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政府委員(内村信行君) たびたび相次ぐ
事故を起こしましてまことに申しわけなく存じております。この席上を拝借いたしまして厚くおわび申し上げます。
そこで、ばんだい号の
事故調査その他の
事故調査につきましての結果が出ておりますので、それにつきましてまず御報告を申し上げたいと思います。
資料を差し上げてあると存じますけれ
ども、まずばんだい号の
事故調査でございます。
昭和四十六年の七月三日、東亜国内航空YS11A型、JA8764が、同社の定期航空六三便といたしまして札幌飛行場を離陸し函館空港へ向け飛行中、函館空港の北北西約十八キロメートルの横津岳南斜面に激突し、乗客六十四名、乗組員四名の計六十八名の
方々全員が死亡されました
事故につきましては、運輸省に学識
経験者十名からなりまする東亜国内航空YS11A型機
事故調査委員会を設けまして
事故原因の究明に当たっておりましたが、昨年の十二月十八日に同
委員会の守屋富次郎
委員長から別添のような航空機
事故調査報告書が提出されました。
本
事故の原因究明にあたりまして、JA8764の推定飛行経路につきまして運航面から解析したものと、目撃証言から解析したものとの二つが考えられましたが、後者については、函館通信局との交信内容(録音テープ)と合致しない点及び管制承認と相違する飛行を行なっている等の、全く理解しがたい、むしろ異常に過ぎる数点がございました。そこで目撃はJA8764を目撃したとは断定できず、同
委員会といたしましては、JA8764は運航面から解析した推定飛行経路をとったものと認めまして、それに基づいて原因を決定したものでございます。
なお、同報告書の勧告事項である航空
事故調査委員会の設置、航空保安施設の整備、飛行記録
装置の装備の義務化等につきましては、法制面の整備をはかるとともに、行政面においても具体的に計画を立て、航空交通の安全確保につとめる所存でございます。
なお、その
事故調査報告書の中には、この多数説と並べて少数説も併記してございますことを念のためにつけ加えておきます。
それから次に、日本航空所属機のニューデリー
事故の
調査でございます。これにつきましてはまだ結論が出ておりませんので、経過報告をさしていただきたいと存じます。
日本航空株式会社所属DC8−53型、JA8012は、日航四七一便(
東京発香港−バンコク−ニューデリー−テヘラン−カイロ−フランクフルト経由ロンドン行き)といたしまして、昭和四十七年六月十四日バンコクからニューデリーに向け飛行中、
現地時刻二十時十六分ごろニューデリー空港東南東十二・五海里の地点に墜落災上いたしました。
同機には、乗客七十八名(うち日本人十名)及び乗組員十一名、計八十九名の方が搭乗しておられましたが、この
事故によりまして、乗客七十五名、乗組員全員計八十六名が死亡されまして、三名が重傷を負われました。
インド政府は、同年六月二十二日に、ニューデリー高裁判事を
委員長といたしまして
事故調査委員会を設置いたしまして、同年七月下旬に第一回の審理を開始して以来、現在に至るまで、機材、エンジン、ILS、証言等につきまして精力的に
調査を行なってきたわけでございますが、結論は大体三月ごろになるものと思われます。
なお、航空局の技
術部長及び航空
事故調査課長が日本政府代表としてこの審理に参加しております。
次に、モスクワ
事故の
事故調査でございます。
日本航空株式会社所属DC8−62型、JA8040は、日航四四六便、(コペンハーゲン−モスクワ−
東京)として、昭和四十七年十一月二十八日十九時五十分(
現地時間)モスクワ・シェレメチェボ空港を離陸いたしましたが、その直後に墜落し機体は大破災上いたしました。
同機には、乗客六十二名(うち日本人五十二名)及び乗務員十四名の計七十六名が搭乗しておられましたが、この
事故によりまして、乗客五十三名、乗務員九名、合わせて六十二名の方が死亡されまして、十四名が三週間から三カ月程度の入院の重傷を負われたわけでございます。
この
事故直後、民間航空省内に、ブイコフ次官を
委員長といたします
事故調査委員会が設置されまして、日本の航空局からは航空
事故調査課長外二名の航空
事故調査官が、また日本航空からは五名の職員が本
事故調査に参加いたしました。
ソ連当局の
体制はきわめて機動的でかつ協力的でございまして、遺体の搬出、生存者の救援、現場の保存等が迅速かつ的確に
処置されまして、
事故原因の究明がすみやかにかつ円滑に行なわれた次第でございます。
本
事故の原因につきましては、「離陸安全速度(V2)に到達後、離陸上昇中乗員が飛行機を臨界迎角以上に至らしめ、その結果、高度と速度を喪失して墜落したものである。」と
委員会は結論いたしました。臨界迎角以上に至りた理由といたしましては、次のいずれかであろうと推定されております。すなわち
一つは、飛行中スポイラを誤って出し、それにより揚力が低下し、かつ坑力が増大した。第二または第一エンジンが何らかの原因で異常となり、操縦者が不適切な操作をした。つまり機首上げ操作をしたということでございます。
なお、エンジンが異常であったということが、ボイスレコーダーの録音及び乗客、地上目撃者等の証言がございましたが、これはスポイラを誤って上げ操作をしたために、臨界迎角を越え、さらに大きな迎角に操作され、エンジンのコンプレッサーストール、バックファイア等の異常が発生したかもしれないと推定されております。
なお、シェレメチェボ空港の航空保安施設、管制、気象等につきましては、本
事故には
関連がなかったというふうに結論されております。
以上三件につきましての
事故調査結果及びその経緯を御報告申し上げた次第でございます。