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阿部(昭)
分科員 五十一年の一月三十一日までに結論を出すというのは、
考え方やそういうものを出すというのではなくて、制度として具体的に適合されるような
現実のものになるようなめどでやっていく、こういう意味に理解してよろしいですね。これが
一つ。
それから、これは労働
大臣、出かせぎというのは好きこのんで来るのじゃないのです。われわれ考えてみますと、六カ月問も
家族と別れて
——ずいぶん
改善を、飯場規定や何かもつくったといいながらも、現場を回ってみますとなかなかたいへんなんです。そういうたいへんな人間疎外の条件下で、いまの日本社会の中における都市建設なり人のいやがるようなどろんこになって働く現場を受け持っているのは、
道正さんは六十万と言いますが、私は百二十万いると見ております。こういう出かせぎの現状に対して、たとえば
職安行政の末端ではどういう状況が起こっておるかということになると、これはたいへんな、全く人間
扱いをしないというやり方が
前提なんです。毎年毎年失業を繰り返すじゃないか、そういうものをまともに受けとめようなどといったかっこうには、実は現場のほうではなっておらぬのです。私どもしょっちゆう各
職安の
窓口なり県
段階なり
地方のいろいろなところを回って、そういう末端のほうの
考え方なりとぶつかっておる面が非常に多い。
したがって、これはもう一ぺん根本的に、日本の百万からの農村の季節出かせぎ
労働者というものが日本社会の現状の中にいかなる役割りを果たし、どういう立場にあるかということを
——私は国家的にたいへん大きな貢献をしておると思うのです。この現状に対してもっと的確な、ある意味でいえば
考え方の、認識の転換をひとつやってもらわなければならない。
もう時間がございませんので、具体的なことまで全部言うわけにいきませんが、この機会に
一つだけ申し上げておきますのは、季節出かせぎ者が帰っていった場合
就職のあっせんというやつをやるわけですね。その場合に、
大臣、いま公共事業などの場合では
地方に参りますと、一般土工の賃金が二千円とか千八百円くらいの労働賃金になるわけです。非常に安いのですね。出かせぎをやっておりますから、この皆さんも一白当たり三千五百円、四千円くらいずつみんな働くわけなんです。帰ってまいりますと、
職安で
失業保険の給付を受けるということになりますと二千二百なんぼですか、いま最高二千二百六十円、ここまでいくのです。ところが
職安のケースワーカーの諸君に、おまえはここに行って働きなさい、その紹介される先に参りますと、千八百円の賃金しかいただけない。黙って
失業保険の給付を受けますと二千二百六十円ちょうだいできて、
職安のあっせんに従って働きに出ますと、千八百円くらいしかもらえない。こういう矛盾はどこから来るかということになると、私は賃金相場というものだと思うのです。公共事業でさえもそういう一人の人間の労働に、東京で働けば三千円になる、
地方で働けば千八百円にしかならないというこの格差を付しておるところに問題がある、この格差をもっと縮める努力をしないといけないというふうに思うのです。これが
一つ。
いろいろ申し上げますと時間がありませんから申し上げませんが、そういう中からの
窓口規制というもので、至るところで出かせぎから帰ってまいりました
労働者との間にトラブルが起こっておる。このトラブルをもっと合理的に根本的に
改善するような努力をしてもらわなければいけないと思います。特に最近、
窓口では頭から、出かせぎから帰ってきたならば、五十日ないし七十日間はどこかへ行って働いてきなさい、こう言う。いい仕事があれば、みんな保険給付を受けるのが目的でなくて働きたい。
失業保険で給付される保険金よりも働きに出たほうがはるかに賃金が安い、これではトラブルが起こります。
それからいま
一つは、あっせんする
雇用の
職場を確保するために、たとえばある土建の現場では十人しか
労働者が要らないという場合に
職安当局がそこへ出かけていって、五十人申し込みなさいと申し込ます、そこへあっせんされて出かけていくわけでありますから、五十人紹介されましても四十人はみ出しますね。はみ出した皆さんはけしからぬといってケースワーカーの諸君を圧迫する、こういうかっこうです。
地方の現場だって、みんな土建現場は機械化その他進んできておりますから、必ずしも人手にだけ多く依存するという状態にならぬようになってきている。そこに無理な、むちゃな求人申し込みをやらして、紹介された
労働者が出かけていきますと、そこでまたトラブルが起こるというようなことが至るところで繰り返されておる、これを
改善しなければいかぬ。
こういう
改善に対して労働
大臣、的確なやり方を
——いま間もなく出かせぎ
労働者が四月になるとみんなどんどん帰ってきます。その中でまたそのトラブルが繰り返されようとしているのです。特に季節出かせぎ者の非常に多い青森県、秋田県、岩手県、私の東北方面は非常にこれが多いのです。こういう現状に対してケースワーカーの諸君、労働
大臣の傘下にあります現場の皆さんのほうに的確な
指導の方針をひとつ出してほしいと思います。