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説明員(磯崎叡君) まず踏切のほうでございますが、ただいま監査
委員長からおっしゃいましたように、私のほうとしても内閣のほうと十分連絡をとりまして、そして十カ年間に、少なくとも、現在まだ三万カ所ぐらい無防備の踏切がございますが、とにかく今後車の通る踏切はもう絶対に無防備踏切はなくす、原則として警報機は全部つけるということを
一つのねらいといたしまして、まあ相当、三万カ所でございますので数は多うございます。しかし、とにかく十カ年間に全部やってしまおうということでもって、十カ年間の十兆五千億の設備投資の中に一応入れて
考えております。
しかし、もちろんどの踏切も全部ということでなしに、やはり車両通行禁止して差しつかえないということを地元の
方々も了解され、また警察その他の方もよろしいと言われる分につきましては、車両の通行をやめてもらう。まあ人間と自転車だけというふうにいたしますれば、自動車による踏切事故はぐっと減ってくるという
意味で、究極の目的は車の通れる踏切は全部設備をつける。こういうことを
一つの念願に置きながら今度の設備投資をやってまいりたいというふうに
考えております。
多少、私鉄などとテンポが違うかもしれませんが、私どももできるだけ内閣と歩調を合わせましてやってまいりたいと思っております。また
建設省のほうとも人事交流いたしまして、そして道路側との
意見も十分調整をした上で今後やってまいりたいというふうに
考えております。
それから補償の問題でございますが、御
質問の北陸トンネルの問題、多少詳しく申し上げます。
まず、なくなった方でございますが、二十九名なくなりましたが、二十八名の
方々は全部円満に話がつきました。
あと一名の方ももう間もなくつくと存じます。お一人お一人の金額は申し上げるわけにはまいりませんが、いずれも一千万円をこすという
考え方でやっております。大体お話がつきかけております。それから、けがされた方は約七百十数名おられますが、そのうち約五百三十名がすでにお話がつきまして、いま残りが二百名弱でございます。先生の御指摘になりました会は、北陸トンネル列車事故被災者の会、斎藤さんという方でございますが、これは主として負傷された
方々の会でございまして、なくなった方はお入りになってないやに承っております。負傷された
方々でなお話がついてない方という方がおもでございますが、そのほかにもすでに話のついた方もお入りになっている方もあるようでございます。先般お見えになりまして、私どものほうの加賀谷常務がゆっくりいろいろお話を承りました。私のほうといたしましては、もちろんある一定の基準をお示しいたすつもりでおりますが、いままで幸いお話がつきましたものにつきましては、いろいろの裁判例あるいは
日本弁護士会の例、その他たくさんの例がございますし、私のほうも、あまりいいことではございませんが、だいぶたくさん実例を持っております。
そういうことでもって、先生の御指摘の
一つの基準をきめたらどうだというお話でございました。いろいろな、たとえば飛行機あるいは自賠責等いろいろ交通機関の中でもきめておるものもございます。たとえば飛行機の場合になると、御
承知のとおり、いわば最高を押えている。六百万と申しますか、一応形式的にはあの約款を読みますと、最高が六百万から六百万というふうに押えられているわけです。それからモントリオールの
関係は別でございますが、一応最高基準というふうな、限度額という感じでもって書いてあります。また自賠責も限度額ははっきりいたしておりませんが、一応の基準というふうなかっこうになっております。いろいろこの点につきましても、私のほうでも運送約款の中にそういうことを入れたらという
意見も実はだいぶ前でございますが、ありましたけれども、こういう金額というものは、非常に変動が大きいわけです。始終変わるわけでございます。去年とことしとずっと変わっている、ことしと来年と違うというふうに、非常に変化が激しいということが
一つございます。
たとえば国際条約のように、一たんきめたら何年間そのままというわけにはまいらないと思います。したがって非常に変化が多いということと、それから私のほうで申しますと、自動車や飛行機と違いまして、非常に事故の態様が複雑でございます。たとえば全く一〇〇%私のほうの責任の場合あるいは半分天災事変の場合あるいは半分——たとえば自動車のような場合には、半分向こう側に過失がある場合、非常に事故の
内容が、態様が多いわけでございます。その
意味で、一律にきめましても、一体最低をきめるのがいいのか、最高をきめるのがいいのか、非常にむずかしい。したがって、かりに最低をきめました場合には、こういう場合には、これから何割増すんだというようなことを全部書かなければいかぬということで、最低もきめられないということと、それからもう
一つは、約款でございますので、本人と私のほうとの約束ということになります。今度の北陸の場合もそうでございますが、たとえばなくなった方で申しますと、たとえば慰謝料に例をとりますと、御本人に対する慰謝料だけではもちろん片づきませんで、その子供さん、あるいは親御さん、いわゆる親戚、近親に対する慰謝料、これは当然入るわけでございます。
そういうことの規定は非常に約款には書きにくいというふうなこともございますし、結局、私のほうの事故が多いという結果かと存じますが、なるべく具体的な事態が起きたときにその時点におけるほかのことといろいろ比較いたしまして、そしてほかに比べて遜色のないようにするというふうなことが一番いいんじゃないか。実はこの間のなくなった
方々に対する問題も、やはりその前の全日空の事故あるいはその他近接した事故についての実例を調べまして、それを下回らないというふうな基準を実は部内的につくりました。また今回の、まだ未確定の
方々に対する今後の問題につきましても、先般のハイジャックのときの日航が払われました一種の、何と申しますか、損害賠償のような金額が五十万というように
新聞に出ておりますが、これらをやはり基準にしなければいけない。トンネルの中では三十分であって、ハイジャックは何時間であって、それは比較できませんけれども、しかし、身体を拘束されて相当ひどい目にあうということにおいては同じじゃないかという
意味の、近い実例があるわけでございます。
ですから、私も何べんもこういう、たとえば櫻木町事故、鶴見事故、三河島事故、いろいろ経験いたしておりますが、結局納得していただくには、その事故の起きた少し前におけるいろいろな実例、これらをなるべく詳しく調べまして、そしてそれらと比較した上での考慮というのが一番妥当じゃないかというふうに
考えます。実は先生のおっしゃったとおり、一種の基準をつくったらということも
考えましたが、これは非常に形式的になってしまう。結局書いてあるだけで、何にも役に立たぬということになっても
意味がないと思いますので、いましばらくいままでのやり方でやったほうがいいんじゃないかというふうに
考えます。
しかし世の中が非常に合理的になってきて、もう約款できめたらそれでいいんだということになり、その約款がたとえば半年に一度ずつスライドでもするとかというふうなことで非常に合理的になってまいりますれば、それは
考えられると思いますが、もう少しいまの
状況では、具体的な例を参照した上で、いろいろ個人的な
事情を承りまして、そうしてきめるのが一番いいんじゃないかということで、先生のおっしゃったように、確かに私のほうの第一線の職員で、実際接触している連中は非常に苦労しております。それは確かにおっしゃるとおりでございます。自由裁量の余地があるようでないわけでございますので、非常に苦労しておりますので、なるべく話を
東京に集めまして、ことに全国的な被害者があるような場合には、話を
東京に集めまして、そうして各地方ごと、あるいは各ケースごとでアンバランスのないような
方法をとって、始終
関係課長を集めて連絡いたしておりますが、いまのところ非常に
範囲の広い、しかも数の多い事故の
あと始末としては、そういうやり方が一番いいんじゃないかというふうに
考えております。
しかし、これはこれからの世の中のものの
考え方が変わればまた別でございますが、いまのところはそういう
方法でやっていきたい。また今度の問題も、そういう
方法によって、最近具体的な基準も、一人一人の基準でなしに、もう少し適用
範囲の広い基準をお示しするつもりでおりまするし、もしその基準でお話がつく場合には、いままですでにお話のついた五百何十名の
方々には全部それと同じことをするということを前提といたしまして、基準も具体的な基準をきめていきたいというふうに
考えております。