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小林(進)
分科員 厚生大臣、ひとつ最初に文句を言いたいのでございますけれ
ども、大体いまの
政府は、この四十八年を
福祉元年とすると言うのでございますが、
福祉元年といえば、
福祉元年に値する
福祉行政、
厚生行政というものが
予算の中にぱっと浮き彫りにされなければならないと思うのでありますけれ
ども、何も浮き彫りにされていない。単に去年、おととし、さきおととしの
予算の編成方針の中に、何%積み上げた、何%積み上げたというだけの話であって、いわゆる大きく流れを変えて
福祉の元年と言い得るような、そういう画期的な
予算の編成がえもなければ、画期的な
福祉行政というものも、見るべきものはない。
私は、
福祉元年を迎えるにあたって
齋藤厚生大臣の就任を見たことは、わが日本の歴史の上に、最大の汚点だと思っているのです。いま少ししゃんとして腹をきめて、そうしてこういう中で、大臣が大きなアイデアを持ってやっていただければ、私は、
福祉元年なんという、から念仏で
国民が悲嘆、落胆をする、こんな情勢にならなかったと思います。もっと言えば、ああやって円の切り上げで、私はきのうも質問したのだが一体幾ら損した、一昨年の十二月の円の切り上げで三十億ドル、大体一兆円の損失。せっかく
国民が飲まず食わずでためた金を一兆円、ぽんとアメリカにふんだくられた。今度もまたドルの切り下げで一体幾らぐらい損する、先は見えません、変動相場制ですけれ
ども、まあ事実上円が切り上げて、これも一兆円くらいは損したでしょう、既成事実の上に。合計二兆円くらい損した。
なぜ一体こんなことになっておる。売らんかな、輸出せんかなで、低賃金で、いい品物をどんどん持っていって、あの値打ちのないドルをかせがせるという通産行政に、私は
一つの憎しみを感ずるけれ
ども、そのためた金を、
国民に飲みも食わせもしないでためたんだから、早くいわゆる
厚生行政、
福祉行政の中で、ちゃんと行政が浸透して、りっぱな
年金もつくる、りっぱな
医療制度もでき上がってくる、りっぱな
福祉行政もできていって、
国民の
生活が潤うようにちゃんと内政が完備していれば、こんなにためてはとられ、ためてはとられするような、ばかなことはなかったと思う。
第二番目に悪いのは、私は厚生大臣と思っておる。厚生大臣がこういうつまらない
厚生行政をやっているから、
国民には食わせない、飲ませない、与えるべきものを与えない。そうしてためれば、さいの川原じゃないけれ
ども、ぼかんぼかんとふんだくられている。ちょうど厚生大臣なんというものは、一家でいえば強欲非道なおやじだ。
家族に食うものも食わせない、着るものも着せないで、そしてためさせておいてはとられて損するような、そういうかっこうになっている。実に私は残念しごくだと思っている。大臣、どうですか。そういうことはお考えになりませんか。お考えになって、責任とって、大臣おやめになる気はありませんか。まだやめない。おやめになりますか。責任をお感じになりませんか、大臣。私
どもはほんとうに怒りを感じている、あなたのその
厚生行政。おやめになりませんか。あなたは、しかし、行政官としては非常に有能でしたよ。だから労働事務次官など五年近くもやられて、いまでもあなたのレコードを破る者はいないそうだけれ
ども、だから大臣になってこられたところで、あなたの頭の中には行政官としての頭しかないのだ。政治家としてのアイデアが
一つもないのだ。だから、こういう政治の流れを変えるときには、
国民は非常に不幸な目にあうのです。行政の能吏であるけれ
ども、政治家としてあなたはゼロです。あなたはゼロだ。全くゼロです。しかも、あなたとわれわれと一緒に長い間、社労の中でも、
厚生行政の中でも、ずっと五年も六年もやってきたじゃないですか。私が何を考え、野党が何を考え、
国民が何を考えているか、あなたは社労の中でみんな知ったんだ。しろうとの厚生大臣じゃないんだから、あなたは。大臣になって出てきたって、われわれと席を並べて
厚生行政をやってきたんだ。それならその長い政治家としての、
厚生行政を担当した訓練の中で、今度は大臣になったからといって、新しいアイデアが出てこなければならないはずじゃないですか。それを、われわれがあなたと一緒に社労の中で論じた問題の中には、いわゆる
医療行政としては僻地行政があった。無医村、無医地区行政を一体どうするか。二十年保険料を取っておいて
病気になっても医者にかかれなければ、これは詐欺じゃないですか。国自体が詐欺のまねをしていることになるのだから。無医地区の解消のために努力をしていただきたいともう耳にたこができるほどわれわれが叫び続けたことも、
国民が要求してきたことも、あなたは知っているはずです。ほかの大臣なら知っていないと言われても、あなたなら知っているはずだ。あなたはもっともだと言って賛成されたんだ。ならば今度の行政の中に、無医地区解消としての
予算がどういうように
予算面で生きておりますか、お聞かせいただきたいと思います。——大臣に言っているのです。