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伊部真君 私は、いま
タクシー業界の問題点というのは、みんな感じているわけですよ。問題はそれにどう対処するかということだと思う。いま次官が言われた相乗り問題にしても、あるいは
企業内個人タクシーの問題にしても、非常に問題が大きいです。法的にも問題だし、これで解決つけるのかどうかということになると、逆行するんではないかという
意見もありましょう。私自身もあまり賛成しかねます。
しかしこの問題についても、もう少しやっぱり民主的に英知を集めるという努力をなぜしないのか。これは少なくとも相乗りの問題だとか
個人タクシーの問題だけにしぼってもそうでしょう。
労働省と
運輸省の間でも問題がある。
意見がある。相違が出てくる。あるいは
業界でも問題がある。あるいは労働組合の側にもいろいろ問題がある。いまそんなことの相違があるのに、何か思いついたからといってそれで強行するというふうな時代ではないですよ。あるいはまた問題点として、
タクシー業界の問題については、そういう問題で解決つく問題ではないと思いますよ。少なくとも英知を集めて、
業界も、あるいは組合も、そういう関係の人
たちがみんな
相談をしながら、これをどうするかという、そういう
議論をすべきときじゃないですか。
私はそういう
意味で、いままでの
運輸省のやってきたことというのは、かなり私は批判があると思うんです。ですから、この点はひとつぜひこれからの
行政の問題については、実行するのは現場の人
たちですから、その気になってこの
業界をよくするという気持ちにさせなければ、これは何もならぬのです。先ほど私が何べんも申し上げているように、形式があっても内容が全然違うというようなこと、そしてそれが手がつかないというふうなことは、それじゃ
行政不在といわれてもしようがないと思うんです。
法律があっても、それは
実態がない、ていをなしていないといわれてもしょうがないと思うんです。だからそういう
意味で、これからひとつぜひ、もっと民主的なというか、形を整えて、ものごとを、
法律にしても、
行政にしてもやっていく、特に
タクシー業界のことはぜひそういうことをお願いしたいということを申し上げておきます。
いま、もう一ぺん
議論を戻しますが、オール
歩合と一連のもの、根は
一つと言っていいと思うのは、
リースの問題。
リース問題は私も何回もこの
委員会で取り上げておりますけれ
ども、どうも形態もまちまちでありまして、したがって私がしろうとだから、こういう形態のときはどうだといって
自動車局長に言うと、うまく逃げられてしまうんで、どうも
リース制度というものについての確固たるものがつかめないわけです。
で、それに対してつかめないものだから、これがいいのか悪いのかという点についての
議論も非常にかみ合わない。たまたま私は、きょう印刷物を現地のほうの人
たちが持ってまいりましたので、それをプリントして見ていただこうということでプリントを出しました。
一つは
下関タクシーの問題。もう
一つは、
名古屋の
陸運局の
企業内個人タクシーの問題ですが、これは時間的にちょっときょうは無理だと思いますから、ひとつこの
下関の問題にしぼって申し上げ
議論したいと思います。
名古屋の
企業内個人タクシーの問題は後日に譲りたいと思います。
そこで
下関の問題でありますけれ
ども、これはいまのオール
歩合と同じようなことなんでありますけれ
ども、根が
一つだと申し上げたのは、この
業界は、いままで普通に固定給あるいは
歩合給という形態での運営をしてきたのであります。ところが、ほかとの関係で刺激をされてか、
リース制度の採用ということを
経営者は思いついた。この
リース制度の採用を思いついて、組合に提示したところが、組合のほうでは、これは困るということであります。そうしたら、それが理由になって争議が起こって、いまストライキに入っているということであります。形はそうなんでありますが、内容的に見ると——これをひとつ見ていただきたいのでありますが、これの二枚目から三枚目のところにありますが、一カ月に一人当たり九万五千円
経営者に渡すんですね、持ってこいというわけです。これを基本経費と言います。それ以外に走行経費というのがあるわけですが、これは燃料だとか、あるいはタイヤ、チューブ、あるいは車庫使用料というのもあるんでしょう。これが何ぼかある。あわせてこれだけ出す。
で、特に私は、この中で基準法
違反として明確であるのは、たとえば年休取ったら、その九万五千円に加算せいということです。これはうしろから二枚目のところに「年次
有給休暇」の欄がありますが、「その支給額は基本経費に加算する。」とありますね。いわゆる九万五千円に、年次休暇を取った者は平均給与を足して、そして
経営者に納めるということですから、これは明らかに
有給休暇ではないわけですよ。これは
労働省でも、明らかな基準法
違反だと思う。
いずれにしても、こういうことになりますと、本人は九万五千円
会社へ納める、あるいは走行経費が二万円としたら、十一万五千円納める。
あとの
責任は本人になりますから、どうしても走り回るということになります。これは明らかに
リース制度でありまして、これの内容が
労使関係であるのかどうかというのも問題になるような非常に重要なことだと思うのです。
そこで私は、これらの契約をめぐって、大きな点では
労働省のほうに幾つかの疑問があるわけです。きょう私は、
責任者がおいででありませんから、きょう即答を求めようとは思いません。ひとつ回答を次の機会に出していただきたいと思いますが、この
下関のこういう契約を結ばれたときに、これが
労使関係と言えるのかどうか。
労働者といえるのかどうか。たとえば争議が起きて、労働
委員会に持っていく。これは労使問題であれば労働
委員会で取り上げるでしょうね。その場合には、これは労使問題かどうか。そこは労働組合であるのかどうか。
労働者であるのかどうかという認定をせなけりゃならぬでしょう。これについて、
労働省としての見解はどうなのか。
それから基準法上からいっての
労働者という
立場であるのかどうか。この
二つは非常に
議論の多いところでありますから、私はきょうここで即答を求めるというのは、直接の
責任者でもありませんから、ちょっと差し控えておきますが、いわゆる労働法上からいう
労使関係、
労働者であるのかどうかということ、基準法上からいっても、同じ法を受ける
労働者であると認定できるのかどうか。これは
名古屋の
陸運局のこの
企業内個人タクシーの場合でも同じようなことが言えると思いますから、その点も後刻ひとつ調べておいてもらいたい。調べるといいますか、見解を統一してもらいたい。私は私なりの見解を持っていますから。
さあ、そういう非常に背景としては重要な背景を持つわけであります。この
判断というのは、たいへんに日本の労働界あるいは
労使関係に重要な私は問題点を投げかけると思うんであります。ですから、単にこれは
下関の問題だ、
名古屋の問題だという問題ではないと思います。で、そういうことがいいのかどうかという問題もあるんでありますけれ
ども、いずれにしても、こういうふうなことが出されて争いになりました。さあそこで、私は次官にお聞きするんですけれ
ども、これは明らかに基準法
違反の条項です。同時に、こういう形というのは、
責任の所在が非常にあいまいですね。事故が起きたときの
責任はだれが負うのか。これを見ると、何か
個人が
経営しているようなかっこうに見せているわけでしょうね。そういう非常に問題が多くて、基準法にも違背をするし、あるいは
道路運送法上による名義貸しであるのかどうかというものについても非常にデリケートな
状態です。だれが見ても、これは好ましくないということだけは言えると思います。だれが見ても、どこから見ても、法上からいっても。
法律違反を含めた好ましくない業態というものを片方で提示をして、それを認めなければ、それをのまなければこの
経営はもうやめだというのが、いまの
下関の
タクシーの問題です。
法律違反を明らかに天下に明示して、そうしてそれをのまなければ、おまえ
たちは争議やってもしょうがない、
営業を停止する、こんなことが、いわば脅迫が、どうかつが、目の前で行なわれているということ。この見解に対しては、現地の
陸運局長は、まあ現地のこの広島の
陸運局長というのは、私は常々非常に敬意を表しているんです。非常に熱心に、この問題についても、あるいはその他の問題についても、
行政面で非常に熱心にやられているということの努力は、私は敬意を表します。ですから
局長の悪口を言うつもりはありません。むしろ
局長は非常によくやっていただいて、努力をしているというんで、私は非常に敬意を表しているんでありますけれ
ども、言わざるを得なかったんだろうと思いますけれ
ども、この問題は、
道路運送法上、あるいは
運輸省の諸法規から見て
法律違反ではないので、非常にこれはむずかしいという表現をされた。ただ
免許を、そういう争議の途中にその
免許取り消しの
申請が来たけれ
ども、
経営者のほうの言い分だけを聞くわけにいかぬということで、いまとめていただいているそうであります。だから、そういう
意味では、
行政上現地の
行政官は非常に努力をされているし、善意を尽くしているということには、私もそれなりに評価をするわけですけれ
ども、しかし、まあいずれにしてもこういうことが行なわれて、どこが無理押しをしているかということ、
法律をどこが破ろうとしているかということは明確であります。誤った事業者の提案による長期ストが起こっている。長期ストになると、やはり
生活に追われる
労働者が弱くなることも当然です。そんなことが、これが方々で行なわれてきたら、たいへんなことじゃないんでしょうか。
で、これは
一つには、やっぱり
リース制度に対する本省の、あるいは運政審の
答申を背景にしたやっぱりこの見解が非常に甘かったから、そこら辺がやっぱり業者のほうでつけ込んできたんではないか。つけ込んできたのか、そこへ活路を見出してきたのか、いずれにしても、そういうふうなことが背景としてあるんではないかというふうに思うわけです。この現状を私、その後知りませんが、こういう争議が起きていることに対して、御見解をいただきたいと思います。