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国務大臣(
新谷寅三郎君) 四つの問題をおあげになりましたが、初めのほうの問題は相関連する問題ですから、関連させながら
一緒にお答えさせていただきます。
日本航空という会社がどんな性格かということは、はっきりしないとおっしゃったけれ
ども、これは
日本航空の
関係の
法律に規定してあるので尽きておると思いますが、それをもっと通俗的に
考えてみますと、非常に公共性の強い
企業体だということになると思います。その
企業体も、公共
企業体のような形をとらずに、株式会社の形態をとっておるということだと
考えます
日本航空ができた当時のことは、私も詳しくは知りませんけれ
ども、おそらく対外航路というものが国のシンボルのように
考えられまして、非常にこれは重大であったのだろうと思います。今日でもそうですが、その当時はなおさらそうだったと思います。したがいまして、
日本航空が経営の安定を期するということになりますと、どうしても
政府が相当の財政援助をしないとそういう結果をもたらせないということで、
政府出資というもが
考えられたものと
考えます。したがって航空協定は、御
承知のように、一面におきましては、これは外交
交渉によって、国と国との間の協定によってでき上がるものでありまして、その航空協定に従って
日本航空は飛行機を飛ばして、航空路を維持し発展させていくという責務を持っておるわけでございます。そういう外交
交渉を基盤とした各国間の航空協定の上に乗って、それを実行する機関であるということになりますと、非常に公的な色彩の強い会社であるということは、これは当然だろうと思います。この点は、今日の海運会社等とはだいぶ違う独性、特性を持っていると言っていいのではないかと思います。
それではなぜ株式会社にしたんだということですが、株式会社にしたことは、これは公共
企業体でもある程度そういうことが言えるのでしょうが、何しろ世界の航空会社を相手にして航空事業というものを企業として経営していかなければならぬ非常に自由濶達な経済活動が必要であるということは、もうこれは明瞭でございますから、その企業性といいますか、自由濶達な企業性というものを維持するのには、やはり株式会社のような
制度のほうがいいのだということを当時も
考えられたと思います。そういう
方向で
日本航空はできたと思いますけれ
ども、結果といたしまして、それが私は結局よかったと思います。今日の
日本航空の状態を見、
日本の対外航空路の発展の状況を見まして、結果的にはそれは成功だったんじゃないかと私は
認識しておるのでございます。
それから、そういう会社であるにかかわらず、たいへんな事故を頻発させたと。
日本航空としては非常に
責任を感じなければならぬ、これは当然のことであろうと思います。先般も申し上げましたように、これは
日本航空の会社が社全体として
責任を負ってもらわなければならぬ問題だと思います。私たち監督の
責任を持っておる
運輸省も
責任を免れることはできないというふうに私は
認識しております。
それならその
責任をどうして果たすかということですね。どうして果たしたらいいか、何がいま一番必要かということでございます。私はあの事故のあとで
運輸大臣の席についたわけですが、とにかくいま国民の側から見まして一番大事なことは、安全運航が確保されるということだと思います。したがいまして、何はおいても国民が安心して日航の飛行機には乗れるというような体制を早く整備をするということが何よりも大事でございまして、その
意味において、実は、あるいは御
承知かもしれませんが、何回となくそういう
調査をしたり、検査をしたり、警告をしたり、
報告をとったりいたしまして、だんだんその体制が固まってきているように思います。いま日航で上から下までといいますか、ことばは悪いのですが、上から下まで縦横の各部とも連絡
協力しまして、安全運航第一ということで、懸命に取り組んでおる姿を見まして、私は非常に喜んでおるわけでございますし、またその
方向に向かって今後さらに
努力を続けてもらわなければならぬ、これはもう一時的のものではなくて、そういう安全運航体制というのが身について、日航自体のこれは体質なんだというようにならないと困るわけです。だからそういう
意味では、単に重役だけの問題でなくて、部長から課長から職員に至りますまで、すべてそういうところに
努力を集中して、安全運航体制の確立のためにはあらゆる
努力をしてもらいたいと、将来に対しても、そういう
方向で指導をしておるわけでございます。
ところが、日航の役員の改選期が五月末ということでございます。そういったものに関連いたしまして、いま
お話しのような、内部でもこれはこうしたらいい、ああしたらいいというような、人事問題がある程度話にのぼっておるということも聞かぬではございません。しかし私の捕捉しているところでは、これは十二分かどうかわかりませんけれ
ども、このごろの日航の体制につきましては、われわれのさっき申し上げたような非常に強い指導、われわれの非常に強い
意見というのが全社に反映しておりまして、とにかく何はおいても安全運航体制確立だということで、非常にその点については目標を
一つにして、だんだんみんなの
努力が結集されているように、私は
認識をしておるのでありまして、いろんな
意見は個人的にはあるかもしれません。あるかもしれませんが、そういうことのために内部抗争をやって、安全運航体制を阻害するようなことは、われわれとしては絶対許しませんし、そういった事実はいまのところは私の耳には入っていないのでありまして、私は、とにかく初めに申し上げましたが、ああいう事故を起こした
責任をどうしてとるか、その
責任をまずとってもらわなければならないのは、これはだれがやってもそうなんですが、安全運航体制を確立するということであるということを第一義的にして、今日まで指導をし、だんだんそれが実を結んできておるんじゃないかというふうに、いまとらえておるのでございます。