○藤原房雄君 時間もありませんので、いろいろ海上保安庁にも
お話お伺いしたいことがあったわけでありますが、とにかくたいへんな高額なもので、その維持費もたいへんなものだろうと思いますけれ
ども、やはり人命を守るということに
政府当局が真剣な態度でなければ、あるいは後継者育成ということからいいまして、だんだん最近の若い人はそういう危険な仕事から遠ざかるという傾向にもありますし、はた目からいいましても痛々しい限りでありますし、毎年
事故が繰り返されておる現況からいたしまして、やはり最大の効果をあらわすであろうと思われることについては、少しぐらいのお金がかかったといたしましても、鋭意その方向で進めるべきだと、私はこう思いわけですが、どうかひとつ強力にその飛行艇の問題につきましても
調査等なさいまして、漁民の
方々にも安心して操業できるように、ひとつ努力していただきたいと、こう思うのです。
時間も迫りましたので、さらに総務
長官にお伺いいたしますが、総理府の北方関係予算というのが組まれまして、それによりまして年間の予算、あらあら見さしていただいております。当初この国会始まったときに、総務
長官の所信表明の中にも、「
政府としては、わが国の立場を広く
国民に訴え、その理解と支持を得るため、行政広報をより充実するとともに、」云々とありますが、これは当然のことだと思います。しかしながら、
沖繩と違いまして、
現地に人がいないということや、島にいらっしゃった
方々も最近はだんだん老齢化しておるという、こういうことからいたしまして、この運動のあり方というものは、
沖繩とは違いまして、
政府のあたたかい、力強いささえがなければこれは進まないと思います。全国的にいろいろな形で進められておりますけれ
ども、やはり一番熱心なのは
地元の根室市であります。根室では、五万そこそこの人口しかない町でありますけれ
ども、一千五百万から予算をとりまして、これを広報宣伝のためにいろいろなことをしております。これは総務
長官御存じかどうかわからないので、私は身近にあるものだけちょっと持ってきたのですけれ
ども、はがきに印刷をするということからも、それから封筒に印刷をするとか、それから北方領土の絵を書いた茶わんをつくる、その他旗をつくるとか、市として乏しい財政の中からたいへんな努力をしておるわけです。北海道としましても四千五百億ぐらい予算を計上しているようであります。国は何もしていないと私は言いませんけれ
ども、こういう一番関心の強い、一番関係の深い根室なればこそやっておると。やるのは当然かもしれませんけれ
ども、とにかくこの小さい町で
一千五百万からの予算を組んでやるということは、これはたいへんなことですよ。自治省当局としましては一千万からの特交を見ておるなんと言う。特交なんというのは何にどう使うかということは明確になってないのです。中身は。そういうことからしまして非常に不明確でありますし、もっと、
地元だけ、根室のことだけ私言うんじゃありませんけれ
ども、地についた活動というものは、PR活動というものは必要だろうと思います。国がいまやっていることも必要なことばかりだと思いますが、
地元に対して、これは全国的な世論形成ということは必要だろうと思いますけれ
ども、何と申しましても、当時島にいらっしゃった方の六割、七割は根室にいらっしゃるわけでありますから、その
地元に対し、さらにまた北海道に対し、そこから火の手を上げていくということが大事だろうと思います。こういうことで、国としましてももっと地についた活動、講演会、また資料を集めるとか、こういうことは一生懸命やっておるようでありますが、もっと一人一人、根室の町でやっているような地についた活動を積み重ねていっていただきたいと私は思うんですけれ
ども、とにかく、まあごらんになったかもしれませんけれ
ども、もう市の封筒全部印刷してあるんですよ。これは茶わんだって全部こういうふうにね。もうこれはマッチの果てから、たいへんなこれはあれですよ。はがきにしましても、これは官製はがきです、下のほうに、根室から出したはがきには全部北方領土のことが書いてある。ここまで気を使ってじみちにやっているわけです。国でやることは、それは講演会それからキャラバン隊をつくるとか、広告塔をつくるとか、大きいことに主力が注がれておるようでありますが、この市の現状というものもよくひとつ知っていただきまして、
地元の意見もよくひとつ聞いていただいて、このPRのあり方についてはひとつより強力な推進をしていただきたい。確かに、あっちこっち歩きまして、北方領土に関する広告塔というのは多くなったように感じますけれ
ども、それで広告塔を建てたからいいというわけじゃ決してありませんので、
〔理事黒住忠行君退席、
委員長着席〕
もっと全国的な世論を巻き起こす方向につきまして努力していただきたい。それからまたPR費につきましても、
政府・自民党といたしましては、
沖繩が返ってきたら今度は北方領土だという標語だけは勇ましいですけれ
ども、いままでと大差のないやり方を繰り返しておる、このように私は思うんです。
ほんとうにこれから北方領土に取り組むというんだったら、取り組むらしい積極的な姿勢というものがなければならぬと思いますが、かけ声ばかりで、いままでと大差のないことが行なわれておる、私はそういうふうに考えられてしようがないんですけれ
ども、少しひとつ、坪川総務
長官になってから、確かに
政府が言う北方領土だと叫ぶには叫ぶらしい
対策が立てられたと、こう言われるように、強力な世論形成の運動を進めてもらいたいと思います。それからいろんな国内についての活動のあり方、さらにまた海外の有力な学者に対する呼びかけ、まあいろんな内外にわたっての活動のあり方があろうかと思いますが、それらのものをひとつ総合していただいて、北方領土問題につきまする世論形成に十分な効果のあがるようにしていただきたい。これがまず一点です。
次は、いま北対協から、もと島にいらっしゃった
方々に対して資金の融資があるわけでありますが、これは去年限度額が引き上げられたわけでありますが、これはうちを建てる方は二百十万ですよ。それから土地を取得する方については、これは条件あるんですけれ
ども、六十万。四億という限られたワクの中でのことですから、いろんなやりくりをしなければならないかもしれませんが、これは
長官、根室だって、もう土地、町のまん中ですと三十万、四十万するところがあるんですよ。木材なんか、もうこちらよりずっと高いですから。ですからワクの中で二百十万とか六十万とかこうきめておりますけれ
ども、実際、家を建てるとなりますと相当な自己資金がなければ建ちませんし、結局うちを建てるためにこの北対協から借りた
あと、融資を受けた
あとのやつは銀行から借りるということになりまして、
あとになったら結局たいへん苦しい思いをしなければならないという人があるわけです。それで申し込みの
状況を聞きますと、やはり去年限度額が上がったせいもありまして、たいへん申し込み数が多いということも聞いておりますが、やはりこれだけ旧島民の
方々が熱望しております融資の制度につきましては、十分それにこたえられるような限度額——まあ総ワクはやはりこれはふやしていただかなければいかぬじゃないかと思いますが、これは時間もありませんでもう申し上げられないんですが、もと北方領土にいらっしゃった
方々のおよそ七六%は漁業に携わっておったんです。しかし、こちらへいらっしゃって、これは昭和三十三年ごろのデータですから、現在だいぶ変わっているかもしれませんけれ
ども、現在漁業に携わっているのは三十数%です。大多数の
方々、大多数というか、こちらへ帰って来ましてからいろんな業種についているのですけれ
ども、やはり単純労働というのは一五%で、たいへん大きなウエートを占めています。やはり事業の能力のある方といいますか、そういう
方々は大きく伸びていらっしゃるかもしれませんが、漁業者として、島にありまして漁業に携わってた
方々が全財産をなくしてこちらへいらっしゃって、二十数年、単純労働でたいへん苦労しているという
方々がたくさんいるというデータが、こういうことからもわかるのですが、それだけに、貸し付け限度額または総ワクというものを十分配慮してあげるということが、これはもう
沖繩が返ったら次は北方領土だと、こう叫ぶからには、北方領土、元島民の
方々に対するあたたかい配慮じゃないかと私思うのです。こういう点で、限られた人なんです、島にいらっしゃった
方々は。何十万もいたわけでないのです。その方がだんだん老齢化していくのです。生きていらっしゃる間に、墓参のことにつきましても、またこういう融資のことにいたしましても、
ほんとうに単純労働なんかで苦しんでいらっしゃる
方々には、それ相応にあたたかい手を差し伸べてあげるのはこれは当然なことだと思うのですね。こういう点では、
沖繩とは非常に趣を異にしているので、
長官、
現地にいらっしゃったことがないのではしようがないのですけれ
ども、私は限られた時間内の話ですけれ
ども、どうぞひとつ深い御理解をいただきまして、これに対する
対策というものを早急にひとつ、もう来年度の予算の中にこれらのものが十分に反映できるような御配慮をいただいて、また早急に
現地にも行っていただいて、実情をよくひとつ御承知いただきたい。このことを心から要望するわけでありますが、この二点について、
長官の所見をお伺いして終わりたいと思います。