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中曽根国務大臣 ゴルフは、一部にはまだぜいたくな競技のように思われているところもありますが、私は、最近の傾向から見ると、これは大衆スポーツとして健全に発展さすべきものだろうと思います。ただ、一部、私が高崎線なんかに乗ると、若いサラリーマンみたいのがグリーン車を占領して、バーディを出したとか、大声で話して、ビール飲んだりして人に迷惑をかけたり、あるいはあの道具を客席まで持ち込んでお客さんの荷物を妨害したりしているという、ああいう礼儀のなさという点では、迷惑を受けて誤解を受ける面が非常にあるので、そういう点はマナーを注意してもらわなければいかぬと思っておりますけれども、ゴルフ自体は大衆のスポーツとして、これから大いに健全に発展させていく必要があると私は思います。
ただ、この問題については、最近、
土地の乱開発の問題と、それから、ゴルフブームに乗りまして、何でもゴルフ場を経営してみたいという気持ちを起こす人が多くなってきて、あまり信用のない人たちがあまり
資金も用意せずに、何とかなるだろうと思って開発し始めるという例もあって、それは結局会員権募集をしたりして、途中でどろんをきめたり、挫折したりして、非常に大衆に迷惑をかけてきている。そういう二つの問題が現在ございます。したがって、ゴルフ場が適正にできるということは、
日本のグリーンベルトを用意するという点にも、また、そういう
土地を有効に活用するという点にも、あるいは一朝有事の際に芝を掘り返してバレイショでも植えれば適当な農場にもなるという点にも、ともかく、あらゆる面においてこれが適正に運営されれば奨励していいものであると、
一般的にそう私は考えております。
しかし、いま申し上げたような乱開発の問題、あるいは最近の例を見ますと、そういうブームに乗りまして、農民から
土地を買い上げようという運動をやって、その該当農民が、三分の一は売ってもいい、三分の二は売るのはいやだということで、農民間の対立ができたり、あるいは、まじめに農業をやろうとする人たちと、適当に売ってほかに
商売を変えようとする人たちの問に、農村共同体に亀裂を生じさせているというようなこともあります。都会資本の農村に対する進出が農村を荒廃させる、精神的にも悪影響を及ぼすという面も出てきておるので、そういう点もこれは
規制する必要があるのではないかと思います。
農民のためにということも考えますし、今度は、ゴルフのプレイ自体を考えてみますと、正直に申し上げて、グリーン・フィが高過ぎると私は思うのです。しかも、グリーン・フィとかいろいろな諸経費が、理事会あたりでかってに——かってにと言うと変ですが、
一般利用者の意思にあまり
関係なくきめられているような傾向がございますね。それで、グリーン・フィやそのほか経費が高くなっているところもあるように私は思います。川奈とか、スリーハンドレッドとか、ああいう豪華版のところは、出せる人が行っているのだからかなり重く取っていいと思いますし、県民あるいは
国民のために税金として還元させてもらったらいいと思いますが、メンバー制でない、そういうような
一般の大衆コースのものは、グリーン・フィももっと安くする必要がある。それから、いろいろな名目で、利用者の意思とあまり
関係なく、ややもすれば恣意的に料金が上げられたりしている。道路補修金とか、あるいはふろの代金とか、さまざまな名前でいろいろそういうものが上げられていますね。これはやはり、健全に大衆スポーツとして発展させるのを阻害していると思うので、めちゃくちゃやたらにそういうものが上げられないように、県に届け出するとかなんとかということが必要じゃないか。あるいは、学生なんかはキャディを使う必要はないんで、自分でかつげ、キャディを使うのは五十以上にしたらどうかとか、ともかく改革すべき点もかなりあるんじゃないか。自分でかついだ場合には税金も安くしてやる。そういうふうに非常にメリット、デメリットを与えながら、大衆本位のものとして健全に成長させる必要がある。そう私は思います。