○瀬長議員 ところが、農林
大臣やいまあなたが言ったようなこととはうらはらに、沖繩県民の、特にキビ作農家の声はどういうことか。「お先まっ暗のキビ作 島を捨てる時がきた」これは南大東島の話です。それから「製糖代表らが要請県、離島七社への実施示唆」「原料キビ買い上げ、工場赤字に県の
補助を」これは工場側の話でありますが、ほとんどの農家が、いまのトン当たり七千円ではやりていけないというふうなことを
生活面から言っているのですよ。
それで、現実にどうなっているかと申し上げますと、これはもちろん
農林省や農林
大臣だけの
責任ではないでしょうが、いま労務賃金は三千円から四千円になっております。これは海洋博を目当てにして、砂糖にたかるアリのように本土から大企業、大
商社、さらに金融
関係まで入り込んできて土地の買い占めが行なわれ、土地投機が行なわれている。特に北部の場合には、耕地の三〇%はすでに買い占められておって、青田刈りにひとしい、キビをつくっておる農地までつぶされつつあるという現状である。と申し上げますのは、二人要るとしまして、一人当たり三千円として六千円吹っ飛びます。これでは農家は、何のために工場に持っていくかわけがわからぬ。肥料代はもちろん、皆さん御
承知のとおり、トン当たり一千円以上かかってくる。それで、肥料代だけでもいいから買うてくれ、キビが立ったまんまで一トン当たり千五百円、二千円で買うてくれと言っているのに、買うものすらいなくなっているというのが現状なんです。あなた方は満足するような
価格だとか言われておりますが、砂糖の
価格安定等に関する法律の第二十一条には、もちろん御
承知のように、物価その他の経済事情を参酌して
価格をきめる、あるいはまた再
生産を確保しなければならないということが明記されております。全国消費者物価指数は六%、キビ
価格は前年に比べ三%しか上昇していないといったような問題などでもわかりますように、現在の
価格では、再
生産の確保どころか、もうキビをつくっていたのでは
生活できないからということで、離農するという深刻な事情が起こってきております。
〔山崎(平)
主査代理退席、
主査着席〕
御
承知のように、本土では米作、沖繩ではキビ作ということで、サトウキビをつくる農民にとっては農業における比重が大きいわけなんです。そこで、いまのキビ作農家を救うためには、そしてまた、甘味
資源法にも明記されているように、これを確保するためには、現在のサトウキビ
価格の再告示、これが
要求されるのではないか。これを計算してみますと、沖繩県庁からあなた方に
要求したトン当たりの
生産費の問題が出ております。これは七千六百七十円にしてほしい。ところがあなた方七千円できめた。その差額は二百万トン出る予想で、実に十三億四千万円になります。さらに
農林省が四十七年十一月十三日公表したキビの
生産費、これすら七千三百二十六円となっている。これはあなた方のつくったやつですよ。その七千円を差し引いて三百二十六円残る。二百万トンにかけますと六億五千二百万円の差額が出てきます。それと今度は沖繩の農協中央会、これがキビのトン当たり
生産費をはじき出している。これは一ドル対三百五円換算で計算しまして七千六百七十円、その差額が六百七十円、同じく二百万トンかけますと十三億四千万円になりますが、これは政府のものです。農協中央会のは七千九百五十七円、この差額は九百五十七円、二百万トンかけますと十九億一千四百万円という金が出てきます。
さらに、これは重要だと思うのですが、沖繩を差別してはいけないという問題も起こります。現に米作農家が家族労働として計算されているものと同じような家族労働費とするならば、実に一万一千五百円ということになります。七千円との差額は四千五百円です。二百万トン、九十億円で、私がそれを申し上げましたのは、再告示の場合には何をとるかという問題です。当然のことながら、沖繩県民がキビを営々としてつくっておる。本土における米作農家が営々として米をつくっていることと同じである。この労働力、これが一切の
価格、価値の
決定をするものでなければならない。そういう意味でも、いま申し上げました沖繩県民の一致した
要求は、本土における米作農家と同じ家族労働賃金として計算をしてほしい。それで一万一千五百円になる。そうなりますと、九十億円という金が出てまいります。再告示をする場合に、当然常識でも考えられることは、
農林省が四十七年十一月に公表した七千三百二十六円、これがキビの
生産費なんです。そうしますと六億五千二百万円という金が
生産農家に
生産奨励費としておろしてもいいんではないかということは無理な注文ではないと思います。さらに沖繩県庁が
要求した七千六百七十円、これになりますと、十三億四千万円になり、農協中央会は十九億一千四百万円になる、こういったような計算は算術的なごくありふれた常識の計算なんです。もし
農林省が甘味
資源を確保しなければならないという政策を変えないとするならば、
生産農家のこの離農するという者をどうあっても防がぬといかぬでしょう。離農がどんどん激しくなりますとキビはつくれなくなる。キビをつくれなくなれば、甘味
資源は枯渇して砂糖の
需要量を満たすことはできなくなる。この問題につきまして、特に政策面でありますので農林
大臣の御意見を聞かしてほしいと思います。