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1973-06-14 第71回国会 参議院 運輸委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年六月十四日(木曜日)    午前十時十分開会     —————————————    委員の異動  六月六日     辞任         補欠選任      瀬谷 英行君     加瀬  完君      森中 守義君     藤原 道子君  六月八日     辞任         補欠選任      藤原 道子君     森中 守義君  六月十四日     辞任         補欠選任      森中 守義君     藤原 道子君     —————————————   出席者は左のとおり     委員長         長田 裕二君     理 事                 江藤  智君                 木村 睦男君                 小柳  勇君     委 員                 岡本  悟君                 黒住 忠行君                 菅野 儀作君                 橘  直治君                 松平 勇雄君                 渡辺一太郎君                 伊部  真君                 加瀬  完君                 杉山善太郎君                 森中 守義君                 三木 忠雄君                 山田  勇君    国務大臣        運 輸 大 臣  新谷寅三郎君    政府委員        環境政務次官   坂本三十次君        環境庁水質保全        局長       岡安  誠君        運輸政務次官   佐藤 文生君        運輸大臣官房長  薗村 泰彦君        運輸大臣官房審        議官       原田昇左右君        運輸省港湾局長  岡部  保君        海上保安庁長官  野村 一彦君    事務局側        常任委員会専門        員        池部 幸雄君    説明員        水産庁長官官房        参事官      前田  優君        運輸省港湾局管        理課長      鈴木  登君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○港湾法等の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 長田裕二

    委員長長田裕二君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  委員の移動について御報告いたします。  瀬谷英行君が委員辞任され、その補欠として加瀬完君が選任されました。
  3. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 港湾法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 伊部真

    伊部真君 前回に引き続いて質問をいたしますが、きょう実は時間をかなり要求したんでありますが、制約があるようでありますから、したがって、ポイントだけひとつ抽出をしてお聞きをしたいと思います。  まず、新しい法律条文の二条の九、この中に  「港湾公害防止施設」という項目があります。その項に「その他の港湾における公害防止のための施設」と、こうあります。ここにうたわれておる公害というのはどの範囲をいわれるのか。いわゆる公害基本法水質大気汚染あるいは土壌が入るのか、悪臭が入るのか、そうしてそれを防止するための施設というふうに書かれておるが、その施設というのは、どのような施設を設置をされるということをお考えなのか、これはこの法案策定にあたって、環境庁のほうも参加されたと聞いておりますので、ここにいう公害という意味は、どのような範囲考えて、この条文に入れられたのか、その点、環境庁港湾局と両方にお答えをいただきたい。
  5. 岡部保

    政府委員岡部保君) この法律の原案をいろいろ協議いたしました際の責任者でございますので、私のほうからまず御説明をさせていただきます。  ただいま先生の御質問のございました公害という問題、港湾公害防止施設というのの公害というのは、一体いかなる公害をさすのかという御質問でございますが、この公害定義といたしましては、私ども特にこれこれのものだけに限定するという考えは持っておりません。いわゆる公害対策の基本的な考え方基本法考え方から申しましての公害という一般的な意味でここに使っております。  ただ、具体的にと申しますか、現実的な内容というものにつきましては、水質であるわけでございます。現実港湾汚染の一番問題なのが水質の問題でございまして、何と申しますか、水の汚染という意味で私どもはこれを考えておる次第でございます。  したがいまして、後段の御質問にございました、どういうことを考えておるんだという点について少し述べさせていただきます、現行法でも御承知のようにいわゆる港湾区域内の、あるいは臨港地区におきましての港湾施設というものを良好な状態に維持するということは港湾管理者業務でございますけれども、それ以外で現在では船舶航行支障のあるものの除去というものは含まれておりますが、船舶航行上特に支障のない、いわゆる一般の環境保全が含まれるかどうかという点については、現行法では明確ではございません。したがって、この改正案では、いわゆる水域の清掃その他汚染の防除というものを港湾管理者業務として明定をいたした次第でございます。  したがって、先ほど申しましたように、水に関係するということが主体でございまして、しかも現実の問題といたしましては、水に汚染を与えておるいろいろな物質の除去等についての問題を中心にしておる。したがって、こういうような廃棄物処理のための焼却施設でありますとか、あるいは破砕施設でございますとか、こういうものを港湾施設として考え、そういうものの運営というものを港湾管理者業務として新たにこれにはっきりつけ加えようというような考え方中心でございます。
  6. 伊部真

    伊部真君 私は具体的にお聞きをしたいのですが、当然、浮遊物としての油だとか、航行に直接関連をするものとういものはわかるわけです。しかし、いま問題なのは、港の中にある有機水銀なり、あるいはPCBなり、いろいろな問題が出ているわけですね。港湾の中のやはり管理をするもので、しかもこの条文の中に公害除去というふうに一項ある限りは、当然私は、守備範囲がどの範囲かということが明確ではないのですよ。これは排出責任者である事業者の負担も原則でしょう。しかし港自身がよごれているという事実は、自分らの守備範囲の中でよごれているという事実については、これは掌握をする義務があるし、それを除く義務があるという意味でこの条文が入ったわけです。そうすると、いま問題になっておる——何が出るかわかりませんが、いま当面、有機水銀なり、あるいはPCB汚染だとか、あるいはヘドロだとかという問題が出ておるわけです。こういう問題については、当然、運輸省のほうで港湾内の問題についての処理は、あるいは監督運輸省責任を持つという意味でとっていいのかどうかですね。
  7. 岡部保

    政府委員岡部保君) ただいまの具体的な御質問でございますので、具体的にお答え申し上げますが、たとえば現在問題になっております汚染されたヘドロ処理の問題、これはまずこのヘドロ処理といいます以上、すでにヘドロができてしまったと、要するにそういうような公害を出す前にそれを押えるというような問題、これはいわゆる環境庁なり何なり、いわゆる公害防止するという段階での問題でございますが、すでに出てしまったこういうものについてのヘドロ処理というものを、具体的に申しますならば、これは港湾管理者が本来港湾区域内の海底土質ヘドロ処理であるという場合には、本来的に港湾管理者がこれを実施するべき考え方に私ども立っております。したがって具体的に申しますならば、たとえば水俣湾海底土質ヘドロ処理というような問題につきましては、これは運輸省港湾整備事業の中で、公害処理対策事業としてこれの処理を取り扱うということで、いわゆる補助運輸省補助をするというたてまえ、実施する機関は港湾管理者である熊本県であるというふうに考えて、ただいまその作業をしている最中でございます。まあそのように具体的に申しますならば、処理事業というものは港湾管理者業務であるというふうに御理解いただいてけっこうだと思います。  ただ、その場合に、一体この汚染されたヘドロのどこまでが危険で、どこまでがどうであるか。そういうような一つ底質に対する基準があると思います。そういう基準によって当然それを処理する工法が変わってくるわけでございますが、その基準につきましては環境庁が所管されて、環境庁の出先である県がどういうふうに調査され、これをどういうふうにするべきだというような計画をお立てになるというふうに、私ども理解をいたしております。
  8. 伊部真

    伊部真君 この新しい条文の中に新設されたわけですね。公害防止のための施設義務づけをすると、これを責任を負うというように規定をされたわけです。そうなりますと、やはり港内の、港の区域内の公害全般に対しては、それに対応する施設というものをつくらなければいかぬわけでしょう。そういう意味で、何を対象にして、どのようなそれじゃ施設をつくろうとされるのか。それはその港によっても違うでしょうけれども、一番問題なのは、やっぱりいま言われたような水俣病にしても、水銀問題だとか、あるいはその他やはり人体に非常に大きな影響を与えるようなものだとか、もちろん航行支障を与えるような問題もありますけれども、当然ここで公害という字句が明文された以上は、このことについても明らかにこの条文の中で責任を負うというふうに理解をすべきだと思うのですが、そのように考えていいですね。
  9. 岡部保

    政府委員岡部保君) ただいまの二条の第九の港湾公害防止施設というところでいっておるのが、一体どういうものであるか。具体的に申しますならば、港湾における公害に対するいろいろな施設を総括してここでいっておるわけでございますが、例示でおわかりいただきますように、いわゆる港湾内の水が非常に汚染するというときに、水を外から導いたりいたしまして、この中の水を浄化するというための、汚濁水浄化のための導水施設でありますとか、あるいはここで発生いたしました公害と申しますか、いわゆる港湾における環境汚染というものに対応いたしまして、これをセパレートするための緩衝地帯というような施設港湾に設けるべきではなかろうか。あるいはその他、これはすでに御議論にもあったところでございますけれども公害港湾管理者としての立場から、たとえば監視するというような施設というものを、ここで港湾公害防止施設ということで考えております。  したがって、具体的に先生がいまおっしゃいましたように、たとえば港湾管理者が処置できる公害に対する処理施設といいますのは、その次の九の二の「廃棄物処理施設」というところで具体的に、たとえば廃棄物受け入れ施設であるとか、焼却施設であるとか、あるいは破砕施設であるとか、廃油処理施設であるとか、そういうようなものを考えるというふうに、ここで条文にあげておる次第でございます。
  10. 伊部真

    伊部真君 私が言っているのはそういうことではなしに、公害の問題について、いまたいへん国民が心配をしている有機水銀やその他の問題についても、これは当然入るだろうと思っているんです。入るなら、私はたいへん大きな変革だと思うのですよ。  この間も視察に行きましたが、川崎や本牧のほうでも、ある施設というのは油の除去をするとか、あるいは沈船とか廃船除去という問題については、これはいまでも細々とはいいながら、施設というものはあるわけですよ。したがって、そういうことは少し手がけたけれども、いまだかつてそういう具体的な公害問題に対して、運輸省が直接それ以外の公害問題について手がけたというのはないわけでしょう、施設としても。そういうものを今度の条文からいえば、私はやるように見受けられるので、それならたいへん大きな施設も要るし、あるいは港湾変革をきたさなければならぬようなことだと思うんですよ。これは簡単なことじゃないと思います。ヘドロにしても、あるいは有機水銀にしても、PCBにしても。  だから、それならそれらしい体制をつくらなければいかぬので、そういう体制をつくられるつもりなのかどうか、それをひとつぜひ明らかにしていただきたい。ちょこちょこっと片すみに何かがあるというんじゃないですよ。つくるということじゃないですよ。これはいまたいへん重要な問題になっているときに、この公害防止に対する施設をというふうに、こう新しい条文に入れたんですから、それならそれらしい体制がなければいかぬが、予算措置なりその他体制があるのかどうか、それでその責任を負えるような準備があってこの条文が入ったのかどうか、それをもう一度聞いておきます。
  11. 岡部保

    政府委員岡部保君) 先ほども例示をいたしました水俣湾海底汚染されたヘドロ処理の問題、これを港湾事業のうちの公害対策事業として取り上げると申しましたが、これで一体どういう具体的なことをして、それが港湾施設としては一体いかなるものと、どういう施設関連があるかという点について申し上げますと、まずいわるゆ比較的汚染の薄い部分海底ヘドロはこれをしゅんせつする。そして比較的濃度の濃い非常に危険度の高い海底土質のところは、埋め殺してしまうということがいま考えられておる一つ方法でございます。  そういたしますと、そこに埋め殺すと申しまして、結局まわりをいわゆる護岸で囲いまして、それでその護岸から危険物溶出と申しますか、拡散がないようなしっかりした護岸をつくりまして、その中へ先ほど申しましたしゅんせつするような部分ヘドロはその中へしゅんせつしてほうり込む。で、上にきれいな土をかぶせて、それでいわゆる溶出のないような状態にするというようなことを具体的に考えておるわけでございます。  そういたしますと、これの処理ということで、具体的に港湾法でいうならば、港湾施設のうちで従来ございました外郭施設である護岸であるとかというようなところ、すでにある港湾施設というのが、これがこの港湾公害防止対策事業、いわゆる港湾面での対策事業施設に具体的になっておるわけでございます。そういうような意味で、ここにこう港湾公害防止施設ということで特にあげましたのは、いわゆる公害防止対策の中でも、従来の港湾施設定義であげていないものをここに特に追加したというふうに御理解いただきたいと存じます。
  12. 伊部真

    伊部真君 私が申し上げているのは、いま国民の中に海洋の汚染という問題が出て、特に湾内の汚染というのが非常に大きくなっている。湾がある限りは港があるわけですよ。港が切り離れているわけではない。そうすると、その港の中の公害についての条項で責任というものを今度持とうというわけです。そうなら、どの範囲公害というものについて責任を持とうと言われるのか。そうして、それに対する施設をどのようにされようとしているのかということでありまして、局長の言っているのは、いままでの沈船だとか、あるいはバラストだとかいうふうな、従来の海がよごれるという観念での施設というものについての説明をされているわけですが、私はそれは従来からもう当然のことだと思う。今度条文に新しく公害除去するための施設という一項を入れられたんですね。入れられてなければ従来どおりの感覚でわれわれも考えるんですが、新しい条文を入れたんですから、ここの公害というのは、常識的に言えば公害基本法の七つの項目がいわれるが、そのように理解をしていいのか、そしてその責任港湾局のほうでおとりになると言われるのか、港内のやつは。
  13. 鈴木登

    説明員鈴木登君) 法律的な点につきまして補足的に説明させていただきます。  いま先生質問の点は、第二条の第五項第九号、第九号の二、第九号の三及び第七項の関連の問題であろうかと存じます。まず現在ヘドロ処理したりいたしますのは、船舶でもって処理したり、あるいは排砂管処理したり、それを海の外に捨てたり、あるいは陸上に堆積したりというような作業でございまして、そういういわば動産的な、船舶のような動くものでもって作業いたしますのは七項でございます。ここで漂流物除去その他港湾保全のために行なうもの、あるいは公害の原因となる堆積物排除汚濁水浄化というようなことでやっております。ここでいっております公害というのは、一応公害対策法に基づく公害でございましてすべてのものを含んでおります。ただ具体的に港湾に発生いたします一番主力のものは、もちろん御指摘のとおりヘドロ処理ということに相なろうかと思います。  それから、もとにちょっと戻っていただきまして、第二条の第五項の第九号、九の二号、九の三号という項目は、これは具体的な設備でございます。その設備のうち、第九号は公害がまだ発生していないけれども、これから発生するおそれがあるんじゃないかというようなときに、それを防止するためにする設備、これは固定資産として永久に五十年も百年も残っていく設備でございます、そういうものを考えております。したがいまして、汚濁水浄化のための導水施設、たえとば響灘の水を洞海湾に導入するために大きな水路を掘るとか、あるいは洞海湾の中にぶくぶく金魚の浄化装置のような、ああいう大規模な装置を設けて汚染を発生することを防ぐとか、あるいは緩衝緑地帯を設けまして、粉じんが市街地に流れ込むのを防ぐとか、そういうあくまでも公害防止のための施設でございます。したがいまして、ここにいっております公害もまた公害対策基本法で規定しております公害と同様のものとお考えいただいてけっこうでございます。したがいまして、もしも悪臭防止装置あるいはその他のもろもろの振動の防止装置というようなものが実際に半永久的に設備すべきものがありまして、それが非常に有効だというような証明になりますれば、当然ここに取り上げたい。  ただ現実の問題といたしまして、ここに書いておりますような汚水の浄化導水施設、あるいは緩衝地帯というのは、現在港湾管理者がやるべき急務として控えておる一番大きなものでございますので、具体的な問題として例示をあげたにすぎません。  それから九の二といいますものは、具体的に発生している公害、あるいは公害類似的なもの、ごみの処理というものをどうやってやるか、そのための設備をここに書いております。  それから九の三といいますものは、公害とはちょっと言いきれないけれども、まあ環境をよくするための設備という点でこういう例示をあげたわけでございます。もちろんこれだけに限りませんで、社会的、経済的な変化によりまして新しい公害防止施設、あるいは排除施設というのができますれば、それは当然この港湾管理者の間で取り入れていくということになろうかと思います。
  14. 伊部真

    伊部真君 ですから、この公害に対する対応策港内の場合考えなければいかぬというのが原則だと思います。そうなりますと、私はこの条文をいうのじゃありませんが、これはたいへんに大きな転換だと思うので、当然これはそれだけの体制がなければいかぬと思うのですね。そういうことに十分準備をされてこの条文が出ておるのかどうか。
  15. 鈴木登

    説明員鈴木登君) これの問題につきましては、実は港湾管理者の意見を十分徴しまして、そうして実は書いたわけでございますけれども、現在のところ、港湾管理者がぜひ港湾施設として取り入れて、そして補助をしてほしいという要請がありますのは、この第五項第九号に書いております導水施設及び緩衝緑地帯建設でございます。現在のところ、先ほど申しましたように、その他の公害防止のための施設というものは、港湾管理者の間に具体的な要請が現在のところございません。具体的な要請が発生してまいりますれば、それを補助として当然取り上げまして、こちらから国家的な補助をして建設を推進をしていくということになろうかと思います。
  16. 伊部真

    伊部真君 この問題は、私はここで聞いただけでは十分じゃありませんので、これは今後もそれだけの体制がつくられておるのかどうかということは、私らも気をつけていかなければならぬと思いますし、公害の論議の中でまた論議することにしたい、こう思いまして、次に移りたいと思います。  さて、いろいろお聞きをしたいことがあるのですが、時間的な制約がありますので、少しこまかくなりますけれども問題点だけ出していきたいと思うのですが、カーフェリー積載される車というのは、荷物と考えていいのか、あるいはフェリーの航路は道路もしくは橋と考えていいのか、その区別はいわゆる道路運送法適用になるのか、港湾運送事業法適用になるのかということで、いろいろ関係が出てくると思います。この点がどうも明確でありませんので、この際、ひとつお答えをいただきたい、こう思います。
  17. 岡部保

    政府委員岡部保君) ただいまの御質問でございますが、フェリー埠頭における貨物自動車と申しますか、トラックが一体どっちの感覚で見るべきものかという点であるかと存じますけれども、たとえば港湾運送事業法という、私どもの所管しております法律のほうの面から直接見ますると、この運行方法によって差があると存じます。と申しますのは、このトラック運転手、いわゆるトラック運行者の方が自分運転をして、いわゆる自走によってトラック積み込みを行なっておりますが、これはいわゆる港湾運送事業対象にはならないのではないかろうか、いわゆる港湾運送事業で申します「他人の需要に応じて行う行為」ではなくて、いわゆる自家荷役に該当する、したがって、むしろこれは先ほどの先生の御説で言うならば、道路の延長であるというふうに考えるべきであろうというふうな、私ども考え方をとっておるところでございます。  そこで、ただ第三者がこのトラック積み込みというものを、トラック運行者の委託を受けて行なう場合には、これは明らかに物を船に積み込むという行為になりますので、これは港湾運送事業に該当いたします。いわゆる受託をしてこれを積み込むという業は港湾運送事業の免許を受けたものでなければならないというふうに、私ども理解をいたしておるところでございます。
  18. 伊部真

    伊部真君 そうしますと、自走で入った場合は、いわゆる道路運送法適用になるということになりますと、当然この積載についての安全基準というものが守られなければならぬと思いますが、私が前に質問したときに、積載制限はないというふうにお答えがあったのですが、私はそうではないと思います。当然安全基準の総重量二十トンというものは、当然その制限の中にあるものだと思います。特に、カーフェリーのように、車が不安定な固縛状態であって、重心が非常に高いというときには、むしろそれは厳重に監督をせなきゃいかぬのじゃないかというふうに思うわけですが、現状はどういうことかというと、ほとんど積みかえて、道路で来たらここはあまり制限がないので、カーフェリー基地で、近くのターミナルで載せかえて、いままで十トンのやつは二十トン載せる、二十トンのやつは二十五トン載せて、そして向こうへ持っていく、ついたら向こうで車が二台待っている、大っぴらにそこで積みかえて二台が五台になる。それがカーフェリーの料金が一台なら五千円だと、二台なら一万円だから、それはもう五千円そこで節約できるということで、堂々とやっておるようですが、これは私は、いたへんに問題だと思う。この間、私が川崎基地へ行ったら、そうしたら向こうフェリー会社の人が、自分のところの橋や船がいためられたら困るので、目に余るものは大体勘ではかって帰らせているんだと、しかし法律的には、これ何も制約がないという解釈が成り立っているんだと言う。これは私はどうも納得ができません。  したがって、これは当然にカーフェリー基地に対しては、看貫設備を十分にすべきだと思います。これは大臣にお願いをしたいんでありますが、過積み問題とか、そういう交通問題で、道路上で一たん問題になったら、それはカーフェリーだろうが、どこの管轄だろうが、一貫してなきゃいかぬと思うんですね。それが自動車局のほうでは取り締まらなければいかぬということだけれども港湾に行ったら、港湾の船の中は、それは荷物だから取り締まらなくともかまいませんということで、一貫性が非常にないわけですよ。これはやっぱり、当然に交通の秩序の面から、あるいは安全の面からいって取り締まらなければいかぬとすれば、当然建設省には、道路上のインターチェンジのところへ看貫をつける、あるいはカーフェリーのときに、基地については当然看貫をつけさして、そうして厳重に取り締まるということをやらないと、どっかに抜け道があるということでは困ると思います。そういうことで、ひとつぜひそれに対応する処置をしてもらいたい、こう思うんでありますが、いかがでございますか。
  19. 新谷寅三郎

    ○国務大臣(新谷寅三郎君) トラックの過積み問題は、非常にこれは各方面から、交通安全の見地からいって取り締まらなければいかぬということを強く要望されておるわけですが、いままでもやっていないわけじゃないんです。高速道路なんかでは若干そういった重量計をつけておるところもありますが、もう少し徹底しようと、これは建設省もございますけど、警察庁の問題、道路交通法の問題ですから、そういう関係省でいま具体的にいろいろ話をさしておるわけです。おっしゃるようにカーフェリーの場合は例外だなんとういことは、だれもおそらく言ったこともないし、考えたこともないと思います。道路を通ってくるわけですから、その途中でも十分指導、監督をしなきゃならぬと思いますが、カーフェリーの場合も、いまお示しのような不心得なものがあるかもしれませんが、それにつきましては、全体を通じて、トラックの過積み問題の一環として、相当重量計なんかはあちこちらに置いて取り締まるようにしなきゃいかぬということを考えております。まあ、予算を今度は相当要求して全国的にそういうことをやろうと思いますけれども、いまは関係各省の予算の許す範囲で、できるだけのそういうような防止対策を講じさせるようにいま相談をしているところでございます。
  20. 伊部真

    伊部真君 トラックの過積み問題というのは、また別に議論したいと思うんです。もっとここでやるというのは不適当だと思うんです。  ただ、私申し上げているのは、これは各省にわたることは確かなんです。警察庁も関係ありますし、道路建設のときに看貫をつくってもらわなきゃいかぬわけですから、インターチェンジのときにはやっぱり建設省も参加してもらわなければいかぬし、あるいは取り締まるという、陸運局の許認可という意味では、あるいは検査の場合のことを考えますと、やっぱり運輸省のほうもそれをやってもらわなくちゃいかぬ。ただ私は、前の局長とこの質疑をしたときにそれが出たんです。カーフェリーの規制の中に、長さだとかはあるけれども、重量の制限条文にないと言うんですね。だから私は、道路運送法適用されなければいかぬのじゃないか、そうでなければ、これはやっぱりカーフェリーのときの一台の制限というのは当然規制をすべきではないか。規制がないと言うから、それなら道路運送法適用でこれは規制すべきだと、こう言うんです。そこら辺を一ぺん整理をしていただいて、そうして当然、長さだとか容積だけでなしに、重量も私は重要な規制の対象にすべきだと思いますが、もしもそれが条文にないとすれば、これは入れてもらわなければいかぬし、それからあいまいな形でのどの法案が適用されるかという問題についても、前にも私は議論しておるのですよ、これは。荷物と同じことだから重量は船の航行上安全なんで、重量は制限する必要ないと言うから、それなら道路運送法はどうなんだと言ったら、船の上は道路運送法適用がないと言うから、船へ持っていくまでの間、車は動いておるわけですからね、これはそんなことは理屈にならぬ。どっか飛んでいくわけじゃないですから、車は動いているわけですからね。道路運送法適用だから当然、そこで積みかえてやるなんというようなことを目の前に見てて、私はそれは規制がないというようなことでは困ると思うんです。だから、そういう意味で一貫性を持っていただきたい。で、道路上も航路の上も同じように取り締まりの対象にしなければいかぬし、ぜひそういうふうに考えていただきたいというふうに思います。  次に私は、岸壁その他の工事の関係で、前のときにも申し上げたんですが、公団あるいは公社によって工事が行なわれている、その施設は公団、公社が使っているということ。そうなりますと、公団、公社の利用料、あるいは施設の利用料だとか、あるいは入港料とかその他の費用の問題ですね。これはほかの公共埠頭との料金の面で事実上差が出ているわけです。これは公社の場合は当然償却その他を見ますからね、ですから、この間も私、驚いたんですが、あそこの海上コンテナの、八八の三十五インチが、シーランドですか、あるいは国際規格四十インチで、横持ちとそれから倉庫の入れ出しだけで大体二万円ぐらいということですから、その分というのは当然船の使用料なんかにもかぶさってきておると思う。したがって、その料金が当、不当というのじゃありませんけれども、それと公共埠頭との使用料というのはかなり差が出てきているのじゃないか、事実上はですね。名目上はいろいろな理屈があるでしょうが、事実上差があるということになりますと、これは港湾法の十三条二項でしたか、いわゆる不平等取り扱いの禁止条項というものがあります。この条項との関係で、私は問題がありはせぬか、この条項が死文化されてしまっているんではないかというふうに思うんでありますが、その条文との関係をひとつ御説明をいただきたい。
  21. 岡部保

    政府委員岡部保君) ただいま先生の御指摘ございましたように、たとえば外貿埠頭公団が整備いたしました埠頭の使用料と、いわゆる港湾管理者が整備いたしました公共埠頭の使用料との間に、使用料で具体的に金額的に格差があるということは、御指摘のとおりでございます。  ただ、これを考えてみますと、先ほど先生も御指摘があったわけでございますけれども、外貿埠頭公団などが整備いたしました埠頭というものは岸壁や荷役機械や上屋などを一体として船社等に貸し付けるという、この運営と申しますか、運用と申しますか、この方法がいわゆる公共埠頭の運用方法と違っておるわけでございます。いわゆる特定の船社に専用貸しを行なっておるということによりまして、船社はそういう意味では一つの利益を受けておるというようなことで、いわゆる公共バース以上の利益を受けておる。ところが、公共バースにおきましてはいわゆる先着順の原則でございまして、いわゆる航路別優先の運用までは横浜港などでこの間ごらんいただきました本牧のBC突提でやっております次第でございますけれども、いずれにいたしましても、実質的には公団バースといわゆる公共バースとの利用のいずれが有利であるかという点につきましては、私は即断できないのではなかろうかという考えを持っております。したがって、いずれにいたしましても、非常に具体的な使用料の格差があるのは、むしろこういう内容的に非常に違うので、これをともに比較することが無理なのではなかろうかというような感覚で、私どもはこれを両立させることが何らおかしいことではないというふうに考えておる次第でございます。
  22. 伊部真

    伊部真君 この点は、私も利用の面ではそう思うんですけれども、不平等という形になりはしないだろうかという、ちょっと懸念がいたしましたので、そういうことをお聞きをしたわけです。  次に、もう一つは、重要港湾の指定について選定基準というのがありますが、これを拝見をしで、青森の大湊の港湾を昭和四十四年四月一日に重要港湾と指定されたということであります。選定基準は五項までありますが、どの項を大湊の場合は適用して重要港湾として指定されましたのか、お伺いいたします。
  23. 岡部保

    政府委員岡部保君) ただいま先生の御指摘のございました、重要港湾の選定基準というものは五項目ございますが、これを申し上げますと、「外国貿易上重要な港湾、それから「内国貿易上重要な港湾」、それから三番目が「旅客運送上重要な港湾」、四番目が「国土開発上重要な港湾」、五番目が「主要な離島の連絡港として重要な港湾」、こういう五項目に分かれておりますが、このうちの第四項目の「国土開発上重要な港湾」というのに該当するということで、この大湊を重要港湾に指定した次第でございます。
  24. 伊部真

    伊部真君 この四項の中身を、私はたいへん重要な事項でありますから、その部分だけ読み上げたいと思うんですが、「国土開発上及び港湾の合理的配置上重要な位置にあり、将来の開発により第1号又は第2号に規定する港湾になり得る自然的、経済的条件を備えており、確定した開発計画を有し、かつ、その計画による港湾工事が大規模であるもの」と、こう書いてあります。  大湊の場合、確定した開発計画を有しているというふうに判断をされたのはどのような根拠といいますか、展望からそれを判断されたのかお答えをいただきたい。
  25. 岡部保

    政府委員岡部保君) 御承知のように、大湊周辺、いわゆる下北地域の問題といたしましては、従来非常にいろいろないきさつがあるわけでございます。先生御承知のように、たとえばむつ製鉄という砂鉄をもとにしたあそこに製鉄会社を設立して、あそこの周辺の地域開発に役立たせようというような話あるいはビートの、いわゆる大根の栽培によりまして、製糖業によってあの地域を開発するもとにしようというような計画、そういうようないろいろな計画が従来立てられまして、しかもまことに遺憾なことでございまあうけれども、そのいずれもがどうも日の目を見ることができなかった。したがって、あの地域の方々としては、いわゆる下北開発というものをどういうふうにしてくれるかというような非常な強い御要望が当時あったわけでございます。したがって、そういうことに対して、これはたしか経済企画庁が中心であったかと存じますが、いわゆる東北開発のうちの下北地方の開発というようなものをどういうふうにして考えるかということで、ここに先生が御指摘になりましたような非常にはっきりした、確定したと申しますか、国がオーソライズし、ここで公表されたような開発計画というのではございませんけれども、いわゆる下北というものをどうしても、いままでの失敗に次ぐ失敗を補う意味もありまして、何とか開発していきたいというようなことで、この段階でこの開発というものを、何と申しますか、国の要請としてやるべきであるというような感覚があったわけでございます。したがって、そういうものを受けまして、そういうことの港湾はどうしても先行的な問題になりますので、これはひとつ十分、こういう開発計画というものが近い将来に確定されるであろうということを前提にして、この条文を拡大適用したというのが実際のところでございます。
  26. 伊部真

    伊部真君 むつ製鉄の問題だとか、あるいはビート工場の問題は、いっこの計画は消えましたか。
  27. 岡部保

    政府委員岡部保君) ただいまちょっと私、資料を持っておりませんので、はっきり覚えておりませんが、いずれにいたしましても、この時点より二、三年以前だと思います。
  28. 伊部真

    伊部真君 この大湊、五カ年計画で工事を進めておられますが、総計で大体五億六千九百万ですか、昭和四十六年に一億三千七百万円あるいは四十七年が一億五千万、大体一億五千万円ずつの計画を進めておるわけですね。二、三年前に計画が消えておるのに、この工事を進めていく、四十八年も一億五千万。しかもこの開発計画というのは、当然この重要港湾に指定するいうた場合には、確定した開発計画を有しているというふうに判断されなければ重要港湾に指定することはできないはずでしょう。そうすると、五億七千万円の工事は、何を根拠にして、あるいは何がこれから将来的に出てくるということを考えられてやったのか、私は問題だと思いますが、その点について、ひとつお答えをいただきたい。
  29. 岡部保

    政府委員岡部保君) ただいま申し上げましたように、この大湊港の整備計画というのは、先生御指摘ございましたように、約五億七千万ほどの五カ年計画ということで、四十六、七、八と三カ年実施をいたしてきておりますが、この計画の全体的な、大湊港が今後のどういうふうになるであろうかというような問題点につきましては、昭和五十二年を一つの目標年次といたしましての計画というものがつくられておりまして、これは港湾審議会でも昨年の十二月に御審議をいただきました計画がございます。この計画によりますと、大湊港の現在整備をいたしております周辺の地域というものの、いわゆる工業化と商工化と、それから一部は漁港を整備しなければならないという問題、これを合わせまして、五十二年には年間約百三十万トンくらいの取り扱い貨物量になるであろうというような計画をもって現在この工事を実施しているというのが事実でございます。
  30. 伊部真

    伊部真君 これはもともとむつ製鉄とビート工場がくるということを前提にしてこの港湾開発を計画したはずですよ。そうでしょう。いま言われるのは、年間に何トンの荷物というのは、何を根拠にしてそれを言われるのか。当然これはむつ製鉄だとかビート工場ができたらこの港湾の利用価値というのは出てくるわけですけれども、それがなくなれば、私はこの港湾は利用価値があるとは思えないんですよ。私は現地にも行ってまいりましたけれども、あの広いところに、りっぱなセメントが打ってあって、非常に陸地はできています。しかし水深はゼロですよ。現地の人たちに聞けば、引き潮になったら土が見えるそうです。しかし、いずれにしても、五億からの金をつぎ込んでおって、背後はもう全部広っぱで、あすこは詳細な地図を見ると、防衛庁の土地もかなりあります、昔の海軍の基地でありますから。  それともう一つは、それから考えますと、確定した開発計画というものが消えておるのになぜ工事を進めたのかということです。むつ製鉄だとか、あるいはビート工場にかわって、何がそれじゃ新しく確定した計画の中に想定され、あるいは港湾局のほうで、これなら助成金を半分出していいと、あるいは、重要港湾としてやはり当然これはいまでも判断していいというふうに判断されたのか。むつ製鉄あるいはビート工場にかわって何があるか。私は、むつ製鉄の関係は、非常に良質な砂鉄が出るというふうに、それは聞いております。しかし今日その施設、競争かの面からいって、競争からいったら採算上問題があるんじゃないかとか、あるいはほかの製鉄の大企業からの圧力があって、これはもうつぶれたというふうなこともいわれておるわけですね。つぶれて、確定計画がもうなくなっているのに、確定したこの開発計画がくずれているのに工事を進めているということになりますと、これは何を根拠にされているのか。  それから、将来的にそれじゃ発展はあるというんで言われならば、私はこれに対しては責任を持ってもらわなければいかぬ。この地域は湾の中ですが、湾の外側にむつ小川原の一大工業基地がいま計画されているわけでしょう。しかもかなりの距離がありますね。ここに大工業基地が、むつ小川原に大工業基地がつくられることが予定されて、その北側には、これは十キロあるか二十キロあるか知らぬが、そのところにどうしてそんなものができる必要があるんでしょう。それが規模的にはもう全然小さいものでしょう。当然これは、私は、むつ製鉄とビート工場が前提に計画をされ、つくられたものですから、それがくずれたというならその時点で、やはりこれは、私は港湾局だけを責めるんじゃありませんけれども、青森の県知事は当然それについて洗い直しをするのか、あるいは住民に対して納得のいくような工場誘致の計画というものを私は出すべきだと思うんですよ。  しかし、向こうではいまのところ何もないじゃないですか。あとに何が来るということも、全然この計画はないと私は聞いている。もしも青森のほうで聞かれて、私は二、三日前に連絡してありますが、もしも向こうで聞かれているならそれをお知らせをいただきたいと思いますけれども、それがなくて、五億からの工事をし、そうして四十八年度はまた一億五千万、合計七億近いものをこの工事につぎ込むというのは、私はどうも常識的に問題だと思うし、それが使われないのにその工事を進めるとするなら、私は国費のむだづかいだと思う。これは非常にたいへんな責任問題だと思うんです。見通しを明らかにしていただきたい。
  31. 岡部保

    政府委員岡部保君) 現在、港湾管理者でございます青森県の考えておりますこの地域の開発計画という点につきましては、もちろん、昨年の十二月に港湾審議会で御審議をいただいたものでございますので、この計画書というものもございますし、この裏づけの県の考え方もあるわけでございます。ただ、ただいま先生のおっしゃいましたように、具体的に、誘致工場がこういうふうにどこどこが来るという話が内定したとか、あるいは話が進行中であるという話については、私、一切聞いておりません。  ただ、どういうものをここへ考えたらいいか、特に工業が非常に大きいかと思いますけれども、これはいわゆる木材の利用工業でありますとか、食品工業でありますとか、そういうような工業を誘致いたしたい。さらにでき得れば、先ほどもお話しございましたが、砂鉄の、いわゆる製鉄と申しますよりは砂鉄利用の工業というものも考えられるのではなかろうかというような考え方を持っております。また地域住民の生活必需品、あるいは地場資源の移出、畜産振興対策の飼料の移入等の流通基地としてこの港湾考えたということで、先ほども申しましたような港湾の計画というものを考えておるところでございます。したがって、港湾施設に対する投資というのは、確かに、先生御指摘のように、ある意味では先行投資をせざるを得ないという場合がございます。これがある程度の、港湾施設が整備されるということが一つの誘致するというものの裏づけにもなってくるケースがあるわけでございます。  したがって私どもは、この大湊港の県の御要望に対して、ただいまあまり金額をふやしてはおりませんけれども、一億五千万程度の年間の予算をもって事業を実施していくということに対して国が負担をしておるというようなことでございます。
  32. 加瀬完

    加瀬完君 ちょっと関連。  質問と答弁がずいぶん食い違っていると思うんですよ。そこで、あらためて伺いますが、五カ年計画を最初立てたときの計画というものは、どういうことであったのか。いま伊部委員の指摘をするようなことで五カ年計画を最初に立てたのか。四十六年に一億三千七百六十万かの予算が組まれておりますね。で、四十六年度が終わろうとするときに、最初の五カ年計画の背景というものはくずれておらなかったのか。伊部君の指摘のよりに、最初の計画の背景というものがくずれてきたとするならば、それでも相変わらず四十七年、四十八年と、五カ年計画のとおりの計画を進めた根拠というものは何なのか、これが明瞭じゃないということなんですよ。この点、ひとつ御説明いただきたい。
  33. 岡部保

    政府委員岡部保君) ただいまの御質問でございますが、今回の五カ年計画の、いま四十六年度以降のお話が出たわけでございますけれども、この四十六年度以降の五カ年計画というもので大湊港に対してこういうふうに考えたというときにはすでに、先ほどお話ございました砂鉄であるとか、あるいはビートであるとか、そういうような開発中心にした開発計画というものはくずれ去ったあとでございます。したがって、これを新たにあの地域を何かしなきゃいかぬということが県の要望であったわけでございます。それでそのためにこの地域をいまのようにいろいろな開発の可能性はある、ただ具体的に、ちょっといやな言い方をいたしますれば、えらい宣伝をされて、もう砂鉄の製鉄業で非常に開発ができるんだ、あるいはビートで非常にいい開発ができるんだということをいわれたにもかかわらず、その計画が全部つぶれてしまった、そこでこれを何とかしなきゃいかぬのだというようなことから、むしろこれからの開発計画というものを新たな観点から県が立てられ、それに基づいてそのためには港湾の整備というものをある程度先行してやってもらわなきゃ困るという非常に強い御要望がございまして、この五カ年計画に、私どもは大湊の計画を織り込んだというのが実情でございます。
  34. 加瀬完

    加瀬完君 よくわかりました。しかし、ここに一体この程度の予算で何トンくらいの船がどのくらいの数出入するのかという点が、ほぼ私どもしろうとにも想像されますよ。それだけの船しか入らないとすれば、それだけの船が運べるものしか背景としては考えられないわけですね。先行投資ということなら先行投資ということはうなずけますね。しかし先行投資で港をつくるからには、その背景にこれだけのものがあるという想定がなくては、ただ港だけつくっておきます、あとは何とかなるでしょうという、こんなずさんな計画というのはないと思うんですよ。それは国の責任だけではありませんが、青森県なら青森県の計画としてどういうものがあるのか。それからいまいろいろ問題になっているむつ小川原の開発というものとは、一体これは関係あるのかないのか、その場合の港というのは、これを使うのか別のものをつくるのか、どうもそういう点がはっきり御説明だけではわかりかねるわけですがね。何も具体的にこういう規模というのが想定されないのに、先行投資だからといって港だけをつくる、どういう背景の規模のものができるかということがはっきりしないのに港の規模は設定できないですよ。くどいようですけれども、一体この港というのはどのくらいの規模なんですか。そしてその規模を必要とする青森県の考えている背景の産業というものの規模はどんなものなんですか。これはいずれ御報告があったと思いますので、御説明をいただきます。
  35. 岡部保

    政府委員岡部保君) ただいま手元に持っておりますが、昨年の十二月に港湾審議会にかけました管理者の原案の資料にどういう産業を誘致し、あるいはどういう貨物をここを通って通過させて流通させるというようなことで、たとえば農水産品の流通の基地であるとか、あるいは林産品の輸入でここに林業関係の加工工場をつくる、あるいは工産品のここでの通過、あるいは金属機械工業品の、いわゆる砂鉄関連等を含めましての金属機械工業品の出入りの問題、あるいは化学工業品等等のことから、先ほど申しましたように、大体年間百三十万トン程度の取り扱い貨物をこの港で取り扱いたいというような考え方で、この背後地、この周辺にあります土地を利用して一部工業も誘致し、あるいは漁港の整備もし、商港の整備もするというような考え方考えておりまして、いわゆるこの商港に入ってまいります船といたしましては、積みトン約五千トン程度の船を二隻つけられるという、いわゆる岸壁のツーバースの計画を中心にいたしました計画を立てておる次第でございます。
  36. 伊部真

    伊部真君 いま質問がありましたように、これは昭和四十四年四月の一日に、重要港湾としての指定をする場合、重要港湾として指定をする場合というのは、国が半分の資金を出すわけですから、かなり国としての責任が大きくなるわけです。したがって私は、選定基準がかなり厳密に行なわれなければならぬし、条文もその意味ではかなり配慮しておると思う。  ですから、ここに確定した開発計画を有するという、確定したということが出ておるわけでしょう。で、確定したという中には、何が確定しているかといえば、やはり私は、砂鉄工場とビート、あるいはその関連産業ということだと思います。それがもしもくずれたとすれば、あるいはそれが少し誇張してあったとしたら、これは明らかに港湾局としては、この申請者に対して責任を追求しなければならぬし、かつまた、それがくずれたとしたら、重要港湾としての工事をすることについては再検討しなければいかぬということは明らかなんでしょう。それを行なわずに、二、三年前にこの計画は消えたけれども、まだずっと工事をしておる。私は現地を見てみたのですがね、町の近辺にあの港があるなら、それはおっしゃるように、関連産業でほかの産業が出てくるだろうと言えるが、全くあれは、いわば人里離れたようなところで、ホタテの養殖以外にはあまり将来的には考えられない。これはもちろん、むつ小川原ができたら少し変わってくると思います。それでもむつ小川原からかなり離れているわけでしょう。こうなると、これは確定した開発計画を有しているということで、これを根拠にして指定したということに対して非常に問題なんじゃないか、計画をくずされて、このままもしもそれができなかったとしたら、その責任は、どうだれがとっていくのか。
  37. 岡部保

    政府委員岡部保君) いまお話のございました、確かに確定した計画が当時あったかどうかという点については、先ほど私、冒頭に御説明申し上げましたときに申しましたように、必ずしも確定した開発計画というものがあったとは思えません。その点で、この選定基準適用というものについて、いささか拡張解釈であったということを先ほど申し上げた次第でございます。  そこで、そういう拡張解釈をいたしました一つの理由というものが、やはり先ほど先生もおっしゃいました砂鉄の問題であり、あるいはビートの問題であって、非常に国家的にこれを推し進めて、しかも失敗をしてしまったというようなことで、この地域、一体どうしたらいいのだというような、非常に地域住民の声があったわけでございます。それが一つの県の強い要請になりまして、したがって、これは必ずしも確定した計画ではないけれども、今後のほんとうに開発のための計画というものを、下北開発というものを考えなければならぬというようなことから、一つのそれの拠点と申しますか、そういうもので大湊港を考えるべきであるという判断に立ったというのが実情でございます。
  38. 伊部真

    伊部真君 これは下北の開発の問題とは、私はそんなに関係がないと思いますよ。鉄道敷設をしたが、もうからぬから鉄道は引き上げなければいかぬ、貨物駅を集約せなければならない過疎地域で、ここのところだけ開発できるわけですか。  しかも、この地図を大臣に見ていただきたいのでありますけれども、下北埠頭地区というところがありますね。マイナス八メートルのこの岸壁は、いま原子力船の「むつ」がとまっております。その背後関係のこの埠頭一帯は、全部これは、むつ製鉄をつくるための敷地でしょう。これは敷地として確保する。そのためにこれは整地したんでしょう、東北開発が。その向かい側の、地図でピンク色の土地ですね、太平地区というところ。これは工業用地として、むつ製鉄の関連産業をここへ受け入れるということでできた、整地をされたわけでしょう。総計で大体七万坪にセメントが打たれ、岸壁工事が行なわれているわけでしょう。その製鉄工場が挫折をしたときには、七万坪の用地と、それから五千トン二隻と一万トン一隻のバースをつくるという理由はくずれたはずですよ。なくなっているでしょう、それは。それに、二、三年前にもうそれがくずれておったことが明確であるのに、四十六年、四十七年、四十八年と工事を続けてもう九〇%でき上がってしまった。あの広っぱの何にもないところにですよ。これは五億も六億もの金を、私は非常にずさんな計画によって——もともとはずさんではなかったかもわからぬが、これはたいへんな私は国費の使い方だと思います。それじゃこれから——この文書に確かに書いてあります。なるほど、これからは林業をとか畜産をとかというようなことをいろいろ書いてあります。しかし、これは文章だけであって、ホタテができたからといって、牛が向こうで飼えるようになったからといって、こんな七万坪の土地とバースがどうして必要なんですか。しかもあんた、私はもう一ぺんその点についてお答えをいただきたいということは、私は勘ぐると、原子力船をここに入れるから、「むつ」をここに、岸壁につけるのに、この工事をするのに国の費用として五〇%を出してもらいたい。あるいは国のほうから原子力船の母港として押しつけられたから、県はそのかわりにこの工事を、少々問題はあるけれども、国のほうでつくらしたほうがということで、代替として持ってきたのか。これはけしからぬことだと思う。国民の税金をそういうところに使われたということになりますと、これは非常に重大な責任です。  しかもこれは、いまこれから、ここへ工場を持っていくというふうなことについて、見通しが少しでもあるようなことを言われるけれども、原子力船の母港の横にどうやって工場が来ますか。どうして商店が来ますか。いまでさえここの港湾汚染されるんではないかといって、ホタテの問題で、もう漁民が大騒ぎしているさなかに、どうしてこんなところに工場を持ってきますか。持ってこられなかったときは、七億も捨てることになりまして、重大な責任だと思いますよ。大臣どう思いますか。
  39. 新谷寅三郎

    ○国務大臣(新谷寅三郎君) 大湊港の計画の当時のことはよく知りませんが、いまいろいろの御質疑があったので、大体私も頭に入れたつもりでございますが、いまお述べになった重要港湾の選定基準、これは法律ではないので、関係各省の間で、おっしゃるように、国費のむだづかいをしちゃいかぬ、ひとつこういう基準考えようじゃないかという基準だと思います。したがって関係各省で相談をいたしまして具体的にきめた基準ですから、もちろん港湾局もその基準に従って指定をするというのは当然のことです。  ただ伺っていまして、いろんな開発計画、港湾がどうこれから活用されるのかということは、もちろん予見をして指定をするのが当然だと思います。そうしたのだと思います。ただ、その開発計画そのものが、これは港湾ができるまでに五年から十年ぐらいかかると思います。その期間に、初めにきめられた開発計画というものが絶対に変わらないということは、これはまたあり得ないことだと思います。変わる場合もあると思います。そういう場合に、この「確定した」云々という字句からいいますと、それがずっと変わらないで、十年間初めの計画どおりいくんだということのようにも受け取れますけれども、変わった場合は変わったように、何の事業から今度はほかの事業を持ってくるというような、全体の開発計画というものは、やはりこれは県が立てておるわけでございますから、県がそういう方針をもってやっている間は、何事業、何事業というようなことは第二義的な問題でありまして、それが重要港湾として、この施設を、国費のむだづかいなしに十分に活用できるというような形態において開発されていくならば、やはりその地域の開発計画というものは進められてしかるべきである。それに必要な港湾というものは、さっき局長が申しましたように、先行投資しても差しつかえないものだと思います。  したがいまして、これはまだ最終的にいまの段階では、どういう事業がどのくらいの開発計画に乗った仕事をやって、そのために荷動きがどのくらいになるかということについての的確な予想というものは一応立っているふうでありますけれども、それが実行できるかどうか。あなたは現地をごらんになって、いままだそんな計画進んでいないよと、こういう御注意がございました。これにつきましては、もちろん国費のむだづかいはいけませんから、現地のこれは青森県が、そういう初めの開発計画というものが実行できなくなったけれども、そのかわりにこういった開発計画をもって進みますと、ぜひこれは港湾のほうも整備してもらいたいと、こういうことのようですから、港湾局としましては、現地のそういう希望、期待というものを受け入れまして、初めにきめた程度の港湾というものは、これは国民経済全体から見ても必要であるということで計画を進めておるということだと私も考えるのでありまして、いまあなたがおっしゃるように、つくってみても何もなかったということになれば、これはたいへんな国費のむだづかいになると思います。県もそうだと思います。そういうことにならないようにするのがわれわれの仕事でございまして、それから青森県も責任をもってそれはやってもらわなければならぬということでございますから、今後の開発計画との関連において、港湾をどうするかということについてのわれわれと青森県との協議の結果、実際問題は進行するのですから、もう少し見守っていただきたいと思います。
  40. 伊部真

    伊部真君 港湾工事をやる場合は、やはりそういう心配があるから、ここには確定した開発計画等を持っていなければならぬということでしょう。そういうことで、明らかにこれはむつ製鉄とビート工場あるいはむつ製鉄に関連する産業というものがあったから、県のほうから申請があったから、私は運輸省はこれを認めたのだと思うのです。そうでしょう、これは。そうでなければ、ここに明確に、ここはむつ製鉄の用地として工事し、それを関連産業でということにはなっていないはずですよ。もしもそれがなくて、この工事を申請されたときに、国は認められますか。これから将来的に畜産ができるだろう、百三十万トンぐらいの荷物がふえるだろうというのは、背後関係に何も町がなく、青森からもかなりな遠距離ですね。こういうところを認められますか。そんないいかげんなことでこの港湾工事というものは始められますか。私はそうではないと思います。  少なくともいま大臣の言われるような、あやふやな形で港湾工事というのは始めるのではなしに、これは明確にここにはどれくらいのものができると。太平洋ベルト地帯ではないのですよ。太平洋ベルト地帯なら、私はそれはそれなりに消費の関係もあるから、土地の背後関係もありますからね。しかし一番北の端で、そういう状態の中でたよりにしておったむつ製鉄というものがくずれたというときから、いずれにしても、この工事は、私はこの工事計画それ自体がくずれたと思うんですよ。そのときに当然、県あるいはこの港湾工事の問題について合議をせなきゃいかぬ時期があったんじゃないか。二、三年前にそれがくずれた、こう言っているんですからね。しかも四十四年に原子力船の母港として指定されているわけでしょう。四十五年には船が入っているわけでしょう。この関係からいって、船が動いたというだけでもアワビがたいへんなことになるんじゃないかと心配しているわけでしょう。これは当然、大臣の言われるような、将来的な展望から見て大体だいじょうぶだろうというようなことで、私は済まされることじゃないと思いますよ。これは工場誘致に対して、それじゃあ責任を持つことができるとおっしゃいますか、いまの現状で。この原子力船の母港というのは、それでは管轄としてはどの程度ですか。原子力船の基地としてのこの用地はどの程度ですか。
  41. 岡部保

    政府委員岡部保君) 原子力船の基地としての範囲は、図面にはございませんですが、ちょっと調べてお答えを申し上げます。それほどの広い面積ではございません。
  42. 伊部真

    伊部真君 大臣、いまの港湾計画が、私はやっぱり、かなり確定要素というものが明確であってこそ工事が始まると思うんです。その一番大きな柱がくずれたときに、当然この工事全体は検討すべきだと思うんですが、その点の見解はいかがでしょうか。  それからもう一つ、私は図面をここに持ってきていますけれども、この図面、むつ小川原のこの基地計画というのはこの地域です。そしていまの下北の大湊というのはずうっとこの北の端です。ここですね。ここに大きなコンビナート計画があるときに、むつ製鉄というものがあればこそ、この港というのはここにつくらなきゃいかぬという理由があっても、それ以外は、この外海にむつ小川原の計画が大きくあったら、これは当然それ以外にはないじゃないですか。つくる根拠というのは当然消えるじゃないですか、むつ製鉄とかビートだとか大きなものがなければ。それは将来的に発展の可能性からいってどうのこうのということは、私は理由にならぬと思うんです。
  43. 新谷寅三郎

    ○国務大臣(新谷寅三郎君) 私、先ほどから申し上げておりますのは、それは何にも計画がなくて、重要港湾に指定したのなら、これは各省の申し合わせにも反することでもあり、それは考えなければならないと思いますけれども、この大湊港を重要港湾に指定をして、国も力を入れながら今後の港湾整備をやろうということにきめましたときには、開発計画に伴って、ある意味における先行投資をしたのだと、こういうことだと思います。  ただその後、開発計画の内容が変わってきた、こういうことだと思います。だからそれに対応しまして、それなら開発計画が変わったのだから、やめてしまえと、いままで何億か投資したのだけれども、それはやめてしまえ、こういうのがいいか、あるいは初めの開発計画の内容が変わったから、県において、今度はこういう開発計画でいきたいといった場合に、それに対応したような港湾施設を整備するのがいいかということでございます。で、われわれは、せっかく若干でも投資をしているのですから、しかも現地の青森県において、初めの予定とは違いますけれども、開発計画を進めようとしているのですから、これに対応しまして、港湾については先行投資の形でもって計画を進めていく、もちろんその間には、これは単に運輸省だけじゃございません、開発計画でございますから、ほかの省との関係もございましょう。そういったものと青森県が連絡をしながら開発計画を進めていく、それに対応して運輸省港湾部分において開発計画に対応するような設備をしていくということは、これは考えられる方法で、私はこれは、別に違法措置でもないし、結果を見ないと行き過ぎであったかどうか、不当であったかどうかということは、まだ五十二年までの計画らしいですから、まだこれからそういったものについては新しい青森県の計画を聞きながらやれば、おっしゃるような国費のむだづかいにはならないで、開発計画のほうにも非常に寄与し得るような形で港湾整備がやれるのじゃないか、こう私は思っております。
  44. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 速記をとめてください。   〔午前十一時三十七分速記中止〕   〔正午速記開始〕
  45. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 速記を起こしてください。  本案に対する午前中の審査はこの程度といたします。  午後一時まで休憩いたします。    午後零時一分休憩      —————・—————    午後一時十分開会
  46. 長田裕二

    委員長長田裕二君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  この際、委員の異動について御報告いたします。  森中守義君が委員辞任され、その補欠として藤原道子君が選任されました。     —————————————
  47. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 午前に引き続き、港湾法  等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  48. 伊部真

    伊部真君 午前に引き続きまして、お伺いをしますが、この大湊港が重要港湾に指定された年月日をまず教えていただきたい。
  49. 岡部保

    政府委員岡部保君) 重要港湾に指定されましたのは、これは政令改正で、政令で指定されますので、昭和四十四年の四月一日でございます。
  50. 伊部真

    伊部真君 それは当然、青森県のほうからの申請があって、それから審議をされたと思うんでありますけれども、その申請内容には、むつ製鉄の問題、ビートの工場の問題、いわゆる開発計画ンいうものは持っておったわけですね。
  51. 岡部保

    政府委員岡部保君) その点、午前中の御答弁でちょっとはっきりしなかった点があると存じますけれども、この重要港湾に昇格を要望するという要望の際の大湊港の計画におきましては、むつ製鉄あるいはビートの工業の問題、これはすでに何と申しますか、こわれてしまった計画であるということで、この時点での計画には一切含まれておりません。と申しますのは、具体的に申しますと、昭和四十三年の六月に、青森県は第二次の長期計画というものを立てられました。この中で大湊港は下北開発の中核港湾であるということと、それから下北の開発方向としては、砂鉄利用産業あるいは木材産業等を中心として、今後下北開発の中核港湾として整備していくんだというような表現がこの長期計画に出ておるのでございます。
  52. 伊部真

    伊部真君 そうすると、この重要港湾に指定をするときに、確定した開発計画というのは具体的になかったというふうに理解をしていいわけですか。
  53. 岡部保

    政府委員岡部保君) 確かに、ここで確定した開発計画という問題をどういうふうに取り扱うかという問題でございますけれども、国の立場でこれを重要港湾に昇格するかどうかというものの基準でございますが、たとえばその地域の開発計画であるとか、国である程度オーソライズされた計画というものが、この大湊の場合にあったかどうかという点につきましては、残念ながらなかったと申し上げざるを得ません。県のこういう計画があったということは事実でございます。
  54. 伊部真

    伊部真君 そうすると、この基準の四項に該当させるべき港湾であったかどうかということになると、これはそういう確定計画のないものを認めたということは、この基準のワク外に出るんじゃないですか。私はこれほどの港湾工事というのは、当然にそこの地域の開発、将来的発展ということで出るのではなしに、それは将来的に規模が拡大するというのはわかりますけれども、少なくとも年間百三十万トンですか、それから五千トンのバースが二つ、 それから一万トンバースまでつくろうと、水深が十メートル、それから七・五メートルというふうな具体的に入れものを考えた場合には、当然、基礎の計画というものが織り込まれなければ、私はこの指定ということがないものだと思うんです。また、そういう尺度で港湾施設というものが行なわれているというふうに思うんですけれども、そうでないとすると、これは非常にあいまいなもので認可をしたことになりますから、そうして確定計画がなしに認めたこと自体も問題だし、その後の見込みもいまだ不十分だということになりますと、もう一つこれ、重大な責任だと思うのでありますが、その点はいかがですか。
  55. 岡部保

    政府委員岡部保君) ただいま申し上げましたように、県自体の開発計画と申しますか、ここで大湊をどういうふうに位置づけて、しかも下北地域の開発というものをどういうふうに位置づけておるという計画は持っておるわけでございます。  そこで先ほど申しましたように、これを確定した開発計画に見るかという点については、いささか、国としての重要港湾に認めるか認めないかという判断の尺度としては問題があるわけでございます。ただ、この際少しく、何と申しますか、よけいな御説明かもしれませんけれども、いわゆるむつ製鉄もしくはビートの工業、こういうものを中心にしての下北開発ということを国が相当に強力に推進しようということで指導もいたしたわけでございます。ただ残念ながら、両方の計画とも挫折してしまったということで、非常に国として何とかしなきゃいかぬという、何と申しますか、いささか理外の理かもしれませんけれども、ことをこの地域に対しても考えておったことは事実でございます。  したがって経済企画庁が中心になりまして、各省が集まっていろいろな議論をしたことも事実でございます。そこで、そういうような問題がございましたので、県のこの開発計画というものを何とか伸ばしていこうということで、下北開発の中核拠点としての港湾というものを大湊として考えるべきではなかろうかということで、この政令改正のときに各省の合意も見られたということが事実であるかと存じます。  したがって今後の問題といたしましては、当然県の、これは港湾計画はもちろん県が発案するものでございますし、先ほど申しましたように、昨年の十二月に港湾審議会を通りました計画、この線に沿って進めていくと、また県といたしましては、これは知事も最近も話をいたしておりますけれども、この大湊地域に、あるいは企業の誘致あるいは流通のルートを開くというようなことについて、十分努力をするということを知事も語っておるところでございます。
  56. 伊部真

    伊部真君 私は二つの疑問があるのですが、一つはこの計画が出発をしたときには、むつ製鉄の問題と、それからビートを中心にした工業基地——工業基地といえるかどうかわかりませんが、いずれにしてもそういうものが柱になって出発をした。ところがそれがくずれたということなんであります。しかし、当初の計画を進めておったものだからということで、これにかわるものという形で考えながらも、そのまま推移したということではないかという心配がある。  それからもう一つは、ちょうど昭和四十四年、この計画を指定をされたときと同じ時期に、原子力船の「むつ」がその母港としてこの陸奥湾が指定をされておるわけですね。その翌年に、原子力船はたしか四十五年に入っておると思う。そうすると一つの面が、そういう心配が計画倒れになったということから出発したんではないかということと。もう一つは、そのときに、青森県としては原子力船の母港にするというなら、これこれの開発なり、国に、当然これはかわるべきものとして、あるいは県民の理解を得るものとして、そういう形での、いわば話し合いというか、取引というか、というふうなことが関連をしてこれができたんではないかという感じが、たまたま時期が一緒ですからするわけです。  まあ、あとの問題は、もう少しあとで議論をするといたしまして、前段の問題でありますけれども、ここの坪数ですね、下北埠頭地区というのがありますが、この地区は、いまコンクリートを打ってないですね。いわゆる原子力船の埠頭の関係以外のところはコンクリートが打ってなかった。むつ製鉄の設備のためだというようなことだったんですが、この所有の土地と管理権はどこにあるんですか、この下北埠頭の。
  57. 岡部保

    政府委員岡部保君) ただいま手元に資料ございませんが、県もしくは東北開発株式会社ではないかと思いますが、直ちに調査をいたします。  それからさきほど御質問ございましてお答えできなくて申しわけなかったんでございますが、原子力船事業団の土地の面積でございますが、八万六百五十平方メートル、約八万平方メートルでございます。この下北地区の一番先端のところの八万平方メートルであるということでございます。
  58. 伊部真

    伊部真君 そうすると、この下北、これ何ぼ坪数があるかわかりませんけれども、これは全体で三万坪ぐらいあるんではないか。全体で、いわゆる工業基地、太平地区とこっち側合わせて七万坪というふうなことを大体いっておるわけですから、その半分ぐらいでありますから、この土地は、私の聞いているのでは、東北開発だというふうに聞いている。東北開発がむつ製鉄の用地として確保しているというふうに思えるわけですけれども、そう考えると、これは当然、やっぱりむつ製鉄を呼ぶということを前提にして計画され、そしていまもそのままの状態であるんじゃないですか。
  59. 岡部保

    政府委員岡部保君) むつ製鉄の問題がもとでここにこういう土地を造成されたということは、これは確かに事実でございます。それでその際に、私も先生のおっしゃるとおり、たしか東北開発株式会社がまだ所有している土地だと考えておりますが、いま取り調べております。  それで、現段階でこれを一体どういうふうに使うかということにつきましては、現在の県の計画といたしましては、いわゆるむつ製鉄ではございませんで、ただ、できれば砂鉄利用工業もしくは木材関係の工業、こういうものをこの地域に誘致できないかということを考えておるようでございます。
  60. 伊部真

    伊部真君 さて、今度は四十四年に計画するときに、もうそれがこわれておったというんですね。もともと、この用地それ自体の計画がむつ製鉄をつくるために考えたわけでしょう。開発計画それ自体もそこから出発しているわけです。くずれたというなら、それはよほどの代替の見込みが立たないと、これは許すべきではないんじゃないかと思うのです。許可すべきではないのじゃないかと。で、それにむつ製鉄、ビート工場があるときと同じ設備と同じ土地と、そして同じ水深だとか、あるいは岸壁というものをつくるということ、それは非常に矛盾じゃないですか。当然、それならむつ製鉄とビート工場がなくなったんだから規模を少なくするとか、あるいはそれに合った体制というものを、製鉄から出発したことであれば、それと違ったものをやっぱり考えていくというのが普通じゃないですか。それがなぜ当初の方針どおり、むつ製鉄と、それに関連産業のような形でのこの計画が進められておるかというのが、どうもわからぬわけですけれども、当然、四十四年の重要港湾指定のときには、この工事の中身について再審議をすべきときではなかったのか、中身についても……。  それからこれの重要港湾に昇格する場合の審議のそれぞれ委員会があろうかと思いますが、それの状況についても、ひとつお聞かせをいただきたい。
  61. 岡部保

    政府委員岡部保君) ちょっといま先生のおっしゃいました意味がよくわからなかったんでございますが、この下北地区という、この図面で見ますれば下側——南側のほうの地域でございますが、この土地はすでに重要港湾に昇格し、あるいはその直前に県が新しい長期計画をお立てになったという時点では、すでにでき上がっておった土地でございます。それででき上がっておったと申しますか、だいぶ前にでき上がりまして、むしろ逆に護岸など非常にこわれておりまして、土地が少し減ったというような話まで私は聞いております。そういうような土地でございます。  それからこの北側の「たいへい」と読むんでございますか、「おおひら」と読むんでございますか、この地域等は、これは新しく造成をした土地でございます。それでいま先生のおっしゃいました計画が、もとのむつ製鉄のときの計画と、それから現在考えておる計画とどういうふうに違うんだという点につきましては、これは計画は明らかに違っておるんでございますが、法線的にも変わっておりますが、私、残念ながら前の計画を持っておりませんので、ちょっと具体的に述べるわけにはまいりませんけれども、明らかに変化がございます。ただ、問題はこういう土地を、むつ製鉄の話はもうだめになってしまったという時点で、もうだいぶ二、三年前、もう少し前にだめになったという時点で、青森県が長期計画をお立てになった、そのときに、大湊をどういうふうに考えるかというときに、やはりこの土地を利用しなければおかしいということで、この土地を前提にして、むつ製鉄を前提ではなくて、土地を前提にして考えた場合に、どういうふうにしたらいいかということをいろいろ考えておられるわけでございます。ところがこういう段階で、いわゆる従来の一つの大きな工場のかたまりというようなものではなくて、むしろ流通型のものが非常にふえてくるということで、公共的な港湾施設をもっとふやす必要があるという考え方で、現在ありますような計画になってきたというふうに、私ども理解をしているところでございます。
  62. 伊部真

    伊部真君 それでは、次に原子力船のここが母港になりましたね。ちょうどこれは四十四年に指定されたというのは、それは間違いありませんか。
  63. 岡部保

    政府委員岡部保君) 私どもの承知いたしておる限りでは、母港に、原子力船事業団と、それから港湾管理者であります青森県との間で原子力船定係母港にするということで合意ができたというのは、昭和四十二年の十一月であるというふうに伺っております。
  64. 伊部真

    伊部真君 そうすると、四十二年に母港になって、原子力船の基地になるということはわかっておって、そして四十四年に重要港湾の指定が行なわれたということになると、ここら辺はどうも私はわからぬのですが、出入の場合の危険性というものは、いま騒がれておる時期なんですが、当然その心配が出てくると思うのです。そういう港に事実併置されるという状態が、これはそこの住民感情からいっても、あるいは開発の見通しからいっても、たいへんに心配があるというのは、私は当然のことだと思うんですが、そのことについての審議は、この重要港湾指定のときには議論がなかったということですか。
  65. 岡部保

    政府委員岡部保君) 私ども理解しておる限りでは、原子力船のいわゆる定係港と申しますか、母港であるということ、これは大湊港のごく一部の施設でございますし、もちろん安全基準等々のいろいろの問題は科学技術庁あるいはその他関係のところと御相談を申し上げたわけでございますが、いずれにいたしましても、この港全体のことから考えれば、それほど大きな問題ではない。この港を今後開発を十分していけるという判断に立っているわけでございます。
  66. 伊部真

    伊部真君 これは一部、片すみじゃないですよ。いま言われたように、下北の坪数からいったら何ぼですか、先ほどかなりの大きな敷地を事業団が持っているというふうに言いました。大かた下北の埠頭の三分の一くらい持っているのじゃないかと思いますが、そうして百三十メートルの埠頭ですから、かなり大きなスペースをとっているわけです。その隣に工場が誘致されるというふうなことは問題にならなかったというほうがおかしいと思うんですけれども、そういう重要港湾の指定をする場合の議論の中には、これはなかったというわけですか。
  67. 岡部保

    政府委員岡部保君) 重要港湾にする際に、原子力船の定係港であるこの施設が、こういうところにあるということが、重要港湾にするべきであるか、あるいはないかというような議論に、これが一つの要素として加わったかという御質問かと思いますが、そういう事実はございませんでした。
  68. 伊部真

    伊部真君 私は、これはやっぱり先ほど申し上げた心配の後段の問題がどうも気になるのですが、四十四年に重要港湾として指定をされる場合に、そして「むつ」が進水したのが四十四年で、四十五年ぐらいにこっちへ曳航しておるのじゃないかと思うんですけれども、そういうことから見ると、重要港湾に指定されたというのは、原子力船の母港として青森が引き受けるからということで、これが議論されたのではないのですか、そういう事実はありませんか。
  69. 岡部保

    政府委員岡部保君) 私の存じておる限りではそういうことはございません。むしろ下北開発の、先ほども申しましたように、いままでの国のいろいろな問題点ございまして、その点をむしろ下北地域の開発というものに何か考えなきゃいかぬということが中心で、これを重要港湾に指定した、こういうふうに承知をいたしております。
  70. 伊部真

    伊部真君 そうすると、先ほどこれから年間百三十万トンですかの港湾の取り扱い量というふうに言われますけれども、それは何を根拠にそれが出てくるのですか。いまあそこで荷扱いをしておる量がそんなに年々ふえていくとか、工場がどんどん建つというわけじゃなし、私が見た感じでは、たいへんにまだまだ未開発のところですね。そういうところにこの港湾を、百三十万トンの計算基礎で、あすこに重要港湾として設置をするということは、何かの数字的根拠といいますか、開発の見通しというものがなければおかしいと思うのであります。  それから、この地域からそんなに離れていないところに、大きなコンビナートができるわけでしょう。コンビナートの計画があるわけですよ。そうすると当然、常識的に言えば、そこへほとんど引っぱられてしまう状態であるのに、むつ製鉄があるならいざしらず、何もそのことがなくて、開発のためということで、ぽつんとこういうところに港ができるというのは、どうもふに落ちぬわけですよ。ですから、いま言われたような五千トンバースが二つと一万トンバースをつくらなければならぬ根拠、年間百三十万トンという推定される根拠というものについて、もう少しお聞かせください。
  71. 岡部保

    政府委員岡部保君) 午前中にも一応御説明をいたしたつもりであったわけでございますが、現在青森県が港湾計画の基礎資料として持っております計画、いわゆる昭和五十二年の取り扱い貨物量が百三十万トンになるであろうと申しましたこの算出の基礎と申しますものは、先生御指摘のように、こういう土地にたとえば木材関係の工業であるとか、あるいは食品関係の工業であるとか、あるいは砂鉄を利用する工業であるとか、そういうものが立地するということを前提にいたしております。したがって現段階でまだなかなか立地のめどがないということは事実でございます。  ただ県知事といたしましても、これは何とかここに誘致をするんだということを、相当に熱意をもって語っておるのも事実でございまして、したがって私どもは、確かに先生の御指摘のとおり、この港湾施設整備に対する投資というのが、相当な先行投資であるという御批判は確かにお受けしなければならぬと思いますけれども、私どもはこの地域の開発のために、こういう先行投資をして決してむだにならないものだという考え方に立っているわけでございます。
  72. 小柳勇

    ○小柳勇君 関連して。  ここに大湊港港湾管理者の計画書を持っているんですが、これにはあなたがおっしゃった百三十二万トンというのが書いてあります。昭和五十二年の目標です。昭和四十六年の実績ではわずかに八万七千トンですね。昭和四十六年現在大体八万トンから、九万トンしかないのが、昭和五十二年に百三十二万トンなんというのは、全然想像がつかぬのですね。こういうようなずさんな港湾管理者の計画書で、港湾審議会がオーケーをして、これをまたうのみにして運輸省が、港湾局が重要港湾に指定し、そしてこの指定は前やりまして、これだけの予算をつけている。しかも、それを大蔵省オーケーしておる。こういうことに伊部委員は問題を持っているわけですよ。普通、われわれがいままで港湾法をずっと勉強してきて、これから重要港湾を指定をして建築するのと相当の隔たりがありますね、頭の中で。もしこういうものをどんどんやっていくなら、もう港湾法の改正も何も要らぬと思うんですよ、かってにやればいいわけですから。そういうものを、しかもこれは大蔵省が認めているというところに問題がありますね。  いま伊部委員が言っているように、原子力船がもう母港としてあるから、ほかのどこに持っていってもきらわれるから、もう工場が、むつ工場も、ビート工場もやめたけれども、この際やむを得ないというようなことが中心ではないかと、そう言っているわけですから、この百三十二万トンの見通し、もう一回、くどいようですけれどもこれをひとつ説明してもらいたいのと、これもくどいけれども、原子力船の母港として、それを重点に青森県が重要港湾の指定の申請をしたのではないか。この二点について局長から答弁をいただきたい。  そのあとまた大臣から、さっきの午前中のことで質問いたします。
  73. 岡部保

    政府委員岡部保君) ただいまの先生の御質問でございますが、また繰り返すようになりますが、私、御説明申し上げておりましたのも、先生の御指摘のございましたこの資料に基づいて御説明を申し上げておったわけでございます。したがって確かに四十六年の取り扱い貨物量の実績が八万七千トンである、それが五十二年には百三十二万トンになるであろうという計画、これが非常な、何と申しますかずさんな計画であるというか、あるいは過大な計画であるというふうにいま御批判があったわけでございます。ただ私ども考え方では、現実の問題としてほんとうに百三十二万トン五十二年に取り扱うようになるかどうかということは、ここで言っても、これは想像になりますので意味がないかと存じますが、現実の問題といたしましては、たとえば裏日本の秋田港でございますとか、等々いろいろな港で昭和三十年代の半ばぐらいまではほんとうに何万トン、あるいは十何万トンというオーダーであったというのが、最近においてはもう百何十万トン、何百万トンというオーダーになっておる港があるわけでございます。  したがって、むしろわれわれとしては、その地域を開発していくための一つの先行投資としての港湾の価値というものを生かすべきではなかろうかという考え方で、ここにこういう計画を考え、しかも実施をいたしておるとこでございます。したがって、これは具体的なお答えにならないでまことに恐縮なんでございますけれども、こういうようなものを百三十二万トンという一つの目標値になるようなこれからの開発のしかたを、この地域でしていこうじゃないかという考え方でやりますためには、むしろ港湾施設は先行投資をするべきではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。  また第二点の点につきましては、先ほど申しましたとおり、この重要港湾指定という問題は、むしろ過去のこの地域に対してのある意味では国が非常に開発の問題で失敗をいたしました点について、これはいわゆる下北地域に対しての、何と申しますか、これからどういうふうな考え方で開発を進めていくかという、地域住民に対するどうもおわびというとことばが悪いんですけれども、そういうような感覚で、ここを中核の拠点にする、したがって、これを重要港湾にするということで、いささか、先ほど伊部先生から基準と若干食い違いがあるんじゃないかと御指摘のありましたようなことをあえていたしまして、重要港湾に指定したということでございまして、何ら原子力船の母港であるということとこれと直接結びついてはいないというふうに御了解いただきたいと存じます。
  74. 小柳勇

    ○小柳勇君 午前中の大臣の発言で、問題だからちょっと休憩せいと私、言いましたのは、局長の答弁は、いまのように重要港湾を指定をいたしましたが、そのときは具体的な計画はもうなくなっていましたと、しかし五十二年ごろには百三十二万トンぐらいのものは何とかなるのではないか、したがって先行投資ですよということでありましたが、大臣の答弁の中に、指定条件、指定の基準が合ったからこれをつくったんです、しかし、それは途中でなくなりましたというような印象の答弁がありまして食い違っておった。したがって、あいまいなところで——いま私はこれでも非常に問題だと思います。これはもう少し今後の推移を見てみたらまた問題になるでしょうが、問題だと思いますのは、こういうふうにして重要港湾を指定して先行投資することについては非常に問題がありますよ。昭和五十二年ごろには百三十二万トンぐらいになりましょうというのは、現在と比べて相当の開きですからね。  私はまだ現地を見てませんから一回見たいと思いますが、伊部委員が実際現地を見て、ここ二、三年のうちに大きな工場が来て百三十二万トン出るものかと、こう言っているわけです。この計画書の中には外航及び内航と書いてあります。外航、内航で百三十二万トンと書いてありますが、そんな時世じゃないというわけですね。にもかかわらず八億円の金をかけて、八割か九割できてからあとも、これの建造を続けるであろうということを心配してきょう問題にしているわけですが、こういうような、言うならばずさんな見通し、ずさんな計画でも重要港湾の建造としてやるのかどうか、いやこれは見通し誤りでした、将来はもっと慎重にやりますよというのか、将来もこんなのあり得ますとおっしゃるのか、大臣から答弁を聞いておきたい。
  75. 新谷寅三郎

    ○国務大臣(新谷寅三郎君) 午前中のお答えの中で、実は私、少し事実を考え違いしておった点があるものですから、この点あらためてお答えしておきます。  実は私は、いま小柳先生から御指摘がありましたように、むつ製鉄その他、これは昭和三十年代に計画されておったものが、計画どおりにいかなくなったという事実と、それから重要港湾指定の年月日といいますか、というものを少し年次的に誤解をしておりましたものですから、いまお話のような答弁をしたわけでございます。この点は、抽象論としてはそういうことはもう当然あり得るんだといまでも思っておりますけれども、午前中にそういうふうな事実を少し考え違いしておったものですから、この点はあらためて答弁をしておきますが、政府委員から申し上げたとおりでございます。政府委員から申し上げているとおりの事情でございます。  そこで問題にしておられる点は、よくわかります。そういった考え方はこの重要港湾指定、したがって国の費用を相当出すわけですから十分慎重にしなきゃならぬということは言うまでもありません。今後も十分その点を留意して、慎重に処理をしたいと思います。ただこの問題について、これは局長から申し上げましたが、言いわけのようになるかもしれませんけれども、各省で合意しました選定の基準というものを読んでみますと、この四項に書いてありますような、国土開発上云々というこの指定のしかた、これに当てはまるか当てはまらぬかということですが、もちろんこれに当てはまるという考え方で指定をしたものだと思います。まあ問題になるところは、この上に書いてありますように、「国土開発上」とか「港湾の合理的配置上重要な位置」にあるとかというようなことは、これは非常に場所柄も地域開発の上からも、こういったことは十分考えておるということは言えます。  それから内航、外航両方ともある意味における拠点港湾として考えるべきだということもよくわかる。これは確定した開発計画云々という、これは先ほども伊部先生からも御指摘がありましたが、これをどういうふうに見るかということだと思います。具体的にどの事業でどんな会社がどういうことやりたいんだということがきまれば、非常にこれは詳細にわたりまして、将来計画というようなものが具体的になると思いますけれども、おそらくただいまのいろいろな港湾でも、五年先あるいは十年先というようなものを見通しまして、そういう数字的な基礎の上に立って、具体的に何のどこのどういう事業で、何のどの会社というようなことが確定をしてないのが相当あると思いますが、しかし、この点では大体政府委員から申し上げましたように、たとえば木材を中心にした事業であるとか、砂鉄を中心にした事業であるとかというようなものを、港湾管理者としては、その地域開発事業として考えておるということでございますから、そういったものがこの対象になりまして、この第四項を援用したものと考えるのであります。取り扱い量の問題につきましては、先ほど政府委員から御説明したような計画でございます。今後は十分慎重に対処いたしますが、この大湊港の計画につきましては、いま申し上げたような趣旨で御了承をいただきたいと思いますし、将来につきましても、そういう国費のむだにならぬように、十分留意をしながら対処をするつもりでございます。
  76. 伊部真

    伊部真君 私は、一つはこの指定をする場合、助成金が大きくなるわけですから、その場合には、やはりかなりの見通しというものをつけた上で昇格指定をされるというのは当然のことだと思うんです。そういう意味で、私は五つの項目というものを厳重に運営をされるということは、当然のことだと思うんです。その意味では、大湊の場合、四項を適用されたということは、当初はやっぱりむつ製鉄だとかビートとかというふうなものが話し合いの中であって、なるほどそれが決定したのは四十四年のそのときかもわからぬけれども、事前にずっと経過をたどれば、そのことがやっぱ基礎だと思うんですよ。そういう意味では、確定した開発計画というものが大きく狂ったときには、当然そこで再検討されるべきだろうと思うんです、再検討したけれども、そういうことだったというなら、その再検討した基礎というものは、ある程度、せめて三割か四割かが土台になって、そうして百三十万トンと言われるならいいですけれども、それですら非常に不確定だったということ。そういうことに私は、非常にこの出発点という問題があるような気がします。  まあこれは済んだことだとしても、それは、それではいま現状で、それじゃそういう見通しが出てくるかというと、私はたいへん心配なことが出てきたというのは、原子力船の母港としてあそこが指定されて、そういうふうな公害汚染という問題が議論になっている最中に、ほんとうに工場は来るだろうかということであります。そういう意味で、私は運輸大臣、時間でしょうけれども、来なかったときはたいへんなことじゃないかと思うんですがね。私は普通の場合だったら、もう少しベルト地帯だとか、こう裏表のなら別なんですが、一番北の端で、しかも基本計画がなくなって、むしろ「むつ」が来ているという状態から見て、これはどうもそういう点では、常識的に言っても問題じゃないかと思うんでありますが、そういう展望について、ほんとうにだいじょうぶかどうか。むしろこれは、活用できるような工業開発を、見通しのつくような形にしてもらいたいというのが、私の気持ちなんですが、その点はどのようにお考えでしょうか。
  77. 新谷寅三郎

    ○国務大臣(新谷寅三郎君) 先ほど政府委員から申し上げたとおりでありまして、原子力船の母港になるからというので開発したわけではない。これは全然違った観点からの開発計画であるということを申しましたが、そのとおりだと思います。  それから、国費のむだづかいをしちゃいかぬというのは、おっしゃるとおりです。でございますから、これは現地当局も、何といいますか、フラットに平面的に考えてみましても、あの残された地域を何とかして開発をしたいという熱意はよくわかるわけです。それにこたえて、初めの計画は若干かわりましたけれども、やはり県当局もそういう熱意を持っておりますので、それにこたえて、やはり一番の海の流通の拠点としての港湾というものがほしい。それには国費も相当投じなければいかぬということで、その重要港湾の指定をしたもんだと思いますから、結論的におっしゃった、そういう点を十分考えまして、なお政府側におきましても、この開発計画というのが積極的に推進されますように、もちろんこれは協力もしなければならぬし、県当局にも早く具体的にその計画を樹立するように、われわれも県に対して促進をしていって、この所定の計画が遂行されますように、両方で努力をしなきゃならぬと思っております。
  78. 伊部真

    伊部真君 私は心配をしていることが当たらなければいいんですけれども、私が現地に行った感じでは、八万トンの実績といっても、あそこでトラックが来て、それが岸壁で直取りしたかどうかという程度で、事実、全くそういう設備もできてなければ、それから工場もたとえ一つでも二つでもとか、それからあそこに漁民以外に居つくような状態には感じられないのですね。だから、その計画がつくられたけれどもそれがつぶれた。しかし原子力船を持ってこなければならぬから、まあ青森県の言い分も聞かなければならぬというふうな、運輸省考えたかどうかは別にして、これは原子力船等の問題で、いろいろな意味での合議が行なわれた。そういうところから出たというなら、これは結果的には責任だけは港湾工事をやったものが負わなければならない。事実、この工場ができるのかといったら、私はたいへんむずかしいと思う。希望としてはそこへつくって、そこが少なくとも計画どおり、計画の程度は何とかしたい、してもらわなければならぬと思いますけれども、この何キロですか、十キロか十五キロ、しかもむしろこっちよりも湾外で、便利のいいむつ小川原のところに大きな計画が出ているということになりますと、ここへ工場やそういうものを持ってこれる。あるいは持ってきてメリットがあるというふうに、私にはどうも思えないんです。これは常識的に言ってもそうだろうと思うのです。むつ小川原の計画がなければ、またこれは別です。  もう一つは、原子力船の母港になって、非常に大騒ぎしているときに、わざわざそこに工場を、大工場なら別ですよ。いま言ったように、むつ製鉄のようにボーンと一つだけ持ってくるというなら別ですよ。集団で中堅どころの工場を持ってくることが可能なのかどうか。これも常識的に言っては、私は非常に困難だと思う。困難なやつがこれだけ重なっておるのに、このまま工事を進めていいのかどうかというのは、どうも心配なもんですから、ほんとうにだいじょうぶと言えるのかどうか。ここいら辺をひとつもう一度、確認というときつい言い方ですけれども説明をいただきたい。
  79. 岡部保

    政府委員岡部保君) どうも、ただいまの伊部先生のおことば、一つ一つども非常に痛いことをおっしゃっているという感じを持って伺っておったわけでございますけれども、私ども全く同じような、非常な心配はいたしております。現実に、たとえば先ほど申しました百三十二万トンという計画に五十二年に到達できるかどうかという点について、いまほんとうにざっくばらんに申して自信があるかと言われたら、私あるとはなかなか断言できません。  ただ現段階で、私ども考え方は、少なくとも五千トンバースを二バースぐらい、それからそこに至るこれは七・五メートルの水深の航路でございますが、そのぐらいなものはまずつくっておかないと、ほんとうにいよいよもって大湊地域にこういう産業を誘致するというか、立地させることは、とうてい不可能ではないかというような、むしろ逆の意味で、そこまでは先行投資していいんじゃないかというような感覚を持っていることは事実でございます。ただ、いまおっしゃいましたように、ほんとうにそれが今後の推移でどういうふうになっていくかという点について、これは想像するよりも現実にすぐに結果が出るわけでございますけれども、その際に、ほんとうに国費のむだづかいにならぬように、私ども県を督励いたしまして、私どもも努力して、この地域の少しでも開発ということを考えていきたいというのが、残念ながら、私の申し上げられるすべてであるかと存じます。
  80. 伊部真

    伊部真君 この地域の開発というのは非常にデリケートなので、わりあいに——カーフェリーでは函館−大間というのが、かなり回数が多くなって、ここはそういう意味では、かなりその基地としての希望が持てるわけですね。ただ、むつの場合は中途はんぱになりまして、どうも湾内ですから。大間の場合は湾外に出ていって函館にということですから、これは非常にそういう意味では便利がいいんですけれども、このむつは、産業面での、工業港として非常にむずかしかったら、それじゃそういう面で使えるかどうかということは、私は距離的に見ても船に乗っている時間が非常に長くなりますし、時間的にも問題があると思います。そうすると、やっぱり大間のほうが中心になろうということになりますと、陸奥湾の整備というのは、そういう意味では、お客さんのほうの利用もなかなかむずかしいし、工業基地としても、砂鉄か何か、背景に何かがあるなら別ですけれども、それは非常にむずかしいということになりますと、これはたいへんに問題だというような気がいたします。  ただ少し気になりますことは、さっき言ったように原子力船の問題、あの近くに軍用基地がある。もとの軍用の土地があるようですね。いわゆる防衛庁の用地だというのがある。そういう意味で、この湾内は、むしろ原子力もしくはそっちのほうの利用という面が出てきやせぬだろうか、そういう意味で、先行投資というものも考えられたんではなかろうかというような心配もあるわけですけれども、そういうことはありませんか。
  81. 岡部保

    政府委員岡部保君) どうも、かつて確かに大湊は軍港でございましたし、現在も防衛庁の施設が若干あるということは事実でございます。それから原子力船の母港ということでございますので、いまそういうもので今後のこの港湾の進み方というのは、一つの方向を暗示しているんではないかというような御発言でございましたけれども、私どもはそういうふうには考えておりません。と申しますのは、これからの、いわゆる直接にお答え申し上げますと、防衛関係の港と申しましても、非常に商港に近くなってきております。むしろ物資の積み揚げ、積みおろしの港であるというほうが主体かと存じます。また原子力船の問題にいたしましても、これはいま安全問題がいろいろございますから、これは問題でございますが、現実の問題としては、たとえばいわゆる大きな商港に、原子力船時代が来ればこれに絶えず入るということになるでございましょうし、したがって現段階で、特殊な性格を持っている港であるということは事実でございますが、少し長い目で見ましたときには、そういう特殊のもので大湊港というものが生きていくというような姿にはならないのではなかろうかという感じを私は持っております。したがって、そういう考え方ではないという点を申し上げておきます。
  82. 伊部真

    伊部真君 最後にお願いをしておきたいのは、これは私が見たというだけではなしに、これから話題に私はなると思います。なぜかというと、いまの大湊の基地は原子力船の問題をめぐって大騒ぎになるのではないかと私は思うのですよ。向こうの漁民から言わせれば、せっかくあそこを開発して、漁民には——いままで非常に貧しい漁村であったけれども、ようやく日の目を見るようになったという、そういう意味でホタテ貝の養殖についてはたいへんな意気込みをしているわけでしょう。それだけ大事にしているだけに、そこでエンジンをかけられて湾外へ出るということになると絶対断わるというわけですよ。長い間これができなかったけれども、ようやく今度湾外でやるということ、今度は帰ってきて湾内に戻ってきたときに、またそれで汚染されるのではないかということで、私はやっぱりここの母港を外に持っていってれというふうな運動というのが、非常に大きくなってきやせぬだろうか、またくるような要素を私は持っていると思うのですよ。  そういうときに、荷物のかけらもないような港湾がすばらしく整備されているということになると、これはやっぱり、そこでいやがおうでもこの工事はどうなるのかということが話題になると思います。そうなると、やはり国が半分以上の資金を出してつくった港に、こういうところにりっぱなコンクリート打ちをし、岸壁をつくり、何年もさらしものになっているのかということになると、私はたいへん国民の間にも問題を大きくするのではないかという心配をするわけです。  したがって、私は、きょうの質問はこれで終わりますけれども、少なくとも、この港湾のこれからの有効活用の面には注目をすべきと同時に、私は運輸省としても、少なくとも青森からの申請と協議の上でこれをきめた以上は、青森県のほうにも、その点について十分な督励と、それから責任を持たすべきだと思うのです。そうでないと、まだ私はいまの段階ではむだづかいというのは言い過ぎかもわかりませんけれども、もう二、三年たったらわかるわけですから。私はいまのところでは、感じでは、あれは使えるような背景としては非常に問題だと思います。原子力船の母港がなくなったら、また一つの希望が持てますけれども、あれがあって、そしてあの背景である限りはそれが問題だと思います。そういう意味では、私は質問は終わりますけれども、この問題についてはこれからも見守るし、そして見通しについては、また将来お聞きをしていきたいと思うのです。その段階でまたどちらのほうの責任問題になるかわかりませんが、責任は当然運輸省なり青森県はとってもらわなければいかぬのじゃないかというふうに思います、ということを申し上げて終わります。
  83. 長田裕二

    委員長長田裕二君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  84. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 速記を起こして。  委員会の審議に大きな影響を及ぼすおそれもあったような事情ですので、政務次官のこの委員会への出席につきまして、十分お気をつけ、御注意を願いたいと、かように思います。
  85. 佐藤文生

    政府委員(佐藤文生君) 今後、重ねてこういうことのないように注意をいたします。
  86. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 速記とめて。   〔午後二時九分速記中止〕   〔午後二時三十分速記開始〕
  87. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 速記を起こして。  午後四時まで休憩いたします。    午後二時三十一分休憩      —————・—————    午後四時七分開会
  88. 長田裕二

    委員長長田裕二君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、港湾法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  89. 加瀬完

    加瀬完君 大臣に伺いますが、いま提案をされております港湾法は、御説明によりますと、昭和二十五年ごろの経済基盤の強化に主力を置かれたときに制定されたものであるので、公害防止等、港湾環境保全あるいは国土の適正な利用及び均衡ある発展など、現在、社会的に重大となっている諸問題に対する配慮に欠けている点を修正をすると、そして港湾環境整備施設廃棄物処理施設港湾公害防止施設等の整備を推進をするともに海洋汚染の防除体制を強化する、こういう御説明に受け取ってよろしゅうございますか。
  90. 新谷寅三郎

    ○国務大臣(新谷寅三郎君) お話しのとおり、これは提案理由で私から御説明申し上げたとおりでございます。
  91. 加瀬完

    加瀬完君 これを項目別にいたしますと、港湾環境保全のため、港湾計画の内容の充実のため、航路の整備、開発保全のため、シーバース、マリーナ等港湾施設の規制のため、そして港湾施設の技術上の規定、これらが大体の要点と考えてよろしゅうございますか。
  92. 新谷寅三郎

    ○国務大臣(新谷寅三郎君) 大体いまおあげになった項目でよろしいと思いますが、念のために申し上げますと、第一には、港湾における環境の悪化が非常に目立ってまいりましたので、環境の整備をしようということが一つ。  それから港湾の機能が非常に複雑多岐になりまして拡大をしてきたにもかかわらず、港湾管理者環境保全、安全確保面の権限が、現在の法律では弱い、このためにいままでの港湾管理者の権限に加えまして臨港地区内の工場の立地等について一定の規制権限を設けるというようなこと。  それから最近レクリエーション港湾の整備などの機運が高まっているにもかかわらず、従来の港湾法では、どうも貨物中心の立場で運用されておる。そのために欠けるところがあるので、レクリエーション港湾に不可欠な施設を追加することにしたという点。  それからその次には、港湾区域外にマリーナ、シーバース等の施設が増加しておりますが、この安全性の確保に対する配慮が欠けておりますので、こういったことについての技術上の基準に適合しないものについては、改善命令をなし得る等の法制の根拠を置こうとしたというようなことが主目的でございます。
  93. 加瀬完

    加瀬完君 さらに海洋汚染防止法の改正内容は、海上の油処理対策ということがおもなる内容と考えてよろしゅうございますか。
  94. 新谷寅三郎

    ○国務大臣(新谷寅三郎君) 海洋汚染は油だけではないと思いますけれども、現状を見ますと主たる対象は油による汚染が大部分だと思います。
  95. 加瀬完

    加瀬完君 そこで港湾環境保全というのは、具体的には現在どういう状況であるのを将来いかなる状況に変えようとすることになりますか、具体的にお話をいただきます。
  96. 岡部保

    政府委員岡部保君) ただいまの先生の御発言、法律に従っての御質問でございますので、法律の体系としてのどういう考え方を持っておるかという点について、具体的にお話を申し上げたいと存じます。  まず港湾施設として、従来港湾施設とみなしていなかった施設を新たに港湾施設としてみなすという点がまず第一点でございます。これにはたとえば緑地でございますとか、そういうような港湾環境整備施設、あるいは廃棄物処理施設、あるいは公害防止用の緩衝地帯等、これは港湾公害防止施設と呼んでおりますが、こういうような港湾施設を新たに加えたというのがまず第一点でございます。  それから第二点といたしましては、やはり環境保全で、いま申しました港湾環境整備施設でありますとか、あるいは廃棄物処理施設あるいは港湾公害防止施設建設または改良に要する費用について、その一部を補助することを新たに規定したというのが、これが新しく追加された部分でございます。  それからもう一つは、港湾工事といたしまして、いわゆる港湾施設と先ほど申しましたが、港湾工事といたしまして、港湾において、いわゆる港湾施設建設、改良するというのが港湾工事でございますが、さらに漂流物除去あるいはその他の港湾保全のために行なう工事も港湾工事であるというふうに法的に認めた。これがつけ加えられた第三点でございます。  それから第四点といたしましては、港湾管理者業務というもの、この港湾管理者業務というものの中に、港湾区域における廃船除去及び水域の清掃その他の汚染の防除を明らかにするとともに、港湾環境保全のために、たとえば廃棄物埋め立て護岸等の管理運営を行なうと、こういうものが港湾管理者業務として従来法的に認められておりませんでしたのを、はっきりつけ加えたというのが第四点でございます。  第五点といたしましては、港湾管理者は、港湾環境の整備のために行なう港湾工事に要する費用につきまして、港湾区域または臨港地区内にある一定の事業者にその一部を負担させることができる、いわゆる環境整備負担金といっておりますか、こういうような根拠規定をこの法律につけ加えたというのが第五点でございます。  それから第六点におきましては、先ほど大臣が申しましたが、臨港地区において工場等を新設し、または増設しようとするものに対して、港湾管理者港湾の開発利用及び保全に関する一つ基準によりまして、この行為を規制するという臨港地区内の私人の行為の規制権限を港湾管理者に与えたというのが第六点でございます。  それから最後に、第七点に、これも先ほど大臣の最後におっしゃいました臨港地区におきまして、現段階では商港区でありますとか工業港区でありますとかそういう分区指定がございますが、この分区指定に新たにマリーナ港区とそれから修景厚生港区と呼んでおりますが、こういう新しい二種類の港区を分区として追加いたしました。これはいわゆるレクリエーションと申しますか、レジャーと申しますか、そういうようなもの、あるいは自然保護というような面から、この港湾でも環境保全ということで新たな感覚を必要とすることでつけ加えたわけでございます。  大体、環境保全については以上が主だった点でございます。
  97. 加瀬完

    加瀬完君 御説明はわかりましたが、順序不動に申し上げますと、緑地をつくったりレクリエーション設備をしたりということがどういうわけで港湾保全ということになるのか。あるいはいま油の問題が出ましたが、油処理が非常に必要とされている。そういうことが緑地をつくったり、あるいはレクリエーション設備をしたりすることで解決されるとはとても関連性は考えられない。そういう点について、もう少し御説明をいただきたいと思うわけでございます。  それから、それぞれの施設をするのに負担金をかけることはきめられましたが、これはあとで伺いますが、補助を出すことになりました。当然、公害防除なり港湾効率を高めるために施設をするのに国が金を出すというのはわかりますが、結局負担は、管理者という場合はこれは県か市に、ものによってなると思います。結局自治体がしょわなければならないことになるわけですね。港湾の利益というものは、まあ若干地方税もございますけれども、あまり他の施設に比べて、港湾の開設がされたから非常に利益が上がるということはないわけですね。にもかかわらず、国の法律でその負担の大部分は地方がしょわなければならないということで、一体何といいましょうか、合理的な解決というふうにお考えになったかどうか、いろいろ私は、いま御説明承りまして疑問があるわけであります。  さらに標流物の除去といいますけれども、それは具体的にどういうことなのか、あるいは管理者の業務というのが規定されましたけれども管理者の業務の中に汚染除去というのがありますけれども汚染除去というのは具体的にどういうことなのか、あるいはどういう施設管理者は設けなければならないというような義務が生ずるのか、そういう点について、もう少し一、二でいいですから、具体的に例をおあげいただければけっこうだと思います。
  98. 岡部保

    政府委員岡部保君) ただいま御質問のございました第一点、いわゆる緑地をつくるということ自体が公害防止にどういうふうに関係があるのかという点でございますが、これはむしろ直接の公害というような問題ではございませんで、いわゆる港の環境をよくしようということで、たとえばよくいわれるのでございますが、従来港湾の地帯というのは、言うなれば鉄とコンクリートのかたまりになっておると、そういうところに緑地を、緑をもう少し入れるべきである。そういうような一つ環境づくりをしようということが、ここに新たに、緑地等の港湾環境整備施設というものを整備するということがつけ加えられたことでございまして、たとえば油による港内汚染の防除というような問題につきましては、従来も廃油処理施設というような、いわゆる廃棄物処理施設ということで、すでに国が補助をして建設をいたしておりますし、そういうような点ですでに取り上げておった。さらにこういう緑地みたいなのをひとつ間接的ではあるけれどもつけ加えようという考え方であるという点がまず第一点のお答えでございます。  それから第二点で、公害防除事業にいわゆる国が、たとえば補助をする、いわゆる先ほども申しましたように廃棄物処理施設建設に対しまして、国が新たに補助をする道を開いたわけでございますが、そういたしますと、その裏には国が補助をするという以上、地方公共団体でございます港湾管理者がその裏負担をしなければならない。確かに先生のおっしゃるように、これは地方公共団体の財政負担が大きくなるではないか、そこら辺が問題でございまして、先生御指摘のように、確かに港湾での収益というのはなかなか少ない問題でございます。非常に経常的な管理経費だけを見ましても、まだ十分償っていない、施設の使用料等ではまだ償っていないというような状態でございます。したがって、今回、先ほども触れました環境整備負担金という考え方、これは新たに民間の企業からこういう負担金を取るという制度をつくるべきではなかろうか。これによって幾ぶんでも管理者の財政負担を軽減させようというような考えに立ったわけでございます。  以上のような点で、具体的に申しますと、この補助率をもっと高くしなきゃいかぬとか、あるいはそういう民間企業の原因者と申しますか、受益者と申しますか、そういうところの負担金をどういうふうに取るかというようないろいろな議論はまだあるかと思いますけれども、そういう道を新しく開いたという意味での私どもの改正であるというふうに御理解いただきたいと思います。
  99. 加瀬完

    加瀬完君 港湾環境保全というのであれば、本質的に港湾そのものの環境が、港湾利用の上からの環境というのが提示されることがたてまえだと思うんですよ。しかし、この法律の御説明では、港湾そのものがどのように環境的に効率化されるかということは、あまり明瞭ではありませんね。ちょいとわきのほうに木を植えたり、レクリエーション施設港湾環境の整備にはならないとは言いませんが、派生的なものですよ、付属的なものです。こういうことで私は港湾環境が整備されるとは思わない。緑地等の港湾環境整備施設あるいは廃棄物処理施設等の整備というものが、御説明の中にもございます。これがどうして保全と利用が確立されることになるか、緑地をつくったり、レクリエーション施設をしたり、あるいは廃棄物処理施設をつくったりすることが、どうして港湾保全になったりするか。これはあとで触れますが、たとえば川崎では油処理場をつくりましたね。具体的にはあとで申し上げますが、利用者がないじゃないですか。施設はつくったけれどもさっぱり利用しない。それで東京湾は油のたれ流し、こういうことが問題で、少なくも汚染防止は強化されなければならないですよ。どうして港湾そのものにしても、廃棄物処理場はありますけれども廃棄物による汚染というのは、どのくらいありますか。油汚染は昭和四十年から、あとで申し上げますけれども、四十六年で七百九十一件ありますね、東京だけで。廃棄物はごく少ないですよ。だから油汚染をさせないような施設というものが、それだけでも取り上げられて、海洋汚染法の改正に加えて港湾施設につけ足されるということならわかりますが、港湾整備そのもの、港湾の効率をあげるそのものなにあまり関係ないように思われてならないのですが、岡部さん、これを提案するときに、担当局長として、こんなものでけっこうでございますと、りっぱにこれから港湾の効率はあがりますと御認定をなさったのですか、あなたに味方して私は質問しているのだが……。
  100. 岡部保

    政府委員岡部保君) ちょっと私の御説明が悪かったのかもしれませんけれども、いま先生のおっしゃいました、たとえば確かに取り締まりとの関係はございますけれども、いわゆる海面のいわゆる油汚濁した水の投棄というようなものからの汚染という問題、これは確かに一つ環境汚染の大きな原因だと存じます。また江東地区においては、たとえば木材など取り扱っておりますところでは、木の皮というものが非常な汚染の原因になっております。また風などによりまして港の中では、いわゆる海面に浮遊しておりますごみ、これが一カ所に非常に集まってきてたいへんな汚染をしているというような問題がございます。いまここで廃棄物処理施設と申しておりますのは、そういうようなものすべてを含めての考え方でございます。したがって、この廃棄物処理施設の中には、当然汚水の処理場、これも油水分離のための処理場、これも廃棄物処理施設でございますし、また廃棄物の焼却場、これも廃棄物処理施設であるというふうに考えております。したがって広く考えておりますので、いま先生のおっしゃいましたような問題点については、私はこういう表現でこれからの環境港湾環境保全というものを表現できるというふうに考えておるわけでございます。
  101. 加瀬完

    加瀬完君 大臣が後段で御説明なさいました海洋汚染防止法については、海洋汚染の防除体制の強化というものを重要な目的とされておりますね。で、このほかには汚染防止法の改正の内容としては重要なものは別になかったのか。
  102. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 今回の港湾法一部改正に関連して改正されます海洋汚染防止法の改正は、ただいま先生おっしゃいました港湾施設等における防除設備資材等の設置の義務づけということが、今回の港湾法関連する改正の内容でございます。
  103. 加瀬完

    加瀬完君 こは大臣にお答えいただきたいのでありますが、本日の新聞に、PCB汚染やはり魚に集中、こういう記事がある新聞に出ておりましたのを、おそらくごらんいただいたと思うのでございます。今回の改正案は、もう数年来叫ばれておりました油汚染に限らず、こういったような化学汚染、こういうものに対してどう処理するかということは、お考えの中には入っておらなかった、いまの御説明だと、そういうことになりますが、これに対して入っていたかいないかはけっこうです。どうこれから、大臣としてはこういう問題身御処理なさろうとお考えになりますか。このままでいいというお考えはないと思いますので、御所見を承ります。
  104. 新谷寅三郎

    ○国務大臣(新谷寅三郎君) これは今度の港湾法の改正の中で直接に入っていないということは、条文をお読みになるとわかるとおり入っておりません。将来のそういった問題、将来のといいますか、そうしたいまおっしゃったような有毒な油以外の汚染物質、そういったものに対してどう対処するかということは、これは運輸省だけじゃないんです、御承知のように。先般閣議でそういったものを含めまして、関係各省協力して何とかしょうということで、環境庁長官が中心になりまして、具体的な案を至急に練ろうということで、いま関係各省がそれぞれ局長クラスの委員を出しまして、それについて協議をしております。ごく最近のうちに、どういったものを対象にしてやらなければならぬかという対象ですね、それとそれをどうして防除するか、あるいはまたそれによって被害を受けたものに対してどういう救済をしなければならぬかというようなことにつきまして、全般的に政府の方針をきめようということでございますから、少しお待ち下されば、閣議においてもそういう話がきまってくると思います。もう少しお待ちいただきたい。
  105. 加瀬完

    加瀬完君 提案理由の説明の中に、最初に私は読み上げたわけでございますが、昭和二十五年ごろの経済基盤強化策というものに反省を加えて、新しい角度で港湾法なり、それから海洋汚染防止法なりの改正をしたいということでありますが、そうであれば、単にPCBに限りませんが、この海洋汚染の問題というものは、今回の改正では相当重要な要素として、油汚染以上に取り上げられなければならなかった問題じゃないですか。油の問題というのは社会問題にもなっておりますし、それからこれは企業側にも、いろいろ企業発展の上には支障がありますから、これの処理施設というものはこれから考えていくということでありますが、住民サイドで考えれば、油もそうでありますが、一般の魚が食べられなくなった、貝が食べられなくなったという問題を、こういう汚染現象というものに政府が対策を立ててくれれば、そのほうをむしろ要望していると思うわけでございますが、その住民が要求するような住民サイドからの考え方というのは非常に希薄である、このように考えられてなりませんが、これは長官でもけっこうです、お答えをいただきます。
  106. 原田昇左右

    政府委員原田昇左右君) お答え申し上げます。  先生のお話のPCB汚染防止等につきましては、工場からの重金属の排出防止につきましては、水質汚濁防止法という現行の法律がございます。それから廃棄物処理につきましては、廃棄物処理法がございまして、その法域の問題であろうかと思います。  で、現行の海洋汚染防止法は、船舶からの廃棄物の排出とか、あるいは油の排出規制をいたしておるわけでございまして、いまお話の分野は、水質汚濁防止法あるいは廃棄物処理法の分野ではないかと存じます。
  107. 加瀬完

    加瀬完君 それはわかっていますよ。しかし公害の問題がこうやかましくなって、水質汚濁なり、それからいろいろ薬品規制なりというものが、政策としては外側では立てられておるわけですね。ところが、それが河川の汚染防止については相当厳格にやられても、一つ一つの河川から見れば軽度なものでも、それが海へ流れてきて長くそこに沈でん作用を起こせば、いろいろ大きな問題を起こすわけですね。  ところが海洋になってまいりますと、汚染防止というところで、いろいろ規制というものは、水質汚濁防止法とマッチした形では行なわれておらない、こういう欠点があることは、これは認めざるを得ないでしょう。だから、さっき申しましたように、あなた方は企業側でものを考えているとしか思われないというのは、船が出すもの、あるいは船の通りぐあいに、あるいは港の使い方に便利なような改正はいろいろやってまいりますけれども、同じ海は、船も使っているけれども漁業者も使っているわけですね。船も通るかもしれぬけれども漁船も通るわけですよ。  私がさっき住民サイドでのものの考えが足りないと、こう指摘を申し上げましたのは、従来の海洋汚染防止法と一つも違ってないでしょう、考え方が。東京湾に例をとれば、東京湾そのものは具体的にいろいろの新しい現象が起こってきたけれども、それを加えて海洋汚染防止というものに徹底的な手を打とうということになっておらないのではないかと申し上げておるわけであります。  具体的に聞きますが、こういういろいろの対策を立てるについては、現状の認識を対策の要因としたことは当然だろうと思う。その現状の認識というものが、どのようにして皆さんのほうでは把握をされたわけですか。東京湾に押えます。東京湾で海洋汚染防止対策上、現状考えなけりゃならないものは最低これだと、将来心配されるものはこれだと、こういう具体的なものをお示しくだささい。
  108. 原田昇左右

    政府委員原田昇左右君) 若干、誤解があるように拝聴いたしましたのでございますが、かりに東京湾を例にとりますと、東京湾の汚染防止いたしますには、汚染物質が東京湾に排出されることを防ぐことであろうかと思います。そこで、陸から排出される汚染物質は、河川であろうと工場排水であろうと、あるいは廃棄物でありますとか、いろいろあるわけでございますが、これはそれぞれの法律がございまして、先ほど申し上げましたような法律で規制をいたしておるわけでございます。それから船から排出されるものは、海洋汚染防止法によりまして規制が行なわれるという建て方になっておるわけでございます。したがって、これによって全体の汚染源を全部網にかぶせたということになろうかと思います。  そこで問題は、現にすでによごれておって、汚泥がたまっておるとか浮遊物があるとかいう問題がございます。これについての防除事業というものがいままではあまりはっきりしておらなかったということで、防除事業をこの港湾法の改正で新たにつけ加えたということが一つございます。  それからなお、油汚染につきまして、船舶からの油が事故によって大量に排出されるというような場合に、排出油の防除のための資材を備えておくとかいうようなことが必要になりますので、その規定を入れたということでございます。それからなお、廃油処理施設を陸に設けなきゃなりませんが、漁港についてはいままでこれの規定はございませんので、漁港に関する廃油処理施設の規定を入れると、こういうところが、いわば、この海洋汚染に関しましてのこの港湾法の改正で取り上げた主要な点でございます。
  109. 加瀬完

    加瀬完君 港湾法と海洋汚染と一緒に聞いておりますから、申しわけありませんが、ひとつ、そちらで区分けをしてお答えをいただきます。  お話しのように、汚染物質はそれぞれで規制されていると、各河川もそれぞれ規制されているといいますけれども、集積規制といいますか、総体規制というのは、いまの公害関係の法律ではないわけですね。個々にはきびしい規制はしておりますが、それが集積された場合、総体として見た場合、どう規制するかということはありませんね。しかし海での被害は総体あるいは集積の被害です。だから、これは違筋いだと言わないで、もう少し住民の側に立てば、海洋汚染の中身として検討をする必要があったのではないかという点を申し上げたわけでございます。  それで、おっしゃる海洋汚染の防除体制で一番強化しなけりゃならないものは、廃油の処理も必要でしょう、あるいは汚泥の処理も必要でしょうけれども、これは長官、海洋汚染で一番問題の起こる根本は、一体、どこが弱いからだとお考えになりますか。
  110. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 海洋汚染の形態についてはいろいろございますが、私どもが昭和四十七年に海上保安庁で確認いたしました海洋汚染現実の姿を見ますと、油によるものが千九百八十三件、これは全国で私どもで確認したものでございます。その中で、船舶からのものが千九十件ということで非常に多い。したがいまして、船舶からの油の不法な排出、投棄と申しますか、これを押えるということが非常に汚染防止上重要なことである、かように思っております。
  111. 加瀬完

    加瀬完君 それじゃ逆に伺いますが、千何百件の油汚染に対して海上保安庁は何件を起訴し、あるいは処罰の対象として確実に把握しましたか。
  112. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) まとめて申し上げますと、昭和四十七年、暦年でございますが、当庁で確認いたしました全部の海洋汚染の件数は二千二百八十三件でございます。その中で、いま申し上げました油による汚染が千九百八十三件でございます。油による千九百八十三件のうち、船舶からが千九十件、陸上からが九十八件、不明のものが七百九十五件、こういうことになっております。  そして、これらのものの中で、いわゆる検挙と申しますか、法律的に違法であって犯罪に値するという判断をいたしましたものが、これは油の汚染ばかりでございませんが、二千二百八十三件と冒頭申し上げました中で、いわゆる検挙をいたしましたものが千百七十三件。そういう内容になっております。
  113. 加瀬完

    加瀬完君 千百七十三件検挙していますかね。それでは昭和四十年から昭和四十六年までは、あなたのほうで油汚染について起訴したものは何件ですか。
  114. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 昭和四十年からという御質問でございますが、先生御案内のように、この海洋汚染につきましての取り締まり根拠法規といたしまして、この海洋汚染防止法の前身の海水……。
  115. 加瀬完

    加瀬完君 じゃ、四十二年以降でけっこうです。
  116. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 四十三年以降申し上げますと、海洋汚染といたしまして、四十三年が全部で二百四十六件、四十四年が三百八件、四十五年が四百四十件、四十六年が千六百二十一件、四十七年が二千二百八十三件でございます。  これの内訳といたしまして、検挙いたしましたのは四十三年が二百八件、四十四年が二百九十四件、四十五年が三百五十六件、四十六年が七百一件、四十七年が千百七十三件。以上でございます。
  117. 加瀬完

    加瀬完君 それでは、東京湾では、四十五年、四十六年、四十七年でけっこうですが、何件起訴しましたか。
  118. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 発生をいたしました件数を申し上げますと、東京湾では、四十三年六十八件、四十四年五十一件、四十五年五十六件、四十六年二百五十九件、四十七年三百三十五件でございます。このうち、いわゆる検挙したものが何件か、ちょっとただいま年度別の資料を持っておりませんので、調べまして後刻報告いたします。
  119. 加瀬完

    加瀬完君 油汚染は発見はできますね。消えちゃうものじゃないし、蒸発しちゃうものでないですから。あなたのほうで発見したことは私もよく知ている。しかし検挙まで確実な証拠をつかむということは非常に困難であって、検挙数も非常に少ない。東京湾のように、非常に何といいますか、船舶のふくそうしているところでは、これは事実でしよう。  そこで今度の改正案の中には、「臨機応変の措置」と、こういうことをいっておりますが、「臨機応変の措置」というのはどういうことですか。臨機応変の措置をとればよごれた油の原因まで全部突きとめられるということになりますか。私がこういうことを伺いますのは、東京湾では油汚染が非常に件数が多い。さっきあなたがおっしゃったとおりだ。検挙数は非常に少ない。しかし油汚染処理をこれからするというので、臨機応変の措置をとると、こういっている。「臨機応の措置」というのは、いままで見のがされたものが全部つかまえられる具体的な方法なのかどうかということを伺っている。
  120. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 先生のおっしゃる「臨機応変の措置」というお説の意味でございますが、私ども考えておりますのは、取り締まり機関といたしまして、いま申し上げたような海洋の汚染が非常に多い、これを監視するという法律上の義務もございますし、法令の海上における励行という私どもの任務がございます。したがいまして、これを把握して現認しなければならない。そのための有効な措置ということを考えますと、私どもとしては、監視網をもっと密にするということで航空機、船艇あるいは私どもの海上保安官、こういうものの監視取り締まりのやり方というものをもっと合理的にするということ、その体制を強化するということと、それからもう一つは、その科学的な分折能力、これは機材の整備と、職員がその機材を用いまして油等を分析するそういう科学的な分析能力を高めていく、そういう専門家を養成していく。  それからもう一つは、これも機材でございますが、たとえば夜間の監視ということがなかなかむずかしゅうございます。そこで航空機に夜間監視装置を、これは四十七年度一基、四十八年度一基ということで、ただいまでは羽田の航空機に、油の夜間監視装置を購入いたしまして、そうしてこれをビーチクラフト機に積んで、夜間でも油と油でないものを赤外線によって見分けるという機械を入手しておりますので、そういうものを有効に使って監視能力を高め、また分析能力を高めていく、こういうようなことを、私どもさらに努力をしたいということで、「臨機」という、先生のおっしゃるおことばには、そのままあてはまらないかと思いますが、この点に最大限の努力をして、もっとこういうものを確実に把握するという能力を高めたい、かように考えております。
  121. 加瀬完

    加瀬完君 誤解があるといけませんから——私が臨機応変の措置をとれと言っているわけじゃございませんよ。あなた方の衆議院の説明で臨機応変の措置をとるというお話がありましたので、じゃあ「臨機応変の措置」というものは、具体的にどういうことなのかと伺ったわけですからね。私のほうから臨機応変にやれと言っているわけじゃありませんから、誤解のないように念を押しておきます。  問題は、管理監督体制というのが非常に不備だという御反省はないですか、いまあげたような機械や設備ができれば完全な取り締まりができる、問題の処理ができるという御自信があるんですか。
  122. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 非常にむずかしい御質問でございますが、私ども考えますのは、先生のいまおっしゃいましたように、それぞれの油なら油を製造し、あるいは貯蔵し、あるいは輸送する製油会社あるいは貯蔵施設あるいは運ぶ船会社というものが、それぞれ油のそういう運搬製造過程において、不法に油を流さないように、企業としての管理をやるということを、これは私どもむしろ取り締まり機関としてそれぞれ関係の官庁に要望をして、そういうものの防止をお願いをしたいということは、私どもの最も願っておる立場でございます。  それから、私どもは次に、そういうものの現場をパトロールいたしまして、そうしてそういうものの不法な排出、流出というものを現認したならば、これを緊急に防除するということでございます。そうして、これはもちろん流出をした責任者が防除すべき海洋汚染防止法上の義務がありますが、私ども出先機関としては、一緒になってその応急の措置としての防除をやるということは、当然やらなければなりません。それから、先ほど申し上げましたように、違法なものにつきましては、これはまた私ども業務といたしまして、これを法的に、その軽重に応じまして犯罪として摘発をするということでございます。  前提としては、先生のおっしゃるように、それぞれの関係の企業が、その企業の運営の過程において防止をするということを企業の責任においてやる。また企業を監督しているそれぞれの監督官庁なり、そういうものがその防止の措置をより完全に行なえるよう、むしろ私どもも、そういうことを関係の方面に要望しているわけでございます。
  123. 加瀬完

    加瀬完君 油濁防止法制定以来でも、いまおっしゃるように、四十三年は東京湾では六十七件、それから四十四年、四十五年、四十六年、四十七年が私の調査によると五十一、四十九、二百五十八、三百二十四。全国的に見ると四十三年が二百三十八、それが三百七十三、三百四十九、千三百、千九百八十三、こういうように、油だけでも猛烈なふえ方をしておりますね。これで企業責任を感じてやっているという状態ではありませんね。企業なり船なりというものは、もう全くのがれて恥なしという状態ですね。これを取り締まろうとすれば、政府なり地方団体なりがやらざるを得ない。しかし地方団体は、こういう取り締まりの権限というのは海上保安庁のようには持っておらない。そうなってまいりますと、責任者の良心に待つということで、この油汚染の問題は解決しないわけですよ。海上保安庁としては、監視の人員が足りません、監視の機関が不備です、装具なり設備なりがありませんということを、もっと率直に言うべきじゃないですか。  私が聞きたかったのは、監視なり、管理体制なりというものが、政府側において非常に不備なために、東京湾はよごれているんですよ。環境庁の政務次官が兵庫でなかなかいいことをおっしゃっていただいたけれども、油処理だけをとめればそれでいいという問題じゃないですね。油の被害によって財産権なり生活権なりを侵されているものを、どう一体救済をしてくれるか、始末をしてくれるかという問題が解決できなければ、これは汚染防止にならぬですよ。しかし、いまの海上保安庁の体制はそういうふうになっておらないと思うんですがね。  そこで大臣に伺いますが、この海洋汚染によって、東京湾だけでもいい、住民がどういう被害にあっておるかということを、いろいろお聞きしておると思いますので、これに対してどういう御所見をお持ちですか。
  124. 新谷寅三郎

    ○国務大臣(新谷寅三郎君) ちょっと御質問の趣旨がよくわかりませんが……。
  125. 加瀬完

    加瀬完君 もう一回言います。  いま運輸大臣の管轄の海上保安庁の汚染防止の態度というものは、私は非常にもの足りないといいますか、認識不足だと思うんですよ。というのは、油汚染によってどれだけの漁民が、あるいは住民が被害を受けているかという認識がないから、能率のあがらないいいかげんなことを言って糊塗すると、歯にきぬ着せずに言えば、そう漁民は言っているんですよ、海上保安庁を。その漁民のことばをうなずかざるを得ないと思う。そこで大臣御自身が、東京湾だけでもいい、漁民が油汚染によってどういう被害を受けているかという点について御認識ですかと、御認識でございましたら御所見を承りたい。こういうことです。
  126. 新谷寅三郎

    ○国務大臣(新谷寅三郎君) 漁業がどういう状況であるかということは、私は具体的には詳しくは知りませんが、閣僚会議でもいろいろ出ますから、大体そういった傾向については一応の知識は持っておるつもりです。ただ、お話しのように、たとえばそういう農薬の被害が出てきて、それが魚とかそういったものにどういう影響があるかというようなことについても……。
  127. 加瀬完

    加瀬完君 いや、油だけでいいんです。油被害だけ御認識ありますか。
  128. 新谷寅三郎

    ○国務大臣(新谷寅三郎君) 油の問題につきましては、これは前々からの話で、これは非常に最近は多くなってきておりますが、長官が申しましたように、最近は非常に油の被害が多くなってきたというので、さっき申し上げたように、油だけにつきましては、各地から魚とか、あるいはノリとか、そういったものについて相当の被害を受けておると、受けておることはよく知っております。  ただ、それをどういうふうにして防除するかということについては、先ほど来長官から申しましたように、海上だけではなかなかこれはわからない点が多いんです。あなたがおっしゃったように、海上保安庁の機構も強化し、他の官庁との権限が競合する場合があるかもしれませんが、そういったものを考えながら、どこかやっぱり中心になってやらなければならぬということになると、海上については、あなたもそれをおっしゃるんでしょうが、将来、海上保安庁がもっと中心になって、場合によってはいまよりも権限を広めて、海上における油の汚染防止については、もっと積極的に取り組んだほうがいいじゃないか。こういうことがあなたの考えじゃないかと思いますが、その点については同感です。同感ですが、今日までそういう組織法上あるいは法制上そういう体系が非常にはっきりとしているかというと、御承知のようにそこまでいってない。いってませんので、われわれのほうとしては、いまの法律範囲内において監視、取り締まりを厳重にするとかというようなことについて、与えられた権限を最高に発揮して、できるだけのことをしているというのが実情でございます。
  129. 加瀬完

    加瀬完君 それは大臣、国鉄運賃のほうばっかり夢中なので、これは重要法案とお考えになっておらないので、あまり報告も受けておらないかもしれませんがね、全くの認識不足です。ですから、いま水俣がどうだの、有明海がどうだのということは申しませんよ。この法律で問題になっている油汚染だけです。油汚染だけにワクを置いて質問をいたします。  あとで、本題として詳しく申し上げますが、四十六年の暮れに千葉県側では概算八億円の油によるノリ被害があった。このノリ被害については海上保安庁が立ち会っているんですよ、油流出のあとで。しかし結論を出してないんです。結論を出せなかったのは、結局、体制の不備ということではないかと私は同情しているわけです。  それならば、今度の改正案では、環境庁の政務次官が財産権の侵害に対しても補償の方法を講じなければならないという発言をしているくらいならば、運輸省でも、こういう海洋汚染防止というような問題が出て、その焦点が油だということなら、現実にたくさんの被害を受けて、賠償の道も閉ざされて、塗炭の苦しみにあわされている大きな漁民被害というものに対して、ああいうことが再び起こらないようになるには、一体法律的にどういう内容が具備されればいいかということが、検討されなければおかしいと思う。  で、おっしゃるところによれば、何度も言って恐縮ですけれども、産業基盤強化ということではないんだ。公害対策ということで、これから海洋汚染防止というものも力を入れていくんだというなら、それなら漁場なり漁民なりというものの救済というものについては、どういう対策がこの改正案の中に盛り込まれているか、開き直らざるを得ない。どこで木更津沖の被害みたいな、漁民なり漁場なりに対して救済を講じてくれるんですか。あるいは再びああいうことのないような対策を、この法案の改正のどこにそれがきめられておるんですか、承りたい。海上保安庁でけっこうです。
  130. 原田昇左右

    政府委員原田昇左右君) まず第一に、この法案を見まして、大量の油の排出があった場合の措置として、第三十九条の二に、油排出の防除のための資材を備えておくという義務を、船舶の所有者及び施設の設置者等に課しておるわけでございます。これによって油が排出されました場合に、海上保安庁がいろいろ防除作業をやりますが、こういったまず船舶所有者とか、あるいは施設の設置者等が資材を備蓄していることによって、臨機応変の処置をとり、また海上保安庁と協力して措置ができるということを、この法案で明定したわけでございます。  それからお話のございました被害の救済の問題は、この法案では扱っておりませんので、別途被害の救済については協力をいたしておるわけでございます。
  131. 加瀬完

    加瀬完君 寝ぼけたことを言っちゃ困るよ。被害の救済を扱えなんていうことを言ってない。現実にこういう被害が出ておるのじゃないか。そういうことが再びないように法案の態様ができておらなければ、ほんとうの意味でどうにもならないじゃないかということを言っている。あなたはいま、この防除資材の備えつけがきめられておると言いましたけれども、防除資材はいまだって備えつけられるようになってるじゃないですか。また備えつけてあるのじゃないですか。あってもそれが使われなかったり、防除資材が完全なものでなかったりするところのあいまいさがあるので被害が起こってるのじゃないですか。  それから、油汚染をどう処理するかということばかりを問題にしておったって、住民サイドとはいえませんよ。大きな被害を受けた漁民の救済はどうしてくれるのか。いまの被害を受けたものが救済できないなら、今後は一目りょう然、民事賠償でも何でも、きちんと裏づけがとれるようになりますという対策があるならあれですが、何もないじゃないですか。それで公害防止に力を入れましたと言ったって、今度は産業基盤強化ではありませんよと言ったって、何をおっしゃいます、と言いたくなる。いろいろあなたがおっしゃるようになりましたよ。なったからといって油が必ず流れ出さないという保障が今度の改正案くらいで確立できましたか。四、五年の間に七百九十一件も流れておるわけですよ、油が東京湾だけで。それをこれならば取り締まれるというきちんとしたものをつくらないで、これからは漁民は心配ありませんよとおっしゃられても、さようでございますとは、私どもは引き下がれない。その点を聞いているのです。これは審議官が答えることじゃないですよ、長官なり大臣なりが答えることでしょう。
  132. 新谷寅三郎

    ○国務大臣(新谷寅三郎君) この海洋汚染防止法、これではこの油が流れて海洋を汚染しているというようなことにつきましては、取り締まりを強化して、できるならば事前の防除措置を講じさせるというのが、これは権限でございますからいまもやっております。  それから流れた油について、先ほど長官が申しましたように、これをできるだけ——これはだれが流したかわからぬものもあります、流したのははっきりしているものもあります。しかし、ほっといて、そういうあなたのおっしゃるような被害がふえると困りますから、緊急の場合には海上保安庁が自分の費用でもって油の汚染が広がることを防止するような方法もとりますと、こう言っておるわけです。  で、監視体制が人が足らぬじゃないかということもあると思います。しかし、この監視体制は、それは多いほうがいいと思いますけれども、その点はこれからも努力をいたします。まだことしの予算の問題には触れておりませんでしたが、政府委員から詳しく説明すると思いますが、瀬戸内とが東京湾とか、こういう油の汚染のひどいところでは、油を清掃するための特別の清掃船というようなものもつくろうと——まあ極力やるわけです、われわれとしましては。それでその監視体制を強化すること。出てきた油を極力公害に結びつかないようにすること。これは責任でございますから、この法律があってもなくても海上保安庁としましては最大限やるという点は、これはまあ御激励を受けながら、これからも積極的に努力をしなきゃならぬ問題でございます。  ただ、お話の中で、漁民が被害を受けた、どうしてくれるのだと、これは漁民の側から見ればそうだと思います。これはあなたからごらんになると冷たい議論だとおっしゃるかもしれませんが、しかし原因者がはっきりしている問題は原因者に負担させるのがあたりまえですから、原因者にそういった問題については求償するということは、おそらくこれは漁業組合でもやっておられるだろうし、水産庁もそういうふうに指導していると思います。  しかし原因がわからないものについてどうするかという問題が残っているわけであります。これについては、先ほども申し上げましたとおり、環境庁長官が中心になって、油だけじゃございません、いろいろな問題を含めて、そういった場合に救済をどういうふうにするかというようなことも含めて、いま関係各省で相談をしております。きょうおそらく第一回の各省の協議会のあったはずです。おそらくこの数日のうちにはこの各省の意見をある程度まとめて、環境庁の長官からわれわれにも考え方の御報告があるのじゃないかと期待しておるのです。急いでやります、急いでやりますが、原因者の不明の場合の油の損害についてどうするかということについては、まだいまは御承知のように立法措置がありません、ありませんから、何とかして法制を整えて、そういった被害をなくする——被害をなくするというよりも、被害に対する救済措置を講じようじゃないかということを、いま政府としては考えておるところであります。
  133. 加瀬完

    加瀬完君 後段の、原因者がわからない被害についてさえ何か救済をしなければならないのじゃないかという対策を政府はとろうとしているわけでしょう。私はそれを問題にしているわけじゃない。原因者がわからなければ、これは民事訴訟は成立しないわけですよ。原因者を発見するのは海上においては、警察よりも警察権が当然付与されておる海上保安官が出た油の追跡なり、あるいは流出の責任者なんというところまでたぐっていく責任が当然あるわけですよ。そういうことが行なわれておらないわけですよ、行なわれておらないと言って過言ならば、行なわれることにはなはだ不十分なんです。そのために、漁民は海上保安庁をたよって、海上保安庁によって原因者を突きとめてもらおうと思っても、むしろ原因者と思われるようなものに、悪いけれども味方をするような形に受け取られるような行為がいままでたびたびあって、少なくとも千葉県のノリ被害についての原因者は出てこないわけですよ。そういう体制なり、そういう方法では困る。その苦情はたくさん出てきたのでありますから、少なくとも今度の改正案の中には、油の分析一つをとっても、油の解析は海上保安庁でこういうふうにきちんとやりますよと、今度の改正制度の中にも、研究所や調査機関を整備するというのがあるけれども、いままで全然そういうことが行なわれておらなかったということを問題にしているわけです。いまの長官が悪いとは言いません、前の長官が悪いとは言いません、体制そのものにどっか欠陥があるのですよ、体制そのものに。あとでそれに触れますけれども。  そこで大臣は、先ほど農林省なり、水産庁なりにというお話がありましたけれども、大臣がおわかりにならないのはごもっともでありますので、農林省なり水産庁おいでになっておりますね。東京湾の最近の油汚染によるノリ被害、魚介被害なんていうものがどういう状態であるかということを、ひとつ御報告を願いたい。
  134. 前田優

    説明員(前田優君) お答え申し上げます。  昭和四十六年度、県からの報告がございまして、これによりますと、東京湾の油濁による漁業被害は、被害発生件数——これは直接漁業被害に結びついたものでございますが、三件で、被害額は、養殖ノリ被害の八億八百六十万四千円ということになっております。
  135. 加瀬完

    加瀬完君 それで結局、海洋汚染防止法によって幾らかでもそういう問題が救済されればけっこうなんでありますから、こう法律の改定にあたっては、海上保安庁と水産庁で相当合議なり話し合いというのがあったと思うので、その間の内容についてちょっと報告をいただきたい。
  136. 前田優

    説明員(前田優君) 今回の海洋汚染防止法の問題につきましては、当然運輸省のほうから農林省のほうへ合議がございました。いろいろ内容的に検討したわけでございます。ただ、こまかい点につきましては、私その担当者じゃございませんので、ちょっとお答えいたしかねます。
  137. 加瀬完

    加瀬完君 検討した大体の概要はどんなこと。概要だけでけっこうです。
  138. 前田優

    説明員(前田優君) 現在、ここに資料は持ってきておりませんが、簡単に申し上げますと、今回の改正の問題で当然油の——先生がいまいろいろ御質問になりました点を、私どもとしては考えたわけでございますが、油によりますところの原因者の明確な問題につきましては、これは原因者負担の原則がございますので、それにつきまして被害額等を算出します場合におきまするところの、水産庁としての漁業者に対する指導はやっているわけでございます。  原因者不明の問題につきましては、前から運輸省ともいろいろ御相談を申し上げているところでございまして、この法律とはまた別な形で、いろいろやっていうではないかということに、運輸省との話はなっているわけでございます。
  139. 加瀬完

    加瀬完君 海上保安庁に伺いますが、油の解析機関は、あなたのほうが現在持っているものと水産庁が持っているものと、どっちが設備が整っておりますか。
  140. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 比較ということはなかなかむずかしいと思いますが、私のところで現在東と西に二つの大きな拠点がございまして、東においては横浜に本庁の機関といたしまして海上保安試験研究センターというものが設置されました。これは昨年でございます。そこにはガスクロマトグラフ等の相当精密な分析機械がございます。それからそのほかのいろいろの分析の機械もそろっておりますし、職員もある程度そろっております。それから一般職員の中からの研修もやっております。西のほうでは、海上保安大学校の化学の教授が中心になりまして、これはまだ組織としては小そうございますが、海上汚染研究室という室を設けまして、これは理学博士の、化学の教授が中心になって、いろいろガスクロマトグラフ、その他の機材をもって研究をしております。  水産庁とどちらがすぐれているかというのはちょっと私わかりかねますが、最近は相当海上保安庁としても、その分析能力を高めてきたということがいえると思います。
  141. 加瀬完

    加瀬完君 あなたの研究所なり、研究機関で出した解析の結果、流れたものと、流れたもとであろうというものとの一致点を何点見出していますか。
  142. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) ちょっとその件、ただいま手元に資料ございませんので即答できかねますが、調べまして後ほどお答えいたします。
  143. 加瀬完

    加瀬完君 あなたのほうの機関は不備で、石油企業の研究所に分析といいますか、解析を依頼していませんか、いままで。
  144. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 油につきましては、私のほうの部内でやっておりますし、私のほうの部内でできない場合は公立の試験研究機関等に委嘱しておる、こういうことで一般の企業等に委嘱しているようなことはないと考えております。
  145. 加瀬完

    加瀬完君 これはあとで触れますが、明原丸事件というものがありましたね。明原丸の油の解析は石油企業の研究所に頼んでいるじゃありませんか。頼んでいませんか。——これはいいですよ、あとでまた同じ問題を聞きますから、お答えをいただきます。  そこで、経済基盤の強化よりも公害対策をいろいろやったということですが、私もそうかと思って調べてみました。そうすると公害防止予算というものは総計で二千三百九十二億ですね。公害防止の公共事業というものは二千二百五十一億、それから公害防止事業助成というものは、さきのようなものが含まれて二十七億。これに対して産業基盤整備は四兆一千八百四十億ですよ。財投だけで二兆八千五百四十九億。七兆対二千四百億です。これはどう考えたって、産業基盤強化というものは、まだまだ大きなウエートであるということを否定するわけにはまいらないと思う。  そこで政府当局の、公害あるいは環境破壊の認識について若干ただしたいのでありますが、公害防止などで政府として配慮に欠けていたと思われる点を、いまどういうことであるとお考えになりますか。これは環境庁運輸省と、それぞれから伺いたいと思います。   〔委員長退席、理事木村睦男君着席〕
  146. 坂本三十次

    政府委員(坂本三十次君) 今日まで環境保護という点、特にこの公害問題につきまして、どういう点で配慮が欠けておったかというお尋ねでございまするが、まあ全体的に申せば、確かに戦後長い間、経済成長というものを追求をしてまいりました。その間におきまして、確かに環境保全ということ、公害の防除ということにつきまして、やはり政治に油断があったという点は、これはもういなめないと思っております。その典型的な例は水俣でございまするが、やはり一つの時代の流れというものがございましょうか、終戦直後、応仁の大乱、天明の飢饉みたいなときもございまして、あれから一億総火の玉となって豊かな暮らしを求めてきたわけでありまするけれども、今日気のついたときには、やはり公害問題で非常に苦しんでおる。このままほうっておけばたいへんなことになるというのが、これは国連の環境会議でも指摘をせられておるところでありまして、特に日本はこういう狭いところでありまするし、そして急成長をやったわけでありまするので、特にこれからやっぱり環境問題、公害防除はもちろんのことでありまするが、力点をうんと置いていかなければならないというふうには痛感をいたしております。それはすなおに反省をし、やはり急ピッチで環境整備に取り組むべきであると、私はそう思っております。  基本姿勢はそういうことでございまするが、具体的にはいろいろの問題がございましょう。まあ防除することが一番でございまするから、そのためには環境アセスメントなどの手法の開発をいま一生懸命に急いでおるわけでございまするが、いま御指摘のような、いろいろな面についての監視、基準づくりをきびしくいまいたしておりまするし。それからまた、いまおっしゃったような油を一つ例にとりましても、やっぱり監視体制というものは、まだ十分に至っておるとは私も思われません。先刻、私も瀬戸内海をビーチクラフトに乗りまして視察をいたしましたけれども、確かにもう二時間半ほど飛んでいる間にも、まあ二十カ所ぐらいでありましょうか、油の大小ございますけれども、大きいものではございませんが、やはり油の痕跡がございますし、赤潮なども十数カ所見ました。  しかし保安庁の皆さんは、私の見たところほんとうに御苦労しておられるように思います。少ない人員で、それから少ない機材でうんとがんばっておられるように思いますけれども、あそこに油があるなと思っても、どの船か実際にわからぬような現状でございまして、やはりこういう点につきましては、これはもう与野党を問わずイデオロギー以前の問題であろうと思っております、公害防除につきましては。   〔理事木村睦男君退席、委員長着席〕  この点は、私どもといたしましても、一生懸命にこれからも努力をして取り返しをしてまいりたいと思っております。蓄積がありましたので、さあその被害をどうするかというお話でございまするけれども、たいへん遺憾な例が各地に起こっております。環境庁といたしましては、いまとりあえず人間の健康被害に対して医療的救済だけでは不十分だということでございまするので、いま一生懸命にその生活の補償まで手を伸ばそうということで、補償法案を今度の国会に出そうとしておるわけでございまするが、御指摘のように、農林漁業者など苦労しておられます。魚もとれないで困っておられる方もございまするので、そういう意味の、生業被害に対する補償というものは、四十九年、来年度から取り組んで早急に結論を出したいというのが基本的な姿勢でございます。
  147. 加瀬完

    加瀬完君 運輸省
  148. 原田昇左右

    政府委員原田昇左右君) 私ども交通と環境問題を担当いたしておるわけでございますが、交通機関の環境汚染あるいは環境に対するインパクトということに対しましては、日本のような高密度の社会におきまして、だんだん交通機関が発達するにつれて、非常に深刻な問題が出てまいったわけでございます。  そこで、従来私どもは、基本法に基づきまして、いろいろな施策を考えてまいったわけでございますが、先ほぼ環境庁のほうからも御指摘のございましたように、交通機関の需要なり供給が非常に急激にふえてまいりますと、飛行場周辺の騒音の問題とか、あるいは新幹線の騒音の問題、それから海洋における油の汚染の問題等が急激にふえてまいったということから、私ども考えでおりました以上に規制を強めていく必要があるということで、最近、規制につきましては、世界に先がけて海洋汚染防止法というものをつくりまして、これはまだ国際条約の施行ができておらない段階でございますが、わが国は一九六九年条約の全面適用をいたすことになりましたわけでございます。さらに空港周辺の騒音問題も、今国会にお願いしております空港周辺の騒音防止対策としての第二セクター等によります対策、あるいは新幹線騒音の対策あるいは自動車排気ガスにつきましては、大体、米国のマスキー法並みの基準を出しまして、これに規制を追い込んでいくというような措置をやっておりますが、何ぶんにも、現状の汚染がどんどん進行いたしておりますので、私どもとしては、これをさらに現状の実情に合わせまして検討してまいりたい、こう考えておるわけでございます。
  149. 加瀬完

    加瀬完君 特に、運輸省に私ども公害について認識を伺っておりますのは、いま御説明がありました航空騒音なんかの規制についても、運輸省考え方というのは一般の考え方よりゆるいですよ。新幹線の騒音についての規制のしかたもはるかにゆるい。こういう考え方がありましたので、それじゃ海洋についての規制というものについては、どういう認識かと伺った。あなた方のほうの説明を聞きますと、国土の適正な利用及び均衡ある発展と、こうおっしゃっておりますね。これはどういう内容でございますか。これと一体港湾保全の強化との関係は、どういうことになるのでありますか。
  150. 岡部保

    政府委員岡部保君) この提案理由説明で申し上げました国土の適正な利用及び均衡ある発展という点でございますが、従来のいわゆる国土の利用という点で、特にこれは私、港湾局長でございますから、港湾の問題について申し上げるわけでございますけれども、いわゆる港湾の全国的なあるべき姿という点で見てみますと、これは従来の港湾の姿というのが、非常にある意味では、過度の工業集中型であったのではなかろうかという点があると存じます。こういうような港湾のあるべき姿という問題、それからそれがどういうふうに配置されて、国土としてどういうふうに利用されるという際に、やはり問題は、環境汚染するという際に、これの港湾の配置あるいは計画、その中の利用というものが、ある意味では確かに反省しなければならぬという点があるということを率直に考えている次第でございます。  したがって、そのような、ある意味ではいままでの反省、それから今後のあるべき姿をどういうふうに持っていくか、あるいはこういう海岸線は自然を保護するべきである。一切港湾などは開発するべきではないというところもございましょう。また、こういう点では、いわゆる流通面での港湾として考えていくべきであるというような面もございます。そういうような意味で、何と申しますか、いままでの配慮の欠けておった点の反省という意味で、ここに掲げたつもりでございます。
  151. 加瀬完

    加瀬完君 そうしますと、たとえば新幹線、具体的に名前をあげましょう、成田新幹線という構想がありますね。これは江戸川の区民が全部反対している。しかしながら、成田新幹線は区民の反対にもかかわらず、計画変更をしようということにはいまなっておらない。空港にいたしましても、住民の意思にかかわりなく最初の計画どおり押していくと、こういうことで、公共事業というものは、もう個人の利益というものは抹殺しても進んでいくという、いままで幾つかの態度があったわけです。  今度は、いまの御説明を承りますと、これはあくまでも国土の適切な利用、均衡のある発展ということをたてまえにして、ただ運輸省の行政的目的を達するか達しないかという狭い範囲だけでしかものは考えない、こういうように受け取れたわけでありますが、陸はとにかく海に限っては、いま、あとのようだと認識してよろしゅうございますか。
  152. 岡部保

    政府委員岡部保君) 海に関してと申しますよりも、港湾に関するといっていただきたいのでございますけれども港湾に関しましては、私そういうつもりで今後進めていくつもりでございます。  ただ、これはどうも、ただというとまた条件がつきますので、まことに恐縮でございますが、いまおっしゃっいましたうちで、たとえば地域住民が全部反対している、それをあえて押しても実施するというようなことは私ども考えておりません。ただ地域住民の意思というものがどういうふうに反映されるかというような手続的な問題としては、私、非常にこれから検討していかなければならぬという感じを持っております。
  153. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  154. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 速記を起こして。
  155. 加瀬完

    加瀬完君 政務次官ありがとうございました。後日また伺いますから。  それで運輸省に伺いますが、航路の保全や利用と、さっきの話の続きですが、住民の生活権とか居住権といったようなものが競合するときには、港湾に関しては住民の権利というものが優先されると考えてよろしゅうございますね。
  156. 岡部保

    政府委員岡部保君) ただいまのお話だけで、私、明らかに住民の生活権が優先するというお答えは残念ながらできかねます。
  157. 加瀬完

    加瀬完君 じゃ質問変えます。いままでは、公権発動で、全部私権というものが抑圧されましたけれども、そういういままでのように、公共の事業なら頭から私権を押えていくということではなくて、十分私権の存在というものも考慮をしていくということに考えてよろしいですね。
  158. 岡部保

    政府委員岡部保君) いまのお話の点でございますけれども、私ども従来においても、港湾に関する限り、決して国が公権を発動して無理じいをするというような考え方では、私はなかったというふうに信じております。と申しますのは、むしろ地方公共団体が港湾管理者でございまして、地方公共団体の考え方というのが主体になっております。ただ、その場合に、先ほどもちょっと言いかけました、一部の地域住民の考え方と、それから地方の一つのグループである地方公共団体という段階での問題との食い違いということは、実際上はあったと思います。しかし、そういう意味で全く国の何と申しますか、強権を発動して住民の反対に対して港を建設したという例は、私はないと信じております。
  159. 加瀬完

    加瀬完君 そうすると、地方自治体の意思というものは優先しますね。
  160. 岡部保

    政府委員岡部保君) そのとおりでございます。
  161. 加瀬完

    加瀬完君 いままでの御説明の中に、水に汚染を与える一切のものの排除をするのが、今度の法律改正のねらいだと、こう述べられておるところもありますが、これはこのとおり承ってよろしゅうございますね。ねらいだという——ことばじりをとろうとして言っているわけじゃありませんよ。その精神を言っているわけだ。  もう一回伺います。この法律は、海洋汚染の防除体制もつけたりに行なうというものではなくて、あくまでも汚染そのものを排除するという根本精神であると、こう解していいでしょう。これはそうだろう。
  162. 原田昇左右

    政府委員原田昇左右君) お答え申し上げます。  海洋汚染防止法において、海洋汚染防止について万全を期するような法体系になっておりまして、その海洋汚染防止の観点から、海洋において排出した油に対しましての措置について、従来行政指導でやっておりました船舶所有者とか施設管理者の防除資材の備蓄義務を課すとか、あるいは漁港管理者の廃油処理事業を規定するとか、そういうような措置をこの法律で補完いたしたというのが、私ども考え方でございます。
  163. 加瀬完

    加瀬完君 私はこまかい説明は要らないのです。私の言ったことを認めるのか認めないのか。
  164. 原田昇左右

    政府委員原田昇左右君) 御趣旨はわかりますけれども、この法律、この港湾法の改正をもって海洋汚染防止法の補完をいたしたというようにお考えをいただきたいと思います。
  165. 加瀬完

    加瀬完君 そうすると、補完というのは足りないところをちょっとつけ足してやったと、もっと悪く言うならば、船が航行をすると、この安全度や効率をあげることが優先で、まあそれだけいってはいまの時代に合わないから、公害防除もやりますという、つけ足しということなのか、そうじゃないでしょう。いままでよりも優先的に公害防除ということについて重点を置いた、ですから海洋のよごれるということ対しては、一切これは排除していくという基本精神だと解していいでしょう。
  166. 原田昇左右

    政府委員原田昇左右君) ええ、そのとおりでございます。
  167. 加瀬完

    加瀬完君 それはそうでしょうね。  そこで、そうなってまいりますと、また問題が油に返りますが、油被害の実態というものを、一体、運輸省はほんとうに認識していらっしゃるんですか。海上保安庁に聞きますが、具体的にこういうひどい例もあるので、これは何とか始末をしなければならないのだというものがありましたら、ひとつお示しをいただくとともに、あなた方の取り組み方の情熱をひとつここへ披瀝をしていただきたい。
  168. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 全国各地で油の被害というものは非常にございますので、その中で、私どもが体験しました二、三の顕著な例を申し上げますと、ことしの二月に島根半島沖で油が流れましたときには、その油というものが海岸のノリの養殖をしておるところ、あるいは岩、そういうところにつきまして、それが海の水に洗われて気温の変化をして、何と申しますか、べっとりと岩について、たとえば自衛隊の火炎放射器でも焼けないというような状態である。これが漁具とかそういうものにつけば、もうそれは全然使いものにならないような状態になっておるというような例、これはときどきそういう例があるということを聞いております。  それから先般、伊勢湾におきまして、日聖丸と西ドイツの汽船のメリアン号というのが衝突をしまして、日聖丸という日本の船が沈んだわけでございますが、この油が、やはり潮流の関係で三重県あるいは愛知県に流れて、そして相当の被害を与えたということは、両県の知事さん、あるいは漁業組合の方が私どものところに見えてお話を承って知っております。また、東京湾におきましても、先生御案内のようないろんなケースがあるということで、非常にその範囲は広範囲であるし、それからその被害の実態というのは、非常に、何といいますか、大きいというようなことは、私ども認識いたしております。
  169. 加瀬完

    加瀬完君 そういう施設一つとして、このシーバースなどの安全の確保というものを知事に規制させるということにしたわけですか。
  170. 岡部保

    政府委員岡部保君) このシーバース、マリーナ等の港湾施設港湾区域外に建設される例が多くなって、これに対しての安全の確保をはかる必要があると申しましたのは、いま先生のおっしゃいましたような問題点以外に、もう一つ問題点があると存じます。と申しますのは、現実港湾施設、いわゆる港湾施設、俗にいう港湾施設、というのと同じような施設港湾区域外に建設されておるという例が非常にふえてきた。そういう問題について、港湾区域内の港湾施設であるならば、これは港湾管理者というちゃんとしたものがおりますので、これが安全を完全に確認いたしております。現実にいろいろな問題点を、たとえば工事をすると。これは港湾管理者がしないで一私人がする工事にいたしましても、こういう工事については監督ができる。ところが港湾区域外でございますとそういうことはできない。  したがって非常に危険な施設を、たとえばちょっと波が立ったためにこわれるとか、あるいはちょっとした地震ですぐにこわれるというように施設をつくるおそれもございます。そういうような意味の安全性というものも含めていっておるというふうに御解釈いただきたいと思います。
  171. 加瀬完

    加瀬完君 ですから、シーバースの管理は知事にまかせたほうがいいという前提でしょう。
  172. 岡部保

    政府委員岡部保君) シーバースで、港湾区域内につくるシーバースであるならば、港湾管理者がこれを施設として監督できます。そのときでも、もちろん先生のおっしゃるような運営上の安全措置をなるべくできるようにするべきだと思います。ただ、港湾区域外でありますと、全く野放しである、そういうことではいけないということで、そういうものでも、これは港湾ではありませんが、そこの地元水面を持っておる知事にそういう監督の権限を与えたいという意味でございます。
  173. 加瀬完

    加瀬完君 認可権はやっぱり運輸省が持つんですか。
  174. 岡部保

    政府委員岡部保君) これは認可権というのは、港湾区域外ではございません。したがって、これの安全という意味で、初めてこうやって規制ができるというふうに御解釈いただきたいと思います。
  175. 加瀬完

    加瀬完君 たとえば、具体例を出して恐縮ですが、千葉県知事は、千葉の港外にシーバースをつくることは、無条件には賛成できないといって反対している。どういうところにシーバースをつくるにも、その地域の自治体の長の認可権というものを与えてくれるなら、監督もするし管理もするかわりに、認可権があるというならば、適地でなければ認めないという、地方の利益というものの立場から判断が下せる。しかし、どこへつくってもそれは知事の権限ではないと、できたものはおまえのほうで管理をしろということでは、何でそんなもの管理するんだという漁業者からの反対なども出て、地方自治体としての長は困る。なぜ、こういう問題をここで取り上げるなら、その所在都道府県の知事が認可権を持つというふうにしていただけないですか。
  176. 鈴木登

    説明員鈴木登君) 補足説明させていただきます。  実は、先生御指摘の点は第五十六条の「(水域施設等の建設又は改良)」ということでございますけれども、いま港湾局長がお答え申し上げましたとおりに、現在のところ、そういう港湾区域外につくる場合は全然野放しの状態で何ら規制がございません。それに対しまして、そういう野放しの規制では御指摘のとおりの危険が発生するじゃないかということから、これを工事の六十日前までに都道府県知事に届けさせるようにしたのがこの五十六条の三でございます。届け出られたものを都道府県知事が見まして、それがどうしてもおかしいと、安全上危険だというようなことになりますれば、建設を拒否する、禁止してしまう、認めないということができるようにしたのが、この五十六条の三でございます。
  177. 加瀬完

    加瀬完君 届け出の認可かどうかということより、認可するか認可しないかのほうが法律的には根拠がはっきりしていますね。これはあとの方が質問をしますから、私は触れませんが、あなた方この改正港湾法でも、地方自治体にいろいろ義務は押しつけた。しかし権限は与えていないじゃないですか。これはあとの方も触れますから、私はここで触れません。自由にそれぞれの会社がかってなところへつくる。それから届け出があってから、これを認めるか認めないかをきめるということでは後手ですよ。これはまあ議論になりますからこれ以上いたしませんが、地方自治体の長に海洋汚染防止責任を押しつけるというならば、権限も権利も与えるという立場でなければおかしいですよ。実際、海上保安庁だけでできないということで、シーバースの被害というのも相当出ているわけです。シーバース自体の被害。それならば都道府県知事なり、あるいは大都市ならば、政令都市であればその首長というものにまかせていい問題じゃないですか。これは御検討をいただきます。  次に、先ほども触れましたが、油分析といいますか、解析の機関がいま完備しているという御自信がおありですか、おたくのほうの機関が。
  178. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 完備という先生の御指摘でございますが、先ほど申し上げましたように、私どもとしては全国的な地域を大体二つに海上保安庁として考えまして、東のほうは中央の海上保安試験研究センター、それから西のほうは海上保安大学校の海上公害研究室、この二つにおきましては、現在いろいろの地域で行なわれております海洋の汚染についてのこれを分析する能力あるいは機材というものは、現在の日本の水準と申しますか、そういうものから見まして、かなり私は程度の高いものである。まあいろんな汚染がございますので、これを全部をくまなく鑑定分析の能力を持っているかどうかという点については、まだ不備な点がありますが、油の汚濁についての分析については、相当高い水準を持っておる。ただその分析できる人員の数それから機材の数等は少ない。そういう意味では、まだ不備である、こういうふうに考えております。
  179. 加瀬完

    加瀬完君 この研究所の年間予算は幾らですか。
  180. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 海上保安試験研究センターは施設の整備費、もちろん今年度の施設の整備費でございますが、これは二千万、そのほかに、もちろん実験費とかそういうものがございますが、研究の施設の整備費は二千万円ということでございます。
  181. 加瀬完

    加瀬完君 水産庁はいらっしゃいますか。——おたくのほうに海区研究所というのがありますね。これは東と西と二ケ所ですか。予算、人員、機構というものの概略おわかりですか。
  182. 前田優

    説明員(前田優君) 水産庁の水産研究所といたしましては、海区を八つに分けてございまして、したがって淡水を入れまして八つございます。ただこの油の問題につきましては、これは東海区水産研究所と申しまして東京にございます。ここが油の分析等につきましての指導を行なっております。で、実際に油の分析をやりますのは、各県にありますところの水産試験場が油の分析をやる、それを東海区水研が指導いたす、したがいまして、なぜうちのほうでやるかと申しますと、油が流れますとどの程度まで海水中における油分が持続いたしまして、漁業被害がいつまで続くんだというところのめどをつけなければなりません。そういう意味で、油の分析をやりますので、海上保安庁のほうの立場とはだいぶ違っているかと思います。
  183. 加瀬完

    加瀬完君 それじゃおたくのほうでは、解析はおやりにならない。
  184. 前田優

    説明員(前田優君) いわゆる検挙をするという意味での解析はやっておりませんが、被害の意味での解析はやっております。
  185. 加瀬完

    加瀬完君 油分析については、またあらためてこまかい点も伺いますが、今回の法の改正で、現在までの実情や対策効果などがもうだいじょうぶあがるという御認定ですか。地方自治体からのいろいろの注文があると思いますが、そういった地方自治体あるいは漁業関係者等の注文に対して、この法改正でもう海洋汚染の心配はないと、こういう御自信ですか。
  186. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 今度の法律の改正は、先生も御指摘になりましたように、港湾地帯あるいは船舶所有者、そういうものに油の防除資材等の備えつけを義務づけると、これはいままでまあ実行でかなりやっておったわけでございますが、それを義務づけるということで、そういう油の汚染源になるおそれのある施設の防除能力を高めるということでは非常に有効であると思います。  しかし私どもは、それだけでは不十分でございますので、今度の法律だけではなくて、かねてから地方の四十七主要港湾に大型船事故対策連絡協議会という官民合同の協議会を持ちまして、また一方、私どもの海上保安部あるいは海上保安署等におきましても、オイルフェンスとか、それから油処理剤というものを備蓄するように極力勧奨しております。それがこの法律によってかなり促進されるということは考えておりますが、法律だけではこれはもうできないことでございます。
  187. 加瀬完

    加瀬完君 二つ伺います。  そうすると、今後は促進されるということは、御説明のとおり承ります。いままでは当然その備蓄しておかなければならない義務を、完全には行なわない点があったということになりますか。それが一点。  もう一つは、問題がちょっとはずれますけれども、廃油処理場のような施設をこれからつくるといいますけれども、たとえば川崎市に市営の廃油処理場がございますね、この活用状態といいますか、運営状態というものはどういう状態であると御認識ですか。
  188. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) まず第一の御質問でございますが、まあいままで非常に不備でなかったかということでございます。これはもちろんオイルフェンスにつきましても、いろいろ研究開発が進んでおりまして、非常にテンポとしては、私どもの研究おくれておると思いますが、このオイルフェンスが材質それから設計、使用等につきましても、いろいろ研究しなければならない。したがて備蓄の数も非常に少なかった。それから油処理剤につきましても二次公害等の懸念されるものもあり、どういう品質の油処理剤というものが無害あるいは低公害であるかというものの研究開発が進みまして、最近、私どもで三十四種ですか、そういうものを環境庁と連絡をとりながら油処理剤も品質を認定しております。  そのように、率直に言いまして、数も質もいままでは不備であったということは、これは私、現実の問題として認めざるを得ないと思います。したがいまして、今後は法律の整備ももちろんですが、こういうものを備蓄をし品質を向上する、あるいは使用方法の改良をするということを、これは精力的にやらなければならないと思います。
  189. 原田昇左右

    政府委員原田昇左右君) 第二の点についてお答え申し上げます。  川崎市の廃油処理施設の稼働状況でございますが、手元にございます資料で申し上げますと、四十五年はわずかに十三万四千トンしか処理いたさなかったわけでございますが、四十六年は二十四万五千百二十五トン、四十七年には急激にふえまして五十二万二千二百九十トンでございます。すなわち規制がだんだん強化されるとともに、利用状況は急速にふえておるという傾向になっております。
  190. 加瀬完

    加瀬完君 月平均に直すとどうなりますか。あなたの数字と川崎からとった数字と少し違います。四十四年は四万六千七百三立方、四十五年は十三万五千五百七十七、四十六年が三十三万四千四百十一、四十七年が五十一万九千八百六十六。これを月平均に直しますと、四十四年は八千立方ですね、四十五年は一万一千三百、四十六年は二万七千八百、四十七年は三万三千二百立方。これは一体、初め計画したものと、いわゆる初め予想をした一カ月の処理の数字とどうなっていますか。
  191. 原田昇左右

    政府委員原田昇左右君) 初めの計画、手元にある数字でございますので、必ずしも正確かどうかちょっとあれでございますが、ここにございますが、年間処理能力が川崎市七十八万トンで計画されておりますので、私の申し上げました四十七年の五十二万二千二百九十トンというのは八四.五%に相当いたします。
  192. 加瀬完

    加瀬完君 そうじゃないんですよ。初め川崎市が大体一カ月にどのくらいのトン数を処理するという予定で計画をされたか、その予定数にどういう割合になっているか、こういう点です。月で言てください、月で。
  193. 原田昇左右

    政府委員原田昇左右君) 月の数字は、ただいまチェックいたしておりますが、要するに月でも何でも、年間処理能力に対します稼働トン数でございますから、比率としては年平均で八四・五%ということではないかと思います。
  194. 加瀬完

    加瀬完君 それは何年。
  195. 原田昇左右

    政府委員原田昇左右君) 四十七年でございます。
  196. 加瀬完

    加瀬完君 初めのあげたところから言ってくださいよ。四十七年はやや稼働状態がよくなっている、その前はみんな欠損ですよ。最初から言ってください。
  197. 原田昇左右

    政府委員原田昇左右君) 四十五年は七十八万トンの能力に対して十三万四千でございますから二二%ぐらいになりますか、四十六年は約四割であろうと思います。つまり規制がだんだん強化されてまいりまして、つまり海洋汚染防止法の全面施行になりましたのが四十七年の六月でございます。それからなお施設未整備港に向かっていきます内航タンカーの適用除外が四十八年の三月三十一日までございましたから、そういったような状況を入れますと、規制の強化された四十七年には急速にふえてまいったと、こういうように解釈しております。
  198. 加瀬完

    加瀬完君 これは大臣によく聞いていただきたいと思いますが、処理場をつくるということだけ奨励しても、その処理場がどういう能率をあげているかということを監視をしなければ全然効果があがらないわけですよ。こちらで申し上げましょう。取り締まりのきびしいときだけ利用率が高いあなたのほうで取り締まなければ、これは外に捨てちゃって廃油処理場を利用しない。一カ月の廃油量を川崎では少なくとも五万トンと推定をしたのです。ところが開設以来の処理量は次のようです。四十五年調査では、同年七月には二十五隻七千六百トン、八月には十八隻、四千八百トン、五万トンを予定しておるのに六分の一、十分の一という処理しかしないわけですね。あとの廃油はどうなるか。あとの廃油は廃油処理場を使わないわけですから、外洋へ投棄をするのもあるでしょうけれども、東京湾にたれ流しという状態が当然出てくるわけですよ。この四十五年のある月の収入は二百二十万、運営費が六百四十万かかっている。こうなってくると、市営で処理場を経営するということにも無理を生ずる、こういう状態ですね。  それが八〇%使ったとか、四五%になったとかいっているけれども、きびしく海上保安庁の船でも来て取り締まらない限りは、幾らかはよくなったけれども、当然処理すべき川崎湾へ入港の船が処理しないままに、外へ出てどこかで投棄せざるを得ないという現状は、少しも変わっていないですよ。これはお認めになりませんか。
  199. 原田昇左右

    政府委員原田昇左右君) 一般的に規制が強化され、取り締まりが強化されれば、施設の利用度が上がるという事実は、あるいはそういう事実があろうかと思いますが、要するに川崎市で計画いたしましたのは、やはり処理能力は将来船舶のふえることも見越しまして、設置した当時は若干多目に計画をするのが普通でございます。  それから、もちろん規制の当初は、若干法律的にもゆるい条件がございましたので、利用度は少なかったわけでございますが、最近におきましては、川崎市ほか東京湾にはたくさんの積み出し地におきまして、廃油処理施設が整備されまして、その整備に見合いまして、施設未整備港に対する適用除外というものをはずしたわけでございます。これは鶏が先か卵が先かという議論になりますが、要するに施設が全然ないとき、全面的な禁止をかけましても、タンカーとしてはオペレーションができないという状況になるわけでございます。したがって、どうしても初めはまず施設を積み出し港には全部整備する、その整備を待って全面的に禁止をかけるということになりますので、私どもとしては、本年の四月以降、全国的に施設未整備港に向かって走ります船舶というものはもうなくなりましたので、全国的な積み出し港におきます廃油処理施設の整備と相まちまして、全面的な禁止規定が内航タンカーにかかっておる、こういうふうに解釈しておるわけでございます。  したがって、施設の利用度もそこへ来るタンカーにつきましては、もちろん不心得者もあろうかと思いますが、このほうは海上保安庁にびしびし取り締まっていただくことにいたしまして、施設法律規制との関係では、一応現在は網の目が全部完全にかかっておるというように解釈いたしております。
  200. 加瀬完

    加瀬完君 あなたの解釈はかってだけれども、そんな解釈されちゃ困るよ。同じことを繰り返したくないけれども、先ほど海上保安庁のほうから説明があったでしょう。東京湾だけでも四十四年は五十一件、それが四十五、四十六、四十七と進むにつれて四十九、二百五十八、三百二十四件と油のたれ流しの件数はふえている。あなたの言うように、少なくとも川崎だけでも処理場ができて、そこで全部の船が廃油の処理をするというなら、こういうふうにたれ流しの数がふえるということはおかしいでしょう。全部つかんだというけれども、全部つかまえていないでしょう。こんなに流れている。しかも川崎では、月に五万トンの最小限に見ても油の処理はあると見たんですよ。そうしたら六分の一、十分の一とひどいときには処理しかない。それは去年、おととしでも二万七千八百トン、三万三千二百トンと、五万トンには達していないんですよ。ですから廃油処理場はつくったところで、廃油処理場を必ず使わなければならないという制限がきびしくなければ使わないんです。ですから先ほどから処理場をつくったといったって、効果があがるという保障はどこにもありませんと言ってるのは、こういう状態です。たれ流しの件数がふえている、処理場ができても、予想した処理をされておらない、こういう状態であれば、今度新しい法律をつくるについては、処理場をどう使わせるかということを厳格にきめていかなければ何もならないでしょう、これは。  あなたの言うようなら川崎へ行って調べてごらんなさい。あなたの言っていることがいいか、私の言っていることが正しいか、もう一回やりましょうや。全然調査もしないでいいかげんなことを言っちゃ困りますよ。きびしく取り締まられていて、たれ流しがないなんてどこでそういうこと言えますか。海上保安庁のあなたのほうは、たれ流しがたくさん数がふえてきていると言っている。向こうはたれ流しが処理場ができてからなくなったと言っている。なくなっていませんよ。もっと同じ運輸省の中なら、きちんと質問に対して同じ答えが出るようにしてから答えてください。それまで、きょうはやめましょうよ。
  201. 新谷寅三郎

    ○国務大臣(新谷寅三郎君) 具体的ないろんな問題ですから、私からお答えできるかどうかわかりませんが、船等の油の関係ですね、これは御承知のように、船も自分自身でできるだけ外に捨てる部分を少なくするような構造をしまして、そういたことをできるだけ最小限度にしようとしているわけです、これは御承知のとおり。それでもやっぱり残るわけですね、かすが残るわけです。それはいまおっしゃったような廃油処理場に持っていかなければならないということです。  それで、東京湾の問題でいろいろ具体的な数字をおあげになりましたが、これは確かに私、これは数字をもってあなたのように科学的に調べたわけではないんですけれども、感じからいいますと、やっぱり非常に規制が強化されているということは事実なんです。海上保安庁が非常に取り締まりを強化しているということは事実なんです。ですから、そういった事件も、いままではわからなかったようなものもわかってきて、そうして摘発されているというようなことだと、私はそういうふうに考えております。したがって方向としては、さっきも申し上げましたが、いまの取り締まりの体制が十分か、あるいは施設が十分か、自主規制などおもなものですけれども。それからさっき長官が言ったかもしれませんが、夜になるとよくわからないでしょう、油が流れておっても。そういったものをわかるように、いろいろ知恵をしぼって技術開発をやって、そういったものもわかるような設備も、昨年度からそういったものをこしらえ、これを充実しようというような努力もしているわけです。  ですから取り締まりのほうは、これはまだまだ足らぬとおっしゃればそのとおりです。しかし順次これを引き上げているということも、これも事実だと思います。われわれのほうも努力しているということも事実だと思います。で、海洋汚染防止ということは、これは御質問からちょっとはずれて恐縮ですけれども、私は国際的な問題だと思うんです。で、たとえば港湾の中でやる、あるいは領海の中でやったことは、これは日本の領海であれば日本の主権の及ぶ範囲ですから、これはやれます。ところが、公海のまん中で、ことに外国船がやったような場合は、これはやっぱり国際協力で防いでいく以外にないでしょう。だから、そこに条約というものがあるわけですね。今度は、審議官が御説明したように、いまの条約では不備だから、もう一つ一歩先の条約に日本も参加をして、もう少しきつい規制に踏み切ろうと、こういうかまえ方をしているわけでございます。ところが、各国がいまの海洋汚染防止の条約に対してどのくらい批准しているか、まだ非常に少ないんです。ですから海洋汚染というのは、これは、海は続いているんですから、公海で流されたものが日本の沿岸に流れてくるということもこれは多分にあるわけですね。  ですから、そういったことにつきましては、国内のそういう取り締まり体制を強化する。もうできるだけそういったことが、特に東京湾とか瀬戸内とか、伊勢湾とか、そういった海域ではそういうことがないように、これはもうあらゆる努力を払う。と同時に、一方では国際的な協力を求めまして、国際協力によって海をきれいにしようという、これは世界全体の運動が功を奏してこないと、最終的には、おっしゃるように、十二分な効果はあげられないというように私は思います。
  202. 加瀬完

    加瀬完君 そんな認識不足なことをつけ加えて言われちゃ困るんで、もう一言言いますよ。私はいま、公海で油が出たかどうかということを問題にしていないですよ。東京湾の問題を言っているわけです。東京湾の汚染の問題を言っているわけです。取り締まりによってだんだん件数が少なくなったというならば、大臣の言うことも一理あるでしょう。油濁汚染防止法が出たのは四十二年ですか、三年ですか、それ以来、何倍という数で東京湾はふえているじゃないですか。これを否定するわけにはいかないでしょう、ふえていることは。そういう状態を、一体処理するにどうするかと言ったら、廃油の処理場をつくると言う。いま廃油の処理場は油濁汚染防止法ができてから川崎につくられているけれども、効果は非常に薄いじゃないか。きびしく監視をする以外には、そこへ持っていかないじゃないか。こういう状態では、廃油処理場をつくっただけで、汚染防止ということにはならないじゃないか。それは、大臣の言うように、夜の監視とか、その他いろいろ別の監視体制をつくるというのは別ですけれども、今度は、改正法のねらいは油汚濁の処理だ。油汚染処理というのは川崎でやっているようなことだけでとどまるというならば、それは効果があがりませんよ。政府のおっしゃる数字は私の調べたのとだいぶ違いますから、もう一回川崎で調べて、効果があるかないか。市営ですから市長にでも、あるいは市の担当者にでも聞いてください。五万トンを予想したものが、その六分の一、ひどいときには十分の一というようなことではどうにもならない。一体いま、川崎、横浜、東京、千葉に船は幾ら入っていますか。その船の油処理川崎のような状態で繰り返されているときには、これは、たれ流しの件数はますますふえる。だから、ひとつ、ほんとうの海洋の油濁の防止ができるようにするにはどうしたらいいかということは、これだけでは足りなしと思いますが 現状の認識を改めてくださいということで、私は伺ったわけですよ。答弁は要りません。あらためてまた聞きますよ。大臣もあまり油のことをよく知らないようだ。もう少し大臣に、関係者は、この法案をやるからには、油濁防止というものがどんなに大事な段階に来ているかということを、ひとつ内奏ではありませんが、これは問題にはなりませんから、十分説明、御進講してくださいよ。だめだよ、そんな知識では。
  203. 新谷寅三郎

    ○国務大臣(新谷寅三郎君) あなたほど知らないかもしれませんが、私も三十年来、海の問題に取り組んできておりますから、一応のことは知っているつもりであります。条約につきましても、この条約の批准についても、私も協力をしたい。ですから、さっきもお断わりしたように、あなたの御質問外でございますけれども、これは国際協力によって、国際間でこういう条約をつくって、さらにもう一歩進もうとしておるのですと、日本はそれを卒先して実行しようとしておりますという実情を申し上げたかったのです。熱意がないとおっしゃるから、熱意は大いに持っておりますということの一例として私は申し上げたんです。  今日、この油の問題について、東京湾のことは、私は具体的にはよく存じません。あなたほどは知りません。知りませんが、全体のこの油汚染防止をどうしたらいいかということの政策につきましては、担当者でございますから、極力おっしゃるような方向で、この上とも努力をすることは、もう当然のことでございます。
  204. 加瀬完

    加瀬完君 それはわかりました。あとでひとつやりましょう。
  205. 木村睦男

    ○木村睦男君 議事進行。せっかく非常によく質問していただいているし、七時ごろまでせめて質問者に協力していただいて、質問をしていただけないでしょうか。一つ提案いたします。
  206. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  207. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 速記を起こして。  他に御発言もなければ、本案に対する本日の審査はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時二十分散会      —————・—————