運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1973-07-12 第71回国会 参議院 運輸委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年七月十二日(木曜日)    午前十時二十一分開会     —————————————    委員異動  七月十一日     辞任         補欠選任      杉山善太郎君     加瀬  完君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         長田 裕二君     理 事                 江藤  智君                 木村 睦男君                 山崎 竜男君                 小柳  勇君     委 員                 岡本  悟君                 黒住 忠行君                 菅野 儀作君                 高橋 邦雄君                 橘  直治君                 松平 勇雄君                 渡辺一太郎君                 伊部  真君                 加瀬  完君                 瀬谷 英行君                 森中 守義君                 阿部 憲一君                 三木 忠雄君                 田渕 哲也君    国務大臣        運 輸 大 臣  新谷寅三郎君    政府委員        警察庁交通局長  渡部 正郎君        経済企画庁物価        局長       小島 英敏君        大蔵政務次官   山本敬三郎君        運輸大臣官房長  薗村 泰彦君        運輸大臣官房審        議官       原田昇左右君        運輸省港湾局長  岡部  保君        運輸省鉄道監督        局長       秋富 公正君        運輸省鉄道監督        局国有鉄道部長  住田 正二君        運輸省自動車局        長        小林 正興君        建設政務次官   松野 幸泰君        建設大臣官房長  大津留 温君        建設省計画局長  高橋 弘篤君        建設省都市局長  吉田 泰夫君        建設省道路局長  菊池 三男君        建設省住宅局長  沢田 光英君    事務局側        常任委員会専門        員        池部 幸雄君    説明員        厚生省薬務局薬        事課長      松田  正君        自治省税務局固        定資産税課長   川俣 芳郎君        日本国有鉄道総        裁        磯崎  叡君        日本国有鉄道副        総裁       井上 邦之君        日本国有鉄道理        事        小林 正知君        日本国有鉄道理        事        原岡 幸吉君        日本国有鉄道理        事        阪田 貞之君        日本国有鉄道理        事        内田 隆滋君        日本国有鉄道理        事        加賀谷徳治君        日本国有鉄道理        事        速水 信一君        日本国有鉄道施        設局長      篠原 良男君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進  特別措置法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付)     —————————————
  2. 長田裕二

    委員長長田裕二君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  杉山善太郎君が委員を辞任され、その補欠として加瀬完君が選任されました。     —————————————
  3. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 新幹線の問題について、一昨日いろいろ質問いたしましたが、昨日の新聞には新幹線問題について、ある新聞にはかなり克明に出ておりました。委員会における答弁のほうがどうもあいまいなような感じがいたしました。  それで委員会答弁どおりだとすると、新幹線計画というものはどうもはたして予定どおりにできるかどうかわからぬという心配があるんですが、昨日はたしか埼玉県知事県議会決議等を持って運輸大臣のところに陳情に来られたと思います。その内容は、大宮以南高架等についてはいろいろ問題があるので、路線等については再度検討してほしいという意味のことであろうと思うんでありますが、一応昨日の埼玉県知事陳情内容と、それからそれに対する運輸省としての考え方というものをどのようにお述べになったのか、お答えいただきたいと思います。
  5. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) 昨日午後四時半に埼玉県知事埼玉県会議長浦和与野市長運輸省大臣を御訪問になりましたですが、大臣国会がございまして、運輸政務次官がお会いいたしたわけでございます。  そのときの向こうお話でございますが、向こうにおきましては書面もそのときに出されて、新幹線にかかる新提案要請というものがあったわけでございます。これは去る三月十日にいわゆる運輸省国鉄県知事との間におきまして議論されました提案につきまして、さらに次の三項目について十分検討して対応措置を講ぜられるように要請する、こういうことでございまして、三項目と申しますものは、一つは、新幹線高架化については従来どおり地下構造あるいはこれに準ずる構造により建設すること。第二は騒音振動、日照、テレビ障害等公害については周辺の生活環境がそこなわれないよう万全の措置を講ずること。第三は、通勤新線については新幹線と同時に実現すること。こういうことにつきまして、県知事県会議長与野浦和市長よりいろいろとお話があったわけでございます。  これにつきまして、政務次官は、この問題につきましては、十分さらに技術的な検討、あるいは諸般につきましての問題を検討を重ねていきたい、このことにつきましては大臣に御報告いたしますけれども、今日はさらに検討を重ねていくということに進めていきたい、かように政務次官から御発言申し上げた。これが大体運輸省におきます概要でございます。
  6. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 国鉄には同趣旨陳情があったんですか。
  7. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 私のほうは、昨日午後五時半に埼玉県知事埼玉県会議長浦和市長与野市長その他県の関係者が見えまして、いま鉄監局長が言われたと同じ趣旨要請がございました。昨日は公開でいたしました。新聞記者が全部入っております。  そこで、私のほうといたしましては、結論だけ申し上げますと、いろいろの問題につきまして議論した結果、せっかくの知事あるいは議長のアドバイスでありますので、いわゆるここにいわれる、これに準ずる構造というものについてひとつ勉強してみましょうということを申し上げました。これは御承知のとおり、埼玉県の地質につきましては埼玉県庁が一番詳細に御存じなのでございまして、この埼玉県庁の正式な報告が毎年ずっと出ております。それによりますと、二、三年周期で、相当大きな県南地帯における陥没があるということが明白に学問的に立証されておりまして、したがって、いまのままでいきますと、十年で数十センチの沈下があるということが主として明白になっておるようなことになります。それらも踏まえまして、私どもといたしましては、いわゆる知事のおっしゃる準地下構造というのはどういうものであるか、また御承知のとおり、県南には相当の水路がございます。水路をいわゆる準地下構造で越せるかどうか、その際にまた深くなってしまっては意味がない。あるいは地下埋設物も相当ございます。そういったものについて、ひとつ大いに勉強してみましょう、そうして埼玉県側におきましても土木関係技術者がたくさんおられますので、そういう方々の御意見も聞いた上で、ひとつ知事のおっしゃる準地下構造について勉強してみますということを申し上げると同時に、いわゆる高架構造につきまして、最近——これは瀬谷先生の一昨日の御質問でございましたが、地域との調和という意味で、両側都市計画道路をつくったその写真等をお目にかけました。現在の広島県、山口県あるいは北九州市等における一番大きいところ、側道両側十五メーターというりっぱな道路、その上に新幹線を同時につくっております。そういう工事中の写真あるいは新幹線構造物の下を公に開放したい、あるいは児童遊園地に、あるいはサイクリング道路に、あるいは場合によっては駐車場等にということで、私のほうでお金を出して買いますけれども、その土地の下を、構造物の下をひとつに開放したいというふうなことも私としては申し上げました。そういう意味で、いわゆる高架構造というものについても、いままでの高架構造とは相当違う、構造そのものも違うし、側道をつくって防音あるいは防振をするということについての積極的な考え方をするというふうなことについても、相当フランクにいろいろお話いたしまして、約一時間お話いたしまして、六時四十分ごろ帰られましたわけでございます。  いずれ私どもの勉強しました結果を御報告申し上げると同時に、県におかれても、私のほうの提案いたしました高架構造についても、いろいろ勉強していただく、検討していただくようになっております。そういうことで、昨日はもちろん具体的な結論を得ずして両方の意見を言い合うということで、いずれまたお目にかかるということでお別れしたわけでございます。以上でございます。
  8. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 これから予定されている東北新幹線、上越新幹線北陸新幹線、いずれもこれは埼玉県が根っこになっているわけですから、ここの工事がうまくできなければ、新幹線そのもの計画が進行しないことになると思うんです。  そこで特に東京並び埼玉県の場合は、国鉄用地を使う場合は別でありますけれども、そうでない場合は、ほとんど民家のない地域というのは、大宮以北は別でありますけれども、以南の場合は、民家のないような無人の原野というのはないわけであります。そうすると、どうしてもいろんな問題が起きてくるのはこれは当然なんです。したがって、その場合の公害対策というものの万全を期さないことには、住民としては承知しないというのも、これはわかるわけです。特に高架の場合は、高さが十三メートルないし十七メートルぐらいになると思いますが、ビルの高さにすれば四階建てないし五階建てのビルぐらいの高さのものが、しかも幅が三十メートルぐらいにわたって町の中に割り込んでくるわけでありますから、それが民家との間に十分な間隔を持たないで割り込んでくるということは、決して住民側としては歓迎できないだろうということも常識的にわかるわけです。したがって計画そのものが無理やりに町中に割り込むという形はとらないほうが妥当じゃないかと思われるし、そういう地域要望というのは、これは党派の問題じゃないわけであります。超党派的に県議会でも議決をされていることなんでありますから、十分尊重されてしかるべきだと思うのであります。それを無理押しをして強行するということになると、これらの新幹線はスタートにおいてつまづくことになると思うのでありますが、それらの点については、運輸省としてどのような配慮をもって行なうつもりなのか、その点をお伺いしたいと思います。
  9. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 瀬谷委員の御意見はまことにごもっともだと考えております。この問題は、地域方々に対しまして、より深い配慮をしていかないとなかなか実現はしにくいということは明瞭でございます。  先ほど政府委員からも国鉄総裁からも御答弁をいたしましたが、いま当面しております具体的な問題につきましても、私ども埼玉県知事以下、埼玉県側の要望というものは前々から知っております。ですからむげにそれを退けているわけじゃないんです。問題は非常に技術的な問題、ほんとうにそれで、将来とも地盤が非常に軟弱なところに地下式あるいは準地下式でやりまして、大震災等があった場合に、かりにそういう場合に、どこまで耐えられるかというような技術的な問題、これはやはりどうしても安全基準一つの問題として慎重に考えなければならぬというようなことがありまして、そういう地元の御要望をかりに満たすとすれば、どういうふうな工法をもってどうしたらいいかというようなことも、具体的に確信を得ないとできないということでございます。  でありますから、決して地元の意向を無視して強行するというような態度じゃないんです。それをいれながらどうしたらいいかということについて、地元と十分話し合って、両者の協調した、お互い協力をした線がどこで落ちつくかというものについて、お互い話し合いを進め協力をして実現するようにしようというのがわれわれの姿勢でございます。少し時間かかりますが、この点については、至急に両者話し合いをし、国鉄国鉄でもって技術的な検討を詰めまして、最終結論を得るように努力しなければならぬ、こう思っておるわけでございます。他の路線についても、大体同様の態度で臨みたいと思っております。
  10. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 同じ問題は成田新幹線についても言えると思うんですね。千葉県、東京都。衆議院でも議事録を拝見いたしますと、かなりむずかしい問題があるようです。要するに住宅密集地域新幹線が通るということは、これはどの地域であろうとも相当問題があることは間違いない。  したがって考えなければならぬことは、線路両側に十分な余裕を持つということ。そのために必要な買収等については金を惜しまないでやらなければならぬだろうということ。それともう一つは、かりに相当の余裕をもって高架新幹線建設することが可能となったとしても、十五メートルや二十メートル程度離れたんでは、二百キロ以上のスピードで走られた場合にどうしても問題は残るだろうと思う。そこで市街地の場合の速度規制ということも考えるべきじゃないかと思うんです。これが二百六十キロといったような、現在スピードテストをやっているようでありますが、そういうスピードで走られれば、十メートルはおろか五十メートルぐらい離れたって相当いろんな問題を起こすだろうと思うんです。したがって、スピードの点については、かりに東京を離れて三十キロぐらいまでの間は百二十キロで走ったとしても、三十キロだったら十五分で到達する計算になるわけですからね。二百キロ以上のスピードを出すというのは、あたりに人家がなくなった場合、もしくはトンネルの中のような特殊な場所でもってスピードを出せばいいのであって、市街地はまずスピード規制するという考え方に立つべきじゃないかと思う。そういうことによって多少なりとも公害の問題を緩和できるんじゃないかという気がいたしますが、とにかく二百キロ出る三百キロ出るんだからやみくもにスピードを出して走るということであれば、新幹線公害という問題はいつまでたってもついて回ると思うんです。それらの点は十分考えられるのかどうか、その点もお伺いしたいと思います。
  11. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) スピード規制の問題でございますが、これは現在名古屋地区等でもいろいろとそういうような御要望がございます。ただ、われわれのほうといたしまして現在考えておりますことは、環境庁からの勧告にもございますように、まず線路構造物あるいは車両、そういうようなもので音源対策を行ないまして所定の音の規制をするということを第一に考えておるわけでございまして、人家密集地帯だからといって速度を下げて音の規制をするという、ようなことは、現在考えておらないわけでございます。  ただ先生も御承知のように、現在の東海道新幹線東京付近につきましては、いろいろ用地関係その他からカーブに規制がありまして速度が出ない、こういうようなところは別でございますが、特にそういうことがないところは所定速度で走りたい。それに対応する防音設備をし、またどうしてもその防音設備でだめな場合、音源対策でだめな場合には、いわゆる障害防止対策として人家に対して防音設備をするとか、そういうような措置をしてまいりたいというふうに考えております。
  12. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 騒音なり振動なりの問題について、住宅地を通る場合、スピード制限等は考えなければならぬことだと思うのでありますけれども、だいじょうぶであるとかないとかここで論議していても、これはちょっと結論出しにくいし、水かけ論になるおそれがありますから、実態調査を行なって、そこで、はたしてスピード規制をする必要があるのかないのかといったようなことは、結論を出すようにしたほうがいいんじゃないかと思いますので、今度の国会の中で行なわれる現地調査の際に、新幹線騒音等についての現地調査をできるように、これは理事会において御検討いただきたいと思います。その点を要望したいと思います。  それから新幹線予算でありますけれども、いろいろお聞きしましたけれども再建計画十兆五千億円のうちの約半分の四兆八千億円が新幹線整備になっている。しかし、このばく大な工事費に対して政府補助は、政府出資は新たに一兆五千億円であるということです。なるほど一兆五千億円という数字は大きいように見えるかもしれませんが、新幹線工事経費に比べれば三分の一に満たないわけですよ。ところが新幹線そのものは、これからの東北、上越、北陸成田、いずれもどう間違っても十年以内に黒字になってはね返ってくる性格のものじゃないと思うんですね。いつでき上がるかだってなかなかむずかしいのに、それが元がとれるという保証はないと思うんです。そうすると、それだけ国鉄が今度は現在の機構の中でしょい込んでいくというかっこうになるわけです。これはやはり不合理だろうと思うんですね。だから、ほんとう新幹線という計画をこれから国家的な事業として推進をするならば、少なくとも新幹線整備予算程度は完全な政府補助において行なうということができるようにするのが国の鉄道としてのあり方じゃないかと思うんですね。国の鉄道としての、政府鉄道としてのあり方として考えるならば、一兆五千億の政府出資は足りない、これにもう少なくとも三兆ぐらいをつけ加えなければほんとう政府の仕事ということにはならぬじゃないかという気がいたしますが、その点はどうですか。
  13. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) 先生御指摘の点でございますが、私たちといたしましても、今後における新幹線、これは国鉄建設いたします新幹線、それから鉄建公団が建設する新幹線、それからさらに本四架橋公団がいたしております本四架橋、いずれにつきましても、将来の国鉄収支採算ということを考えまして、いずれもこの新幹線本四架橋公団の橋につきまして出資を一五%ということにいたしますとともに、金利負担を三・五%まで利子補給をするということにしたわけでございます。したがいまして、いわゆるこの金利負担は三%弱ということになるわけでございまして、現在、道路公団その他有料道路建設いたします道路金利が大体六%でございますのに比べますと約半額、しかもいろいろな事業におきましても三%という金利はきわめて異例な低金利でございまして、先生の御趣旨のいわば出資という点も、出資金利補給を合わせまして三%弱と、こういうことによりまして、いわゆる国鉄建設する新幹線鉄道建設公団建設し、国鉄借用料を払います新幹線、それから今後、建設いたします本四架橋につきましても、いずれもそういった低金利で行なわれることによりまして、将来の国鉄収支という点につきましても十分配慮した次第でございます。
  14. 小柳勇

    小柳勇君 関連。  私は内容については質問いたしませんが、この新聞の扱いにつきまして大臣質問したいと思います。  瀬谷君が十日のこの運輸委員会で、長い時間をかけて新幹線建設について質問をいたしました。それが終わりまして、翌朝のこの朝日の朝刊にこんなに大きく、新幹線建設について運輸省国鉄は妥協かと——それは、地上の高架式地下にするようなこと、あるいは通勤線も併用するようなことで検討しておると、こういうふうな記事が出ました。これは記者会見するか、あるいは資料記者に出さなければこんな記事が出るはずはないんだ。内容を詳しく書いてあります。十日の委員会では、瀬谷君があれだけ詳しく資料を示しながら質問したにかかわらず、この新聞内容のことは答弁してない。この内容というものはどこから出たのか。しかも委員会質問がありました翌朝の朝刊にこういう記事が出るということは、おそらくこの委員会が終わった直後の記者会見か、直後記者資料が出されておるものと理解するが、こういうあり方でいいかどうか。それなら、もう何も委員会で論議する必要はないです。運賃値上げにつきましても、長時間かけて、内容があるのにそれを言わないで、委員会では何も答弁しないまま新聞でどんどん出ていくというあり方については、われわれも検討しなきゃならぬ。したがって、どういう方向で、いつこの記事が出されたのか、御答弁を願います。
  15. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) この日は、私は他の国会委員会がありまして、埼玉県知事にも会う機会がなかったんです。したがって、それについて記者会見する時間もないし、その機会も全然ありません。私は存じません。だから、朝日新聞がどこでどういうふうに取材したか、私は知りません。私の聞いているところでは、この問題について知事が来られて、陳情といいますか、要望されたということはあとで聞きました。その後に、事務当局その他、特に記者会見をしたということも聞いておりません。どこから取材をされたのか、それはわれわれのほうでも調べますが、小柳委員もそういうことについては十分お調べの上で、運輸省にいまおっしゃるように責任のあるようなことでございましたら改めます。改めますが、おそらくこれは、そういう記者会見とか、公式の場で資料を出したり、あるいは運輸省当局から話をして、それで取材をされたということであれば、各新聞に一斉に出るだろうと思います。そういうものではないと、私は信じておるのであります。決して国会審議を軽視して、翌日になって、国会審議でも言わなかったことを言っているのはおかしいじゃないかということですが、そういう事実があれば困りますけれども、この問題については、そういう事実はなかったと私は信じております。
  16. 小柳勇

    小柳勇君 それでは鉄監局長にもう一回聞いておきたいんですが、大臣はご存じないようですが、十一日に知事が来て申し入れるということも書いてあります。これは十一日の朝刊ですから、十日の晩に記事は書いてあると思うんです。十一日には埼玉県知事も申し入れをされるということも書いてあります。したがって、いま大臣がおっしゃったように、十一日の記者会見ではないと思う。十日の晩にこういうことが記事になって、記者から本社のほうに回っておると思うんですが、鉄監局長のほうから資料を出したのかどうか、お聞きいたします。
  17. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) 十日の日は運輸委員会がございまして、夜おそくまで御審議いただきまして、それからあと、私はいろいろと作業がございまして、役所にはおそくまで残りましたが、朝日新聞の方とは、十日の晩には、この委員会が終わったあとにはお会いいたしておりません。
  18. 小柳勇

    小柳勇君 それでは最後に内田理事質問いたしますが、このような新聞記事はごらんになったと思うんですが、こういうような内容のものを国鉄検討されておるのかどうか、お聞きいたします。それは、あれだけ詳しく瀬谷君が質問した日には、そういう話はありませんでした。だれかがこれを話さなければ記事になるはずはないんですが、国鉄検討されておるのかどうか、お聞きいたします。
  19. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 一昨日は、私も夜おそくまでこの席におりました。その後、私ども幹部は一切新聞の人と会っておりません。したがって、その出所は朝日新聞が一番よくご存じだと思いますが、ただ私どもといたしましては、昨日の夕方、当の埼玉県知事にお目にかかるというお約束をいたしております。その日の朝に出るような新聞記事を前の晩にしゃべるはずはありません。そういう非礼なことは私いたしません。絶対事実無根でございます。
  20. 小柳勇

    小柳勇君 わかりました。
  21. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 新幹線の問題について、まあ結論的に申し上げるならば、地元で強い反対がある。反対にはそれ相応の理由があるわけでありますから、その地元の意向というものも十分に尊重してほしいと思います。で、いよいよだめだということであれば、これは無理押しをしてはいかぬと思うのですよ。問題は、大宮−東京間なんでありますけれども、特に浦和与野といったような大宮以南からそういう強い反対が出たということは、いままで在来線の輸送力増強という地元要望に対して、国鉄としては、財政上の理由かどうかはともかくとして、それに十分こたえてこなかった、そういうふんまんがあり、そういうふんまんがたとえば上尾事件のような形をとっているわけです。したがって、いまここで新幹線建設しようとして重大な障害にぶつかったということは、やはり国鉄自身の、いままでの輸送体制というものが十分でなかったということに原因があるのでありますから、この点を考えるならば、どうしても困難な場合には、新幹線を大宮始発というような形にするのもやむを得ないと思う。まず何よりもそれ以前の、つまり大宮以南の輸送力を少なくとも関西並みにすべきじゃないか。関西、大阪近辺にひけをとらない程度にするのが私は筋道じゃないかと思うのです。  そこで、この問題について私のほうで提案をしてみたいと思うのですが、一方においては大阪周辺あるいは名古屋周辺あるいは岡山−宇野間、北九州等においては、快速列車というのを急行並みのスピードで走らせております。ところが上野から北のほうに参りますと、一ぺんにそのサービスがダウンいたしまして、そういうものは走っておらぬ。たまたま急行が走れば、わずかな距離でも急行料金を出さなければ乗れないような仕組みになっている。これはたいへん不公平な差別だと思うのです。  したがって、これらの不公平な差別を撤廃をして、さらに先般からも問題になっております定期券による急行乗車といったような問題を解決するためには、少なくとも百キロ以内は急行料金は取らない、いわゆる快速列車扱いにする、これは場所のいかんを問わず。そういうふうにすれば問題は解決するんじゃないかと思うのです。いままでの運賃値上げの際には、かつては運賃値上げをすればこれだけのことが実現できますというようなことを言っておったけれども、一向に実現したためしがない。最近は単に値上げするだけなんです。これはもうやり方としては、国民に対して何にも約束をしていないわけです。雨漏りに対してバケツか洗面器をそこにあてがって千八百億何がしかの増収をはかるというだけのことになっている。これじゃ利用者として納得するわけにいかぬと思うのです。したがって、少なくともそのような、たとえば急行料金、百キロ以内は取らない、あるいは五十キロ以内は取らない、近距離は取らないという形でもって、場所の東西を問わず、少なくとも輸送サービスについては平均化をするという方策ぐらい考えるべきじゃないかと思うのでありますが、その点はどうでしょう。
  22. 原岡幸吉

    説明員(原岡幸吉君) ただいまの御質問の点でございますが、まず快速サービスの問題でございます。大都市圏のサービスは、都市の配置によりまして、いろいろお客さんの流れが違うわけでございまして、そのお客さんの流れに合った、即した輸送サービスをする、これが基本的な考え方でございます。当然でございます。そういたしますと、高崎、東北線、これはいま御指摘の大阪近辺の新快速ですか、これに当たるものをちょうど中距離電車——中電でもってやっておる、こういう次第でございます。すなわち高崎線の大宮以遠では同じような大きさの都市がつながっておって、そしてこのために各駅にそれが停車して、そして大宮−上野間をまっすぐ運転する。これが一番効果的な輸送サービスであると、このように考えてやっておるわけでございます。  また大宮−上野間の輸送につきましては、一昨日御説明申し上げたとおりでございますが、なお、この輸送サービスにつきましては、地上設備の整備と相まって、今後なお強化していきたい、こういうことでございますけれども、とりあえずできる範囲において電車の増結あるいは置きかえ等によって、サービスを強化してまいりたい、こういうように考えておるわけです。  第二番目の、近距離の急行列車には急行料金を取らずに乗れるようにしたらどうか。この問題につきましては、最後に先生御指摘ございましたように、一部区間について、急行券なしで、定期券でもって乗れる取り扱いをやっておることは、すでに御承知のとおりでございますが、そのほかに急行列車であっても、末端の区間については急行列車としないで普通列車にするというような扱いをすることによって、具体的な輸送需要にこたえていく、こういう取り扱いといいますか、サービス、これもやっておるわけでございます。ただ全般的に急行列車全部を、近距離のものは急行券なしで乗れるようにすると、この問題につきましては、急行列車というものは現在急行列車の需要といいますか、それ自体が非常にあるわけでございまして、特急よりも比較的短い、それからまた普通列車よりも比較的長い、いわゆる中距離のスピードのある快適なサービス、こういう需要、お客さんの流れに即したサービス、これは非常に要望されておりまして、たくさんの急行列車を走らせておるわけでございます。これは御承知のとおりでございます。急行列車そのものも中距離、快適、スピーディーな輸送サービス、これを提供しなければならない必要性が非常にあるわけでございます。したがいまして、近距離のお客さんのために、これを完全に、つまり提供する輸送サービスに不便がある、じゃまになるというようでは急行本来のサービスに非常に支障を来たすわけでございまして、全般的に近距離の急行列車は全部これを急行券なしで乗せるということは、現時点においては考えられないところでございます。
  23. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 時間が参りました。
  24. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 がたがた言わないでくれよ。そんなことを言うのなら、これで一応おさめようと思ったけれども、もう一度やり直しするからね。しかも答弁の最中に簡単だとか何だとかよけいなことを言わないでくれよ。そういうことを言うのなら、答弁の最中に何だかんだというのは何事だというのだ。冗談じゃないよ。
  25. 長田裕二

    委員長長田裕二君) あと一問だけ。
  26. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 昨日の、これはひとつ資料なり報告も求めたいと思ったんですが、塩酸タンク車の破裂の問題でありますけれども、これらの問題について、これは私有貨車の問題で、いろいろ問題があると思うんですがね。書類として報告書を出してもらいたいと思うし、それからどういう経緯で、このタンク車が爆発したのか。それから安全対策の問題、それからもう一つ、またまた運賃の問題とも関連をしておりますので、貨物の運賃、特に運んでおる塩酸の輸送原価といったような問題も、この際お示しいただきたいと思うんであります。  特に安全の問題については、今後のこともありますし、衆議院運輸委員会でもこのことは質問されておりますが、昨日の問題じゃありませんけれども、ホキの四二〇〇という私有貨車の問題については、内容は省略いたしますが、六月の十二日の衆議院運輸委員会で関川説明員から、「調査しまして対策、措置したいというふうに考えております。」こういう答弁があるわけです。だから今回の問題と、それから前々から問題になっておりましたホキ四二〇〇等の安全の問題あるいはこれが団交の中でどういうふうに取り扱われておるかといったような問題、これらもあわせてひとつ御報告をいただきたいと思うのであります。
  27. 長田裕二

    委員長長田裕二君) ただいまのは資料の要求ですか。
  28. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 そうです。
  29. 長田裕二

    委員長長田裕二君) じゃ瀬谷君の質問は終わります。
  30. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 いやいや、これから報告をしてくれというんです。(「阿部さんの質問だよ」と呼ぶ者あり)
  31. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 いや、阿部さんの質問もやってもらってけっこうですが、私の質問に対しても私は質問通告してあるのですから、私の質問に対しても、これは答えてもらいたいのですよ。それは阿部さんが続けてやってもらうことはけっこうでありますけれども、私の質問に対しては答えないで、そのまま先にいくことはないでしょう。これは質問した以上は、ただいまの問題は、安全性の問題とか、あるいは輸送原価の問題だとか質問しているわけなんですからね。できれば詳細に報告してもらって説明をしてもらえば一番いいんです。それをやってもらいたいということなんです。
  32. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 資料の要求もありましたが、答弁の問題もあるようですから、簡単に答弁してください。
  33. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 去る七月十日、山陰線におきまして——山陰線の江津という駅でございますが、そこに停車いたしておりました八七六という列車の前から四両目のタンク車、タム六〇五四号、塩酸積みでございますが、そのタンクの上面から破裂音とともに塩酸が噴出いたしました。異音を感知した駅職員は、旅客九名及び作業中の郵政省職員の五名、駅員三名等、十八名が異常を訴えましたので、救急車の出動を異請いたしまして病院に収容いたしました。現在三人入院中でございますが、おおむね一週間程度の入院で済むというふうに聞いております。またその他の方々は全部お帰りになりました。負傷者に対しましてはとりあえずお見舞いをいたしました。  以上でございまして、昨日の朝から島根県警におきまして現場検証が行なわれておりますので、私どもいまその車にさわることはできません。事故の詳細は、いずれ県警の現場検証が済みましてから——これがどのくらいかかるかまだわかりませんが、私どものほうが車にタッチできましてから御報告いたしたいというふうに存じております。
  34. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 きのうは首都圏の国電区間でもって、車両故障だとかそれからドアの故障、踏切事故、飛び込み自殺など相次いで起こりまして、横須賀線、総武線、中央線、南武線、高崎線の各線にわたってダイヤが乱れまして、ために七万五千人といわれている乗客が迷惑を受けたのは御承知のとおりでございますが、これらの事故は、むしろ日常茶飯事と言っていいくらいの状況、現状になっていることを非常に私は残念に思っておりますが、まあこのような事故多発の中にありまして、私どもが特に見過ごすことのできない事件、危険な事件として取り上げなければならないのは、一昨日十日の塩酸タンク車の爆発事件でございます。いま瀬谷委員からもその件について御質問があり、いま国鉄総裁からも御返事をいただいたわけでございますが、私まず冒頭に、このことについて二、三お伺いしたいと思います。  そこで順を追ってお伺いしていきますが、この島根県の江津駅での塩酸タンク車が爆発した事件についてのまず報告をしていただきたい。ただいまも国鉄総裁からお話がありましたので簡単でけっこうですけれども、この内容とか、被害者の人数とか、あるいは被害の程度ということを、おわかりになる程度お知らせ願いたいと思います。
  35. 阪田貞之

    説明員(阪田貞之君) 事故の概要はただいま総裁からお話し申し上げたとおりでございますが、タンク車の進行方向の右の上の鉄板が破裂いたしまして、そこから塩素ガスが出ました。それによりまして、十五時二十五分に発生したのでございますが、三十五分に仮復旧を完了いたしまして直ちに専用線に引き上げまして、以後所要の処置をとったわけでございますが、その原因の詳細につきましては、ただいま総裁からお話し申し上げましたように、警察のほうの、その道の専門家の方がただいま来ておられまして、きょう——後藤工場というのが米子にございますが、後藤工場に入れまして、そこで細密検査をこれから分解いたしましてやることになっております。  それから負傷者の方は、——当時このガスをお吸いになって十八名気分の悪さをお訴えになって病院にお運びいたしました。その日のうちに十四名は何でもない、何でもないと申しますか、その日のうちにお帰りになりました。入院が当時四名でございましたが、その後郵政省の職員の方が一人退院されまして、現在三名でございます。ただその中に、小田原さんという方がございます。これが乳飲み子を持っておられますので、この方、乳飲み子二人が同じ病院の中においでになっておりますので、ただいま病院内には五名入っておられますような状態でございます。
  36. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 いまの御報告ですけれども、プラットホームにいたいわゆる乗客がこのような被害を受けたということになりますと、そのタンク車はプラットホームに着いていたわけですか、それともどういうような状況になって爆発を起こしたのか、ちょっとその辺のところを詳しくお話し願いたいと思います。
  37. 阪田貞之

    説明員(阪田貞之君) プラットホームがございまして、まん中に線路が三本ございます。そのまん中の線に貨物列車でございますので待機しておりました。それが十五時約二十分ごろでございました。それから五分くらいたちまして突然先ほど申し上げましたタンク車が爆発した、破裂したわけでございます。爆発というか破裂というか、初めの破裂時の液と、——先ほど塩素ガスと申し上げましたが、そうじゃなくて霧状になりました塩酸でございますが、これが風に沿って全部ホームのほうに参りまして、ちょうどホームにおられたお客さまと、それから郵政省の職員と、そこで働いておりました国鉄の職員と、合計いたしまして十八名の方がその霧状の塩酸をお吸いになって負傷をされたということでございます。
  38. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 そうしますと、その被害程度はわかりましたのですが、この原因ですね、爆発した。原因はタンクの構造上の欠陥というふうに推定されますけれども、そのとおりでございますか、それともほかに原因が考えられますか。
  39. 阪田貞之

    説明員(阪田貞之君) このような形の事故というのは、私ども初めて経験いたしまして、それがどのような原因でこのようなことになったかということは、現在のところなかなか現物に私ども国鉄職員として手をつけられないものでございますから、こまかいことはわかっておりません。この車には内部に塩素が入っておりまして、それにゴム張りの内張りがついております。その上をさらに鉄板で囲っているものでございまして、このタンクの特有の現象として起こったものではないかというふうに、いまのところは考えておりますが、こまかい原因につきましては、もう少し時間をかしていただきたいと思っております。
  40. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 そのタンクの所有者というのはどこですか。だれですか。
  41. 阪田貞之

    説明員(阪田貞之君) これは徳山曹達株式会社でございます。
  42. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 そのタンクの所有者は徳山曹達である、そうするとそのタンクの下の部分といいましょうか貨車の部分がありますね、それは国鉄のものですね。そうすると国鉄の貨車の上にタンクが設備されている、そういうふうに解釈していいわけですか。
  43. 阪田貞之

    説明員(阪田貞之君) 下回りも——どもはいわゆるタンクから下の部分を下回りと通常呼んでおりますが、下回りもタンクの部分も全部含めまして所有者のものでございます。
  44. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 そのタンク、いまのお話しのように、鉄板におおわれていると言われましたが、この鉄板の厚さは規定では九ミリといわれておりますが、この九ミリの規定というのは、鉄道がおきめになった規定ですか、それとも、何と申しましょうか、ほかの機関あるいはまあ業界等々で、あるいはまた薬物の取り締まりをなさっている厚生省ですか、その方面でおきめになったか、それを伺いたいと思います。
  45. 阪田貞之

    説明員(阪田貞之君) このそれぞれ中に入るものの性質によりまして日本工業規格いわゆるJISと、それからそれに対しましてさらに国鉄の中にはIRSと申しましてJISよりもさらにきびしい、必要によりましてきびしい規格をつくっておりますが、JISとIRSによってこれは原則的にきまっております。
  46. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 そうすると、この塩酸のタンクの場合には九ミリの鉄板でなければいけないという規定は、いま国鉄としてはJRSですか、JRSできめてある、こういうことでございますね、わかりました。  そうすると、現地の調査で、これは新聞で私は読んだわけでございますけれども、鉄板の厚さは九ミリであるのに現地の調査では二ミリから四ミリであるというが、これは事実であるかということでございますが、いかがでございましょうか。
  47. 阪田貞之

    説明員(阪田貞之君) これは先ほどから申し上げましたように、私どものほうで、現状のところ手を下すわけにまいりませんので、この測定は正しいかどうかということについては、私どもちょっとわかりません。
  48. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 大体しかし御想像では、おそらくこれが原因じゃないかというようにお考えですか、それともほかの原因をお考えですか。
  49. 阪田貞之

    説明員(阪田貞之君) 元来九ミリもある鉄板でございますので、九ミリの状態で鉄板に亀裂が生じたりするということは、特殊な脱線転覆であるとか相当急激な破壊力がこれにかかりませんと、なかなかそういうことは生じません。したがいまして、これがどの程度薄くなっていて、その原因がどうかということは、おそらく別に何らかの原因があるのではないかと考えますが、詳細についてはちょっとまだわかりかねておるわけでございます。
  50. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 関連。  私の質問に対して答弁漏れのようなかっこうになっておりますので、いまの問題でさらに関連してお伺いしたいのですが、このタンク車の安全性の問題についてさっきちょっと質問しました。これは私有貨車というわけですね。阿部委員もお尋ねになっておりますけれども、これは全くの私有貨車である——上から下まで、こういうお答えがあったわけです。要するに私有貨車であるこのタンク車が破裂したということなんですから、そのタンク車の安全性の問題については一体どうなのかということ、それの検査はどういうふうにやっておるのかという問題。それからこの破裂したタンク車のほかにも、これは衆議院運輸委員会で五月八日の太田委員質問、それから六月十二日の児玉委員質問の中でもホキ四二〇〇型が取り上げられているわけです。それに対して、これは中間は省略しますが、長くなりますので。結論として「調査しまして対策、措置したいというふうに考えております。」こういう御答弁があるのです、衆議院で。一体、六月十二日でありますから約一カ月たっておりますが、どういう対策なり措置が行なわれておるのか。ホキ四二〇〇だけじゃなくて、要するに私有貨車全般について、そういう措置等がはっきりしないうちにこの爆発事故が起こってしまったのかどうかという問題がありますから、この問題に関連をしまして、私有貨車全般の安全性の問題あるいはその検査の問題といったようなことについて、それから今後の対策の問題、県警で調べられているのはしかたないとして、それらの問題は国鉄でできるはずなんだから、やってなきゃならぬことなんですから、その点について御報告いただきたいと思います。
  51. 阪田貞之

    説明員(阪田貞之君) 私有貨車といいましても、検査その他のやり方につきましては全く国鉄の所有しているものと変わっておりません。しかも、その責任者は全部きめておりまして、積載車かその他全く国鉄の在籍の車と同じような処置をとっております。  少し詳しくなりますが、検査につきましては全般検査、交番検査、全般検査はいわゆるオーバーホールと称する、全部分解してやる検査でございますが、それがこのタンク車につきましては三年に一度やっております。それから交番検査は六十日ごとにやっておりますが、そのほか仕業検査はそのときそのときの仕業に応じた検査をしております。この点につきましては、国鉄自身の持っておりますものと差異はございません。同じように責任をもってみているわけでございますが、タンク車の場合におきましては、全般検査は国鉄でやりまして、それに応ずる修繕は所有者側がやるようになっております。  それからいま御質問のホッパー車の場合は、これは問題は、先ほど申しました、いわゆる下回わりのブレーキ装置の問題でございまして、これは国鉄側の責任によって処置しております。いま初めに、ホッパー車のほうでございますが、このホキの四二〇〇というのは、だんだんこれが盈車いわゆる全部積車、荷物を積んだホキで一つの列車を編成いたしますと、その重さによりましてブレーキをかける時間が非常に多くなります。したがいまして、ブレーキ力がときによって弱る面もございますので、これを四十五キロに、普通ですと二十ミリの勾配でも五十五キロないし六十五キロで走るようになっておるのでございますが、このホキ四二〇〇に関しましては、これを四十五キロに制限して安全を保って今日に至っているような状況でございます。将来このブレーキ力を、そういうふうに速度制限をしなくても済むように改造すべく、その改造のやり方についてただいま前向きで検討しておりまして、まだはっきりその改造手段そのものは明確になっておりませんが、その間盈車のみで、積車のみでやる場合、ホキのみではブレーキ力が足らなくなりますので、ほかのブレーキ力の強い車と混結いたしまして、所定速度が保てるように処置をするようにいたしております。大体九月からそのような手を打ちたいと思っております。これは安全上から申し上げれば、四十五キロに制限しておりますので、それが直ちに不安全になるということはございません。以前に衆議院でお答えいたしました件については、ただいま申し上げたとおりでございます。
  52. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 要するに欠陥車、特に私有貨車の中に欠陥車というのがあったわけですね。今回の場合だっておそらく欠陥車じゃないか。これはまだわかりませんかね。要するに欠陥車と見られるような貨車は私有貨車であろうとなかろうと、これは検査をして、使わないと、こういうふうにすべきじゃないかと思うのです。何とか間にはさんで使えば何とかなるといったようなことをやっておって、万一事故でも起こせばとんでもないことになるわけです。そういう対策というものはきびしくやっていいじゃないかと思うのでありますが、これはきびし過ぎるくらいきびしくやったって私はいいと思うのです。もったいないからといって、やたらとこの欠陥車を使ってあとで事故を起こされたんではかえって損失は大きいと思うんですよ。その点は、国鉄としては思い切った措置を講ずるという態度をとっておられるのですか。
  53. 阪田貞之

    説明員(阪田貞之君) もちろん安全に関しましては、安全をまず第一に考えまして輸送ということを現在行なっている状態でございまして、たとえば線路状態にいたしましても、場合によりましては必要により速度を制限したりして、現在所要のいろいろな輸送の御要望に合うようにしているわけでございまして、その点は十分、安全を確認した上で四十五キロであれば、それが十分安全であるということのチェックをした上でやっていることでございまして、決して安全を無視しているようなことをするわけではございません。結局、先ほど混結と申しましたのは、これはただ、より安全にするための問題でございまして、現状のままで決して不安全ということには、私どもは考えておりません。
  54. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 これらのタンク車ですね、民間の持っているタンク車ですね、この検査につきましては、国鉄では国鉄工作局で図面審査をしてそれで承認する。これができ上がってから国鉄資材局ですかで受け取って検査を行なう、こういうふうになっているそうですが、そのとおりでございますか。
  55. 阪田貞之

    説明員(阪田貞之君) 申請におきましては、所有者のほうで、先ほど申し上げましたJISその他の一つの規格、あるいはものによりましては、いろいろ爆発物だとか、劇薬だとか、いろいろな規制がございますが、それにのっとった設計をいたします。それを国鉄に持ってまいりまして、国鉄側では工作局に車両設計の専門家がおりますので、そこで全部チェックいたしまして、これでよろしいという承認を今度与えます。それによって所有者が車をつくるわけでございますが、つくってからは、再び試運転その他に立ち会いまして、所要のものができているかどうかということを品質管理部——品質管理部はいろいろな国鉄に納めるもののチェックをする部門でございますが、そこでチェックをいたしまして、それでよろしいという最後のまた承認を与えるわけでございます。
  56. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 その検査ですけれども、そうしますと、先ほどおっしゃった、たとえば塩酸タンク車の鉄板については、九ミリの厚さということは、これは国鉄のほうで図面審査の場合に要求したとおりだと思います、提示したとおりだと思いますが、また受け取りのときにまた検査するとおっしゃいましたが、そうすると、受け取りの時点において、このタンク車の鉄板が九ミリあるかどうかという検査も同時におやりになっていると思いますが、その辺いかがですか。
  57. 阪田貞之

    説明員(阪田貞之君) ものによりまして、でき上がりましたときは、鉄板の厚さのほかに中に内張りもあることでございまして、正確に、全部の一つの大きなタンク全般にわたってということは、なかなかそこまでのこまかいことは困難だと思います。
  58. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 鉄板の厚さなどは、いま簡単にわかるわけですから、そのぐらいの検査はなさっていると思いますけれども、もしもその検査もしないでいいかげんで受け取っていると、何のための審査かわかりませんけれども、その辺どうでしょうか。  それから、なお九ミリなければいけないというのは、新聞に出ていたように、まだあなたのほうで確認していないようですが、四ミリぐらいしかなかったということになりますると、じゃ受け取ったときに九ミリのが四ミリしかなかったかどうかということがわからないわけですね。そうしますと、非常に無責任な受け取り方をなさっている、こういうふうに判断されるわけですけれども、いかがですか。
  59. 阪田貞之

    説明員(阪田貞之君) このタンク車、ともかく大きいものでございますから、おそらく二ミリとか、三ミリとかいう寸法というものは、破裂した最後の結果出てきている鉄板の厚さをはかっての調査ではないかと思います。で、その他の、何といいますか、ほかの健全であった部分でございますが、こういうものがどれくらいあったかということはまだ報告を受けておりませんのでわかりません。したがいまして、破裂した部分が二ミリあるいは三ミリあるいは四ミリ、それが正規の九ミリないということは、単に製作時に九ミリあったかどうかということのほかに、いろいろその後の、中に塩酸も入っておることでございますし、腐食等の問題も、そこには化学変化が起こってくる可能性も相当あるのじゃないかということが一つの想定として考えられるわけでございます。
  60. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 何かちょっとその辺のところが非常にあいまいさが残っていると思いますし、いままでこのような塩酸のタンク車の事故がなかったというようなことから、受け取るほうでもどっちかといえば安心してといいましょうか、あまり厳重な検査をしないで受け取っていたのじゃないかというふうにも疑われるわけでございますが、現実にどれだけの厚さがあったかどうかということについては、いままだおわかりにならぬようですけれども、少なくとも私は、この場合に九ミリと規定されたならば、やっぱりタンクを受け取るときに九ミリあるかないかというだけの検査をすべきだと思います。これは一般の船舶なんかも、御承知のように、これは厚さにおいてもっと厚いものでございまするけれども、これはちゃんと的確な検査をして、それこそ各部門にわたっての検査をした上に受け取る、受け取るというのは、合格させるというようなことを厳重にやっているはずでございますけれども、ことにこのような塩酸というような危険物を入れる場合には、やはりもっと厳格な受け取り方がなされなければいけないのじゃないかと思いますし、いまの御答弁、何かちょっとあいまいのように、私あいまいな受け取り方をなさっているような感じもして、ちょっと気になるわけです。ということは、今後このような事件が起きてはなりませんので、その辺につきましても、もっと厳重に検査しておいてほしい、こう思うわけでございます。  ただ、いまのように何ミリあったかというふうな答えが出ておりませんので、的確なことを申し上げられませんけれども、もしかりに四ミリか三ミリしかなくて、それを知らずにといいましょうか、国鉄が受け取って、それで欠陥車でないと思って、いままでそれを列車につないで運んだということになると、これは大きな問題じゃないかと私は思いますので、その辺のところにつきまして、もう一度御答弁をいただきたいと思います。
  61. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 多少御答弁が不明確であったと思います。  まず私有車をつくらせること自身、これは図面を私のほうで引きます。それからメーカーは、私のほうに車を納めている車両メーカーがつくります。引き渡しのときには、もちろん先生おっしゃったように、厚さその他は幾らでもわかるわけでございます。これはきちっとして受け取っております。ただこの車は昭和三十年にできた車でございます。問題はその後の経年による腐食がどのくらいあったかという問題だと私は考えます。いま捜査中でございますので、私が断定的なことを申し上げることは差し控えますが、これは昭和四十五年の八月に私のほうで検査いたしております。そのときには一応三年間の期限でございますので、実はことしの八月がその期限の、次の検査の期限に当たっているわけでございます。三年というタイムリミットをつけましたのは、やはり足回りの部分の問題あるいはタンクのそういった問題も含めて三年ということができたというふうに思います。御承知かと存じますが、二気圧以上のタンクはこれは全部通産省の検査を経ております。したがって、タンク車におきましても、やはり三年に一度ずつ通産省の指定工場に入れまして、そうして二気圧以上のものにつきましては、通産省の認定工場の検査によって気圧をきちっと確かめております。二気圧以下については、そういう規制はございませんので、便宜やっているわけでございます。塩酸は気圧がそう上がらないはずでございまして、どういう理由でこの塩酸の気圧が上がったか、これに一つ問題があると思いますが、中にゴムのライニングがございますので、それに若干何かまずいことがあって、そうして腐食でもあったのじゃないかというふうなことが、一つの推定される方法でございますが、しかしこれはいずれ調査しなければわかりませんが、そういうことも考えられるとすれば、四十五年八月に私のほうでやりましたときの全般検査そのものに問題があったかもしれないという点にしぼっていまいろいろ部内では検討いたしております。  しかし、二気圧以上の非常に気圧の高いものにつきましては、いま申しましたように、ほんとうのそういうボイラーの専門家がいろいろ気圧を確かめますが、それ以内の小さいものにつきまして、私のほうでやるだけでございますので、実はこれを契機といたしまして全部そういった二気圧以下の弱気圧のものにつきましても一斉検査して、そしていま先生のおっしゃったような心配のないようにしたいということで、実は運輸省のほうからもそういう御指示がございまして、私のほうといたしましても急遽一斉検査をやってみたい。と同時に、今後の問題でございますが、その私有貨車の中の、いわば足回りの部分は、これは鉄道として当然わかるわけでございますが、そういうタンクの圧力そのものにつきましては、やはり契約でもって三年のオーバーホールの間にもう一ぺん今度はメーカー側できちっと検査するというふうなこともさせてはどうかというふうなことで、実はいま考えておりまして、いずれにいたしましても、この九ミリと申しますのは、町を走っているタンクローリーは大体六ミリでございます。したがって、その点からいえば非常に安全性は高いわけでございまして、両数もタンクローリーよりずっと少ないということでございますので、問題はできたあとの保守、ことに十年以上たちましたもののその後のアフターケアの問題そこに私は一つ問題があるんじゃないかということで、実はそれに重点を置いて、今後警察の調べも終わりましたらそれを突き詰めてまいりたいというふうに思っております。  先生のおっしゃったような御心配確かにございますので、一刻も早くそういう心配のないようにしてまいりたいと思っております。
  62. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 まあ国鉄総裁のお考えや、またこれからなさろうとすることに対しては非常にけっこうなことだと思いますけれども、ただ私も、このような劇物を入れるタンク車につきまして、容器につきましてやはり何年持つかといいましょうか、耐用期限ですね、こういうようなものを明確にすべきだと思いまするし、しかもだんだんと古くなれば古くなるだけいろいろな障害が起きてくるのですから、それに対しての検査は依然として三年に一回だということ自体にも問題があると思います。ただいま中間検査的なものをおやりになろうということについては非常にけっこうなことだと思いまするけれども、新しくできたできたてというものにつきましては、三年ごとでも私はいいと思いますけれども、このようにもうすでに三十年代にできたもので、十年以上たっているというものについても三年に一回の検査というのは、やっぱり多少ゆる過ぎるのじゃないかと思います。  それから、いまちょっと総裁も言われましたが、業者に検査をさせるというようにおっしゃいましたけれども、やっぱりこれは何と申しましても営利とか損益というものに重点を置いている業者におきましては、どうしたって、何といいましょうか、自分に都合のいいような結果を報告するようになりますし、やはり現実に使用なさっているのは国鉄である以上は、国鉄側においての検査というものでなきゃならないと、このように思うわけでございます。このような、どっちかというとルーズだと思いまするけれども、この劇物の取り扱いにつきましては、その監督官庁はもちろん厚生省であると思いまするが、厚生省はこのようなことに対して、どのような行政指導を行なってますか伺いたいと思います。
  63. 松田正

    説明員(松田正君) 現在、御承知のように、毒物及び劇物取締法という法律がございまして、これに基づきまして一定の毒物あるいは劇物につきましては運搬上の基準を定めることができるようになっておるわけでございます。最近こういった毒物、劇物の大量輸送、これは非常に増加をいたしておるきらいがございます。したがいまして、私どもといたしましても、この運搬上の基準を定めまして、できるだけ被害の防止に当たりたい、こういうことで現在、運搬の容器につきましてはそれぞれ専門家の意見を聞きながら、現在非常に毒性の強い四アルキル鉛あるいは弗化水素、そういったような無機シアン化合物、こういったものにつきましては、現在政令で運搬基準を定めてございますが、検査につきましてはまだ定めてございません。したがいまして、今後こういうような大量に運搬をされるような毒物あるいは劇物につきましても関係機関と早急に相談いたしまして、基準をつくって、その基準を守らせるように指導をいたしたい、かように考えております。
  64. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 このような塩酸というものに限らず、いま御承知のように、非常に公害物質が出回っているといいましょうか、非常に私たちの人体に被害を与えていますけれども、したがいまして、次々といろいろな物質が出るわけですから、それは厚生省としても、それに一々適切なる対策を立てるということはたいへんだろうと思いますけれども、しかし、いまの運搬容器基準というものは、いま検討するというようなお話ですけれども、もっと何といいましょうか、こういうような事故の起きない前に、法的基準を的確につくる、これがこういった薬物、毒物に対する態度じゃないかと思いまして、この点厚生省少し怠慢だと思いまするが、いかがですか。
  65. 松田正

    説明員(松田正君) 先生おっしゃるとおりでございまして、最近では非常に毒性あるいは劇性のある物質の輸送は非常に増加をいたしておりまして、したがいまして、私どもといたしましても、今回の事件直後、薬務局長から各都道府県を通じまして、一そう指導の強化をはかるように指示をいたしたところでございますが、基準につきましても、運輸省その他早急に相談をいたしまして、基準をつくる考えでございます。
  66. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 このタンク車の位置について、先ほどちょっと承りましたけれども、まだ私自身が江津という駅を知りません。江津駅が終点であって、これから工場へ持っていくという状態のタンク車でございましたか、その辺ちょっと承りたいと思います。
  67. 阪田貞之

    説明員(阪田貞之君) これは徳山にございます徳山曹達、これは周防富田の駅から山陽線を通りまして小郡に出て、それから山口線を通りまして益田に出て、益田からこの事故を起こしました江津を通りまして、最後は伯耆大山まで運ぶ車でございます。
  68. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 その江津駅はたまたま待避線と申しましょうか、次の貨車編成を待って、そこに置いておいたということなんですね。ですからその場合には、もちろん先ほどもお話がありましたけれども、一応安全性というものを確認した上でそこに停車したと思いますけれども、そのとおりですか。
  69. 阪田貞之

    説明員(阪田貞之君) これは先ほど申し上げましたように、目視検査ではございますが、出発のときに一応連結をして、列車として出発するときに一応目視で外観検査はずっとしてまいっております。異常のないことを認めて動かしているわけでございます。この江津駅におきましては、急行列車を待避するために中線に一時置いたものでございます。
  70. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 この塩酸タンク車のほかに、危険物の輸送としてどのようなものを国鉄は輸送していますか、簡単にひとつお知らせ願います。
  71. 阪田貞之

    説明員(阪田貞之君) 私どもは、大体一万七千四百両ばかりタンク車がございますが、この中には可燃性の強いもの、それから気圧の高いもの、あるいは人に触れると有害なもの、それから比較的、一番極端なのはミルクのように非常に安定しているもの等がございますが、主として危険なものと申しますと、引火性の高いものと、それからこういう劇薬的なもの、これと爆発性の高いもの、こういうものが占めております。
  72. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 これは全国的にこのようなタンク車が動いているわけですか、それとも特別にたとえば関西なら関西、いま申し上げましたような山陰線に多いとかそういうことになっていましょうか。その辺もひとつ……。
  73. 阪田貞之

    説明員(阪田貞之君) タンク車は全国的に動いております。  まあ補足的な説明で恐縮でございますが、先ほどこういう劇物に対してどういう取り締まりをしているかという御質問がございましたが、私どものほうといたしましては、昨今、先ほど先生のおっしゃいましたように、いろんな新しい物質が出てまいります。そこで化成品輸送調査会というものを設けまして、東大の灘波先生を中心といたしまして、こういうものに対してはいかなる荷づくりをするか、いかなるその輸送方法をするか等、これに関しますもろもろの安全を第一とした調査を四十六年から約二年余りにわたって今日までやってまいっております。その結果、たとえばこれは、その調査会の御指示を得てつくったものでございますが、これには一品ごとにどういう性格であり、人体にどういう影響があるので、どういう梱包のしかたをしなくちゃならない、それからどういうものは激動を避けなくちゃならない、それから、もし万が一漏れたりした場合にはどういう処置をすべきかというマニュアルが、これがほとんどこれ、今日、その結果できてまいっております。これは、現場に働いております職員がこれを持ちまして、自分の所要の処置が応急にとれるようにこれを持たしているわけでございますが、さらに日々刻々そういう新しいものができてまいりますので、今後ともこういう新しいものに対しましては、やはり一つのセンターを設けまして、そこで専門の方々から梱包方法その他、輸送の安全に関して、輸送はいかにあるべきかということにつきまして、いろんな指示をいただくと同時に、またその情報センターにおきましては、外国まで含めまして、たとえば今度江津駅でこういうことが起こった、アメリカでこういうことが起こったという、そういう情報をそこに集めまして、そういうことを参考にしながら、今後、私どものやっておりますこういう輸送をより安全にしなくちゃならぬということにつきまして、私ども相当力を入れて現在やってきたやさきで、たいへん残念に思うのでございますが、今後とも、こういう新しい危険物に対しましては、より綿密な手段によりまして、御心配をかけないような輸送をしてまいりたいと思っている次第でございます。
  74. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 今回の事件は、被害者の数も十八名で、しかも、わりあいに軽微であったと、入院している人も三名と承りました。比較的最近の事故のうちではどちらかといえば、被害程度の少なかったことは不幸中の幸いだと思いまするけれども、このような今度の事件につきましての被害者の補償というものについて、国鉄はどういうふうにお考えになっていますか。  ということは、この所有者が企業でございます、徳山曹達です。そうすると、徳山曹達がこの被害者に補償をすべきものか、それとも、現実にそこまで運搬している、また運搬上の責任を持っている国鉄が責めを負うべきかどうかと、こういうふうに考えられますけれども、どういうふうにいま国鉄ではお考えですか。
  75. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 非常に災難を受けられた方に申しわけないと思っております。  法律関係で申しますれば、先ほど申しましたとおり、私のほうの検査の粗漏のためであるといたしますれば、これはもう国鉄の責任に間違いございません。しかし、かりに四十五年八月に、私のほうがここがあぶないから修繕しなさいと言って、それを修繕しなかった、あるいは修繕のしかたが十分でなかったということになりますれば、所有者側に責任があると思います。その点は、もう少しはっきりしないとわかりませんが、もう私のほうが有責だとこういうことになりますれば、これは私のほうといたしましては、通常の例によりまして、負傷者に対しましては、できるだけの手厚い、何と申しますかあと始末をする。またそれで休業でもされれば休業補償をするという一般の例によってやりたいというふうに思っております。とりあえずお見舞いだけいたしております。幸いそれで会社を休むなどという方は大体ないようでございましたが、もし、そういうことがあれば、もちろんそういう補償もいたすつもりでございます。
  76. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 そうしますと、国鉄が補償をする、あるいはまた徳山曹達のほうで補償をするということは、これは原因を調査してからの問題だと思いますけれども国鉄として大体このような事件、このくらいの事件に対しては、どの程度の補償金を、この事件というよりも、むしろこの程度のケースに対しては補償金をお払いになったか、参考までに承りたいと思います。
  77. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 非常に、場合によって違います。たとえば北陸トンネルのほうは、まだ後ほど御質問があるようでございますが、それらとの関係もございますし、また大体、いままで、たとえば昨年の船橋の事故、ああいう例でございますと、治療費は当然でございます。そのほかに先ほど申しましたように、休業されれば休業補償をいたします。それから自賠責によりまして精神的な慰謝料等も一つの基準がございます。そういうものも基準にいたしますと同時に、いろいろその方の生活内容等によりまして、非常に個別差はございますけれども、一人当たり幾らというふうな、簡単に結論は申し上げられませんが、まあいままでの例によりまして、補償あるいは損害賠償あるいはたとえば被服がだめになれば被服の損害というふうに、できるだけの範囲で、可能な限りの損害を補償していくというふうなやり方でやっております。
  78. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 この石油化学工業の発達によりまして、この種の危険物の輸送というものは非常に激増しておりますし、また今後ますますふえてくるのじゃないかと思います。したがいまして、この種の事故そのものも発生する頻度と申しましょうか、それも増加すると考えなければなりませんが、先ほど国鉄総裁からも、この塩酸タンク車の事故にかんがみて、これからさらに検査を厳重にし、処理していきたいというようなお考えを承りましたけれども、これは単に国鉄の貨車あるいは国鉄でいま扱っているタンク車だけの問題でなくて、一般のその他の輸送機関、電車であるとか、あるいはまた飛行機もありましょうし、あるいはまた船舶もありましょうし、トラックもあると思いまするが、このような全般的な問題でもございまするので、運輸大臣から、このような事件に対する抜本的な対策というものは、ぜひ講ずる必要があると思いまするが、御所見を承りたいと思います。
  79. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 各輸送機関において、それぞれ事情が違うと思いますが、今日までもこの安全対策については、構造上の問題等、それを運ぶ操作の問題と両方に分けまして、これはできるだけのことをしていると思いますけれども、こういった予期しない事故が発生いたしましたので、これはいまおっしゃるように、これは自動車、船等を通じまして、安全基準を厳重に守っていただく。これはもともと構造の問題としては、こういったものをつくったときは、やはり安全基準に従ってやっておりますから、間違いはないと思うんですけれども、その後の保守はどうかということが一番心配でございます。  これはおそらく船一隻一隻あるいはタンク車一両一両、この官憲の手で全部詳細に見るということは、なかなか困難でございますが、これは企業者自体十分気をつけなければならぬと思います。十分にこれは指導をしていかなければならぬと思いますし、特に扱うほうの側からいいますと、これは主として、これを扱っている人たちの注意を十分してもらわなければならぬということにもなります。こういった面におきまして、各交通機関を通じまして、構造安全基準を維持する問題、それから扱いの問題を通じまして、今後十分、これは各交通機関ごとに特色がありますから、それを考えながら最善の方法を講じなきゃならぬと私も痛感をしておるところでございます。至急に各交通機関について、具体的にそういったことを考えて善処をさせるようにしたいと思います。
  80. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 国鉄が明治の初年にわが国の文明開化のシンボルとして登場しまして以来、ちょうど昨年百年になったわけでございますが、この間国内交通の中核として、わが国経済、または文化の発展に寄与したことは周知の事実でございますし、特に戦後の復興に大きく貢献したことは高く評価されるべきだと思います。もちろん現在においても国の交通機関として重要な使命を遂行しているということは申すまでもございません。  ところが近年、この国鉄が財政的に行き詰まってまいって、国内交通のにない手として健全な経営を行なっていくことが困難になったことはまことに私も遺憾だと思っておりますが、この窮状を打開するために、政府では四十四年に日本国有鉄道の財政再建に関する基本方針というものを立てられたのでございまするが、ここに至るまでの経緯をまず御説明願いたいと思います。
  81. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) ただいま先生の御指摘のように、私どもといたしましては百年の長い間使命を果たしてきたわけでございますが、いわゆるモータリゼーションの進歩、これによります輸送構造の変化あるいは人件費、資本費の急増、こういったことによりまして、昭和三十九年以来、国鉄といたしましては赤字に——償却前の赤字でございますが、転化するという事態に至ったわけでございます。  しかし国鉄のになう使命ということにかんがみまして、いかにしてこれを立て直すべきか。こういうことによりまして、四十三年四月に閣議了解に基づきまして国鉄財政再建推進会議というものがつくられたわけでございます。これには学界、言論界、また産業界、その他の学識経験者にお集まりいただきまして、いろいろと御審議をいただいたわけでございますが、一つには国内におきます総合交通体系に占める国鉄輸送のあり方、及び今後の国鉄の投資規模。第二には国鉄経営の近代化、合理化の促進の問題、第三は国鉄財政基盤の強化に必要な施策の一つといたしまして、財政上、資金上の助成の問題。こういった問題につきまして、三つの部会に分かれまして、いろいろと審議が行なわれまして、そうして四十三年の十一月に運輸大臣に対しまして意見書が提出されたわけでございます。  それに基づきまして、国有鉄道財政再建促進特別措置法、いわゆる現行法でございますが、これが国会におきまして御審議いただきまして、四十四年五月成立いたしまして、これに基づきまして、運輸大臣は閣議に国有鉄道財政の再建に対する基本方針、これを提出いたしまして、四十四年九月閣議決定なされたわけでございます。さらにこの基本方針に基づきまして、国鉄におきまして具体的にさらにこれを検討いたしまして、実施するための、いわゆる経営の基本的な計画、これを国鉄が四十五年の二月、運輸大臣の承認を得まして決定したというわけでございます。これが現行の国鉄財政再建の骨子をなしているものでございます。
  82. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 その四十四年にきめられた国鉄再建計画ですね、いわば。これが四十四年からわずか三年たつかたたないうちに、いわゆる昭和四十七年に、この計画ではあかぬということでもって、再び新たなる再建計画が出されたわけでございますね、御承知のとおり。その間のいきさつを承りたいわけでございますけれども、重ねて現実に行なわれております現行の再建計画ですね、それがなぜ三年間でもって新しくこれもまた計画を練り直してやらなければいけなくなったか、この理由ですね、これについて御説明願いたいと思い・ます。
  83. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) 四十四年に国会で御審議いただきまして成立いたしながら、御指摘のように、どうして三ヵ年で改定せざるを得なくなったか、昨年どうして新しい案を提出するに至ったかということでございますが、一つ再建計画に対しまして、実際におきまして収入が伸び悩んだことでございます。これは私たちが予想いたしました以上に輸送構造というものが変わってまいりました。こういうことと、それから一つには国鉄のいわゆるサービスというものが十分、旅客におきましても貨物におきましても、旅客、荷主の要望に対応しきれなかった。いわゆる国鉄の体質の改善ということが進まなかったということによりまして、当初の計画に対しまして収入というものが伸び悩んだわけでございます。  第二は経費の支出、これが予定よりも増大したことでございます。それの一番大きな問題は、人件費の予想を年率九%ということで立てたのでございますが、これが実際におきましては四十四年、四十五年、四十六年と、いわゆる一四%、一五%、二二%、こういったように、予想以上に人件費の上昇ということが大きなものであったことでございます。  利子の負担、これにつきましては大きなものでございますが、これは当初の予定のとおりに計画いたしまして、この利子の支払いというものは大きゅうございましたが、この点につきましては、再建計画とは別にそごはございませんです。しかしながら、こういったことによりまして国鉄の財政再建の見直しということが切実な問題になりまして、昨年特にいたしました点は、いわば一番大きな点は、政府の助成を拡大したことでございます。で、現行計画におきましては、すべてを含めまして十カ年間に二千億の助成ということでございましたものを、昨年の廃案におきましては一兆の出費を含めまして二兆の財政助成ということを考えた点が一つの大きな点でございます。  また一つには、投資規模でございますが、これも現行計画におきましては三兆七千億という投資規模でございましたが、これもいわば先ほど申しました国鉄の体質の改善ということにおきましては、これではとてもだめだということによりまして、昨年の廃案におきましては七兆の投資規模にいたしたわけでございます。  それからいま一つは人員の問題でございますが、これは現行計画におきましては、十カ年間に六万人の縮員をするということでございましたが、昨年国会で御審議いただきましたときには十一万人、これはいわば定年になりまして退職する人の補充をいわゆる合理化、近代化によりまして極力その補充を少なくしていくということによりまして十一万人の縮員をするという点が違ったわけでございます。  それから運賃改定につきまして、現行計画におきましては、これはいわゆるそのときの財政再建の進捗状況、物価その他の経済情勢を勘案した上で改定を行なうというふうにしたのでございますが、昨年の案におきましてはそれを五十年、五十三年、五十六年それぞれ運賃改定を行なうというふうにした点。これが廃案となった昨年の案との違いでございます。
  84. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 昨年そのようにして、新しい十カ年計画が提出され、それがついに国会におきまして廃案になったことは御承知のとおりでございますが、その昨年に御提出なさいました、またいま御説明なさいました、その昨年の案と、それから今回御提案なさっている再建案ですね、これとの相違といいましょうか、それをお伺いしたいと思います。
  85. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) 昨年、国会におきまして御審議いただきました貴重な御意見、それを十分に私どもといたしましては取り入れさしていただきまして、今回の案を提出さしていただいたわけでございます。  それの一番大きな点は、財政助成をさらに飛躍的に拡大した点でございます。で、昨年の案におきましては二兆の政府助成ということでございましたものを、今回は十カ年間に三兆六千億の助成をするというふうにした点でございます。で、これの内容を申し上げますと、昨年におきましてもいろいろと御審議いただきました過去債務の圧迫ということでございまして、現行計画におきましては、政府管掌債務約六千三百億でございますが、これのみをたな上げにするという案でございまして、昨年はそれを政府管掌債務に加えまして、政府保証債務まで加えて提出したわけでございますが、過去の債務の圧迫から国鉄は脱出すべきであると、こういう御意見がいろいろございまして、今回におきましては、鉄道債券のすべて、すなわち過去債務、四十七年度末におきますすべての債務、約三兆五千億でございますが、これをたな上げするというふうにした点が一番大きな点でございます。  それから将来の工事に対します手当ての問題といたしまして、昨年は出資を一兆するというふうにしたわけでございますが、今回の案におきましては一兆五千七百億というものの助成をするというふうにしたということでございます。それからやはり、将来の国鉄の経営を考えまして、現行計画におきましては、工事費の利子負担は六・五%でございますが、昨年の廃案におきましては、これを四・五%まで工事費のほうに乗せるといたしましたのを、今回の案におきましては三・五%まで工事費補助をするというふうに拡大をいたしました。こういったことによります国鉄に対します政府助成の拡大、これが一番大きな柱でございます。  第二には、鉄道建設公団に対しましても、これが国鉄のいわゆる借料としまして経営上の負担になることにかんがみまして、先ほども申し上げました国鉄と同様に、鉄道建設公団建設いたします新幹線につきましても一五%の出資、三・五%までの利子補給を行ないますとともにCD線、これも将来国鉄の借料の負担になるわけでございますので、現在は五・五%までの利子補給でございましたものを四・五%まで利子補給をする、こういうことによりまして、鉄道建設公団に十カ年間に一兆の政府助成をするわけでございますが、これが国鉄の財政再建に直接貢献するわけでございまして、合わせまして四兆六千億円の政府助成といいますものを、国鉄の再建に出すという点が一番大きな今回の再建案の特色でございます。
  86. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 本案に対する午前中の審査はこの程度といたします。  午後一時まで休憩いたします。    午後零時五分休憩      —————・—————    午後一時九分開会
  87. 長田裕二

    委員長長田裕二君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  午前に引き続き、国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  88. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 先ほど現行の再建計画、さらにそれに引き続いて昨年に提起されました、いわゆる廃案になった再建計画、それから今回提案されましたこの案件と、これについていろいろお伺いしたわけですけれども、この中でもう一度重ねてお伺いしたいと思いまするのは、去年廃案になったものと、ことしの計画の中で、人件費はもう相当にあれなんでございましょうか、人件費の点についても相当違いがあったように思いますけれども、この点いかがでしょう。
  89. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) この点も今回は改めておるわけでございまして、昨年の計画におきましては最初の三カ年間は一二・一%、次の三カ年は一一・一%、最後の四カ年は一〇・一%、こういったふうに予定いたしまして、収支計算を長期見通しをしてみたわけでございますが、その後の経済情勢さらに本年決定いたしました経済社会基本計画、これにおきます五十二年までの今後の伸びというものをいろいろと調整いたしまして、またその間のすり合わせもいたしまして、今回の案におきましては、最初の五ヵ年間はその伸び率を一二・三%上げたわけでございます。それから後半の五ヵ年間につきましては、一〇・三%、こういうふうに今回の案におきましては変更いたしました。
  90. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 それからもう一つ、昨年のいわゆる廃案になった部分との著しい違いを見受けたものとしまして、私は例の地方の赤字線ですか、この赤字線に対する対策といいましょうか、これがだいぶ薄れているように思いますけれども、この辺はいかがになっておりましょうか。
  91. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) この点も、先生の御指摘のとおりでございまして、昨年の再建計画におきましては、地方閑散線といたしまして、ランニングコストにおきまして、鉄道道路輸送とを比較いたしまして、国民経済的に見まして、道路輸送のほうが有利である、しかもそれの代替交通機関、これが確保されていると、と申しますと、並行道路が確保されておりますとか、あるいは雪のための交通途絶のおそれがないと、こういったような路線につきましては、運輸大臣がこれを認定いたしまして、それに基づきまして国鉄が廃止申請をしまして、五ヵ年間に約三千四百キロを廃止するという計画をつくったわけでございます。でございますが、昨年の両院におきましての御審議におきまして、国鉄のいわゆる公共的使命ということからいたしまして、頭から運輸省が認定するということは問題があるということでございまして、今回におきましても、道路交通にかわるべきものにつきましては、積極的にその道路輸送への転移ということを考えておるわけでございますが、昨年のように頭から五カ年間に三千四百キロといったようなものを一方的に廃止するということではなくて、よく地元話し合いを進めながら道路輸送への転換をするというふうに政策を変更したわけでございます。
  92. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 いままでの御説明で今回の計画案を作成されました経緯、それから大綱というものについてわかりましたのですが、今回提案されました計画案の内容に入る前にちょっと伺いたいと思いますのは、国鉄再建の根底になっておりますいわゆる総合交通政策ですね、あるいは総合交通体系といいましょうか、これとの中で国鉄がどのように位置づけしているか、これらについて運輸大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、参考資料としていただきました両案に対する説明書の一番の最初のところで、冒頭に、日本国有鉄道が将来にわたるわが国の交通体系においてその果たすべき役割りに応じ得る近代的経営体制を確立し、云々とこういうふうになっておりますが、この場合に他の交通機関すなわち船舶とか自動車だとか、あるいはまた航空機などとの相互関連性において本計画案をお立てになったと思いまするけれども、その辺についての立案の根拠と申しましょうか、これを運輸大臣からお伺いしたいと思います。
  93. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) この総合交通体系について閣議で了解があったということは、御存じのとおりでございますが、今度の再建案につきましても、可能な限り総合交通体系の線に沿いまして立案をいたしておるのでございます。  簡単に申しますと、この総合交通体系では、やはり利用者の選択、各交通機関の持つ特性というようなものを基礎にいたしまして、それにいろいろの社会的な諸条件を加味して望ましい分担関係をつくれということがいわれております。国鉄につきましては、先ほど来政府委員から御説明いたしましたように、非常に輸送シェアが最近減ってきておりますから、それを早く回復をして、国鉄が本来持っておる使命、総合交通体系の中では都市間の輸送でございますとか、あるいは大都市の通勤通学の輸送でございますとか、あるいは貨物についてはもっと近代的なシステムによりまして、トラックに奪われておるシェアを取り戻せるような機能を早く回復するようにということをいわれておるわけですが、大体、今度の再建案は、そういう国鉄に負わされておる機能回復のために必要な施策というものは、できるだけ十カ年計画の中に織り込んでおるのでございます。  ただ、その総合交通体系の中でいわれておりますいわゆる誘導策というのが書いてございますが、この誘導策というものは、これはほかの国にありますように、法律でもつくって税金を取るとか、あるいは強制的に輸送の分野を変えていくというようなことにつきましては、これは今度の計画の中では、そういう直接立法の方法は採用しておりませんが、しかし、いま申し上げましたようなことを実質的に実行して、国鉄の施設を充実し、サービスを改善することによりまして、それによって利用者が選択をしながら、そして一方では競争原理に立ちながら国鉄のほうのシェアをだんだんふやしていって、国鉄の本来持っている機能を遂行するのにふさわしい国鉄の姿というものを実現したい、こういうことでございまして、要するに総合交通体系において注文されておりますところを、できるだけ今度の計画において実行すべく配慮をしたというふうに考えております。
  94. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 大臣のおっしゃることはわかりますが、総合交通体系に基づいての立案というのは、おそらく昨年の廃案になった分についても同様だったと思いまするし、したがって、いまお話がありましたように、本年についても同じような、それに準拠しておやりになったと、こういうことだと思います。  ただ、そうしますと、先ほど局長にもお伺いしたんですが、たとえばいまの地方の開発線と申しましょうか、いわゆる赤字線も含めての地方の開発線について、昨年の計画においては、むしろこれを廃止していこうという線が強く打ち出されたと思いまするが、今度の分は、むしろこれは百八十度とまではいかぬでも、相当程度変更してこれを存続させていこうと、むしろ場合によっては、地方によってはこのような地方開発線というものを増強していこうと、このような姿勢がうかがえるわけですけれども、この辺についてはどういうことでしょうか。
  95. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 抽象的に言いますと、廃案になった昨年の案とあんまり変わらないじゃないかと、こういうお尋ねでございますが、ある意味においてはそうかもしれませんが、しかし先ほど政府委員から申しましたように、各分野において、昨年とはもう姿勢が違うと私は思っております。画期的な、これは皆さんからごらんになると、政府の助成のしかたが足りないじゃないか、もっと国が負担すべきじゃないかという御指摘が皆さんからあるわけでございます。しかし、いまの財政状態からいたしまして、われわれとしましては、政府においてはなし得る最大限の配慮をしたということで、たとえば先ほど問題になりました新幹線の問題でございましても通勤輸送の問題でございましても、その取り組み方が昨年の案とは非常に違っておりまして、これはもう何とかして早くそういう体制をつくり上げようということに腐心をしておるということを御了承いただきたいと思います。  それから地方閑散線の問題について具体的にお触れになりましたから申し上げますが、昨年と姿勢が変わったかというとそうではないんです。同じことを考えております。これは「総合交通体系について」というパンフレットの中にも書いてございまして、何もかも閑散線は廃止してしまえということは書いてございません。やはりこれは住民の選択にまかせるんだということが骨子でございます。私のほうは、今度はそれを受けまして考えておるのでございまして、三千四百キロというようなものを運輸大臣が頭から認定をして、これを五ヵ年間に廃止するんだということを考えることは行き過ぎじゃないか、やはり地方地方の事情がございますから、道路輸送に転換することの可能なところは昨年の案と同じように道路輸送に転換することは、これはもちろんいたします。しかし、そうでない、ほかに交通手段のないところ、そういったところは道路輸送に転換しようと思ってもできないというたところが残りますから、それでも赤字だからやめてしまうんだというようなことは避けなきゃならないということで、その点は、実際に地方閑散線の整理をする場合のわれわれの方針を若干変えたということは事実でございます。これはしかし、総合交通体系でもそういうことを想定しておるのでございまして、全然頭から背反しているというようなものではないと考えておるのでございます。
  96. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 まあ私は、いま大臣が御答弁なさいましたけれども、昨年の廃案になった分と今度提案された分の中の基本的な違い、これは姿勢が変わったんじゃないというような御説明でしたけれども、私自身はそういうふうに受け取らないし、受け取ることができませんで、むしろ要するに、田中内閣ができてからの、いわゆるこれらの産業開発と申しましょうか、運輸その他等々の問題につきましても、いわゆる列島改造論というようなものを打ち出して、その一環としての施策であり、またそれによってやはり基本的には大きく姿勢が変わったんだと、このように受け取っているわけでございます。  新幹線の問題につきましても、昨年考えられたときと、わずか一年後のことしの三月でしたか、この案が出ました時点におきまして、すでに非常に、積極的に新幹線を、それこそ津々浦々にまで新幹線や高速道路を敷こうという列島改造論の基本的なアイデアというものがにじみ出ているような感じがしているわけでございます。  それはさておきまして、私もついででございますから、次に新幹線の問題に入りたいと思いますが、新幹線の問題につきましては、昨日も瀬谷委員からいろいろと長い間当局に伺ったわけでございまして、また私がきょう新幹線の問題をここで取り上げて審議していくというようなことにつきましては、まあこの法案を何とかして早く片づけようというようなお考えを持っている委員方々にはちょっとひんしゅくを買うんじゃないかと思いますけれども、私はしかし、この新幹線そのものがやはりいまの国鉄にとって、いや国鉄だけじゃなくて、いわゆる日本の国民から見た上でも、非常に大きな関心をもって見られている相当大きな問題なんだということと同時に、またそれだけによかれあしかれいろいろな批判の対象にもなっている、そのような見地から、私また、あえて瀬谷委員に次いで本日もこれをテーマとしたいということにつきましては、御了解願いたいと思います。  そんなことで、まず新幹線についてちょっと伺いたいと思います。この新幹線建設費ですね、これが廃案のものと比較しまして倍増の三兆九千億ですかになっておりますが、この新規投資の内容を示してもいたいと思います。
  97. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) 昨年御審議いただきました廃案におきましては、ただいま先生御指摘のように、ただいま工事いたしております三新幹線、すなわち東北新幹線につきましては盛岡まで、上越新幹線成田新幹線、これを完成いたしますわけでございますが、そういたしますと現在の山陽新幹線を合わせまして約二千キロが完成するわけでございまして、ただいま調査いたしております調査五線、これは昨年の案におきましては再建期間中にはなお工事続行中ということで、開業はしないという計画でございまして、これが今回の計画におきましては、ただいま工事いたしております工事三線につきましては五十一年度に完成いたしますとともに、本年より工事着工いたす予定にいたしております調査五新幹線につきましても五十三年度に完成いたしまして、五十四年より開業する、こういうことでございまして、再建期間中に開業いたしまして、実際に旅客の利便に供します新幹線は三千五百キロになるわけでございます。  それ以外に、なお約三千五百キロにつきましては工事を続行していきたいと思っておりますが、その三千五百キロはなお今後検討していくわけでございますが、そういったものを含めまして、今度の国鉄の十カ年間におきましては約四兆八千億の新幹線用の工事を計上いたしておりますし、また鉄道公団におきましても約三兆六千億というものを新幹線工事予算に予定いたしております。
  98. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 そうすると、建設費そのものは四兆八千億の予定でございますね。この十カ年の計画再建計画の中で、いまお述べになった要するに九州新幹線、北海道新幹線まで入れて計画されておりますが、それ以外には、この十年間にはもう新しく計画といいましょうか、計画されたり建設されたりというようなことはございませんか。
  99. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) 昨年の鉄道建設審議会におきまして、現在調査いたしております調査五線、これの基本計画につきまして、そのうち四線でございますが、基本計画の決定をいただきました際に、鉄道建設審議会から建議がございまして、今後さらに引き続き全国的に新幹線建設につき運輸省において調査を行なうようにと、こういう建議をいただいておりまして、運輸省といたしましては、本年度も約千七百万円の予算を計上いたしまして引き続き調査をいたしておりまして、これはいま申しました三千五百キロが五十四年には開業するわけでございますが、それに引き続きまして約三千五百キロの建設をいたしまして、六十年の時点におきましては約七千キロの新幹線を開業いたしたい、かように考えております。
  100. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 いまの新たに御決定になった新幹線についてちょっとお伺いしたいと思いますのは、一つ北陸回りの新幹線ですね。これは大臣に伺いますが、これは私自身も相当インタレストがあるものですから伺うわけですが、これにつきましていま調査中だと承っております。しかし、この線が現在これから着工しようとしている上越新幹線ですか、これと相当の程度、何といいましょうか、並行線といいましょうか、同一軌道を通るようなことになる。その辺のところと、それから北陸回りにおきましては、いまこれは長野県それから富山県を通って大阪へということになっていますが、そのようなコースにつきまして、現実に調査の結果、可能性のある路線というものについて、おわかりになったらお知らせ願いたいと思います。
  101. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) いま具体的にお示しになったような問題があるわけです。このほかに、今度は北陸のほうから近畿圏におりますときにどこを通すかという問題が、非常にこれは大きな問題でございます。いま調査五線の中で、大体において、どこからどこに行くんだという起点と終点はわかっておりますけれども、その途中につきましては、実は今度の新幹線路線決定にあたりまして非常に難問題が多いんでございます。北のほうに参りますのもそうでございます。それから、いまお示しの北陸から近畿のほうにおります場合もそうでございます。非常に各地とも複数の路線要望されておりまして、これについて、国鉄と鉄建公団のほうでそれぞれ担当して調査してくれております。そういう点について、どういうふうな調査結果が出てまいりますか、それを見ました上でないと決定しかねるわけでございます。  私どもは、そういう調査の結果が出ました場合に、それを参考にいたしまして、運輸省の、これならという案をつくりまして、鉄道建設審議会にももう一ペんそれをかけまして最終的な結論を得るようにしたいということでございますが、いまのところ、具体的にお答えできればいいんですけれども、実は、そこまでまだ運輸省としての作業は進んでおりませんし、調査が出ました上で具体的に十分検討しようと、こういう前提でございますので、ちょっといまのところはお答えしにくいんです。
  102. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 もう一つ伺いたいんですけれども、東北新幹線ですね、これは盛岡までという予定でございますが、これから、第二次的に、これが青森までということ。それからもう一つは、北海道では、何と申しましょうか、北海道の新幹線が札幌を中心に引かれるということになりますが、これにつきましては、北海道と東北との接合といいましょうか、これをもちろん御考慮だと思いまするが、現在の、津軽海峡の海底を通しておられますね、それと新幹線とは同じ軌道、同じトンネルを利用するのかどうか、その辺のところをちょっとお伺いしたいと思います。
  103. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) このルートも、先ほど申し上げました北陸と同じことでございます。東回り、西回りがございます。北海道についても同様でございます。しかし青函トンネルを通るというのは当然でございまして、それ以外にまたトンネルを掘るということはできません。青函トンネルを利用いたします。だから青森−函館という青函トンネルは、これはどうしても通らなければならぬことになるわけでございます。それから先と、それから手前とが問題でございます。
  104. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 まだ非常に未確定要素が多いようでございますが、いま御調査中ということですが、決定なさる場合に、やはりこの決定には、もちろん経済性というもの、それから工事の難易といいましょうか、そういうようなこと等を根底に置いてその上で御決定になるとは思いまするが、その上さらに、政治的な要素というものが加わりますかどうか。これは、いままでもちょっとそんな例が新幹線にかつてありましたので、羽島ですけれどもありましたので、これもひとつ大臣のお考えを承りたいと思います。
  105. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) これはもうあらゆる要素を入れまして検討しなければならぬと思いますが、いま最後におっしゃった、政治的にということですね、これは、考えようによっては、もう非常に不自然な政治的な決定をするんじゃないかというふうにも受け取れますけれども、そんなことはしないつもりでございます。政治的な配慮も必要でございましょうが、経済的社会的に一番大切なルートを選定するということでございまして、どんなことを調べるか、どういうことで整備計画を立てるかということにつきましては、政府委員からお答えしてもけっこうでございます。もう非常に、いろいろな点を考慮しまして、おっしゃったような工事の難易の問題もありますし、したがって経費の点もございます、工事費ですね、ございます。それから、あと利用しての利用価値、これは経済的な利用価値あるいは社会的な利用価値というようなものを十分考えて決定しなければならぬと思っております。   〔委員長退席、理事江藤智君着席〕
  106. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 ちょっと局長から、さらに何かもう少しふえんしていただければありがたいと思います。
  107. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) ただいま大臣から申しましたように、いろんな面から検討するわけでございますが、これはいわばハード面とソフト面、こういうふうに大きく分けられるわけでございまして、ハード面から申しますと、いわゆる地形、地質の問題が一番大きな問題でございますが、これはその地質の軟度の問題あるいはそこの層の問題ということもございますが、同時に長大隧道が必要かどうか、あるいは長大橋梁というような、こういったような面につきましても、地形、地質を広く調査いたします。ともに、ルートの曲線半径、あるいは勾配、積雪地、地震、こういった運転保安上、線路保守上の要求される技術的な面、こういった面からの検討もいたすわけでございます。  また工期、予定といたしまして五十三年度末ということを目ざしておりますので、工期の検討、いわゆる工事の難易という点からも検討いたし、さらに運転所要時分の検討、概算工費こういったものをハード面から調査していきたいと思っております。  また、ソフト面につきましては、地域の現状及び将来の開発計画等の調査でございまして、人口あるいは管理機能の集積度あるいは商工業活動、観光資源、道路、こういった、地域の現状とともに、将来におきます国土総合開発計画あるいは観光開発計画道路整備状況、計画、こういったものにつきましての、国あるいは地元の府県におきます将来計画、土地利用可能性、こういった面につきまして分析して、この将来という問題を検討してまいりたいと思っております。  それから、さらにソフト面におきまして、新幹線整備によります輸送量、それから受益人口、時間短縮、こういった面からの検討でございまして、現在の在来線の旅客輸送量及び将来の新幹線の輸送量あるいは一時間程度で在来線から新幹線にアプローチされて利用できるように、こういった面からの可能性といったような問題、それから都市間の時間短縮が、従来の道路あるいは在来線に比べましていかに改善されるか。こういった面からの総合的な検討をいたしていきたいと思っております。  それ以外に、私たちとしまして今回大きく問題にいたしておりますのは、審議会におきましてもいろいろ御議論いただいております環境問題でございまして、これにつきまして、今後建設する場合に、従来のいろいろな経験に照らしまして、工事が円滑に参りますように、地元方々との十分な意思の疎通、こういう意味におきまして、鉄道の周辺におきます都市計画あるいは緑地帯とかいったような設備の可能性の問題、こういった地元との緊密な協力が今回におきましてはさらに必要であると考えておりまして、地元の地方自治体にいかに協力していただけるか、あるいはどういう将来計画を持っておられるか、これが環境面の保全にどういうふうな影響を与えるかという面につきましても十分に検討し、地元の意向も把握してまいりたいという点につきましては、従来に増しまして、今回新しくさらに環境整備公害の防止という点につきましても、力を入れて調査してまいりたいと考えております。
  108. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 いま局長お話の中で詳細わかりましたけれども、いわゆるハード面あるいはソフト面、また環境面というようなことを総合的に判断して、その上の決定、こういうふうに理解していいと思いますが、これを環境面ということは数字にはすぐにあらわせないと思いますけれども、少なくともハード面、またいろいろ工事費の面とかその他等々、さらにはソフト面の経済性の問題等々は、科学的に順位というものは出てくるような私は気がするのです。たとえばAとB、Cの三路線があって、それに対して実際調査に当たった方々結論的はA、B、Cあるけれども、この三線のうちでもって、科学的にこの線を選ぶべきであるというふうな答えが出るはずだと思いまするが、いかがでございますか。
  109. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) 私たちとしましては、ただいま御指摘のように、できるだけ客観的に明確にできますものにつきましては明確にいたしてまいりたいと思っておりまして、現在、国鉄並びに鉄道建設公団が調査中でございますが、そういった調査につきましても、そういった指示をいたしているわけでございまして、まだ調査報告が参りませんので、いかに具体化されるかということはまだ予測できませんが、私たちとしましては、極力、いろんな点につきましても客観的なものを出したいと、かように考えております。
  110. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 そういった、何といいましょうか、客観的に見ても、科学的に見ましても、この路線が一番正しいというふうな答えが調査面から出てきますと、私いま心配しておりまする政治面というものの介入するようなすきがなくなるのじゃないかと、こう思うわけですけれども、そういう意味で、私はこの調査がほんとうに的確に、明確に、また客観的に、科学的に行なわれることを期待しておるわけでありますが、このような、いまおあげになった、たとえば私が特に関心のあります東北新幹線あるいはまた北陸新幹線などについては、現在の現況から見まして、いわゆるいま申し上げたような路線がきまるのはいつごろになりますか、大臣あるいは局長でもいいですが、御意見伺いたいと思います。
  111. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 昨年、調査を指示したものですから、大体一年ぐらいということが常識でございまして、非常に困難な調査も多いようでございますので、多少おくれると思います。まあ、そんなにおそくならないうちに、といいますのは、そうこれから長い間かからないうちに報告書が出てくるのじゃないかと思っております。まあ秋ぐらいには何とか作業に入りたいと思っておる次第でございます。
  112. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 いまの、もうすでに運行しております東海道新幹線、これはいいのですが、その後にできます新幹線ですね、いろいろできてきますし、また計画中のものもございますが、これについては、それぞれの路線について収支目論見というものをおつくりになっていると思います。それで大略の収支目論見を、表示していただきたいという意味じゃなくて、そこで読んでいただいてもけっこうですから、拝聴したいと思いますが、いかがでしょう。
  113. 小林正知

    説明員小林正知君) 大体、現在工事中の新幹線、先ほど監督局長から御説明がございました三線、さらに調査中の五線、それぞれグループ別にかいつまんで申し上げたいと思いますが、将来の予測は、申し上げるまでもなく収支の計算そのものは輸送量あるいは具体的な輸送計画、それから運賃水準のレートがどうなるかといったような問題等々を前提として計算いたしますので、正確に現段階で計算するということは、ただいま先生お尋ねで、大臣からも御答弁ございましたように、ルートそのものもまだきまっていないものもございますので、そういう意味でお聞き取りいただきたいと思いますが、現在工事中の工事三線につきましては五十二年開業の予定でございますが、償却前で赤字になることはございません。開業当初から工事三線グループといたしまして一括してみますと、五十二年から償却前は黒でございます。しかしながら、資本費等、金利あるいは償却費等がかかりますので、償却後が黒になってまいりますのは、工事三線につきましては五十四年度、かような一応の試算をいたしております。  また第二のグループでございます調査五線の新幹線のグループにつきましては、同じ意味で試算をいたしますと、償却前の黒字はかなり前の工事三線とは径庭がございまして昭和六十年度、償却後の黒字はこれはかなり先になりますので、計算もそれだけ精度を欠くわけでございますが、おおむね六十九年度程度、かように考えております。  以上合計いたしますと、償却前収支では工事三線と調査五線合わせまして、償却前では五十二年からずっと赤字になることはございません。両方足しましても、工事三線のほうの収支がかなりよろしゅうございますので、調査五線のほうの赤字が出ましてもそれをカバーするという意味で、五十二年以降、開業以降赤になるということはございません。しかしながら、償却後におきましては、おおむね両線合わせますと六十一年度、かような推定をいたしておる次第でございます。
  114. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 ということはあれですね、償却前におきましては、いまの新三線のほうはもうすぐに償却前にスタートできる。それから償却後の黒字というのは五十四年からということになりますね。そうすると、結論的に言って、今度の五十七年までの再建計画の中にはほとんど寄与できない、こういうふうに見ていいわけでございますね。
  115. 小林正知

    説明員小林正知君) 大体の収支はただいま申し上げましたとおりでございますが、今回の再建計画の中で、いわゆるどの程度寄与するかという御質問でございますが、これを運輸収入、いわゆる収入の面から申し上げますというと、大体どのくらいになるかという点でちょっと御参考に申し上げてみたいと思いますが、現在鉄道の運輸収入で、新幹線は大体四十八年度で三千二百億ぐらいの収入を上げております、現在でございます。全体の収入が鉄道だけで一兆三千八百億ぐらいでございますので、二三%程度ということになっておりますが、ただいまの試算を織り込みまして計算いたしますと、再建の最終年度でございます五十七年度におきましては、おおむね一兆六千二百億程度という収入を予定できると考えます。そのときの全体の収入は、鉄道収入全体で四兆七千四百六十億ということでございますので、おおむねその比率は三四%程度、かようになります。したがいまして、そういった意味におきまして、新幹線のウェートは相当高く収入の面において占めることになります。  そういった意味から、コストのほうは、新幹線はいろいろ資本費等の問題もございますけれども、収入面におきましては、いまより収入構成比率といたしましても一〇%、これはもちろん賃改を見ておりますが、現在の約五倍程度の収入をあげる、かようなことが可能かと、かように試算をいたしておる次第であります。
  116. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 まあ私どもの思った、想像したよりも、わりあいに収支の状況がよくなるということを多く期待なさっておるようですけれども、いまの数字は、新幹線全部のトータルとしての数字でございますね。
  117. 小林正知

    説明員小林正知君) お尋ねのとおりでございます。
  118. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 そうしますと、ただ私、こまかく拝見しているわけではございませんから、想像だけでございますけれども、収入の面において新幹線の旅客がうんと伸びるというような見通しを立てておられると思いますけれども、これがいわゆる在来の列車ですね、いわゆる普通列車、急行列車等々の収入というものに影響を及ぼすんじゃないかということが一つ。それからもう一つは、新幹線建設費のほうにつきまして、何たって非常に未確定要素がございまするけれども収支目論見にお載せになったものの中で、たとえば購入土地代とか、あるいはまた建設資材というようなものについての相当の値上がりということは覚悟しなければならぬと思います。そのような点から私、数字的にはむしろ悲観的な数字が出てくるように思ったんですが、先ほど承りますと、まあまあ少なくとも償却もできるようなお見込みもあるようでございますが、その点、私あげました二つに対する懸念に対して、お考えを承りたいと思います。
  119. 小林正知

    説明員小林正知君) お尋ねの用地あるいはそれに使います資材関係の問題、値上がりをどう見るかというお尋ねでございますが、私どもも今まで東海道新幹線、それからまた岡山までの山陽、また現在工事中の新幹線を二線やっておりますが、こういった経験値から申しまして、やはりこういった大きな工事は五、六年間のやはり工期を要しております。なるほど先般来、いろいろお尋ねがございますとおり、昨年に対しまして、ことしの物価の上昇率というものが異常なものがあることはよく存じておりますが、そういった過去の経験値等を基礎にいたしまして、今後にわたりまして、政府でお立てになっておられます経済社会基本計画というものの中に示されておりますような、そういった物価等の要素も勘案し、過去の経験値等とも合わせ、また大体において都市部と地方というところでは、土地代等もかなり径庭がございます。そういった諸事情を勘案いたしまして、ただいまお示しいたしております新幹線工事工事費全体につきましては、キロ当たり幾らといった積算をいたしておりますので、おおむね、いまのような非常に異常な事態が連続して続くといたしますれば、問題があるかと存じますが、これも政府のほうでいろいろ諸施策を講じていただくことによりまして、やがて鎮静化の方向に向かうといたしますれば、現在のお示しいたしておりますような概算値でもって新幹線の完成はできるんじゃないかと、かように考えておる次第でございます。  それからなお、資材のほうの問題でございますが、これは資材と申しましても、現在いろいろ用品の中で、すでに申し上げるまでもなく非常に値上がりの特に顕著なものは、材木関係あるいは繊維製品の関係あるいは消費財の関係が非常に大きいわけでございますが、国鉄のこういった工事に使います資材関係は、比較的値上がり率が小さいものが多くなっておりますし、また国鉄の従来のこういった資材の調達方から申しまして、比較的長期安定的な買い方をいたしておりますので、普通の日銀の卸売り物価あるいは物価版等で見られますような値上がりは現在示しておりませんが、もとより全般的な騰貴の趨勢に国鉄のみ超然として全然動かぬというわけにはもちろんまいらぬと思いますが、そう大きく市況に左右はされない、かようにも考える次第でございます。
  120. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 それからもう一つ新幹線に旅客を吸収する場合、在来の列車の旅客をどの程度とるかというようなことについてどうなんでしょうか。
  121. 小林正知

    説明員小林正知君) 在来線の場合と新幹線のほうの輸送量を見ます場合には、やはりその線区、その地区におきますところの輸送量全体を想定いたしまして、これを新幹線と在来線とでどういうふうに輸送するかという問題になるわけでございます。御指摘のとおり、在来線のほうの急行旅客等が新幹線のほうに転移をするということは十分考えられるわけでございますが、全体としてその線区、地区につきましては、増加されました輸送力というものをフルに活用することによりまして、現在隘路になっておりました——この新幹線ができてまいります約三千五百キロの地域は、大体貨物輸送の面で申し上げますと、全国鉄の貨物輸送の七割程度をいま分担しております。そういったことから、地域新幹線が開業したあとの在来線の活用というものを、通勤なり、あるいは快速による列車の旅客のサービス、また貨物輸送の抜本的な改善ができる、かようなことによりまして、在来線のほうは一時的に少し数年間は収入が落ちてくるということは御指摘のとおりでございますが、数年の後にそれは回復いたしまして、両方合わせました結果、総合的に効果を発揮する、かように考えるわけでございます。  ちなみに、先般も御答弁申し上げましたが、工事三線はすでにルートはきまっておりますので、これにつきまして在来線と試算をしてみますと、大体償却前、償却後とも新幹線、在来線合計いたしましても五十二年度に、償却前合わせましても黒でございます。それから償却後も、五十四年から合わせても赤字になることはございません。かような計算でございます。
  122. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 さて、いよいよ、計画承りましたんですが、収支のこともわかりましたが、一昨日もいろいろ問題になったかと思いますが、例の東北上越新幹線についての、いわゆる建設に対してのいろいろな問題についてちょっとお伺いしたいんですが、当初の計画では、東京と大宮の間は地下であったというふうに聞いておりますが、それはそのとおりでございましょうか。
  123. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) そのとおりでございます。
  124. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 そうすると、ずっともうもぐりきりで大宮まで行くわけですか。それともときどき顔を出すことになっておりますか。その辺どうでしょう。
  125. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) 当初の計画は、赤羽は高架でございまして、赤羽の駅を出ましてから、北上いたしまして、現在の戸田橋付近で荒川を渡る、この付近は高架でございます。で、戸田市に入りましてからすぐ地下にもぐりまして、大宮の手前でまた地上に出ていく、そういう計画をいたしております。
  126. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 御承知のように、新幹線が敷かれるということにつきましては、もちろん一般国民もさることながら、地元のといいましょうか、通過地域住民が一番大きな関心を持っておるわけでございますが、この赤羽で高架線になって戸田まで行くということについての御計画というのは、赤羽に住んでいる住民方々は、国鉄から伺ったのじゃなくて、新聞でもって知ったんだと、こういうふうにいわれていますけれども、それはそのとおりでよろしゅうございますか。
  127. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) この付近の計画はいろいろむずかしい問題がございまして、概略ルートにつきましては、工事の認可を得てすぐ地元に発表をいたしましたけれども、これは五万分の地図でございまして、どこを通るかわからない。その後検討いたしまして、実際に具体的な計画地元にお示しいたしましたのは、本年の四月の終わりないし五月の初めぐらいに逐次地元に御説明をしております。それまでは地元の方に対しまして、具体的に計画を御説明したことはなかったかと思います。
  128. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 そうしますと、いまの計画では、ただいま御説明のあったように、東京から出てずっと地下で行ってそれで赤羽付近で地上に出て、高架でもって荒川を渡って戸田に行ってそれからずっと高架で行くということでございますか、そのとおりでございますね。
  129. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) 正確に申しますと、東京駅は高架で出まして、それから秋葉原の付近で地下に入りまして、上野公園の下は地下で参ります。それから現在の田端操車場のところに新幹線のいわゆる車両基地をつくる関係で日暮里のところで地上に、これは国鉄用地内で地上に出ます。そして車両基地に田端の操車場のところで入りまして、それから後は地上を参りまして、赤羽も地上でございます。そして戸田市のところで地下に入るということでございます。
  130. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 いまのお伺いしました大宮までの工事ですね、工事の期間は大体どのくらいかかる御予定ですか。
  131. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) 工期は大体五年で、五十二年の春には完成するということでございます。
  132. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 そうすると、それまでにいまいろいろの地元関係地域との問題も解決していかなきゃならぬと、こう思いますが、そのほうのお見込みはどうですか。関係住民方々との問題も解決した上でもって工事を進めていかなければならぬと思いますけれども、その点についてのお見込みはいかがですか。
  133. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) 先日、瀬谷先生にも御説明いたしましたとおりでございまして、いわゆるこの東北新幹線工事認可を得た当時には、いま小林常務も御説明いたしましたように、北陸新幹線は相当開業が先であるということで、いわゆる上越線と東北線とは大宮で一本になりまして、現在のルートを通って東京駅に入るという計画でございますが、これは当分の間は、いわゆる新幹線工事をやらないで済むというふうに考えておりましたが、今度の再建計画北陸新幹線を五十四年度までに完成するという計画がきまりました。これは具体的には、まだ御承知のようにきまっておりませんけれども計画としてはきまりましたので、そうなりますと、大宮と東京の間は新幹線が二本要る、それを施行する場合、地元の御要望もございまして、いわゆる現在の計画している新幹線通勤線とを併設いたしまして、現在の貨物線にもう一本の新幹線を通すという計画をいたしたわけでございます。で、その経過の中で、これは当初の発表いたしました計画から約二年ばかりあとでございますが、いろいろと埼玉県南部の地質調査、これは埼玉県発表の地質調査の結果等勘案いたしまして、それからもう一つは、通勤線というのは駅その他の関係で地上につくったほうがいいということ等もあわせまして、この前瀬谷先生に御説明いたしましたように、構造物地下につくることは非常に——絶対できないことはないけれども将来の維持管理を考えると非常に問題があるということで、実は最初は地下ということで発表さしていただきましたけれども通勤線と合わせて高架でやるということで、地元にことしの四月から五月にかけて説明会をいたしたわけでございます。  その発表に対しまして、主として与野、大宮地区で相当の住民の反対が現在ございますし、県知事もこの点について、大臣総裁にお申し出が昨日ございました。それで、そういう意味では、いまのところは相当の困難を示しておるわけでございますが、国鉄としては国鉄計画あるいは都市計画との関連、地元の御認識あるいは御指導を得まして国鉄の原案でもって納得していただくように今後お話し合いを進めてまいりたいというふうに考えております。
  134. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 まあ御承知のように、地下工事なり高架工事なりが始まりますと、何といっても地域住民方々にはだいぶん騒音にしろ雑踏にしろ起こりますので、いろいろと影響を与えるわけでございます。そんな意味でもって、赤羽から、星美学園という高校、大学まで続いた私学がございますけれども、ちょうどこの学校のどまん中を新幹線が通るんだと、これでは子供たちの教育もできないし、ことに学校自体が二分されてしまうということに対しては、非常に困るんだというふうな陳情を再三私も受けましたので、そこまで計画が確定しているかどうか知りませんが、こういうふうな問題についての御配慮というものはどの程度できるものか、できればこのようなことなしにといいましょうか、あまり被害を考えないで新幹線ができれば一番理想的ですけれども、そのような個々の問題あるいはまた全般的な地域の問題も起こると思いますが、この星美学園を特に取り上げましたのですが、これについては、何か御対策はありませんでしょうか。
  135. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) 星美学園は、御承知のように、高台にございまして、ルートとしては新幹線が星美学園の下を通るということでございまして、突然の発表で学校側も非常に驚かれて、いろいろと関係方面に御陳情されており、われわれのところにもたびたび参ってきております。これはいろいろ例はございまして、たとえば東京地下鉄が高級マンションの真下を通っておるわけでございまして、防音設備を完全にいたしますと、このアパートは地下鉄の音がほとんど聞こえないというような例もございますし、今後、星美学園としては新しく校舎をお建てかえになる御計画もおありのようで、   〔理事、江藤智君退席、委員長着席〕 それらのものを新幹線工事と一緒にやれば、これはどんなりっぱな工事でもできるという確信をわれわれは持っておるわけでございまして、そういう意味では公害をなくすようなことで星美学園の下を通らしていただきたいということでお願いを申し上げております。ただ、まだ実際には星美学園の御納得を得るまでにはいっておりませんけれども、今後のお話し合いでもって何とか解決してまいりたいと、また解決するために必要ないろいろの工事等につきましては、われわれとしては、誠意をもってやってまいりたいというふうに考えております。
  136. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 星美学園についての対策についてはお伺いしましたけれども、このような問題、ほかの小学校とか中学にもだいぶ発生している問題がございますか、現実には。どうでしょう。
  137. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) 実際に学校の構内を通っておるというのは慶応大学の真下を通っております。それから神戸市のところで中学校の運動場の下を通っております。これは校舎が当たりましたんで校舎を移転して運動場の下を通っておるという例がございます。これらのものにつきましては、ほとんど授業その他に差しつかえるというようなことはございません。星美学園の場合もそういうような措置をしてまいりたいというふうに考えております。
  138. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 いや、私いまお尋ねしましたのは、たとえばこの赤羽地区にも星美学園のような、いわゆるトラブルといいましょうか、いうのが起きている個所があっちこっちにもありはしないかということなんですけど、その辺はまだ表面化した問題はございませんですか。
  139. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) ただいまのところは星美学園具体的に表面化する問題は星美学園だけでございますが、まだいわゆる現地には、百メーターの範囲でこの辺を通るよという程度の図面しかお示ししておりませんので、今後具体的な設計がきまってくる段階においては、またいろいろとそういうような問題は発生するのではないかと思います。御承知のように——承知と申しますか、この問題につきましては、実施計画新幹線の一本だけが大臣の認可になっておるだけでございまして、北回り新幹線その他の関連につきましては、今後いわゆる整備計画がきまりまして、実施計画をきめる段階において実際には大臣認可をいただくことになりますので、具体的にはこれからのことになるかと思います。
  140. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 いまお尋ねしたようなことで、新幹線につきましては、いわゆるいい意味と悪い意味のこの悪い面でございますけれども、いわゆる公害だとか、あるいはいろいろその他の被害あるいは危険というようなことでもって、とかく地域住民から反対の声が起こるのはこれはやむを得ないと思いますが、これが結局高じまして、新幹線建設に対しても忌避したり反対するというような動きが出てくるわけでございますが、この赤羽を含めまして、新幹線が今後できるということのために、じゃ実際に新幹線ができるときはどのくらいの被害を受けるだろうかということを調べるために、実はその関係の人たちが、もうすでに既設の名古屋とか阪神のほうに行って現実に調査したわけでございます。その実態調査について、たとえば名古屋とか神戸とか各市からの市側あるいは各市の住民からの意見を参考までに二、三ちょっとあげてみたいと思うのです。お聞き願いたいと思いますが、名古屋市の例ではこういうことをいっております。風害がある。風害は、線路に近いところでは新幹線通過のつどドアが開くという被害事例があった。これが一つでございます。  それから日照です、日照権のほうの。日照の阻害についてのクレームとしては、一つは雨漏り被害。雨があがっても二、三日は雨降り同様な状態が続き、洗たくものも干せない、こういうこと。それからもう一つは採石等の飛散被害がある。こういうことをいっております。それからもう一つ高架下の雑草やごみ問題などの環境衛生の被害などがある。こんなのがいまの名古屋で訴えられたことでございます。  なお、これに関連して新幹線速度からくる騒音実態調査というのを名古屋市で行なったそうですけれども、平常時速百五十キロメートルから百二十キロメートルを百キロメートル前後に減速をすると、その際に無道床鉄橋平常時九十七ホンが九十ホンに低下する。それからスラブ高架では、平常時八十二ホンが七十六ホンに低下、平常六ホンの減少でも聴感は三分の一に減じたように感じられる。当面の環境保全措置としてはスピードダウンが最良の方法だと考えられる。このような意見もあったそうです。要するに新幹線スピードをほんのわずか下げてもだいぶ、何といいましょうか、騒音が減るというようなこと。これも名古屋の例でございます。  今度西宮の例をちょっと申し上げますと、西宮では騒音のほうはまあいいんだけれども国鉄が四十四年五月、立ち入り測量前に覚え書きで市に約束している七十五から八十ホンの、一ホンから二ホンオーバーすることが比較的多い。まあそれほどのたいしたことじゃないけれども、こういうことを訴えておりました。  それから、さらに西宮で、振動のことについて、国鉄が四十四年五月立ち入り測量前に覚え書きで市に約束している〇・三ミリをほとんど高架全域にわたってオーバーしており、場所によっては二倍から三倍に達している。特にトンネル上の家屋で振動による苦情が深刻である。これが西宮の例でございます。  もう一つ電波障害が西宮にありまして、七百三十七件の電波障害があると、こういうことを訴えております。  それから夜間ダイヤについてのことですが、現在深夜ダイヤはないけれども、今後の長距離新幹線となった場合について、住民自治体としてもこれを非常に危惧しておって、国鉄に申し入れているけれども拒否されていると、こういうことを訴えられました。  それからさらに、これは名古屋の場合ですけれども、明治小学校を視察したけれども、古い校舎については四分間隔で通過する新幹線により授業が相当な障害を受けている。  それからパンタグラフの騒音については、新幹線騒音のうちで、パンタグラフに起因するものが相当あるように思われる。  それから六甲トンネルの状況について申し上げますと、六甲トンネル住民より、列車通過の際、振動、地鳴りがするほかに、家屋被害などについて苦情がある。トンネル入り口付近からも騒音振動についての訴えがある。四十七年の九月十六日、トンネル頂上の雑木林で深さ七メートル、直径約四メートルの陥没が発生した。これらに対して、現地の国鉄側の応答ぶりをちょっと申し上げますと、名古屋、西宮の例ですが、新幹線工事が終了したあともなお各地であと始末がされていない。住民が何度も国鉄に対して片づけるように要望するが、国鉄としては加害者意識がないのか無責任なのか処理されないという住民の苦情が多いと、こういうふうになっています。  もう一つは、現地などで、国鉄大阪工事局は現在のところ住民・自治体の要望を聞く姿勢は持っているが、抜本的公害対策について決定的手段を持ち合わせず、それが不誠意と受け取られている。住民の立場に立った考え方ができない官僚的処理、加害者意識の不足があると。このような、非常にばらばらなあれですけれども、苦情を聞いたわけでございますが、これについて一応国鉄側のお考え方を承りたいと思います。
  141. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) まず最初に名古屋地区でございますが、ここは先生承知のように、三十九年に東海道新幹線が開業いたしまして、その当時は、国鉄というよりは一般のいわゆる騒音公害というものに対する意識も低かったし、われわれもそういうようなものに対しましては、現在線並みの対策をすれば足りるというような考え方建設をやった関係上、新幹線に近接をいたしまして家屋が非常にたくさん建っております。これらの住宅に対しましては、確かに日照権の問題あるいは振動の問題というようなことで御迷惑をおかけしておるわけでございまして、これらの問題につきましては、騒音の問題はいわゆる高架橋に防音壁を設ける、あるいは高架橋そのものをガードでおおうというようなことで音の問題は処理してまいりたい。それから振動あるいは日照の問題ですが、日照は、御承知のように、これはなかなか、いわゆる補償の問題につきましては、まだむずかしい問題は残っておりますけれども、確かに御迷惑をかけておることは事実でございますので、被害があるものにつきましては、いわゆる実害補償という形で補償さしていただきたいということで、現在誠実をもってお話し合いに入っておるわけでございますが、地元住民もなかなか国鉄の不誠意であったということで話し合いがなかなか進まないというのが現状でございます。しかし、これは国鉄のほうも誠意を見せまして逐次解決をしてまいりたいというふうに考えております。  それから速度を落とす問題これはきのう瀬谷先生にも御説明いたしましたけれども、基本的に、確かに二百キロを百十キロにいたしますと六ホン下がります。しかし新幹線がやはり東京−大阪を三時間で走るということにも日本の経済に非常に大きな意義があろうかと思いますので、いわゆる騒音防止対策ということを、いわゆる障害防止対策も含めてやってまいって、速度を落とすということは国鉄としてはいたしたくない。騒音防止対策を誠意をもって進めてまいりたいということで解決をさしていただきたいというふうに考えております。  それから西宮は、御指摘のように東海道に比べますと——東海道の経験をもとにしまして構造物もがっちりつくりましたし、防音壁もしっかりしたものをつくっておりますので、あるいはけたもコンクリートのけたをつくるというようなことで、被害の程度は東海道に比べますと非常に少ないわけでございますが、御指摘のように八十ホンをややオーバーするものがあるわけでございます。これらのものにつきましては、今後一年間で解決をしてまいりたいというふうに考えております。  それから電波障害につきましては、これは技術的にはNHKにおまかせしてございまして、支障のあるものは全部解決していただくようにお願いしてございますので、私のほうとしては、特に、それに伴う工事の負担金を持つということで、逐次、徹底的な解決をしてまいるということで進んでおりますので、御承知願いたいというふうに考えます。  そのほか、夜間ダイヤの問題でございますが、これは今後、これらの騒音防止対策、それらのものとの関連において検討してまいりたいというふうに思っております。  それからパンタグラフの吸音でございますが、これは碍子の形によりまして、ヒュッというような高い音が出るわけでございます。これは碍子を全部取りかえてまいると。これはほとんど完了しておりますので、これは先生少し前のお話だと思います。現在はほとんど解決しておるはずでございます。  それから六甲トンネルで振動、地鳴りがあると。これは事実ございました。これは地盤そのものをいわゆるセメント注入その他をやりまして被害が起こらないように手当てをしてまいりたい。今後、いままでに被害の起こったものにつきましては、補修工事によって対策を進めてまいりたい。ただ、トンネルも振動そのものは全然なくすということは非常にむずかしいかと思いますので、それらのものについては補修で誠意をもって解決さしていただきたいというふうに考えております。  それから六甲トンネルの陥没の問題これは半年くらい前に——去年の夏だったと思いますけれども、これは、われわれ工事を施行いたしますときには十分気をつけてやりますのですけれども、トンネルのコンクリートの、いわゆるおおいと掘った地穴との間に陥没の原因となる空洞があるようなこともございまして、そこに水が流れ込んで陥没したということでございます。これは誠意をもって改策、補修をさしていただきます。  それからあとは、名古屋のあと始末が非常に悪いということでございますが、確かにいままでそういうようなことで対策がおくれておりましたことは事実でございます。で、運輸省あるいは環境庁から御指摘がございまして、騒音振動の問題につきましては、今度の十カ年計画で約五百五十億の金をかけて、現在線の騒音振動の問題について、今後、誠意をもって進めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。  それから大阪工事局は誠意はあるんだけれども抜本的なことはやってくれないと。これは現在、一年間はいわゆる防音の問題についていろいろな実験をやっておりまして効果のあるものを見つけていたというのが実情でございます。効果のあるものからやっておるわけでございますが、そういう意味では、技術開発を進めてまいりまして、いいものはどんどんやっていくということで進めてまいりたいと思いますので、よろしいお願いいたします。
  142. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 先ほど申し上げましたように、結局住民との話し合いがつかないということになりますと、工事自体も進まないことになりますので、いまもお話を承りましたように、漸次そのような交渉を通じて理解を深める、そして建設を進めていこうというようなお考えはわかりましたのですが、これは主としていままで上越新幹線あるいは東北新幹線を主体として承ったのですが、成田新幹線のほうですね、これはどのようになっていますか。状況をお伺いしたいと思います。
  143. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) 成田新幹線につきましては、昨年工事認可をいたしまして、鉄道建設公団におきまして工事をいたすべきでございましたが、昨年、地元におきましてこれは反対の訴訟が起きたわけでございます。第一審は却下されたわけでございますが、次いでただいま控訴されまして審理中でございます。こういった関係もございまして、なかなか地元との折衝ということが進んでいない実情でございますが、成田空港の開港もいよいよ目の前にいたしまして、このアクセスというのはきわめて重要でございますので、運輸省といたしましても鉄道建設公団に指示いたしまして、私たちもまた直接乗り出すときも来るかと思いますが、鋭意地元との折衝をいたしまして地元の意向も十分聞きながら、さらに検討を進めまして工事に着手いたしたい、かように考えております。
  144. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 どうですか、建設のお見込みなどについては。いつごろ、具体的に期待しておりますか。
  145. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) ただいま申しましたように、なかなか地元との折衝ということが現在までは進んでいないということは事実でございますが、東京成田空港間のアクセスという問題はきわめて重要な問題でございますので、なお今後積極的に地元との話し合いを進めてまいりまして、一刻も早く着工さしていただき、工事の完成をいたしたいと思っておる次第でございます。
  146. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 これは運輸大臣にお伺いしたいんですけれども、やはり既定な、何と申しましょうか、決定して路線を引くということになったんですから、あまりおくれおくれになるのもかっこうがつかないと思いますけれども成田空港自体がだいぶおくれているから新幹線もついでだからおくれるのはあたりまえだということでは、なかなかうまくいかないと思いますが、この辺についてどうでしょうか。運輸大臣としてはどういうふうにお考えになっているかちょっと承りたいと思います。
  147. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 空港の開設までには事実上成田新幹線はいま着工いたしましても間に合いません。そういう意味で、成田空港のアクセスの問題は次善の方法をとらざるを得ないということでございます。しかし成田空港が完全にその機能を発揮するようになりますと、やはり首都との連絡のための高速の輸送機関というのが必要でございます。私たち、しかし、いま政府委員も申しましたが、極力努力をしておるのでありますが、係争中というようなことがございまして、なかなか交渉にも関係者が応じないというのが実情でございますから、われわれは計画をまだ捨てるところまでいっておりませんけれども、初めの計画に沿いまして、あらゆる方法を講じて、騒音公害その他の新幹線による公害を防除しながら、それを地元方々にも具体的に示して納得を得るように、なお努力をしたいと思っております。  いろいろの事態があると思いますけれども、このルートはやはり確保したいということでございまして、地元のいろいろな空気を聞いておりますと、一番御心配なのは騒音公害のようでございまして、これについては、これを防除するような方法を最大限講じて、こうすればこういうふうになるのですということで、やはり地元の方の納得を得ながらやらなければいかぬ、鉄道建設するに当たりましては、土地収用法とか、いろいろ強権的な権限も与えられておりますけれども、そういったことをまっ先に立ててやるということよりも、やはり納得を得ながらそれに取り組んでいくという姿勢が大事だと思っておりまして、極力その方向で努力をしようと思っております。もうちょっと、まだその点、いろいろの関係から具体的な交渉をする段階にまだ至っていないというのが実情でございます。
  148. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 大体いままでに、新幹線についてお聞きしたいと思うことを伺ったわけでございますけれども、なおほんの二、三追加してお伺いしたいと思いますけれども新幹線もすでにできてから十年になろうとしている。それに対しても、先ほどのタンク車じゃないけれども、古くなってきますと、いろいろまた問題が起きてくるということの一端として、線路の道床ですね、これが細粒化して、弾力性がなくなってくるということを聞きましたのですが、そうしますと、結局どうかというと、乗り心地が悪くなる。それだけならいいのですけれども線路のレール自体が疲労してくる、そんなようなことから、やがては事故ということが考慮されるわけですけれども、これに対しての対策なんかお持ちでありますか。
  149. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) 先生御指摘のように、スピードが速かったために、現在線と違って細粒化という問題がございますが、これらの問題につきましては、十分道床交換をやっております。なお細粒化を防ぐために、道床交換する際には、いわゆるゴムのマットを下に敷きまして、これは騒音にも非常に効果がございます、あわせて両方の意味で、そういう施策を講じてまいっております。
  150. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 そのようなマットは、もうすでにいまの新幹線に使用されているのですか、それともまだこれからやるのですか。
  151. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) 新しい新幹線には全部このバランスマットを使用するつもりであります。それから古いものにつきましては道床交換のつど入れております。入ってないところと入っているところとがございます。
  152. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 そういうような、同じようなことで、新幹線の車体から部品といいましょうか、あるいは鉄片といいましょうか、そういうものが民家の屋根だとか、あるいは途中に落ちるということをよく聞くのですが、これがいままで人命に何か被害を与えたようなことがあったかどうかということと、一体年間にどのくらいこういう現象が起こるものか、参考までに承りたいと思います。
  153. 阪田貞之

    説明員(阪田貞之君) 初めのころは夜間中に線路整備したものが線路上に置いてございまして、それが朝の営業開始いたしましてから車に当たって飛ぶようなことがございましたが、最近では、もうほとんどそのようなことはございません。
  154. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) お答えします。  新幹線全般にわたりまして、もう相当年月もたっておるから、もう検討し直したほうがいいところが出ているんじゃないかという御心配、ごもっともでございます。ことしの二月でございましたか、大阪で新幹線の生命ともいうべき保安装置について故障があったということでございます。私はこういうことで、これだけ多数の国民が利用しておられる新幹線で、そういう保安装置について、どんな原因かしれませんが、故障が起こったということは、これはゆゆしい大事だと思いまして、さっそく国鉄総裁に対して大阪の具体的な事故の原因を徹底的に究明してもらいたいということを指示しますと同時に、新幹線全般にわたりまして、これは線路から、いまの保安施設から、車両から、すべてにわたりまして一ぺん総点検をして、洗い直して、絶対だいじょうぶという確証を得るようにしてもらいたいということを強く指示をいたしました、三月一日でしたが。それから国鉄は技術員を動員いたしまして、全新幹線にわたって、あらゆる点から点検をいたしております。やがて結果が出てくると思います。その結果が出次第に悪いところがあれば、さっそく直させますけれども、もう国鉄のほうでは、こういった点について点検をしつつありまして、ほぼ結論に近づきつつありますので、悪いところは、そのつど、時を逸せずに点検をして直しているはずでございまして、これは国民の方々に御安心をいただくようにしたいと考えております。
  155. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 よくわかりました。総点検の結果によってはぜひ事故のないような、老朽化を防ぐ意味におきましても、適当な対策を講じていただきたいと思いますが、これについてですけれども、保線区で働いている人がたくさんいますけれども新幹線が普通の列車と違って非常にスピードであるし、絶えずやってくるということで、新幹線の保線ということは非常に危険がある。現実に、何といいましょうか、保線の工事をしていた人がはね飛ばされて死んだ、最近じゃございませんが、そんな事故もありましたけれども、このような保線区で働いている特殊な、危険な仕事をしている人たち、これに対して何か特別な対策をとっておられますのですか。
  156. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) 御承知のように、新幹線の補修は昼間はほとんどやっておりませんで、夜間のみやっておりますので、そういうような危険はないと思います。  それから保線の工事が終わりましてからは、いわゆる確認車というのを通しております。そしていろいろなものがあったり、置き忘れたものはないかというようなこと、あるいは人間がいるかどうかというようなことも必ず点検をしておりますので、そういう心配はございません。ただ開業当初に、先生御指摘のように、工事の請負人がはねられて死んだということはございました。
  157. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 ひとつ関連でお伺いしておきたいのですけれども新幹線の開業以来、相当事故がたび重なっていることは私もいろいろ資料等で見たり、あるいはいろいろ聞いたりしているわけです。特に四十八年の六月です新幹線のブレーキか何かが落ちて非常に危険な状態があったという話を私、聞いているんです。こういう問題等について、開業以来の新幹線の事故あるいはいろいろ列車から破損が出て、線路わきに落ちたとか、あるいは民家に被害が及ぼされたというのがだいぶあるんですね。これの実態の資料を私、いただきたいのです。私の質問時間で具体的な問題を質問したいと思っております。これが第一点。  もう一つは、旧来の東海道線とか、あるいは北陸線ですね、こういう線路について、たとえば順法闘争がある、こういう闘争があった場合に、実際に夜中あるいは朝方まで列車がおくれて動くと、こういうことになった場合には保線区の人たちが工事もできないと思うんです。こういうときには非常に工事が手抜かりになっているんじゃないか。保線工事が非常に抜かれているんじゃないかという、こういう危惧を私たちは感ずるわけです。こういう問題について、どのように対処しているのか、そのあらましを私、意見として伺っておきたいのです。今後の質問を進める材料として私も聞いておきたいと思います。
  158. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) これは後ほど資料として提出させていただきます。
  159. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 さっき一つ申し上げるのを落としたのですが、新幹線防音壁ですね、これは名古屋で調査しましたところが、効果がないということをいわれておりますけれども、これは防音壁というのはそんなにきき目のないものであるか、あるいはまた新幹線騒音に対しての対策の一つとして、防音壁というものが対策にならないのかということについて、お伺いしたいと思います。
  160. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) 防音壁は実際に測定いたしまして、六ホンないし八ホンの音が下がるというのを確認しております。ただ名古屋の場合、いわゆる音というのは、高架橋の上から列車の音がそのままダイレクトにいく音と高架橋の振動による音とがあるんです。それで名古屋の場合には、非常に接近して家がございますので、そういう方々については、高架橋そのものについて何らかの対策をしないと、非常に接近している家の方には防音壁は効果がないということじゃないかと思います。それらの点についても、あわせて施策をしてまいりたいと考えております。
  161. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 もう一つ伺いたいのですけれども新幹線のビュッフェですね、これはいろいろと批評される方があると思いますが、私の聞く限りにおいては非常に高くてまずいということのほうをうんと聞くわけですけれども、これに対して、何か当局ではお考えなさっているのか、それとも、そういうことはないのだ、りっぱにうまく、安くサービスしているのだというようなお考えかどうか、この辺ちょっとお伺いしたいと思います。
  162. 速水信一

    説明員(速水信一君) ただいまの御質問にお答えいたします。  第一の味があまりよろしくないという点でございますが、これは実はやむを得ない点がございまして、普通の町のレストランなり、在来線の食堂というものはある程度の素材から一応料理をつくっております。ところが新幹線のビュッフェの場合には電子レンジしか載っていないんです。たとえば例をあげますと、ハンバーグステーキならハンバーグステーキを一ぺん料理して、ハンバーグステーキを焼いて一ぺん冷えたものを、それをもう一ぺんあたためるだけしかできない。したがってどうしても味が普通のレストラン並みのようにはいかない、こういう難点があるわけでございます。この点につきましては、いまのビュッフェではなかなか改善はむずかしいのでございますけれども、今後、博多開業のときに、在来線のような本格的な食堂車を考えたい、こういうことを考えております。  それからいま一つ、値段の点につきましては、なかなかむずかしい問題がございまして、普通の町の食堂でございますと、従事員がみんな日勤で働いているわけです。ところが列車の食堂というものは国鉄の車掌と同じように、ずっと乗っていって向こうでまた泊まるということで、拘束時間が長いということで、人件費が非常に高くかかる、非常に経費がかかるということで、いま列車食堂の経営は非常に困難であるという事態になっている、こういう事態でございます。
  163. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 新幹線に力を入れ、全国的に建設なさっていくということ、それ自体は私はけっこうなことだと思います。しかし、いま私たちが住んでいる東京はじめ大部市に住んでいる住民にとりましては、新幹線も必要だけれども、もっと毎日使う、毎日利用しなければならない、いわゆる国鉄とか国電あるいはほかの電車というようなもの、これにもう少し力を入れてほしい。これはもちろん全般的な希望じゃないかと、このように思うわけでございます。これが御案内のように、おそらく大臣はそういう御経験ないと思いますけれども、現実に朝の八時前後のラッシュアワーに国鉄に乗った場合には、相当の勇気を、何といいましょうか、腕力がないと乗れないようなことがままございますが、これは終戦後、私はずっと続いているのじゃないかと、このようにさえ思っているわけでございます。  これについて、やはり私どもも、もう少し政府が力を入れてほしい。また一番肝心の輸送機関である国鉄ももっと力を入れるべきじゃないかと、このように思うわけでございます。現に国鉄の御方針の中にも、今度の計画の中にも、通勤通学の対策というものを強く打ち出しておられるのはわかっておりますが、これにつきまして、今度の再建計画には七千億円計上しているようですけれども、この七千億円を計上することによって、いわゆる十カ年計画の中にこの七千億円を計上することによって、はたしていまのラッシュ時の混雑、通勤者の苦労というものが救えるかどうかということになると、私も相当疑問に思うわけでございます。しかし立案なさった国鉄当局あるいは運輸当局の、何といいましょうか、お考えは、むしろもっと希望を持ったといいましょうか、明るい見通しであって、このような通勤対策にも大きく効果をあげると、このようにも確信されていると思いますけれども、その辺について、ひとつお考えをお伺いしたい。と同時に、何か具体的な施策についてもお述べ願いたいと思います。
  164. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 具体的なことは政府委員からお答えさせます。  先ほどもちょっと申し上げましたが、今度の再建計画で、やはり通勤通学の交通路を確保するということは、国鉄一つの大きな使命になっております。一応七千億というものを予定しております。しかし、これは今後十年間考えまして、大都市近郊の人口増加がどうなるか、それによって輸送需要がどうなってくるかということを、非常に的確に把握することが困難な面もございます。そういった点については、これはある程度弾力性をもって処理をしなければならぬと思っています。現にいまの状態、通勤通学の輸送状態を見まして、これは決していい状態ではないと思っております。これは一日も早く改善をしなければならない。まあ国鉄のほうでは一応案を立てられまして、たとえば片都圏での大きな問題は、一応いままでに一段落ついたので、今度は関西方面が主力だというようにも説明されたことがございますけれども、しかし、なお東京の近所でも、もう少しくふうをして、通勤通学輸送を緩和するために、とるべき手段も国鉄にもまだまだあると思っております。  先ほど問題になりました高崎線方面からの通勤路、通勤者のための新しい線路をつくるというような問題もその一つかと思います。それから東京近郊を回っております武蔵野線とか、その他、いままでは貨物本位でやっておりましたが、これを何とかして貨客両用に使うというようなことも、これは考えなければならぬと思います。  しかし通勤通学問題になりますと、単に国鉄だけではございませんで、国鉄が主力になるかもしれませんが、やはり地下鉄もあり民鉄もございまして、こういったのを総合的に考えていかないといけないんじゃないかと思っております。必要に応じまして、いままでは都内だけでございましたけれども地下鉄をずっと郊外に延ばしまして、いまの通勤対策の一助にしようというようなことも、それぞれの営団あるいは都というようなところで計画をしておりまして、われわれもできる限り、そういう方面において努力をしながら、協力をしながら通勤対策に貢献するようにということを考えております。したがって、そういったものを総合いたしますと、十年先には、いまの混雑率を、非常にいまは二四〇ぐらいいっておりますが、一九〇ぐらいには下げられるという見込みをもちまして計画を進めておるということでございます。具体的な計画につきましては、政府委員なり国鉄のほうから御説明をさせます。
  165. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) ただいま大臣が申しましたように、大部市通勤通学輸送、これはきわめて重要な問題でございまして、国鉄のになう大きな使命の一つでもございますが、現在、東京、大阪、それから中京地区、この三地区の大都市交通におきまして公共交通機関がになっていますシェアと申しますものは、最近、四十五年でこの三地区を平均いたしますと、高速鉄道、これが全体の六六%を占めておりまして、大半を占めているわけでございますが、その中で国鉄のになっておりますのは、公共交通機関、これはバスなんかも含めましてでございますが、全体の二四%を占めておるわけでございます。それから民鉄が三〇%を占めております。また最近急速に伸びてきておりますが、地下鉄が一二%を占めているわけでございます。  そういった状況でございまして、国鉄といたしましては、今後十カ年間に大都市通勤通学といたしまして七千億の投資を計画いたしておりますが、これと並行いたしまして、大手私鉄十四社がございますが、これが昨年から始まりました五カ年計画におきまして、いわゆる輸送力増強あるいは連続立体交差、こういったものを含めましてでございますが、五カ年間に約七千百億という工事をすることにいたしております。四十八年度におきましても約千六百億の工事を予定いたしております。また地下鉄でございますが、これは急速に伸びてきておりまして、過去の四十年から四十七年のいわゆる投資規模でございますが、平均伸び率でも一六・四%という伸び率でございまして、四十八年度につきましても千六百億という投資をいたしておるわけでございまして、この国鉄と民鉄と地下鉄と、この三者相まちまして、ただいま大臣が申しましたように、すべての高速機関か二〇〇%を割るというふうに持っていきたいと思っております。  なお、国鉄の具体的な計画でございますが、これにつきましては、いわゆる線増あるいは電化、それからいわゆる駅の設備の増強と、こういったことを考えておるわけでございますが、線増につきましても、東海道、総武、中央線の複々線化あるいは横浜、成田、福知山、片町、こういった線の線増、約二百八十キロを計画いたしております。また電車の連結両数の増加につきましても、南武線あるいは青梅線、東海道線、山陽線、阪和線、こういったようなところにおきまして連結両数の増加をはかってまいります。あるいは電気設備の増強、車両基地の増強、こういったことを踏まえまして、再建計画の完成いたします五十七年には一九〇%に混雑緩和をいたしたい、かように考えておるわけでございます。
  166. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 運輸大臣は第二山手線という御構想を持っているように承りましたけれども、これはあれですか、何か具体化なさろうということで進めておられるのですか、承りたいと思います。
  167. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 第二山手線というような字を使ったことはございませんが、しかし、こういうことを事務当局に指示をいたしまして検討をさしておることは事実でございます。それは、いまの首都圏の交通状況を見まして、民鉄が地下鉄と相互乗り入れで中に入ってきておるのもございますが、大体において山手線にみなぶつかって、それから山手線を使って右へ行ったり左へ行ったり移動しまして、そして都心に入ってくる人もあるし、また外へ出ていく人もあるというような状況のように考えられます。非常に私は、首都圏半径五十キロというようなことを考えますと、もういまの山手線だけでは足りないのじゃないかと、もう一つ外側に何かそういう路線がありますと、むだに都心まで入ってまた出ていくというようなことがなくって済むだろうと、それは当然考えることでございます。そういった点から、幸いにして、先般開通いたしました武蔵野線という貨物本位の線がございます。たとえば——これはたとえばの話です。たとえば武蔵野線につきましてラッシュの時間だけでももう少し旅客サービスをふやすことによりまして通勤の緩和ができないだろうか。それから武蔵野線もまだ十分に完成しておりませんが、あるいは今後完成する部分も含め、あるいはいままであります国鉄の、たとえば南武線その他各線、これから計画する各線というようなものと総合的にあんばいいたしまして、組み合わせることによって通勤の緩和がもう少し前進できるんじゃないかというようなことを考えたものですから、事務当局に対しましてそういうことが可能であるか、可能であればどうしたらいいか、それも国鉄とも十分相談をしながら具体的に検討しなさいということを言ったのでございまして、それが報道機関では、第二山手線ということばであらわされたというのでございまして、内容は、いま申し上げたようなことを考えまして、これならば新しく全部路線をつくるんではなしに、いままでの路線を使いながら、少なくともラッシュ時においては通勤通学の緩和に役立つんじゃないかということを考えたものですから、そういうことで、いま検討をさしておる最中でございます。
  168. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 そうすると、いま検討中ということでございますね。いまの、特に首都圏なんかの通勤緩和の問題につきましては、快速線というのがございますね。快速電車、これは私の気のせいかもしれませんけれども、大阪近辺のほうが非常に発達していて、東京近辺にはほとんどない。おそらく総武線にあるかに聞いている程度ですけれども、これは何か特殊な事情があるわけですか、快速線はほとんど関東では、東京近辺ではないということは。
  169. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 瀬谷先生からも一ぺん御質問がございました。多小、東京付近と大阪付近が都市の配置が違うわけでございます。大阪付近と申しますと、やっぱり京都、大阪、神戸、あるいは場合によっては姫路あたり、明石あたり、大体百万都市がずっと並んで、その百万都市相互間の交通が非常に多いと、東京では、横浜もございますけれども、首都圏全部が東京に向かってくるというような形でもって、そして大体十万から二十万都市がずっと並んでいるということが客観情勢でございますので、その場合、おのずから輸送の方式が違ってくるわけでございます。関西では、大体、大都市相互間を結ぶということが非常に問題でございますが、東京では早く都心に持ってくるということに非常に問題があるわけでございます。  私鉄を見ましても、やはり関西の私鉄と関東の私鉄では、輸送のしかたが非常に違ってくると、やはり関東の私鉄はどうして都心部へ早くお客を運ぶかでございます。したがって近間の人も遠い人もなるべく同じ時間で東京に持ってきたいという意味で、近間の人は各駅停車、遠い人は、遠方のほうは各駅停車だけれども、ある距離へ来たら急行に、快速になってしまう、こういう輸送のしかたです。ですから、たとえば中央線で申しますれば、中野までは各駅停車ということで、中野からは快速になると、あるいはいまの総武線でも、錦糸町までは各駅停車で、錦糸町から快速になるというふうに、いろいろな形があるわけなんです。常磐線もそれに似たような形でやっております。  そういう意味で、快速サービスと申しますのは、一時間距離の人と、それから三十分距離の人がなるべく同じ時間で東京の都心へ来るという、同じ方向の輸送をなるべく同一時間内にやりたいと、こういう考え方、同一方向の快速サービス、それから関西のほうはそうでなしに、都市間相互の流通を早くやりたいということでございまして、おのずから違っているわけでございます。したがって、たとえば横須賀線でも、横須賀から横浜までは各駅停車だけれども、そのかわり横浜から東京までは川崎、品川、新橋というふうに快速になってくるというふうなことで、各駅停車の電車はなるべく近間を走る、それから遠くから来るものは、遠方のほうは各駅停車だけれども、ある一定の距離まで来れば、それから先は快速で来る。これが東京付近一つのパターンになっている。  そういう意味で、東京付近と大阪付近の電車の何といいますか、筋の引き方も全く違ってやっているわけでございます。そういう、もとはと申しますれば、やっぱり人口の配置なり、ビジネスの動きというものに追随して私どもはやるわけでございます。おのずから形が違ってきておる。しかし、たとえばそうすると、京浜東北のように、非常に長い区間を全部各駅停車でやっておる。それにひとつ快速を乗せられないかどうかとずいぶんいろいろ考えているわけでございますが、田町と田端の間しか複々線になっていないということで、ちょっと快速が少しやりにくいということでございますが、これも一つの研究材料でございます。そういう意味で、東京のほうはわりあい線路が複雑なことと、それから都市の配置が全部東京に向けてある、お客の動きが全部東京に向けてあるというふうなことが中心である。大阪付近はそうでなしに、都市間相互の輸送であると、その辺に、非常に根本的な実は通勤の違いがあるわけでございます。それが輸送サービスの違いになっている。こういうふうに私どもは考えておるのでございます。
  170. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 快速線の問題ですけれども、なるほどわかりましたが、いま運輸大臣が言われましたようないわゆる第二山手線ですか、というようなことと、いま総裁が言われました複々線にして快速線を並行して走らせるというようなことと同じような考え方ですけれども、複々線にすることも、それからまた新しく第二、第三の山手線をつくるということも、私、かりにこれが構想を実現しようとしても、土地問題が一番ひっかかると思います。いまの地の下を入れる、高架線をつくるにもたいへんな問題があると同じように、なかなか都市、特に東京などを考えた場合には不可能に近いようなことになりゃしないかとも思うわけでございます。ですから新しく複々線にする土地を必要とするというようなことでなくて、現在の山手線なり、京浜東北線なりの上に、そのまま高架線としてさらに走らして、それを快速線とするというようなことも言っている人があるんですが、そんなようなことについては、どのようにお考えでしょうか。
  171. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 確かに、土地の狭いところでさらに複々線をつくるということは、非常に、ほとんどもう二十三区内では私は不可能に近いというふうに考えております。したがって、地下にするか、地上にするかだけになりますけれども、やはりいまの線路を動かしながら上につくることは、非常に運転上危険があるということで、なかなかその決心がつかないという点がございます。しかし、ある時期になればそういうことも考えなければいけないということで、中央線を複々線にしましたときは、下のほうの線路を使いながら上につくったというふうな離れわざをいたしましたけれども、非常にむずかしい工事で、なかなか問題はあると思いますが、いずれ将来、そういうことを考える時期が来るかとも存じます。
  172. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 いまの通勤緩和の問題に関連しまして、現実の、いま走っておる、特に国電なんですけれども、これについてさらに増結したり電車を増発をするという余裕はもうないものですか、この辺ちょっと承りたいと思いますが……。
  173. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 増結はまだ若干ございますが、線によっては多少ございますが、ほとんどもう一ぱいでございます。と申しますことは、駅の両端に踏切がございましてそれ以上延ばせられない、踏切を閉鎖することはできないということで、ほとんどもう連結両数をふやすことも不可能に近いと、それからいまの二分間隔をさらに詰めるということもちょっと非常にむずかしいということで、車をふやしてこれ以上列車を増すということは、いまの各駅停車のいわゆるげた電と申します区間内ではほとんど不可能ではないかというふうに考えます。
  174. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 国鉄道路の調整策について、いままで国鉄が特に貨物において一方的に破れたと申しますか、敗退したと、こう言っても過言ではないと思います。  これは政府の政策自体、道路拡充、それから自動車の発展に重点を置いてきたからでありまして、肝心の国鉄自体、旅客部門の整備にのみ力を入れて、貨物部門を軽視した結果であるとも思いますが、この旅客部門においては、世界に先がけてそれこそ新幹線を誕生さした、これはもう非常に私ども評価できると思いますが、これをまた逆に、じゃ貨物部門はどうかというと、その新幹線とは全く正反対で、貨物サービスにおいては平均時速十キロですか、というような前時代的と申しましょうか、そのようなサービスの低下した状態において運営されている。そこらに、いま冒頭に申し上げましたような、国鉄がむしろ敗退したんだと、貨物部門が。こういうようなことも、私、当然言えるんじゃないかと思いますが、これについてひとつ大臣の御感想を承りたいと思います。
  175. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 政府委員からお答えさせます。
  176. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) 御指摘のように、国鉄の貨物輸送が停滞している、むしろ退歩していると、シェアが半分になっているということは事実でございまして、これはモータリゼーションの発展ということもございますが、私たちといたしまして深く反省いたしておりますのは、やはり国鉄の貨物輸送の近代化がおくれているということが一番大きな点で、ただいま先生からも御指摘のございましたような、いわゆる速達性、定時性、こういうことにおきまして、トラック輸送に、あるいはフェリーに劣るということが一番大きな点ではないかと考えておるわけでございます。したがいまして、運輸省としましても、国鉄といたしましても、将来とも国鉄の中長距離におきます貨物輸送というものが重大な責務でございますので、今後、大規模の投資をいたしまして設備の改善を行ない、国鉄の貨物輸送のシステムチェンジを行なうことによりまして、国鉄のになっている使命、これを競争力をつけることによって取り戻したい、かように考えております。
  177. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 やっぱり貨物部門に相当重点を置いていかにゃならぬということはお説のとおりだと思いますし、私も常にそれを希望しているわけでございますけれども、この自動車輸送に対抗できるような、ちょうど国鉄当局がいまの新幹線というものを編み出して、それで何といいましょうか、ある意味においては世界に誇るような大躍進ができた。また、国鉄自身の内容を非常に高めることにおいても効果があったと思いますが、貨物の部門においてもこのような新機軸といいましょうか、がないものか、あるいはもうすでに、総裁がお持ちになっているか、当局がお持ちになっているか、このようにも拝察するわけでございますけれども、その辺について、総裁の御抱負と申しましょうか、お考えを承りたいと思います。
  178. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) やはり貨物におきましては、一番鉄道のウィークポイントでございます。ドア・ツー・ドアの輸送をしなければいけない。これをやるのはコンテナ以外にないというふうに考えます。したがって、コンテナ輸送は将来うんと伸ばしていかなくちゃいけない。まだ五万個ぐらいしかございませんが、ドイツでさえ三十万個のコンテナを持っておりますので、これは五十万個をこすぐらいのコンテナにして、大体おもな貨物はコンテナで運ぶという考え、こういたしますと、ドア・ツー・ドアになります。それから、いままでのように操車場に入れて貨車を流すということでなしに、やはり速達主義で、いわゆるフレートライナーと申しますか、貨物特急と申しますか、直通特急をつくって、それでコンテナ輸送をするという方法を重点的にやっていく。それと同時に、ターミナルを整備する。きわめて簡単に申しましたけれども、こういう方向以外に鉄道の貨物輸送の今後の行く道はないというふうに考えて、いまそういう方向に進んでいるつもりでございます。
  179. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 いま総裁の言われたように、国鉄自身のこのサービスの向上、言うならば、生産性の向上というものを貨物部門において使っていく、それは当然だと思いまするし、また、それが最も有効な対策だと思っておりますが、もう一つ、私は先ほどからも触れておりますような総合交通政策の上から、この自動車に対する対策ということ、それが必要じゃないかと思いますが、現に自動車につきましては、ほとんど野放しといっていいような状態に放置されている。結局これが、要するに鉄道の貨物におきましても大きな影響を与えている、このように思いますけれども運輸大臣、この辺お考えはいかがでしょう。
  180. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) おっしゃるとおりだと思います。先般来、他の委員の方からもその点について御指摘がございました。方法としてはその方向で考えなきゃならぬと思います。  いま国鉄総裁が申しましたようなフレートライナー、コンテナ輸送というふうなものも、実は、これは競争原理の上に立っているんですけれども、そういうことによって国鉄の貨物輸送のサービスを向上さして、荷主に安心して国鉄に貨物を託するというような、そういう状態を早く出現させようということのあらわれでございます。  で、この貨物の問題、つまり貨車とトラックの問題これは申すまでもありませんが、国鉄の貨物輸送の体制が非常におくれまして、設備も整わないし、サービス部面でもおくれているという結果、今日のような状態になって、追い込まれたということだけは、これはもう事実であると思います。それを今度は取り返すわけですね。本来、国民の例からいっても、たとえば試算してみますと、大体二百キロぐらいまではトラックのほうが有利である、しかし二百キロぐらいをこえますと鉄道のほうが有利であるはずなんですね、経済的には。それがどうしてもその試算のようにいかないということは、やはり国鉄の貨物に対するサービスが非常に劣っているということからきているわけでございます。これを取り返すのにいま一生懸命になっている、これからやろうとしているわけでございます。これは、ほかの国にありますように、法律を制定したり、あるいはいろいろトラックの働きを法律あるいは命令によって規制をしたりということよりも、まず、やっぱり競争場裏で荷主が国鉄を選択するというような、そういう条件をつくり上げないと、これはほかの国の例を見ましても、うまくいくはずはないのでございます。そういう実質的なサービス面を強化していくというところが、これからのわれわれの重点的な仕事の一つになると考えておる次第でございます。
  181. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 自動車につきまして、再三、いま私も申し上げたんですが、国鉄の立場からいえば、貨車に対する大きな競争相手である、ライバルであるということは事実でございますが、自動車の効用そのものから見ましても、現在のような過密化した大都市の中におきまする自動車というものがはたしてどのくらいの、どの程度の役割りを私たちにしているかということを分析していきますると、確かにこれは輸送機関として大きなにない手であることはわかりまするが、同時に、公害だとか交通渋滞だとか、あるいは交通事故というような、非常に大きな被害も一方にも出しておるわけでございます。  そこで、私もさっき自動車について野放しであるということを申し上げたのも、そのような状態にしておくこと自体が、私は、やはり国民生活というものを脅かす大きな原因でもありますし、ひいてはいま申し上げましたような国鉄の貨物輸送ということにまで影響を及ぼしている、こういうふうにも言えるわけでございますが、そこで現在の貨物自動車、特に自家営業車といいますか、これに対しては、やはり総合交通体系の上から申しましても、何らかの規制を加えていく、これは肝要じゃないかと思っております。また、よく論じられまするように、過積みの問題だとか、あるいはまた速度スピードの問題だとか、こういうような問題につきましても、やはり交通政策の立場から、また事故防止あるいは公害防止というような立場からも、そういう対策が非常に必要じゃないか、こう思うわけでございますが、この辺について、私は、まだ現在の交通安全対策そのものにおいても、非常に改良すべきことなり、対策も幾つか立てなければならぬ、こう思っておるわけでございまするが、これにつきまして、運輸大臣からもう一度御意見をお伺いしたいと思います。  それから警察庁の方どなたかいらっしゃいましたら、これについての御意見も承りたいと思います。
  182. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) トラック、ことに自家用トラックの問題については、先般も他の委員の方から再三質問があったのでございます。繰り返すことになりますが、自家用トラックは非常に営業用に比べまして数が多いわけでございます。しかし自家用トラックの効率がこれはもう非常に悪いんですね。効率の悪い反面に、また営業用トラックではなし得ないような働きをする部分もあるわけでございます。これをただ数が多いからといって一がいに自家用トラックの活動を法令をもって規制するということは適当かどうか、これは非常に検討を要するところだと思います。  しかし一面、おっしゃったように、非常に道路の交通が混雑するし、公害の原因にもなるしというふうなことを考えますと、あとで警察のほうから御説明があると思いますけれども、いまでもある時間帯を大型のトラックを大都市の中に乗り入れることを規制をいたしましたり、いろいろな規制方法は必要に応じて講じているわけなんですが、これをさらに運送という面だけじゃなしに、交通体系全体の中でどの程度の規制をしたらいいのか、それを全体の交通体系を秩序あらしめるかというような問題を、われわれとしては、さらに前進して考えていかなきゃならぬというところにいま来ているんじゃないかと思います。これはもう少し慎重に検討さしていただきたいと思います。
  183. 渡部正郎

    政府委員(渡部正郎君) すでに御指摘がございましたように、日本の場合にトラック、あるいは商業車も含めましてコマーシャルカーというんですか、使用されております自動車の中でのトラックを含みます商業車の比率、これは自動車が非常に普及しておりますほかの国と比べますと、日本の場合に商業車の比率は非常に高うございますし、おそらくいま乗用車と商業車と半々くらいになっているんじゃないかと思いますけれども、ほかのアメリカ、イギリス等は八割、九割までが乗用車でございまして、商業車が非常に日本は多いわけでございます。交通安全円滑の見地から申しましても、違う車種の自動車あるいは自動車と自動車、二輪車、オートバイ、いろんな違った形の交通手段が同一道路で混合しているという形が非常に交通安全上、解決上問題でございまして、その点で日本の私どものやっております交通警察にも外国とは違った特殊性があるというふうに考えているわけでございますが、その背景はやはり商業車なりトラックが非常に多いということだと思います。  これが御指摘のように、安全、円滑あるいは自動車公害の面で非常に問題ございまして、その問題が、しかもだんだん大きくなってきているという現状でございます。警察の立場からも、この問題は真剣に取り上げまして、対策を講じなければならないわけでございますが、さしあたり私どもが考えておりますのは、少なくも大型のトラックの都心部の乗り入れの問題でございまして、現在の輸送体系から申しまして都心部への大型トラックの乗り入れを全面的に禁止するということは、都市機能の維持上不可能でございます。ですから全面的に禁止するということはむずかしゅうございますけれども、いまやろうと考えておりますのは、都心部乗り入れの時間制限をやりたいと、要するに通勤バスなんか通っております朝夕の通勤時間帯に都心部に乗り入れる道路で大型のトラックを使うということを禁止していきたいという基本的な考え方に立ちまして、すでに東京都では四十六年の四月一日からわりあいに大幅に都心部の大型トラックの乗り入れ制限をやっているわけでございますが、東京だけの問題ではございませんので、今後大都市、ことにトラックの都心部乗り入れについて問題の多いところにつきましては、いま申し上げましたような考え方に立ちまして、通勤時間帯の都心部への流出入の制限というものを大幅にやっていきたいと思っているわけでございます。  最近、ニューヨーク等におきましても、トラックによる配達業務と申しますか、デリバリー業務というものを日中は全面的に禁止するという方針をきめたという報道もあるようでございますので、やはり日本だけではございません。世界的な一つの趨勢だとも思いますので、この問題については前向きに取り組みたいというふうに考えております。
  184. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 いま警察庁では、いわゆる過積みの問題ですね、ときどき取り締まりもやっていらっしゃるようにも見受けますけれども、依然としてまだ過積みをしていない貨物自動車なんてほとんどないといわれているのは御承知のとおりでございます。またスピードの取り締まりについても、要するに規定のスピードを守っている車はほとんどないと、このようにもいわれているわけでございますけれども、この辺について、もう少し効果のある取り締まり方法、これはお考えになっていますか。またどのように、こういうことに対して今後取り組んでいこうかとお思いになっているか伺いたいと思います。
  185. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 便宜お答えいたします。先般、他の委員会で、やはりトラックの過積みの問題について、もっと適切な方法を具体的にまとめたらどうだということでございまして、これは警察庁それから建設省、私のほう、それから総理府の交通安全対策室ですか、そういったのが関係しておりまして、関係大臣と話をして局長間で相談をいたしまして、非常に当面取り得る的確な方針を各省間できめまして、これは各省協力しないとできない。いわゆる過積みの問題についても、私どもは私どものほうで車両という面から取り締まりいたしますし、それから自動車業者、運送業者ですね、それに対する指導もやらなきゃいかぬ。建設省のほうでは国道を中心にして重量計みたいなものを至るところに置いて過積みであるかどうかということがすぐわかるようにしようとか、警察のほうでもそれに対応して取り締まりを強化しようとかというようなことを関係各省できめまして、これは御入用であれば、きめた結果を資料として当委員会に差し上げてもけっこうでございますが、今度は相当に関係各省が緊急の問題としてまとめましたので、ひとつごらんの上でまた御批判をいただきたいと思います。資料を提出させます。
  186. 渡部正郎

    政府委員(渡部正郎君) 貨物自動車の過積載の問題につきましては、いま運輸大臣が御答弁ございましたように、警察といたしましても、関係官庁と密接に協力いたしまして、今後も積極的に対策を立てていきたいと思っているわけでございますが、昨年度過積載違反ということで、街頭において取り締まりをいたしました件数が約十四万件ほどございます。この数字が十分であるかどうかという点については、いろいろ検討の余地があるかとは思いますけれども、問題は御指摘のように、重大なことでございますので、違反検挙という面からも適切な検挙をしなければならないわけでございますけれども、適切な検挙の数をもう少しふやしていきたいという考えをしているわけでございます。  次に、速度違反について申し上げたいと思いますが、これは貨物自動車だけではございませんが、ことに死亡事故の場合に、速度が事故の原因になっている場合が非常に多いわけでございまして、ことしの上半期の全死亡事故について申し上げますと、速度違反が原因になって起こっております死亡事故は七百四十一件ございまして、全死亡事故の構成比で申し上げますと一一%ほどになっております。  なお、いま申し上げましたのは事故原因でございますけれども、そういうことで、速度違反はやはり事故につながるものとして取り締まり上も私ども重点を置いて考えているわけでございますが、昨年一年間における速度違反の取り締まり件数が約二百五、六十万件ほどございます。この速度違反については、実は取り締まりに対する、何といいますか、反発といいますか、そういうものもございますが、やはり特にあぶない速度違反というものに重点を置いて取り締まっていかなければならないというふうに考えております。この速度につきましては、単に、きめられました速度を超過した場合に取り締まるというのではなくして、速度制限自体規制をかけていくという問題があろうと思います。これは全国的に相当従来やつ七おりますが、全体的な体系ということからよく見ますと、現在やっております速度制限、不十分な点もございますし、それから一貫性を欠いているというような点もございます。そういう点で、速度規制というものをより合理的にしていくということを片っ方でやりながら、その課した規制に対する違反を適切に取り締まっていくということで速度の問題を考えているわけでございますが、もちろんこの中でトラックは重量が大きいものでございますので、速度違反をやりまして事故を起こしますと事故エネルギーが非常に大きいのでございまして、与える被害も大きいわけでございます。貨物自動車につきましては、私どもは特に速度が問題になろうと思っているわけでございます。
  187. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 西ドイツにおきましても、わが国と同様にモータリゼーションがおもな原因でもって連邦鉄道の経営が非常に苦しくなったわけでございますが、これに対しまして運輸大臣のレーバー氏がこの問題の解決に取り組んで、まず自動車、自家用トラック、特に長距離のですね、この積載量を抑制した、あるいはまた長距離輸送のトラックは認可制に改めたとか、あるいはまた自動車税の引き上げ等でもって連邦鉄道の貨物の輸送シェアを高めましたのは御承知のとおりでございますが、私は、このレーバー運輸相の施策に対して、ちょうど同じ立場におられる新谷大臣は、どのようにレーバー氏、また、いわゆるレーバープランなるものが鉄道の合理化、近代化に役立ったかというようなことについての御批評をいただきたいと思うんです。
  188. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 政府委員から……。
  189. 原田昇左右

    政府委員原田昇左右君) ただいまお話のございましたレーバープランでございますが、西独と日本と比べまして若干違います点は、西独の場合は鉄道の貨車がかなり遊休化しておりまして、道路輸送を、運送税という——運送する場合に税金を貨物輸送にかけたわけでございますが、そのことによって若干抑制効果が出たものを鉄道の遊休貨車を活用して運ぶという、いわゆる鉄道に十分な設備の余力があったわけでございます。それに基づいてああいうドラスチックな輸送政策ができたとわれわれ了解しておりますが、日本の場合を考えますと、これから国鉄が相当大規模な貨物投資をしていきませんと、国鉄の貨物の効率のいいサービスができないという現状にありまして、現在でも、国鉄の貨車の運行効率から見ますと、西独よりはるかに高い回転率で運用されておりまして、西独ほど遊休施設の余力がないという現状にございます。  したがって日本においては、まず今度の再建計画国鉄の貨物輸送を増強し、貨物輸送を抜本的に近代化するということがまずあって、それに見合って陸上の貨物運送秩序というものがバランスのとれた姿で発展させるということが、まずわれわれが考えなければならない施策ではないかと、こういうように考えておる次第でございます。
  190. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 いまのレーバー氏の当面したものと国鉄との——それはもちろん国情も違いますし経済環境も違いますから、それはわかりますが、ただ私、いま申し上げましたのも、ドイツの連邦鉄道そのものがやはり新しく出てきた自動車というものとの競争におきまして非常な脅威にさらされたというような事情は一致していると思いますし、また、それに対する対策というものについても大体同じような対策を講じなければならぬだろうということで、この同じ立場に立ったレーバー氏、また、いま同じ立場におられる新谷さんとの、同じような位置の立場からどのように彼を評価しているかということを伺いたかったわけでございますが、御承知のように、レーバー氏自体も昨年やめたようですが、これも一つには、いろいろいわれておりますけれども、結局、彼の計画そのものにおきまして最も大きな支障になったものが人件費の高騰、せっかくの計画も、やはり人件費の高騰の前にはいろいろな名案も効果を最終的にはあらわせなかった、そのようなことを思いますにつけましても、ちょうどいま国鉄再建計画におきましてもその点が非常に懸念されている御当局だと思いますので、何といいましょうか、レーバー氏の業績なり、あるいはまた努力なりについても大いに参考にされたらと思って申し上げたわけでございますが、それに関連して、私、先ほどからも申し上げておりまするように、トラックの流入というものを防止することとか、あるいはまたトラックの重量税ですかというようなものの対策、これなども、やはりこれに関連した、もっと大きく言うならば国鉄再建計画にも関連した問題じゃないか、このようにも思うのでございますし、国鉄自身のみずからの力によって貨物部門も再建される、これが最も望ましいことでございますが、単にこれは、やっぱり競争相手があることでございますし、片っ方は野放しで何でもできる、片っ方はやっぱりいろいろな条件において押えられている、これではなかなかむずかしいとも思いまするので、その面におきましても、運輸大臣としても特に御配慮の上、総合交通体系と申しましょうか、政策の上でもって善処されたらと、こう思うわけでございますが、運輸大臣に、もう一回、御感想をいただきたいと思いますが。
  191. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 方向としましては、いまお示しのような方向で努力をさらに続けなければならぬと思っております。レーバーさんの問題は、私、ちょっと中座いたしまして失礼いたしましたが、政府委員から御説明申しましたように、これは多少輸送事情国情違いますので、そのままには採用できませんが、最近はレーバーさんの交通政策について書かれたものを入手いたしまして、いま勉強しております。非常に参考になる点が多いのでございます。あの人の考え方につきましても、いま検討をしておるのでございます。
  192. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 次に、国鉄の合理化のことについて、これが一番大きな問題ですけれどもお伺いしたいと思いますが、国鉄の合理化としての諸経費の節減をはかる、こう言っていますけれども、節減を見込んでいるおもな諸経費について伺いたいと思います。
  193. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 概括的に私から申し上げます。  もちろん企業経営をやる以上、節減をし節約をするのは当然でございます。ことにこういう苦しい事態で、国民にも利用者にも御迷惑を願う以上、当然国鉄自体としての企業努力をするのはこれはもうあたりまえのことだというふうに考えております。経費節減と一口に申しましても、いろいろ大小ございまして、もう小さい具体的な、こまかい経費節減はもうほとんどいくとこまでいったというふうに私ども思っております。やはり大きなところといたしまして、まず人員の問題あるいは動力の問題あるいは輸送方式の問題まあこういうふうに分けて考えてみますと、人員の問題は後ほど十一万人の問題と関連していろいろ御説明申し上げますが、動力の問題一つとりましても、最近おかげさまで動力の近代化が進んでまいりまして、石炭をなまでたくというようなことをいたしておりませんが、やはり今度の計画の中でも相当電化計画を入れております。これによって動力費をうんと節減するということは計算済みでございますが、大体二万キロの全体の路線のうち半分、一万キロを電化いたしたい。輸送量から申しますと、九三、四%が電力によって動くということになると思います。距離は一万キロでございますが、輸送量はもう圧倒的に大部分でございますので、ほとんど全体の十割近い、九割何分というものが客貨とも電気で動くようになるというふうに思っております。  また輸送システムのチェンジにつきましては、先ほど貨物についての御質問でも申し上げましたとおり、先ほど申しましたような輸送近代化をやって、それによっておのずから操車場が減ってくる、人が減ってくるというふうな、コストのかからない貨物輸送をするという方向に持ってまいれると思っております。  また車両とか線路につきましても、ことに車両でございますが、いままで相当人手を食う、コストが高い車両修繕をやっております。これはいままでのように、いわゆる取りかえでなしに、修繕して直していくということでなくて、最近のいろいろな諸外国の新しい機械等を見ますと、これは部品ごと取りかえてしまうという新しいシステムが非常に進んできております。車両はとかく手作業が多いというふうなことで、そういうことが少なかったんでございますが、最近の車はごそっと部品ごと取りかえてしまうということによって、経費も安くなるし、また安全性も保てる。そういうふうに車両につきましても、また一部線路等につきましても、すなわち鉄道輸送の根本をなします輪転材料あるいは線路等につきましても、そういう思い切った設備そのものの近代化、主として補修費を下げるという角度からの近代化ということもしてまいらなければならないというふうに思っております。以上、非常に簡単でございますが、概括的に申し上げます。
  194. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 この機構の合理化というようなことは、いまのところ特にお考えになっていませんか。
  195. 加賀谷徳治

    説明員加賀谷徳治君) 機構、御承知のように、国鉄は本社から第一線の現場までいろいろな段階の機構があるのでございますが、機構の改正そのものは輸送の態様に応じてこれまでもいろいろやってきておるというわけでございまして、まあただ第一線の現場につきましては、業務の増減に応じまして統廃合といったような程度のことをそのつどやってきておるわけで、基本的なあれはございませんが、一番問題なのは、最近のように技術が発達し、交通関係、通信関係も非常に発達してきているという中で、また輸送の状態もいろいろ変わってきておりますので、管理機構といいますか、そういったものの問題がいろいろございまして、この計画の始まる前、それから始まりましてからも、特に中間の段階にあります支社制度といったようなものをいろいろ見直して、かなりの合理化をはかって現在に至っているというのが実情でございます。管理部門の要員につきましては、現場全部含めた十一万人の合理化ということでございますが、その割合よりもかなりそれを上回るような大きなパーセンテージの合理化をはかりたいということを一応目標にしております。昭和四十三年に三万人をちょっとこすような管理部門の要員でございますが、あったんでございますが、四十七年年度末には約二万六千ぐらい、八六%ぐらいに落としてきているというのが現状でございます。
  196. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 合理化について一つ、二つお伺いするんですけれども、この資産の処分、実はこれも当然合理化なんですけれども、何か具体的なものございますか。  それから金額はどのくらいになりますか、大体。
  197. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 資産の処分は、今年の今度の計画におきましては、相当大幅に見積もりいたしております。今度は大体年間百億、そして十年間で千三百億と申しますのは、来年四十九年度と五十年度は思い切って二百億と三百億というふうにいたしますと、ちょうど十年で千三百億になる。いまこれにつきまして具体的に当たっておりますが、いままでほとんど年間二十億から三十億程度であったものを昨年は完全に百億——売ってしまいましたと申してはおかしゅうございますが、売りました。今年も大体百億ぐらいのものは処分できるつもりでございますが、一応いまありとあらゆる、直接要らないもの、それから要るつもりであって何となくとってあるものもございます、こういうものも積極的に処分するというようなことで、ほんとうに将来、事業経営に直接使うもの、あるいは副業としてほんとうに役に立つというような土地以外のものは積極的に処分するという方向で進んでおりまして、大体初め年間百億どうかと思ったんですが、一応やれるだけやってまいりましたので、今後一応百億と、来年、再来年だけはそれにプラスアルファということで、十年間千三百億というものをぜひこれはやってまいりたいというふうに思っております。
  198. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 その物件は土地ですか、おもに。
  199. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) ほとんど土地でございます。そのほかにたとえば鉄くずとか古銅とかはございます。これは大体年間五、六十億でございます。
  200. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 そんなになるのですか。
  201. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) はあ、ことにスクラップは最近上がっておりますので、その値段などを見ながら、なるべく値段のいい処分をしてまいりたい。これは百億になりませんが、大体五、六十億ということで考えております。
  202. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 民衆駅とか高架下を管理なさっているわけですけれども、これなども、もちろんいまのように、土地をどんどん処分するということから、さらには今度積極的な面として民衆駅をつくる、あるいはまた高架下を利用するというようなことにも関連するわけですけれども、この管理というのは非常に適正に行なわれていますか、ちょっと伺いたいのですが。
  203. 速水信一

    説明員(速水信一君) ただいまの民衆駅並びに高架下の管理につきましては、たとえば民衆駅をつくる場合におきましては、財産管理等公正委員会という、学識経験者に入っていただきまして、委員会を設けて、一件ごとにそこで適正かどうか十分検討いたして、その上でつくる、こういうやり方をしております。それからまた高架下の管理につきましては、かつては国鉄が直接、個々のテナントとの間にいろいろめんどうなこともあったわけですが、こういうことではいけないということで、昭和三十九年以来、間接管理方式と申しまして、高架下を管理する会社をつくって、そこに国鉄が一括貸し付けまして、そこで十分目を光らせていく、こういうやり方をとっております。それ以後あまりその管理の面については問題は起きておりません。
  204. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 これはきょうの新聞なんですけれども国鉄がこのほど特急とか急行、この長距離列車を東京から地方の基地に疎開させるというふうにきめたと、こういうふうに出ていましたけれども、これはほんとうなんですか。それとも計画だけでございますか。
  205. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) それはいろいろな意味がございまして、まず大体車から申しますと、なるべくほんとうは集めておいたほうがよろしいんです、東京なら東京へ。しかし集めておきますと、その車のお守の人がよけい要ると、また人がとりにくいということもあって、やはりある一定以上集めますとかえって非能率になるという意味で、少し車を地方へ分散させよう。置場の問題もあるわけでございます。そういう意味で、なるべく集中して総合管理したほうがいいのでございますけれども、ある一定以上の規模になると、かえってそれがデメリットになるということで、少し特急の編成などを地方へ持たせようと、これは要員問題も当然あるわけでございます。  それからもう一つは、サービスの問題といたしまして、まあ東京だととかく仕事が乱雑になりやすい。しかし地方へ行って、これはうちの特急だと、これはうちの県の車だということになりますと、やはりうちの地方にいる職員の気分が非常に違ってまいります。これはふしぎなもんでございまして、これはおれの車だというふうな気持ち、また利用される方もその地方の方が多いものですから、話も非常に通じやすいというようなことで、地方の方々も、ぜひなるべく、特急でも地方の名前のついているのは、車も地方に持たせるし、また乗務員も地方に持たしてくれと、そのほうがいろいろ苦情も言いやすいし、全体としてよくなるというふうな強い御意見もございます。また管理上も実際そのほうがまじめに本気に自分のものになって仕事をするというふうなこともございますので、方向としてそういう方向をとったほうが人の総合的な運用上もいいし、また実際のサービス面からいってもいいということで、いままでの東京、大阪中心の集中主義を少し改めていきたいというふうなことを私がしゃべりましたので、それが出たのかと思います。
  206. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 いや、私はそれにつきまして、そのような疎開がいまの基地に行なわれますれば、相当何といいましょうか、地価の高い東京でもって空地ができる。要するに処分できる物件というものができやしないかというようにも考えたものですから、お尋ねした次第でございます。  それからもう一つ承りたいのですけれども、最近まで総武線の小岩、新小岩の付近には高架下で利用しなかった場所が相当あったようですけれども、現在何かいろいろに使われているように見受けられますが、これは特別な利用方法をお見つけになってのことですか、おわかりですか。
  207. 速水信一

    説明員(速水信一君) 小岩につきましては、駅構内につきまして、高架下管理会社の東京高架株式会社ということで開発をさせております。それから最近、駅のすぐ横のところの約四百五十平米ぐらいのものでございます。これを江戸川区にお貸ししまして、これは普通の商業ベースよりももちろんお安くお貸ししてございます。江戸川区のほうで一般に開放し自転車の置き場ということで、鉄道を使って通勤なさる方あるいはその辺に買い物に行っておられる方もあると思います。非常に自転車置き場としていま御利用になって、好評を博しております。
  208. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 そういうことで、私はいま中央線の沿線にもそういったことで利用できればと思うところもございますのですが、ことに中央線の複々線化が進行しますとガード下というものは相当利用ができるような場所ができると思いますが、いまの自転車の置き場に利用するということとか、あるいはさらに進んで、これは浜松ですか、緑地化しているというような、そして遊園地にもなっているというようなことを承りますと、そのようなことに御活用になれば非常にいいんじゃないかと、このように思ったものですからお伺いした次第でございます。先ほどからもお話しになっております合理化の一つに、ここにもございますように、人件費の問題、いわゆる言うならば国鉄要員十一万人を縮減するという計画になっておりますが、これは私も、今度の再建計画の中におきましても、最も重要な問題だと思いまするが、これについての概要をひとつ御説明願いたいと思います。
  209. 加賀谷徳治

    説明員加賀谷徳治君) 十一万の人間の合理化は、内容につきましては先ほど総裁から現場の経費節約の具体的な例を御説明申し上げましたので省略いたしますが、数字的なことを概略申し上げますと、要員の合理化は四十四年から始めておるわけでございまして、四十四年から五十三年までの間に、大体私どものほうとしましては、五十五歳で退職するというような不文律のようなものができておりまして、そういった見込みを立ててみますと、概算いたしますと、十四万八千でございますか、十四万八千ぐらいそれに該当するものがある。その間にいろいろ業務量の増加とか、あるいは時間短縮とか、そういったものも全般の均衡を考えてある程度やっていかなきゃならぬわけでして、そういったものもまかないながら四万人ぐらいの採用でとどめまして、何とかそのほうもまかなっていく、そうすると、その差が九万八千ということになりまして、約十一万、十一万というのは厳密に言いますと、十万八千でございますが、そういうことで合理化を達成していこうということにしておるわけでございます。したがって、その間にいろいろな合理化、いろんな増要員もまかないながらそういうことをやらなきゃならぬわけでございますから、いろんな合理化の設営、技術の発達あるいは作業の改善、輸送の改善、その他そのつど組合と話をしながら合理化をやっていくということでまかなっていくということになりますが、   〔委員長退席、理事江藤智君着席〕 今後は大体七万、いままでに実績として、四十七年度末に三万三千実績が出ております。今後大体七万五千くらいになっていけばいいということになりますが、十兆五千億という大きな投資をやっていく際に、こういったときに、いろいろな輸送改善もできますし、あるいは安全投資もできますし、合理化そのものの投資もいろいろできるというようなときに、まあ何といいますか、すべて労働集約化、装置産業化していくという過程の中で、いろいろな合理化が見込まれていきますので、十分にそういう点もこなしていけということになると思います。
  210. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 私、この合理化につきまして一番懸念されることは、この要員整理によってまあ職場の配置人員が減少になると、それが結局機関員におきましては列車の運行に影響を及ぼすとか、あるいはまた無人駅が増加するというようなことによってあらわれはしないかということでございますが、特に機関員、特に急行、特急等の機関員一人というふうなこともほとんど遂行されているようですけれども、こういったこと、それから無人駅がふえるということは、結局サービス低下になるわけでございますけれども、この辺についての国鉄のお考えはいかがですか。
  211. 加賀谷徳治

    説明員加賀谷徳治君) 第一、安全の問題でございますが、国鉄の安全の問題も輸送以前の問題でございまして、私ども一番関心を持たなければならない問題でございます。人を減らしたためにそういうことになるというような事態は絶対これは避けるべきでございます。したがって、いろいろ装置産業化していくという形の中で、十分な設備改善をした上で人を減らしていくということでございますので、これは具体例をあげれば、いろいろいままでの合理化というのは、みんなそういうことにつきましては、事安全に関する限りは、みな具体的に申し上げられるようになっておるわけでございます。  それからまた無人駅という問題も、地元とのいろいろな話し合いの中で、営業体制といいますか、輸送体制の改善というものを線区において行なっておるわけでございますが、人がおるよりは多少不便になるというふうな問題は、あるいは考える余地はあると思いますが、地元との十分の話し合いの上において列車を利用するには十分差しつかえないというような方策を講じた上でやっておるというふうに私どもは考えております。その点、そういうことで御了承を願いたいと思います。
  212. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 保線区において欠員がある場合を想定しますと、保線区においては事実欠員があるんだというふうに私ども聞いていますけれども、私はやはりいま申し上げました機関員だとか同じように保線区でもって人が足りないということは、結局まあ危険とかいうものに結びつくような——まあしろうと考えかもしれませんか、気がするんですが、その件について、たとえば東海道線とか東北線などで、東京を最終にスタートするとその中間の地点においては、列車の間合いの時間が非常に近接することになると思います。間合いの時間というのは大体三十分ぐらいなものですか、その列車の通過の非常に近接した時間内では抜本的に線路の補修は不可能になるということではないかと思いますが、このような状態であるから安全確保の上において、いまのように列車がどんどん来るという場合に、労働者の数をふやさねばならぬというようなときに、かえって保線において欠員があるところを減らすというようなことになると、これはやっぱり列車の運行の安全ということを大きく脅かす問題になるだろうと、こう思うわけですけれども、この辺について、お考えをお伺いしたいと思います。
  213. 篠原良男

    説明員(篠原良男君) 先生も御指摘のとおり、列車かふえてまいりますと列車の間隔が短くなります。しかし列車をふやす場合に、必ず六十分以上あるいは場所によっては二時間くらい間合いをとってもらっております。一日に一回六十分以上の間合いをとります。しかも最近は軌道の保守をする要員というものは非常に供給困難でございます。したがいまして、なり手が多いようにするためには機械化をしなきゃならぬ。マルチプルタイタンパーとか、バラストクリーナーというような機械で作業を置き変えるようにしております。したがいまして、こういう機械は線路の上に乗って仕事をいたしますので、二十分、三十分ではあまり能率はよくございません。したがいまして、毎日六十分あるいは百二十分というような間合いをとってもらいまして、機械によって線路を保守していく、それによって能率をあげる、欠員をカバーしていくというような施策をとっておるのが現状でございます。
  214. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 そうした場合にどうなんですか、非常に安全に、心配ないように運行できるわけですか。
  215. 篠原良男

    説明員(篠原良男君) たとえばタンピングという仕事がございます。これは線路がでこぼこした場合に、まくら木に、タイタンパーで突くわけです。一本のまくら木に大体十秒ないし二十秒、四人かかると、マルチプルタイタンパーというのを使いますと、一ぺんに二本のまくら木が二、三秒でできるわけです。したがって能率が非常にいい。オペレーター一人でいいというようなかっこうでございますので、線路の安全については自信を持っております。
  216. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 先ほどもお話ししましたように、機関士、機関員とか、あるいはまた保線というようなことに対しても相当安全に重要な関係がございますけれども、無人駅、これも全然駅の関係者がいないということは、やはり乗客にとっても大きな不安にもなりまするし、私、やっぱりこれも事故ということと結びつけて考えなきゃいけないんじゃないかと思いますが、それに関連してと申しましょうか、やっぱり駅の要員というのが、どうしても切符も自動販売でやるとかなんとかということになって、非常に少なくなっていると、その結果ではないかもしれませんが、実は今月の四日に北海道の美唄市でもって、函館本線におきまして通学中の女子高校生が三人も満員列車から振り落とされちゃった。そのうちの二人は十一歳のまだうら若いおとめでありますが、かわいそうに命を失ってしまったと、こういうような事故がありましたが、これは何といいましょうか、いまも私が心配したような、駅に非常に要員が少ないからです。だから安全も確かめないうちに発車さしてしまったというようなことが原因じゃないかと思います。この辺については総裁御存じですか、この事故を。
  217. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 七月四日の事故、非常に痛ましい事故で、すでになくなった方でございますので、あまり詳しいことはわかりませんが、ただ私どもから見ますと、これは駅員の数その他と関係なしに、若い子供たちでございますので、男の子ですとデッキからデッキへ渡るというふうな乱暴なことをしましたり、実はこれ二駅間なんです。込むのはほんとうの美唄の手前の二駅だけなんです。ですから中へ入るのもめんどうくさいというふうなことで、どうしても中へ入らない、車掌がずいぶんホームから、学生さんたち中へお入りなさいと言っても、もうすぐ、大体十分から十二、三分のところだものですから、中へ入らない。どうしてもデッキにいてしまうということで、ポイントを渡るときにゆれたために、何かつかまっていなかったというふうな話も実は聞いている。なくなった子供さんたちですから、いろいろ申し上げるわけにもいきませんが、そういうことで、いまいろいろ警察でも事情を調べておられますけれども、非常にかわいそうなことをいたしたと思います。  今後これは、四十九年度にこの線はディーゼルカーにいたすことになっておるが、ディーゼルカーになりますと、ドアが全部自動的に締まるというふうなことになりますが、これ、普通の客車でございますので、全部のドアを駅員が締めて発車さすということでなしに、やはり通勤時間帯ですと、デッキに人がいるためにドアを締めないで動くということも間々ございますし、また学生たちでございますので、締まったのもあけてしまうというようなこともあるようでございます。いずれにいたしましても、なくなった子供たちでございまして、過失その他一切、私、申しませんが、こういう子供たちの通学は、実は一番、私ども頭の痛い問題でございまして、なかなか目が届かない。遊び盛りでございますからじっとしていないというふうなことで、非常に頭を痛めている問題でございます。要するに、これはやはりドアがあかない電車とか、ディーゼルカーにする以外にないわけでございまして、根本的にはなるべく早くそういった車に変えてしまうという方向でもってまいりたいと思っております。  それからこれにつきましては、いろいろ全国でまだこういうところが相当残っております。各地からやはり一個列車、せいぜい一個列車、二個列車でございますが、非常に込んで困るという御要望もございまして、非常にたくさん全国でございますので、なかなか御要求を充足できないで非常に残念に思っているわけでございます。やはり、こういう通勤通学用のディーゼルカーをなるべく早く整備して、そして客車でない通勤をさせる以外に根本的な方法がないというふうに思っておりますが、返す返すも非常に気の毒だと、申しわけないことをしたというふうに思っています。
  218. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 私も先ほども触れましたように、通勤列車、通学列車というのは、至るところ、このような事故を起こしやすいような状況に置いておられます。もちろん、北海道のこの例は、自動式なドアがなかったからということも、このような事故を起こした原因だと思います。しかし現に、東京あたりにおきましても、自動式で締まっても入り切らないうちに引っ張られて、ついにけがしたというような例もございますし、要は、やはりそれに応じた、利用数に応じただけの配車といいましょうか、が必要じゃないかと思いまするし、その意味におきまして、ことに自動式でないところなどは、できるだけ客車数をふやすとかいうような措置が必要じゃないかと思いますが、今回の事件、いま総裁の御説明どおりとしますれば、なくなったほうの当人にも過失があったように見受けます。ですけれども、何といいましょうか、もう少し人命尊重といいましょうか、そういう見地から、もっと事前に防止する手段がなかったかと思いますると、残念に思いますし、私もいま申し上げましたように、駅の要員というものが減らされていくと、こういうようなことをちょっと注意すれば防げたであろうようなことも、注意ができなくなるんじゃないかと、そのようなことを懸念するわけでございます。  なお、いまの事故自体は本人の過失か、あるいはまた国鉄側の過失が原因かということがはっきりしないようでございますが、この程度の事故に対しては、被害者の救済ということばお考えになっておられないんですか、いままでのケース、こういうケースにはどうなさっていますか、お伺いいたします。
  219. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 私、記憶いたしておりますのは、数年前に、やはり山陰線で買い出しのおばさんに同じようなことがございました。これはやはり私どもの責任としてあと始来いたしたことがございます。これはだいぶ前、昭和四十年ぐらいだったと思いますが、そういうことがございました。したがいまして、もう少し事実関係が明らかになりますまで、したがって、私どもとしては、本人に過失があるということは、私、申したわけじゃございませんので、その点、誤解のないようにしていただきたい。なくなった子供たちでございますので、また、そういう意味でできるだけの弔意を尽くさなければならないというふうに思っておりますので、もうちょっと事実関係がはっきりするまで待たしていただきたいと思います。
  220. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 被害者救済の問題につきまして、この問題についてはまだ事件が発生したばかりだからということでございますが、もう発生してからすでに相当の日時がたちました例の北陸線のトンネル内の火災事故の被害者、これは数が相当多かったんですが、どのような処置をとられたか、参考までに承りたいと思います。
  221. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 非常に多数の方がなくなり、また多数の方がけがされて申しわけございません。死者のほうは二十九名なくなったわけでございます。おかげさまで、いま二十七名全部円満解決いたしました。二名だけ、まだ未解決でございますが、これはまあいろいろな御家庭の事情等のほうがおもな理由でございます。そう時間のかからないうちに解決できると思っております。また、けがされた方は、全部で、七百十四名でございます。そのうち五百十五名はすでに解決いたしました。いま遺族会等ができておりまして、残りの方々少し話がごたごたしておりますけれども、私ども誠意をもって、私も実は一ぺんお目にかかっております。ただ非常に各地——九州から北海道までおられるものですから、話がなかなかまとまらない点もおありのようでございます。できるだけ誠意をもって早く私ども片づけたいというふうに思っている次第でございます。
  222. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 事故関係に続いてちょっとお伺いしたいのですが、踏切事故ですね、これの原因というのはどういうことかということと、それから解決の方策はどのように考えておられるか、承りたいと思います。
  223. 篠原良男

    説明員(篠原良男君) 踏切事故の原因は、最近のモータリゼーションで非常に車がふえてまいりまして、自動車のエンスト、あるいは無謀運転による事故がふえております。しかし過去十年間、非常に踏切の整備をやってまいりました。その結果、踏切事故そのものは減少しておるというのが事実でございます。  これをなくすのにはどうすればいいかという先生の御質問でございますが、踏切をなくすのが一番いいわけでございます。それには立体交差あるいは都会地においては高架化、連続して高架橋をつくるというのが一番いいわけでございます。それから地方におきましては踏切を統廃合といいますか、三つある踏切を一つに集約していただく、そうして踏切をなくすというのが一番いいわけでございます。都会は、先ほど申し上げましたように、地元あるいは地方自治団体あるいは道路管理者のほうと協議をいたしまして、高架化あるいは立体交差によって踏切をなくしております。  しかし、どうしても残る踏切につきましては一種全遮断、これは踏切の遮断機を全部おろす。チャンチャンが鳴りまして全遮断、自動車の通る踏切につきましては、残る踏切は全部一種全遮断化したい、かように考えております。そうしてどうしても二メートル三十以下の小さな踏切は車禁をする。車を通さない。人だけに通っていただく。ただし通勤通学のように非常に幼い子供たち、あるいは相当交通量のある、人だけが通る踏切につきましてはチャンチャンをつけていきたい。このようにして踏切の整備をはかりたい、かように考えております。
  224. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 関連して質問したいのですが、いま阿部さんから北陸トンネルの事故といったような、事故関係質問に対する救済措置といいますか、補償措置といいますか、そのことについて質問がありましたが、国電の追突事故があって、中に乗っていてからだを打って、それでどこを折ったか詳しくは聞きませんでしたけれども、田端の鉄道病院に通っておったが、一見なおったようであってもあとで再発をしてどうもぐあいが悪い、こういう人の話を聞いたわけです。しかし病院へ行くと、もうあなた、なおったんじゃないかと、こういうふうに言われる。それから鉄道のほうに連絡をしてみると、もう少し金がほしいのかというふうに言われて腹を立てた。もうそれ以上交渉する気がなくなってしまった、こういう話を聞いたわけです。で、それは医者をかえてみたいということなのか、あるいは後遺症のような症状がまだ完全になおらないで、あとで出てくるということに対する不安なのか、そこのところ、詳細には私、聞いてないんですけれども、要するに、国鉄に乗っていて、電車に乗っていて追突事故にあってけがをしたということであれば、これは自分の過失じゃないわけですから、それがあとで後遺症が出てきて、女の方だそうですけれども、孫ができたけれども、どうもぐあいが悪いときには孫が抱けないという状態になっている。だから、そういうような場合には、御本人の希望があって鉄道病院以外の医者にかかるということも認めてあげても差しつかえないんじゃないかという気がいたしたわけです。これはまだ詳細に聞いたわけじゃありませんが、そういうことをちょっと聞きまして、非常にそういう点、国鉄は事務的なんじゃないかという苦情を私、聞いたことがあるんです。だから、そういう場合に国鉄としては、国鉄が指定をした医者以外にはかかることを認めないということではなかろうと思うのでありますが、その辺は一体どういうことになっているのか、この機会にちょっとお伺いしたいと思います。
  225. 加賀谷徳治

    説明員加賀谷徳治君) いま瀬谷先生のおっしゃる具体的なケースについては、私は詳しく存じませんが、ただ、いま言うように、あとでぐあいが悪いと、また来られる、これはできるだけの私どもも治療を尽くすということがたてまえでございます。したがって医者をかえてみたいという場合には、それにもちろん応じてといいますか、その御本人にこちらでいい医者を御紹介するか何かするはずでございまして、そういうふうに事務的に扱っていることはないと思います。
  226. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 いまの踏切の話になりますが、この補修費は国鉄だけが負担しているんですか。
  227. 篠原良男

    説明員(篠原良男君) そのとおりであります。
  228. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 これはちょっと理不尽だと思いますけれども、補修費どのくらいかかりますか、年間。
  229. 篠原良男

    説明員(篠原良男君) 昨年の実績を申し上げますと、約百億修繕費にかけております。
  230. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 これはちょっと私らおかしい点ございますし、現実にも、先ほどちょっと触れましたレーバープランなんかによりましても、西ドイッではもう半分は国で持っています。当然国鉄だけで−ことにいまの国鉄の現状におきましては、これは国鉄だけが負担すべきじゃないと思いますが、当局のお考えももちろんそうだと思いますが、いかがですか。
  231. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) 踏切の負担の問題でございますが、一番踏切の場合に大きな問題は連続立体交差の場合でございます。先ほど国鉄からも御説明申し上げましたように、事故の防止のためには連続立体交差、これが最も効果がございますし、また単独立体交差、これも有効なものでございます。単独立体交差をいたしますことにつきましては、昭和三十年代に国鉄建設省の間に協定がございまして、国鉄は三〇%工事費を持つということになっておるわけでございますが、連続立体交差いたしましても大体キロ当たり十八億ばかりかかるきわめて巨額のものでございまして、連続立体交差、こういうものの緊急性、しかも国鉄の財政負担ということを考えまして昭和四十四年に運輸省建設省の間に連続立体交差につきまして経費の負担を取りきめたわけでございます。その結果国鉄の負担分は工事費の一割ということにいたしまして、従来の単独立体交差が三割でございましたものを一挙に三分の一の一割というふうにしたわけでございます。  それから、いわゆるいまの補修費の問題等でございますが、いわゆる工事費につきましては、今回の御審議いただきます案におきましては、金利が三・五%まで工事費補助を行なうというふうにいたしまして、また出資を一五%にいたすということで、今後の工事につきましては金利負担を三%にするというふうにいたしまして、こういった面からも国鉄に対する財政助成を強化したわけでございます。
  232. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 これは私の聞いた話でございますけれども国鉄の内部のことでございます。上司が職場で朝の点検をとり訓示をする場合に、職員はうしろを向いてたばこを吸って上司の話など故意に聞かないというのが普通のようだ、こう言っているんですが、このような状態がもし実際とすれば、私は真の国鉄の再建には非常にむずかしい障害になりはしないかと思いますが、総裁はこんなことをどういうふうにおとりでございましょうか。私は、もしこれが事実とすれば、言うならば悪い意味の親方日の丸じゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  233. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) そういうお話が外に伝わるだけでも非常に私、残念なことだと思います。一時そういう風潮が全然なかったとは申しませんが、最近は非常に職場もきちんとしてまいりましたし、いろいろ組合のごたごたがまだ中であるようでございますけれども、そういうものと離れて管理者もきちっと管理をするというくせがだいぶついてきたというふうに思っております。  そういう意味で、そのお話は、私はだいぶ前の話だというふうに了解していただきたいと思いますし、また、そういうことの間違っても外に伝わることのないように、そういう事実がないように厳に戒めてまいりたいというふうに思っております。
  234. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 総裁の言われるようなことが単なる過去のことであって現在ないならば、私も非常にけっこうなことだと思っていますが、国鉄に寄せられた苦情ですね、投書がおありになるそうですけど、これの内容を分析するとどのようなものが多いか、そのような表をおつくりになっていますかどうか、伺いたいと思いますが。
  235. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 私のほうに直接参ります投書あるいは私の自宅に参ります投書あるいは新聞に出る投書、いろいろございます。お名前のわかっている限り御返事を出すというたてまえでやっておりますので、大体分類いたしております。  正確な数字を覚えておりませんが、大体一番多い苦情は、いろんな具体的なサービス問題でございます。あの駅でこういうふうな乱暴なことばを使われたとかいう非常にこまかいことから、それから最近多かったのは、順法闘争の最中の非常な不平不満等でございます。あとはいろいろダイヤ改正のときの問題。まあ主として職員の態度の問題が一番多いかというふうに存じますが、しかし国鉄全般としてのものの考え方、仕事のやり方に対する相当突っ込んだ御批判も承っております。ちょっと具体的にいま分析したものを持ってまいっておりませんけれども内容は主として職員の執務態度、接客態度、それが大部分で、あと時期によりまして、いわゆる順法闘争等に対する非常な痛烈なふんまん等が大部分でございます。あとは経営上の問題も若干ある。こういう程度の分類だったと存じます。
  236. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 やはり私らも想像していますけれども、サービスに対してのいろいろな苦情とかいうのが多いだろうと思いますが、それだけに、私は、それは単に、何といいましょうか、一部の人たちだけのあれじゃなくて、そういった実情にもあるということもやっぱり私は反省しなきゃならぬと、こう思うわけでございますが、国鉄をやはり再建するには全職員の意欲の高揚がもちろん不可欠だと思いまするし、いままで生産性運動に関する教育の進め方などについての反省の上に立って、職員がそれこそ生きがいをもって業務に精励するような、そのような職場でなければなりませんし、総裁も、またその他の理事の方々も、それに向かって邁進されておられると思いますが、私はこれがさらに総裁のお力により、また国鉄を指導なさる方々のお力によって、そのような意欲の高揚した国鉄の内部の実情になってほしいと、こうお願いするわけでございますが、やはり国鉄再建の論議の中で出てくるのは、どうしても、先ほど来からもそうでございますけれども、人件費の問題でございますね。国鉄の再建がなるならぬというのも、私、人件費の問題が大きく作用していると思います。  とかく本再建計画につきましても、数字だけ拾って言いますると、現実にも八兆円も運賃をこれから上げようとしておる。じゃあ、その八兆円に対して人件費の値上がりはどうかというと、この委員会においてもすでに言われましたように、その大部分が人件費の、いわゆるベースアップに現実食われてしまうと、このようなこと。このようなことが、どうしても私、何といいましょうか、結局、経営側におきましては要員の縮減と、いわゆるそれが合理化だと、それが一番の対策だというような考えがちになります。そうすると、またそれを受けて、従業員のほうでも、また組合といたしましても、これに反発して、このような問題についてのストライキ、まあストライキがいま合法的でないものですから、順法闘争というような形でもって対立していくと、このようなこと。これを実はこの数年繰り返してこられたのが国鉄の実情じゃないかと思いますが、このようなことからますますしこりが深まり、また感情対立が激化していくというようなことでございまして、私はこのような、いわゆる国鉄労使の間のパターンというものは、これはやはり根本的に変えていかにゃならぬと、このように思うわけでございまするが、総裁のお考えをお伺いしたいと思います。
  237. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) まさに先生のおっしゃったとおりでございまして、国鉄の再建は決して財政問題だけではない、財政問題と同じウエートで部内の人間関係の問題があるというふうに私存じております。いろいろないきさつもございまして、相当いやな経験もいたしましたけれども、そういうものは全部踏まえた上で新しい感覚に立って、労使手を携えて新しい再建に向かわなきゃならないと。これが国民がほんとうに期待されておるほんとうのことじゃないかというふうに考えます。  その意味で、私どもといたしましても心を新たにいたしまして、この財政再建の問題と相並んで人間関係の再建ということをぜひやっていかなくちゃならない。これがなければ、いかに財政再建で御尽力くださいましても、やはり片一方の車がなくてはだめだというふうに思います。したがって今後とも、十分——いま先生のお示しの点まさにそのとおりだと私も存じます。そういう方向に向かいまして、全力をあげて邁進してまいりたいというふうに存じておる次第でございます。   〔理事江藤智君退席、委員長着席〕
  238. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 国民は、国鉄の労使の対立から起こりまするいわゆる順法闘争によって、私から言うまでもないと思いまするが、いつも大きな被害を受けているわけでございます。それこそ、このような被害を受けながらもじっとしんぼうしている人や、あるいは泣き寝入りしている人、あるいはまたしんぼうしている被害者、非常に迷惑をかけてもじっとがまんしている被害者等々は国民であると思いますし、また先般の上尾のような事件のような、ああいうふうな暴力事件も勃発するというようなことで、言うならば多数の国民かこれによって迷惑しているわけでございますね。  しかし先ほど総裁からもお話がありましたように、サービスということについても相当の不満を国民は持っておるわけでございます。一口で言うならば、運賃は上がるけれどもサービスはよくならないじゃないかと、このようなことさえも言われるわけでございますが、これは単に、直接の利用者、被害者だけの声じゃなくして国民の声としてもこれは受け取らにゃならぬ、このように思うわけでございます。したがいまして、私は先ほども触れましたけれども国鉄総裁はもちろんでございまするが、運輸大臣にもぜひお願いして、このような、いわゆる労使の関係の是正といいましょうか、正常化、これが国鉄の再建には最も基本的に必要なことだと思いまするので、今後ますます労使理解を深められて、そして本案の成否は別としまして、国鉄の再建に御努力していただきたい、このように思うわけでございます。一言、運輸大臣に……。
  239. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 国鉄における労使関係を正常化して、お互い協力をして国鉄の再建に尽くしてもらうということは、いまの状態からまいりまして一番喫緊の要事であると存じます。御忠告まことにありがとうございました。その趣旨に沿いまして国鉄を十分指導いたしまして、国鉄当局も同じ考え方でございまして、できるだけ労使間のあらゆる問題について、問題が起こってから交渉するんではなくって、ふだんから絶えず連絡をし、お互いに意思疎通をはかりまして、お互い協力するというような体制を早く整えてもらいたい。国鉄もその点は十分自覚をしておりまして、お互い協力いたしまして仰せのような方向に最大限の努力をしなきゃならぬと考えております。
  240. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 何か結論的なものになって非常になんですけれども、もうしばらく質疑を続行さしていただきたいと思います。  ということは、最後に、今度の再建計画の柱の一つであります運賃の値上げということについて国鉄当局にお伺いしたいと思うからでございます。  今度の再建計画につきまして、最も国民として関心の深い問題は、いわゆる国鉄運賃の値上げという問題だと思いまするが、この御計画によりますると、この運賃の値上げ幅というもの、すなわち貨物は二四・一%、旅客は二三・二%ですか、この運賃をはじき出されたのは、国鉄が実収を一五%アップということからはじき出されたというんですけれども、この計算の根拠を簡単にお示し願いたいと思います。
  241. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) 国鉄が純粋の独占事業でございますと、いわゆる実収率と改定率というものはほぼ一致するわけでございますが、国鉄の現在の状態におきましては、乗用車の発達あるいは貨物トラックの発達またフェリーの発達、こういうことによりまして、貨物におきましても旅客におきましても、きわめてシェアというものは縮小してきておりまして、激烈な競争場裏に立たされておるわけでございます。したがいまして、いわゆる実効と名目改定率との間におきましての、いわゆる利用減ということを算定せざるを得ない状態でございます。  で、この利用減の算定でございますが、これは後ほど国鉄のほうからお答え申し上げますが、いわゆる過去の改定時におきます値上げ率と利用減との関係、それからそれぞれ旅客、貨物につきまして運賃弾性値をはじきまして、これに基づきまして利用減を推定し、実収一五%の確保のためにそれぞれ改定率を、ただいまお話ございましたように、旅客につきましては二三・二、貨物につきましては二四・一%、そういうように算定した次第でございます。
  242. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 この運賃値上げは、本年度だけでなくて、続いて五十一年度からさらに三回運賃値上げをされることになっていますが、この運賃値上げにつきましてはレートもおきめになっているようでございまして、最終年度は一〇%だけですか、要するに実収の一〇%あップということになって、最後だけは変わっているようですが、最終年度の五十七年度の改定運賃というのが、おたくの計算では、いまの現行運賃の比べてどのような比率になりますか。要するに本年度だけ比べれば貨物は二四・一%という答えが出てきますけれども、五十七年度におきまする運賃が現行運賃と比べてどのぐらいの比率になるか。
  243. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) ただいま申し上げましたように、いわゆる名目改定率と実収率との関係と申しますものは、今後におきます国鉄の競争力、いわゆる輸送体制の改善、こういうことにきわめて大きな影響があるわけでございまして、先般の二月二日の閣議了解におきましては、実収一五%、最終年次におきましては実収一〇%ということにしたわけでございます。これが直ちに幾らの名目改定率になるかということは、今後の国鉄の体質の改善、輸送力の競争力と申しますものによりまして非常に変わってまいりますので、この次の運賃改定につきましても、幾らの名目改定率になるかということは、現在におきましては算出できない次第でございます。  したがいまして、十年先におきます名目改定率と申しますものが幾らになるかということは、現在の状況におきまして算出するということはきわめて困難なものでございますが、もしかりに現在の二三・二あるいは二四・一%というものを単純に伸ばして仮定いたしたところを申し上げますと、大体現在の一〇〇に比べまして二二〇%、こういったような状態になると思います。
  244. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 二一〇ですか。
  245. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) 二・二倍でございます。  こういった状態は一応仮定としては算出してある次第でございます。
  246. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 国鉄運賃の値上げ、これは私が言うまでもなく、国鉄利用者にとっては大きな負担の増しとなりますことは御承知のとおりでございます。それから国鉄利用者といいましても、新幹線を常用されている人と、あるいは特急で動いている階層というものと、現実に毎日毎日国鉄で通勤なり通学なりされている人、おのずから相当の経済的な差異もあると思います。言いかえるならば、国鉄を利用している人というのは、極端に言えばマイカーもないというような所得の非常に少ない人が多いんじゃないか、また、この所得の少ない方は特に国鉄に依存して通勤あるいは通学をしている、こういうふうにも言えるわけだと思いますが、その意味で、私は今度の運賃が大幅に二割何分というふうに上がること自体が非常に大きな経済的な負担になる、こう思うわけでございますが、このような申し上げた低所得者に対して、今度またうんと運賃を上げるのだ、しかしこれは、金持ちであろうが何であろうが機会均等なんだ、同じように二三・何%上げればいいんだというようなお考えか、それともまた特別に低所得者に対しましての、何と申しましょうか、救済策をお考えかどうか、これを承りたいと思います。
  247. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) 従来から国鉄といたしましては、こういった社会政策的な意味の公共割引というものは行なってきたわけでございます。ただいま御指摘の旅客について申しますと、身体障害者につきましては、御承知のように、五〇%の割引を行なっているわけでございます。また指定救護施設に保護され、または救護されていますいわゆる被救護者、これに対する割引、これも普通乗車券につきまして五〇%の割引を行なっております。また勤労青少年者に対しましても、その青少年者がくにに帰りますための、帰郷に対しまして、年二回、往復につきましてそれぞれ二〇%の割引を行なっております。また勤労青少年の研修参加のための割引を行なっておりまして、これも居住地から開催地までの往復乗車券につきまして二〇%の割引を行なっております。また戦没者の遺族でございますが、靖国神社参拝のための往復乗車券につきましても五〇%の割引を行なっております。また戦傷病者についての割引でございますが、これは普通乗車券、急行券につきまして、百キロ以上の場合、傷病の程度によりますが、年二回から十二回の間、これらは無賃で扱っております。それから生活困窮世帯に対する割引でございますが、被保護世帯に対しまして、ただいま御指摘のありました通勤用の定期乗車券、これを三〇%の割引、こういったものを行なっております。それから、これは一般でございますが、学生が百キロ以上旅行いたします場合に二〇%の割引を行なっているという状態でございます。  これは今後も続けてまいる次第でございます。
  248. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 いまお尋ねしたのは、いままではそういったいろいろな救助措置をとっておるのですが、今回の値上げについて、特に新たにどうこうするということは、お考えになっておらぬわけですね。
  249. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) 今回の運賃改定に際しまして、いろいろとそういった身障者の問題だとか、精薄者の問題だとか、そういった御要望も承っておるわけでございますが、現在の非常に重大な財政状況にございます国鉄といたしましては、いわゆる輸送力の増強あるいは輸送サービスの改善ということは今後も大いにいたしてまいる所存でございますが、金額的な割引ということにつきましては、現在の国鉄の財政状況からかんがみまして、これは国鉄といたしましては、処置いたさない所存でございます。
  250. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 いま局長のほうからお触れになっちゃったんですけれども、いわゆる精神薄弱者ですか、これも今度の運賃改定を機会に、ぜひ運賃の割引を受けたいと、このような強い要望を持っているわけでございます。いまとても考慮の余地はないという冷たい御返事だったようですけれども、これはぜひ精神薄弱者に対して検討していただきたい。もちろん割引率は身体障害者、一般のものと同じでいいんじゃないかと思いまするけれども、おそらく置かれている境遇は同じだと思いまするので、何も本質的に差をつける——片一方はいいけれども片一方はほうっておいてもいいというような問題じゃないと思いますので、ぜひこの機会に、精神薄弱者のほうにも御配慮願いたいこうお願いするわけでございます。
  251. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) ただいまの御指摘は、まことにごもっともな点もあるわけでございますが、これは国鉄の再建とは切り離した問題でございまして、国の社会政策として、たとえば私のほうにはそれ以外に老人の方々に対する割引の問題とか、あるいはいまの学生割引につきましても、外国から日本に留学している留学生にもそういった割引をすべきではないか。いろんな、いわゆる社会政策的あるいは文教政策的な面からの御要望があることは事実でございますが、これは私は、私の口から申し上げますのもあれでございますが、それぞれ所管しておられる省におきまして、こういった問題については、さらに御検討いただきたいと考えておる次第でございます。
  252. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 私自身も、何も国鉄の負担でこういうことをすべきじゃない。むしろ、こういう問題については、たとえば文教予算とか、あるいは福祉予算というものが別にあって、それで国鉄が運賃割引をした分をカバーすると、そういうふうな体制をつくるべきだと思っていますが、その意味でもって御考慮願いたいと、こう思うわけでございます。  次に、国鉄の運賃の値上げということになりますると、国鉄運賃値上げ、要するに言いかえるならば、公共料金の王様といわれているくらいでございます。それだけに影響が非常に大きいわけでございます。まあ言うならば、この国鉄運賃の値上げが、結局は私鉄運賃だとか、あるいはまたバス代だとか、あるいはタクシーだとかというように、一般の交通機関の運賃の値上げにも波及いたしますし、結局それがさらに一般物価の上昇ということにもなるわけでございまして、その意味でもって、もちろんわれわれ野党もそうでございまするけれども、労働組合あるいは消費者団体というような、広く国民階層から、この点について反対が非常に多いんじゃないかと、このように思っておるわけでございます。  私はこの件について、いわゆる公共料金の値上げ、これがどのように物価に影響するかということについて、二、三経企庁にお伺いしたいと思いますが、まず私、この物価の安定という立場からお尋ねしますと、四十八年度の消費者物価の上昇率、これは政府の見通しでは五・五%ということでありましたけれども、この見通しからお伺いしたいと思います。
  253. 小島英敏

    政府委員(小島英敏君) 遺憾ながら、先生おっしゃいますように、最近の消費者物価の上昇傾向が非常に強うございまして、われわれ、げたと言っておりますけれども、前年度末の水準でかりに本年度内横ばいになったとしても、すでに実は五%ほどの上昇になってしまうわけでございまして、実際は、なかなか年度内横ばいということは不可能でございますので、現在の段階では、遺憾ながら五・五%の達成はきわめて困難であると申さざるを得ない状況でございます。
  254. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 御承知のとおりに、消費者物価だけじゃなくて、消費者物価も五・五%でとまるということは非常に困難だと局長言われましたけれども、これは卸売り物価も同時に高騰しておりますのは御承知のとおりでございます。この卸売り物価の高騰自体が、ある時期が来ますと、結局は消費者物価の上昇にも影響を及ぼすということは、私が申し上げるまでもないことだと思いますが、この意味におきまして、消費者物価の最近の著しい値上がりというものが、卸売り物価からの影響ということも大いに考えられると思いますが、その卸売り物価自体の上昇もまだ依然として続いているのは御承知のとおりでございます。  したがって私は、その意味におきましても、消費者物価もさらにさらに上昇していくと、このように考えられるわけでございますが、このような事態に対しまして、物価の責任者である局長におかれましても、現在の卸売り物価、消費者物価それぞれに対して、安定政策と申しましょうか、安定対策と申しましょうか、これについて、どのように対処しておられるか、お伺いしたいと思います。
  255. 小島英敏

    政府委員(小島英敏君) 先生おっしゃいますように、現在の消費者物価の上昇というものが、非常に大きく卸売り物価の上昇の影響を受けていることは事実でございまして、昨年の八月以降卸売り物価が非常な勢いで上がりまして、それがやはり昨年の十二月ごろから消費者物価に非常に大きく波及してまいっております。従来の卸売り物価の上昇に比べて、今回の上昇の一つの特徴と申しますのは、特に昨年末からことしの一、二、三月ごろにおきましては、消費財的なものが卸売り物価上昇の中心でございまして、繊維とか雑貨類あるいは食料品、こういうものの卸売り物価が非常に上がりましたために、非常に早くこれが消費者物価に波及しつつあるわけでございまして、卸売り物価が、最近はややニュアンスが異なりまして、生産財、つまり消費財関係の上がり方はかなり鈍くなりましたけれども、その反面、生産財関係一般に波及をして、現在なお卸売り物価の上昇が続いているという状況でございます。  したがいまして、私どもといたしましては、まず卸売り物価の上昇をとめるということが当面の緊急課題であると存じておりまして、年初来、やはり今回の卸売り物価上昇の一番大きな原因が総需要の過多と申しますか、需要の強化、これが一番大きな原因であるという判断から、総需要の調整ということに最大のウエートを置いております。  財政につきましては、年度内調整ということで、上期から下期に契約のウエートを移すということをやっておりまして、平年でございますと、公共事業関係の上期の契約分というものが、大体六五%ぐらい要るわけでございますけれども、二回にわたる物価閣僚協議会の決定によりまして、現在これを五四、五%のところまで押えるということにいたしております。  それから金融につきましては、年初来、三度にわたる公定歩合の引き上げが行なわれまして、累計一・七五%の引き上げになったわけでございますが、あわせて過剰流動性の吸収のために、預金準備率をやはり三度にわたって引き上げまして、そのほか窓口規制ということも現在強力に行なわれておりまして、七−九月については、前年同期に対して二四%減というところで押えるということで、現在鋭意引き締め政策が遂行されているわけでございます。で、金融引き締めの効果というものが卸売り物価に影響を与えますのに若干の時間的なラグもございますけれども、卸売り物価安定が最大の前提でございますので、さらに必要があればそういう財政面、金融面の引き締めをさらに強化をするということが必要だと思いまして、現在その価格の上昇を慎重に監視をしておるという状況でございます。  それからもう一つ、やはりこの需要調整とあわせて、物価政策の基本的なオーソドックスな対策は、やはり供給をふやすことでございまして、特に最近、国内の生産につきましては非常に供給が伸びておりますわけでございますが、その意味で、輸入を極力ふやすということを心がけております。これは昨年後半以来、関税も引き下げられ、あるいは割り当て品目もふえるということで、最近の輸入の勢いは、前年同期に比べますと、七割、八割というような勢いで伸びておりますけれども、まだどうも国内の需要の強化に比べますと供給力不足気味でございますので、これも閣僚協議会で決定されまして、輸入割り当て品目、いわゆる自由化されていない品目につきましては、原則として前年に対して三割ワクをふやす。それから国内消費全体の中で八%に満たない、輸入が八%未満のものは、八%まで上げるという原則を立てまして、若干の例外はございますけれども、ほぼその原則に基づいて、四月以降通産、農林両省において輸入の割り当てが行なわれております。  それから、もう一つ輸入をふやしますきめ手といたしまして、特恵関税のシーリングのワクをはずすという問題がございまして、これは法律改正によって道が開けまして、六月一日から特に最近の消費者物価、卸売り物価の中で値上がりの大きいのが繊維品とか雑貨でございますので、そういうものの後進国からの輸入をふやすためのシーリングワクの撤廃をいたしたわけでございまして、これが百十品目について規定されたわけでございます。こういうことで、輸入の促進と需要の調整というのが二本の大きな桂でございまして、そのほかレートの調整に伴う値下がり分を消費者に環元させるということで政府関係用のものにつきましては、輸入たばことか、あるいは航空運賃とかいうものにつきまして、たいした額ではございませんけれども、値下げを実施いたしました。さらに民間物資についても強力に行政指導をしたわけでございますけれども、この面は遺憾ながらレート調整にもかかわらず、輸入価格といいますか、向こう側の価格が非常に上がってしまいましたものですから、どうも思うような効果が出ていないという状況でございます。  それから同時に、過剰流動性に伴う一種の投機的な動きが今回の値上がりの一つの原因でございますので、これは各種の、先ほど申しました金融引き締めもその一つでございますし、その他行政指導も進めましたけれども、なお不十分であるということで、いわゆる買い占め規制のための法律案を提出いたしまして、最近成立を見ましたので、実は明日の閣議でこれに基づく品目を指定するための政令を決定していただくことになりまして、約十四品目につきまして、品目が決定されるわけでございまして、これについて農林、通産厚生省、企画庁と共同いたしまして厳密な調整をいたすということにいたしております。  そのほか、特に最近の三月、四月ごろの値上がりというものが、一つはやはり消費者の買い急ぎということがございまして、どうも正しい情報が伝わらないために、値上がりしますよというような商策に踊らされてというと語弊がございますけれども、どうも買い急ぎをしたという傾向がございますので、正しい情報を消費者に伝えるということを特に力を入れてやっているわけでございます。その辺が最近やっております物価対策の概要でございます。
  256. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 局長から物価対策のあの手この手を伺いまして、少しでも効果のあることを期待していますが、国鉄運賃の値上げ、いま試みられていますように、貨物、旅客ともそれぞれ二三%、四%上がるわけですが、これが物価にどのぐらいはね返るか、具体的の数字をお示し願いたいと思います。
  257. 小島英敏

    政府委員(小島英敏君) 旅客運賃の改定によります消費者物価指数の上昇率は、平年度ベースでいたしまして約〇・三四%でございます。それから貨物運賃の改定につきましては、これは直接は消費者物価の採用品目になっておりませんけれども、間接的な影響、産業連関表を使いまして試算をいたしますと、これは仮定の数字でございまして、貨物運賃の上昇、つまりコストの上昇分がすべて末端価格に転稼されるという仮定を用いまして計算いたしたわけでございますけれども、これは平年度ベースで約〇・〇九%ということになっております。
  258. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 さっき局長から、いわゆるげたが五%というお話を承りましたけれども、本年度の消費者物価の上昇率が五・五%としますと、げたの残りが〇・五しかない。それをいまおっしゃられたように、今度の旅客運賃の値上げでもって〇・三四食ってしまうということになりますと、ほとんど残高がない。ということは、いままでほかの物価を押し上げる要因については全然消化できない、言うならば、さっき局長もおっしゃられたように、もう五・五%の物価というものは、かりに国鉄の運賃が上がるということになれば、それだけでもって五・五%を守るということはたいへんだということにもなると、こう思うわけでございますが、このように私、この国鉄運賃の値上がり自体が、物価を〇・三四%上げるかどうかということに対しては大いに異機があるところでございますが、少なくとも局長の言われるようなことをそのまま認めることとしましても、相当物価に、特に当面の物価に大きな影響を与えることはわかっておるわけでございますが、ただでも、御承知のように、も諸物価高騰、いまの田中内閣におきましては最も大きな施策、対策というものは、物価に対することだと、このようなことを常々言っておられるのは御承知のとおりでございますが、そのようなやさきに、実は国鉄運賃を上げるということにつきまして、非常に何といいましょうか、時期が、タイミングが悪い、こう言わざるを得ないわけでございます。  むしろいままで、長年、物価が安定した時期はありません。ずっと毎年毎年五%だとか、あるいは四十五年のように七・何%も上がる、こういうようなことを繰り返してきまして、安定した時期はなかったけれども、少なくとも物価が比較的安定しているような時期におきまして国鉄の運賃を上げるということならば、それほど国民生活に大きな影響を与えないでも済むわけでございましょうけれども、いまのように、ただでさえ火がついている、国民にとって台所に火がついているといってもいいような状況の中におきまして、このような公共料金を上げるということに対しましては、だれが考えても無理だな、やめるべきだな、こう思うわけでございます。  したがいまして、私どもも、この国鉄運賃の値上げということは、先ほども申し上げましたように、いわゆる低所得者にとっても運賃値上げということは相当生活に響くわけでございますが、その上さらに物価の高騰ということになりまして、一般の物価面からも生活を脅かされるということになりますと、これはたいへんな問題でありまして、避けなければならない。私ども国鉄運賃の撤回を終始叫んでいるのも、実はここに原因があるわけでございますが、その意味におきまして、私は国鉄の財政の再建、これはたいへん大切でございまするけれども、これを物価に影響のありまする運賃値上げということでもって解決しようという、いまの再建案には、したがって根本的に反対せざるを得ない、こういう考えを持っておるわけでございます。  そんなことから、私も物価の値上がりの最中にこのような案を出してきたということは、運輸当局あるいは国鉄当局におかれましても、非常にアンラッキーなことだと思っておりますけれども、その意味におきましても、今回の国鉄法案に対しては、もう少しりっぱな再建案を出してほしい。このようにお願いするわけでございます。  さらにもう一、二問続けたいと思いますが、運賃値上げそのものに対しましても、非常に何といいましょうか、理解しにくいことがあるわけでございます。それは貨物運賃と旅客運賃、両方上げることになっておりますけれども、しさいに点検するといいましょうか、ということになりますると、赤字の大部分は貨物だということになります。ということになりますと、国鉄の運賃の値上げにおきまして、貨物と旅客とを両方同じように、ほとんど同じようなアップ率になっていますけれども、このこと自体ちょっと理不尽じゃないかということ、むしろ、貨物運賃のことは一応置いたとしましても、旅客運賃はこれほど上げるべきじゃないんじゃないか。特に利用者という立場、要するに利用者に負担させるだというたてまえからいいますと、利用者にコスト以上のものを無理じいに払わせるということは、私は理不尽だと思います。たとえば新幹線は確かに大きな利潤をあげています。ということは、新幹線の運賃というものはもっと安くてもいいということなんです。それにもかかわらず、今度新幹線の運賃も同じように上げてしまう。ちょっと筋が通らない、納得できない、このように思うわけでございます。  それからまた、貨物の運賃につきましても、やはりいろいろな矛盾があるような気がいたします。これは国鉄総裁にも機会のあるごとに伺ったわけでございますけれども、まだまだ私、国鉄総裁のいままでの御説明では納得いたしかねる面が相当あるわけでございますが、この辺について、いま私が申し上げた点について一応御説明を願いたいと思います。まあ私がこのような非常な矛盾の点を含んでる運賃値上げ、要するに国鉄の赤字をなくするために運賃アップにならざるを得なかったこと、それからまた、その運賃の内部におきましても何といいましょうか、不均衡なといいましょうか、そのようないまの運賃率の値上げの内容というものについて御説明いたしたいと思いますが。
  259. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 今般の再建計画の中で、運賃と政府の援助とそれから国鉄の企業努力、この三つのウエートの問題、これはもうすでに論じ尽くされましたので特に御説明申し上げません。私どもといたしましては、やはり経費をまかなう程度の運賃はいただかなきゃ困るという意味運賃値上げをお願いしてるわけでございます。  次に客貨の問題でございますが、これはもう予算委員会先生に御答弁申し上げましたので、同じことを繰り返すのはたいへん失礼でございますが、私のほうでは、これはもう先生もよく御承知のとおり、結局その旅客、貨物を同じ線路で走らしてるということは、正確な意味における原価計算はできてないということでございます。それを逆に、もしこれを線区別にいたしますれば、これは非常に正確になってまいります。たとえば新幹線、いまお示しの新幹線はこれは非常にもうかっております。しかし在来線は、客貨両方合わせれば非常に損をしてるということになります。ですから線別に、全然共通に使ってないものを単独にそれだけ分けて原価計算することは、これはやさしいことでございます。たとえば北海道の何線はどれだけ赤が出てる、東海道線はどれだけ黒だ、これはわりあいに簡単に出ますけれども、同じ線路の上を旅客と貨物が走ってる、それを旅客が幾ら、貨物が幾らと分けることは、これは原価要素以外にたくさんの要素が入ってくるわけでございます。で、これは大きく分けますと二つございますが、一つは営業方針の問題でございます。これはもういままでもるる御説明申し上げましたが、日本の鉄道はもう百年間ずっと旅客輸送中心の鉄道でございます。これはもう人口配置から申しましてもそうならざるを得ない。ことに最近のように通勤輸送が問題になってきますと、通勤輸送はもう火の粉を振り払うという意味で金をかける、これはやむを得ないことでございます。その意味で、旅客輸送というものは貨物輸送を常に従えて進まなきゃいかぬという意味で、営業方針が旅客優先であるということ。それからその次に、それをかりにおきましても、同じ線路を使う際に、それを客貨に原価に分けるということは、これは非常にむずかしいことでございます。旅客プロパー、貨物プロパーのもの、これはございますけれども、客貨両方で使ってるものをどう分けるかということ、この分け方はいろいろな前提を置かなければできないわけでございまして、現在公にいたしております客貨別の原価計算は、きわめて算術的に一つの、たとえば一キロ走るのにどうだというふうに、きわめて簡単な同じ数字を使ってやってるわけでございます。しかし、ひるがえって考えてみますと、旅客優先の仕事をさしておりますと結局旅客輸送のコストを貨物がしょってると、貨物に負わせざるを得ないということになるわけでございます。すなわち貨物輸送からだけ申しますれば、こんなりっぱな線路は要らない、もっと簡単な線路でいい、あるいは信号設備もこんなりっぱな信号設備要らない。すなわち、いまの日本の鉄道は貨物輸送するには少しぜいたく過ぎる鉄道でございます。それはなぜぜいたくかと申しますと、旅客輸送するためにぜいたくになってるわけでございます。  したがって、貨物輸送の原価の中には旅客がしょわなければならない原価が相当あるわけでございますが、それを計数的にはじくことは非常にむずかしいわけでございます。またそれほどのことをしてもそれほど意味がないということでございますので、結局客貨別の原価というものは、単に部内において、これを時系列的に見て投資をどうするのだ、あるいはどういうふうな営業政策をとるのだという時系列の価値はございますけれども、客貨別に見て、それを運賃に直結さすということではないわけでございます。もしどうしても原価と運賃と直結させるという御意見ならば、それは線区別の原価と線区別の運賃を直結さすこと、これはできます。たとえば新幹線を下げる、これもできます。そのかわり北海道の鉄道はいまの数倍の運賃をいただくということになります。これはやはり全国画一運賃というたてまえからいけばこれはできない。となれば、やはりもうかっている線区のお客さんがもうかってない線区のお客さんの運賃を負担する、こういう部内のシフトがどうしても必要になってくるわけでございます。そういう意味で、もしどうしても原価と運賃と直結させなければできないとすれば、これは線区別の原価ならばできるわけでございまして、現に昭和三十五年にそれをやったことがございます。ごくわずかの線区でございますが、新線開業いたしました際に、その原価を調べまして旅客運賃はたしか五割増、貨物運賃は十割から十五割ぐらい上げた、こういうことを昭和三十五年から六年にかけてやったことがございます。いわゆる線区別運賃を現実に国会の御了承を得て実施いたしたこともございます。そういうことならば、いまでもやれないことはございませんが、これは全国画一運賃というたてまえに非常に反してくるということになりますので、これはとらないということになれば、やはり原価は全体の支出を全体の収入でまかなうという総合原価主義でいかざるを得ないということでございます。これは日本に限らず外国もいずれも同じたてまえでございまして、純粋に旅客だけやっている私鉄のような場合には、これは旅客の原価即旅客運賃になると存じますが、私鉄の際にも、昔、貨物輸送をやっていた私鉄がたくさんございます。その際には貨物輸送の原価と旅客輸送の原価との計算をしないで、貨物は国鉄に右へならえという、きわめて単純な運賃制度をとっておりました。そういう例から申しましても、鉄道で同じ設備を使って汽車を動かしている際に、これを客貨に分けるということは、ほとんど不可能に近いということでございますし、またそれを分けて、それをかりに運賃に直結さすといたしますれば、それは全然ほかの交通機関とのバランスのとれない、きわめて鉄道だけのたてまえからきめた運賃でございまして、これはまた逆に通用しないということになります。かりにこれは独占事業でございますれば、それは一つ考え方かもしれませんが、私のほうはやはり運賃と申しますのは、どうしてもほかの交通機関とのバランスをとらなければ運賃にならないということから申しますれば、鉄道だけの、相当たくさんの前提に基づきました、いわゆる客貨別の原価と運賃とを直結さすことは非常に無理があるということでございますので、その点、前に御説明したことと同じことを申し上げて恐縮でございますが、一応繰り返しになりましたが、御説明を終わります。
  260. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 もう一つは、非常に何といいますか、不均衡の例をもう一回あげたいと思いますが、実はこれは本会議でも私が伺ったんですが、ちょうどそのとき国鉄総裁はおられなかったんですが、一般の荷主と、それから大手の荷主というものの格差、それは格差のあることは私どもわかりますけれども、あまりにもひどい例が相当あるのです。その一例として、私いま申し上げました、本会議で伺ったのは、たとえば東京から仙台に自動車を送ると、この場合に私がかりに送るとすると一台一万七千二百円国鉄に納める。ところが自動車をたくさん頼める立場にいる荷主さんといいましょうか、メーカーといいましょうか、その他ありますが、そういう場合には一台四千七首円程度でもって、すなわち個人といいましょうか、が送る場合、一般の人が送る場合の四分の一という安さでもって送ることができる。これはもう少し格差がなければいいのですけれども、片っ方は四倍もかかるということは、あまりにも不均衡じゃないかと、このようなことを感じまして、実はそのとき御質問をしたのですけれども、これまだ御返事承っておりませんので、この機会にこれにつきましても御返事願いたいと思います。
  261. 原岡幸吉

    説明員(原岡幸吉君) 具体的にただいまの東京から仙台のほうに車を送る場合、大企業の場合と一般の荷主さんが送る場合とは非常に達うじゃないか、こういう問題でございますが、これは大企業といいますか、クの五〇〇〇という特殊な車でございますが、これには車が八台一ぺんに載るわけでございます。この八台の車を一ぺんに送る場合には、その送り主がどなたであろうが、そういう運送サービスには、いまたまたま利用されている運送条件、運賃でもってお引き受けする、こういうことでございます。ただ普通の一般の消費者といいますか、荷主さんといいますか、これが八台一ぺんに送るということはほとんどないわけでございます。しかし、もしそういうことがあれば、同じような条件で、運賃、その他のいま利用されている条件というものを適用いたす、こういうことなんでございます。ちなみに実は昭和四十何年でございましたか、三年間ほど東京と京都の間に、この車ができたてのときに、一般の荷主さんにこれを利用していただくサービスをしたわけでございますが、同じような運賃で、いま実行していると同じような条件で利用するサービスをしたわけでございますけれども、これはあまり利用がなかったので現時点ではやめているわけでございまして、利用される荷主さんが大きいからとか、中くらいであるとか、小さいからとか、そういうことでの差別は全くございません。
  262. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 いまの問題に関連するわけですけれども、貨物が旅客に比べて損失が多い、これはもう私が申し上げるまでもない事実の問題だと思いますが、この場合に、それじゃ貨物運賃だけどんどん上げるということになりますと、結局これは一般の物価の上昇にも影響を及ぼします。その意味におきまして、国鉄当局ではこのような旅客並みの扱いをしているんだと思いまするが、このような場合に、農産物ならばやっぱり農産物の値段が上がることが国民の食生活に影響する、物価が上がるんだということになりますれば、その分は何といいますか、物価対策費というようなもので、国の予算においてカバーしていく、このようなこと。先ほどちょっと触れました身体障害者の問題なんかも運賃割引をする、その分をやはりそのような福祉手当と申しましょうか、社会保障費というようなものからそれを国鉄に対してカバーしていくと、こういうことにしたらば、私はむしろ、より公平になりまするし、またいたずらに貨物運賃の値上げというようなことをしなくても済むんじゃないか、このように思うわけですけれども、きょうはほかの大臣はお見えになっていませんが、経企庁の局長、この件についてどんなようにお考えですか、局長の私見として承りたいと思います。
  263. 小島英敏

    政府委員(小島英敏君) いわゆる福祉的なものの場合とケースが違うと思いますけれども、一般の物資に比べて、特に政策的にある品物について生鮮食料品等割引をするという場合には、おっしゃるようなやり方も一つのやり方ではないかというふうに思います。
  264. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 それから例の経費の中に載っていまする、支出の中に載っていまする市町村納付金というのがございます。これについても、私いまのように国鉄がこれを負担するという理由はあまり合理的じゃないと思います。これも同じような理由でもって国の予算あるいはまた国の予算から地方へ交付金を出して、地方でもってこれを埋め合わせるというようなことが筋だと思いますけれども、これについてどうでしょうか。自治省の方お見えでしたらお考えを承りたいと思います。
  265. 川俣芳郎

    説明員(川俣芳郎君) 国鉄にかかります市町村納付金についてのお尋ねでございますが、市町村納付金は御案内のとおり、昭和三十一年から創設されまして、その創設当時の経緯から見てまいりますと、その本質は固定資産税に相当するものであるというふうに考えておるわけでございます。なお国鉄の公共性にかんがみまして、市町村納付金の額を通常の固定資産税の二分の一といたすことによりまして、その公共性については十分考慮いたしてきておるところでございます。さらに昭和四十四年度の税制改正に際しまして、第三次長期計画によって、国鉄が取得されました固定資産にかかる市町村納付金につきましては、ただいまも申し上げました通常の二分の一とする制度に加えまして、私鉄に対する固定資産税について、現在行なっておりますところの特別措置と同様の措置を講じてまいりまして、大幅な軽減をしておるところでございます。  また国鉄の市町村納付金が納付されております市町村の数は約二千に及びまして、これらの市町村に、かりにこの納付金の制度を廃するというようなことになりますと、市町村の財政に重大な影響を及ぼすということになるわけでございます。まあ以上のようなことから、私どもといたしましては、国鉄の市町村納付金は、他の二公社と同様、やはり市町村に対しまして納付すべきものであると、かように考えておるところでございます。
  266. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 私、いろいろと、長々と質問したわけでございますけれども、私はこの当局がお示しになった長期収支計画、これに基づいての再建計画でございますけれども、ちょうど現行のこの再建計画そのものが、もう三年たたずして改定といいましょうか、新しい再建案をつくらなきゃならぬような事情、またその内容というものを、今度の案も含んでいると、このように思うわけでございます。特に現在のような、非常に経済的にも変動期でございまするので、物価の面からいきましても、また人件費の点からいきましても、いろいろな不確定要素というものをあまりにも含んでいるような気がいたします。そんなことから、私自身、この国鉄再建法案そのものに対しても、いま申し上げましたように、ずっとこれから十年先までも、不動の基本的なりっぱな案であり、国鉄はこれによってりっぱに再建するというふうには考えられませんで、おそらくこの案を、かりに今後実行していくとしましても、おそらく、何といいましょうか、あまり日数のかからないうちに、またもう一度組み直さにゃならぬというようなことが起こるんじゃないかとさえも思うわけでございます。しかも私、この案の中に包含されておりますいろいろな矛盾、特に国民にとっての耐えがたいこと、先ほど触れましたような運賃値上げによりまして国民生活に大きな影響を与えること、それからまた合理化計画の名のもとにおいて多数の国鉄の要員というものが整理されていく、このような多大の犠牲を従業員にも、また国民にも強いるわけでございますから、そのようなことからも、この案に対しては反対でございまするし、またむしろ、もっと、何といいましょうか、国の援助、これを加えたもので、また国民や、いま申し上げましたような一般の国鉄要員に犠牲を強いるような案でない、抜本的な再建策をおつくりになることを要望するわけでございますが、私、この点につきまして大臣の御意見を承って、私の質問を終わらしていただきます。
  267. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 仰せのように、十カ年の先を見まして、非常にこう、経済社会事情の変動の激しいときに、的確に予想できるかという御質問は、前回の委員会でもございました。これはそのとおりだと思いますが、しかし私どもとしましては、相当長期の計画を立てませんと国鉄の再建は不可能でございます。その意味におきまして、急激な国鉄の運賃の引き上げというものは避けなきゃなりませんし、漸次国鉄の力を回復していって、十年先にはここまでいけるだろうという見込みを立てまして今度の案を出したわけでございます。しかも、その中で推計をいたしましたいろいろの数字、これはただこの数字のつじつまを合わせるためにやったものではなくて、やはり現在考え得る最大限の確度を持った数字であると思っております。でございますから、予期しない変動が起こった場合は別でございますが、ただいま予想しておりますような状況のもとにおきましては、この計画を十年間でわれわれの努力によって、また関係者の努力によってなし遂げられるだろうということを期待し、そういうことを確信いたしまして提案をしている次第でございます。とにかくスタートをさしていただきたいと思います。
  268. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 阿部君の質疑は終了いたしました。  六時まで休憩いたします。    午後五時二十分休憩   〔休憩後開会に至らなかった〕