○山原
分科員 これは一つの例なんです。高知県において一番問題になったところですが、町議会が決定しまして、そして統合を強行する、地元住民は反対をするということで、統合すればよくなるのだということで統合が行なわれた。ところが、その結果どういうふうになっておるかというと、全く深刻な
教育上の問題が起こっているのです。これは
学校長の出しております報告書です。たとえばこの
学校におきましては、統合いたしまして寄宿舎をつくっておりますが、この寄宿舎には六十二名の生徒が入っているのです。六十二名といえば一つの
学校なんですよ。それが寄宿舎に入っておる。こういう中
学校です。
ここで校長のあげております問題点をちょっと読み上げてみますと、一つは家庭訪問がたいへんなんだ。ハイヤーを使わなければならないということですね。マイカーを使うと険峻な道な
どもありまして、同僚の
先生を積んで行ったりしておって、もし事故でも起こったらたいへんだということで、運転技術の面もあったりすると、つまりハイヤーを使わなければならないということで、この家庭訪問というのが全く職員の疲労、
授業カット、こういう状態に置かれています。したがって、
学校は御
承知のように定期の家庭訪問と臨時の家庭訪問がありますが、臨時の家庭訪問に至っては、校長は家庭訪問に行きなさいという指示をようしない、危険だから。そういう状態。しかもほとんど十キロ以上の山道をときには歩かなければならぬという状態ですね。
それから病人と非行児が非常にふえております。連日職員
会議を開きまして頭を悩ましておるという状態が報告されています。それから病人の特殊事情があるのですね。たとえば登校拒否症という病気があるのです。
学校に行きたくない。それから皮膚病、これは超遠距離児童に皮膚病が起こっています。
次に部落懇談会、これは
学校の
教員にとっては非常に重要な、父母との意見をかわす
意味で非常に大事なところですが、昨年度十カ所で行なっております。全部夜間です。ところが会場まで十五キロあるのですね。そういう状態。十カ所などというのはこれは全く数が少ないので、実際はもとの
学校のあったところで、各部落ごとの部落懇談会がいままで開かれておったのですが、もとの中
学校のあったところ一カ所しか行けない、こういう状態ですね。だから親と教師のつながりもここで断ち切られていくという状態が出ておるわけです。
さらに遠距離通学から起こる問題といたしまして、まず第一点にバスの定期券、これが児童が持つのが月一律五百円です。超過分については町が負担しています。ところが半年単位で定期券を買うわけですが、大体半年で一万四千円程度要ります。そのうちの三千円分は自己負担で出しているのです。だから一万一千円くらいは町が出しているわけですね。ところが
子供でございますから、半年単位の定期を持っておりましても、しょっちゅうなくするわけです。なくするとこれはまた再交付不能ということで、父母が今度は全部負担しなければならぬというような問題。
それから、バスの便ですね。これが
学校の
授業を左右するわけです。たとえば朝バスが来るまでは始業ができないわけです。バスの到着によって
学校の
授業の開始時間がきまるという状態。さらに帰る便は、午後三時に帰る便がありまして、それ以後はないものですから、クラブ活動ができなくなってしまう。
子供たちはクラブ活動については非常に興味を持っています。スポーツにしてもあるいは文化的なクラブにしてもそうですが、それができない。
子供がバスに乗って帰るときに
先生に言うんだそうですね。私たちがいなくなった
あとで、残った友だちでクラブ活動をやってもらったら困る、そんな差別してもらっては困る、こう言うんだそうです。したがって
先生方もちょっと手をつけることができないという問題も起こっています。それから結局このバスの関係で、クラブ活動のみならず、学習の延長もできない。補習とかあるいはできない
子供に教えるというようなこともできなくなってしまう、こういう状態。
さらに寄宿舎の場合を例にとってみますと、現在、先ほど言いましたように六十二名ですが、舎監要員というのが一名配置されているだけなんですね。ところが、六十二名というと、これは一つの
学校に匹敵するわけで、この
先生は
授業も受け持っているわけです。これは舎監要員という形で
授業をすることになっているわけですね、現在。だから
授業もやる。夜は
子供たちの生活指導、学習指導、ほとんど十二時まで
子供たちの世話をしなければならない。朝はどうかというと、朝は六時半に起きまして、そして
子供たちを起こしたり、あるいは顔を洗わすというような仕事をしなければならないという問題が起こっている。この
先生は倒れてしまいました。そこで、これは
先生方がどうするかということで、男の
先生が少ないものですから、男の
先生を配置して連日交代で余分の勤務として舎監をやっているわけです。校長も見るに見かねて自分も舎監をやっていますが、この校長の例をあげますと、昨年の九月一日から十月の五日まで昼夜勤務を行なっています。九晩この寄宿舎で泊まっている。そしてこの校長もとうとう倒れてしまう。こういう状態です。そのほか給食の問題などがありますが、こういう例を校長が報告しているのです。全く深刻な状態で、そしてこれではたして
教育ができるんだろうかという疑問を投げかけておるのでございます。
それでこの例から見まして、
文部省としては舎監などというものはどうお
考えになっているのでしょうかね。そして舎監に対するところの、舎監の
会議あるいは舎監の研修などという旅費は一切配当されていないという状態ですね。これでは
幾ら統合のメリットを宣伝してみたところで、
子供たちに対する
教育というのは、これはもう
学校は大きくなったわ、
子供に対する
ほんとうに手の足りた
教育というものはできないという悩みが報告されているのです。一刻も早くこれを解決しなければ、もうこんな統合というものはだめだという声も出ているわけですね。この舎監の問題についてはどう
考えますか、
改善する気持ちを持っていますか、簡単に答えてください。