運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1973-07-03 第71回国会 参議院 運輸委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年七月三日(火曜日)   午前十時九分開会     —————————————    委員異動  六月二十九日     辞任         補欠選任      高橋 邦雄君     菅野 儀作君      中村 登美君     岩本 政一君      斎藤 十朗君     渡辺一太郎君  七月三日     辞任         補欠選任      岩本 政一君     高橋雄之助君      橘  直治君     高橋 邦雄君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         長田 裕二君     理 事                 江藤  智君                 木村 睦男君                 山崎 竜男君                 小柳  勇君     委 員                 岡本  悟君                 黒住 忠行君                 菅野 儀作君                 高橋 邦雄君                 高橋雄之助君                 松平 勇雄君                 渡辺一太郎君                 伊部  真君                 杉山善太郎君                 瀬谷 英行君                 森中 守義君                 阿部 憲一君                 三木 忠雄君                 田渕 哲也君                 山田  勇君    国務大臣        運 輸 大 臣  新谷寅三郎君    政府委員        経済企画庁総合        開発局長     下河辺 淳君        運輸大臣官房長  薗村 泰彦君        運輸大臣官房審        議官       原田昇左右君        運輸省海運局長  佐原  亨君        運輸省港湾局長  岡部  保君        運輸省鉄道監督        局長       秋富 公正君        運輸省鉄道監督        局国有鉄道部長  住田 正二君        運輸省自動車局        長        小林 正興君        海上保安庁長官  野村 一彦君        建設政務次官   松野 幸泰君        建設省道路局長  菊池 三男君    事務局側        常任委員会専門        員        池部 幸雄君    説明員        経済企画庁長官        官房参事官    斎藤 誠三君        日本国有鉄道総        裁        磯崎  叡君        日本国有鉄道副        総裁       井上 邦之君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○港湾法等の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進  特別措置法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付)     —————————————
  2. 長田裕二

    委員長長田裕二君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る六月二十九日、高橋邦雄君、中村登美君、  斎藤十朗君が委員辞任され、その補欠として菅野儀作君、岩本政一君、渡辺一太郎君がそれぞれ選任されました。  また、本日、橘直治君が委員辞任され、その補欠として高橋邦雄君が選任されました。     —————————————
  3. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 湾港法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 小柳勇

    小柳勇君 きょうはヘドロ除去の具体的な話と、それからあと港湾法の、この前に質問しました第一条の目的に対するもの、それから第三条の基本方針に関するもの、そのあと十二項目にわたりまして、先般来、修正案提案しておりますから、これを具体的に質問いたします。それで大体きょう質問の最後になろうかと思います。  まず第一は、水俣湾ヘドロ除去の問題でありますが、昨日の各新聞紙に、水銀ヘドロ暫定基準が答申されて、環境庁長官がこれを受けた、そのあと運輸省特に港湾局ヘドロ除去をやらなきゃならぬということが報道されています。それによりますと、水俣湾が百八十ヘクタールのうち六十ヘクタールが除去が必要である。処理の対象のヘドロは約百万立方メーターといわれ、したがって、その処理はたいへんだと思いまするが、具体的に港湾局長から処理方針について説明を求めます。
  5. 岡部保

    政府委員岡部保君) ただいま先生の御質問のございました水俣湾汚泥処理対策考え方について、私どものいままでキャッチいたしております情報をもとにいたしました考え方について、御説明をさせていただきます。  先生おっしゃいましたように、水俣港の、汚泥処理対策については、私ども環境庁と御相談をして、特に熊本県が中心になりまして、実施計画策定をただいま計画中でございます。そこでまず水銀を含む底質のいわゆる除去基準というものが二五PPM以上であるということにきまりましたので、大体この線に沿いまして考えますと、先生のおっしゃいましたように、この濃度以上の汚泥範囲というものは全水俣湾面積百八十ヘクタールのうち約三分の一の六十ヘクタールにのぼるわけでございます。  そこで現在、私どもの出先でございます第四港湾建設局熊本県が具体的な実施計画というものを御相談している最中でございます。ただ、私どもの言えますことは、こういう湾の三分の一にものぼるところが、どうしても除去をしなければならないと申しますか、普通の海底で海水に接しておってはいけないという面積になりますので、したがって、なるべく範囲を広く埋め殺すと申しますか、その外側に護岸を築堤をいたしまして、その中の汚染された場所と、それからそれ以外の場所とを切り離すということをいたしたいと考えております。  そこで、そういうことを考えますと、どうも当初非常に部分的で済むかと思っておりましたが、現在水俣港の港湾施設等もございますものも包含して、まあ埋め殺すと申しますか、遮断してしまわなければならないということもございます。したがって水俣港の港湾施設を、いわゆる代替施設と申しますか、それにかわるべき港湾施設の築造もやはりあわせて計画を立てなければならないという問題がございます。  したがいまして、まずこの問題といたしましては、今後どういう計画で、どういう平面計画にするかということを、ただいま鋭意策定中でございますし、それからもう一つは、この場合の工法をどういうふうにするかという問題が、やはりうっかりいたしますと、二次公害、いわゆる二次汚染の問題の可能性もあるわけでございますので、ただ単に、よごれた海底ヘドロをしゅんせつして埋め殺す場所に捨ててしまうということができるかどうか、そこの辺も、もう少し工法を十分検討させていただきたいと考えております。しかし、いずれにいたしましても、基準環境庁からお示しがありましたので、今年度中には必ずこの着工をいたしまして、少しでも早く不安の問題を片づけたいというふうに、私ども考えておる次第でございます。
  6. 小柳勇

    小柳勇君 まだ具体的な計画が立たぬようですが、今年度計上してありまする国の予算、それからおそらく数十億あるいは百億近い金がかかるかと思うんですが、企業側負担しなきゃならぬ、県ももちろん負担いたしまするが、われわれ新聞見まして数十億の負担チッソができるかどうか、まあチッソだけではありませんでしょう、発生源相当あるようでありまするが、そういう予算的なものについては、どういう見通しですか。
  7. 岡部保

    政府委員岡部保君) 一応四十八年度予算といたしまして、公害対策事業費といたしまして、港湾整備費の中に、全額で八億五千万ほどの国費を確保いたしております。そのうちで、この前も申し上げましたように、四十七年度から継続いたしておりますヘドロ除去事業が六港、それからすでに計画のきまっておりますのが二港、合計八港はすでに具体的な方向に進みつつございますが、水俣港を含めまして四港がまだ計画がはっきりきまっておりません。そこで先生指摘のとおり、いわゆる事業者負担法によりまして、事業者が一体この事業のどのぐらいを持つのかという問題がございます。これにはまず実施計画をつくりまして、全体事業どのくらいかかる、四十八年度中にはこのくらいの仕事ができる、その場合に、そのうちのどれだけを事業者負担するかという問題が出まして、それの残りを県と国とで半々に持つというのが一つルールでございます。  したがって、そこの辺の予算措置は一応保留いたしておりますもので、十分今年度中のはカバーできると思います。むしろ予算措置としての問題は来年度以降になるかと存じますが、いずれにいたしましても、まず実施計画をきめまして、どのくらいの金がかかるというのをきめて、そのうちで事業者負担がどのくらいあるかというのをきめましたところで、直ちに予算措置に移るという考え方でございます。
  8. 小柳勇

    小柳勇君 まだ具体的には何にもきまってないようですから大臣質問いたします。  けさも、実は有明海沿岸の四県の漁業連合会の役員百数十名集まりまして陳情がありました。深刻な問題、これは九州だけじゃないと思います。全国的にたいへんな問題です。したがって期間的にも時期的に早急にやらなきゃならない。しかもばく大な費用がかかるでしょう。計画的にもいま局長から話がありましたが、二次汚染あるいは三次汚染などの心配もありましょうから、国として相当しっかりした計画を持って、決意を持ってやらなきゃできぬのじゃないかと思うんですが、漁業関係者だけじゃありません、国民全体が非常な心配をしている問題でありますから、完全にしかも早急に発生源を絶つという対策を立てなければならぬ。しかも現在の汚染源は完全に除去するという体制をとってもらいたい。これに対する大臣決意をお伺いしておきたい。
  9. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 運輸省の固有の仕事としては、いま政府委員から御説明をしたとおりでございます。私ども法律できめられたところによりまして、この汚染せられた汚泥を取り除くということが本来の仕事でございますが、関連するところは多いと思います。でありますから、実はきょうも閣議の後に公害関係閣僚協議会がございまして、そこでは新聞等で一部発表されておりますが、環境庁中心になりまして、いままで一応の基準をきめておりましたものを、もう一ぺん見直そうというもの、それから新しく指定をするもの等を含めまして、全国的に相当広範囲にわたってあらためて調査をして、そして対策を至急に講じようというかまえ方でございます。おっしゃったような、漁業協同組合に対する関係でありますとか、あるいは一時非常に被害を叫ばれておりました関連の事業の救済の問題とか、これはそれぞれに農林省その他関係省庁におきまして、当面の対策を講じておるわけでございます。しかし、こういうふうな不安な状態を一刻も早く解消するということは当然のことでございます。そういう意味におきまして、私も関係閣僚の一人といたしまして、この関係省庁に対しまして、われわれの知ってる範囲で実情を十分御説明すると同時に、具体的なそれに対する対策を早く立ててもらうようにということを要望しておるわけであります。これからもそういう方向努力をいたします。
  10. 小柳勇

    小柳勇君 これは単に運輸省だけではとてもできる相談じゃないと思いますから、これだけ騒がれた問題でありますから、政府として、国として、一日も早く具体的な対策が樹立されることを期待いたします。  そこで、港を幾らきれいにいたしましても、河川から水銀その他汚染源となるものが流れてまいりましては、港湾管理者としてはどうしようもないことです。そこで私の修正案の中にも第三十八条の三として一条入れてくれという提案をいたしておきました。「港湾管理者公害の発生する河川管理者に対して、その規制について発言する権利を有する。」、河川管理者がおりまして、その河川管理者に港に公害を流さぬようにしてくださいと港湾管理者が発言しなきゃならない、それだけの権利がこの改正案にないわけです。したがって、三十八条に一項入れてくれないかという提案をいたしておりますが、これは他の委員も再三発言があったようです。私は具体的にこの修正提案をいたしましたが、これはどうでしょう。まず港湾局長から聞きまして、あと大臣から決意を聞きます。
  11. 岡部保

    政府委員岡部保君) すでにこの委員会でもいろいろ御審議いただいた点でございますけれども、ただいまの先生の御意見河川からの汚染水港湾内への流入を防止するために何らか河川管理者港湾管理者が要請するという権能を与えるべきではないかという御意見だと存じます。その御意見について、私ども何ら反対をするものではございません。ただ私ども考え方、この法律に載せなかった考え方を事務的にいろいろないままでのいきさつがございました。その点について、率直に言わせていただきますと、やはり港湾管理者河川管理者、これは決して対立すると申しますか、そういうような関係ではなかろう。そこで、まあたとえば同じ知事でありながら河川を管理し、ある意味では港湾を管理するというような立場の例が非常に多いわけでございますし、そういうような考え方から、当然相互に密接な関係のもとに相互協力して従来も行政事務を進めてきたというような考え方から、特にここで条文として載せるという必要はないのではなかろうかという考え方に立ちまして、先生の御指摘の点の条文は、特にここに載せておらないわけでございます。  ただ先生のおっしゃいます、何と申しますか、御意見の内容については、私ども当然のことでございますので、これは河川を管理します、あるいは監督いたします建設省と私ども絶えずいろいろな意味で接触をいたしております。今後ともそういうような考え方で進むつもりでおります。
  12. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 御趣旨は私も決して反対ではないんですが、事務的に言いますと、いま局長の言ったとおりでございます。私が言うまでもありませんが、港湾をよごしている原因ですね、考えますといろいろあると思います。われわれの直接の問題としては、海洋からの船が中心でございますが、それによる油の汚染、これも一つ。それからいま問題に言われておりますような工場排水、これも大きな原因。それから、大体大きな港は都市にありますから、都市における下水その他の都市排水がございますね、これもやっぱりたまると相当な大きな汚染原因になると思います。それから御指摘になった上流が、これは限りなく広いところから流れてくるわけですけれども、遠いところから流れてくるわけですが、河川による汚水の流入、そういったのが競合しまして港湾における汚泥原因をなしておると思うのです。  これは関係各省にまたがっておりますから、それを一本にまとめなきゃ仕事ができないんだということでは私はないと思います。関係各省の協力が十分であれば、関係各省権限が分属されておりましても、これは効果があがる方法はあると思います。でございますから、河川からの問題を取り上げますと、これは建設省も全然無関心ではない。農薬その他が非常に流れてきておるということは事実でございますから、建設省もそれに応じて河川の水質を調べて原因除去努力をしております。また港湾を実際現実に管理しておる府県知事、これは両方持っておるわけです。でございますから、知事権限範囲内におきましては両方とも持っておるわけですから、それは知事に対しまして、われわれも今後、もう少し積極的な指導をして、具体的な各港湾における知事の港をきれいにするための権限をもう少し積極的に発揮してもらいたい。これらについては、関係各省庁及び港湾管理者である府県知事あるいは市長等も含めまして、お互いに連絡を緊密にしてやるのが非常に効果的じゃないかと思っておるわけでございます。     —————————————
  13. 長田裕二

    委員長長田裕二君) この際、委員異動について御報告いたします。  岩本政一君が委員辞任され、その補欠として高橋雄之助が選任されました。     —————————————
  14. 小柳勇

    小柳勇君 たとえば水俣湾、まあ水俣湾は直接海に工場から出ていますけれども大牟田湾などというのは、水銀汚染は川から流れているわけです。そうして大牟田港をよごしているわけです。いまおっしゃいました、たとえば地元の県知事がやっているじゃないかという例と合わないところもございます。そういう心配で、これは衆議院でも相当論議されたようでありますが、修正案については採用がないようでありますから、いま大臣局長が言われたような方向できびしく行政指導されることを希望いたします。  次の問題は、先般質問いたしました港湾法の第一条の目的について修正案を出しました。この修正案につきましても、先般の答弁では修正する意思はないようでありますが、重ねて注文しておきたいのは、終戦後地方分権することが港の民主化だということで、進駐軍から日本に港が返ってきた。そうして港湾管理者あるいは港務局というものが設置された。それが旧法。それがいま二十数年にして、運輸省中心になってこれから港湾計画をやる方向に転換される、あまりにも変化が大きいから、できれば中間的な性格のものにしておいたほうがいいんじゃないかと、私はそう提案して修正意見を出しているわけです。しかし、この修正意見についてはどうも採用されないようでありますが、もう一回、きょうは最終の場面でありますから、聞いておきたいんです。  それは、港湾管理者の現在持っておるような権限が、今回の法改正によりまして著しく権利を侵害されることがあるのかないのか、そのことをもう一回確認して、私はこの第一条に港湾管理者という文句を入れておいてくれと、運輸大臣がやるんじゃなくて、港湾管理者協議するとか、あるいは港湾管理者によるとか、そういう文言を入れておいてもらいたいと、こういう注文をつけておるわけです。この点についての答弁を求めます。
  15. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 再々御答弁を申し上げているとおりなんですが、繰り返しますが、結論としては、港湾管理者権限を縮小をしようとか、あるいはそれを中央にまとめようとかという考え方は毛頭ございませんから、御安心をいただきたい。これは法律的に申しましても、御説明するまでもなくおわかりだと思いますけど、現行法のこの四十八条、こういう非常に何といいますか、古い形の法律運輸大臣にすべての権限を集中しまして、その自由裁量でもって何もかもきめてしまって、計画をきめて、それで港湾管理者が出してきた計画に対して変更を求める、こういうやり方は、私はそれこそ、こういう現行こそ時代にそぐわないと思うのです。今度の改正機会に、そういったところを民主的な形に整理をして、こういうルールでもって港湾計画をきめ、その範囲において運輸大臣はこういうことをやりますと、それで港湾管理者はこういうことはやってほしいということを、ルールをきめているのが今度の改正案でございます。三条以下に書いてございます。  そういうことですから、港湾管理者という字が一条から消えたからといって、そのために港湾管理者権限が非常に縮小されたとか、縮小されるかもしれないとか、あるいは中央集権になるのじゃないかという御懸念は全く御無用に願いたいと思います。法律運用に当たりましても、そういうことは絶対にいたしませんから、これは速記録にはっきりとどめておきまして、主管大臣としての解釈を、方針を明らかにしておきますから、その点も御安心をいただきたい。
  16. 小柳勇

    小柳勇君 それはあとで、また附帯決議などで、その大臣のことばをちゃんと残すように附帯決議などでひとつ考えてもらいましょう。  第二の大きな問題——さっきのが目的が第一。あともう一つ大きな問題は、現在の港湾法では重要港湾港湾計画港湾管理者が発案して、国と調整するたてまえになっておる。今回の改正は、まず運輸大臣基本方針を定めて、これに適合しない港湾計画はこれを変更することを求めることができるようになっておる。相当変更である。基本方針というのは、まず地域性を前提としたものでなければならぬのではないか。もちろんそれは中央からも見ていますから、わかりますが、中央から見る地域というものよりも、地域に実際に住んでいる人、地域で貿易したいような人あるいは港を利用したいような人の意向というものが尊重されなきゃならぬ。  で、そういう場面からいいますというと、改正案では港湾管理者意見具申機会を与えるだけで、港湾管理者自主性尊重というものが非常に欠けておるのではないか、そういう心配があるわけです。したがって、もう少し、港湾管理者協議するぐらいの思想がなければならぬのではないか。それが私は、この前も言いました、けさ冒頭にも言いましたように、あまりに変化がひどくはないか、この中間ぐらいの法改正が望ましいというところです。  この運輸省運輸大臣港湾管理者と、こう上下関係に置かないで、横の関係、あるいはもう少し、何というのか、横の関係ぐらいに置いたらどうか。いままでのやつは港湾管理者が発案して運輸大臣相談しておった。これは上下関係としましょうか、それを並行ぐらいの関係に置いたらどうか。これに対する今後の行政的な考え方、これまず局長大臣から聞いておきたい。
  17. 岡部保

    政府委員岡部保君) この点につきましても、先生のおっしゃることもよくわかりますので、私どももこの改正案をつくります際に、いろいろと考えたわけでございます。ただ、いわゆる立法技術的に申しまして、たいへん口はばったい言い方かもしれませんけれども先生のお考えと同じような考え方には立ちましたが、現実の問題としては、港湾管理者協議をするということにいたしますと、どうもこの基本方針というものが成り立たなくなるのではなかろうかという問題が出たわけでございます。と申しますのは、御承知のように、港湾管理者、全国で約千ほどの港湾があるわけでございますから、それに一港に一つずつの港湾管理者というのがございます。もちろん同じ県が、その県内の港湾の大半の管理者になっておるというようなことで、延べで申しますればもう少し数は少なくなりますけれども、いずれにいたしましても、現実協議を法定されますと、運輸大臣としてこれを定めるときに、各港湾管理者協議をしなければならないという問題が出てまいります。したがって現実にそれの協議が成立しなければこの基本方針が成り立たないというような問題点がございまして、現実の問題としてはちょっと無理ではなかろうかということで、もうなるべく皆さん方港湾管理者の御意思は伺うということに、実際には運用をしていくつもりでございますけれども、法文上はどうも、意見を、港湾管理者運輸大臣に対して意見を申し出ることができるのだというような条文にとどめざるを得なかったという点、御了解をいただきたいと存じます。
  18. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 別に、いま政府委員から御説明をさした以外に他意はないのですが、御承知のように、法律上の権限とかなんとかいう四角ばった問題じゃなしに、港湾計画をし、それでその施設の充実をしていくという場合に、今日まで運輸省港湾管理者、したがって各地のそういう担当者との間はそんなに対立したり、それからお互い意見が違って、どうしても動きがとれぬというような問題はきわめて少ない。もうないと言ってもいいんじゃないでしょうか。これは港湾管理者のほうも、あらゆる点から運輸省港湾局意見を求め、どうしたらいいでしょうかというので、絶えず相談をいたしまして、その上で港湾計画をつくり上げるというのが通例でございます。  われわれのほうも、これは法律には書いてありませんけれども、そういった問題に対しましては非常に積極的に、全国的な視野から、あなたの港湾はこうあってほしいと意見も述べるし、その場合に、現地の事情も十分聞いて、それならばこうしたらどうですかというので、中に入ってほんとうにはだ触れ合って協議をしながら、今日まで港湾の設備を充実してきたというのが実態でございます。  で、こういう行政運用でまいりますから、形の上で意見を聞くとか、あるいは協議をする。協議となりますと、いま局長が言いましたように、承知しないと動きがとれない。全国千にもわたる港湾管理者一々全部が一緒になって、全部全会一致なんということは、なかなかこれは望めないかもしれません。だから、その根回しはちゃんといたします。いたしますが、いま言ったような状態でございますから、意見は十分述べてもらいます。しかし全体的な計画を立てる場合に、一々の港湾管理者一つに集まって、そうして、これでけっこうでございます、これでやりましょう、こういう形の協議というようなものについては、これは手続上実行することが非常に困難であるというようなことを考えまして、こういう立法技術を採用したわけでございまして、あなたのおっしゃった趣旨をこれは決してないがしろにしているわけじゃないのですが、こういう具体的な行政運用の必要からこういうことになったというように御了解いただきたいと思います。
  19. 小柳勇

    小柳勇君 もう一つの問題は、第三条の二にも港湾審議会を重視してあります。で、けさの新聞にも出ておりましたけれども、各省に審議会たくさんありますけれども、私どもこの審議会というものに、若干最近疑問を持っているわけです。いわゆる言うならば隠れみのといいましょうか、まず各省で一応案を持っておって、これを審議会に持っていって、各省できめたものをちゃんと審議会にかけるような仕組みになって、そうして審議会がきめましたというような、そういうふうな審議会を、悪いことばで言いますと隠れみのに使うという面が多々あったものですから、今回、中央港湾審議会あるいは地方港湾審議会というものが重視される方向にあります。まあ、いま政党政治でして革新首長もたくさんいますね。そういうものの将来のあり方を考えてみまして、もう少し、港湾審議会にもちろん諮問する必要ありますけれども港湾審議会以上に港湾管理者というものを重視して、港湾管理者のところには港湾議員もいます。県会議員や市会議員がちゃんと民主的に討議していますから、そういう意見を参酌しながら港湾管理者港湾管理しています。だからこの港湾審議会を重視するような法改正に私どもは実は不満を持っているわけです。もっと港湾管理者を重視した港湾計画あるいは基本方針に、若干ズレましても、これは意見を十分取り入れるようなことにしなきゃならぬ。  もう時間も少ないようですから、こちらから言いますというと、たとえば基本計画基本方針にマッチしないような港湾計画者の計画については国が金は出さぬのでしょう。そこまでの制限があるんですから、もう少し法的に港湾管理者を重視して港湾計画をやる方向に持っていかなきゃならぬ、法の運営を。私の修正案をとればいいけれどもとらないでしょう、もうこの段階になりましたから。したがって将来の行政指導としては、そうしなきゃならぬと思うが、この点についても意見を聞いておきたい。
  20. 岡部保

    政府委員岡部保君) 私も先生意見に全く賛成でございます。私どもこれからこの法改正をお認めいただきまして、これを運用していく際に、ほんとうに港湾管理者意見というものを十分尊重していくということで行政指導をしていき、あるいは個々の行政行為を実施していくつもりでございます。
  21. 小柳勇

    小柳勇君 次は、基本方針ですけれども、要綱案を出してもらったら何のことかちっともわからぬのですよ、これは。どういうことを言わんとするのか、もっと私は具体的に、われわれが見てもすぐわかるようなものかと思ったら、全然もうこれは何のことかわからぬ、雲をつかむような話ですけれども、これちょっと説明してください。
  22. 岡部保

    政府委員岡部保君) どうも細部のものまでまだなかなかできておりませんので、要綱案を御配付申し上げたわけでございますけれども、まず第一の「「港湾の開発、利用および保全に関する事項」として」どういうことを考えておるんだということでございますが、これは全国的に一つの基本的な考え方として港湾を今後開発し、利用し、保全していくという際に、どういう点について基本的な考え方として持つべきかというような、いささか抽象的なものでございますが、ここに項目を定めるということで、それの例として1から8まであげておりますが、たとえば環境の重視でございますとか、安全問題の重視でございますとか、地域住民の意向の尊重でございますとか、あるいは非常に地方の、むしろ過疎的な地域あるいはそういう地方の整備水準というものをシビルミニマム的に考えて、最低限を考えなきゃいかぬぞというような、こういう非常に抽象的で恐縮でございますが、基本的な考え方というものを示しまして、これに基づいて、ひとつ港湾計画を考えてくださいというのが第一点でございます。  次に、第二の「「港湾の配置機能および能力に関する基本的事項」として」、これは若干具体的と申しますか、それぞれの地方の考え方等々について、もう少し具体性を持たせた基本的な考え方をここに示そうということで、まず港湾の規模をそれぞれの管理者がおきめになるにあたっては、全国の開発規模に関する長期的見通し、あるいは地域ブロック別の開発規模に関する長期的見通し、こういうものが、たとえば全国の国土総合開発計画というようなものであったり、あるいは地域ブロックの首都圏整備計画でありましたり、そういうようないろいろの計画がございますが、そういうもので一つの見通しをまずベースになすったらいかがでしょうか。その次に、港湾計画策定にあたって、やはり港湾の機能分類というものでものごとを考えなければいかぬ、どういう機能分類に考えたらどうでしょうかと。それから第三番目に、ここでは基本的な性格づけの決定にあたって考慮すべき、いわゆる何と申しますか、この港湾の基本的な性格づけというものをどういうふうに考えるべきか、そのときの基本的な事項あるいは港湾の配置決定にあたって、この機能別のそれぞれの基本的な事項というものをここであらわすということでございまして、まあ一番にいたしましても第二項目にいたしましても、元来いわゆる基本方針でございますから、比較的抽象的なものになるのは、これはやむを得ないと思いますが、こういうような一つのベースになった考え方から、こういうそれぞれの港の計画を立てていただきたいということをここで示そう。  それから三番目の「「開発保全航路の配置その他開発に関する基本的事項」」という、これだけはちょっと性格が違うと存じます。と申しますのは、こういう基本方針をつくるのが運輸大臣であり、やはり実際の開発保全航路の具体的な整備計画なり開発保全の計画というものがやはり運輸大臣が実際に固めていくという点でございますのでで、その点が若干違いますが、いずれにいたしましても、この開発保全航路の、開発保全する必要のある航路の指定を、どこの航路を指定するかというような考え方方向。それから開発保全すべき航路の整備及び維持の目標、これをここで明らかにしていこう、そういうことによりまして、次に具体的な開発保全航路の整備計画というものが立てられるというような意味で、ここで基本的な方針というものを考えておる次第でございます。  したがって、どうもこれは御説明申し上げてもあまりおわかりにくいような説明で恐縮でございますけれども、一応そういう考え方であるという点で御了解いただきたいと思います。
  23. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 ちょっと関連。  この一項の「港湾の開発、利用および」云々というカッコにとじられておりますが、この利用というものについて、もちろん当然意図的には利用の対象になるのは船主であり荷主であるということと、かてて加えて御承知のように、去る六月の六日にジュネーブで港湾荷役のいわゆる近代化ということが条約案として、とにかく勧告案であろうと条約案であろうと、そういう方向に動いているわけでありますので、したがって港湾のあり方というものを考えてみるというと、船主あり荷主あり、そしてこれを十分海陸の接点で結合する一つ港湾荷役作業を請け負う一つの港運業者もある、これに対する従業労働者というものもある、港湾労働者というものもある、そして港湾管理者というものもあると、これが近代化の路線に沿うて、そしてやはり管理運営されるということがやはり条約の精神にも合致してくるんだと、そういうような点を含んで、この基本方針でありますから、具体的には「「港湾の開発、利用および保全に関する事項」」というものについても、これは今後の問題だということでありますが、これを起案されて、方針案として本委員会に提起されるその背景については、いま申し上げて私がお尋ねしておるようなことも含まれておるというふうに理解をしてよろしいかどうか、それについてお答えいただきたいと思います。
  24. 岡部保

    政府委員岡部保君) ただいまの先生のおことばの、いわゆる港湾の利用という面を、そういうふうに広く考えるべきであるかどうかという点について、私ども何と申しますか、全体の姿としては当然そういうふうに考えております。  ただ具体的な問題といたしましては、たとえばいまお話のございました、いわゆる港湾荷役のための港湾労働者の考え方あるいはこれからの進み方等、それをまた含めた港湾運送事業界のこれからの進み方等々の問題がございます。これにつきましては、たとえば港湾運送事業法あるいは港湾労働法等それぞれのまた分野の、直接の法体系があるわけでございます。したがって、ここで申しますのは、もう先生のおっしゃるとおり、そういうものまで背景として考えて、しかも港湾のむしろ管理者の立場でこれをどういうふうに見ていくかというような点が主体になるというふうに私どもは理解をいたしております。
  25. 小柳勇

    小柳勇君 この基本計画は、だれと相談してつくったんですか。
  26. 岡部保

    政府委員岡部保君) この基本方針の、いわゆるお配り申し上げました要綱案でございますが、これは私ども事務局でいま考えておるものでございます。したがって、これがこういう筋書きで考えたいということで、今度これをほんとうに肉をつけまして、それできめようというときには、この法定されておりますような、いろいろな手続を経ていくわけでございます。その間で、先ほど先生のおっしゃいました、たとえば港湾管理者考え方等々も十分いれていくつもりでおります。
  27. 小柳勇

    小柳勇君 これ、法律改正しますと、さっそく生きてまいりますが、もう少し具体的に、この基本方針がきまっていく過程を説明してください。
  28. 岡部保

    政府委員岡部保君) まず法律改正が成立いたしますれば、私どもこの基本方針の案というものを、一応事務当局、いわゆる運輸省の原案といたしまして、これをもう少し肉づけいたしましたものをつくっていくわけでございます。そこで、これをつくりますにあたりまして、まず関係各省庁に協議をいたします。これは当然のことでございまして、この法定もされておりますが、関係の行政機関の長に協議をする。それからいわゆる中央にございます港湾審議会の意見を聞くわけでございます。諮問をいたすことでございます。それから、もちろんそれと並行いたしまして、むしろそれに先立つような形で、あるいは各行政機関と相談をするというような段階と並行いたしまして、各港湾管理者、特におも立った重要港湾港湾管理者等には相談をいたします。それから現実港湾管理者の御意見があれば伺うということで、これは港湾管理者会議のようなものを開きまして、周知徹底して御意見を承るという機会をつくるつもりでございます。  そういうような具体的な手続を経まして、大体これでよかろうというものができましたときに、初めて運輸大臣としてこれを決定するというような手続に相なるかと存じます。
  29. 小柳勇

    小柳勇君 それは期間的にどれくらいかかるのか、最後の形はどういう形になるのか、説明を求めます。
  30. 岡部保

    政府委員岡部保君) これは最終的にまとまるというためには、約六ヵ月ぐらいかかるであろうという考え方をただいま私ども事務当局としては持っております。
  31. 小柳勇

    小柳勇君 最後の形はこれはどんな形になりますか。
  32. 岡部保

    政府委員岡部保君) これは、いわゆる運輸大臣が決定いたしまして公表するわけでございますので、運輸大臣の告示という姿でこれをあらわすということにいたす予定でございます。
  33. 小柳勇

    小柳勇君 そうしますと、その告示にマッチしないような港湾管理者港湾計画については、国の財政援助なんかしないんでしょう。
  34. 岡部保

    政府委員岡部保君) 厳密に申せばそのとおりだと存じます。ただ具体的には、先ほども大臣が申しましたけれども港湾計画をつくるときに、実際に、たとえば基本方針に相反するような港湾計画というのが最後まで、何と申しますか、運輸大臣のこの考え方港湾管理者計画を立てるという方針とが、具体的に最後まで相反するというケースは、従来の考え方——もちろんこういう基本方針というはっきりしたものはございませんが、従来の経験からいたしますれば、まずないのではなかろうかというふうに私どもは考えております。
  35. 小柳勇

    小柳勇君 現在、港湾管理者から港湾計画が出されておるもの、審査中のものなどありますか、ありませんか。
  36. 岡部保

    政府委員岡部保君) 現段階で、たとえば先日、新聞紙に若干記載がございましたが、いわゆる苫小牧の東港、いわゆる大規模工業基地の一つのあらわれの港湾計画だといわれておりますけれども、このような港の計画につきましては、港湾管理者考え方が固まりかけておりまして、事前に関係の各省との話し合い、たとえば環境問題での環境庁との話し合いもだいぶまとまりかけておりましたが、最終的に港湾管理者として、地元の意思というもので決断を下すというところまでいかないということで、現段階で、まだ港湾審議会に付議するという段階に至っておらないで、ちょっとただいまペンディングになっている例がございます。そういうように、現在計画をいたしております、そして近い将来に中央港湾審議会にかけてオーソライズしたいという計画を持っておられる港はいろいろございます。
  37. 小柳勇

    小柳勇君 現在進行中の港湾計画がありますね、そういうものは、次は、これは法律適用はどういうふうになっていきますか。
  38. 岡部保

    政府委員岡部保君) この法律が公布になりますと、一年以内にこのような条文の適用が発効するということを定めておるわけでございますが、先ほど申しましたように、私どもとしては、約六ヵ月程度でこれを適用する、新しい法体系で処理をしていくという考え方でただいま準備をしておる最中でございます。
  39. 小柳勇

    小柳勇君 もう少しその点聞きたいが、時間も急ぎますし重要な問題もありますから、次の問題に入ります。  いま申し上げましたような港湾計画が、昭和四十八年度に全国でどのくらいありまして、国の予算港湾管理者負担及び企業負担の問題について説明を求めます。
  40. 岡部保

    政府委員岡部保君) ただいまの先生の御質問、いわゆる四十八年度の予算の一応予算措置をしてあって、しかもまだ計画が、そういうような問題で、先ほど申しましたたとえば苫小牧東港のようなのがどういうふうにあるかという点につきましては、大口で、非常に大きな計画でそういう形態をとっているのは、大体苫小牧東港くらいでございます。あと、個々の地方港湾でわりに計画の規模の小さなものでは数港程度これから計画を詰めるという段階のがございます。  それから今年度の予算のいわゆる費用の内訳でございますが、四十八年度の港湾整備事業いわゆる公共事業の規模といたしまして、事業費が約二千八百六億円でございます。この二千八百六億円の内訳で、国費と港湾管理者負担金と、それから受益者負担金がどうなっておるかという点について申し上げますと、国費が二千八百六億円のうち千四百二十六億円、シェアで申しますれば約五一%でございます。それから港湾管理者負担金が九百九十四億円でございまして、三五%に当たります。それから受益者負担金、これはいわゆる民間企業の負担する金でございますが、こういう受益者負担金等が三百八十六億円、これは一四%という割合になっております。  なお、念のために申し上げますと、この国費と申しますものの中には、たとえば外貿埠頭公団に対する国の出資金でありますとか、あるいは埠頭整備資金の貸し付け事業というのは無利子貸し付けをやっておりますが、コンテナの会社に対して一〇%あるいはフェリーに対して二〇%というような貸し付け金がございますが、こういうものを含んで国費と考えております。  それから先ほど申しました受益者負担金という中では、いわゆる特定港湾施設工事あるいは産業関連事業等の、あるいは公害防止対策事業等で、いわゆる企業の負担するほか、公団事業では、いわゆる財政投融資あるいは民間資金を借り入れて実施をいたしております。そういうものもこれに含めて、いま申し上げた次第でございます。
  41. 小柳勇

    小柳勇君 先を急ぎますが、もうちょっと具体的に質問いたします。  鹿島港の建設、それから苫小牧東港の建設及び新潟東港の建設、この三港に限りまして、予算規模とその負担率、それを説明してください。
  42. 岡部保

    政府委員岡部保君) まず鹿島港でございますが、昭和三十六年度から四十八年度に至ります実施額、これを申し上げますと、現在まで公共事業として総額が約六百二十二億円の事業を実施いたしておるところでございます。このうち国費は二百八億円で全事業費の三三%ちょうど三分の一に当たります。それから港湾管理者負担分は百九十六億円で全体の三二%、約三分の一でございます。それから受益者負担金が二百十八億円で三五%、このように大体国と港湾管理者と受益者とが三分の一ずつ持っておるというのが実情でございます。  それから新潟東港について申し上げますと、これは三十八年度から四十八年度までの実施をいたしました事業についてでございますが、総事業費でいままで従来実施いたしましたのが百八十二億でございます。このうち国費が九十七億円で、全事業費の五三%を占めます。それから港湾管理者負担分は八十三億円で全体の四六%を占めております。受益者負担金はわずかに二億円でございまして一%という割合でございます。  それから苫小牧の東港につきましては、先ほども申し上げましたように、現在まだ港湾計画が正式にきまっておりません。したがって予算は一応準備しておりますけれども現実には着工いたしておりませんので、その点、ひとついままで申し上げました二港で御了解いただきたいと思います。
  43. 小柳勇

    小柳勇君 この新潟東港の、もらいました統計によりますと、三十八年から四十五年までの実績が二百二十二億円になっていますね。いま御説明は三十八年から四十八年で百八十二億、まあ四十億以上違いますが、どうですか。
  44. 岡部保

    政府委員岡部保君) ちょっとただいま、私どもの手元にございます資料と先生のお持ちの資料と食い違いがございますので、これは早急に調べまして、後刻御説明申し上げます。
  45. 小柳勇

    小柳勇君 いまのところは数字が合いませんから、これからでいいわけですが、全般的な港湾計画の中で、国と港湾管理者と企業が持ちまして、全般的なものを言いますというと約八六%が公費です、公の費用です。そして企業負担はわずかに一四%ですね、全体の。そして利用するほうは大企業が専用バースとして使っている。これはこの前、伊部委員からもきびしく追及がありました。したがって、もう一つ具体的に説明を求めますと、鹿島、新潟東港の二つでいいです、鹿島港と新潟東港二つで、企業バースと公共バースとの比率を説明を求めます。水際線における利用比率、これを説明してください。
  46. 岡部保

    政府委員岡部保君) ただいまの御質問、鹿島港につきまして申し上げますと、これはいままでにでき上がっておりますものも、それから今後つくるという予定のものも若干触れておいたほうがいいと存じます。現在港湾計画として持っておりますものについて、水際線の延長が鹿島港では約二十・五キロメートルでございます。このうち公共の水際線の延長は約四・九キロメートル、占用水際線延長は約十五・七キロメートルでございます。したがって全延長に占める割合は、公共の水際線、公共の埠頭というのは約四分の一、二十三・六%でございます。それに比して、民間の占用水際線は七六・四%となります。また新潟港の東港地区において、これは港湾計画におきまして、水際線延長は約十八・七キロメートルでございまして、このうち公共水際線の延長は約九・一キロメートル、占用水際線の延長は約九・五キロメートルでございます。したがって全延長に占める割合は約半々、公共的な水際線が四九%、占用水際は五一%という比率でございます。
  47. 小柳勇

    小柳勇君 大臣、いまの説明によりまして、この点を強く私はいま言いたいし、また大臣の見解を聞きたいのですが、国とそれから県などが出しました金が、たとえば新潟にいたしますと九九%です。で、企業負担は一%ですね。にもかかわりませず、この水際線のバースの利用は新潟の場合は幸い半々です。ところが鹿島港に至りますると、専用バースのほうが七六・四%で、公共バースは二三・六%、費用は六五%を国と県が持っている、企業のほうは三割しか持っていない、このように国や県の税金をうんと使って先行投資いたします。そして使うのは民間会社です。専用バースです。私ども視察いたしまして、この港——非常に日本港湾技術がりっぱだということは感嘆をいたしました。陸地を掘り割っていくんです、新しい港につくるわけですから、しかも水深十メーターから十一メーターぐらいの港をつくる、その港湾技術に対しては敬意を表しまするが、それに国が先行投資をいたします。それで使うのは民間企業の専用バースです。そのような姿をわれわれが見て、そのあり方ですね、その港湾計画のあり方について非常に問題を持ちます。  先日、問題にいたしました公有水面を埋め立てして港をつくる、その場合も同じことが言えますね。国民の水面である、それを埋め立てて、そして金を持っている企業が金を出しますと、それはほとんど永久に自分の土地になる。そしてそこの中に港湾計画をやっていくというようなあり方について、どうお考えですか。もういま資本主義社会ですから、やむを得ぬとお答えになるのか、この地域住民として、私は新潟、富山を見てきましたが、地域住民ととしてどのような感慨であろうかとしみじみ思いました。先般、伊部委員とその問題を鋭く追及いたしましたね、むつの問題で。そういう問題をそのままでいいのかどうか、港湾計画。国や県の金をうんと使って、七割も八割も使って、しかも実際公共バースとして使うのはわずかに一割か二割、多くて三割ではないか。そのような港湾計画のあり方でいいか悪いか、この点について、大臣の見解を聞いておきます。
  48. 岡部保

    政府委員岡部保君) ちょっと私どもの御説明で誤解をしていただくと困りますので、その点だけ追加して補足説明をさせていただきます。  ただいまの鹿島港のたとえば三分の一、三分の一、三分の一、いわゆる公的な資金が三分の二で、民間企業が三分の一の投資であるという問題ございましたが、これにつきましては、いわゆる民間の会社が岸壁をつくる、係留施設をつくるという施設の建設費あるいはこの岸壁のすぐ前、約五十メーターといたしておりますが、五十メーター区間のしゅんせつの費用、これは一切会社に持たせております。したがって、それが、ただいま公共事業ベースで申しましたので、ただいま資料持っておりませんけれども、そういう点では、もう少し民間の資金のシェアがふえるということだけ、先ほどの説明とちょっと食い違いますので、訂正させていただきます。
  49. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 結果的に見て、小柳先生の言われるような、そういう港が若干ありますから、これについて将来十分配慮をしたらどうだということについては、私もそう思います。  ただ港湾計画は、こういうのをつくりますときに、御承知のように、これは運輸省でつくって押しつけているわけじゃないんです。民間からつくってそれを押しつけてきているわけじゃない。いずれもこれは港湾管理者である県なり市がそういう計画をつくりまして、さっき申し上げましたように、運輸省とも相談をしながら、それからその利用者であるこういう専用埠頭その他を持っておる事業者との間でも相談をいたしまして、そしてどういう負担にしたらいいだろうかというようなことをお互いに話し合いまして、それで説明が少し足りなかったので、初めの説明では多少誤解を招いたところもあるようですけれども、その辺、現在のところは、バランスをとりながら計画をつくっているわけです。で、われわれのほうとしては、それを見て、それに対して港湾管理者である府県知事なんかと十分相談をいたしまして、どういう施設にするか、これに対してどういう負担割合にするかというようなことも、県の当局の意見を主にして考えまして、そしてやっておりますので、この点については、いまおっしゃったようなことは、将来に向かってはなお検討の余地があると思いますけれども、いままでのところ、やってきた問題については、これは港湾管理者運輸省の間で十分合意が得られて、それならばそういう計画でおやりなさいということで進めておるものだと思いますから、そういう非常に地域住民との間に衝突があって、それを運輸省計画を押しつけているようなことはないと思います。
  50. 小柳勇

    小柳勇君 地域住民との摩擦とは言っていません。私ども政治家として見た場合に、あまり行き過ぎではないか。  それでは具体的に質問しますが、バースの占有権は何年と期限がありましょう。たとえば日石なら日石が専用バースを使います。その場合に契約期限がありますか、ありませんか。
  51. 岡部保

    政府委員岡部保君) たとえば鹿島港などの例で申し上げますと、この土地というものを企業に売却いたします。したがって、そこに企業が岸壁をつくります。そういたしますと、これは全く企業の私有財産であるということで期限づきの問題ではなくなります。ただ、その前の水面、水面が実際にはクレーンがございまして、その下が占用水面であるとか、そういうような水面の占用の部分が一部ございますが、こういうものについては年々の占用の契約であるというふうに解釈をいたしております。
  52. 小柳勇

    小柳勇君 私のさっきの質問の中で、水深十一メーターと言いましたのは、さっきおっしゃったように私も訂正いたします。これは深さの、それ以上は民間があれしていることも知っていますから。  そこで、大臣はまだ私の質問がよくわかっていないようだけれども、国と県、あるいは企業と三社が出します金を、それを合わせまして三分の一ずつ負担しましてもいわゆる公の税金は六六%ございます、民間企業は三三%金を出します、出しまするとあともう専用バースを使いますと、さっきおっしゃったように、ほとんどこれは永久に自分の港、自分のバースになりますね。そういう一企業に国が先行投資して港をつくってやるという、そういうあり方についてどうでしょうかと言っているわけです。  もしこれが永久にその会社の専用バースになるならば、土地になるならば、これはもう国から出しました金は永久に払いますとか、税金で二十年したらほとんど企業が払ってしまうんですよという、そういうあれがありませんと、もうほかのやっと比較になりませんでしょう。そのことを言っているわけです。
  53. 岡部保

    政府委員岡部保君) ただいまの先生の御指摘、確かにそういう問題ございます。そこでいわゆる期限づきであるならばこれまた一つ考え方でございます。それから、当初にむしろ、まあ財政資金の一部かもしれませんけれども、たとえば借り入れ金みたいなものでやっておる、それで利用料を取るということによってペイをしていく。そういたしますと、ある程度いわゆるペイをいたしまして、し終わってもまだそういうものが取られるというような意味で、あとあとまで、いわゆる財政資金に対しての寄与というものが出てまいりますし、そういうようないろいろな方法がございます。  そこで私ども、これはいささか港湾の仕組みといたしましては複雑過ぎるのではなかろうかといって逆に心配をしている点はあるんでございますけれども、いわゆる当初からそういう意味で受益者負担相当額取るというやり方、それから特別利用料と言っておりますが、一部は管理者が先に少しよけいに払っておきましょう、そのかわりその分の普通の施設の使用料よりももっと高く使用料を取りますというようなやり方をしている例もございます。確かに先生のおっしゃいましたように、そういう問題点について、どうもいろいろなものがあって、しかもすっきりした姿でない点は、私どもも確かに痛感をいたしております。したがって今後、こういういわゆる建設費の財政基盤という意味だけではなくて、いまおっしゃったような観点からのチェックというものも含めて、これから検討させていただきたいと思います。
  54. 小柳勇

    小柳勇君 金の問題と同時に国の将来のことを考えるならば、公共バースをよけいとる、そして中小企業でも、あるいは民間のレジャーにでも、その港は使えるような態勢にしなければ、もう大きな港ができましても、これはほとんど大企業独占のバースになっちゃう。そういうものを方々で見ているものですから考えるわけです。  そこでもう少し具体的な話はシーバースですね。これはある人はこういうことを言った。ちょうど戦国時代に領土を自分が占領してそこにお城をつくる、そういうものだと。そういうものを感じますよ。ちょうど東京湾のどまん中にシーバースをつくっておいて、それはもうつくった会社が独占して使うでしょう。そして港を通る船は迷惑する。そういう姿を見ておるのですが、したがって問題は二つ、港湾区域内のシーバースの建設と占有権はどうあるのか。その点をひとつ御説明願います。
  55. 岡部保

    政府委員岡部保君) 現在、港湾区域内で、港湾区域の中でシーバースを私人が建設しようとする場合には、いわゆる港湾法の第三十七条の規定によりまして、シーバースの建設、改良等をしようとするものは港湾管理者の長の許可を受けなければならないことになっております。これは一つ港湾管理者が規制できるという権限でございます。  そこで、こういうものが建設されまして、それでこの港湾区域内の、いわゆる水面に実際にシーバースをつくりますと占用するようなかっこうになります。そこで水面の占用の問題についても、これは同様に港湾管理者の許可を得ませんと占用ができません。そこでやはり三十七条の手続によりまして、港湾管理者の許可を得まして水面占用料を支払って占用するというようなかっこうになります。いわゆる港湾区域内では、そういう意味では、港湾管理者の規制と申しますか、実際に相当な監督を受けておるという姿でございます。
  56. 小柳勇

    小柳勇君 その水面の占用料、幾らぐらいですか。
  57. 岡部保

    政府委員岡部保君) これは、いわゆる各管理者の条例ないし規則によって徴収されておりますんで、全国一律ではございません。ただ、例を申しますれば、私どもの調べましたところでは、川崎港では年間一平方メートル当たり四十円、横浜港では七十二円、それから徳山下松港では十五円、こういう非常に幅がございますけれども、そういう例がございます。
  58. 小柳勇

    小柳勇君 この水面の占用許可の基準などというのは、運輸省では御存じなんですか。各港湾管理者の独自でやってんですか。
  59. 岡部保

    政府委員岡部保君) 各港湾管理者の独自のお考え方によってやっていただいております。
  60. 小柳勇

    小柳勇君 この法案が改正されますとどうなりますか。
  61. 岡部保

    政府委員岡部保君) この点につきましては、何ら変更はございません。
  62. 小柳勇

    小柳勇君 それから、港湾区域外のシーバースはかってにこれはつくっていいんですか。いまの法律でどうです。
  63. 原田昇左右

    政府委員原田昇左右君) 現行法で申し上げますと、海上交通安全法によりまして東京湾、伊勢湾、瀬戸内の三海域におきます港湾区域外のシーバースの設置について、船舶交通の安全の観点から、海上保安庁長官の許可または届け出を要することになっておるわけでございます。そしてなお、建設後の指導等につきましては、われわれは非常にシーバースの設置によりまして海上交通の安全確保あるいは海上におきます災害及び公害の防止等の見地から、シーバースの設置者に対して航路標識をつけることとか、あるいは適当な防災設備を擁します作業船を配置しろとか、あるいはオイルフェンス、油処理剤の設置をしろとかいうように指導いたしておりまして、なお海上の災害防止あるいは公害の防止のために、いろいろ海上保安庁から指示をいたすことにいたしております。
  64. 小柳勇

    小柳勇君 公有水面、しかも船舶が安全に航行しなきゃならぬのに、なぜシーバースを許すんですか。その許可の基準を言ってください。どういう場合に許可するのか、その基準を言ってください。
  65. 原田昇左右

    政府委員原田昇左右君) 原則として航路にシーバースを設置させることはいたさないようにいたしております。できるだけ航路を避けて、一般の船舶交通に支障のないような地点に設置させる、しかも設置する場合に航路標識を置くとか、船舶交通の妨げにならないような指導をいたしておるわけでございます。
  66. 小柳勇

    小柳勇君 指導はそうですけれども、航路以外にはどういう基準がありますか、港をつくるよりもシーバースのほうが簡単でしょうからね、企業家としては。たとえばタンカーなんか持ってる会社は、港をつくって、深くしゅんせつをして油を揚げるよりも、もうシーバースへ船を着けて油を揚げたほうが安上がりでしょうから、もう将来これをほっとけばどんどんシーバースができやせぬかと思うが、どういうときに許可をし、どういうときに許可をしないか、もう少し詳しく言ってください。
  67. 原田昇左右

    政府委員原田昇左右君) 御承知のように、原油の輸送コストを下げるためにはできるだけ大きいタンカーで輸送するほうが経済的にはメリットがあるわけでございます。また国民経済的に考えましても、そういう輸送コストの低減ということは、原材料の輸送費の低減によって原材料コストを下げるという目的に合致いたしますので、現在、たとえば水深の非常に浅いところにございます石油コンビナートがシーバースを外洋に出しまして、大型タンカーが着き得るようにするということは、必ずしもこれを押えるということは、いいわけではないという観点から、適切な場所に設置され、しかも公害防止の観点から見まして十分な配慮がなされる場合はこれを許可するということになるわけでございますが、その場合の基準について先ほども簡単に触れましたけれども、船舶がひんぱんに通航する航路筋でないとか、あるいは船舶がひんぱんに錨泊しない場所であるとか、あるいはシーバースに係留しようとするタンカーが係留直前の低速で操船不自由な状態で航路筋を横切らない場所であるとか、こういうような基準を設けまして、指導いたしておるわけでございます。
  68. 小柳勇

    小柳勇君 具体的にシーバース建設、建設費はもちろん会社でしょうけれども、その後公有水面を使用している、占有している、それに対しては国に対してどういうふうな税金とか使用料とか、どういうふうに具体的に払っているのですか、会社は。
  69. 原田昇左右

    政府委員原田昇左右君) 公有水面については——公有水面と申しますか、特別に港湾区域とか航路とか、そういった特定の権利設定が行なわれておらない場所につきましては、現在のところ何ら税金を納めるとか、そういった制度はございません。
  70. 小柳勇

    小柳勇君 わかりました。  それで、将来大型タンカー——五十万トンタンカーくらいができますと、港に入るよりも海の中でシーバースが、またシーバース建造などの話が出てくるのじゃないかと思うんですが、大型タンカーについて、先般来防災の立場からも質問したことがございますけれども、この港湾法質問最後のほうで、一体この大型タンカーについてはどういう見解を持っておられるか、大臣からまずお聞きして、あと航行の安全などについて保安庁長官から聞きたいと思うんです。
  71. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 大型タンカーは、これはコストの軽減という点から見て、船会社としてはだんだん大型をつくってくることはこれはもう自然の勢いだと思いますけれども、これについては、私どものほうは七月一日から海上交通安全法が施行されまして、特定の水域、たとえば東京湾とか伊勢湾とか瀬戸内とか、そういったところでは大型のタンカーの航行について相当の規制を加えることにしておるわけでございます。これは海上交通安全の見地からいって当然のことでございます。具体的に時間を制限するとか、あるいは・区域を制限するとかということはいたしておると思いますが、詳細は海上保安庁長官からお答えさせます。  先ほど問題にされましたシーバースの問題ですが、これはやっぱり万一のことを考えますと、私はなるべくならば、こういう瀬戸内とか東京湾とかでなしに、外洋にシーバースをつくって、そこに大型のタンカーが、そこで何といいますか、油を揚げる作業をするというようなことが望ましいんじゃないかと思うんです。外洋でですね、外洋といいますか、港湾外でですね。その際にどうするかという問題は、おっしゃるとおりに残されておると思うのです。これは港湾区域外ですからね、建設省とも十分相談しなければならぬと思いますが、とにかく極力特定の内水における公害というものを少なくする、それから万一の場合があっても、その被害を最小限度にするという点からいいますと、なるべくそういったものはこういう内水にはつくらないほうがいいと。それと同じような意味で、瀬戸内等について、いまの大型タンカーが自由自在に入ってきて、いざという場合に非常な大きな災害が起こるというようなこともやっぱり考えながら、それを防除するようなことも考えて、交通安全体制を練っていかなきゃならない。これはまあ同じような考え方から出てくるものだと思いますが、具体的に長官から答えさせます。
  72. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 大型タンカーの入湾規制の現状をまず申し上げますと、現在までは大型タンカーが、たとえば二十二万重量トン以上の大型タンカーが貨物を積んで東京湾に入るというような場合には、船主またはその船のオペレーターから十分入湾に際しては安全な措置をとりますということを、書面でもって運輸省及び私のほうに提出をさせまして、そして十分安全対策を確認した上でそれを励行するということをいままでやってきておるわけでございます。これは行政指導でございます。  で、一昨々日、本年の七月以降は、ただいま大臣が申されましたように、海上交通安全法が施行されまして、この適用海域、東京湾、伊勢湾それから瀬戸内海におきましては、大型タンカー、巨大船が入港する場合には、事前に入港の時刻等をまず海上保安庁に通知をする、そしてその通知によってその航行の安全上、漁船の操業上、あるいは他船のそこにおりますふくそうぐあい、そういうものを見て入港の時間を早めさすとか、または繰り下げさすとかというような航行時間帯の規制を行なうとともに、また必要に応じては前路警戒船と申しますか、入港する場合の前路を警戒するような船をつけさせるということでございます。それから、これも港湾法の、現在御審議をお願いしておる一部改正関係あるわけですけれども、オイルフェンスとか、あるいは油処理剤というようなものも行政指導でこれを備蓄して、それを持っておるような指導を現在までいたしております。  したがいまして、七月一日以降は、いま申し上げました法律に基づく海上保安庁の指示によって、この三海域においては、条件をつけて入港の規制をしておるということでございます。  そのほか、最近建造されております非常に超大型のタンカー等につきましては、これは運輸省の本省でやっておられることでございますけれども、たとえば東京湾には入れない、喜入なら喜入の港でしかそれは油をおろさせないというような条件をつけて運輸省の本省のほうで建造しておられるということで、私どももそういう実態を承知をいたしております。こういうふうで、海上交通安全法の法律に基づく規制を特に問題の多い海域では、きょうで三日目になりますが、やっておる、こういうことでございます。
  73. 小柳勇

    小柳勇君 昨年の六月十六日に参議院の交通安全対策特別委員会附帯決議がついています。「トン数制限を実施する等超大型船舶の内海航行を規制する措置を講ずること。」こういうような附帯決議がついているわけです。  昨日の新聞でも、外国で大型タンカーが爆発したような写真が出ていましたけれども、これからますます大型タンカーの傾向がありますが、この附帯決議につきまして、どういうふうにこれから措置するか、具体的な措置、いま長官の言われたのも一つの措置でありましょうが、運輸省としてどういう措置をされるか、大臣から見解を聞いておきたいと思います。
  74. 原田昇左右

    政府委員原田昇左右君) 大型タンカーの入湾規制につきましては、われわれとしても種々検討いたしておるわけでございます。たとえば船舶のふくそうする海域外の安全な水域にシーバースを設置いたしまして、そこからパイプラインで原油を持ってくるという構想がございます。これにつきまして現在東京湾、瀬戸内等の海域におきまして所要の調査を実施中でございます。今後はこれらの調査結果に基づきまして、将来において、たとえば東京湾等の内海を航行する船舶のトン数を制限するといったような規制につきまして、検討を進めていくということになるわけでございます。まずはその具体的に代替輸送手段をどういうように建設していくかということに目下しぼられておるわけでございます。
  75. 小柳勇

    小柳勇君 問題点質問は以上で終わりまして、この法案の修正を提案しておりましたから、具体的に二、三——ずっとけさからやったやつは省きまして、具体的な問題が二、三ありますから、ちょっと法律を見ておってください。  二条の五項の九、九の二、九の三及び十四に次を加える。これは具体的な提案ですが、まず一つは、九に「公害監視施設公害監視艇を」入れる。それから九の二に「付帯施設(橋梁、墜道)」を入れる。九の三に「遊歩道」を入れる。十四に「消防艇」を入れる。こういう修正の提案をいたしておりましたが、この問題について、将来どういう行政指導されるか、お聞きいたします。
  76. 岡部保

    政府委員岡部保君) まず公害監視施設公害監視艇でございますか、この点について申し上げますと、公害の監視業務というものは、当然港湾管理の一環として行なわれるものでございますので、いわゆる第二条の九号ではなくて、むしろ十の二号と申しますか、十号の二と申しますか、その他のいわゆる港湾管理施設という中に私どもは含めて今後考えていきたい。ただこれで例示をしていないだけであるというふうに御了解をいただきたいと思います。  それから次に、廃棄物処理施設の付帯施設でございますが、いわゆる橋梁、墜道等を九号の二に入れろという点につきまして、これは当然廃棄物処理施設にも、そういう付帯施設がなければ効能発揮いたしませんから、そういう考え方で例示をしていないというふうに御理解をいただきたいと思います。  それから次の遊歩道の問題でございますが、これは第二条第五項の九号の三でございますか、「その他の港湾の環境の整備のための施設」という中に含まれておるというふうに御了解いただきたいと思います。  それから最後の消防艇の問題は、第十四号の港湾管理用移動施設の中の「その他の港湾の管理のための移動施設」の中に含まれるというふうに私ども考えておりますので、御了解いただきたいと存じます。
  77. 小柳勇

    小柳勇君 次は第三十八条の二第一項の三に次を加える。「増設」の次に「改良」を入れる。この点についていかがですか。
  78. 岡部保

    政府委員岡部保君) 三十八条の二の第一項第三号は、政令で定める面積以上という量的な概念でとられておりますので、施設の量的な増加に着目した増設という用語をここで用いたわけでございまして、いわゆる何と申しますか、量的の問題ということで、ここにはっきり増設という字が入ればいいんではなかろうかという解釈でございます。
  79. 小柳勇

    小柳勇君 それから最後は、第五十二条3項における港湾管理者負担割合ですね、これを二及び三は「十分の五」を「十分の二・五」にする。それから四の「十分の七・五」を「十分の五」に改める。以上、港湾管理者負担割合の改正について、いまできなければ将来検討されるかどうか、お聞きいたしたい。
  80. 岡部保

    政府委員岡部保君) ただいまの御指摘の五十二条の第三項の負担の率を改めるという点でございますが、御承知のように、五十二条は直轄工事の負担割合をここで規定しているわけでございます。したがって、これは直轄工事と補助工事とすべての工事を通じて同率という考え方でございますので、そういう意味では費用の補助という四十三条の規定もこれは直さなければならないという点がございます。  そこで私ども考え方では、いままでもずいぶん申し上げましたが、なかなか補助率を引き上げるというのはむずかしい問題ではございます。ただ管理者財政のこと等を考えますと、今後ともこういう負担率、補助率の是正、いわゆる国がなるべく財政資金をよけいに出そうというような方向には当然考えるべきだと存じますので、その点は全般的な問題として、今後とも検討させていただきたいというふうに思います。
  81. 小柳勇

    小柳勇君 以上で私の質問は終わりますが、十二項目の提案、一項目も修正がない、まことに残念でありまして、質問の冒頭に言いましたように、港湾管理者などは運輸省から少し頭をなでられて、もうこれでしようがないというようにあきらめがあるようでありまするが、内心に不満があります。いままで二十数年やってきた既得権といいましょうか、権限に対して非常な侵害があるという気持ちもありますし、それから港湾計画どももう少しわれわれが発動するんだ、それを運輸省がチェックして回る程度でいいんではないかと、そういう考えがありますから、そういう問題、十分大臣局長は将来の行政指導の中で、運輸省全体として消化されて、この修正意見が取り入れられないとするならば、行政指導の面に取り入れてもらいたいと思います。その希望条件入れて、まあ反対でありますが、私の質問はこれで終わります。
  82. 長田裕二

    委員長長田裕二君) ちょっと速記をとめます。   〔午前十一時四十三分速記中止〕   〔午後零時四分速記開始〕
  83. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 速記をつけて。  それでは、本案に対する質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  港湾法等の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を求めます。   〔賛成者挙手〕
  84. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
  85. 森中守義

    ○森中守義君 ただいま採決が行なわれました本件につきまして附帯決議をつけたいと思います。  案文を読み上げますので、御賛成をいただきたいと思います。    港湾法等の一部を改正する法律案に対する    附帯決議案   政府は、本法の施行にあたり、左記事項について特段の配慮をすべきである。  一、基本方針の決定をはじめ本法の運用に際し港湾管理者権限を侵害しないこと。  二、港湾管理者の財政基盤を強化確立するため国の助成を強化するとともに財源確保の措置を講ずること。  三、港湾をめぐる環境の整備は現下の急務であり港湾区域内の汚泥物、沈廃船の処理等速やかに抜本的対策を講ずべきことは勿論、港湾の環境整備についての計画策定しそのために国庫補助の強化と制度の確立につとめること。    右決議する。  以上であります。
  86. 長田裕二

    委員長長田裕二君) ただいま森中君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行ないます。  森中君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  87. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 全会一致と認めます。よって、森中君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し新谷運輸大臣から発言を求められております。新谷運輸大臣
  88. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 港湾法等の一部を改正する法律案につきましては、慎重御審議の結果、ただいま御決議をいただきましてまことにありがとうございました。  同法案施行の暁には、御審議の過程においていただきました御意見並びに附帯決議の趣旨を尊重いたしまして、同法の適正な運用に遺憾なきを期する所存であります。
  89. 長田裕二

    委員長長田裕二君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  90. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  一時十分まで休憩いたします。    午後零時八分休憩      —————・—————    午後一時十六分開会
  91. 長田裕二

    委員長長田裕二君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。新谷運輸大臣
  92. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) ただいま議題となりました国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案提案理由につきまして御説明申し上げます。  国鉄は、過去百年間国内輸送の大動脈として国民生活の向上と国民経済の発展に寄与してまいりましたが、今日その役割りは、都市間旅客輸送、大都市通勤通学輸送、中長距離大量貨物輸送等の各分野においてますます重要性を増しており、過密過疎の解消、国土の総合的開発のための中核的交通機関として将来にわたってその使命の遂行が強く期待されるところであります。  一方、国鉄財政は、経済社会の変動と輸送構造の変化に伴い、昭和三十九年度に赤字に転じて以来急速に悪化の傾向をたどり、国鉄が今後国民生活、国民経済において果たすべき使命を全うすることができなくなるおそれが生じてまいりました。  このため、政府といたしましては、第六十一回国会において成立した日本国有鉄道財政再建促進特別措置法に基づき、昭和四十四年度以降十年間を再建期間として、各種の財政再建対策を鋭意推進してまいった次第であります。  しかしながら、その後の推移を見ますと、自動車輸送の発達等による輸送量の伸び悩み、人件費の大幅な上昇等のため、国鉄財政はさらに悪化し、昭和四十七年度には約三千六百億円の欠損を生じ、累積欠損は約一兆二千億円に及ぶ見通しとなり、きわめて憂慮すべき事態に立ち至りました。  このような実情にかんがみ、政府といたしましては、現行の財政再建対策が十分にその目的を達成できなかった原因について反省し、あらためて昭和四十八年度以降十年間を再建期間とする抜本的な財政再建対策策定し、これを推進する必要があると考えております。  このため、今回の財政再建対策におきましては、将来にわたり国鉄がわが国の基幹的公共輸送機関としてその果たすべき役割りに応じ得る近代的経営体制を確立しつつ、財政の健全性を回復し得るよう、今後十年間にわたり政府出資、工事費補助の増額、過去債務についての財政再建債及び同利子補給金の対象範囲の拡大等財政措置の大幅な拡充を行なうことといたしましたが、なお、その実現のためには、国鉄自身が労使相協力して収入の増加と業務運営の合理化に最大限の努力をいたしますとともに、あわせて利用者各位の御理解と御協力のもとに、必要最小限度の運賃改定を行なうことも真にやむを得ないものと考え、このたびこの法律案提案することとした次第であります。  次に、この法律案の概要についてご説明申し上げます。  まず、国有鉄道運賃法改正の内容について申し上げます。  第一に、鉄道の普通旅客運賃につきましては、その賃率を、おおむね二二%引き上げるとともに、遠距離逓減制を是正することとし、現行賃率では営業キロ一キロメートルごとに五百キロメートルまでの部分については四円二十銭、五百キロメートルをこえる部分については二円五銭となっておりますのを六百キロメートルまでの部分については五円十銭、六百キロメートルをこえる部分については二円五十銭に改定することといたしております。  第二に、航路の普通旅客運賃につきましては、鉄道の普通旅客運賃とほぼ同程度の改定を行なうことといたしております。  第三に、貨物運賃につきましては、制度の合理化をはかるため、車扱い貨物運賃の等級数を現行の四等級から三等級に圧縮するとともに、その賃率をおおむね二五%引き上げることといたしました。  また、小量物品輸送の合理化をはかるため、小口扱い貨物を小荷物に統合するとともに、近年飛躍的な増加を続けておりますコンテナ貨物の運賃につきまして、従来は小口扱い貨物運賃の一種とされておりましたものを新たに国有鉄道運賃法上の貨物運賃とすることといたしております。  なお、これらの改定により、実収一五%増の運輸収入が得られることとなっております。  次に、日本国有鉄道財政再建促進特別措置法改正の内容について申し上げます。  第一に、昭和四十八年度予算案編成を契機として今後十年間にわたり助成策の大幅な拡充を行なうこととし、新たに、昭和四十八年度以降の十ヵ年間を再建期間とする国鉄財政再建に関する基本方針及びこれに基づく再建計画策定することといたしております。  第二に、国鉄が今後新幹線鉄道の建設、在来線の複線電化の促進等輸送力の増強及び輸送方式の近代化のための工事を推進し、その体質の改善をはかるため、政府は、再建期間中の毎年度、国鉄に対し、工事資金の一部に相当する金額を出資するものとしたほか、工事費にかかる利子負担の一そうの軽減をはかることとし、工事費補助金の対象工事年度を昭和五十七年度まで延長するとともに、交付期間を十年間に延伸し、その交付年度を昭和六十七年度までとすることにいたしております。  第三に、過去債務の利子負担を軽減するため、財政再建債及び同利子補給金の対象を現在の昭和四十三年度未政府管掌債務から昭和四十七年度未政府管掌債務及びすべての鉄道債券にかかる債務に拡大することといたしております。  以上が、この法律案提案する理由であります。  なお、この法律は昭和四十八年四月一日から施行することといたしておりましたが、衆議院において「公布の日から施行する。ただし、第一条及び附則第五項の規定は、公布の日の翌日から施行する。」と修正されております。  何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
  93. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 次に、補足説明を聴取いたします。秋富鉄道監督局長
  94. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) ただいま議題になりました国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案の内容につきまして運輸大臣提案理由の説明に補足して御説明申し上げます。  まず、国有鉄道運賃法改正の内容について御説明申し上げます。  同法第三条関係について申し上げます。  同条は、鉄道の普通旅客運賃についてその賃率及び運賃の計算方法を定めておりますが、現行では、その賃率が、営業キロ一キロメートルごとに、五百キロメートルまでの部分については四円二十銭、五百キロメートルをこえる部分については二円五銭となっておりますのを、遠距離逓減制の是正をも考慮しまして、六百キロメートルまでの部分については五円十銭、六百キロメートルをこえる部分については二円五十銭に改定することといたしております。  同法第四条関係について申し上げます。  同条は、航路の普通旅客運賃について別表第一のとおりとすると定めておりますが、これにつきましては、別表第一を改正し、青森−函館間につきましては現行五百円を六百円に、宇野−高松間につきましては現行百二十円を百五十円に改める等、鉄道の普通旅客運賃とほぼ同程度の改定を行なうことといたしております。  同法第六条関係について申し上げます。  同条は、日本国有鉄道が定める料金について定めたものでありますが、準急行料金につきましては、現在の列車体系の実態にあわせ、これを削除することといたしております。  同法第七条関係について申し上げます。  同条は、貨物運賃の種別及びその賃率について定めておりますが、まず、車扱い貨物運賃につきましては、別表第二を改正し、等級数を現行の四等級から三等級に圧縮するとともに、その賃率をおおむね二五%引き上げることといたしております。  また、小量物品輸送の合理化をはかるため、小口扱い貨物を小荷物に統合することとし、貨物運賃の種別としての小口扱い貨物運賃を廃止するとともに、近年飛躍的な増加を続けておりますコンテナ貨物の運賃につきまして、新たに国有鉄道運賃法上の貨物運賃の一種別とすることといたしております。  同法第九条の二関係について申し上げます。  同条は、運輸大臣の認可を受けることを要する運賃、料金を定めたものでありますが、第二号につきましては、第七条の改正に伴い小口扱い貨物運賃をコンテナ貨物運賃に改めるとともに、第五号につきましては、第六条の改正に伴い準急行料金を削除することといたしております。  次に、日本国有鉄道財政再建促進特別措置法改正の内容について申し上げます。  同法第二条及び第三条関係について申し上げます。  同条におきましては、現在財政再建の目標年次を昭和五十三年度とし、再建期間を昭和四十四年度以降十年間といたしておりますが、昭和四十八年度以降十年間を新たな再建期間とする抜本的な財政再建対策をあらためて策定し、これを強力に推進する必要があると考え、財政再建の目標年次を昭和五十七年度とし、再建期間を昭和四十八年度以降十年間に改めるものであります。  同法第四条の二関係について申し上げます。  同条は、政府の出資に関する規定を新たに設けようとするものでありますが、国鉄が今後新幹線鉄道の建設、在来主要幹線の改良工事等、輸送力の増強及び輸送方式の近代化のための工事を推進し、その体質の改善がはかられるよう、政府は、再建期間中の毎年度、国鉄に対し、工事資金の一部に相当する金額を出資するものといたしております。  同法第五条関係について申し上げます。  同条は、第六条の利子補給に関する規定と相まって、過去債務の利子負担を軽減するため、財政再建債の対象を昭和四十三年度末政府管掌債務といたしておりますが、同条を改正し、昭和四十七年度末政府管掌債務及びすべての鉄道債券にかかる債務に拡大することとしております。  同法第七条関係について申し上げます。  同条は、工事費補助金に関する規定でありますが、再建期間を昭和四十八年度から昭和五十七年度までに改めることに伴い、工事費補助金の交付対象工事年度を昭和五十七年度まで延長するとともに、交付期間を十年間に拡大し、その交付年度を昭和六十七年度までとするための改正であります。  最後に附則について申し上げます。  附則では施行期日及び経過規定等について定めておりますが、施行期日につきましては、この法律は、昭和四十八年四月一日から施行することといたしておりましたが、衆議院において「公布の日から施行する。ただし、第一条及び附則第五項の規定は、公布の日の翌日から施行する。」と修正されております。  以上が、本法律案の概要でございます。  次に、お手元に配付いたしてあります昭和四十八年二月二日に閣議了解となりました日本国有鉄道の財政再建対策要綱について申し上げます。  その骨子は、日本国有鉄道が将来にわたりわが国の交通体系においてその果たすべき役割りに応じ得る近代的経営体制を確立し、昭和五十七年度までに損益計算において利益が生ずるよう財政の健全性を回復することを目標として、財政再建期間中に行なうべき国の助成、日本国有鉄道の合理化並びに運賃改定の内容につき定めたものであります。
  95. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 以上で説明の聴取は終わりました。  磯崎国鉄総裁から発言を求められておりますので、この際、これを許します。磯崎総裁。
  96. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案につきましての運輸大臣提案理由の説明に関連いたしまして、国鉄の長期収支の見通しを御説明申し上げます。  この長期収支の見通しは、昭和四十八年二月二日の閣議了解にかかる「日本国有鉄道の財政再建対策について」に基づき、さらに経済フレーム、輸送量、設備投資等については、経済社会基本計画(昭和四十八年二月十三日閣議決定)の線に沿いまして、国鉄において試算いたした数字でございます。  なお、国鉄の再建計画は、日本国有鉄道財政再建促進特別措置法に基づく政府の再建の基本方針を受けまして、後日、国鉄において作成の上、政府の御承認を得ることとなっております。  収支試算の前提条件はお手元に配布いたしました別紙一のとおりでございますが、これを補足して御説明いたしますと、工事費につきましては国土の総合開発に資するため、新幹線の建設、在来線の増強等の工事費を重点的に増額し、完成目標を極力繰り上げることとし、その所要資金として十兆五千億円を見込んでございます。  以上のような前提に基づきまして昭和四十八年度から同五十七年度までの十ヵ年間の収支を試算いたしますと別紙二のとおりでございます。このうち、昭和四十八年度は過般御決定をいただきました予算と同一でございます。前半における一、二の例外を除きまして、償却前の損益は黒字となる見込みであり、また後半昭和五十四年度以降は逐次財政の健全性を回復し、最終年度におきましては償却後損益も約三千八百億円の黒字となり、財政は安定するものと考えます。  以上をもちまして、長期収支見通しの御説明を終わらせていただきます。
  97. 長田裕二

    委員長長田裕二君) それでは、これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。
  98. 山崎竜男

    ○山崎竜男君 本法律案につきましては、衆議院でも与野党ともに慎重な御審議を願ったものと思っておりますので、私も目新しいことが出てこないかもしれませんが、私、東北本線でしょっちゅう上野−青森間を通っておりますので、その間に一緒に乗っておった乗客あたりからこの運賃法に関連しまして、いわゆるしろうと的ないろんな疑惑が出てまいりました。そういうことを踏まえて御質問をさせていただきたいと思います。したがって、まことにしろうと的なところがあるかもしれませんが、御容赦をいただきたいと思います。  それで、昨年私たちが努力をいたしましたけれども、廃案となりました昨年の運賃法で、やはり運賃法を提出した理由の一端に、国鉄の人件費の問題があったと思います。その当時仲裁裁定では七百五十億ぐらいだということを承っておりました。この裁定をのんで人件費を上げるには非常に困難であるというように承っておったんですが、まあ不幸にして昨年は廃案になった。ところがこの七百五十億という人件費が支払われたわけでありますけれども、国民の感触ですと、新線建設からの予算でも回したんじゃないかというような、そういう考え方がございましたけれども、実情はいかがになったものでございましょう。
  99. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) 御指摘のとおり、昨年運賃法、再建法改正案が廃案となりまして、しかも仲裁裁定の実施には七百五十億、こういった人件費増がございまして、昨年いろいろと御審議をいただいたわけでございます。  この問題につきまして、国鉄の労使関係を安定させ、国民の期待にこたえる、輸送サービスを確保する、こういう判断に立ちまして六月の二十三日、完全実施すると、こういう閣議了解をいたしまして、鋭意その財政措置について検討をしたわけでございますが、緊急かつ特別の措置といたしまして運賃法及び再建法廃案による不足額九百三十二億でございますが、これにつきましては、まず第一には再建債増額分相当の長期資金八百三億を財政資金として借りるということが第一でございます。  第二は、いわゆる昨年、五・五%と四・五%までの差額を工事費補助ということで提案さしていただいたわけでございますが、それもいわゆる運賃法のすみやかな成立ということを期しまして、これを支出するということにいたしたわけでございます。この金額が三十七億でございます。  それから経費節約、これによりますものが九十二億、以上をもちまして九百三十二億というものの予算上、資金上の手当てをいたしたわけでございまして、これに基づきまして仲裁裁定実施のための所要額七百五十二億、これを措置するということにしたわけでございましてその内訳といたしましては、予算にも計上してございました給与改善費、これの三百六十億円の支出、予備費二百五十億円の中の二百三十四億円の支出、経費、これを百五十八億流用するということによりまして、昨年は措置をしたわけでございます。
  100. 山崎竜男

    ○山崎竜男君 おもに借金と予備費から支払われたということでございますけれども、今年度の仲裁裁定は一六・五%、千二百八十六億円と承っておりますが、そのとおりでございますか。
  101. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) そのとおりでございます。
  102. 山崎竜男

    ○山崎竜男君 そうしますと、この人件費の伸びは初年度から狂ってくると思われますけれども、この十年間の影響はどのようになりますか。
  103. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) 先ほど国鉄総裁からも御説明申しました国鉄の試算におきましても、人件費の伸びは最初の五ヵ年は毎年一二・三%の伸びというふうにしておったわけでございます。これは経済社会基本計画におきます雇用者所得これと相呼応するものでございます。ところがただいま御指摘のように、今回の仲裁裁定におきましては、ベースアップ分とそれから定期昇給分を含めまして一六・五%となるわけでございます。しかし私たちは、その年々によりまして、いろいろとベースアップの波があるかと思うわけでございますが、最初の五ヵ年におきましては一二・三%、あとの五ヵ年におきましては一〇・三%こういった試算で人件費の総額大体七兆四千億でございますが、この財源をもって私はできるものと、かように考えております。
  104. 山崎竜男

    ○山崎竜男君 いま国民の間の関心事は、物価を抑制してほしいということが最大の課題であると思われるのですが、そのときに国民生活に直結した運賃の値上げという法案を出さなければならないような理由をお聞きしたいと思います。
  105. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 物価の関係から申しますと、申すまでもありませんが、公共料金の引き上げということにつきましては、極力慎重に、かつこれを抑制的に取り扱っていかなければならないということは、申すまでもないところでございます。われわれも今後とも、この方針は堅持しなければならないと思っておりますが、国鉄について申し上げますと、先ほど鉄監局長からも具体的な内容を御説明を申し上げましたとおり、昨年は改定案を出しましたけれども、これは審議未了になり、そのためには相当財政問題について配慮をしなければならないというような要素がふえてきたのでございます。もともと国鉄の財政が、御承知のように非常に悪化いたしておりまして、もうこのままではとうてい財政の健全化は期し得られない。のみならず、財政悪化いたしました結果は、国鉄が日本の交通網の中で非常に、何といいますか、大動脈としての機能を持たされておるわけでございます。そういう国鉄の本来しょわされておる機能を発揮し得ないで、非常に日本の交通体系から申しますと、国鉄部門において大きな欠陥が生じてくる、その結果は国民経済はもちろんのこと、国民生活の上にも非常に大きなマイナスになるであろうということが憂慮せられるのでございまして、一般には、国鉄の運賃の値上げにつきましては反対意見もあることは重々承知しておりますが、しかしその結果、非常に大きな国民経済上あるいは国民生活上の欠陥が生じるということは、これはどうしても大局的に見て防がなきゃならぬというような見地をもちまして、この改定案をお出ししておるわけでございます。  なお、これに関連して申し上げますと、先ほどお尋ねがございましたが、ことしのベースアップにつきましては、政府は非常に重大な決意をいたしまして、なかなか本来であれば、公労法十六条を乗り越えまして、財政支出をするということが困難な事情にあったことは御想像にかたくはないと思います。しかしながら、私どもは昨年の例もございますし、ことしはいろいろ困難な事情があるにいたしましても、運賃法及び再建法の改正案につきまして御審議をいただいて、そうして何か結論を得ていただけるものと確信をいたしまして、そういう基礎の上に立って千二百八十六億円という巨額に達する改定案を、これを十六条による国会の議決を、判断を求めることなく決意をいたしまして出したような次第でございまして、もし今度、こういった改正案が実現しないということになりますと、実はこれは昨年にも増しましてたいへんな結果になると思うんです。  これはいずれ御議論の中で、政府委員から明らかにすると思いますけれども、このままでまいりますと、直接の運行費つまり人件費、物件費の支払いでさえも経常収入からは支出し得ないというような結果になりそうでございまして、ほとんど国鉄の財政が破綻すると言ってもいいような事態に追いやられるだろうということが予測されるのでございまして、私どもも、この値上げ案につきましては、どうしてもやっていただかなきゃならぬのです。公共料金でありますから、慎重に考えましたけれども、そういう事情もございますので、あえて今度は利用者の方々にも国鉄の再建のために、こういう財政が危機に瀕しておる状態でございますから、今度はごしんぼういただいて、政府も十分の財政支出をしよう、国鉄にも十分な節約、合理化をして、自分の力でできるものは、できるだけの努力をするというようなことで、利用者の方々にも、御迷惑でありましょうが、最小限度の御負担を願いたいということで、提案をしたような次第でございまして、その事情をひとつおくみいただきまして、ぜひ御協力をお願いしたいと思います。
  106. 山崎竜男

    ○山崎竜男君 よくわかりました。  いま、大臣もちょっとお触れになりましたが、今回もし値上げを取りやめた場合には、国鉄財政にどんな影響があるかということを、もう少し詳しくお願いしたいと思います。
  107. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) もし、今回御審議いただいております運賃法が成立いたしませんといたしますと、千八百五十五億の増収を予期しておったのでございますが、それがなくなりますことと、先ほど御説明いたしました仲裁裁定の千二百八十六億というものと合わせますと——この仲裁裁定につきましては、いろいろと、先ほど、四十七年度にいたしましたような給与改善費に使いますとか、あるいは予備費を使いますとか、あるいは節約をいたしたといたしましても、概算でございますが、約八百三十億ほどの支払い不能の状況になると考えております。  それから利子につきまして申し上げますと、いわゆる財政再建債、これを四十七年度未の全債務に及ぼすということができませんで、現在の四十三年度末の債務にとどめるということになりますし、あるいはその孫利子補給金というものも、それに応じまして減額せざるを得ない、あるいは工事費の補助金も、今回は三・五%まで助成しようと思っておるわけでございますが、これが四・五%までにとどまるというようなことになりますと、約千六百億ばかりの利子未払いができる状況でございます。  それから借り入れ金につきまして申し上げますと、これまた、ただいま申しましたように、営業収支からの繰り入れということができなくなりますし、また利子その他の余分というものもなくなります関係上、いわば資産充当の百億あるいは外部資金が千三百億ということになりまして、三千百七十九億返還しなければいけませんところを、約二千五百億は返済が未納になると、こういったきわめて重大な状況になります。  ことに一番大きなものは人件費、物件費、いわゆるオペレーションコストすらも約八百三十億は払えなくなるという、きわめて重大な事態になることをおそれております。
  108. 山崎竜男

    ○山崎竜男君 数字が何百億、何千億ということで、非常にピンとこない面もありますけれども、まあ人件費、物件費の八百二十一億が不足するということでありますし、私がちょこっと計算しまして——これは変な話なんですが、一、二、三、四、五、六、七、八というふうに数えていきまして、一億数えるのに四年ぐらいかかるんであります。ですから、私は一億という金、どのぐらいだと言って国民の皆さんに聞かれたときに、そういう返答をすることにしています。膨大な金がここで論じられているわけでありますけれども、八百何十億ということになると、その計算からいえば、われわれの一生涯通じて数え通し数えていても数えられないだけの資金が動いているということになるわけでありますけれども……。  ちょっと話は変わりますが、経済企画庁のほうにお伺いしたいと思いますけれども、この運賃法が通りまして、諸物価と比べて、この運賃の水準というものはどういうことになりますでしょうか。
  109. 斎藤誠三

    説明員斎藤誠三君) 国鉄運賃法どおりになりますと、物価への影響でございますが、直接的な影響といたしますれば、〇・三四%の上昇になるわけでございます。間接的に、運賃等の上昇によりまして迂回しましたものが消費者物価へ完全にはね返るといたしますと、産業関連用の計算でございますが、〇・〇九でございます。そういった影響がございますが、物価水準といたしましては、対象の時点でいろいろ上昇しているとか、そういった数字が違うわけでございますが、昭和四十年を、暦年を基準にいたしますと、消費者物価の総合では一四四・六ということになっておりますが、国鉄運賃が一六八・九ということでございます。それから旅客の基本賃率だけで比較いたしますと一五二ということで、四十年を基準にいたしますと、やや運賃は上がっておるわけでございますが、過去の昭和十一年等を基準にいたしますと、旅客運賃が二六〇ないし二七〇、貨物運賃が二三〇前後でございまして、全体の物価が六〇〇以上上昇しておりますので、そういう戦前と比較いたしますと、運賃の水準は低いわけでございますが、先ほど申し上げましたように、四十年からだけの短期間をとりますと、ここ数回改定がございましたので、やや運賃の上昇率が高いということになります。
  110. 山崎竜男

    ○山崎竜男君 いま戦前と比較をいたしますとまだ安いというお話でございますけれども、国際的な鉄道の運賃と比べますと、日本の国鉄の運賃はどのようなことになりますか。
  111. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) 旅客、貨物それぞれについて申し上げますが、国際鉄道連合会、いわゆるUICと申しますが、これの統計年報一九七一年の実績に基づきまして申し上げます。  まず旅客について申し上げますと、一人一キロの平均運賃、これを日本を一〇〇といたしますと、西ドイツは倍以上の二〇五という数字でございます。イギリスが一六六、アメリカの一級鉄道が一五四、フランスの国鉄が一五一というふうにに、大きいところは二倍あるいはほかの各国ともおおむね日本の国鉄と比べまして五割以上の割り高でございます。  次に貨物について申し上げますと、同じく国際鉄道連合会——UICの統計年報一九七一年実績でございますが、一トン一キロの平均運賃、これを日本を一〇〇といたしますと、西ドイツが二五一でございます。イギリスが一六七、フランスが一五二、アメリカの一級鉄道、これはいわゆるアメリカの鉄道の特殊性でございますが、七九というふうにアメリカの一級鉄道が日本に比べまして二割安くなっておりますほかは、五割以上の運賃高ということが諸外国の鉄道と比べましての実情でございます。
  112. 山崎竜男

    ○山崎竜男君 その数字はいまの運賃が上がったあとの数字ですか、それとも現行の数字ですか。
  113. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) これは現行の数字でございます。
  114. 山崎竜男

    ○山崎竜男君 上がった場合にはどうなりますか。
  115. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) これは先般イギリスにおきましても、鉄道が上がったという、これは七一年の実績でございまして、その後二ヵ年間の間に、イギリスにおきましては、確か昨年もことしも運賃改定をいたしております。またほかの国におきましても運賃改定をいたしておりましたので、これをそのまま日本の今度の改定した数字をもって比較することは、必ずしも妥当なものではなくて、先ほど申しました七一年の実績でございますが、もしそのままで、七一年の他の国の運賃といたしまして、日本と比べましても、改定後の日本を一〇〇といたしますと、西ドイツが一五八、イギリスが一二八、フランスが一一六、アメリカの一級鉄道が一一九。値上げいたしましても依然として日本の運賃というものは低位でございます。  次に、これを貨物につきまして、同じく改定後の日本の国鉄運賃を一〇〇といたしますと、西ドイツが二一一、イギリスが一四一、フランスが一二八、アメリカが六六、こういった状態でございます。
  116. 山崎竜男

    ○山崎竜男君 それはドル換算が三百八円のときの数字ですか。
  117. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) これはドル換算は三百八円でいたしております。
  118. 山崎竜男

    ○山崎竜男君 それで、日本の国鉄が諸外国の鉄道から比べて決して運賃が高くないのだというふうに、私は了解をいたしましたけれども、これは国鉄ばかりじゃなくて、トラックとかあるいはタクシーとかの比較もしなければならぬのでしょうけれども、いまのところ、私はそういうふうに了解しております。  そこで、国鉄だけは、たとえば道路だとか、あるいは港湾だとか地下鉄と違って、施設に対して政府の補助が全然出ていない。いわゆるランニングコストの問題が出てくるわけですけれども、この必要な負担も、このランニングコストを除いたほんとうの運賃だけにかかる負担をやるのがほんとうじゃないかという議論がしばしばあるのでございますけれども、これに対してはどのようなお考えですか。
  119. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) ただいま先生の御指摘のような議論があることは事実でございまして、国鉄の施設につきましても、道路や港湾と同様に、線路あるいは橋梁、駅舎、こういった施設の整備はすべて国でまかなって、国鉄としては、いわゆる利用者負担につきましては、運賃でまかなう部分につきましては、いわゆる人件費あるいは動力費それから修繕費、業務費、物件費あるいは架線、信号設備、車両、こういった整備に関する費用、いわゆるオペレーションコスト、これだけに限るべきである、こういう議論もございますことは事実でございます。そうすれば、運賃値上げ率は低く押えることができるのではないか、こういう考えでございます。  しかしながら、これを現在の国鉄につきまして当てはめてみますと、詳細にたとえばいま言った分を分析いたしてみた結果でございますが、そういたしますと、現在提案いたしております実収一五%と申しますものを上回る、実収二四%というものの値上げをいたしませんと、やはりオペレーションコスト、これが払えないという実情でございます。で、どうしてこういった率に押えたかということにつきましては、物価の情勢を十分考慮いたしまして、そうして必要最小限度、こういったものでございまして、先ほどお答え申しましたけれども、成立させていただきましたといたしましても、本年につきまして人件費と物件費をようやくまかない得る程度の運賃改定で、まことにぎりぎりのところのお願いであるという実情でございます。
  120. 山崎竜男

    ○山崎竜男君 いまの、ランニングコストをまかない得ないようなものであるというお話を、私は一応納得をいたしますが、今回の政府提案で、その問題とはまた別に、値上げ率の問題のほかに、貨物の赤字の問題が出てまいりまして、これは国鉄側から出たのでしょうけれども、三月六日に貨客別経営実績というのが発表されまして、それによると旅客は十億の黒字である、貨物は二千百五十三億の赤字であるというようなことがおたくのほうから発表されております。  そうしますと、何か国民サイドから考えると、旅客が黒字であるのに、貨物は赤字であって、貨物の赤字の補てんをわれわれ乗客がしなければならないのだという素朴な疑問がわいてまいります。そして、それに付随して、貨物は大企業に奉仕しているんだ、だから貨物運賃は上げられないんだという論議まで飛躍して考える人があるわけでありますが、この点の御説明をお願いしたいと思います。
  121. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) ただいまの先生の御質問、数回にわたりまして、私申し上げましたが、もう一ぺんひとつ詳しく御説明させていただきます。  国鉄におきます運賃体系と申しますのは、約百年間になりますが、これは沿革的に客貨を合わせまして、また全国にございます二百数十路線を合わせまして、全体の原価を全体の収入でまかなう、こういうやり方でやっておりまして、客貨別の原価あるいは線区別の原価あるいは列車別の原価というふうな、個別の原価に基づいた計算に立脚した運賃の立て方になっておりません。これが第一点でございます。  しからば、一体旅客運賃、貨物運賃の水準は何できめていくということを申し上げますと、これはまず一番大事なことは全国一律であるということ、すなわち東京でも北海道でも九州でも同じ運賃であるということが一つの原則である。したがって全体の収入で全体の経費をまかなうという意味で、その局部局部で申しますれば、旅客のサービス、あるいは貨物のサービスの面と運賃とは必ずしも一致しないということは、これは全国一律運用をやる以上は、やむを得ないことであるというふうに考えておりますし、したがって、こういうようなことは国鉄に限らず、全国一律の運賃、料金等をとっている場合におきましては、いわゆる企業の中における内部補助というふうに申しておりますが、内部補助的なものが出てくるのは当然なことでございます。  いまお示しの客貨別の原価でございますが、これは、それを発表いたしましたときにも、ずいぶん気をつけまして、その前提を非常に詳しく御説明いたしたんでございますが、結果の数字だけが出てしまいました。実は結果の数字は、私のほうではこれを時系列的に見まして、そして今後の投資問題あるいはその他の客貨の全体の営業方針等をきめる際の参考資料として、実は十年ほど前からとっておるわけでございますが、まず、これはきわめてわかりやすいかと思いますが、客貨別の原価と申しますのは、これは世界の鉄道どこにもございません。また日本の私鉄におきましても、御承知と存じますけれども、いまほとんどの私鉄が貨物輸送はやめましたけれども、私鉄の若干の鉄道会社はまだ貨物をやっておりますが、私鉄の貨物運賃と申しますのは、これは国鉄の貨物運賃と全く同じ運賃制度をとっております。もし客貨別原価というものがどうしても鉄道輸送上必要であるとすれば、最もそういうことに鋭敏な私鉄が、全く自分のほうの原価に関係のない貨物運賃というものを、国鉄の貨物運賃をそのまま使うということはあり得ない。その点から申しましても、客貨別原価というものは、非常に出しにくいものであるということが、これは世界のどの鉄道をとりましても、それが実態でございます。  まず国鉄から申しますと、やはり国鉄の現在に至るまでの営業方針というものは、どうしても旅客優先でございます。これは当然とは思いますけれども、鉄道は独占時代からやはり旅客輸送というものが主でございます。明治の初年の鉄道開闢以来、やはり通勤輸送あるいは都市間の輸送という旅客輸送というものに重点を置いていた。そうして旅客輸送の、非常に極端な言い方を申しますれば、合い間を使って貨物輸送をやっているというような感じでやっております。  たとえば、新しくダイヤを引く場合におきましても、まずまっ先に旅客の特急、急行群の筋を入れます。それから朝夕の通勤通学列車の筋を入れます。そうして余ったところに貨物の筋を入れるというふうなことになりますので、貨物輸送としては、やはり夜は走って、昼間営業活動、商業活動を行ないますので、夕方貨物を集めて夜走るということが、これはほんとうの貨物の本体でございますが、その夜の一番いい時間帯は、やはり寝台列車に回すというようなことになりまして、どうしても貨物輸送というものの、特に列車の関係から申しまして、非常に貨物がいわば虐待を受けざるを得ないというようなことが、まず営業方針としてございます。  あるいは、たとえば災害あるいは事故等によりまして、列車が相当とまるというような場合にも、復旧する場合には、まず旅客列車から復旧いたします。場合によりましては、災害あるいは順法闘争等によりまして、輸送が混乱いたします際には、どうしても旅客輸送を犠牲にするわけにはまいりません。場合によりましては、貨物輸送を五日、一週間痛めても旅客輸送をやるというのがたてまえでございます。その間の貨物のロスというものを原価的に、あるいは収入的に見て、それを旅客にかけることはできませんので、したがって、それは全部貨物の経費の増あるいは収入減となってあらわれてくるわけであります。  そういう意味の、営業方針として旅客優先である、これはよしあしの問題ではなくて、現実にそういうことをやっております。逆にアメリカのように、ほとんど旅客輸送のないところは、あくまで貨物優先でやっております。これは世界の鉄道が、おのおのの鉄道の置かれた事情によって違ってくるわけです。そういう意味で、日本の鉄道は、営業方針として旅客輸送が主である。したがって、その面における客貨の扱い方というものが同列でないということが前提になるわけでございます。  それから、その次に申し上げたいことは、ごらんのとおり、二万キロの鉄道の中で、ほとんど大部分が旅客列車と貨物列車が同じ線路の上を走っております。全然分かれております新幹線は別でございまして、ああいうふうにはっきり、線路も車も全然別であるという場合には、これはわりあいはっきりいたしております。すなわち新幹線でもうかっているということははっきり申し上げられます。しかし旅客列車と貨物列車が同じ線路の上を走っているという場合には、まずどういう線路をつくるか、あるいはどういう保安装置をつけるかということは、全部旅客列車を主体にして考えなければならないわけでありまして、その意味では、貨物列車を走らす設備から申しますと、相当ぜいたくな設備になっているということは言えると思います。たとえば速度も貨物列車は八十五キロから九十キロしか出さないのに、百二十キロ出せる線路をつくっております。したがって線路の投資も、あるいは保守費も全部これは百二十キロの列車が走っていいような設備にいたしておりますが、その分をやはり貨物列車が負担しなければいけないということになります。これをじゃあ八十キロ分は貨物で、あとプラス四十キロ分は旅客だという計算のしかたは、いかにコンピューターを使いましてもインプットができないようなむずかしい要素はたくさんございます。あるいは信号設備にいたしましても、貨物列車だけでございましたら、いまのような完全自動信号というものは必ずしもなくてもやれるというようなことにもなります。  そういうことで、非常に客貨共同して使う部分が非常に多い。約五〇数%が客貨共同して使うコストでございます。それを単に機械的に、列車のキロ数で割るとか、あるいはパンタグラフのキロで割るとかというような、簡単に計量できるもので分割するわけでございますので、いわば貨物列車のコストというものは、その数字にあらわれております貨物列車のコストの中には、当然旅客列車がもっと負担しなければならない分が入ってきている、これを排除することができないというふうな計算であります。  その二つの前提を置きまして時系列的に見ると、そういう計算になりますので、私どもといたしましては、その客貨別の原価計算というものは、運賃に直結するものではないということを、これは初めから申しております。昭和三十何年代に始めたときも、これは部内の管理指標といたしまして、時系列的に見るところに初めて意味があるというふうに考えております。  こういう前提でございますので、客貨別原価というものは運賃に直結するものではない。客貨別原価即運賃ではないということが、大体おわかりになったと思うのであります。しかしながら、やはりこれを時系列的に見ましても、貨物のほうは悪くなっております。これはいなめない事実だと思います。その理由は、やはり最近の、独占企業でございませんで、競争機関の面から申しますと、一時マイカーの伸びその他で、旅客列車は相当な打撃を受けましたけれども、新幹線の力でその打撃を徐々に克服し、また航空機の発展に対しましても、大体対処しつつあるわけでございますが、貨物につきましては、道路の整備によるトラックのふえ方あるいは最近のカーフェリーによります沿海輸送への転化あるいはカーフェリーによらないまでも、沿岸航路への転化というふうな、競争機関が非常に伸びてきております。しかも、これには先ほど先生おっしゃったように相当国家的な資本も入っております。  その意味で、鉄道の貨物輸送の競争力が非常に弱くなっておるということと、もう一つは、これは私ども内部の問題でございますが、昭和三十年代における投資を反省いたしてみますと、やはりどうしても旅客中心の投資をしてきたというふうに考えます。これは通勤輸送の上から申しましても、あるいは新幹線の投資から申しましても、これはどうしても三十年代から四十年代にかけては旅客輸送に重点を置かざるを得なかったというふうに思いまして、結果的に見ましても、貨物輸送のほうは相当旅客輸送のほうの割りを食ったような投資をされております。  したがって、百年間やってきたような古い形の輸送から脱却しきれておりません。まあ、脱却するどころではない、まだ半分、感覚的には相当大部分がまだ古い形の貨物輸送をやっておる。いわゆる鉄道しかなかった時代の貨物輸送をやっておる。すなわち鉄道の能率をあげることによって、設備を少なくする。設備を少なくするが、その反面鉄道の能率をあげる。その分だけ荷主に迷惑をかけるということになります。したがって競争機関ができれば貨物の出荷者は当然鉄道を捨ててほかの輸送機関にいくという、これはあたりまえのことでございまして、そういう現象が三十年の末から四十年代にかけて起こってきたということが一つ。  それからもう一つは、やはり運賃制度そのものもございます。これは私ども非常に古い従価等級制度、いわば税金のような運賃制度をとっておりますので、一級、二級という等級の高い貨物の運賃はトラックよりも自然に割り高になります。したがいまして、その部分はトラックにいってしまうというふうなことになってしまって、運賃制度そのものにも問題がございます。いま申しました輸送のやり方にもいろいろ問題ございます。そういう意味で、ハード面から申しましてもソフト面から申しましても、いま私どもやっております貨物輸送は立ちおくれておる。いまの日本の全体の経済発展のペースに乗り切れてないということもいなめない事実だと思います。  したがって、いまの御質問の趣旨にございますとおり、やはりもっと貨物輸送をよくしていかなくちゃいけないということ。これは当然のことだと思います。たとえば新幹線、これは一応第一の目的は旅客輸送でございますが、これをつくることによりまして、相当実は貨物輸送がよくなっているということを申し上げました。これは一例を申しますと、たとえば東海道新幹線をつくりまして約四十本近い列車を在来線から消しました。その消したあとは朝の通勤輸送とそれから深夜の貨物輸送に使ったということで、新幹線ができますればそれと並行いたしております在来線につきましては、相当貨物と通勤を中心にダイヤを組みかえることができるというふうな意味におきまして、今後新幹線網が全部にできてまいりますれば、いま東京−岡山間だけでございますので、それほど大きなあれはございませんが、これが全国的なネット網が組まれますれば、全国的な貨物輸送力については、相当大きな増強ができるというふうに期待いたしております。その他全体のコンテナ化の問題あるいはターミナルの整備の問題等いろいろございますが、そういった貨物輸送に対する今後の投資をいたしまして、そして貨物輸送をよくする。  一方自動車のほうは労働問題公害問題等でなかなか問題もあるようでございます。私どもといたしましては、一応十ヵ年間に、何とか現在の輸送量としては倍近いものを、倍以上のものを輸送するような設備にしなければいけないというふうに思っておるわけでございまして、そういう意味でもって、今後の十ヵ年計画の中では、貨物輸送に相当重点を置いて、そしてトラック中心の輸送からやはりコストの安い、速い、しかも正確な鉄道輸送に切りかえるという方向に持っていかなければならないというふうに思っておるわけでございます。
  122. 山崎竜男

    ○山崎竜男君 総裁がおっしゃられましたことは、私はほかでも拝聴したことがありますので、よく私自身はわかっているつもりでございます。  しかし冒頭に申し上げましたとおり、私は国民の声を率直にお話をしているのでございまして、こういうふうに新聞に出ますと、国民は活字の面から見ればすなおにそういうふうに受けとる。したがって、いま運賃法審議の最中にこういう数字がぽんと出ることは、私はこれはあとでも触れますけれども、国鉄のPRという面でまことに遺憾の面があったのじゃないか。数字は正直にこれは出すべきでありましょうけれども、それに対して一応の説明をしてくださらないと、国民側のほうでは、数字だけ見て、なるほど貨物が赤字じゃないかというふうに受けとられるということを申し上げたかったわけでございます。つまるところは総合交通体系ということになりましょうが、それはまたあとで申し上げますけれども、貨物の運賃をいまよりさらに上げると仮定をすれば、運賃の収支というものはよくなるんでしょうか。
  123. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 今回の、いまお願いいたしております運賃改定も、私のほうから計算いたしますと一五%の実収にしかならない。二四%上げさしていただきましても、それが一五%しか収入にならないということは、やはり運賃面における対抗力が少ない、あるいはほかとの競争がひどいということの証拠であるというふうに考えます。  これはいろいろな角度から、昨年並びにことしの提案いたします際にも、ずいぶん検討いたしまして、やはり実収率が高くて、しかも名目の値上げ率が少ないということが一番いいわけでございますので、いろいろそれを試行錯誤的に求めております。一五%、あるいはもう少し二七、八%上げれば一六%になるというふうな数字も出ておりますし、逆に一四%でよければもう少し少なくてもいい。いろいろな試行錯誤をやってみましたけれども、一応現時点におきましては、この名目の率と実収の率が大体一番能率のいいところである、しかも絶対額といたしまして、トラックその他と比較いたしましても、これならば一番歩減りの少ないところであろうというふうな、いろいろな角度からの検討によりまして、こういたしたわけでございまして、それにこれをさらに上げることによりましては、当然には実収はふえてまいりませんのでございます。一応さっき申しましたとおり、名目と実収と両方から詰めてまいりまして、そしてほかの交通機関の実態をよく見ました上で、この辺が一番いいところであるというふうな検討をいたしたわけでございまして、さらにこれを上げれば、二%上げれば一五が一七になるということではございませんで、この辺が最高であるというふうに考えたわけでございます。
  124. 山崎竜男

    ○山崎竜男君 貨物運賃を今回の案よりも上げるということは、なかなかむずかしいということでありますけれども、国鉄の貨物はそう言っちゃまことに失礼ですが、いつ着くかわからぬというのが国民の声なんであります。それに対してトラック輸送は指定された日に、指定された場所に着くという便があるということも、これは事実であろうと思います。  そういうことを踏まえますと、旅客と違った意味で、これからの国鉄の貨物輸送というものに対してある程度のビジョンというものが、私必要だろうと思いますけれども、それに対するお考えはいかがでございましょう。
  125. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 確かにただいま御指摘のとおり、いままで昭和三十年代の貨物に対する投資につきましてはあまり大きなビジョンなしに、いわばびほう的なことをやってきたということを率直に申し上げられると思います。やはり鉄道というものの持っている特殊性から申しますれば、相当大量であるということ、相当な高速であるということ、それから先生の御指摘のやはり正確でなければいけないということだと存じます。近ごろのような非常に流通問題のむずかしいときになってまいりますと、工場でもどこでも倉庫をほとんど持たない。ほとんど門から原料で入って、逆の門から製品で出ていくというふうな工場運用のしかたでございますので、やはり正確でなければいけないということが第一だと思います。  ところがいままでの私のほうのやり方は、いわば量でこなすと申しますか、なるべくまとめて送るというふうな思想が強かった。その証拠に、百キロに一ヵ所ずつぐらいは中小の操車場がございまして、そこでためて一ぱいになったらまた引っ張っていくというふうな、いわば宿場送り的な貨物輸送をいたしております。これではもうトラック、船の盛んになったいまではやっていけないことは当然でございますので、なるべく今後は、まず第一に列車形態といたしましては、直行輸送と申しますか、ちょうど旅客列車と同じように、発駅から着駅まで一本で行く、なるべく途中で休まないで行く、機関車のつけかえぐらいはともかくといたしましく途中でとまらない、途中の操車場へかけない、そうしてこれは、終点に行ってからこれは若干の分解はございますけれども、終点に近くなってから分けていくというふうな、いわゆる直行輸送体系にどうしても変えていかなければいけないということが第一だと存じます。  それからもう一つは、鉄道の持っている一番の弱点は、ドア・ツー・ドアの輸送ができないということであります。すなわち、どうしても駅まで荷物が来なければいけないということ、この弱点を補うにはいろいろ方法がございましたが、結局コンテナ以外にないというのが私どものいまの結論でございまして、コンテナ輸送につきましては、今後、相当本格的にやってまいりたいというふうに思っております。現在、まだ全体の貨物の一割前後でございますが、これを昭和五十一年度時点では二割とする、そして最後の時点では七割近いものをコンテナ輸送したいというふうに考えております。幸いコンテナの伸びは非常によくて、これは大荷主、中荷主、小荷主どなたでも利用できるようなコンテナのシステムになっておりますので、このコンテナ輸送を将来どんどん拡充していくということによって、一番の鉄道の欠点であった戸口から戸口へという輸送のできないことを、初めて今度これでもって本格的にやるというふうなことができるようになった。  それから、そういう具体的な輸送設備のほかに、やはり貨物列車のダイヤそのものを、先ほど申しましたとおり、もっと利用者に便利な、もっと利用者に利用しやすいような輸送体系に変えるということをいたさなければならないというふうに思っておりますが、それと同時に、やはりいま非常に貨物駅がたくさんございますが、ある程度この貨物駅を集約いたしまして、そのかわりその集約した駅は、非常に荷役の金のかからない、コストの安い荷役のできるような貨物駅をつくっていく、いわば貨物ターミナルをつくっていく、そのターミナルと市中の流通センターと一緒にするというふうな構想でもって、やはり貨物輸送というものを、世の中の物資流通の過程に入れなければいけないというふうに思います。鉄道の貨物輸送だけが単独であったのではやっていけない。やはり国全体、経済社会全体の中の物の流れの中にそれを乗せるということが、一番大事じゃないかというふうに考えます。  そういう考え方のもとに、いろいろな角度から、今後の貨物輸送の改善をはかっていくと同時に、やはり通運問題——鉄道は手足がございませんので、通運問題あるいはその他の倉庫の問題等を総合的に考えまして、鉄道の貨物輸送というものを、将来国の荷動きのやはり相当大きな重大な部局をになうものにしなければならない、これがごくラフに申しますと、私どもの貨物輸送の現在におけるビジョンでございます。
  126. 山崎竜男

    ○山崎竜男君 いま総裁から、貨物輸送のビジョンが打ち出されたわけでございますけれども、私は先ほどもちょっと触れましたけれども、昭和三十九年から国鉄がだんだん赤字になってきて、四十四年に国鉄の再建法というものが審議された。その時点で、私は早い時期に総合交通体系というものが打ち出されるべきであったと思うのです。そうすれば乗用車がふえて客車の客が少なくなるとか、いまの貨物の問題とか、そういうことが、もう少し早く何かいま総裁のおっしゃったようなビジョンに近づいておって、現在、いま少しはいい交通体系ができているのじゃないかと思うのですけれども、まあそういうことを運輸大臣に、総裁のそのようなこれからの貨物のビジョンその他のことがありましたので、これからも御支援をいただくようにお願いを申し上げますけれども、そういうことで、まあ今回の運賃改定はやむにやまれないものであるというふうに私は了解をしておるわけでありますけれども、案によりますと三年ごとに三回運賃の改定をしなければならぬということでございます。  それも一つの問題になりますけれども、また私ども率直に申し上げて、運輸大臣にお聞きをいたしたいわけでございますが、この運賃法が出されますというと、御承知のとおりのような委員会のあり方になりまして、なかなか運輸省のそのほかの法案が通るというわけにはなかなかまいらぬというような現状であると、率直に私思うのです。そうしますると、三年ごとに運輸省のほうでは、国鉄運賃法を出されたためにほかの法案が出せないなどというようなことになるのかならないのか。その辺、運輸大臣のお考えはいかがでございましょうか。
  127. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 過去の例を見ますと、山崎先生のおっしゃるようなことに確かになっておることは事実でございます。  今度の財政再建法では、閣議決定もございまして、具体的なそのときの経格情勢によりまして多少のこれは変動があると思いますけれども、十ヵ年間に数回の運賃改定をするということに計画はきまっておるわけですが、そうすると、三年ごとにいわば同じようなことを繰り返して、運輸省は航空もあるじゃないか、自動車もあるじゃないか、港湾もあるじゃないか、そういった分野における必要な施策を国会で論議をしていただくひまもないじゃないかというような御心配をいただいておると思うのですけれども、その点は全く同感ですが、今度のこの計画が幸いにして御理解を得て法律案も通り——予算は通ったわけですけれども、ということになりますと、これから先の問題は、三年先にまた同じような運賃の値上げの案が出てくるわけですけれども、全然これは新しい構想の上に立ったものではなくて、今度出しております十ヵ年間の計画の中における一つの段階でございますから、その段階における措置として、いいかどうかということはそれはそのときになって御議論を願うことはもちろんでございますけれども、昨年の場合、それからことしの場合と同じように、これはまあ全般的に見直していくのだというようなことにはならないで済むのではないだろうかというふうに考えておるわけでございます。  でございますから、今回のこの提案をいたしましたについては、できるだけ委員皆さん方にも、国民の方々にも内容を十分知っていただきまして、十ヵ年計画、これを一つのワンセットにして計画をお考え願いたいということをお願いをしているわけでございます。  いまおっしゃった点は、まことに運輸省としては、実際問題としては非常に苦心を要するところでございますが、何とかして、今度の機会にはそういう点について御理解をいただいて、十ヵ年計画の長期計画のスタートを切らしていただきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  128. 山崎竜男

    ○山崎竜男君 この案を拝見いたしますと、再建期間中の運賃改定による増収分がほとんどベースアップで消えるようなことになっておりますけれども、そういうような低い改定でこの再建計画が実際実行できるのでしょうか。
  129. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) これは、十ヵ年間の経済の見通しというものをいまから的確に把握して、数字的にも基礎を固めた計画というものは、いまどこにもないと思います。当面、経済社会基本計画におきまして、五ヵ年間の分は一応数字をあげて予想をいたしておりますけれども、それから先の分については、なおいろいろの経済事情、社会事情の変動がありまして、われわれがいまここで予測し得ないものもあることは事実でございますけれども、しかし、この十ヵ年の一応の傾向というものは考えられないことはないのでございまして、五ヵ年間はこういうふうに進むであろう、その次の五ヵ年間はこの程度でいくだろうというようなことは一応は予測できる。十ヵ年間の計画を立てましたのは、現在の再建計画関係法律にも大体十ヵ年間で案を立てなさいということが指示してございますが、その精神にのっとりまして十ヵ年間という案を立てたわけでございまして、また事実問題といたしましても、非常に財政状況が悪いものですから、短い期間にこれを再建させるというようなめどはなかなか立ちません、実際上。でございますから、十ヵ年の計画を立てて、その中で漸次国鉄の財政力を回復しながら、十年たちましたら、この計画でまいりますと償却後の黒字というものが予想されまして、これならば、この基礎ができればそれから逐次黒字に転じて国鉄の財政の再建もできるであろうし、この時点における国鉄の本来の機能の回復ということも軌道に乗っていくだろうというように予測をしたわけでございまして、この十ヵ年というのは、なかなか長くて将来の見通しが困難な事情はもうおっしゃるとおりでございますけれども、そういう意味で、実際問題としても短い年度でこれを回復するということは困難であること、それからいまの法律にもございますように、大体十ヵ年間ぐらいをめどにして財政再建をはかるのがいいだろうというような精神を受けてそういう計画をしたのでございまして、いまの計画でまいりますと、十ヵ年先になりますと黒字に転じて、国鉄の財政ははるかに健全化されるであろうという期待をもって、この案を提案をしているような次第でございます。
  130. 山崎竜男

    ○山崎竜男君 再建期間の最終年度である昭和五十七年には、借金の総額が三兆七千億から十一兆に、償却後の赤字が一兆二千億現在から一兆四千億に増加するということになっています。こういうことでは再建とはたして言えるかどうかということで、政府でもっと財政補助をしなきゃならぬのじゃないかと感じられる面もあるんですが、その点はいかがでございましょうか。
  131. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) 国鉄の試算によりますと、ただいま先生指摘のような数字でございます。しかしながら、今回の再建計画におきましては、いわゆる鉄道の体質の改善ということを根本としまして、新幹線あるいは複線電化あるいは貨物輸送のシステムチェンジ、こういった国土の総合的開発ということに対応いたしまして十兆五千億の投資を行なうものでございます。この際におきましても、昨年もいろいろ御審議いただきましたが、今回は三・五%まで利子補給を行ないます。また一兆五千億の政府出資これも昨年は一兆弱でございましたものをさらに政府の出資も厚くなりました。  そういったこと、あるいは過去の債務につきましても、四十三年度末の政府管掌債務だけでございましたものを、四十七年度末の全債務にあたりましてこれを十ヵ年間たな上げする、こういう措置をとりまして、一方におきましては過去の債務の圧迫を除去しまして、将来の建設につきましてもきわめて低金利、金利大体三%弱というようなものをもちまして工事を行ない、施策を行なっていくわけでございまして、ただいまの御指摘の債務残高が三兆七千億それが十一兆になるということ、あるいは累積赤字が一兆二千億から二兆六千億となるということは、御指摘のとおりでございますが、今後のいわゆる体質の改善ということによりまして、さらに今後の国鉄の運輸収入と申しますのは、現在の約四倍以上の五兆円というものを予想しておるわけでございます。  こういった体質の改善さらに輸送力の伸び、収入の増加、こういったことによりまして、ただいまの御指摘のような長期債務の増加あるいは累積赤字の増加ということは、一兆五千億の出資と、こういったことと相まちまして、私たちは再建期間の終了後におきましては、国鉄は十分に独立採算ということをとれるものであると確信をいたしております。
  132. 山崎竜男

    ○山崎竜男君 地方閑散線のことについて伺います。  先ほど国鉄総裁から貨物駅の集約というようなお話がございましたので、お聞きをいたしたいのですが、前に地方閑散線の廃止ということが相当やかましくいわれておりまして、八十三線二千六百キロだとか、運輸省では三千四百キロだとかいうようなことがございました。しかし私どものほうの北国では、これは最終的には地元の了解を得ればということであったと思いますけれども、北国ではなかなかこの地方閑散線問題はむずかしくなっております。現在はどのような作業をなさっていますか、お聞きしたい。
  133. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 昨年提案をいたしましたときと今年の提案では、その点について、実際政策の運用のしかたが変わってきたことは事実でございまして、昨年は、いまお示しのように、全体で三千四百キロぐらいのものを予定いたしまして、五ヵ年間かかって運輸大臣が漸次認定をいたしまして、自動車輸送に切りかえられるような部門はどんどん切りかえて、地方の閑散線を庁止していくという積極的な姿勢を打ち出したことは事実でございます。  昨年のこの問題についての国会の御審議の過程におきまして、各党の方々からもいろいろと意見が出まして、そういう乱暴な廃止のしかたは困るじゃないか、地方の閑散線という名前でも、いかにひまであってもやはり距離の関係とかいろいろの関係で、あるいは積雪地帯等におきまして、バス輸送に切りかえられない部分がたくさんある。そういったことから最後の国民の足を奪うようなことをしちゃあ困るじゃないかというような御議論があったのでございます。まことにごもっともだと思います。そういうわけで、そういった点につきましては、昨年における国会の御議論の大勢をよくつかまえまして、それに基づいて反省をして、今度はそういうように非常に大幅な地方閑散線の廃止ということについては方針を変えようとしておるわけでございます。  しかし基本的には、地方閑散線でむしろ自動車輸送に切りかえたほうが、住民の方々もそのほうがいいんだ、といいますことは、一日に三回、四回列車が通いますよりも、バスに直して回数も多くなる、そのほうが便利だというような地方もないことはないのです。そういったものは地元の方々の御要望を十分取り入れまして、そういう部分については路線を廃止いたしまして、そしてバス輸送に切りかえていくということは今度の案の中にも盛られておるわけでございます。しかし、それに対する取り組み方が昨年と非常に方針が変わったことは事実でございます。  今度はそういうことで、やはり国民の方々の最後の最後の足だけは守っていこうということでございまして、それならば非常に国鉄にその部分について赤字が出るじゃないか、それをどうするんだ、こういうことがすぐくるんだと思いますが、全くそのとおりだと思います。その点については、またほかの場合にも御説明をしなきゃならぬと思いますけれども、今度の政府の助成というものは個々の問題、これは非常に閑散線だから補助をしなきゃいかぬとか、あるいは通勤通学は引き合わないから、この部分は国鉄に対して特別の補助を出そうというふうに、個別的な原因によりまして、それに対する補助を個別的に考えていくという方法はとっておりません。そういう公共的な負担をする国鉄でございますから、全体を通じまして包括的な政府の補助、助成というものを考えようじゃないかということで、国鉄の全体の収支を見ました上で、さっきもお尋ねがありましたが、究極的には黒字になるようにということで、まあ全体を見て大局的な見地から助成、補助を考えておるというような方法をとっておるのでございます。
  134. 山崎竜男

    ○山崎竜男君 いま大臣からあたたかいお話を承りましたけれども、私どもの住んでおるところは雪が降りますもんですから、この閑散線、何といいますか、いま大臣がおっしゃられたように理屈では自動車の代替でいいじゃないかと、そういうところもあると思うんであります。しかし鉄道が通っているということが非常な民生の安定といいますか、安心感につながる。冬に雪が降って、道路がもうブルドーザーでもかけないようなときに、国鉄だけは何とかして動いてくれるというような安心感につながっておるということが、私、非常に国鉄と国民との間をつなぐのに、金銭的にはかえられない何ものかがあると思う。県民の皆さんから聞いてみますと、昨年からことしにかけて三日に一ぺんは違法なサボタージュが行なわれた、今度はまた運賃が上がるんだと、そして閑散線だからといって線は取っ払っちゃうんだと、踏んだりけったりじゃないかという素朴な議論も出てくるわけであります。  また先ほど総裁がおっしゃられました貨物駅の集約にしても、うちのほうあたりは、リンゴの集産地が多いんで、生鮮食料品でありますからなかなか集約された倉庫も何もないところへリンゴを野積みにしておくことができないというような事情もあったりしまして、そういうことで、私はぜひ、そういうことを国鉄の財政の上からやられるについても、やはり地元の方々の納得を受けて、そしておやりになっていただきたいということを、希望としてお願いを申し上げるわけであります。  それから、いまもちょっと話しましたけれども、私どもの小さいときには国鉄一家ということで、まあ地元の少年たちは国鉄に就職をするということが非常にあこがれの的だったんであります。学校にも入れてもらえるし、だんだん昇進もしていくというようなことであったんですが、最近は、先ほどお話ししましたように、国鉄の経営者と申しますか、あるいは労働組合との間に何か意思の疎通といいますか、私どもが小さいときに国鉄一家といわれておったような、そういう団らんのといいますか、あたたかい人とのつながりがなくなったように考えて、まことに残念なことだと私は思っておるんです。そういうことで、国民は先ほども言いましたように、ときどきサボタージュはする、運賃は上がるというようなことで、何といいますか不信感が出てくるということになれば、国民の私は信頼が得られなければ、この運賃の値上げというものも非常に困難に遭遇するんじゃないかということで、私も実はこの間、いわゆる順法闘争のときにぶつかりまして、盛岡の手前で汽車をおりたことがありましたけれども、そのときは、中に乗っておった車掌さんが、どういう指令があったのか知りませんけれども、ミルクとそれからサンドイッチを運んでくれまして、一人一人、どうもすいませんと言って頭を下げながら運んでくれた事実を思い出すんでありますけれども、何かそういうことですから、これは私の口から申し上げるのもどうかと思いますけれども、お話し合いをすればいいような感じもするわけでありまして、そういうことから国民の信頼を得るためには、やはり労使の協調ということを十分お考えになって、その上で、そういう事態になっているとは思いますけれども、私が一般の国民から聞いたことで、そのことを一言申し上げまして、これからの労使問題——総裁はいろいろ御苦心をされておると思いますけれども、ちょっとお聞かせくださればと思います。
  135. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 非常に一両年、労使問題がごたごたいたしまして、これが具体的な形になりまして、国民に御迷惑をおかけし、また上尾事件あるいは四月二十四日の東京の騒乱事件というふうな、非常に大きな事態まで発展いたしましたことを、まことに申しわけなく思っております。  今後、やはり国鉄を再建するのには金だけではできないということは、これは当然だと思います。やはり中で働いている四十数万の職員がみんな一緒になって、それだけの力を発揮するということがなければ、いかに税金でいただき、運賃でいただいても、これは同じことであるというふうに考えます。したがって、私どもは、こうやって財政的な面をお願いいたしますと同時に、その裏づけとなる人間の関係、労使問題につきましては、相当いろいろな具体的な方法を考え、真剣に今後の問題を考えなきゃいけないというふうに深く考えております。いずれにいたしましても、労使の間が何か壁がある、隔たりがあるということではいけないというふうに思いまして、いろんな角度からその方面の除去につとめてまいるつもりでございますが、一にかかってこれは私どもの責任でございまして、どなたにも申し上げる筋合いでなし、私ども自身の問題であるというふうに考えまして、今後全力をあげてその問題の改善につとめてまいりたいというふうに思っている次第でございます。
  136. 山崎竜男

    ○山崎竜男君 まあ組合の方々も累積赤字が一兆二千億もある中で、千二百八十六億の人件費をいま捻出しなきゃならんということですから、心情的にはやはり運賃法の問題に関して反対ばかりの意見でもないと思いますけれども、そういうことを踏まえて、総裁の今後の御努力をお願いしたいわけでございます。  最後に新幹線の問題に入りますけれども、といいますのは、御承知のとおり、東北新幹線、われわれ青森県にとってはこれはたいへんな騒ぎになっておるんであります。私ちょっとお聞きしましたところ、いままでの新幹線というのは大体が在来線と並行して走っている部分が多い。ところが、盛岡以北、青森まで行くときには、いままでの在来線と全然別個なルートを走ってしまうんだ、最短距離を行くんだというような話をちょっと伺いましたですけれども、そのような着想があるんでしょうか。
  137. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 新幹線は旅客輸送でございますけれども、全国の主要都市を最短時間で結ぶというのが構想の基本であることは、法律にも明示してあるとおりでございまして、御質問の趣旨がよくわかりませんが、そういう御質問であるとすれば、そのとおりであるというお答えを申し上げる次第であります。
  138. 山崎竜男

    ○山崎竜男君 まあそういうたてまえであるのはわかりますけれども、私どもとしましては、そういうたてまえがあるにかかわらず、いままでの——まあもっともこれは距離的な、地理的な問題もあるでしょうけれども、新幹線というのが在来線に並行してほぼ走っておったということで、今度青森県だけ何にもない野原のまん中を最短距離だからといって走るんじゃ差別待遇を受けているんじゃないかという議論が県民の中にありますことも、ひとつ御承知おきをいただきたいと思うんです。  それで、いま東回りにするか西回りにするかということは、これは審議会の答申もあるでしょうし、なかなかいま大臣の口からもおっしゃりにくいことだとは思いますけれども、私がただ希望だけを申し上げておきますと、先ほど国鉄総裁のお話にもありましたとおり、新幹線ができたために在来線が多少余裕ができたと、したがって貨物の輸送に非常に便利になったというお話が先ほどあったんですけれども、東北新幹線も太平洋岸ばかり通れば、在来線の太平洋岸、いまの東北本線の在来線があくわけでありますけれども、これは当然北海道−本州間の貨物輸送の大動脈になると思うんです。しかしその場合、あくまでも経済圏が東京とつながることになりますので、もう一本大阪とつながるような貨物列車の運送ということを考えれば、当然奥羽線のほうの在来線も多少の余裕を見なきゃならぬ。そうすると、やはり奥羽線といいますか、いまの新潟まで来る新幹線を日本海回りにして、そこにもう一本新幹線を通す必要があるんじゃないかと、これは将来の話ですけれども、私はそう考えているのですけれども、そういう希望が私どもの県内にあるということを大臣にお伝えを申し上げておきます。この問題はなかなかむずかしいことでしょうけれども、そういうことを将来、運輸省当局として、あるいは国鉄当局として考えていらっしゃる面もあるのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  139. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 今日まだ具体的にはきめておりません。ただ、この計画の際にも御説明をしておるのですが、ただいま調査をいたしておりまする新幹線の五つの調査線、これにつきましては、大体、この秋ぐらいまでには国鉄ないし鉄建公団のほうから調査いたしました結果を報告してくると思います。それに基づきまして、いまお話しのような点も十分考えながら、この東北新幹線を、あるいは北海道の新幹線をどこへ持っていくか、あるいは北陸をどうするか、九州をどうするかということを、具体的に整備計画としてきめまして、鉄道建設審議会のほうに出して、御審議をいただく段取りになるわけでございますが、そのほかに、この鉄道建設審議会のほうからもそういう要望がございまして、さらに、そのあとの新幹線についても、積極的に調査をしたらどうだということをいわれておりまして、この十年間の計画といいますよりもちょっとはみ出しますけれども、昭和六十年までの計画として、あと三千五百キロの新幹線を考えようじゃないかというような計画があることは事実でございまして、今度の十ヵ年計画の中でも、この五十七年度までの計画の中には、そういうものも入っておるわけでございます。それをどこにするか、これはいま私からまだ申し上げる段階ではございませんで、いまお話しのような東北のほうのこともございますし、あるいは山陰のほうのこともございますし、九州のほうのこともございますし、各地の状況を十分調べました上で、必要なところには新しく新幹線を延ばしていく必要があるだろうと思っておりますけれども、これはいずれ今度の調査五線の具体的計画がきまりました段階において、その次の問題として、どこを調査してもらうか、これはもう有識者の御意見を十分に聞きました上で、調査線をきめるように持っていきたいと考えておる次第でございます。
  140. 山崎竜男

    ○山崎竜男君 まあ大臣のお話に、私は希望をもって拝聴するわけでありますけれども、今回を含めて四回の賃金改定があるわけでありますけれども、それもただ、いまお話を承っておりますと、人件費の増額分、あるいは物件費の増額分にも満たないような非常な少額であると、外国の鉄道に比して決して高額ではないということがわかりました。しかし、先ほど私もちょっと触れましたように、国民の世論というものは必ずしもそれに全面的に賛成というわけでないということは、国民側にまだ伝わっていない点が非常にあると思うのであります。そういうことで、私は今後この問題に関して、国鉄なり運輸省なりが、もうちょっと国民側に十分納得いけるような、そういうPRを一生懸命していただきたいということを、最後に注文として申し上げまして、私の質問を終わらしていただきます。
  141. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 暫時休憩いたします。    午後二時五十六分休憩      —————・—————    午後四時五十四分開会
  142. 長田裕二

    委員長長田裕二君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  143. 伊部真

    ○伊部真君 先ほど国鉄財政再建特別措置法並びに運賃法の改正提案がありましたけれども、私は昨年この法案を審議をしましたときに、かなり.国民の批判がありました。それは国有鉄道が独立採算という形で進めることの是非の問題、特に最近のように、安全面が憂慮されると、昨年十一月に北陸のトンネル事故がありました。大きな事故を経験した今日、やはり独立採算よりも安全に輸送するという観点が重要なことではなかろうか、そういう国民の批判もあるところでありますし、あるいは貨物が赤字であるのに、その分だけ、他の輸送機関よりも高いといわれる旅客運賃がそれに肩がわりをする、こういう批判も、非常に国会の中では議論されたところでありますし、国氏の中でも世論としてそれがあるわけであります。あるいは、具体的な処置の中でも、十年間の再建の結果、ほんとうに再建できるような案であるのかどうか、そういう議論があったのであります。それについての具体的な反省と、意見に対する措置というものが行なわれず、ほとんど昨年の廃案のままに提案されているということに対して、私は非常に疑問を持たざるを得ないのであります。そういう点について、まず政府の姿勢を伺いたいと思います。
  144. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) いま伊部委員のお述べになったようなことは、われわれもよく了承しております。  今度の再建案を立案いたします場合に、われわれは、昨年この国会において御審議になりまして、その経過の中で各委員から御指摘になったような点は、できるだけこれを反省の材料として今度の再建案を立てたということは事実でございます。何ら反省の色がないじゃないかというような御議論のように拝聴いたしましたが、形は変わっておりません。しかし、その内容をごらんになりますと、非常にこの点は変えたつもりでおります。  初めにお述べになりました独立採算制の問題、これはいずれまた御意見も伺うこともあると思いますけれども、現在の日本国有鉄道法におきましては、何と申しましても、これは公共企業体の真意を貫いております。公共企業体というのは、これはまあ学者はいろいろな議論をされましょうが、一面、非常に公共性の強い企業体である。それに、公共性も持っておりますが企業性も持っておるということでございます。しかし、当初国有鉄道が発足いたしましたときとは違いまして、非常に公共的な方面の要求が強くなってきておることは事実でございますから、当初出発いたしましたときよりも現在におきましては、この公共性というものと企業性というものとが相関的な関係を持っておりまするが、いまおっしゃいましたように、純粋の独立採算ではやっていけない、でございますから、独立採算制というもの、つまり企業体としてのそういう独立採算制というものは、制度としてはそういうものを基本としておりますけれども、実際面においては、非常に国の助成、援助というのが強くなってきておるのでございます。  したがって、その面からいうと、もう今日では純粋の独立採算制ではないじゃないかといわれるかと思います。しかし、これは現実に国鉄に対する公共的な要求が強くなってきまして、それを処理しないと、国鉄の本来の機能が発揮できないということが明瞭でありますから、政府におきましては、昨年の提案とは中身は非常に変わっておりまして、非常に政府の助成を強化しまして、国鉄がこの公共性の強い要求に対応できるような内容の助成をしようとしておるのでございます。  それから貨物と旅客の関係でございます。先ほど山崎委員の御質疑に対しまして、国鉄総裁からもお答えしたとおりでございますけれども、これはまあ考えようだと私も思います。そういうふうな御意見もあることはよく承知しておりますが、国鉄は成立以来、総合原価主義をとってきております。したがいまして非常にこれは貨物と旅客を厳格に分けろといっても、なかなか分けられないという点もありますし、総合原価主義のもとにおきましては、これは一本で考えて、そして運賃の改定につきましても、総合的にこれを処理していくという方式をとってきておるのでございます。  これは単に国鉄だけじゃございません。ほかの部門でも同じようなことが行なわれていると思います。たとえば同じような公共企業体でございますけれども、電信と電話、これなんかも全国一律の料金体系をとっておりますところでは、同じようなことが言えるのではないかと思います。あるいは多少、これは例に引くのはそのまま当たらないかもしれませんが、NHKの受信料の問題、これなんかも全国一律の料金制をとっております。その他新聞等についても、ある程度同じようなことが言えるのではないかと思います。でございますから、私はこの総合原価主義というものについて、いろいろな議論があることは了承いたしますけれども、国鉄が成立以来、そういう総合原価主義をもって今日に来ておる、今日それを根本からくつがえすというようなことは、われわれとしてはとりませんでしたということを繰り返して申し上げておるわけでございまして、総合原価主義には総合原価主義をとるだけの沿革的な理由もございますし、それで御了解をいただく以外にはないと、こう思っておるわけでございます。  そういった点につきましては、あまり反省してないというおことばのようですけれども、私どもはこの国鉄の再建ということが目標でございまして、そのために必要な政府の施策というものを今度は十分いれまして、昨年皆さんの御審議の経過においてお述べになりましたことも、十分に考えながら、今度の再建案を提案をしているような次第でございます。
  145. 伊部真

    ○伊部真君 大臣はそう言われますけれども、昨年審議の中で、いろいろわれわれはこれに対する批判を加えましたし、世論としてもあがりました。  その具体的なことは、たとえば総合交通の問題の議論をして、そういう全体の交通政策の中に国鉄のあり方というものを位置づけなければならぬだろう、こういうことをわれわれ強く主張しました。それについては具体的に何も出てないじゃないですか。案の中にどういうふうに提示をされましたか。あるいはわれわれのほうでも、交通行政の中では、やはり道路、それから運輸、その他を結合させた一本化の縦割り行政がなければいかぬだろう、これは中身に入ってまた詳しく申し上げますけれども、トラックとの競合関係を考えたりすると、国鉄の再建というのは、赤字が出たからそこを埋めたというだけでは、これは何にもならぬことじゃないか、根本的に、やはりいままでの反省というものの中で、どのように流れを変えていくのか、行政はどのように誘導していくのかということがなければ、それは再建にならぬではないかということを、私らは主張したのでありますが、何も具体的にないじゃないですか。今度の再建案の中に、そのルールについて反省をして、たとえば交通省をつくるとか、たとえば輸送需要に対してどうするかというようなことが具体的にないじゃないですか。  それじゃもう一つ具体的に申し上げますが、輸送需要の問題でも私は再三申し上げました。輸送需要の起こってくる輸送量というものをどう見るかということです。これはいわば輸送機関というのは入れものですからね。入ってくる品物というものの見当がつかないで入れものの計画は成り立たぬと思うんであります。ちょうど昭和六十年、運輸省が正式諮問機関として出した運輸政策審議会の答申が約一兆七千億トンキロですよ。日本列島改造論で田中総理が言っているのは一兆三千億トンキロです。今度の昭和五十二年、いわゆる経済社会基本計画というので見ますと二倍そこそこですね。十年たったらどれくらいの荷物の輸送力になるのか、総量において、あるいは国鉄がその場合にやらなければならぬことはどの程度の量なのかという、そういう発想ではありませんね。全体の量が策定されて、そして国鉄の分担をすべきものが出てこなければいかぬと思います。そういう点についても具体的な内容がないじゃないですか。  あるいはなぜ国鉄が赤字になったのだと、それは競争力としてのトラックの問題があったと、貨物の場合なんかは、という議論があったけれども、たとえばトラック一トン当たり、一キロ当たりの社会経済効率の面で、どれだけの価格がかかって、国鉄の場合はどれぐらいかかるのかという、そういう面でほんとうに安いか高いかということになれば、それはそういう観点からやはり国としては荷物の誘導をしていかなきゃいかぬのじゃないですか。そういう問題についても中身がないじゃないですか。  まあ私は、おもな点を申し上げましたけれども、議論した中身が反省をされて、それに対する行政の処置と基本的な交通政策に対する指針というものがないじゃないですか。特に私は、問題にすべきだと思うのは、昨年からことし、この一年間に日本の経済情勢というのは大きく変わりました。その一つのテーマは物価問題です。物価に対する国民の不安というのは非常に大きくなりました。物価上昇の波を静めるためにいろんな行政措置が考えられると思います。今日のインフレ状態というのは国際的な環境からの国際インフレの問題もありましょうし、あるいは高度成長政策による成長テンポの問題もありましょう。これもやはりブレーキをかけていかなければならぬだろう、あるいは金融、税制の問題もありましょう。特に私は、公共事業あるいは民間投資、これが物価に及ぼす影響というものを考えなければならぬと思います。  いま一つは、重要なことは、やはり公共料金の問題です。私は前段の問題はまた別のところで議論するとして、後段の公共投資なり民間投資の問題、特に公共投資の問題で考えたときには、去年よりも工事計画をふやしておりますね。十年間の工事計画をふやしております。ことしブレーキをかけるのかどうか。公共投資をふやすこと自体が景気の過熱につながります。物価対策に非常に影響を与えると思います。いま一つは公共料金の問題、卸売り物価も一三%こえました。小売り物価でも一一%をこえて物価の上昇はどうなるだろうか、こういう不安があります。  私は、先般の物価対策特別委員会で田中総理に、田中総理は十月、十二月ごろになったら物価は静まるんではないかというふうな言い方をしたが、何を根拠に言われるのですかということを言ったが、具体的に根拠なかったですよ。それはあるはずがないですよ。いま政府の手元にあるのは新聞の値上げ問題です。電力料金の問題です。国鉄が上がったら今度は私鉄の問題も出てくるでしょう。どんどんどんどんメジロ押しじゃないですか。こんなときに一番大事なことは、政府自身がブレーキがかけられる公共料金、特に国鉄運賃は少なくともいまのこのインフレのあらしの中を避けるというのが政府の姿勢でなければならぬじゃないですか。せめてしばらくは、一年でも二年でも延ばして、その間にじっくり全体のインフレの問題だとか、物価対策の問題について動向を見きわめて、そのときもう一ぺん考えようということがなぜできないのですか。  そういう点で、政府が今度、昨年出したと同じような形で出してきたこと、これは私は、全く反省がないどころか、今日のインフレ政策に対して政策なしと言わざるを得ない、そう思いますが、大臣の見解を伺いたいと思います。
  146. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 物価問題についての政府方針は、きょうはお見えになっておりませんが、経企庁長官から政府方針を申し上げることになろうと思います。  私の担当しております範囲で申し上げますならば、こういう中で、国鉄の運賃の改定をなぜこういう機会提案をしたか、こういうお尋ねと思いますから、それに対してお答えをいたします。  先ほどもちょっと申し上げましたように、国鉄の財政の再建ということは、単に私は国鉄の財政の赤字をなくせばいいということではないのでありまして、これは前にも申し上げましたが、なぜ赤字をなくさなきゃならないかということですが、いま現在、あなたがおっしゃいましたように、輸送の事情というもの、社会の情勢というもの、したがって輸送の事情というものが非常に変化してきております。その中で国鉄の機能が麻痺してしまうということは、国民経済からいいましても、国民生活からいいましても、これはたいへんなことだと思います。それでこれをどうしたらいいのかと、自動車に圧倒されているといいながら、国鉄が旅客、貨物の日本の国内における輸送の、これは中心になっている、中核になっている機関であるということは、これは否定できないだろうと思うんです。だれが見てもやっぱり国鉄がなけりゃ困ると思います。その国鉄の機能が非常に、御承知のように、低下していることは御指摘のとおりです。でございますから、私どもは単に、赤字をなくせばいいと、赤字を黒字にすればいいんだというふうな単純な考えではなしに、国鉄が本来の機能を回復して、国鉄が国民から期待されているような輸送のサービスを国民に提供するような体質を早く回復してもらうことが先決問題だと思っております。  その方法の問題として、政府も、足りないとおっしゃれば足りないかもしれませんが、関係各省、これはもう鳩首協議をし、そうした上で可能な限りの国の財政支出というものにすることに決心をしたのであります。この内容をごらんになりますとわかりますように、政府がこの十年間で出そうという財政支出のほうは、昨年に比べて二倍ぐらいになっておると思います。しかし国鉄の赤字解消のために、必要なものは全部国から出せとおっしゃっても、これは無理だと思います。でごずいますから、国鉄の内部の節約とか合理化とかいうことも当然つとめなければなりませんが、それと同時に、国鉄を利用しておられる利用者の方々にある程度の運賃改定による負担をしていただくこともやむを得ない。で、ねらっておるところは、料金面におきましても、貨物面におきましても、国鉄が本来なすべき仕事が十分に行なわれていないという点でございまして、旅客面におきましても、これは都市間の交通、それから大都市中心としての通勤通学の輸送対策、いずれもおくれておると思います。貨物面においてはもっとおくれておると思います。あなたがさっきお述べになりましたように、このままでほっておきますと、ただ機械的に、これくらいの距離であれば、国鉄のほうが運賃が安くて得じゃないかと、こういうことになるのですけれども、国鉄を利用しないのはなぜか。それは国鉄の貨物輸送が近代化されないで、いつ着くかわからない、安定性がないというような仕組みになっているからでございます。その機能を早く回復させて、それで国鉄が、きめられたある時間帯ですね、定時に安全に確実に貨物の輸送ができるようになりますと、その国鉄の本来の機能が回復されたことになりまして、いまいたずらにトラックに取られておるような貨物輸送というものも国鉄のほうに回復できる道が開かれてくる。それがやはり国民経済の発展なり国民生活の安定というものにつながってくるはずである。こういうことを考えまして、国鉄の財政再建策というものを立てておるわけでございます。  でございますから、私どもはいまあなたがおっしゃったようなことはよくわかっておりますが、そういう点を考えながら、総合交通体系の中で、国鉄が本来果たすべき機能、役割りというものをどうして果たすか、どうして果たさせるかということを考えますと、こういうふうな財政投資も、これは財政投資多くなりますとそれに対する利息を払わなければならぬ、これはもうマイナスになるにきまっているわけですけれども、それもあえてやりまして、足りないところは国が負担しましょう、こういうことで財政投資をふやしたというような事情でございます。  その他、いろいろ詳しいことを申し上げますと、これは非常に時間かかりますけれども、財政投資をふやしたり、それに見合うような利子の補給をしたり、いろいろな点を考えまして、この再建計画を実行させてもらうと国鉄の機能が回復いたしまして、さっき申し上げたような、国民経済、国民生活の安定というものに対しまして、国鉄が本来果たすべき役割りが果たせるようになって貢献し得るだろう、こういうことをねらっておるわけでございます。
  147. 伊部真

    ○伊部真君 私は国鉄の貨物輸送にしても、諸外国の例を見ても必ずしも赤字になるというふうには思いませんね。それは設備投資その他の非常なおくれがあったと思うのです。私はそこら辺に問題があると思うのですよ。当然、昭和三十九年当時から、赤字になったときからその手を打っておれば、私は今日の赤字というものがなかったのではないか。いわば行政のおくれが今日の状態を生んだと、そのつけを十年間で八兆円、国民に回すということに私たちはどうも納得ができない。これは中身で議論をするとしても、それにしても今日の状態の中で、インフレの中で、インフレムードの中で、物価高の中で国鉄運賃を上げるということは、さらに理解ができないのです。  それで大臣、もう一ぺんお聞きをいたしますが、いま世論は、国鉄運賃がこんなときくらいはというのが私は世論だと思うのです。日銀総裁でも、国会に参考人で出られたときに、公共料金はと、暗に国鉄運賃を含めて、しばらく見送るべきではないかと言っておるじゃありませんか。先般の自由民主党の若手議員が、物価対策で、物価の凍結を考えるべきだということを総理に言ってるではありませんか。自由民主党内部でも言ってるんですよ。こんなときに、国民みんながそれを願い、自由民主党の内部でもそういう議論があるのに、どうしてこれを押し切らなければならぬのですか。どうしてしばらくこのインフレの物価の状況というものを見てやろうという考え方にならぬのですか。私はそれが納得ができないんです。去年出したから、そのいきさつでメンツがあって、ことしも出していこうというふうに受け取れてしようがない。日銀総裁の動きや自由民主党のこの動きに対して、大臣はどのようにお考えですか。
  148. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 日銀総裁がそういうことを言われたことも聞いておりますし、自民党の中にも、これは大きな政党でございますから、いろいろの意見がございます。しかし党といたしましては、この点は党議できめまして提案をするようにということでございますから、私たちは党議に従ってこの案を政府案ときめまして出しておるのでございまして、その点は内部のほうでいろいろ個人的な意見のある人があるかもしれませんけれども、党としてはきまったことです。  それから先ほど申し上げましたように、これはいろいろの情勢の変化に応じましていろいろの意見が出るかもしれません。先般本会議で趣旨説明をいたしまして、その際にも、皆さんから御審議をいただきましたときにも、総理からお答えしたと思いますけれども、そういう事情があるにいたしましても、内閣といたしましては、政府といたしましては、この国鉄のいまの状況は、これはもう去年の出したものがだめだったから意地になって出しているというような、そういう考えは毛頭ございません。さっき申し上げたとおりでありまして、いまの国鉄でも、これはもうほんとうに機能をだんだん失いつつあるという状況でございまして、このまま放置いたしますと、ますますそういう傾向が強くなってくる、国鉄の機能が失うようなことになるとたいへんだと、これは取り返しのつかぬことになるということで、内容を変えるべきものは変え、反省すべきものは反省いたしました結果、相当に内容を皆さんの御意見を入れて、充実した上で、今度の新しい提案をしておるわけでございます。
  149. 森中守義

    ○森中守義君 議事進行。  委員長・理事打合会はどういう決定をされたか聞いておりません。そこで私は、おおむね二点について、すみやかに理事打合会で答えを出してもらいたい。  その第一は、港湾法審議の際に、毎週火木二日の審議に対し、前の火曜日の午前中は一般行政調査、午後及び木曜日は法案審議、こういうことで話がまとまっておりました。しかし、このことはあくまでも港湾法に限るということなのであって、一体これから先の委員会の運営にこのパターンを繰り返していくのか。私の認識する限り、港湾法が終了したあとはもとに戻るということで了解をしておる。これが一体どういったように扱われるのか、これが第一点。  それから在来の委員会の運営は、開始が十時、終了が午後の五時もしくは五時半、こういうことをおおむねこの委員会及び他の委員会にも慣例としております。ところが最近の状態を見ますると、必ずしもこの慣例になっていない。もちろん状況に応じたという、こういう理事会の話等もございましょうけれども、無原則な運営というものは好ましくございません。  よって、この二点について理事会できちんと結論を出してもらいたい。これは委員としてのきびしい要望ということで受け取ってもらいたい。  そこで私は、大臣に二、三お尋ねしたい。法案提出の姿勢の問題であります。  これから具体的に関係委員からお尋ねいたしますから、むろん私の持ち時間もいずれ参りましょう。内容に入りませんけれども、特にこの際聞いておきたいと思いますのは、先ほど伊部委員からも昨年の反省ということが言われた。一体何を反省されたのか。端的に言いますと、昨年の廃案の経過を一体どういったように運輸省あるいは国鉄はお考えになっているのか。当時の状況あるいは新聞の論調等も少しく精密に見てまいりました。おおむね審議未了になったことは歓迎すべきことである、廃案になったことはよろしい、こういうことがおおむね出ている。これを惜しむというのはない。ところが、先ほど大臣は、いや、政府の助成率は従前の倍にしたんだ、これは変わっていると、こう言われる。けれども、法案の概括的な内容を見てみますると、四十七年度の欠損が約三千六百億、累積欠損一兆二千億、この累積赤字はどう処理するかというところにむしろ問題の本旨が置かれているような気がしてしようがない。これだけのことじゃないんですか。一体、昨年法案が流産をした、これに対する世論は、拍手は送ったが惜しむものはなかった。それなのに助成率を倍にしたらいいじゃないかというようなことでは、私は世論に対する運輸省及び国鉄の姿勢としては適当であるとは思っておりません。もちろん昨年は運賃の改訂によって一般消費者物価への寄与率はわずかに〇・三%程度である、たいした影響はありません、こういうことをたしか当時の大臣あるいは磯崎総裁からお答えがあったように記憶しておる。今日の物価の上昇はすさまじいものがありますよ。物価と公害というものはまさに国民の生活を異常な窮地に追い込もうとしておる。そこで、数字の上でコンマ三であろうとコンマ四であろうと、精神的な打撃というものは、あるいはそれに伴って一般消費者物価の便乗値上げ等ははかり知れないものがあるんです。かように考えてくれば、一体昨年の廃案をどういったように踏まえているのか、世論の動向をいかように認識をされているのか、議事進行ですけれども、きちんとこのことを答えていただきたい。せいぜい変わったと言うならば、昨年ちょうど審議開始のこの時間に、国鉄問題懇談会が策定をした基本計画、これをなぜ閣議決定にしなかったかという非常に大きな論争を出しました。今回はそのことが閣議決定になっているという変わり方は、内容において変わっていない。助成率は倍にしたと、こう言われるけれども、運賃改定は一緒じゃないですか。国民の負担というのは変わっておりません。全くお話しにならない。このように考えてみるならば、世論の動向、国民の運賃改定に対するきびしい批判というものをどのように理解をし、消化をし対応しようとするのか。これをひとつきちんとお答えいただきたい。  それといま一つは、昨年及び四十四年の際にも、単に累積赤字を消滅させるための運賃改定あるいは再建計画、こういう方向をとる限り、長期にわたる計画というものは、数年を出ずして破綻を来たすであろう、こういうことがそれぞれからきびしく指弾をされました。四十四年の場合そのとおり。はたしてこれより十ヵ年間に及ばんとする十ヵ年計画、この十ヵ年計画はいささかの変更もせず、修正も加えず貫けるという確証があるかどうか。出されている法案の説明、その他の資料では貫けるという実は確証にきわめて乏しい。よって、これはこの場で資料として十ヵ年間を間違いなく貫いていけるという確証、具体的な資料を御提出いただきたい。  以上私は、両案提出に対する政府のまず姿勢を明らかにしてもらわなければ、自後の質問は、具体的な内容に入ることがきわめて困難であります。その辺のことを大臣よりお答えいただきたいと思います。
  150. 長田裕二

    委員長長田裕二君) ただいまの森中委員の御発言は前半は議事進行で、後半は関連質問のように私は解釈しておるものであります。
  151. 森中守義

    ○森中守義君 議事進行だ。
  152. 木村睦男

    ○木村睦男君 森中委員の前半のこの委員会運営に関する議事進行の発言でございますが、森中委員の御指摘のように、港湾法の審議のときに限って火曜日は半分一般質問をやって、あと法案をやるというふうな、そういう問題についての理解が必ずしもわれわれと一致していないと思うのであります。  それから第二点の、委員会日における開始時間、終了時間等についての御発言もございました。そこで、すでに会期もあと二十日ぐらいしかないこの重要な時点でございますので、これからいよいよ重要な運賃関係法の審議をやろうというときでございますので、こういう問題を含めまして、今後の理事会において十分論議をし、協議をいたしたいと、かように思いますので、そのように委員長に取り計らっていただくようにお願いをいたします。
  153. 長田裕二

    委員長長田裕二君) ただいまの問題については、私もこの理事会ではかって、理事会で御相談をするというつもりでおります。
  154. 森中守義

    ○森中守義君 これは、私はそういう趣旨で要請したわけですから、別段異論はありません。ただこれは正規な委員会で議論をされたわけじゃない。毎度問題に供するのもどうかと思うが、会期末が迫っていると言われる。同時に港湾法が七十数日もかかっている。かようなことをいつか委員長もこの席上で言ったと思う。しかしこれは、社会党以下野党が意識的に、意図的に港湾法を引き延ばしたという、そういう例はありません。なるほど四月の中旬にこの委員会にかかりながら、自後は慣例に従い、委員長・理事打合会の決定に従って、きわめて自然な状態で私どもは法案の審議に当たっておりますから、何か会期末が迫っておるということは、きょう議了した法案を、いかにも社会党以下野党が、意図的に遷延せしめたような印象に私は受け取ったのであります。そういうことはない。むろん運賃二法についてもそういう意図を毛頭持つものではない。慎重に審議をして国民の負託にこたえたい、これ以外にはございません。ですから、一つの法案の審議が長引いたということを、いかにもそしるような意味合いの印象を受けるようなことは、私は遺憾でありますから、決してそういうことはないということをこの際明らかにしておくと同時に、委員長・理事打合会で、始めの時間、終わりの時間、週の前半は、火曜日は行政調査、木曜日は法案審査、こういったように、きちんとひとつ区切りをつけてもらうように、重ねてお願いをしたいと思います。よって、ひとつ大臣から法案の姿勢についてお答えいただいて、直ちにいま提案をした二点について、理事会を開いて御協議をいただきたい。
  155. 長田裕二

    委員長長田裕二君) いまの御提案については、後ほど理事会で御相談をすることにいたします。
  156. 森中守義

    ○森中守義君 いや、答弁後直ちにお願いしたい。
  157. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 私に対する御質問がありましたので答弁いたします。  変わってないじゃないか、反省の実があがってないじゃないかという趣旨のお尋ねがあったと思いますが、先ほども伊部さんに申し上げましたように一昨年審議未了になった案、これをこのまま持ってくると、反省もなかったじゃないかと言われてもやむを得ません。しかし、その当時、衆参両院を通じていろいろな御意見がありましたので、これはわれわれも速記録あとから何べんも見て、反省すべき点は十分反省をしたつもりでございます。  で、昨年ああいうことになったものですから、いろいろ国鉄の運賃改定についても、改定率をどうするかというふうなことは、当然問題になったわけですが、しかし昨年廃案になった以上にこの改定率を高めるということは、あなたもおっしゃったように、これは非常に困難であるというので、これは大体昨年の改定率を踏襲しております。それから国鉄が自分で節約をしたり合理化をする点でありますが、これも十分検討させました。させましたが、やはり限度があります。でございますから、今度はそれはそのままにいたしましたけれども、国鉄のいわゆる資産充当と言っている点ですが、この点については、国鉄自身が国鉄財政再建のためにもっと努力すべきであるということで、これについては、昨年提案をしたのと違って、数倍のものを資産充当して、国鉄も自己財源をつくるという努力をさしたわけですが、それ以上のことはなかなかできない、できないものですから、私どもは、そのあと政府がそれをしようじゃないかということで、かなり財政当局との間では激しい議論をいたしましたけれども、今日御提案を申し上げているように、一面では、いわゆる政府の出資もふやしております。それから国鉄の施設拡充のために必要な財政投資ですね。そういったものに、どうしてもこれは金利がつきまといますから、その金利の負担を軽減する意味で、金利を平均三・五%まで下げることにいたしました。それから全体の債務について利子補給をする道を開きました。そういった点。それからまた政府の出資を昨年と違って非常にふやしました。これは国鉄財政の上に非常にプラスになる点であると思っております。形だけ見ると、いかにも去年の案をそのまま持ってきたようでありますけれども、内容をごらんになると、いかにこの問題についてわれわれが努力をしたかということは、お察し願えるんじゃないかと思います。  それから森中委員がお述べになったように、実は一つの大きな問題であった政府の姿勢を示せということがありました。今度は私はこの再建案について、ただいまのところでは、閣議で了解を求めまして、関係閣僚もこれを了承しておるのでございます。いずれこの案が、かりにこの案のとおりに成立をいたしまして、この案が実行されるためには、この法律に基づき、再建の基本計画政府が閣議決定し、これに基づいて国鉄が再建計画を立てて、運輸大臣の承認を受けて実行される、このような段取りを経るわけでございまして、今度の前提としていま案を出しておるわけですから、閣議の了解ということで一応政府の姿勢を示したわけでございます。  そのほかにもこまかいことがたくさんございます。参議院段階でも御議論があったと思いますが、衆議院段階で特にやかましく言われましたのは、地方閑散線の整理の問題でございます。これにつきましても、先ほども申し上げましたように、方式は変わりませんけれども、内容におきましては、昨年と非常に違った考え方でこれを実行しようということにいたしております。ただ、その三千四百キロでございますか、三千四百キロのものを運輸大臣が設定をして、五年間にこれをばっさり切るんだというようなことは今度はしない、やはり地方の住民の足を、最後の足を守るためには、国鉄がそのために経営上赤字が生じましても、それに対しては国が最終的には助成、援助をするから、それは維持していこうというようなことも考えておりまして、これは昨年と違った点でございます。  その他の点、事務的にもたくさんございますけれども、以上申しましたようなことを、昨年の審議の経過から見て、反省すべき点は極力反省をして、案をあらためて提案をしているということを御了承いただきたいと思います。
  158. 森中守義

    ○森中守義君 大臣答弁漏れがあるんです。十ヵ年間貫けるという確証を示してください。——ちょっとお待ちください。そこで、さっき私は少し舌足らずでしたが、伊部君も言っておりますように、新しい経済計画ができた、これも、在来の経過を見ますと、数年ごとに経済の変動を生じて見直しをやっているんですね。ですから、今回の場合も、九・四%の年率成長を促すと言いながら、さて十ヵ年後における経済の状況はどうなるのか、非常に不安定ですよ。そのことを基調にしながらこの再建計画ができた。ですから私ども、列島改造を引用いたしますと海運で五〇%、やれトラックだ、国鉄だと、大づかみに総合交通体系というものをうたっておりながら、内容においては必ずしも詰めたものではない。しかも新しい経済計画の中に、国鉄の位置づけされているものは一体どのくらいなのか。一兆三千億トンキロという大体その中で、たしか国鉄は六百億トンキロだったと言っておるように思うんですよ。一体これで国鉄どうなるんですか。そういうことなどがはっきりしない。ですからこの際、間違いなく十ヵ年間を貫いていけるという確証あるものをお示し願いたい。これは口頭じゃだめですよ。何の修正も加えないで、十ヵ年間やっていけますよというその資料出しなさいよ。でなければ、また一年か二年たてば十ヵ年計画は手直しをします、修正をします、こういうことになったんでは、何のために大騒ぎやって法案の審議にわれわれ参加しなければならぬのか、意味がありませんよ。それをお示し願いたい。
  159. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 十年先に日本の社会、日本の経済が具体的にどうなるかということを数字をもって見通せというような御注文のようですが、これはなかなか正確には困難だと思います。しかし私どもは、これを出します上に、日分量で出したわけじゃないんです。やはり一応は経済成長率を見込み、それは五年間は、御承知のように経済社会基本計画というものによりまして、大体それと斉合をした輸送需要というものを見込んで、その中において鉄道が分担すべき輸送のシェアというものを考えながら計画をいたしました。それから先の問題については、いろいろの要素をいれまして、状況の推計をしたわけです。これも無計画なものではもちろんございません。  お手元には、おそらく事務当局からある程度のものを差し上げているかと思いますけれども、私どもは旅客、貨物と区別をいたしまして、毎年どういうように伸び率が出てくるだろうか、この伸び率に応じてどのくらいの人、どのくらいの貨物のトン数、これを運ばなければならぬだろうかということを試算をいたしまして、それを計画の基礎数字にしておることは事実でございます。全然無計画なものではございません。ただ申し上げますが、たとえばさっき伊部さんがお話になりましたが、たとえば運政審なんかでつくった昭和六十年までの推定の輸送需要があります。人についてもありますし貨物にもあるわけです。同じようなことがやはり経済社会基本計画においてもあります。それから総合開発計画においても試算をしております。これはいずれもいろいろな前提条件が違うものですから違うんです、結果は。しかし非常に似てもつかぬものかというとそうでもないんです。ある程度これは前提条件が違うにしたがって結果は違いますけれども、こういうことは、大体総合して考えますと推計ができるものだと思っておるわけでございます。  今度の計画におきましては、大体六十年ごろにはこれに対応して、大体旅客がどれくらいになるだろうか、陸上輸送で。それから貨物がどのくらいになるだろうか、その中で鉄道の分担すべきものはどのくらいだということは推計として出しておりますから、御質問がございますればそういったものについて、政府委員からも御説明すると思いますが、私どもがただこれを、何といいますか、目分量で算定したわけでも何でもない、そんなことでは再建計画はできないということはお話のとおりでございます。一応こういったものを、いろいろの前提条件はありますけれども、この前提条件において試算をし、推計したものをもとにいたしまして、こういうような政策をとってまいりますと、十年たったらば再建ができると思いますと、こういう計画提案しておるわけでございます。もちろん、その間にいろいろな経済事情の変化があると思います。それは閣議了解にも書いてございますように、また三年たちますと運賃の改定について見直さなければならない。その場合には、その時点における経済及び物価情勢を十分考えまして、その上で決定をするようにしたいということも書いてあります。これは絶対に、いま立てました一応の試算というものは、数字というものは確固不動のものではないということは私も了承いたします。しかし非常に根拠のないものか——そんな根拠のないものでは試算はできませんから、いま考え得るいろいろの条件を総合いたしまして、そうして推計をしておるものがありますということを申し上げておるわけです。
  160. 岡本悟

    ○岡本悟君 議事進行。  私も委員長にお願いがございますが、先ほども議事進行につきまして森中委員、木村理事お二人からそれぞれ御注文がありまして、きょうの委員会終了後の理事会におきまして、その件について十分検討してくれ、こういう御注文でございますが、私は与党委員の一人といたしまして、それにつけ加えて慎重審議、先ほど森中委員も言われましたが、慎重審議を尽くすという意味から、火曜日の定例日を法案審議に当てることはもちろんのこと、その他の定例日外の日におきましても審議の日をふやしてもらいたい。それからまた、時間につきましても、先ほど御提案があったのですが、こういう会期の切迫した時期であるということを木村理事から御指摘がありましたが、私も同感でございまして、やはり慎重審議を尽くす意味から言いまして、夜の十時でも十一時までもやるべきだと思うのでございます。  それから第一、審議に入ります前には、私はできるだけ委員長の配慮を理事会で精力的に詰めてもらいまして、審議日程を一応私どもにも示してもらいたい。と申しますのは、わが国の議会制度は、御承知のように会期主義をとっております。年がら会じゅうだらだらだらだらやっておる制度ではないのであります。一応御承知のように、通常国会は百五十日と会期がきめられておる。その間に付託された法案を審議する責務があると私は確信いたします。そういうことから申しますと、率直に言って、たいへん委員長を私、尊敬しておりますが、従来の会議運営については非常に不満です。どうかひとつ日程をなるべく早く詰めてもらって、そうしてお示しいただきたい。と申しますのは、私がかつて何国会でしたか記憶しておりませんが、運輸委員長のとき、やはり運賃法の審議をやったわけなんです。そのとき冒頭に、たしか森中委員ではなかったかと思うのでありますが、委員長、一体今後の日程は詰まっているのか、どういうことになっているのか——私はそのとき答えたんでございますが、いや実はまだ日程は最終的には詰まっておりませんが、この質問を継続してもらっている間に別途理事会を開いて、それは至急に詰めていただくことになっておりますから御了承くださいと、こう申しましたところ、森中委員はお聞き入れにならず、すぐ理事会を開いてその日程を詰めろ、こういう強い御注文がございまして、やむを得ず私は、涙をのんですぐ理事会を開いて、審議を中断いたしまして、そして日程審議に努力をいたしましたのを記憶いたしております。これは確かに森中委員の御記憶にあろうと思うのでございます。そういうことから申しまして、それは当然の御注文なんです。ですから大上段に振りかぶれば、わが国における議会制度というものは会期主義をとっておりますから、これは当然注文してしかるべきだと思うのでございます。これは森中委員もかってそういうことを注文されたんです。これは委員長の当然の職責ですよ。よろしくそのこともあわせてきょうの委員会終了後の理事会で詰めていただき、ぜひとも私ども委員に納得がいくように、したがって、また国民一般に、国会はなるほどよくやっているというおほめをもらうようにひとつ詰めてもらいたいということを強く要望しておきます。
  161. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 御趣旨はよくわかりました。そのこともあわせて理事会でよく相談して詰めることにいたします。
  162. 森中守義

    ○森中守義君 大臣、私はいま言われたような抽象的なお答えでは確証にならない。資料を出してくれと、こう言っているんですよ。出してください。出なければだめなんです、伊部質問は進みませんよ、それでは。  それと、いま理事会のことだから別段私も反論しないけれども政府が出してきた案件というものを、これは至上使命として、どれもこれも国会が拘束を受けてしなければならぬという、そういうふうになっておりませんからね。どういうものをどう扱うかということは国会の審議の手段であって、そこまで拘束されちゃ困る。そういうことを含めて、直ちに理事会を開いてください。
  163. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 理事会は後刻開きます。質問をお続けください。
  164. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 国鉄総裁から、国鉄としてこういうふうになるでありましょうという試算をしておりますから、その点は御説明をしたほうが適当かと思いますが、これは私は、よく知らなかったんですが、運輸省のほうから、御審議を願うについて必要な資料としてある程度の資料を出してあるそうでございますが、その中に、長期収支試算として、収入がどうなるか支出がどうなるかというその試算表を、十年間のですね、それが年次別に出してある、こういうことを報告しておりますが、なおこれが足りなければ、どういうふうな内容のものをどういうふうに出してくれとおっしゃれば、できるだけそれに沿って資料の提供はいたします。
  165. 伊部真

    ○伊部真君 私はね、いまの質問に対するお答えとしては不十分だと思うのですよ。なぜかというと、今度の案の中に、輸送需要の見通しは新しい経済社会基本計画に基づくというのですね、これが一番中心になっていると思うのですね。そうでしょう。これはいつできましたか、四十八年の二月ですよ。ことしの二月になって初めて出たもので、この案が出た基礎はいつかといったら、去年にもう出ているじゃないですか。そうでしょう。いわば、たまたまことしの二月に計画ができたからそれに依拠するというか、便乗しただけであって、それは基本の輸送需要の見通しになっていませんよ、それは便乗しただけのものですよ。私、去年も申し上げたのは、何を基礎にしているかということを申し上げた。質問をしたんですが、的確な答えがなかった。そうじゃないですか。新全総を根拠にして、運政審は一兆七千億トンキロというものを出していますよ。日本列島改造論で田中総理は一兆三千二百億トンキロというものを出しておりますよ。そして田中総理は一兆三千二百億トンのうち船に半分を輸送させなければならぬだろうと。陸上輸送はトラックではどうにもならぬだろうと、これは昭和四十六年の総輸送量を考えたら総トン数でいえば五十三億トンですよ。トンキロでいえば三千三百億トンキロですよ。それが四倍にも五倍にもなるということになったらたいへんなことだというんで、国鉄輸送を増強せなきゃいかぬと、こう言っているんでしょう。そういう筋道になっていますよ。それじゃ一兆三千二百億トンキロの田中総理の低目の数字を見ても、それに対して五十七年が国鉄の今度の案は一千四百億トンでしょう。その程度で二・何倍ぐらいの話でしょうが。それでつじつまが合うんですか。  だから私が申し上げておるのは、いまさらになって、いかにも経済社会基本計画が出たから、それを基準にしてという、この説明は私は資料はもらっておりますよ。それじゃ私たちは納得ができないのです。もっとはっきりした、やはり依拠するものを出しなさいと、出してもらいたいと、こう言っているんです。運輸大臣はいつもあれは運政審の一つの見方だと言いますけれども、運輸政策審議会というのは、見方の問題じゃないですよ、これは。運輸省がこれから運輸行政をやるための指標として依頼をして出た計数でしょう。あるいは新全総が、あるいは日本列島改造論のいう一兆三千億トンキロという数字は田中総理が言ったことですよ、いまだに言っていますよ。田中総理は。その中で国鉄はそれじゃ幾ら分担をせなければならぬと、独算制だとか赤字だとかいう問題じゃないですよこれは。荷物が、生産がされたら、そこでどうやって処理をするかということは、大きな私は命題にならなきゃならぬと思うのですね。そこから国鉄の輸送量というものを考えなきゃいかぬ。国鉄の位置づけというものがあるはずだということを、私は去年も申し上げた。そこの議論がなくて、国鉄のいま赤字が出ているから、こうやったらなるだろうと、つじつまを合わすために何ぼぐらいのトン数になるだろう、収入は何ぼぐらいになるだろうと、私は具体的に、まだまだ具体的な数字で言うなら、収入の面でも申し上げますけれども、国鉄の十年間だったら、今度は五倍も六倍も収入をふやしているんですよ。貨物輸送はふえるだろうという見通しですよ。いままでそんなにふえなかったのに。  そういうつじつまを合わすための数字だけを羅列されたんでは、これは資料になりませんよ。だから私は去年も言ったが、新全総に対して手直しをすると言った。経済企画庁のほうもこの手直しをされると言った。手直しをするということだけで、何にも私らのほうにはないんですよ。中身がないじゃないですか。五つの大きなコンビナートをつくるということも、推進するのかしないのかと言ったって答えがないじゃないですか。十三の中規模の工業開発計画についても手直しをするのかと言ったら、回答がないじゃないですか。そういうコンビナートの問題について、産業立地が変われば輸送の状態も変わるじゃないですか。数量の問題、立地の問題が変わってくるのに、それがちゃんと位置づけになくて、全体の輸送量が想定されるわけがないじゃないですか。国鉄の輸送力が想定されるわけじゃないですか。だから、ちゃんとした五十七年なら五十七年、六十年なら六十年の、少なくとも政府として責任を持てるような総需要というもの、輸送総量と、それの中における国鉄の役割り、位置づけというのはどれぐらいだという、そういう資料を出してもらいたいと言っているんですよ。計数は私はいただいております、文書は。
  166. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 私のほうで非常に有権的にといいますか、きめた数字は、経済社会基本計画に書いてある数字でございます。これは閣議決定をいたしております。で今回、いまのお話のように、きまったのは二月じゃないかと、先に予算きめているじゃないかと、こういうようなお尋ねでございますが、政府部内のこうゃう長期計画をきめますときには、そんなに半月や一月できまるもんじゃないんです。これはわれわれのほうの輸送計画というようなものとお互いに斉合をしながら、非常に長い期間かかってきめるものでございますから、われわれのほうのこの輸送計画を立案し、最終的に予算の決定をするまでには、そういう計画というものはお互いにそごしないように、これは斉合性を持たせるような努力お互いにするわけでございまして、経済社会基本計画とは、いまの国鉄の再建十ヵ年計画の初めの五ヵ年については、これは十分に連絡もとり、内容は調整をとってあるものでございます。  その後の問題どうするかというお話、これは先ほどお答えいたしましたようなぐあいで、これはいろいろな前提条件がございまして、運政審は運政審、総合開発のほうは総合開発のほうで、いろいろな前提条件がありまして、いろいろな試算をいたしておりますが、これはこういうふうな前提でいけばこうなるだろうと、こういう一つの試算でございまして、私のほうは、今度とりましたのは、それがはたしてそういう前提条件がいいかどうかということは、これは御議論を願ってもけっこうでございますけれども、経済社会基本計画で五ヵ年間はそれに対応した数字を出して、その上で前提条件を置きまして、そうしてあとの五年間については旅客と貨物について、輸送需要というものを試算をし、推計をしたということになっておるのでございます。具体的には国鉄の総裁から試算をした前提条件について御説明させますから、お聞き取りいただきたいと思います。
  167. 伊部真

    ○伊部真君 総裁の答弁を私は要求しているんじゃないんですよ。私が言っているのは、この国鉄の再建問題を考える場合の前提としては、やはり日本の経済の発展と、それから生まれてくる輸送の総需要というものの設定というものがなければいかぬのではないですかと言っているのですよ。そこから出発をして、道路の問題にしても、あるいは港湾設備の問題にしても、それを消化するための設備計画というものが出てこなければいかぬのではないですかと言っているのですよ。その一環に国鉄が位置づけられるのであって、国鉄だけがおれのところはこれだけ荷物を運ぶんだと言ったって、それは基礎にはならぬのではないですかと、こう申し上げておるんです。ですから、一番もとの総需要はどう設定をしているかということを言っているのですよ。それが前の法案審議のときもはっきりしたよりどころらしいものがないわけであります。  それじゃ、大臣は最近になって経済社会基本計画というものがあるという、それはことし二月つくったんですよ。しかもこの二月の設定は、先ほど森中委員も言われたけれども、九・四%という経済成長でありますけれども、田中総理が言っているのは一〇%なら三百兆円のGNPで、そして一兆三千二百億トンキロにわたる。八・五なら、それが二百兆円になるだろう、トン数については触れておりませんけれども。そういうやはり見通しというものがある程度なければいかぬと思うのですよ。それじゃ新全総が基礎になって一兆七千億トンキロがほんとうなんですかと聞いたら、あれは手直しするし、まだまだ不十分ですと、こういうのですから。  そしたら、五年間のことはよりどころがもしもあったとしても、それ以外のことはないではないですか。全体の日本の輸送総需要というものについての目安を何に依拠されるのか、その点を明らかにしてもらいたいと、こう言っているのです。そうでないと、国鉄の分担をすべき役割りというものはないでしょう、出てこないでしょう。
  168. 下河辺淳

    政府委員(下河辺淳君) 経済企画庁の仕事に触れられましたので、私から事務的な御答弁を最初さしていただきます。  先ほど運輸大臣が申しましたように、五十二年までの経済社会基本計画政府の決定したものでありますから、われわれといたしましては、この計画に沿って五十二年まで考えるわけでございますけれども先生指摘のように、この国鉄の仕事あるいは交通の総合体系を考えます場合には、もうちょっと長期の昭和六十年についてさだかな目標を立てて、それに基づいて整備をしていくということは、御指摘のとおりだろうと思います。そしてその六十年の構想につきまして、現在政府の部内におきまして統一されたものが現在できていないということも御指摘のとおりであります。  私どもといたしましては、できるだけ早い機会にこれをつくろうとするわけでございますが、私どもが現在作業しております中身が御参考になると思いますので、御説明申し上げたいと思いますけれども、昨年、私どもが新全国総合開発計画を総点検をすると言っていました時期と、今日、新全国総合開発計画を総点検したいということでやっておりますことに多少質的に変化があるというふうに私どもは思っております。昨年までは、実は御指摘のように、交通量をさだかに定めまして、それを輸送するために輸送施設をどう整備したらよいかということをむしろ中心に議論いたしまして、新幹線、高速道路、その他がどの程度整備されるかということを勉強していたことは委員もよく御承知のとおりであります。しかし、われわれこのごろにおきます検討といたしましては、むしろ水でありますとか、電力であるとか、あるいは交通需要がどの程度の限界性を持つかということについて勉強を始めておりまして、たとえば東京の通勤なんかにいたしましても、通勤輸送能力あるいは輸送サービスをどの程度まで改善できるかということが、むしろ一方では相当勉強しなければならない事項ではないかということを考えておりまして、それは先生先ほどおっしゃいましたように、大都市の人口がどの程度になるのか、あるいは産業配置がどの程度になるかということによって、輸送の形態も、量も相当違ってくることは御指摘のとおりでありますけれども、そのときに大都市の人口をどれだけに持つかという点では、国土の資源の有限性と申しておりますが、その限界性をよく把握した上で、その計画をつくるようにという御指摘もあって、現在検討しておるわけでありまして、予定といたしましては、できるだけ早い機会に、作業もだいぶ進んできておりますので、国土総合開発審議会を開かせていただきまして、そこでよく審議をした上で、政府としての中間的な態度を固めたいということで考えておるわけでございまして、考え方に、だいぶ去年とことしとに差があるということをひとつ御説明申し上げたわけでございます。
  169. 伊部真

    ○伊部真君 それで、私はその議論は当然だと思うんです。物価上昇にしても、あるいは資源問題にしても、新しい状況が出てまいりました。エネルギー資源の問題は、使ったらいい、早ければいい、効率がよければいいという状態から変えなきゃいかぬという問題も私はわかるんです。その意味では、私は日本の行政全般を見直さなければならぬし、あるいは発展計画それ自体についても見直さなければならぬということはわかるわけです。だからその意味では、むしろ十年の再建計画というものは無理だと私は思うんです。国鉄の再建の十年は、これだけの数量を想定して——それなら私は当然に十年計画というのは非常にあいまいなものになるだろうということはわかります。変えていかなきゃならぬこともよくわかるわけです。なぜそれなら国鉄は、十年計画を出されて、それを固執されるんですか。むしろ五年計画、三年計画ということで、当面の問題を考えて、長期の問題については、それは資金の面だとか、そういう面で政府が心がまえとして議論をしておくということは必要かもわかりません。それなら私は、見通しがない、見通しが非常に変化をするという状態なら、当然五年計画か短期に出直して持ってこられるのがほんとうじゃないですか、政府のほうは。それを含めて、ひとつ全部、いま申し上げた議論について部内で御検討いただきたいと思いますが、そういうことで次の機会にまで検討いただいて、御回答いただきたいということを要請して、きょうはだいぶ時間がおそくなりましたので……。
  170. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) いまの最後のお尋ねに対してお答えをいたします。  六十年まで的確に見通しができればそれにこしたことはないのでありますが、先ほど申し上げたように、非常に流動性がありまして、的確な見通しについては、まだできていないということは事実でございますが、ただ私たち、この計画策定いたしましたときに、やはり作業段階でも、経済社会基本計画をつくる段階で、この中にも、これはお読みになったろうと思いますけれども、大体六十年ごろの日本経済の経済社会の姿というようなものが想定されておることは、御承知のとおりでございます。こういったのを参考にいたしまして、そうして五十二年までは、こういう経済社会基本計画に基づいて——これも変わるかもしれません、ほんとうは。変わるかもしれませんが、いまの計画としては、それをもとにして国鉄の再建計画も進んでいくだろう。さらに今度は、それをもとにいたしまして推定をいたしまして、これはいろいろな条件がありますが、推定をした上で、あとの五十七年までの計画というものを試算をしたいというのが実情でございまして、これはおっしゃるように、それなら必ずそうなるのか、あるうなることについて政府は確信を持っていいはそるのか、こういうようなお尋ねがあるかもしれませんが、その点は、いまのところは、われわれのほうとしてなし得る限りの材料をもちまして試算をし、推計をしたという状況でございまして、それで再建計画をつくった。それなら五年になぜしないんだ、こういうようなお話もございました。これは申し上げるまでもありませんが、五年という期間では、国鉄の財政再建というのは困難でございます。いまよりか若干はよくなるかもしれませんが、この初めの五年間では再建のめどが立ちません。でございますから、これは必ずしも法律で縛ってあるわけじゃございませんが、現在の再建促進法でございますか、この法律におきましても昭和四十四年から十ヵ年間の計画を立てて、それで再建計画を実行したらどうかと、こういうことがございますので、昨年におきましても、そういう法律の趣旨をくんで、十ヵ年間の再建計画を出したものと私は考えるのですが、今度も事実上、国鉄の再建計画というものは三年とか五年とかの短期ではなかなか効果があがりません。でありますから、十ヵ年間の再建計画をもとにいたしまして、大体の目標をきめて、その目標に向かってあらゆる努力を傾注しよう、こういうことで十ヵ年間の再建計画を立てたわけでございます。
  171. 森中守義

    ○森中守義君 これは、私が要求した資料、伊部委員の要求したもの、同じですよ。それで、これはきょうここで議論してみてもちっともかみ合わない。端的な言い方をしますと、政府が出されてきている一兆二千億、これを十ヵ年間でどう始末をつけるかというところに計画の焦点がある。私どもはそうじゃない。ほんとうに再建計画をやるには社会発展計画、経済計画、これとの関連が十分でなければいずれまた破綻をする、こういう言い方をしているのです。ですからね、もうすでに六時回っておりますしね、理事会でひとつその辺のことも、資料も十分詰めていただきたい。これは出さなきゃだめなんです。それが出てこなければ。そういう意味で、きょうはこれで終わってもらいたい。
  172. 原田昇左右

    政府委員原田昇左右君) ただいまの御質問は経済計画との関連はどうかという点でございますが、先ほどからも大臣から話がございましたように、一応この四十七年の想定をいたします際に、経済社会基本計画の作業と、われわれの国鉄再建の作業の過程において十分な調整をとりまして、五十二年までは経済社会基本計画の数字をそのまま取り入れました。それから五十三年以降五十七年までの数字が経済計画としてないじゃないかというお話でございますが、この点については、経済社会基本計画で、長期展望というものを参考資料として経済社会基本計画の中についております。これによりますと、四十六年から五十五年でGNPの年率成長率が約九%、五十六年から六十五年で約六・五%程度の想定をいたしております。  こういう想定を十分参酌いたしまして、われわれの計画におきましては、これらの線に大体沿ったような形で全体のGNPが成長するとすれば、はたしてどうなるであろうかという作業をいたしまして計算いたしたわけでございます。  そこで全体の輸送量がないと国鉄輸送量の推定は絶対にできないかという点でございますが、もちろん全体の輸送量についていろいろ、まあ貨物輸送量について先ほどから御指摘のように試算はあるわけでございますが、政府として現在正確に出した数字はまだないわけでございます。しかしながら、大体いままでのそういった試算結果を参酌し、さらに先ほど下河辺局長からの話にございましたように、必ずしも全体の輸送量がなくても、国鉄としてのあるべき姿という線は出ておりますので、そういったものを参酌して一応の数字を出したということでございます。
  173. 伊部真

    ○伊部真君 委員長、時間の問題がありますからね……。  それじゃ一つだけお答えいただきますか、建設省のほうで。  昭和六十年にならずとも、今日時点でもうトラック輸送というのは非常に麻痺状態になってきてるわけでしょう。これはおそらくまあ、トラック輸送においても、全体の輸送が四倍から五倍になるといわれてますよ。入れものがありますか。トラックで、レールの上で輸送できますか。建設後はそういうふうにいまの四倍の荷物をトラック輸送でできるとお考えですか。もしもできないとしたら、その荷物は船へ行くのか、国鉄へ行くか、そういうことに直さなきゃいかぬでしょう。そうしたら、道路整備の計画いかんによって国鉄の輸送量というのは、これは自然発生的にふやすんじゃないですよ、能力をふやすという意味じゃなくて、よその面からこれは要求されるでしょうが。だから輸送力というのは、私は国鉄だけで総需要の予想というものはつかないだろうと言ってるんですよ。全体の荷物をどれぐらい想定をして、そこで船に何ぼ容量があるか、道路に何ぼ容量があるかと、そこから議論があって、国鉄というものはその中でそれだけはみ出たものはこっちへ行くということを考えなきゃいかぬでしょう。それじゃ建設省のほうでは五十七年——五十七年でけっこうです。国鉄さんは十年計画というなら五十七年。五十七年で今日のトラックを輸送できるような道路の建設はできますか、舗装ができますか。道路舗装も二〇%そこそこでしょう。その中で、いま二千二百万台からこえてる車というものの中で、トラックが四倍も五倍もなったときに——トラックはいま五百八十万台ありますよ。いま車全体は二千二百万台ですよ。もう一ぱいでしょう。道路の五ヵ年計画成って何倍になりますか、そしてトラックがどれだけの輸送力ができますか。私は建設省がいますぐにお答えできるなら議事進行ができると思いますが、それができないならあらためてもう一ぺん数字を出していただきましょう。
  174. 菊池三男

    政府委員(菊池三男君) 数字の問題でございますので、道路局長でございますがお答えいたします。  今度第七次の道路整備五ヵ年計画策定いたしました。これは先ほど話が出ております経済社会基本計画に基づきまして、昭和五十二年を目途にしております。私どもの五ヵ年と今度の経済社会基本計画とは同じ年次でございます。したがいまして、それが一番中心の数字でございます。  それから、同時にこれも昨年十二月に国土建設の長期構想というものを私ども立てております。これは昭和六十年を目標に数字を出してございます。ただいまの伊部先生の御質問は昭和五十七年のというお話でございますが、昭和六十年の数字は私ども持っております。ただ五十七年という数字がどうかと言われますと、ちょっとそれからまた中を詰めなければなりませんのですぐは出ませんが、昭和六十年時点の一つの目標は持っております。それと、今度の経済社会基本計画というものを、それをあわせ加味したものが私どもの考えております第七次の……。
  175. 伊部真

    ○伊部真君 それを出してください。それは、その数字を資料として出してください。
  176. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 資料は後刻——いまあればいま出したほうがようございます。いま手元になければ後刻出すように委員長からも要望します。
  177. 伊部真

    ○伊部真君 あるわけないでしょう。答弁できないのですよ。次官のほうで答弁してもらえるならいいですよ、それは。どのくらい輸送量があって……。
  178. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 議事進行について。無理な注文してもしようがないですよ。やはり運輸委員会の運営を実のあるものにしたいと思うし、そのために必要な資料というものは出していただきたいと思う。だから何も出された法案についてこれを質問だけして採決をすればいいという考え方に立たないのです、私ども。われわれは一体どうしたらいいかということを真剣に考えているから、政府の府よりもっといい案をつくることができればそれにこしたことはない。そのためにこの運輸委員会のこれからのルールをまずここで確立してもらう。で、出てない答弁をここで幾ら催促してみても始まらないから、その点はやはり必要な資料を出してもらう。それから、これからの運営の問題について理事会で相談をしてもらって、結論を出してもらう。そういうことからやったほうがいいと思いますから、きょうのところはこの程度で散会にして、理事会であとをおはかりいただきたい。議事進行について御意見を申し上げます。   (「異議なし」と呼ぶ者あり)
  179. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 誤解を避ける意味で一言私も申し上げますが、先ほど森中委員の御発言の中に、この委員会の運営について、五時ないし五時半ごろにやめることになっておったという点がございましたが、あれは、理事会にそういうお申し出があったことは記憶しておりますが、委員会の運営をそういうことにするという合意はなかったと思っておりますし、また、実績もそのようにはなっておらなかったと、そういうふうに思っております。誤解を避ける意味で申します。  本案に対する本日の審査はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時二十六分散会      —————・—————