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田口分科員 私の言い方が、九百幾つかの保健所が空中分解と言えば全部廃止というふうにとられぬでもないのですけれ
ども、そうじゃなくて、いま
局長がおっしゃったように、九百のうちで、あるグループの保健所は広域保健センターにしてしまう、それからある保健所は地域レベルの保健センターにしてしまう、ある保健所は地区レベルの保健センターにしてしまう、懇談会では保健所という名前は全然使っておりませんけれ
ども。そういうことがどうもいまのお話の底にあるというふうに思うのですけれ
ども、四十八年度の
厚生省の
予算案、いろいろと数字を見た場合に、それがはっきり出てくる。
しかし、
実態は、たとえばいま
住民が一番保健所に持ち込んでくる仕事の性質といいますか、まあ母子検診だとかいろいろありますけれ
ども、食品の検査、それからうちの井戸水はどうだろうかといって持ってくる、そういった水質の検査なんかが比較的多いわけですね。私、自分の一番近いところで三重県の保健所
関係を調べてみたんですけれ
ども、四十二年から四十六年までのこの五カ年の検査の件数を見た場合に、保健所検査としていろいろやられておるのが年
平均二十二万一千もあるわけです。それから食品衛生検査としてやったのが、これは少し数が少ないのですが、二千六百十件、こういう検査の動向をずっと見てみますと、従来多くあった、たとえば赤痢菌の検査であるとか結核菌の検査であるとか、そういったものは年々減ってきておるのです。その逆に、成人病の
関係とか、そういう臨床検査が大体七割方
増加をしておるし、水質検査なんというのも二五%程度
増加をしてきておる。
こういう検査の
関係が質的に変わってきておるのに対応する、ずばり言って、保健所の検査技師、こういうものが、実は三重県で例をとりますと十一あるのですが、
一つ一つ違うわけです。ある保健所には二人の検査技師がおるけれ
ども、あるところは一人だ。しかもその一人の検査技師が普及係長といった全く
関係のないポストについておったり、検査技師の資格を持っておるけれ
ども、実際は仕事をしていないで事務をやっている。そういうところであれば、これは比較的いなかのほうにあるのですが、保健所へ持っていったってしようがないじゃないか、持っていったって一カ月も二カ月もかかるじゃないかといって、結局、保健所の機能そのものを保健所側がそこなっておるという
実態があるわけですね。
そういう
実態をつくっておいて、いま
局長がおっしゃったように、広域、地域、地区というふうな三
段階にひとつ分けてしまおうじゃないか、これを称して空中分解ということになりはしないかと私は言うわけですよ。
ですから、
一つの具体的な例をとった場合、たとえば新年度の新規事業で特別設備
整備費四千五百万円という数字が出ておるのですけれ
ども、これを三十保健所に分割をする、こういった場合、私は二つの面からきょうはっきりしてもらいたいと思うのです。
一つは、これも三重の例を私、言いますけれ
ども、分光光度計または光電比色計、またはということで、どちらかを持っておる保健所が十一のうち六つしかないのですよ。五つは全然持っていない。そういう状態を今後——四十八年度
予算案の
厚生省の
考えとしては、いまの前提条件であれば、ないところはないところでほっておくんだ、あるところは、多少要求の強いところは、それにやるんだと
考えるのか。
さらに今度は、二つ目の問題は、それとうらはらの
関係で、たとえばいま言った特別設備
整備費のうちでガスクロマトグラフ、それから赤外分光光度計、こういう化学検査器械の名前が出ておるんですけれ
ども、私
どもは現場におっていろいろと話を聞きますと、このガスクロマトグラフと赤外分光光度計というものがペアになった場合、残留農薬の問題とか油分とかの問題ははっきりと検査ができる。しかし、地域からいろいろな要求があるんですから、一方はガスクロマトグラフを渡してしまう、一方は赤外分光光度計を渡してしまう。全く機能しない。それによって私の保健所にはこれがありますよ、こちらには赤外分光光度計がありますよ——結局、機能せぬわけです。そういうことを、この三十保健所という数をあげておることは、助長することになりやしないか。また、くどいようですが、さきの第一点に返った場合は、結局、ランクづけをして、ないところはないで永久的にほったらかしておく、いいところはどんどん充実をさしていく、こういうことを
厚生省が人為的につくってしまうのではないか。こうなった場合には、地域の公衆衛生の第一線である保健所の機能というものを、
厚生省みずからがくずしてしまうことになるのではないか。
ですから、私は、四十八年度には、保健所問題懇談会のそういう答申があるけれ
ども、いま私が二、三例をあげたような問題があるから、ここにいろいろな事業
計画が予定としてあがっておるのですけれ
ども、保健所問題懇談会とは全然発想を異にしておるんだから、いろいろの地域の要望によって保健所を
整備しなければならぬ。AもBもCも区別するのではなくて、
整備をしなければならぬという前提に立って私はしてもらいたい、こう思うのですが、その辺のところをひとつ聞かしていただきたいと思います。