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政府委員(
丸居幹一君) この
事故が起こりましたときに、
調査団に私のところは労働
基準課長を派遣いたしまして
調査に当たらしたわけでございますが、
船舶職員は法定以上に乗船をいたしておりました。
それから
監視体制でありますけれ
ども、さっきちょっと
報告がありましたように、操機長と操機手が
監視室でもって
監視をいたしておりました。ただ、一つ遺憾に思いますことは、
監視室で
監視をしておりましたんですけれ
ども、この間も衆議院で、そこで居眠りをしておったんじゃないかということで、たいへんおしかりを受けたわけでございますけれ
ども、実は居眠りは別にしておりませんでしたけれ
ども、操機手のほうが操機長のほうに配管のことを勉強したくて聞いておったそうであります。操機長が図を書きまして、こういうふうに配管がいっておるというふうな
説明をしておった。そういう
状態であったために発火についての発見が瞬間おくれたんではなかろうかという心配がありますので、その点については、たいへん私は遺憾に思っております。
それから平素の
訓練でございますが、今度の
事故を結果的に反省いたしてみますと、確かに少し
訓練が行き届かぬ点があるんじゃないか。
訓練とか非常
配置といったようなものは
船員法で規定してありますけれ
ども、それは非常に抽象的に規定してあります。そこで、それだけではなかなか
訓練が行き届かぬだろうというので、ことし一月、「
旅客船における非常
配置操練の手引き」という、こういうパンフレットをつくりまして、
訓練はこういうふうにやってくださいというものを配付しておるんでありますけれ
ども、いま問題になっておりますような点でございますが、
訓練そのものはやっておるようでございます。これは
法律でも月に一回義務づけてあります。本船も一、二回程度は
訓練をやっておったようであります。私、いろいろ
旅客の誘導等について御批判があるようではありますけれ
ども、しかし
旅客の少なかったせいもありますけれ
ども、少なくともけが人もなく誘導できたということは、ある程度こういった
訓練の成果が幾ぶんかは出ているんじゃないだろうかという感じはするんでありますけれ
ども、ただいま問題になっておりますような、とびらを最後締めたかどうかということを確認していないという点がございます。で、火が出たというところから見ますと、どうも締めなかったんじゃないだろうかということが非常に強く考えられるわけでございます。
それからもう一点は、いま
政務次官がちょうどお話しになりましたのですが、
膨張式救命いかだを投下した。それに乗った。ところがナイフがなかった。実は、ナイフは膨張式いかだに積んであるわけです。その積んである個所がわからなかったということは、
膨張式救命いかだというものはしぼんでおるとこは見たことがある、しかし開くところまで
訓練をしていなかった。この開くことを
訓練しなかった事情なんでございますけれ
ども、これは、必要限積んでおるわけですね。これは開いて
訓練いたしますと、もう
船員なんかの手では締まらないわけであります。これをもとに戻すのには専門家のところに持っていくか、あるいは専門家に来てもらってそれをしまってもらわなければならない。したがって、出ていくときに個数が足りなくなるというふうなことで、非常に
訓練がしにくかったのではないか。
そこで、今度の
通達にもそういうことを書いてあるのでございますけれ
ども、どうしてもやりなさい、そうしてそれを余分に取り寄せて、そうして個数を余分に持っておって
訓練せい、そうしてどうしても開くところまで
訓練せいというふうな
指導をいたしておりますし、それからさっき言いましたように、操練は月に一回やっておるわけでございまして、それがどうも悪く言えばおざなりの
訓練になっておる。だから、一番最初と一番末端のところが欠けておるというふうな感じがいたしますので、そういう点につきまして十分な
訓練をさしていく。そうしてそれを確認する
意味で、幸いにしてわが
船員局は
労務官を持っておりまして、
労務官に十分そういった末端に至るまでの
訓練ができておるかどうかということを確認させていく、あるいは
海運局に
報告さすというふうな
処置によりまして、その
訓練の徹底をはかっていきたいというふうに考えまして
指導をいたしております。
それから
行政管理庁の
勧告の
積量測度の問題の御質問であったように思いますが、
積量測度が
フェリーボートにつきましては
上甲板を入れないということになれば、実際に積みトン数は多いけれ
ども総トン数は少なくなる、
総トン数が少なくなれば、実際にはもっと高級の
船員を乗せなければいけぬのだが、下級の
船員で済むことになるのではないか、それは安全に影響があるのではないか、こういう御質問じゃないかと思うのでありますが、この
総トン数と純トン数の関係につきましては、これは
フェリーボートだけでなしに、漁船の問題にも実は問題がございまして、実は
総トン数でこういった
船舶職員法の関係を規制するのがいいだろうか、純トン数でいったほうがいいのか、あるいは長き、幅をはかってやったほうがいいのかというのが、国際的にも実は少し問題になっておりまして、国際会議で近く検討されることになっておるようでございます。
で、そういった問題とも合わせて検討してまいりたいと思っておりますが、ただいま
先生の御心配は、
カーフェリーについては、そんなのんきなことを言ってないでもっと早くやらにゃいかぬじゃないかという問題が起こると思うのでございますが、幸いにしまして、
カーフェリーは非常に
船員の
確保が容易であるせいかへ
事業者がそういう点について非常に認識が高いのかどうか知りませんけれ
ども、大体に一クラスか二クラスくらい上の者が
船長あるいは一等航海士に乗り込んでおります。ですから、われわれのほうから特にこの
法律を
改正しなくっても、実態はそういうふうにできております。ただ
事故等の
原因、その他を結果から省みてみますと、たとえば甲種
船長のほうがいいじゃないかというふうな感じを
一般に持たれるわけでございますけれ
ども、甲種と乙種の違いは、甲種は遠洋航海に出るために航海術を特に詳しくやっておるというのが甲種の
資格でございます。したがいまして、沿海とかあるいは平水を
航行するような船につきましては、乙種の
船長でありましても十分それらの知識はございます。ただ、この
行政管理庁からいわれておりますことで、非常にわれわれもいままでも力を入れておりますし、
行政管理庁の指摘を受けましたので、一そう力を入れようと思っておりますことは、やはり
フェリーボートに、十分、荷役についても、それからその
フェリーボートの
運航についても、あるいは
フェリーボートが行く航路についても、熟練した
船員を乗せよということを
行政管理庁のほうからも指摘を受けております。この点につきましては、私のほうからも以前に
通達を出しまして、そういう方向で
指導をいたしておりますし、これは非常に大事なことだと思いますので、そういう点については、十分に今後とも
指導してまいりたいと思います。
フェリーボートにつきましては、比較的その点は
指導が行き届いておりますし、先ほど申し上げましたように、
船員の
確保がわりあいに容易なものでございますから、少し余分な
船員を乗せまして、そうしてそれに航路なり船なりの熟練の期間というものを置くようにしておるようであります。
本船につきましても、調べてみますと法定定員よりもはるかにたくさんの職員を乗せまして、そうして、そういった
訓練を受けさしたりするようなこともやっておるようでございますので、そういう方向で職員の安全に対する
指導というものはやってまいりたいと思っております。