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1973-03-08 第71回国会 衆議院 予算委員会第四分科会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年三月八日(木曜日)     午前十時一分開議  出席分科員    主査 細田 吉藏君       仮谷 忠男君    野原 正勝君       山崎平八郎君    安宅 常彦君       久保 三郎君    柴田 健治君       津川 武一君    坂井 弘一君    兼務 上原 康助君 兼務 土井たか子君    兼務 中川利三郎君 兼務 広沢 直樹君    兼務 小沢 貞孝君  出席国務大臣         農 林 大 臣 櫻内 義雄君  出席政府委員         警察庁刑事局保         安部長     斎藤 一郎君         農林大臣官房長 三善 信二君         農林大臣官房予         算課長     渡邊 文雄君         農林省構造改善         局長      小沼  勇君         農林省農蚕園芸         局長      伊藤 俊三君        農林省畜産局長 大河原太一郎君         農林省食品流通         局長      池田 正範君         農林水産技術会         議事務局長   中澤 三郎君         食糧庁長官   中野 和仁君         林野庁長官   福田 省一君         水産庁長官   荒勝  巖君  分科員外出席者         大蔵省主計局主         計官      山口 光秀君         水産庁漁政部長 増満 二郎君         労働省職業安定         局業務指導課長 加藤  孝君         建設省計画局建         設業課長    井上 孝夫君         建設省河川局治         水課長     栂野 康行君     ――――――――――――― 分科員の異動 三月八日  辞任         補欠選任   小林  進君     久保 三郎君   津川 武一君     増本 一彦君 同日  辞任         補欠選任   久保 三郎君     松浦 利尚君   増本 一彦君     津川 武一君 同日  辞任         補欠選任   松浦 利尚君     柴田 健治君 同日  辞任         補欠選任   柴田 健治君     小林  進君 同日  第一分科員広沢直樹君、第二分科員上原康助  君土井たか子君、小沢貞孝君及び中川利三郎  君が本分科兼務となった。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和四十八年度一般会計予算中経済企画庁、農  林省及び通商産業省所管  昭和四十八年度特別会計予算農林省及び通商  産業省所管      ――――◇―――――
  2. 細田吉藏

    細田主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。  昭和四十八年度一般会計予算及び昭和四十八年度特別会計予算中、農林省所管を議題とし、昨日に引き続き質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。久保三郎君。
  3. 久保三郎

    久保(三)分科員 私は、茨城霞ケ浦にあります高浜入り干拓事業についてだけ質問を申し上げます。  農林大臣は初めてお聞きかと思うので概要を申し上げますと、高浜入りという入り江を埋め立てまして、これは約千百ヘクタールぐらいありますか、当初の事業費は百億ちょっとだったと記憶しておりますが、いずれにしても、土地造成をしよう、干拓をしようという事業なんであります。これは十二、三年、もっとになるかもしれませんが、その当時、これはどこでも同じでありますが、農家の二、三男対策として土地を造成して入植させよう、かたがた食糧の問題もございますので、米を中心にしての耕地をつくろう、こういうことで始まったというか、企画したわけです。ところが、情勢は急変いたしまして、特に政府方針は、米作は、言うならば抑制、減反、休耕という方法までとるようになりまして、そしてその時期に相前後して、予算をつけようという実施段階になりました。そこで、いままでのメンツにこだわったんだろうと思うのでありますが、これら関係漁業者に対する補償の問題や完全な合意を得ないままに、これを押し切ろうとかかったのであります。もちろん、結果として押し切っているわけでありますが、そこで大義名分が立たなくなりましたので、予算折衝の際に、原案の最後のぎりぎり決着にいって、水田から畑地に模様がえをし、理由を変えてやろう。そしてその理由としては、首都圏における蔬菜供給の大きな生産団地にしようというような、言うならば一夜づけの理由をつけて予算を取った経緯があるのであります。その後、事業としては進展しておりません。かたがた、御承知のように、霞ケ浦の水をどうするかという問題がありまして、たしか昭和四十六年からでありますが、水資源公団が現在やっておりますが、霞ケ浦の下流を締め切って、まわりの堤防かさ上げして水をためる工事、いわゆる水がめというか、そういう仕事をやっているのであります。ところが、この水がめのための堤防かさ上げでためる量と干拓によって減る水量とはほぼ同じなんであります。考えてみればずいぶんばかばかしい仕事をやっているんでありますが、水も必要だし干拓も必要だというのか知りませんが、いま一番必要なのは何だろうかというと水の問題だと思うんですね。それで干拓は、先ほど言ったように大義名分を失って、わずかにそういう理由でいまやっている事業は、遅々としてというよりはにっちもさっちもいきません。なぜならば反対漁民がおります。そこで、漁業権消滅に対しての総会の議決に対しても疑問があるということで、現在裁判によって係争中であります。  かたがた、この干拓による影響でありますが、そうでなくてもいま霞ケ浦魚族等は、これは減少というか、死滅の一途をたどっております。また水も、すでに昨年でありますか環境庁で環境基準をきめましたが、計画では五年という期間を置いて回復しようということであります。きのうも分科会でお尋ねしましたが、これは一応の計画であって何らのめどは立っていないということで、水質汚濁がはなはだしい。干拓によってこれがなおひどくなるという。  きょうは水産庁からもおいでになっておりますが、昭和四十六年度かに一応の調査をしております。答申も出ておりますが、これによってもわかるように、まず第一に、霞ケ浦水がめ化、これに対しても批判的であります。かてて加えて、干拓によって魚族が死滅することは当然であるというふうにわれわれは思っているんです。そういう経緯であります。  そこでお尋ねしたいのは、この事業をこのままおやりになるつもりであるのかどうか。もちろんお答えは、やるというお答えかもしれませんが、ある自民党の有力者、いわゆる農林大臣を相つとめたお方も非公式に言っております。なまじっか一部漁業補償金を出したので足を引っぱられているが、この際思い切ってこれはやめるべきだというふうに言っております。これは正しい意見だと思って私は聞いております。この際、漁業補償につられてあと無意味な投資をして、投資ばかりじゃなくして、貴重な自然である霞ケ浦を死滅させるのかどうか。これはやはり政治的な勇断をもってこの際決着をつけるべき時期だと私は思うのですね。幸いというか不幸というか知りませんが、いま補償金を払っただけの段階であって工事は何もやっていません。もっとも、しゅんせつ船を二隻どこかから回漕して霞ケ浦に浮かばせて、たまにこれを掃除しているようでありますが、これが事業であります。こんなばかばかしいことはおやめになることが当然かと思うのでありますが、いかがでありましょう。
  4. 小沼勇

    小沼政府委員 ただいま先生が経過をお話しされたのでございますが、高浜入り干拓事業につきましては、私どもすでに補償金もほぼ全額支払いまして、これからの首都圏に対する新鮮野菜供給基地にしたいということで、周辺土地改良事業ともあわせまして、ひとつ優良な農業団地をつくってまいりたいということで、これにつきましてはたいへん有意義だと考えておりますが、県並びに地元市町村も強く要望しております。もちろん、一部に反対者がございますことは承知しておりますが、私どもといたしましては、今後とも反対者に対しては十分説得をいたしたいと思いますが、いま申しましたように、今後の首都圏に対するこういう食料の供給基地として進めてまいりたいということでございます。すでに四十七年度までに十八億六千万程度の予算を支出しているわけでございますけれども、そういうことで鋭意進めたいと思っておる状況でございますので、十分この方針につきまして御理解をいただきたいというように思います。
  5. 久保三郎

    久保(三)分科員 局長立場からいけば、前もって私があなたの答弁を言っているとおりです。なるほどいままで十八億払っている。しかしこれから無意味な投資を何百億やるつもりですか。百億くらいあと追加しなければいかぬでしょう。しかもやった仕事が生きてこないんですよ。あなたは首都圏における蔬菜供給と言うが、蔬菜供給というのは現在どうなっておるのですか。私は茨城県で、この周辺人間なんだが、ついこの間も農村周辺を回っておったら、ハクサイは畑に植えたままでいるのですよ。いまさら高浜入り干拓をして蔬菜供給基地にするなんというのは、現地の人から見れば、何を言っているんだろうというのです。鹿島一帯ビニールハウスのピーマンにしてもそうなんだ。品不足じゃないんですよ。品は余っている。いまおやりになることは、流通機構をどうするか、あるいはあなたの専門の構造改善、これをどうやったらいいのか、これをどう集団化し団地化していくかという問題なんじゃないですか。いまさら湖面を埋め立てて、漁民を泣かして、水を殺して、そんなものつくる必要はないんですよ。あなたがはからずも言った。十八億すでに使っておりますという、そのことであなたはやっていこうというのですよ。なるほど十八億使うことについては、これは責任を問いますよ、むだな投資でありますから。さらに百億もの金をつぎ込もうという事業に対しては、これは一そうきびしく糾弾されなければいけませんよ。おやめになることが当然だと思うのですが、大臣、いかがでしょう。少なくともこれは、ことし一年ぐらいは事業やめてじっくり考える性格のものだと思うのですよ。私は地元反対者の意向だけくんでいるわけじゃないのです。こういうものが国や県の仕事の中にはたくさんあるのです。ところが官僚の無責任さから、こういうものを知らず知らずに、困ったものだと思いながらも、むだ使いをしたり、要らぬことをやっていくことがある。これをチェックし、抑制して正しい軌道に乗せるのが今日の政治家の任務だと思っております。いかがでしょうか。
  6. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 久保委員から当初来の経緯の御説明を承り、また、高浜入り干拓の現状、特に漁業者反対のあるお話、あるいは、干拓を一方でしながら一方に水がめの建設をするという不合理性、私お話を聞いていると、そのお話の筋道についてはわからないことはございません。ただその一面、いまここにある資料お話を聞きながらずっと見ておりますと、昭和三十五年から三十九年、その問三十五年が入るんでしょうから、五年弱の調査期間を持っておる。それから四十年から四十二年の二年にわたる実施設計期間を持っている。そしてさらに、事業実施状況を見ますと、四十二年、四十三年、四十四年、四十五年、四十六年と予算もつき、順次支払いも行なわれておる。こういう相当長期にわたる期間、一応ここにある資料などからの私なりの常識的な判断からすると、ここまでずっと来ておって、その間に久保委員の御指摘のようなことがどの段階から指摘されてきたものか。お話の中には、この計画がされたときと事情が変わってきたことも言われました。昭和四十六年の二月以降米の生産調整に入ったのでありますから、大体準備ができ、多少補償等支払いなどが行なわれる十年の最終段階は、おっしゃるように、確かに米の生産調整ということになってくるのですが、そういう経緯から言うと、いかにもおっしゃっておることはわかるけれども、しかし、ひとまず県とか現地の町村とかいうところから積み上げられてきておるものと思うのですね。そして私の聞いている範囲では、また、いま局長答弁にもありましたように、県なり地元は、いまの反対の方のあられることもよくわかりましたが、しかしそれを要望しておるという。そうすると、その要望しておる者が、おそらく私の想像では相当数なんではないか。そうなってくると、この三十五年以来のそういう経緯を頭に置いて、しかも県、地元要望があるということになってくると、これは先生のおっしゃることによって、にわかに私がいまここで承ったところで、いやそれはどうもぐあいが悪い、中止すべきだというようにちょっと判断できかねると思うのです。
  7. 久保三郎

    久保(三)分科員 大臣のおっしゃることも、そのとおりかもしれません。ただ、補償金を支払う段階で大きく前提になる事情が変更してきた。言うならば、農業政策が大きく転換してきたということですね。それからもう一つは、御承知のように、鹿島地帯一帯に対する工業配置の問題による水の問題が出てきた。そういう事情の大きな前提になる条件が変更したのでありますから、これを見直すことが当然であったのであります。ところが無理に強行して補償金を払った。そこで賛成し要望する者はだれかということですね。これは県知事市町村長は、いままでのメンツにこだわって賛成していましょう。しかし、それ以外の県民なり住民というものは何で賛成したかというと、霞ケ浦漁業が、御承知のように水質汚濁によって、しかも過当競争によってだんだん魚族が少なくなってきた。しかも漁労の方法いっとき変身てきた。いままでは帆びき網ということで、帆の力でゆっくり引いてまいりましたから、そんなにとれません。ところが、これをエンジンをかけたトロール底びきに変更することを茨城県知事が許可した。これは水産庁も一枚加わっているのかもしれませんが。だからワカサギなどを根こそぎとってしまった。もはやとるものはなくなってきたのです。そこで、漁業ではとても食っていけないから何かないだろうかというところに追い込まれて、そこに補償金の問題が出てきたということなんです。まさに悲劇です。ところが、補償金いっときでありますから、もはやなくなっている者もあります。そういうことをぜひ考えていかなければならない時期なんです。だから、残念ながら時間がありませんが、ことしだけは一ぺん根本的に考え直してもらったらどうだというふうに私は提唱しておきます。  大臣、思いとどまれとは言いません。少なくとも問題が十分に煮詰まるまでは、ことし一ぱいは検討してみたらどうでしょう。これは大きな岐路だと思うのです。いま踏みとどまって検討しなければ、検討する時期はもはやないと私は思うのです。私は、あとの百億を使うのなら、茨城県のその他の農業に対して百億の構造改善事業をやってもらいたい。りっぱな供給基地ができることは当然であります。こんなところに予算をつけたところに、何か悪さがあるのじゃないかと私は思っているのです。大蔵省主計官がいらっしゃるが、主計官が良心を持っているなら、なぜつけたかということを言いたいんだ。まあ答弁ができないかもしれませんから、やめておきましょう。私はこの際一ぺんとめたらいいと思うのです。何も事業をやってないのですよ。もっとも、事業をやってないけれども図面や何かは引いているでしょう。これはにっちもさっちも動きませんよ。だから、おやめになることです。  ここで再度要望しておきますが、農林大臣、これはことしは慎重に再検討してもらいたい。大蔵省主計官おいでになるなら、あなたは主計官として、予算最後には合理性をもっておつけになると思うのですが、あなたの責任ばかりじゃないけれども、こんなものに予算を許したところにあなたの先輩も罪があります。ところが、あなた方は幸いなことに、二、三年でどこかへ行っちゃうからこの責任はのがれる。地元のわれわれは、一生、墓石になっても責任を負わなければならない。そういうことを言っては失礼ですが、これは責任をもって検討してほしい。これはこの国会一ぱい追及します。もはやほんとうにぎりぎり、ことしが検討の時期だと思うのです。いままではいいかげんにのがれてきたけれども、絶対に許しませんよ。  時間がないから、最後水産庁に伺います。補償金配分について不満がある、不正があるといわれているのですが、この監督は、漁業協同組合関係ですから、あなたのほうですね。それからもう一つは、あなたのほうは、「漁業補償金配分について」ということで昭和四十五年に通達を出していらっしゃる。これはどこでもそうだと思うのですが、問題が多いでしょうね。ところが、高浜入り干拓漁業補償金というものは、こういう仕組みで配分がなされているのかどうか。時間がありませんから、簡単にお伺いします。
  8. 山口光秀

    山口説明員 高浜入り干拓関係でございますが、今後の予算執行にあたりましては、実施計画の審査の段階等農林省とよく相談いたしまして当たりたいと思います。
  9. 久保三郎

    久保(三)分科員 検討するというのはそれでいいのですが、以前に、補償金が下部までいかないで、関東農政局長のオーダーあるまでは県漁連にとどめておくということで、長い間とどめておいた時期がある。こういう予算執行は全くふざけた予算執行です。あなた方はこういうものまで監督しなければいけませんよ。ついでだから申し上げておきます。
  10. 増満二郎

    増満説明員 漁業補償金配分につきまして、水産庁といたしましては、適正公平に行なわれますように、留意すべき二、三の点につきまして、四十五年十一月に各都道府県に通達いたしまして、指導いたしております。漁業協同組合が一括して受領しました補償金の個々の組合員への配分組合内部の問題でございますが、そういう配分が適正に行なわれますように、たとえば配分委員会等を設置してあります場合に、その委員会の構成が適正な割合であるようにするとか、あるいは配分をいたします場合の基準を明確に作成して行なったほうがいいということ。それから、配分基準の作成にあたっては、漁業実態、損害の実態等を十分考慮して行なうように、こういうような留意事項につきましての指導をいたしております。茨城県はこの指導の線に沿って指導をいたしておりますが、なお十分県を指導してまいりたいと思います。
  11. 久保三郎

    久保(三)分科員 それでは、この配分通達に従って、配分委員会をつくらせておやりになっているという意味でありますか。
  12. 増満二郎

    増満説明員 そういう指導を県がやっております。
  13. 久保三郎

    久保(三)分科員 そういうふうにおやりになっているということですか。県が指導するじゃなくて、現実指導した結果やっておりますかと聞いている。
  14. 増満二郎

    増満説明員 県において配分委員会をつくりまして、この配分委員会基準をきめてやっておるというように承知しております。
  15. 久保三郎

    久保(三)分科員 それじゃ、その基準はどうきめたか、あと資料として提出してください。
  16. 細田吉藏

    細田主査 漁政部長資料提出はいいですか。
  17. 増満二郎

    増満説明員 基準をどうきめたかという報告は、いまのところ私のほうにまだ来ておりませんが、そういう指導をしておるということであります。
  18. 久保三郎

    久保(三)分科員 だからその資料を出してくださいと言っているのです。疑問がなければいいですが、疑問があると言われたら、あなた方は監督立場から、指導した結果をとるの、があたりまえじゃないですか。
  19. 増満二郎

    増満説明員 後ほど県と相談いたしまして、提出したいと思います。
  20. 久保三郎

    久保(三)分科員 先ほど言い漏らしたのですが、地元要望があるということで補償金の問題だけを申し上げましたが、もう一つ土地の問題があるのです。これはどこでもそうですが、特に茨城県は鹿島中心とする開発が相当なスピードで進展しているのです。いまや土地という土地は全部売りものになっているのですね。こういうときに、これは農林省の計算では、高浜入り干拓は反当大体百万ないし百十万です。それが農民に渡るときには、大体三分の一の値段で渡るわけですね。そうでしょう。だから三十万ですよ。三十万で農地がもらえるなら、これはだれでも希望します。しかしこれは農地として使うわけじゃありません。すでに構造改善をやっている地域でも、仮配分がまだ終わるか終わらぬうちに、そこに宅地造成のような埋め立てが始まっている。構造改善という名前は農業用地をつくるためなんです。ところが農業用地じゃなくて投機の対象の土地ができている。農免道路もそのとおり。都市計画というか、そういうものと抱き合わせたということは多少はありますが、この高浜入り干拓もそういう場所にあるんですよ。そんなことをまじめにいま考えて、干拓して蔬菜供給基地をつくるんだなんということは、茨城県の地元農民に聞いてごらんなさい。何てばかなことを考えているんだろう、現地を知らぬと言うでしょう。私は、みんながもうかることについて別に反対はしません。しかし、他人を犠牲にしてもうけることについては、絶対に許しません。しかも、片方では漁業をやって何とかやっていこうというまじめな人間がたくさんいるのに、何でつぶすのかということです。だから、これは検討をしてほしい。再度申し上げて、時間でありますから、構造改善局長に聞くが、あなたは検討しなさいよ、これは。あなたが検討しなければ、もう検討する時期はないかもしれない。
  21. 小沼勇

    小沼政府委員 干拓地が完成いたしました際に、農地状況は、優良農地として扱いますので、これを転用することは、農地法の運用によりまして、厳に規制をしてまいりたいというふうに考えております。また、今後の周辺動向等も勘案しながら、この干拓事業自体重要性を十分考えまして、この事業については地元反対者の了解を得てこの事業を円滑に進めてまいりたい、がように考えております。
  22. 久保三郎

    久保(三)分科員 農地法という法律で何か転用を禁じているが、転用を禁じたらみんな農地は動かないのですよ。ところがみんな動いている。あなたはわからないの。そんな事情がわからないで、法律だけたてにとって、動いていると思っているの、いまの経済が。絶対にだめですよ、これは。農林省政府はいまやろうとしている。私は反対だという。だから妥協として、農林大臣、もう一ぺん申し上げますが、これは検討をしてほしい。それくらいはやはりやってみるべきだと私は思うのです。いかがでしょう。
  23. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 先ほどのお答えで尽きておると思うのです。私も、筋道立てての久保委員お話も承りました。しかしまた、私からの見解も申し上げて、県、市町村の強い要望もある、こういうことで、ただいま局長からもお話を申し上げましたように、これを強行していくというようなことであれば、そこにたいへん無理が出ると思います。反対者のあることもよくわかりますので、局長は、その間十分説得もし意思疎通もはかりたい、こういうことで、いま私どもがこういう仕事を十年余にわたって推進してまいった立場からは、そういうお答え範囲久保委員の御理解をちょうだいいたしまして、なお私も十分現実を見ておるわけでもなし、またいろいろと間接的に聞いておることでございますので、今後、私としての判断の必要があるときには、またその判断をいたしたい、こう思います。
  24. 久保三郎

    久保(三)分科員 もう時間が来ましたから終わりますが、現地を見ておいでにならぬということでありますから、現地をぜひごらんになったらいいと思うのです。局長、ただ説得なんぞ聞くものじゃありませんよ。意思疎通をはかったらいいと思う。もし強行するのなら、これはたいへんなえらいことになりますからね。その点だけは最後に申し上げておいてこの話を打ち切りますが、ぜひ再検討してもらいたい。大蔵省予算をつけるときに、政治家や何かの圧力でやるべきじゃありませんよ。小さい百万や五十万の税金ならがまんもするが、何百万という金が霞ケ浦のどぶの中に入っていくというのは見ていられませんよ、はっきり申し上げて。あなたも現地をごらんなさい。現地事情もお聞きなさい。そうして検討していただくようにぜひお願いします。要望して終わりにします。
  25. 細田吉藏

    細田主査 次に、土井たか子君。
  26. 土井たか子

    ○土井分科員 私は、特に林野庁の長官に、兵庫県の芦屋市にあります元剣谷国有林、それから現にあります剣谷国有林問題について二、三お尋ねしたいと思います。すでに、この問題の趣旨は、昨年の十一月に社会党のほうから申し入れをし、そしてある程度の輪郭をお答えいただいているわけですが、きょうはもう昭和四十八年度の予算案の審議が続行のまっ最中で、しかも、この中身については具体的に少しお答えをしていただかなければならない時期だと思いますので、その点あらかじめ申し上げておいて質問を始めたいと思います。  現在、芦屋市が所有しております元剣谷国有林、このいきさつについてはもはや説明の必要がないかとも思いますが、昭和三十九年の二月に農林開発興業株式会社に対して、宅地造成用地として保安林のままこれを交換渡しをして、その時点で芦屋市のほうはずいぶん強い要求があったわけですけれども、保安林の解除が昭和四十年になされているわけです。ところが、昭和四十一年になりまして、例の共和製糖グループの黒い霧問題、国有林払い下げ問題というものが表面化するに及びまして、その保安林解除のまま実行計画は中止となったわけであります。その時点で保安林再指定ということを、しきりに農林省にも市の当局から訴えを続けてきたわけですけれども、それはいまに至っても実現をいたしておりません。しかし、昭和三十九年交換当時約一億円であった山林を、四十七年の六月になりまして約七億二千万円で芦屋市が買い取って、そうして国有林を再度保安林として指定して、国のほうで買い上げてもらいたいという申し入れを強くしているわけであります。これは、昭和四十二年当初から、国有林に対しての再指定の問題は、日を追って強く農林省側に要請としてあったはずでありますが、この問題につきまして、どのようにいまお考えでいらっしゃるかということを、ひとつまず承りたいと思います。
  27. 福田省一

    ○福田政府委員 昨年、この問題につきましては、先生方から検討要望を出されまして、ただいま、その件についての林野庁の考え方はどうかという御質問でございますけれども、この対象地は土砂の流出防備のための国有の保安林でございましたけれども、交換によりまして民間に譲り渡すということによりまして、防災施設の設置を条件としまして、住宅造成区域として保安林の解除をした経緯もございますので、その後、宅地造成が予定どおり行なわれなかったために、再指定の必要性について検討することになりまして、林野庁は昭和四十三年度に学識経験者による現地調査を行なっております。しかし、その後、昭和四十六年に至りまして、防災措置が行なわれておりますし、また地形とか土壌などの森林の現状から見まして、現状のままで土砂の流出のおそれは認められないということで、土砂流出防備保安林に再度指定する必要はないと判断したものでございます。また、芦屋市が農林中金から購入しました理由は明確には承知しておりませんけれども、本対象地というのは都市周辺における小団地でございますので、国有林野事業におきまして処理する必要はない、また、緑地として地元の公共団体である芦屋市が所有、管理するということによって十分保存できるものではなかろうかと、現在のところは考えておるわけでございます。
  28. 土井たか子

    ○土井分科員 その予定原稿をぺらぺら読むのはやめていただきたいと思います。やはりこういう問題については、林野庁長官がみずから責任をもって考えて答弁をしていただくということでなければ、せっかく貴重な時間をさいてここで質問している意味がないと私は思うのです。その予定原稿はやめてください。  いまの御答弁を聞きますと、昨年の十一月に党のほうから申し入れをした段階からは、だいぶ後退している向きが見えます。四十八年度に県のほうでそれについて何とかするというふうな態度があるということが前提になるわけですけれども、三分の二の補助ということが具体的に実現するならばというような表現もあったりしておりますが、あの十一月当初といまお答えになったことの中身を見ますと、十一月当初から比べて、どうもだいぶ後退している向きがうかがえるわけですが、あの十一月当初のお答えというのは長官がなさっているわけですから、あの時点といまとの間の変更、問題は、具体的にどういうふうに推移しているかということをひとつ御説明願いましょうす。
  29. 福田省一

    ○福田政府委員 私どもが考えておりますこういう都市近郊の国有地、これは大体、緑地とか、あるいは宅地造成とか、そういうふうな目的に使われているものが多いわけでございますが、昨年の十一月にお答えしました趣旨は、林野庁としましては、そういう都市近郊の小団地の利用につきましては、地方公共団体がそれを行なうようにすることが望ましい、したがいまして、地方公共団体がそういったような緑地なりあるいは宅地造成をいたします場合には、その地方公共団体の判断にまかせまして、できるだけ国はそれができるように何らかの援助をしていきたい、こういうふうな意味で申し上げたのでございます。三分の二と申し上げましたのは、都道府県あるいは市町村、特に都道府県が購入する場合におきましては、三分の二の補助を国がしてやるからいいという案を当時林野庁は持っておりまして、その点につきまして、四十八年度の予算折衝の際に大蔵省といろいろ折衝いたしたのでございますけれども、これは、都道府県等の地方公共団体が持つことはけっこうだけれども、国がそれに対して援助する方式についてはなお検討する必要があるということで、四十九年度予算編成に際しましてはなおこまかにその点を検討してまいりたいというふうに、ただいま判断しておるところでございます。
  30. 土井たか子

    ○土井分科員 なおこまかに検討してまいりたいとおっしゃる具体的な中身はどういうことですか。こまかな検討というのはいろいろあると思うのです。ひとつ具体的に、どういうことをどういうふうに御検討なさるか、それをお尋ねいたします。
  31. 福田省一

    ○福田政府委員 都道府県がそういった土地を購入いたす場合には、たとえば道路等の敷地を購入する場合にはそういった制度もございますが、いま申し上げたような、緑地等について都道府県が購入するものについての援助の措置は、そのほかに、たとえば融資の方法とか地方債の発行とか、国が補助金という形でやる以外に、いろいろ方法があろうかと思います。その点をもう少し詰めてまいりたい、こういう趣旨でございます。
  32. 土井たか子

    ○土井分科員 そのいろいろな方法というのは、たとえばどういう方法をいまお考えになっていらっしゃいますか。
  33. 福田省一

    ○福田政府委員 私たちは当初は単純に、国が補助金という形でしたらどうかと思っておったわけでございますが、ただいま申し上げましたように、補助のほかに、地方の起債の問題であるとか、あるいは融資の問題であるとか、いろいろございますので、まだ具体的には成案を得ておりませんけれども、引き続きまして、林野庁としての案を持って関係官庁とも折衝してまいりたい、かように考えております。
  34. 土井たか子

    ○土井分科員 もともとこの場所は、下流に芦屋市や西宮市があり、その芦屋、西宮に住んでいる市民の命を預かる上水道施設があって、御承知のとおりに、土砂流出防備保安林として非常に重視されている場所であったわけですね。それを、非常にずさんな行政の失敗と申し上げていいと私は思うのだけれども、当時のお金にして約一億円余りで三十九年に企業に売り渡したわけであります。したがって、これは、大きな立場に立って考えると、下流住民の生命、財産を守るというふうな意味から考えても、国の責任というのは非常に大きいといわなければならない。とうとうたまりかねて芦屋市が、当時のお金にして七倍余りもするような七億二千万円でまたそれを買い取って、そして何とかしなければならぬというふうな窮地に追い込まれたというのは、これ自身、私は具体的に言うと、林野庁の姿勢のずさんさということ、またそれに対処するしかたがいままで全く無策にひとしかったということになるんじゃなかろうかと思います。  この節、いまお伺いした限りでは、補助という制度だけを考えておったのは甘かったというふうなお考えであるようでありますが、しかし、やはり国がどこまでも責任をもってもう一度買い上げよう、保安林として何とかこれをもう一度再指定をしてやっていこうというくらいの姿勢がなければ、これはどうにもならない問題だと私は思うのです。取り返しがつかないことになってから、あとで騒ぎ立てたっておそいです。現にこの地域は、もう林野庁長官も御承知だと思いますけれども土地開発が非常に進んでいる場所でありまして、裏山がだんだん裸山になっていっている場所ですから、芦屋市や西宮市かいわいの市民の生活、財産を守るという点から考えても、この一、二年の間にこの問題を取り上げてどういうふうに対処なさるかということが大きな問題だと私は思うのです。この点についての御所信なり、先ほどおっしゃったことの具体的な中身について、実はこういうふうにやっていきたいんだということがあったら、もう少し聞かせていただきたいと思います。
  35. 福田省一

    ○福田政府委員 治山治水上問題のある場所につきましては国が直接買い上げる、そういう制度もいまはございまして、特に災害等が起こる懸念のあります山林につきましては、保安林の制度でこれを補完し、なお治山事業を施行しまして災害を防ぐようにいたしております。しかし国有林は、主として脊梁山脈地帯の大きな地域を一括してまとめてまいりたいと思うわけでありまして、地方の、特に山ろく地帯の都市周辺の地帯につきましても、これは最近住宅が密集しまして災害の起きるケースが多いわけでございますが、そういうところはやはり緑地として、あるいは保安林として保存していきたいという要請、それから住宅に使っていきたいという要請、いろいろな要請がございます。ですから私たちは、国が直接管理する面につきましては、大きな脊梁山脈地帯を考えております。その都市周辺の地域につきましては、できるだけ地方公共団体にそれをやっていただきたい。利用計画につきましては、それぞれの地域計画があるわけでありますが、土地の利用計画、あるいはそういった保全計画との関連は、やはり地方公共団体に判断していただきたい。それができるようなぐあいに国がこれを助成してやるという方向でいきたいというふうに基本的には考えておるわけでございます。したがいまして、都市周辺の地域につきましては、現在は保全林整備事業というのがございまして、地方公共団体がそこに緑地をつくる場合には、現にそれに対する補助の制度もございまして、去年までは三分の一でございましたが、それを二分の一の補助にしたという実例もございます。その判断はできるだけ地方公共団体にまかせる、国は何らかの形でできるだけそれを補助していくという方式をとりたい、そう考えております。
  36. 土井たか子

    ○土井分科員 いま長官の御答弁を伺いましたが、土地開発の問題について、特に住宅が必要であるということくらいはわかっております。しかし、いろいろな土地造成がずさんに行なわれることに対していまたいへんな非難があるまっ最中に、林野庁長官としては、やはり林野を守るということが主たるお仕事でなければならないはずなんです。土地造成だとか宅地造成なんかについてそういう姿勢で臨まれますと、いまずさんな宅地造成が進んでいることに対してのチェックも何もあったものじゃないですよ。一体何のために林野庁というものは存在しているのかというふうな疑惑さえ生ずるわけであります。  いまの元剣谷国有林について、先ほど、四十八年度の折衝を大蔵省にやってみたけれども、結局思うとおりにいかなかったという、縮めていえばそういう御答弁でありましたけれども、それでは具体的に、これからこの問題についてはどういうふうになさろうとするのかということを一言伺っておきます。
  37. 福田省一

    ○福田政府委員 この剣谷の地域につきましては、芦屋市ができるだけここを緑地として保全していくということを条件としまして、市でそれを管理していきたいというような考え方を持っておるように承っております。したがいまして、市のその地域についての保全が完全にいきますように、できるだけの援助をしてまいりたいと思うわけであります。  土地の開発について、一体、林野庁は野放しではないかという御質問でございますが、今回の国会で森林法の改正をいたしまして、行き過ぎた乱開発は規制してまいりたい、かような基本的な考え方を持っております。
  38. 土井たか子

    ○土井分科員 そうしますと、この問題については芦屋市まかせということでありますか。
  39. 福田省一

    ○福田政府委員 芦屋市が緑地として完全に保全していきたいということで購入したものでございます。私はそういった市の意思を尊重いたしまして、今後できるだけの御援助を申し上げたい、こう思うわけでございます。
  40. 土井たか子

    ○土井分科員 長官に芦屋市のほうから、具体的に国有林の再指定という要請が再々行なわれているのは、私は現に知っているのですよ。いまどういう方面からどういうふうにお聞きになっているか知りませんが、市議会の一致した決議、また市長の要請、これは国有林再指定という点では非常にはっきりしているのです。こういう問題についてはどういうふうにお考えでいらっしゃるのですか。
  41. 福田省一

    ○福田政府委員 先ほど学識経験者によっていろいろとこの取り扱いを検討していただいたのでございますが、先生の再指定とおっしゃる意味は、保安林の意味じゃなかろうかと思います。この問題につきましては、防災施設を完備するならばその必要はないという結論を得まして、その結果、市のほうにその問題について連絡いたしましたところでは、市は、それはよろしいということで、指定についてのあれは取り下げになっております。
  42. 土井たか子

    ○土井分科員 先ほどから、保安林、あるいはもちろん所轄の国有林について、緑を守る、それから林野というふうなものについてはこれをさらに育成していくという御趣旨のほどを少しほのめかされたわけでありますが、それならば、いまの芦屋の元剣谷国有林について、隣接いたしております、現に国有林の払い下げが予定をされている場所についての問題について、少しお尋ねをしてみたいと思うのであります。  これはいま元剣谷国有林の問題として取り上げましたところに隣接しております場所で、もうすでにこれも、昨年の十一月段階で党のほうからの申し入れもあったはずでありますが、約三・七ヘクタール、これは土砂流出防備保安林に指定されております。ところがこの場所を、具体的な名前をあげますと、芦屋学園と聖徳園という、いずれも私法人に対して売り渡すということが予定されているはずであります。この具体的な中身について、どういうふうにいま林野庁としてはお考えになり、また御予定があるかということを、それではひとつ承りましょう。
  43. 福田省一

    ○福田政府委員 ここは御指摘のように保安林地区でもございますので、使用目的は、学校がいろいろと学校目的を達成するために使用したいということでございまして、しかしながら保安林でございますので、その公共的な要請にこたえてあげたいとは思いますけれども、必要最小限度にしぼっていきたいということで、ただいま検討中でございます。
  44. 土井たか子

    ○土井分科員 万事何でも検討中ばかり続くわけであります。どういうふうに検討なさっているのですか。
  45. 福田省一

    ○福田政府委員 私が直接こまかに検討しているわけでございませんので、こまかいことは失礼いたすかもしれませんけれども、土砂流出防備保安林だと思いますが、この保安林の解除ということが必要でございます。保安林の解除ということになりますと、これは制限する要素がいろいろとございますので、その制限する要素に該当するかどうか判断することになりますので、すぐ申し出どおり解除するということは問題がございます。原則として保安林は解除したくないのでございますので、必要最小限度それにはどういうふうな面積が適当であるかということについて検討しているものでございます。
  46. 土井たか子

    ○土井分科員 それについて、保安林解除というのはなるべくしたくないといういまの御答弁ですが、昨年、農林大臣から急遽砂防指定地に指定をされておりますね。建設省が河川改修工事実施することにしているのは、売り払いによるところの地元住民感情対策として非常に配慮があるのじゃなかろうか、砂防設備というものを開発者にかわって国が実行しようとしているのではないかという考え方が現在非常に強くあるわけです。こういうことについてはどういうふうに考えていらっしゃるのですか。
  47. 福田省一

    ○福田政府委員 砂防指定地とおっしゃいましたが、ここは土砂流出防備保安林でございます。この土砂流出防備保安林の中に、たとえば道路であるとか学校敷というふうなものをつくっていきたいということでありますので、土砂流出というのは、へたに解除しますと、必ず土砂が流出して下流に迷惑をかけるわけですから、解除しても土砂が流出しないような、川に何らかの設備が必要でございます。必ずそういう条件がなければ解除できませんので、そういった点は十分検討しております。
  48. 土井たか子

    ○土井分科員 したがって、解除するための措置として急遽そういうやり方をなすったのではありませんか。
  49. 福田省一

    ○福田政府委員 御指摘のように、代替施設でございます、たとえば暗渠をつくる、あるいは水路をつくるとか、いろいろな設備がございます。そういう設備をはっきりいたした上でなければ解除いたさないわけでございます。
  50. 土井たか子

    ○土井分科員 そういうことをはっきりした上でならこの売り渡しということをやろうじゃないかといまお考えですか。
  51. 福田省一

    ○福田政府委員 ただいま申し上げましたのは保安林の解除の問題でございます。売り渡しの問題につきましては、先ほど申し上げましたように、この公共用目的を達成するために必要最小限度に限定いたしております。
  52. 土井たか子

    ○土井分科員 この必要最小限度というのは、どういうのが必要であり、どういうのを最小限度とお考えになっているのか。この問題に対して昨年十一月段階に申し入れがあって、その節も検討をするというお約束のままになっているわけでありますから、いま、あれからもう四カ月ばかりたってまだ検討中というわけにはいかぬだろうと思うのです。もう四十八年度の予算がまとまるのはおそらくは目の前でありますから、したがって、ここらあたりではっきりした返答を出していただきたいと思いますが、いかがですか。
  53. 福田省一

    ○福田政府委員 御指摘のとおり、できるだけ早く結論を出したいのでございますが、ただいまのところ、大体一年間に四千件以上の保安林解除の申請がございまして、大臣がこれを一々審査するのはたいへんでございますけれども、何とか簡素化していきたいが、簡素化するとかえって間違いを起こすという問題もありますので、その点、私は非常に悩んでおりますけれども、できるだけ早くこの問題を解決したい、かように思っております。
  54. 土井たか子

    ○土井分科員 これは、一つ一つの問題に対して簡素化なさるとすれば間違いの始まり、それはあたりまえです。しかし、簡素化を阻止すると同時に、一つ一つの問題については手放さないことを原則とするという態度をねじ曲げてもらったら私は困ると思うのです。このところだんだん国有林野事業の特別会計の赤字が多くなってまいりまして、そして国有林の払い下げ問題も年を追って多くなっているということにみんなの目が向いているまっ最中、こういうときに長官が英断をふるってやられるべきことというのは、赤字対策のためにいたずらに売り払うことが能ではない。それは、いかにして林野を守るかということでありますから、そういう点からすると、それは大蔵省あたりの姿勢の問題もありましょうけれども、やはり国民世論を喚起して、そして林野を守るという姿勢を原点としてとってもらわなければ困ると思うのです。この芦屋の今回の払い下げ問題につきましても、安易な払い下げというのは、これは認めるわけにはいかない問題だと思います。この点は検討中、検討中の連続でありまして、検討がもうずいぶん長い間続きますから、中身についても、私が申し上げたような問題を十分御検討いただいて、ひとつしっかりした姿勢で臨んでいただかなければ、また取り返しのつかないことになると思います。元国有林のあの剣谷問題の二の舞いにならないように、ひとつこの問題についても御検討を具体化してもらいたいと思うのですが、さしづめその御検討とおっしゃっている中身は、いつごろになったら具体的な問題として聞くことができるのでしょう。
  55. 福田省一

    ○福田政府委員 年度内に解決いたしたいと思います。
  56. 土井たか子

    ○土井分科員 年度内というと四月一日までですね。
  57. 福田省一

    ○福田政府委員 さようでございます。
  58. 土井たか子

    ○土井分科員 私は、まだほかに具体的に基本的な農林行政についての問題を質問したいと思っておりましたけれども、もうすでに時間が参りましたので、これはあらためてまた農林水産委員会のほうに申し入れをいたしまして、質問の機会を与えていただくようにしたいと思います。
  59. 細田吉藏

    細田主査 次に、中川利三郎君。
  60. 中川利三郎

    ○中川(利)分科員 私は稲の単作地帯として知られる秋田県の選出でありますが、ここではまた、出かせぎの日本一、こういうありがたくない名称もちょうだいいたしておるわけでございます。そこでの特徴は、何よりも百姓ではままが食われない、めしが食えない、こういうことから、半年もの間、あるいはそれなりの期間、家族や妻子と別れて、災害や自分の健康のことやらいろいろなことを心配しながら都会へ出て労働しておる、こういうことでありますが、一方残された農村を見ますと、過疎と荒廃が進行しまして、秋田県の中でも、六十九町村がありますが二十一市町村がすでに過疎指定を受けておる。出かせぎの悲劇もあとを断たない。それだけではなくて、そのことが子供たちの心を大きくむしばんでいる。こういうことについて私に話せといえば、あしたの晩まで話すことができるのでありますけれども、いまはとりあえずさておきまして、大臣にお聞きしたいのでありますが、出かせぎ者をどうとらえるかということですね。出かせぎ者というのは、これは一体農民なのか労働者なのか。おたくが対策を立てるという以上、これの位置づけ、とらえ方がはっきりしていなければならないと思う。そういう点で、まずどうとらえたらいいのか、皆さんはどうとらえているのか、このことについてお聞きしたいと思います。
  61. 小沼勇

    小沼政府委員 出かせぎしている人が全部が農民ということではないと思いますが、しかしかなり多くはやはり農民でございます。出かせぎ労働者ということで、雇用面から見るならばこれは労働者でございますから、そういう意味では出かせぎ者もいわゆる労働者であります。しかし、一面、農業を家でやっているということでございますと、当然農業サイドからいろいろの問題がありますし、農政の一環としていろいろの問題を解決していかなければならないという側面があるわけです。そういう意味では、労働者であると同時に農民であるという面が非常に多いと思います。
  62. 中川利三郎

    ○中川(利)分科員 出かせぎ一般でものを聞いておるのではなく、いま特徴的に農村から出ておられる出かせぎについて聞いておるのですから、そのつもりで聞いていただきたいのです。  農民がなぜ出かせぎしなければならないのか、なぜ妻子と離れていまのようないろいろな問題を起こしながら出かせぎしなければならないのか、そこについて、大臣、簡単でいいですからお答えいただきたい。
  63. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 農村で働いておって十分所得が上がらない、農閑期に出かせぎにいくほうがより収入がある、こういうような経済的な点から出かせぎに行く場合と、それから農村における農業をやっていく上においての、ときに生産意欲が非常に後退しておって、出かせぎにでも行ってみるかというような場合もあるかと思うのであります。いずれにしても、現在の出かせぎの方々の多い農村におきましては、農家経営というものが十分でない、こういうことだと思うのでございまして、これはそれに対する施策をわれわれは考えているというわけであります。
  64. 中川利三郎

    ○中川(利)分科員 一言でいえば、百姓ではままが食えない、めしが食われない、これが出かせぎの根本原因だということをあなたはお認めになるわけですね。
  65. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ままが食えないという場合と、より以上の所得を得たいという場合、一言でこういう出かせぎ問題を言い切ることはできないかと思いますが、しかし、御指摘のような要因もあるということは私も認めます。
  66. 中川利三郎

    ○中川(利)分科員 出かせぎをそういうふうに安易に考えてもらっては困るのですよ。ここに私の地元のいろいろな新聞があります。あなたの言うような、もっと所得などという問題ではない。これは二月七日の地元の新聞です。「夫の出かせぎを苦に自殺?」「調べでは、クニさんは夫が出かせぎに行くことに反対しており」云々ということが書いてあるわけですが、これは、水田、畑合わせて一ヘクタール以上の中流農家で、豚十七頭も飼育しているのです。この成田クニさんは、「口ぐせのように娘三人が東京に行ったうえ、夫までも出かせぎに行っては一人残されるといっていた。」「出かせぎに行かなくともよいように豚を飼ったが、これだけの飼育では出かせぎに行かないわけにはいかない」というので自殺した。その次の新聞を見ますと、三月二日の新聞に、「出かせぎ家庭を調査、平鹿総合病院栄養不足と過労 相談相手なく精神的にも深い悩み 留守の主婦はクタクタ」ということが書いてある。三月三日の新聞には、「能代農高生就業希望わずか30パーセント」、農業高校を出ても、八割は現在の農政に希望を持っていないという。その次は二月十六日の新聞です。「出かせぎの三人生き埋め死ぬ 大崩バイパス工事で」。これが出かせぎの実態ですよ。そういうことからしますと、出かせぎが特殊な形態でなされる、つまり半分は労働者だ、半分は農民だというこの事実に対して、これは特別な対策を講じなければならない存在だ、そういう現象だということをあなたはお認めになりますか。
  67. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 いま幾つかの事例をおあげになりました。私もそういう事例に対する認識がないわけではございません。また御指摘のように、出かせぎ家族の留守の場合のいろいろな悲惨な場合もよくわかっております。そういうことでありまするから、出かせぎ対策につきましては、農林省自体の施策とともに、労働省の施策とあわせて、われわれとしてのできるだけの努力をしておるところでございます。
  68. 中川利三郎

    ○中川(利)分科員 いまも大臣もお認めになりましたように、そういう状態でありますれば、この際、抜本的に出かせぎ対策を考える時期にきているのではないか、単なる突き合わせでなくて。そう考えますが、どうお考えになりますか。
  69. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 それはもうお話のとおりでございます。でき得る限りの施策を講じて、一面出かせぎによって起こるいろいろな問題に対処するとともに、根本的には、先生も当然御指摘になると思うのですが、出かせぎが起こらないような施策、農家の所得が向上するように、生産性が向上するように、経営規模が適切になるように各種の施策を講じていかなければならないと思います。
  70. 中川利三郎

    ○中川(利)分科員 そういうふうに抜本的な検討に値するものだということをおっしゃったわけですが、それならお聞きしますが、これはだれが答えるかわかりませんが、出かせぎに関係する官庁は何々がありますか。
  71. 小沼勇

    小沼政府委員 各省の所管にまたがる分野が多いと思いますけれども、その中で、特に労働省と、あと農業関係ということで、農林省の農政の関係がございます。
  72. 中川利三郎

    ○中川(利)分科員 出かせぎ者は、農林省へ行けば労働省に行けと言われる。労働省に行けば農林省に行けと言われる。子供のいろいろな問題は文部省の管轄もある。厚生省の管轄もある。大蔵省の管轄もある。建設省の管轄もある。これが出かせぎの実態でしょう。あなたが言ったような、そんな単純なものじゃないんじゃないですか。
  73. 小沼勇

    小沼政府委員 いま申しましたように、各省にまたがる問題でございますが、特に労働省が中心で雇用対策の一環として施策をやっておるわけでございまして、農業サイドの問題につきましては、十分これについて政策を進めてまいりたいというふうに考えておるわけであります。
  74. 中川利三郎

    ○中川(利)分科員 それならお伺いしますが、出かせぎ問題の統括官庁、窓口官庁はどこですか。
  75. 小沼勇

    小沼政府委員 出かせぎ労働者が雇用労働者として就労するという意味においては、労働省ということになろうかと思います。ただ、出かせぎの労働者の多くが農民でございますので、その意味では、農政の一環として考えていくということで農林省になると思います。
  76. 中川利三郎

    ○中川(利)分科員 私が聞いているのは、出かせぎという、複雑な入り組んだこういう社会現象が生み出した、特に自民党農政が生み出したこの問題に対して、どこが窓口官庁だかということを聞いているのです。そうすると、あなたの答えた、窓口はあっちにもあればこっちにもある、窓口はたくさんに分かれているということですか。
  77. 小沼勇

    小沼政府委員 窓口ということでございますが、出かせぎ先につきましていろいろ雇用関係の問題がございますが、そういう面では、やはり雇用労働者としては、窓口は労働省であるというふうに考えております。
  78. 中川利三郎

    ○中川(利)分科員 だったら、その問題ごとに文部省に行ったり、大蔵省に行ったり、厚生省に行ったり、労働省に行ったり、建設省に行ったりそのときごとに出かせぎ労働者は一々あちこち回ればいいということですか。
  79. 小沼勇

    小沼政府委員 ただいまお答え申し上げましたようなことで、雇用先におきましての問題等処理する場合に、当然雇用労働者として扱いますので、これは窓口は労働省であろうというふうに考えております。なお、農林省では農政の一環として、出かせぎに伴う農業問題等についてはいろいろの関与もございますし、そういう留守宅の問題、あるいは営農指導の問題等、個別にわたる問題もございますので、これにつきましては農林省が扱っていくということでございます。
  80. 中川利三郎

    ○中川(利)分科員 きょうここへは建設省も来ている、労働省も来ているはずですので、どこが窓口だか、一言ずつ教えてください。あなた方、何と考えていますか、一言ずつ答えてください。
  81. 加藤孝

    ○加藤説明員 出かせぎ労働者の方々が使用先に出かせぎの形態で雇用労働者として来ておられるわけでございますけれども、雇用労働者たる側面につきまして、出かせぎ労働者を雇用労働者ということで、私どもがこれについては担当するという考えです。
  82. 井上孝夫

    ○井上説明員 建設省におきましては、労働省の雇用対策の観点の中で、雇用されている出かせぎ労働者の方の就職先の多くが建設産業であるということでございまして、そういう意味で、建設産業における労働者という一環におきまして、建設産業の規制ないし育成をはかりますところの建設省計画局が、そういう意味におきましての窓口だというふうに考えております。
  83. 中川利三郎

    ○中川(利)分科員 そうすると、いまのお話を聞けば、それぞれの所管官庁がそれぞれやっているということであって、そこでどうして抜本的な対策だとか出かせぎ行政を推進するということができるのですか。窓口もない、責任ある官庁もないということでしょう。責任ある官庁が何にもないのでしょうか。それぞれの分野ではあるでしょうけれども、それを統括するところが何もないということはどういうことですか。農林大臣お答えできますか。総理に来てもらってお答え願わなければならないものじゃないかと思うのですが、どうですか。
  84. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 これは中川委員は十分理解の上で御質問だと思うのですが、この出かせぎが起きたという、その起きたところからは労働省が中心であり、そしていまの話もありましたように、その雇用先が建設関係であれば建設省も関係が出てくる。しかし、出かせぎそのものという意味からいえば、それは出かせぎに行った以上は労働省が中心だと思うのです。しかし、その出かせぎが起きないように、また留守の農家をどうするかということがもっと基本的な問題ということになってくる。農業地帯からそういう人が出るというようなことはどうか、こうなってくるときには、これは農林省がそういうことが起きないようにつとめる。こういうことで、これはいろいろな場合でも、それぞれものごとが起きたときに各省に必要によって枝葉が出ていくということは御理解の上での御質問だと思うのですけれども……。
  85. 中川利三郎

    ○中川(利)分科員 何ぼ聞いても窓口はないということですね。出かせぎ対策を府県ではつくっているんですよ。だから、窓口を一本化せいということは、出かせぎ労働者の長い間の要求の中心的な眼目ですよ。いまの段階になって、まだそういう、どこに責任があるかわからないような状態で、どうして有効に出かせぎ対策を進めることができますか。返事してください。(発言する者あり)
  86. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 いま不規則発言で御指摘もございまするように、また私もお答えいたしましたように、この出かせぎに行ったというときの中心は労働省であって、そうしてそれぞれいろいろな問題で枝葉が出るということを先ほどお答えいたした次第でございます。
  87. 中川利三郎

    ○中川(利)分科員 枝葉はわかりますが、肉はどこにあるかということを聞いておるのです。
  88. 加藤孝

    ○加藤説明員 私どもも、出かせぎ労働者の皆さんがいろいろ困難な問題をたくさんかかえておる、特に家族を郷里に置かれまして、そうして家族と離れて遠い地へ一年近くも出られるというようなことに伴います、たとえば、問題として起こっております賃金の不払いの問題であるとか、あるいは宿舎が非常に非衛生的な問題であるとか、そういう問題につきまして、労働省としては、できるだけの改善のための努力をしていくということで臨んでおるわけでございます。
  89. 中川利三郎

    ○中川(利)分科員 窓口がどこにあるかと聞けば、労働省がこうだとか何省がこうだとかということで、ばらばらでどうして出かせぎ対策を総合的に抜本的に進めていくことができるかと聞いておるのです。
  90. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 私からははっきりお答えを申し上げておると思います。出かせぎに出た以上は、それは労働省が中心である。しかし、このいろんな行政面で枝葉に分かれた問題も、これは否定するわけにいかないと思うのです。
  91. 中川利三郎

    ○中川(利)分科員 そういう状態であれば、出かせぎ者は今後とも、問題によってはあっちの省こっちの省たらい回しされるのはあたりまえだ、こういうことですね。
  92. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 そういうことじゃないと思うのです。必要に応じて、また多少の問題もあるということを申し上げておるので、私が農林省立場から、いま労働大臣もおられないときに、私がそれはもう労働省の責任だというふうに申し上げては行き過ぎになりまするから、多少ことばが少し弱い表現になりまするけれども、御了承いただけるものと思います。
  93. 中川利三郎

    ○中川(利)分科員 それでは結論的に、こんなことで時間をとってもしようがないから、お伺いしますが、窓口一本化ということは長い間の出かせぎ者の要求なんですよ。大眼目なんだ。農林大臣がここに音頭をとって、一本化するように努力するかどうか、ここをひとつ一言だけ聞いておきたいと思います。
  94. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 そういう努力をすることにはやぶさかでございません。
  95. 中川利三郎

    ○中川(利)分科員 たいへんいい話を聞いてありがとうございました。  そこで、次にお伺いしますが、いま、そういう意味からも、出かせぎ者の抜本的な対策として、出かせぎの特別立法をつくれ、こういう声が、要求があるわけでありますね。これはもう御承知だと思いますが、特別立法をつくる気がないかどうかということをお伺いしたいと思います。
  96. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいま私が答弁を申し上げておるように、私のお答えが行き過ぎになるおそれがあるので控え目に申し上げておる。そういう中心がきまれば、その中心が必要があれば立法措置も講ずる、こういうことになると思うのです。しかし私も、出かせぎ対策にもっと力を入れる、努力をするということを申し上げておる以上、そういう面からの努力は私は怠るものではございません。
  97. 中川利三郎

    ○中川(利)分科員 中心がないということで、はからずもばらばらになっているということを認めたわけでありますが、出かせぎの特別立法化の問題について、建設省、労働省はどういう見解を持っていますか。
  98. 加藤孝

    ○加藤説明員 労働省で現在やっております出かせぎ者の皆さんに対する対策の内容といたしまして、一つは各種の援護措置がございます。各種の援護措置につきましては予算措置で実施をいたしておるわけでございます。  それから、労働条件に関します面につきましては、事業主に対する行政指導、こういうような形でやっておるわけでございます。  それから、具体的に、同一の現場、たとえば建設現場におきまして有給休暇の問題を一つとりますと、ある方については、出かせぎ者であるために有給休暇がある、ある方については出かせぎ者ではないので有給休暇がない、そういう労働条件の労働基準という面になってきますと、同一現場にあってそういうふうな基準が違うというような問題が出てきますので、出かせぎ立法そのものにつきましてはなかなかむずかしい問題が技術的にはございますが、しかし、かねてからこの出かせぎ立法は非常に強く要望されておる問題でもございまして、私どもとしては、ぜひ前向きの姿勢でその検討をいたしていきたい、こう考えております。
  99. 井上孝夫

    ○井上説明員 一本の特別法という点につきまして、私ども建設省といたしましては、出かせぎ労務者の方の就業先の多くを占める建設業を所管するという立場でございます。いわば大ぜいの中の一つでございますので、窓口がきまりまして、その窓口官庁の方針によりまして、それと連帯を密にしながら協力をし合って必要な措置をとっていくという態度でございます。
  100. 中川利三郎

    ○中川(利)分科員 何だかばらばらでよくわからないけれども、私は頭が悪いせいかわかりませんけれども、いずれにいたしましても、現行法規を援用しても出かせぎ問題は解決できないのですね。いま有給休暇の問題のお話がありましたが、たとえば有給休暇にしても、労働基準法からいえば、一年以上働かなければ有給休暇がもらえない。出かせぎという特殊事情のために、家族が病気だ、あるいは死んだ、雪おろし、雪かき、税金の申告をやるために、たとえ一カ月に一日でもいいから有給休暇をほしいといった場合、現行のどの法規をどのように直すのか。なかなかできないから、ここでどうしても立法化の問題が出てこざるを得ない、こういうことだと思いますが、こういうことで、農林大臣は個人的に――個人的でない、またほかの各省とも相談しなければここで断言できないと言うけれども、そういうものだということについて、あなたの御認識はどうですか。
  101. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいま労働省のほうの担当官のほうでお答えをしておるように、そういう特別立法の必要ということよりも、現状におきましては、現行法によりまして遺漏なくやっていくととがまず第一であります。しかし、それで不十分である、そういう御認識で御指摘であるということでございまするから、私が特別立法について、私の立場からそれに協力するということについてはやぶさかでないというふうに、先ほどから申し上げておるとおりでございます。
  102. 中川利三郎

    ○中川(利)分科員 いま一例を申し上げただけですが、現行法ではどうにもならないことがたくさんあるのです。たとえば一方で出かせぎ現場では、皆さん方は健康保険にかかっているのです。うちでは国民健康保険にかかっている。税金を二重に払っているのです。こういう問題もあります。これをどうして解決するかという問題がある。だから、大臣がひとつ積極的にこの問題で立法化の措置を考えていただきたいということを、あらためて指摘しておきたいと思います。  時間もないですけれども最後にお伺いしたいのは失業保険の問題でありますが、地場へ帰りまして失業保険として二千五百円もらえるのが、職業安定所へ行きますと、地場賃金だから千五百円のところへ就労を強制紹介されるわけですね。遊んでいて二千五百円もらえ、働いて千五百円、こういう矛盾が現実にあるわけです。そうして、それではひどいじゃないか、そういうところへ行かないと言うと、就労する意思がない者だということで失業保険を打ち切る。低賃金の構造を皆さん方が積極的につくってやっている、こういう状態があるわけでありますし、こういう問題は、直接農林省関係もないといえばそれまでですが、しかし、出かせぎの足をとめるということは政府全体のかけ声であってみれば、当然こういう問題は重視しなければならないと思うのです。こういう失業保険の矛盾に対して改正する意思はあるかどうかということをお伺いしたいと思います。
  103. 加藤孝

    ○加藤説明員 私、直接失業保険の担当ではございませんが、かねて失業保険の問題につきましては、いろいろ窓口での問題への御指摘を受けておるところでございます。失業保険制度が、労働の意思と労働の能力、こういう二つを要件としておるわけでございまして、そういう形の中で現行制度が組み立てられておるわけでございますが、御指摘がございますような非人間的な行政が行なわれないよう、十分業務の現行制度については見直して見ていきたいと存ずるわけでございます。
  104. 中川利三郎

    ○中川(利)分科員 だから、遊んでいて二千五百円もらえるのが働いて千五百円しかもらえないというのは、非常な法律の矛盾です。こういう点についておやりになっていただくことを特に要請しておきますが、いま一つは三省協定の問題。農林省と何省だかわかりませんが、三省協定で賃金というものはきめられています。公共事業単価ですね。ところが秋田県、青森県、岩手県の場合は二千五十円です。ところが実際農民や労働者に支払われる金額は千五百円ぐらいが相場なんですね。それに対して、役所は内部に干渉することはできないということで、依然としてそういう三省協定賃金さえも大幅に下回る低賃金が払われていることに対して、ほとんど指導監督もしておらないという問題がありますね。だからこそ出かせぎがどんどん出るのですよ。せめて三省協定の賃金は守っていくということを最大の基本として皆さん方がやらなければ、出かせぎ対策なんというのはかけ声だけになってしまうわけですから、この点についてはどう考えておりますか。
  105. 小沼勇

    小沼政府委員 三省協定の基準額につきましては、公共事業に使用する設計労務単価を掲げたものでございます賃金の実態を調査しまして、地域別、職種別に定めております単価が工事費の積算に使用されるものであります。そういうことで、調査結果に賃金の地域格差がある程度実態として出てまいっております。それが労務単価にも反映してくるというのはまあやむを得ないというふうにも考えられますが、農林省といたしましては、このような考え方に立ちながらも、今後、賃金の格差発生の主要因が建設の労働力の需給関係にあるというふうにも考えられますので、公共投資による農村部の雇用機会の増大をはかるというふうなことも含めまして、できるだけ格差を是正する方向で努力いたしたいというふうに考えております。
  106. 中川利三郎

    ○中川(利)分科員 いま三省協定の労務単価というものは、地域の単価の実情に合わせてきめられて、それが二千五十円なのに、実際払われているのはそれよりずっと下である。秋田県の実情を調べてごらんなさい。千五百円ぐらいしか払われていない。地域の実情からまだまだそういうことで、結局、土建屋をもうけさせるような結果になっておるのですよ。そういうことに対して強力に指導していただきたいということ。  私の時間参りましたからこれでやめますけれども、大体いまちょっと三十分くらい話しただけでも、皆さん方の出かせぎ対策なんというのは、小手先で対策をとりながら、大筋で出かせぎをふやす、こういうやり方のような感じがしてならないわけですね。そういう点で、いま、農業がつぶれて出かせぎがどんどんこれからもふえてくる。列島改造論の中ではますますまたふえる、こういう状態でありますから、ひとつ出かせぎ問題を、単に農業の余暇だとか近代化の余りものだというようなことでなしに、ほんとうにこの方々の立場に立って強力なきめのこまかい配慮をしていただきますことを指摘しておきまして、私の質問を終わります。
  107. 細田吉藏

    細田主査 次に、柴田健治君。
  108. 柴田健治

    柴田(健)分科員 時間がくくられておりますから、簡単に二つの点で質問を申し上げたいと思います。  まず第一点は、もう農林省も十分認識され把握されておると思いますが、牛の奇病といわれ、いま奇形児がだんだん産まれておるわけであります。これは三十四、五年ごろからぽつぽつそういう奇形児が産まれてきた経緯があるわけですが、昨年の夏ごろから非常に発生が急激にふえて、特に鹿児島、宮崎という地域、そしてまた熊本、大分、愛媛、高知、香川、広島、岡山、千葉、茨城、栃木、神奈川ということで、いまや関東の方面にも広がって、これは全国的に広がる可能性がいま出てきておる。こういう牛の奇病について、農林省はどういう把握のしかたをし、どういう計策をしておるのかということでお尋ねを申し上げたいと思うのであります。  まず第一点は、原因究明が急務中の急務だと君たちは判断をしておる。この原因についてどういう解明をしておるのか、どういう調査をしておるのか。これは技術的な問題がありますから、畜産局長のほうからまず御答弁を願いたいと思いま  す。
  109. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘の牛の早死、流産の問題につきまして、お話のとおり、昨年八月から南九州地域を中心にいたしまして発生いたしました。その後、東のほうは千葉、茨城まで約二十県に及んでおるわけであります。これにつきましては、その原因については、国といたしましては、家畜衛生試験場をはじめ宮崎大学その他大学試験研究機関、及びそれぞれの地域の家畜保健衛生所等におきまして、環境の要因なり飼養管理、あるいは授精状況等、あらゆる角度から調査を進めるとともに、病理学的な検索を行なっているところでございまして、飼料なり農薬なり、あるいは種の雄牛なり、あるいは人工授精による要因というものについて検討をしてきたわけでございますが、現段階で専門的な立場からの判断では、おおむねそれらの要因ではなくて、ウイルス性疾患と見られる病変が子牛等の中枢神経系に見られることから、ウイルスの分離同定試験に全力をあげておるところでございまして、また、母牛及び子牛につきまして、血清学的な検査により原因究明につとめておるのが現段階でございますが、まだ、いかなるウイルスかという点について、同定の結論が出ておらないのが現状でございます。
  110. 柴田健治

    柴田(健)分科員 いま局長のほうから、原因究明、解明について総力をあげてやっておる、家畜衛生試験場を主体としてやっておられるが、原因がまだ十分わからないという結論の報告なんですが、残留農薬説だということも一方ではいわれ、配合飼料説ではないかという説、また環境の変化によってそういう事態が起きておるんではなかろうかという環境説、それからウイルス説、また人工授精の技術不完全というか、そういう器具を十分消毒をしてないという乱雑性からきておるのではなかろうかと、いろいろ憶測は流れておるわけですね。憶測は流れておるけれども、実際科学的に権威ある結論ではない、ただ憶測だ、こういうことになる。しかし私は、この局長が言われたところがぴんとこないですね。  いやしくも三十四年、五年からもう多少発生してきている。これは畜産局も知っておられると思うのです。もう発生しかけて相当の長期間になっている。農林省が誇る日本の畜産の技術陣がいまだに結論が出ないというのは、本気でやったのかどうかということなんです。あれだけの陣容があって本気でやれば、結論は早く出ると思うのですよ。その結論が出ないというのは、本気でやってないんじゃないかということも一方では考えられると私は思うのですね。ところが農林省のほうが非常に連携が悪いのではないか、都道府県との連携が不十分ではないのかということと、もう一つは技術陣の熱意の問題だ。それは私は農林省のほうも考えなければならぬ、農林大臣も考えなければならぬと思うのですよ。合理化というか行政整理でもああいう技術陣はふやさなければならぬ時期に来ておるにもかかわらず、同じように〇・五%の首切りをやるというやり方、こういうところに職員の意気が非常に停滞をしているということもいえるのではなかろうか。あれやこれや総合的に判断してみてもう少し日本の技術陣の強化をすべき方向に来ておるにもかかわらず弱体化するような方向を歩んでおるのではないか。こういうことを指摘したいと私は思う。この点について畜産局長はいまの陣容で自信がある、緊急に結論を出す責任を持てるかどうか、その点をひとつ明確にお願いしたいと思います。
  111. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 先生御指摘の畜産に関する、特に家畜伝染病予防等病気に対する試験研究の強化等につきましては、その体制その他については所管の農林水産技術会議事務局長からお答え申し上げますが、私どもといたしましては、農業の発展部門の一つでございます畜産につきましては、家畜飼養頭数の増加その他経営管理方法の変化等に伴いまして、家畜疾病等の部門だけをとりましても、その試験研究の充実強化等については非常に強い要望を持っておるわけでございます。この意向は農林水産技術会議等に対してもかねがね要望し、重要な点についての検討は進められておるわけでございますが、ただ先生のおっしゃいましたこの流産の問題は、先生御指摘のように三十四年ごろに兵庫県に発生しておるということでございまして、その後十数年――平年的な流産は大体年間三%くらいでございまして、特殊な病因によります原因等についてはその後発生を見なかったわけでございまして、それが今回の相当な発生件数にかかわらずなおその病因の断定が、結論は出てないというような状況にあるということを申し上げさせていただきまして、ただいまの試験研究体制に対する強化の問題について農林水産技術会議事務局長からお答えさせていただきます。
  112. 中澤三郎

    ○中澤政府委員 畜産関係の試験研究体制が不十分ではないかという御趣旨の御質問でございますが、公務員全体に関する定員増がなかなか困難な事情にございますが、その中で先生御指摘のように、試験研究者につきましては格別の措置はとられております。とられております状況の中で、私たちが畜産の範囲問題を考えます場合に、最近におきますところの選択的拡大部門としての畜産の重要性が非常に大きうございますので、研究費の配分につきましても最も重点的に畜産部門を考えておるわけでございます。農林省全体の試験研究の情勢からいいますと、その畜産部門が占める試験研究費のウエートというものは、七、八年前に比べますとかなりウエートが高まっておる。絶対数そのものにつきましては、定員増は全体との関係でなかなか思うようにいきませんけれども、充実をはかってまいるつもりでございます。特に最近におきますような多頭飼育というようなことになりますと、多頭化に伴ういろいろな技術の問題あるいは病気の問題が出ております。したがいましてこれらに関しましては研究施設の質の向上あるいは新しい最新の機械設備を入れるというようなことによりまして、進展する畜産事業の裏づけとなるべき技術に関しまして立ちおくれなり、あるいは先行的な研究がなされないというようなことが万一にもないようなふうに持っていきたいということで努力しておる次第でございます。
  113. 柴田健治

    柴田(健)分科員 私はそういう答弁を求めているのではなしに、現在もう非常に急を要しているからいまの陣容で責任をもって早急に結論が出せるのか出せないのか、その自信を示してもらいたい。これが第一点です。それから、いまの陣容では間に合わないということになれば全国の大学でも緊急に手配をしてお願いをして、大学の技術部を動員してでも至急に原因究明をするんだ、こういう体制づくりをしてもらいたい。この点についてできるのかできないのかということを簡単にお答え願います。その点はどうかということです。
  114. 中澤三郎

    ○中澤政府委員 問題が非常に重要でございますので、私たちといたしましては、単に農林省の研究機関だけではなくて関係する大学等の協力を得て現在できるだけ早くこの原因を明らかにしたいという観点で鋭意取り組んでいるわけでございますが、早急に結論を出し得るかどうかということに関しましては、ただいま畜産局長からお答えいたしましたように、いろいろ考えられる原因のらち、現在のところ農林省のこれまでの研究結果によりますと、ウイルス説ではないかということで、重点的に精力を集中しているわけでございます。いつまでにできるかということにつきましては、現在ようやく六種ほどのウイルスが分離されたという結果が出ておりますが、これが新しいウイルスであるかどうかということにつきましては、やはり同定をするということになりますと、まだ相当の時間がかかりますので、いつまでに結論を出し得るかということをにわかに申し上げるわけにいきませんが、いまもしこれが新しいウイルスだということがわかるならば結論を出し得るといいますか、一つの曙光を見出すのにかなりスーピドアップができるのではないかというふうに考えておる現状でございます。
  115. 柴田健治

    柴田(健)分科員 ここで皆さんと討論しても農家を一軒一軒回ってみると、国も県も冷たいのだ、何もしてくれないという声がどの農家からも異口同音に出るのですよ。だから皆さんが、農林省が本気で取り上げて都道府県に督励をし、連携を保ちながら適切なる措置を講ずる、いま調査研究、原因究明にはこうやっているというぐらいの、そういうものが末端に流れないと農民は信頼してこないし、ますます不信感と不安感をかり立てて、この問題は畜産振興全体に影響してくると私は思うのです。いま農家は奥さん連中が大体畜産の、飼育の主役になっているのですよ。あなた方も御承知のとおりだと思うのです。この御婦人の畜産熱というものはいま非常に高まってきている。昔と違っていまは奥さん連中の畜産熱は高まってきた。母性愛というか人間愛というか人類愛というか、そういうものから来る動物を愛していくという気持ちがある。ところが女の方は正直に言って、あんな奇形児を見たらもうあと飼う気がしないのです。あんな奇形が生まれたらもうあと飼いたくない、もういやになった、こう言っているのですよ。この精神的なショックというものは非常に大きい。これは一日も早くとめなければならぬ。これは当然農林省の任務だと思うのです。そしてその中間に博労組合という仲介業者がおって、もうあなたのところの牛はだめなんですよ・もう早う売りなさい、これは廃牛ですよ。こういうことで買いたたかれて、まあ御主人と相談して、あんな牛の子ができるのならもう売ってしまおうじゃないか、もうやめようじゃないか、こういう声がいまや蔓延しておるのですよ。これがおそろしいのです。この点を農林省はもっと理解をし、認識をして、そういうものを、もろもろのものの分析の上に立って早急にこの結論を出していく、究明をしていくという責任を感じてもらいたい。農林大臣、この点についてどうですか。
  116. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいまの御指摘、私十分実情を承知しておらないものでございまして、たいへんありがたく承ったわけでございます。御指摘のような事態はこれからの畜産振興の上に確かに大きな影響があると思います。ただいま認識を新たにいたしましたから、その立場でこの牛の奇病についての原因究明を急ぐとともに、また関係都道府県との連絡の上で、畜産意欲が落ちないように努力をいたしたいと思います。
  117. 柴田健治

    柴田(健)分科員 それから局長がウイルス説を出されましたが、ウイルス説は、人間でもそうですが、一種の伝染病なんですね。伝染病ということを不用意に出すと、これまた一軒奇形児が生まれたというと、その付近の農家がたいへん心配してくるわけですね。ですから、結論が出ない前に不用意にウイルス説を流すことは不見識だと思うのです。そういうことはもっと慎重に考えてもらわなければいかぬ。そこが、農林省とすべての出先機関の連絡が十分でないということがいえると思う。かってな説を流してああだこうだと言う、そこのところに、連絡がしてないという証拠が私は明らかになると思うのですね。そういう点は慎重を期してもらわなければならないし、そういう説をとるとするならば、要するに焼却法だとか埋葬、いろいろな方法で奇形児の処理をしておられると思います。   〔主査退席、山崎(平)主査代理着席〕 また当然やっておられると思うのですが、そういうことを考えて、いろいろ今日――十数年間、農林省はあまりにも無責任だった。私はこの責任を追及するというのでもなければ、ただ皆さんを責めるというのではないけれども、やっぱり人に言われなくても責任を感じてもらうという基本姿勢が農林省にあってほしい。どこまで責任を感じておるのか。そしてそういう責任をある程度感じていただいて、あとどうするか。まず、先ほど申し上げた原因究明を早急にやる。いまの陣容ではやれない、けれども先ほど技術会議の事務局長言われたように、とにかくあらゆる技術員を動員してでもやるんだという、そういう熱意はわかりました。それは怠ってはいけないので、やってもらわなければいけませんが、まず農家をどうするか、そういう農家に対する手当てをどうするか。それから、農林省責任を感じて、そういう畜産振興に影響するということを十分に配慮しなければいかぬ。とにかくその農家に対して、たとえば素牛とか育成牛、また乳牛にしてもそうですが、あとの牛の購入の補助をふやしてやるとか、また低利の融資をしてやるとか、そういう点の処置がとれるかとれないか。私は、その点の処置はとれるだろう、とらなければならぬ。十数年ほうってきた責任上、そういう補助の増額なり低利の融資を被害農家についてはとるんだ、そういうことを一方では示しながら、安心してくれ、原因の究明もやるんだぞ、こういうことで両面の意思表示があってしかるべきだ。どうですか、この点は。
  118. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、今回の早死流産につきまして国の関係研究機関及び大学その他都道府県等含めまして最大限の原因の究明にあたっておる、早急に結論を得たいという努力をしているということについてのインフォーメーション等はまずやるべきである。さらに先生は、伝染性疾患を不用意に言うべきでないというような御注意もございましたが、私どものただいまの専門的な立場で、えさなり飼養管理なりあるいは農薬なりその他につきまして諸般の検討の結果の推移はウイルス性疾患ではないかという、ただいまの技術会議の事務局長お話もございましたように、おそれがあり、数種のウイルスも検出されてきているというような事態でございますので、ウイルス性の伝染性の疾患であると思われる。したがいまして、家畜伝染病予防法の活用によりまして、家畜保健衛生所の検査なり消毒あるいは指導、そういうものを徹底させるべく、それらについての経費の手当て等も十分行ないまして、一方における国なり関係機関の原因究明の努力と、それから伝染性疾患に伴うもろもろの予防措置というような点についてただいま努力中でございますが、さらに、先生のほうが御案内かと思いますが、母牛自体異状を認められないわけでございまして、すぐに種がつくということが各県ともに明らかでございます。したがいまして種つけを促進する。また先生から非常に御注意がございましたような早死流産なり、奇形を生んだので農家が手放す、そういうような家畜商等による買いたたきということがないように、母牛自体は異状がない、したがって早期に種つけを行なうというような指導をただいま行なっておるところでございます。その後の対策等につきましては、ただいま、二月に至りますと、数字の示すところでは相当下火になってまいりましたが、これらの実情等を十分見まして、たとえば種つけに伴う優良な人工授精液の無償の供給等を行なうとか、あるいは素牛導入に伴う従来の店務がある場合においては債務の償還等を制度金勘その他において行なうとか、諸般の施策というものを段階に応じまして早急にやっていきたいというふうに考えておるわけであります。
  119. 柴田健治

    柴田(健)分科員 あなたのことばを聞くと、もうウイルス説が確定的のように聞こえるのですが、そういう確定的だということに判断してもよろしいか。
  120. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 家畜衛生試験場その他日本大学あるいは宮崎大学等の専門家の意見をわれわれ行政事務の立場としては尊重する以外にないわけでありますが、それらの関係専門技術者のおおよその判断はウイルス説であるということだけを申し上げておきたいと思います。
  121. 柴田健治

    柴田(健)分科員 この点については今後問題が尾を引くと思いますから、いずれまたいろいろな機会にこの畜産振興全体の問題の中から論議をしなければならぬ、こう思います。  時間がございませんから、簡単に次に進ませていただいて、石油たん白の問題ですね、これについて大臣に見解だけ聞いておきたいと思うのです。  国民世論の前に厚生省が屈服をしたという形になり、また企業のほうも中止をした、こういうことになっている。そこまではいいのですが、しかしそこから先、農林省の任務というものは厚生省の任務に入る前のもとをやっているわけですから、食品という形になると厚生省の管轄になる。食品になるまでの任務は農林省の任務だ。その肝心な農林省のほうが何も言わないということになれば、これはまたいずれは芽をふくのではないか。火種は残っておる、また火をふくのではないか、こういう心配がある。石油資本を見れば、出光興産には今度外国資本が入ってくる。そうすると、外国のほうでつくって逆輸入してくる心配も出てくるのではないだろうか。同時に、通産省のほうを調べてみると、どうも石油たん白の石油酵母配合飼料というか、そういうものをつくる施設、工場の増設というものが半ば完成しておるというような声もあるわけですが、そういうことをあれやこれや考えると、農林省はまた本気になるのではなかろうか。  たとえば私たち二つの疑問を持っているところがある。それは一つは、いままで技術会議のほうが窓口になって、都道府県に対して養鶏試験場や水産試験場でこの数年間研究さしてやっている。その研究した資料がどうも公になってない、厚生省のほうにも回っていないというような事実があるわけですね。だから、いつから、農林省がだれの責任でそういうものを都道府県に研究をさしたのか、どこの県とどこの県に研究実験をさせたのか、その点をひとつ発表を願いたい。
  122. 中澤三郎

    ○中澤政府委員 農林省におきます石油たん白に関する試験研究でございますが、四十四年度から実施いたしまして、県庁へのお願いといたしましてはやはり同時でございまして、岡山県、熊本県、岐阜県、埼玉県、鳥取県、福島県の六県の試験場に研究を依頼しております。
  123. 柴田健治

    柴田(健)分科員 六県でそれぞれのメーカーが違うのですか。
  124. 中澤三郎

    ○中澤政府委員 試験に使いますメーカーといたしましては鐘化、大日本インキそれから協和醗酵、三井東圧の製品を購入してこれに充てております。
  125. 柴田健治

    柴田(健)分科員 いずれまた資料をもらいたいと思っておるのですが、岡山県の場合は協和醗酵がやっておるようです。それで、調査はひ孫の段階に入っておるようですが、しかし、内臓の面、肉の面の試験はどうだというたら、これは農林省の研究所のほうにやってもらっている、持って帰っておる。こういうことだ。農林省の衛生試験場がどうやっておるのか、これもまたあらためて資料をもらいたいと思う。きょうは時間がないから答弁は要りません。それについて農林省はそういうことを数年間やってきてはっきり自信を持って、それで国民世論のほうが高まってきて、厚生省のほうがいま前面に出てきてたたかれる。肝心かなめの農林省のほうは、本家のほうは知らぬ顔をして厚生省がどろをかぶっておる、こういう形になっておるのではないか。農林大臣のほうは今後この問題についてどういう処置をするつもりですか。ここまできたいろいろな経過がある。その経過をどう踏まえてどう処置するおつもりであるのか。ひとつお答え願いたいと思う。
  126. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 石油たん白につきまして、われわれとして国民に安全な良質の食糧を供給するという責任から、これは細心の注意を払わなければならないという立場で、厚生省の食品衛生のほうに検討をしていただいておったことは御承知であろうと思うのであります。一応の回答はいただきましたが、その後企業者側におきましても製造中止をする、こういう立場をとられましたし、また農林省といたしましても、国民の合意が得られない限りこれを企業化する考えはございません。もちろんただいま御質問がございましたように、引き続きいろいろな形で試験、研究をするということにつきましては、それは別途、あくまでも試験、研究ということで必要があれば引き続きやる、こういう姿勢でございますが、企業化の点については現在全然考えておりません。
  127. 柴田健治

    柴田(健)分科員 終わります。
  128. 山崎平八郎

    ○山崎(平)主査代理 次に、広沢直樹君。
  129. 広沢直樹

    広沢分科員 私がいまからお伺いしようと思いますことは、これは農林省にも関係がありますし、建設省にも両方にまたがっている問題であります。したがって、建設省の方もいらっしゃると思いますが、ただこの席でこれをお伺いしようということは、いわゆる国土の総合開発によって農地が相当削減される。そのために営農が不可能になり、生活権が脅かされるという問題が起こってきているわけです。こういう問題は、これから田中内閣がいわゆる日本列島改造ということで国土の総合開発を進める上においては、やはり随所に出てくるのではないだろうか。何も一つ一つ事業に私は反対しようというわけではないのです。当局としてはそういう問題にどう対処していくのかということを、きょうはお伺いしてみたいわけです。  そこでいま第一点、基本的に農林大臣にお伺いしておきたいことは、こういう総合開発、地域開発において、どうしても農地が削減されるところが出てきているわけでありますけれども、そういう問題に対して、その開発計画と営農の問題とはどういう関連をもって考えておられるのか。それから今後もそういう開発を進めていくについてはどういうふうに対処していかれるおつもりなのか、その基本的な問題をまずお伺いしておきたいのです。
  130. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 国土開発の各種の事業が行なわれていくということは、それなりに公共的な必要性から起きてくると思うのですね。その場合に農業経営との関係をどういうふうに調整をしていくかということが非常にむずかしい問題になります。その場合に地域の住民と農業経営者が、なるほどそういう公共のものは必要であるという認識に立ってもらえば、それはそれで解決をしていくと思うのですね。しかしながら認識が十分得られないという場合にも、大所高所の判断がどうしてもこれは説得しなければならない、こういうことになりますれば、その理解を得るための十分な努力をいたし、その努力がどうしても了承されないのに、しかもなおかつ公共的には考えなければならぬというときには、やむを得ず土地収用法等のような他の手段に移る、こういうことでありまするが、しかし行政当局としてはそれぞれの事業について公共性、必要性というものを十分説いて、理解を得ての上で遂行していくのが一番妥当である、こういうふうに判断いたします。
  131. 広沢直樹

    広沢分科員 いま大臣お答えになったことはそれはそれなりに理解はできます。しかしながら私がいま申し上げていることは、そういうふうにして公共性を考えた上でどうしてもそれを進めなければならない場合もあるでしょう。そういう場合に受ける農家の影響というものに対して、それはそれなりに対処しなければならないと思うのです。ところがその場合に補償の問題だとかいうことで相当こじれてしまうわけですが、その補償がどうこうという以前に、そういういままで長年先祖代々から農業に携わってきた人たちが、あえてそこで農業を続けたい、こう考えておる人たちも相当多いのじゃないか。もう農業やめて職業を転換しようという人も中にはあるでしょうけれども、そうでない人たちも非常に多いわけですね。ですから先ほども公共性のウエートを考えた上で、ある程度協力してもらわなければならないという場面が出てきた場合に、どう対処していくのかという基本的な考え方を――ただそれは公共補償方式ではじき出した補償だけでものごとをお済ませになろうと考えておられるのか。今日往々にしてそういうことが紛争のもとになってきておるわけです。そういうことをお伺いしたいわけです。
  132. 小沼勇

    小沼政府委員 先生御指摘のようないろいろその地域によって公共事業、たとえば河川の改修を大きくやるというふうな場合に、水路の、水の流れるところも変わるという場合には、相当大幅に集落にも入って、あるいは耕地もつぶしてということもあるかと思います。大河川の場合にはそういうのは間々あるわけでございます。そういう場合に、いま先生御指摘になりましたように、もう農業やめてどこかへ行ってしまいたい、都会に出て、商売でも別なものをやりたいという場合もありますし、もっとここに残って農業をやりたいんだという人もあるだろうと思います。いろいろのケースはあると思うのでございますが、そういう場合に、従来、原則は金銭で補償して、それで、あとはその金でもって自分でくふうをしてそれぞれの道に進んでもらうというたてまえでございますけれども、しかし、それだけではいけませんので、これにつきましてはどうしても代替地がほしいとか、あるいはそこで農業をやりたいという場合には、ケース・バイ・ケースでいろいろくふうする余地を、その閣議できめました補償要項でもきめております。そういうことでございますので、現地に適応しながらそれぞれの実態を十分考えながら措置をしてまいりたいということで、農業サイドといたしましては、その事業者でございます――これはまあ各省いろいろございますが、かなり建設の場合が多うございます。そういうところとそれぞれの現地におきまして折衝をし、最も満足のいくといいますか、納得のいく形に処理をしていくことが必要であろうというふうに考えているわけでございます。
  133. 広沢直樹

    広沢分科員 いま一つ具体的な例を引きながら、その問題を中心としてお答えいただきたいと思うのですが、徳島県において吉野川の総合開発が行なわれております。それはそれなりに、私はその総合開発に反対しているわけじゃない、むしろこれは賛成であります。しかしながら、その吉野川総合開発に伴って、長年徳島県の三好郡あるいは美馬郡といういわゆる農業生産地域、県としては、今後も農業生産地域として考えておられる地域において、開発事業というものが進んでいるわけでして、その地域においても――もともと基本的にはこれは遊水の解消、洪水の場合に、とかく農産物が絶えず水害でやられるものですから、遊水の解消というものについて当局に強く要望してきたわけです。それに伴って、いわゆる防水堤といいますか、そういうものを一応今度の総合開発の一環として考えていこうということになっているわけです。ところが、その農家の方々は、その基本的な目的に賛成してその事業を進めることになっているわけですけれども、しかしながら、実際の事業内容が発表されると、一つは、これはたいへんだという驚きをもってこれを見ているわけです。ということは、現状における改修というのが行なわれるのであろうと考えておったところが、そうではなくて、改修していくためにはよりベターなものをつくろうということになりますから、遠き将来にわたってのことになりますので、ですからそれは当局としてはそれなりのことを考えたと思うのですけれども、そのために、いま基本的にお伺いした、いわゆる問題が起こってきているわけです。そこで、これは三野町あるいは美馬町にもありますけれども、極端な一つの例をあげますと、三野町の地域では清水それから加茂野宮地区ですね、その地域において百十七戸がいわゆる農業をやっているわけです。この地域はほとんど農業ですけれども、そのうちの防水堤、いわゆる堤防ができますと、半数以上の方々がその影響を受けるし、その地域の耕作面積の八〇%が一応その事業のためにつぶされなければならない、こういう状況が出てきているわけですね。そうして、あと、かりにいまの計画どおり進んだとするならば、現在のところ、大体平均が、一地域ですが、大体四反四畝、こういうなにを持っておるのですが、この事業を進めると〇・八反、八畝ということに激減してしまう。これじゃ完全にやめてしまえということにひとしいのでありまして、基本的な考え方には賛成しながらも、いまこういう計画を、ある程度地元要望を入れて変更はできないかという問題があるのですが、建設省の治山治水の方、いらっしゃっていると思いますので、その点ひとつお聞きしたいと思います。
  134. 栂野康行

    ○栂野説明員 ただいま御指摘がございました地区でございますが、いわゆる池田-岩津間と申しまして、昭和四十六年の洪水で大被害を受けたわけでございます。それで、その後、鋭意堤防をつくることを急いでいるわけでございます。それで、その計画をつくるにあたりまして、いろいろな昔の洪水を検討して、そうしてできるだけ上流のダムで洪水をカットする。そうして下流のほう、河道と申しますか、そこに流れてくる量をできるだけ減らすということをまず考えまして、そうして十分な技術的な検討を積み重ねて、現在の計画、河道の計画といいましょうか、それを立てたというのが実情でございます。それで、私たちとしましてもできるだけ用地をつぶしたくない。よく地元の方々の意向はわかりますが、しかしながら、四十七年度の、去年の洪水におきましても直轄河川が方々で破堤しております。こういうことを考えてみますと、やはりしっかりした計画のもとに、安心した計画でやっていきたいということを念願しておるわけでございます。
  135. 広沢直樹

    広沢分科員 農林大臣、いま建設の側としてはそういうお話なのですが、あなたがいま例をあげました清水部落の営農実態をもう少し詳しく御説明して、それに対するお考え方を伺いたいのですが、この清水部落においては、総農家戸数が百十七戸です。それで、農地を持っている農家と、持たない農家というのはおかしいのですが、これに分けますと、大体山間僻地で平野部の農地を持っているものというものは九十三戸なんですね。山間地域のほうが二十四一尺こういうような形になっております。耕作面積は百一町歩あるわけです。そこで、先ほど申し上げましたが、この地域では平均耕作面積が九・四畝、約一町余りです。それがいま築堤による耕作地の壊滅状況というのは八〇%、残存がわずか二〇%であります。大体経営面積がそういうふうな状況になるものですから、結局、いますっと、これは農業生産地域として農業をやってきたものが、いまのような状況ではほとんどできないということになってしまうわけなんですね。ですから、先ほど申し上げているように、基本的な計画には反対ではないけれども、これを、路線計画変更をやってもらえないかという希望が、いま建設省の意見では、いろいろな考え方でなかなか変更はむずかしい、こういうことになりますと、こういう状況は一体どうすればいいのだろうということになります。こういう計画においては受け身の立場である農林省のほうから、これを一体どういうふうに――具体的な問題はいま申し上げたのですから、処理されようと考えているのか伺いたいわけです。  これは地元要望書も来ておりますので簡単に申し上げますと、第一の条件は、いま言うように代替地を考えてもらうということもありますが、路線変更をしてもらいたい。これがどうしてもできない場合においては、現在あげている収益も半減する。わずか三〇%ぐらいにしかならないのでありますが、いままでの築堤までに得られた収益を十分確保できるだけの代替地というものを与えてもらいたい、こういう問題もあります。さらに、これは建設省の関係になりますけれども、築堤後には河川敷の中に相当その面積がとられますので、それは別に河川敷の中での営農は十分保証してもらいたいということであります。基本的なものに賛成でありますので、何とかその協力はしたいんだけれども、われわれの生活権あるいは営農権、そういう問題を確保することは、これはそれ以前のこととして当然のことではないかということでこの問題が起こっているわけですね。具体的にこれに対していまお答えができれば、ひとつお答えいただきたい。
  136. 小沼勇

    小沼政府委員 実は、先生から問題の御指摘ございまして、とりあえず現地の県に照会をしたりしたのでございますが、現在交渉中ということでございます。もともと個別の地域の調整の問題は、私どもの出先でございます地方農政局、それから建設省の地方建設局というところで大きな調整をやりまして、それぞれのところでは、現地の建設の事業所がございますので、そういうところで、地元市町村なり県が入って、具体的な調整をやるという段取りで進めておりまして、個別のケースについて私どものほうに直接こう本省にあがってくるのでございませんので、それできのう聞いたわけでございますけれども、その点では、私ども聞いた話は、吉野川北岸の改修工事の中で、脇町、美馬町、三野町、その辺の中島島のその話の報告がございまして、図面で見ますと、ちょうどそのもう一つ上流のほうに、先生のおっしゃった地域があるようでございます。(広沢分科員「一例としてあげました」と呼ぶ)しかし、性格としては同じような問題だろうと思うのです。そういうことで、これにつきましては、現在、詳細まだ承知しておりませんけれども、また、関係者からの報告も参っておりませんけれども、御指摘の点につきまして、今後、現地におきまして事情調査の上、建設省と十分相談して、事業が円滑にできるように、双方円満にその対策を立てながらやらなければいけませんですから、そういう点は配慮していきたいということでございます。単なる金銭だけの問題じゃなしに、農業をやりたい者についてどう営農させていくかという問題がございますので、そういうものを含めてひとつ検討して進めていかせたいというふうに思っております。
  137. 栂野康行

    ○栂野説明員 ただいまの河川の中に残っております土地の使用でございますけれども、民地のまま使用してけっこうだと思います。ただ、洪水の流れるのに支障があるような大きな木とかこういうものはちょっと困りますけれども、民有地のままお使いになるのは支障がないと思います。
  138. 広沢直樹

    広沢分科員 まだ具体的に、ここでこうするという段階までには至っていないと思いますが、なぜ取り上げたかと言いますと、三野町の清水部落というたった百十七戸の農家に対する一つのわずかな問題を取り上げて、いま具体的なことを申し上げたのです。いまおっしゃったように、確かに三町村にまたがってこういう生産地域ですから、問題はあります。しかし、こういうふうに一つの部分をとらえても、その農家の大半が相当影響を受ける。そしてその営農がちょっとむずかしくなってくるという問題は、これは部分的な問題じゃなくて、今後全国的に国土の総合開発やあるいは治山治水関係を進めていくとするならば、問題が起こってきますし、先ほど農林大臣が基本的にお答えいただきましたように、ただ最終的には補償交渉をやり、そして最終的にはどうしてもという場合は、公共性の上にかんがみて一つのとるべき手段をとらざるを得ないということになってきますと、この農家の方々あるいはそれから開発地域に直接こういう問題にぶつかる方々というのは、絶えず不安にかられていると思うのです。ですから、それはいまの規則の中ではそうなっているわけでありますが、先ほどもおっしゃったように、具体的にこういう問題に対してどういうふうな基本的な処置をおとりになるとかいう――だから、たとえばそういう公共のものには協力しますよ。協力しますけれども、私たちの生活はこういうふうにささえられるんだということがあれば、別にかわるという人は別問題として、そういうものの基本的な方向さえ示してくれれば、なおなお国土の開発だって治山治水事業だって、トラブルも少なくて進むのじゃないか、こう考えますので、その基本的な方針というものをひとつ伺いたいのです。
  139. 小沼勇

    小沼政府委員 閣議決定に基づきまする損失補償の条項がございますが、金銭補償が原則でございますけれども、その二項に「土地等の権利者が金銭に代えて土地又は建物の提供、耕地又は宅地の造成その他金銭以外の方法による給付を要求した場合において、その要求が相当であり、かつ、真にやむを得ないものであると認められるときは、事情の許す限り、これらの給付を行なうよう努めるものとする。」という大原則がございまして、これを基本にいたしまして各地域、ケース・バイ・ケース、実情に応じて、先ほど申しましたようなくふうをこらすということで進めてまいりたいというふうに思っております。
  140. 広沢直樹

    広沢分科員 具体的例をあげて申し上げましたので、農林大臣、これについては十分な検討をいただいて、農家の方々が安心して営農に励めるあるいは生活ができる方向に今後こういった問題の処理のほうをひとつ指導をよろしくお願いしたいと思うのですが、いかがです。
  141. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 担当の局長からもお答え申し上げておりますように、このような場合に、引き続き農業経営をやりたいという意向を持っておられる方々に、それらの農家の希望に沿ったあとう限りの措置を講ずる、これは当然だと思います。
  142. 広沢直樹

    広沢分科員 それではもう本会議前でありますので時間がありませんから、あとほかの二、三件の問題についてお尋ねしたいと思います。  一つは、今度は水産関係なんですが、昨年相当瀬戸内海地域に赤潮が発生しまして、これは昨年だけじゃありません、毎年毎年そういうことが行なわれているのですが、昨年の場合は非常に大きな被害を出している。それについて当局としてとった処置はもうわかっておりますけれども、しかしながら、その当時においてやはり天災融資法の適用の問題だとかいろいろな問題が起こってきたわけです。やはりこれまで水産庁としては、どちらかといえば、とる漁業からつくる漁業へということを指導なさっていらっしゃるわけですね。それに基づいて各県においてもそういうふうな方向で進めております。しかしながら、一たびこういう大被害を受けるという状態が起こった場合、その場合において大騒ぎして何とかしなければならぬということでは、これはまずいと思うのです。済んだことですから、これから先のことについて基本的な考え方をまず伺っておきたいと思うのです。  それは、いわゆるこういう災害が起こった場合に、被害に対する補償として御存じのように、天災融資法の適用、あるいはいままでの貸し付けてある金利に対してそれをある程度負担を軽減するという方法、あるいは共済制度というものもありますが、これも十分に義務づけられておりませんので、入っている、入っていないとあると思います。こういうような状況下におきまして、やはり貸し付け金の利率を下げる、これは当面の救済対策としては当然のことだと思います。しかしながら、それだけではこれからの新しい、壊滅的な被害を受けた方々がもう一度そういう事業を元通り盛り返すということについては、相当な援助がなければそこまで持っていけない。俗にただ借金が重なるだけだというようなことを言っておるのですが、何かそれに対して、いままでとった処置以外に、今後起こり得る状況というものはいまだにあるわけでありますから、それに対するお考えがあるのかどうか、まず基本的に伺っておきたいのです。
  143. 荒勝巖

    荒勝政府委員 赤潮によります被害につきましては、最近特に、昨年のように大きな被害があったわけでございますが、赤潮の原因の究明ということについて、まず水産庁といたしましては関係各省とも連係をとりまして、水質汚濁防止法なりあるいは海洋汚染防止法などという公害関係の法規の厳正な実施ということを強力に推進いたしますとともに、漁場の生産力を回復するというための事業を今後いたしたい。そのために基礎的な調査、研究を全力をあげていたしておりますが、さらにそういったことにつきましての、赤潮の発生の場合の情報交換体制の整備等を基本には今後進めて、水を美しくすれば、赤潮の発生というものはある程度予防できるのじゃなかろうかということで、いたしておる次第でございます。  また、赤潮が発生いたしました場合の救済対策につきましては、一般的には、公害によります漁業被害という場合には原因者負担の原則というものに基づいて指導しているわけでございますが、赤潮の場合には先生御存じのように原因が必ずしも明確でない、しかもその原因の究明に全力をあげているのですがそういう原因がはっきりしない場合の発生の態様につきましては、昨年いたしましたように、天災融資法に準じてそういう発動をやった、さらに共済等の救済措置も講じたわけでございます。今後こういったことで予防には全力をあげますが、さらに特異な自然現象によりまして発生したのではなかろうかといわれる場合には、これまでも共済金の支払い等も行なっておりますけれども、さらに頻発するということもありますので、赤潮の被害の問題につきましては、その救済対策についてはいろいろな観点から、融資の面も含めましてあらゆる点から検討してまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  144. 広沢直樹

    広沢分科員 この問題もいろいろ付言したいことはたくさんあるけれども、もう時間がないから……。これもやはり安心して漁業に励めるように、これは水産庁指導してそういう方向にも一応向いているわけでありますから、そういう突発的な被害を受けた場合において、その方々が行き詰まらないで安心して再生産できるという方向に持っていけるような基本計画をひとつお立ていただきたいと思います。  最後に一点だけお伺いしておきたいのですが、これはあらかじめお話ししてなかったのですが特産野菜生産団地事業――局長さんいらっしゃいませんか。それではあとからまたその点についてはお伺いすることにして、一応これで私の質問を終わることにいたします。
  145. 山崎平八郎

    ○山崎(平)主査代理 この際、午後三時三十分再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時三十四分休憩      ――――◇―――――    午後四時十分開議
  146. 山崎平八郎

    ○山崎(平)主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。安宅常彦君。
  147. 安宅常彦

    ○安宅分科員 私は、二、三点ほど農林省の管轄問題についてお伺いいたします。  まず第一番目に林野庁長官、あなたから先に。私はたいへん口が悪いですから、気になさるなといっても気になさるかもしれませんが、国営事業の中で何かおやじが郵便局長だったからむすこも郵便局長などという制度がまだ残っている郵便局。それからもう一つは昔の帝室林野局というのですか、何かゴボウ剣を下げておったときの思想がまだ流れていて前時代的な経営をしておるのが林野庁。この二つというのはどうも日本の政府のやっている仕事の大きなガンじゃないか、私はそう思っているのです。たとえば苗を植える人とか、あるいは木を切るというような人、あなたたちのほうで一番大事で、第一線に立っておる人たちが正式な職員でもなければ日雇いであったり非常用人夫といわれる人、そういう経営のしかたというのは、今日二十一世紀になろうとしている時代にあなたはおかしいと思いませんか、そこから。
  148. 福田省一

    ○福田政府委員 林野庁、特にその中の国有林関係の作業員についての御指摘かと思います。やはりこれからの森林を造成していきますためには、現場で働いておる、特にそういった定員以外の作業員の処遇改善なりあるいは生活環境の改善ということは絶対必要であると思いますし、また民有林の関係事業に従事している人たちにつきましても、これは国有林に働いている人たちよりもさらにそういった面でおくれておりますので、特にこの点につきましての林業の施策といたしましては重点を置いていかなければならぬ、かように考えております。
  149. 安宅常彦

    ○安宅分科員 たとえば巨大な産業で、東京のどまん中の土地をえらい高く売ったとか買ったとかいわれておるNHKもそうですね。聴視料を集めている、つまり財源を集めている一番大事な集金人を請負制にしているのです。これもやはり三悪の一つにつけ加える。あなたのほうではこれらの作業員の人たちについて、農林業には失業保険というのは適用になっていないという原則があるものだから、失業保険相当額の退職手当みたいなものを毎年くれておいて、そして何年たったっていわゆる賃金の定期昇給もなければ、それから三十年つとめても退職手当ももらうことができないという――今度定員外、たいへん強いことばで言いましたけれども、そういう人がいなければ国営の、つまり国有林の事業というのはできないはずなんです。それを当然定員に加えて、そして正規の職員として、国家公務員として地位を与えるのが私は当然だと思っておりますけれども、号令をかけている人だけは国家公務員で、実際にあなた方の富をふやすというのでしょうか、国民のための山を守っている人たちが、そういう定員外という非常に強いアクセントであなたが言われたような立場にあることは許せないことだ、そう私は思っております。あなたの所見を重ねて伺いたい。
  150. 福田省一

    ○福田政府委員 私は定員内の職員につきましても定員外の職員につきましても、それぞれ国家公務員としまして森林造成に働いている、その重要性においては変わらないと思っております。したがいまして、定員外の作業員につきましても定員内の職員と同じようなレベルで処遇をし、あるいは生活環境を改善するという方向で努力していかなければならぬものであるというふうに考えてはおります。
  151. 安宅常彦

    ○安宅分科員 ということは、近い将来これらの人たちに月給制をしく、そして定員内の人々と待遇を同じようにするつもりだ、それに努力する、こういうふうに承ってもけっこうですか。
  152. 福田省一

    ○福田政府委員 御指摘のとおりでございます。ただ一言申し上げます。国民の皆さんの国営に対する御批判もございますので、経営改善の全般の中でそういったことができるようにしてまいりたい、かように考えております。
  153. 安宅常彦

    ○安宅分科員 そのことについてはあとで詰めましょう。  それでそういう考え方、思想というものはあなた方の林野庁の中にたいへんしみ込んでいるんじゃないかと思うのです。ただいまのような質問に対してそういう答弁をされた林野庁長官はちょっとまだ少しあなたはごまかしがあるのだけれども、歴代の長官の中では、たとえば最高幹部クラスの人事でも学閥にとらわれない人事をやろうとなさったり、いろいろな情報があなたについて私のところには入っております。歴代の長官の中ではたいへんりっぱな人だ、そう私は思うのです。だからこれはやってもらわなければならないし、いまから私が申し上げる諸問題については断固改革をしていただきたいということを前提にして申し上げてみたいと思うのです。  現在「現代林業」という雑誌があなたのほうの外郭団体と思われる、もちろんその中には天下りもおるようですが、全国林業改良普及協会というところから出されておりますね。その一月号に、現在の首相である田中角榮氏のあらわした「日本列島改造論」を徹底的にこっぴどくやっつけたというのですか、批判した学者やいろいろな人たちの論文を載せました。ところが広告も出したにもかかわらず、この本はついに市販されないで終わってしまいました。よく調べてみたら、あなたのほうが圧力をかけて、そしてこれを全部回収させた。その出版元の人たちは林野庁から圧力をかけられたのではないとはいっておりますけれども、圧力をかけられなければ、約二万部とか三万部とかいわれているこの発行部数を全部焼いたというのですね。しかもこの本屋さんはたいへんな損だったと思うのですよ。そういうことをやってのけることはないはずですね。これは秦の始皇帝の時代やヒットラーの論理です。こういうことをさせたことについてあなたはどういう考え方を持っていますか。
  154. 福田省一

    ○福田政府委員 この「現代林業」という機関誌は林野庁におきましても一部買い上げをいたしまして、これを地方のそれぞれの山村地帯の青少年の教育用のテキストとして使っておるものでございまして、普及協会からの申請によりまして林野庁監修という名前にしておるわけでございます。したがいまして、監修といいますからには主として技術的な問題を取り上げておる本でございますが、そのほかにもまた林業経営の問題あるいは林業政策の問題についても触れておるのでございます。それでこの編集の段階におきまして監修の責任がございますので、係の者がそれについて編集前にいろいろと検討して、編集後においてもまわ誤りがないかどうかということを監修しているわけでございます。ところがこれは年末非常に多忙だったものですから、記事の内容につきましてはそれぞれの論文は見ておりますけれども、編集後の内容についてはそれを見ておりませんので、監修が不十分ではないかというふうな注意を与えたものと私どもは聞いておるわけでございます。
  155. 安宅常彦

    ○安宅分科員 つまり「日本列島改造論」を批判したことがいけないということですね。
  156. 福田省一

    ○福田政府委員 「日本列島改造論」につきましてもそれぞれの論文についての問題もございます。それで前に監修しております。その後編集局のほうにおきまして、その編集の前の本にありますリードの部分であるとかあるいは編集後記の部分におきましていろいろと監修していなかった問題の内容について若干疑問点があるので、監修というその名前について取り消すとかなんとか考えてみてはどうかという注意を与えたものと私は聞いております。
  157. 安宅常彦

    ○安宅分科員 編集後記というのは「つぶやき」という欄だと思いますが、これは合併号になって、また論文をある人が拒否されたので、その人だけを除いた論文がまた出ていますね。しかしこの「つぶやき」は――前の、焼いたはずのもののコピーを私、持っているのです。これは焼かないのもあるんですね。ここにはどういうふうに書いてあるかというと、怒りをもって書いたと書いてあります。あなたの言うのは「林業側からみた」云々という一番最初のところでしょう。(福田政府委員「はい」と呼ぶ)林業の側からこういうことは怒りをもってこれを編集したという意味のことが書いてあるんですよ。それがもう今度の「つぶやき」はまるっきり変わっております。これはあなた方が幾ら弁解してもそこだけの問題じゃない。したがって、何か帝王のごとく君臨しているような立場でこれを発行させているという感覚を改めてもらわなければならないですよ。田中角榮という人が書いたものについて何と書こうといいじゃないですか。そういうことをなぜ不穏当だと思ったのか。これは役人の根性である。昔の、ゴボウ剣をつっていたときの感覚である。前近代的な感覚である。これだけはあなた方は認めなければならないと思うのです。どうですか。
  158. 福田省一

    ○福田政府委員 記事の内容につきましては、その後合併号として発表された内容は、全然直っておらない模様でございます。御指摘のように、その内容につきましてはもちろんでございますが、編集全体につきまして、冒頭に申し上げましたようにテキストとして使われているものでございますので、私たちも十分に注意していかなければならぬとは思っておりますが、そういった監修という手続の面において非常に欠けたという点でお互いに問題が出たことは、たいへん遺憾な点でございます。したがいまして、今後はその点は十分注意してまいりますけれども、さしあたり監修という名前を使用するということについては、先月これをやめることにした次第でございます。
  159. 安宅常彦

    ○安宅分科員 この監修というのもおかしいですよ。安宅常彦が「現代林業」という同じような会社を興したい、ぜひあなたのほうで監修してもらえないか――宮内庁御用達のお菓子だとか、何々妃殿下御愛用の何だとかという看板を書くと売れるのですよ。そういうお酒だとかお菓子だとかいうのと同じように、監修というのは――この協会は、編集者には入っておらないけれども、あなた方の古手の人がこの中に入っているんでしょう。だからあなたのほうは三千三百部以上の多量のものを一手に買っているんですよ。発行部数の約四分の一か何かを買っているでしょう。これによって監修という恩を着せている。安宅常彦、あの野郎いやなやつだから監修なんかしてやるか、こういうことになる。あなた方の天下り官僚が行っている雑誌社には、よし監修してやろう、こういうことになる。だからこそ、これは何万部焼いたって親方日の丸、林野庁がついているうちはおら損しないんだから、しようがない、いいじゃないかという感覚になる。こういう雑誌は明らかに問題点がある。  テキストとして使用しておるといういまの発言はさらに重要な発言です。ほんとうにテキストとしてあなたのほうで使っているのですか。
  160. 福田省一

    ○福田政府委員 林野庁でそれを一部買い上げまして、各都道府県に配付いたしまして、都道府県のSPなりあるいはAGなりが山村地帯の後継者、つまり若い青年層の林業経営あるいは林業技術の教育用のために林業教室というものをつくっておりますが、そこで各都道府県が一つの教材として使うようになっております。
  161. 安宅常彦

    ○安宅分科員 責任分野というものははっきりしなければなりません。テキストだったらテキストらしくあなたのほうでつくるか、あるいは教科書の検定だって問題になっているように自由な立場でつくるべきだ。それをテキストとして使うなら、日本の将来というものを考える後継者をつくるということをはっきりしなきゃならない。中途はんぱらりんで、田中さんの書いた論文が批判されている、こういう理由だけで――これはまたたいへんいいこと書いているわ。だから、そういうことだけで監修をとってやったりあるいはいい子ちゃんにはつけてやったりなどという、それこそそういう慣習はあなたのほうで今後つくってはなりません。そうして天下り官僚などという者をこういう協会に踏み込ませて雑誌を発行させているという、この協会の構造についてですね、これはぜひ反省してもらいたい。これだけ言っておきます。いいですか。
  162. 福田省一

    ○福田政府委員 まことに御指摘のとおりでございまして、テキストはテキストとして林野庁が十分責任を持って編集し、それを使うようにしてまいりたいと思いますし、それから監修につきましては、調べましたところ実はそれ以外にまだございましたけれども、一切これをやめることにしたわけでございます。
  163. 安宅常彦

    ○安宅分科員 時間がありませんから次の問題に入りますが、農林大臣、実は私、いま、農地法というものについて相当疑問を持っているんです。先ほどわが党の久保三郎さんの質問に対して、構造改善局長ですか、農地法がありますからそんなことありませんとがんばっておったけれども、現在の農地法で、たとえば農業生産法人という法人をつくった場合には、非農家である役員がその生産法人の中に入っていることがわかっておっても、農地は幾らでも農民から買ったりすることもできるし売ったりすることもできる、こういうことに結果的にはいまなっていますね。そうでしょう。
  164. 小沼勇

    小沼政府委員 生産法人の要件といたしまして……(安宅分科員「いや、要件はどうでもいい。結果的にそうなりませんか」と呼ぶ)はい、そうなります。
  165. 安宅常彦

    ○安宅分科員 具体的なところを出すつもりはなかったのですけれども、実は私どもの県で、ちょうど私のところのそばに最上郡大蔵村という村があります。そこの深沢という開拓地、この農民は、初めは二十一、二戸あったと思います。そして私どもに高原酪農の話をしたり、そういう胸のふくらむような話をした若い青年が相当おりました。ここ三、四年、おかしいと思っていたら、有限会社和光農園というものに全部農地を売ってしまった。九十二町歩売って、一町歩当たり七万円でその総額は六千四百四十万円ということになっている。ところがその人たちは、ちゃんと合法的にこの和光農園の有限会社の社員として登録されています。その社員の中から、あるいは外からも役員が出ているんですが、外から出ている役員が実は買っているのです。その代表者は女の人です。農業者でも何でもありません。ある政治家の奥さんであります。こういうことになっている。書類上はなるほど農業生産法人で、その資格はきちっとしています。だけれども、あの胸のふくらむような話をした農村青年たちはいま悲嘆のどん底にあえいでいます。会社の社員になって月給をもらって、チューリップとかグラジオラスとかそういうものを売って、たいへんいい会社になる、月給制にしようなどという話が行なわれましたが、いまでは月給制から日給制になっています。こういうことになっておる。しかもこれは古い制度の開拓地でありますから、昭和二十一年から始められている。一千四百万円ほどの国費や県費がここに注ぎ込まれているのであります。結果的にいま、一有限会社の代表たる個人のものに実質上は握られてしまっている。ときどき賃金も払わないときがあるといううわさも私は聞いたのでありますが、こういうことになっていく運命というものは単にここの有限会社だけではなくて、日本全国にこういう方式で、県の認可さえ受ければ幾らでも農地は金を持っている人の手によって奪われてしまうという現実、こういうことは私は、将来の日本の農業にとって非常に憂うべきことだと思っているんです。先ほどどこかの干拓の話で久保さんがあなたに質問したら、農地法が厳然としてある限りそういうことはありません、こう言いましたけれども、結果的にそうなるんだとしたら、現在の農地法というものは、農業を守るためにもあるいは農民から土地を取り上げるのを防ぐためにも何の効用も発しない法律になっているということをあなたいまや認めざるを得ないのではないでしょうか。どうですか。
  166. 小沼勇

    小沼政府委員 山形の開拓地に起きました経過につきましては、いま先生の御指摘になりましたような経過があるようでございます。ただ御承知のとおり、有限会社和光農園という形になっておりまして、そこで現在経営の営まれておるということでございまして、その有限会社は、いわゆる生産法人の要件をととのえている。ただ、その生産法人は全部が従事をするという形が要件ではございませんが、その意味では、出資だけをしてやるという者も、中には介在することができる形になっております。そういう面では、先生御指摘のような事態も生じ得るかと思いますけれども農地法上はそういうたてまえで、その中で共同してやっていくという体制が認められているわけでございます。
  167. 安宅常彦

    ○安宅分科員 これは有限会社何々農園ということで農業生産法人というものが認可された場合に、その登記は全部生産法人のものになってしまうわけですね。そうしますと、その経営がまずくなっていった場合に、広大な面積を生産法人に登記している生産法人は、日本に相当ありますよ。これが生産者米価の据え置きやあるいはいろいろな問題で、減反政策やいろいろな問題で経営が行き詰まってきたときに、この会社は解散せざるを得ない。そうしたら会社ごと身売りをする。だれか大きな巨大な資本を持った者がこれを買い占める。こういう形が全国的にたくさん起こっておるということを、あなたは知っていませんか。知っているはずですよ。
  168. 小沼勇

    小沼政府委員 御承知のとおり農地法農地転用につきましては、つまり農地を、農地以外のものに……(安宅分科員「私は農地転用のことを言ってはいません。」と呼ぶ)農地農地として売る場合にも農地法の許可を要するという形、がございます。したがいまして、その資格者といたしましては、農地法に基づきます耕作者なり、あるいは農民である場合もございますし、農事組合法人である場合もございますが、そういう適格者でないと農地を取得できないという形で規制をしておるわけでございます。
  169. 安宅常彦

    ○安宅分科員 つまり、その法人がおかしくなったときに、別な法人が、たとえば大手の、これはある大手のビール会社がホップの栽培なんかをやるときには、地盤を持っていますよね。その地方は何々ビール、麒麟麦酒だとかが、おまえさんたちはおれの会社にホップを持ってきている、けれども、いまや競争の時代だ、だから、どうだ、直接経営しよう、あんた方はそこに、会社に法人をつくって月給取りになったほうがいいぞ、そうだな、かあちゃんなんていってだまされて、それでぱっと――過半数の役員さえとらなければいいんだから。これは和光農園というのも相当の資本を持っている人たちですから、それでも事が行なわれていたですよ。その和光農園か、あるいは別な農園がつぶれてしまったときに買収されてしまった。土地は巨大な資本に吸収されていく。こういう事態をあなたは予想したことはありませんか。
  170. 小沼勇

    小沼政府委員 農地法ではそういう形を予想しておりませんで、有限会社なりいろいろ農事組合法人がございますけれども、そういう生産法人の要件をととのえたものでないと農地を取得することはできないという形になっております。そういう形でかりに大資本が入ってきてという場合でも、そこでその要件にかなうかどうかということで規制を受けるというふうなことになるわけでございます。
  171. 安宅常彦

    ○安宅分科員 それで、かなうかどうかというのは県知事の認可ですね。あなたのほうがチェックしたり、こういうことで県で認可したけれども農林省がだめだと拒否権を発動するなどという権限はないわけですね。
  172. 小沼勇

    小沼政府委員 県知事の権限でございます。
  173. 安宅常彦

    ○安宅分科員 農地法では、私がただいま説明したようなことは予想していない。予想していないとあなたは言った。そういう要件さえも具備していれば、逆にあなたの答弁を裏返しをすれば、そういう条件を具備している農業生産法人であるならば、つぶれた同じような農業生産法人の土地農地として買うこともできるという結果になりますね。そういうことは可能ですね。
  174. 小沼勇

    小沼政府委員 農業生産法人の要件に合致すれば、制度として可能でございます。
  175. 安宅常彦

    ○安宅分科員 いま新聞やテレビやいろいろなところで土地の買い占めのことがいろいろ報道されておりますが、私の周辺でも、具体的な町名はあげませんけれども、東京のいろいろな資本が、観光資本などが山林原野を買い占めている事実が、もうたいへんあります。みんな農民はやられるだろうな、こう思っています。ところが、いま報道されているのは山林原野がおもで、農地という問題については、国会でも、この予算委員会でもあまり論議がされませんでした。ほとんど論議されませんでした。現実には、田地田畑に魔の手が入っているということです。日本の農業を自給率何%にしようとか、労働力の配置をこうしようとか、あなたのほうでいろいろ計画を立てておられますけれども、県にそういう権限を与えて、あなた何も知らぬが仏みたいな顔をしているうちに、もはやその農地農林省の言うことを聞かない、とんでもないかなたのほうに行っている。農民のほうからますます手の届かない方向に行っている。こういう現実というものを想像したことがないというのですが、現実の例としていまあるんです。一つの例、これは氷山の一角にすぎない。あなた方、どうです。それで日本の農業政策というものをやり得ると思っていますか。
  176. 小沼勇

    小沼政府委員 私、申し上げましたのは、農地法はそういうことについての予想をしたたてまえではないということを申し上げたのでございます。現に山林原野の売買が非常に多く行なわれております。また農地についても転用申請というふうなこともいろいろな形で出ておりますが、しかし私ども、今後ともそうでございますけれども農地転用についてはやはり農地法の……(安宅分科員転用じゃないと言っているんです。私は、農地農地としてさえも買うことができるはずだと言っているんです。」と呼ぶ)それでは、農地として買う場合については農地法上、先ほど申しましたような要件を具備したものが適格者でございますから、それ以外については買うことはできないという形になっております。その生産法人の要件をととのえれば、これについてはできるということになりますけれども、ただその裏にといいますか、実際に背後にどういうふうな資本が動いているとか、そういうことについてはどうも把握できないということでございます。   〔山崎(平)主査代理退席、主査着席〕
  177. 安宅常彦

    ○安宅分科員 この農業生産法人がつぶれたときに、全農民がそれに参加したときに、共同化、協業化ということをあなた方進められているかたわらでこういうことが起きているのですから、つぶれたときの保護政策なりいろいろな問題点というものを予想した上で法律はつくられなければならないと思う。しかも農地の流動化というものを何とかしなければならない。これだけ頭にあるものだからすぐに、農地法を、われわれが反対するにかかわらず、これを改悪し、その結果、こういうざる法どころか、バケツの穴どころか、ガラス窓ぐらいに穴のあいた農地法をあなた方は持っていて、農地のみだりな転用や移動はあり得ないという偽善の答弁になるのです。あんな答弁というものは、ただいまの私の質問でくつがえったはずです。昔の地主制の変わった体系での再現です。しかも百俵や五百俵の小さな地主なんというものではなくて、とんでもない大きな日本の独占的な大資本がもうもぐり込んでいる。これは考え方によっては資本主義農業の典型的なものかもしれませんけれども、日本の農業というものは、諸権利は全部奪われるというかっこうになる。あなた、どう思いますか。現実になる可能性があるということになるのです、現実にここにあるんですから。あなたはそういうふうに構造改善しようと思っているんですか、構造改善ということは。
  178. 小沼勇

    小沼政府委員 先ほどちょっと申し上げましたが、生産法人の要件の中では従事要件、出資要件とございますけれども、大体役員の過半数が常時従事者でなければならないというふうになっておりまして、その意味ではそう大きな資本が入って経営するというふうな形でない仕組みということで、農事組合法人、それから合名会社、合資会社、有限会社、その種類に限って生産法人として認めているということでございます。
  179. 安宅常彦

    ○安宅分科員 そんなこと聞いてませんよ。そういうことによって、たとえば何とか商事とか何とか物産というものがダミーを使ってそれをやることも可能です。私自身だってやることが可能なんです。いま借金をしょっている開拓農民がおろおろしているなといったら、私が行って、どうだと持ちかけて、私が腹黒い人間だったらやる可能性がある。あなただってやるかもしれぬよ、農林省やめたら。それでもうけてやろうかといって。そういうことになっている農地法をどう思うかと私は言っているのです。
  180. 小沼勇

    小沼政府委員 なかなかむずかしい御質問でございます。農地法のたてまえは、先ほど申し上げましたように、耕作をする者が土地を持って経営をしていくということが基本でございます。その中で自作農あるいは借地をしてやるもの、そのほかに法人を認めておりまして、これもやはり農業者が中心になってやる法人ということで、この四つの……。
  181. 安宅常彦

    ○安宅分科員 時間がたつから要りません。そんなこと私は質問していませんよ。そういうことを考えて法律をつくったかもしれぬけれども、現在そういう法律があるのだが、日本の農業計画というのは、農林省はつくることができないでしょうと言うのです。自立経営農家をつくるとあなた方は言ってみたり、協業化するのだと言ってみたりしても、巨大な資本がうしろにあって、右にも左にも、あめで鳥をこしらえたり、豚をこしらえたり幾らでも、あめ細工みたいにできるということがはっきりしている農地法の中で、できますかと私は聞いているのです。
  182. 小沼勇

    小沼政府委員 先ほど来申し上げておりますように、農地法のたてまえによりまして、農地農地として売買する場合の規制をしておりますし、今後の農業発展のために十分に農地が役立つようにということで、農地法で規制をしているわけでございまして、今後もそういう考え方で、農業をほんとうにやる方々が農地を買うという形で進めていきたいということで、農地法の運用についてを……。
  183. 安宅常彦

    ○安宅分科員 絶対に納得できません。そして、こういう会社はいま何をやっておるかというと、花をつくっておるのです。いいですか。花だということで、ツツジだとかいろいろなグラジオラスだとか、キキョウだということで、売っているのだということになっています。これは第一、第二とワクは二つ、山形県の中にあります。調べてみたら、高山植物らしい植物をたくさんずらっと植えております。きょうはらしいということばを使いましょう。あなたがどこまでもそういうことを突っぱねるのだったら、現地へ行って見てきてください。特に林野庁長官、あななはみんな山から高山植物を盗まれているのですよ。ずらっと並んでいる。私はえらいことだと思いました。あなたのほうでまさか払い下げをしたはずはない。それを売っ払っているのですよ、この会社は。それでもなかなか売れないもので、この会社では賃金もろくに払えない。ブーすか、ブーすか鳴っているそうだという話から、私は調査に入った。らしいということだけ言っておきます。  それは農業生産については何ら関連のないものになるでしょう。花や、高山植物やあるいは高山植物と言わないいろいろなケヤキだとか、そんなものの細工だとか、植木鉢だとか。広大な土地です。標準二町歩ですからね。こういうことがあるのです。それでも農業の将来を見通したビジョンをいろいろたくさん立てられておるけれども、こういうことが、氷山の一角として一つ二つ私は例をあげたが、全国的にたくさんある。こういうやり方でこういうことを合法的に――しかも昔は植民地主義の国は強引に軍隊を向けて国土を奪ったり領土を奪ったりしたけれども、いまはなかなかやらない。経済的に入っていって、依然として、新植民地主義なんと言うのですが、そういうことをやる。つまり近代的な非常に合法的なやり方で土地を奪い上げている。  こういうことが現実の問題としてあるときに、あなた方はきれいな絵そらごとだけ立案したって机上の空論にすぎないのではないか。こういう農地法のもとで、あなた方の計画は進まないはずであるから、進むか進まないかという質問に対しては絶対あなたは答えない。そういうことは農地法上あり得る。あなたは私に答弁しているのですよ。絶対納得できません。一応保留しておきますから。いいでしょう、主査。  それでまたさらに農林大臣に、別な問題とからんで、これは徹底的に農林省のやり方を追及しなければならないと思っている。(「委員会でやれ」と呼ぶ者あり)委員会でやれるものですか、ここで答弁できないものを。  農林大臣、次に聞きます。あなたは二月六日の予算委員会で私の質問に答えて――私はそのときに朝鮮問題やあるいは二月十日のストライキの問題や、木材の値上がりの問題や、いろいろあったために、あなたに対してはあまり突っ込まなかったです。ところが最後に、私は、朝鮮の、つまり南朝鮮の韓国に対する米の援助、これがでたらめだということを追及し、しかもそのあと木材の値上がりなどあるいは大豆の値上がりなどに関連して、食糧自給対策をどういうようにするのか、一国の民族的な基盤に立った農業というものをどういうふうにして持っていくのかという質問のあとで、「あなたのほうにこういう情報が入ってないでしょうか。」ということで、いま米が不足になりがちだ、減反政策はまだ続く、そうした場合にはこれが恒常化してくる、そういうときに、この際、木材みたいに値上がりするだろうというので、北陸地方やその他の例をあげて、そうして米をぴしゃっと押えてしまう、こういう買い占めが全国各地にあらわれている。これは農林大臣、そういう情報が入ってませんかと言ったら、あなたは、「ただいまのところ、そういう情報を得ておりません。」しかも御丁寧に、「御承知のとおり、食糧は政府において管理をしておりまするので、所要のものの確保については万遺漏なきを期しております」、こう言うのだな。万遺漏ないかあるかはいまやわかってきたじゃないですか。それから何日たつのです。一カ月しかたっていませんよ。あなたはそのときほんとうに情報が入ってなかったのですか、どうですか。再度質問します。
  184. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 あげられました事例については、正直に私はそのときに、情報は入っておりませんでした。そこでお尋ねのお答えには適切ではなかったかと思いますが、余り米については私自身が少し心配であったので、その辺がことばの端にのっておると思います。  当時買い占め等の問題については、もち米についてはそういうおそれがあるということは耳にしておりましたが、私としてはそのときにあげられた事例については、率直に情報を得てないことを申し上げました。
  185. 安宅常彦

    ○安宅分科員 それは詭弁です。ただ、たとえばという例をあげただけ。北陸地方の精米の設備だとかその他と言ったのは、それに類したものが全国各地で行なわれているという表現を私はしていますよ。情報が入ってないのだったらあなたはでくのほうよ。情報が入っていても国会をさらりと逃げさえすればいいという答弁だったら、あなた私を、ちょろまかそうと思った食言です。許すことはできない。  いまや食糧庁は必死になってあらゆる手を打っています。食糧庁の人たちは、私のところに来てもらって聞いたら、食糧事務所長を集めていま調査中でありますと、あなたの答弁あと、言いました。こういうことであなた方はまだのほほんとしているのです。  ところがこういう事例は、今度は農協が関係した米の買い占め、これが朝日新聞の三月六日ですか、これに出ています。新潟ですね。北蒲原郡京ケ瀬村農協。ばく大な数量です。これには大手卸業者がバックアップしている形跡があると新聞は述べています。  それから山形県の県警が摘発していますけれども、山形食糧会社が膨大な米を北海道に二千トンも横流しをしているということが明らかになっています。  これは問題は、食管法によって、あなたのほうでは、たとえば集荷の委託業者、指定業者、登録業者なんと言いますけれども、その委任状をもらえばだれだってやれるというところまでいっているのですから。私だって委任状をもらえばそこからやれる。こういうことをやれる。委任状をもらうときには、吉良上野介に何かやるみたいに、何か持っていけばすぐくれるというところさえあるというのです。プレミアムがついているとまで今日言われている。私が知っているだけでも四つ五つこういうことが行なわれているのに、農林大臣は、予算委員会で、そういう事例はいまのところないと言う。それであなた、一国の農林大臣がつとまるか。
  186. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 私、先ほど申し上げたように、私の受けとめ方が悪かったら、これはおわびいたしますが、あげられた事例について、詭弁と御批判を受けましたけれども、私は、そのときには、ただいまのところそういう情報を得ておりませんと申し上げて、そうして、事が重要でございまするから、帰りましてから直ちに、きょう安宅先生からこういう事例があげられているけれどもよく調べろ、こういうことで食糧庁長官とも話したということで、その辺の経緯がまだ不十分であったり、またそういう情報も得ていないと言われれば、それは甘んじて受けなければなりません。
  187. 安宅常彦

    ○安宅分科員 そのとおりですよ。私は、酒造米の契約栽培だとか、例を具体的に言ったが、こういう問題は全国各地にそういう状況があらわれていると言っているのです。そしてあなたは、現在そういうものはございません、情報が入っていません、余り米などについては、流動性がございますが、量はたいしたものではありませんので、それが現在投機に向かっているとは見ておりませんと言うが、モチ米なんかはっきり投機の状態になっておるじゃありませんか。あれは今日投機の状態になりつつあるわけじゃありませんか。あれは一カ月前ですよ。あなたは詭弁を弄して、安宅は農業のことはわからないからごまかしてやれと、そういう答弁をしたのですか。
  188. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 そういう考えは毛頭ございません。先生が山形県の米作地帯で農業問題には詳しいということで、私も慎重に答弁をしておったつもりですけれども、御指摘になるような批判がこの答弁から出るといたしますれば、それは私の非常に不徳のいたすところでございますから、訂正をいたします。
  189. 安宅常彦

    ○安宅分科員 訂正ということではない。議員と大臣とのやりとりは訂正で済むかもしれませんよ。しかし、いま田中内閣がぶっつぶれるかどうかとさえ言われている。これは、土地や大豆やいろいろなものの投機、しかも、国民の主食である米、がいま投機に巻き込まれようとしているときに、一国の農林大臣が、そういう情報はありませんで済むかとぼくは言っているのです。国会のやりとりは、私にあやまれば、それでいいかもしれません。そして、私にあやまるということは全農民にあやまるということだったら別です。私はそれほどえらくありませんから、私ひとり、安宅常彦にあやまられたって、私はどうにも言うことはできませんよ。しかも山形県の場合には、山形食糧会社の社長というのは、この問題を摘発される前にいろんなことがあった。そして、米の横流し問題が表になったらやめて、おいに社長をさせているのです。その息子はいま三菱商事につとめています。おやじはやめたけれども、実権を握って、役員になっています。この人はあなたが任命した米価審議会の委員であります。なぜそんなものを任命するのですか。そういうところに今日の農林省の姿勢というものがある。農協団体の役員なり、いろいろな役員を兼ねています。米価審議会の委員である人が米の横流しをやって、あぶないというので会社の社長をやめたところで、これはたいへんな問題が起きるのじゃないですか。そういう報告は受けていませんでしたか。
  190. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 当時、私の手元にはそういう具体的な報告はございませんでした。いまの山形食糧問題はございませんでした。ただ、私、先生からこういう御指摘を受けまして、私としてもいま非常に大事なこういう職責にあるので、直ちにこういうことを誠意をもって調査もし、させる努力をしているということはお認めいただいて、私の手落ちは手落ちとして反省いたしますから……。
  191. 安宅常彦

    ○安宅分科員 だめです、そんなことじゃ。  私は最後に警察庁の見解を聞いておきたいのですが、これは物統令がはずれる前は、こういう食管法の手続上の違反も取り締まることができたし、法外な値段で売ったやつもひっくくることができたはずです。いまはできないですね。前段はできるけれども、後段はできないのじゃないですか。
  192. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 御質問のとおり、ただいま物統令は形の上では存在しますけれども、実質からいいまして、この種のものに適用がございません。食管法違反のルート違反だけが違反だというように思います。
  193. 安宅常彦

    ○安宅分科員 そこで、国民生活が守られなくなった一番大きな問題があるのです。もともと、食管法というのはあってなきがごとしだというので、こういうこともあまりいろいろ努力をしなくなった。ここでこの問題を、三年くらい前ですが、当時の佐藤総理に予算委員会で質問をしたことがあるのです。今後も食管法違反は徹底的に取り締まるのですかと言ったら、非常に困って、最後には取り締まりますと言っておりましたけれども、たとえば昭和四十六年の事件で、山形で起きた第一物産の事件、これも横流し事件で、金額にして約八千百八十一万五千円くらいですか、利益が八百万円くらいの大量の米です。八千七百七十俵を横流しして送検になった事件。これは、検察庁は不起訴にしているのです。もうこれはいいじゃないかという考えがあるからこういうことになっているのじゃないですか。こういう前例があると、米価審議会の委員をしている人が社長であったこの会社の分もおそらく同じ事例ですよ。大体これも不起訴になるのじゃないかと、私は非常に心配している。こういう風潮というものはもうどうにもならない紊乱した段階にまできたのじゃないか。そこに物統令を廃止するばかはいないですよ。これは今日の田中内閣の、自民党内閣の大きな責任でなければならない。この問題について、食糧庁長官はどう思いますか。こういうことで食管制を守れますか。
  194. 中野和仁

    ○中野政府委員 物統令を廃止いたしましたのは、米の需給が緩和いたしまして、国民の嗜好が量より質ということになってまいりましたので、そこで、いい米もまずい米も同じ値段というふうにはまいらなくなりましたので、良質米を量産させながら、質に応じた価格で供給していくということから、物統令を昨年の四月に廃止したわけでざいます。ただし、私が申し上げたいことは、物統令をはずしましても、やはり品質に応じた相応の価格が守られていかなければならぬというふうには思うわけであります。と同時に、食管法をこれからも進めていく上におきまして、米のルートが、生産者から集荷団体を通り、全農に集まり、そして販売業者から個々の消費者に移る、このルートはきちっとしてなければならない、こういうふうに考えているわけであります。
  195. 安宅常彦

    ○安宅分科員 さっきの農地法と同じだよ。それは委任状をやって、ほかの人がやってもかまわない。あなたは指導していると言うけれども、そんなにうまくいくものか。そういうやり方をやっているのです。あなた、指導なんてえらいことを言うけれども食糧庁長官指導を守ったやつが日本にいますか。いないんですよ。そんなことで、食管法第三条なり第四条なりに示されたところの目的は達成できないと思う。あなたは米が余ったからと言うけれども、食糧の自給体制そのものはできていない。麦なんか一五%くらいだと言っています。大豆は四%、お米は一〇〇%と言っているけれども、それだって日本の食糧は足りない。米の需給だってそうでしょう。それじゃ、四十七年産米の需給のバランスを言ってください。
  196. 中野和仁

    ○中野政府委員 四十七年産米につきましては、幸い、生産が千九百九十万トンございます。流通量が約八百十万トン、そのうち、政府に集荷されます現在までの見込みが五百五十万、それから自主流通米が二百十五万、それから余り米が四十五万ということになっておりまして、単年度で見ましても、このまま十月まで推移いたしますと、四十七年産米は、五十万トン十月末に残しまして新米穀年度に引き継ぐということになるわけであります。そのころには大体二百万トンから二百五十万トンの新米が買い入れができるということになりまして、単年度といたしまして需給が均衡をしておるということでございます。
  197. 安宅常彦

    ○安宅分科員 大きな顔をしてよく言うな。去年は単年度で七十五万トンほど足りなかったはずですね。ことしは五十万トン余る。五十万トンというのは、サラリーマンの人が考えて、少し上がった、そうか、という程度のものだ。こんなものですかと、米びつをがらがらと音をさせる程度。いいですか、日本の米の量からいったら、まるで九牛の一毛にすぎない。国家予算だって、労働組合の予算だって、どこの予算だって、大体一割くらいは予備費でとっておくね。政府の買い上げ米の一割はどのくらいですか。
  198. 中野和仁

    ○中野政府委員 先ほど申し上げましたように、政府は、四十八年度で申し上げますと五百八十万トンの買い入れをするということでございまして、ただいま生産調整をやっておりますけれども、四十八年度につきましては七十五万トンの在庫を持ちたいということでございますから、一割五分くらいに当たります。
  199. 安宅常彦

    ○安宅分科員 あなたは農林大臣に、そういう投機の情勢にあるのではないか、特にもち米あたりから始まっているという、そういう報告は全然していなかったのですか。
  200. 中野和仁

    ○中野政府委員 私、ことしになりましていろいろな情勢を見ておりますと、従来自由米の価格は自主流通米価格と同等であったわけでございますが、それが千円くらい上がってきたというのが、この二月の初めころでございます。私、それまで大臣に、もち米の買い占めというようなことでは的確に御報告申し上げていなかったわけであります。
  201. 安宅常彦

    ○安宅分科員 それではあなたも首だ。一国の食糧庁長官が、そういう現実の問題が起きていて、知っているはずですよ。知らないとは言わせないです。こういうことを知らなかったら不明のいたすところ。あなた、切腹しなければならないですよ。それで、国会で、まああの男なら何とか農業問題はあまりつつかれないだろう、ストライキあたりの問題に入るそうだからということであっさり答弁するみたいなことに安住して、そして、そういう投機の状況とか買い占めの状況はないと答弁する。そういう大臣食糧庁長官の態度は許すことができないし、いまも何かたいへんもったいぶったことばで、この辺がかゆかったのですけれども先生の御指摘があったので、ということで、それから食糧庁にそういうことはないかと聞いたというのでしょう。いいですか、私ら立法府ですよ、あなた方は行政府の長ですよ。行政府の長が、議員から指摘をされて、それから始めたという答弁をきょうぬけぬけとまたやっているのです。櫻内さん、あなたは山形県の小磯國昭大将のお嬢さんだかをもらっている人だから、私はあまりいじめたくないのですけれども、あなたもはげているし、私もはげているから言うわけじゃないのですが、これはいかぬですよ。絶対許すことはできない。そんな答弁予算委員会がまかり通るとは、たとえ分科会といえども、私は承服できない。こんなことで、今日の食糧対策というものはできないはずだ。しかも、先ほど構造改善局長は、農地法の欠陥というものをはっきり認めて、そして、そういう欠陥があったならば、あなた方、いま将来のいろいろな農業計画を立てておられるけれども、こういう計画は立てられないじゃないかと言ったら、これに対する答弁ができないのですね。こういう農業政策をやっていることについて、現実の問題として、私はここで、ああそうですか、了承しましたと言えますか。絶対言えない。この問題は保留さしていただく。もっとはっきりした統一見解を出してくるんだったら別です。  主査、いまの答弁では私は絶対に納得できないですよ。本委員会で、私に対して明確に、そういう情報は入っておりません、あなたから言われたので、あわ食ってやった――あわ食ってとは言わなかったけれども、そういうことで事を済まそうなどということは許すことができない。農地法の問題と合わせて一本だ。私はここで、これをこのままああそうですかと言って終わらせるわけには絶対にいきません。構造改善局長からは具体的に、そういう農地法の欠陥があっても農業政策は今後やり得るという構想を出してください。農林大臣は私にあやまりますと言ったけれども、口の先であやまりますと言われたって、ああそうですかと言うわけにはまいらない。ほんとうに知らなかったのか、知っていてそういう答弁をしたのか、はっきりしないです。
  202. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 これはほんとうに、私は正直にすべてを言っておるのです。その具体的な事例については情報を得ておらなかったので、それをそのとおり申し上げたのです。
  203. 安宅常彦

    ○安宅分科員 そんなことで通ると思っているのですかね。主査さん、だめですよ。ほんとうにそうだったらますますいけないです。農林大臣は不明であり、農林大臣に報告していなかった食糧庁長官責任は重大である。こんなことではいけません。構造改善局長答弁を含めて、私は、こんなことで、ああそうですかと言うわけには絶対にいかない。あしたまでにでも、あなた方の責任ある立場をはっきり私に報告してください。あと、指名されたって立たないよ。
  204. 細田吉藏

    細田主査 農林省、特に御答弁ありませんか。
  205. 安宅常彦

    ○安宅分科員 答弁したら持ち時間がなくなる。だめだ、そんなもの。保留です。
  206. 中野和仁

    ○中野政府委員 先ほど私申し上げまして、具体的な話自身は……。
  207. 安宅常彦

    ○安宅分科員 何を言っているんだ。聞かないよ。
  208. 細田吉藏

    細田主査 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  209. 細田吉藏

    細田主査 速記を始めて。
  210. 安宅常彦

    ○安宅分科員 私は、きょうは以上で質問を保留いたします。あとの始末は主査がやるべきだ、こういうふうに私は考えます。
  211. 細田吉藏

    細田主査 次に、上原康助君。
  212. 上原康助

    上原分科員 私は非常にやさしい質問をいたしますので、誠意ある御答弁要望しておきたいと思うのです。  まず、沖繩の今後の農業基盤の整備について、これは漁港等を含めてですが、政府のほうにもいろいろ御計画、御方針があろうかと思うのです。特に、御承知のように、五十年の海洋博を控えて、農地の買い占め、土地投機、物価値上がり、いろいろな面で、いま沖繩の農業基盤、農民の生活がずたずたにされてきているという現状であります。最近のそういった実情を踏まえました場合に、政府がさきにおきめになった開発振興計画あるいは基盤整備を進めようとしていることが、大幅な、あるいは根本的な修正がない限り、第一次産業、特に農漁民の生活の安定、向上というのはもうはかられない、そのように私たちは理解をしているわけなんです。土地買い占めの問題等を含めて、どのように沖繩の農業実態というものについての御判断をしておられるのか、そこいらからまずお答えをいただきたいと思うのです。
  213. 小沼勇

    小沼政府委員 沖繩の土地事情から見ますと、農業振興のためには、やはり、その基盤となります農用地の保全に特に留意する必要がございますことは御指摘のとおりでございます。農業の振興開発計画を昨年の十二月に沖繩では策定をされておりますが、それに基づきまして農用地が保全され、無秩序な転用が防止されるようにつとめることといたしたいと思っております。現に、復帰後農地法を適用いたしまして、農地転用については、その運用によって規制をしてまいっているという状況でございます。
  214. 上原康助

    上原分科員 どうも御答弁が納得いかないのですね。農地法の適用がなされた。しかし、農地法を適用したから、農地の買い占めなり、そういった面が具体的に進んでいないということではないわけでしょう。海洋博に向けての土地の買い占めなり、そういったことに対して、農林省は実態をおつかみになっていないわけですか。
  215. 小沼勇

    小沼政府委員 沖繩の総合事務局の調査とか、これは十二月の二十七日に発表されておりますが、それは大体売買の確実なものが五千九百三十八ヘクタール、確実でないものが千二百五ヘクタール、賃貸借は八百六十二ということで、計八千五ヘクタールということが出ております。出ておりますが、これは本土復帰前一年から四十七年十一月までの調査ということになっておりまして、その中に農地がどのくらい入っているかということについては集計がまだできておらないようでございます。農地につきましては、先ほど申しましたように、私どもは、農地法の運用によりまして転用規制を逐次やってまいりたいというふうに考えております。
  216. 上原康助

    上原分科員 土地買い占めの大半はやはり農地、山林なんですよ。こまかいデータは集計されていないということですが、数字であげるよりも、一応大臣にも見ていただきたいのですが、ここに沖繩全体の地図があります。この赤くしるされたところが農地買い占めの実態なんですよ。これは県でまとめた状況なんですよ。いかにひどいかということは、こまかい数字をいろいろあげるよりも、この実態を見ればわかると思うのです。皆さんが農地を云々と言ってみたところで、現に土地ブローカーはこういうふうに先行して買い占めてしまっている。これはもちろん復帰して期間が短いし、政府だけの責任だとは申し上げませんが、この実態というものを知っていただかないと、今後農業基盤を整備していくとか、あるいは産業開発をやっていくと言ってみたところで、振興開発計画そのものが基本的にくずされている、土台がもうくずれつつあるということは否定できない事実なんですね。そういった実態というものをつかんで、これからの農業基盤整備というようなこと等も考えていただかないと、先ほどもいろいろ議論がありましたが、沖繩農業というものがもう再起できない。こういう状態まで来ているということは、それを踏まえて、今後、振興開発計画というものを関連性を持たせて進めていく上においてどうやっていくかということにおいては、やはり私は基本的な問題だと思うのですよ。大臣、この点についてはどういうお考えを持っていらっしゃいますか。
  217. 小沼勇

    小沼政府委員 先ほど申しました数字は、おそらく復帰前に売買されたものがかなりあるんじゃないかというふうに思われるわけでございます。これについてはいたし方ございません。しかし、その後売買されたものに農地がどのくらい入っておるかという話になると、私どもまだ集計したものを持っておりませんけれども、今後も農地転用については、優良農地につきましては十分確保しなければなりませんし、その他の農地についても転用の規制がありますので、これによりまして規制をはかってまいるということをいたさなければならないというふうに思います。それによりまして農用地の開発、整備を進めていくということをしなければならないと思っております。ただ、山林、原野につきましては、いまのところそういう規制措置もございませんので、これについては森林法の改正等がいま計画されているということで、それによりまして規制をしていくということにしなければならないというふうに考えております。
  218. 上原康助

    上原分科員 では、農地の買い占め状況について、すみやかに政府が実態調査を行なって、資料として提出していただけますか。
  219. 小沼勇

    小沼政府委員 沖繩の事務局のほうと連携をいたしまして、実態につきまして、できるだけ調査をいたしたいと思います。
  220. 上原康助

    上原分科員 どうも細々とした御答弁なんですが、ぜひ実態を――先ほどのこれをお貸ししてもいいですよ。われわれもいろいろ資料を集めておりますけれども、皆さんが農地法農地法と言ったって、農地法はざる法で、どんどん買い占められておるということは否定できません。ですから、早急に実態を把握して、まず、そういう実態であるということの反省の上に立って今後の農業振興というものを考えていただかないと、むしろ政府土地ブローカーに手をかすような姿勢では、とても農民というものは救えませんよ。その点を強調しておきたいと思うのであります。
  221. 小沼勇

    小沼政府委員 農地転用規制について、行政的に事務を扱っておりますから、その転用の実態については調査、が可能でございます。ただ、山林、原野のほうは、これがどういう実態になっておるか、この辺まではなかなか手が届かないということでございます。したがいまして、農地転用状況については、調査をいたして、御報告はできると思います。
  222. 上原康助

    上原分科員 ひとつ、できる面からでもやっていただきたいと思います。  そこで、これとの関係もあるわけですが、やはり沖繩の農業の振興ということを考えました場合には、何といっても、基幹作物であるサトウキビ、パインの保護、育成というものは避けられない現況下にあるわけですね。これまでもしばしば御見解も求めてきたわけですが、最近のサトウキビの価格にしましても、政府がおきめになったのはトン当たり六千九百五十円ですか、ようやく県庁との調整でトン当たり七千円。いま労務者の賃金が、日当が大体四千円前後、三千円から四千円だ。そういたしますと、一カ年間汗水流して農民が働いてつくったキビは、トン当たり七千円となると、農民というのはキビをつくる意欲がなくなっている。さらに、先ほど申し上げたような土地の買い占めでしょう。そういった沖繩の基幹産業であるパインやサトウキビ、あるいはまた畜産、蔬菜、園芸を含めて、ほんとうに親身になって政策というものを推進をしていかない限り、農業の安定ということははかられないと思うのですよ。まず、そういう基幹作物に対して、今後どういうような方向と方針で進めていかれるのか、ぜひ明確な答弁をいただきたいと思うのです。
  223. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 沖繩につきましては、最近非常に労働力が不足をしておるというような事態、がございます。沖繩の農業経営の改善をはかってまいりますためには、やはり、一つには基盤整備をやっていくということが重要でございます。これは、沖繩が復帰して新しいわけでございますが、本土に比べてやはり基盤整備が立ちおくれていることは事実でございますから、そういった面での努力をこれからも積み重ねていかなければならないというように考えております。  また、同時に、作物の面におきましても、近代化、合理化ということをどうしても進めていくことが必要であるというように私ども考えておるわけでございます。特に、サトウキビは、いま先生御指摘のように基幹作物になっておるわけでございますが、こういったものにつきましては、一番問題になっているところは収穫のことであるように私ども承知をいたしております。労働時間の五七%程度がこの収穫によって占められるというようなことでございますので、こういったことを合理化していくことがサトウキビの生産振興対策のうちでも最も重要な課題であるというように承知をいたしておるわけでございます。そこで、従来から、小型の刈り取り機だとか脱葉機の開発に私どもつとめてまいりました。ようやく実用化の段階に達してまいりましたので、四十七年度からそういうものを普及をしていくというようなことをやりまして、予算措置を講じてございますが、今後も基盤整備、圃場整備でございますが、そういったものと相まって、構造改善事業による助成でありますとか、制度融資の活用でありますとか、そういったものとあわせて収穫機械というものを導入してまいりまして、これを普及していくことによって、生産の合理化なり近代化なりというものを進めてまいりたいということでございます。  なお、キビにつきましては、立地条件に適合した能率の高い中型刈り取り機というようなものも考えております。これは四十七年から農業機械化研究所に委託をいたしまして、その開発を行なっておるわけでございます。  基盤整備の状況に即応いたしまして、それぞれの地域にマッチした機械化の確立ということをどうしても私ども進めてまいらなければならない。そういうことによって経営を近代化していくというようなことに、じみちではありますけれども努力を重ねていかなければならないというように考えている次第でございます。
  224. 上原康助

    上原分科員 もちろん、経営の近代化あるいは生産性を高めるということ、いろいろな農民自体の努力なり県側の努力というのも、それは御説明のように必要でしょう。しかし、それと同時に、そういう近代化なり生産性を高めていくということを強力に推進をしながらも、キビ代というのは農民の生産費に見合うコストでなければいけないわけですよ。価格については再検討を今後なさっていくおつもりがあるのかどうか。農民はぎりぎりトン当たり八千五十円でなければいけないと言っているわけでしょう。そんなに二、三千円も差があるわけじゃないのですよ。少なくとも現年度ですからね。将来は生産費に見合うキビ価格というものを政府が積極的に推進をしていかないと、もうどんどん農地は手放す、あるいは季節労務者として農民が離農していく。まさか、政府はそれを願っているわけじゃないのでしょう。勘ぐればそういう農民切り捨ての政策じゃないのかということさえ、われわれ猜疑心を持たざるを得ないのですよ。これについては、大臣、どうなんですか。将来、キビ価格を、農民の生産コストに見合う価格に一〇〇%――県側なり農民団体の言うような方向ではそういうことにいかないかもしれませんが、少なくとも次年度からは再検討していくというお考えが政府にあるのかどうか、これについてぜひ明確な御答弁をいただきたいと思います。  もう一つはパインの問題です。これも、農産物の自由化の問題が最近また非常に強く出されてきておりますが、沖繩の基幹作物であるパイソについても、現在の政府がとっておられる保護対策というものを進めながらやっていくという立場にあるのかどうか。この二点について、私は大臣の御所見を伺っておきたいと思うのです。
  225. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 上原委員は御承知のことと思いますが、私どもは、昨年十二月十八日に答申をされました沖繩振興開発計画というものを一応念頭に置きまして、諸施策の遂行に当たっておるわけでございます。  その中で、ただいまお尋ねのサトウキビあるいはパイナップル、こういうものが沖繩の地域特産であり、また、沖繩の基幹農産物であるということの指摘がされておりまするし、また、私どもは、それを受けて、沖繩の農業の中では最も重要なものであるという認識は持っておるわけでございます。先ほどから価格の問題についての御意見でございますが、私どもが作業をいたしましたときに、従来でありますると、前年度に比較して百七十円とか、百八十円の上げ幅でございましたが、今回は、価格そのものは二百冊上げまして、そしてお話しのように五十円のプラスアルファと、それから運送費を、これは農家が持たずに会社が持つということで、おおむね五百円の引き上げ幅ということで価格の決定をいたしておるわけであります。こういうような経緯でございまするから、その価格の上げ幅等の点からはいろいろ御意見がございましょうが、一応合理的上げ幅であると私は思うのです。   〔主査退席、山崎(平)主査代理着席〕 しかし、その後に、あるいはその作業の過程にあっても、沖繩博などの影響で人夫賃が非常に上がって、それと見合う上においては不適当な価格になってきてはおらぬか、そういう御批判については、私も現在非常な人夫賃の高騰ということを耳にしておりまするので、その御批判はそれなりに承るのでありまするが、この農産物の価格そのものとしてのきめ方については、私としてはこの程度でやむを得なかったのではないか。その他の要因で農家に対していろいろ影響がある、その点はその点で何か別途考える方法はないものか、こういうことをかねて以来申し上げておる次第でございます。
  226. 上原康助

    上原分科員 パインの自由化問題についてはどうなんですか。
  227. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 自由化問題につきましては、これはもうこの国会で、本会議でも委員会でも、農産物の残存品目二十四については自由化をしないということを私は申し上げておるのでございまして、特に沖繩として御関心のあるパイナップルについても同様でございます。
  228. 上原康助

    上原分科員 いま大臣のほうから、キビ価格の決定についての経過の御説明なり政府の考え方の御答弁があったわけですが、私は、政府が全然努力をしなかったと申し上げているわけじゃないんですよ。それはそれなりに、運搬費用を会社負担にしたとか、あるいは臨特費を八億円計上していろいろやっているとか、また、コストにしても、トン当たりわずか二百円ですがアップしたとか、そういうようなことに対する努力を全然否定しようとは思いません。だが、先ほど大臣もお述べになりましたように、現実にキビを一カ年間汗水流して働いてつくっても、トン当たり七千円ではどうにもならない。肥料代、人夫賃、いろいろ入れるとむしろ赤字だという状態なんですね。これに対しては、やはり本土においては、米価の問題は、いろいろあるにしても、国は相当の資金を投資して農民保護をやっているわけでしょう。沖繩にとっては、キビというのはそれに匹敵する基幹作物なんですよパイソもそうです。ですから、価格の再告示をやりなさいという要求も強いものがあったことは大臣は重々おわかりですし、私はまた要請もいたしました。しかし、今年度できなかったにしても、次年度においては、もう少しキビ価格の問題については考えていただかないとどうにもならないと思うのですね。その点については、前向きで今後御検討していただくというお考えがあるのかどうか、あらためてお伺いしておきたいと思うのです。
  229. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 上原委員から御指摘がございましたように、その後のいろいろな要因というものはございます。そこで、次年度以降のサトウキビの価格の決定に際しましては、それらの要因も考慮の中に入れて考えるということは申し上げられると思います。
  230. 上原康助

    上原分科員 そういった方向で、あくまで農民の生産費に見合う価格の決定ということを基礎に、ぜひひとつ御検討をいただきたいと思うのです。  これとの関係で、災害対策について若干お尋ねをしたいのですが、サトウキビについては、農業災害補償法に早急に含めていくという政府の御答弁がこれまであったと記憶をしておるわけですが、この件はどういう御検討をしておられるのか、伺っておきたいと思うのです。
  231. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 これは、畑作共済の試験実施をやるということで、いま検討中でございますが、その中の一環といたしまして、サトウキビの問題を検討しておる最中でございます。
  232. 上原康助

    上原分科員 どのくらい検討しておられるのですか。前に、足立農林大臣だったと思うのですが、次年度からは――次年度というと、一応今年四月一日からですが、含めていくという御見解をはっきりお述べになったことがあると私は思うのですが、検討中と言っても、いつまで検討して、いつごろ実施するのか。こういうものは、できるものは早い目にやったほうがいいんですよ。どの程度御検討いただいているのですか。
  233. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 本国会に法律案を提案するように努力しております。
  234. 上原康助

    上原分科員 じゃ、その見通しはあるわけですね。
  235. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 さようでございます。
  236. 上原康助

    上原分科員 次に、例のウリミバエの件なんですが、これも二月十三日でしたか、私、予算委員会の一般質問でも大臣にもお尋ねをしたのですが、当時、いろいろ問題はあるけれども、その対策には万遺憾なきことを期すという御答弁だったのですが、その後まだ一月もならない間に、すでに全面禁止の政府農林省令が改正されて出ているわけですよね。これはあまり詳しいことを述べる必要もないと思うのですが、これからの沖繩の第一次産業、農業問題を考えた場合には、畜産と、こういった蔬菜、ウリ園芸というのは非常に有望視されておった矢先なんですね。いまここで、いろいろ問題はあるにしましても、ウリミバ工が本島に発生をしたということで、本土への全面移入禁止になりますと、農民に与える心理的影響は、いろいろな面で大きな問題だと思うのですよ。仄聞するところによりますと、どうも農林省のほうは楽観視をしておった。二、三年ウリミバエは本島には影響ないんだということで、手抜かりがあったのじゃないかと思うのですよ。この点はどうなんですか。
  237. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 沖繩の本島におきますウリミバエの問題につきましては、ただいま先生からお話のございましたように、三月の十二日から、大東諸島を除く地域につきまして、一部の例外はございますが、ウリ類の本土への移動が禁止されることになったわけでございます。これは、沖繩本島におきますウリミバエの存在というようなことにつきましては、かなり前から議論があったところでございます。これにつきまして、復帰前におきまして、農林省のほうと地元のほうでいろいろ何べんも調査をいたして、ウリミバエが、久米島にはおるけれども本島にはいないのじゃないかということで、本島はウリミバエの規制の対象としないということにしたいきさつがございます。これは、当時ずいぶんだんねんな調査をしたようでございます。そういうことで、久米島にはとにかくかなりいるということで、実は、四十七年度から、久米島での撲滅計画を――これはコバルト60というものを使いましての、ウリミバエの不妊化のための実験事業ですが、撲滅でございますからなかなかたいへんなことなんでございますが、やはりどうしても撲滅しないとよくならぬということで、日本としては初めての技術でございますが、そういう技術を駆使いたしまして、まず撲滅のための実験事業を開始したわけであります。それから、宮古、八重山群島におきましては、被害軽減をはかるための防除を開始いたしたわけでございます。ところが、昨年になりまして、沖繩本島にもウリミバエがいるというようなことがわかってまいりました。これではやはりまたいろいろ問題が起こるようなこともございますものですから、沖繩本島では応急の防除ということを始めたわけでございます。私どもといたしましては、四十八年度におきましても、四十七年度に引き続きましてこういった事業を続けていかなければならぬ。沖繩本島でもやはりウリミバエがいるということは問題があるわけでございますから、そういう害虫を除去するための応急な対策をやらなければならない。一番いいのは撲滅をすればよろしいわけですが、撲滅の技術というのはまだなかなかむずかしいようでございまして、とにかく、雄と雌をいずれも不妊にしまして卵が出ないようにするということをやりますのには、かなり広い地域にやりますと、なかなかむずかしいことがあるようでございます。そういうことで、私どもとしては、少なくとも沖繩本島に関する限りは、まずは数を減らしていくという努力をしていかなければならないという考え方を持っておるわけでございます。それと同時に、やはり本土との間の物の流通ということがございますから、それがまた本土に移るということになると、またたいへんな問題になるおそれもございますので、まずは移動を押えるということが必要でございます。そういうことで、移動を押えるための措置を講じたわけでございますが、沖繩の農家の生産者の方々は、いま先生お話しのように、これからはウリ類のような野菜にかなり期待を持っておられる向きの方が多いわけで、そういう意味で、私どももそれを心配をいたしまして、何とか早くこれを解除するような手だてはないものであろうかということで、むしろ前向きに解除するような方向で、地元では、久米島ではもちろんでございますが、本島においても、抑圧するような努力を重ねながら、同時にまた早く解除できるような方法を早く見つけるということで、いま鋭意検討をいたしておる次第でございます。   〔山崎(平)主査代理退席、主査着席〕  過日、植物防疫所長会議がございまして、沖繩の所長も参っておりました。私は、その際に、沖繩の所長に、現地でも問題があるに違いない、生産者の方もお困りであるから、そういう生産者の立場に立っていろいろめんどうを見ていかなければいかぬということを特に申したような次第でございます。そういう意味で、沖繩の方々に、とりあえずはなかなかつらいこともあるかもしれませんが、前向きに私どもやっておるつもりでございます。
  238. 上原康助

    上原分科員 どうも御丁寧な答弁をいただいて、私の言いたいことを言う時間がなくなってしまいました。  最後に、これは確かに防除対策はむずかしいということはいろいろ説明も受けました。しかし、その対策が手ぬるかったがゆえに、沖繩の農民に与える被害、損失というのは大きいわけですよ。ですから、大臣、こういった省令を出して禁止をすれば事済むという立場にはないでしょう。やはり、防除対策をやると同時に、少なくとも消毒、駆除などで、搬入できるものについては緩和をしていくという立場で、この問題は、県の農林水産部、あるいは総合事務局等とも連絡をとられて、現地から声が出てくるまで待つということでなくして、政府責任を持って、この問題は早急に解決をしていくということでやっていただきたいと思うのですが、決意をひとつ承っておきたい。
  239. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 すみやかに防除対策の効果があがりまして、内地と申しますか、本土のほうへの移入禁止のような措置がすみやかに取れるように、農林省のほうとしても最善の努力をいたします。
  240. 細田吉藏

    細田主査 次に、小沢貞孝君。
  241. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 きょうで分科会も終わりのようですし、たいへんお疲れのところですが、ひとつ大臣から率直に御答弁をいただきたいと思います。  先ほども、残存品目二十四品目については自由化する意思はない、こういうように大臣が御答弁になっていたようですが、私は、特に重要だと思いますので、トマトの加工品の自由化問題について、大臣の決意を明確に聞いておきたい、こういうように考えるわけです。  その前に、現状を把握するために、関係局長からでいいですから、私のほうで申し上げるような数字が正しいならば正しい、こういうぐあいに即座にお答えをいただきたいわけです。  昭和三十五年だか六年に、トマトのかん詰めが自由化になりました。それから、去年の四月、トマトのペーストとピューレが自由化になったわけです。ところが、その結果、ペーストについては、昭和四十二年から四十五年くらいの間は、年に三千トンくらいの輸入のようでありました。昭和四十六年は六千トン、こういうことでありましたが、自由化になった昨年、昭和四十七年においては一万六千トンと、一挙に約三倍にふえてきたわけです。それからピューレのほうは、四十二-四十五年が三十ないし四十トン、昭和四十六年は十九トンくらいだったものが、四十七年においては八十五トン、こういうぐあいに、これはちょっと四倍増に近くふえているわけです。この数字が正しいかどうか、これは流通局ですか、お答えをいただきたいと思うわけです。
  242. 池田正範

    ○池田政府委員 前段お述べになりました自由化の問題については、ただいま御指摘のとおりでございます。  それから、四十二年から四十五年までのその後の輸入量につきましても、ただいま御指摘のようにだんだんにふえてまいっておりまして、四十七年の一年の輸入量は、トマトのペーストが一万六千十一トン、ピューレが八十五トンというふうに承知をしております。
  243. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 国際価格について、自由化になったペーストは、CIF百四円、関税が二五%で、港に入るときに百四十円、ところが、国内価格は二百八十円、ちょうど半分ばかりです。それから、自由化になったピューレについては、同じようにあれして、港について百二十円、国内二百四十五円。両方とも、入ってくる値段が約半分ということのようです。これは私が調べた価格だから、間違いがないんじゃないかと思いますから、その辺……。  それから、いま問題になっているジュース、CIF百七円、二五%の関税で、港に着いて百四十四円、国内価格が二百五円、これもちょっと半分くらいな値段です。ケチャップは、大体同じような計算をして、これは輸入品と国内価格とが、二百六十二円、二百七十円。これだけがひとつバランスがとれているようです。トマトソースに至っては、港に着いて二百十三円、国内価格三百二十円、こういうような実は状況になっているのです。これは正しいでしまうか。
  244. 池田正範

    ○池田政府委員 ただいま先生御指摘になりましたのは、実は、一ドル三百八円換算の場合の彼我の比較について御指摘になったのだと思います。したがいまして、それがさらに最近のフロートの状況から換算いたしますというと、比率が多少変わってまいりまして、彼我の差は、ケチャップで二九%高、ジュースで八四%高、ソースはほぼ二倍以上ということでございます。
  245. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 こういう現状であるが、去年自由化の際に、政府は三億円出して、それから業界が一億円出して、加工トマト振興事業費を五カ年間で四億円を使えと、こういうようにやっているわけです。それで、初年度は、聞くところによると、四千万くらいしか使っていないそうですが、いまのような状態で、振興事業費で、はたして国際価格に太刀打ちできるような振興ができるか。われわれは全然見込みがなさそうだというように感ずるのですが、どういう計画で何をやっているか、ごく簡単でいいですから、言ってください。
  246. 池田正範

    ○池田政府委員 御指摘のように、四十七年にトマト工業振興基金をつくりまして、国が三億、会社側、業者の出損一億、これは毎年二千万の五カ年ということで一億となっております。(小沢(貞)委員「八千万」と呼ぶ)四億ならばそういうことでございますね。  それから、事業といたしましては、濃密生産団地の育成事業、それから規模拡大優良経営体、育成事業、品質向上事業、それから栽培機械開発研究事業、それから集荷の近代化推進事業というようなものを中身としております。
  247. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 いまお話しのように、私から見れば、この国際競争力上、日本の加工トマトが近代化されて生産性をあげるということには、もう何の役にも立たないような実態ではないかと思います。  それから、これももう御答弁は要りませんが、原料トマトの工場への搬入価格は、生産者価格プラス等いろいろあって、日本においては十六円から十八円、外国においては七円から十円、こういうのが実態だと思いますから、こういう現状をもってしてこのトマトの加工品の自由化をすれば、一挙に日本の加工トマトの原料生産は壊滅してしまうというように感ずるわけです。したがって、先ほど大臣答弁されておりましたけれども、絶対にこれはやらないというのか、ひとつ、大臣の決意のほどをあらためて私はお伺いしたいわけです。
  248. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいまお示しのように、トマトケチャップ、トマトジュース等の内外の格差は著しいものがございます。したがって、この段階の自由化をいたしますれば、それらの関係業者、農家は非常な影響を受けることは必至であることは言うまでもございません。従来、農産物二十四残存品目につきましては、常にこの自由化には反対であるということを申し上げてまいったのでございまして、その姿勢には現在も変わるところはございません。
  249. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 ところが、これは新聞で見たのであって、私は確かめたわけでもないのですが、田中総理は、閣議で、そういうようなものを全部国で買い上げちゃったらどうだろう、買い上げ方式でやっていったらどうだろうかという発言をされておるというように聞いておるわけですが、大臣、そういう発言があったんでしょうか。
  250. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 それは前から明らかにしておるのでありますが、閣議の席で、全般的な貿易の自由化について関係閣僚は検討をしてもらいたいということがありまして、そのことについては、私も正直に皆さんに申し上げておるのであります。その際検討はできないということ、これは言えないのであって、それは検討しますとは言ったが、見通しとしては、二十四品目の自由化は困難である、なかなかできませんということを言うておるわけであります。
  251. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 先ほど申し上げたように、三億プラス一億の振興事業費ではスズメの涙で、そうは言うものの、国内の消費者のことも考え、生産者のことも考えるならば、零細な経営の生産コストの高くつく現状は改めていかなければいけないじゃないか、こういうようにしょっちゅう考えているわけです。だから、四億ばかりの、スズメの涙のようなことをもってしては、これにはとうてい対応することはできないと考えるわけです。そこで、たとえば、田中総理の言うように、全部買い上げて、外国の価格との差額ぐらいを全部補てんをしなければいけないというように想定をするならば、大体国内の生産がつぶしておるのは二十三万トンぐらいですから、十八円の半分ぐらい補てんするとすれば、九円から十円補てんしなければいけない。田中総理の言う買い上げ方式でやれば、キロ十円ぐらいで補てんしなければいけない。そういうことになると、二十万ないし二十三万トンというと、二十億以上の金が要るんではないか、こういうように考えるんです。だから、そういうことをやらなければならないような羽目におちいることのないようにするためには、少なくとも規模がそのくらいの額の金をつぎ込んで、トマトの生産性をあげるための近代化を進めていかなければいけない、こういうように私はしょっちゅう考えるわけです。これを何年間か続ければ、堂々と外国に太刀打ちできるような原料トマトの生産性があがるんではないか、こういうように私は考えるんです。そこで、そのネックになることは、アメリカあたりだか外国ではもう一千町歩ぐらいでやっておるんだそうだが、日本においてはそれができないで、まことに零細な経営をやっているわけです。そのためにネックになることが二つ、三つあるのではなかろうかと思います。一つは、機械化をやっていくためには品種の改良が必要だというように考えますし、一つは、収穫期に大型機械でどんどん収穫してしまうという一番大きなネックがあるわけです。だから、これに対する対応のしかたが農林省においては非常におくれておるのではなかろうか、こういうように考えるわけです。したがって、これは事務局でいいわけですが、一つは、品種の改良はどういうように進んでいるか、一つは、収穫の機械はどういうように開発をしようとしているか、ごく簡単に……。
  252. 中澤三郎

    ○中澤政府委員 農林省におきます加工トマト用の試験研究の重点につきましては、ただいま先生お話しになられましたように、二点に集中して行なっているわけでございます。御案内のように、加工用トマトの条件といいますといろいろございますが、基本的には、やはりかたさということでございます。これまでの品種の改良の結果として、無支柱の栽培に適する品種ができております。たとえば御案内と思いますが、「れいぎょく」とか「くりこま」というのがございますが、さらにこれをよりかたくして、機械で収穫する場合に、一斉に収穫するのに耐えられるような品種の改良をするということで、現在の時点では、これは盛岡の野菜試験場で行った成績結果でございまして、通称盛岡九号、十号と内部で言っておりますが、この系統を育成いたしまして、各県の試験場にお願いいたしまして、系統適応試験というものを実施する段階になっております。ここで二、三年やっていただきますと、いまの機械収穫に適するような品種ができるのではないかという期待を現在持っておる、こういう段階でございます。  収穫機自身につきましては、これまでもアメリカの機械などもございますが、日本に適する小型の機械で一斉に収穫できるような機械を製作するということを目標に勉強してきているわけでございますが、農業機械化研究所におきまして、四十八年度、九年度、二年にわたりまして、これは野菜試験場の盛岡市場と協力いたしまして、いま申し上げましたような視覚の機械の設計をいたし、これを試作し、圃場試験をしているような段階にただいま来ておりまして、これも、見通しといたしましては、両三年くらいの問に一つの見通しがつくのではないかというふうな段階でございますので、できるだけこの試験研究の効率があがるようにつとめていきたいと思います。   〔主査退席、山崎(平)主査代理着席〕
  253. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 機械が完成するのに三年かかるという。ことしは、大臣の言うとおり、ほんとうに自由化を阻止し得たとしても、三年もかかっていては、日本でそれをやるのに間に合わないのではないかと思う。そういうことから、私は、一つ大臣への提言があるわけです。昔、たとえば乳牛酪農をやろうというときに、たとえば森永なら森永が、自分の企業で危険をおかして農家に飼わして、そして技術的なめんどうやなにかを見てやったというのが、何十年前か知らないが、酪農を盛んにしたゆえんではないか、こういうように考えます。そういうように考えるならば、私は、役所で研究していたって間に合わない時期だと思います。外国における一千町歩というような農場経営については、日本はそういうわけにいかないだろうが、少なくとも、百町歩くらいな圃場のモデル地区を全国に三、四カ所つくって、その機械も実験したらよろしい。いま盛岡で研究している品種もまた実験したらよろしい。こういうことをやらなければ、いつまでたっても対応できない。そして、それに取り組むには、やはり加工業者も一枚加わる、農林省も加わる、生産者団体も加わる、この三者によって百町歩くらいのモデル圃場を全国に、三、四カ所つくる、こういうようなことをするならば、すみやかにこの成果があがっていくのじゃないか。機械も実験しながら急いでつくれ、設計をしろ、改良をしろ、品種も保持していけないから急いでやれ、改良しろ、こういうことになっていくのではないか、こういうように考えます。そういうようにもし対応するならば、国と業者と生産者と対応してモデル地区を四カ所くらいつくるならば――もし、田中総理の言うように、みんな買い上げというような二十億もの金があったならば業者にも出させよう、生産者も幾らか負担しよう、国も出せ、こういうことになれば、すぐにも対応できるようなパイロットプラントが、パイロット圃場ができるのじゃないか。抜本的にいまからでも進めなければ、じんぜんとただ自由化反対と言って五年も十年もやり通せるものではなかろうとも思いますし、消費者にもこたえるゆえんではなかろう、こういうように考えるわけです。   〔山崎(平)主査代理退席、主査着席〕
  254. 池田正範

    ○池田政府委員 ただいま先生のおっしゃる抜本的な問題について、あるいはあとから大臣から御答弁することになろうかと思いますが、先ほど申し上げました加工用トマトの新規植栽のほかに、実は、四十七年度から新規に特産野菜の主産地育成事業というのをやっておりまして、指定野菜以外の野菜で生で食べる野菜、あるいは加工用のかん・びん詰め用の野菜といったようなものを対象にいたしまして、一地区十ヘクタールくらいを対象にいたしまして、栽培用の機械施設とか、育苗あるいは配管、集出荷施設、貯蔵施設といったようなものをセットにいたしまして、四十七年度で六十団地、四十八年度では九十団地、その中で四十七年度は三団地をすでに指定いたしておりますが、さらに、来年度は、これに加えまして、九地区を野菜専用の団地として指定いたしまして、そしていま申し上げたような対象の事業をやっていこう、こういうふうに考えているわけでございます。むろん、事業の規模その他につきましては、ただいま御指摘のような規模に比較いたしますると、まだまだ食い足らぬ面もあることは御指摘のとおりだと思いますが、いずれにいたしましても、耕うんとか整地、定植、防除、施肥といったような、すでに機械化が進んでおります過程があるわけでございますので、最終的には、いま御指摘のありました収穫面での小型の試作機を四十八年度中には何とかひとつめどをつけて、そしてただいま申し上げました根っこの基盤整備とあわせて、御指摘のような方向で何とか日の目を見たい、こういうふうに考えている次第でございます。
  255. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 収穫も、さっきの研究とはまた違う規模だろうと思うのですが、四十八年度中にめどをつけられる、こういう見通しがあるので、ことし直ちに三つか四つの圃場で、百町歩で実験しろとは、間に合わないことだから言いませんが、少なくとも来年度は四地区くらいに――田中総理が買い上げると言ったら、確かに二十億は要ると私は思います。そのぐらいの金をかけるならば、収穫皆無になっても最低が保障できる金だ。そういう危険をおかしてもやってはどうか。そのためには、国と業者、生産者の三者、あるいは設置しようという県当局を入れてもいいと思いますが、三、四県くらいを指定して、場所を指定して、その四者くらいで対応する研究会あるいは審議会というものを、ことしじゅうに直ちに発足させる。これは金の要る話じゃないと思いますから、大臣からぜひ御答弁をいただきたいと思います。
  256. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 先ほどから、有意義な、またトマト産業に対して非常に適切な御提言をちょうだいしておるわけでございます。また、農林省側としては、先生の言われるのとはやや規模が小さいことではございまするが、一応御趣旨に沿ったようなモデル団地をやっておることも申し上げたのでありまするが、せっかくの御提言でございまするので、農林省としても十分検討させていただきたいと思います。
  257. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 これは蛇足のようですが、最近大豆が上がってどうしようもないということで、あわてて大豆対策をあっちこっち立ててみて、また、国内で生産をしなければいけない。それには価格保障もしなければいけないという問題が出てくるんだが、大豆や何かについても、油脂業者あるいはみその業界の人、しょうゆの業界の人との契約栽培をする、そういう人々もまた、国内で安くて品質のいいものをほしいというようなぐあいになって、大きな圃場で契約栽培をするということにもしなれば、生産は近代化されて国内生産が進んでいくんじゃないか、私はこういうようにも考えるわけです。いままでのようなやり方をしていったり、価格を保障してというような能のないようなことばかりやらないで、これもまたできるのではないか。私は、業者も一枚加わらして、業者も真剣にやろう、生産者も取り組もう、国もそれに対応しようという体制がなければ、やはり近代化していかないと思いますから、ぜひひとつ大臣から、ことしじゅうに研究会を発足させてもらって、来年からは実験が四圃場くらいでできるようにやっていただきたい、こういうお願いをしておきたいと思います。  それでは、次に、野菜の関係の質問に移りたいと思います。  大豆や家畜の飼料みたいに、国会の前後に急速に上がったり下がったりことしはしないものだから、野菜の問題はあまり論議されないが、こういう時期にこそ長期安定の対策を樹立していかなければならない、こういうように私は常に考えておるわけです。  その前に、これは事務当局にお尋ねして、実は資料を出していただきたいのだが、野菜生産出荷安定法の三条でいう指定野菜の需要の見通しというものを立てておるわけです。たとえば「野菜対策」にありますけれども、最初四十二年三月三十一日に、見通し年次昭和四十六年度を見通して、対象地区は京浜、中京、京阪神、北九州四地域で、対象野菜はキャベツ、キュウリ、トマト、大根、玉ネギ、白菜、六品目についての四十六年度の見通しをつくったわけです。御案内のとおりです。それから、四十三年三月三十一日には、四十七年度を見通して、いまの四地区に二品目、ニンジン、ネギを加えてつくったわけです。そういう五年後の見通しをつくってあるわけです。ところが、情勢はたいへん変わるんじゃなかろうかと思いますが、この見通しと実績との対比というものを発表されましたか。これは概略でいいですから、ちょっと一言御答弁いただいて、数字についてはあとで――これは委員長のほうにお願いしておきますが、品目別の数字については見通しが達しなかったかどうか、こういうようなことについて、あとで文書でひとつお答えをいただきたい。  そこで、大体の見通しだけ一言……。
  258. 池田正範

    ○池田政府委員 ただいまの指定野菜の見通しは、厳密に申しますと、物別には多少違うものもございますけれども、総体的に考えますと、ほぼ見通しに近いものになっておるように私ども考えております。概して申しますと、全体としての量の伸びということよりは、むしろ中身の変化というふうな形が野菜の場合に非常に強いわけでございますが、大体においては予想いたしました線に近い線でいまのところはおさまっておると思います。  資料は提出いたします。
  259. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 それでは、時間の関係で急ぎますが、野菜産地の振興をはかるために、野菜の指定産地の指定の拡大あるいは近代化事業の対象を、これはぜひ一そう進めていただきたい。そういうことをしないと、たとえば昭和四十一年ころに、特定な地域で、特定な野菜について指定したけれども、情勢が変わってきてしまって、その付近にたくさんつくるものができてきた場合に、たいへんいろいろ問題が出てきているわけです。これはひとつお答えをいただきたいと思います。たとえば卑近な例ですが、私たちのすぐ近くで秋冬ハクサイというものを計画を立てているわけですが、その指定したのは四十一年度。ところが、生産は、その付近にたくさん伸びちゃっているわけです。そして、それは、計画は立ったけれども、指定は小さい地区をやっただけだ。こういうことなので、矛盾がたいへんたくさん出てきているわけですから、実情に応じて指定の拡大、地域の拡大をやっていただきたい。
  260. 池田正範

    ○池田政府委員 御指摘の指定産地の拡大につきましては、順次計画をもってやっておりますが、現在七百四十三地区につきまして、次年度には八百三までのばす。それから、いま先生御指摘の問題は、あるいは指定産地を新規にふやすというのではなくて、むしろ広くしろというようなお話で、これはぜひその方向で検討していきたいと思います。
  261. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 それから、ことしから始めようとしているような大きな事業もあるようですが、需給調整のためと、それから品質を保つために、この低温流通をどうしても大規模にやっていかなければいけない。これは私は時代の要請ではなかろうかと思います。これをひとつ強力に進めてもらうことをお願いをし、ことしの予算にそういうことが載っていると思いますが、具体的に若干御説明をいただきたいと思うわけです。
  262. 池田正範

    ○池田政府委員 御指摘の点につきましては、特に、過去三十九年の三月に、科学技術庁が、低温のLPガスを使います低温輸送問題を技術的に手がけました。それをベースにいたしまして、その後検討を進めまして、四十八年度からは、野菜の低温流通の促進措置といたしまして、高冷地の野菜、暖地の果菜類、それから北海道の野菜といったようなものの産地の集団化及び生産の拡大が現在進みつつある産地で、野菜の価格安定政策上、将来非常に見込みのあるような地域、これを対象にいたしまして、高能率の予冷施設整備を中心とした低温流通方式を開発実験事業として手がけてまいりたいというふうに現在考えているわけでございます。
  263. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 北海道は一応はわかっているのですが、暖地野菜類の二つの県、高原野菜の二つの県、これは場所はもうすでに検討されておるわけですか。
  264. 池田正範

    ○池田政府委員 これは、実はまだ決定はしておりませんけれども、たとえば高原地の野菜等につきましては、当然、長野県等を含むその地帯が対象の中に入ってくるのではないかというふうに推定いたしております。
  265. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 私の質問なので、長野県さえ入れてもらえばそれでいいというようなことじゃちょっと困るんだと思うけれども、これはもうそういう予定で進めていただいておると思いますが、せっかく最初やる事業ですから、ひとつりっぱな成果をあげていただくことをお願いしておきたいと思います。  それから、野菜の価格補てん事業、これをひとつ資料として出していただきたいわけですが、これは、四十一年度から始めて、政府が出した支出、年度別の金を、幾ら政府はこれに年度別に出しておるか。これは時間がないのであと資料で出していただきたい。それから価格補てんのために今日まで幾ら支出をしたか、これもひとつ資料で出していただきたい。  それから、趨勢値がたいへん問題なんだけれども、制度始まって以来、秋冬期重要野菜の趨勢値はどういうように変わってきたか。それから、秋冬期重要野菜以外の野菜についての趨勢値はどういうように変わってきたか。  以上のところまでは委員長に、資料として出していただくようにひとつお願いをしたいと思います。  そこでお尋ねをしたいのは二つあるわけです。  先ほど言ったように、たとえばある指定地域の小さい部分の、秋冬ハクサイなら秋冬ハクサイだけを指定しておって、そのまわりにたくさんできちゃった、ところが、補てんをするのはこの場所だけなものだから、ほかのものは補てんの機能というものは果たしていないじゃないか、こういうたいへんな不満があるので、先ほど言った指定地域を拡大してもらうということをやっていただかないと、この機能が十分働かない。この点が一つと、もう一つは、四十八年度の趨勢値というものはみんな当然計算ができるわけだが、わかっているわけでしょうか。
  266. 池田正範

    ○池田政府委員 ただいま御指摘の資料は、後刻提出をいたします。  それから、趨勢値の問題でございますが、従来実は、これは平均値で出しておりまして、その平均値の一定割合を補てんするという仕組みをとっておったのでございますが、昨年からこれを趨勢値の形に改めたことによりまして、実質的に水準が上がってきた。補てん割合も、したがって、ことしは八〇から九〇に上げるというようなことをやりましたものですから、趨勢値をとることによる水準の値上がりと、それからパーセンテージを引き上げることによる補てん率の値上がりと、それから国庫補助の負担割合の引き上げといったようなことの相乗効果で、農民としてはかなり好条件になってきているというふうに考えております。  なお、趨勢値そのものの水準については、あとで、先ほどの資料とあわせて御提出申し上げます。
  267. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 了解いたします。  それで、最後に、大臣一つ要望があるのです。  構造改善局長、それから技術会議中沢事務局長、それから官房企画室長、それぞれに、大臣に差し上げた資料を上げたわけです。これはユニークなことなので、これは事務当局ではなかなか簡単にはいかないようですが、大臣、そういうことはいいことで、ひとつモデルとして育成しろ、考えてみろ、こういうぐあいに言っていただければありがたいわけです。  というのは、長野県の白馬のあのすそ野に、農業協同組合と日本農業新聞が二年前から――三年前だったか、子供村を、農家の民宿を利用して、過疎地帯における農業対策をいかにすべきかということから発足したわけです。この民宿を始めて、そこへ都会の子供を、ひとつ夏休みに三泊四日で遊びにいらっしゃいというようなことを始めたところが、おととしは一千七百名、去年は三千名来て、ことしは五千名も来るというようなことになってきて、人数はふえる。したがって、現場においては、信大の教養学部の学生を頼んできて、アルバイトとしてやらなければいけない。それから、植物から木にみんな名札をつけて覚えさせてやるということから始まって、これはもうたいへんなことになって、東京都の都議会においても、これはいいことじゃないかと言われているようなんです。私たちは、これを農業サイドから見るならば、たいへん農業構造の改善に役立ったと考えますし、構造改善局のある職員もまた現地を視察していただいた等、いろいろレポートも出ておるわけですが、NHKから、そこにお手元に差し上げた週刊朝日から、日本のありとあらゆる新聞が、これはおもしろいことだといって書き立ててくれるはいいけれども、日本で初めてこういうことができたんだけれども、だんだん規模が大きくなるに従って、運営上の問題で、学生にけがをさせてはいけない、便所の問題はどうだ、木の名前は全部教えなければいけないというような問題が出てきているわけです。私は、新しい時代に沿うて、各地区でこういうことをやることは、農業サイドから見るならば、たいへん構造改善に役立つし、おそらく過疎対策になるのではなかろうか、こういうように考えるわけです。そこで、技術会議の事務局長さんや、構造改善局長さんや、官房の企画室長さんにも、これを研究してもらうように差し上げてあるわけです。  大臣、これは大所高所から、こういうものを育成するために援助をするというぐあいに、どうかひとつ研究をいただきたい。これは厚生、文部とも関係ある問題だと思いますので、ひとつ大臣にそのことを要望しておきたい、こういうように思います。
  268. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 小沢委員は御事情を十分御承知で御質問のことと思うのでございます。施設に対する補助ということについては、場合場合によって考慮ができるのでありますけれども、施設ができてからの運営費についての助成ということについては、いつもこれが問題になるわけでございますが、せっかくただいまの小沢委員のお話でございますが、以前に、総理府の予算で、たとえば富士山ろくでボーイスカウトの大会をやって、それにたしか運営費の助成が出たような気もするのです。それで、農林省内部では、すでに検討の模様をお聞きになっておることと思いますが、有意義なことでもございますので、私の所管外のことでありましても、御参考になることがあれば申し上げたいと思いますし、また、お話のように、これからの予算折衝の面でこういうものにも資金が出るような方法が講ぜられれば、まことにこれは小沢委員の御趣旨に沿うわけでありますから、その点はよく勉強させていただきたい、こう思います。
  269. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 それでは、終わります。
  270. 細田吉藏

    細田主査 以上をもちまして、本分科会所属の、経済企画庁所管、農林省所管及び通商産業省所管に対する質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  271. 細田吉藏

    細田主査 この際、おはかりいたします。  昭和四十八年度一般会計予算中、経済企画庁所管、農林省所管及び通商産業省所管、並びに昭和四十八年度特別会計予算中、農林省所管及び通商産業省所管に対する討論採決は、先例によりまして予算委員会に譲ることといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  272. 細田吉藏

    細田主査 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  これにて、本分科会の議事は全部終了いたしました。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  分科員各位の格段なる御協力によりまして、本分科会の議事が無事終了することができましたことを、ここに厚く御礼申し上げます。  これにて散会いたします。    午後六時二十二分散会