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国務大臣(
新谷寅三郎君) 非常にむずかしい問題ですが、お答えをしてみます。
国鉄がどういう場合に
政府から助成をするのかということでございますが、私
どもはたとえばさっき申し上げたように、地方閑散線がどうしてもやはりとることはできないから、これを維持しろというのには
財政支出が要るんだよとか、あるいは通勤通学
輸送で非常にこれは
設備投資が多く要るから、これに対するある
部分は、これは当然国が
負担すべきであるとか、そういったことを、個々にもちろんこれは考えなきゃなりませんけれ
ども、一体
国鉄の
輸送サービスというものは、これが公共
負担の
部分であると、それ以外はもう民営にまかしてもいいような、公共に関係のないものであるというふうには分けられないと思うんです。
国鉄全体が、やはり
日本の
交通の動脈として一貫した
輸送をやっておるというところに
国鉄の特色があるわけでございまして、ある
部分は
赤字のところもあり、ある
部分は若干黒字のところもあるというようなことで、全体を総括して
国鉄による
日本の陸上
輸送というものは私はやっぱり全体的に、これは公共的な
方向を指向していないとうそだと思うんです。そういう
性格のものだと思います。私たちは今度総合的な原価主義をとって、
国鉄の全体に対して足りないところを国が出そうといったのもそういう
趣旨から出ておるのでございまして、いま
加瀬さんがおっしゃったように、
財政状態がどこまでくれば、
赤字がどこまでくれば出そうとか、そういう
数字的な基準をきめているわけではないのでございまして、何とかして早く、いまの当面の問題は、
国鉄の
赤字を緩和して、そして
国鉄の本来果たすべき役割りを、陸上
交通機関としての役割りを公共的な
見地から見て果たしてもらう、それにはどのくらい国が
援助をしたらいいんだということを考えて、今度のように、これはまあ標準はないとおっしゃればそうかもしれませんが、具体的には
数字をもって
政府出資はこういたしましょう、
財政援助はこういたしましょうという
数字をもって答えているわけでございまして、だからその点は、毎年毎年こういう状態になったらこういうパーセンテージで
補助金をやろうというのと違いますけれ
ども、
補助のしかたが違いますけれ
ども、十年間を通覧いたしまして、その足りないであろうところ、したがって、それによって
再建が不可能であると思われる
部分に対しまして国が
援助の
方向をとったということでございます。
それから
運賃改定の問題は、これはなかなかあなたがおっしゃるように、これはもう十分御承知の上での御
議論と思いますけれ
ども、どういう情勢になれば何%まで上げていいとかいうようなことは、なかなかこれは
数字的にも学問的にも計算をしにくいものであろうと思います。やはり
一般の経済事情でありますとか、
一般の物価事情でありますとか、いろいろの点を考えまして、それぞれの
交通機関の持っておる使命がございますから、特色がございますから、やはり特色に応じた
機能を発揮させるためにはどうしたらいいかということを考えて
運賃の改定率をきめるわけでございます。
〔
委員長退席、理事江藤智君着席〕
そうなると、おそらくおっしゃることは、国がもっと持てば改定しなくてもいいじゃないかと、こういうふうに端的に御
議論が出ると思います。この点は先ほ
どもちょっと申し上げましたが、国の
一般会計から出し得る、つまり税金から出し得る財源というものにもおのずから限度がございますから、まあそういったものをにらみまして、これは
政策的な
見地から
運賃の改定案というものをきめていく以外には現在のところは方法はない。おっしゃるように、これは物価に関係してまいります。ですから私は、物価に関係のない
公共料金の改定というものはもちろんあり得ないと思っております。ただ、それが直ちに、
国民経済とか
国民生活に急激な大きな影響を与えないようにして、そうして一方においては
国鉄の
再建計画にプラスになるようにということで、国の
財政支出と見合った、調和をとりながら、そういう改定率をきめていく以外にない。こういうことで、今度の十カ年
計画をきめまして、これを一挙に
運賃改定をいたしますと非常に影響が大きゅうございますから、これを何回かに分けまして、これは穏やかなゆるやかなカーブでもって
運賃の改定をして、十カ年後には所期の目的を達成しよう、こういう
計画であるということを御了承いただきたいと思います。