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政府委員(
岡部保君) ただいまお話ございましたように、確かに、具体的に「
国土の適正な
利用及び均衡ある
発展」というので、非常に大きく問題視されている問題というのはどういう問題かという点についての、具体的な
一つの
考え方というものを御
説明さしていただきたいと思います。たとえば、これもこの御議論、御審議いただいている最中、たしか衆議院であったかと思いますけれ
ども、お話し申し上げたことがあるわけでございますが、全国的に
港湾のたとえば配置というものを見まして、あるいは海岸線というものを見まして、こういう海岸線についてはむしろ自然を温存すべきではなかろうか、今後はむしろ
開発しないで温存すべき海岸線というのがこういうところにあるのではなかろうか、こういうところの海岸線はやはりこれからも
開発すべきではなかろうかというような
考え方、これは
地方ともいろいろ打ち合わせしている最中でございますけれ
ども、そういう問題点が現在起こってきております。こういう
一つの自然の
——また自然に戻ってしまいましたけれ
ども、自然に非常に深い
関連があるので、そういう問題がございます。
それからもう
一つ、非常に過密問題とうらはらの問題で、たとえば過密都市周辺の
港湾というものをどういうふうに考えるかということで、東京湾、大阪湾のこれからの
港湾というものをどういうふうに考えていったらいいかというときに、これからの東京湾、大阪湾では、いわゆるその過密都市を通過するような通過
交通をふやすような流通
港湾施設というものの
整備は、もうなるべく避けたほうがいいんではないか。このいわゆる過密都市の消費物資、いわゆる生活必需物資、これの受け入れ口はやはりそういう東京湾、大阪湾に面している港でやらざるを得ませんけれ
ども、その奥地にあるものに行く物の港という海運での窓口というものは、こういうところじゃなくて、むしろたとえば東京湾外で、北関東で考えるとか、あるいは西のほうで考えるとか、何とか別途のルートを考えるべきではなかろうかという問題点が非常にシビアな問題として出ております。
それから先ほど
杉山先生がおっしゃいましたが、たとえばそういう産業配置、いわゆる何と申しますか、原子力発電所の配置が
港湾計画とぴったり合うべきものと私はまだ考えてはおりません。ただ、こういうような
一つの原子力発電所なりあるいはエネルギー源のいろいろな発電所の配置というものが明らかに
——これはむしろ通産
行政の問題だと思いますけれ
ども、そういう
一つの線が出てくる、そういうときにそれに対応しての
港湾というものをどういうふうに考えていくべきなのかというような問題、これは
一つの例として確かに私は
港湾屋として無視できない問題だと思っております。これは個々にばらばらにあげますと切りがないと思いますけれ
ども、そういうように新しい社会情勢でいままでの常識で律していられなくなったという問題点があらわれてきておるということは事実だと存じます。
さらに、たとえば内航海運でこれから非常に伸びるであろうと思われるカーフェリー輸送というものに対して、港がどういうふうな対応をしていくべきであろうかというような問題も出てまいります。これは従来のたとえば離島と本土との間のカーフェリー輸送であれば、これは
港湾の配置等々から考えてもたいしたことではございませんでしたが、非常に中距離、長距離のカーフェリーの輸送というものがこれからもどんどん伸びてきそうだというようなことになりますと、こういう問題に対しての
港湾のサイドとしての
考え方もまとめていかなければならぬ。そういうような、何と申しますか、新しい情勢に対応する
一つの
考え方というものを、先ほ
ども申しましたように、具体的にはこの
法律の中で考えていかなければならない。
それで、それを考えるときに、いままで非常にどうも
——伊部
先生に皮肉られたわけでございますけれ
ども、いままでとそう変わりないと言っていながら、非常に重要な変更があるという言い方、おかしいじゃないかと言われたわけでございますけれ
ども、現実にいままでの
現行法体系でそういうことができないのかと申しますと、できます。これは
現行法体系ではっきりできると思います。ただ、そこを、たとえば先ほ
ども大臣が申しましたように、私も言わしていただいたんでございますけれ
ども、非常に運輸
大臣の自由裁量の問題点が残っておる。そういう点をむしろ
法律的に
整備して、こういう段取りでやっていくということがだれにでもわかるような姿にしたほうがこの
法律としてもはるかに進んだかっこうになるのじゃなかろうかというような点で、私は
改正をお願いをしておるというような理解をしておるわけでございます。