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1973-09-04 第71回国会 参議院 運輸委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年九月四日(火曜日)    午前十時二十八分開会     —————————————    委員異動  九月一日     辞任         補欠選任      加瀬  完君     杉山善太郎君  九月三日     辞任         補欠選任      伊部  真君     鈴木  強君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         長田 裕二君     理 事                 江藤  智君                 木村 睦男君                 山崎 竜男君                 小柳  勇君     委 員                 岡本  悟君                 黒住 忠行君                 高橋 邦雄君                 橘  直治君                 松平 勇雄君                 渡辺一太郎君                 杉山善太郎君                 鈴木  強君                 瀬谷 英行君                 森中 守義君                 木島 則夫君    国務大臣        運 輸 大 臣  新谷寅三郎君    政府委員        経済企画政務次        官        橋口  隆君        経済企画庁物価        局長       小島 英敏君        外務省中近東ア        フリカ局長    田中 秀穂君        大蔵省主計局次        長        田中  敬君        運輸大臣官房長  薗村 泰彦君        運輸大臣官房審        議官       原田昇左右君        運輸省鉄道監督        局長       秋富 公正君        運輸省鉄道監督        局国有鉄道部長  住田 正二君        運輸省自動車局        長        小林 正興君        運輸省航空局次        長        寺井 久美君    事務局側        常任委員会専門        員        池部 幸雄君    説明員        内閣総理大臣官        房参事官     加山 文男君        警察庁警備局警        備課長      山田 英雄君        日本国有鉄道総        裁        磯崎  叡君        日本国有鉄道理        事        小林 正知君        日本国有鉄道理        事        原岡 幸吉君        日本国有鉄道理        事        内田 隆滋君        日本国有鉄道理        事        加賀谷徳治君        日本国有鉄道監        査委員会委員長  金子佐一郎君        日本国有鉄道監        査委員会委員   山口 眞弘君        日本国有鉄道自        動車局長     田宮 新年君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸事情等に関する調査  (中央線輸送力増強等に関する件)  (日本航空北回り四〇四便乗つ取り事件に関す  る件) ○国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進  特別措置法の一部を改正する法律案について     —————————————
  2. 長田裕二

    委員長長田裕二君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  加瀬完君、伊部真君が委員辞任され、その補欠として杉山善太郎君、鈴木強君がそれぞれ選任されました。     —————————————
  3. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 運輸事情に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 鈴木強

    鈴木強君 私は、当面の運輸情勢に関して若干の質問をしたいと思いますが、第一番に大臣にお尋ねしますが、けさ新聞各紙によく出ておりますし、テレビその他ラジオでも報道されておりますが、公制審の問題について、若干大臣の御所見を承っておきたいと思います。  御承知のように、昭和三十年の春闘の際に、三公社現業当事者能力がないというところから、賃上げ闘争がたいへん難航しまして、当時の池田総理大臣太田議長との間で、当事者能力についてどうするか、もちろん基本的なスト権の問題を含めて、国家公務員並びに三公社現業の労働問題についてどうするかということを検討するために、公制審が持たれたと思います。きのうの答申を見ますと、八年有余の長い年月の中で、委員皆さんがたいへん御苦心をされて答申が出ましたが、不満が中にはずいぶんあります。しかし総評としても、この答申については受諾するということをきめているようでございますね。そこでポイントになりますのは、団結権の中で、「三公社現業当事者能力強化により、団交で決定できる範囲を広げる。」ということと、それから「管理運営事項の処理によって影響を受ける勤務条件交渉の対象となる。」、この二つですね。それからもう一つ争議権の場合は、現業職員に対して「可及的すみやかに争議権の問題を解決する。そのため、当事者能力強化検討するとともに、三公社現業のあるべき性格について立法上、行政上の抜本的検討を加える。」、こういう点がございます。これは当然国鉄にもこれが影響するわけでありまして、所管をする大臣として、この答申を受けたいま、けさほど総理のところに前田会長から答申が出されたと聞いておりますが、所管大臣として新谷運輸大臣がこの答申に対してどういうお考えを持っておられるか、ひとつ伺いたい。
  5. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) いまお話しのように、四十年以来八年間の長い間、委員の各位が非常に慎重に審議をされて結論を出されたわけでございますから、この皆さんの御努力に対しまして、関係閣僚の一人として深くこれに感謝をする次第でございます。  で、その内容についてのお尋ねでございますが、この点はいろいろの点について慎重に考慮すべき問題がたくさん包含されておると思います。しかし方針といたしましては、この答申の趣旨を実現をいたしますために、関係閣僚とも十分に打ち合わせをいたしまして、努力したい、こういう考えでございます。
  6. 鈴木強

    鈴木強君 私もこれ以上は質問を続けようと思いませんが、いま審議をしております運賃法の問題をはじめ、日本労使関係というものが非常にぎくしゃくしておりまして、国民心配をしておるわけです。その原因がやはり三権の問題に深い関係があるわけですから、ひとつ誠意をもって、いまお話しのように、その答申が、不満足でありますけれども、一歩前進として受けとめていただいて、前田会長もおっしゃっているように、できるところからどんどんやっていく、法改正についてですね、こういうことでひとつ御善処をお願いしたいと思います。  それからその次に、まあ時間がありませんから簡単に伺っておきますが、実は新東京国際空港開港の問題につきましては、私も何度かこの委員会でも質疑をいたしました。また予算委員会等でも質疑をいたしまして、その計画実現に当たっている空港公団ですね、今井総裁にも何回か来ていただいておりますが、どうもいろいろむずかしい要素があることも十分承知しておりますけれども、開港めどがだんだんとおくれまして、先般、新谷運輸大臣田中総理大臣から何か指示をされましたように新聞を見ました。これは歴代運輸大臣がたいへん御苦労されてきておるわけでして、そこにはそれなりの理由があるでしょうけれども、どうもわれわれから見ると、必ずやりますということがやられてない。そのためのネックがどこにあったのか、そしてそのネックを除去するためにどういうことをやったのか。国民の目から見ると、延びている事由というものが明確にならないと納得できないわけでありまして、その辺の周知が十分に行なわれない点もあったと思うのです。いずれにいたしましても、延びていることはこれは遺憾なことだと思います。  それで私は夕べちょっと、この委員会で四十五年の三月十日に私が今井栄文さんに質問をしたときに、まあいろいろございますけれども、今井さんは、「私は四月からは滑走路については堀り割りから始めまして、いよいよ本格的な滑走路造成工事、それからターミナルビルにつきましては、根切り、あるいは基礎くいというものから始めて、本格的なターミナルビル建設工事を進めるつもりでございまして、それと並行いたしまして、御指摘の保安施設その他についても、全部発注を終わって、来年」四十六年ですね、「の四月には何としてでも飛行機を飛ばそうということで、私を中心にいたしまして、いま全力をあげて取り組んでいるわけでございます。」これが「私どもの決意であり、覚悟でございます。」こういう答弁をしたのが四十五年の三月の十日です。それからもう三年以上経過していますね。一体どうなったかということを国民が疑問に思うのは、これは当然であります。そこで、そうかといって、そこにはいろいろな要素がありますから、ただ単に大臣けしからぬと言ってみたところで、これは始まらないわけですから、いまネックがどこで、一体いつごろになったらだいじょうぶかというその見通しがつくかつかないか、これだけ簡単にひとつ国民の前に明らかにしてもらいたい。
  7. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) たいへん成田空港の問題について御関心を持っていただいてありがとうございます。成田空港の問題については、今日までずいぶん年月がかかっておりまして、国民方々から一体どうなっているのだという疑問も起こされ、また御心配をいただくのは当然だと思います。で、実は私が就任しましてから、そういう状況がわかりましたので、ほんとう関係公団、それから私のほうの航空局関係者を督励いたしまして、どこに問題があるのか、一つ一つ問題点を解明していったわけです。おかげで、最近ではいままで問題にされておったような点がだいぶん解明されて解決をしてきたのです。残るところはほんの二、三点にすぎません。そういった問題が結末に達しますと、開港の時期が明瞭にできるというところまで来ております。これも非常に何といいますか、土地を持っておられる方との関係でございまして、これを強行してやるわけにはいかぬ問題があるわけです。  そういった点について、誠意をもって交渉に当たらしておりますが、だんだんその解決めどが出てきたように報告を聞いておるわけでございまして、私の希望としては、今月中には関係閣僚協議会を開きまして、そこで関係各省の最大限の協力を得ながら、なるべく早く開港ができますように、その時期について大体のめどをつけて国民方々にも知ってもらいたいという計画でおるわけでございまして、もうほんのわずかの時間ですが、もう少し時間をかしていただければ、そういう段取りにはもっていけるのじゃないかというように考えておる次第でございます。
  8. 鈴木強

    鈴木強君 その残る問題点は二、三点だとおっしゃったのですがね、その点を明らかにしてもらいたいことと、それから今月中に関係閣僚会議を開いて、各省の了承を得て詰めたいということですから、これはまあけっこうです。  そこで、おおよそ開港めどというのは、いまの段階でも立たないのかどうなのか、あるいはいつまでを目途にやるんだという大臣の御所信があるのかどうなのか。これは空港公団のほうの総裁にきょうは出ていただいておりません。時間の関係でおりませんが、これは大臣監督の立場にあるわけですから、促進をし、いろいろと配意してやるというのは、これまた当然でございましょう。ですから、そういう意味で、この二、三点の問題はわかったんだが、それでなおかつ、いつを目途開港しようとするのか、そういう点はまだはっきりできないのでございますか。
  9. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) いまこの場で何月開港ということは、明瞭にするわけにはいかないのです。それはいま申し上げたような、要するに航空燃料輸送の問題が中心問題。それからもう一つ大きな問題は、妨害鉄塔——鉄塔がございますね、妨害鉄塔が二基建っております。これを円滑に除去する方法考えたい、これはまあ方法もありますし、時期もあります。そういう石油の燃料輸送パイプラインをどういうふうにして建設するかという問題とにらみ合ってきめていかなきゃならない。しかもこの土地が、パイプライン事業法によりましても、これは距離が短いですから、法律によると他の公共事業のように土地強制収用の道がないんです。どこまでも話し合いでいかなきゃならない。ですから、ほんとうに若干の土地を持っておられる方が承諾されないでもその工事ができないというような状況です。現地ではお互いに非常に努力しておりまして、事情はよくわかってもらっておりますから、御協力を願える方向で話が進んでおるということは事実なんです。その問題を解決しないとパイプライン工事に着工できないというようなことで、非常にこれは停滞をしておるということは事実でございます。  こういう問題のほかに、従来でございますと、飛行ルートをどうするかとか、いろいろな問題がございましたが、大体これは、内容的には関係者の間では折衝いたしまして、結論に達しておるということを御報告申し上げたいのです。そこで通常方法でいきますと、工事について非常に時間がかかるようです。たとえばパイプラインの問題につきましても、あるいはタンクの増設にいたしましても、いろいろな問題がありまして、通常工事方法でいきますと非常に時間がかかるわけです。そういうまあ何といいますか、普通の方法では開港が非常におくれるものですから、まあこれは技術陣を動員しまして最短期間でその工事を完成しようということを、これは建設省、その他関係の省のあらゆる協力を得ましていま検討しておるわけです。できるだけ工期を短縮しよう。しかも安全に、パイプラインですから安全基準を守らなければいけません。その安全基準が、大体いま案はできておるようですけれども、まだ公表するところまでいってないです。その内容はよくわかっておりますが、大体安全基準に準拠して、関係の住民の方々が安心してもらえるような工法で、しかも非常に急いでやらなきゃならぬということでございまして、どこまで短縮できるかというようなことが一つの問題でございますから、もうやがてこれについての技術的な方面の結論が出ると思います。それに応じまして、おっしゃるように、もう空港の設備なんか大体でき上がっているんですから、それを早く利用したい。またしないと羽田空港過密状態で非常に安全の面からいっても憂慮すべき点が多いですから、そういう意味で、一日も早くと言っているのはそういうことなんです。せっかく詰めておりますが、いまここで、じゃ何月になりますということを言うのにはちょっとまだ早いのでございます。閣僚協段階におきましては、大体それについての見通しをつけなきゃならない、こう思っておるわけでございます。
  10. 鈴木強

    鈴木強君 わかりました。御苦心のほどわかります。  それで大臣が、非常に土地所有者との関連の問題があるので、これについては強行手段はできないということですね。非常にむずかしい一つネックがあるわけですから、これはなるべく、なるべくというよりかもう理解と納得をしてもらうしかないわけでしょうから、そういう面で、若干時間がかかっても粘り強く理解をしていただくような方法で、強権発動とか強行とかいうようなことは避けられるという御方針で、これはもう非常に私も進歩的な考え方だと思います。ですから、そういう方針でやっていただいて、できるだけ早く開港したいということでございましょうから、そういうことでひとつ進めてもらいたいと思います。  それから次に、ローカル的なことになって恐縮ですけれども、若干質問したいと思いますが、まず第一は、全国の新幹線網建設計画というのが、今度の法案の中でも、いろいろと長期計画でやられているようですけれども、特に十カ年で九千キロ近い、そして十兆円の予算を投じてやるという大まかな計画はあるようですが、私がきょうお伺いしたいのは、鉄道建設審議会等関連もあって、いま明らかにできるかどうかわかりませんが、特にいまの中央線に沿って中央新幹線というものをぜひ建設してもらいたいという意見があるわけですね。山梨長野中心にしてあります。  そこで、この問題については、一度私は橋本運輸大臣のときだったと思いますが、質問したことがございます。それで当時は第二東海道新幹線ですね。これとの関連があるように若干におわされたのでございますが、現在中央新幹線建設というものはどういうふうに、何年度でこう入っていくのか、そこいらの計画を明らかにしてもらいたいと思いますが、それはないのかあるのか。あるとすればどうなのか。
  11. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 全国的な新幹線建設計画については、いまは計画としては途中でございます。御承知のように、きめましたのは東海道新幹線の次に山陽新幹線をきめ、それから東北、上越、成田という新幹線をきめ、これらは大体五十二年度の初めに開業するという予定になっております。それから山陽新幹線のほうは四十九年末に開業するということになっております。それのあとに続きまして、御承知のように、調査五線というのをきめてもらいまして、これからこれは整備計画をきめて、鉄建審に持ち出して御審議を願った上で、今度は調査から工事に入るわけです。これはその次の段階のことなんですね。いまの東海道の問題あるいは中央の問題、これはそれの次の問題でございます。これについては、いまのところまだ内容的には白紙といってもいい状態でございます。国鉄再建十カ年計画の中では、そういう資料も出しておりますが、新幹線のために四兆七千何百億という建設計画も持っているということを明瞭にしております。これはいま申し上げた調査五線、これが実行されましたあとに、何がしかやっぱり引き続いて建設をするという計画を持っているわけです。具体的に言いますと、どことどことやるかということについては、これから政府部内でも十分検討をし、鉄建審意見も聞きまして、皆さんで御審議を願った上で、そういう調査路線といいますか、そういったものをきめていって、調査をした上で建設にかかるという段どりになるわけでございます。  いま中央新幹線とおっしゃいましたが、中央線に沿っての新幹線の問題これと第二東海道新幹線の問題をどうするかということでございますが、これはまだ調査も進んでおりませんし、その具体的な検討はこれからでございます。ただせんだって出ました国鉄監査委員会監査報告といいますか、それに伴う意見がついております。その中には、近い将来において東海道線のほうは非常にこれは過密状態にあるので、行き詰まってくるであろう。これについて、近い将来にどうするかという対策を考えなさいということが意見として述べられておりまして、大体そういうことを考えなきゃならぬと私も思っております。もっと具体的には、旅客の輸送需要というものがどういうふうになるかという実態をもう少し把握しなければならぬと思いますけれども、いずれにしましても、どのルートを通るかは別といたしまして、やはり何か考えていかないといけないということは、常識的にもこれはいえるかと思います。いま申し上げた現在の調査五線、これの一応整備計画をきめまして、鉄建審で御審議を願って、いよいよこれは次の段階工事にかかってもらうというようになりましたら、それに追っかけて、幾らかの新しい調査線というものをきめるようにしなければいけないかなということで、いま鉄建審皆さんともいろいろ御相談を始めようとしている際でございます。  御承知のように、鉄建審のほうは、各党の代表の方がお入りになっておりまして、広く国民的な視野からどこをどういうふうにしたらいいのか、そういった点について、十分御意見を承りまして、そこで、いま申し上げたような段階を経て決定していくということになると思います。
  12. 鈴木強

    鈴木強君 いろいろ御苦労をいただいておりますが、そうしますと、いまの調査五線ですね、これについては整備計画をできるだけ早く鉄建審答申をもらいたいということですね。引き続いて新調査線を何がしか考えなければならないだろうというお話ですが、結論的にこれから十カ年間の計画の中で、いま着工している部分と、それからさらに新しく五線が入りますね、さらにその次にもう一つ調査線考えるというのは、十年のワクからはみ出ていくわけですか。十年の中でやるのか、この九千キロ、十兆円というこの予算が十カ年計画だとすれば、その中で第二新幹線等の問題も当然出てぐる、そう理解してよろしいのですか。
  13. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) もちろん、ただいま出しております十兆五千億という投資規模の中で建設できる。新幹線については、さっき申し上げましたが、国鉄だけ見ましても四兆七千五百億ですか、四兆七千幾らというものを予定しております。いまの調査五線をやりましても、さっき申し上げたように、五十四年度ぐらいまでにはできて、そのあと調査五線のほうが追っかけていくわけでございまして、そのあと、これから調査をし、そして工事に着手するという、新幹線あとを追っかけていくわけでございまして、十カ年計画の中でこれは処理できる、処理できる範囲でやっていく。  ただ五十七年度までですから、十カ年計画は。だから新幹線の時期と必ずしもこれは合致しませんね。工事が六十年までかかるのもありましょうし、いろいろあると思います、具体的には。しかし私のほうでは、計画としましては十カ年計画の中で、なおいまの調査五線のほかに若干の新しい路線計画することを予定して十カ年計画を立てているというふうに御了解いただきたい。
  14. 鈴木強

    鈴木強君 せんだって山梨県知事大臣にこのことで陳情されましたか。来ましたか。
  15. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 各県知事が来られますので、内容については詳しく覚えておりませんが、確かに来られたと思います。知事も来られたと思います。
  16. 鈴木強

    鈴木強君 それで、これは東京都の中央線沿いの方、それから山梨長野ですね、ここらの方々はやはり中央新幹線を敷いてほしいという強い希望を持っていることは間違いないんです。そういう意味から陳情もいっていると思います。それで私は、中央高速の場合でもそうですが、東海道、要するに東名ですね、それから中央自動車道、これを結ぶ縦の線というものが一つ考えられている。具体的には清水から直江津まで行くような高速自動車道をつくってほしいというのが地元の長い間の懸案でございますね。したがって今後、中国あるいはソ連との貿易がどんどんと進行するようになりますと、やはり縦の線が非常に大事になってくると思うのです。上越のほうは新幹線が通るようですけれども、一方、長野から直江津に向かってのこれはないわけです。ですから、そういうところに中央線に沿ったものを敷いてほしいということは当然のことだと思うのですよ。  しかももう一つ、私は大事なことは、東海道第二幹線をつくることはけっこうです。それはそれでやっていただいてけっこうだし、私たちはそれは反対だなんということは言いませんが、問題は、土地の取得というものもあるし、それから将来、天変地変とか、それから何かの事件で交通が遮断するような場合に、やはり迂回をしていく一つの予備線的なものが大きな役割りを果たすと思うのです。そういう意味からいきましても、同じところを走らせるよりも、一つは迂回していくという、そういうこともひとつ考えなければならぬと思うのです。特にせんだっても大震災が起きてどうなるかというようなことで、たいへん政府のほうでも頭を悩ましているようですけれども、地震が来て一体どこまで国鉄がもつのか心配がありますけれども、きょうのあれじゃないから、私はやめておきますけれども、いずれにしても、そういう意味からいっても、迂回線というものは必要じゃないかと思うのですよ。そういう意味において、何とか調査五線のあとに、こういうこともひとつ重要なファクターとして入れていただいて、中央新幹線——これは仮称でございます、私がつけたようなもので仮称ですけれども、そういうものもひとつ十分に対象にしてもらいたいということを、私は全県民にかわって、あなたにお願いするわけですが、どうですか。
  17. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) これは私が単独できめるわけにいきません。とにかく輸送需要というものを十分に調査をし、全国民的な視野からどこを優先するかということをきめていくわけでございますが、先ほど申し上げたように、各党の代表からなっております鉄建審、こういったところにも諮問をいたしまして、十分に御意見を伺ってやるわけでございます。あなたのおっしゃることはよくわかりますが、いまこの段階で、おっしゃるように、中央新幹線というものにつきまして、あらゆる他の新幹線に優先してつけるかどうかというようなことを、ここで私から答弁することは控えなければならないと思っております。十分に研究をし、調査をし、検討をさしていただきたい。
  18. 鈴木強

    鈴木強君 そうです。私も優先的にということじゃありません、手続きが要りますからね。ですから私は中央新幹線(仮称)を建設してほしいというものにかわって、国会で大臣にその声を伝えているわけですから、こういう声を十分にあなたは参酌して、それが皆さんの賛成を得ればいくでしょうし、少数になれば破れるでしょうけれども、少なくともこういう意見かあったことを記録に残して、これは速記録にもあるわけですから、大臣として次の大臣に引き継いで、中央新幹線についてはこういう希望があったということを伝えてもらわなければだめですよ。ここで聞いてそれっきりじゃしようがない。だから、そういうことを私は言っているわけですから、私の意のあるところを、十分に、鉄建審議会なり、どこでもいいですよ、反映できるようにしてほしい、そういう気持ちでございますから、私の誠意をくみ取ってひとつ御配意をいただきたい、こういうことでございます。間違っていないでしょう。
  19. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 御要望の趣旨は了承いたしました。関係者に伝えます。
  20. 鈴木強

    鈴木強君 よろしくお願いします。  それから新幹線を敷く場合に公害問題だとか、あるいは安全対策ということが非常に問題になりますので、これらの点には不断に日本国鉄技術陣営が研究をされておると思いますから、私たちはまあそれを信頼をしておるわけですけれども、特に公害なんかについては、いまでも方々に問題が出ております。こういう問題をやはり解決しませんと、一面では敷いて速く走るから乗っている人はいいんですけれども、その沿線の人たちは公害によって迷惑を受けるという問題がありますので、これはひとつぜひ今後、最も大事な解決すべき問題点一つとして、この対策を考えてほしいと、こう思います。  それから総裁がいらっしゃいますから、ちょっと伺いますが、リニアモーターというのですか、少し浮き上がって走る方式を国鉄は研究されて、もうほぼ実用化のところまでいっていると思うんですけれども、たとえば次のどっかの新幹線ではそういうリニアモーターというんですか、何かちょっと私は専門的でわかりませんけれども、そういう新しい車両といいますか、タイプの新幹線を走らせるというのはいつごろできるもんですか。
  21. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) リニアモーターにつきまして、いまいろいろ私どもの技術者が勉強いたしておりますが、まだ先生のおっしゃったように非常に実用に近いというふうに申し上げるわけにはまいらないと思います。ただ今明年ぐらいに相当飛躍的な研究段階における進歩が期待できると思いますが、やはり十年ぐらいは、大量輸送機関として使う場合にはやっぱり十年ぐらいはかかるというふうに考えなければいけないと思いますが、その場合に、はたしてそれだけの需要が東京−大阪以外にあるかどうかという問題もいろいろございます。やはり相当な需要がなければやってもしようがないというふうになりますので、先ほどからのお話の中央新幹線の問題あるいは現在の東海道新幹線の行き詰まり、その他を考えまして、一体どこでどういうふうに使うのかということも考えなきゃいけませんし、経済性もいろいろ問題ございますので、いま勉強いたしております。たぶんことしか来年ごろには相当大きなステップを踏み出せるような気がいたしておりますが、まだ実はほんとうの初歩の段階であるというふうに申し上げざるを得ないわけでございます。
  22. 鈴木強

    鈴木強君 それでは次に、東京の新宿の駅のことで伺いたいんですけれども、まあ新宿は東京都の副都心というようなことで、いま御承知のように、高層ビルをどんどんと建築中ですね、それで今後は、小田急とか、あるいは京王、西武、それから国鉄はもちろん山手とか中央とかと入っているわけですが、それで相当に輸送量はふえてくると見なきゃなりませんね。先般来、新宿駅は民衆駅というかどうかわかりませんが、駅舎は大きくなりましたね。そのときにホームもかなり整備したようですけれども、現実に私どもが使わしていただいておりますと、中央線もかなり特急とか急行がふえてくる。そうなりますと、いまでも八時の下り「あずさ」ですね、これは中央線の下りのホームから出発するようなことになりまして、そこには乗客がたくさんおるもんですから、ホームがかなりふくそうするというようなことで、確かにホームの整備はしていただいたんだが、現状でも非常にラッシュ時にはホームが混雑して不便をしているんですよ。ですから将来の構想として、何か新宿駅について拡充計画といいますか、整備計画というのを持っておられるかどうか。土地が限られておりますから、これは非常にむずかしいと思います。さらに地下利用というようなことをお考えになるということになると、これはまたたいへんな金がかかるでしょうけれども、いずれにしても現状ではちょっと心もとないですね。  したがって何とか新宿駅の増改築といいますか、こういうものを私たちはやるべきだと思うんですが、どうなんでしょうか。いつか新聞上越線だったか東北線だったか、新宿に乗り入れるというような計画をちょっと見たことがあるんですよ。そうなると、いまのところではどうにもならないから、そこいらを基本的にどういうふうにして、まあ首都圏の交通が非常にふくそうするのに対して輸送力増強の手を打つのかという、そういうことを含めて、これは総裁でしょうか、お伺いしたいんです。
  23. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 具体的な問題は後ほど担当から申し上げますけれども、いま先生のおっしゃった問題でございますが、私どもといたしましては、やはり新幹線関連して考えなければいけないというふうに考えております。現在の新宿駅は、一応私のほうの工事としては一段落いたしておりますが、問題は甲州街道のガードの代々木寄りの貨物駅でございます。これは非常に現在、都市交通の問題もございますし、また場所として、はたして適当かどうかというふうなものもございます。一方、東北、上越あるいは北陸を東京都内に入れる際に、東京都から、東京駅に集中しないでほしいという強い御要請がございました。その際に、私どももそれを受けまして、東北、上越の認可を大臣からいただきます際には、将来そのターミナルを東京駅以外のところに持っていきたいということをつけ加えて大臣の御承諾を得ております。その際に、やはりその第一候補となるのは新宿でございます。相当広い土地も持っておりますし、あの新宿に、いまの計画中の上越新幹線あるいは北陸新幹線を入れることが、それ以外に方法がないんじゃないかというふうに思っておりますが、その際には相当根本的に、現在の電車駅も改良しなければいけないし、先ほど申し上げました貨物駅も、いずれ移転しなければいけないということが考えられます。その際に、それらを包括いたしまして、大新宿駅と申しますか、が、いずれできることになりますし、また先ほど先生の御質問の、いわゆる中央新幹線との接続地点と申しますか、あるいは新宿を通り抜けてそのまま行くということも考えられないことはないかと存じますが、それら、いずれ新宿は、私のほうから見ましても相当大きな東京における新幹線交通のセンターであり、また在来線交通のセンターである。しかし、またあまりあすこへ過密に集めてもいけないということで、貨物をどけるということが一つ方法と、その行く先等はいまいろいろ考えておりますが、新幹線建設状態あるいは副都心の今後の進捗状況等を見まして、やはり新宿につきましては、たぶんこの十年ぐらいの間に相当また根本的な改良をせざるを得ないというふうに考えておりますし、やはりその起動力となるのは、東京都からのかねがねの御要請の、東京における新幹線のターミナルを東京駅だけにしないで分散してほしいという、その強い東京都の御要請を含んだ上で、私のほうも、幸い新宿に土地を相当持っておりますから、それらを利用して根本的な計画をつくり直すのは、たぶん十年から十二、三年ぐらい先のことだと思いますが、いまそういったことを頭に置きまして青写真をかいているところでございますが、また現実の今日の問題につきましては、後ほど担当から申し上げます。大体ビジョンとしてはそういうビジョンを一応持っております。
  24. 原岡幸吉

    説明員(原岡幸吉君) 現実の問題といたしましては、先生御指摘のように、ことに朝の「あずさ一号」でございますか、御乗車になるときは、ことにホームが狭いと、こう感ぜられるのはもっともな点でございまして、新宿にはいまホームが五面ございまして、そのまん中の幅を見ますと、一番狭いのが九メートル、太いのが十二・二メートルと、こういうぐあいになっております。で、特急は大体一番幅の広い第一ホームから発着するということになっておるわけでございますけれども、「あずさ一号」の時間帯は、御承知のようにラッシュの関係がございまして、やむなく第三ホーム、一番狭いホームで御乗車願っていると、こういうことで、特に狭い感じが持たれているわけでございます。現実の問題といたしまして、すぐ幅員を広げるということは、御承知のような用地環境でございますので、現在すぐ拡幅するということは、きわめて不可能に近いと、こういう状況でございます。
  25. 鈴木強

    鈴木強君 私は専門家でないからよくわかりませんけれども、まあ一番線、二番線、三番線、四番線とありますね。一番、二番のホームと三番、四番とのホームがどの程度の距離になっているのかわかりませんが、これをもう少し中間のほうに寄せて、そして九メートルの狭いほうのプラットホームをもう少し広げるとか、そういうことはできないでしょうかね。まん中にたしか幾らかわれわれが見るとあいているところがあるように思うんですけれど、もうあれ以上は狭めたら安全対策上あぶないということで、もう全然そのスペースがないというふうに考えていいんですか、その辺は。
  26. 原岡幸吉

    説明員(原岡幸吉君) 私も、詳しくは技術的によくわからぬわけでございますけれども、全体といたしまして、旅客ホームの、何といいますか、本屋側に貨物の仕分け線がいろいろございます。それを少し横にふらないと、いま先生おっしゃったようなホームの振りかえによる拡幅といいますか、こういうことができないと、こういう物理的条件になっている、こういうふうに思っているわけでございます。
  27. 鈴木強

    鈴木強君 ホームとホームの間に一本いまあなたが、おっしゃったような貨物か何かが通る引き込み線といいますか、そういうものがないですね、あそこ。ないでしょう。だから、もう少し現状をちょっと調べてみていただけますか。そういうスペースがあるならやってもらえばいいんだけれど、まあしかし、せんだって総裁がおっしゃるように終わったところですから、おそらくそのことも計算してやったと思いますけれど、そのことをもう一回ひとつ調査してもらって、できれば何かくふうすればいいと思うんですが、どうでしょうね、現状認識で私が違っている点があれば、またいけませんけれどね。
  28. 原岡幸吉

    説明員(原岡幸吉君) ただいま申し上げましたように、貨物の線の関係で私は一応不可能じゃなかろうかと、こう思いますけれども、なお御指摘のように、検討して、可能なものなら改善すると、こういうことはやってみたいと、こう思います。
  29. 鈴木強

    鈴木強君 それから総裁、貨物駅は、小田急があそこへちょっと入っておりますね。そして国鉄の電報や何か打つところですかね、鉄道病院のほうに寄ったほうですが、あの辺は小田急かいま輸送力増強で近代化しておりますね。それとの関連は、将来貨物駅を移転して、大新宿駅をつくるという構想を踏まえてやっておられるんですか。またそのときになって、せっかくやった小田急か手をつけなきゃならぬということになると、これは経済効果から見てもとるべからざることですから、そういう点は読んでやっているんでございましょうか。それから、どのくらいあそこに敷地がありますか、貨物駅の。
  30. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 広さはちょっとあとで申し上げますけれども、一応私どもの構想といたしましては、いま小田急が十両編成の工事をやっております。例のホームを延ばす仕事をやっております。甲州街道の先のほうへずっといま工事をいたしておりますが、それとは全く関係なしに、私のほうのいまの考えはそれの逆なほうでございます、市内側のほうでございます、内側のほうでございます、新宿御苑に近いほう、あそこに貨物駅の私どもの事務室あるいはいまコンテナの置き場になっているところがございますが、あの辺と、先ほど原岡が申しました貨物の仕分け線がございます。いまの先生の御指摘の旅客ホームと駅ビルの間に十数本の貨物の仕分け線がございます。それがいずれ山手貨物線がかりにもし要らなくなるとすれば、その用地があくわけでございます。したがって、いまの大体のビジョンといたしましては、甲州街道のガードの上に置きまして、その下にいまの貨物駅のコンテナを置いてあるところからいまの仕分け線のホームというところには、相当広大な土地がございますので、山手貨物線を相当程度武蔵野線に移すことができますれば、結局いまの山手貨物線のあとが大体要らなくなるということになります。したがって、先生の御指摘の小田急でないほうの、市内側のほうに大体新幹線のホームを、あるいはある程度の——あそこは幸い立体的に使えるところでございますから、甲州街道のガードが高こうございますから、それをうまく使えば相当平面的にも立体的にも広大な土地があく。それにはやはり何と申しましても山手貨物線を武蔵野線に移すということが前提になりますが、これが大体計画は、多少おくれておりますが、進んでおりますので、それができれば一応いまの問題と関係なしに考えてよろしい。まあ小田急、京王はいろいろやっておりますが、これは全部そういうことを踏まえた上でやっているわけでございます。  用地の広さは約十六万平米だそうでございますが、その大体半分ぐらいが貨物ではないかと。ただ一つだけ申し上げておきますと、かりにあそこに新宿の新幹線の大ターミナルをつくるといたしますと、相当駅前広場が要るわけでございます。その場所がはたしてとれるかどうかということは相当問題でございます。私どもの土地がございますが、私どもの土地を相当程度駅前広場に提供するということは、またなかなかできませんし、問題はあそこに——いまの新宿でも非常に駅前が狭くて困っておりますが、あそこに新幹線を入れますときに、はたして駅前がいまのままでいいかどうか、相当広大な駅前広場が御苑との間にとれるかどうか、あるいは新宿の繁華街との間に問題がございますし、西口のほうも大体いま形がきまってきておりますので、その辺にひとつ問題がございます。一応いずれにしても新宿を将来の東京の交通の中心にしたいという考え方には変わりございません。
  31. 鈴木強

    鈴木強君 それから中央線の新宿と三鷹の間は複々線になっておりますね。それから三鷹以西が複線なんですけれど、私ども列車に乗せていただいて感ずることは、甲府のほうから来ますと、大体立川を過ぎるとのろのろ運転になっちゃうんですね、朝夕のラッシュ時は。それから甲府のほうに行く場合は、新宿を出ましてどうしても立川辺まではのろのろになりまして、それはおそらく中央線が過密ダイヤになっておりますから、特急といえども急行といえども、ある駅でないと追い越せませんね。そういう関係だと思うんですよ。そこで私どもしろうとですけれど、乗っておって感ずるんですけれど、たとえば東海道線に乗ると複々線の場合にちょうど高速自動車道の四車線で片道二車が並行して走りますね。で、今度逆の方向はやっぱり並行して走ってくる。だから東海道下りの場合は左側をずっと二つの列車が走ってくる。それから今度上りの場合は二つの列車が並行して走る、こういう方法が三鷹と新宿の間にとられていないわけですよ。これはどういうわけなんでしょうか。これはすなわちホームで列車を待つ場合でも、もしかりに同一方向に二つ走っておりますればホームを変えないで乗れるわけですね。ところがいまですと、途中で乗りかえる場合には、中野で今度は地下道を通って向こうのホームに行かないと乗れないという不便が出てくるわけですね。いずれにしてもそういうちぐはぐな方式をとっているのはどういうわけですか。私たちは、二車線を二つ並行して走ったら運転する人も楽でしょうし、スピードも少し出るのじゃないかというような気がするんですけれど、どうして中央線はああいう方式をとっているんでございますか。
  32. 原岡幸吉

    説明員(原岡幸吉君) 中央線は、御案内のように快速線のところを列車が走っているわけでございまして、同じ線路でありますから、先生御指摘のように追い越しができないと、こういうことでもって、朝のラッシュ時間帯には前のほうにおそい各駅の電車といいますか、一般の通勤電車が走っておって、それを追い越せないで、そのためにスピードダウンになっておると、で、その点につきましては、追い越し施設があればいま先生が感じておられるような簡単に追い越しできると、こういうことでございますけれども、その追い越し施設はまあ一、二の駅に若干ございますけれども、そうしてまた例外的に追い越しをしている電車の運行もございますけれども、原則的には追い越しはやっておりません。その点は追い越し施設がなければ、先生のおっしゃったような、何といいますか、線路の構造にいたしましても一番最初の要望にはこたえることができないわけでございまして、先生のおっしゃいましたある方向によって、何といいますか、まあ若干専門的になって恐縮でございますけれども、いわゆる線路別といいますか、方向別といいますか、そういう考え方によりまして、それが可能になるのじゃなかろうかと、こういう先生の御指摘でございますけれども、これも実は追い越しにつきましては同じことでございまして、中央線の現実を見た場合には、快速線も二、三分ヘッド、緩行線も二、三分ヘッドと、こういうことでございますので、前にゆっくり走っておる電車、これを追い越すためには快速線から緩行線に渡りをとって渡って、そうして追い越したあと、また快速線に戻ると、こういうことをしなきゃならないわけでございますけれども、快速線もそれから緩行線も両方ともヘッドが非常に詰まっておりまするので、先生の御指摘のような線路構造にいたしましても、何といいますか、前の車を追い越してスピーディーにうしろの快速電車が行くと、こういうことは不可能なんでございます。
  33. 鈴木強

    鈴木強君 それはあんたの言う説明は   〔委員長退席、理事江藤智君着席〕 できないということにして立ってやっているんだ。だったらあんた、高架にしたって、追い越しをするところをつくればいいじゃないですか。いま三鷹でやっているでしょう。あの先でところどころにそういう追い越しをするようなホームを一ホームつくっておけばいいんだ。あなた方はそれをやらないで、既成事実の上に立って話をするから食い違いがあるんですよ。だから私は、三鷹までの間は、これはもうやっちゃったことですから、複々線の場合。これはやむを得ないとしても、今度は三鷹から以西を複々線にする場合には、かりに高架になるとしても、そういう追い越しができるようなホームを、もう少しスペースをとってやればいいですよ。そういうことをすれば甲府までいま一時間五十分ですね、特急が。これは一時間四十分で行きますよ。もう少しその辺のくふうをしてもらいたいと思うんです。そして乗客の立場に立ってみれば、われわれしろうとですから、そう感じたものだから言っておるわけで、何かくふうすれば追い越しができるのじゃないか。  それからもう少し同じホームに着くようにしてもらえば、同一方向のものが、そうすれば乗りかえもしないで済むじゃないか。このくらいのことは大国鉄ができないはずがない、ぼくらはそう思うから聞いているので、だからできない前提ではここで聞くことはないですよ。だからそういうわれわれの素朴な意見を体して、今後複々線をさらに延ばしていくでしょうから、ひとつ御配意をいただきたいということを含めて私は言っている。一体三鷹から立川なり八王子、高尾までの複々線というのは、どういう計画になっておりますか。
  34. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 三鷹以遠につきましては、今度の計画の十兆五千億の中に入れてございます。したがって法案が通りますれば、これの具体化になるわけでございまして、その際には三鷹から一応立川までの複々線計画を、この現在御審議願っている法案の計画の中に入れておるわけでございますので、これが通りますれば、時期はまだ申し上げられませんが、一応計画としては具体的な舞台に乗る、こういうふうにお考えくだすってけっこうだと存じます。
  35. 鈴木強

    鈴木強君 その際に追い越しができるような構造にしてもらえますか。
  36. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) これは非常に技術的な問題になって、簡単にお答えいたしかねますけれども、問題はその通勤時間帯に特急をどう入れるかという問題になるわけでございます。現在、先生御承知だと思いますが、東海道線でも新幹線ができる間は熱海からこちらは全部通勤電車と特急列車が同じダイヤで走っておりました。新幹線ができましたので、全部それはなくなりましたけれども、いまの中央線と申しますと、ちょうど新幹線ができるまでの東海道線と非常に似ておりまして、二分間隔で走っている通勤の、急行の線路を特急が使っておるわけでございます。したがって速度を変えますと非常に通勤輸送に大きな障害になるわけでございます。かりに追い越したといたしましても、中間でもって速度が違いますと、通勤電車が入らなくなるということで、やはりどうしてもラッシュ時間帯は、私どもといたしましては何といっても通勤優先であるということで、七時半から九時半ごろまでは特急もがまんしてもらうということにいたしております。むしろ逆に委員会などでは特急が通勤電車を追い抜いてけしからぬという御批判が強いものでございますから、通勤時間帯はあくまでも通勤電車優先と、しかし通勤電車帯を過ぎた場合には、これは遠距離客優先というふうな考え方に変えております。そうしますと何も別に追い越し設備をたくさんつくらなくても、大体立川——新宿ならば二カ所くらい追い越し設備つければ十分やれるというふうに考えておりますので、これらは将来の中央新幹線の問題とからんで、将来の線増の際にどうするかというふうにやってまいりたいと思います。
  37. 鈴木強

    鈴木強君 問題はそうですよ、スムーズに走ってもらえば追い越しをつくるつくらないとか——あなた方はそういうものがないからだめだというから、それじゃつくってくれと言うんです。つくらなくたっていいならそれでけっこうですよ。だからその辺はひとつわれわれの意見を体してやっていただくようにお願いしたいと思うんです。  それから中央線というのは、非常にトンネルが多うございまして、第二の北陸トンネルのような惨事が起きなければとわれわれは常日ごろ心配しているのです。それでいま中央線を走っている列車とか電車の中で、北陸トンネルで災害にあったようなああいった型の列車というのは、どのくらいあるものでしょうか。私はきのうテレビで、北海道のどっかで実験をしているのを見ましたけれど、実におそろしいものですね。ああいう何といいますかね、耐火の不備な古い型のものは非常に危険を感じました。ですから、もしああいうことが現実にまた中央線で起きたらということを思うにつけても、ぞっとするような気もするんです。ですから、いまどのくらいの車両が中央線に走っているんでしょうかね。それでそれを取りかえるのはどういう計画ですか。
  38. 原岡幸吉

    説明員(原岡幸吉君) 現在中央線には電車、客車気動車これ全部合わせまして約千八百両、これが投入されております。そのうちで、いま先生御指摘にございましたような、何といいますか、燃えにくくないといいますか、要するに車両の中が木製またはハードボードというようなもので内張りになっておるものは、合わせて二百二十両でございます。したがって、その残りの千五百八十両でございますか、これはきわめて燃えにくい、こういう車両になっておるわけでございます。したがいまして、燃えにくい車両というものは、大体全体からいいまして九割になっておる、こういう次第でございます。今後は客車、電車すべてこれはもちろん性能もよくしますし、それから燃えにくいといいますか、そういうことで淘汰を計画して積極的に進めておる、こういう次第でございます。
  39. 鈴木強

    鈴木強君 おそらく特急とか急行の場合には、近代的な鋼材を使ってやられておると思うんですが、問題は甲府の近くの韮崎とか、あるいは塩山というところを走っているローカルとか、あるいは普通列車がおもじゃないかと思うんですね。したがって、その二百二十両というのは、中央線だけじゃなくて、全国的に相当な車両があると思いますけれど、こういうものを逐次長期計画で耐火の鋼材に切りかえていくというような方針をお持ちでございましょうね、それはどういうふうになっていますか。
  40. 原岡幸吉

    説明員(原岡幸吉君) 難燃化につきましては、いまここで具体的な数字はございませんですけれども、計画的にこれを燃えにくい内張りのものにしていく、こういうことで進めております。
  41. 鈴木強

    鈴木強君 それから中央西線のほうに、国鉄が自慢の振り子電車というのが走っておるようでして、これはカーブのあるところは非常に効果があるんだそうですね。ですから、まさに中央線なんかに入れていただいたら、もっとスピードアップができるでしょうし、安全性が高まっていくと思うんです。私は非常に喜んでいるわけですが、あれはなぜ西のほうだけやっているんですか。こっちの東線のほうにはどうして入れてくれないんですか。そうしてその計画は、いまどのくらいつくっておられるんですか、ああいう振り子電車を。で、東のほうにはいつごろ振り子電車が入ってくるんでしょうか。
  42. 原岡幸吉

    説明員(原岡幸吉君) いわゆる振り子電車、これを中央西線にこの七月から投入してやったわけでございますけれども、これは特性からいいまして、御案内のように、線路状態が非常に曲線のところに有効に活用できる、こういうことでございまして、西線につきましては、従来のディーゼルカーと比べまして、名古屋と長野の間約二百五十キロ、これにおいて大体四十八分短縮できる、同じ距離の今度東線のほうにこれをいたしますと、新宿と松本の間で大体十五分から二十分ぐらい短縮できるんじゃなかろうか、まあこういう計算になっておるわけでございます。現在は四十七両投入しておりまして、西線の実績を見まして十分検討いたした上で、まあ今後の投入計画考えていかなければならぬ。したがいまして、中央東線にさしあたりすぐ投入するという計画はございませんですけれども、西線の投入実績、その結果をよく検討した上で検討させていただきたい、かように考えているわけでございます。
  43. 鈴木強

    鈴木強君 いつごろになりますかね、入れることは間違いないでしょう。
  44. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 実はあの電車は非常に私どもの技術者が苦心してつくったもので、いわゆる山岳電車である、カーブの強いところというところを主眼にしてつくったわけでございまして、その意味で、実は中央西線が非常に典型的な線路だったので入れたわけでございます。中央東線は多少それよりよろしいということで、まあ多少金もかかりますので、あのままでほかの線区に入れるかどうか、これはもう少し考えなければいけません。やはり山岳電車的なものとしてつくったものである以上、東線に入れますと多少性能としてはオーバーになり過ぎるということもございますので、まあ西線の結果をよく見た上で、今後の線区にどう入れるか、もう少し勉強させていただきたいというふうに考えております。一つの新しい電車のアイデアとしてできたばかりで、わりあい成績もいいものですから、十分あれを検討した上で、今後、相当全国的に電化区間がふえてまいりますので、それに適したものをしたいということで、東線にいついくかちょっと申し上げかねますが、全般的な電化の進捗に従いまして、ああいう新しい車両をどんどんふやしていきたいというふうに考えております。
  45. 鈴木強

    鈴木強君 東線の場合は、この前の複線化のときにかなりカーブを直していただきましたので、確かに西と比べまして、おっしゃるように差はあると思いますよ。しかし何といっても、中央線というのはカーブが多くて有名なところですから、まだまだあなた方のような認識じゃないのですよ。われわれ乗っている者から見ると、かなり乗ってて、こっちにからだがいっちゃって倒れそうになることもありますよ。だから、ああいう振り子電車を入れてもらえば、少なくも時間も十五分ないし二十分の短縮ができる。そういうものは大いにカーブの多いところには入れたらいいですよ。総裁は慎重論のようですから、それはあなたの慎重論はよく私もわかりますから、ひとつ十分検討してもらって、できるだけ東線のほうにも——西に入って東に入らぬということになると、これは差別待遇ですからね。だから差別待遇のないようにひとつ配慮をしてもらいたい。こういうことをお願いしたい、いいですね。
  46. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 十分承知いたしました。
  47. 鈴木強

    鈴木強君 それから国鉄は、われわれの反対を押し切って四十五年に中央線の合理化ということをやりました。駅に人がいなくなったりして、これはたいへんサービスダウンだといって、利用していただいておる方々に不満があります。国鉄全体の財政が窮迫していることは私たちも十分知っておりまして、しかるがゆえに、われわれは、もっと国が国鉄に金を投入すべきであるという、こういう基本線でいつも皆さんにもお願いしているわけですが、それもなかなかいかないので、たいへん国鉄として苦労されていることは十分わかっております。  しかし何といっても国の鉄道ですから、合理化ということをやって、それがそこに働く労働者にもよいし、経営する国鉄皆さんにもいいし、使うわれわれも便利だと、こういうのが合理化というのであって、どっかにしわ寄せをするということは、これは本来の合理化では私はないと思うのですね。そういう意味から言うと、最近国鉄がやっている合理化というものはサービスダウンですよ、完全にサービスダウンですね。だから、たいへん苦しいでしょうけれども、国民からあまり支持されないような小言がいつも国鉄にいくんだと思いますよ。  そこで、中央線は四十五年にやりまして、その後まだくすぶっている点があるのですが、実は山梨県に山梨市という駅がありまして、ここは貨物の取り扱いをいまやっているのですね。四十五年のときにやろうとしたのだが、これは地元の反対で国鉄側に再考していただきまして、いまペンディングになっているのです。四十八年、ことしやるという計画のようですが、地元ではあそこは峡東といいまして、山梨県の甲府盆地の東のほうで、この地域の中心点になっておりますから、ここの貨物の扱いを廃止されては困る、市民生活に影響が出るというので、だいぶ反対しておりますよ。いまのところまだ静かのようですけれども、ことしじゅうにやるのですか。できたら私はやめてほしいと思うのです。できたらというよりか、やめたらいいと思いますが、どうですか、その点は。
  48. 原岡幸吉

    説明員(原岡幸吉君) いま具体的に御指摘の山梨市の貨物の取り扱いの問題でございますけれども、これのいきさつは御説明いただいたとおりでございますけれども、これをいますぐやるとか、どういうふうにするという具体的な地元とのお話し合い、これについては承知いたしておりません。いま先生御指摘の点は、十分よく含みまして地元との話の中に生かしていきたいと、こう思っております。
  49. 鈴木強

    鈴木強君 それから、これは国鉄に御注意しておきますが、中央線に、大月市の笹子という駅と、それから初狩という駅がありますが、八月十三日に笹子、八月三十日に大月の駅の中央線の土手で、古い葉が燃え出して火事が起きているのですよ。これを調べてみると、国鉄のほうで使っております塩素酸ナトリウムという水溶液を除草剤として散布して草を枯らしているわけですね。それがたまたま下り坂でブレーキかけた、火花が散った、その火花がそれに引火して火事が起きたという事件があるのですよ。これが一度、二度、三度と起きていまして、たいへん地元の警察のほうでも、消防署のほうでも迷惑しているようです。ですから、これはひとつよく地元のほうと相談していただいて、今後こういうことをやるのは、葉っぱを枯らしていくということは、必要であればいいですけれども、そのあと始末をもう少しちゃんとしていただいて、列車が通ってブレーキの火花で火事が起きたというようなことのないように、ぜひひとつ御配慮をいただきたいと思います。これはお願いしておきます。  それから最後に、甲府駅の近代化計画大臣にも総裁にもお願いをし意見も聞きたいのですけれども、甲府駅は、御承知のように、山梨県では県都でありまして、しかも非常に古い駅舎で、これを近代化してくれという意見が全県民から出ておりまして、知事も市長も先頭に立っていまこれを推進しております。地元では近代化促進委員会というものをつくりまして、すでに大臣にも陳情しておりますし、国鉄総裁にも陳情しておるわけですが、この計画は、いまここで私はあらためて申し上げませんが、地元のほうの商店街付近の住民の方々とのコンセンサスも大体できまして、いまや国鉄当局の決断を待っているような状態でございます。つきましては、この計画がどういうふうになっておりますか、もう一度あらためてお伺いをしたい。
  50. 原岡幸吉

    説明員(原岡幸吉君) 甲府駅の駅ビルの問題でございますけれども、これはもう前々から地元でも熱心に研究されまして、それを受けまして、私どものほうでもよく検討さしていただいておるわけでございます。で、積極的に前向きに地元の御要望をかなえながら、また駅ビルの事業としても成り立つような観点から、いろいろ研究しておるわけでございますけれども、ただ、最近また地元から、いままでのお話とちょっとまた物理的に変わった場所にその駅ビルをというお話もございます。いろいろそういうことで、いままでの研究ももちろん前向きに実行するという気持ちでございますけれども、新しいまた要望もございますので、それらをよく見合わせまして、地元との関係の調整をよく考えまして、前向きに積極的に検討さしていただく、このように考えておるわけでございます。
  51. 鈴木強

    鈴木強君 原岡さん、地元の意見が変わったとおっしゃいますけれども、変わっていないのですよ、結論的にはね。要するに、いま新宿の貨物駅が出ましたけれども、それと同じように、西側にあるあの貨物駅ですね、これをまず移転をして、これについては土地の取得とか、その他については、県のほうも協力をするし、市のほうも協力をするということで進んでおりますから、それはまあいいんです。そうなりますと、その貨物駅をまず移して、いま平和通りという通りがありまして、あの通りから少し右にカーブして甲府の駅があるわけですから、あれを、いま日通の会社がありますね、あそこのほうへまっすぐに平和通りから、信玄の銅像のあるところからまっすぐに正面になるようにしてほしい、そういうことなんですよ。ですから結論は変わっておらないのです。貨物駅を移転するということをしなければ駅舎は建ちませんからね。あとは身延線を同じホームに持ってきてもらいたいとか、いろいろあります。そういうことは従来の線と変わっていないわけですからね。  ですから、このつくり方については、いろいろほかの駅のやり方とか、経営の問題とかあるようですから、それらのことは慎重に考えなければいけません。ですから拙速主義でと私は言いません。ですから地元のほうでも、いま各住民の方々にも、町会別にいろいろな意見も聞いておるようでして、大体そのコンセンサスはできたと判断をしているわけです。ですから、そういう上に立って、できるだけコンセンサスを得て、そうして経営の見通し等についても十分御配慮をいただいた上で、すみやかに地元の意向に沿えるようなひとつ計画を立てていただいて、実行に移していただきたい、こういうことでございます。これについては大臣にも最後にお願いしておきたいのですけれども、歴代大臣とも、この構想については非常に御賛成をいただき、積極的に御指導をいただいているわけですが、国鉄総裁とも十分連携をとっていただいて、ぜひ一日も早く実現できるように御高配をいただきたいと思います。御両者から伺って、これで私は終わります。
  52. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 甲府の民衆駅、数回にわたりまして先生からいろいろ御質問ございました。いま私どものほうで一番問題にいたしておりますのは、実は中央新幹線問題がまだ具体化してないということが一つ問題にあるわけです。大臣から、もちろん何もまだお話がない、正式な問題点になっておりませんので、一体甲府に新幹線を入れるか入れないかという問題、入れる場合には甲府の駅に入れるかどうかという、いろいろ未定の問題があるわけです。しかし、それを考えなければ、また甲府の駅の改築ができないという、非常に私どもといたしましてはジレンマがございます。もう少し新幹線問題がはっきりいたしますれば、貨物駅を移すと、そして新幹線をこう持ってくる、駅舎はこうなるというふうな、はっきりとしたものを提示し、それによって都市計画もやっていただくというふうなことなんでございますが、根本の新幹線問題がまだ未定でございますので、私ども実は正式に意見を外に申し上げられない段階にあるわけでございます。したがって、ごく非公式に、かりに新幹線がここへ入ればこうなるというふうな話し合いでございますので、どうもはっきりしない。いまの貨物駅もどこへ移すといろいろ案を持っておりますが、正式に申し上げられない段階でございますので、いずれ新幹線問題が具体化した際あるいは具体化しようとする際に、そうすれば甲府をこうするんだと、貨物をこうするんだと、都市計画はこういうふうにしていただきたいという具体的なお話ができると思います。したがって、いまの民衆駅のお話、私どもといたしますと、新幹線問題とからめないともう意味がなくなってくるというふうな気もいたしまして、その点をちょっと悩んでいるところでございます。新幹線を全然抜きにして考えてしまうと、あとになって非常にまた支障になる可能性がある。しかし、かといって、いまだ新幹線がきまってないということで、それがもう少し具体化するまで少し計画を眠らす以外にないんじゃないかというふうな気もいたします。いずれそういうふうな未解決な問題を前提といたしておりますので、ちょっと進行がとまっておりますが、そういうことが一応軌道に乗りますれば、一潟千里で問題を片づけていきたいと、こういうふうに思っておる次第でございます。
  53. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 甲府駅の問題については、鈴木先生の地元からの強い御要望はよく伺っております。この問題については、具体的にはいま国鉄総裁が申しましたようなことも関連するんではないかと思いますけれども、いずれにしましても、運輸省としましては、国鉄にもプラスになり地元にもプラスになるような方法で、こういった問題は前向きに処理をしたい、こう思っておる次第でございます。
  54. 鈴木強

    鈴木強君 総裁のお考えは、私はごく最近そういうことを聞きました——最近というか、いま正式には聞いたわけですけれども。ですから、どうも、新幹線を敷いてもらう、これはけっこうなことですよ。ですから、それはそれとして進めてもらうとして、だからといって、いまの狭隘な、もうどうにもならない甲府駅というものを放置するわけにはいきませんよ、これは。市としても都市計画上これ以上遷延できないんですよ。あなたのほうでは何か新幹線をちらつかせて、そのために全体の計画が延びてしまうと、しかも新幹線はわれわれぜひ通してもらいたいと思うんで、そういうことであれば、あらかじめ、その計画で進めるなら進めるでしておかぬと、結論として最後には、新幹線は通らないと、何のことはない、十年待ったけれども甲府の駅は依然としてそのために延びちゃったということでは、これは問題ですよ。ですからひとつ新幹線のことも、できるだけ早く、これはそう論議しなくてもきまったようなもんだと私は思うんですよ。ですからそこらは英知を集めて御検討いただいて、そしてあとから見て、新幹線がひっかかって損したというようなことのないように、はっきりしためどを立てて、その上で右するか左するか、いずれにしてもきめていただかないと、もうこれ以上待てませんから、その点だけは特に申し上げておきますので、御配意いただきたいと思います。大臣もそういう経過をお聞き取りですから、この上とも御配意いただきたいと思います。
  55. 小柳勇

    ○小柳勇君 私はハイジャック問題に対して質問いたします。  去る七月二十日にアムステルダムのスキポール空港を離陸した日航の四〇四便が二十分後に五人のハイジャッカーに乗っ取られて、そしてベニナ空港で爆被されたのはもうすでに新聞、ラジオで報道をいたしていますから、その内容については質問いたしません。ここに詳細な経過報告がありますし、また昨日資料として「空港警戒における銃刀類等危険物発見状況」及び「世界におけるハイジャック等航空機に対する不法妨害事件の発生状況」など七点の資料が出されておりますから、そういう問題についても詳しく質問したいのでありますが、本日はあの事件の事後処理と、それから今後に対する予防対策と、二つに分けて重要な問題を質問いたします。  まず第一は、運輸大臣質問いたします。今日なおあのときのハイジャッカーたちは日航に対して脅迫文をよこして二つの要求をしたと、その一つの要求は満たされたと、一つの要求が拒否されたから爆被したということが、週刊誌あるいは雑誌などに報道されています。この点は日航も運輸省も秘密にしているという、そういう推察もなされておりますから、この点について明確な御答弁を求めます。
  56. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 週刊誌だけではなしにラジオ、テレビなんかを通じまして、いわゆる赤軍派と称する人たちで、国外に行っておる人たちが、いろいろの発言をしておることを私も承知しておりますが、しかし、これは私がラジオ、テレビ等でも状況報告いたしましたし、対談会にも臨んで発言をいたしておりますが、それを全面的に御信頼をいただきたいと思います。あれ以外には何もありません。ハイジャッカーたちから、たとえば身代金を要求したけれども政府が出さなかったとか、あるいは政治犯といいますか、つかまっている犯人のある部分を釈放しろと要求したということはございません。そういったことが脅迫状には載っておったことは事実ですが、しかし私のかわりに政務次官をドバイに派遣いたしまして、政務次官を中心にして現地の大使館それから日航の社長で相談をして、われわれの指令に基づきまして、ハイジャッカーの人たちと具体的に、何か日本政府に対する要求はないのか、こういうような脅迫状が来ているが、これは君たちに関係はないのかということについて、再三念を押したわけですが、何べんも申し上げましたが、その要求には自分たちは関係ないんだ、自分たちは指導者からの指示を待っているんだと、こういう答えしかはね返ってこないんです。  これは私は何べんも公式の場でも申し上げましたが、この運輸大臣の言明を御信頼いただく以外にはないと思います。それ以外には何にもありません。
  57. 小柳勇

    ○小柳勇君 次は外務省でありますが、外務省はその後各関係国に折衝され、あるいは感謝の意を表されたようなことをるると詳細に報告されておりますが、一つは各出先機関の大使、公使などがちょうどそのころ夏休みなどで国内に帰っておられて、たいへん新聞で悪評を買われた、この点について、どういうふうな措置をされたかというのが一つ。  第二の問題は、その後各大使館あるいは出先機関にハイジャッカー用の回線をつくって、これに警察庁の担当官などを配置するという対策が出されておりますが、この点について、どういう措置が外務省としてなされておるか。  それから第三点は、当時ドバイの空港で、ドバイのアラブ首長国連邦の大統領、首相、国防相などにお世話になった。そこで外務省として、国防相をぜひ日本にお招きしたいというようなことがいわれ、国防相も日本に来るというような情報があったのでありますが、どうなったか。この三点について御説明を伺います。
  58. 田中秀穂

    政府委員田中秀穂君) お答え申し上げます。  今回のハイジャック事件に際しまして、出先の大使が現場に間に合わなかったというような事態があったのは事実でございますが、実は、ハイジャックに先立ちまして、七月九日から十一日まで、東京におきまして中近東大使会議を開催いたしておりました。本会議は九、十、十一の三日でございますが、その後十四日の土曜日まで、いろいろ関係官庁あるいは国会その他の方面との会議がございまして、十六日には関西の財界との懇談がございまして、事実上は十六日までが大使会議の日程となっておりました。その後大使は二、三日家族に会うとか、あるいは不健康地の大使が多いものでございますので、ヘルスチェックをするとか、そういうことをいたしておりました。たまたまハイジャックが起こりましたときに、関係の大使が東京におったということは事実でございますが、ハイジャックが起きると同時に最近便を求めまして現地に急行し、直ちに救出作業に従事したというのが事実でございます。  第二の点でございますが、出先公館にハイジャックの専用回線を引くという問題でございますが、これは直ちにリビア、エジプト及びイラク、この三公館につきまして専用テレックスの回線を購入するという措置をとっております。   〔理事江藤智君退席、委員長着席〕 その他の公館につきましても予算措置を仰ぎまして、極力充実につとめたい、かように考えております。  ついでに申し上げますが、今回起こりましたドバイ首長国連邦を中心といたします湾岸諸国は日本との通信状況がきわめて良好でございまして、さしあたって通信状況の悪い公館につきましてテレックス専用回線の入手ということにつとめた次第でございます。これに伴いまして、館員の増強ということも十分に考慮いたしておりますが、この大使館定員の増員というのは直ちに実施いたしかねる面もございますので、来年度の予算にも組み込みまして、極力関係方面の御協力を仰ぎたいと、かように考えております。  それから第三点でございますが、去る十八日から三十日までの間、水野外務政務次官を団長といたします謝礼ミッションを関係国に派遣されまして、私もその一員として行ってまいりました。ドバイにおきましては、特にいろいろとお世話になりましたし、連邦国防大臣のムハマッド大臣が管制塔に三日間徹夜でおりまして、ハイジャック犯人との連絡に当たっていただいたということで、感謝の意を表明するために日本への招待をいたしました。これに対しまして先方は、招待は非常にありがたくお受けいたしたい。訪日の時期につきましては、いずれ双方都合のいい時期を現地のわが方の大使と相談をして通報する、こういうことでございまして、わが方からの招待には心よく応じていただいた次第でございます。  以上でございます。
  59. 小柳勇

    ○小柳勇君 警察庁に質問いたします。  一つは、犯人を日本に引き渡してもらう要請が、なされたようでありますが、その後の経過。  第二は、重信房子という女性に某テレビ会社が山口淑子氏を面会人に立てて会っておる、そのことが週刊誌などに報道されています。民間の人ではこのように面会をして事情などを聴取しておるが、その犯人の一味であるかどうかわかりませんけれども、重要な日本人だと目されているこの人に対して、警察庁としてどのような接触をしておられるか、これが第二点です。  それからこのハイジャックの国際的な組織について十分な把握がなされておるのかどうか。  以上三点について御質問いたします。
  60. 山田英雄

    説明員(山田英雄君) お答えいたします。  第一点の犯人の引き渡しについてでございますが、ICPOを通じましてのリビア警察からの通報によりますると、丸岡修が犯人であるという容疑はきわめて濃くなったわけでございます。つきましては警察庁として、法務省、外務省と協議いたしました結果、日本国においても裁判権、捜査権を有する事件でございますので、リビア政府に対しまして、いわゆる東京条約第十三条に基づいて犯人に対する調査結果の通報方を要請をいたしました。それと同時に、わが国にも裁判権があると、こういう基本的立場に立ちまして、リビア政府の措置を待ってわが国の措置を考慮したい、こういう旨の申し入れも行なってございます。先ほど外務省からお話ございました謝礼ミッションに、警察庁警備局柴田公安第三課長も加わりまして、リビアに伺いました際には、外務大臣代行に面会いたしまして、その後の捜査内容について確かめたところでございますが、日本政府の調査結果通報方の要請に対しては、回答することを考えておる、犯人は匂留中であり裁判を予定しておるという回答を得ましたが、それ以上の詳細については情報が得られなかったというのが現状でございます。  それから第二点の山口淑子さんと重信房子との会見状況、これがフジテレビ「3時のあなた」で報ぜられたことについてでございまするが、これにつきましては八月十四日に放映がなされたわけでございますが、それに先立つ八月十三日に足立正生といいます映画監督、シナリオライター、これがパリ市内のサンジャックホテルで写真撮影を断わった上で「被占領地域の息子たち」、今度の日航ハイジャック事件の犯人グループの名称でございますが、それと日本赤軍派の共同声明というものを配りまして、組織の関係者から依頼されたとして発表しておる事実がございます。それの内容と重信房子の会見内容が一致するわけでございます。その部分を今回の事件との関連でかいつまんで申し上げますと、一つは、日航に対する要求書は七月二十一日午前九時三十分、東京の日航オフィスに手渡された。その直後、われわれは日航オフィスに電話で、開封して要求書を読み、それに従って行動するよう伝えた。約五分後、警察の車五台がオフィスに急行した。これが事実であるという点でございます。  それからハイジャッカーの要求した金額はテルアビブ空港事件の際、日本政府がイスラエルに支払った見舞い金と同額であるということを言っておるわけでございますが、これらの諸点につきまして警察当局が確認しました結果、全く事実はございません。したがいまして、重信房子と足立正生が同一内容を発表したということについては意思の疎通があるかにうかがっておりますが、その内容は事実に反するという点からしますと、ハイジャックの犯人グループと背後において関係しているという疑いは少ないものとわれわれはいま判断しております。  しかしながら、足立正生につきましては、かねてから赤軍・PFLP世界戦争宣言という映画を、重信房子の紹介でゲリラキャンプ地域に入りまして、ゲリラの生活の実態などをとってきておる人物でございますし、今回レバノンを強制退去せしめられて帰国しておるという経緯もございます。したがいまして、警察といたしましては、丸岡修のハイジャック罪事件との関連で、これらの人物の関連場所をすでに十四カ所捜索を実施しておりまして、帰国いたしました足立正生につきましても、こういう発表をするに至った経緯を事情聴取すべく、それを現在求めておるところでございます。  それから第三点は、国際ハイジャック組織の点についての御質問でございますが、われわれといたしましては、すでに日本人が関与しましたロッド空港事件、それに引き続き、このたびの日航ジャンボ機ハイジャック事件もありましたので、かねてからアラブゲリラ組織の実態把握については重大な関心をもって、外交ルートを通じて情報入手にもつとめておるところでございますが、また同時に、関係官を中近車地域に出張せしめて、各国ごとに警察機関と連携を保ちまして情報入手につとめているところでございますが、その詳細な実態というものを必ずしもつかんでいないのが現状でございます。と申しますのは、やはり彼らも武装集団でございまして、たとえば重信房子の現況などについて、さらに具体的な情報を得べく出張係員が動く、あるいは在外公館の外交官に情報を収集していただくという際には、いずれも生命に危険を感ずるというのが現状でもあるようでございます。私どもブラック・セプテンバー(黒い九月)あるいはPFLPあるいはPFLP・GCというような過去にハイジャックを犯しておる凶悪なグループがいるということは承知しておりますが、その実態について解明しきっているという段階ではないわけでございまして、その事情については、いま申し上げましたようなことが介在しておるわけでございます。しかしながら、今後とも警察機関双互の連携によって情報を収集する、あるいは外交ルートを通じて情報を収集する、この努力は続けてまいりたいと考えております。
  61. 小柳勇

    ○小柳勇君 いま第二点に言われました足立正生と関連するかどうかわかりません、独立映画監督の坂口某の家宅捜索をやっておられる、そういう事実があるのかどうか。その他、公表されておらないこの種家宅捜索などで特別な捜査をなされているのかどうか、お聞きいたします。  もう一点は、京都のVZ58という組織についての捜査の状況、以上二点についてお聞きいたします。
  62. 山田英雄

    説明員(山田英雄君) ただいま御指摘になりました映画監督の名前の居所について捜索を実施しておる事実はございません。いま申し上げました十四カ所の捜索を除きましては、本件について十四カ所以外に強制捜査を実施をしておるというところはないわけでございます。  それからVZ58ということでございまするが、これはロッド空港事件で岡本公三などが使いましたカラチニコフ自動小銃に押されていた刻印であるというふうにわれわれ承知しておりますが、そうした名前を使いました論文なりメッセージなりが出ておるわけでございます。これは昨年十一月、赤軍派などが開催いたしましたパレスチナ革命連帯国際集会という集会がございましたが、その際にVZ58の名前で、日本国内でテルアビブ闘争をになってきた団体という趣旨のプロパガンダが行なわれたということがきっかけでございまして、それから昨年の十二月の「査証」という極左系の雑誌にVZ58来見弘の論文が載ったわけでございます。その内容は、パレスチナゲリラとの連帯ということを強調した趣旨でございますが、みずから無党派の組織であるということを名のっておるわけでございます。これにつきましては、関連都道府県警察に指示をいたしまして、鋭意その実態を解明すべく努力しておりますが、論文で伺う限りは、おそらくロッド空港奥平グループの残党であるという推定がつきますが、現在、何人が具体的に活動しておるかについて、まだ確定した判断を持つに至っておりません。
  63. 小柳勇

    ○小柳勇君 アラブゲリラと日本の赤軍派との関係で、再び日航機がハイジャックされる危険があるという心配があるのですが、このアラブゲリラと日本の赤軍派との関係を特に洗うとか、あるいはそういう行為の予防措置などについて、警察庁として特別な配慮なり組織なり、あるいは経費なりが配慮されておるのかどうか、お聞きいたします。
  64. 山田英雄

    説明員(山田英雄君) すでに元赤軍派の中央委員であった重信房子の手引きで奥平、安田、岡本、そして今回の丸岡という二回にわたるハイジャック犯人というものが海外に渡航し、パレスチナゲリラと連帯して活動しておることは事実でございます。したがいまして、こういうパレスチナゲリラの思想に共鳴する者、しかもまた重信房子が手引きした形は、いわゆる一本釣りという、一人ずつ手紙で呼び寄せるという形でございまして、したがいまして、そうした重信房子、奥平をめぐる人脈で、こうしたグループにさらに参加する者はないかどうかということに重大な関心を寄せております。そうなりますと、赤軍とかいう、あるいは中核というような既成のセクトではないわけでございまして、いわば既成セクトにあきたらない黒ヘル的な先鋭分子といいますか、そういう一匹オオカミ的な者に重点を指向しなければならないわけでございます。したがいまして、私どもとしては、そうした危険人物について四六時中監視体制をしく。そのための要員並びに経費は本年度予算にも特につけていただいた経緯もございますし、来年度においても、これが拡充強化されるよう目下検討中のところでございます。何よりもこういった黒ヘル的な先鋭分子を洗い出して追及していく、それから検挙するということでなければ、予防は期しがたいわけでございまして、これにつきましては常に都道府県警察に注意を喚起しておりますが、今回の事件の後におきましても、八月一日付で情報活動の強化、極左暴力集団黒ヘル分子の取り締まりについて、局長通達を出しているところでございます。
  65. 小柳勇

    ○小柳勇君 総理府に質問いたします。あのハイジャックが起こりましたあと、八月の段階各省庁の関係者が集まってハイジャック防止対策を立てておられますが、その対策要綱の実施状況及び特に来年度予算の要求の時期でありますが、特別にこういう点に力を入れようという点がありましたら御説明を願います。
  66. 加山文男

    説明員(加山文男君) 御説明いたします。  お手元にハイジャック等の防止対策要綱がお配りしてございますので、それをごらんいただきたいと思います。この事案終了後に、一応今後の問題といたしまして関係省庁でハイジャック等の防止対策を進めるべきであるということで、警察庁、法務省、大蔵省、運輸省、総理府等が中心となりましてハイジャック等の防止対策の連絡会議を開催したわけでございますが、八月中に幹事会なりその総会をやりまして、お手元に配っております八月二十九日にその対策要綱を一応決定したということになっております。  で、言うまでもなく、ハイジャック等の防止をするということにつきましては、何よりも第一に掲げてございます安全検査というものを強化するということがきわめて重要でございますので、この項を第一といたしまして以下、空港諸施設における警備体制、これを全面的に洗い直す。それから出入国業務に関する対策についても検討をする。それから先ほど来お話が出ております情報の収集、連絡体制の強化の問題それから国際協力の推進というような、大体六項目ぐらいに分けて対策を検討したわけでございます。  そのまず第一の、安全検査の強化でございますが、ハイジャックを防止するという観点から、一番安全検査の対象になりますものは、言うまでもなく持ち込み手荷でございます。これは機内に持ち込むところの手荷物、これを検査する、それからボディチェックを徹底するということになろうかと思っております。そこで持ち込み手荷物の制限ということにつきましては、旅客一人当たり一個の制限というものを厳格に励行させていく、それからチェックを厳重にしていくということにつきましては、これは要綱ができる以前から航空三社等を集めまして、そのような方向で指導し、実施中でございます。なお、ボディチェック、あるいは持ち込み手荷物の二重チェックということがそこに書いてございますが、この問題につきましては、国際線の日航につきまして八月十日以降ダブルチェックを実施しておるというような状況でございます。  それから検査機器等の早期整備及び充実という項目の中にエックス線透視検査装置の設置、新型金属探知器の整備等々が書いてございますが、これがまさに、この安全検査で、これは世界的にもそういう状況でございますが、なかなか機器を導入して検査をするということについて、世界各国は模索中でございますけれども、幸いにもこのエックスレイの関係につきましては、わが国でエックス線を三方から当てて立体的に中の品物を発見するという機器をくふういたしまして、このエックス線あるいは新型金属探知器並びにそれに伴う検査業務の充実という予算につきましては、できる限り、四十九年度予算を待たないでできるだけ検討していきたい、こういう方向で現在大蔵当局と折衝中でございます。  それから運送約款の一部改正の問題でございますが、この問題につきましては、九月中までに関係省庁と相集まりまして詰めていきたい、こういうように考えております。  それから外国空港における日航独自の検査の検討、国内空港における外国航空会社の検査の実施、この問題につきましては、そのつど、あるいはその情報があるつど、現に実施さしております。  それから六番目の、空港売店における購入物品の機内持ち込み制限についての検討あるいはローカル線における座席指定制の検討、この問題につきましては、いろいろ問題点がございますので、今後検討を進めるという段階でございます。  以上が問題になります機内持ち込み手荷物の検査の問題でございます。  それから二番目に、受託手荷物検査の徹底でございます。この受託手荷物の問題は、直ちにハイジャッカーに結びつくかどうか、いろいろ問題があろうかと思いますが、ハイジャックのみならず、機内に爆発物等を受託手荷物に託しまして、今後航空機爆発というような犯罪も予測されますので、やはり機内持ち込み手荷物と同様に、私どもとしましては検査を厳重にしていくべきである。開披点検の励行につきましては、事件発生直後から不審なものについては開披点検を励行さしていくということについて、現在実施中でございます。  それから受託手荷物についてエックスレイを入れるかどうかにつきましてはこれはカウンターチェックの場所等の問題もございますので、それとのからみにおいて検討をしていくということを考えております。  それから三番目の搭乗手続の繰り上げ実施、これにつきましては現実に実施しております。  それから搭乗手続カウンターの拡張の件、これは検討段階で、そこに書いてある問題を鋭意検討していくと、こういうことでございます。  それから旅客及び受託手荷物の符合措置の検討、これはどういうことかと申しますと、受託手荷物に爆発物等をしかけたものを旅客が乗り込まないで手荷物だけ預けるというような、御承知だと思いますが、タイ航空機の爆破事件等に見られるような状況が今後予測されますので、不審な情報があった場合等につきましては、そのつど搭乗ステップのところで旅客とそれから受託手荷物を符合して、合わないものについては荷物を運ばない、こういう措置を検討する、こういう内容でございます。  それから到着手荷物に対する監視の強化ということでございますが、これは言うまでもないことの列記がされておるようでございますが、やはりこれはロッド空港の反省から、ターンテーブル周辺で荷物を受けて、それを開披して、中から機関銃を取り出して乱射したというふうなこともございますので、そういう犯罪を予防する意味において、一そう監視強化を徹底していくということで、以下これは実施中でございます。  それから四番目の、安全検査に対する啓発活動の推進ということでございますが、やはりこの安全検査に対しましては、乗客の皆さん方にそういう意味で、いろいろな御迷惑をおかけするということがございますので、ひとつこういう問題について御協力をいただくという観点から、広報活動あるいは協力呼びかけを徹底してこの際進めていきたい、こういう項目でございます。現にテレビ、ラジオ等あるいは雑誌あるいはタイムテーブル等の安全検査に対する記事の掲載等につきましては検討中あるいは実施しておるものもございます。これの基本的な姿勢といたしましては、直ちに法律改正というようなことも含めまして検討はいたしますけれども、やはり空の安全、それから機体の安全というものは安全検査を経るということが、自分だけが犠牲になるのではなくして、自分も検査を受けるし、ほかの人も検査を受けてもらって、そして安全な飛行を約束されるというような、気持ちの意識というものをこの際変えていただきたいというようなことを力点にいたしまして、広報活動を展開していきたい、こういうふうに考えております。  それから第二番目の空港諸施設における警備体制の強化の問題、これはそこに幾つか列記してございますように、監視用テレビ、あるいは分離さくの整備、ボーディングブリッジの整備、それから警務消防業務の充実、これは人件費の問題でございますが、これらの諸点につきましては、ある場合には空港ビル、あるいはエアライン負担によって整備を進めてきておりますけれども、これは運輸省当局の御指導によってなお一そうの整備をはかっていきたい、こういうことを考えております。  それから三番目の、出入国業務に対する対策の推進の問題でございますが、新旅券の発給の問題は、現に来年の一月一日から実施予定でございます。それから虚偽申請、二重申請防止策の検討で大型のコンピューターの導入につとめるという問題あるいは旅券の変改造鑑識機器の整備の問題あるいは日本人の出帰国記録の整備の問題等につきましては、四十九年度予算において計上し、お願いをしていきたい、こういうように考えております。  それから情報収集及び連絡体制の強化の問題、この点につきましてはICPOによる情報交換の推進、あるいは在外公館の拡充、それから外務本省と在外公館との通信連絡体制の整備、この点につきましては、先ほど外務省のほうからお話がございましたように、四十九年度以降で予算措置を検討していくというように考えております。  それから国際協力の一そうの推進の問題につきましては、これは以下そのとおりでございますが、問題になりますモントリオール条約への加入の促進の点につきましては、できるだけ早急に関連国内法を整備いたしまして、できれば次の通常国会等で必要な手続がとれるよう検討を急がしておるという段階でございます。それから外国空港における手荷物の検査あるいはボディチェックの強化依頼につきましては、先ほど外務御当局から簡単に御説明があったとおりでございます。  それから航空券発売等に関しまして身元確認の強化をする。従来は氏名と連絡場所、しかもたいした確認もないままに発売されておったこれらの問題につきましては、アプリケ−ションカードを通じまして、こういう事項を確認していくということで、何とか事前予防あるいは事後捜査のそういう資料としていきたい、このように考えております。  なお、ハイジャック等が発生時におきまして、発生したときにどこに合同対策本部を置くかという問題がございますが、これらの点につきましても、あらかじめ合同対策本部の設置をきめておきたい、こういう内容が盛られておるわけでございます。  きわめてこまかいことも入っておりますけれども、ハイジャック等の防止につきましては、一つの対策でハイジャックが防止できるものではございませんので、これらの各諸点をそれぞれの行政庁で十二分に詰める、あるいは関係機関の協力も得て、これらの対策を積み重ねて推進していくということが何よりのハイジャック対策ではないかというように私どもは考えておる次第でございます。
  67. 小柳勇

    ○小柳勇君 いまの中で二点質問いたします。  一つは、身体検査をわれわれも空港でやられます。それで警備員か——警察官じゃありません。警備員が荷物をあけて検査していいですかと言うから、いやだと言っても検査するでしょうと言ったら、笑って検査しておりますが、この身体検査をやるときの法的根拠は何ですか、それが一つ
  68. 加山文男

    説明員(加山文男君) 身体検査につきまして、先生のお尋ねは身体検査ということでございますか。
  69. 小柳勇

    ○小柳勇君 手荷物も……。
  70. 加山文男

    説明員(加山文男君) 手荷物検査も含めましてお答えいたしますが、現在のところは、航空法の八十条でございましたか、概括規定がございますが、そのほかは国内法あるいは国際航空の約款に基づいておりますけれども、必ずしもこれが十〇でないというところから、約款の点を検討していきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  71. 小柳勇

    ○小柳勇君 航空法に検査してよろしいということは書いてないでしょう。それから約款にも、ずっと国際約款も国内約款も見ますけれども、持ち込み禁止品とは書いてありますけれども、身体検査をしてよろしいとか、それから所持品検査をしてよろしいという法律はないわけです。
  72. 寺井久美

    政府委員(寺井久美君) ただいま先生の御指摘のように、航空法では身体検査をしていいという根拠はございません。危険物とか銃砲刀剣類、そういうものは持ち込んではいけないということはございますが、検査をしてよいということはございません。したがいまして、先生御質問のボディチェックの根拠というものは、運送約款に基づくよりいまのところしかたがない。しかしながら、運送約款そのものもボディチェックについては必ずしも明確でございません。そういう事情がございますので、運送約款の改定をいたしまして、乗客の合意の上でできるようなかっこう、もしどうしてもボディチェックを拒否されるような場合の処置のしかた等を約款上で処理したいというふうに考えて目下検討中でございます。
  73. 小柳勇

    ○小柳勇君 いま総理府から話がありましたように、第一番のハイジャック防止のきめ手は、身体検査である、あるいはエックス線を使って持ちものを検査したり、いまでもポケットを当たるところがありますよ。これは明らかに身体検査ですね。したがって、いま約款をどういうふうに改正しようとしておられるか、約款でそのことが書けるのかどうか、どういうふうな素案を持っておられますか。
  74. 寺井久美

    政府委員(寺井久美君) 直接的に身体検査という表現はおそらく使えないと考えております。やはりあくまでこれは所持品の検査でございまして、それが手荷物という形の所持品であろうと、洋服の中に入っている所持品であろうと、所持品の検査という観点からこれは考えていかなければならない。ただ法律的にいろいろ問題がございますので、関係省庁ともこの問題を詰めております。
  75. 小柳勇

    ○小柳勇君 いま飛行場で警察官でない人が、全日空や日航の職員あるいは雇い員の人が検査をやっていますね。あれはどういうこと、何か各省の指令か何かいっていますか。
  76. 寺井久美

    政府委員(寺井久美君) 現在行なっております検査その他は全部本人の同意を得て行なっているわけでございます。
  77. 小柳勇

    ○小柳勇君 そうしますと、たとえばお客さん同士でも安心するためにやるんだから、そういうお客さんの意思で、それをお客さんがやるのはめんどうくさいから、会社の社員がやってくれと、こういうことですね。何か法的な根拠——いま法的な根拠はないのだから、約款だけでできるのかな。警察庁はどういうふうに考えておりますか。
  78. 山田英雄

    説明員(山田英雄君) ただいま運輸省から御答弁ありましたように、手荷物のチェックにつきましては、やはり運送約款に基づく契約内容——危険物品を荷物の中に搬入しないという契約条項を順守させる、その契約条項順守のチェックという意味で、やはり航空会社の自主的な警戒措置で行なわれるよりほかに道がないのじゃないかと思います。ただ、何ぶんにもハイジャック防止という目的があるわけでございますので、私ども警察といたしましても、その自主的な警戒措置、チェック体制に全面的に御協力しておるわけですが、警察としましては、警察官職務執行法の二条に職務質問の規定がございますが、不審な挙動あるいは荷物について不審な点がありますれば、警察官といたしましても、職務質問の権限発動によって、いろいろお尋ねしたり、荷物の開披を求めたりしているわけでございます。しかし、これにつきましても強力な説得、それに基づく同意というのが最後の条件でございますので、現行法で警察官が直接開披するという権限はないわけでございます。資料で御提出いたしました危険物の発見状況といいますのは、いま申し上げましたようなプロセスで警察官の職務質問、現在国内六十空港で一日七百件ぐらい職務質問をやっておりますが、そうした職務質問の過程で発見されたものという趣旨に御理解いただきたいと思います。
  79. 小柳勇

    ○小柳勇君 第二点はモントリオール条約の加入条件、加入しなきゃならぬということは認めておられるようだから、次の通常国会ででもこれに加入できるように、批准できるように国内法の改正をしたいとおっしゃっていますが、これは運輸省から聞きましょうか。
  80. 寺井久美

    政府委員(寺井久美君) 条約を批准いたします際には、既存の国内法との関係に差違が生じます場合には、所要の国内法の整備を行なう必要がございまして、モントリオール条約では、航空機に対する犯罪に関する締約国の義務が非常に広範囲に規定されている点がございまして、たとえば外国人が外国で犯した犯罪についても、その外国人が日本におりますと日本が処罰しなければならないというような規定がございまして、現在のわが国の刑罰法規におきましては、処罰できないような行為も特別な犯罪の対象とされております。したがいまして、この条約を批准するためには新たに国内法を整備していかなければならない。現在モントリオール条約の批准に関しましては、これらの問題点につきまして、所要の国内法の整備をはかるために関係各省検討を行なっている段階でございます。
  81. 小柳勇

    ○小柳勇君 具体的に少し聞きたいけれども、もう少し勉強してもらって、そして具体的に説明してください。  それから警察庁に。資料によりますと外務省の在外公館に出向しておられるのは一等書記官が十名ですね。これではとてもこの対策要綱には合致しないと思うのですね。このほかの仕事がたくさんありましょうから、一等書記官の仕事はほかにもありましょうし……。特別に中近東に専用回線を使って、そして外務省なりに警察庁から出向させるというような具体的な構想があればお聞かせ願いたいと思います。
  82. 山田英雄

    説明員(山田英雄君) この資料でごらんのように、中近東地域には確かに警察からの出向者はいないわけでございますが、この点について、さらに増強をするかどうかいろいろ問題点もございますので、ただいま検討中でございます。
  83. 小柳勇

    ○小柳勇君 外務省に質問いたします。リビアのほうで、条約を批准してないんだから、私のほうは自分のほうで逮捕した犯人だから裁判いたしますと言っているんですが、批准していない国に対しては外交折衝以外ありませんね。したがって外交折衝で犯人を日本に連れてくるというようなことについては、今後も交渉されるわけですか。
  84. 田中秀穂

    政府委員田中秀穂君) リビア政府に対しましては、外交文書をもちまして、東京条約に基づく情報の提供方とあわせまして、わが政府の基本的立場といたしましては、裁判が行なわれない場合ないしは裁判の結果に不十分な場合、犯人の引き渡しを要請する立場にある。基本的立場にあるということを通報いたしております。したがいまして、現在先方の明言いたしております調査中、追って公正な裁判が行なわれるであろうということばを信じまして、先方の主権を尊重して、その扱いにゆだねております。その結果によりましては、検討いたしまして、しかるべき外交折衝ということも考え得ると思います。
  85. 小柳勇

    ○小柳勇君 最後に運輸大臣質問いたしますが、この間のハイジャックは、パリで日航が十分な身体検査をフランスの官憲に依頼してなかったと、逆にあまり身体検査をしないような、そういう風潮であったと、それが大きな原因ではないかといわれています。民間航空ですから、外国の警察官あるいは軍隊などに身体検査など依頼するわけにまいらぬでしょうが、また身体検査要員を世界各国に配置するのはなかなかたいへんな人件費が必要であろうと思うし、技術的にもなかなかたいへんだと思うが、ハイジャック防止のために、運輸大臣として民間航空を指導しながら、今後どういう対策を立てようとされるか、どういう決意であるか、お聞きしたいと思います。
  86. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 先般のハイジャックの事件で、いまお述べになったパリとかアムステルダムの空港の警備といいますか、手荷物、それから人体についての検査、それについて、いかにも何か一部で、日航がそんなことをしなくてもいいのだというようなことを話したとかいうようなことが報道されましたが、そういう事実はないんです。調べましたがありません。結局なぜかといいますと、北回りの航空路、これにはいままでハイジャックの事件が起こったことがないというようなことで、国によっては違いますけれども、大体空港の管理当局あるいは当該国の警察がそういった問題についての警備に当たっているのが例でございますが、両空港とも全然放任されておったわけじゃないので、これは警察官も、乗客が乗りますときに立ち会って見ておった、十分監視をしておったということでございます。ただ乗客の全部の荷物について検査したかどうかということになりますと、あと報告ですが、たまたまアムステルダムの空港では抜き検査のようにしまして、全便じゃなく、空港当局がある便について抜き打ち的に検査を行なっておったというような状況あとでわかったのでございます。  これは言うまでもないですが、そういう多少の検査の抜けておったところに乗ぜられたというふうに考えられるものですから、さっそく日本の航空会社に対しましては、厳重にすぐに注意いたしまして、国内においてはもちろんのことです。先ほど来関係当局からお答えになりましたような対策をとっておりまして、さっき総理府から述べられましたようなハイジャック防止対策の要綱というのができておりますが、この内容で、運輸省に関係のあるものは、もう大体実行しております。それからただ機械類ですね。エックスレーでございますとか、あるいはいまもあるのですけれども、もっと高度の金属探知器というようなのが、まだ機械類が十分にできないものですから、ことしの暮れぐらいまでには空港に行き渡るように整備をしたいというので、もう発注済みでございまして、でき次第どんどんつけていくという進行状況でございます。  国内においてはそうやっておるのですが、国際的にも、こういう事件が起こったものですから、さっそくカナダかなんかで、これはIATAの会議がございました。日航の社長をさっそく出しまして、関係各国の、つまり航空会社の集まりですから、それから各国の政府に要請をして、こういったことがもう起こらないようにお互いに協力したいということを強く申し入れをさしたのでございます。外務省を通じまして、現在もICAOの会議が行なわれておりますが、おっしゃるように、条約を批准した国もあるし批准しない国もあって、ハイジャック問題に対応する各国の姿勢というのは、法律的に見ると多少違う点があるわけです。しかし、それにもかかわらず、とにかくその条約を批准するしないにかかわらず、これは人道上の問題でございますから、そういうことで、各国政府に対しましても強く訴えまして、少なくともこういった問題の再発を防止するために、お互いに協力をしたいということで、いま外務省を通じましても、また私どものほうの関係機関を通じましても、そういう方向でいま努力をしているということでございます。私どもとしましては、ああいう事件が起こらないように、少なくともジェット機の発着するような国内の空港では完全にやりたいということで、いま非常に督促をし、督励をして急がしている状況でございます。
  87. 小柳勇

    ○小柳勇君 最後です。  加山参事官にこれはお願いですから答弁要りませんが、これは総務長官にお帰りになったら、これだけのりっぱなものができたんだから、これ、予算がきまったころもう一回ここでちゃんとチェックして、そしてハイジャックはもう起こりませんように、特に日本の飛行機ではそういうのが起こりませんように、この対策をわれわれも考えたいと思いますから、これが完全に実施されますように、そういうひとつ万全の対策を立ててもらいますようにお伝えください。  以上で質問を終わります。
  88. 長田裕二

    委員長長田裕二君) ほかに御発言もなければ、午後一時四十分まで休憩いたします。    午後零時四十一分休憩      —————・—————    午後一時四十六分開会
  89. 長田裕二

    委員長長田裕二君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案について質疑を行ないます。順次発言を許します。
  90. 森中守義

    ○森中守義君 金子委員長、たいへん御多用の中を恐縮でございます。  一昨日、大臣報告書が提出されたようですが、大臣はこれを受領されて、了承されたという趣のようでございます。大臣の御所見も承らなければなりませんが、少しこの内容について委員長にお尋ねしたいと思う。  四十五年それから四十六年の監査報告では、委員会が固有の所見を表明されて、国あるいは国鉄に一定の提言をされている、問題提起されている。私の見落としかわかりませんが、ことしの四十七年の場合には、こういう内容がどこにもないように思うんです。したがって、たいへん御苦労なさったことに対して敬意は表しますけれども、従前の監査報告の姿勢からしますと、そういう具体的なこれから先の固有の所見の表明がないということは、これで満ち足りた状態にあるという意味であるのか、あるいは委員会それ自体が多少監査の姿勢として後退をしたという意味になるのか、この辺の重要な点がどうもやっぱり気にかかる。どういうことでございましょうか。
  91. 金子佐一郎

    説明員金子佐一郎君) お答えを申し上げたいと存じます。  私どもがこの四十七年度の監査をするにあたりまして、いま先生のおっしゃいましたような監査につきましては、何らその点の気持ちにおきましては変わったことはございません。やはり四十七年度に対しましては、あくまでも従来の私どもの監査の方針を立てまして、それに基づいて監査をいたしたことは事実でございます。  ただ、問題になりますのは、私どもの監査委員会といたしましては、あくまでも要点といたしましては、安全性の問題とかあるいは職員管理の問題だとかあるいは新再建計画に対する要望というようなことに重点を置いたことは事実でございます。  私どもは、国鉄自身については一兆円をこえる赤字をかかえましたので、これに対して何らかの打開策というものに前向きで意欲的に取っ組むべきことを示唆いたしたいのでございます。ただ、まことにこの点はいろいろの事情はございますけれども、運賃法あるいは財政再建特別措置法というものが御審議中でありまして、これに基づいて一つの大きな再建の柱が立っておりますれば、これに基づきますいろいろの私どもの所見も述べ、また前向きの意見も私は述べられたと思うのでございますが、いろいろの意味において、御審議中である限りにおきましては、この四十七年度間におきまして国鉄が実際行ないました、あるいは安全性においてもいろいろ事件も起こりましたので、これらを基盤といたしまして問題を取り上げまして、監査委員会の立場においてこれを述べたのでございます。その点は、むしろ私どもが後退いたしました気持ちはさらさらございませんけれども、意欲的に前向きにというようなことにつきます一つの基本的なものがおきめいただけないというところに、非常に私自身も悩んだ問題点であると存ずる次第でございます。  一応、お答えいたします。
  92. 森中守義

    ○森中守義君 実は、目下審議中の二案ですね、この審議内容にこの監査報告がきわめて重要な役割りを果たすことに私はなろうかと思います。  それで、いま委員長の御意見ですけれども、なるほど報告書の中身の相当部分に将来の展望等が盛られている事実は随所に散見されます。けれども監査報告ということになりますると、四十七年度単年の状態をどう見たのか、いわば過去に対する一つのけじめであって、将来展望ということにはならない。ところが在来の形式からまいりますると、四十六年並びに四十五年等は一定の将来のビジョンをこの中に与えられておる。それがないということはいささか形態からしても監査委員会の姿勢が少しく問題でないのか、こういうように私は思うわけであります。  そこで、少し内容をお尋ねしてまいりまするが、各単年ごとの監査方針というのは、監査に着手される当初に一定の方針が出されるのは当然だと思います。ことしももちろんこの中に出されております。ただ出されている内容について、どうもこういったような監査方針で今日の国鉄を見るということは少なくとも現状認識において当を得ているかどうか、こういう疑問を私は持つんであります。  つまり前段のはしがきの中にいわれていること、それから方針の中で述べられている内容を見ますると、まず安全の確保、それから職員管理のあり方、大体この二点が重点監査目標になっているんですね。ところが国鉄の現状というのは安全の確保と職員管理のあり方、この二点を重点にすべき現状であるかどうか、私はこの点では監査方針それ自体にきわめて関心を払わざるを得ない。監査それ自体の方針に欠陥があるんじゃないか、たいへん言い方は適当でございませんけれども、率直に言わしてもらえば、そういう気がする。  なぜかと申しますと、今日の国鉄状態からいきますと、一つには、なぜ先般二法案が不成立に終わったかという、この辺のとらえ方を監査委員会としてはどういったようにお詰めになったのか。このことには全然触れないで、ただ再建法だ運賃法だ、一にも二にもこれが仕上がらなければどうにもならぬという、これだけの表現しかないのですね。ところが、その前段には、国民的な立場において監査に当たった、こういわれる。ここに私はかなりロジックに矛盾があるように思う。  であるとするならば、まず、やっぱり運賃改定の基本的な問題あるいは再建計画をあえて実行しなければならぬという根本的な問題この辺にいま少し重点が置かれてもよかったのではないか。きわめて平板に見ておられますね。一兆数千億の赤字が予測される、これではどうにもならぬから改定だ再建計画だ、このいわれ方はいい。しかし昨年来両院の委員会あるいはその他の機関あるいは場所で運賃改定の是非をめぐり、再建計画の是非をめぐってかなり真剣な議論がかわされている。したがって、そういうことは委員会のほうでも逐一把握されておいででございましょうから、さてそういうものが監査にあたって一つの重点項目にあげられてもよかったのではないかというように思うんであります。  それと、この中でもいわれておりますし、あとでまた逐次お尋ねしますが、総合交通体系の中における国鉄の位置づけとは一体何なのか、今日の社会において国鉄はどういう価値を持つのか、この辺のことが総合交通体系全体の視点からもう一回監査委員会としては見直す必要があったのではないかということが一つであります。  それと、しばしば問題になってきましたが、社会経済の新しい基本計画再建計画及び運賃問題はどういうかね合いを持つのか。これは二案の一つのポイントになる。残念ながらこの基本計画等については、そのかね合いについては、全然論議をされていない。ことに先般における物価問題懇談会等の答申もありますね。この中に公共料金はどうあるべきかという一つの提言がある。その内容を是認するかどうするかという問題は別ですけれども、そういう角度から、運賃改定は、いわゆる監査委員会固有の所見として一つの問題提起がされてもよかったのではないか、こういうようにも私は思うのです。  ところが、さっき申し上げましたように、監査方針の重点は安全の確保、職員管理のあり方で、その視点が国鉄の現状認識に必ずしも焦点が合っていない、こう私は考える。したがって、方針を決定される経過にはいろいろな議論があったと思う。よろしければ、そういう議論の経過、重点決定の真意というものを少しくお述べをいただきたいと思います。
  93. 金子佐一郎

    説明員金子佐一郎君) ただいま先生のおっしゃいました点につきまして、監査委員会といたしましても、その問題については考慮いたしたことは事実でございます。  ただ、この問題につきましては、監査委員会の性格からいたしますというと、監査委員会は、本来の監査という点につきましては、国鉄執行部がなされました一つの事績に対しまして、われわれはこれに対してできる限り調査し、その妥当性あるいは今後改善すべきことがあるかどうか、こういうような点に私どもは重点を置かざるを得なかったのでございます。  ただいま仰せのごとく、国鉄が財政上一兆円をこえるような累積赤字を持ち、この期間におきましても三千四百十五億というような赤字も出しております。こういうようなことによって、結果的には、運賃法あるいは財政再建特別措置法の改正というようなものを御審議願っておるという状態、これを私どもといたしまして前向きで議論をいたしましても、すでに国会においていろいろ御審議をちょうだいいたしておるということを含んでいる以上、監査委員会というものがその域を脱して、それに議論を差しはさむということはいかがかということを私どもは考えたのでございます。それが間違っておりますれば、まことに私どもとして不敏の至りと思うのでございます。  そのような観点からいたしまして、いかにして十カ年の間に国鉄再建できて、経営といたしましては黒字に転換できるかということにつきましては、私どもも非常に関心を持っております。それには国鉄の最大の努力を必要とする、また職員管理の強化というものを考えなければならないというように実は思いましたために、特にそこに重点を置いたような次第でございます。したがって、いま仰せのようなことについて、運賃の改定が是か非か、これらに対して深入りして私どもが議論をいたすということは、やや、監査という、過去の問題についてわれわれが監査する、そこにおいてまた前向きの意見も述べるという点から申しまして、慎重にしなければならないと考えたからであろう、私自身はそのように思うのでございます。  なお、今後の交通の総合体系に対しましても、私どもは国鉄の地位というものはやはり非常に重要なまだ役割りを持っておると存ずるわけでございます。自動車等と相当強く競合をいたしておるのでございますが、これは道路の関係あるいは燃料、公害等の関係から見まして、長距離を短時間で公害を少なくして運ぶということになりますと、やはり国鉄の持つ使命というものは非常に重要であるということで、これらの問題についてわれわれは鉄道の重要性を考え、将来の国鉄の——若干、新幹線その他を通じまして、あり方について触れたのもそのためでございます。  ただ、いま先生が基本的の問題と仰せになります問題は監査委員会のむしろ外において御審議を願っておるということで、私どもはこれに対してあまり僭越になるような意見を強く申し述べることを差し控えたということにつきましては、事実でございます。この点ぜひ御了承を賜わりたいと思います。
  94. 森中守義

    ○森中守義君 これは国会がちょうだいするものでございませんので、大臣がけっこうですということのようですから、その辺のことは別なものとしましても、過去には、やはりかなりきびしい姿勢で監査に当たられた。それで政府あるいは国鉄に対して、かくあるべきだという一つ方針がいろんな形で出ているんですね。今度はない。ないということは、現状すべてよしということであるのか、むろん内容を見ますると、そうじゃない。けれども、さっき申し上げたような項目というものは、監査委員会という立場からやっぱり重点的に一度掘り下げる必要があったんじゃないだろうか、どちらかといいますと、きわめて平板である。   〔委員長退席、理事江藤智君着席〕  しかも、もっと言わしていただくならば、まさに国鉄の援護である、あるいは政府に対し在来よりも助成がふえたので感謝すべきであるというような、何か監査の姿勢として必ずしも私どもは釈然とできるものじゃない。まあそれも国民的な立場からということで胸を張っておられますから、それならそれのように、もう少し客観的に第三者の立場から監査委員会の性格をいま少し強く強調した姿勢が必要じゃなかったかというように私は感ずるんであります。  それと、随所に、二案が昨年未成立に終わった、廃案に追い込まれた、そのことが非常に甚大な影響を与えたといういい方、まあ表現は多少変わった表現ですけれども、私が受け取る感じとしては、そういうおつもりじゃないでしょうけれども、どうもこれは見よう受け取りようによっては、国会審議への介入ではないのかあるいは非難ではないのかというような、そういう受け取り方ができないでもない。あまりにも執拗にそのことを強調されている、そういう気がしてならない。むろん期待であり希望であるということで結んでありますからね、あえて私は、審議権への介入であるとか、あるいは国会への非難とかあるいは圧力とか、そういうようには受け取りたくはございませんけれども、見ようではそういうようにとれる。あと肝心なことはいわないで、そこだけがあまりにも強調され過ぎているもんですから、まず姿勢の問題といたしまして承ったわけです。  それと、大臣国鉄総裁は、この監査報告を受け取られまして、何か特別の感想でもございますか。むしろ全く国鉄の援護であり政府への鞭撻のようですから、特段の意見もないと思いますけれども、この際、受け取られてまだ日も浅いことですが、これから内容に入っていくに従って二案との関係が非常に密接ですから、どういう感じでこれを受け取っておられるのか、そのことが内容をお尋ねしていく際の分かれ道にもなりますので、ひとつ両責任者からそれぞれ感想をお述べいただきたい。
  95. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) いまお話しのように、監査報告を受け取ってからまだあまり日がございません。したがって詳細にわたってこれを精読して一つ一つ考えるという時間的余裕は実はないんですが、ただ、私もこれを受け取りまして、さっそく大事だと思われる主要な点については読みまして、また自分ながらに考えもしておることは事実です。  これは監査委員会委員長からの御報告もありましたが、監査委員会としては国鉄の四十七年度における業務を全般的に精査されましてね、監査という字であらわしておりますが、十分に精査をされて、いろんな数字もあげておられますし、それからある意味においては運輸省も考えておるようなことについての項目につきまして、いろいろ実情を述べておられるわけでありますが、われわれもこの監査報告を見て、国鉄の実情が非常にはっきりしたという点もございます。さらに、私が一番この監査報告を精読してなるほどこういったことを考えなきゃならぬなと思ったことは、一六ページにありますが「新再建対策への要望」というところです。これはいままで私どもが両院で御説明をしてきた点と符合する点もありますし、さらに将来にわたってこういう政策を実行するについて、運輸省として特に考慮すべき問題についていろいろの示唆を与えておられるようにこれを読んだのでありまして、私は全般について運輸省のいままでやってきましたのと必ずしも詳細にわたって合致しているとは思いませんが、監査委員会がこういう見方をしておられるんだなということがわかりまして、こういった点については、今後、再建対策を実行いたしていきます上において運輸省としても十分意をとめて考えもし、また配慮もしていかなきゃならぬというふうな点が相当多かったという感じがするわけでございます。  あなたがおっしゃったように、この監査委員会というようなものが生まれるまでには——昭和三十年ごろだと思いますが、以来、いろいろの国鉄をめぐっての機構の改革といいますか、制度上の改革が何べんか行なわれたと思います。でそのたびに各機関が法律の定めるところによりまして、それぞれ、あるいは内容調査をされたり、あるいは将来の国鉄に関する政策につきまして意見を出したりされたことも事実でございます。で、私は、そういった過去の経過もございますので、できるだけいまの監査報告を拝見するについて、そういったものと照合しながら多少の勉強をしたわけでございますけれども、いまの監査委員会に与えられておる日本国有鉄道法の十四条、十五条に書いてありますような職務権限からいたしますと、じみではありますけれども、非常に内容的によく精査していただいて、われわれに対する示唆も十分に考えていただいているというふうに私はとっているわけです。特にこの監査報告に「新再建対策への要望」という点があります、こういったものは国民的な要望の一つとしまして十分に尊重するように努力をしたい、こういうふうに思っております。
  96. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 私は、このたび四十七年度の監査報告書をいただきまして、主として昭和四十四年度以降の監査報告書を全部ひっくり返して見ました。特に各年度ごとに初めのほうに十数ページずつ費やしまして、大体の考え方その他がはっきりされておるわけでます。それらの点につきまして、時系列的に一つ国鉄の動きというものをこの中から見、第三者から見られた国鉄の動きというものをよく見てきたわけでございます。四十三年度以前のことは一応別にいたしまして、四十四年度すなわち現在の再建計画を始めましてからの四十四、四十五、四十六、四十七と四年間にわたる監査報告書の一つの一貫された考え方、並びに各年度によって相当それがモディファイされておるということを率直に感じております。要するに、私どもといたしましては、単に四十七年度だけの監査報告書でなくて、やはり四十四年度以降の時系列から見た監査委員会監査報告というものを私は関知しなければならないというふうに考えたわけでございます。  以下、それについて簡単に申し上げますと、四十四年度、これは現在の再建計画が一応国会で御承認になりましてスタートした年でございます。したがって四十四年度のころには、現在きまった再建計画をひとつきちっとやれ、しかし非常にいろいろ問題がある、はたしてこれでやれるかどうかむずかしい、というふうな点も散見されます。  しかし、それが四十五年度になりますと非常に変わってまいりまして、四十四年度に実際やってみたけれども非常にむずかしいと、実績が。特に四十五年度は万博という収入面から見ますと非常に期待できる要素があった。四百数十億の増収があったにかかわらずやはり経営状態が悪いというふうな角度から、率直に申しまして、国に対する要望ということをはっきり掲げておられます。それで先般来当委員会におきましても非常に議論されました、国鉄に対して国が援助をするならばはっきり理由を明示して、この点がこうだ、この点がこうだということを明示した上で援助すべきであるという意味で、再建計画に盛られた利子補給の問題でなくて、たとえば赤字線の問題あるいは若干運賃制度の問題、その他国鉄のいろいろな制約の排除の問題について、相当詳しく具体的に国に要望をされております。これはこの四年間の中で非常に特筆すべき——そういう批判を申し上げては恐縮でございますが、私が見ますと非常にそういうほかと違った主張がされ、さらにその結論として、やはり国鉄自身の企業努力それから政府の援助と国民協力、この三つの柱以外には方法はないということでもって結んでおられるようでございます。  四十六年度の分につきましては、これは御承知のとおり、いわゆる総合交通体系の議論が非常に出た年でございます。財政問題を解決するためには、その前提として総合交通体系の問題を解決しない限り、本質的な財政問題の解明あるいは国鉄再建問題は論じられないだろうというふうな、非常に違った交通政策的な角度から四十六年度の監査はやっておられるようでございます。したがって総合交通体系で国鉄の一応の分担はきまったけれども、はたしてそれで一体旅客でどうだ、貨物でやっていけるかというふうな問題を非常に提起され、またことに地方閑散線の問題につきましては具体的に問題を提起され、何と申しますか、四十五年度時点では、地方閑散線についてはむしろ相当積極的にやめるような方向で考えておられたのを、四十六年度になりますと、もう少しそれが逆と申しますか、総合交通体系の上からいいましてやはり確保するものは確保しなきゃいけない、その確保すべき範囲というものが若干四十五年度のムードより四十六年度のムードのほうが広くなっているという——早く国としては基本政策を立てて、どういう地方閑散線を国鉄がやるのか、やめるのかということについて、相当はっきりといっておられるように見受けました。  それから、それに比較いたしまして四十七年度につきましては、ただいま監査委員長がおっしゃったとおりでございますが、ただ、四十六年度につきましては、そういった総合交通体系議論のために財政的には何ら伸展しなかったわけでございます。したがいまして四十六年度に初めていわゆる償却前の赤字が出た。これはいわゆる累積赤字の中でも最も悪質なと申しますか、もう企業家としては耐えられない赤字でございます。それが四十六年度に初めて三百四十八億の赤字が出た、これは償却前の赤字、すなわち収入でもって経費がまかなえないというふうな赤字でございます。それが四十六年度で出たということ。さらに四十七年度においては、先ほど先生もおっしゃいましたが、法律の不成立によりまして結果的には千数百億のやはりこれも償却前の赤字が出たという意味で、四十六年度と四十七年度は会計的に見られると非常に四十四、四十五と違っている。もういまや民間会計的に見れば四十六、四十七という両年度の決算というものは成り立っていないんだというふうな角度から、私はごらんになったんじゃないかというふうに考えるわけでございます。  したがいまして、いま監査委員長から四十七年度におきましてはいまの法律の成立を非常に望んでいるんだというお話がございましたが、それはあくまでも四十六、四十七というものは償却前赤という一般の民間では考えられないような事態になっている、これを一体どうするんだという強い、何と申しますか、批判の声がこの両年度の中、特に四十七年度の中にはある、それを早く法律の成立によって何とかしなくちゃいかぬ、こういうふうな御意向であったというふうに思います。  私が批判がましいことを申し上げるのはたいへん失礼でございますが、私といたしましては、時系列的に見まして、私が責任を持ってやってまいりましたこの四年間の再建の歩みというものは非常に険しく、きびしかった、しかも不幸にして成果をあげていなかったということに対しまして、非常に率直な反省を得たわけでございます。以上、批判がましいことを申し述べてたいへん恐縮で、重ねておわび申し上げます。私は率直にそういうふうに感じます。
  97. 森中守義

    ○森中守義君 この総説の中で「国鉄の財政は前年度より一段と悪化し、きわめて憂慮すべき状態となった。」ということで結んでおられる。同時にまた国鉄の決算の概要説明の中でこういわれているんですね、四十七年度国鉄経営成績は国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法改正案の不成立の影響もあると、強くこの辺がうたわれて、結果的に三千四百十五億の四十七年度純損失を招いた、こういわれている。ですから、この三千四百十五億の中身というものが一体どういうような要素になっているのか、これを少しく数字的に整理をしてお尋ねしてみたいと思う。  これは総裁どうなんでございましょうか、旅客の収入で九千二百十七億、六百二十一億の増収であり、七%増、これは当初予算では収入予測は旅客でどのくらい見ておられたのですか。
  98. 小林正知

    説明員小林正知君) 当初の予算といたしましては、これは初め運賃改定を四月一日から——ただいま先生お尋ねの数字につきましてちょっと年初の予算を調べますのでお待ちを願いたいと思いますが、年度の途中で予算が補正になりまして変更になっております。その数字をちょっと御参考に先に申し上げさせていただきたいと思いますが、運輸収入につきまして、旅客収入は補正後の姿において九千百億前後であります。
  99. 森中守義

    ○森中守義君 それから貨物が二千三百九十五億で百六億の減収、四%の減、こういうことですね。これはどのくらいに見ておられたのですか。
  100. 小林正知

    説明員小林正知君) 貨物は同じく運賃改定部分を除きました補正後の貨物収入の予定額といたしまして、二千四百六十五億を見込んでおります。
  101. 森中守義

    ○森中守義君 それから、いわれておる人件費の問題ですね、これはせんだって総裁から四年間で二・二%、単年に直しておおむね〇・五%ということのようですが、四十七年度において九%予算につけてあった、それがベースアップの高率化によってかなり影響を与えておる、こう言われるのですが、九%占めた予算と実際支払った金額の差はどのくらいになりますか。最初人件費は幾ら組んでおったのですか、予算額と実際額の差ですね。
  102. 小林正知

    説明員小林正知君) 四十七年度の予算におきます人件費は、いわゆる収入支出予算、国会でお認めいただいております人件費の総額といたしましては八千六百八十七億でございます。この人件費と申します場合には非常に範囲の取り方がいろいろございますが、一応国鉄の収入支出予算におきましては、ただいま申し上げました数字になっております。  それから給与の改定分といたしましては、これは前年度の場合におきましては五月から基準内給与の五%分、これが給与改善費として人件費の中に組み込んだ数字でございます。そのほかに定昇部分が二・七%、したがいまして七・七%はいわゆる給与のレベルアップの分といたしまして組み込んだ数字になっております。  それに対しまして実績でございますが、実績はこれに対応いたしますものといたしまして、先生いまお手元にお持ちの監査報告書のほう、こちらはいわゆる財務諸表のほうでとっておりますので、予算と必ずしもダイレクトに対比いたしかねますが、予算との関係におきましては実績は八千六百六十九億でございます。
  103. 森中守義

    ○森中守義君 ちょっと局長、さっきお示しになりました八千六百八十七億というのが当初予算に見てあった人件費の総額ですか、そういうふうに私は受け取っておる。  そこで私が聞いておるのは、三千四百十五億は貨物収入の減及び人件費の高騰でこういう赤字になったのだという説明が出ているものですから、要するに三千四百十五億の中身を実は知りたいんですよ。ですから、いまの御説明からいけば八千六百八十七億というものは当初予算に組んであったとするならば、それをどのくらい年間に人件費としてオーバーしたのか。当然当初払うべきものは問題ない。どのくらい上回っているのか、その数字を知りたいんですよ、意味わかりますか。
  104. 小林正知

    説明員小林正知君) ただいま先生のお尋ねでございますが、三千四百十五億と申しますのは、はなはだわかり切ったようなことを申し上げまして恐縮でございますけれども、収支の差額、要するに損益としての額でございます。  それから、悪化いたしましたのは対前年の額でございまして、四十七年度の予算におきましても当初から、これは先生いずれも御承知のことと存じますので申し上げるまでもございませんけれども、当初の予算、予定といたしまして、先ほどの収入とただいま申し上げました人件費というものを見込みまして三千六百四十四億円の赤字ということで予算も予定をしておった次第でございます。したがいまして人件費の補正のほうは、大体仲裁を受けまして、いろいろ経費の流用等のやりくりをいたしました結果、補正後の数字に経費全体としてはなっております。  それから収入のほうは、運賃の法案の関係あるいは当時見込まれました一般的な減収の関係が客貨にわたって相当程度ございましたので、そういったものを減収補正した数字になっております。初めの予算の上から申しまして、当初から三千六百億程度の赤字ということで組んだ予算でございます。ところが実際の決算といたしましては、決算の実績は損益が三千四百十五億の赤字になった、かような内容でございます。
  105. 森中守義

    ○森中守義君 ちょっと数字をですね、私もちょこちょこっと見ているものだから少し誤解があってはいけませんのでね、できますならば次回に、純損失である三千四百十五億の主要な内容を、人件費についてはこれこれオーバーしている、それから貨物収入についてはここに数字が出ておりますがね、要するに大きな影響を与えた数字というものをちょっと計数整理をして提出してくれませんか。
  106. 小林正知

    説明員小林正知君) はなはだ御質問に対して申しわけないことで恐縮でございますが、それは当初の予算とはあまり意味がないと思いますが、補正との関係でございますか。
  107. 森中守義

    ○森中守義君 いいですよ、補正後のもので。
  108. 小林正知

    説明員小林正知君) 収入、客貨別、それから経費、人件、物件とか、そういった項目別に予算との対比でございますね、承知いたしました。
  109. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) ちょっと私から申し上げますが、いま小林が申しましたとおり、国会で御承認を得ました四十七年度の補正予算そのものは赤字予算でございます。三千六百億何がしの赤字になっております。したがって対比と申しますと、結局、収入で予算に対してどうだ、支出でどうだ、こういう対比になりますものですから、結論的には二百何十億しか違ってこないわけです。すなわち四十七年度の補正予算では三千六百四十四億の赤字で国会の御承認を得ているわけです。当初予算そのものは赤字予算でございますので、今度の決算の三千四百十五億と申しますと、それと三千六百億の違いでございますから、わずか二百三十億の違いであります。  その点、新聞などでもときどき間違えられますのは、予算が収支とんとんだった、それが三千四百億悪くなった、こういうふうに表現される場合がございますが、そうでございませんで、もともと予算で三千六百億の赤字である、こういう赤字予算を国会で御承認願ったわけでございます。したがってその赤字予算に比較いたしますれば、三千四百十五億というのは二百何十億よくなっている、こういう結果になりますので、予算対比になりますと、何か現状と違うじゃないかというふうな御疑問が出るかと存じますが、あくまでも赤字予算に対して赤字決算が少しよくなったという結論になりますので、その点あらかじめ申し上げさせていただきます。財務諸表の損益計算書から申しますと三千何がしの純粋な赤字になりますけれども、予算対比で申しますと二百何十億よくなっておる、こういう結果になりますので、これは予算といわゆる財務諸表の損益計算書との食い違いがあるわけでございます。  予定の損益計算書というのはきわめてラフなもので、予算書の原案に入っておるわけです。それと比較いたしましても、予算書の損益計算書とはあまり食い違ってない、こういうことでございまして、非常におわかりにくいかと存じますが、その二種類私どもの予算でございますので、両方分けておわかりやすいようにいたします。ちょっとそういう意味で、予算予算で、予算と比較いたしますと、何だ赤字のくせによくなっているという結論をお出しせざるを得ませんので、あらかじめ申し上げさせていただきます。
  110. 森中守義

    ○森中守義君 総裁ね、その辺が実は一番見どころだと思う。ですから大体数字も手元に一応持ってはおりますから、整理だけしてもらったらいい。中一日か何日かしかありませんが、提出できますか。
  111. 小林正知

    説明員小林正知君) 間に合わせて先生のお手元へお届けいたします。
  112. 森中守義

    ○森中守義君 金子委員長にちょっとお尋ねいたしますが、たいへんこまかく逐条的で恐縮ですが、四ページでこういわれているんですね「改正法案が一日も早く成立し、これに基づき新しい再建計画が樹立されることを強く期待する。」こういわれる。  そこで、目下、監査委員会として国鉄の現状をごらんになった場合、運賃の改定並びに再建計画、この二つに依存をしなければ、他にいかなる方法もないという御判断ですか。あるいはこのことにつきまして何か議論されたことがありますか。残念ながらこの一番重要な項目では、他に方法ありというような論点からの所見というのは全然ないですね。ですから、ただ一つ再建計画並びに運賃の改定、これ以外に今日の国鉄を再生させる方法はないとお考えなのかどうなのか、この辺どうでございましょう。
  113. 金子佐一郎

    説明員金子佐一郎君) ただいまの御意見でございますが、私ども監査委員会といたしましては、経営という問題につきましては、もう今日まで、常に最大の努力は国鉄自身ができるだけこれをやるべきであるという基本の考え方は変わっておりません。やはり国鉄当局が全社あげまして国鉄の経営の改善に努力するということについては、この監査報告書におきましても、あらゆるところでこれを私どもは申しておるはずでございます。  しかしながら国鉄の今日の赤字の素因をいろいろ調べてみますと、国鉄の努力だけをいかに私どもが要請いたしましても、これで解決できるというめどを残念ながら持つことができないのでございます。そこで、これらの問題を全く抜本的に検討し、そしてこれが再建策をはかるには、どうしても大きな国としてのお力を、御協力を願わなければならない、これははなはだ遺憾なことでございますが、私どもはそのように感じておるのでございます。同時にまた、一面におきまして、この国鉄を利用される関係方面の御協力も得なければならない、またそれも一つ考え方であるというように私ども存じます。  したがって今日の国鉄再建には、国鉄の努力というものについては、これはもう基本でございますが、あわせてこの大きな赤字を払拭し、これから国鉄自身の経営を抜本的に改善するためには、再建措置に盛られておりますような政府の助成、また一部の国民の利用者の方々にも御負担願うという運賃法の改定、まことに本意というものではございません、不本意ではありますが、やむを得ない。こういうような観点に立って私どもはおるのでございます。かるがゆえに、今日御審議中のこの問題につきましても、監査委員会の立場から、ぜひ一日も早く、この国鉄再建のために、いろいろと御配慮をちょうだいいたしたいということを期待いたしておるのも事実でございます。このような気持ちでおりますことを御理解ちょうだいいたしたいと思います。
  114. 森中守義

    ○森中守義君 おことばですが、今度の報告の末尾に、「四十六年度監査報告書において改善を要するものとして指摘した事項については、随時、その措置状況を監査した。」こういうふうにお述べになっております。その中身がないんですね。ところが、一体じゃ四十六年度にこのことに関してどういう指摘があったか。これは少し拾い集めてみたものですけれども、四十六年度に国にかなり強い整理をした要望が出されている。こういうことが、どうしてこの中で画然と整理をして、さて要望したこと、指摘したことが実現がはかられたかどうかということのチェックがなぜなされなかったか、これは私はたいへん不満であり、いささか監査委員会としてのお考えに疑念を持つ。つまりこういうことなんですね。四十六年ですが、こういわれている。「国鉄財政の中に当然国が負担してしかるべきものがあるので、それを経理上明確化するとともに、今後財政措置を行なうにあたってはその理由をそれぞれ明示し、国鉄財政における国の負担を明らかにすること。」——この内容はきわめて重要なんです。さて、この要望、この指摘を受けた政府は一体どうしたのか、これが今回の現行の財政援助と、新しく案として出されているものには、やや変わったものがある。けれども、こういう一つの国が支出をすべき基準、こういうものが論理的に正確でない。ただ再建計画をやる、十カ年間十兆五千億の工事計画をやるんだ、そのためにこれだけ入れようというものであって、少なくとも監査委員会が指摘をされた画然としたものを根拠に置いたものでないですね。いや、そう言わなくても、実際は政府が出してくれているんだからあまりやかましく理詰めで言わんでもいいじゃないか、こういう意見がなるほど一部にあるかもわかりません。  しかし、実は今日の国鉄状態というものは、こういうよるべきものがきちんと整理されていない。来年度の予算編成の際に、概算要求を出した。運輸省がつけ足したとか削ったとか、最終的には大蔵省が査定をしたというようなことで、きわめて不安定なんです。ちっとも確定した要素にならない。ですから監査委員会では、少なくとも国が負担をすべき財政というものはきちんと明示しておけ、そうなれば、要求だ、査定だという因果関係というものはやや除去されてくるんじゃないか。国が国鉄に対する一つの義務が課せられている、こういう意味で、私は四十六年の指摘が行なわれていると思う。  しかし四十七年度の監査報告では、追跡調査をやったといわれるけれども、残念ながらこのことがきちんとしたものになっていないですね。しかし、いやいま提案されている再建計画からいけば、かなり金がふえましたよ、だからいいじゃないかというようなことに、実は俗論的にはなろうかと思う。しかし、これは俗論で片づけるには、国鉄の将来を考えるとそうはいきません。このことが非常に私は重要な将来の国鉄の像をつくる場合に、折り目をつける場合に問題になるかと思う。委員長はこれを昨年お出しになりながら、強く運輸大臣にこの希望表明をされて、それを受けた運輸大臣は具体的にこの処理を内閣一体のものとしてどこまで詰めていったのか、この追跡調査はどうなのか、これは一例ですけれども、いかがでございますか。
  115. 金子佐一郎

    説明員金子佐一郎君) ただいま御指摘の問題は、一昨年の監査報告書で申し上げたように記憶いたします。しかし、いずれにいたしましても、仰せのとおり、監査委員会といたしましては、その指摘いたしましたことにつきまして、まず私どもといたしましては、内容につきましては国鉄の当局においてできる限りそれを参考にして取り上げていただきたいということ、また国において関係しておりますものは、政府におかれまして、これをぜひ参考にして実施していただきたい、こういうような気持ちが私どもに強くあることは事実でございます。  したがって、私どもがこのことについて申し上げましたことそれ自体は、さらにそのとおり取り上げていただいたかいただかないか、あるいは実施されたかされないかということについてはトレースをすることについて、私は非常な関心を持っておるのでございます。したがって、もしもそれらの問題において不十分であるものは、次年度の監査報告をつくります場合において、またさらにそれを強く指摘するというようなことを考えて今日までまいっておるのでございます。いま仰せのような問題につきまして、私どもは国鉄再建について、確かにそういうものを指摘し、そして現に、それらの形が再建措置法案その他運賃法の改正等の形において、現在国会の御審議をちょうだいしておるということによって、その推移を見守り、またその成立を期待しておるということで、ここにあらためてそれを記載いたさなかったような次第でございます。その点、ぜひ御理解をちょうだいいたしたいと思います。
  116. 森中守義

    ○森中守義君 これは次回の再建法の審議の際に、一つの問題になりますので、もう少し中身をお尋ねしなきゃなりませんが、もう一つありますのは、やはり四十六年度の中で、すべからく総合交通体系というものが前提でなければならぬ。その総合交通体系を樹立をして、その中で国鉄はいかにあるべきかということを、きちんときめろと、こう指摘されている。この指摘はまことに適当だと思う。一体これがどうなったのか。なるほど総合交通体系の一つの指針的なものは確かに私ども手元にも来ておりますが、しかし、これはあくまでも観念、概念の問題であって、政策展開の問題でない。そこで政策展開に発展をしない状態で、単に概念をもって再建計画を出した、政府の措置がとられたということは、まさに論理的にも合わないですね。その辺に、再建計画を一体どういうように見るべきかという一つ問題点を私は持っている。これについてはどうお考えでしょうか。
  117. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 再建計画については、運政審においても一応の結論を得られ、その後閣僚協議会において審議をして、一応の結論を得られたということは事実であります。その再建計画の中で、総合交通体系がどういうふうに取り入れられているかということのお尋ねだと思いますけれども、この総合交通体系というものは、御承知のように、これは運輸省だけの仕事ではありませんで、政府全体の問題でございまして、その後関係省庁の間でいろいろ具体的な協議がなされ、実行できるものから逐次実行しようということで、あと政府委員から御説明をさせますけれども、そういった問題については、部分的ではありますけれども、すでに実行に移したものもあると思います。再建計画との関係につきましては、これは総合交通体系において、国鉄ほんとうに果たすべき役割りとして与えられたものについては、やはり再建計画の中において最も重点を指向した問題になっておることは、あなたも御存じのとおりでございまして、大都市における通勤通学輸送の問題をはじめといたしまして、大都市の交通問題都市間の交通問題、それから特に国鉄につきましては、財政上非常にウィークポイントであります貨物輸送の問題については、これはいまに始まった問題じゃありませんけれども、前々からそういう貨物輸送の近代化をしようということで、御承知のようにコンテナ輸送、フレートライナーというようなものについて重点を指向いたしまして、これに必要な、たとえば貨物集約駅の設置でありますとか、そういったものについての努力をしてこられたと思いますけれども、今度の再建計画の中におきましては、これは非常に重点的に考慮をしておるのでございます。  貨物輸送については、本来国鉄が担当すべきシェアを自動車のほうにどんどん奪われておるというような状況、これを挽回というとことばはおかしいですけれども、これを回復するために、具体的にどうしたらいいかというようなことで、これは再建計画の中において具体的な計画をいたしておるのでございます。  そういった点を総合的に考えますと、総合交通政策において指摘されたようなあらゆる問題が、この再建計画だけで全部できるとは思いませんが、各省庁の協力のもとに、成し得ることはすぐに取り上げまして、そして、この再建計画に盛り込んだというような努力をしておるのでございます。なお、再建計画の進行途上におきましても、いま再建計画の具体的な十カ年間の計画というものをすべて具体的に策定しておるわけではございませんから、そういう方向で、十カ年間におきましても、今後各省庁との間で連絡をし、協調をし、実行し得るものは十カ年間の中でどしどし具体的に取り上げていくというような姿勢で臨んでおることを、御承知をいただきたいのであります。
  118. 森中守義

    ○森中守義君 いまの点は大臣、ひとつ次回にもう少し基本的なものとして議論さしてもらいましょう。  それで、その前に例示した問題ですね。これについては監査委員会は国が負担すべきものは明らかに整理をして明示をせよといっておられる。これを受けて、一体運輸省はどういう措置をされたのか。残念ながら、その後何の変化もないし、具体的な提示された話も聞いていない。これは国への要望ということになっておるのですから、当然窓口は運輸省でしょうし、一体どういう取扱いをされたのか、これはどうでございますか。
  119. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 国鉄監査報告書、これは実は運輸省といたしましては、こういう公的な諮問機関でありますけれども、非常にこれは大事な監査委員会報告でございますから、これはただいただいたものをそのまま机の中にしまっておくという性質のものではないことは言うまでもないのです。運輸省としましては、こういう報告書の内容をよくつぶさに検討いたしまして、翌年度の予算編成に、あたりましては、この中で当然取り入れるべきものは取り入れて、国鉄に関する予算要求を、これは国鉄もいたしましょうと思いますが、運輸省の立場においてしなければならぬところはこれを取り入れて、予算要求をしているのが実情であると思います。  ただ運輸省といたしましては、このほかに考えなければならぬということは、これは非常に監査委員会も、さっきお話がありましたように、国民的立場において監査をして、意見があれば法律の規定に従いまして、運輸大臣に提出するんだと、こういうことになっておりますけれども、その監査委員会の性格、この監査委員会の働きというものについては、さっき申し上げたように重きを置いているわけですけれども、運輸省といたしましては、全体の、たとえば今度の十カ年計画をどうするかというような政策の策定にあたりましては、監査委員会意見も毎年出ることですから、十分重きを置きますけれども、やはり一方におきまして、国会における皆さんの御論議でございますね。こういったものは、やはり国民の声として、できるだけ将来の長期計画の中に反映させようというような努力をしておるわけでございます。  今度の十カ年計画の策定にあたりましては、昨年は不幸にして成立をいたしませんでしたが、その御審議の過程において、衆参両院の中で、非常にいろいろな問題を指摘され、示唆をいただいたことは事実でございますから、そういった点も同時に十分に参酌いたしまして、今度の新しい十カ年計画を策定した、こういうような経過でございます。  あとのほうは、これはわれわれの政治的な姿勢について申し上げたのですが、監査委員会との関係においては、初めに申し上げたように、やはり運輸省としては、ほかにかけがえのない委員会でございますから、その結論に対しては、できるだけ趣旨を取り入れて、政策面に反映させるような努力をしてまいりましたということをお答えする次第でございます。
  120. 森中守義

    ○森中守義君 これは大臣、私は四十六年のこの指摘というのは、あまりにも当然だろうし、おそ過ぎる。けれども、監査委員会としましては、相当思い切った指摘であり、もはや国鉄の現状からしますと、ここまでいかないとどうにもならぬという、いわば思い詰めたものがこういうことだと思う。  そこで、これは単に運輸省の予算の措置上の問題とか、そういうことを言っているのではないんです。つまり国が負担すべきものがあるとこう言い切っている、よって制度化をやってくれという意味だと思う。金子委員長そうでしょう。ですから大臣の言われる意味は、少し通俗的である。制度化をはかれと言っておりますよ。それならば、あまりにも緊急を要するし、事が重要だから、この扱いというものは、運政審に諮問をするなり、あるいは財政当局との間に少なくとも財政上、国の予算を拘束するような、そういう制度の確立というものがこの意味だと思う。この措置がとられなければ、この指摘というものは意味をなしませんね。ただ国鉄が金が足りないから政府は金を出せという意味じゃない。予算の増額を、助成金の増額をこの中へ求めようとしているのではない、ある意味では、これは政府に財政を支出する義務がある。こういう権利義務をこの中で確立せよという指摘だと私は受け取る。  しかし、これは次の私の質問の非常に重要なポイントにもしておりますから、これ以上答弁求めませんけれども、大臣のいまの私の質問に対する答弁としては、どうしてもこれは承服できない。もう一回四十六年度の監査報告のいまの項目をよくごらんになってください。制度化をこれは指摘している。しかし四十六年に、こういう重要な指摘が行なわれながら、いまなおこれが具体的に着手されていない。ただ財政援助の項目でこれを処理しようという、まあいわば肩すかしという感じのことでは、私はどうしても納得できない。まあこう思う。金子委員長、私のいま申し上げた制度化の問題はどうなのか。そのとおりであるのか。大臣が言われたように、いや金をもっと政府が出してくれりゃいいんだという意味合いのどっちなんですか。
  121. 金子佐一郎

    説明員金子佐一郎君) このときの指摘いたしましたのは、おそらくこの国鉄自体の仕事の中に、非常に公共性の強いものが、ございます。つまり、早く言えば定期ならば非常に過度の割引あるいは地方のローカル線その他によりましてできました赤字、その他そういったような国鉄自体でなかなか経営を正常にしてまいります上において、負担しきれない問題も多々あると存ずるのでございます。  かかる問題については、政府がその部門について、できる限りこれを負担してもらいたいというようなことが、やはり基本的になっておると存じます。それらの解決につきましては、政府の御判断にこれをおまかせするというような気持ちでおりまして、その具体的な、おそらくその当時の考えといたしまして、案をつくって、この制度化をこうしてくれいといったようなところまでには触れていないかと存じますが、それを実施する上において、先生のおっしゃるような問題に触れることも、あるいはあり得るかと存じますが、国鉄自体で実際なかなか解決できないような、いわゆる公共性の強いものという、特にまた当時は、ローカル赤字線の赤字の負担、その他も考慮に入れて要望したものと考えておるのでございます。
  122. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 森中先生、ちょっと伺いますけれども、私も一応ざっと読んだんですけれども、いま御指摘になったのは、四十五年度の監査報告じゃないですか。これは四十六年の八月に出していますけれども……。
  123. 森中守義

    ○森中守義君 あるいはそうかもわかりません。四十五年か、あるいは四十六年かどちらかです。
  124. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 四十六年度にはそういったのがないようです。四十五年の監査報告の一六ページの最後のところに、いまおっしゃったようなことが書いてありますが、この点を指摘されたんだろうと思います。
  125. 森中守義

    ○森中守義君 そうです。
  126. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) そうですね、わかりました。
  127. 森中守義

    ○森中守義君 この項目は非常に重要なことですから、また後日ひとつ大臣とゆっくりと話しさしてください。  それから四十七年度の重点監査の中の職員管理の問題ですが、これは紙数に制約をされたわけでもないでしょうけれども、この職員管理のとらえ方が非常に平板過ぎる。なぜかと言いますと、少し結論を急ぎ過ぎているんですね。四年間で三万人も減らしたんだと。これから十一万人やらにゃいかぬ。なそうとすればできるんだ。しかし、その中に労使の紛争というものが国民の信頼を失っている。こういう指摘をされているんですけれども、何がそうさせたのか、どうしてそうあるのか、及び現場機関の人間性までも崩壊するような状態に立ち至っているという指摘がある。具体的に何がそうさしたのか、どうしてそうあるのか、及び現場機関の状態というものは、逐一ではなくても、どの程度まで実際の状況というものが把握されているのか。同時に、先手まで継続されてきた、言うところのマル生運動というものが、こういう一連の労使問題にどういう影を落としているのか、この辺のとらえ方というものは、委員会でなさっていないでしょうか。
  128. 金子佐一郎

    説明員金子佐一郎君) この労使の関係の問題につきましては、私どもといたしましても、国鉄の今後の再建はもちろんのこと、現時点におきます経営のあり方においても非常に重要な問題だと考えておるのでございます。特に先般のマル生運動に端を発しました不当労働行為等の問題は、まことに遺憾な事態でございます。監査委員会といたしましても、この問題については非常に関心を持っておったんでございますが、ただ幸いにいたしまして、このマル生運動に関する不当行為の問題についての紛争委員会等は、一応解消いたしまして、ここにも掲げましたように、若干なりとも、その点においては、私はまず小憩を得たと、このように思っておるのでございます。  しかしながら、現実の問題は、御案内のとおり、順法闘争あるいは争議等がしばしば発生いたしまして、国民に多大な迷惑をかけておるということで、まあその根源がどうであるかということは、この問題は組合にも数多くございますし、また職場管理につきましても、まだまだ改善すべき問題を多々持っておるわけでございます。したがって私どもは重要視するだけに、今回のこの監査報告書におきましても、その管理者の立場あるいはまた現場に従事する人たちの考え方をもっと前向きに、意欲的にするようにというようなことにつきまして、強く国鉄に要望いたしたのもそのためでございます。しかし、ほんとうの奥の奥の問題がどこにあるかというような問題につきましては、これは一般企業におきましても、この労使の関係の問題、特に組合のあり方というものは非常にデリケートでございまして、一がいに私どもが簡単に判断し得ない問題も多々あるように存じます。  いずれにいたしましても、この問題については、監査委員会は今度の監査にあたりましても、安全の確保とともに、これを重視いたしましたことは事実でございます。まあこの点について、私どもは、やはり執行面における国鉄の御当局の絶大なこれに対する努力を要請する以外にないと、このように考えまして、それに対する大体の具体的な意見を、ここに述べておいた次第でございます。
  129. 森中守義

    ○森中守義君 そこで、少しこの先に進んでみますと、こういうことがいわれているんです。労働集約的鉄道から近代的鉄道に脱皮しなければならぬ。こういう御指摘がある。ところが、最近こういう問題を非常に研究されている学者の間では、必ずしも労働集約的なものが合理化という問題だけで処理できるものではない。こういう意見が非常に強い。ところが、この中では労働集約的なものから近代化に脱皮せよと、こういわれるのですが、これですべてが片づくというような見解ですか。
  130. 金子佐一郎

    説明員金子佐一郎君) ただいま仰せのとおり、人員の合理化、いわゆるここにも掲げてございましたとおり、十一万人を削減するというようなことによりまして、国鉄のいわゆる合理化をはかっていこうという、これは一つの大きな努力目標にもなっております。また、それが再建につながるものと思います。なんとなれば、すでにもう人件費も国鉄といたしましては、営業経費の五〇%をはるかにこえるというような事実もございます。これをいかにして人員合理化をはかっていくかということは大事な問題だと存ずるのでございます。これを実行いたしますのに、大きな刺激を与えず、そしてこれを順序立って合理的に解決していこうとするには、いままでのように人を多く使い、そして人力にたよるというような問題を、できる限り近代化の方向によって、いわゆる省力投資的な考え方、また経営におきましても、人手を減らしていくというような方向によって、これに対応する以外にはないのではないか。このようなことを実は私とも考えておりまして、その点をうまく運営していくか、あるいはそれが逆に労働の問題に重圧が加わる、あるいはそれがサービスの面に大きく影響するというようなことについては、これはもう少し国鉄におかれても最大の配慮を払うべきだと私は思うのでございます。しかし方向といたしまして、また方針としては、そのような方向に行かざるを得ない、このように考えまして、ここにこのようなことを指摘いたしたことを御了承願いたいと思うわけでございます。
  131. 森中守義

    ○森中守義君 さっき私が申し上げた労働集約的な事業から近代化に脱皮をせいと、それだけではいけないんだということは、物価安定推進会議でも同じような答えを出していますよ。これは一つの大きな私は議論だと思う。  そこで、少しく先に進みますが、旧計画では七万人だったわけですね。いつの間にやら十一万人にふくれ上がった。そして、この十一万人というのは、今回の再建計画が閣議了解に達するに及んで閣議了解事項に発展をした、こういう経緯をたどっている。一体その七万から十一万にふくれ上がったという根拠は何なのか。ただ目の子で七万減らせばいい、十一万減らせばいいという、そういう意味合いなのか。少なくとも今日の日本国有鉄道に、いわば一種の社会の要請でもございましょうが、確かに技術革新ということは必要でございましょう。そうなれば、単に目の子の七万から十一万にふくれ上がったという、そういう根拠なしの数字である、あるいはぎりぎり技術革新を進めていくにあたっては、七万人から十一万にふやしてもいいという、すこぶる正確な根拠があるのか、この辺が残念ながら何も解明されていないんですね。繰り返すようですけれども、とにかく七万だったものを十一万減らせば採算がとれる、だから目の子で十一万ときめたということなのか、技術革新とのかね合いのもとに十一万人が減少してもよろしいという意味なのか、その辺の根拠はどうなんでしょうか。  それと、これは委員長よりもむしろ総裁大臣にお尋ねしたほうがいいかわかりません。七万人というのがいつ十一万にふくれ上がったのか、その数字の出し方は、もともとはどこが出したのか、これひとつ、いろいろ経過もありましょうから、まず総裁からお尋ねしたいと思う。
  132. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) いわゆる七万人縮減案は、昭和四十四年度の現行再建計画、すなわち四十三年度の推進会議によっていろいろ検討して各項目別に出して決定した数字でございます。その後、昨年のいわゆる廃案になった案のときに、十一万人の御説明をし、昨年も非常にこの点について、各先生方から御質問がございました。その当時もいろいろお答えいたしましたが、私のほうでは七万あるいは十一万という数そのものでなくて、いわゆる近代化あるいは技術の革新、合理化ということによってこれだけは減るんだと、減らし得るんだという角度から、初めから十一万人減らすためにこうだということでなしに、各項目別に積み上げていって、そして大体このくらいのものは減らせる。もちろん十人から百人の違いは、これはございます。しかし大体の目安として十年間でこれくらいの人間はこれだけのことをすれば減るということで、当然これは設備投資とうらはらになるわけでございます。いわゆる七万人の減のときの設備投資は、御承知のとおり三兆七千億、それから昨年廃案になりましたときが七兆でございます。今度は十兆五千億というふうに設備投資がふえてまいりました。もちろんその設備投資の中にはいろいろ、新幹線もあれば、あるいは複線電化もある、いろいろございますが、やはりその中に当然合理化投資と申しますか、合理化近代化投資これがなければならないわけでございます。これも各計画ごとにごくラフな、大ざっぱな目安はつけてございますけれども、一応いまの設備投資をふやすと、それによって各系統ごとにいろいろ合理化をしていけば大体十年間で十万人をこす人間が減らせる、こういう自信を持ったわけでございます。  もちろん、これの実際の具体化につきましては、毎年組合と話をいたします。そして今年度はこれとこれとこれとをやろうということで、年度当初あるいは前年度末に話をいたしまして、それによりまして地方で具体的に話をするわけでございますので、内容が必ずしも、私のほうが先にやろうと思ったことが先にできるとは限りません。これは組合との話し合いでございます。したがって十一万という数を各項目別に出しまして、それを各年度ごとに、組合となるべく前年度末あるいは年度当初に話をするというふうなやり方で、じゃことしは大体これでもって一万人減らそうというふうな計画をいたします。ことしも大体の話を三月末にいたしまして、まだ若干残っておりますけれども、いま話が進行中でございます。  そういう意味で、人員の縮減と申しますのは、私どもの管理者側から見れば、一応の長期計画のもとにこういう設備投資をして、あるいはこういうふうな仕事のやり方を変えて、これだけの人が減らされるだろう、そして、その減らせるということの前提のもとに、それでは今年度はどれとどれをやろう、設備投資はどれをしようというふうなことをきめるわけです。そういうやり方によってきめてまいりますので、初めから十一万人があって、それに従って、何と申しますか、それを前提としてやるということでなしに、各項目別に積み上げたものが十一万人になったということでございます。  私どものほうでは、いろいろな系統がございます。ただ、それを総括的に申しますと、四十三年、四十四年度の計画、すなわちこれは昭和四十三年度につくった計画でございます。すなわちちょうどもう五年前になります。その間に、すなわち再建計画を策定したときに比べまして相当技術的な革新がもたらされている。車両の設計一つにいたしましても、非常に違ってきております。そして、それはやはり近代的な設計でございますので、結果的には人が減るという結果になります。あるいは設備の近代化、これもたとえば当時CTCと申します中央列車制御装置というものは単線区間でなければできないということを前提として、単線区間のCTCを進めてまいりましたけれども、最近の発達によりまして、これは複線区間でも十分やれるというふうなことになっております。したがってCTCの範囲を単線区間から複線区間に広げる、こういうこともこれは技術の革新あるいは設備の近代化によってできてくる。あるいは電化のテンポは前の計画よりずっと進むというふうなことでもって、まず再建計画当時に比較いたしまして、非常にいろんな方面の技術の進歩が深度化したということによって、各系統ごとに全部洗い直しまして、この仕事はこれだけ減るだろうというふうな考え方を持っております。  たとえば線路の保守にいたしましても、いままでは、たとえば保線の機械化ということだけを考えておりました。しかし今度の計画では機械化をもう一歩進めまして、初めから手を入れない、まあスラブ軌道と申しておりますが、初めから完全なソリットべット——固いベットでもって手を入れないでよろしいというふうな、全然いままでの、土で路盤をつくって、その上へ砂利を置いて枕木を置くという線路構造から、初めからコンクリートのベッドをつくって、その上へ線路を固定してしまうというふうな、非常に斬新な線路の技術ができてまいりました。それによって、いままでつるはしで突き固めておったものをタンパーで直すという単なる機械化でなしに、初めから変えてしまうというふうなことも実際やっております。あるいはそれと似たようなことでもって、電気の架線にしてもしかり、あるいは車両の部品にしてもしかりということで、非常に各方面こまかくなりますが、当時と比較いたしまして、各系統ごとに相当深度化した技術の向上がはかれました。  これらを非常にこまかく積み上げてまいりますと、十万八千人の人間が減らし得るということでもって、これを略しまして十一万人というふうに計上した。これが七万人から十一万人にふえた五年間のいきさつでございます。
  133. 森中守義

    ○森中守義君 そうしますと、結局単なる目の子ではないんだ、根拠あり、こういう総裁の御説明ですが、これはたいへんに恐縮ですけれども、そうむちゃくちゃに膨大な資料になるとも思えませんので、いま正確に言われた十万八千、これを五入して十一万ということのようですが、この数字を部門別に、各年度ごとに御提出いただけますか。
  134. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 年度ごとと申しますのは、先ほど申しましたとおり、これは私のほうで実際組合とも話をいたしまして、本年度はこれとこれとやろうというふうな計画を立てますのは、やはり具体的な話し合いがつがないと、計画をつくりましてもこれは机上の計画になります。したがいまして、十年間の大体項目が五十なら五十項目ある。これを全体の情勢から見て、あるいは客観の情勢から見て、あるいは設備投資の状況等から見て、じゃあ来年はこれとこれとこれとをやろうというふうにピックアップいたします。したがって昭和何年にどれどれをやる、昭和何年にどれをやるということはなかなかきめられません。  たとえば本年度きめたものが実際の話として残ることがございます。来年度に持ち越すこともある。そのかわり予期以上に進むこともあるというふうなことで、年度ごとのこの十一万の縮減は、これは計画ではもうただフラットで入れてございます。したがって、これはある程度十年間のトータルで見ないと違ってまいります。したがって十万、十一万人の合理化の各年度ごとの項目別は、これはお出しすることはちょっと無理かと思います。しかし項目別にどの系統で何人、どの系統で何人、これはできます。たしか昨年のときにも、おまえは管理部門を半減すると言ったけれどもできるかという御質問がございました。これも入っております。そういう意味で、現業部門のみならず、いろいろな管理部門あるいはその他の病院とか、いろいろ各部門ございますので、それらを総合して、各系統別に大体何人、その合計が十万八千、こういう系統別の計画はお出しできます。
  135. 森中守義

    ○森中守義君 最後に言われた後者のでけっこうでしょう。もちろん私が求めていますのは、きわめて正確な、固めた実施計画と言っているわけではない。しかし、おおむね十カ年間の想定はつけておられるのでしょう。もちろん労働組合との関係もありましょうからね。実際はそこできまると、こういう説は私も了承いたしますが、可能な限り想定されているものでもかまいません。要するに十一万人の根拠、これに対応する技術革新、合理化とは何なのか、そういうものがある程度出てきませんと、いわゆる十一万人は非常に疑問を持つのです。できるだけ早急に御提出をいただきたいと思います。  それから私は、国鉄の内部の人事事情というのはよくわかりませんけれども、大体現場から中間管理部門、そこから本社に、というように各年度ごとに欠員の補充要求、あるいは増員要求というのは来るのですか来ないのですか。
  136. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 原則として管理部門は増員要求をいたさないというたてまえでございます。したがって私のところの計画では、大体管理部門は毎年七%減らしつばなしというたてまえでございます。これはいろいろ理屈はございますが、こういうふうにしないと、なかなか率直に申しまして減りません。ですから管理部門において増員要求をするということは、国鉄の中では一種のタブーでございます。しかし現場におきましては、いろいろこういう項目で人が要る、しかし、こっちで人が要らないという意味で、いろいろな要求は参ります。しかし管理部門では、それがよほどの、たとえば公害関係でどうしてもある部門をつくらなければいけないというふうな特殊な場合は別といたしまして、原則として管理部門は増員要求はまかりならぬということでやっております。   〔理事江藤智君退席、委員長着席〕
  137. 森中守義

    ○森中守義君 そうしますと、現在の要員配置というのは、たとえば熊本鉄道管理局、仙台鉄道管理局というように、いわば一定の要員配置の基準があるのでしょう。その基準をそのままにしながら減員をやっていっているのですか。そのつどその定員修正をやっているのでしょうか。どうでしょう。実務的なことを……。
  138. 加賀谷徳治

    説明員加賀谷徳治君) 定員は仕事に応じて配置するという原則でございまして、仕事の中身が変わって明らかに新しい仕事ができたというものについては増員を認めるというようなことはやっております。ただ熊本の例が出ましたが、いま熊本の管内で、たとえば絶対総数どのくらいという非常に大づかみなあれをやっておりまして、職種別に、あるいは職場別あるいは部門別といったようなものにつきましては、熊本の管理局長がその中でまかなっているというようなことでございます。
  139. 森中守義

    ○森中守義君 その定員の配置の基準というのは駅単位、局単位、何を基準単位にしているのですか。それが一つと、もうすでに三万人を落とした。これから十一万人落としていかなければならないという場合に、そのつど定員修正をやるのか、あるいは在来の定員は定員として、数字的には残しているが、実在員はそこに満たないという欠員状態としておくのか、そういう実務的な問題はどういう取り扱いになっているのですか。
  140. 加賀谷徳治

    説明員加賀谷徳治君) 合理化も駅ごとに行なうとか、管理局別に行なうとかというふうなケースにはなかなかなりませんが、実際問題は一つのプロジェクトと申しますか、一つの項目に基づいて本社、本部間で大筋の合理化の話をきめる。それを熊本なら熊本で実際に適用していくということになりまして、新しい事態が生じますと、それに応じて当然その定員でいけるということになりますと、それは当然削減するということになりますが、現実の人間としましては、熊本の中で、たとえば新しいことに人を使いたいというようなときは、できるだけその中で配転をする。あるいは熊本で使いようがないというような場合は、多少隣の福岡のほうへいくとか、そういったようなこともできるだけ組合の協力を得ましてやっていくというようなことで、現実まかなうわけでございますが、いま御質問の要旨につきまして、実情としまして、事務的なやり方としては、そういうことが基本になってやっております。
  141. 森中守義

    ○森中守義君 それから監査委員長、安全の確保というのもこれまた重点監査の一つなんですがね。総理府のほうで交通対策本部というものがありますね。ここで踏切事故防止総合対策というのができた。これが実際運輸省並びに国鉄のほうにおりてきて、どういう措置がとられているのか、残念ながら、かなり安全確保ということが強調されてはおりますけれども、具体的な実施計画、しかもそれがどういう成果をあげたという、こういったようなことが全然報告の中にはない。むろん十兆五千億の新しい十カ年計画の中には、およそこういう内容のものもあると思うのですね。したがって、それは一体どういうようなことになっているのかというのが一つ。  並びに、しばしば発生をする事故によって人身が失われ、あるいは負傷者が出る。こういう場合における国鉄の補償の方式といいますか、補償体制というものが、むろん監査報告では全然触れられておりません。そこまで監査委員会が見るべき所掌であるかどうかは、まあ委員長のお考えにもよりましょうけれども、しかし利用者の側あるいは被害をこうむった側からしますと、これは非常に重大な問題である。ことに最近、北陸トンネル列車事故被災者の会というのがつくられたようでして、私どもの手元にもそういう陳情書が出ておる。在来の国鉄のこの措置からいくならば、おおむねホフマン方式を補償の一つの基準にして、それで示談に入って、成立すればよし、まとまらなければ法廷で争っていこうと、こういうパターンをずっと繰り返されておるようですね。  しかし、これは私から申し上げるまでもなく、自動車関係には強制あるいは任意という、つまり自賠責のいわば一定の方法があります。航空運送事業については、それぞれの運送約款によって、金額の多寡は別のものですけれども、一定の基準というようなものがある。むろんこれらのものはいずれもホフマン方式を基調にしたもののようですけれども、やはり国鉄の場合でも一定の準拠すべきものがあって私はしかるべきじゃないか、こういうように思う。そうしませんと、説得ができませんよ、これは。じかにその折衝に当たる地方局なり何なりの皆さんはたいへん御苦労じゃないかと思うのですね。だから被害者の側から見ていくならば、金額の多寡それ自体が問題であると同時に、何を根拠に救済してくれようとするのか。まあこれも私は、ずっと見てみますると、鉄道営業法というものをちょっと読んでみましたが、この中にもどこにもないのですね。しかも鉄道営業法などというものは経営の一つの方向をきめているわけでしょう。しかし昭和生まれの者は、なかなかあの文章は読みにくいですよ。まさに太政官布告みたいなああいうものなんですね。こういうものを少し改正をすると同時に、やはり基準というものを、まあ多少事情をわかっておる者は、航空といい自動車といい、算出の根拠はホフマン方式によっているものだとわかりますけれども、そうでない一般世間では、なかなかホフマン方式はどういうものなのか、航空に例をとって、これは国際条約できまっているんだから国際的なものですよと言ってみてもなかなかびんときませんね。こういうことも含めて、まず監査委員長から現在の国鉄の中における人身事故の問題は一体どういうようなお考え国鉄が持っておられるのか、これに対して監査委員長はどういう見解をお持ちなのか、将来こういう措置をどうとっていこうというのか、この辺のことをお漏らしいただきたい。
  142. 金子佐一郎

    説明員金子佐一郎君) それでは、ただいま御指摘がございました安全性の問題、特に踏切事故また災害者に対する補償の問題等にお触れの御質問がございました。監査委員会といたしましては、繰り返して申し上げましたように、安全性についての問題は、もうあらゆる点において始終それを指摘いたし、また国民の要望であります、ほんとうに安心して国鉄を利用できるというところに重点を置かなければならぬと考えておるわけでございます。で、特に踏切事故につきましては、件数といたしましては若干ではございますが、だんだんこれが減っていく傾向にあるようにも思うのでございます。  しかし一面におきまして、自動車の数の増加というものを考えますと、これはなかなか将来に向かって安心できるような問題ではないと考えます。特にお手元に差し出しました監査報告書の九二ページに、先ほど御発言いただきましたような総理府の交通対策本部の踏切事故防止総合対策に基づきまして各種の対策を推進して、いろいろこの問題についてるる述べておりますので省略いたしますが、いずれにいたしましても、踏切事故というような問題については、やはり今後、こういう問題につきましては、踏切のできる限りの安全化、ひいていえば、踏切をなくなすと申しますか、立体交差その他について十分配慮すべきであるということを常日ごろ申しておるわけでございます。また踏切の一種、二種、いろいろ種類がございますが、できる限り安全性の高まっていくような装置に、施設に変えなければならないということも当然だと存ずるのでございます。  ただ問題につきまして、それらは監査委員会といたしましては、それを強く要望するにとどまる以外にないのでございまするが、ただ、これらの問題については、国鉄当局におかれましても、おそらくや、これらの指示に沿って、いろいろと施策を進められていることと信じておるわけでございます。  なお補償の問題につきましては、国民の、公共の立場から申しましても、当然この問題は重要な課題であると存じます。ただ監査委員会としては、立場上この問題に積極的に触れることはいままでいたしておりません。ただ、こういうような問題について、万全を期して、この問題にひとつ対処してもらうということだけは、もうこれは言うまでもなく、強く念願しておるところでございます。これらの具体的な問題につきましては、総裁のほうからお答え願ったほうが適当であろうと存じますので、この辺にとどめたいと思います。
  143. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) まず踏切のほうでございますが、ただいま監査委員長からおっしゃいましたように、私のほうとしても内閣のほうと十分連絡をとりまして、そして十カ年間に、少なくとも、現在まだ三万カ所ぐらい無防備の踏切がございますが、とにかく今後車の通る踏切はもう絶対に無防備踏切はなくす、原則として警報機は全部つけるということを一つのねらいといたしまして、まあ相当、三万カ所でございますので数は多うございます。しかし、とにかく十カ年間に全部やってしまおうということでもって、十カ年間の十兆五千億の設備投資の中に一応入れて考えております。  しかし、もちろんどの踏切も全部ということでなしに、やはり車両通行禁止して差しつかえないということを地元の方々も了解され、また警察その他の方もよろしいと言われる分につきましては、車両の通行をやめてもらう。まあ人間と自転車だけというふうにいたしますれば、自動車による踏切事故はぐっと減ってくるという意味で、究極の目的は車の通れる踏切は全部設備をつける。こういうことを一つの念願に置きながら今度の設備投資をやってまいりたいというふうに考えております。  多少、私鉄などとテンポが違うかもしれませんが、私どももできるだけ内閣と歩調を合わせましてやってまいりたいと思っております。また建設省のほうとも人事交流いたしまして、そして道路側との意見も十分調整をした上で今後やってまいりたいというふうに考えております。  それから補償の問題でございますが、御質問の北陸トンネルの問題、多少詳しく申し上げます。  まず、なくなった方でございますが、二十九名なくなりましたが、二十八名の方々は全部円満に話がつきました。あと一名の方ももう間もなくつくと存じます。お一人お一人の金額は申し上げるわけにはまいりませんが、いずれも一千万円をこすという考え方でやっております。大体お話がつきかけております。それから、けがされた方は約七百十数名おられますが、そのうち約五百三十名がすでにお話がつきまして、いま残りが二百名弱でございます。先生の御指摘になりました会は、北陸トンネル列車事故被災者の会、斎藤さんという方でございますが、これは主として負傷された方々の会でございまして、なくなった方はお入りになってないやに承っております。負傷された方々でなお話がついてない方という方がおもでございますが、そのほかにもすでに話のついた方もお入りになっている方もあるようでございます。先般お見えになりまして、私どものほうの加賀谷常務がゆっくりいろいろお話を承りました。私のほうといたしましては、もちろんある一定の基準をお示しいたすつもりでおりますが、いままで幸いお話がつきましたものにつきましては、いろいろの裁判例あるいは日本弁護士会の例、その他たくさんの例がございますし、私のほうも、あまりいいことではございませんが、だいぶたくさん実例を持っております。  そういうことでもって、先生の御指摘の一つの基準をきめたらどうだというお話でございました。いろいろな、たとえば飛行機あるいは自賠責等いろいろ交通機関の中でもきめておるものもございます。たとえば飛行機の場合になると、御承知のとおり、いわば最高を押えている。六百万と申しますか、一応形式的にはあの約款を読みますと、最高が六百万から六百万というふうに押えられているわけです。それからモントリオールの関係は別でございますが、一応最高基準というふうな、限度額という感じでもって書いてあります。また自賠責も限度額ははっきりいたしておりませんが、一応の基準というふうなかっこうになっております。いろいろこの点につきましても、私のほうでも運送約款の中にそういうことを入れたらという意見も実はだいぶ前でございますが、ありましたけれども、こういう金額というものは、非常に変動が大きいわけです。始終変わるわけでございます。去年とことしとずっと変わっている、ことしと来年と違うというふうに、非常に変化が激しいということが一つございます。  たとえば国際条約のように、一たんきめたら何年間そのままというわけにはまいらないと思います。したがって非常に変化が多いということと、それから私のほうで申しますと、自動車や飛行機と違いまして、非常に事故の態様が複雑でございます。たとえば全く一〇〇%私のほうの責任の場合あるいは半分天災事変の場合あるいは半分——たとえば自動車のような場合には、半分向こう側に過失がある場合、非常に事故の内容が、態様が多いわけでございます。その意味で、一律にきめましても、一体最低をきめるのがいいのか、最高をきめるのがいいのか、非常にむずかしい。したがって、かりに最低をきめました場合には、こういう場合には、これから何割増すんだというようなことを全部書かなければいかぬということで、最低もきめられないということと、それからもう一つは、約款でございますので、本人と私のほうとの約束ということになります。今度の北陸の場合もそうでございますが、たとえばなくなった方で申しますと、たとえば慰謝料に例をとりますと、御本人に対する慰謝料だけではもちろん片づきませんで、その子供さん、あるいは親御さん、いわゆる親戚、近親に対する慰謝料、これは当然入るわけでございます。  そういうことの規定は非常に約款には書きにくいというふうなこともございますし、結局、私のほうの事故が多いという結果かと存じますが、なるべく具体的な事態が起きたときにその時点におけるほかのことといろいろ比較いたしまして、そしてほかに比べて遜色のないようにするというふうなことが一番いいんじゃないか。実はこの間のなくなった方々に対する問題も、やはりその前の全日空の事故あるいはその他近接した事故についての実例を調べまして、それを下回らないというふうな基準を実は部内的につくりました。また今回の、まだ未確定の方々に対する今後の問題につきましても、先般のハイジャックのときの日航が払われました一種の、何と申しますか、損害賠償のような金額が五十万というように新聞に出ておりますが、これらをやはり基準にしなければいけない。トンネルの中では三十分であって、ハイジャックは何時間であって、それは比較できませんけれども、しかし、身体を拘束されて相当ひどい目にあうということにおいては同じじゃないかという意味の、近い実例があるわけでございます。  ですから、私も何べんもこういう、たとえば櫻木町事故、鶴見事故、三河島事故、いろいろ経験いたしておりますが、結局納得していただくには、その事故の起きた少し前におけるいろいろな実例、これらをなるべく詳しく調べまして、そしてそれらと比較した上での考慮というのが一番妥当じゃないかというふうに考えます。実は先生のおっしゃったとおり、一種の基準をつくったらということも考えましたが、これは非常に形式的になってしまう。結局書いてあるだけで、何にも役に立たぬということになっても意味がないと思いますので、いましばらくいままでのやり方でやったほうがいいんじゃないかというふうに考えます。  しかし世の中が非常に合理的になってきて、もう約款できめたらそれでいいんだということになり、その約款がたとえば半年に一度ずつスライドでもするとかというふうなことで非常に合理的になってまいりますれば、それは考えられると思いますが、もう少しいまの状況では、具体的な例を参照した上で、いろいろ個人的な事情を承りまして、そうしてきめるのが一番いいんじゃないかということで、先生のおっしゃったように、確かに私のほうの第一線の職員で、実際接触している連中は非常に苦労しております。それは確かにおっしゃるとおりでございます。自由裁量の余地があるようでないわけでございますので、非常に苦労しておりますので、なるべく話を東京に集めまして、ことに全国的な被害者があるような場合には、話を東京に集めまして、そうして各地方ごと、あるいは各ケースごとでアンバランスのないような方法をとって、始終関係課長を集めて連絡いたしておりますが、いまのところ非常に範囲の広い、しかも数の多い事故のあと始末としては、そういうやり方が一番いいんじゃないかというふうに考えております。  しかし、これはこれからの世の中のものの考え方が変わればまた別でございますが、いまのところはそういう方法でやっていきたい。また今度の問題も、そういう方法によって、最近具体的な基準も、一人一人の基準でなしに、もう少し適用範囲の広い基準をお示しするつもりでおりまするし、もしその基準でお話がつく場合には、いままですでにお話のついた五百何十名の方々には全部それと同じことをするということを前提といたしまして、基準も具体的な基準をきめていきたいというふうに考えております。
  144. 森中守義

    ○森中守義君 これは総裁、ずいぶん気を使っておられるようですから、あまりこの点で議論する必要もないかと思いますが、これはあまりにも常識的ですけれども、やっぱり失われた人命、傷ついた人体というものは金で推しはかるということはできませんしね。問題は、そういう被害者あるいは遺族が得心されるかどうかという問題であろうかと思います。他面また、国鉄はよくしてくれた、ある意味では国鉄への信頼、信用の問題でもありましょうし、お話を聞いてみると、それは確かにそうだと思いますよ。  けれども、できるならば、その基準はこうこういうもの、それにいろんな態様に対応できるには無数のケースが確かにあると思う。けれども、おおむね集約的にこういうものはこういう措置をとろうという、そういう程度のものでも一度検討される必要はあるんじゃないか。必ずしもそういうことが、いつまでも国鉄が古色蒼然としているという、そういう言い方に通ずるとは思いませんけれども、やはり事業が近代化の方向に向かっているというならば、世の中に向かってでも、いろんな措置というものはきわめて権威ある近代性を持っているんだと、こういう理解のされ方が私は必要だと思うんで、これは検討してみていただきたいと思います。  次に、踏切の問題ですが、確かに総裁の言われるように、十兆五千億の新しい投資計画の中に踏切整備というのが出ておりますね。安全公害対策合理化等ということで一兆五千億あります。この中に踏切整備はどのくらい予定されているのか。  それと整備五カ年計画というものを実際お持ちなんですか。私の手元に簡単な資料があるんですけれども、ちょっとこの資料の出どころが残念ながら私もはっきりしない。運輸省とこの下のほうにありますから、これは運輸省鉄監局から出してもらったんじゃないかと思うんだけれども、ちょっと古いときの資料なもんではっきりしないんですよ。ですから問題は、この十兆五千億の中の一兆五千億、この中に踏切整備がどのくらい予算として計上されているのか。その対象の件数はどのくらいであるのか。五カ年整備計画というものが、たしかここに出ておるように思いますが、これからいけば、いま問題になっている各地域の安全性が確立されるのかどうなのか。この辺ちょっとかいつまんでお尋ねしておきたいと思いますが、どうでしょうか。
  145. 内田隆滋

    説明員(内田隆滋君) 十カ年間の踏切の対策でございますが、現在、ただいま総裁が申し上げましたように、平面踏切が三万二千カ所ばかりございます。この中にはすでに対策を行なったものもございますが、十カ年後の形といたしましては、この三万二千の踏切のうち、高架とか、あるいは立体交差化でございますが、これで踏切がなくなるものが約二千四百、それから踏切を整理統合いたしましてなくなすものが約二千件でございます。残りは、平面踏切として残るわけでございますが、これはもう自動車の通るような踏切は全部一種——全遮断にいたします。この数か約二万八百でございます。その他の踏切につきましては、これは自動車が通らないようにいたします。で、自動車が通らない踏切の中でも、やはり人の通行が多いものがございます。これには三種の自動警報機をつけます。そういうものが約六百、そして、いわゆる車を通さないもの、これが六千三百ばかりでございます。以上合計しまして三万二千百、これが十カ年後の計画でございます。
  146. 森中守義

    ○森中守義君 一兆五千億の中ではどうですか。
  147. 内田隆滋

    説明員(内田隆滋君) 大体十カ年後、十兆五千億の中に千四百億ぐらいを見込んでおります。
  148. 森中守義

    ○森中守義君 それと、その整備計画
  149. 内田隆滋

    説明員(内田隆滋君) 五カ年間の整備計画は、一応いわゆる総理府とお打ち合わせいたしましてつくってございます。後ほど数字はお届けいたします。
  150. 森中守義

    ○森中守義君 鉄監局長、私も法律をあまり詳しく読んでおりませんが、踏切道改良促進法という法律がありますね。これに伴った運輸省令が出ているんですが、この法律及び省令は一つの方向を与えているものだと思うんですが、そのとおりにいままで国鉄に指示されてきたんですか。
  151. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) 踏切道改良促進法は昭和三十六年にできたわけでございますが、これに基づきまして、国鉄私鉄ともに整備総合をいたしたわけでございます。で、現在ございますのは、昭和四十六年から五十年までの整備事業でございますが、これは立体交差化といたしまして、連続立体交差化を百キロメーター、単独を六百カ所、これはいずれも踏切の除去を伴うものでございます。それ以外に、立体交差化が四百カ所、また構造改良、いわゆる踏切の構造の整備でございますが、これが一千三百カ所、踏切保安設備が一万カ所という事業計画でございます。  で、国鉄につきましても、私鉄につきましてと同様に、これの認定を毎年いたしております。国鉄につきましては、国鉄から説明いたしましたような、国鉄工事費でいたしております。また大手私鉄は大手私鉄の独自でやっておりますが、中小私鉄につきましては、国がその費用の半額を助成いたしまして、四十八年度におきましても約一億三千六百万というものをいたしまして、国鉄、大手私鉄、中小私鉄、すべてを通しまして、ただいま御指摘の法律、この趣旨を完遂いたしております。
  152. 森中守義

    ○森中守義君 わかりました。  そこで総裁、さっき内田理事からの御説明でかなり詳しくわかりましたが、この三万二千カ所ですね、これは四十七年度末の踏切のつまり概数というように受け取っている。そこで、この整備計画というのは何年に始まって何年に終わる予定ですか。
  153. 内田隆滋

    説明員(内田隆滋君) これはただいま鉄監局長のほうから御説明があったとおりでございますが、現在いろいろな事情がございまして、まだ終わっておりませんので、いわゆる延伸というようなことになっております。それで現状を申し上げますと、立体交差化が指定が六百五十カ所、これは、いわゆる連続立体あるいは単独の立体化によりまして除却するものが六百五十カ所いままでに指定をされておりまして、現在、竣工並びに工事中のものを入れまして、完成は八一・四%ということになっております。そのほか警報機、遮断機等の指定につきましては、現在一〇〇%仕事が進んでおります。それから構造改良につきましては、進捗率は約六〇%ということになっております。
  154. 森中守義

    ○森中守義君 年度は。
  155. 内田隆滋

    説明員(内田隆滋君) 四十六年から五十年度までで大体やる……。
  156. 森中守義

    ○森中守義君 終了——。いまの御説明で、五十年度で大体その整備計画は終わるということですが、トータルすれば進捗率は何%になるんです。それが一つと、一千四百億を一兆五千億の中から使おうと、こういうことのようですが、未整備のものを一千四百億でやっていこう、こういう計算になるんですか。
  157. 内田隆滋

    説明員(内田隆滋君) そういうことになります。踏切道改良促進法に基づくものは、非常に踏切として危険な踏切を緊急で指定しておりまして、これだけはどうしてもやらなきゃいけないということでございます。で、十カ年計画の中で国鉄の踏切改良をやろうというのは、これは徹底的にやろうということでございまして、いわゆる改良促進法を上回る数字をあげておるわけでございます。
  158. 森中守義

    ○森中守義君 しかし、十カ年間の間に徹底的にやろうという御説明ですが、もう五十年度で終わりということなので、そう十カ年かからないということになりますね。  それからこの一千四百億を踏切整備のために使うというお話ですが、これは新たに特に精力を投入してやるというものではなくて、在来ずっと継続してきたものを、十が年計画の中の一兆五千億の中で一千四百億使おうという、これだけのことなのか、ことさらに十カ年計画に力を入れてこれをやるという意味なのか、この辺はどうですか。
  159. 内田隆滋

    説明員(内田隆滋君) 要するに、たとえば立体交差化で考えますと、運輸省の法指定になっておるものは現在六百五十カ所でございまして、私のほうが立体交差化をやろうというのは二千カ所でございますので、数字的には違うわけでございまして、法指定の分以上に立体交差化を進めていこうということでございます。  それで、いままでの過去の実績に比べてどうかという御質問だと思いますけれども、大体、過去におきましては、踏切関係に投入した金は年約百億でございますので、千四百億ということになると四割ないし五割増しということで、相当力を入れておるということになるわけでございます。
  160. 森中守義

    ○森中守義君 少し数字がわからなくなってきましたが、運輸省では六百五十カ所、国鉄では二千カ所、立体処理と、こう言われるんですね。これはたいへんな食い違いなんですね。そこで、お示しになった一千四百億というものは、国鉄の二千カ所を対象にしたものであるのか、あるいは運輸省の六百五十カ所を対象にしたものか、どっちです、これは。
  161. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) ただいま私のほうで指定いたしておりますのは、これは毎年指定しておるわけでございます。すなわち、四十六年におきましては千百六十七カ所、四十七年におきましては四百四十六カ所、さらに四十七年の六月には千二百二十カ所、四十七年の十月に百三十一カ所と、現在二千九百六十四カ所指定をしておりますが、これは交通の実態に即しまして毎年指定を追加していくわけでございますので、ただいま国鉄のほうの総計画と申しますものと、私のほうの指定いたしました数字と申しますのが食い違っておりますのは、私のほうは全部を一括して指定するわけでなくて、毎年指定していくと、こういう体制でございまして、五十年までに、先ほど申しましたものを完成するという計画でございますので、そのラップタイムがあるという点で数字が違っているわけでございます。
  162. 森中守義

    ○森中守義君 いやいや、それは局長ね、これからやっていかねばならぬ立体交差の数というのは、運輸省では六百五十、国鉄では二千と、こう言っておられるわけですね。たいへんな違いなんです。  そこで、この一兆五千億の安全公害対策合理化等というこの項目、むろんこれは試案ですから——運輸省の試案なのか国鉄の試案かわかりませんけれども、とにかく十兆五千億の中身の一つにこういうものがあげられている。そこで一兆五千億の中の一千四百億を使おうということは、運輸省が言う六百五十カ所を対象にした工事なのか、あるいは国鉄の二千カ所を対象にしたものか、この辺がよくわからない。
  163. 内田隆滋

    説明員(内田隆滋君) たとえば、私のほうで立体交差化をやります。そうすると、そのところで一カ所ないし二カ所非常に交通の激しい踏切がございます。それは、いわゆる法指定の踏切になるわけですけれども、連続立体交差で、たとえば静岡とか浜松で踏切を除却いたしますと、法指定でない踏切も除却できるわけです。そういう意味で、必ずしも運輸省の法指定の踏切だけが立体化になるわけじゃなくて、それ以外の踏切も立体交差を考えておるわけでございます。運輸省のほうは、ある一定基準以上になったものについて、この踏切はどうしても立体化しなさいという命令が来るわけです。その場合に、連続立体でやる場合に、いま申し上げたようにほかの踏切も除却できます。  それから単独で鉄道を上げるなり道路上げまたは下げをして除却するという場合には、その踏切が一つだけとれるというようなことになりますので、必ずしも法指定の踏切と国鉄計画している踏切の数というものは合わない。それともう一つは、運輸省のほうはある一定の基準のものを指定してきますので、そういう意味で、十カ年間ということは、そのうちに運輸省は法指定されるであろうというような踏切も入っているということになろうかと思います。
  164. 森中守義

    ○森中守義君 どうも、お話はわかるけれども、運輸省のあげられた数字と国鉄の出された数字がばらばらじゃ実際困るんですね。  それで工事は、運輸大臣の認可事項ですか、国鉄が単独できめるんですか、その辺一回聞いておきましょう。
  165. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) これは私のほうは基準がございまして、その基準に照らしまして指定をするわけでございます。しかし工事自身につきましては、これは国鉄独自でいたしまして、何ら、認可とかそういったような行為はございません。
  166. 森中守義

    ○森中守義君 わかりました。そうしますと、これはやっぱり国鉄と運輸省が一つの調整をとったものをお示しいただかないと……。私の受け取り方もあまり正確じゃないかもわからない、けれども、二千と六百五十カ所というのはたいへんな違いですよ。それとお示しの一千四百億というものは、最初、金高だけきめておいて、それに合わして工事をやっていこうとするのかどうなのか、その辺などもよくわからない。わかっているのは五十年には終了するということだけです。これは大いにけっこう。もうちょっと早目に終わってもらいたい、こういう希望もある。ですから、できるだけ審議の進行中にこの数字をひとつ詰めてみてくださいよ。両者一体のものとしてやりましょう、それで、この一千四百億というものは変動があるものかないものか。十兆五千億の中身の重要な一つですし、しかも踏切事故というのは非常に多発傾向にある。人命が失われていきますからね。それだけに、総理府もわざわざ対策要綱をつくってやっていこうという方針がきまったはずですから、これは次回に総理府にも来てもらいますけれども、できるだけその辺の両者の話を詰めて、もう一回御回答いただきたいと思う。  それからもう一つ、さっきの人の問題に戻りますけれども、若年労働力の確保が非常に困難になるであろう、こういう推定を監査委員長はなさっている。これは具体的にどういうことを意味するのでしょうか。私なりに判断していきますと、これからどういったように国の産業経済が展開していくかわかりませんけれども、少なくとも民間の企業は非常に処遇がいい、そういう処遇の点から民間産業に若年労働力が抜かれていく可能性は十分あると思う。そういう処遇の点を考えた場合に、思い切って国鉄が初任給を引き上げていくとか、いろいろ配慮する問題もあるのではないか。しかし人は十一万人減らすんだ、さて残余の中に毎年どのくらい若年労働力をかかえていくべきものであるのか、この辺のひとつ見通しをここで聞かせておいてもらいたいと思うのです。
  167. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 若年労働力の問題につきましては、実は確保する問題と定着させる問題と二つあると存じます。むしろ私のほうは、まあ東京、大阪はちょっと別でございますけれども、東京、大阪を離れますれば確保はできるけれども、なかなか近ごろの若い諸君は定着しないという問題がございます。それには、私のほうが使います職種が、たとえば構内の作業だとか、あるいは線路の作業だとか、いわゆるかっこうのよくない仕事が多いわけでございます。御承知のとおりのようなこのごろのあれでございまして、なかなかそういうところには定着しない面がございまして、むしろ私のほうでは、いま確保の問題と同時に、いかにして定着さすかという問題に非常に頭を悩ませております。  しかし実際歩どまりと申しますか、それほどひどい、十人とって十人いなくなるということではございませんが、まあ三分の一ぐらいやめてしまう、あるいは場合によっては四割やめてしまうということもございますが、そういう意味の今後の若い諸君を定着さす、それにはやはり何か希望なり明るさがなければいけないということで、定着させる方法としてはいろいろなことを考えておりますけれども、やはり何上申しましても地方から東京、大阪へ連れてくるという大体のパターンでございます。  したがって問題は、かりに定着しても、結婚適齢期になるとどうしても帰りたいというまた諸君が、これはやむを得ないことだと思いますが、非常にふえてまいります。この諸君を東京へとめることも非常にむずかしい問題もございまして、いわゆる若年労働力という問題の中には、いま先生のおっしゃった初任給の問題もございますが、それと同時に定着さす、あるいは結婚のときどうするかというような問題も含めて、いろいろ考えてやらなければいけない問題だと存じます。  ただ量的に申しますと、大体十一万人のうちですでに四十七年度までに三万人を減らしておりますので、今後減らす分は四十八年度からの計画では約七万七、八千ということでございます。したがって、かりに毎年一万人といたしますと一まあ一万二千から一万三千やめます、そのうちいま申しましたような第一線のどうしても若い諸君でなければできない仕事、それらが大体三千人ぐらい、これはどうしてもとらなければいけません。したがいまして、減耗補充を一〇〇%しないで、一万二千人やめれば三千人だけとるという形で、残りが合理化ということで減っていくわけでございます。そういう意味で、大体年間三千前後は今後とも新規採用してまいります。  しかし、それでまいりましても、やはり人員構成としては必ずしも感心した人員構成にはなりません。かりに企業の人員構成が大体年齢層から見てピラミッド型がいいとすれば、いま私のほうは全くピラミッドをさかさまにしたような形になっております。これが上のほうがあと十年するとほとんど抜けてまいりますが、その際にさっき申しました三千人ぐらいの新規採用でまいりますと、あと十年ないし十五年後の人員構成は非常に下の細い形になります。ですから、あまり企業体の人員構成としては必ずしも感心した形ではございませんが、やはり首を切らないで人を減らすという以上、それ以外に方法がないということで減耗の補充を三千人くらいでやっていくというごとは変えておりませんが、いま先生の御指摘の、将来非常に人員構成がおかしくなる、将来非常に若い人が減ってしまうということについては、確かにそういう形になるおそれはございます。したがいまして、その場合には、結局仕事のやり方をどういうふうにして新しい人員構成にならすかという問題でございます。たとえば一番私のほうで困っております第一線の操車場構内における連結手、いま構内作業係と申しておりますが、これらはやはり思い切って自動化してそういう仕事が要らなくなるようにするというふうなことで、いま思い切って全国の約三十くらいの大きなヤードの自動化を考えておる。これは大体予算に入れておりますが、そういうことで、二十歳前後、二十五歳以下の若い人でなくてもやれるような仕事に直していくというふうな、鉄道の仕事のやり方そのものを逆に人員構成からアダプトするということも考えなければいけないというふうなことで、今後の近代化につきましては、そういう将来の人員構成も頭に置いた上で、しかも非常に危険の伴う、あるいは重労働作業については極力機械化してしまうということを考えて、将来とも若年労働力の不足に対応していきたいというふうな考え方でございます。
  168. 森中守義

    ○森中守義君 ちょっとこれは愚問ですが、大体若年労働力と称するものの定義、何歳から何歳までをさすのか。  それからいま国鉄の場合、単年ごとにそれに該当する若い人たちを新規採用といいますか、どのくらいとっておられるのか。そうして、さっき総裁も言われたように、十人のうち十人出ていくわけではないといわれるのだが、おおむね定着率は年率何%くらいであるのか、採用者に対しまして。わかっておりましたら示してもらいたい。
  169. 加賀谷徳治

    説明員加賀谷徳治君) 若年労働力の定義というのは非常にむずかしいわけでございますが、私どもの企業の中の組織の仕事といたしまして、一番底辺になるところの、かなり夜間の勤務をするとか外でやる、いま総裁の申しましたようなヤードでかけ回るとか、線路の保守をするとか、それから屋外で夜間の勤務を伴うもの、そういったものをこなせる程度の年齢の者をとりあえず確保していかなければならないというような問題もあると思います。その需給の面につきましては、いま総裁が詳しく申し上げましたとおりでございまして、私から特につけ加えることはないと思うのですが、年々これもいま総裁の言われたように、三千前後くらいのものを採用して穴埋めをしていくというようなことでございます。  それから定着率の問題は、これは場所によっていろいろ違いますけれども、一時民間企業なんかに見られておりました、非常に定着率が悪いというようなこととは違いまして、東京のような大きな大都市周辺の人はなかなか就職してくれませんので、遠いいなかの、九州とか北海道とか、そういうところから持っつくるわけでございますが、そういった方につきまして、なるべく東京に定着をするような施策を講じておる。たとえば住いでございますが、そういったようなことも重点的に充ててやっておるというようなこともございまして、総裁の御答弁もあったと思いますが、全国的に見ますと、採用をしましてやめていくのが三%か四%、その程度のものだ、そういった意味におきましては、将来のことはわかりませんが、目下のところ非常に定着率がいいというふうに私どもは考えております。
  170. 森中守義

    ○森中守義君 いま三、四%ということですから、さしずめそう気になる問題はないでしょうね。しかしながら、いま一般的な風潮として中学あるいは高校を出たような人が金の卵などといわれる時代ですから、よほど将来のことをおもんぱかって、たとえば福祉施設を充実していくとか、あるいは初任給を思い切って引き上げるとか、あるいは職務環境をもっと改善する、いろいろな角度から改善方策を考えていかないと若い国鉄になりかねるような気もしますね。これはひとつ要望ですけれども、大体事情としてはわかりました。  それからいま一つ新幹線建設にあたりまして、国鉄と鉄建公団が並行してやっているんですね。この辺の理屈が私はよくわからない。元来、鉄建公団を数年前につくったときは、そういうような仕組みでなかったと思う。ところが、いつの間にやら山陽新幹線を、この区間は国鉄がやる、次の区間は鉄建公団がやるというように混合してやっておりますね。これは一体どういう根拠に基づいたものでしょうか。
  171. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) 御指摘のとおり、昭和三十九年に鉄道建設公団ができましたときは、その提案理由にもございますように、新線の建設国鉄から切り離しまして新しい鉄道建設公団がこれを行なうということで、いわゆるAB線あるいはCD線と申しますものを建設してきたわけでございます。一方、東海道新幹線につきましては、これはその以前から国鉄におきまして、いわゆる新幹線といたしまして建設してきたわけでございます。で、昭和四十五年に新幹線鉄道整備法ができたわけでございますが、そのときにおきまして、いわゆる建設主体といたしまして国鉄並びに鉄道建設公団、こういうふうに法的に定められたわけでございます。  で、どうして二つの建設主体をきめたかと。これは議員立法で国会で御審議いただきましたので、私のほうからとやかく言うことではございませんが、いわゆる新幹線と申しますものが、全国的に新しい鉄道を建設するという国家的プロジェクトでございまして、日本の鉄道の技術総力を結集いたしましてこれに当たるべきものであると。また同時にこれは多額の資金も要すると、こういうことから国鉄並びに鉄道建設公団、この二つが新幹線建設するというふうに相なったと、かように考えております。
  172. 森中守義

    ○森中守義君 鉄監局長、この監査報告では、国鉄の四十七年度の工事経費の決算額が五千五百九十三億、こう示されております。そこで、これに対応する鉄建公団工事決算額は幾らになりますか。
  173. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) 四十七年度におきます鉄道建設公団、この工費総額は千二百三十億でございます。このうちいわゆる新幹線といたしておりますものが二百七十二億でございます。
  174. 森中守義

    ○森中守義君 千二百三十億の中の二百七十二億ということですね。
  175. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) そうでございます。
  176. 森中守義

    ○森中守義君 そうしますと、国鉄の決算額の五千五百九十三億、この中における新幹線は幾らになりますか。
  177. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) 国鉄におきます四十七年度の新幹線は二千十七億でございます。
  178. 森中守義

    ○森中守義君 幾らですって。
  179. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) 二千十七億でございます。
  180. 森中守義

    ○森中守義君 いまの数字からいけば、大体国鉄に対して鉄建公団は約一〇%ということですね、そういう勘定になるね。
  181. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) 国鉄におきましては、現在山陽新幹線が四十九年の十二月完成ということで、これに非常に国鉄工事費の中の主力を要しておるわけでございます。で、それ以外の、いわゆる現在建設いたしております東北新幹線、あるいは上越新幹線、成田新幹線、これにつきましては大体同じような。ベースでございますし、現実に本年度におきましては、現在調査いたしております五調査新幹線、これにつきましては国鉄、鉄建公団、それぞれ五十億を予算上計上いたしております。
  182. 森中守義

    ○森中守義君 それから国鉄と鉄建公団の分け合いですね、もともとの計画はどこでやるのですか、実務的には。この部門が国鉄とか、これは鉄建公団というようにやっているんでしょう、新幹線の場合、どこでやるんですか。かってに国鉄がこれはおれがやりたい、鉄建公団は、これはおれがしたいということで、思い思いにやっているのか、総合的な調整はどこでとっているのか、その辺はどうなんですか。
  183. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) これは鉄道建設審議会におきまして、いわゆる整備計画、この段階におきまして建設主体がきまるわけでございます。で、現実の手続でございますが、これは整備計画の諮問をいたしまして、その答申におきまして建設主体がきまるということでございますが、現在まできまっております新幹線につきますと、山陽新幹線は別でございますが、東北新幹線、これは国鉄でございます。それから上越新幹線並びに成田新幹線は鉄道建設公団でございます。で、大体の考え方でございますが、国鉄の技術能力、それから鉄道建設公団の技術能力、技術陣営と申しますか、それにつきまして、さらに国鉄におきましては、在来線の複線、電化あるいは改良工事、こういったいろいろな工事をいたしております。また鉄道建設公団におきましては、AB線あるいはCD線、さらに現在青函隧道をいたしております。そういった技術能力、いわば技術陣営の能力、こういうことからいきましてのキャパシティと申しますか、技術能力と申しますもの、それとさらに国鉄は全国にあまねく改良工事あるいは電化、複線化といったこと、すべてについていたしております。ことに大都市におきます在来線との接続の問題こういった複雑な問題につきましても、一手にやっておるわけでございます。一方、鉄道建設公団におきましては、ただいま申しました青函隧道あるいはAB線といったようなところで隧道工事には特に経験者が豊富でございます。こういったそれぞれの技術の特色といったことも加味いたしまして、現在の東北新幹線は国有鉄道がやる、上越新幹線、成田新幹線日本鉄道建設公団、こういうふうになった経過がございます。
  184. 森中守義

    ○森中守義君 何か監査委員長は退席の御要望がありますので、あと三十分くらいでやめたいと思っておりますが、ちょっと、じゃお帰りになる前にひとつ大事なことをお伺いしておきたいと思います。報告書の一七ページの二項でこういわれているんですね。「新幹線東京・新大阪間は、近い将来輸送力が限界に達すると予想されるので、東海道ベルト地帯における輸送のひっ迫によって国民生活および国民経済に支障を生じさせないよう、新たな新幹線の具体化をはかることが望まれる。この際、現在開発中の超高速鉄道の可能性についても早急に検討すべきである。」こういう御指摘がある。ところが、いままで私どもが再建計画等から承ってきたのでは、新幹線計画が投資額として、試案のようですが、四兆八千億予定されておる、しかもその内容は全国高速ネットワークの整備のため、山陽、東北新幹線調査新幹線の完成、これは四線か五線でしたね。その他新幹線の着工と、こういうようなことになっているんですが、この辺のとらえ方はどうなんですか。つまり新幹線四兆八千億の中に東海道第二新幹線ともいうべきでしょうか、そういうものを予測されてこういうものをお話しになっているのか、あるいは再建計画は、これは監査委員会所管ではない、監査委員会としては要するに現在の輸送状態から見て、東海道第二新幹線の必要があるから言ったまでだという御見解なのか、この辺どうでございましょう。
  185. 金子佐一郎

    説明員金子佐一郎君) お答え申し上げたいと思います。  監査報告書におきまして、この問題に若干触れましたのは、ただ私どもといたしましては、現在、東海道新幹線輸送人キロを見ますと、年率でございますが、一〇%近く伸びております。で、現に私どもはしばしばこれを利用いたしますのに、いわゆる私どもは新幹線はあのように皆さまが立って、そしていわば非常に高い率でもって押し合って乗っていられるという姿というものは、時間帯にもよると思いますけれども、最初私どもは、個人のことでございますが、予想していなかった。しかるところ最近は、もう新幹線は、一般の混雑をいたします列車と同じように、ともかくたいへんな混雑率を示しておるのでございます。  この点を考えてみますと、特に昨年は、御承知のとおり、岡山の開業などもございまして、さらにこれが一二%伸びる、こういったようなことで、だんだんこの調子では、この新幹線、特に東海道、山陽含めまして新幹線ができるといたしましても、やがて行き詰まるのではないか、こういうことを想像いたしても、何かこの想像は当たるのではないかと思うような気持ちで一ぱいでございます。したがって、それではその輸送力をこのまま放置しておいていいのかどうかといえば、おそらくや、いまのうちに何らかの形で手を打ち、いま述べた同じような新幹線がもう一本並列されるということも考えられましょう。しかしながら仄聞するところによりますと、何かいま開発中の超高速鉄道方式が技術的に検討されておられるようであります。これはまだ具体化の域に入るということを私どもは申しておるんじゃございません。かなり性能の高いものが開発検討されているとするならば、今後は、こういう問題をいまのうちから考えておかないと、やがて東海道、山陽のような主要幹線は、現在の新幹線だけではとても追いつかなくなるというような、輸送量を想像をいたしましただけでも、早く手を打たなければならないなということを監査委員会といたしましても考えたのでございます。  この問題は、あるいは監査の域を脱しておるかもわかりません。あるいは将来の見通しだけをここに掲げて、暗にひとつこういう問題を考慮していただきたいと希望を述べた程度でございますことを、ひとつ御了承賜わっておきたいと思う次第でございます。
  186. 森中守義

    ○森中守義君 これは大臣、どうなんですか、この試案というのは運輸省の試案ですか、それとも国鉄の試案ですか。まずそれを承りますと同時に、この試案の中の四兆八千億というのは確かにあります。そこでいま委員長が言われたように、希望を表明したんだと、こう言うわけです。しかし現実的に国鉄の今日の状態、ことに東海道新幹線の現状が、まさにもう行き着くところに行き着いた、第二新幹線を設定をしなければ、現代の需要事情に応じ切れないという、いわばぎりぎりの見解のようにも受け取れる。  そうなりますと、この四兆八千億の中に、東海道第二新幹線というものが予測をされているのかどうなのか、これはどうでしょう。ただ私は、これは試案というので、この試案が運輸省試案なのか、あるいは国鉄試案なのか、ただ予算規模、投資規模十兆五千億ということは、これははっきりしている、ずっと小きざみにしてありますがね。さてこれは試案の域を出ているのか。つまり成案を得たものかどうなのか。これも大いに問題ですけれども、それは後日に譲るとして、ここにいわれている試案の中に、東海道第二新幹線というのは予測されていたものなのかどうなのか。そこは思案のしどころだという話ですがね、これは簡単な試案じゃ困る。へたなことをやると思案くたびれてしまって、またこれやり直しということになります。監査委員長希望表明だと言われるんだが、その希望表明を受けて実行に移すのかどうなのか。そういう際に四兆八千億はどういう動き方をするのか、大臣総裁おのおのから、ちょっと。これはあまり深くお答えにならなくても、次もう一回やりますから、概念だけでいいです。
  187. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 監査委員会報告は、これはこのままではこういうことになりますぞという御意見の表明だと思って受け取っているわけです。いま東海道新幹線状況を見ますと、そういう傾向が多分に見られると、われわれも感じておるわけです。  この四兆八千億の新幹線に対する投資規模というものは、これは国鉄の試案でございます。ですから在来線のほうに対して電化はどうしますとか複線はどうしますとか、公害等に対してどうしますとかいうようなことを、国鉄のほうで一応試案として出しているわけでございます。で、問題の焦点に触れますが、東海道の新しい、第二といってもいいでしょう、その新幹線はどうだと、こういうお尋ねのようですからお答えしますと、この十カ年計画の中で、もうすでに新幹線としてでき上がっているものもあり、そのほかに現在調査中のものもあるわけでございます。これはやがて私の手元に調査報告が出てくると思います。出てきた場合にはその調査報告をもとにいたしまして、鉄建審にかけまして、整備計画というものを立てまして、そこで諮問機関ですけれども、各党の代表が出ておられますから、そこで十分御審議を願って御決定を願いまして、工事に着手するということでございますが、ここまでは、大体いまの予定では昭和五十四年までに、いま調査中の五線、これは大体できるだろうという見通しでございます。  そのあと新幹線はどうするかという問題ですが、昨年鉄建審からも、これは諮問機関ですが建議がありまして、次の新幹線調査についても積極的にやれ、こういうような建議がありました。私とものほうはそれを受けまして——いまもう各地ともたいへんな希望です、各県知事もいろいろ地元の方を連れて、私のほうにも早く新幹線をという要望が多うございます。ただ順序になりますと、やっぱり輸送の需要というものを見ないと、そう簡単にはきめられるものじゃありませんから、私のほうでいまそういった調査を進めております。  で、五十四年以後にどこに手をつけるかということでございますが、これはそういう輸送事情輸送の需要というものを全国的によく調べまして、それに対応するような新幹線調査を追加をしなければならないなと、私は考えておるわけでございます。で、そういった問題については、いずれまた近いうちに鉄建審を開きまして、皆さんの御意見を聞きながら、これは処理することにしたいと思っておるのでございまして、この第二新幹線と称する東海道のこの新幹線を一番優先するとか、他の新幹線についてすでに調査ができ上がってもう予定をしているというような状態では、いまはまだないのでございまして、とにかく五十四年にいまの調査線ができますから、五十四年からすぐに引き継いで、それからかかるというんじゃ、もうおそうございますから、少し前からかかれるような準備をして、いまから調査を始めようという、いま調査をしつつあるという段階でございまして、東海道第二新幹線というのはそういうふうに受け取っていただきたい。  それから工事規模からいいますと、この四兆八千億ですか、この中では、もしかりに国鉄がこれをやるといたしますと、その範囲内で、つまりいま出しております十カ年計画工事規模の範囲内でやれるという見通しでございます。ただ非常に長くなったり、工事が大きくなりますと、かりに五十二年、三年ぐらいから手をつけましても、五十七年にはこれはできないだろうと思うんですね。私どものほうの再建計画は十カ年で、五十七年度までですから、工事そのものは長い工事あるいは大きな工事になりますと、五十七年から先になりますから、これは今度の十カ年計画からもちろんはみ出てくるというわけでございます。十カ年計画の中における工事量としては、十カ年計画の中で処理できると、こういう見通しでやっております。
  188. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) いま大臣がおっしゃったとおりでございます。多少こまかくなりますが、まずこの試案は、これは私のほうの国鉄限りの試案でございます。具体的には毎年国家予算におきまして御承認を願うわけでございます。これは一つの私どもなりの試案であるというふうに御了承願いたいわけであります。  それから監査委員会でおっしゃったような超高速鉄道でございますが、私どもは、いま第二新幹線ということばをよく使われますが、私どもは、もし第二新幹線というようなものならば、絶対に新しい運転システムでやりたい、いわゆる超高速鉄道でやりたい、こういう気持ちを持っております。ただ、けさほど鈴木先生から御質問のあった中央新幹線、これは一応別といたしまして、もし第二新幹線というようなものが、東海道中央のほかに必要であるというようなことになれば、これはぜひとも私どもは新しいシステムでもってやらしていただきたいというふうに思っております。その予算は、もちろんこの四兆八千億に入っておりません。そうして技術開発という名目でもって、安全合理化等の中に数百億、まだこれは金額ははっきりいたしませんが、大体数百億のオーダーで考えております。と申しますことば、現在研究所の構内で一応走っておりますが、これは大体実物の数分の一の模型であるし、またゲージも実物の半分ぐらいである、ほんとうの模型であるということでございまして、現時点におきましては、模型としてのテストは一応頭打ちになっております。どうしても今年か来年ぐらいには相当飛躍した技術開発の段階に入りませんと、ちょっと実現不可能になる可能性もございます。ということでもって、いま関係の技術者の諸君は、何とかいまの模型的なものから、もうひとつ進歩したものにしたい。そうして十年ぐらいの間には何とか実用化したいという気持ちを持っております。さしあたりこの十兆五千億の計画の中では、これを実用化できるかどうか、あるいはする必要があるかどうか、どのくらい金がかかるかという技術開発費ということだけを計上しております。その点で、いわゆる新幹線の四兆八千億には入れて考えておりません。技術開発費として数百億と、まだ三百か五百か八百か、それはちょっと見当はつきませんが、大体数百億のオーダーで技術開発として、十カ年間に何とか目鼻をつけたいというのが、この計画の中の目標でございますので、新幹線計画とは全然別である、こういうふうに御了承賜わりたいと思います。
  189. 森中守義

    ○森中守義君 いま大臣総裁のお話を承って、大体御意向はわかりました。ただし御両者の間に完全に調和がとれておりませんから、これは非常に重要な問題ですし、ひとつ次回にもうちょっと内容的にお尋ねすることにいたしましょう。  最後に、累積赤字がここまで巨額なものになった中で、短期もしくは長期の借り入れ及び鉄道債、こういったようなもの、つまり借財ですね。こういうものをはたして政府の妥当な措置というふうにお考えでしょうか。私はここまで巨大な借り入れ金をする前に、もっと別途な方法で政府が考究し、かつ実施すべきではなかったか。国鉄の独自の意思で、こういう借り入れ金をしたり、あるいは鉄道債を発行したものとは思えない。いわば政府がそういうものを強制したのか、あるいは容認したのか、どちらにしても政府の責任がここまでこうしたと、こう思う。そういうところに、国家企業であろうと、民間の企業であろうと、こういう巨大な債務を一つの企業に背負わせるということが、はたして企業のあり方か。これを指揮監督する政府の立場としてどう思われますか。
  190. 金子佐一郎

    説明員金子佐一郎君) お答え申し上げておきます。  ただいま御指摘のように、これは私どもから、民間企業に関係しております者から見れば、まことにその点は想像に絶するものでございます。かりに赤字が企業に出ますれば、それがだんだん累積して巨額になれば信用を失墜し、借り入れ金は当然困難になってくるのが実情でございます。しかし国鉄は、今日長期負債といたしましても三兆七千億ほどの債務を持っております。それで鉄道債を見ましても、一兆八千億あるいはまた長期借り入れ金でも、同じく一兆八千億円以上のものを債務として負っているわけでございます。しかしながら、これだけの債務の調達というものは国鉄、言いかえてみれば、やはり国としての背景、信用があってこそ私はできるのだと考えておるのでございます。  しかしながら今日の赤字の実績を見ましても、また国鉄は今日まで資産に投下いたしましたいわゆる設備投資の点から見ましても、これだけの赤字あるいは資産投資、こういうものはみずからの利益の中、蓄積からなされるということについては、すでにその限界を脱しまして、赤字に転落しているのはもちろんのこと、赤字以前であっても、それだけの利益は私はなかなか得られなかったんではないか。まあ施設の投資については減価償却費裏づけ資金をもってやった時代もございます。今日はその減価償却費以前においても赤字を露呈いたしておるのでございます。  したがって、これらのこの債務がなし得たということは、これは何といっても国鉄自身の力によるものもございましょう。しかしながら、その裏にやはり国としての大きな背景があって、その信頼のもとにこれが行なわれたと思うのでございます。  また、その借り入れ金債務についても、国の大きな援助があったと当然言えるわけでございます。ただ、これの是非の問題になりますと、私ども申し上げることはなかなか容易ではないと思う。何となれば、これらの問題が、このような形で、もしも不可能で債務ができない、借り入れ金もできない、あるいは鉄道債券の発行もできないということであったならば、もうとっくに国鉄は倒産いたしておると、はっきり申し上げられるのではないかと存じます。われわれ一般企業におきましても、赤字だけではそう簡単に会社はつぶれません。しかし、もしも資金欠除による不渡り手形一枚出しますれば、これは直ちに倒産しておる事実は見られるのでございます。  こういう意味におきまして、むしろこれだけの長期債務を負うことができたという国鉄自体において、初めて今日経営が維持され、そしてこの一兆円の累積赤字にもたえているということだけは申し上げられるんでございます。まあこれをいかにして合理的なところまで——当然借り入れ金なしでは経営はできませんが、その借り入れ金が赤字による借り入れ金、こういったようなものを払拭できるということは、今後の再建に待つよりしかたがないと、このように考えておる次第でございます。
  191. 森中守義

    ○森中守義君 この点は非常に重大な問題だと私は思う。御所見は御所見として承っておきますけれども、私が申し上げたいのは、いま委員長国鉄に信頼があったから、それで金が借りられた。その限りにおいては私も異論はございません。しかし借り入れの限度がはるかに越えている。これは問題だと思うんですね。だから、ここまで追い込まれない前に、ここまで巨額な負債にのたうち回るようなことにならないように、もっと何かなすべきことがあったんじゃないか。これは日本国有鉄道に対する磯崎総裁をはじめとして、幹部各位及び職員各位の、企業及び人間の信頼の問題とは多少質的に変わった見方をしておくほうがいいんじゃないかと、こういうように思うんですね。  なるほど民間の場合は、確かにその企業に対する社会的な信頼、特に金融機関等の信頼の問題等が大きくものを言うでしょうけれども、国鉄はそれと同様には見れないんですね。だから、たいへん用心深い御答弁で、これ以上お尋ねするのもどうかと思いますが、私のお尋ねしている意味は、あまりにも過度に失する負債をになわせ過ぎた。これが問題だ。そのことを国鉄の現状から判断をする場合に、こういう措置がどうであるかという委員長の御所見いかんと、こう聞いているわけでして、はっきりとそれは過大過ぎる。もっと前に、ここまで借金しなくてもいいような方法なかったのかと、そう言えば、いやあ運賃をひとつ何とかしてくれたらよかったんだと、こういう返しことばもありましょうけれども、そういうことのほかに、もっとやるべきことがあったというように私は思う。  まあこれ以上お尋ねいたしませんが、意味合いはそういうものであるということでとらえていただいて、この法案審議の際に、その点もっと深刻な問題として掘り下げていきますけれども、またひとつ機会をぜひおつくりいただいて、次回でもお越しいただくことをお願いして、どうぞお引き取りください。ありがとうございました。  山口さん、国鉄の償却の問題、これは何年か前、石田総裁の時代に、ヒルトンホテルで石田さんが演説をされた。その際に償却の問題に触れて、どうも国鉄の償却の今日の状態というものは非常に厳格過ぎて、本来ならもうちょっと延ばしてもいいんだという、こういう意見を何かで私は見たことがある。そこで一体、国鉄の償却の根拠になるもの、あるいは現状、ことに償却前の赤ということが非常に深刻な問題になるんですけれども、その辺の償却については監査委員会ではどういうふうに見ておられますか。
  192. 山口眞弘

    説明員(山口眞弘君) 国鉄の償却の制度につきましては、先生も御承知のように、運輸大臣が会計規程に関する基本事項というものにつきまして、運輸大臣が承認をいたしまして、それに基づきまして国鉄が会計規程を設けまして、それに基づいて処理をいたしております。  その中におきまして、償却の問題でございますが、監査委員会といたしましても、会計の監査をいたします関係で、償却の内容というものを十分に検討をいたしております。  で、現在の償却の制度というものは、大体におきまして会計学等の通説に従い、特に法人税法等に関する規定というようなものを参酌をいたしまして、会計制度というものを積み上げておるわけでございます。したがいまして、償却制度につきましても、大体それに準拠した償却の方法というものをとっておるわけでございまして、その限りにおきまして、私どもこれが妥当な制度であるということで、それに基づいた内容の監査をいたしておるわけでございます。
  193. 森中守義

    ○森中守義君 これも再建計画及び財政問題の一つの大きな柱になると思いますので、次回ひとつ、いま山口委員は妥当な制度だと、こういう御見解のようですが、もう少し中身をお尋ねすることにいたしましょう。  国鉄の自動車局長、少し勉強不足で、十分でございませんが、一体、国鉄の自動車とはどういう趣旨のもとに生まれ、どういう経過をたどって今日に至っているのか、ひとつ沿革を少し教えてもらいたい。
  194. 田宮新年

    説明員(田宮新年君) 田宮自動車局長でございます。  沿革でございますが、昭和五年に岡崎−多治見間に国鉄バスが初めて創設されまして、当時は先行、代行、短絡、培養——鉄道のいわばわき役ということで路線を漸増してまいったわけであります。その後、戦争に伴いまして軍需輸送を担当することになったわけであります。なお御承知のように、敗戦に伴いまして物資が非常に不足しておるということによりまして、今度は復興物資輸送という方向に転じまして、やったわけでありますが、その後、世の中が非常に落ちつくということに伴いまして、いわゆるバスの黄金時代といいますか、非常な発展期を迎えまして、地方路線の開拓ということで大いに路線を延ばした次第であります。  その後、鉄道の補完機能の拡充ということでありまして、たとえば関門急行線でありますとか、また昭和三十九年の名神開業に伴います高速道路に対する進出、昭和四十四年に東名に進出するといったような、ハイウエーに進出するというような事態を迎えました。いろいろの変遷をたどってまいったわけでありまして、いわば国の歴史とともに歩みを重ねてきたと言っても過言ではなかろうかと思います。
  195. 森中守義

    ○森中守義君 現在の収支状況はどうなっておりますか。大体償っておりますか。
  196. 田宮新年

    説明員(田宮新年君) かいつまんで申し上げますと、昭和四十年代に入りまして、御承知のように、人口の都市集中による過疎化が起きました。国鉄バスは、先生も御承知と思いますけれども、非常に過疎地帯に多く路線を持っておる。先ほど名神、東名の例をあげましたが、これらは大体例外でありまして、過疎地帯を走っておるということであります。したがって、過疎のマイナスの影響をもろに受けたということであります。  それから、御承知のように、マイカーブームということで輸送量が伸び悩んでおる、また人件費は、これは鉄道と全く一体でございますので、しばしば御説明申し上げましたように、これはなかなか高くなってきておるということで、収支は非常に悪くなっております。ちなみに、昭和四十四年度から申し上げますと、収入は百六十六億円で、経費が二百四十四億円、七十八億の赤字、収支係数が一四七。四十五年度は収入は百八十八億円で、経費が二百七十五億円、赤字が八十七億で収支係数が一四七。昭和四十六年度は、収入が百九十五億円、経費が二百九十二億円、とうとう百億円赤字を出しまして、収支係数が一五二というふうに悪くなっております。また最近明らかになりました昭和四十七年度の傾向を見ますと、収入が二百十二億円、経費が三百二十二億円、差損が百億からさらに十億上積みしまして百十億ということで、ただ収支係数だけは一五一というふうに一だけ改善されておりますけれども、われわれ経営する者から見ますと、やはり差損というものが問題であります。十億の赤字をさらに重ねたといった状況になっております。
  197. 森中守義

    ○森中守義君 総裁、いま局長からお話があったように、たいへんなものなんですね。ただ私の手元にある資料からいきますと、三十七年以降一度も黒字になったことがない。三十七年が十四億、三十八年十一億、三十九年二十七億、四十年三十一億、四十一年三十六億、四十二年五十四億、四十三年六十七億、四十四年七十八億、さっき局長が答弁されたとおり。  これはもともと沿革的な話を、さっきちょっとお尋ねしましたが、こういうように欠損を最初から承知の上で始めた仕事ですか、それともとんとんでいけるだろうとか、多少収益を上げたいという意味なのか。むろん四原則というものがあるようですが、そういう四原則というのは当初から差損が出るというような意味合いのものにつながるのかどうなのか、その点どうでしょうか。
  198. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 昭和五年に始めましたときに、いまおっしゃった四原則——一種のあれは制限でございます。あの四原則の制限の中で誕生いたしたわけでございますが、その当時は国鉄全体がそうでありましたので、自動車全体として収支を償うということは考えておらなかったようでございます。むしろそれが言い出されましたのは終戦後、昭和三十年代になりまして、二十年代は燃料がなくて、ほとんどもうかつかつの仕事しかやっておりません。やっと三十年代ごろから車も燃料もできて仕事が始まったわけでございまして、そのときはまだ新線建設が進駐軍の関係昭和二十八年までとまっておりました。むしろ四原則のうちの先行、代行というような感じでもって、二十年代の下期から、ぜひ過疎地帯に——当時は過疎地帯とは申しませんでしたけれども、いわゆる鉄道建設の先行としてぜひバスをやってくれという話が非常に起きたのは、たしか昭和二十年代の下半期だったかと存じます。したがいまして、実際そういうことで、多少本格的に復旧いたしましたときも、ほとんど、全体の路線のうちの九十何%が赤字路線であります。  いま田宮が申しました東名とか名神、これは一応別といたしまして、これは四十年代になってからの開業でございますが、それまでの開業で実際収支がよかったと申しますのは、私の記憶では、広島県の広島海田市と、それから栃木県の那須の近所、あるいは草津という、きわめてまれなところ、それから夏場だけの十和田というような、私がいまでも覚えておる程度のところだけが、どうやら黒字でもって、あとはやはり一種の公共事業という意味で、足の確保という地方からの御要請によってやっておったわけでございまして、したがって昭和二十年代末期から三十年代に相当に始めましたけれども、いずれもこれはほとんどローカル線ばかりでございまして、そのころ盛んにバス会社とのたいへんなけんかがあったわけでございます。昭和二十九年から三十年ごろに、いわゆる民営バスとの非常に大きなトラブルがございまして、それらのトラブルの間は一切うちのほうはとにもかくにも過疎地帯、いまの過疎地帯——いなかをやるんで、あまり都市その他をやらないというようなことで、ちょうどバスの伸び盛りに、また一般の民間バスは非常にその収益を上げておったときに、やはりまあ相当いなかのほうに逼塞しておったと。しかしその地域の方にとってみれば、もうそれがなければ学校に通えない、あるいは物を買いにも行けないというふうな、ほんとうに地方住民の足として働いておったと思います。  しかし、いま申しましたとおり、実際収支の面から申しますれば、ほんとうに営業所別に見てももうかっておったのは、ほんとに私が記憶してる数カ所しかございません。あとは全部赤字でございましたが、それでもしかしその分は、まだ鉄道が黒字でございましたので、十分鉄道で持ってやろうじゃないかという意味で、鉄道が黒字のなくなる昭和三十年代の末期までは、バスで十億や二十億の赤字を出してもそれは鉄道でもって埋めようじゃないかというふうな気持ちでもって地方の足を確保しておったという、まあ多少誇張はあるかもしれませんが、私としてはそういうような感じでもってやっておったという気がします。
  199. 森中守義

    ○森中守義君 まあこれは、あと答申内容等もお尋ねしますけれども、最近あるいは十カ年前ぐらいで、路線の拡張申請とか、そういうものをやられたことがあるのかどうか。  それと、山口委員にお尋ねしていきますがね、監査報告の中でも自動車のことがちょっと触れられてるんですね、四行か五行。それで日本国有鉄道といえば列車である、鉄道が中心だという、まあこれには間違いないと思う。けれども、一つのやはり国鉄の中における部門をなす事業ですから、まあやはり監査委員会としても、局長が言われたように、また私が資料をちょっと御披露したように、三十七年以来ずうっと赤字赤字なんですね、一年でも黒字になったことはない。しかし昭和五年の開業といえば、すでにもう四十三年の歴史がある。おそらく日本のバス運送事業の中で一番古いんじゃないですか、歴史的にはね。それが路線の拡張を抑制をされる。しかもなお、今日その過疎状態の中に、バスの公共性が強調されて赤字路線を持ってるバス会社等には運輸省のほうから助成金が出てる。こういう状況からいたしますと、一体日本国有鉄道の有するバス運送事業というものは、一般のバス事業者という扱いになるのか、あるいは特殊事業ということになるのか、まあこの辺の基本的な問題を一ぺん解明しないと答えにならないですね。よって監査委員会は、日本国有鉄道の有するこのバス部門をどういったように見ておられるのか、この点どうでしょう。
  200. 山口眞弘

    説明員(山口眞弘君) ただいま磯崎総裁からお話がございましたように、日本国鉄バスの創設は非常に古いわけでございまして、たしか瀬戸線と思いますが、岡多線でございますか、その近くの代行輸送というものから始めたようにいま記憶しておりますが、ただいまお話がございましたように、当初からいわば短絡、代行ということにおきまして、収益的には非常によくない線というものをやっておったというのが事実でございます。また現在に至りましても、国鉄自動車が占めておりまする分野というものは、多くの路線につきましては、これは大体におきまして各地の閑散の地域というものを中心として運営いたしておりまして、したがって毎年赤字を計上いたしておる。最近になりまして東名、名神等の一部の路線というものがございますが、大部分はそういう性格のものでございますから、国鉄自動車が構造的にそういう赤字の要因をかかえておるということは、これは否定できないところでございます。  しかしながら、私ども監査委員会といたしましては、そういう構造的な問題はございますが、国鉄の使命ということから考えてみますと、当然そういう路線を維持するというのが、これは当然の使命でございますから、したがって、そういう前提に立って、私ども国鉄自動車の内容というものを見ておるつもりでございます。  なお監査報告におきまして、国鉄自動車の問題につきまして、もっと大きく取り上げるべきではないか、まことにごもっともと存ずるところでございまして、今後十分にそういう方面で、突っ込んだ勉強というものもしてまいりたいと思います。
  201. 田宮新年

    説明員(田宮新年君) 先ほど先生から御質問がございました過去十年間における自動車の申請といいますか、私も全部つまびらかにしておると言う自信はございませんけれども、おも立ったところを申し上げますと、先ほど申し上げました三十九年の名神、四十四年の東名高速線、それから群馬、長野県にわたります志賀草津高原線を一昨年申請いたしまして、いずれも免許を受けたような次第であります。
  202. 小柳勇

    ○小柳勇君 運輸省の自動車局長、さっき森中君が言ったのは、基本的には、この国鉄のバス事業あるいは運送事業というものは鉄道——いわゆる国鉄の範疇に入るのか、あるいは一般バス運送事業と同じような範疇で考えるのか、基本的にはどちらに運輸省としては考えておるか、こういうことを言っているのです。
  203. 小林正興

    政府委員小林正興君) 国鉄バスにつきましては、沿革的には先ほど国鉄から説明がありましたとおりでございまして、これが日本国有鉄道法におきまして、鉄道事業に関連する自動車運送事業というものが国鉄の自動車の性格であるわけであります。これがいわゆる具体的には四原則といわれておる国鉄の自動車の性格といいますか、使命であるわけであります。で、こういった鉄道事業に関連する自動車運送事業という性格を持った運送事業でございますが、自動車全般につきましては道路運送法という総合法規がございまして、この中において、民間バス、あるいは地方自治体でやっております公営バス、それからただいま申し上げました国鉄バスというような、企業形態からいいますと三種類の自動車運送事業があるわけでございますが、こういった自動車運送事業を開始する際に、道路運送法におきましては免許の処分をいたすわけでございまして、その際に民間あるいは公営バス、国鉄バス、いずれのものにつきましても、そういったものにつきまして、十分調整をとって、そうして道路運送法上その免許の可否を決定しておるわけでございます。ただし国鉄は国有鉄道法上国とみなされておりますので、一般の民間バスと違って、免許にかえて承認という表現にはなっておるわけでございます。
  204. 小柳勇

    ○小柳勇君 そういう原則はあろうけれども、扱いは一般バス事業あるいは運送事業と同じなんですよ、運輸省でやっているのはね。たとえばバス料金決定は、国鉄運賃はこれだけ国会で騒いでおるのに、バス料金は、たとえば福岡県であれば福岡県のバス協会と同じように運賃値上げを申請してきまっていくわけです。先般も地域で討論会に参りましたら、国鉄運賃のほうはあんなに国会で騒いでいるのに、国鉄バスの料金はどうして、地方で、陸運局できめてしまいますかと、こういうような質問があった。したがって、いま原則は四原則で動いておりますけれども、扱いはただ路線申請者が国鉄というだけで、扱いは一般のあれと同じように運輸省として扱っています。そういうところが、いま森中君の言っている問題であろうと思うが、将来変更する意思はありますか。
  205. 小林正興

    政府委員小林正興君) 扱いにつきましては、先ほど申し上げましたように、道路運送法で企業形態のいかんにかかわらず事業の開始について免許というような処分をいたし、さらにただいま御指摘になりました運賃の認可につきましても、自動車運送事業としての運賃料金の認可を道路運送法上いたしておるわけでございます。ただし国でございますので、その他の手続規定等については大幅に適用除外の規定を設けておるわけでございます。したがって扱いは道路運送法上免許あるいは運賃についての認可という手続が必要になるわけでございますが、その性格、これは日本国有鉄道法上与えられた性格でございまして、一種の特別な使命を帯びた、また若干限定的な自動車運送事業であるというふうに解しております。
  206. 小柳勇

    ○小柳勇君 この問題は私も質問しようと思っていたから、いい機会ですから。  たとえば路線免許申請を出しますね。その場合に、大きな路線でありますと、民間でも国鉄に太刀打ちできないから二社ぐらいが共同して出します。そうすると国鉄と競合するような場合に、これは同じ路線で二社免許する面もあります。あるいは民間だけをとって国鉄を拒否する場合もあります。その場合、ずっとわれわれ客観的に見て、やはり日本国有鉄道のバスだから、これはもう全然別個に判定しなければならぬということはないんですよ。結果的に見てやはり同じようなバス事業として判断をして、これで路線に、片一方は認可でもいい、片方は承認でもいいですけれども、結果的にはそういうことになっていますから、さっき総裁が言われたように、初め過疎地帯を、とにかく国鉄建設の先行として走らせるとするならば、現状のやっぱりそういうものを考えて、この路線免許なりしませんと、このようにずっと赤字が出る。たとえば人件費にいたしましても、国鉄のレールの職員と同じ人件費だと言われたでしょう。片やこちらの民間のバス会社は何も国鉄の労働賃金とバランスなんかちっとも考えていませんね。したがって基本的に、これはあと森中君が論議していくでしょうけれども、誕生するときの目的が違うとするならば、運輸省としても、もうそれは四十年間の歴史がありましょうけれども、やっぱりその方向を尊重しながら路線の決定なり、あとの援助なりしなければならぬと思うのです。援助だって、さっき言ったように、過疎地帯には援助していますからね、民間では。国鉄にはそんなことはないわけですから、したがって、それだけのことをどうするかということは、やっぱりこの際大臣とも相談してきちっとしておいたほうがいいんじゃないかと思う。局長の見解だけ聞いておきましょう。
  207. 小林正興

    政府委員小林正興君) 民間バス、公営バス、国鉄バスという、それぞれから免許申請が出まして、それは道路運送法で同じように、交通系絡上どういった輸送がいいかというようなことを、最終的に道路運送法で判断いたすわけでございますが、その前に国鉄バスについては、国有鉄道法において、鉄道事業に関連する運送事業であるという制約がございますので、それに合致したものに限られることは当然であるわけであります。  したがって今後、先生お尋ねのような国鉄バスというようなものを、日本国有鉄道法上の、ただいま申し上げましたような四原則あるいはそういった制約というようなものについて、どうするかというようなことについては、これはまず第一次的には国有鉄道に対する今後の監督行政のあり方あるいは自動車事業のあり方というようなものを慎重に検討していかなければならない問題でございまして、自動車行政上具体的な事案について、国鉄であるか、あるいは民間であるか、あるいは公営バスであるか、そういった企業主体のいかんによって免許方針を云々するというようなことは、まあ第二段の問題でございまして、これは現在とっております方針は、企業形態のいかんにかかわらず、その申請内容が交通系絡上どういった免許がいいかと、あるいは複数がいいか、あるいは単数の場合にはどちらがいいかというようなことを広く検討して決定するわけでございまして、ただいまお尋ねの点につきましては、国有鉄道監督の立場から、今後慎重に検討すべき問題だろうと思います。
  208. 森中守義

    ○森中守義君 ちょっと私、用足しに行っている間の質問なので内容ちょっと理解しにくい点もありましたが、小林局長ね、いま国鉄の内部の事業主体という話が出ましたが、これはどうなんですか。事自動車に関する限り、道路運送法が中心であると。そうなりますと、第三条の自動車の種類の中の一般自動車運送事業、次にあるのが特定自動車運送事業及び無償自動車運送事業、大体三種類に分かれている。この中のどれに該当さしているんですか。私は在来の見解からいくならば、事業主体がどういうものであろうと、道路運送のみが自動車の運送を規定している法律であれば、この中の事業種類、どれに該当するかということを一度はっきりさしておくことによって、いろんな扱いが変わってくると思う。  私は率直に申し上げて、国鉄の内部のいろんな制約等あるにしても、やはり道路運送法上に定める一般自動車運送事業、この種類に該当すると思うのですが、どうですか。
  209. 小林正興

    政府委員小林正興君) そのとおりでございます。
  210. 森中守義

    ○森中守義君 田宮局長国鉄のほうはどういうつもりでやっておられるか。道路運送事業のいま私がお示しした第三条の一般自動車運送事業、こういう種類のほか二つある。この中のどれに当たると思っておられますか。
  211. 田宮新年

    説明員(田宮新年君) その中の一般自動車運送事業に該当しておると考えております。
  212. 森中守義

    ○森中守義君 それじゃもう答えが出たわけだ。国鉄の内部の規制とか国鉄内部のいろんな制約があるなしにかかわらず、やはり一般自動車運送事業として運輸省は取り扱うべきだ。これはやっぱり原則でなくちゃいかぬと思うのだな。これはもう時間もありませんし、そろそろやめろということだから、また次回にしますが、大臣ね、ちょっとこれ、非常に問題がありますのは、自動車局の概念としては一般自動車運送事業だと、いま小林局長が答弁されたとおり、ところが扱いとしては必ずしもそうなっていない。まあそこに問題があると思う。つきましては、その辺のことを大臣もう一回よく検討されて、国鉄自動車のあり方はどうあるべきか。ことにもう年々歳々赤字の累積で、ことしは百十億になる。それで国鉄の財政が火の車だというときに、何か方法をとらなければいけない。  ことに地方ローカル線の場合、赤字線廃止などという問題もあるのです。これもそういうものから類推していきますと、まさに該当しますよ。しかし四十三年のなじみを持っておる。まあこれは他のバス運送事業者も、それぞれ信用ありましょうけれども、どこの地域に行っても、全国的に国鉄バスといえば信頼の程度が違う。いまこれを地方ローカル線と同じような見方から、毎年赤字が累積していくからやめてしまえというわけには、これはまいりません。と同時に、いま本体の事業がこういう状態であれば、何がしかの手をかして、少なくとも赤字を出さないように、しかも道路運送法の一つの原理が、競争原理の導入をする、こういうことである限り、これはやっぱり競争原理をもっと活用すべきだと思う。これはひとつ検討してもらいたいと思う。これはゆっくりこの次やりましょう。  それから磯崎総裁、私の手元にこういうのがあるんですよ、国鉄自動車問題調査答申というのが。これはいまでもあるんですか、この機関が。
  213. 田宮新年

    説明員(田宮新年君) ただいまは廃止されております。ございません。
  214. 森中守義

    ○森中守義君 これは総裁あるいは運輸大臣、田宮局長に私も初めて実はお目にかかった。そのくらい国会の中においても、自動車局長が答弁に立たれるような機会がなかった。いわばどこか押し込められたような状態にある、これじゃぐあいが悪い。総裁、この機関ないということのようですが、これは三十七年の十二月二十五日の答申ですよ。これが国鉄バスのあり方を公的に表明した最終のものです。それから早くも十一年たっているわけですね。小林局長もいろいろその後の情勢を言われておるように、かなりバスの運行状態あるいは交通手段としての変化を遂げている。だからこの際どうですか、もう一回国鉄バスのあり方について、何かの方法で学識経験者等に意見を聞いてみたらどうですか、そうしますと、一つの方向が出るでしょうし、大臣もそういう意味合いはよくわかっておられるはずですし、運輸省の自動車局も業種としては一般自動車運送事業だ、こう言い切っているわけだから、それならば他のバス会社と対等の立場で事業の運行ができるように、しかも百億以上に達した国鉄バスの赤字を克服するために、この際ひとつ改善をはかろうじゃないですか、大臣総裁、どうですか。
  215. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 基本的な問題としまして、国鉄のバス路線をどうするかということについては、もう少し勉強しておけということですから、事務当局と一緒に研究しておきます。  ただ、こういうことを申し上げておきたいのですが、あなたの言われるように、国鉄の内部でも、これを今後どうするかということについて、さらに一段と勉強をしてもらう、で、至急に結論を出してもらうということはけっこうだと思います。ただ私は、関係の部局にも言っているんですけれども運輸行政は非常に幅が広いんですけれども、自動車行政については、最近異常な発達をいたしました。ところが、いろいろな法律関係は、そのつど部分的な改正をやって今日に至っておりますけれども、全体としては自動車行政についての指導的な対策というものに何か欠けているところがありはしないかという気がしてしようがないんです。私どもは関係部局に対して、ひとつそういった問題について、基本的に問題になるところを出してくれと、大至急にその問題に取り組もうじゃないかということをいま指示しているわけでございます。  この問題も、これはこの次のときでもいいんですけれども、この問題も、そういう中の一つの問題として、全体の自動車行政の中でどう扱うかというようなことについて、さらに私は研究をしたいと思っておるわけであります。そういうような考えでおりますから、国鉄自身もそういった問題にもう一ぺんあらためて、自動車の輸送というのが全国的に非常にふえてきておる、また地域住民の方も、ちょうど地方閑散線と同じように、これは長いなじみがあって、赤字だろうが何だろうが、執着があって、なかなかやめさせてくれないというような状況はよくわかっているわけです。国鉄自身がそういった問題に、あらためて真剣に検討してもらうということは、非常にけっこうだと私も思っております。これだけ申し上げておきます。
  216. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 実は自動車問題調査会、三十五年ごろだったと思いますが、私がちょうど担当しておったときにつくったものでございます。顔ぶれも私は非常に珍しい人を集めたつもりでございます。普通の委員会に出てこないような非常に珍しい方に来ていただきまして、いろいろやったわけでございまして、ただそのころ、それをつくりましたのは、どっちかというと、非常にバス事業が伸びつつあるときに国鉄バスだけが伸びないというふうな情勢の中で、どうすべきかというような角度でつくったものでございます。いわばどんどんハイウェーもできているというときに、国鉄はだめだというふうなムードのときに、これじゃ困るという意味で、いろいろ御検討願ったわけでございますが、いまやバス事業の性格がすっかり変わってまいりまして、マイカーに対してどうするか、あるいはコモンキャリアとしての性格をどう持っていくかという、非常に大きな使命が新しくバス事業に加わりつつある、そういう角度から、私どもも赤字だけの問題としてでなしに、新しい見直された交通機関としての、コモンキャリアとしてのバスというものをどう見直すかということは非常に重大問題だと存じます。したがって、何らかのチャンスでこういうことは考えなくちゃいけないというふうに思いますが、ただ、その委員会は一応結論は出しましたので、一応やめておりますが、またしかるべき方々にお願いして、お知恵を拝借する時期が必ず参るというふうに思っております。
  217. 森中守義

    ○森中守義君 これは大臣総裁の御答弁で一通り決着がつくものと期待をしたい。元来、考えてみれば、再建計画というものは、国鉄の事業の一つですから、この部門だけはらち外だという認識じゃ固ると思う。私はやはり包括的に、自動車も船舶もワンセットになった再建計画でなくちゃいかぬ、こういう認識を一そう深める。  そこで、あまりにも歴然としたこの問題が、このまま放置されていいのかということになると、これは大問題だと思うのですね。しかも、地方ローカル線もやめようかというような議論の際に、じゃ他にかわるべき手段は何なんだということになれば、いや、それはバス路線に切りかえるという話などが、在来しばしばこの委員会で議論をされてきている。こういう経緯等も考えてみますと、早急にやはり何かの答えを出す必要があると思う。ただ幸いなことに、当然なこととは言いながら、いままで一体国鉄バスとは事業の業種としては何なんだということが、あまり明確にされなかった。しかし、いま道路運送法上の三条に規定する一般民動車運送事業だ、こう自動車局長が言明されましたから、かなり性格ははっきりしてきた。これはひとつ、次回でも、もう少し時間をちょうだいしながら、いろいろと議論をさせてもらいたいと思うんですが、相なるべくは大臣総裁も、すみやかに意を用いてもらって、何か意見をちょうだいできるような機関でもつくって早急に諮問される必要がありましょうね。このことを特に本日は要望しておきたいと思うのです。  しかして、監督報告は際限なくいろいろ問題がございますが、四十分も時間が超過しまして、これ以上おつき合いしているのもどうかと思いますから、きょうで質問は終わります。
  218. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 森中委員、森中委員の御要求によって出席している政府委員が数名おりますが、質問ありませんか。
  219. 森中守義

    ○森中守義君 まあひとつ、委員長から遺憾の意を表明しておいていただきたい——。(笑声)
  220. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 非常に遺憾であります。(笑声)  ほかに御発言もなければ、本日の質疑はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十分散会      —————・—————