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1973-04-24 第71回国会 参議院 運輸委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年四月二十四日(火曜日)    午後一時二十分開会     —————————————    委員異動  四月二十三日     辞任         補欠選任      山崎 竜男君     植木 光教君  四月二十四日     辞任         補欠選任      植木 光教君     山崎 竜男君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         長田 裕二君     理 事                 江藤  智君                 木村 睦男君                 山崎 竜男君                 小柳  勇君     委 員                 岡本  悟君                 黒住 忠行君                 菅野 儀作君                 橘  直治君                 松平 勇雄君                 渡辺一太郎君                 伊部  真君                 杉山善太郎君                 瀬谷 英行君                 森中 守義君                 阿部 憲一君                 三木 忠雄君    国務大臣        運 輸 大 臣  新谷寅三郎君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  増原 恵吉君    政府委員        総理府総務副長        官       小宮山重四郎君        内閣総理大臣官        房交通安全対策        室長       須藤 博忠君        防衛庁参事官   大西誠一郎君        防衛庁経理局長  小田村四郎君        防衛施設庁長官  高松 敬治君        外務省アメリカ        局長       大河原良雄君        運輸大臣官房長  薗村 泰彦君        運輸省港湾局長  岡部  保君        運輸省鉄道監督        局国有鉄道部長  住田 正二君        運輸省航空局長  内村 信行君        運輸省航空技術        部長       金井  洋君        自治政務次官   武藤 嘉文君        自治省行政局長  林  忠雄君    事務局側        常任委員会専門        員        池部 幸雄君    説明員        法務大臣官房訟        務部長      貞家 克巳君        日本国有鉄道建        設局長      高橋 浩二君        日本国有鉄道新        幹線建設局長   斎藤  徹君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○運輸事情等に関する調査  (昭和四十六年七月の自衛隊機全日空機に対  する空中衝突事故に関する件)  (全国新幹線鉄道建設に関する件) ○港湾法等の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 長田裕二

    委員長長田裕二君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨二十三日、山崎竜男君が委員辞任され、その補欠として植木光教君が選任されました。  また本日、植木光教君が委員辞任され、その補欠として山崎竜男君が選任されました。     —————————————
  3. 長田裕二

    委員長長田裕二君) ただいま御報告いたしました委員異動に伴い、理事に欠員が生じておりますので、この際、理事補欠選任を行ないたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事山崎竜男君を指名いたします。     —————————————
  5. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 運輸事情等に関する調査議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 森中守義

    森中守義君 きょうは、それぞれたいへん立て込んだ日程で御出席をいただいておるようですから、そのつもりで私のほうもお尋ねをしたいと思います。  アメリカ局長いらしてますね。きのうの安保運用協、この内容はどういうものであったのか、概略を御説明願います。
  7. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 安保運用協議会が、一月の十九日に大平外務大臣インガソル・アメリカ大使との間に設立の合意を見たわけでございますが、第一回の会合がいろいろな事情でおくれておりましたのが、昨日、この第一回の会合が開かれたわけでございます。  そこで、昨日は最初の会合であるということからみまして、今後の運用協議会協議調整という役割りをどういうふうに進めようかということの協議から始めまして、その結果、合意されましたことの一つとして、会合を進めるにあたっては、定期的な会合とはしないで、双方いずれからかの要請に応じて会合を持ちたいという場合には、そのつど機動的に会合できるようにしようということをまず話し合ったわけでございます。  それからその次に、ことしじゅうにいろいろ日米間で安全保障に関するいろいろなレベル協議ということが考えられるわけでありますが、それについてどういうふうな場を持つことが望ましいかと、またそれをどういうふうに日程を組んでいこうかという話し合いをいたしまして、その結果、安全保障に関する日米事務レベル協議というものが、しばらく開かれておりませんでしたが、五月の三十、三十一日の両日、東京で会合しようということに話がきまりまして、米側からは国務省、国防省等ワシントン関係官出席するということになったわけでございます。  それから、さらにもう一つ、一月に安全保障協議会が開かれたわけでございますけれども、本来この安全保障協議会、一月に開かれました安全保障協議会は、昨年中にできれば開きたかった会合であったということもございますので、ことしもう一回持ちたいという話が出まして、日程的には本年後半、適当な時期に会合するということについての話ができたわけでございます。  それからその次に、最近の国会におきまして、安全保障に関するいろいろな論議が行なわれました事実を踏まえまして、日本側から、今度の国会におきまして安全保障問題に関して取り上げられた大きな項目はしかじかであると、こういうことを説明いたしまして、米側としてそれについての若干の質問が出たと、こういうことでございます。  その次に、日本側として、この協議会に対しまして大きな期待をし、またそれを主眼といたしております施設区域整理統合の問題を取り上げまして、この問題を今後どういうふうに取り組んでいくか、またその取り組み方をもとに、今後いかにこの仕事を進めていこうかというふうな話をいたしまして、その結果、双方の間で、今後米軍施設区域目的役割り使用の状況、こういうものを再検討することもやっていこうというふうな話になったわけでございます。  以上が、昨日の運用協議会の議事のあらましでございます。
  8. 森中守義

    森中守義君 いまの御説明ですと、おおむね運用協の大筋がきまったということであって、内容にほとんど入っていないようですね。ところが新聞では、米国アジア戦略をこの運用協で取り上げたというようなことが伝えられておりますが、これに間違いありませんか。
  9. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 在日米軍の使っております施設区域目的なり役割りなりということを考えてまいります場合に、アメリカアジア戦略あるいは極東政策というふうなことが、当然その背景になることは間違いないわけでございまして、そういうふうな米側姿勢というものを背景としてこの施設区域整理統合問題というのは話し合わなければいけない問題だというふうに考えております。しかしながら、昨日は第一回の会合でございますし、時間の制約もございまして、それらの具体的な問題には入る時間的余裕がなかったわけでございます。ただ、先ほど申し上げました、五月の末に事務レベル協議を開きます前に、できれば運用協議会をもう一回開こうと、そこできのう話し足りなかった問題をさらに話をしようということになっております。
  10. 森中守義

    森中守義君 実はその辺が問題でしてね、もっと高い次元で戦略的なものがきまったものが、この運用協に落とされてきて、そこで基地整理とか統合とか、あるいは財政負担の問題とか、いわば事務的なレベルでの話だというように理解しておった。ところが、そうではなくて、むしろアメリカ戦略構想をめぐって基地問題等議論をされるということになると、新たに制服組が参加をした、こういう問題に関連をして、非常にこの安保運用協というのは注目されてくる。  そこで私は、この問題は、在来内閣委員会あるいはその他関係委員会等でかなり議論をされてきているし、これからも新たな問題として議論をされてくる性質のものだと思いますが、ここではしさいにそのことに触れる時間がありませんので残念ですけれども、ただ例の那覇空港完全返還の問題あるいは那覇の全空域における管制権返還の問題、こういうものがきのうの運用協でかなり詰められるであろうと、ことに三十八億の財源の問題をめぐりまして、正確に日本側が負担すべきものであるのか、あるいはアメリカが負担すべきものであるか、以前、地位協定二十四条によれば新たに提供する施設じゃないんだと、しかも普天間の滑走路使用に耐えるという、こういう確認等もありますから、当然こういう財政負担問題等がきのうは議論されてもいいのじゃないか、こう思っておったのですが、全然こういうことは議論の対象になっていないのですか。
  11. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 施設区域整理統合問題という観点から、施設区域統合に関連する問題の討議が行なわれたわけでございますが、それに関連いたしまして、日本側としては一月に関東平野計画、それから沖繩那覇空港完全返還の問題あるいは那覇空港の空軍、海軍補助施設移転の問題、こういうものが原則的な合意は見たけれども、日本側としてはさらに沖繩に重点を置いて、本土を含めた施設区域の全般的な整理統合の問題を取り上げていきたいということを昨日も発言いたし、またそれに関連いたしまして、日本側としてこの問題に取り組む姿勢も述べたわけでございますが、それでは具体的な施設をどうするかという個別的な問題については、昨日は話し合うだけの余裕がなかったわけでございます。したがいまして、P3の移転に関連する経費負担の問題あるいは管制権の問題、こういうふうな具体的な問題は、昨日の会議の場では取り上げられておらないわけであります。
  12. 森中守義

    森中守義君 これは、予算委員会管制権の問題は人材養成等一つの大きな焦点でしたね。で、そのときに外務大臣か、あるいはアメリカ局長のお答えでは、できるだけ日本側人材米軍基地内に送って、そこで養成できるような措置をとりたい、そのことが完全返還につながるんだという、こういう御説明があったようですね。そこに実は、きのうの運用協の成り行きを注目しておったわけですが、全然そういうことの話し合いもできなかったんですか。
  13. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 先般の参議院予算委員会におきまして、沖繩那覇空港管制権の問題が御論議ございました際に、政府側といたしましては、この問題については合同委員会の場で米側とさらに協議をしたいということを御答弁いたしたわけでございまして、この問題につきましては、運輸省といろいろ相談いたしまして、具体的な話を進めたいと考えているわけでございますが、運用協議会の場でそれを取り上げるということではなくして、国会で御答弁申し上げましたように、合同委員会ということを考えておったわけでございます。
  14. 森中守義

    森中守義君 まあそこのところが、私の聞き違いか、あるいは会議録をもうちょっと精密に見てみなければわかりませんが、私は運用協というふうに理解しております。ですから当初十七日に予定されたものが延期になっておりますが、しかしあれでしょう、大体機関の構成あるいは性格任務等からして、当然この協議会でも議論されていい筋合いのものじゃないんですか、どうなんですか。
  15. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) この運用協議会は、安全保障条約運用に関する問題を何でも取り上げると、また随時会合して取り上げるという、非常に機動性に富んだ会合にして行きたいというのが日米双方考え方でございまするから、この問題いけない、あの問題いけないということには必ずしもならないわけでございます。ただ那覇管制権の問題はすでに事務的に前々から運輸省御当局において米側折衝が続けられており、その折衝の結果、日本側の満足するような話し合い実現を見ておらないということにかんがみまして、合同委員会の場にあげて、さらに話を詰めろと、こういうことになっておるわけでございます。私の記憶がもし間違っておりませんでしたら、政府側の答弁は合同委員会で取り上げるということであったと思っております。
  16. 森中守義

    森中守義君 それでは、それはもう少し会議録等を見てみましょう。しかし問題が問題ですからね。まあ確かに機関性格等からして取り上げるべき場所合いということも問題になりましょうけれども、まあこれは、おそらく安保協議会等議題なりで、できるだけ早い機会にいま少し米側話し合いをしないと、だんだん時間がおそくなりますから、検討してもらいたいと思う。  それからきのうの会合で、アメリカ沖繩に対する認識、これが新聞では非常に重視をしておる。言いかえるなれば、返還前の沖繩における軍事機能、そういう性質のものをそのままの状態で沖繩に存置したい、こういうような意味合いにも受け取れる節が伝えられているのですが、沖繩アメリカ軍事機能に対する見解はどういうものでした。
  17. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 沖繩に対する米側軍事機能沖繩施設軍地機能に対する具体的な考え方あるいは期待ということではなくして、米側在日米軍基地役割りについての期待というものが当然あるわけでございますが、一般的に申し上げまするならば、米側として、特に米国の軍人としての立場からいえば、日本施設区域米軍軍事上の目的から見て、非常に大きな役割りを果たしておる、大きな意味を持っておるという趣旨のことをいっておるわけでございまして、特に沖繩に限って、米側がこれを軍事的にきわめて重視しておるという形での議論ではなかったというふうに、私記憶いたしております。
  18. 森中守義

    森中守義君 そうしますと、大体方向としては、沖繩基地全体を整理統合し、縮小の方向に向かうという、こういう意向ですか。それとも日本側のそういう主張に対して暫時留保するという意見ですか、どちらですか。
  19. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) これはすでに一月の安保協議委員会の際にも、日米間で原則的な意見一致を見ている点でございますが、日本にあります米軍施設区域については、今後、整理統合という基本的な方向日米間の緊密な話し合いをしていきたいということであるわけでございまして、きのうの運用協議会における話し合いにおきましても、日本側日本全体の米軍施設区域整理統合、その中でもとりわけ沖繩においては面積的にも、あるいは地域的に見ても非常に大きな規模の米軍施設区域があるわけでありますから、これをあらゆる角度から見て整理統合方向で考えてもらいたいということは、当然のことながら強く要望したわけでございまして、米側といたしまして、一月の基本的な合意にかんがみて、方向としては整理統合ということについて考えたいと、しかしながら具体的な問題については、それぞれの施設区域が果たしている目的役割り、いろいろな問題がございますから、これらについて、今後日米間でよく話していこう、こういうことであったわけであります。
  20. 森中守義

    森中守義君 そうなると、結局きのうは単なるさわり程度であって、中身というのはほとんどない。しかし、この合同委員会であれ、あるいは協議会であれ、かなりその整理を急ぐべき問題がたくさんあるのですね。そうなると、大体運用協議会というものは、不定期に開く、あるいは定期的に開く、その辺の開催の約束等はできていないのですか。
  21. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 冒頭に申し上げましたように、昨日の第一回の会合では、この安保運用協議会というのは、定期的な会合ということではなくて、日米いずれの側からか申し出た際に、随時機動的に会合できるようにしようということになったわけでございまして、そういう意味では、定期的にという性格会議ではございません。しかしながら、これも先ほど御答弁申し上げましたように、五月の末の事務レベル安保協議の前に、もう一回運用協議会会合を開こうということについては、日米間の意見一致を見ております。
  22. 森中守義

    森中守義君 それではきょうは、この問題は私のほうの用意も十分でありませんし、また機会をあらためることにいたしますが、極力方向としては、議題が絶えるということはありませんし、もう非常にたくさんな問題をかかえているわけですから、極力定期的に、しかも一回で話が詰められていくこともないでしょうから、精力的に運用協というものが実のある運営をしていくには、できるならば月に一回ぐらいの定例会を開いて、そこで話が詰められていくような方向にしてもらいたいと思う。そういうことに対してのお考えはどうですか。
  23. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) たとえば安保協議委員会が、原則、年に一回程度あるいは事務レベル安保協議が年に一回か、せいぜい二回程度しか従来開かれた実績を持っておりませんけれども、この運用協議会は、そいうふうな長い間隔のものではなくて、なるべくひんぱんにという気持ちは持っておりますけれども、定期的に月一回というふうな形にいたしまするよりは、むしろ機動的に随時会合できるということにしておいたほうが、より意義のある会合ができるのではないかと、こういう考え方からして、定期的なものには、一応、しないということにいたしておりますけれども、この運用協議会を、いま御指摘のとおり、意義のあるものに持っていきたいという気持ちにおきましては、私どももその覚悟でおりますので、できる限りこの運用協議会が円滑に、活発に、意義のある会合が随時開かれることを期待するようにいたしたいと思います。
  24. 森中守義

    森中守義君 いまの運用協の問題は、きょうはその程度にいたします。  きょうで全日空雫石事件が三回目になるわけですが、たいへんしつこく食い下がっているようで恐縮ですけれども、運輸大臣が、この前委員会で、すみやかに総務長官及び防衛庁長官、いわば三閣僚を、ひとつ会同して、何ぶんの話をまとめてみようと、こういうことがここでお約束いただいておりましたが、総務長官及び防衛庁長官お話しになりましたか。
  25. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) この前申し上げたように、話し合ってまとめてみようということじゃなしに、話し合ってみまして、その当時の閣議においてどういうふうな感触でこの報告書が提出され、閣議でどういう結果になったかということについて、やっぱり認識一つにしないといけませんから話し合ってみましょう、こういうふうに申し上げたと思いますが、けさ閣議の前に、総務長官防衛庁長官と私、三人で話し合いました。こういうことでございます。  全日空機接触事故調査報告書の、その当時の閣議においてどう取り扱われたかということですが、昭和四十七年七月二十八日の閣議においては、航空事故報告についての従来の慣例に従いまして、報告書閣議に配付をして、事故重大性特殊性にかんがみて、総務長官から、報告書事故推定原因を示していると、それから航空交通の安全を確保するための必要な勧告を行なっておるということ、及び今後の勧告事項実現について、関係各省庁の一そうの協力を要請しておるということについての発言が行なわれまして、閣議としては、その報告を了承したということを三大臣確認をしたということでございます。
  26. 森中守義

    森中守義君 そうしますと、実は聞くほうもややじりじりした気持ちなんですよ。おそらく、いま運輸大臣が言われるように、これからも三閣僚話し合いというものは継続的に行なわれるものと、こういうように思いますが、そのとおりに理解してよろしゅうございますか。これからもおやりになると、けさ確認事項……。
  27. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) この事件具体的処理を、どう処理するかについて三閣僚の間で話し合ってきめるということは、いま考えておりません。この前にも、防衛庁から話がありましたように、これは法務大臣も中に入っているようですから、むしろそういった事故原因探究ということについては、いま申し上げたように、報告を了承したと、閣議においても了承したということでございますけれども、あとの処理をどうするかということについては、これはまた、別に処理せられるものだと、私はそう思っております。
  28. 森中守義

    森中守義君 これは運輸大臣、私はこの前、総務、防衛の両閣僚運輸大臣が中にお入りになって少し進められたらどうですかと、こう申し上げたのは、処理というのは、要約すれば運輸大臣総務長官がこの報告書是認をしておる。ひとり防衛庁だけが是認をしていない。ですから、このことを閣議が了承しておるならば、当然なこととして、防衛庁是認すべきである。そのことを防衛庁長官に説得しませんかと、こういう実は意味だったわけですが、ちょっとその処理という、処理方式双方の受け取り方が違うようですね。私は、これを防衛庁是認すべきである。是認するということになれば、事態というのはかなり解決の方向に向かうということなんですね。で、それを総括的にどう処理するかということになると、これはまた非常に幅の広い幾つかの問題が出てくる。しかし、いま処理ができないというのは、防衛庁是認をしない。是認しないどころじゃなくて、閣議が了承しておるにかかわらず、質問書を出しておるということが問題なので、質問書を撤回しなさいと、撤回するということは、これを是認することだというようなことが私の言った意味だったんですが、まず、大臣と私とのその言い方、受けとめ方にかなり食い違いがありますね。是認するかどうかということは、防衛庁長官お話しにならなかったんですか。
  29. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 是認をするという意味の問題も、ここでは報告書というのは、結局、事故原因ですね、いま申し上げたように。事故原因がどこにあったかということを主として調べたものですから、だから、その事故原因がここに書いてあった、この報告書に書いてあるようなことについては、閣議でその報告があったと、閣議でもその報告のとおり了承したということでありまして、防衛庁がこれに対して若干の疑義をもって質問書を出しているということのようですけれども、この報告書に対して防衛庁がどういうふうにこれを考えているか、今後の問題ですね、それについてはちょうど防衛庁長官もおられますから、防衛庁長官からよく防衛庁考え方というものについて聞いていただくといいと思います。
  30. 森中守義

    森中守義君 それではどうもやっぱり、少し意味合いが違っておるようですね。これから先も、極力、三閣僚協議をされてまとめていただきたいと、こう思うんですが、まあそういう協議一つのたたき台という意味も含めて、少し防衛庁長官に、いま大臣の言われるように承っておきましょう。  四十七年の七月の二十七日に報告書が出ている、防衛庁長官。いま申し上げることはいままでも何回も何回も繰り返してきたのですよ。しかし長官が出ておいでになりませんし、運輸大臣総理府のほうはよく私の質問は聞いてもらっているし、お答え願っている。そこであらためたことになりますけれども、七月の二十七日に報告書が出て、十二月の二十五日に照会状が出ているんですね。約五カ月間経過している。ところがこの事故調査委員会、いま運輸大臣の言われたように、おそらくこれは総理に出したものでしょう。総理に提出されている。それを閣議が了承した。そこで提出と同時に調査委員会というものが、その任務が終わって解散をしている。この事実は防衛庁は当然わきまえているはずなんです。つまり相手がいなくなった、回答すべきものがいないにかかわらず、しかも五カ月間日時が経過をし、にもかかわらず照会状を出している。これは官庁の行政上の措置として、対象がないのに照会を出すというようなことがありますか。私は常識的に考えてみましても、相手がいなくなった、回答すべきものがいないのに、こういう照会状を出すこと自体が、何か意図的なものがあり、何か底意があり、理解できない。これは法制局の見解を聞くまでもなく、相手がいないのに何を聞こうたって返答できない。返答をもらう相手がいない。それをこの前、防衛庁では山縣委員長の個人的な見解でもいいから聞きたいと思った、こういうことをここで言っている。しかし、調査委員会というものは、総理大臣の委嘱によって山縣さんをはじめ七名か八名の人で構成をされている。しかも合同で調査を行なっている。合同で事情聴取を行なっている。合同で報告書をまとめたわけですからね、個人的な見解ということは、ちょっとやっぱり述べにくいでしょうね。そういうことがわかっておりながら、なぜ照会状を出したのか。しかも、期間は五カ月も経過しておる。在来、行政庁の行政措置としてこういうことがありましたか。あるべきことじゃない。長官どう思われますか。これが一つの大きな疑問なんです。どうですか。  だめだ、長官答えなきゃ、そのために長官に来てもらったんだから。
  31. 増原恵吉

    国務大臣(増原恵吉君) 具体的な事実については、大西参事官からまず申し上げて、それから私が…。
  32. 森中守義

    森中守義君 いや事実はこの前聞いている、山縣委員長から個人的な見解でもいいから聞きたいと思ったと、こう言っているのだから、いま私が言ったとおりですよ。個人的な見解でも、実は求めたいということで、総理府を経由して質問書を出した、照会状を出しておる。そうなれば合同でやったことを、しかも任務を終わった人が、その一件についてはかくかくであるという答えは出ないはずですよ。存在しない機関に、しかも元機関の代表に聞こうとしても無理じゃないですか。それがいけないんじゃないか、こう言っているのですよ。  それと総理府のほうも、副長官、この前は防衛庁かち言ってきたから受け取って出しましたと、こう言うんだけれども、総理府それ自体も不見識じゃないですか、相手がいないのを。しかも五カ月間も経過して、防衛庁から言ってきたから取り次いだというんじゃ、これまた見識があることじゃないということに相なろうかと思う。それはあとで聞きますが、大西参事官という事務当局からは何回も聞いておる。聞いておるけれども、私は釈然としないんですよ。だからわざわざ大臣にお越し願った。  その意味というものは、繰り返すようですが、すでにもう任務を終わっていない、相手は存在しない、機関がないんですよ。しかも複数で調査に当たった責任者に、個人的な見解を求めようとしても、個人的な見解を山縣さんが述べるほど軽率な人じゃ私はないと思う。しかも官庁の仕事としまして、相手がいないのにわざわざ聞くようなことが、在来あったかなかったか、おそらくありません、そういうことは。そこに防衛庁は何か意図したのではないか、何か計略を持ったんじゃないか、こういうふうに私は言っているわけですがね。これは大臣から答えてもらわなければいけません。
  33. 増原恵吉

    国務大臣(増原恵吉君) いまも冒頭に運輸大臣から、閣議でどういうふうなことであったか答えをはっきりおっしゃった、閣議の扱いは。これは同じことを繰り返して恐縮ですが、七月の二十八日の閣議では、航空事故報告について、從来の慣例に從って報告書閣議に配付し、事故重大性特殊性にかんがみ、総務長官から報告書事故推定原因を示しておること、そうして航空交通の安全を確保するための必要な勧告を行なっていること、このことを二つ述べて、及び今後の勧告事項実現につき、関係各省庁の一そうの協力を要請する旨の発言を行なった。  ですから、初めのあれは推定事故原因を示しておるということ、この調査報告書が。それから航空交通の安全を確保するため必要な勧告を行なった、これは内容であります。そうしてそれについて、総務長官から今後の勧告事項実現につき、関係各省庁の一そうの協力を要請する旨の発言が行なわれた。そうして閣議としてその発言を了承をした。こういうことになっておるわけでございます。  私どもが照会を、質問を出した。これは防衛庁というのは事故一つの当事者、そうしてこの報告は、発表のありましたときに、私どもも謙虚に受けとめるということを申し上げたわけでございますが、これは閣議においてもその内容事故原因についての内容について了承をしたということには、いま申し述べたとおりで、なってはおらないのであります。発言を了承したということは、そういうことがあることをいった、そうして将来の航空安全対策についても述べておるということ、そうして航空安全についての各省庁の協力を要請すると総務長官が言われ、それを了承をしたわけでございます、その発言を。私どものほうでは、この報告について、やはり事故の当事者の立場もございまして、疑問とする点がございます。これはもとより早急に出すべきものであります。われわれとしても慎重な検討をした上でないと質問をはっきり確定することは適当でないと思いまして、これに日数を費やした。これを質問、照会をいたしますについては、総理府のほうとも相談をいたしました。実は、森中委員おっしゃるとおり、解散を間もなくしてしまった。これは私どもでは、やはりそのとき一応疑問の点があるということはもう想定をしておりましたので、質問をいたしたいということを言うたのですが、しかし解散してしまった。それで総理府と相談をして、それでは山縣委員長に取り次ごうということで、山縣委員長質問書を出した。これは通常の場合としては、やはり委員会質問書を出すことが適当であることはおっしゃるとおりでありますが、委員会が解散をしてしまいましたので、山縣委員長質問、照会をする。それは総理府とも相談をいたしまして、そういう手順をとった、こういうことでございます。
  34. 森中守義

    森中守義君 副長官、これはいまのは、この前事務当局から答弁のあったようなのと大体一緒ですよ。それで総理府が取り次いだ、あるいは協議にあずかったと、こういう防衛庁長官のお話ですがね。山縣さん個人としての見解が出される、照会に対する回答が行なわれる、そういうことが実際問題としまして考えられますか。あるいはそういうお話を山縣委員長自身に総理府はなさったことがありますか。
  35. 須藤博忠

    政府委員(須藤博忠君) 山縣委員長には質問の趣旨はすぐに伝えてございます。あとどういうふうに山縣先生がされるかは、私ども山縣先生からのお話はまだいただいておりません。
  36. 森中守義

    森中守義君 実際はそうなんでしょうが、事実関係としまして、山縣さんが回答を出されるという予測ができるのかどうだろうか。ただ言ってきたから取り次いだ、個人の見解はどうですかというようなことが実際問題としてとれるかどうか、どう思いますか。その辺の見通しがなくて、こういう照会を出すこと自体が問題ですよ、これは。どういう見通しを持っているのですか。
  37. 須藤博忠

    政府委員(須藤博忠君) 私どものほうといたしましては、山縣先生の御判断を仰ぐ以外ないわけでございまして、ちょっと何とも、どういう見通しかと言われても、私どもとしてはちょっと申し上げにくいということでございます。
  38. 森中守義

    森中守義君 まあ、防衛庁といい、総理府といい、存在しなくなったものに、五カ月も経過してものを聞くなんていうそれ自体が、行政庁としては適切な処置とは言いがたいでしょうね。また、過去にそういう先例を寡聞にして聞いたことがない。  で、それとこの照会の内容ですが、三項にわたっておりますけれども、私がこの調査報告書を最初からずっと最終段まで一読しますと、この内容の中に、隈一尉、あるいは市川二曹、こういう人たちに実際に徴した内容も出ていますよ、全部出ている。ほとんど詳細にそういうものがこの報告書の中に出ているんですね。おそらく防衛庁に対しましても、当の隈、市川両君に事故調査委員会事情聴取をやったと同じように、かなり精密に、防衛庁の、たとえば松島派遣隊における飛行準則の取り扱いの状況であるとか、空幕の措置であるとか、防衛庁の見解とか、こういうものは余すところなく調査委員会事情聴取を行なっている。そういうのがこの調査報告書の全面ににじみ出ていますよ。  しかるに照会されている内容は、三項にわたっておりますけれども、要するに見張りの義務があるのかないのかという、こういう問題。言いかえるならば、ひとり防衛庁だけの責任じゃないのだ、全日空側にも責任があるという前提、あらしむべきだという前提に立ってこの照会が出されている。五カ月間もこれだけの照会状をまとめるに時間がかかりますか。防衛庁の今日の機能からして、五カ月間もたたなければ、こういう照会状がまとまらないという内容のものじゃ私はないと思う。ここにも非常に大きな疑問がありますね。そういうことを考えてきますと、何かを意図した、何か底意があった。相手がいないこともわかっている。五カ月間という長期の日時が経過していることを承知の上で出したという意味合いが私は問題だ、こう言っているのですがね。  この前、調査委員会がどういうことを聞いたのだと、こういう質問をしましたら、お尋ねがありましたと、こういう返事があっております。しかし、その全部については私も聞いていないし、どういう個所にわたって質問があったかという、そういう答えもむろんもらっておりませんけれども、しかし、あらためて調査報告書を精読すれば、隈、市川、つまり盛岡地裁における被告の立場に立っている両君については、この内容にかなり詳しくうたいあげております。そういう意味で、私はこの調査報告書というものが、成案を得て、全員の合意によって出されるまでには、もうほとんど見るべきもの、問うべきもの、調ぶべきものは済んでいるのじゃないか、こういうように思っているのですよ。どうしても五カ月間経過し、相手がないのになぜこういうものを出したかという意味合いが——まあ将来のことを、たとえば空域における戦闘訓練の障害になってはならぬとか、いろいろ新聞等ではいわれております。そういうことを配慮しながら、答えがもらえないけれども、先々のことを考えると、このくらいのことはアドバルーンを上げておく必要がある。ひとり防衛庁だけの責任でない。全日空にもその責任の一端があるような、そういうことを出しておくほうがいいんじゃないかという、そういう背景に基づいたものじゃないのですか、もう少しすっきりさしてもらいましょう。
  39. 増原恵吉

    国務大臣(増原恵吉君) 何というか、そういう別の意図があってではないかというお尋ねですけれども、私どものほうは、慎重に調査報告書を受けて、これを検討をしまして、そうしてこれについて質問を出すことが必要であるということを考えて出した。その間に、日数がかかったということは、御指摘のとおりですけれども、私どものほうも、調査委員会というものが、専門の人々によって慎重に調査の上書かれたものであることも承知をしておりますが、私どものほうでも、十分精密にその事実のあとをたどって、それによって質問書を確定するということがいいというふうに考えてやったのでありまして、別に何か意図があってということではございません。
  40. 森中守義

    森中守義君 これは防衛庁長官ね、どう言われても他意があったと見る以外にない、これが常識的な見解でしょうね。そこでね、もうちょっと内容的に入ってみますが、ジェットルートを基線にしまして、運輸省の安全制限空域、防衛庁の安全制限空域というものは、ジェット基線の両わきにそれぞれ所定の間隔を置いてあるはずです。運輸省にまず聞いておきますが、このジェットルートの基線の両わきに何キロの安全制限空域を置いておりますか。
  41. 内村信行

    政府委員(内村信行君) 幅、片側十六キロぐらいとっております。
  42. 森中守義

    森中守義君 そのようになっておるようですね。防衛庁はどうなんですか。
  43. 大西誠一郎

    政府委員大西誠一郎君) 片側五マイルでございます。
  44. 森中守義

    森中守義君 何キロですか。
  45. 大西誠一郎

    政府委員大西誠一郎君) 九キロでございます。
  46. 森中守義

    森中守義君 この報告書では、いまお示しになった運輸省の安全制限区間は十六キロ、防衛庁は約九キロですね、これに対して五キロですね、五キロ制限区間の中に割り込んでおると、これがはっきりしているわけです。報告書がそういっている。それから、盛岡地裁で、「隈太茂津ほか一名にかかる業務上過失致死等被告事件について」という、こういう書類をたしか法務省かからもらいましたが、この中でも、両側五マイル、すなわち九キロですね、その間を民間航空機との衝突防止のための飛行制限空域に防衛庁は指定しておる。それを侵したと、こういっておるわけです。これは起訴状の中に出ているでしょうね、おそらくは。この事実はもう起訴状の中でも、あるいは報告書の中でも、十六キロ、九キロを安全帯として間隔を置いてあったにかかわらず、五キロ侵入しておった。言いかえれば、そのことが衝突の直接原因にもなっているわけですね。このことは全然、この照会状の中ではその事実に対する認識がない。この事件は明らかに運輸省の安全区間、防衛庁の安全区間を守っていたならばこの事件は発生しなかった。五キロ侵犯をしておった。四キロしかない、ジェットルートの基線まで。基線から四キロのところまで踏み込んで事件が発生している。そのことを、この中では全然いわれていない。いわれていないよりも、そのことはむしろほおかむりをしている。見張り云々という問題にこの照会状はなっているが、これはどういう意味ですか。まず問題はその辺にあるんじゃないですか。検察庁はその事実をとらえて、刑法及び航空法違反を指摘しているわけです。この事実関係はどうですか。  この照会状には、いま申し上げるように、みずからが禁じられている空域に踏み込んだということは全然いわない。見張りがどうだこうだ、これは話にならぬじゃないですか。さっき防衛庁長官がこの報告書を謙虚に受けとめたと、こう言われるんだけれども、制限空域を五キロも踏み込んで基線四キロ、非常に至近距離まで来ていたというその認識が全然ない。これは謙虚に受けとめたということになりますか。これが問題じゃないですか。——これは長官だよ答えるのは。もうあんた、この前から何回も聞いているんだそれは。同じようなのを聞いたってしようがない、何を謙虚に受けとめているんだ。
  47. 増原恵吉

    国務大臣(増原恵吉君) 私どものほうも報告書をよくしっかりと検討をして、報告書に書いてあることに対する疑問を出したんでして、われわれが疑問を出していないことは否認しているわけじゃないんですね。疑問を出しておることに答えていただきたいという意味で出したんです。疑問を出してないところは疑問がないということでございます。
  48. 森中守義

    森中守義君 それは防衛庁長官、かって過ぎる意見ですよ。原因をつくっておきながら、踏み込んでならぬところへ踏み込んでいる。そのことは問題にしちゃいないんだ、疑問だけ聞いたんだとこういうんだけれども、これは見張り云々、事件それ自体を謙虚に受けとめるというならば、防衛庁はもちろん航空局もジェットの基線の、片や九キロ片や十六キロまではその中に入ってならぬぞと、この厳然たる事実があるにかかわらず入り込んでいて、もうそれ自体が責任を感ずべきじゃないんですか。ただ見張りに疑問があったから聞いただけだ、そんなばかばかしい話はありませんよ。踏み込んでいなければ事件は起きなかったわけですから、照会もへちまもないじゃないですか、そういう理屈が通りますか。通りますかそういう理屈が。踏み込まなきゃこんな問題ないんですよ。松島派遣隊の準則を私もよく読んでみました。明らかにそのようになっております。入ってはならない。民間航空の安全のために、衝突回避のために九キロ以内は踏み込んではならぬときちんとなっておる。航空局は十六キロ以内に入っちゃならぬと、こうしておる。そこの航空局の十六キロ、防衛庁の九キロ、七キロの差はここでは議論しません。けれども、これは航空安全のために、いずれ統一をすべきものであるという、こういう見解を私は持ちますけれども、事故発生の直接の原因になったのは、何なのかということになると、九キロ以内に入ったということじゃないですか。それでさっき申し上げましたように、この公訴事実によれば、非常に峻烈な内容になっておる。入ってならぬところに入ったから衝突した。ちなみにちょっと読んでみますと、「市川機の後方至近距離においてはじめて発見し、被告人隈は慌ててこれを被告人市川に連絡し、被告人市川は左旋回急上昇して衝突を避けようとしたが及ばず、市川機を旅客機に衝突させて、両機を前記雫石町付近の地上に墜落させ、その際の衝撃等により」全員死亡せしめた。こういう言い方をしております。結局九キロ以内に入ったということがいけない、衝突させ、墜落させたと、こういっておる。この事実を謙虚に受けとめるならば、不明な個所を問い合わせますという論拠は出てこない。何を謙虚に受けとめたか。制限空域を侵したという事実に対する責任はどう感ずるんですか。これが問題なんじゃないですか。
  49. 増原恵吉

    国務大臣(増原恵吉君) 私どもが見張りその他のことを質問をしたのは、疑問点として質問したんです。ですから、私どもがいわゆる制限何といいまするか、空域に入ったこと、その評価は現在訴訟でなされると私どもは考えておりまするが、そのことは否定しないんですから、私ども。それで質問書にはそれは書いていないということでございます。
  50. 森中守義

    森中守義君 ところが、この質問書は、疑問点と言われるけれども、この疑問点というものがひとり防衛庁だけの責任ではないんだと、全日空にも一端の責任があるぞということを疎明するためにこれは出されたものじゃないですか。これははっきりしてもらいましょう、そういう意見であればね。長官、何回も事務屋から聞いているんだよ。
  51. 増原恵吉

    国務大臣(増原恵吉君) 私どもが疑問を出したのは、そういう見張りの義務があるかないかということを、調査委員会はなくなりましたから、やむを得ず委員長に出しましたが、そういう事実を明らかにしてもらうということでございます。
  52. 森中守義

    森中守義君 それはおかしい。見張りがあるかないかの疑問をただすというなら、これは運輸省に聞くべきだ。そうじゃないですか。民間機及び防衛庁機といえども、総括的には運輸省航空局が所管しておりますよ。見張りの義務があったかなったかということは、むしろ運輸省に照会すべきだ。おかしいじゃないですか、そういう言い方が。  それと、これはやはりその責任を防衛庁だけではないと、確かに見張り云々ということについては、この報告書の中にも出ておりますよ、いるけれども、わざわざこういうのを五カ月間たって出したということ自体は、防衛庁だけが責任をになうべきものではない、全日空側にもその責任の一端があるということを、これによって証明しようとしたんじゃないですか。だから話はもとに戻って、事件それ自体がなぜ起きたのか、直接原因は何だったのか。謙虚に受けとめるというならば、九キロを五キロ入り込んだということが直接原因であったというならば、何もこういうものを出して責任のがれする必要ない。結局、それでは五キロ入り込んでいたという事実をお認めになるならば、それが直接の原因である、責任は防衛庁がになうべきだという、その論拠が出てくるんじゃないでしょうか。その辺があいまいなんですよ、防衛庁の見解が。  これはだれが考えてみましても、禁を犯して入ったから事件が発生したというならば、犯した者、犯した側の責任じゃないですか。むしろ私は、そのことをはっきりさせるなら問題ない、片づきますよ。どうしてもこの報告書是認しないという意味は、全責任を防衛庁がとりたくない、全日空にもその責任があるという、そういう意図のもとにこういう措置がとられたんじゃないかということに通ずるんじゃないですか。疑問、疑問と言われるけれどもね、直接原因というのは、何回も言うように、なぜ基線を五キロ侵したかという問題なんですよ。どうなんですか、はっきりしなさいよ。
  53. 増原恵吉

    国務大臣(増原恵吉君) 質問を出しましたのは、もう繰り返して申し上げるように、私どもは見張り義務のあるなしということが、やはり事故においての一つの問題点であるということを考えて、もちろん質問を出しておるわけです。何でもないのに出しておるのではもちろんございません。見張り義務というものがあるのかないのか、その他の二点、全体としてですね。そういうことでもちろん出しておるわけです。それは底意とかなんとか、そういうような種類のものではございません。
  54. 森中守義

    森中守義君 そうしますと、重ねて聞きますが、五キロ侵した、それが直接事故の原因であったということはお認めになりますね。
  55. 増原恵吉

    国務大臣(増原恵吉君) 私どもも、いま言ったような事実があったことは認めております。しかし、この法律的の問題は、いま私どもは訴訟の起きておる段階でございまして、裁判所の判断に従いたい、こう思います。
  56. 森中守義

    森中守義君 事実はお認めになる、しかし責任の所在については訴訟によってきめたい、こういうことですが、そんなばかばかしい話はないでしょう。何のために準則をきめられたか。きめられたことを犯して、その事実を認めながら非を認めないと、そういう論法が通りますか。防衛庁はそういう姿勢ですか。準則も何もつくっていないならこれはいいですよ。ただ準則というものが国会で認知され、承認されたものではない。けれども、少なくとも、航空の安全のために独自の準則をつくっておるというならば、これは何としても一つのおきてですよ。おきてを破ったことは認める。けれどもそれが責任ではない、あるかないかは訴訟によってきめたい、そういうばかばかしい話が通りますか。行政の責任でそういうことが言えますか。もう一回その辺はっきりしましょう。
  57. 増原恵吉

    国務大臣(増原恵吉君) 私どもが、何といいますか、制限に反していわゆるジェットルートのほうへ近づいていったという事実は認めると言うておるのですが、現在訴訟になっておる段階において、私どもがそこで責任をとやかく言うことは申し上げないほうがいい、避けるべきであると、こういう意味で申し上げておるわけでございます。
  58. 森中守義

    森中守義君 それは確かに一つの回避する意見としてはわかりますよ。都合が悪くなれば係争中だからその結審に待ちたいとよく言われる。けれども防衛庁という国の機関として何も裁判所の判決、結審にゆだねなくても非であるなら非で認めると、そういう姿勢をとるべきじゃないか。一切がっさいのことが係争中だから裁判の結果に待たねばならぬということで、国会の答弁は通りませんよ。裁判所は裁判所、国会の追及は国会の追及ですよ。そういう答弁で国会が通ると思いますか。防衛庁みずからの考えというのはどうなのか、独自の判断を聞いておる。独自の判断ができませんか。禁を犯したことは認める、責任があるかどうかは裁判所の判決にゆだねたいと、国会の答弁をそういう安直なものに考えられては困りますね。少なくとも防衛庁長官は政治家ですよ。そういう立場から非を認めたならば、いさぎよくその責任が防衛庁にあると、なぜこういうことが言い切れないんですか。どの委員会でも、非常に政府側が都合悪くなれば何か逃げ口上をつくろうとする。  ことに裁判等の場合には裁判に逃げ込んでしまう。国会における閣僚と議員の質問をそういう軽率なものと思っておりますか。断じて承知できない。  もう一つお聞きしますが、国家賠償法の適用が行なわれた。おそらく賠償法の一条でしょうね。国または公共団体等が公権力を行使する場合、公務員等によって他に損害を与えた場合には賠償するという条項、これが発動された。ここは責任を感じたという意味でしょう。その非を認めたという意味でしょう。いま防衛庁長官の言われる論法からいくならば、賠償法の適用というものは正確でない、単なる基準を——むろんこの中には基準なんというものは正確に示されていない。けれども、賠償法を適用したということはどういう意味なのか。当時ごうごうたる世論の袋だたきにあって、世論を操作する、世論の鎮静のために賠償法の発動をやった責任を、世論の袋だたきを回避するための一つの政略であったわけですか。賠償法の適用——もちろん遺族にとってはその程度のもので満足であったかどうか、これは別な問題。けれども、多額の国費がこの中に使われた。世論操作のための、世論鎮静のための賠償法の適用ですか。責任を感じてやったことですか。どっちですか。
  59. 増原恵吉

    国務大臣(増原恵吉君) 遺族補償の問題は、過失責任の有無あるいはその割合が明らかになる以前に、今度の事故重大性にかんがみまして、何よりもまず乗客の御遺族に対する援護措置を行なうことが必要であるという当時の事情にかんがみ、必要であると考えまして、そうしてこの補償は全日空からの申し出もありまして閣議にも報告の上、とりあえず防衛庁が窓口となって処理をしたのでございまして、全日空との求償関係は、事故原因が明らかになった段階で清算をされるという話し合いで、この遺族補償を行なったのでございます。
  60. 森中守義

    森中守義君 賠償法なんというのは、確かにいま言われるように求償権というのはあります。あるけれども、こんな簡単に適用できるもんですか。全日空の申し出があったからやったと、そんな簡単なもんですか。これはやっぱり責任の所在というのが確立されておらなければ賠償法の適用などはできないはずですよ。全日空から申し出があったからやったと、そんなばかな話はないですよ。  法制局は来ていませんか。
  61. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 法制局は来ていません。法務省。
  62. 森中守義

    森中守義君 法務省、いま防衛庁長官の言われるように、全日空との関係において求償権は留保されておる。それで賠償法を適用したと、こう言われるんですが、そういうことが賠償法の適用にあたってあり得ますか。
  63. 貞家克巳

    説明員貞家克巳君) 事故直後におきまして、遺族の補償が行なわれた経緯につきましては、ただいま防衛庁長官からお答えになったとおりであるというふうに承知いたしているわけでございまして、その段階の法律判断といたしまして、その原因をしいて求めるとすれば国家賠償法によらざるを得ないということになるわけでございまして、もちろん当時におきましては、事故の原因自体も必ずしも明らかではないわけでございまして、責任の問題等につきましては、なお明確ではない点があったのではないかと想像するわけでございます。  求償権云々の問題でございますが、この求償権と申しますのは、かりにこの事故自衛隊機側と全日空機側との双方の過失が競合して生じたという、そういう仮定でございます場合には、この国家賠償法に規定されております求償権ではございませんで、もしかりにそういう事実関係でございますれば、いわゆる民法上の共同不法行為ということになるわけでございまして、共同不法行為と認められますと、連帯債務を負うということに法律上なっておるわけでございまして、その一方が自己の負担部分を越えてかりに支出をするというようなことがございました場合には、その分をまた取り返すということが求償ということになるわけでございます。
  64. 森中守義

    森中守義君 いま法務省が言われるように、賠償法上の求償権は公務員に限定されておりますね。個人に責任があった場合には個人に求償する。こういうわけで、いま大臣の言われる求償権というのはやっぱり違いますよ。これは民法上の連帯保証の問題。だいぶ意味合いが違う。けれども、いま全日空から申し入れがあったからその要請を受けたんだということなんで、これは間違いありませんか。
  65. 小田村四郎

    政府委員(小田村四郎君) ただいま大臣が御答弁申し上げましたとおりでございまして、特につけ加えることはございませんが、当時としては何よりも乗客に対する手当てをすることが必要であるという事態でございます。で、その場合、乗客自体には過失がないことは明らかであるということでございまして、したがって、そういたしますと、責任者は国か全日空かどちらかになる。そこで、どちらかになるか、あるいは双方であるか、これはまあ事故原因がはっきりしませんとわからないわけでございますけれども、その場合にどちらが窓口になるか、こういうことで当時の防衛庁当局とそれから全日空との間で話し合いが行なわれまして、そうして全日空としては防衛庁が窓口になってほしい、こういう依頼を受けたわけでございます。  そこで防衛庁としてはその旨を閣議報告いたしまして御遺族に対する補償をした、こういうことであります。
  66. 森中守義

    森中守義君 それも問題があるのは、この照会状の中にいわれている見張り義務の問題は、おそらく機長と副操縦士だけでしょうね。あとの、たとえば機関士とかホステス、こういう人たちもいわゆるその責任があったと見ているのですか。まあ責任があるというのか、見張り義務上の問題はどういうように考えているか。つまり損害賠償——国家賠償を適用する場合に全日空の乗員だけどうして除いたのですか、全部この照会に該当するのですか。防衛庁が考える見張り義務の責任には、客室にいる乗務員及び操縦士以外の機関士等にも、均等に、このあなた方が言われている照会状に該当するものと見ているのか。なぜほかの人をこの国家賠償の適用から除いたのか。そこにも全日空防衛庁の責任の限界を、何かこう反映されているような気がしてしようがないのですが、それはどういうことですか。
  67. 小田村四郎

    政府委員(小田村四郎君) 当時の状況といたしまして、何よりも急がれましたのは、乗客の御遺族に対する補償を何とか早く手当をしなければならないということでございます。全日空さんと防衛庁との話し合いにおきましても、当然そういうことが前提にして行なわれた。したがいまして、全日空さんからは、当時におきまして、乗務員についてもすみやかに防衛庁が窓口になってやってくれと、こういう御依頼はなかったわけでございます。当時の状況として、そのお考えがどういう理由からきたかということは明らかではありませんけれども、これは乗務員のほうは、いずれにしても親会社がおられますので、とりあえずの応急措置というものはやっていただけるのではないかというような考えが、あるいはあったかもしれません。しかし、この点は私、確認いたしておりません。ただ、防衛庁といたしましては、乗務員を含めまして百六十二名の方々の御遺族に、各自百万円ずつのお見舞い金は即刻お届け申し上げた次第でございます。その後におきまして、全日空さん、あるいは乗務員の御遺族のほうから補償をしてほしいと、こういう御要求はまだ受けておらないわけでございます。
  68. 森中守義

    森中守義君 国家賠償法の適用というものは、そうすると、きわめて不確定要素のもとに適用したと、こういうことになるんですね。全日空から話し合いがあったから、それを受けて閣議できめたと、こう言っているわけだね。ここでいう公権力行使云々というものは、この際における中心的な理由じゃないんですか。賠償法の適用は何が理由なんです。少なくともいまの説明では、責任の所在は明らかではない。けれども全日空からそういう申し出があったから、窓口を防衛庁にしてくれというので出しました、そういう安易な考え方で国家賠償法の発動があったんだ。はっきりさしてくださいよ。これは賠償法では公権力を行使する場合とちゃんと、きちんと一つの定義がある。その責任をみずから考えて、この法律を根拠にして、確定要素を基礎にして賠償法の発動をやったということになりませんね、それならば。その辺はどうなんですか。  私は、確かにこの問題は、賠償法適用したときに照会しなければならぬという、こういう問題が出ていたのか、出ていなかったのか、時期的によくわかりません。わからないけれども、こういう疑問は持っている。これは何と言われても、疑問があったから問うたと言っても、さっきの九キロの問題があるわけだから、その非は認めた。しかし、これが疑問なんだ。この事といかんによっては防衛庁並びに全日空の共同不法行為が成立をする、そういう認識を持っているわけでしょう、みなさんはね。そこで国家賠償法を発動するというのに、この一条のきちんとした定義づけられたものを根拠にして賠償法の発動をやったんじゃないんだな。そういうことになりますね。しかも裁判の結果では、民法上の求償を求める、共同不法行為で連帯責任をとってもらう、その際に清算をするというふうな意味であれば、賠償法の適用というものは、この一条の定義に基づいたものではない、こういうことになりますね。どうなんですか。だめだよ、あなたには聞いているからいいよ。長官だよ。わざわざそのために長官に来てもらった。
  69. 増原恵吉

    国務大臣(増原恵吉君) その問題、一応のことは私も聞いておるのですけれども、それを決定しました時分のあれが、経理局長がおりますので、そういう法律問題でもありまするし、経理局長から御説明をさしたいと思います。
  70. 森中守義

    森中守義君 何も法律上の見解を聞いているんじゃない。はっきりしていますよ。長官として答えなさいよ。  要するに、私も法律の専門家じゃもちろんありませんよ、けれども、国家賠償法一条というのは、公権力の行使で過失があった場合に国または公共団体が責任をになう、いいですか、そこでだんだん事件が核心に触れていって、公務員個人の責任であるということが明らかになるならば、公務員に求償を求めるとちゃんと指定してある。このくらい賠償法ははっきりしておるんですよ。だから、賠償法の発動には確定的な責任上の要素がなければ発動できない。ところが、さっきから聞いていると、窓口を防衛庁にしてくれとか、裁判の結果等々、共同不法行為等があれば全日空にも求償権を考慮するというような、そういう答弁なんだが、正確に国家賠償法発動の要素があったのかどうなのかと、こう聞いているんだから、これはやっぱり大臣が答えなければだめですよ。法律上の問題じゃないんだ。
  71. 増原恵吉

    国務大臣(増原恵吉君) これは法律上の問題でございまするが、私が答えろということですから答えます。  このような措置をとりましたのは、乗客御遺族に対する補償を急ぐことがきわめて必要であるという当時の状況にかんがみまして、事故原因内容が解明されていなかった——われわれはそういうふうに解するわけです、解明されていなかった当時の段階としては、少なくとも乗客に対する関係においては、国と全日空との共同不法行為と推定をすることが一応適当と考えたことにより、御指摘のとおり、国家賠償法を適用をして遺族補償を行なうこととした。国と全日空との求償関係については、事故原因が明らかになった後に清算をする。全日空に過失がなければ全部国が持つということで、事故原因が明らかになった後に清算をするということできめたということでございます。
  72. 森中守義

    森中守義君 まあ非常にその見解もあいまいだし、はたして賠償法の適用に合致するかどうかはなお疑問がある。けれども、いま言われる事故原因がいまだ解明されていない段階であった、こう言われるならば、どこでその解明を求めようとしましたか。何によってその解明を求めようとしましたか。
  73. 増原恵吉

    国務大臣(増原恵吉君) 当時としては、事故調査委員会事故原因の解明を求めたということであったわけであります。
  74. 森中守義

    森中守義君 そこで、また結局もとに戻ることになりますが、事故調査委員会をそういったように評価しておったわけですね。ここで解明を与えられる、そういう認識を持っていたわけですね。どうですか。
  75. 増原恵吉

    国務大臣(増原恵吉君) 期待をしておったわけでございます。
  76. 森中守義

    森中守義君 期待をしておったが、結果においては疑問が残ったと、こういうことのようですね。それで、いま期待をされておったということで、新たに申し上げておかなければなりませんが、調査活動に協力をする、あるいは調査結果に信頼をする。しかも、そのことは調査委員会の任務、性格等からして、質問等によって疑点を解明すべき性格と任務のものである。そういう認識を持っているんですか、どうなんですか。
  77. 増原恵吉

    国務大臣(増原恵吉君) 調査活動に協力を求められた場合には、防衛庁としても協力を一応いたしたわけでございます。この調査報告書が出ました段階で、私どもも専門家をまじえてこの調査報告書を精細に検討しました結果、疑問の点がありますので照会をいたした、こういうことでございます。
  78. 森中守義

    森中守義君 総務長官帰りましたか。  いま防衛庁の発言は、調査委員会に対する認識の問題として非常に重要ですよ。これは、これから事故調査委員会法等、審議しなくちゃならぬ。この中に非常に重要な要素がある。けれどもですよ、在来の調査委員会のあり方、むろん私どもはこの調査委員会に審判権を保有さすべきであるという見解を私は持っている。しかし、これはこれからの問題。ですけれども、在来の調査委員会が設置をされて、そのつど事件の真相究明に当たってきた。ところが調査委員会というものはあらゆる角度から調査をする。むろん関係者の事情聴取なども、この中できわめて精密に行なわれている。そして出されたものについて、複数の当事者の質問意見、異論、こういうものが当然受理される性格のものと認識しておりますか。どういう性格のものですか。調査委員会の任務というものは、調査結果が出た、それで当事者において疑問点のある場合には、ちゃんと答えをするとか解明するとか、そういう任務まで調査委員会で持っているものですか。しかも、そういうことが防衛庁あたりには、いまの説明からいくと、どうも認識されておったように思うんです。そういう性格のものですか。
  79. 須藤博忠

    政府委員(須藤博忠君) この事故調査に当たりました全日空機の接触事故調査委員会性格について申し上げますと、この委員会の任務は、あくまでもこの事故の原因の究明ということが任務でございまして、その任務が終了すれば、この委員会はあくまでも臨時的に設けられた性格のものであるということでございまして、したがいまして、任務を終了した段階で、すぐに解散をするという措置をとったわけでございます。
  80. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 速記をとめて。
  81. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 速記を起こして。
  82. 森中守義

    森中守義君 さっきの総理府の見解からいけば、性格というものはきわめてはっきりしておりますね。調査委員会は精密に調査をして報告書を出すまでが任務である。それに対して質問を受けるとか、異議の申請を受けつけるというものではない、これだけははっきりしているでしょう。それだけはっきりさせてください。
  83. 須藤博忠

    政府委員(須藤博忠君) もちろんこの委員会、発足当時は、先ほども申し上げましたとおり、あくまでも臨時に設けられた機関であるということと、それから事故原因を明らかにするということが委員会の任務でございます。したがいまして、事故原因を明らかにして報告書を提出すれば、それで任務が終了すると、したがって解散をするという性質のものでございます。したがいまして、主たる任務がそこにある以上、それ以外のことをあらかじめ予想しておいたというふうにはちょっと言えないのではないかというふうに、私ども解釈しております。
  84. 森中守義

    森中守義君 ですから、防衛庁では、この調査委員会の任務と性格というものを、質問を出しても答えられるもの——これはある意味では異議の申請、不服申し立てと、こういう意味合いのものでもあるんですよ、内容的に見て。そういうものが求められるものだという認識調査委員会を見ていたんですか。それと閣議の了解ということはどういうことなんですか。その辺がわからない。
  85. 増原恵吉

    国務大臣(増原恵吉君) 調査委員会性質は、いま総理府のほうから申し上げたようなものであろうと思います。私どもは調査報告について疑問とする点を明らかにしたいということでございまして、これは性格によってそういうことをなし得ないというものではあるまいと、その点は、私どもが質問書を出すときに総理府とも相談をした。そうして、まあ私どものほうでは、すぐ解散をされると質問を出すのもぐあいが悪いということもあって相談をしたんですが、まあ解散後も質問委員長へ取り次ごうというふうな話もあったようでございます。私どもは、その性質によってどうこうということでなしに、出された報告書に対する疑問点を質問をして明らかにしたいという趣旨で、質問を出したわけでございます。
  86. 森中守義

    森中守義君 それはじゃ、総理府のほうでは、取り次ごうという約束というものは、どういう意味合いで取り次ごうとしたんですか。だいぶ話のいきさつが違う。調査委員会の任務、性格というのは、何回も言うようなんだけども、不服の申し立てとか、異議の申請とか、そういうものを任務の一端として与えてあったんですか、さっきの答弁からいうとそういうものじゃない。臨時的なもので、調査が終わり、報告が出されたならば、それで解散すべきものだと、こういう説明ですね。私もそのとおりに理解しておる。であるのに、疑問がある、尋ねたい、じゃ取り次ぎましょう、そういうあいまいなことでいいんですか。はっきりさしておこうじゃないですか。
  87. 須藤博忠

    政府委員(須藤博忠君) 委員会性格は、先ほど申し上げたとおりでございます。もちろん任務終了いたしまして、委員会そのものは形式的にも解散をして存在しないわけでございますが、この前小宮山副長官が申し上げましたように、元委員の方にいろいろ質問をしたいということでありますので、その点については事実上のお取り次ぎをすると、そういう要請があった場合には、一応元委員の方にお取り次ぎしたほうがいいであろうというふうに総理府は判断いたしまして、お取り次ぎをしただけのことでございます。
  88. 森中守義

    森中守義君 総理府の見解もそういう点では非常に軽卒ですよ。出されているものは推定原因の一部をなしている。おそらくこの調査報告のエキスというのは推定原因、この推定原因をまとめあげるためにたいへんな努力が、かなり長文とはいいながらも非常にまとめてありますよ。それなるがゆえに閣議では了解されたわけでしょう。ところが、防衛庁が出されたものは、推定原因の一部に不満だと、こういうわけだから、それなら調査委員会を構成するときに、なぜそういうことをあらかじめ予想しておかないのか。たとえば報告書が出されて三カ月間は調査委員会は存置をする、その一定の期限内に質問があれば質問を出してくれとか、異論があれば異論を出してくれという、そういう期間をなぜ置かないのか。もう出せば任務は終わった、解散。そのこと自体が、質問とか、異議の申請、不服の申し立てというものは、調査委員会にはあるべきものではない。そのために人選等にあたっては各界、各層の専門的な権威のある人を集めたということじゃないでしょうか。そういうことじゃないんですか。  だから今度のような、こういう事件が二度とあってはならないけれども、防衛庁の今回のこういう措置が五カ月間も経過して出た。この報告書というものは、大体しろうとが見ましても三回読めば頭に入りますよ。特殊な専門的な知識を伴う個所もある。けれども三回読めばよくわかる。非常にだれにもわかりやすく、しかも問題をとらえていますからね。防衛庁の専門家がこれを見たわけでしょう。五カ月間検討に検討を加えなければこの疑問がわいてこないような、疑問点を把握することが困難なような、そういう性質のものではない。どうして調査委員会は、編成するときに、報告書が出て、そこから起算をして二カ月以内とか、三カ月以内に、質問なり意見なりあるならば、当該の委員会に提出をしてくれという、そういう措置でもとっておかないのか。措置をとらないから問題になる。しかし、とる必要がないように、実は人選等は権威ある人を委嘱をした、こういうことに私はなっているんじゃないかと、こう思うんですね。どう考えてみても防衛庁質問というのはおかしいですよ。それをまた総理府が山縣さんに聞いてみようと預かることそれ自体も、委員会をみずからつくり、報告を求め、閣議で了解がされたのに軽卒だといわれてもしかたがないんじゃないですか。どう思いますか。
  89. 須藤博忠

    政府委員(須藤博忠君) もちろんこの調査委員会を設置した当時におきましては、こういうようなことがあるということも、もちろん予想しておりませんし、また当初におきまして、やはり先ほど申し上げましたように、委員会性格はそういうものであるという認識のもとに委員会を発足させ、調査を行なってきたというのが事実でございます。
  90. 森中守義

    森中守義君 予想していないということはどういうことですか。出るとは思わなかったと、こういうんですか。あるいは出ても押えなくちゃならぬ。委員会性格からして、そういうものは受理すべきものではない、それが予想という内容になろうかと思うのですが、どっちですか。
  91. 須藤博忠

    政府委員(須藤博忠君) ざっくばらんに申し上げますと、まあ私のほうで、この事故調査委員会の事務局をお引き受けしたのは実は初めてでございます。そういうわけで、いろいろ運輸省の先例その他勉強いたしましてやってきたわけでございます。で、もちろん上層部におかれてはりっぱな方を委員に選ばれたものだというふうに私、判断しておりますし、また委員会として非常な公正な活動が行なわれて、それで結論が出れば当然そこで任務が終了するんだと、まあ、そういうふうに当時考えておりましたし、私どもそういう趣旨で委員会の事務を、下働きといいますか、そういうことをしてきた次第でございます。
  92. 森中守義

    森中守義君 わからないね。初めてであろうと、二回目であろうと、原則はきちんとやっぱりしておくべきものでしょうね。初めての経験だから、今回こういうことになったということでは通りませんね。で、むしろこれは私の意見になりますけれども、委員会はそういうものじゃないのですよ。さっきから申し上げるように、この内容には隈、市川——裁判上の被告ですね、かなり詳しく事情聴取をやっていますよ。むろん防衛庁にもこの辺のことは私は聞いていると思う。場合によっては山縣委員長に参考人で出てもらう必要があるかわかりませんがね。こういう防衛庁が疑問とする点はすべて調査委員会は把握しておる。そうしなければ、この推定原因なんというのは容易に出さるべきものじゃないんですよ。それなのに、わざわざこれが、またあとで出た、しかも五カ月間経過してから。だれが聞いたって割り切れませんよ。防衛庁は責任のがれをしている。しかも裁判が相当長期にかかる。そこをつけ込んでこういう問題を出せば、これはまた一つの定がかりになるんじゃないだろうか、争いの種になるんじゃないか、こういう見解じゃないですか。どう考えてみてもそう見ざるを得ない。しかも冒頭に申し上げたように、各省庁の行政行為として存在しないものにものを聞く。かって聞いたことありませんよ。防衛庁だけですよ、こういうことは。長官よく聞いておってくださいよ。どう考えてみても疑問がわいてくる。もう十分過ぎましたからね、またの機会にいたしますが、どうしても割り切れない。そこで調査委員会の任務と性格、この質問、この関係はもう少し防衛庁総理府の間でどういう認識であったのか、私は個別に聞いてもいいけれども、はっきりさしてもらいたい。  それともう一つ、最後に聞いておきますが、いまこの事件は、業務上過失致死、罪名と罰条はそういうことになる、刑法二百十一条。それから航空法違反、航空法百四十二条の二項、このつまり刑事事件と民事事件二件ありますね。で、このいずれも防衛庁は被告の側に立っている。この場合に民事は民事、刑事は刑事と使い分けた一つの見解をもって臨んでおるんですか。あるいは一つにまとまったもので臨んでいるのですか。この前この委員会で、前回の公判の際におけるある新聞の報道で、防衛庁は無過失を主張した、こういう記事が出ておったので、これはこの前も質問いたしました。その後無過失ということは考えておりませんという政務次官の答弁でしたからね。一応その事実を防衛庁自体が否認をしましたから、あえてここでは再びいたしませんけれども、要するに刑事事件、二つの民事事件、これはいずれも防衛庁の責任が全部なのか一部なのか、つまり全日空にも共同不法行為があったのかどうなのか、この辺がどの事件も中心なんですよ。それで刑事事件と民事事件は巧みに使い分けてやっておられるのか、あるいは防衛庁の主張というものは一つの点にしぼられているのか、これはどうなんでしょうか。——大臣大臣だよ。わざわざ長官に来てもらっているのだよ、それで。
  93. 増原恵吉

    国務大臣(増原恵吉君) 経理局長からお答えをさせます。
  94. 小田村四郎

    政府委員(小田村四郎君) 先生御存じのとおり、刑事事件は隈、市川、この二人の個人を被告といたしまして検察庁が起訴した事件でございます。で、これは被告は個人でございますので、防衛庁と直接のかかわりはございません。他の民事の二件は、いずれも被告が国でございますので、防衛庁として同じ歩調で進めていきたい、かように考えております。
  95. 森中守義

    森中守義君 経理局長だめだよ、そういう考えでは。隈も市川も自衛官の任務につけておるじゃないか、まだ。何だ、防衛庁にかかわりがないとは。確かに立件されているのは二人ですよ。けれどもこの二人は全くの個人じゃない、これは。そういう見解で刑事事件に臨んでいるのですか。もってのほかだよ、そういうことは。弁護士さんはじゃあ個人がつけているのか。防衛庁一体としてやっておるだろう。防衛庁にかかわりのない事件とは何ですか。少なくとも防衛庁の自衛官として、航空自衛官として訓練に当たっている。何も隈と市川の個人的な問題じゃないですよ。個人的な問題ならばこういうところで問題にしない。ほんとうに防衛庁とはかかわりのない事件だと思っているの。おだやかでないよ。
  96. 小田村四郎

    政府委員(小田村四郎君) やや表現不十分であったかと思いますけれども、刑事事件防衛庁という役所が関与すべきものではないわけでございます。弁護人等の選任はすべて隈、市川両被告が行なっておるものでございます。
  97. 森中守義

    森中守義君 これはもう時間も来ましたからこの次にしましょう。しかし防衛庁長官、経理局長の言うような答弁でいいですか。だめですよ、そんなことでは。なるほど隈、市川両君を起訴しているわけだから、裁判それ自体はそうであるかもしれない。しかし、その背景、地位、環境というものは二人の個人じゃありませんよ。経理局長、もう少し常識ある答弁をしなさいよ。幾ら首かしげても市川、隈二人の個人の裁判だから、防衛庁かかわりないなんという答弁は言語道断だよ。この前も国が国がと言う、そういう問題で非常に混乱したんですよ。もう少しまともな答弁をしてもらわないと全然質疑がかみ合わない。これはだれが聞いてみても市川、隈両君を個人の問題なんか考えていない。もう少し国会における答弁なら答弁らしく、気のきいた答弁をやってもらいたい。無能力だよ、そういうやり方は。個人の関係です、防衛庁関係ありません——そうですかといって下がる者はおりゃしないよ。不見識だよ、そういうことは。けしからぬよ。
  98. 増原恵吉

    国務大臣(増原恵吉君) ことばが足りなくてあれかもしれませんが、刑事事件としては隈、市川という人が起訴をされておる。この隈、市川は自衛官である。防衛庁の自衛官として訓練に当たっておった、そういう個人であるという意味でございます。民事のほうは国を相手どっての訴訟になっておる、そういう意味を申し上げたので、何というか、全然防衛庁関係のない個人という、そういう意味で申し上げたのではございません。それは御了解をいただきたいと思います。
  99. 森中守義

    森中守義君 それは確かにそうだと思うけれども、ここで答える場合に、もう少しそういうような考えでなくて、中身のある話をしてくれないと関係ありませんなんということで答弁されると迷惑しますよ。だめですよ、そういうことでは。この前も国の責任ということで国、国と言うから、これはちゃんと運輸省もあれば総理府もあるんだと、国と言うな、防衛庁と言えと、こう私は言ったことがあるんです。同じようなことを政務次官は訂正しましたが、もう少し理屈に合ったような答弁をさせるようにしなさいよ。私もそのくらいのことを失礼ながら聞いていますよ。なっちゃいないよ、経理局長の答弁というのは。まあきょうはこのくらいにしておきましょう。この次だ。
  100. 小柳勇

    ○小柳勇君 時間がもうあと三十五分ぐらいしかないから、質問も簡単にしますので、答弁もひとつ要点を、簡単に答弁を願います。  まず、新幹線建設関係主要駅の整備ということです。東北新幹線の建設状態、いまいかがですか。
  101. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 東北新幹線につきましては四十六年の十月に認可いたしまして、十一月から着工いたしております。  現在までの経過でございますが、測量につきましては全体の八六%を終わっております。  それから用地につきましては、用地の取得でございますが、全体の二四%を終わっております。  それから工事関係でございますが、全体の二三%程度の契約が済んでおります。本年度は約千二百億円の予算をもちまして工事を続行いたしまして、所期の目的であります五十一年に完成したいということでやっております。
  102. 小柳勇

    ○小柳勇君 盛岡までの計画が明らかで、それから先、青函トンネルとどういうように結ぶかということがまだ明らかでないので、われわれのところにも秋田などから盛んに陳情があるんだが、その点はどうなっていますか。
  103. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 現在着工をしていないいわゆる調査線の関係でございますが、昨年の六月に国鉄と鉄建公団に対しまして調査の指示をいたしております。一年以内に調査報告を出してまいりたいということで、現在調査を進められているわけでございますが、私どもの一応の目標といたしましては、青函のトンネルが五十二年度に完成するという予定になっておりますので、盛岡から札幌までの新幹線につきましても、青函トンネルの完成時に合わせて同時完成したいということで、今後調査あるいは整備計画、工事計画の認可を行ないたいというように考えております。
  104. 小柳勇

    ○小柳勇君 途中の経路はもう大体見当ついていますか。
  105. 住田正二

    政府委員(住田正二君) これは現在調査中でございますので、調査の結果を待って決定いたしたいというように考えております。
  106. 小柳勇

    ○小柳勇君 それから上越新幹線ですが、東京都なり、騒音などの問題でたいへんこれは苦労しているようですが、われわれとしても必ずしもいまの公害などを考えてみると、促進促進というわけにまいりません。労働条件の問題もあります。ですが、中央都市圏と九州なり北海道なり、あるいは東北なりの文化の問題、あるいは経済的な断層、そういうものを考えますと、やはり早く解決しなければならぬという、これは国民的な課題ではないかと思うが、この新幹線の問題でどうですか、これは予想どおりに進行していますか。
  107. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 上越新幹線につきましても、たとえば測量では七九%終わっておりますし、用地では九%、工事関係でもすでに三九%の契約を終わっているわけでございます。確かにいま先生の御指摘がございました、いろいろな問題はあろうかと思いますけれども、私どもといたしましては、当初の予定どおり、五十一年に完成するということで努力いたしたいと考えております。
  108. 小柳勇

    ○小柳勇君 次に山陽新幹線。福岡県に入りましてなかなか用地買収などで困っているようですけれども、現在の進捗状態はいかがですか。
  109. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 山陽新幹線の岡山から福岡までは約四百キロでございます。現在の段階で必要な用地の八四%が買収済みでございまして、全延長の九九・二%について現在工事をやっておる状況でございます。
  110. 小柳勇

    ○小柳勇君 用地買収で、初めの予定に対して進捗状態どうですか。
  111. 斎藤徹

    説明員(斎藤徹君) 先ほど部長がお答え申しましたように、全体的には用地買収が八四%でございますが、予定に対しまして、岡山県、広島県は予定どおりといいますか、予定より若干早いと申し上げて差しつかえないと思いますが、山口県が約九〇%でこれが予定どおり、それに対しまして福岡県は、まことに残念なことなんですが、予定は、八〇%は買収を終わっておりたいと、こう思っておったのが、現実は六六%でございまして、予定よりは若干おくれておるというふうに考えております。
  112. 小柳勇

    ○小柳勇君 かつて国鉄総裁が、四十九年十一月か十二月完成予想を言われたので、その予想に対して用地買収なり建設状態がうんとおくれているんじゃないかという心配があるんですが、いかがですか。
  113. 斎藤徹

    説明員(斎藤徹君) 運輸大臣から認可いただいております山陽新幹線の博多開業は、一応五十年三月ということになっておることは先生御存じだと思いますが、それをできれば十二月に開業したいというのを、総裁が一応目標としましていま出しておるわけでございますが、たとえば来年十二月開業いたしますためには、来年の七月一ぱいには土工工事、軌道工事、電気工事を一切完了しなきゃならないということになりますと、それをさかのぼりますと、もちろん最後、工事が相当の突貫工事になることは予想されますが、大体ことしの七月、八月ぐらいまでに用地買収をほとんど片づけなければ、予定どおりの開業がむずかしいという情勢になるんではないかと思って、鋭意用地買収のほうを進めておる最中でございます。
  114. 小柳勇

    ○小柳勇君 七月か八月ごろまでに用地買収は終わる見込みですか。
  115. 斎藤徹

    説明員(斎藤徹君) まあこれは、地権者——相手の方がおいでになる話でございますので、はっきりできると申し上げるのはむずかしいと思いますが、立ち入り不能の個所は現在ございませんで、大体、地点にいたしまして、山口県で二地点、それから福岡県で約四地点ほど、点で残っておりまして、すべてこれも条件の話に入っておりますので、今後短期間にこの条件を詰めてまいりたいとこのように考えておるわけでございます。
  116. 小柳勇

    ○小柳勇君 用地を買収される方たちの反対する気持ちもよくわかります。また騒音など、いわゆる公害に対する地元の心配もわかりますが、県、市町村などの協力体制はどうですか。
  117. 斎藤徹

    説明員(斎藤徹君) たいへんな御協力をいただいておると考えております。
  118. 小柳勇

    ○小柳勇君 いま一つは職員の労働条件で、総裁が四十九年十一月または十二月完成を発表されたために、少ない職員でたいへん用地買収その他、建設のほうも過重の作業をやっておるのではないかという心配がありますが、この点はどう把握していますか。
  119. 斎藤徹

    説明員(斎藤徹君) 先ほど申しましたように、当初五十年三月というのを十二月で、まあ四カ月早まったということでございますが、これはいわゆる土工工事あるいはそれに引き続きます軌道工事、そういった工事のほうにしわ寄せを持っていったということではなくて、むしろ新大阪−岡山間の経験にかんがみまして、いわゆる地固めの試運転と申しますか、そういった期間が、前回の経験にかんがみまして、かなり短縮できるという予想から、開業時期をできれば早めたいと、こういうことになったわけでございまして、工事そのものの工程に無理を、しわ寄せを持っていったということはございません。
  120. 小柳勇

    ○小柳勇君 それから土地の買収などで、等価交換の原則でやっておられるけれども、なかなか現地の職員が出向いていって苦労しておるようですけれども、いよいよ大詰めになりますと、少し幅を広げて買収しやすいようにしてやりませんと、工事のほうにも影響していくと思うんですけれども、まあいま決断する段階でないかとも思いますけれども、工事の進捗状態とにらみ合わせながら、現場の第一線で作業をやっている諸君が仕事がしやすい方向に配慮していただきませんと、非常に血のにじむような苦労をしておるようですが、その実態については把握しておられますか。
  121. 斎藤徹

    説明員(斎藤徹君) これはいずれの工事でもそうでございますが、工事が末期に入ってまいりますと、非常にむずかしい問題個所だけが残るというのが過去の通例でございます。現実、特に福岡県の県内で残っておりますところは、その他の地区にない特殊事情のあるところばかりが実は残っておりまして、そのために用地買収の担当者はたいへんな苦労をしておるということは、先生もよく御存じだと思いますが、その点われわれも、もう本人の事務処理能力もそろそろ限界にまで近づいておるんではないかという認識はいたしております。
  122. 小柳勇

    ○小柳勇君 資材の不足。セメント、鋼材その他、資材不足などによる工事の遅延については心配ないわけですね。
  123. 斎藤徹

    説明員(斎藤徹君) 最近、木材、セメント、主としましてセメントの問題が、昨年の未以来不足の徴候があらわれてまいりまして、年度末はかなり制限を受けました。ただ長期間の継続工事でございますのと、特にトンネル工事につきましてはセメントは全数支給いたしておりますので、大きな、国鉄全体の運用の中で運用いたしましたので、トンネル工事のほうは若干の影響は受けておりますが、たいした影響は受けておりません。特に高架橋の工事は生コンを買っておりますのでかなりの影響を受けたわけでございますが、工事が大工事でございますので、できるだけセメントを使う工事を差し控えまして、セメントの要らない作業、たとえば、くい打ち工事とか、そういったものの作業を優先させまして、若干作業内容の差し繰りによりまして、現在までは対処してまいりまして開業時期に影響を与えるような事実は現在のところはございませんが、今後問題はかなりあるというふうに考えております。
  124. 小柳勇

    ○小柳勇君 そういたしますと、結論的には、いま資材の問題も要員の問題も、四十九年の末の完成に対してはそう心配はないと、そう考えていいですか。
  125. 斎藤徹

    説明員(斎藤徹君) 心配はございますが、まだ不可能——断念しなければならないというほどの深刻な状態ではないんで、あと半年ほど懸命な努力をいたしたいと、このように考えております。
  126. 小柳勇

    ○小柳勇君 次は、長崎新幹線及び鹿児島新幹線の調査に今年度から予算がついたのですが、すでにもう各関係県、市町村などが通過経路あるいは停車駅などで建設促進あるいは誘致の陳情運動なり議会決議などをいたしています。この長崎新幹線並びに鹿児島新幹線の調査実態については、どのように進捗していますか。
  127. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 先ほど東北新幹線の盛岡以北あるいは北海道の新幹線について申し上げましたと同様でございまして、鹿児島、長崎につきましても昨年の六月以来調査をいたしておるわけでございますが、現在の段階では、まだ調査がまとまっておりませんので、調査報告が出た段階でどのような経路をとるかというようなことを含めて決定いたしたいと考えております。  ちょっと訂正いたしますが、長崎新幹線は昨年の十二月以来調査をやっております。鹿児島のほうが昨年六月以来ということでございます。
  128. 小柳勇

    ○小柳勇君 調査報告が出るのはいつごろですか。
  129. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 一応、運輸大臣からは一年以内に調査報告をまとめろということを指示いたしておるわけでございますが、いろいろ問題も多いようでございますので、あるいは六月には間に合わないおそれもあるのではないかと考えております。
  130. 小柳勇

    ○小柳勇君 その調査報告は、出た段階では、一応通過経路あるいは停車駅などの青写真、いわゆるこのスケッチだけはできるわけですね。
  131. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 調査報告では、直ちにどの路線をとるということはきまらないのではないかと思います。で、今回の調査で非常に問題になりますのは、現在着工いたしております東北あるいは上越と違いまして、いま調査を進めております五つの新幹線につきましては、複数の経路があるという点が従来と非常に変わっておるわけでございます。で、多いところでは三本ないし四本ぐらいの候補経路があがっているという点が、従来の新幹線と違っておりますので、今回の調査におきましては、それぞれの経路についていろいろ調査を行なうわけでございまして、調査報告の段階でどのような調査が出てまいるかわかりませんけれども、それで直ちに経路がきまるということではないと思います。
  132. 小柳勇

    ○小柳勇君 経路がきまるのはいつごろですか。
  133. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 非常にむずかしい御質問で、お答えしにくいんでございますけれども、調査報告が出ますと、そのあと検討いたしまして、整備計画をつくるわけでございます。で、整備計画をつくる場合には、御承知のように、鉄道建設審議会に諮問するたてまえになっております。で、私どもとしては、できるだけ早い機会にやりたいと。といいますのは、今年度国鉄、公団含めまして約百億円の工事費がつけられておりますので、その工事費との関連におきましても、できるだけ早くきめたいというように考えております。
  134. 小柳勇

    ○小柳勇君 次は、山陽新幹線の岡山駅前広場並びに地下街整備の事業が認可されて着工しておるようでありますが、昭和四十九年の四月営業開始のようでございますが、これが国鉄で主導権をとって、市、県、鉄道会館、鉄道弘済会、中国銀行などが出資して三十七億千七百万円の工事を考えておるようでございますが、この概要について、簡単に御説明を願います。
  135. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 岡山の地下街につきましては、いま手元にこまかい資料を持っておりませんが、いま先生のおっしゃられましたように、岡山の地下街は新幹線が開業する以前から地元地域からの地下街建設の気運がございまして、それと私どもは、新幹線が完成するので駅前広場をもう少し整備したほうがよかろうということで整備をすることにいたしまして、いま先生がおっしゃいましたように、四十九年の七月までに地下施設を完成させるよう、ただいま工事を進めているという段階でございます。   〔委員長退席、理事木村睦男君着席〕
  136. 小柳勇

    ○小柳勇君 岡山も、かって新幹線が開通します前の岡山と最近の岡山と全然活気が違いまして、これからまた数年しますと相当変貌すると思いますが、北九州の玄関であります小倉駅が、来年の暮れには新幹線が開通するにかかわりませず、具体的に、どのように増築なり改築されるかがまだはっきりしません。私どもがいま入手しているところによりますと、現在増築の案が出て国鉄と検討中と聞いております。御存じのように、小倉駅が昭和三十三年の三月に民衆駅として発足している。そのころ三万人くらいの一日乗降客であったのが、現在では大体十万人ぐらいあるのではないかと思うんです。したがって来年の暮れには新幹線が開通するのに、ほとんどまだいなか駅の、いまから十数年前のそのままの姿で、一体新幹線の乗降客をさばけるかどうか、地元として心配しています。したがって、博多駅のほうは地下街の建設なり、あるいは増築なり、相当輪郭がはっきりしておるのでありますが、小倉駅のほうがほとんどお粗末。したがって小倉駅の現状なり、国鉄がどういうふうに駅を考えておられるのか、お聞きをいたします。
  137. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) ただいまの小倉につきましては、新幹線が入ってまいりますのは、先生も御承知のように、現在の小倉駅の北口のほうへ新幹線が入ってまいります。実はただいまのところは、口は両方ございますが、おもに自動車あるいは旅客の流れは、南側の駅前広場を中心にお客さまが集まってまいります。北口のほうと南側の連絡通路がただいまのところございません。で、新幹線は北口のほうへ入ってまいりますので、しかも高架で入ってまいりますので、駅の施設といたしましては、今度の新幹線の高架の下で駅施設としては一応十分かと考えております。  しかし先生のおっしゃいますのは、駅施設以外に、回りの自動車交通その他の都市交通施設の関連において、もっと駅付近を整備すべきじゃないかという御質問かと思いますが、その点につきましては、とりあえず、ただいまのところは北側と南側に自由の通路をつくりまして、南側の駅前広場は非常におっしゃいますように狭うございまして、約七千五百平米程度しかございませんので、北側の広場と南側の広場を両方合わせて小倉駅の広場とするために、とりあえず自由通路というものをつくりたい。それで自由通路につきましては、北九州市と協議しなければできませんので、ただいま協議して、ほぼ自由通路をつくって、駅全体の、とりあえず新幹線ができた時点の機能が発揮できるようにということを考えておるわけでございます。いまのところ、現在あります小倉駅等だけでは、いろいろ設備として南側口も少し狭いんではないかということで、南口の現在あります駅についても、駅の中はコンコース等を広げて、もう少し客扱いが自由にできるようにということを、ただいま協議中でございます。
  138. 小柳勇

    ○小柳勇君 二つに分けて質問いたします。  一つは現在の駅舎、あの駅ビル——ステーションビルでありますが、これの増築計画について、駅ビルセンターが中心になって、増築の認可申請を出しておるようでありますが、これは検討中であろうと思いますが、これは一体どういうふうになるのか、この点についての回答を求めます。
  139. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) いまの御質問は駅ビルが中心になってというふうに承ったんですけれども、駅施設につきましては、国鉄が中心となって実は設計をいたしております。先生のおっしゃいますのは、それに付帯いたします駅施設でなくて、駅施設に付帯いたしますホテルだとか、あるいはみやげもの店といったことかと思いますが、それについてはいまの小倉のステーションビルがいろいろ計画を進めておるやに聞いております。
  140. 小柳勇

    ○小柳勇君 それを言うわけです。国鉄の大もとである建設局長が現在の小倉駅のあのような容量でよろしいともちろん思っておられぬだろう。来年は新幹線が開通しますのに、あんな駅では、駅自体がまことにお粗末ではないか。聞くところによりますと、駅ビルが中心で、地下二階、地上十三階、二十五億円ぐらいの増築案を出して検討していただいておる。これは東側、西側分かれますけれども、そもそも昭和三十三年は民衆駅として発足しているわけです。にもかかわらず国鉄が、いま担当の局長がそのようですとおっしゃるほど主導権を放棄して民間にまかし切りでいいのかという、私はそういう不満を言いたいわけです。そのようなことでは都市計画もできませんよ。もっと国鉄が主導権を持って、九州の表玄関ですから、主導権を持って、まず駅舎をもっと大きくする。幸いステーションビルがあるんですから、そういうものを動かしてもいいけれども、もっと主導権をもってりっぱな、りっぱなというか、お客の便利になる駅舎にしなければならぬのじゃないか。民衆駅だから言うわけですけれども、その点についての見解をお聞きしたい。
  141. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 先生のおっしゃるとおり実は考えておりまして、私が申し上げましたのは、ただいまのところでは、駅施設については、私のほうがイニシアチブをもって設計をいたしておりますと申し上げましたけれども、小倉の駅自体は非常に狭いということもよく了知いたしております。できれば国鉄も資本的な参加をして、駅の国鉄関係施設以外の施設についても、あわせて整備をはかっていきたいというふうに、ただいまのところ考えております。ただ駅施設全体といたしましては、北側に新幹線が入ってまいりますと、高さがほぼ三階ぐらいの高さに新幹線の高架橋が入ってまいりますので、その下に相当大きなスペースが出てまいります。それらと表側とを有機的に使いますと、駅施設及びそれに付帯する設備としては、とりあえずまかなえるのではないかというふうにただいまのところ考えております。
  142. 小柳勇

    ○小柳勇君 そういたしますと、現在増築申請中のものはどういうふうになるかわかりませんが、来年の末にとにかく新幹線が開通するんですから、でき得れば新幹線開通と同時に駅舎もりっぱになるし、それから駅前もりっぱにならなきゃならぬ、あるいは地下街もできなければならぬというのが私どもの考えです、地元県民、市民の考えです。だから人ごとでなくて、現在申請されておる建築、増築案については許可になると理解していいですか。
  143. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 国鉄がいま資本参加と申し上げましたけれども、この点につきましては運輸大臣からの認可事項でございますので、私直接実はいま明確な御答弁を申し上げるわけにはまいりませんけれども、いま山陽新幹線が開通する時点には、ただいまの小倉駅の一階につきましては、ここはお客さんの直接流れてくるところでございますが、この一階につきましては開業時期までにコンコースその他、出改札等、全面的に改装いたしまして、とりあえずお客さんの支障のないような姿には新幹線の完成する時期までには整備をいたしたい。それに関連いたしまして一階を整備いたしますと、これはいまある施設移転等を若干しなくちゃなりませんので、それらを含めまして現在の駅のすぐわきに、もう少し別の設備をしたらどうかというふうに考えて、それについては若干、いま先生の申されるような新幹線開業時期とはタイミングがぴったりあるいは合わないのじゃないかというふうに考えているということでございます。
  144. 小柳勇

    ○小柳勇君 鉄道部長、ちょっと意見を聞いておきたいのですが、新幹線が来年末に開通いたしますと小倉の駅はまことに貧弱、部長も御存じだろうと思うのですが、幸い民衆駅でありますけれども、あそこをいま支配していますステーションセンターのほうから増築案が出ておる。地元としては一日も早く、これが民間主導型じゃなくて、運輸省や国鉄が主導権を持って、民衆駅の発展した駅として、もう少しりっぱなものができることを期待いたしておるわけでありますが、建設局長の言われたことに付加して部長の見解を聞いておきたいと思います。
  145. 住田正二

    政府委員(住田正二君) ただいま先生のお話は、今後の民衆駅について国鉄が資本参加をするというような形で、もっと発言権を持って、利用の利便をはかったほうがいいんじゃないかという御意見だと思いますが、基本的には私どもも同じように考えておるわけでございますが、小倉の件につきましては、まだ国鉄のほうから話を聞いておりませんので、いまの段階で、私の意見を申し上げることができないのでございますけれども、従来の同じような例からいいますと、できるだけ地元の発展に役に立つとか、あるいは利用者の利便が増進されるという方向で、国鉄の御意見を尊重しながら処理いたしておるわけでございます。
  146. 小柳勇

    ○小柳勇君 第二点は、駅前広場並びに地下街の建設の問題であります。これはことしの三月出ました北九州市と北九州商工会議所の「近代化診断報告書」でございます。これによりましての再開発計画です。その計画の中にこう書いてございますが、いま局長がおっしゃったように、「新幹線乗入れと関連して、小倉駅北口開発計画が進められつつある。これと、駅南口で立地する商業施設を可能な限り結合させ、さらに平和通り地下街、魚町地区商店街、井筒屋、馬借地区を包含した地域を北九州市の商業センターとして整備することは、将来の北九州市の発展にとってもっとも望ましいことである。」、これはほかにたくさん参考意見を出しておりますが、北九州なり、いわゆる北部九州の発展のために、新幹線の乗り入れとともに、北口は駐車場、その他車の出入りを中心とするだろうが、現在の南口のほうをもっと広げて地下街をつくって、商店街として、福岡県の北部のほうの一大中心的な商業地区にしようという、こういうのが見解です。  それには、いま関西大手のデパートのそごうがあそこの南に出て、すぐ左側の土地を買い占めておるようでして、五万一千平米くらいのデパートをつくる計画も進んでおる。そして昨年の六月に市の建築局に建築確認申請を提出しておるようです。こういうこともありまして、地上にそごうなどがりっぱなデパートをつくりますと、あの辺のごたごたした商店街というのが、ほとんどそこにとられるであろう。この際は駅前の商店街の諸君が一諸になって、地下街をつくって、そこに自分たちの生きる一大商業地区をつくろう、こういうことが、大体最近まとまりました意見のように思います。それで、さっきの岡山の駅前広場及び地下街の建設が、これが来年には竣工するようでありますが、国鉄が岡山のほうで主導権をとって県や市や鉄道弘済会、あるいは銀行などと連携をして広場なり地下街をつくったんであるから、同じように、北九州小倉の駅前広場及び地下街も、岡山と同じような構想ができないものであろうかと、これを言いたいわけです。そういう構想があるかないか、まず聞きたいと思います。
  147. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 先生も御承知のように、小倉のただいまございます駅前広場は、都市計画広場でございまして、国鉄だけで自由になる広場でなく、むしろ都市側の、都市計画決定された広場でございます。したがいまして、国鉄だけでどうのこうのするわけにはまいりませんが、ただいまのところ、私のほうは新幹線ができますと、北側の広場ともあわせて南口と全体の有機的な関係において、市内交通との関係あるいは駐車場との関係その他をとりあえず考えている段階でございます。実はただいまのところ南口の広場の下にすぐ駅の地下施設をつくろうという計画は、ただいまのところございませんけれども、いま先生がおっしゃいました点について、十分都市側の意向を受けまして、地下には主として公共的な施設ということを最優先的に考えて、駅前広場全体の施設というものをいろいろ検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  148. 小柳勇

    ○小柳勇君 これは昨年暮れの十二月の話でございますけれども、いまの商工会議所の会頭は安川さんです。谷市長、安川会頭及び国鉄の幹部も一諸に集まって、官民一体の開発会社設立の問題も話題にのぼったと、市は経済局を中心に東京、横浜、大阪などの先進地下街を視察、地下街構想は具体化へ一歩踏み出した感じであると、この点について国鉄も御存じでございましょうか。
  149. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) そういうことがあったということは伺っておりますけれども、ただいま申し上げたように、私どもは全体の計画との関連において考えていきたいということで、まだ具体化してないということで、いま先生のおっしゃいますように都市側の意向をもう少し受けまして、この小倉駅全体の計画を考えていきたいというふうに考えて、特にこれは私のほうで考えるというよりも、都市側と十分協議をしていかなくちゃならない問題なので、協議を十分進めていきたいというふうに考えております。
  150. 小柳勇

    ○小柳勇君 都市側というと、具体的には市とか商工会議所、そうでございますか。
  151. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 都市側といいますのは、はっきり申し上げれば市が中心でございますが、市はおそらく地域のそういう方々と十分意思を疎通した上で、私のほうとお話し合いをしたいというふうに考えております。
  152. 小柳勇

    ○小柳勇君 岡山の駅の地下街開発の場合に、計画から竣工まで、文書によりますと二年ぐらいのようでありますが、たとえば小倉駅の広場の問題あるいは地下街の問題が、話し合い始めて、建設計画立てて着工するとすれば、専門屋の局長どのくらいかかる見通しですか。
  153. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 岡山の場合は、大阪−岡山間の新幹線に着手するころから駅前広場の地下施設の問題については話が比較的出ておりまして、具体的に固まりましたのは、いまから二年ほど前かと思いますけれども、話がきまりますれば、工事全体はそれほど長くかかると思いませんけれども、非常に地下施設には膨大な資金を必要といたしますし、それからただいまの小倉の南口では、道路との関係において少し手狭であり、その道路と及び将来の北九州市の都市交通、いわゆる市内電車あるいはモノレール等、そういうものとの関連がきまってまいりませんと、なかなか地下施設まで確定していかないんじゃないかということでございますので、まずそういう他の交通機関との関連を先に市とよく協議をしてきめまして、それと並行されて地下施設をどうあるべきかということを検討してまいりたいというふうに考えております。
  154. 小柳勇

    ○小柳勇君 そうしますと、まず市のほうがまだあんまり熱意がないし、市民もそれほど岡山のように熱意がないと、岡山では新幹線が計画された段階から、駅前広場なり地下街地区が話題になっておった。北九州の場合では、新幹線はもう開通しようとするのに、まだもたもたして、駅前広場の問題なり地下街の問題もほとんど固まった話もないと、したがって国鉄としてもどうも取り上げようがないと、こういうのが現状だと理解していいですか。
  155. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 市が熱心じゃないというよりも、ただいま新幹線が入ってまいります北側との関連というものがようやく煮詰まってまいりました。岡山の場合ですと、同じ従来からありました側に新幹線が入ってくる、しかも岡山の場合ですと、従来ありました駅前広場のほかに、貨物駅の移転のあと地等があわせて出てまいりまして、非常に岡山の場合は広い面積を持っていた。そういう点で、非常に設計が簡単と申しますか、考え方が非常に楽であるという意味において、岡山のほうは比較的早く進んだんではないか。小倉の場合ですと、いま南口については非常に手狭でございますので、そういうことで、その辺を十分検討いたしませんと、ただ市側の意向が固まってこないということじゃなくて、それを固めるには相当技術的にむずかしい問題があろうかというふうに考えております。
  156. 小柳勇

    ○小柳勇君 運輸大臣見えたから、私、質問やめますが、あと杉山委員が待っております。ただ、運輸大臣、ちょっと耳にだけ入れておきますけれども、新幹線が博多まで来年の十二月には開通予定です。岡山まで開通しましたときに、岡山の駅はりっぱになりまして、そしていま駅前広場及び地下街の建設計画がありまして、来年四月には竣工の予定です。りっぱな岡山駅ができます。  ところが御存じのように、北九州小倉駅は、いまから十六年前に民衆駅としてできた古い駅です。そのころの乗降人員は三万人です。で、現在は約十万、おそらく新幹線が開通しますと、五十年には十二万人であろう。いまおいでになりますとわかります。ここに写真もございますけれども、もうほとんど駅前は人が通れないです、車が一ぱいで。全然、あぶなくてもう人間が通る余地はないんです。これで新幹線が通って、一体どうなるかと、初めの計画で二万平米ぐらいほしかったけれども、いまは七千平米の駅前広場しかないわけでして、この角のところにそごう百貨店が進出してきて五万平米ぐらいのデパートをつくるというわけです。そうすると、ごたごたしまして、人間の通る道はないわけです。この際駅前広場も整備しなきゃならぬけれども、それには店舗の小さい商店の方は、やっぱり地下街なりにちゃんと店を持ってもらう、そうして地下街つくりませんと、もうほとんど使いようにならぬような、百万都市の駅としてはお粗末です。で、今日まで寄り寄りわれわれも話してきました。青写真もたくさん刷っています。もう数年地下街建設については、私もその話を聞きながらきたんですけれども、今日まで結実しない。それは何かというと、まず市の熱意が足らない、商工会議所も熱意が足らない、第一財界人が金持ちが少ない、それから商店街の皆さんもそろばんだけはじいて、なかなかそこまで結束できなかったというのが事実のようです。ところが、ことしの三月に、この市の近代化診断報告ができまして、これにはちゃんともうそう書いてあります。いま、国鉄や、あるいは市では北口のほうにとりあえず新幹線のお客をおろそうとしているけれども、これを地下街を通じて南のほうに連結して、そして地下街を発展して一大商店街をつくらないと、これがもう百万都市の駅にはふさわしくないと書いてある。これがもう大体の識者の意見です。したがって駅の改造については、いまホテルがあります、そこのステーションビルセンターが増改築の申請をいま国鉄にやっていますから、これを早く許可してもらいたい。それから、駅前広場を早く許可してもらいたい。それから、駅前広場及び地下街の問題はわれわれも運動します。市長とも話しますし、あるいは関係者とみな話しますが、同時に国鉄も少しイニシアチブをとって——駅前広場の土地の半分は建設省の所管です。おっしゃるとおりです。国鉄は半分しか持っていません。だから、建設省あるいは市あるいは国鉄三者一体になりませんと、地下街建設できないことになる。それに地元の財界あるいは商工会議所などが協力しませんとできませんが、われわれもがんばりますが、新幹線の建設あるいはこの九州の開発のために、ひとつ大臣も腹に入れておいてもらって、いま鉄道部長は理解がついておりますから、話ができました場合はひとつ早急にこれを検討してもらって、地下街の建設なり駅前広場がもっと広くなりまして、交通事故がありませんように、しかもりっぱな都市美が完成しますように、御指導なり行政指導なりしてもらいたいと思うんです。まあ大臣、いまいらっしゃいましたから、何か見解でもあればお聞きいたします。
  157. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 小倉の具体的事情は、実はよく存じません。いまお示しのようなそういう答申といいますか、そういう結論が出ていましたら、なるべく早く私も拝見しまして、ひとつ前向きで検討いたします。どこでもそういった要望が出ておるようでございまして、やはり都市にふさわしいような将来計画でいかないと住民には重んでもらえないし、せっかく新幹線もできて、国鉄も大いにサービスするんですから、やはり相当先のほうを見ての展望をして、将来計画を立てていかないといかぬと思いますから、いまのお話の点は、よく私も研究さしていただいて、前向きでひとつ処理をするように努力をいたします。
  158. 小柳勇

    ○小柳勇君 質問を終わります。
  159. 木村睦男

    理事(木村睦男君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  160. 木村睦男

    理事(木村睦男君) 速記を起こして。
  161. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 いまいみじくも委員長から若干の御同意をいただいたわけでありますが、質問の通告は大臣自体にしておりませんでしたけれども、御承知のように、きょうは三公社五現業を含む公労協のストが、是非は別として、現象面で起きておることはぬぐうべからざる客観的な冷厳な事実だと思います。その中でも、運輸省の所管に基づく動労なり国労なりは、やはり例外なく順法ストに入っておる。しかし昨日、昭和四十二年以来型のごとく——これは悪い癖だと思いましたけれども——ゼロ回答であったのが、ともあれ有額回答がなされておる。昨日なされて、本日やはり一つの闘争が行なわれておると、こういう事実にかんがみまして、公労協や春闘共闘では、ともかくも有額回答が出たことはそれなりに一歩前進じゃないかと、そういうニュアンスをはだで感じておるというふうに、私は私なりに理解をしておるわけであります。  だが、賃金回答は、二けたといっても二万円以上の要求をしている一般の民間に対しては、ことに海運、陸運という相対関係からいくならば、海運は、昨年は三カ月の長期に及ぶ大ストライキの経験がありますけれども、ことしはそういう戦術上のストライキというものを行なわずして、労使対等の原則の中で公正な話し合いの中から、やはり一つの妥結を見ておるわけであります。  それから比べてみるというと、やはり有額回答ではあるけれども、まだ低いという関連もあって、やはりそれなりに不満を持っておるんだと、したがって、このままの推移からいきますれば、当然予測された二十六日なり二十七日なりは、やはりストライキは決行されるというふうに判断をいたしておるわけであります。  むしろ問題は、やはりそれはそれなりに、中身が違うんだと、たとえば年金ストであるとか、あるいは過去の処分を緩和しようというようなことも含めての一つの要求であるんだと、だからそう軽々に——しかし、賃金そのものに対しては有額回答をしたんだというのが政府当事者の立場であろうと思うんです。しかし、いまの春闘の中では、御承知のような関係の中で、経済要求であるとか、政治要求というようなことというものを区別して考えるという、そういう視点や観点のとらえ方もあろうかと思いまするけれども、ともあれ賃金要求を柱として、そうしてそれに含むことの年金あるいは大量の処分をひとつ緩和してほしいとか、あるいはスト権の問題についても、これはやはり復元をしてほしいという要望も有形無形に心理的に入っておるんだと、であるから、要求するほうの側についても、それを受けて立つ側についても、過去の既成の事実としては、たとえば労働大臣なり総務長官なり、年金という問題も具体的に要求という柱に立っておるから厚生大臣があると、こういうような形になっておりまするが、そういう彼我のやりとりの中から、なおかつ国内のナショナルセンターとしての総評側は、やはりこれはどうしてもトップ会談で、具体的に言うならば総評の議長と総理大臣とで政治的に話をひとつ押し上げていきたいんだと、やってもらいたいんだというふうな経過と意図的な状態の中で、今日一つの大きなうねりを起こそうとする前夜的な情勢があるんだどいうふうに理解をし、私どもは現象面を受け取るわけであります。  そういう点について、やはり運輸大臣は、言うならば労働大臣とか、あるいは総務長官であるとか、あるいは厚生大臣に会って、この公務員共闘のストライキの中の最も比重の大きいファクターは国鉄である、そうしてそれは、国鉄当局の問題だと言ってしまえば、それまででありますけれども、当局は御承知のように、当事者能力にいたしましても、やはりなかなか現在の段階では完全たるものを持っていないんだと、それから経営面においても独立採算制というものを持っていないんだと、だとすれば、やはり主管大臣なり、国という表現をしても、主管大臣としても運輸大臣はかなり重い荷物をかけられておるんだと、そういう春秋の論理からいけば、思い出していただけば明瞭なのでありますが、運輸大臣が就任のあいさつをされた中で、私は若干のそれなりに関連して質問をしたわけでありまするが、その中において、やはりジェンクスILO事務局長も、日本の国内の問題は、たとえばどういう問題についても、それは国際労働機関は窓口としてその提訴を十分聞くし、処理をする責任は感じておるけれども、十分いわゆる最高スタッフで当事者がお話になることがまず前の段階としてなすべき処置じゃないか、いわゆるジェンクス仲介勧告というものはあるのでありますから、そうして厳然として維持していくものでありまするから、今日の状態に至ってみても、私どもが心配をしながらはだで感じておるのは、有額回答をしたんだ、そしてそれは昨年並みじゃないかと、それはとにかくゼロ回答であったものをこういうふうに前進をしているんじゃないか、なおかつやはり公務員共闘ストというものを現実に起こしておるんじゃないかと、だがそれは違法なんだから、しかし幾らトップ会談をやれといっても厳然として応じないんだという、そういう状態の中にあって、昨日、またけさもそうでありますが、テレビの画像に出て、官房長官はトップ会談はやらないんだ、厳然として胸を張ってそう言い切っておられるようでありまするけれども、私どもがなぜジェンクス仲介勧告というものを善意にシビアーに受け取るならば、一方の当事者である公務員共闘のナショナルセンターのほうの代表する立場にある機関の側は、やはり三大臣が出て話をしたんだけれども、そして若干時間をかけて緩和されたのでありまするけれども、もう一つの最高レベルで、具体的には総評の議長と総理大臣と話してほしいんだと、そうして問題の事態を少なくとも労使対等の原則の中で、これを政治的な段階にやはり大きなうねりで、これ以上の大きなゼネストというようなものを招来しないような手段として、そういうことにすべきである、してほしいんだという要望を、いまなお持ちつつある、こういうふうな情勢下に今日ただいま置かれておる、こう思うのであります。  そこで私は、運輸大臣に、どうしてもそれは三大臣は労働にしても、あるいは総務長官にしても、あるいは年金という問題が、それは次元が違うんだ、そういっても関係の当事者は、老齢化の現象の中で、自分たちが年金を納めて、そうして年金をやはり生活というものに結びついて要求しているんだから、われわれはこれを政治的な要求だとは考えていないんだ、いわく生活要求だ、そういうとらえ方を真剣にしているけれども、事年金は、行政関係においては、これは厚生大臣の所管だから入っておられると思いますけれども、ほんとうは形式上運輸大臣がその中に入っておられる、入っておられないということは関係なく、やはりひとつこの辺で運輸大臣は、国の運輸行政に対しては、海陸港湾も含めて、所管はやはり運輸行政の長官であり、日本的に言うならば運輸大臣なんだから、この辺でひとつ真剣に、われやはり出なければだめだというふうに、国鉄はやはり運輸大臣の行政下にあって、国鉄自身の問題だから、おれは知らぬというようなかっこうをせられては、はなはだこれは遺憾だと、こう思いまして、これに対するあなたの見解と所信というものを、今日的な時点で、きょうは次元が違うから、この問題については中に入りませんけれども、さわりとしてひとつ見解と所信を、逃げを打たぬようにしっかりと、ひとつ見解を述べていただきたいのであります。ほんとうは、この問題を別の次元でやりたいんですが、きょうは港湾法ですか、したがって自治省からも環境庁からも来ておられますので、さわりとして運輸大臣の見解と、そして所信というものを伺っておきたい、こういうふうに考えております。
  162. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 杉山先生は長い間、労働運動をやっておられたので、いろいろの点に  ついて、先の先までお考えの点がございますが、私からお答えできる問題とできない問題がございます。  お話の要点は官房長官によくお伝えをいたしておきたいと思います。政府が今度の春闘に対してとっております態度は、昨日官房長官から談話をもって発表したとおりでございまして、今度の問題につきましては、非常に深刻な影響があるということで、毎日のように関係閣僚協議をしておることも事実でございます。  全体の問題としましては、官房長官の談話にありますように、いわゆる政治ストというものは、やはり日本の、どんな理由がありましても、これは法秩序を守ってもらうという意味におきまして、これに対しましては厳正な態度をもって臨むということが、政府の一つの方針でございますけれども、一面、職員の、あるいは全体の公務員の待遇問題に関しましては、これは可能な限り早く処理をしようという態度でございまして、先年来、公務員に対しましては人事院勧告どおり、あるいはそれを上回って処理をしていることは御承知のとおりでございます。今回のこの春闘にあたりましても、政治問題と、そういう待遇問題が一緒になっております。この待遇問題に関しましては、可能な限りすみやかに処理をして、無用なといいますか混乱を深くしないのがお互いにいいということで、いろいろ相談をいたしておりましたが、昨日、これで八年ぶりだと思いますが、国鉄のほうからは有額回答をしたいという申し出がございましたので、御承知のように、すぐにその点を内閣に伝えまして、急遽関係閣僚会議をいたしまして、直ちに国鉄も有額回答に踏み切ったのでございます。  内容は言うまでもございませんが、御承知のとおりに、場合によりまして現在の予算で留保しておりますベースアップの金額あるいは予備費というようなものをこえた額でございます。これに対しましては、それは処理のしかたは企業努力もございますし、あるいは節約もございます。何とか処理できるだろうという見込みをもちまして有額回答、昨年並みの有額回答をしたのでございまして、これに対しましては、いろいろ組合側からは感触が談話の形でもって出されてございます。当局の態度に対しまして、いままで数年間なかったことですから、これは一応多とするというような感触を漏らしておる組合もございますけれどもあなたがお触れになりましたように、この待遇問題だけじゃなしに、やっぱり政治問題も含めて解決をしろ、こういうことで、きょうから順法闘争という形で争議行為が行なわれたわけでございます。たいへん遺憾に思っておる次第であります。  しかし、その待遇問題に関しましては、われわれは一日も早く解決をしなければいかぬということで、これからも関係閣僚との間で、相談をして最短距離で解決ができるような方法を、これから講じていかなきゃならぬということは、先ほども申し上げたとおりでございまして、この点は今後も最大限の努力をしたいと思います。  そこで最後にお述べになりましたトップ会談の問題でございます。これは私からお答えする立場にはございません。この点はあなたの御意見をそのまま官房長官にすぐにお伝えをいたしておきたいと思います。政府の態度は、従来繰り返して申しておりますように、やはりそういう問題につきましては、処理のしかたがあるということでございまして、政府も全体といたしまして、こういったことが頻発しないように、いろいろ考慮しているところだと思いますが、今日までのところは、おっしゃるような形において、トップ会談というものは困難であるということのように、私は承知しておるのであります。しかし御意見は、先ほど申し上げましたように、官房長官によくお伝えをいたしておきます。
  163. 木村睦男

    理事(木村睦男君) 他に御発言もなければ、本件に対する本日の調査はこの程度といたします。  ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  164. 木村睦男

    理事(木村睦男君) 速記を起こして。     —————————————
  165. 木村睦男

    理事(木村睦男君) 港湾法等の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  166. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 私は、港湾法等の一部を改正する法律案を審議するにあたりまして、きわめて必要なことは、現行法の制定から今日までに至る経過と、とうとい歴史的な事実にかんがみまして、本法案は、一部改正と名のつく扱いでありまするけれども、質的にはかなり重要な法案であるというふうに私は理解をしております。それなりに十分な時間をかけて慎重審議をすべきであるということを強く主張するのであります。審議の過程において、中国の古いことばのあやでありまするけれども、われわれは法の条文の上であるとか一部修正個所であるとか、あるいは新旧対照表というものを頭で理解をして解釈するのではなく、必要に応じては、百聞は一見にしかずであるから、一つの港を現実に見る必要があるんだというようなときには、時間の空費だというようなせっかちではなくて、これも中国に発想しておるという急がば回れという理屈もあるじゃないか、そういうような意図的な意味も含めて、やはり慎重審議をやる必要があるんだと、この法案を上げるについては、やはり時間に借金があるんだというようなせっかちな立場をとらず、そういう意味の慎重審議をひとつやってもらいたいんだ、またやるべきであるということを、この委員会のかじとりであるところの委員長、それを補佐するべき理事の方々もそういう点について、ひとつ理解をしていただけば非常に幸いだと、そう思っております。  したがいまして、いよいよ本論にぼつぼつと入りまするけれども、きょうの時計の時刻からいいましても、私は実はこの問題については、一日でも二日でもしゃべる材料は実は用意しておるわけでありまするけれども、これはおのずから常識の限界でやはりコントロールをすることを、私は私なりに持っております。ですけれども、きょうは基本的な問題をひとつお伺いをしておきたいと思うのであります。  私は、本法案に対する一つの感触、見解なりをまず最初に開陳をしたいと思います。私は、この港湾法の一部を改正する法律案は、かなり意図的なものであって、そのものずばりで言うならば、まず第一点として、ともかくもこれは二十五年の時点で制定されたという、そういう経過のある、そして自来二十三年の経過をたどっておるわけでありまするけれども、私はこの一部改正という、そういう方向づけの中で本法案は、言うならば憲法に基づく地方自治を侵害するものではないか、そういうおそれが運用のいかんによっては出てくる、そういうふうな受けとめ方をしておるわけであります。  二番目には、やはり港湾の管理権を国に集中化するのではないかというような側面もあるんじゃないかと思います。なかんずく、私がどうしてもこれは大臣なり、あるいは関係の部局から御説明を得て勉強をさせていただきたいと思いまするのは、開発保全航路を国が直轄するということのニュアンスがやはり含まれておる、また場合によっては港湾の管理権を国に集中化するということでなく、必要によっては国、言うならば運輸大臣が拒否権を発動することもできるんじゃないかという、そういう側面もあるんだということを必配せざるを得ないのであります。  もう一つは、私はやはり、この法律はまさに日本列島改造のワク組みの中に組み込まれておる、しかも重要な柱の一つに位置づけられておるのじゃないかというふうに割り切っております。私は元来、日本列島改造の発想当初において、田中総理の発想は大体三本であったというふうに理解をしておったわけでありまするけれども、その三本柱よりも四本の柱を立てて、それがなお日本列島の改造を補強、補完する意味だという形で四本の柱に位置づけられておるのじゃないかと思います。  私の主観と申しますか、私の見解に基づきますれば、まず第一は、何といっても高速自動車網を主軸とした道路網をもっと列島全域に設置する必要があるのだ。第二本目の柱としては、ともあれ強弱の差はあっても、新幹線を主軸とした鉄道網を敷設する必要があるのだ。第三の柱としては、二十五万都市の造成ということと不可分な関係において工業の再配置もやるのだ。さらに重要な補強、補完の柱としては、北海道から沖繩を含めて、日本列島全域におけるところの港湾の数は、千有余に避難港等も含めばあると思いますが、ともあれこれはもう内航海運というものを非常に重視をして、これの開発というものにかなり力点を置きながら、この四つの相互間を電気通信情報によってネットワークして、これこそが強靭なやはり日本列島改造の本体だと、こういうふうに私は第一に理解をしております。  これは将来の歴史が一切を立証するのでありまするけれども、これを野放し状態に放置するならば、日本全体が軍事基地化されるおそれなしとしないのだというふうにも私は苦労性で、心配性でありますから思っているわけでありますけれども、ともあれ、私は運輸大臣に、やはり所管大臣としてあなたが一部改正という、そういう港湾法改正にあたりまして、原点に立ち返って、たとえば二十五年にこの港湾法ができた当時の大臣の提案趣旨の説明というものは、それなりに理解をしておられると思いまするけれども、あの時点におきましてはマッカーサーが日本を民主化するという方向の中で、思い切ってこの港湾法というものは、あの当時の政治の次元であろうと、文化の次元であろうと、教育の次元であろうと、かなり善意に基づいた民主化の方向の中で、この港湾法というものは位置づけられておるというふうに、私は私なりに理解をしておるわけでありまするけれども、そういう点では、地方の自治であるとか、あるいは港湾管理者の自治権というものは、相当に自主性をもって、厳然として今日まで存在をされたのでありまするけれども、この一部法改正によって、くどく言うようでありまするけれども、自治権が、ともすれば、あるいは自治権ということはこれはいかめしいのでありますが、地方自治というものは何か侵されるのじゃないか、ことに港湾の管理権についても、ということでありまするから、繰り返して申し上げることは蛇足でありまするけれども、やはりこの辺で、運輸大臣運輸大臣なりの見解を、私の申し上げたことを一応政治的にくみ取って御理解ある見解をいただきたい、こういうふうに考えております。その関連で自治省の政務次官も来ておられますので、それなりにずばりお答えをいただきたいというふうに考えております。まず最初に運輸大臣から。
  167. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) いろいろな観点からお考えをお述べになりましたので、少し長くなりますけれども、私の関係する部分についてお答えをいたします。  田中内閣の列島改造論、これの一つの柱じゃないか、こういうお考えでございますが、これはまあ港湾そのものは陸海の交通の接点でございますから、国土の開発というものに関係のあることは申すまでもございません。したがいまして、田中総理の言っておられる列島改造論の大部分に関係を持つことはあたりまえのことだと思いますけれども、しかし列島改造論を推進するために今度の港湾法を改正したのではございません。  これは港湾法の提案理由の説明でもよく申し上げましたが、いまお述べになりましたように、非常に日本のいまの港湾法は古く制定されまして、その後陸海の輸送状況というものが非常に変わってきております。ことに最近の港湾で一番欠けておるところは何かといいますと、港湾の環境というものについての基本的な方針が見出されないということでございます。この点に着目いたしまして、今度の港湾法では、特にこの点を重視して改正案をつくっている次第でございます。ことに先ほどお述べになりました、これは何か港湾というものが中心になって軍事基地化するんじゃないか——とんでもないということを申し上げておきます。そんな考えは初めから毛頭ございません。  それから今度の港湾法の改正によりまして、港湾管理者というものがどうなるか、非常に港湾法の改正案の中では低い位置づけになっているんじゃないかと、おそらくこういうふうな観点から地方自治を侵害するんじゃないか、こういうふうな御意見が出ているんじゃないかと想像するんですが、この点は衆議院におきましても御議論をいただいたところでございます。現在の港湾法と今度の改正案とを対比してお読みくださいますと、その点は非常にはっきりと申し上げられるのでございます。私どもは、港湾法の改正によりまして、地方の自治権を侵そうというような考えは毛頭ございませんし、そういうことがありますと日本の港湾はよくならないのでございます。港湾管理者の権限をいたずらに制約するようなことは今度の法律案でも考えておりません。ただ、日本全体の港湾がどういう姿であるべきかというようなことにつきましては、これは当然主管大臣である運輸大臣が基本的な方針をきめ、その方向に従って港湾の整備をやっていただくというのは当然のことだろうと思います。道路についてもそうです。河川についてもそうでございます。この点は港湾だけの問題じゃございません。その点はいずれ具体的に、御質問をいただいたときに詳細にお答えいたしますけれども、港湾管理者との関係におきましては、たとえば現行法の四十八条等におきまして、港湾管理者がお出しになる計画というものを運輸大臣が見まして、場合によってはその変更を求めることができるというような規定も現行法にはあるわけでございます。決してこの趣旨を逸脱して、今度の港湾法で、港湾管理者である自治体を縛ろうとか拘束しようとかいう考えはないのでございまして、ただ先ほど申し上げましたように、現行法で欠けておる港湾の環境の整備というようなことに重点を置きまして、そういったことについて、港湾全体が、今後、整備上留意をしてもらいたいということ、それから全体の大きな抽象的な方向を決めました場合に、大体その方向に従って港湾管理者が自分のところの具体的な港湾計画をお立てになるようにということを要望しておるのであります。意見を求めましたり、あるいは勧告をしたりということでありますが、これは強制権を伴わないものでございます。運輸大臣としての港湾全体に対する考え方をこの中でできるだけ盛ってもらうように指導をしたい、こういう意図でございますから、この点も御安心をいただきたいと考えます。  それから今後の港湾を、どういう方向へ持っていくかというようなことに対しまして、ちょっとお触れになりましたが、それはいずれ具体的に各項目にわたって政府委員からも御説明をさせたいと思いますが、要するに、現在非常に環境、衛生、その他について変わってきておるということのほかに、日本の海上の荷動きといいますか、貿易がどんどん自由化されて貿易量がふえてまいります。やはりそれに対応したような港湾の整備ということをしないと、これは国土の開発ということのほかに、国民生活あるいは国民の経済生活というふうな面に非常に悪影響がございますので、将来を考えまして、そういう点について、いろいろ多様化する港湾の機能を最も有効に、効果的に発揮してもらうような、そういう制度をつくり上げたいということで、これは多少政府も予算を出しまして、援助をしながらそういったことについての努力を港湾管理者と一緒になってしようというねらいがございます。  大体、以上申し上げましたようなことがわれわれの趣旨でございまして、御質問が非常に広範にわたっておりましたから、十分な御答弁になっていないかもしれませんが、足りないところは再度お尋ねくださったらお答えを申し上げたいと存じます。
  168. 武藤嘉文

    政府委員(武藤嘉文君) ただいま御指摘をいただきました中で、地方自治を侵害するのではないかという御心配の点でございますが、この点はいま大臣もお述べになりましたように、従来の港湾法の四十八条の中にも港湾計画について提出を求めることができる、また場合によっては変更を求めることができる、こう書いてございます。これが今度の場合に、第三条でございますが、運輸大臣のほうが基本方針をきめてしまう、そうしてそれを押しつけるのじゃないかという御心配かと思うのでございますけれども、私どもは今度の基本方針をおきめになる場合には、関係の官庁といたしまして自治省も入れていただいておりまして、自治大臣意見も十分聞いていただくことになっておりますし、また港湾管理者でございます地方自治体も意見を言うことができることになっております。そういう面で、われわれは十分に自治体の意見を尊重しながら、自治省といたしましても、基本計画をおきめになる場合にはよく運輸大臣に申し上げたいと思っておりますし、また、それぞれの港湾管理者からも意見を出していただきまして、そういう場合に運輸省で十分そういうものを尊重していただけるならば、われわれは決して地方自治の侵害にはならない、こう考えておるわけでございます。
  169. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 これはそうすると、いま日本列島全域を含めて、避難港も含めまして、港湾の数は千有余あるわけでありますが、その背後地帯には村あり町あり市あり政令都市あり、あるいは自治体というものがありますけれども、この及ぼす影響は非常に大きいわけであります。  まず運輸大臣に聞きますが、船主協会からこの法案の成立の過程において要望書も出ておりますことは御承知でしょうね、それは出ているんですから、見てなければ見ておいてください。船主協会の会長からで、そうしてその中に、これは次元は違いますけれども、船主協会も日本列島改造論の一環としての港湾法の一部改正をされるのだ、そういうことに関連しながら一つ何々、二つ何々というかっこうで、わが田に水を引いた要望書を出しておられますが、ごらんになっておらないとすれば、それはなっておらなくともいいが、あるわけであります。  もう一つ、これは自治省の副大臣ですね、政務次官ですから。大臣代理というかっこうでお伺いしますけれども、政令都市の主要な港湾——新潟を除けばたいがい自治体のその都市の長が管理者になっておると思いますが、それなりにこの法案というものが、やはり閣議にかかって、そして今国会に重要法案として提案をされるんだ、一部修正と名のつく、かなり幅と厚みと深みのある改正をされるんだと、   〔理事木村睦男君退席、委員長着席〕 そうであるとするならば、これとこれの点はぜひひとつ入れてもらいたいという、その法案を出そうとする作業の前段の場で、一つの要望書が出ておるということ、これがもはや次官会議の過程を経て、いよいよ閣議で決定をするというその前段の場で、また要望書が修正という意見で出ておるんですよ。  そういうようなことを十分理解した上で、とにかくこれは、決して憲法に保障された云々と、そんなかってなことを言わなくても、自治権は侵されていないんだ、あるいは港湾管理権は国に集中化されなくて、むしろ民主化されたんだというようなニュアンスのふうに私は受けとめたいわけですが、その辺は、まず最初、運輸大臣のほうから、それは真剣に言っているんですよ。また一つ名古屋の市長選挙でふえましたから、やっぱり港湾管理者ですから、またこれもわれわれと同じ見解の上に立って、これはとんでもない、トンビに油あげをさらわれたように、一部と名がついていれば、その管理権というものは集中化されると同時に、しかもなるほど地方審議会という民主的な窓口はつくられるけれども、それを通しても、向こうにはやはり一つの基本方針というものがあって、そのものさしではかった場合については、これは基本方針に抵触するから、言い回しはどうあっても、拒否権とかなんとか言わなくても、結局その基本方針に合致しなければだめだというふうにわれわれは解釈して、心配しているわけなんですよ。そういう点について。
  170. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) 非常にいろいろの角度から御心配でございますけれども、東京の港湾でありましても、大阪の港湾でありましても、われわれのほうの港湾局との間ではきわめて密接な関係を持っております。地方の各港湾管理者からいろいろの計画が出され、それを対象にいたしまして、最も効率的な機動力を発揮し得るような港湾の整備にわれわれも協力をし、またこれに補助も出して尽力をしておるのでございますから、市長さんがかわられたとか、あるいは知事さんがかわられたことによりまして、われわれの港湾行政というものは左右されるというものでは毛頭ございません。これはいままでどおり、あるいはいままで以上に緊密な連絡をとりながら、各地の港湾がこの港湾法の精神にのっとりまして発展をいたしまして国土の開発にも役立ち、国民生活にも国民経済にも役立つようなものにしたいということは、少しも変わっておりませんから、御安心をいただきたいと思います。
  171. 武藤嘉文

    政府委員(武藤嘉文君) いま先生から御指摘の、この要望書が出たあとにおいて、閣議でどうであったかということでございますが、そういう要望書もございましたので、自治省といたしましては、先ほど私がお答えさしていただきましたように、関係行政機関の長と協議をする中へ自治大臣も入れていただいたわけでございます。  また、もう一方においては、背後地にはその市だけではなく、あるいは町、村もあるではないかと、こういう御意見でございますが、これは現在のたしか港湾法の中にもございますと思いますが、関係地方公共団体と協議をした上で港湾区域についての認可を受けることになっておりますので、そういう点を十分運用をしていけば、この周辺の町村の御意見も十分反映さしていただけるのではないかと、こう考えているわけでございます。
  172. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 運輸大臣にもう一つ。これは重要なポイントとして聞いておきますが、この法案の一部改正が閣議で決定をしたのは、これは二月の十七日の閣議であるというふうに理解をしていいですか。
  173. 岡部保

    政府委員(岡部保君) 二月の十六日の閣議でございます。
  174. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 そうすると、その前日に次官会議が開かれておるというふうに聞いておりますが、間違いありませんか。
  175. 岡部保

    政府委員(岡部保君) 間違いございません。
  176. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 それで、これは重大なポイントだと思うんですよ。この次官会議の中では、この目的条項の第一条でありますが、その中で、国民経済の健全な発展に寄与し及び国民の福祉向上に資するという文言が削除されておるわけなんですよ。少なくとも私は、これは重大なポイントでありますから申し上げておきまするけれども、やはりGNP第一主義の、高度経済至上主義的な経済構造という流れの中で、やはり福祉経済の方向、福祉第一主義の方向へ転換をするということは、総理の意見でもあったわけでありまするけれども、しかし次官会議の時点では、この原案の中には、確かに国民経済の健全な発展に寄与し及び国民の福祉向上に資するという文言が入っておったんでありまするけれども、その国民の福祉の向上に資するということを、なぜ一体、削除された事情があったのか、そういう点は、これは決して屋上屋でも、屋内屋でもなくて、どうしても重要な一つの課題であると思うんですが、これを削除になった事情と申しますか、閣内事情というものは、どうしても私の理解できないところなんです。
  177. 新谷寅三郎

    国務大臣新谷寅三郎君) そういう事実はございません。次官会議でもございませんし、閣議でもございません。  いま事務当局から聞いてみますと、こういった法律をつくります場合には、原局が幾つかの素案をつくるわけです。そういった素案をつくりながら、だんだん関係の部局あるいは他の行政官庁と相談をしながら、最終的には法制局で法律案をまとめるのが通例でございます。で、そういったことが、原局で何かいろいろな案をつくる場合に、いまおっしゃったような案が一時出た。それも単数でなくて複数の案が出たということのようです。いろいろ相談の結果、運輸省を出ますときには、そういった案はございません。次官会議でもそんなことは一度も議題になったことはない。閣議でも問題はございませんでした。内容的に少し御説明をいたしましょう。  これは衆議院でも、何か、次官会議とおっしゃいませんでしたが、そういった案があったそうな、一体それを変えたのはどういうわけだというような御意見がございまして、それに対してはお答えをしたのですが、いまの公共事業関係の法律は、道路だ、河川だ、その他たくさんございますから、それと比較してごらんになるとわかりますけれども、国民の福祉につながらないような公共事業というのは私はおそらくないと思うんです。そういった字があろうがなかろうが、公共事業というのはそういうものだと私は思います。  したがいまして、それをわざわざここに入れなければ港湾というものは公共の福祉につながらないのだということをお考えになるのが、少しこれは、私は行き過ぎじゃないかという感じがするわけです。でございますから、港湾法というものは、さっきおっしゃった管理云々、港湾の開発利用管理というのを、このようにいま改正案を出して、このように改めたのでございますけれども、これはいずれも社会の福祉、国民の福祉というものにつながって整備され、運用されるものに違いありませんから、こういったものを書こうと書くまいと、そういう方向に向かって港湾法というものは働くのだということは言うをまたないと考えます。  先ほど申し上げましたように、現行法では少し重点が、最近の港湾の機能という点からいいますと、重点が少し変わってきておりますから、それに応じまして、これに対応したような字句を入れまして、港湾法の目的として、一条の改正案をつくったというのが実情でございまして、いま御指摘のようなことは全然ございませんから、その点も誤解があればお解きを願いたいと思います。
  178. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 納得がいきません。ということは、それは誤解があるとか、あるいはそういう経過は、そうするというと、それは次官会議の段階でも、その前の段階でも、そういう差しかえとか削除とか、そういうものは全然なかったと、そういうわけですね。
  179. 岡部保

    政府委員(岡部保君) 事実関係を御説明申し上げますと、私どもこの改正案を立案中の段階で、確かに先生のおっしゃったような字句を目的に入れた案もございました。これは事実でございます。  ただいろいろな点、これは衆議院の御質疑にもあったわけでございますが、過程といたしまして、確かにそういう案もございましたが、結局、私どもの観点、あるいはこれは法制局でいろいろ審議をしてもらっておりました最中に出てまいりまして、だんだん現在の姿に固まったわけでございますけれども、そこの辺の議論の過程で、確かに、たとえば公共の福祉であるとか、あるいはそういう一般的な一つの目標というものを、法律の目標とした例は多いわけでございますが、ここまでいろいろ議論してまいりまして、むしろもう少し直接的な目的目的としたほうがいいんではなかろうかというような感覚の議論がございまして、そこである過程であったそういう字句が省かれまして、むしろ直接的な効果と申しますか、目的と申しますか、そういうものをこの目的に織り込んだという経過が、現実の法律案をいろいろ立案している最中の段階であったということが事実でございます。
  180. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 法案のスタイルからいきましても、何といったって一部改正としてこの中のみそ、つぼというものはやっぱり目的条項ですよ、何といったって。これは私は、どうも理解をしかねるし、それから田中内閣の国是、国策からいっても、やはり閣議のほんとうに統一見解として、高度経済成長至上主義的な、GNP第一主義から福祉経済へ転換するんだと、構造的にも転換するんだと、そういう論理からいくならば、この中の目的条項は、それでなければ先ほど私がいみじくも言ったように、これはまさに日本列島改造論の海洋編だと、なぜかならば、これは百聞は一見にしかずですが、第一条「この法律は、交通の発達及び国土の適正な利用と均衡ある発展に資するため、港湾の秩序ある整備と適正な運営を図るとともに、航路を開発し、及び保全することを目的とする。」と、これがこの「交通の発達及び国土の適正な利用と均衡ある発展」と、これは非常に幅もあれば、深みもあれば、厚みもありますし、それから全文を見ても、なるほど国民経済の健全なる発展に寄与しということ、あるいは国民福祉の向上に資するということを全然使わなくても、大臣がいみじくも言ったように、そう言わなくても、そんなことはあたりまえだというふうに、通念的に解釈していい場合と、かりそめにも、目的条項の中へこれをうたい込むことが一体プラスか、あるいはうたわないほうがプラスか、その辺については、先ほど申し上げたとおり、日本列島全域に特別港湾あり重要港湾あり、それから地方港あり避難港あり漁港ありという関連からいくならば屋上屋でもない、屋内屋でもないのですよ。  この国民福祉の向上に資するということが、論議の中であったものをどうして——むしろ重要なものが抜けているんじゃないか。法制局段階の中で、文案調整の段階をパスして、それが次官会議になり、さらにこれが閣議で提案をされるときには、むしろ補強をされて、これでは足りないんじゃいかとというふうに位置づけるべきだと思うのですよ。それはしかし、ここでそう言っても、もうすでに閣議で決定をされて、衆議院ではどういう論議があったということについては、私はよく知りませんけれども、ともかくも多数決で参議院に送られてきていることは間違いないのです。  従来の慣行と通念からいくならば、条件つき賛成ならば、附帯決議というものがついてこちらに回ってきておるけれども、あとに国鉄運賃法であるとか、あるいは十カ年の再建計画というものに比重を置いて、これを早くとにかく押し出してしまえというかっこうで、非常に審議の期間もなかったのでありますから、やはり慣行上、国会法上、参議院の場で、私は慎重審議をして、急がば回っても、お互いが実感として、現在の港湾の状態がどうあっていいか、環境の面からいっても、あるいはその背後におけるところの都市排水や工場排水というものと、それから港湾の関係がどうなっているかということを見ても、コクのある港湾としてこれを上げるためには、やはり急がば回れというよけいなことを、そういう意図的な発想から言ったんです。  この目的条項というものの中にどうしても国民経済の健全なる発展に寄与し国民の福祉向上というものを入れるということが、だれが見てもスタイルとしていいし、これは当然修正すべきだというふうに、これはいまそれを言っちゃいかぬけれども、本音を言えばそうなるのですけれども、いずれにしても、とにかくもう少し慎重にやってもらわないと、そんなことは次官会議でも閣議でも論議出なかった。前の法制局段階で法案のスタイルを整備する過程の中だと、大臣はそんなことはないというようなニュアンスであったらしいけれども、実際に、側面から一生懸命でやっておられる縁の下の力持ちや補佐役をしておられる人はあったということだけれども、全然なかったということであるならば、私はあったという主体的事実を持っているわけです。どの段階にしてもあったことは事実なんですから、十分理解はしていかなければならないのでありますけれども、目的条項の中に入れる入れないということは、今後ずっと皆さんがしゃべったあとで、慎重審議の中で、やはり出てくる問題だと思うのですが、大体委員長理事者の間では、何といったって私の腹がまえを言うと、それは時間を延ばせということになれば、二日でも三日でも、昔商売だったのだから、やりまするけれども、しかし、いずれにいたしましても、もうきょうは——この二十六日は休みますか。まあいずれにしましても、きょうは同僚先輩のいろいろ論議も聞いておるものですから、この辺で、あとはもうすらすら入っていきますけれども、やはり持ち時間の程度は消化したいと思いますけれども、この辺のポイントのところで一応区切りをつけておいたほうがいいと思いますが、どうでしょうか。環境庁来ておられまするけれども、まだなかなかきょうは中へ入れませんけれども……。
  181. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 答弁を要しますか。
  182. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 答弁は、いまのところ答弁しようといっても、それは無理だと思いますので——この目玉商品はやっぱり港湾の環境整備、その他廃棄物の処理というもので、あなたのほうで一ぱいうんちくを傾けて答えてもいただきたいし、またああいう発想もあるかということもやってもらわなければならぬこともあるけれども、来てもらって気の毒だけれども、ついでということでは気の毒ですから、またひとつ次のときに来ていただいて、また私のアイデアのもとに環境——目玉商品はこれは環境整備ということが目玉商品ですね、問題は。きょうはこれでひとつ……。
  183. 長田裕二

    委員長長田裕二君) ほかに御発言もなければ、本案に対する本日の審査はこの程度といたします。    本日はこれにて散会いたします。     午後五時十一分散会      —————・—————