢をとれるようにしたいと思って、いま努力中であります。
  137. 田英夫

    田英夫君 これは、こういう軍事的な問題、私しろうとなんですけれども、久保さんに伺いたいのは、P3が嘉手納に移ることになる。それで依然として沖繩にありますね。これは、アメリカ軍のほうの事情からすれば、対潜哨戒機というものが当然あの地域に必要だということで、あそこに残すわけでしょう。しかし、これは普天間か嘉手納かという問題ですから、飛行場がかわっただけかもしれませんけれども、そうすると、従来よく言われていた普天間から玉つきで移っていくということは中止になりましたね。向こう側は。そうすると、自衛隊のP2Vがまだあそこにいると、これはいわゆる軍事力ということからすれば、従来の計画より増強になるんじゃないかという感じがしますけれども、この点はどうですか。
  138. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 数がふえたという点は、あるいはあるかもしれませんけれども、おのずからこの任務が違うのでありまして、P2Vの任務というのは南西諸島全般にわたる哨戒でありまするし、また、常時漁船その他の救難捜索のために使われる場合も非常に多いわけであります。そういった、言うならば内回りの使い方をします。ただ、現在はまだ訓練中でありますので、そういった哨戒業務は行なわれておりません。しかし、P3の場合には、そういうような、いわば内回りの仕事ではなくて、言うならば、もう少し広い範囲、つまり戦略と申せば少し大げさになるかもしれませんけれども、相当広範囲にわたる長距離の哨戒任務を行なうということで、小回りのきくもの、大回りのきくものというものの、おのずから区別がございましょう。従来の、いわば私どもが考えておりますP2Vのような哨戒任務はP3の場合には要求されていなかったものだろう、そういうふうに思います。
  139. 田英夫

    田英夫君 いまの那覇空港の問題は、ぜひひとつ、防衛庁長官としては、やや、何といいますか、立場競合することになられるのだという心配をするのですけれども、しかし、さっききわめて明快なおことばがありましたので、ぜひ那覇空港のターミナル・ビルを早急に建設をするということと、しかも、それは自衛隊と競合する場合には民間を優先するという、さっきのことばをぜひ実現をしていただきたい。同時に、P3の移転の問題も早急にやはり片をつけていただきたいということ、これだけお願いをしておきます。  次に自衛隊の移駐のことですが、七月一日という時点は、一つは、これは空に関係することが中心と思いますけれども、陸海を含めて、すでにほぼ完了したと考えてよろしゅうございましようか。
  140. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 法案が成立いたしませんとでき上がらないものが幾つかあるわけでありますが、移駐で当面予定していてまだ現実に配置されておりませんものは——陸は大体現在のものが今後もそのままの規模で持続するわけでありますが、海上自衛隊の場合に、二法案が通過いたしますると、いまありまする臨時基地派遣隊を正式の基地隊に引き伸ばしまして、約百名ぐらいふやすということ、それだけであります。それから、年度内、四十八年度内、これは法案の成立後の話でありますが、年度内にP2Jを——先ほどP2Vと申しましたが、Jでありました。P2Jを、現在六機でありまするけれども、これを九機にする予定になっております。それから航空自衛隊の関件では、現在、七月一日から防空任務を引き継ぐ関係上、たとえばレーダーサイトの部隊でありますとか、ナイキの部隊、それから航空隊、そういったものが少しずつまだふえる過程にありまして、これは六月十日現在で数字をとっておりますけれども、その場合に、航空自衛隊は十日現在三千五百四十人でありまするけれども、法案成立後は三千百五十人、その場合に、法案が成立しておりますという前提に立ちますと、南西航空混成団という司令部組織ができ上がる。さらに、現在F104が二十一機でありまするけれども、若干本土と違いまして、一隊で領空侵犯措置に対処しておりますので、ロードが変わっております。その関係で、二十五機までふやしたいという計画であります。それができ上がりますと年度内は全然変わらないということで、海上自衛隊と航空自衛隊が今後若干の増があるということであります。
  141. 田英夫

    田英夫君 そうすると、まさに防衛三法というのが問題なわけですけれども、現在まで臨時沖繩基地派遣隊というような名前、あるいは臨時第一混成群というような名前、陸海などでそういう名前をつけているわけですけれども、いままでのは法案が成立をしていない状況の中で、臨時という名前をつけているわけですが、たとえば陸上でいうと臨時第一混成群というのは一応熊本の、北熊本ですか、第八師団の派遣隊という形をとっているわけですか。
  142. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 八師団ではありませんで、西部方面隊の直属ということになっております。その点は法案成立後も性格は変りません。
  143. 田英夫

    田英夫君 そうすると、この沖繩の第一混成群というのが臨時が取れることになって、そのまま残る。それで指揮命令系統は変わらない、こういうことになりますか。
  144. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 現在第一混成群というのは、普通科二個中隊、それから施設科中隊一個を中心にした部隊でありますが、それ以外にホークの部隊で第六高射特科群というのがございます。そこでこれを、法案が通過をいたしました場合には、長官の編成権に基づきまして、これを改編して第一混成団というのをつくります。その第一混成団の中に、先ほどありました臨時第一混成群を単に第一混成群と呼び、それからその下にありました飛行隊、それからその支援隊のはかに、現在臨時第一混成群と並んでおりまする第六高射特科群というのをこの第一混成団の下に入れるということで、繰り返しますと、従来臨時第一混成群あるいは第六高射特科群というのが並立してありましたけれども、これをまとめて第一混成団というものに編成がえをする。その編成がえをされた第一混成団というものはやはり同じように西部方面隊の下に直属をするということになります。
  145. 田英夫

    田英夫君 そうすると、西部方面隊の下に直属をするという形のまあ団ができるわけですね。第一混成団ができるわけですが、現在すでに幹部は向こうへ行っておられるわけですが、いまの混成群の群長といいますか、これが桑江一等陸佐であるという、これはまだわかりませんか。そのままですか。私の持っている資料によるとそうですか。
  146. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 群長はかわってないと思います。いや、群司令です。失礼しました。
  147. 田英夫

    田英夫君 兵隊の位で言うと、この桑江さんというのは一等陸佐でしょうか。その点、兵隊の位はどうですか。
  148. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 桑江さんは一等陸佐であったはずだと思います。ただし、この第一混成団の司令、団長の場合には、将補の格になると思います。
  149. 田英夫

    田英夫君 そうすると、将補ということになると、かなり師団規模に近いものになってくるのじゃないかと思いますが、その位からいって師団長クラス、その辺はどうでしょうか。
  150. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 法律事項とそれから政令事項、あるいは長官にまかせられている事項とそれぞれございます。そこで、師団の場合は法律事項でありまして、師団長はすべて将補の格を持っております。それから団の中に——これは現在の自衛隊法が必ずしも陸海空を通じてきわめて合理的になっているとも思いませんが、団の中にその法律で名前が出ているもの、それからそうでないものというふうになっております。つまり法律の中で、師団の構成する、あるいは各方面隊に必ずあるといったようなものは名前があがっておりますけれども、たった一つしかない、たとえば富士教導団あるいは空挺団、それからヘリコプター団といったようなものは、これは長官の権限で編成されることになっております。ちょうどこの第一混成団はどこの方面隊にもあるもの、どこの師団にもあるものというものではございませんで、独立した特異なものということで、ちょうどヘリコプター団などと見合うような形になっておりまして、これは長官が法律及び政令に基づいて委任をされているその権限の範囲内でつくられるということで、団という名称の場合は一定の規模のもの、これは大きなものは六千名からありまするけれども、この場合は約二千名足らずでありますが、大体団の場合には、その長は将補であるということになっております。
  151. 田英夫

    田英夫君 実は私が申し上げたいのは、法の十三条によって、陸上の場合でいえば方面隊や師団規模のものを増設する、増置するというような場合には、当然自衛隊法の改正を必要とするということであるわけですけれども、それをまあ沖繩返還という状況の中で、とにかく自衛隊をあそへ持っていこう、それには法律改正を経ないで防衛庁長官の権限によって置ける規模のものにしておこう、こういうお考えで、先ほどからの臨時という名前をつけて、混成群とかあるいは派遣隊とか、こういう形のものを置いてこられたんだと理解をするわけですね。  そこで、今度あらためて防衛三法を出して、自衛隊法を改正をして、空について言えば南西混成航空団というのを置くと、まあこういうようなことではないかと思うわけですが、この辺のところを陸のほう、海のほう、この辺をどうしてはっきりと師団規模のものにするというようなことになさらなかったのか。これは純然たる技術的なといいますか、軍事的というか、防衛的というか、そういう兵力問題、これは兵力問題だけじゃなくて、たとえばいまお話があったように、団でも非常に数が多い場合もあるし、師団規模ぐらいの人数であっても実は編成上団であるというふうに言われれば、これは法律の改正が必要ないということになるのじゃないかと思いますが、この辺のいままでの過程、並びに今度の防衛二法との関係、これはどういうことですか。
  152. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 師団が法律事項であるというのは、やはり一種のシビリアンコントロールの考え方から出ていると思いますけれども、師団というのは、一つの部隊でもって普通科の部隊、施設、特科あるいは戦車、そういったあらゆる必要な機能を兼ね備えた一つの単位部隊、戦闘の単位部隊であります。独立して戦闘し得る単位部隊である。そういったある種の基幹部隊については、これは幾つにするかということは、やはり法律で国会の審議を経て定めるべきものであるという思想があります。したがって、それ以外のものについては、これは法律でもって政令に委任し、あるいは政令でもって長官に委任をするという考え方になっているわけでありまして、したがってある種のもの、 つまり先ほど、繰り返しまするけれども、ある方面隊に必ずあるというようなものは、それを名前を出す。しかしながらそうてもないような、独立したようなものについては、これは、長官に委任されているということで、法律の中では二十三条に書いてありますけれども、第三章の幾つか響いてあります。たとえば方面隊とか師団とかいうもの以外については、これは政令にゆだねる。それから、政令の中ではまた若干単位部隊などの考え方、団とか群とかの単位の名称が書いてありまするけれども、具体的にどういう団を編成するか、どういう群を編成するかということは、これまた長官に委任されている、施行令の三十三条でありまするけれども。そういうようなことで、一応いまありまする陸について言えば、群、それから航空方面隊について甘えは、臨時第八十三航空隊その他の部隊についても、それぞれ、この法律及び政令によりますると、長官に委任された範囲内である。そこで、しかし、たとえば航空自衛隊の場合に、八十三航空隊だけをとれば、これは長官の編成権のもとにあるべきものであるけれども、その八十三航空隊やらレーダーサイトの部隊やら、それからナイキの部隊、それから基地隊、そういうものをまとめて励ますると、これは法律事項である航空団とは違いまするけれども、しかし、いろんな機能をたくさん持っておる、言うならばミニ航空方側隊、ミニ航空方面隊に類するものになりまするので、これは法律事項にしたほうが適当であろうということで、現在の二法の中に盛り込まれているわけであります。しかしながら、陸の場合に特科群、ホークの部隊と、それから臨時第一混成群をあわせて第一混成団をつくってみましても二千各の範囲内でありまするし、普通科の中隊というのは二つしかありません。ホークの部隊が一つあるにすぎないというようなことで、人数も二千名足らずである。片や本土におきましては六千名近くのもので、長官権限のものもあるわけてありまして、内容的に見ましても規模的に見ましても、師団に準じて考えるほどのものではあるまいということであります。かつて、私は関与しておりませんでしたが、数年前に沖繩に部隊を配備するときに、師団という考え方は全然ありませんで、一個連隊程度ということは、これは幕僚監部の段階では、ありましたが、そういった研究は行なわれたことはありませんけれども、連隊ですらない、単に普通科中隊一、それから施設の中隊一といったようなものを基幹とし、それにホークの部隊をつけたもの、これはどういうような観点から言っても法律事項にはならないというような判断であります。もちろん以上のような考え方、つまり法令の整備をするにあたっては、法制局と十分に協議をした上での結論であります。
  153. 田英夫

    田英夫君 私、沖繩現地で陸海空の責任者の方にお会いをして、その編成の数字などを伺ったときに一つ気がついたことは、いまここに詳しい数字を持っておりませんけれども、非常に将校や下士官クラス、いわゆる下士官——下士官という言い方は悪いかもしれませんが、そういうクラスが非常に多いんですね。その辺が、大体自衛隊そのものがいわゆる外国の軍隊などに比べると多いわけですけれども、沖繩の場合は、特に陸などを見ると非常に多いように思うんですが、これは取りようによっては、兵のクラスを増強すれば、これまさに長官権限で、増強すればいっても人数はふやせると、こういうことではないかというふうにうがって考えるんですが、この辺はどうでしょう。
  154. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 沖繩におきまして、きょうはその数字を持っておらないと思いますが、沖繩におきまして幹部の数、曹の数は本土に比べまして多いことは確かであります。なぜそうかと申しますると、特に陸の場合にはきわめて顕著にわかるわけでありますが、陸上自衛隊の本土におきまする配置で言いますと、十三師団が基幹編成になりまするから、したがって十三師団の中の普通科の部隊が非常に多いわけであります。普通科というものが陸上自衛隊の基幹部隊になりますから、したがって、そうなりますると、どうしても定員上もまた実充員上も士のクラスが多くなってまいります。相対的には。ところが、沖繩におきましては、先ほど申し上げたように全体の部隊の中で普通科中隊がわずかに二つしかない。あとは施設の部隊であったり、特に飛行隊、航空部隊でありましたり、それからホークの部隊であったり、要するにそういった、言うならば機械化もしくは技術的な集団が多いということであります。その点は海上自衛隊、これも航空部隊が中心になっておりまするし、航空自衛隊の場合には航空部隊及びナイキとかレーダーとかそういう技術者集団が中心になっております。したがって、沖繩というところは小さい地域ではありまするけれども、技術的な集団がコンパクトに集められている。しかし本土の場合には、陸の普通科の部隊によって代表されまするように、非常に何と言いますか技術を必ずしも持たなくてよろしい部隊が大宗を占めるというような関係がありまして、これは相対的に沖繩のほうが階級が高い。特に曹のクラスの数字が多くなっております。そこで、そういう数字をもとにして、たとえば特に陸の場合にもっと部隊をふやすんではないかというようなお話もありまするけれども、いま言いましたように、普通科の部隊が少ない関係上、これは事実上不可能でありまするし、かりに可能であるといたしましても、私どものほうではこれ以上陸の部隊を沖繩に派遣する計画は、四次防はもとより、おそらくその後もそういう計画は出てまいらないのではないかというふうに思います。
  155. 田英夫

    田英夫君 まあ、これは私どもは沖繩に自衛隊が派遣をされるという問題について非常に心配をして、特に現地沖繩で、御存じのとおり自衛隊派遣に対して非常にこれを好まない空気が強い。これには非常に一つの歴史的な原因があるわけで、そういう中でいろいろ心配をして、危惧をして伺ってきたわけです。いまの久保局長のお答えにありましたように、いま以上にあそこに増強するというようなことがないということをひとつ信じたいと思いますが、まあこれはよけいなことかもしれませんが、喜屋武先生がおられるから一番詳しいでしょうが、沖繩がジャパニーということばがあります。これは長官も御存じかもしれませんが、ジャパニーズのなまりだそうですが、あの戦争中に、沖繩アメリカ軍に占領されて、アメリカ軍が上陸をしてきたときに、日本軍と一般の住民の人を区別して収容所に入れたときに、日本軍をジャパニーズと呼んで一般の方の収容所と区別したそうですが、そこで沖繩の一般の方は、日本軍のことをジャパニーズとこう呼ぶようになり、それがなまってジャパニーになったと、こう私も聞いてまいりましたが、つまり自衛隊はジャパニーだと、こう沖繩の人は言うわけですね。ということは、自衛隊は旧日本軍と同じなん、だと、こういうふうに、自衛隊を歓迎しない沖繩人たちは私たちに訴えるわけです。この気持ちというのは、最近いわゆるマスコミなどで自衛隊派遣反対という運動が報ぜられなくなりましたので、何か消えてしまったように思われるかもしれませんが、実際に沖繩県に行ってみると、非常にこのことは根強く残っているわけです。ぜひ、沖繩の問題に対して非常に詳しく手がけてこられた山中さんが防衛庁長官になられたわけですから、ぜひこの沖繩の人の気持ちというものは尊重していただきたいということをお願いをしておきます。  で、次の質問ですが、先日、アメリカ軍基地施設の一部返還発表なりました。実際には、これはこういうことばを使っていいかどうかわかりませんが、いわば遊休的なところ、まあ当然もっと早く返ってよかったものをようやく返してくれたというような気が私などはするわけですけれども、これに関連をしてですね、例のアメリカ軍基地あるいは自衛隊の基地施設も含めて、これに土地を提供している地主の人たちとの契約の問題が昨年あたりからずうっと問題になってきて、この委員会でも何度か取り上げられたわけですけれども、この契約の現状は一体どうなっているか。その後、一時九〇%まで話がついたというようなことを、この委員会で防衛施設庁からお答えがありましたけれども、その後どうなっているか、お聞かせをいただきたい。
  156. 平井啓一

    政府委員(平井啓一君) 沖繩には、米軍にその使用を認めております施設及び自衛隊の施設等で、合わせまして約二億、平米ほどの民公有地があるわけでございます。これらの所有者の方々との賃貸借契約ということは必要であるわけでありまして、これらの件数が総計いたしまして約三万一千六百件でございます。その中で昭和四十七年度円満に契約を締結することができました件数が約二万九千三百件、九三%でございます。あと二千三百件は、やむを得ず公用地等暫定使用法に基づきますところの措置をとって現在使用をしております土地でございます。昭和四十八年に入りまして、引き続き四十八年度の賃借料を払うための、いわゆる借料を払うための契約の更新ということをただいまやっておる状況でございます。昨年度幸いに契約をいただきました九三%の所有者の方方は、引き続き契約をいただけるものと、そういうふうに考えております。
  157. 田英夫

    田英夫君 これは九三%という数字がいま出されましたけれども、残る七%といえば少ないようですけれども、ここに七%に象徴される沖繩県民の気持ちですね、ここが先ほどから私が申し上げているようなところだと思うので、決して数字が少ないということではない、そうは言えないのじゃないか。特に暫定基地使用法という形で、これは本土にはない事態ですね。そういうものを発動してまで軍用地を確保しているという実情、これは午前のこの委員会で坪川長官にお話をしたわけですけれども、そういうところで例の薬きょう拾いの老婆が死亡するという事故が起きていたりしているわけで、この点は、単に九三%まで契約ができたということで安心してはならないのじゃないかという気がしてならない、そういうことを非常に強く感ずるわけです。まあ昨年度九三%ということですけれども、これは引き続き今年度も当然同じような状況が続く、だろうと思いますけれども、これはやはり、いま九三%はだいじょうぶだと言われましたけれども、残る七%については問題が残るということですね。この辺はやはり暫定基地使用法を適用してやっていくということには変わりないわけですか。
  158. 平井啓一

    政府委員(平井啓一君) 九三%という数字に満足しているわけじゃございません。公用地等暫定使用法という形じゃなくて、残りの七%の方々にも、安保条約地位協定に基づくこういう施設・区域の使用の趣旨等、さらによく御理解いただきながら、御協力を仰ぐ努力は今後も続けていきたい、そういうふうに考えます。
  159. 田英夫

    田英夫君 一時見舞い金というような形で支払うということがありましたね、この地主の人たちに。これは結局どうなりましたか。九三%の人に払って七%のほうには払わないというようなことになっているのじゃないかと思いますが。
  160. 平井啓一

    政府委員(平井啓一君) 沖繩復帰に伴いますところのこれら民公有地の借料の算定につきましては、復帰時点におきまして沖繩の特性等を勘案いたしまして、いわゆる公用地等の借料の算定基準に基づきますところの借料算定以外に、復帰前長い間、いわゆる道路、軍用地と称せられておりました土地で御協力をいただいた方々に対し、それにあわせて見舞い金という形でお支払いするという制度をとったわけでございます。これは賃貸借契約を締結いただいた方に、また公用地等暫定使用法に基づき使用をいたしております所有者の方々にも見舞い金は一緒にお払いしている、そういう形になっております。
  161. 田英夫

    田英夫君 時間がなくなりましたので、終わりますけれども、まあ私どもは暫定基地利用法と言っているのですが、実際には、ほんとうの名前は沖繩における公用地等の暫定使用に関する法律、まあこの辺のところに、さっき申し上げた、沖繩人たちのそもそも心の中にある自衛隊に対する気持ち、これを全くさかなでするような法律の存在、しかもそれが実際に適用されているというこの問題ですね、二千三百件にのぼるところで適用されているという問題、ここのところは十分ひとつお考えをいただきたい。何らかの形で、見舞い金の金額も実に少ないものですけれども、そういうことだけじゃなくて、もっと沖繩の人の気持ちを理解した措置がとれないものだろうか。この辺をお考えいただきたいということを申し上げて、質問を終わります。
  162. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 時間が三十分と限られておりますので、何点かの問題にしぼって聞きたいと思うのです。  特に、先ほど田委員からも那覇空港の返還の問題でいろいろお話がありましたが、私もこの一月二十三日の日米安保協議会における合意事項の中で、特に、那覇空港の先金返還のために嘉手納飛行場における代替施設の提供並びに普天間飛行場における改良措置を含むこととなる、こういう合意事項があるわけです。そうしますと、先ほどの答弁のように、こちらの日本側の対応の準備が整いさえすれば、これは文包なく那覇空港は返ってくる、こう解釈してよろしいわけですね。
  163. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) そのとおりです。
  164. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、この嘉手納の代替施設の提供あるいは普天間飛行場における改良措置の具体的な工事計画については、どういうようになっておりますか。
  165. 平井啓一

    政府委員(平井啓一君) 当初那覇空港——米軍に対しては那覇海軍航空施設ということでその使用を認めております施設に所在しますP3等、これを移します先が普天間であったわけでございますが、その当初の計画、普天間に伴いますところの所要経費といたしまして、昭和四十七年度で約三十七億の予算を計上さしていただいていたわけでございますが、本年一月三十三日、第十四回日米安保協議委員会におきまして、日米間で協議の結果その方針が変更いたしまして、P3等の移転先が普天間から嘉手納にかわったわけでございます。したがって、このP3の移転に伴いますところの所要工事の内容におきましても、移転先の変更に伴いまして変更が生じたわけでございます。たとえば卑近な例で申しますと、普天間に移すという当初の計画では、普天間にKC130等の格納庫等がございますので、これをP3に使用することができるというような中身で、したがってそういう格納庫の工事等は不要であるというような中身であったわけでございます。これが嘉手納に移ることによりまして、嘉手納に所要の格納庫等を建設する必要が生じたわけでございます。そこで、昭和四十七年度成立の約三十七億の予算の内容を、変更されました計画に基づきまして、中身を、実施計画を変更いたしまして、これを昭和四十八年度に繰り越しさせていただいたわけでございます。この繰り越しの約三十七億を土台といたしまして、現在日米間で、昭和四十八年度において、まず嘉手納にP3が移るに必要な所要の工事の内容、細目につきまして現在詰めておるところでございまして、近く日米間でその結論を得て工事に着手したいと考えております。
  166. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 私が調べたうちでは、この四十八年度の予算としては、嘉手納の調査費は七千八百万だと思うのですね。それでこの嘉手納の工事に、いろいろ米軍との折衝もされているそうでありますけれども、海洋博等の工事の問題等とからみ合わせまして、基地の改良工事あるいは代替施設の工事というものは相当な期間を私は要するのじゃないかと思います。労務の問題、あるいはいろいろな点から考えましても、——これはあとでお聞きしたいと思いますけれども、普天間の飛行場の工事内容は、これはちょっと私たちが初め考えておったのと違ったような方向に来ているのじゃないかと思うのです。たとえば普天間飛行場の滑走路を相当——嘉手納並みの滑走路にしなければ、この普天間の完全な改良措置とは米軍は見ないというような話を私は聞いているわけです。こういう点についての考え方は具体的にどのように煮詰まってきているのかどうか。この点をちょっとお伺いしたい。
  167. 平井啓一

    政府委員(平井啓一君) 先ほど御答弁申し上げましたように、当初普天間に移るはずのP3が嘉手納に移ることになったわけでございます。これに伴いまして、このP3嘉手納移転に伴って、これに関連する所要の普天間飛行場における改良工事を行なうという文言で、第十四回の日米安保協議委員会で日米間で一応約束しているわけでございます。なぜこういう協議をしたかと申し上げますと、従来嘉手納の飛行場と那覇の飛行場とが、いわゆる相互代替性を持つ飛行場として存在していたわけでございます。これは自衛隊等にも、いわゆる相互代替性ということで、わりあい、もよりの飛行場をお互いに臨時の場合、緊急の場合等に使用し合うというような形を通常とっているわけでございますが、米軍におきましても、そういう形で那覇空港と嘉手納飛行場とを相互代替する飛行場として使っていたわけでございますが、那覇空港を完全に返還させまして、ここを米軍に使用させないという形になりますと、嘉手納と相互代替性を持つ飛行場としては、近くにある飛行場としては普天間ということになるわけでございます。そこで、現在普天間の滑走路の状況等から見まして、嘉手納に移りましたP3、あるいは現在嘉手納におりますところのF4等の代替性のある飛行場として、普天間の滑走路が現在それにたえるには無理な状態になっておりますので、その所要のかさ上げ等の改良工事を行なう、そういうことで約束をしたわけでございます。
  168. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、この普天間工事のかさ上げは、これは相当な経費、それから工事に要する日数は相当な日数がかかるのじゃないかと思うのです。これについての施設庁としての考え方はどういう計画で進めておりますか。
  169. 平井啓一

    政府委員(平井啓一君) ただいま日米間で嘉手納及び普天間の所要の工事内容の細目につきまして詳細を詰めておる段階でございますので、間のかさ上げ工事の経費、あるいは規模等の最終的な形というものはまだ煮詰まってはいないと思いますが、現在考えておりますとことでは、今年度約三十七億の予算のうちで三億ほどが普天間分に該当するのじゃなかろうか、そういうふうに考えております。
  170. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 まあとりあえず三億は——ひとつ明確にしておきたいのですけれども、この三十七億は普天間も嘉手納も両方やった分で三十七億ですね。それが一つと、それからこの普天間がやはりそのようにかさ上げする、ことしはいま三億と申されたわけでありますけれども、あと何年の予定で、大体これは幾ら、おおよそのことは見当つくと思うのです。これは私予算委員会でもちょっとこの問題に触れたこともあるんです。この点から考えますと、もうそろそろ具体的にわかってなければならないし、あるいは外務大臣の答弁からいくと、五十三年ごろに那覇空港は完全返還ということで私たちには答弁してきたわけです。したがってそういきますと、私たちの想像からすれば五十年一ぱい、あるいは四十九年一ぱいにこの普天間工事を終わらす、こういう計画で進めているのではないかという私たちの推測ですけれども、この点についてはどう考えていますか。
  171. 平井啓一

    政府委員(平井啓一君) P3の那覇空港からの移転に伴います工事の主力は、何と申しましても嘉手納でございます。普天間はあくまで関連しますところの付帯的な工事でございます。したがって、普天間飛行場は代替機能を有する程度に滑走路のかさ上げ等の工事をやればいいという考えにわれわれ立っております。そこで、工事の時期等でございますが、これはおそらく四十八年度三億と、四十九年度に若干残るかもわかりませんが、工事そのものは、普天間に関しましては比較的早い時期に終わるのではなかろうかと思います。またP3移転に伴います嘉手納の工事そのもの、移転に必要な工事そのものも、先ほど大臣のほうからも田委員に対して御答弁のございましたように、昭和五十年の三月までにP3が移れるような形で嘉手納の工事も完了するようにというのが現在の目標でございます。
  172. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 その目標ですがね、普天間の工事、たとえば代替施設あるいは滑走路をかさ上げするにしましても、施設庁の考え方はまあ簡単なような考え方をされているそうでありますけれども、たとえば嘉手納に駐機しておるKC135、こういう飛行機、あるいはあらゆるいろいろな嘉手納に駐機している飛行機ですね、それが普天間に、たとえば嘉手納が万が一使用ができないという場合の代替施設として、代替飛行場として、普天間の飛行場を使おうとすれば、相当なかさ上げをしなければこの滑走路は問題になるのじゃないでしょうかね、どうでしょうか。
  173. 平井啓一

    政府委員(平井啓一君) 普天間の滑走路の状況につきましては、昨年私どものほうの担当の技術屋が五回にわたりまして調査いたしております。そういう調査の結果に基づきまして、必要な工事内容というものがどのくらいであるかということを一応つかんできておりますので、先ほど御答弁申し上げましたような形で普天間の改良工事を行なうことによって、十分アメリカのいわゆる代替性のある滑走路としての需要を満たすものになり得ると、そういうふうに考えております。
  174. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 これは長官に伺いたいのですけれども、具体的に、いま施設部長の答弁のように、これはこちら側はそういう意見を持ってその程度でいいという考え方でこの普天間工事にかかっているわけですね。ところがまだ日米ではその滑走路の合意事項というか、この程度の工事であるということの煮詰めはできていないのではないかと私思うのですけれども、この点はいかがですか。
  175. 平井啓一

    政府委員(平井啓一君) 日米間の折衝の事務的な状況でございますので、私から答弁させていただきますが、細目の詰めはほとんど、本年度の三十七億工事に関しましては詰めがほとんど終わる段階に来ておりまして、その中に含まれております普天間飛行場の改良工事につきましては、先ほど御答弁申し上げたような線でアメリカ側も基本的には了解している形になっております。
  176. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 滑走路の具体的な問題については、きょうは私は、資料もまだ検討すべき問題を残すと思うのですけれども、たとえばそれを全面的に信用しましても、具体的に、海洋博の関連工事等含めて、この嘉手納の代替施設の提供、あるいは普天間の飛行場、あるいは、そのあとでお聞きしたいと思っているわけですけれども、牧港の住宅地区等の問題を含めまして、五十年三月といってももう限られた日程です。山中長官はできるだけ早く那覇空港を返還したいという対応策を考えていられるけれども、現実にこの二年間でこの問題が解決するかどうかということは私は非常に疑問だと思うのです。そうなった場合にはますます那覇空港は、五十年どころかもっとおくれるのではないかという感じもしないわけではない。この点をもっと正確な詰めをし、やはり工事計画をもっと早急に練らないと、これはこちら側の準備ができ次第と言うけれども、こちらの準備自体が相当おくれをとっているんじゃないかと思うんです。この点についてはどうですか。
  177. 平井啓一

    政府委員(平井啓一君) 那覇空港からP3を移転させるという問題は、沖繩返還一つの、一つのといいますか、大きな目玉の商品といいますか、問題であったわけであります。これは昨年五月十五日にそれが実現してなければならない問題であったわけであります。諸般の事情でこれが復帰後に持ち越されたという事情がございます。それから昭和五十年三月末までに完成しなければならぬというのは、海洋博が沖繩においてその時期に開かれるという問題でございます。これらの二つの点を踏まえまして、御指摘のような現在の沖繩におきます建設工事の諸般のいろいろ困難な事情、たとえば建築資材、特に骨材、セメント等の入手あるいは労務要員、そういったいろいろの問題はありましょうが、これらの点を克服しながら所要の工事を完了して、三月までにP3が那覇空港から嘉手納に移るということを実現したいと考えております。いろいろアメリカ側と細部を詰めると同時に、並行いたしまして、われわれのほうの建設系統の部門におきましても、それぞれ資材の入手その他の手だての見通し等につきましても並行的に検討している状況でございます。
  178. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 私は、もうここまで来たら明確にすべきだと思うんですよ、沖繩の県民のためにも。実際に五十年三月までに返ってこれない、返還にならない、返還どころじゃなしに、工事日程からいってもこういう実態で、確かにこの工事が終われば那覇空港は完全に返還されるんだということを、スケジュールは、もうここへ来ればわずか一、二年の問題です。これは沖繩県民からすれば一日も早く返還してもらいたいということはもう当然の希望だと思うんです。しかしながら、いつまでたってもまだどこかにネックがあるような感じで、国民の前に返還の目玉とされておった那覇空港がこういう状態では、沖繩県民はやはり不信感を持つのは私はもういなめない事実だと思うんです。こういう点に関しては、もう合同委員会でもはっきりとしているわけですから、こういう明確なスケジュールを示すべきじゃないかと思うんですけれども、これは長官に答弁願いたいと思うんですけれども。
  179. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) これは締め切り日のほうはもうきまっているわけですから、したがって、海洋博が開かれるときに那覇空港にアメリカのP3はいないということははっきりしているわけです。そのことはしたがってスケジュールと言えば言えるんですけれども、私の場合はそうじゃなくて、もっと早く、返還の日にいなくなっているべきはずであったP3がなお現在いるという事実は、いまおっしゃったように沖繩県民にとっては何ともやりきれない、だれを信用していいかわからないということでありましょうから、その後の変遷がいろいろ陸・海・空・マリン等の対立で変転したようでありますけれども、いずれにしても締め切り日のほうは狂うことはない。これもはっきり申し上げておいて、それをさらに早く進めるために私がこれから全力を注いでいこう、こういう姿勢をとっておるということであります。
  180. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 まあそれでは、じゃあ次の問題に移りますが、もう一つ、那覇あるいは浦添周辺として重要な問題は、牧港の補給地区の住宅地区ですね、これの二百戸の移転、これらを含めての返還スケジュールですね、この問題はどういうようになっておりますか。
  181. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) これも一月の日米安保協議会においては二百戸という話に合意されているようであります。これはしかし二百戸移すことも千二百戸全部移すことも同じことであると私は思うんです。アメリカ側から見れば。それを千戸しがみついてみたところで、那覇はこれは県庁所在地の町でありますから、都市計画以前の姿で雑多に人が住みついているにすぎない。そこにせめて都市計画らしいものが描けるとするならば、何としても上之屋一帯の牧港住宅と言われるあの一帯の広大な面積である、これはだれが見てもあたりまえです。あのままほっておきますと、東急ホテルに泊まるお客は一ぱいいるでしょう。あの東側の窓から見たら、文字どおり一望のもとに、なぜあんな広いところがぜいたくな住宅で、緑の芝生で広がっているんだ——いや、実はいまを去る三十年前にここで戦争があって、勝者たる米軍がいまなおここに居すわっているんですということは、日本側としても恥ですし、アメリカ側も恥ずかしいだろうと思うんです。世界の人々が来るんですから。私はそういうことを率直にアメリカ側に言っております。日米友好というのはこういうことをやることじゃないかと。  だから、二百戸の合意は私もわかっている。しかし、思い切って千三百戸すべて、言いかえるならば、牧港住宅街と言われる上之屋の一帯から全部アメリカの諸君は出ていってもらいたい。そのための代替施設の建設はわが方で積極的に、希望する場所あるいは戸数は、おそらくアメリカのいまの、今会計年度の軍事費に対する議会の空気等から見て、はたしてそれだけの住宅の数を建設しろと言うかどうか疑問である。むしろ減るのではないかと思うのですが、それにしても、最終的に建設戸数等の目標を立てたならば、すみやかにその建設に着工して、そしてあすこはみな移ってもらう。これは那覇市あたりはいろんな計画を、都市公園あたりを立てているようでありますが、とにもかくにも、ほとんどが私有地でありますから、これを地主に返してあげるということがまず何としてもやらなければならぬことだと、そう思います。したがって、これも相なるべくんば、海洋博のときには、あんなぶざまな状態をそのまま残しておくことは絶対に忍びないと思いまして、この点も直接間接、やるならすっぱりと全部移ろうじゃないか、してもらいたいということで、これにはあまりそう強い抵抗はないようであります。したがってアメリカ側も、最終的に代替戸数は何戸である、それは場所はどことどこであるという問題について詰めを行なった後に、これを早急に代替工事建設にかかって、できれば海洋博までに、あすこをきれいな緑の芳生だけのところにしたい。できればあすこが都市公園的な形を整えていれば、これは理想だと私は思っておりますけれども、何ぶんにも私が再び閣僚として復活いたしましたのはつい三週間前でありますから、その間に相当な情勢変化があっておりますので、引き続いて沖繩に対して取り組んでいる期間が十カ月抜けましたために、たいへん申しわけない状態が続いているという気持ちで、いま努力しております。
  182. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 非常に心強い答弁をいただいたわけてすけれども、具体的に私は今後の問題——牧港の問題についてはいまの答弁を了とするわけでありますけれども、この間の八カ所の返還、これは沖繩県民としては復帰後初めて、規模の大小はいろいろあるでしょうけれども、あるいはいろんな問題点はあるにしても、まあ沖繩県民に返したというこの事実は、これは評価していいと思うのです。この問題について、たとえばこの問題、これは民有地が主力でありますので、全部返されると思いますが、今後の基地返還スケジュールの問題ですね。この間の合同委員会でも、今後あらためて引き続き具体的にスケジュールを立てて検討していくという合意をされているそうでありますけれども、この八カ所に続いて沖繩基地返還スケジュール、特に沖繩の遊休施設等は相当あることはもう山中長官自身も十分御承知のとおりだと思うのです。これについてどういう計画を持っていらっしゃるのですか。これについてお伺いしたい。
  183. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) これはおっしゃるとおり、私は、沖繩基地の状態、あるいはその周辺の市町村の現実の生活状態その他、大げさに言えば手にとるように知っております。したがって、私どもの役所において過去作業をいたしておりましたものを全面的に私のほうで再検討をいたしまして、追加その他をいたし、さらに強力に押してしかるべきものであって、これはアメリカ代替施設その他何ら必要としないまま返還できるはずである、そういうような地域も具体的に指摘をしながら、アメリカ側といま交渉を引き続き行なっております。先般の八施設は、一施設は単なる建物の二階の一部でありますからこれは除くとしても、少なくともトリイ施設の五分の二、あるいは天願通信所の五分の四近くのそれぞれの面積というものは、それらの部落の人々にとっては、その部落を追われて、しかも借地料を支払ってよその地域に固まって部落をなして住んでいた人々が、自分たちの先祖伝来の部落に再び帰って住めるのかというので、非常に喜ばれたということを聞いて、これは面積は問うところでないとおっしゃったとおり、面積じゃなくて、面積は小さいように見えても、一部落全部の人がそこに戻って住めるというその現実の喜びというものを踏まえたならば、現在嘉手納、北谷、読谷、ここらに象徴される、自分の行政区画内に義務教育の小学校の建物がつくれない、よその隣の村に小学校を置いてもらっているような、そういうような状態をこれを解消しない限り、私は経済開発の主張の問題もあると思いますが、まず地域住民の人たちが、こういうように、たとえば黙認耕作まで長いことさしていながら、返してはくれないというような地域等も含めて、目の前で利用状況を長年見ていて知っておる人たちが得心できる地域、なるほどここはアメリカが返すのがあたりまえだと思っていたら案の定返してきたというようなものを次々に打ち出していきたい。しかもこれは、秋の日米閣僚間のレベルの会合を待つまでもなく、今回の例に見られるように、ひんぱんに会合をしながらそのつど合意したものを沖繩県民のために返していく。しかも沖繩において、復帰時点において沖繩の人々が現実の問題としてショックを受けられたのは、返還された土地には自衛隊が入り込むという問題であったろうと思います。わずかにハーバービュー・クラブほか二点、わずかな地点しか返ってこなかった。これは沖繩県民にとってやはり大問題であって、自衛隊のあり方についてもその面からも批判があると思うのです。今回の八施設はもちろん自衛隊がそれを使う意図は毛頭ありませんし、その場所もありませんし、今後返還されるものも、新たに自衛隊がそこに、個人地主の所有に帰すべきものを優先して獲得するという計画を持っておりませんで、今後返されるものは必ず沖繩県民たる地主に返っていくものがほとんどである。国有地も、たとえば与儀ガソリンタンク等は、あと国有地がありますが、それをできれば無償で与儀小学校に提供したいということで、いま、これは政令の改正が要りますので、国有財産でありますから、無償で貸与できる沖繩開発に関する特別措置の政令をいま作業を進めさしております。これは私のほうの仕事でありませんが、もとの古巣の開発庁に、命ずるということばは不適当でありますが、強く要請をして、その手段をとっておりますから、そういうふうに逐次沖繩県民の土地が沖繩県民の土地に返るという姿を実現していくために全力をあげていきたいと思います。
  184. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 私は、いま長官の答弁の中にもあったように、特に当委員会でも北谷村の学校問題、これは非常に深刻な問題で、コザにまで通っているという、実際これ写真までつけて私たちは陳情を受けたのです。これは自民党の議員の方々も皆賛成、全員賛成だと私は思うんです。したががって、この問題はせめて学校用地だけでも目玉として北谷村に、長年、これはもう何回も私たちも陳情を実は受けている問題です。これは。全員これは一致するような問題だと思うんです。米軍も、ここには遊休施設は相当あるはずですね。この問題についてはもう早急に私は解決してあげてもらいたい。これはもう要望です。  それからもう一つ、いま返還基地は自衛隊が使わないという、これは非常に明快な答弁でありますが、特に、そのほかに国有地ですね、国有地も相当、私も資料いただきましたが、相当国有地があると思うんです。この地域が全部がまだすぐに返還になるとは思いませんけれども、国有地も含めて今後の返還される米軍基地、これについては自衛隊は全然移らない、こういうふうに解釈してよろしいですか、民有地だけじゃなしに国有地も含めて。
  185. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) 公有地は、これは県市町村に返るわけですから……。
  186. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 国有地……。
  187. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) もちろんおっしゃるとおりでありますが、沖繩の現在米軍に提供されている施設で国有地というものが相当な規模であるとすれば、先ほどの与儀のガソリンタンクの一部地域以外、そういう形態以外はほとんどが北部の国頭村の演習地の国有林だろうと思います。大部分は。したがってそういうものを返還される場合に、また再び私どもがアメリカにかわって入り込むということはいまのところ考えておりませんし、沖繩の場合はきわだった基地の特例として——本土の場合は、返ってきますと、大蔵省の国有財産審議会が特別委員会をつくって特持会計の中で処理しようとしている。ほとんど国有地ですけれども、沖繩の場合は民有地が特色だということを申しておりますから、したがって本来の地主さんに返る、その姿はもちろん貫いていきます。
  188. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それから、海洋博の関連事業で米軍基地をどうしても使用しなければならない何か十カ所あたりあるそうですけれども、この問題についての話は煮詰まって返還される予定になっているのかどうか、この点。
  189. 平井啓一

    政府委員(平井啓一君) 現在、海洋博関連沖繩所在の米軍の施設・区域にかかわり合いのあるものといたしましては、まず道路計画といたしましては、国道五十八号線の拡幅に必要な施設区域内の土地の返還でございます。これが南北に連なりまして、十一の施設・区域に関連してまいります。これらの問題につきましては、すでに合同委員会の中の施設特別委員会におきましてアメリカ側にこれを提案しておりまして、現在その返還の促進をはかっております。  それから同じく道路に関しましては、中部縦貫高速道路がございます。これはキャンプ・ハンセン、シュワーブの施設・区域が関連いたします。これにつきましては、昨年の十二月でございましたか、これを提案いたしまして、アメリカ側からも所要の条件がついてまいりました。これは何と申しましてもハンセン、シュワーブのまん中を横切るような形にもなりますので、その施設・区域が両方に分断されるに伴います必要な保安措置とか、あるいは立体交差できるような措置とか、そういった点についての技術的な条件がついてきているわけでありますが、これも海洋博関係の計画を詰めていただきまして、アメリカから出してきました条件等も日本側でこれを一応受け入れることができるという結論が出まして、現在アメリカ側と早急に合同委員会を得る手続を進めております。これも近く解決いたします。  また、北部演習場の中に海洋博関係でのダムの建設工事がございます。すでに進行しておりますのは福地ダムでございますが、それ以外のダムの計画も先般計画が私どものほうに参りまして、こういうことで、北部訓練場のダム及び貯水池の所要用地の返還についてアメリカ側と折衝してもらいたいというお申し越しがありましたので、早速これも米側に提案して、今後この問題の解決を促進したいと考えております。  あともう一つは伊江島の、これは施設・区域に直接関係します用地ではございませんが、伊江空港の建設に伴います米軍施設の一部通信のアンテナ等の移設というような問題がございますが、この問題もアメリカ側と詰めております。この問題に関しましては、伊江島が通信施設、対地射爆撃訓練場という米側の用途がございしまて、これらとの調整でなお若干の日を要するんではなかろうかと思っております。
  190. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 もう時間がありませんので、最後に長官にもう一点だけ伺って質問を終わりたいと思うのですが、先ほども田委員からも質問がありましたが、軍用地契約に対する見舞い金制度ですね、この見舞い金制度は四十七年度に四十億円、四十八年に二十三億三千三百万円と、こういうふうに見舞い金制度が組み立てられているわけですけれども、こういう見舞い金制度をいつまでもこれを続けるということは非常にまずいじゃないかと思うのですね。何か法的にはいろいろ論議しなければならない問題点があるかもしれませんけれども、道徳的に考えても、早く契約する者には見舞い金を出す——これは私、別な機会にこの見舞い金制度で論議をしたいと思っておりますけれども、ちょっと現地のほうでも、ある場合には契約を進めるために、一部の不動産業者を通して早く契約を進めるための見舞い金制度に使っているというふうな話も聞いているわけです。こういう制度を残しておくということは非常にまずいんじゃないかと思うんです。したがって、こういう見舞い金制度ではなしに、やはり借地料の中にしっかり含めた上で、そして土地の契約なら契約をしっかりする、こういう制度にしなければ、何か国民をだまし討ちにするみたいな、あるいは話の言いかけによっては契約をする、あるいは強硬派には見舞い金を出さないというような、そういうしぶりで現地の県民を混乱におとしいれているんじゃないかと私は思うんです。そういう点で、この見舞い金制度という問題については、これは廃止すべきじゃないかと思うんです。この点についての見解を伺って、私、質問を終わりたいと思います。
  191. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) この問題が設定されたときは、私、防衛庁長官でなかったわけでありますが、私自身の考えを持っておりました。したがって、この問題はここ一両年のうちに実質的に解決するようにしたいと思います。
  192. 星野重次

    委員長星野重次君) 本件に関する調査はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十一分散会