○岡本悟君 ただいま同僚の
黒住委員から、
トラック輸送の問題についていろいろと御
質問がありましたが、それに
多分に関連する問題なんですが、私はわが国の
貨物輸送の近代化につきまして、これからいろいろ
質問をしてまいりたいと思うのです。特に私の眼目とするところは、まだ本院の
運輸委員会では、国鉄の財政再建措置法案あるいは運賃法の一部
改正法案の審議は始まっておりませんけれ
ども、やがて本院のほうに回ってくるわけでありますが、衆参両院におきまして、この法案の審議に当たっての
一つの焦点は、
貨物運賃が相対的に見て安過ぎる、国鉄の財政再建についていろいろ方策はあるが、赤字の
原因を見ると、
貨物の赤字が非常に大きい、だから
貨物が不当に安いから、これを上げれば赤字は解消できるのだというふうなことが、おそらく相当論議になるだろうと、私の想像では思うのです。
先般いただきました「
昭和四十六年度
鉄道客貨別経営実績」によりますと、これは国鉄のほうからいただいた資料でありますが、旅客のほうでは、わずか十億ではあるけれ
どもプラスが出ている。
貨物のほうで二千百五十三億ですか赤字が出ておりまして、したがって合計では二千百四十三億円の赤字が出ておる。つまり大部分は
貨物の赤字だというふうに実績上出ておるわけであります。でありますので、この
貨物の赤字をどういうふうにして征伐するかということが非常に大きな問題になるだろうと思うんです。
ところが、率直に申し上げまして、私は
貨物運賃をたとえばペイするように上げるとすれば、そうでなくてもシェアが
横ばい、あるいは多少減っておるような国鉄の場合におきましては、おそらく
貨物は激減すると思うんです。したがいまして、前提となるべき諸条件につきましていろいろ
検討して、そしてしかるべき適正なる運賃を求めて増収をはかるということでないと逆効果になる、こういうふうに私は思います。こういったことについて、ずっと分析を進めていきまして、国鉄の、特に
貨物輸送につきましては、財政再建に占める役割り、あるいは増収についてのウエートといいますか、そういう問題をどういうふうに考えればいいのか、将来の展望も含めて、その問題の分析をしてみて、この
貨物輸送あるいは
貨物運賃というものについての、できれば国会におけるコンセンサス、あるいは国民全般のコンセンサスが得られれば、事態の究明については非常に貢献できるんではないかというふうに私は思っておるんです。
これはもちろん国鉄だけの問題ではありません。いま申し上げました前提となるべき諸条件の中には、対抗機関でありますところの、先ほど
黒住委員が触れられました
トラック輸送の問題が大きくからんでおりますし、あるいは海運、最近のフェリーの問題、こういったような問題もからんでおりまして、いわゆる総合交通政策的な見地からも取り上げる必要があることは申し上げるまでもありません。
で、後刻詳細にお尋ねをしたいと思うんですが、御承知のように、たしか四年前でありましたか、西独連邦
鉄道の財政再建につきましてレーバー交通大臣が、いわゆるレーバープランというものを連邦議会に提案して、多少の修正はありましたけれ
ども、一応総合交通政策というものを打ち出して、特に連邦
鉄道の財政再建と関連して、できるだけ中長距離の
重量貨物につきましては連邦
鉄道を活用して、そして
道路交通の渋滞なり、
トラックへ偏重した
輸送数量というものを連邦
鉄道で
輸送させようという政策を打ち出しておりましたことは、これは御承知のとおりであります。これがどの
程度の効果をあげておるか、この点については、後ほど当局のほうからお聞きしたいと思っているんですが、そういうことでありまして、
貨物輸送の、特にこの国鉄の
実態というものを一応全部きわめてみたいというのが、私の
質問の大まかな趣旨でありまして、それによって
貨物運賃というものをどういうふうに考えたらいいのか、あるいは財政再建についての役割りをどういうふうに考えていったらいいのか、これを究明したいというのが私の目的でございます。
そこで順序としまして、これはわかりきったような話で恐縮なんでありますが、国鉄の国内の
貨物輸送に占めるシェアというものが、先ほど申し上げましたように、年々
横ばいないしは減ってきておるということを私、言えるんでありまして、したがって総体的には経済成長がこれだけすばらしく伸びておるにもかかわらず、
輸送シェアはトン数においてもトンキロにおいてもどんどん減ってきておる。
お話にならぬような数値であります。試みに申し上げますと、
昭和三十六年度にトン数では約二〇%、わが国のシェアにおいて占めておったものが、四十六年度ではわずかに三・六%、ほんとうに今昔の感にたえないわけなんですね。ただ
輸送距離が長うございますから、
輸送トンキロというような点からとらえますと、まだ
昭和三十六年度が国鉄のシェアが五二%、それがしかし四十六年度では一八・四%というふうに、これも激減しております。
こういうふうに、かつてわが国における陸上交通機関のうちにおいては最大のシェアを占めておりました国鉄の
貨物輸送が、かくも激減してきたということは、一体どういうところに
原因があるのか、その
原因を的確につかんでおく必要があると思うのですが、その点につきまして、政務次官にはあとからいろいろ大きな問題についてお尋ねしますので、きわめて事務的な問題でありますから、
運輸省住田部長、それから国鉄の原岡常務からお答えをいただきたいと思います。