○国務大臣(
新谷寅三郎君) 昨年のいわゆる廃案、これと今回提案しております案との違いでありますが、いま
田渕委員お示しのとおりに、基本的な
考え方は変わっているわけではございません。
ただ私
どもは、昨年の衆参両院の論議を通じまして、非常に示唆せられるところが多かったと思います。そういった点及びこの国鉄の運賃の改定につきまして、賛否両論の世論があることもよく知っております。そういった点が、今度の提案した案の中にどう反映されておるかというお尋ねでございますが、われわれとしましては、そういった点につきまして、反省すべき点は十分に反省をし、改むべき点は改めたつもりでございます。
まあ一、二の例をあげてみますと、たとえば昨年の提案では、実は政府としての
姿勢がはっきりしてないという御議論がございました。つまり昨年出しました案は、
自民党と関係閣僚の間で
合意した方針が基礎になっておりました。今度は、これを提案するにあたりまして、政府全体として責任を負うという
意味で、閣議の了解を求めたわけでございます。これは非常に、昨年の国会の
審議における
委員の御
意見を参酌して、こういうことにいたしました。
それから国鉄のこの会計の状況でありますが、経営状況はますます悪くなってくることは事実でございます。ことに、昨年提案いたしました案が通過いたしませんでしたので、結局、いわば値上げが見送りになったわけです。その結果は、実はこれをきわめて平面的に計算をいたしますと、もう少し値上げ幅を多くしないと間に合わないという事態になっておるのであります。これは詳しく申し上げませんでも御想像していただけるかと思います。で、しかしながら、そういう点につきましては、一方において政府の助成を強化いたしまして、昨年の案との比較をしていただきますとよくわかるんでありますが、たとえば財政援助につきまして、昨年出しました案では、大体二兆円ぐらい程度でありましたが、今度は鉄建公団に対するものを含めますと、四兆六千億円程度の財政援助をするというように、昨年における
委員の
方々の御議論の
あとを振り返りまして、反省すべき点は反省して、
あとう限り政府の助成を強化したという事実がございます。
それから運賃の値上げ幅でありますが、先ほど申し上げたように、本来であれば、昨年と同じような
考え方でいけば、もう少しこの上げ幅を多くしないと財政再建に非常に困難であるという事実があったんでありますけれ
ども、これ以上値上げ幅を多くいたしますことは、物価の動向に対しましても悪い影響があるんじゃないかというようなことを考慮いたしまして、この点は昨年と同様に、とにかく実質一五%ということにいたしまして、他はいま申し上げたような政府の財政援助を強化する。あるいは国鉄の経営努力に待つというようなことでまかなおうというような方針をとったことも事実でございます。
その他、たとえば地方閑散線についての方針を若干変えました。これはいままでにも御
説明を申し上げましたので、るる申し上げませんけれ
ども、方針は変わりませんが、やり方につきまして、運輸大臣があらかじめ何千キロというふうに
予定をいたしまして、一方的な
考え方でこれを廃止するというようなことは、これは避けるべきである。代替輸送ができるところはそれでけっこうなんであります、方針は別に変わりませんけれ
ども、やはり地元の最後の足だけは守るようにしなきゃいかぬということで、地方閑散線の処理につきましては、これは国会において御議論のあったところであります。そういった点を十分踏まえまして、この方針を若干変えたというようなことがございます。
いずれにいたしましても、基本的な
考え方は変わっておりません。おりませんが、この国会の御論議及び世論の動向というものにつきましては、十分これに耳を傾けまして、反省すべき点は反省し、改むべき点は改めまして今回の提案をした。私
どもはさように考えておる次第でございます。