運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1973-03-02 第71回国会 衆議院 予算委員会第三分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会昭和四十八年二月二十六日(月曜日) 委員会において、設置することに決した。 三月一日  本分科員委員長指名で、次の通り選任され  た。       大野 市郎君    倉成  正君       小平 久雄君    野田 卯一君      三ツ林弥太郎君    森山 欽司君       大原  亨君    細谷 治嘉君       浦井  洋君 三月一日  倉成正君が委員長指名で、主査に選任され  た。 ————————————————————— 昭和四十八年三月二日(金曜日)     午前十時一分開議  出席分科員    主査 倉成  正君       大野 市郎君    小平 久雄君      三ツ林弥太郎君    森山 欽司君       上原 康助君    大原  亨君       藤田 高敏君    吉田 法晴君       浦井  洋君    兼務 阿部 昭吾君 兼務 芳賀  貢君    兼務 松浦 利尚君 兼務 新井 彬之君    兼務 石田幸四郎君  出席国務大臣         労 働 大 臣 加藤常太郎君  出席政府委員         総理府人事局長 皆川 迪夫君         警察庁刑事局保         安部長     斎藤 一郎君         防衛施設庁労務         部長      松崎鎮一郎君         厚生省医務局長 滝沢  正君         厚生省児童家庭         局長      穴山 徳夫君         労働大臣官房長 藤繩 正勝君         労働省労働基準         局長      渡邊 健二君         労働省労働基準         局安全衛生部長 北川 俊夫君         労働省職業安定         局長      道正 邦彦君         労働省職業安定         局審議官    中原  晁君         労働省職業安定         局失業対策部長 桑原 敬一君         労働省職業訓練         局長      遠藤 政夫君  分科員外出席者         大蔵省主計局主         計官      渡部 周治君     ————————————— 分科員の異動 三月二日  辞任         補欠選任   野田 卯一君     近藤 鉄雄君   大原  亨君     吉田 法晴君   細谷 治嘉君     藤田 高敏君   浦井  洋君     木下 元二君  同日  辞任         補欠選任   近藤 鉄雄君     野田 卯一君   藤田 高敏君     上原 康助君   吉田 法晴君     大原  亨君   木下 元二君     中路 雅弘君 同日  辞任         補欠選任   上原 康助君     細谷 治嘉君   中路 雅弘君     浦井  洋君 同日  第一分科員新井彬之君、第二分科員芳賀貢君、  第四分科員石田幸四郎君、第五分科員阿部昭吾  君及び松浦利尚君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十八年度一般会計予算労働省所管  昭和四十八年度特別会計予算労働省所管      ————◇—————
  2. 倉成正

    倉成主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。  私が第三分科会主査としてつとめることになりましたので、よろしくお願いいたします。  本分科会は、昭和四十八年度一般会計予算中、厚生省所管労働省所管及び自治省所管、並びに昭和四十八年度特別会計予算中、厚生省所管労働省所管及び自治省所管について審査を行なうことになっております。  本分科会審査日程につきましては、お手元に配付いたしております日程表により審査を進めてまいりたいと存じます。御了承をお願い申し上げます。  昭和四十八年度一般会計予算及び昭和四十八年度特別会計予算中、労働省所管を議題といたします。  この際、政府から説明を求めます。加藤労働大臣
  3. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 昭和四十八年度一般会計及び特別会計予算中、労働省所管分について、その概要を御説明申し上げます。  労働省所管一般会計歳出予算額は、一千六百八十八億一千七百八十六万七千円で、これを前年度当初予算額一千五百二十億二千三百八十一万六千円に比較いたしますと、百六十七億九千四百五万一千円の増加となっております。  次に、労働保険特別会計について御説明申し上げます。  この会計は、労災勘定失業勘定及び徴収勘定に区分されておりますので、勘定ごと歳入歳出予定額を申し上げます。  労災勘定は、歳入歳出予定額とも四千二百七十七億九千二百三十三万二千円で、これを前年度予算額三千六百一億四千百六十六万九千円に比較いたしますと、六百七十六億五千六十六万三千円の増加となっております。  失業勘定は、歳入歳出予定額とも四千七百五十一億五千八百九十四万四千円で、これを前年度予算額四千三十四億六千五百七十万七千円に比較いたしますと、七百十六億九千三百二十三万七千円の増加となっております。  徴収勘定は、歳入歳出予定額とも六千六百十一億三千三百四十一万八千円で、これを前年度予算額五千五百七十三億九千六百十二万二千円に比較いたしますと、一千三十七億三千七百二十九万六千円の増加となっております。  最後に、石炭及び石油対策特別会計石炭勘定中、当省所管分としては、炭鉱離職者援護対策等に必要な経費として、百九億四千七百六万七千円を計上しておりますが、この額は前年度予算額九十九億四千七十七万二千円に比較いたしますと、十億六百二十九万五千円の増加となっております。  以下、労働省予算重点事項につきまして、委員各位のお許しを得まして、説明を省略させていただきたいと存じます。  よろしく御審議のほどをお願い申し上げる次第でございます。
  4. 倉成正

    倉成主査 この際、おはかりいたします。  ただいま加藤労働大臣から申し出がありました労働省所管関係予算重点事項につきましては、その説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 倉成正

    倉成主査 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔加藤国務大臣説明を省略した部分〕  次に、そのおもな内容について、概略説明申し上げます。  第一は、週休二日制の普及促進余暇対策など勤労者福祉対策推進に必要な経費であります。  週休二日制については、そのすみやかな普及をはかるため、関係者に積極的に働きかけるとともに、業種、地域等の実情に即した方法で、計画的、段階的に指導援助を進めることとしております。  また、週休二日制の普及等によって増加する余暇が有効に活用されるよう、環境を整備することが要請されております。このため、勤労者が、家族連れで自然に親しみつつ手軽に週末等の余暇を過ごせるような「勤労者いこいの村」を設置するなど、余暇活用施設を整備することとしております。  次に、勤労婦人勤労青少年福祉対策推進であります。  最近家庭婦人職場進出は目ざましいものがあります。このため、勤労婦人職業生活家庭生活との調和をはかるとともに、働く婦人の家の増設勤労婦人センターの新設等総合的な福祉施策を進めることとしております。  また、勤労青少年対策につきましては、勤労青少年ホーム増設勤労青少年フレンドシップセンターの新設、勤労青少年育成指導事業充実等により、勤労青少年の健全な育成福祉増進をはかることとしております。これらに必要な経費として、二十二億五百十万円を計上いたしております。  第二は、定年延長促進中心とする高齢者対策の確立に必要な経費であります。  労働力人口高齢化が進んでいる中で、高齢者が生きがいのある安定した生活を送ることができるようにするためには、老後の社会保障を充実するとともに、高齢者職業生活を不安のないようにすることが必要であります。  このため、当面六十歳を目途に、定年延長促進するために必要な指導援助を行ない、また、退職前の職業訓練職業講習を行なうなど、再就職のための助成措置を講ずることとしております。これらに必要な経費として、十三億二千四百六十九万円を計上いたしております。  第三は、働く人の安全と健康を守る総合的な対策推進に必要な経費であります。  現在、労働災害による被害者は、年間約百五十万人に及び、このうち六千人に近いとうとい人命が失われております。  これらの労働災害を防止するため、職場環境改善健康管理対策安全衛生教育推進をはかるなど、さきに制定されました労働安全衛生法中心に、総合的な労働安全衛生対策展開することとしております。  また、最近における通勤災害多発傾向にかんがみ、労働者通勤災害に対し、労災保険の仕組みを利用し、業務災害と同程度の保護を行なうため、通勤災害保護制度を創設することとし、関係法案を今国会に提出いたしております。これらに必要な経費として、二千百八十六億九千八百十九万六千円を計上いたしております。  第四は、生きがいある職業生活を目ざす総合的な雇用対策展開に必要な経費であります。  労働者福祉や働きがいを特に重視し、ゆとりのある職業生活を実現するための条件、基盤づくり目標とした総合的な雇用対策展開することとしております。  そのため、個々労働者の特性に十分配慮し、その職業生活の各段階に対応した施策推進するとともに、工業再配置など国土の総合利用と相まって都市に集中している雇用需要地方に分散し、雇用機会や所得の地域格差の解消と、大都市、地方を通じての豊かな生活環境形成をはかるための施策を積極的に推進することとしております。  また、炭鉱離職者駐留軍関係離職者対策につきましては、炭鉱離職者臨時措置法駐留軍関係離職者等臨時措置法有効期限をさらに延長するとともに、就職援護対策の一層の充実改善をはかることとし、関係法案を今国会に提出いたしております。  次に、日雇い港湾労働者対策であります。輸送革新の影響が著しい港湾労働者雇用の安定をはかるため、事業主団体組織化による日雇い港湾労働者共同雇用体制を確立し、その雇用の安定と福祉増進をはかるとともに、雇用調整体制を整備するなど、港湾労働対策を抜本的に強化することとし、関係法案を今国会に提出いたしております。これらに必要な経費として、四千四百三十七億三千五百六十四万九千円を計上いたしております。  職業訓練につきましては、労働者職業生活全期問を通じてその能力を開発向上し、適応性の増大をはかるため、職業訓練校再編整備事業内訓練の拡充などをはかるとともに、新たに地域における職業訓練センターとして、成人訓練の実施、企業の行なう教育訓練への施設設備提供等を目的とする「人材開発センター」を設置することとしております。これらに必要な経費として、二百二十八億一千十三万二千円を計上いたしております。  第五は、合理的な労使関係形成に必要な経費であります。  労働組合運動の近代的、合理的な発展をはかるためには、労使が良識に基づき健全な労使関係育成、確立し、相互信頼の上に立って自主的に話し合うことにより、問題の合理的、平和的な解決をはかることが肝要であります。  このため、特に総理労使とのトップ会談をはじめ、産業、地域企業など各種レベルにおける労使のコミュニケーションを進め、労使の話し合いの機運の醸成と相互理解増進につとめるなど、諸般の施策推進することとしております。これらに必要な経費として、一億七千七百十六万三千円を計上いたしております。  以上のほか、心身障害者対策同和対策、積極的な労働外交展開、その他一般行政事務費等に必要な経費を計上いたしております。  以上、昭和四十八年度労働省所管一般会計及び特別会計予算について、概略説明申し上げました。  何とぞ本予算の成立につきまして、格段の御協力をお願い申し上げます。     —————————————
  6. 倉成正

    倉成主査 以上をもちまして、労働省所管についての説明を終わります。     —————————————
  7. 倉成正

    倉成主査 この際、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力賜わりますようお願い申し上げます。  なお、政府当局におきましても、答弁はできるだけ簡潔明瞭にお願い申します。  これより質疑に入ります。質疑申し出がありますので、順次これを許します。藤田高敏君。
  8. 藤田高敏

    藤田分科員 私は、以下三点について質問します。  その第一は、定年退職者に対する失業保険給付あり方についてであります。第二は、最近閉山廃山の続いております金属鉱山離職者対策について。三つ目の問題は、俗称暴力ガードマンと言われておりますが、この暴力ガードマンと某会社の結託による労働組合破壊の問題について、質問をします。  まず第一でありますが、定年退職者に対する失業保険給付あり方について、最近私どもは各地定年になった労働者からこういうことを聞くわけであります。二十年も三十年もというよりも、むしろ三十年も四十年も働いて、そうして円満定年退職を迎える、そうしていわゆる失業保険給付職安にもらいにいくわけでありますが、その窓口職安行政あり方というものはきわめて冷たい、非人間的な扱いとも言うべき取り扱いが多い。したがって、それらの該当労働者、かつての被雇用者は、失業保険給付をもらいにいく気持ちがしない、こういうことを各地で聞くわけであります。これはおそらく大臣もあるいは関係当局も聞かれておることではないかと思うのですが、私はこれらのかつての労働者に対して失業保険給付を行なうにあたって、定年退職者でない者と定年退職者である者とのいわば区別をした取り扱いをしてはどうか。端的に言いますと、定年退職者については、失業保険給付を行なう期間無条件支給するようにしてはどうか、こういうふうに考えるわけでありますが、大臣の見解を聞かしてもらいたい。
  9. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 御指摘の点は、まあ役所の仕事といたしまして親切にいたしておりますが、どうも民間よりはひとつ明るさが足らぬ、親切味が足らぬ、こういうような点も指摘されますので、従来からこの問題に対しましても、もう親切に懇切に、ほんとうに、まあ気持ちからも退職者に対してもつき合ってもらいたい、こういうように指導いたしておりますが、しからば定年の来た場合失業保険無条件、こういうことを、まあ楽隠居をするとかそういうような方に無条件でひとつ出すというようなことも、なかなか現時点では困難でありますが、退職された方々に対して——まあ大体退職される方は高年齢の方が多いので、就職の問題その他に対しましても懇切にする、その支給の問題に対しても懇切にする、今後全国の各所に対して、指導その他についても一そう十分御趣旨を尊重して指導するようにいたしたい所存であります。
  10. 藤田高敏

    藤田分科員 そういう指導を、いま大臣答弁によるような考え方で強めてもらうということは、これは当然であります。しかし現実の問題としては、失業保険給付は再就職をするということが前提になりますから、幾ら親切になにしても、これはなかなか窓口としては失業保険給付がそう簡単に出ないわけなんですよ。  私は、人生年次休暇ではありませんけれども、もう二十五年も三十年も、あるいは三十五年も、同一職場で働いて、そうして定年になった者が、次の第二の人生就職を見つけるというまでの間には、せめても国として半年や九カ月の期間ぐらいは、本人自由意思によって、じっくり落ちついて次の就職を考えるという時間的な余裕を与えていいんじゃないか。  といいますことは、われわれ労働者は、定年になったからといって、もうそれで退職金楽隠居をするというような時代ではないのです。何らかの形で次の就職を求めていかなければいかぬわけです。ですから、職業安定所なり職業安定の業務としては、再就職をするという働く意思能力のある者は、再就職をするのだという前提就職あっせんをやってくれているわけですけれども、その個々窓口行政あり方は、結果としては、一つ失業保険手当の出し惜しみ、一つ本人はもう行きたくないようなところでも、ここへ行けここへ行けという形で押しつけあっせんになっておるのですよ。  私は、きょうはそういう本質的議論をやる時間がないですから申しませんけれども、円の再切り上げの問題じゃないけれども、これだけ国際的な通貨体制の問題さえ起こっておる今日ですから、もう長年働いた労働者には——私の言っているのは定年退職者だけですよ、定年退職者に関しては無条件——現行法のたてまえからいけば失業保険手当を給付するということについては法律上問題があるでしょう。  ですから私は一つ提案を考えておるわけですけれども、失業保険手当に準ずる取り扱いで、給付期間の間は無条件支給してはどうか。それぐらいじっくり落ちついて次のなにを考えるようにしましょうよ。  それは、私的なことを言って恐縮ですけれども、私も四国でなにだけれども、大臣大臣のような大きな会社の社長さんは、われわれのことはわからぬか知らぬが、やはり労働者というのは、三十年も働いたら、じっくり、次の就職は半年ぐらいはひとつ考えてやらすようなことをしましょうよ。どうですか。
  11. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 御趣旨はよくわかります。しかし、いま、失業保険のいろいろ法令などから、審査もせぬと、そして無条件で出すというわけにもいきませんので……。  このごろ、定年延長制が、目玉商品として、労働省はいたしておりますが、五十五で定年になった、楽隠居はまだちょっと早いですから、やはり再就職をする、これは私は当然の趨勢であると思います。そういう意味で、いま御指摘のような点は、十分いろいろ検討したり考慮いたすと思いますが、詳細については政府委員からもう少し補足の説明をさせて、そしてまたあとで私からも御答弁いたしたいと思います。
  12. 藤田高敏

    藤田分科員 ちょっと私その前に、あと二つ質問せねばいけませんから、できるだけ早口で、欲ばって質問しますけれども、政府委員のほうから答弁をされる前に、私の一つ提案といいますか、一つの案を提示して、それに対するお答えもやってほしい、こう思います。  それは、大臣おっしゃるように、現行法のたてまえからいけば、私は法律改正したらいいと思うのですけれども、この委員会の中でそれだけの論議をする時間がありませんから、きょうの段階は、特別給付金制度、これは仮称ですが、そういうものを創設してはどうか。そうして特別給付金として失業保険福祉施策として支給する、そういうことにすればこれは現行法ワク内でできるわけですね。そうして給付期間は、私が先ほど言ったように失業保険給付期間内に限定する、あるものは六カ月、あるものは最高いま十カ月ですか、その範囲内で行なう。金額は失業保険金相当額、こういうことにすれば、これは現行法内で十分できることですから、そういう方法をとってはどうか。というのは、ことしの予算を見ても、政府のなにからいけば、労働保険特別会計失業勘定では千九十四億八千三百九十六万円、雇用促進事業団への出資として三百八億九千万何がし、こういう形で措置をとっておるわけですからね。こういう措置の中でやろうとすればできるわけですよ。  ですから私は全般的にいつも思うのですが、国会論議をすると、検討するとかなんとかかんと、か言うけれども、よく趣旨はわかりましたということで、こちらは精出して言うのだけれども、一向実効があがらない。その点で私は、大臣のこの間の社会労働委員会における所信表明演説も読ましてもらいました、所管は違うけれども。そうすると「今後の労働行政を進めるにあたっては、福祉優先を基本とし、すべての労働者とその家族の「あかるくゆたかで安心できるくらし」の実現を目標として、実効のある対策を勇断をもって推進」するという田中総理以上の所信表明なんですよ。こういうことを言っておる以上、これは実のある、実効のあることを——われわれの真摯な、しかも現実的に可能である主張というものは、やはり具体的に生かしていかないと、何のための国会審議かわからない。そういう点で私の提案を含めて、いわゆる誠意のある答弁を求めたい。
  13. 道正邦彦

    道正政府委員 基本的な考え方は、先ほど来大臣からお答え申し上げているとおりでございます。現行法のたてまえからいきまして、無条件失業保険金を出すということは、むずかしい問題がございます。同時に、ただいま先生指摘の、特別給付金を出すということになりますと、事実上失業保険金支給ということになりますので、同じく現行法ワク内でいろいろ問題があろうかと思います。  ただ、先ほど来先生指摘のように、定年退職者方々、これは政府といたしましては定年延長を大いにやるということで、今度の予算におきましても、延長を奨励するためのいろいろな手当てをいたしておるわけでございますが、そういう方向で、事実上定年退職者がスムーズに年金に移行できるというのが理想かと思いますので、その方向で努力をいたしますが、過渡的にどうしても再就職せざるを得ないという人がかなり出ることもやむを得ない現実かと思います。そういう方々に対しましては、先生指摘のように、若い方々と違いまして、また地域によりましては必ずしも就職は容易でございません。むしろ困難である場合が一般的だというふうに言っていいかと思います。つきましては、安定所窓口一線職員にも常々、そういう方々に対しましてはゆっくり時間をかけ、懇切な扱いをするように指示いたしておるつもりでございますけれども、重ねて指示をいたしたいと思います。  それから立法論といたしましては、いろいろ完全雇用下失業保険あり方につきましては、諸外国でも検討がなされておりますし、立法化されておる例もございます。現在中央職業安定審議会におきまして、失業保険抜本改正をどういう方向で進めるかということを御検討いただいておりますので、そういう場におきまして、先生ただいま御提案の点につきましては、私からも審議会のほうに御連絡申し上げて御検討いただくということにいたしたいと思います。
  14. 藤田高敏

    藤田分科員 それでは時間の関係で次に移りますが、その前段として、いまの締めくくりについて要望しておきたいと思うのです。  それは、局長答弁で、ある気持ちはわかったと思うのですが、現実には定年制延長の問題と年金とをつないでいくというのは、これはもう当然のわれわれの主張でもあるのです。しかし現実には、その間に、定年年金受給までの期間が四年なり五年ある。これはしばらくの間続くと思うのですよ。そうすると、この間は何としてもこの定年退職者——私の言っているのは定年退職者ですから、もう失業保険給付をもらいに行くすべての人にそういう扱いをしろと言っているのじゃない。ですからその点は、従来の親切にやれという趣旨ではなくて、下部末端指示する。その指示する方向は、私がいま質問をし、私がいま主張しておる観点から行政的な指導を強めるように強く要望しておきたい。この点ひとつ大臣から……。
  15. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 これは立場上いろいろ、即どうだとかこうだと、ここで御答弁できませんが、まあ御承知のような大臣ですから、あなたの御趣旨をよく尊重して、事務当局を督励して御趣旨に沿うように熱意をもって検討さして御指示——これはここで、しからばすぐに善処と、こういうことばも使えませんけれども、十分わかっております。
  16. 藤田高敏

    藤田分科員 大臣答弁趣旨に沿って善処されることを要求します。そして失業保険給付それ自体の問題については、この法の改正のときに私もやります。  第二は、昨年来愛媛県の別子銅山、あるいは最近足尾銅山、こういう形で金属鉱山閉山が続いています。一昨日の朝でしたか、ニュースでも足尾銅山閉山式の模様が出ておりましたが、私は、これはやっぱり政党人である大臣のような人でないと、率直に言って、ああいうニュースを見てぴんとくるものが違うのじゃないかという気がするのですけれども、私、たいへんこれは失礼な言い分ですが、大臣あのニュースごらんになられたでしょうか。なられたとすればその印象を、その瞬間に労働大臣としては、この種の問題に対する離職者対策をどうしたらいいんだろうということを当然お考えになられたと思うのですが、その感想を含めて、この金属鉱山に対する離職者対策ですね、政府としてとるべき離職者対策、それについての考え方をひとつ聞かしてください。
  17. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 これは藤田議員ともお隣で、別子の銅山その他いまの足尾の銅山問題、特に今回の円のフロート移行に伴って、もろに深刻な重大な影響を受けるのは銅山の関係であります。これは名前は申し上げませんが、ほかの機会でこの話がたまたま出まして、これはひとつ政府が中小企業救済対策も講じるが、この問題は真剣にひとつ取り組まなくちゃならぬ、こういう意味で、関係局長を呼んで、おいこれはひとつ深刻に対策を講じて、ただ気持ちだけでなくいろいろな問題をひとつ真剣にやろう。それにはただ労働省だけでもこれはなかなか力の——力の足らぬということばは適切でありませんが、やっぱり関係各省、すなわち通産省とも相談いたしまして、まあここまで言うのはどうかと思いますが、閣議の席で大いに大問題として取り上げて、御趣旨に沿うような線にいたしたいという感じを、特にテレビを見ておりまして、ほんとうに痛感いたしました。
  18. 藤田高敏

    藤田分科員 私は今国会を見ましても、政府のこの種の問題に対する態度はやはり資本優先、産業優先の姿勢が強く出て、労働者、人間に対するいわゆる福祉優先の姿勢というものが、この種の問題を通じても出てないと思うのですよね。これは大臣気持ちに反しておるかどうか知りませんけれども、これは行政官庁別にいえば労働省のなにではありませんが、通産省が今度出してきておる法律の中に、御承知のとおり、金属鉱物探鉱促進事業団法の一部改正、それから金属鉱物等鉱害対策特別措置法案という形で二本の法律が出てきておる。これはいわば金属鉱山に対する一つの産業政策として出てきておるわけであります。これは私は中身は申し上げません。ところが、こういうものが金属鉱山、いわば山を守る政策として出てきておるわけですね。  ところが、これだけ国際的にも有名であった金属鉱山の別子とか足尾とかという山が閉山になる。そうして何千人もの労働者が、それは企業内の配置転換もありますけれども、まあ何千人かの労働者が失業者になって出ていく、山をおりていくという問題に対して、政府離職者対策というものは具体的に出てこないんですね。ここに私は、口でこそ福祉優先だと言うけれども、福祉優先の政策が出てきてないと思うのです。  私は時間の関係もありますから申し上げますが、石炭の場合、また去年の繊維協定を結んで繊維の輸出規制をやった。その場合に繊維産業に対する離職者対策、こういうものが国の政策として出てきましたね。私は、少なくともこの数は石炭の場合と金属鉱山の場合は量的には違います。しかし私は、人間の生存権なり一個の労働者生活権なり人間の命の重さについては軽重がないわけですから、そういう点では私は別子や足尾の金属鉱山閉山に伴う離職者対策としては、石炭及び繊維に準じた政策をとるべきではないか、こう思うわけですが、政府の見解を聞かしてもらいたいと思います。
  19. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 石炭、繊維、いろいろの離職者に対する対策を協力にやっておることは御指摘のとおりであります。特にこれは非鉄金属の問題に対しましては、通産省は事業者の立場、労働省としては離職者の問題がもう大問題で、特に藤田さんは全金の委員長もなさって、この専門家でありますから御承知のとおり、なかなか転職は困難な条件を備えておりますので、これはほんとうに本腰で大臣が当局を指導して、局長などを指導いたしまして、これに対する対策を熱意をもって善処いたしますことを、ここでお答えできると思います。本腰を入れてやります。
  20. 藤田高敏

    藤田分科員 本腰を入れてやるということで私は了承したいわけでありますが、やはり国会審議でありますから、具体的にこういった、こういったことをやりたいという答弁をほしいわけであります。  そこで私としては、石炭の場合、繊維の場合に準じた離職者対策をやってほしいということで尽きようかと思うのですが、念のためにあえて要求をしておきますと、いわゆるこの失業保険給付期間延長の問題、これが一つ。二つは離職者手帳の交付ですね、これが二つ。三つ目は離職者を進んで受け入れる事業所に対する雇用奨励金の採用、こういったものをぜひ私はやってもらいたい。と同時に、この金属鉱山の場合は石炭あるいは繊維の場合と違ってじん肺患者がおりますからね。ですから、このじん肺患者に対する特別な対策、これを含めて、いま大臣が言われたように本腰を入れてやってもらえるかどうか、念を押しておきたいと思うのです。
  21. 道正邦彦

    道正政府委員 なかなか専門家はだしと申しますか、と言っては失礼でございますが、非常に突っ込んだ御提案でございまして、その辺が問題になるわけでございます。ただ、失業保険延長につきましては、安定所の管轄ごとに見まして、全国の平均よりも失業率が二倍以上であるという場合には、失業保険の受給期間を延ばすという制度が現行法にございます。こういうものは極力活用いたしたいと思います。  それから石炭、駐留軍、繊維という御指摘でございますが、石炭あるいは駐留軍、繊維と一般の対策との違いは一番大きい点は、失業保険金が切れたあと促進手当というものを通算三年は出すというところが一番大きなポイントでございます。この点につきましては、そうすればいいじゃないかという御指摘、いろいろごもっともな点はあるわけでございますけれども、現実の問題といたしまして、たとえば離職者が出ました場合に、職業訓練、これが一番要望が強いわけでございます。職業訓練を受けている期間は、これが一年であっても、いままでと同じように失業保険金支給されるという制度が現行法にございます。そういう現行法のフル活動で離職者対策関係者の御納得をいただけるかどうか、これは私どもすでに内々で関係の皆さんと御相談いたしております。そういう点もう少し推移を見まして検討させていただきたいというふうに思うわけでございます。
  22. 藤田高敏

    藤田分科員 この問題は時間がありませんので、私いずれ社労委の委員会に特別出席をさせてもらって、なお煮詰めの論議をさせてもらいたいと思っております。しかし大臣は本腰を入れてやるということですから、その点はひとつぜひ実現をしてもらいたい。特に余分なことかもわかりませんが、石炭金属鉱山の場合は、地下産業の労働者であるということは共通したなにですから、地下で働いておる者が陸で仕事をするといったら、つぶしがきかない。転職の条件はなかなかむずかしいわけですから、そういう点で私は、やはり石炭と同じような、それに準じた扱いというものは当然国の政策としてもとってしかるべきだと思うのですよ。この点は強く要望しておきます。  あと時間がわずかでありますから、最後の、俗称暴力ガードマンとある会社の結託による労働組合破壊の問題でありますが、これはもう昨年来国会でもしばしば問題になってきた、いわゆる宮城県仙台の本山製作所にかかわる問題であります。これはすでに先日の二月二十二日の参議院あるいは昨年来の参議院の場において主としてこの問題が取り上げられてきたわけですが、その中心は、一つ職安法違反の疑いが濃厚である。いわゆるガードマン会社が本山製作所に対して労働者供給事業を行なっておる事実がある。そのことについては労働省及び警察は、おくればせながら調査をして、その事実の有無について報告をする、こういうことになっておるのですが、その後その調査の結果はどういうことになっておるかということが一つ。  それと、この調査の結果が明らかになっておるとすれば、当面ガードマンを排除する具体策として、警察及び労働省はどういうことを考えているのかということが二つ。  時間の関係質問だけ固めて申しますが、三つ目は、本山製作所の社長が警察と癒着をして、そうして労働問題が不正常な形で、しかも労働問題というよりも、ここでは大臣御承知かもわかりませんが、延べ六百人からの負傷者が出ておるのです。社会党の県会議員が三カ月の重傷を負うというような、そういう事件を起こしておる職場であります。これは局地戦争じゃないけれども、六百人からの負傷者が出るなんというのは、国内的ななにとしては、それこそ局地的な戦争に匹敵するような、そういうこと、が暴力ガードマンの手によって、あるいは悪質な会社経営者の手によって起こっておる。  この前提に立ってこの問題に対しての答弁をお願いしたいわけですが、本山製作所の社長は警察友の会の会長をしておった。防犯協会の役員もしておった。これはすでにわれわれ警察庁との交渉を通じて、その辞任方についても要請をしてきたところですが、その後どういうことになっておるかということを大臣及び警察からお聞きをして、そしてこれはあらためて私は分科会の他の部門で、あるいは社労委で続いてやらしていただくということで、きょうは時間がありませんから、以上のことについて答弁をいただきたい。
  23. 倉成正

    倉成主査 簡単に願います。
  24. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 時間の関係がありますから簡単に申し上げますが、御承知のように四十四条でもはっきりいたしております。こういう観点から違反の疑いが濃厚なんであります。この問題はいろいろ詳しく申し上げますと——私はこれはだいぶいろいろ研究いたしておるのでありますが、それは参議院でこの間数時間にわたっていろいろやったのであります。  そして、これは労働大臣が県の本部長を呼ぶというわけにはいきませんので、特に親友関係でありますので、こそっと上京したときに——ちょっとこれは警察当局を大臣室に呼ぶというわけにいかないから、友人としてよく話し合いまして、いろいろ癒着しておる問題その他、要はガードマンを入れたということが大問題になってきたのでありますから、この点はまた時間がありませんので、今後これに対していろいろな対策を講ずることを確約をいたします。
  25. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 警察の立場で御質問に対して承知しておることをお答えしたいと思いますが、第一点と第二点、職安法違反の結果はどうか、排除の具体策はどうかという二つ相関連すると思いますので、一緒にお答えしたいと思うのです。  詳しい経過は御承知だと思いますので、結論だけ申し上げますと、この特別防衛保障会社というのは、警備業法が昨年の十一月一日に施行される以前から本山製作所と関係しておったのでございますが、警備業法が昨年の十一月一日施行される直前に、自分たちの従業員を解雇して、本山製作所の警備課というものをこしらえて、そこの課員にしたということなんです。そこで、これが一体警備業法の違反になるかどうか、私どもは脱法的な行為だから違反として押えたいというふうに考えておるのですが、なかなかじょうずにやっておりますので、残念ながら警備業法の違反ということには直ちにならない。現在守衛その他警備課員たちも、特別防衛保障会社の雇い人であると認定する材料がなかなか得られない。  そこでこの御質問の中では、職安法の違反にならないかということになってまいるのですが、十一月中日以前の行為、それから法が施行されるまぎわの行為、これがいずれも職業安定法の違反になるのではないか。つまり職業安定法四十四条の労働者供給禁止の違反、あるいはまた三十三条の無料で紹介した違反になるのではないかというふうに警察は思っております。そういう疑いでもって大いに捜査をしております。  これはなかなかその立証がむずかしゅうございまして、失業保険の問題だとか、身分があったかなかったかという問題だとか、そのほかその本人現実にからだがどこにあったかとか、いろいろな問題を方々に照会しまして書類を集める。同時に関係者をいままで二十人ぐらい呼んで——中には出てきてもらえない人もありますが、調べております。そういう捜査を遂げまして、できるだけ職業安定法違反ということで警察ははっきり決着をつけたい。(藤田分科員「いつごろに結論出るのですか」と呼ぶ)それは、だんだん話が長くなりますが、極力早くやりたい。簡単に型のごとく調べるというだけではまことに……(藤田分科員「今週中に出すと言ったじゃないですか」と呼ぶ)相手がなかなか、いわゆる任意の捜査では呼び出しに応じてもらえなかったりするので、できれば強制捜査に踏み切る材料を一生懸命集めておりまして、これも疎明資料で十分集まるかどうかということについて、結論を申し上げるわけにまいりませんが、刑事訴訟法にきめられた捜査を精一ぱいやりまして、そして早いうちに結論を出して、ひとつこれを実質的にはっきりさせたい。なでるだけでは、まことに申しわけない。私どもも本山製作所の今後の問題のみならず、一般にこういうものが脱法的にあっちこっちでやられたんでは非常に困るということで、おくれておることに対しては、まことに申しわけないと思いますが、とにかく実質的な成果があがる捜査をやりたいということで誠意をもってやっておりますので、どうか御了承願いたいと思います。  それから本山製作所の社長が警察と癒着しておるという問題については、これも簡単に申し上げますと、この本山製作所の社長は警察友の会というもののその地区の会長をしております。それからもう一つは、やはりその地区の黒松地区防犯協会の顧問をしておりますが、こういうことであるからというので警察との間を疑われても私どもも不本意であり、これはすでに二月十四日に本人から会長の辞任届けが出てやめております。
  26. 倉成正

    倉成主査 御答弁は、ひとつ短く願います。
  27. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 片一方もやめております。両方ともやめております。
  28. 藤田高敏

    藤田分科員 それでは私、これで質問を終わりますが、十秒だけ。  というのは、例の四十四条の違反はもう法律的に明確ですよ。こんなところで釈迦に説法だけれども、私は絵までつくってきた。きょうは時間があったら大臣と警察当局と渡り合おうと思っていたんだけれども、これだけはっきりしておる職安法違反の事実をよう突きとめられないのであれば、正常な労働運動なんというのはできないですよ。これは、いずれ場所を改めてやります。
  29. 倉成正

  30. 阿部昭吾

    阿部(昭)分科員 最初に労働大臣にお伺いいたしますが、いま日本の大都会、人口密集地帯の大都会の都市建設の事業、こういう事業の中で、労働力というものはほとんど農村の季節出かせぎの労働力に依存をしておる。ある意味では、いまのこの農村の季節出かせぎの労働力がなかりせば——都会にはホワイトカラーは非常に多い。しかし、地下鉄の工事であるとか、あるいは下水道の工事であるとか、都市改造の事業であるとか、こういう事業に直接従事をするような労働力は、いまの都会には非常に少ない。ほとんどが農村の季節労働力に依存しておるといって過言ではないのであります。  そういう現状の客観的な諸関係から見て、この季節出かせぎの労働者に対してもっともっと手厚い保護、援助、こういうものが行なわれなければならないと思う。そういう意味で、現状の季節出かせぎ労働者に対する労働省の政策は、まだまだ不十分だと言わざるを得ないのです。ある意味で言うと——道正さんも長い間出かせぎ者の、特に失業保険制度の具体的な運用の問題などでたいへん苦労されてきたわけですけれども、私から見ますると、労働省のこの季節出かせぎ者の職安行政というものは、ある意味でいうと、やっかい者扱いにしておるといって決して過言じゃないと思う。したがって、ここは根本的に問い直されねばならぬ問題だと思う。もし農村の季節出かせぎ労働者というものが現状のように存在しないという状態になったら、いまの大都市圏における都市建設もいろいろなものも全部ストップするといって決して過言じゃないのです。  いま、この労働力をどういうふうにして確保しておるかというと、職安窓口を通じて確保しておるものと、そんなものを当てにしておったんじゃ都市の建設業者や何かはどうにもならぬというので、自前で乗り込んでいって、この労働力を確保するという二つの面があるわけですが、私から言わせると職安窓口を通らぬものが圧倒的に多いのです。最初に、この現状をどのように把握されておるかということを道正さんひとつ説明を願いたい。
  31. 道正邦彦

    道正政府委員 出かせぎ労働者の皆さんに対する認識が足りないというおしかりでございます。先生の御指摘のとおりに、出かせぎ労働者の皆さんがなければ都市の建設はできないという現実もございますが、それは従の問題でございまして、いま週休二日制とか定年延長とかが言われている中にありまして、六十万からの方々が一年の間の半分は家族と別居して生活しなきゃいかぬというその現実は、私は大問題だと思います。そういう方々に対してきめのこまかな対策を講ずることは当然でございます。私も及ばずながら対策に力を尽くしたつもりでございます。  いろいろ対策はございますが、御指摘のように基本は就労経路を正常化する、要するに職業安定所を御利用いただくということであろうかと思います。統計等を見ましても、安定所を経由して就労していただいた方々の、たとえば賃金不払いであるとか、あるいは災害は、そうでない方々に比べまして少ないのが現実でございます。しかしながら現状は、全部が全部安定所を経由して御就労いただいておりません。県によって、業種によって違いますけれども、全体といたしましては少しずつ向上はいたしてきておりますが、遺憾ながら三割程度が職安経由ということになっておるのが現実でございます。
  32. 阿部昭吾

    阿部(昭)分科員 お互いその辺のところは長い経験があるわけですから、時間がありませんので、いまの、三割が職安経由で七割はそうじゃないところで実際の要員確保が行なわれておるという、それだけ御説明願えばいいわけなんであります。  そこで、いまの失業保険制度が改正法の中で凍結されておる部分がありますね。これが、五十一年の二月一日から凍結が解かれて、四十四年改正のまま実施をされるということになるわけですね。その際に四十四年の改正のときに、農林水産業の失業保険制度の当然適用という問題についての附帯決議が付されておるわけであります。この附帯決議の具体的な、いわばまとめをどうやるかということが政府にも労働省にも国会にも課せられておる一つの課題だと思うのであります。したがって、いまどういうまとめをつけていくかという内容までここでお聞きしようとは思いません。思いませんが、どういう段取りで、どういうスケジュールであの附帯決議を具体化をしようというふうに考えておられるのか、労働省考え方をひとつ簡潔にお聞かせ願いたい。
  33. 道正邦彦

    道正政府委員 四十四年末の失業保険法の改正法の附則の規定におきまして、農林水産業を当然適用とするための方策について調査研究を行なって、その結果に基づいて昭和五十一年一月三十一日までに必要な措置を講ずるということになっております。しかしながら、農林水産業につきましては雇用関係あるいは賃金支払いの形態等について一般の産業と比べまして必ずしも明確でない点がございます。また基本的に、産業自体に季節性があるために、毎年季節的に失業を繰り返すという関係になりまして、保険の原理からのみならず、給付と負担の公平という観点からもいろいろ問題があることも御承知のとおりでございます。  したがいまして、これらの農林水産業が当然適用とされるためには、季節性の問題やあるいは労働関係の近代化ということについて改善が行なわれることが必要かと考えられます。このため現在調査研究を進めると同時に、五十一年一月三十一日までに結論を得るよう私どもはもちろん関係審議会にもおはかりいたしまして、鋭意作業を進めたい、こういうふうに考えております。
  34. 阿部昭吾

    阿部(昭)分科員 五十一年の一月三十一日までに結論を出すというのは、考え方やそういうものを出すというのではなくて、制度として具体的に適合されるような現実のものになるようなめどでやっていく、こういう意味に理解してよろしいですね。これが一つ。  それから、これは労働大臣、出かせぎというのは好きこのんで来るのじゃないのです。われわれ考えてみますと、六カ月問も家族と別れて——ずいぶん改善を、飯場規定や何かもつくったといいながらも、現場を回ってみますとなかなかたいへんなんです。そういうたいへんな人間疎外の条件下で、いまの日本社会の中における都市建設なり人のいやがるようなどろんこになって働く現場を受け持っているのは、道正さんは六十万と言いますが、私は百二十万いると見ております。こういう出かせぎの現状に対して、たとえば職安行政の末端ではどういう状況が起こっておるかということになると、これはたいへんな、全く人間扱いをしないというやり方が前提なんです。毎年毎年失業を繰り返すじゃないか、そういうものをまともに受けとめようなどといったかっこうには、実は現場のほうではなっておらぬのです。私どもしょっちゆう各職安窓口なり県段階なり地方のいろいろなところを回って、そういう末端のほうの考え方なりとぶつかっておる面が非常に多い。  したがって、これはもう一ぺん根本的に、日本の百万からの農村の季節出かせぎ労働者というものが日本社会の現状の中にいかなる役割りを果たし、どういう立場にあるかということを——私は国家的にたいへん大きな貢献をしておると思うのです。この現状に対してもっと的確な、ある意味でいえば考え方の、認識の転換をひとつやってもらわなければならない。  もう時間がございませんので、具体的なことまで全部言うわけにいきませんが、この機会に一つだけ申し上げておきますのは、季節出かせぎ者が帰っていった場合就職のあっせんというやつをやるわけですね。その場合に、大臣、いま公共事業などの場合では地方に参りますと、一般土工の賃金が二千円とか千八百円くらいの労働賃金になるわけです。非常に安いのですね。出かせぎをやっておりますから、この皆さんも一白当たり三千五百円、四千円くらいずつみんな働くわけなんです。帰ってまいりますと、職安失業保険の給付を受けるということになりますと二千二百なんぼですか、いま最高二千二百六十円、ここまでいくのです。ところが職安のケースワーカーの諸君に、おまえはここに行って働きなさい、その紹介される先に参りますと、千八百円の賃金しかいただけない。黙って失業保険の給付を受けますと二千二百六十円ちょうだいできて、職安のあっせんに従って働きに出ますと、千八百円くらいしかもらえない。こういう矛盾はどこから来るかということになると、私は賃金相場というものだと思うのです。公共事業でさえもそういう一人の人間の労働に、東京で働けば三千円になる、地方で働けば千八百円にしかならないというこの格差を付しておるところに問題がある、この格差をもっと縮める努力をしないといけないというふうに思うのです。これが一つ。  いろいろ申し上げますと時間がありませんから申し上げませんが、そういう中からの窓口規制というもので、至るところで出かせぎから帰ってまいりました労働者との間にトラブルが起こっておる。このトラブルをもっと合理的に根本的に改善するような努力をしてもらわなければいけないと思います。特に最近、窓口では頭から、出かせぎから帰ってきたならば、五十日ないし七十日間はどこかへ行って働いてきなさい、こう言う。いい仕事があれば、みんな保険給付を受けるのが目的でなくて働きたい。失業保険で給付される保険金よりも働きに出たほうがはるかに賃金が安い、これではトラブルが起こります。  それからいま一つは、あっせんする雇用職場を確保するために、たとえばある土建の現場では十人しか労働者が要らないという場合に職安当局がそこへ出かけていって、五十人申し込みなさいと申し込ます、そこへあっせんされて出かけていくわけでありますから、五十人紹介されましても四十人はみ出しますね。はみ出した皆さんはけしからぬといってケースワーカーの諸君を圧迫する、こういうかっこうです。地方の現場だって、みんな土建現場は機械化その他進んできておりますから、必ずしも人手にだけ多く依存するという状態にならぬようになってきている。そこに無理な、むちゃな求人申し込みをやらして、紹介された労働者が出かけていきますと、そこでまたトラブルが起こるというようなことが至るところで繰り返されておる、これを改善しなければいかぬ。  こういう改善に対して労働大臣、的確なやり方を——いま間もなく出かせぎ労働者が四月になるとみんなどんどん帰ってきます。その中でまたそのトラブルが繰り返されようとしているのです。特に季節出かせぎ者の非常に多い青森県、秋田県、岩手県、私の東北方面は非常にこれが多いのです。こういう現状に対してケースワーカーの諸君、労働大臣の傘下にあります現場の皆さんのほうに的確な指導の方針をひとつ出してほしいと思います。
  35. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 事前に阿部委員から時間もないし、大臣、経験も浅いから、質問はなるべく避けるというような御趣旨の御通知がありましたが、この問題はもう私が大臣就任のときに、労働行政の中で谷間のようなかっこうになっておる、そういう意味で省議を開いたときに、出かせぎ労働者対策に対してもう少し親切味を持ってやれ、声なき民、声なき声ということばがありますが、出かせぎ関係は組合とかそういうものが強固でありませんので、ほんとうに隠れた、お気の毒な立場にあります。ところが現状から見ると、これがいろいろな公共事業の建設の原動力であって、この努力に対しましては感謝いたしております。  労働行政、国の経済全体からいきますと、出かせぎは家庭生活の破壊であり、このごろUターンということばが出ておりますが、四国などはだいぶ地方への出かせぎをやめて地場の産業に働く、こういうようなかっこうでありますけれども、しかし現状から見ると、どうしても都市などの建設には、出かせぎ労働者が努力いたさなくては、なかなかこれが実行不可能でありますので、御指摘のいろいろなギャップの点、私はこれはもうじょうずなく、就任当時の経験の浅いときに、これをひとつ労働省が真剣にやれ、こういうことを省議で特に主張したのでありまして、阿部議員の御叱正をよく尊重いたしまして、今後督励いたしまして、その趣旨に沿うように努力いたします。
  36. 阿部昭吾

    阿部(昭)分科員 さっきの当然適用の問題のめどは……。
  37. 道正邦彦

    道正政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、「昭和五十一年一月三十一日までに、必要な措置を講ずる」というのが法律の規定でございます。国会論議等を通じまして、いろいろ条件が整備されるならば当然適用に持っていくという御趣旨だろうというふうに理解いたします。
  38. 阿部昭吾

    阿部(昭)分科員 わかりました。いま労働大臣が、基本的な考え方として、出かせぎの季節労働者に対する手厚い窓口行政をやれという考え方を表明されましたが、全国の職安行政の最高責任者、最高指導者たる道正局長のほうでもこれをひとつ拳々服膺して、最末端まで徹底するような措置をとってもらわなければいけない。  それからいま一つの問題は、渡邊基準局長さんにお尋ねをしなければなりませんが、賃金の不払いが依然としてあとを断たない。この賃金不払い問題に対して労働省のなし得るものは何かということになると、まるっきり無力にひとしい。そういうことを言うと、局長ちょっとむっとするだろうと思いますけれども、とてもじゃないが、手ぬるくて手ぬるくてどうにもならぬのです。どこで不払いが起こるかということになると、元請、下請、孫請あるいは曽孫請なんというのがあって何十もの重層的な請負が行なわれておって、元請は二番目の請負のピンはねだけをやる。二番目の請負はさらに三番目の請負のピンはねをやる。最末端の請負はどうにもなりませんから、結局労働者に賃金不払いなどといったような状態で問題が起こる、こういう形になっておる。  そこで、私どもは建設業法の改正で、この元請責任というのを大きく前進させました。したがって、この考え方と、この手ぬるい手ぬるいといわれておる労働省行政との中で、不払い事件などをそういう形で起こすような業者につきましては、建設省としては元請責任を追及する。労働省は依然として、不払いを起こした何段階かのピンはね、ピンはねをやられてどうにもならぬ状態にある立場においてやった当事者だけをきゅうきゅう言っておるのです。そこで、らちがあかなければ、あとは訴訟で争えというのが労働省の落ちつく先なんです。現状はそうですね。  そうすると、いま相互通報制度といって、不払い事件を起こしているような場合は労働省の側から建設省のほうにも通報する。通報を受けた場合は、建設省のほうでは今度、そういうものは事業の発注などの対象にしないようにせよという指導通達を出してやっておる。ところが、いま私が調査しておるものを幾つか見てみますと、通報のしかたが、ずっとあとに来るのです。すったもんだ、すったもんだやって、一年も一年半も不払いという状態がずっと続いている間には行かないのですよ。通報が行かないのです。そして最後に、どうしてもこの業者は払う能力なし、意思なしということを労働省の機関が確認をした段階で、初めて通報が行くということになる。  これはいまのようなテンポの早い時代では、労働省行政に対して国民の信頼を確保するなんということには全然ならない。そして不払いという事件が起こって、一般の刑事事件等でいえば送検をするというのか、いまの賃金不払いのような場合どこが一つの接点になるのかわかりませんけれども、このあれが出た段階で通報がびしっと、元請なりそっちのほうに対して一定の制肘が加えられるようなことにしないと、労働省行政に対して信頼など生まれませんね。これはどう思います。
  39. 渡邊健二

    ○渡邊(健)政府委員 私どもも、労働者が働いたのにその賃金に対して支払いがなされないということは、まことにこれは重大なことだと考えておりまして、賃金不払いは監督でも最重点としてその解決につとめております。もちろん、その不払いを起こしました直接の使用者に対して、監督指導もいたしますが、それだけではなしに一般の場合でも、元請にも話しまして元請から支払いをさせる、こういうような指導も多数いたしておるところでございます。  なお先生指摘のように、一昨年の建設業法の改正で建設大臣または都道府県知事の元請の立てかえ払い勧告制度というのができておりまして、この運用につきましても、建設省と協定を結んで通報制度をいたして、これを運用していただくように、相互に協力をいたしております。  それから、なおそうでない、この立てかえ払い勧告制度を活用するまでもないものにつきましても、不払いを起こしましたものについては、建設省それから各都道府県知事といったような公共団体に通報いたしまして、そういう事件を起こしましたものは入札参加資格の審査の際に、それを要素に加えるように、これも建設省と協定を結んでやっておるわけでございます。それがおそいじゃないかという御指摘でございますが、私どもできるだけ早く、こういう問題は長引かないように、長引くと一そう支払いが困難になりますので、処理するようにいたしておりまして、それに基づきまして極力迅速に通報し合う、こういうことにいたしておるわけであります。業者にいたしますと、通報されて次の入札参加が非常に困難になるということ自身が、一つの不払いを起こすことに対する精神的な抑制効果も非常に私ども持っておると思いまして、こういうことで極力予防及び解決に努力をいたしておるところでございます。  次々に非常に多くの事件ができてきておりますが、全体としての不払い件数というのは大体横ばい程度でございます。したがって、新しく起きましたものについても相当件数、実際問題として解決をいたしておるわけでございますが、なかなか根絶に至らぬことは、まことに遺憾なことでございます。今後ともできる限りの努力をいたしたい、かように存ずる次第でございます。
  40. 阿部昭吾

    阿部(昭)分科員 局長、結局私の質問の一番肝心のところは、すっとめぐりめぐって答えていないんですよ。つまり相互通報制度というのは、たいへん威力のある制度なんです。その場合、いま私が調査した範囲では、不払いが起こってから一年たったが、まだ元請の責任も追及されておらなければ相互通報も行なわれてない。こういう状態なんです、一年たっても。したがって、不払いという事実が訴えられたならば、一年もたっても相互通報も行なわれておらぬなんというんじゃ、話にならぬと思うんですよ。なるべく早くなんといったって、なるべくなんというのは、どの程度かはっきりいたしませんから、これもはっきりしてもらわなければいけない。それからその場合、やはり監督署は労働の安全も監督しなければいけない、不払いもちゃんとしなければいけない、何もしなければいけない、仕事が多過ぎるのです。したがってもうちょっと、何というか最末端の業務に携わっておる人の配置、これもやっぱり考えないと、ほかはみんな自動車で走り回っている。監督署はバスに乗ったりバイクに乗ったり、よちよち歩きで追っかけているのですよ。これじゃ話になりませんね。たとえば労働災害が発生する。一番最初に来るのは警察官、パトカーか何かでだっと乗り込んでくる。労働省は、監督署のほうは、けが人も何もみんなどっかへ行って何にもなくなってしまって、どこでどういう状況だったのでしょうか。あとからバスかバイクなんかでゆるゆる来る。これはもっと人の配置の問題も考えなければいけない。  時間がありませんから、もう一つ。  いま日本の木材問題、たいへんですね。私の地域なんかでも、もう山なんぞばからしいからやめてしまおうという者が非常に多くなってきました。木材価格がものすごく値上がったにかかわらず、製品価格が値上がったにかかわらず、山元の、山に何十年と夢を託してきた皆さんの現地における立木価格が全然値上がりをしないのです。ですから、山というのは四十年か五十年かすれば——いまは七十年か六十年くらいたたないと、なかなかよし買ってやろうという話に、市場に乗ってこないくらいテンポのおそいものなんです。したがって、山元における山というものに対する認識は、いま非常にきびしい局面に立たされている。そういう中で一つ問題になりまするのは、林業に対する労災保険の料率、ほかのものとみんな切り離されておるわけなんですけれども、これがいま千分の八十ですね。災害やなんぞがしばしば起こりますると、メリット制適用というので八十よりもっとずっと上へいくのです。安全管理に注意をして、あまり事故を起こさないようにしておるところは、若干千分の何ぼかちょっぴり下がる、こういう状態です。他の業種と比較をして、私はちょっと林業に従事をしておる職場の料率が高過ぎる。したがって、これがもう山元における林業経営というものに対して、たいへんな負担になってきておるのです。  これは私は、やはり林業に対する労災の料率に対して再検討すべき時期だ。そうしないと国内の林業を守ることはできない。大きな圧迫の一つになっておる。ですから、素材業者も製材業者もみんな国内の山をやろうということをやめて、安易に外材に依存していく、こういう状況が起こっている。山がちゃんとしなければならぬというのは、林業経営をうまくやる、やらぬということだけにとどまらず、治山治水から環境保全から、いろんなものに関連する今後の大きな問題だと思う。そこで私は一つだけ、いまの林業に対する保険料率の軽減、これをひとつぜひ検討してもらわなければいけない、これが一つ。  あと、時間がありませんからもう一つ。  私は、御案内のように農業の共同化、協業運動に対して非常な関心を寄せていままで取り組んできました。政府は、必ずしも熱心じゃないのですよ。農業のほうは好むと好まざるにかかわらず、やっぱり機械化も進んでまいりましたし、共同化という方向に行かざるを得ないことは、もう歴史の流れなんです。その意味で、農業生産法人に対する失業保険制度の適用について四分の一適用という、当然適用から見れば、その額において四分の一に——雇用関係が現存しておるこの法人経営に対して四分の一適用という、この二五%適用という制約を道正さん加えていますね。一般農林水産業は二分の一適用なんです。五〇%適用なんです。農業生産法人だけは四分の一適用。これはもう——まあ農林水産業、二分の一が妥当かどうかも私は問題があると思いますけれども、当面農業生産法人で雇用関係が明確に存在をしておるものについては、農林水産業一般並み、二分の一適用にすべき時期じゃないかと思うのです。これだけ御答弁をお伺いして、私の質問を終わります。
  41. 渡邊健二

    ○渡邊(健)政府委員 林業の労災保険料率のほうにつきまして、お答えを申し上げます。  先生御承知のように労災保険の保険料率は、事業の種類ごとに過去三年の災害率等を勘案して定めることに相なっております。林業は従来から災害率が非常に高く、保険収支が赤字なものですから、先生指摘のように各業種の中でも高く相なっておるわけでございます。  そこで私どもは、こういう高い林業の災害率を改善するようにかねてからいろいろ努力しておりまして、特に四十六年からは林業災害に関する緊急対策というものを立てまして極力努力しておるのでございますが、いままで増加傾向にありましたものが横ばいになった程度でございまして、保険収支上あるいは災害率の上で、まだ顕著な改善があらわれるところまでにいっておりません。今後ともこういうことで、できるだけ早くその災害率を減らそうということで関係者努力いたしておりますので、将来だんだんその成果があがってまいりまして、災害率が減少し、保険の収支に改善が見られるようになりましたならば、私どももこの高い保険料率を検討いたしまして、引き下げにつとめたいと思います。
  42. 道正邦彦

    道正政府委員 任意適用でございますので、任意適用の許可基準といたしまして、二分の一とか四分の一とか、適用率をきめておるわけでございます。これはしかし、先生指摘のように業種によって区別しておるわけではございませんので、三十九年までのものか、四十年以降のものであるかということで、まあ四十年以降、若干任意適用の基準をきつく強めましたので、その関係で差が出ておるということでございます。
  43. 阿部昭吾

    阿部(昭)分科員 あと一つだけ。いまの答弁、不十分ですから。私が言うのは、林業が事故が多い少ないで判断すべき時期ではなくて、やはり日本の国内の山が、いまだめになろうとしているんです。山などみんなしようがないからあきらめて、出かせぎに出るということですから、環境保全、国土保全、こういう観点から、べらぼうに高い林業に対する保険料率、これは林業労働者のみならず、林業の経営者、山元のそういう人たちが非常に苦しんでおる問題です。山をどうするかという意味で再検討すべき時期にきているんじゃないか。  それから道正さん、四十年、四十年以前という問題じゃなくて、雇用関係が明確にはっきりしておる農業生産法人については——二分の一が妥当かどうかさえ私は議論があるのです。それはまず別にして、農業生産法人の四分の一適用というものは、もうそんなもの——たいへんなんですよ、農業の全面共同経営をやるということは。もう二分の一にすべき時期だ。歯切れ悪い答弁で、これはあとでまたもっとやりますけれども、この辺明快にしておいてほしい。  以上で終わります。
  44. 倉成正

    倉成主査 松浦利尚君。
  45. 松浦利尚

    松浦(利)分科員 時間が三十分と限られておりますから、簡単に質問して簡単に御答弁いただきます。  その一つは、労働大臣にお尋ねをしたいんですが、実は身体障害者の職業の問題であります。御承知のように盲あ者の問題に限定をしてお話をいたしますと、従来は医業類似行為ということで、あんま、あるいははり、マッサージ、きゅうといったようなものは一定の社会水準というよりも、むしろ価値観が非常に低くて、盲人であれば大体こういった職業につけておったものであります。ところが、これが御承知のように最近非常にきびしい基準になりまして、一定の社会水準を保つという前提に立っておりますから、現在では、盲人の職業であったはずのこういった業種に、晴眼者自体がもうすでに三分の二近くついておる。そのために盲人の職業が狭まってきておるわけであります。  現に理療学校の三校くらいを調べてまいりますと、その生徒のうちの三分の二は晴眼者であります。盲人は入れません。こういった状況でありますが、こうした問題に対して、ある意味で新職種というものを労働省で開拓をしてやる必要があるんじゃないか。むしろ身障者の職業をいまわれわれは、政府自体もそうだと思うのでありますが、拡大をしてやるという方針をとっておるにかかわらず、社会的な水準が上がってきたといいますか、そういった面で逆に職業の選択が狭められてきておる。そういった状況について労働大臣の所見と、こうした問題について、雇用促進という問題を含め、どのような対策を現に講じておられるのか、その点を簡単にお聞かせいただきたいと思います。
  46. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 盲あ者、いま御指摘のようなあんまだとかいろいろなものがある。従来から社会の情勢として、国家試験とかそういわれる前には、県によっては盲あ者を優先する、こういうのが十年くらい前から急に変わりまして、なかなか国家試験が通らない。そのためになかなか就職することが困難だ、こういうような関係はもう御指摘のとおりであります。  労働省といたしましては、視覚障害者の新職種として、盲人の電話交換手、コンピューターのキーパンチャー、盲人カナタイピストなどの職種の開発に大いに力を入れておりまして、盲人のカナタイプに対して、いろいろ機械の購入、そういう問題につきまして貸し付け制度を設ける。この程度で全部のそういう対策ができたとは思いませんが、今後この問題に対しましては、何といっても身体障害者であり、一般の方に比べましてお気の毒な体質を持っておりますので、労働省としては、かような問題に対しましては重点的に今後これをよくするように指導いたす所存であります。  詳細につきましては、局長から御答弁いたしたいと思います。
  47. 松浦利尚

    松浦(利)分科員 本会議でもしばしば、総理以下各大臣から答弁をいただくのですが、これから知識集約型の産業に移行していくんだ、その中で身障者の占める役割り、あるいは盲人の就職するパーセンテージ、こういったものは当然計画され、立案されてしかるべきであると思います。そういった意味で、時間がありませんけれども、担当局長のほうで具体的にあれば、ひとつ御答弁いただきたいと思います。
  48. 道正邦彦

    道正政府委員 現行の身体障害者雇用促進法が制定されました時点におきましては、盲人の職種といたしましては、従来のあんまさんであるとかはり、きゅうというようなことが主体で考えられておったようでございますが、その後盲人の皆さんの御努力あるいは関係者の御努力、厚生省当局の御指導等もございまして、近代的な職種にもどんどんついていただこうということで、先ほど大臣のお話にございましたような電話交換手その他、相当健常者にとりましても、むずかしい職種に最近はどんどん進出していただいております。  四十八年度の予算におきまして私どもも、盲人に限らず心身障害者の対策を最重点といたしまして予算編成に当たったわけでございますが、特に盲人の皆さん方が熱望しておられました、カナタイプ、これは訴訟なんかの記録は盲人の方のカナタイプで処理されているのが非常に多うございますが、そういう新しい職種をどんどん開発をして、一人でも多くの方に有意義な職業生活を送っていただくという趣旨で、新たにカナタイプの購入資金の貸し付け制度を創設したわけでございますが、これだけでなく、今後鋭意新しい職種の研究開発につとめまして、それの裏づけの予算等の措置も講じてまいりたいというふうに考えます。
  49. 松浦利尚

    松浦(利)分科員 それで、それを具体的なレールに乗せるために、ろうあ学校等における就職指導、こういったものに、いま言われたような知識集約産業における、そういう訓練機関というのは整備されておらぬわけです、特定の身障者に限られておるわけです。そういった意味では、非常に簡単に予算措置したり、簡単にものは言われますけれども、実際にカナタイプを打つとか、知識集約産業というのは晴眼者でも、一般の人でも非常にむずかしい、ソフトウエアなんかは。あるいはハードでも非常にむずかしい。そういった条件下で、やはり若いときから、ろうあ学校等において、あるいはそれぞれの県における身体障害者訓練施設等において、そういったものが早目に具体的に措置されるように、この際要望しておきたいと思うのですが、大臣、ひとつ決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。
  50. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 大臣としても、そういう御趣旨の線に沿うようにやりたい。そういうふうに審議会に準備をさすように、答申を待っておるような段階でありまして、これはもう、松浦さんの御指摘はほんとうに、なかなか当を得た策と思いますので、熱意をもって審議会の答申を早く出すようにしてもらって、その線に沿って大いにその方向に持っていきたいと思うのです。
  51. 松浦利尚

    松浦(利)分科員 ぜひひとつ大臣の就任中に実現するように努力してもらいたいと思います。——大臣がかわるとまた変わりますのでね。ひとつよろしくお願いしておきます。  それから、もう一つの問題は、実は最近、政府が行なう公共投資、昭和四十八年度も約六兆九千億の財投を公共投資に回すわけでありますが、こういった政府の資金を入れて行なう公共事業において、労災事故の多発が社会的な問題になりつつあるわけであります。  一つは、新幹線における労災事故、死亡事故あるいは電電公社における死亡事故、最近目に余るものがあるわけであります。きょう労働省のほうに資料を要求しておったのが手元に参りましたが、限定をして、新幹線工事における労災事故の状況についてお知らせいただきたいと思います。
  52. 渡邊健二

    ○渡邊(健)政府委員 先生指摘のように、政府の公共事業におきまして事故が多いということは、まことに残念なことでございまして、私どもその防止のためにいろいろ努力をいたしておるところでございますが、お尋ねの新幹線関係の災害の発生状況を申し上げますと、山陽新幹線につきましては、工事着工以来今日まで、死亡者が百十一人、それから休業八日以上のけがをいたしましたものが三千三百三十八という件数になっております。それから上越新幹線につきましては、着工以来今日まで、死亡者二人、休業八日以上の事故が九件、それから東北新幹線につきましては、まだ死亡者は出ておりませんが、休業八日以上のけがをいたしましたものが五十六件、かように相なっております。   〔主査退席、三ツ林主査代理着席〕
  53. 松浦利尚

    松浦(利)分科員 私は結果について、いろいろここで追及しようとは思いませんが、先ほど阿部議員からも指摘がありましたように、出かせぎ者が動員をされるわけですね。極端にいうと、公共投資を消化するという問題で非常にスピードアップされてきておる。そのスピードアップというものが労災防止というものを非常にゆるめておるのです。労災防止を徹底的にしなければならない。その、最近きびしいはずの労災防止というものが、ゆるめられてきておる。しかも未熟な農家の人たちが出かせぎで動員されて、政府のこういった工事に携わっておる。そのために労災事故が多発しておると思うのです。いま御指摘がありましたように、所轄労働基準局をこの資料で見ますと、新幹線工事の全体にわたっておりますね、この事実は。こういう状態で民間の労災事故は指導できないと私は思う。当然、政府が金を出してやる公共事業においてすら労災事故が急激に増加をするという傾向をそのままにして、さあ労災でございますといって民間を指導するというのは、ちょっと気がひけるのではないか。やはり民間を指導するためには、政府が行なうこういったものについては、少なくとも労災事故は民間よりもずっと少ないんだ、こうして初めて政府としての指導権限というものが生まれてくるし、労働省の労災事故に対する指導を認めるようになると思う。  そういう意味で、田中内閣が言う列島改造、そういったものに伴うこういう政策が事故を生んでおるわけでありますから、政府の行なう事業、公共事業における労災事故に対しては、もっときびしく扱ってもらいたい。いま発表になった数字が、これからの工事完成までの間新幹線に限ってふえない、死亡事故に関する限りはもう絶対に出ないんだ——人の命は金では買えないのでありますから、労災保険等では救えないのでありますから、工事を急ぐあまり人の命を粗末にしてはならぬと私は思います。そういう意味で、この統計数字から見て、労働大臣の決意をはっきり国民の前に明らかにしていただきたい。それが私は政府のつとめだと思います。
  54. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 御指摘のとおり、新幹線などは突貫工事で大いにやらなくはならぬ、こういうので、多少目的のために強行いたしますから、いろいろ死傷者が出るということは従来の統計から見ても顕著であります。これに対しまして、労働省としては、かような問題に対して新幹線の日本国有鉄道、建設公団、これにも十分な警告なり、連携をとって——新幹線で何名かの人命が失われるということはときどき聞きますが、私は、大臣就任前からぞっとしております。特にこれに対して厳重な連絡と指導と注意等を申し上げることを、これは確約いたします。  しかし、これはただ新幹線の当局だけでなく、やはり下請けの施工業者がありますから、施工業者はわれわれの監督下にありますので、これに対しましても今後勧告、指導になお一そうの熱意を持って努力し指導いたしますことを、ここで確約いたします。
  55. 松浦利尚

    松浦(利)分科員 新幹線事故の、労災事故の原因を調べてまいりますと、同じ事故の繰り返しなんです。調べてごらんなさい、同じ事故です。こういうことは一つも改まっておらぬということの実証だと私は思うです。それは労働者が悪いといえばそれまでですが、しかし、先ほど言ったように出かせぎ者です。技術者じゃないのです。それを取り締まっていくのが基準局の役割りだろうと思う。労働省の役割りだろうと思う。それは、人を扱うのですから、むずかしい面があるということもわかります。しかし、公共事業のスピードアップをするために起こる事故ですから、そういう点については労働省がイニシアチブをとって、少なくとも政府の行なう公共投資等に関する労災事故は減少させる方向に努力をする、その点は、私は、いまの労働大臣のことばの中にあるものと判断をして、きょうは時間がありませんから、これだけで省略させていただきます。  それから、厚生省の方に御質問をしたいと思うのでありますが、その一つは、実は文教委員会でも質問するつもりでありますが、学校教育法二十三条に伴う就学猶予の関係があります。これはどういうことかというと、子供さんが就学することがむずかしい場合に、保護者が就学猶予の許可を求めて——義務教育でありますから、学校に行かないということの了解を得るわけであります。ところが、最近になりまして、その就学猶予の実態を調べてまいりますと、身障者である、特に盲人であるために学校に付随した寮に入らなければ就学できない。その入寮する施設がないので学校に入れない。そのために就学猶予を母親が出して今日まで就学しておらなかった。ところが、その子供さんが、たまたま施設ができたので学校に入りたいという希望を申し出た。それが十八歳であります。義務教育でありますから、就学に耐え得る状態になれば当然就学させなければならない義務があるわけでありますけれども、その施設そのものが今度は厚生省の施設でありまして、厚生省の施設では、御承知のように児童福祉法によって十八歳以上は入寮できないという問題が起こってきたそのためにせっかく施設ができて学校に通えると思っても、現実的にはその施設が厚生省所管の施設であったために入ることができないので就学できない。それでは、その一人のためにその学校に付随する寮を文部省がつくってくれるかというと、それはとうていむずかしい。そういうことで、せっかく就学しようにも就学できないというケースが生まれてきておるわけであります。  これは法律があるのだから、厚生省では、十八歳以上になったら入れることはできない、こう言われるわけでありましょうが、この人は盲人であります。先ほど大臣が言われたように、盲人でありますから、学校に行きたい、学校に行きたいけれども寮がない。寮ができたから入ろうとしたけれども入れてくれな。そのために学校にも通えない。しばらく就学して仕事につこうとしても、こういう情勢の中で、この人は社会に取り残されて、学校にも行けない、仕事にもつけない、そういう仕事につくための訓練も受けることができないという谷間にあえいでおるわけであります。こういう人に対する政府のあたたかい手を差し伸べるという考え方が現にあるのかどうか、この点について、非常にむずかしい問題だということは、よくわかりますが、お話を承っておきたいと思うのです。
  56. 穴山徳夫

    ○穴山政府委員 この問題は、いま先生のお話しになりましたように、十八歳まで、すなわち児童福祉法の年齢制限を越えるまで就学猶予が放置されていたというようなことで、非常にレアケースだと思います。しかし、レアケースであるだけに非常にお気の毒なケースだと思います。法律上は、いまおっしゃいましたように、児童福祉法というものは十八歳をもって上限といたしておりますので、年齢制限以上になりましたために、いまのような問題が起きたと思います。  しかし、こういうような身障者の教育という問題も非常に大切な問題でございますから、私どもは、法律上はいま申しましたような制限で、法律の規定としては非常にむずかしい問題がございますけれども、そういうようなケースのあります県の当局と十分調査なり、あるいは相談をいたしまして、実際的に何らかの解決の方策というものを求めていきたいというように考えております。
  57. 松浦利尚

    松浦(利)分科員 わかりました。これは労働大臣にお願いしておくのですが、やはりそういうハンディのある人たちに対しては一貫教育が必要だと思うのです。やはり学校、そしてその学校に行くための全寮制度、そして寮に入れて、社会復帰の訓練をしながら学校で学ばせる、一般の知識を学ばせる。そうして専科に入って、先ほど大臣が言われたカナタイプ、盲人タイプその他の職業を身につけていくという、そういう一般産業への根っこを締められてしまったら、社会復帰なんというものは、なかなかむずかしくなるわけでありますから、法律問題が厳然としてあるということを私は知った上でお話し申し上げて、いま局長の御答弁があって了解をいたしますけれども、やはり将来の問題として、大臣、こういう点については明確に御検討をいただきたい。各省にまたがっていますね、厚生省、文部省、労働省。この点について各省と打ち合わせの上、こういった問題について善処をお願いしたいと思いますが、大臣どうでしょう。
  58. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 この問題は、就職の問題は労働省、就学その他いろいろの問題は関係各省とも多いので、労働者の勉強の問題、建設現場の方でいろいろ勉強したいが、どうも勉強できない、身体障害者の問題もこれと同様でありますので、まあ日本にはいろいろな法律がたくさんあり過ぎて、これが時によっては総合的な運営に支障を来たすというようなこともありますが、よく御趣旨を尊重して、関係各省と連絡をいたしまして、明るく、豊かな、安心して、という労働省の標語でありますから、その線に沿って善処いたします。
  59. 松浦利尚

    松浦(利)分科員 善処いただけるそうですから、ぜひ労働大臣が就任中にひとつお願いします。かわると、これまただめになりますので、同じことの繰り返しをやらなければいかぬのです。せっかく大臣張り切っておられますから、にこにこ笑ってやってください、ひとつずばっと。  それから次に、これもやっぱり労働省との関係が出てくるのですが、厚生省にお尋ねをしておきたいのです。それはレントゲン技師の問題であります。このレントゲン技師というのは、いまのわが国の医療体系の中では非常に重要な役割りを占めておることは、私がここでいろいろ申し上げる必要のないことだと思うのです。ところが、このレントゲン技師というのが今日の医療体制の中では非常に軽んじられておるというと、ことばが悪いのですが、まあ一般の水準からいえば少し下に見られておるという状況なんです。それは給与やその他を見てもはっきりしておるわけであります。  そこで厚生省の局長さんに、ぜひこの際お願いをしたいのでありますが、これからレントゲンというのは医療体系の中で非常に重要な位置を占めてくるものだと思うのです。これが三年の各種学校的なものでは、問題があるのではないか。少なくとも四年制大学というような形態の中からエックス線を担当する技師というものが誕生しなければならぬ。そういう意味で資質の向上といいますか、そういった面について配慮があってしかるべきだと思うのです。その点について厚生省の御見解をひとつ承っておきます。  それから、もう時間がありませんから全部質問をしておきますが、二番目の問題は、実はこのエックス線技師の給与といいますか、それについてもそういった社会的な水準というもの、治療の水準の上昇に見合った賃金に改められるべきだ。そこでこれはお願いでありますが、医療関係の在職調整等を行なって、資質の向上、身分の安定というものを公立病院だけ当面率先して行なっていただくということは、できないだろうか。そして、公立病院関係のエックス線技師の地位を高めることによって、民間のほうにそれを波及効果をねらう。それは人事院があるではないかと、こうなるわけでありますが、しかし御承知のように、政府は教職員の給与については、すでに一〇%値上げをするということを、人事院がありながらやっておられるわけであります。これは厚生省なら厚生省が人事院に対して、ひとつやってくれないかという要望は私はされてもいいんではないかというふうに思うわけです。そういったものについてお考えがあるかどうかということが二番目の問題点であります。  それから三番目の問題は、これは労働大臣に最終的に締めくくってお尋ねをしておきたいのですが、事故を伴うものなんです。放射線を浴びるということは、事故を受けるわけでありますが、さらに放射線による治療、こういった物理療法というものが医学の中に取り入れられてくればくるほどエックス線技師の重要性というのがふえてくるわけであります。そういった意味では、職業としてもある意味では注意をしておかないと、たいへんな事故を生むという問題が出てくるわけでありますから、そういった意味では、いま私が一貫して申し上げた問題点について、職業関係を担当される労働大臣としてどういうお考えに立っておられるのか、これを大臣から締めくくりとして御答弁いただいて、私の質問をすべて終わらせていただきます。
  60. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 時間の関係上簡潔にお答えいたしますが、エックス光線の問題、これは医師に比べまして賃金が少し格安になる。これはもうそのとおりであります。そして御発言の途中で、いろいろな障害があるとかいうお尋ねがないかと思っておりますと、その点まで触れておりますが、これは御承知のように、昨年制定されました安全衛生法で、これらに対する対策をできるようになりつつありますが、ただ法律ができたからといって、それをうまく当てはめて、ぱっと実施する、これがなかなか従来の隔靴掻痒ということばのようにはがゆい点もありますので、御趣旨を尊重して賃上げの格差の問題、並びに医師と違ってのいろいろな障害もありますから、御趣旨に沿うように、当該当局を督励いたしましてやります。これも厚生省といろいろな連係がありますので、厚生大臣ともよく話をいたします。
  61. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 お尋ねの四年制大学設置の問題でございますが、これは医療関係者、エックス綿技師のみならず、看護婦はじめ医療関係者の、特に理学療法士、作業療法士等の強い要望でございます。わが国の医療関係の、医師以外の医療関係者の教育制度というものは諸外国に比べまして、確かに専門技術者的な大学コースの養成が非常に弱いという点は一般的にいえるわけでございますが、この点につきましては、どこの国も各種学校、いわゆる専門教育、病院に付属する看護婦養成あるいは医科大学に付属するエックス線技師養成という各種学校制度と、それから大学四年制による専門技術者、特に教育に携わる指導者になり得るような方の養成とを並行して、量、質両面の確保に努力いたしております。  わが国も、これは所管は四年制大学になりますと文部省になりますが、この点につきましては、われわれともどもに関係者の御要望にこたえるよう、文部省もその基本的態度としては、逐次養成を強化していくという態度でございますので、この点については今後とも一そう努力する方向で考えたいと思うわけです。  それから給与の問題につきましては、年々人事院に厚生大臣より医療関係者の給与改善を申し入れております。特にエックス線技師の関係でございます医療の(二)という問題点につきましては、まず大学卒しか、いわゆる初任給調整手当がついていない現状でございますので、いわゆる三年制に相当する、短大卒に相当するこのエックス線技師の初任給調整もひとつ手をつけていただきたいというのが第一点でございます。  それからエックス線技師が、診療放射線技師の格が上がっても、その調整の問題が先生お尋ねの問題だと思いますけれども、これについても努力いたしますが、二等級でいまとまっているわけでございます。この点も国家公務員の、人事院に直接関係があります国立等の職員の処遇改善は、先生おっしゃるように民間にも波及していくのが通例的な考え方でございますので、われわれは毎年二等級でとまっておるエックス線技師の給与を一等級に格上げしてもらように努力いたしております。  それから各等級ごとの定員が定められておりますけれども、これもひとつ、二等から一等の問題はいまもお話ししたわけでございますが、三等から二等、あるいは四等から三等への定員のワクの拡大の問題、これはかなり具体的に実現いたしておりますけれども、この点も今後努力いたしたいと思います。  障害問題はいま大臣からお答えいただきましたが、われわれ医療関係の現場におきましては、もちろんフィルムバッジ等をつけさせまして、障害の防止につとめ、なお定期的な健康診断等によりまして、エックス線技師の健康管理については今後も一そう努力いたします。  特に最近はエックス線技師のみならず、医療を受ける国民サイドでのエックス線の障害問題が提起されまして、この点については、まずそれに日常従事いたしておりますエックス線技師の障害防止のために、医療器具の改善は当然のことでございますが、いわゆる職場環境改善も含め、健康管理を含めまして、今後努力いたしたい、こういうふうに考えております。
  62. 松浦利尚

    松浦(利)分科員 私の質問は、これで終わります。ありがとうございました。
  63. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林主査代理 浦井洋君。
  64. 浦井洋

    浦井分科員 私は、スーパーチェーンストアで働くチェッカーの人たちの問題についてお尋ねをしたいわけなんです。  非常に過酷な労働条件、作業環境の中で働いておられる人たちに職業性疾患が多発しておるというふうに私は見ておるわけでございますが、現在労働省のほうでは何か作業環境基準のようなものを出すという意向を聞いておるわけでございます。スーパーチェーン労働組合の連合会のほうからも、統一要求という形で、作業環境であるとか、あるいは労働条件であるとか、あるいは職場の健康管理の問題、こういう点についてぜひ早く出してほしいと、強い規制を望んでおる。高校卒業した非常に若い婦人労働者がほとんどでございますが、この点について、労働省の意向をひとつ簡潔にまとめてぴしっと局長あるいは安全衛生部長からお答え願いたいと思います。
  65. 渡邊健二

    ○渡邊(健)政府委員 御指摘のように、レジスターのチェッカーにつきまして、最近、頸肩腕症候群の発生等が問題になっておるのでございまして、私どもこれにつきましてはまだいろいろ実態を調査したり研究を専門的にしなければならない問題がございますが、問題の緊急性にかんがみまして、できればこの三月末までには、作業環境改善や健康診断の実施等を中心とします当面の指導要領みたいなものをすみやかに通達いたしまして、対策を講じたいと考えております。  さらに、細目にわたります作業管理基準につきましては、この指導要領の実施によります効果を見ながら検討いたしまして、さらに実態の調査を進め、あるいは専門家の研究成果の御意見も伺いながら、できる限りすみやかにこれを是正いたしまして、その要望に万全を期してまいりたいと考えております。
  66. 浦井洋

    浦井分科員 最初に出される指導要領の内容はどういう内容ですか。
  67. 北川俊夫

    ○北川(俊)政府委員 いま考えておりますのは、いま局長答弁いたしましたように、作業環境、たとえば温度の問題あるいは換気の問題、そういう関係、あるいは、一番問題でございます繁忙時における交代制の採用の問題、それから昼食の休憩時間以外に午前、午後に若干の休憩時間をとるかどうかという問題、さらには、レジスター一台当たりのチェッカーの数につきましても、交代制の導入に伴いまして示せるかどうか。さらに、健康診断につきましては、実態の調査を若干いたしましたところ、採用時の健康診断はかなりやっておりますけれども、定期健康診断の中に頸肩腕症候群に関連する特殊な診断項目が入っておらないという実態でございますので、そういう点を含めての指導要領を作成いたしたいと考えております。
  68. 浦井洋

    浦井分科員 そうすると、そのあとで、それを少し実践してみた上で第二次の通達という形で追加をしたい、こういうことだろうと思います。その内容はどうですか。
  69. 北川俊夫

    ○北川(俊)政府委員 それは浦井先生よく御承知のように、かつて三十九年にキーパンチャーにつきまして作業管理基準を作成いたしました。あれに従いまして、あれに準じた内容のものを、今後先生方の委託研究等の成果を待って作成をいたしたいと考えております。ただ、いまのところわれわれが考えておりますのは、あれと同じように、たとえば何万タッチ以下でなければならないというのが、キーパンチャーと同じようにチェッカーについて作成できるかどうか、いまのところ自信がございません。
  70. 浦井洋

    浦井分科員 労働省としても調査を進めておられるというふうに聞いておるわけですが、こういう作業環境基準というようなものをつくる際に大事なことは、医学界の意見を聞くことだというふうに私は思うわけですが、幸い産業衛生学会の中に頸腕症候群専門委員会というのがあり、そこには、現在日本的に第一線で調査研究をし、またいろいろと苦労しながら第一線で患者さんの治療に当たっておられる方がほとんど網羅されておるというふうに聞いておるわけなんで、そういうところの意見を十分に尊重しなければならぬ。だから、そこから出てきた意見——すでに委託研究というような形でやられておるようでありますがそこから出てきた意見というのは、薄められずに、また曲げられずに、すなおにそのままやはり労働省として受け入れるべきだというふうに私は思うわけですが、この点についての意見をひとつお答え願いたい。それからもう一つは、よく他の基準をつくる場合に、労働省の中であるとか、あるいは労働省の外郭団体の中に、たとえば何々委員会であるとか、あるいは専門家会議であるとかいうようなものをつくられておったわけですが、チェッカーのこの基準の場合にはそういうものをつくらないということを聞いておるわけなんですが、その点を確認したい。この二点です。
  71. 北川俊夫

    ○北川(俊)政府委員 いまの御指摘のように、頸肩腕症候群のチェッカーの関係での医学的な所見につきましては、すでに専門家、特に産業衛生学会に専門家のグループがございますので、そこに委託研究いたしまして、その研究が出てまいりましたならば、最大限にその内容を尊重してわれわれの作業環境基準というものをつくりたいと考えております。  なお今後の持ち方といたしまして、たとえばチェーンソーの白ろう病に対する委員会のような専門家の委員会を部内もしくは災防協会あたりに持ち得るかどうかという点につきましては、まだ方針を決定いたしておりませんで、産業衛生学会の報告を得まして、それをもちまして、なおかつ専門家の意見を拝聴する必要がある場合には設けたいというふうに考えております。
  72. 浦井洋

    浦井分科員 特に第二点の場合は、先ほど私が申したような趣旨で、そういう専門家会議とか委員会というようなものは私は必要でないというふうに思うわけです。ですから、これを要望しておきたい。すでにそういう状況の中で産業衛生学会の専門委員会からそれなりの意見が出ておるというふうに聞いておるわけです。それを尊重するということになりますと、たとえば今度出される指導要綱ですか、作業環境基準の中で一番大事な問題は、私は、一台当たりのチェッカーの要員の数と、それからチェッカーが作業をする作業面積、こういうものが必要だと思うのです。時間がないので私も言いますけれども、やはり一台当たりのチェッカーの数というのは二・五人以上はなければならぬ、そして完全交代制でなければならぬと思うのです。それから面積は、パンチャーでもいわれておるように四平米以上は最低必要だというふうに私思うわけなんです。だから、これはぜひ基準の中に取り入れて、早く職業性疾患の発生を防ぐというような措置を私は労働省としてとるべきだということを要求しておきたいと思います。  それから大臣に、お聞きのように非常に悲惨な状況、女工哀史の現代版のような状況なんです。全国にスーパーチェーンストアで働く労働者の中で十万人レジスターがおる。その中で、自覚症状を全部入れますと数万人の方がそういうような状況にある。だから、やはり早くこういう基準を、作業環境基準のようなものを私は出すべきだと思うのですが、大臣、そうですね、一言だけ確認しておきたい。
  73. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 時間がありませんので、やはり基準を出すべきだと思います。
  74. 浦井洋

    浦井分科員 ところが、早いだけではまだいかぬわけです。それはやはり早く、しかも的確なものを出さなければいかぬわけです。たとえば、パンチャーの作業管理基準が出た、それによってある部分は頸腕症候群が減っておるかもしれぬ。しかし、あの基準を守っておってもやはりパンチャー病というのは出ているわけなんです。だから、そういうことのないような早くてしかも的確なものを出してほしい、こういうことを私は要望しておきたいと思います。  それで次は、不幸にして病を得た方の労災認定の問題ですが、これはもう詳しいことは省略いたしますけれども、要するに、現在ある昭和四十四年十月二十九日の通達ですね、パンチャー等手指の云々という。あの通達を適用して、申請があれば、これは労災、業務上として認定される道を開いておるのかどうか。開いておるというふうに私は——もうすでに認定されておる例もあるのですから、そういうふうに思うのですけれども、それをもう一ぺん確認しておきたい。
  75. 渡邊健二

    ○渡邊(健)政府委員 レジスターのチェッカー等で業務に起因して頸肩腕症候群になられたような方があれば、基準法施行規則三十五条の業務上の疾病になるわけでございまして、その認定の基準につきましては、ただいま先生から御指摘になりました四十四年に出しました「キーパンチャー等、手指作業にもとづく疾病の業務上外の認定基準」というものが出ておりますので、これに従いまして認定をいたすことに相なるわけでございます。
  76. 浦井洋

    浦井分科員 そこで私要望しておきたいのですが、現在の作業環境、労働条件の中で、チェッカーの中で、そういう頸腕症候群だけでなしに、たとえばトイレに行くひまがない、トイレが非常に遠いというようなことで膀胱炎が起こる。それから、お客さんにありがとうございますと言うことと、それから商品の値段を確認しなければならぬ、声を使わなければならぬ。しゃがれ声、項声が出ておる。それから立業ですね。いまほとんどのところにいすがないわけです。そうすると、足の裏にまめができておる。こういうようなものも、これは私は当然職業性疾患だというふうに思うわけですけれども、これはそういう申請が出れば認定できますか。
  77. 渡邊健二

    ○渡邊(健)政府委員 先生いま御指摘になりましたような膀胱炎であるとか、あるいは声がれであるとか、あるいは足の裏のまめといったようなもの、それがチェッカーの業務に起因しているかどうかという点は、これは実際の判断は非常にむずかしい問題があると存じますが、具体的にそういう補償請求がありました場合には、専門家の意見も十分に伺いまして、これが業務に起因するということが専門的に明確になりますれば、これは基準法施行規則三十五条三十八号の疾病と相なるわけでございます。したがいまして、そういうものに該当するかどうかについては、十分専門家の御意見を伺って適正な判断をするようにいたしたいと思います。
  78. 浦井洋

    浦井分科員 大臣、私が先ほど申し上げたように全く爆発的に——いままでも出ておったが明るみに出なんだわけですが、いまやっと明るみに出てきた問題です、スーパーチェーンストアで働くチェッカーの問題というのは。そのこういうふうに多発している一番の根本の原因は、やはりいま非常に安全とか衛生を無視した、そして高度成長をどんどんやってきたスーパーチェーンストアの企業の側の経営態度にあるというふうに思うわけです。なぜならば、そういう経営者の方たちがいろいろな本を出しておる。その中で私ちょっと書き抜いてきた。こういう文章がある。二、三読み上げてみますと、「総資本の高速度回転と出来るだけ少い人数で経費の徹底的節減をはかり、一方売場面積や、店数を拡大しながら資本を大きくする、このことが大事だ」こういうふうにいっておる。それからまた別のところでは、「デラックスな営業用建物や立派な福利厚生施設などの営業外資産をもつことを断じて排撃する」といっておるんですよ。りっぱな厚生福利施設を持ったらいかぬという。それからチェッカーに対してはどういう管理をしておるかというと、「チェッカーこそが、お客と店の重要な接触点であり」これはそうでしょうね。「そこでは、正確さ、スピード、接客態度を目的として職場管理を行う」労働者の安全とか衛生というようなことは一つも出てこぬわけです。だから、皆さんも御承知のようにチェッカー・コンテストというのをどんどん行なう。片一方でそういうのを行ないながら、チェッカー自身の安全や衛生というようなものは全く度外視されておるというふうに私判断をしておるわけです。  だから私は労働大臣に要望したいわけなんですが、いままでこういうチェッカーの問題をこういう状態のまま放置した責任というのは、やはり労働省にも一端の責任があると思う。だから、いま高度成長を続けておるスーパーチェーンストア、こういう企業の側に労働省として迎合することなく、労働省設置法の第三条「任務」の中に書かれておるように、やはり労働者の立場に立って労働省の仕事をあくまでも追求していってほしいというふうに私お願いするわけなんです。だから、そういう点で今度やっと安全作業管理基準がつくられるということをいま聞いたわけですけれども、それだけでなしに、この際企業にいままでの態度について厳重な反省を求めるというような必要が私はあると思う。そして早く職業性疾患をなくする、かかっておる人もなおす、それからいまから発生することを防ぐというような措置を私とるべきだと思うのですが、大臣としてひとつ所信を聞きたい。
  79. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 いま御質問の中で、企業の方がいろいろな方針——これは企業者の中にも、利潤追求で、勤労者の立場ということを考えないで、まあもうけたらいいというような方もあるし、労使両方の立場を考える方と、いろいろな方針の方々がありますが、労働省としてやはり労使に対してこの労働行政を監督する立場でありますので、いま御趣旨のように、出先機関——本省からだっとやったってなかなか徹底いたさない点もありますので、労働基準局を督励して、いまの御指摘のような点につきましては、法律もできたのでありますから、さっそくに手配してそういうように持っていきたい。あなたはもう病院なりいろいろ診療所長をした専門家でありますので、いろいろまた私個人的に相談をして、御趣旨をよく尊重して、さような方向に持っていくようにいたしたいと思います。
  80. 浦井洋

    浦井分科員 まず、これは私の言ったことをやってほしいと思う。  ところで、私が最近入手した資料にこういうのがあるのです。簡単ですからちょっと部分的に読み上げてみますと、チェッカーの健康調査に関する報告書、これは、NCR、レジスター、金銭登録機をつくっておるメーカーが、スーパーチェーンストアに対して出しておる報告書なんです。私読んでみまして、全体として印象を言いますと、非常に調査がずさんだと思う。それから、そこから出てきておる意見というのは非常に独断的だ。しかも私、スーパーチェーンストアの中で働く労働者を侮辱しておると思うのです。こういうことが書いてある。「ある企業の例だが、」これはどこだか知りませんけれども、「ある企業の例だが、従業員の中から作業室の照明が暗いという不満が発生した。管理者が調べたところ、その部屋では平均五百ルクス以上という、充分な照度があった。しかし、この管理者は充分な明かるさがあるからといって、その不満を無視せず、電気屋を呼び、螢光灯をいったん取りはずし、同一螢光灯をさも新しい螢光灯であるかのように再び取り付けさせた。これで従業員の不満は解消したという。」これは一体どういうことですかペテンですよ。インチキですよ。労働者をだましているわけですよ。こういうことが金銭登録機のメーカー報告書と称して企業にいっているわけなんです。これはひどいでしょう。そういう文章の連続なんです。さらに一番最後の「まとめ」のところをちょっと読み上げてみますと、そういう職業性疾患が起こっておるということで、「しかし、職業病というのは、」「場合によっては、連鎖反応を起しがちですので、その点も考慮していたずらに煽り立てることのないよう注意して頂きたいと思います。」一体これはどういうことですか。まさに職業性疾患に対する認識が欠けておるというだけでなしに、逆に職業病なんというようなものは、性質やあるいは体質によるものだ、そういうようにほかのところに書いてあるのですよ。そういう立場でずっと一貫して貫かれておる。これが金銭登録機、レジスターの大手メーカーNCRの機械操作指導課から出ておる。これは最近なんです、大臣どうですか。これはけしからぬでしょう。そこで、まだ問題がある。というのは、このパンフレットの最初に序文が書いてある。この序文の中に何が書いてあるかというと、この報告書は、そのアンケート結果をもとに——よく聞いてくださいよ。労働省衛生課云々の御助言を得て作成いたしましたと、こう書いてあるのです。労働省衛生課、そういう課は、労働省の中をさがしてみても、衛生とついておるのは労働衛生課しかないわけです。これは意識して労働を抜いたのか、あるいは知らなくて衛生課になったのか知りませんけれども、こうなってきますと、大臣、よほど労働省の責任を私は問わざるを得ぬと思う。どうしますか。
  81. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 労働衛生課からさようなことを言ったことは、これはいま局長にも聞いたのでありますが、全然ありません。これは間違いありません。ただ、企業家というのは、労働省がいろいろ言うが、企業家の中には、労使関係をよく十分のみ込んで、労働者の立場もよく了解する方と、ただもうければいい、利潤追求ばかりやっておればいいというような使用者の方もあり、いろいろいたしますから、企業家のほうはそういうことをいたしましていろいろな宣伝をやって物を売る、利潤追求をする、かようなことに対しましては、いまの文を読んで、私自体でもこれはふんまんにたえないと思いますので、十分その点についても労働省から全国に対して通達も出し、さような方針は——いまの現時代の労使関係からいってもこれはたいへんなことであります。従来の古い明治の時代からの考え方がいまだに改まらない使用者もありますので、厳重に警告いたします。
  82. 北川俊夫

    ○北川(俊)政府委員 いま先生指摘のNCRの報告書というのは私も拝見いたしました。労働衛生課という点では、これはこの中にたとえば分析の方法、作業との関連、お客の数、そういうことについておそらく指導をしたもので、私直接報告は受けておりませんけれども、この中には、だからそういう意味では私のほうの助言が云々されておりますけれども、いま先生の御指摘のような点を労働省が言うはずはないということであります。
  83. 浦井洋

    浦井分科員 そういうことがあったかもしれぬ。しかし、この調査書の中の序文のトップに「労働省衛生課のご助言を得て作成致しました。」ということになれば、もらった企業の側は、ははあ、メーカーと労働省とは、このごろのはやりのことばでいえば、なれ合いかというふうにとって、気安うなるはずなんですよ。ここに私は問題があると思う。だから私は、労働省衛生課なるものが名称を詐称されたのかどうか、さっそくその辺は詳しく調べて私のところに報告してほしいと思う。  それからついでに、大臣、そうのんきに言われますけれども、こういう詩があるのを御存じですか。チェッカーの人たちの中の一人が寒い八月という詩を書いておる。御存じですか。これは新聞にも出ました。暑い八月でも寒い寒いというて嘆いておる、こういうことなんですよ。こういう実情から見て、メーカーと企業と一体どういうことなんですか。こういう報告書。だから私が言いたいのは、大臣、時間がないので、さっそく実情を調べて、そしてこれを出したメーカーに回収させるように、私、労働省として労働省の名誉にかけて指示すべきだと思うのです。どうですか。
  84. 北川俊夫

    ○北川(俊)政府委員 この問題につきましては、もちろん、作業環境改善とか健康診断、そういうことも大事でありますけれども、使っておりますレジスターそのものの構造、たとえば、先生方よくおっしゃるようにキーがたいへん重い、そういうものを改善させるためには、メーカーとの接触というのが私は絶対必要だと思う。そういう意味で、その点での接触あるいは指導ということはこれからもやりますし、その点は今後とも変える必要はないと思います。この内容につきまして、序文でそういうことをいわれておりますが、私は、労働衛生課ないしは労働省は、それによってけがされておる、あるいは侮辱されておるというような考えは持っておりません。
  85. 浦井洋

    浦井分科員 その感覚がおかしいのですよ。大臣どうですか。最後ですから、これはメーカーにいって、そしてこの報告書をさっそく企業から回収しなさい。書き直しなさい、こういう指示を出しますか。
  86. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 労働省としては、回収といっても、向こうは回収せぬといえば、これは法的にどうかということもありますので、労働省はそういうことを言ったことはないということについては強く申しますし、それでもなお反省の色がなければ、気持ちがなければ、労働省として、そういう各方面の企業に対して、基準監督署を通じて、どうもあの問題はわれわれの本旨と違うからということを通達するようなことはいたします。
  87. 浦井洋

    浦井分科員 私もう時間がないので、最後に意見だけ言いたいのですが、大臣、これはやはり労働省にとって重大な問題だと思う。しかも、いま全国的にチェッカーが職業性疾患におかされているという実態がずっと明らかになってきておる。こういうケース、こういう事例は、ずっとパンチャー病が発生したときにもやはり起こっているわけです、企業の側からあるいはメーカーの側から。だから、これはもう私がさっき言ったように、さっそく企業に厳重な警告を発して、そしてこの報告書を回収するように重ねて私は要求したい。
  88. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 先ほどお答えしたとおりの方針で進みたいと思います。
  89. 浦井洋

    浦井分科員 ちょうど時間が来ましたので、非常に残念ですけれども、大臣に重ねて要求をして、私の質問を終わりたいと思います。
  90. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林主査代理 石田幸四郎君。
  91. 石田幸四郎

    ○石田(幸)分科員 私は、中小企業退職金共済制度の問題について、これから大臣並びに各局長に御質問をするわけでありますが、いろいろと大臣のお時間の関係もございますので、この前予算委員会におきましての一般質問のおりに時間切れでたいへん失礼いたしましたので、その問題から先にちょっとお伺いをしたいと思います。  労働大臣の私設諮問機関でありますところの労働者生活ビジョン懇談会というのがありますね。これから定年延長の問題の答申——中間報告ですか、が出ておりまして、五年後を目途として、五十五歳から六十歳まで定年延長をしてはどうか、こういうようなことでございました。一体、労働大臣といたしましては、これを全産業を対象としてどのように推進するおつもりか、まずお伺いをしたいと思います。
  92. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 世界の趨勢は六十五歳が最終の理想でありますけれども、いま日本の現状は五十五歳、それを一ぺんに六十五歳といっても、なかなかこれは実行不可能でありますので、当面の問題は六十歳を目標といたしまして労働省といたしましては定年延長の問題を指導いたす所存であります。
  93. 石田幸四郎

    ○石田(幸)分科員 方向としてはわかるわけでございますけれども、しかし、定年延長の問題は労働力不足の一つの緩和策にもなるわけでありまして、こういう社会情勢の中におきましては急激な一つの要望でもあると私は思うわけです。そういった意味におきまして、一体どのくらいを目途としてこれをおやりになるつもりなのか。具体的にお伺いしますれば、昭和何年ごろまでに一般化をされる考えなのか、この点はいかがですか。
  94. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 予算委員会でもお答え申し上げましたとおり、日本の労働者の平均年齢というか、最近は中高年齢者が相当多くなった、かような関係から、六十歳で五年という目標指導いたしていく所存であります。
  95. 石田幸四郎

    ○石田(幸)分科員 その六十歳の問題はよくわかったわけなんですけれども、いま昭和四十八年でありますけれども、大体全産業にこの考え方が定着するまでに何年ぐらいかかると思っていらっしゃるのでしょうか。
  96. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 先ほどその趣旨で申し上げたのですが、ちょっと言い方がへたでありましたので、五年以内と、こう……。
  97. 石田幸四郎

    ○石田(幸)分科員 この推進にあたりましては、官公庁、それから地方自治体、こういったものが全産業をリードする場合の大きなポイントになっておるわけです。総理府からも来ていただいておりますけれども、やはりそこら辺が率先してやらなければなかなか定着しがたいと思いますが、そこら辺の見通しについて大臣といたしましてはどんなお考えを持っていらっしゃいますか。
  98. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 この問題は官庁関係その他もありますので、やはり官庁関係の動向が民間にも影響する、民間の動向が官庁関係にも影響する、こういうような関係で、官庁関係については週休二日制と定年延長、この問題の関係閣僚懇談会で、現在三回やりましたが、特に本年に入ってもこれが具体化について熱意をもって関係各省——まあ労働省がいろいろこれを提唱いたしましても、各省が協力しなければなかなか実行の段階にいきません。そういう関係で、いまさっそくこれを法規によってどうするというような関係よりは、労使間の話し合いによって特にそれを進めたい所存でありますので、関係各省の了解を得るように、労働省として、また大臣としても、懸命に具体的な実施の方向に進めるように熱意をもってやっております。
  99. 石田幸四郎

    ○石田(幸)分科員 たいへん賢明な御答弁でありますけれども、なかなか目標がはっきりしないようでございます。  それでは、時間の関係もございますので、他の方々質問をしておりますので、なるべく早く用事を済ませていただきたいと思います。  総理府から人事局長がお見えになっておるようでございます。いま大臣との話し合いを聞いていらっしゃったと思うのですが、この定年延長の問題は、全産業に定着させるためには官公庁の姿勢が非常にに大きなきめ手になるわけです。これをどのように考えていらっしゃるか、この辺を少しお伺いしたいと思います。
  100. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 ただいま労働大臣からお答え申し上げましたように、かなり広範囲にいろいろな問題を含んでおりますので、関係閣僚懇談会でいろいろな角度から検討していただいておるわけであります。基本的にはその点がまとまりませんと結論が出てまいらないと思うのですが、ただ、御案内のように、国家公務員の法律上の定年制というのはないのが大部分でございますから、勧奨退職等の場合にも、その職務の内容等によりましてかなりばらばらな措置をいたしておるわけでございます。そういう点も含ますと、一律にどういう目標を定め得るか、いろいろむずかしい問題があろうかと思いますので、鋭意いま検討しておるところでございます。
  101. 石田幸四郎

    ○石田(幸)分科員 先ほど労働大臣からは、五年を目途として、こういうような大体の方途が示されておるわけですが、この年数についてはいかがでございますか。
  102. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 五年の範囲内にどの辺まで持っていかれるのかというのもまだきちんときまった考えではなかろうと思いますが、御承知のように、公務員の場合には、職種によりましてはかなり高いところに事実上の定年制をしいておる、六十歳とか六十五歳をこえるところもあるわけでございまして——もちろん、警察官とか自衛隊のような特殊な場合でありますと、またその職務の内容に応じて若いところに置いておるところもございまして、何年までにどの辺まで持っていけるかというのは、ちょっとめどを立てるのがむずかしいと思いますが、これは全体の進み方と歩調を合わせて官公庁のほうでも十分検討したいと思います。
  103. 石田幸四郎

    ○石田(幸)分科員 なかなかその目標が定めがたいということはよく了解をいたしましたけれども、もう一つ週休二日制の問題については、これは各企業かなり定着をしてきたわけでございますが、国鉄なんかの場合は、ああいうような公共団体の場合は、労働時間の短縮という方向で逐次進めているようですが、官公庁としてはどんなお考えですか。
  104. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 この問題もなかなか、公務のサービスを低下させないで実施をしていくということになりますと、いろいろな点で検討を要する問題が多うございます。ことに、現在でも、日曜日、休日も休みなしにサービスを提供しなければならないというような部門につきましては、要員の確保等の問題もございますし、なかなかむずかしい問題がございますけれども、基本的には、一つ方向として、官公庁部門におきましてもこの問題を民間と同時に検討してまいりたい、こういう態度で進めておるわけでございます。
  105. 石田幸四郎

    ○石田(幸)分科員 これも目標というのはかなりむずかしいと思うのです。しかし、円の再切り上げというような問題もからんでまいりますので、労働省としてはかなり強力に進めたいという考えがあるようです。そういうことで、やはり大体どのくらいという目標をつけないと、なかなかかえってむずかしいんじゃないかと思う。目標を持たずに検討したのでは、いつまでたっても検討段階ということになると思いますが、この点どうでしょう。
  106. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 基本的には、一つには、民間の進捗状況をどう考えていくのか、官公庁がリードするような形のほうがいいのか、やはり民間の多数が実施をされるような状況において進めていったらいいのかという問題があるわけでございまして、政府としては、できるならやはり民間の相当数、過半数程度のものが実施をされるという状態をよくにらまえて、それとはずを合わせていくのが、この公共部門の特殊性から見ていいんじゃないかというような考え方を基本的には持っております。ただしかし、そうかといって、民間のほうの進みが非常に悪い場合、この国際環境の中で全然目標を立てがたいということでも困ると思うのでありまして、両様の面から、できるなら両三年程度のことでやりたいということをいろいろな社会経済発展計画等で立てておるわけでございます。
  107. 石田幸四郎

    ○石田(幸)分科員 では人事局長はけっこうでございます。ありがとうございました。  それでは本題に入りたいと思います。  中小企業退職金共済制度の問題で私も実はしばしば苦情を受けているわけであります。これはいままでもいろいろとお話し申し上げてきましたが、昭和四十七年度現在で契約者数というのは十四万七百四十三名、被共済者数というのは百三十四万二千五百十三名、四十七年度末で大体そのような数字になっているようでございます。時間がありませんから、さっそくにその問題点だけを申し上げて、これに対する答えをいただきたいわけです。  この共済制度の中の一つの大きな欠陥は、いわゆる十二カ月未満の退職者、これに対してはこの制度は生きていない。いわゆる退職金がもらえないわけであります。社会通念としては確かに、一年未満勤務した者については退職金を出さぬ、そういうようなことはあるようでございますけれども、最近の中小企業等の状況を見ても、せっかく地方へ行きまして高校を卒業した人なんかを多額の費用をかけて採用してくる、ところが、一カ月か二カ月働いてみると、どうも希望した労働条件と生活環境の条件が違うといって簡単にやめてしまうということが、非常に中小企業方々の悩みになっているわけです。そういう人たちのことも、一たんは採用したわけでありますから、この共済制度に入りたい。入りたいけれども、そういういま私が申し上げたような実情があるから、十二カ月未満でやめられてしまったのでは、これはかけ捨てになってしまうということで、共済制度に入りたがらぬ、こういうケースも非常にあるわけです。  この法律をいろいろ調べてみますと、確かに中小企業退職金共済法の第二条第三項の中において、退職金の共済契約というものがきめられております。しかし、その中においても、十二カ月未満の退職者には退職金がいかないということは明確になっておりますけれども、論理的にいって、掛け金が中小企業共済事業団のほうに没収されるようなかっこうになっていますが、それが法律の中には一つも規定されていない。そこに私は非常に矛盾を感ずるわけです。現にそういった中小企業主の中におきましても、かけてみたけれども、やめてしまったその金は没収されてしまうというような感覚を抱いていらっしゃる。まあ共済制度全体の問題ですから、没収云々というようなことはあるいは当てはまらないかもしれない。しかし、この退職金共済制度へ入るときは、一人採用した場合に、その人に対して共済制度に加入するという、一対一の退職金の制度、そういう感覚で事業主は見ておるわけでしょう。この点についていかがですか。
  108. 渡邊健二

    ○渡邊(健)政府委員 中小企業者の中に先生指摘のような御気分があられることは私どもも聞くのでございますが、一般の民間の退職金におきましても、やはり長期勤続者は短期勤続者よりも優遇するというのが日本の一般の退職金あり方でございますし、先生お述べになりましたように、そういう意味で一般の民間企業で自分のところに退職金制度を持っているところでも、一年未満でやめた人には出さない、こういうのが大体通例でございます。これらの事情を勘案いたしまして、この法律では、掛け金の納付月数が一年未満の場合には退職金支給しないことに相なっておるわけでございます。  そういたしますと、かけ捨てになった分が事業団のほうに没収されることになるのではないかということでございますが、これは没収というようなことではございませんで、事業団はそういうものを運用いたしましてそして全体としての退職金共済制度をやっておる。特にそういうものによりまして長期勤続者をできるだけ有利にいたしておるわけでございますので、もし短期勤続者を有利にすると、それだけ長期勤続者が不利になるという問題もございます。したがいまして、この問題は非常にむずかしい問題でございまして、全体の問題としてさらにこういう問題は検討してみたいというふうに考えるわけでございます。
  109. 石田幸四郎

    ○石田(幸)分科員 先ほどから私は議論をしておりますけれども、被共済者、いわゆる働いている人ですね、それに対する規定の意味はわかりますよ。しかし、この共済制度に参加をする事業主の立場というものは、いわば自分のところで退職金の引き当て金、こういうものをつくりたい。つくりたいけれども、そういう積み立て金をしましても、そういう零細企業というものはどうしてもすぐ金を使いたがる。だから、こういう共済制度に入りますれば、半ば強制的に積み立てることができる、そういうメリットを持っているわけですね。現実にはそういうことから入っている人が多いわけです。これは考えがさかさまかもしらぬ。しかし現実にはそういう感覚を持っておる。しかも、かける対象者は一人一人でしょう。その人が何らかの理由で三カ月なら三カ月でやめてしまったような場合に、そのお金が他の、たとえば石田という人間のためにかけたものが、自分の企業と全然関係のない人たちのためにその金が使われるということは、これは事業者として私は納得できないと思う、そういうところにこれは矛盾があるわけなんですよ。私も事業団のほうへ聞いてみた。そうしたら、そういう金をいわゆる事業団として吸い上げる規定というのは、その法律の中には明確にない。法律にないのを、そういうような形で、私に言わせれば没収ですね、そういう形になるということは、これはどう考えてみてもおかしいでしょう。また、そういう形を明確にすれば、もっと共済制度を拡張するという人がふえてくるだろうと私は思う。そういう意味でも、これはどうしても改善してもらわなければいかぬという意見を持っておるわけです。もう一度ひとつ……。
  110. 渡邊健二

    ○渡邊(健)政府委員 確かに、加入された事業主のお気持ちといたしますと、自分のかけた金がかけ捨てになった分がほかの企業に回るということに割り切れないというお気持ちがおありのことも理解できないわけではございませんが、退職金共済法の一条の(目的)で、この法律は、中小企業の従業員について、中小企業者の相互扶助の精神に基づいて退職金共済制度を確立するんだということになっておるわけでございまして、それは複数の企業の掛け金によって全体としての共済制度ができておるということで、自分のかけた金で企業が自分のところだけということでない、いわば相互扶助ということで、全体としての共済制度を運営していくんだ、こういう考え方が基本にこの制度はあるわけでございます。で、中小企業主のお気持ちからすると、かけ捨てになったものが吸い上げられるという受け取り方もあると思いますけれども、これはやはり一年未満の人には退職金を払わないという規定がございまして、もちろん事業主にも返すという規定もないわけでございます。そうして、そういう上に立って掛け金の月数に応じた退職金の額が法律によってきまっておるわけでございますので、やはりそういうかけ捨てになったものも含めた全体としての金の運用によってこの退職金制度をやっていく、こういう思想の上に現在の法律は成り立っておるわけでございます。しかし、御指摘のような御気分が事業主のほうにあられるということもよく理解できますので、さらにこの退職金共済制度の全体を今後どうしていくかということを検討してまいりたいと思います。
  111. 石田幸四郎

    ○石田(幸)分科員 大臣、いま基準局長といろいろ論議をしておったのでございますけれども、中小企業退職金共済制度に加わった場合に、十二カ月未満退職者には退職金はゼロ、要するに払わないということが規定になっておるわけです。払わないということは、社会通念の上からいってもわかるわけですね。しかし、その掛け金をかけた人は、いわば石田なら石田という採用した人間のためにかけるということが、これが事業主の考え方なんです。政府の制度としては、事業主間の、いわゆる複数の事業主の相互扶助によって成り立つんだという考え方でこの制度はできているわけです。しかし、使うほうはそういうような感覚を十二分に理解をしていないし、むしろ、採用したAならAという人間のためにこの退職金共済制度を利用するんだ、こういう考え方が強いわけです。ですから、その十二カ月未満の退職者に対して一銭も金はいかない、たとえば、かりに一人に最高額四千円かけたとしますよ、そうしますと、十一カ月かけると四万四千円ですよ、その四万四千円の金を簡単に事業団のほうに没収されてしまうということは、これは私はやはり企業者としては納得しないと思う。それは現在の法律ではそうなっておる、確かに。全体の考え方から、精神からいけば、十一カ月未満にかけた金も返らない規定にはなっているでしょう。しかし、返さないということも明確にうたってあるわけではないわけですね。いわばこの(目的)の第一条を準用して考えておるにすぎないのであって、かりに五人やめたらどうします。二十二万円ですよ。一年間で二十二万も零細企業方々が金をかけておって、それがばっとやめられた。それだけのものが全く損失に終わってしまうというような考え方をその事業者は持ちますよ。ですから、やはりこの制度そのものを再検討して変えなければならぬというのが私の議論なのです。そういう議論を基準局長としておったんですよ。変えますか。
  112. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 これはなかなか複雑な、微妙な、困難な問題が——これは私もよく研究いたしましたが、短期の方をパアにする、そうすると今度は長期の方が得するとか、また、短期の方をよくすると長期の方が損をするというような、現制度においてはさようないろいろな微妙な点がありますので……。しかし、御指摘のような問題は、これは少し何というか……。
  113. 石田幸四郎

    ○石田(幸)分科員 おかしいでしょう。
  114. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 おかしいというか、ただ取ってしまうというのは、いろいろな観点からまあ考慮しなくちゃならぬというので、これは本制度全体の立場から、大臣としても労働省としてもなお一そうよく研究して——ここで、そうしたら大臣どうせいと言われても、なかなか複雑な問題もありますので、本問題について十分各角度から検討して——それは検討するだけでは困るのじゃないか、こういう点もありますので、前向きに検討いたしますことを申し上げます。
  115. 石田幸四郎

    ○石田(幸)分科員 最近の状況を十二分にお知りいただきたいと思うのです。これは数字の上ではそうたいした数ではないと私も思う、この共済制度の中に出てくる数字は。けれども、加入したいという希望者の中には、これがあるので二の足を踏んでいる人はたくさんおるわけです。   〔三ツ林主査代理退席、主査着席〕 最近の状況は、いまも局長さんに話をしたのですけれども、たとえば地方から若年労働者を採用しますでしょう。そうすると、その若年労働者を採用する場合にかなりの投資をしているわけです。費用を使っているわけですよ。一人当たりやはり四、五万円はかかりますよ、採用する場合に。それで、たとえば五人なら五人採用しても、何だ、来てみたら労働条件が違うじゃないか、まあ来たばかりだから、しようがないから二、三カ月働こう、そして二、三カ月たったら、やめますよ、というので簡単にやめてしまうケースがずいぶんある。それからまたトラック運送なんかの場合も同じようなことがございまして、いわゆる運転免許を持っていますから、簡単に移動するんですよ。そうすると、掛け金をかけたところの企業者というものは、せっかく、定着してもらおう、そういういわゆる退職金制度もあるのだから安心して働いてもらいたい、こういうような共済制度の趣旨説明しながら幾らそれを力説しても、むしろいまそういう免許なんか持っている人は引っぱりだこですからね、かえってまた次の事業主から支度金をもらって移る。こういう状況というものは、いま地方に行きますとかなりそういう傾向は強いわけです。そうなりますと、こういう状況の場合はなかなか入りがたい。確かに一年問いて退職金をもらうといっても、千円で三千六百円ですか、だからたいした額ではないんですけれども、やはり全然本人にもいかない、自分のところにも返ってこないということになりますと、先ほど申し上げたように、一口四千円の分をかければ、四万四千円を五人分かければ二十二万円ということになりますので、ぜひともこれは前向きに改正方向に御配慮をいただきたい、こういうふうに思うわけです。  それじゃ時間もありませんので、こまかい問題はまた他の機会にいたしまして、私の持ち時間はこれで終わりでありますので、そういう御要望を申し上げて、終わりにいたします。
  116. 倉成正

    倉成主査 この際、暫時休憩いたします。本会議散会後再開いたします。    午後零時五十分休憩      ————◇—————    午後三時三十一分開議
  117. 倉成正

    倉成主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  労働省所管について質疑を続行いたします。上原康助君。
  118. 上原康助

    上原分科員 まず大臣に最初にお伺いをしたいわけですが、政府は、沖繩の復帰に伴って、特別措置法あるいは振興開発特別措置法で復帰後の沖繩の労働者雇用安定、失業対策あるいは労働条件の改善等々を積極的に推進をしていくということをうたっております。しかし、残念ながら、復帰前後から軍関係労働者に対する相次ぐ首切り、合理化の問題、あるいは施政権返還に伴って制度の変更その他によって労働者雇用はきわめて不安定であり、失業者も増加をしているというような現状であります。  そこでお伺いしたいことは、こういう沖繩の復帰後の労働者の実情を踏まえて、政府が進めてこられた諸施策というものは、十全とまでは言わなくとも、かなり手落ちがあったのではないかという気がいたします。したがって、これまでの政府施策に対してどう考えておられるのか。それとあわせて、いま私が申し上げたような問題を解決していくために、労働省として今後どういう立場、お考えで進めていかれようとしておるのか、その点についてまずお伺いをしたいと思うのです。
  119. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 御承知のように沖繩が日本に復帰した。経済関係雇用関係もやはり相当な変革を来たしておる。これに対しまして、御承知のように、政府としては、沖繩振興開発特別措置法、こういうのを設けて、こちらのほうの関係よりは手厚い保護をとりたい、こういうような趣旨でやっておりますが、上原議員の御指摘のように、やはり遠隔の地でありますので、もう少し寸足らずという感じもしないではないような感じでありますが、今後なお一そうこの問題に対しまして真剣に政府として、労働省として取り組んでいく所存であります。  職業の紹介、職業訓練の問題、これはこちらでも同様でありますが、この問題をなお一そう、いままで足らない点を補充して、御趣旨に沿うような線でこの二つの問題をやります。特に雇用対策に対しましては、振興開発の推進と相まってこれらの措置の充実をはかり、沖繩の労働者の職業と生活の安定、この問題は、労働省のスローガンが、明るく豊かに安心して、というのでありますが、私は、この問題、わけても特に最後の、心がある施策、すなわち、安心して生活ができる、こういう問題につきまして徹底的に当局を指導いたしまして、御趣旨に沿うような善処をいたしますことをここで御答弁をいたします。
  120. 上原康助

    上原分科員 そこで、限られた時間ですから、問題を二、三点にしぼって逐次お伺いしてまいります。  いま大臣から、基本的な姿勢といいますか、考え方についての御答弁をいただいたのですが、しかし、私たちがことばでやりとりする以上に深刻な問題があるということを御理解をいただきたいと思うのです。  まず、沖繩振興開発特別措置法の第六章「職業の安定のための特別措置」という章で、第三十八条になりますが、「職業の安定のための計画の作成等」さらに第三十九条の「振興開発計画に基づく事業等への就労」四十条、四十一条と、先ほど申し上げたようなことについていろいろうたっているわけですが、労働省はこれらの計画なり、いろいろな方針というものを具体的におつくりになって、それに基づいて、先ほど大臣がおっしゃるような復帰後の諸問題に取り組んでこられたのか、その点ひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  121. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 先ほどの答弁で、求職手帳の問題、これは三年間を特に有効にするという問題を落としましたが、その他の問題については、上原議員の御質問政府委員から御答弁いたします。
  122. 道正邦彦

    道正政府委員 御指摘のように、三十八条、三十九条等に規定がございます。これに基づきまして、たとえば雇用計画あるいは公共事業の失業者の吸収率をきめるということが定められておるわけでございますが、三十八条につきましては、現在沖繩県当局等と、折衝と申しますか、相談いたしまして、実情の把握、計画の立案等について鋭意検討を進めておる段階でございます。それから三十九条につきましては、公共事業の失業者の吸収率等をすでに定めております。さらに特別対策といたしまして、離職者に対する求職手帳の発給事務、これはすでに一部始まっております。
  123. 上原康助

    上原分科員 これらの計画なり政策推進については、確かに県当局なり県知事の意見も徴するというようなこともうたってあるわけですが、私が申し上げたいことは、そういった消極的な面でなくして、やはり政府が積極的に進めていかなければいかない問題だということなんです。返還後すでに一年にもなんなんとしているわけですから、ぜひ早急に計画案をおつくりになって、雇用の安定、失業対策ということに取り組んでいただきたいということを申し上げたいのです。  そこで具体的にお尋ねしますが、復帰後の軍離職者など、あるいは制度の変更等によって失業した労働者の数というのはどの程度押えておられるのか。さらに、いま御答弁のありました失業者求職手帳というものは何名にどの程度発給されているのか。そういった面についてもひとつお答えをいただきたいと思うのです。
  124. 道正邦彦

    道正政府委員 軍関係の離職者、駐留軍関係の離職者になるわけでございますが、四十七年の四月から十一月までで五百八十六名でございます。それから、求職申し込みをされました離職者は四百四十二名でございます。これらの方々に対しましては求職手帳を発給いたしております。
  125. 上原康助

    上原分科員 失業者の数についてはどうなんですか。軍関係だけでなくして、沖繩全体のそういったものについてはお調べになっていませんか。
  126. 道正邦彦

    道正政府委員 まだ十二月末の数字がまいっておりませんが、全体として、学卒を除きまする一般の職業紹介は、新規の求職者は、昨年の後半以降二千人から三千人台で推移いたしております。
  127. 上原康助

    上原分科員 それでは資料要求も含めてですが、いまの失業者の数ですね、軍関係あるいは学卒を除く数、さらに求職手帳を給付された労働者の数というものの推計を提出をしていただきたいと思います。  次に、職業訓練の件なんですが、昭和四十五年でしたか、総訓ができて、職業訓練を進めてきているわけですが、この実態なり計画等についてひとつお聞かせいただきたいと思うのです。
  128. 遠藤政夫

    ○遠藤(政)政府委員 現在、沖繩県におきましては、沖繩県立の専修職業訓練校が三校、那覇とコザにございます。それから同じくコザの近郊に雇用促進事業団の設置いたしております総合職業訓練所、この三校で現在約千八百名の訓練を実施いたしております。さらに、四十八年度におきましては、南部地区に総訓校を新設する予定でございまして、すでに今年度に土地を購入いたしまして、四十八年度に開校できるように準備を進めておる次第でございます。
  129. 上原康助

    上原分科員 いまの事業団が運営している総訓の件なんですが、この設立については私もたびたび御要望に上がった経緯もあるのですが、どうも訓練内容が沖繩の実情にマッチしているのかどうか、若干疑問があるわけですね。  さらに、後ほどちょっと触れようと思うのですが、海洋博との関係においても、技能労働者というものを早急に養成しなければいかない実情下にあろうかと思うのですが、そういう面から考えますと、緊急な職業訓練対策というものを直ちに進めていかなければいかないような気がするわけですが、政府の四十八年度の予算を見ても、どうもそういう面、が出ていないような気がいたします。そこいらについてやっぱり私は必要に迫られていると思うのですが、従前の計画なり方針であくまでいくのか、もう少しくだいて、ひとつ考え方をあわせてお答えいただきたいと思うのです。  もう一つは、南部におつくりになる計画だという職業訓練校新設の件なんですが、その予算の額と、あるいは場所はどの市町村なのか、あわせてその訓練校の規模なりを含めて明らかにしていただきたいと思うのです。
  130. 遠藤政夫

    ○遠藤(政)政府委員 確かに、沖繩県地域におきましては御指摘のとおり技能労働者が不足いたしております。それを補いまして、早急に技能労働力を養成いたしまして、沖繩の振興開発に役立てたい、ないしは沖繩地区に発生いたしまする失業者の再就職に万全を期してまいりたい、こういうことで、那覇にございます職業訓練校は、これは主として製造業関係の職種でございますが、コザのほうの専修訓練校は洋裁、和文タイプ、事務というようなことで、それを補います意味で、総合訓練校におきましては、八科目、約九百名の定員で、これは現地の実態に即応した形で、よく現地の方々とも御相談をいたしまして、現地で要請のある職種を現在実施しておるわけでございます。  確かに、これから海洋博の準備がいろいろ進められてまいりますのに伴いまして、新しい職種についての訓練も必要になるかと思うのであります。そういう点については、そういった実情に即応できる体制を今後とってまいりたい、かように考えております。  次に、南部地区にいま予定いたしております総合訓練校の新設の件でございますが、これは糸満地区の豊見城村ということで現地からは連絡が来ております。今年度、四十七年度の予算で土地を購入いたしまして、いま工事手続が進められておりますが、通常本土におきましては、この総訓校の設置には大体三年ないし四年計画ぐらいで完成をいたす予定でおりますが、沖繩県の場合にはただいま御指摘のように急を要する関係もございますので、四十八年度中に完成をするということで、本土の場合よりはスピードアップしてこの完成を進めてまいりたい、こういうように考えておる次第でございます。
  131. 上原康助

    上原分科員 職業訓練の件ですが、ぜひひとつ御検討いただいて、きょうは時間がありませんから、海洋博との関係のこまかいところまで触れられませんが、現地の実情に即応した訓練計画をお立てになるということと、技能労働者の養成というのが迫られておりますから、そういった面で、場合によっては予備費から捻出してでもやるという前向きの取り組み方をひとつ要望したいということ。いま一つ、新設する職業訓練所、豊見城村にできるものについても、早急に完成をしていただいて、現地のそういった実情に適応できるようにひとつやっていただきたいと思うのです。  次に、旧四種雇用員の問題についてお尋ねしたいのです。  これは御案内のように軍施設内の清掃業とかあるいはメスルーム関係業務なりを請け負っておる契約業者の雇用員なんです。御承知のように、復帰前までは布令百十六号の適用下にあったのでありますが、布令が廃止されまして、現在原則的には労働三法の適用だ、いわゆる労働法、労組法、労働基準法の適用下にあるということを政府はこれまで言ってこられたのでありますが、しかし、賃金の遅払いとか、あるいは労働協約を守らないとか、いろいろな基準法違反まがいのことが続出しているのです。長いこと、政府関係当局に、契約内容の改善問題、いわゆる指導監督機関はどこなのかということ等について御要望申し上げてきたのですが、労働省に行くと、いや、これは軍事施設と関係があるから防衛施設庁ではないのか、防衛施設庁に行くと、施設庁は、いや、これは労働法の適用だから労働省だということで、現在までどの省庁が実際に監督機関なのかも明らかにされていないのですよ。したがって、復帰をした時点でいつまでもこのような調子ではいかぬと思うのです。一体、この旧四種雇用員の身分、労働条件、そういうものについては、労働省が監督機関としてやっていくのか、施設庁が関係するのか、あるいはまた、米軍との関係で外務省も関係があるのか、そこいらについてぜひ明確にしていただきたいと思うのです。
  132. 渡邊健二

    ○渡邊(健)政府委員 旧四種雇用員につきましては、ただいま先生もお述べになりましたように、これは米軍の業務を請け負っております民間業者に雇用されておる労働者でございます。そういう意味で、復帰後は他の民間事業と同じく労働基準法その他の労働法令が適用されることになっておるわけでございまして、これに対しましては沖繩労働基準局あるいは労働基準監督署が必要な監督指導を行なっておるところでございます。先生いまおあげになりました賃金遅払いなどにつきましても、この旧四種雇用員につきましてすでに一件は送検をいたしまして、本年一月罰金刑が確定いたしておりますものもございますし、そのほかにも、基準局が指導をいたしまして不払い事件について解決を見たというようなものもあるわけでございます。  そういうことで、基準監督機関といたしましては、国内法令に基づいて必要な監督指導をいたしておるわけでございます。ただ、臨検検査等のために基地内に入ります場合には、米軍の基地管理権との関係がございまして、昭和三十五年に日米合同委員会で合意されました覚え書きに基づきまして大体労働基本契約による立ち入り手続とほぼ同様の手続で、米軍機関に事前に通知して基地に立ち入るという手続は必要になっております。
  133. 上原康助

    上原分科員 そういたしますと、いま御答弁がありますように、基地内でいろいろなトラブルが起きた場合は、基準監督局が立ち入り調査なりできるわけですね。たてまえはそうなんですよね。しかし実際はそうなっていないわけでしょう。四種雇用員の実態について政府では資料なりいろいろなデータをお持ちなんですか。
  134. 渡邊健二

    ○渡邊(健)政府委員 旧四種雇用員の数字等については、確かにまだはっきりしない点があるわけでございますが、労働者から基準法違反等の申告があったような場合には、労働基準監督機関として、法に基づきます必要な監督指導を行なっておるところでございます。
  135. 上原康助

    上原分科員 それじゃ待遇改善の面、たとえば、御承知と思うのですが、期末手当も全然慣行化されてない、あるいは労使間で協約を結んでも支払いをやらないという事件があるわけですよ。退職手当ももちろんそうだし……。全軍労からこれまで何回か要望が出ていると思うのですよ。具体的に要請事項をあげますと、入札条件を大幅に改善するということと、基本給はMLC、IHA雇用員と同等な内容に持っていってもらいたい、年一回の定期昇給を実施せしめるべきである、あるいは請負業者の資格の厳選及び契約期間延長ですね。契約はいま一年更新なんですね。年々更新ですから、業者がかわれば、労働者は十年働いても、その人の雇用期間というのは実際問題として一年にしかならないのですよ。そういう前代未聞の雇用関係というのは、いまの労使関係からして、あるいは労働市場からして、私はあり得ないと思うのです。こういう実態なんです。皆さんはそういう実態というものを具体的におつかみにならぬで、ただ法律上の問題をたてまえ的に言ってみても、この問題の解決にならぬですよ。これをどう解決をしていくのか。これにはやはり米側との契約内容そのものを改定をしていかなければいかない基本的な問題を含んでいるわけですね。そういうものまではたしていま御答弁いただいたような労働基準監督局がやっていけるのかどうか、そこいらをぜひ明確にしてもらわぬと、いつまでたってもピンポン玉みたいにあっち飛ばされこっち飛ばされして、ちっとも解決しないのです。しかも沖繩の労働市場で軍職場の占める率というものは、四種雇用員のウエートというものは非常に大きいのです。だから私はこの問題について努力を前から何回か施設庁にもあるいは労働省にもお願いしているのですが、なかなか解決しないわけですからね。この際そこいらの点を洗いざらいして、やはり政府としてアメリカ側に責任を持ってもらいたいものについては、積極的に労働省なり、あるいは施設庁なり、外務省がやっていくというような積極的な対策というものを講じない限り、解決できないと思うのです。そこについてもう一度労働省の見解を承っておきたいと思う。
  136. 渡邊健二

    ○渡邊(健)政府委員 ただいまお話しのような期末手当を払うとか、あるいは定期昇給制度を設けるとかいうことになりますと、これは労使間できまるべき労働条件の問題でございまして、基準法違反といったような問題でございませんので、一般のそういう民間のところの労働条件についてまでは、特にそれがきわめて劣悪であって、基準法条に触れるといったような問題のほかは、行政機関として、どういう労働条件にしろということまではなかなか、これは介入という問題もございまして、いき得ないわけでございますが、労働条件につきまして、特に地域における他のところの労働条件から見て特別に問題があるような点があるかどうか、さらに、それらにつきまして基準法に触れるといったようなことが行なわれておって、それが幾ら業者を監督いたしましても、業者の力ではどうにもならないものであるかどうか、その辺をさらによく調査検討してみたいと考えるわけでございます。
  137. 上原康助

    上原分科員 別におことばを返す気持ちはないのですが、その程度のことは私だって理解しますよ。賃金は労使間で話し合ってきめるべきだとか、あるいは政府が介入できる筋合いのものでない場合もあるわけだ。しかし申し上げたいことは、中には十七、八年同じ職場で働いてきた人がいるわけですよ。かつての旧第一種、第二種であったわけなんだ。十七、八年働いても雇用契約内容というものが一年契約であるということで、もちろん、ミルクプラントとか、ほかの若干の例もありますが、大かたはそういう状態なんです。そういう契約内容だから、いつまでもこの問題のらちがあかぬわけですよ。その根本的なものにメスを入れていくには、やはり政府としての積極的な対策施策というものが出てきてしかるべきでしょう。それはどこがおやりになるかということなんですよ。その実態についてぜひ調べていただきたいと思うのです、これは後ほどまた議論もしたいのですが、時間がありませんので、ぜひひとつ調べて、四種の実態の資料について出してください。  そこで、いまいろいろお述べになったのですが、じゃあ職業安定法の四十四条に労働者供給事業の禁止というのがあります。さらに施行規則の四条でもいろいろ触れられているのですよ。特に四号だけ指摘をしておきたいのですが、施行規則の「自ら提供する機械、設備、器材(業務上必要なる簡易な工具を除く。)若しくはその作業に必要な材料、資材を使用し又は企画若しくは専門的な技術若しくは専門的な経験を必要とする作業を行うものであって、単に肉体的な労働力を提供するものでないこと。」いわゆる職安法の第五条に関する事項としてこういう規定があるわけですよ。いまの第四種雇用員の大半は明らかにこれに抵触するのじゃないかと思うのです。前に私は、労政局長ですか職安局長に、復帰後はこの問題はぜひ調べてもらいたいと御要望申し上げたこともあるわけですが、復帰後は直ちに職安法に抵触しないかどうかということもやりましょうということだったが、私の知る限りにおいてはそういうことはやられていない。ですから、そういったいろいろな面、政府として行政上できるものさえもまだやっていない面もあると私は思うのです。そういった面を洗いざらいにして、この際、四種雇用員の労働条件の改善、待遇改善雇用制度の問題契約内容の問題までも含めてぜひひとつ調査をして早急に解決をしていただきたい。これに対しては、できれば労働大臣の決意を求めたいと思うのです。
  138. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 ただいま四十四条の違反の問題でありますが、御趣旨のとおり、法の趣旨からいっても、手配師というようなものに類するものは、これは違反であることは間違いありません。  それから前段に、総体的にもう少し計画的に沖繩の労働対策に対して、いまいろいろ御指摘がございました雇用の問題、技能士の養成の問題、賃金の不払いの問題、訓練所の実施の問題、もうできているところもありますが、その他賃金のいろいろな問題もありますし、やはり上原議員は現地におって事情をよくお聞きと思いますが、局長の連中に就任当時聞いたのでありますが、沖繩に行ったのか、行きましたというが、遠隔の地でありますから、足らない点のところもありますから、御趣旨に沿って、開発特別措置法ができておるのでありますから、これの趣旨に沿って推進することを大いにやりたいという所存でありますので、これは答弁のためじゃなくて、そういうように指導いたしたいと思います。
  139. 上原康助

    上原分科員 どうも時間が参りましたので、ぜひひとついま申し上げた点を早急に労働省としても進めていただくように要望申し上げて、質問を終わりたいと思います。
  140. 倉成正

  141. 吉田法晴

    吉田分科員 私は、一般緊急失対事業に従事する、あるいは産炭地において緊急就労事業、それから開就、特開といわれておる人たちのことについて質問いたしたいと思うのであります。私が事あらためて申し上げるまでもなく、筑豊を中心にして全国的に石炭事業というものが壊滅的な状態になりました。そして産炭地域において産炭地振興事業が行なわれておりますけれども、それはごく一部、しかも若年の二十歳前後の婦人中心にして軽工業に従事しておるというのが実態であります。失業者は公害と一緒に産炭地域に満ち満ちて、生活の不安はいまも目をおおうものがございます。実際にたくさん従事しておるのは、一生を託するに足る仕事でなしに、失対事業あるいは生活保護、それから緊就、特開、開就というような仕事であります。ところが、その賃金は、一カ月にいたしますと四万五千円から五万五千円ぐらい、一日にいたしますと、これは級地によって違いますけれども、産炭地域の大部分は千二百円そこそこであります。それで一家をまかなっておる。しかも一般失対について、失対打ち切りの意向があるという不安がございます。それから緊就につきましては、四十九年三月という期限がある。あるいは開就、特開等についてはワクの設定があって、ほとんど一年に七・五カ月から八カ月ぐらいしか働くことができないという現状、いわばワクの制限、しかも賃金も先ほど申し上げましたような現状でありますが、この事態に対して、まず一般失対事業あるいは緊就、開就、特開について不安のない措置が講ぜられるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  142. 桑原敬一

    ○桑原政府委員 まず失対事業の賃金の問題でございますけれども、緊急失対法におきまして一応賃金をきめる原則がきまっております。それは民間の類似の作業に従事しておる労働者の賃金を参考にしてきめる、こうなっております。そういうことで、私どもといたしましては、屋外労働者職種別賃金調査という調査を基礎にいたしまして、審議会の意見を十分聞きながらきめてまいっております。四十八年度は一三・二%アップの千四百五十円になっております。そういった原則に従って私どもとしては適正にきめておるつもりでございまして、あくまでもそこの地場賃金等を参考にしてきめておるわけでございます。  それから緊就事業につきましては期限の制限があるというお話でございますが、確かに昭和四十九年三月三十一日で終わることになっておりますけれども、これは三年ごとに閣議決定に基づきましてその期限をきめながら進めてまいっておるわけでございます。本事業の根拠法であります炭鉱離職者臨時措置法上は、この事業は三十九年度以降廃止になっておりまして、閣議決定でやっておる。それは、産炭地における雇用失業情勢が必ずしも好転しておりませんし、その事業に働く失業者の方がまだ相当いらっしゃるということで、この事業を進めているということであります。今後もこの事業をどうするかという問題につきましては、この事業に依存しておる就労者の実態なり、その地域における雇用失業情勢を勘案しながら検討してまいりたいと思います。  それから石炭開就事業あるいは特別開就事業が、産炭地に失業者が滞留いたしておりますので、主として福岡を中心に実施されております。この事業規模の八割を占める割合を福岡のほうで事業を起こしてやっておるわけでございますけれども、石炭開就事業あるいは特別開就事業というのは失対と違いまして、就労保証というのを大前提にするのではなくて、産炭地が非常に疲弊いたしておりますから、この地域を開発いたしまして工業団地等をつくって、そこに企業が来てもらう、そこに雇用事業をつくって失業者を早く安定した職につけるという趣旨の事業でございますから、あくまでも一般の公共事業と組み合わせながらそこに失業者の就労の機会をつくっていこう、こういう制度でございますので、一般失対とその性格を異にいたしております。もちろん、失業者ができるだけ就労の機会ができますように、公共事業の進め方等と時期を合わせながら就労機会を確保していきたい、こういうふうに考えております。ワクにつきましても、特別開就事業のほうは五千というワクでやっておりますが、現在二千名程度でこの事業をやっておりまして、まだワクがございますので、今後こういった種類の失業者が出てまいりました場合には、四十八年度は十分このワクで対処できるのではないか、こういうふうに考えております。
  143. 吉田法晴

    吉田分科員 一般失業対策事業、一般失対と通俗的にいいますが、最近は少し重点が変わりましたけれども、この何年間か関係者の間で失対打ち切り反対という要求といいますかあるいはスローガンをわれわれはたくさん見てまいりました。実際にこの数年、北九州あるいは福岡県下でやられましたことを見ますと、一般失対の打ち切り反対というのが痛切な要求であることは私もわかりました。それは北九州、福岡県下における支度金の支給。ところが実際には、それでは一般失対をやめたけれども就職をしたかというと、そうではないという数字は、おそらくお手元にも参っているだろうと思います。したがって、一般失対打ち切り反対というスローガンを私どもの周辺に見かけるのはもっともだと思うのですが、実は私どもが承知をいたしておりますのは、戦前にはなかった憲法二十七条の「すべて國民は、勤勞の權利を有し、義務を負ふ。」と書いてあるこの条文に基づいて、政府があるいは地方公共団体がそれに協力して仕事の保障をしなければならぬ。そこで制度ができたのだと思います。それにどういう理由があるにしろ、失対を打ち切るという方針は、私は問題があると思う。  それから、仕事をしないということを理由にしてですけれども、運管強化ということで、これはひどいところには監視的な労働あるいは憲法上禁止せられておる強制労働さえやられたような事態を私も知っております。それだけに、過去のことは申しませんけれども、仕事を保障しなければならぬ国の責任上、あるいは一般失対は打ち切るのではないか、あるいは緊就や特開等についても不安がある、期限でもって不安があるというようなことがそのまま許されることではないと考えますだけに、これは労働の基本政策にも関連をいたしますけれども、意見を承りたいと思います。
  144. 桑原敬一

    ○桑原政府委員 失対事業の打ち切りの問題について就労者の方々が心配されているという御質問でございますが、失業対策事業につきましては、昭和四十六年、中高年齢者等の雇用促進に関する法律が制定を見たわけでございまして、従来失対事業で先生おっしゃいますように憲法二十七条の趣旨によって就労の機会を与えてきたわけでございますけれども、この二十数年の実績を見ますと、多年にわたってこの失対に安易に依存をされて、ほんとうの意味の通常雇用に復帰していくという形が必ずしも見られません。したがって、最近の雇用情勢の好転の中において、今後の失業対策制度の本来の姿というものは、やはりこういった安易に事業に依存するという形ではなくて、中高年齢特別措置法の示しますように、一定期間手当を差し上げながら訓練をし、あるいは職業指導をしながら技能を身につけ、あるいは職場に適応できるような能力を身につけさせながら、すみやかに安定した職場につけていく、こういう方式がいいのではないかということで、全会一致でこの法律が四十六年に制定を見たわけでございます。したがって、その時期に、失対については新規に流入させない、新規に失業者が出ました場合には、いま申し上げました中高年齢の特別措置法によって訓練その他をやっていく、こういう仕組みに変えたわけでございます。したがって、現在失業対策事業に十三万人近くの方が働いておられますけれども、当面この方たちは直ちに民間の一般雇用につくということはむずかしゅうございますので、当分失対に働いていただくということでございます。特に失対からこういう十三万の方々を追い出すという気持ちはございません。もちろん安易にこの事業に就労していただくわけにはいきませんので、やはり事業でありますから、事業効果の高い仕事をしていただくということと同時に、できるだけ訓練その他の措置を講じまして、まだ就職可能な方は積極的に一般の雇用についていただく、こういうような措置を現在講じているわけでございまして、むしろ、私どもといたしましては、この中高年齢者等の特別措置法によって積極的に一般の雇用につけるということが、まさに憲法二十七条の趣旨に沿うのではないか、こういうふうに思いますし、また一方、いま失対に働いておられる方につきましては、失対をなくして追い出すというような形はとっておりません。そういうふうに御理解いただきたいと思います。
  145. 吉田法晴

    吉田分科員 一般的にはわかりますけれども、産炭地域においては、先ほど申し上げましたように、一生を託するに足る仕事がほとんどない。これは市に働くとか町村に働くというのは別問題。炭鉱がなくなりましたから、それにかわるべき事業がない。そこで、一般失対あるいは緊就、特開、それから開就等に従事しておる者が大部分。そうでなければ、マイクロバスにゆられながら朝早く暗いうちから出かけていって暗くなって帰ってくる、あとには子供が放置されているというような北九州への出かせぎや通勤の困難な出かせぎがあるだけです。そこで、一般失対といえども、あるいは緊就、特開といえども、産炭地域においてはこれは有力な仕事になっている。それに不安を与えてはいかぬではないかということを申し上げて、一般失対についても打ち切るようなことは、あるいは緊就について期限があるからというようなことで打ち切るというようなことはなさらぬでしょうねと申し上げた。それは情勢が続く限りはそういうことはいたしませんというお話でございましたが、これはひとつ労働大臣、現地の実情をよく御存じないと思いますけれども、しかし、私が一部、ほんの一部分ですけれども、申し上げました。産炭地といえども、あるいは「すべて國民は、」と憲法に書いてありますように、国民の中の相当部分あるいはこれは福岡、佐賀、長崎、最近でいえば北海道あるいは常磐に及んでおりますが、産炭地域の住民、国民の相当な部分について不安をあらしめてはならぬ、仕事を保障することは政府が責任をもっていたします、実際にその仕事が保障されるまでは、一般失対なりあるいは緊就、特開等を通じても生活の上には不安なからしめますという言明が労働大臣としてできますかどうか、はっきりお答えを願いたい。
  146. 桑原敬一

    ○桑原政府委員 ちょっと事務的に補足を申し上げますと、先ほど申し上げましたように、それぞれ三事業とも仕組みが違うわけでございまして、一律に扱えない問題でございます。  一般失対につきましては、先ほど申し上げましたように新規の方は入りませんけれども、現在働いている方につきましては引き続き失対に働いていただく、こういうたてまえになっております。  それから緊急就労事業でございます。これは石炭離職者が対象になっておりますけれども、四十九年三月末までこの事業はやる。したがって本年度一ぱいはやる、こういうふうになっております。この問題については、先ほど申し上げましたように、今後のいろいろな事情を勘案して検討すべき問題である、こういうふうに申し上げております。  それから石炭開就につきましては、石炭の合理化との関連がございますから、それとの関連でこの問題は検討していかなければならぬ問題である。それから特別開就事業につきましては、先ほど申し上げましたように、中高年法に伴う関連の事業でございますので、この制度との関連において今後も引き続き特定地域において依然として失業状態がありますればこの事業は続いていく性格のものである、こういうふうに考えております。
  147. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 いま桑原失対部長からいろいろ御説明いたしましたとおり、四十六年度に中高年雇用促進法の附則で緊急失業対策法の改正が行なわれました。しかし、これは決して打り切りではありません。今後新しく入れない、こういうことであることは、これはもう間違いありませんが、しからばいろいろ雇用関係がうまくいくかといいますと、多少のネックはありますが、今後民間事業なり特別地区の開発就労事業などの方面に振り向ける、こういうような面から雇用促進をしていきたい、こう思っております。
  148. 吉田法晴

    吉田分科員 労働大臣にお願いをしたのは、産炭地域の炭鉱から排出された労働者、炭鉱がなくなって仕事がなくなった国民、それには労働省が責任をもって仕事を保障します、一生を託するに足る仕事ができるまでは一般失対なりあるいは緊就なり開就なり、名目は違うけれども、方法は違うけれども、その生活については保障をいたします、こういう明言がいただけますかと、こう伺ったのです。
  149. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 御指摘のとおり、いろいろな困難な問題がありますが、これに対しまして熱意をもって、いろいろこれは完全雇用の問題にいくように、特に労働省は、就職先がない、そうして困る、こういうようなことに対しましては、法の許す範囲内で救済措置も講じますし、熱意をもって対処いたします。
  150. 吉田法晴

    吉田分科員 私は法のたてまえは一通り知っているつもりであります。したがって、緊急失対事業法、それから緊就、特開あるいは石炭開就と言われた、それぞれの法律も知っておるつもりであります。ところが実際には、緊就、開就あるいは特開等の事業費単価の中に賃金がこれは盛ってあります。予定をされております。その内容は、三省協定ということで、平均賃金単価として織り込まれておる。それがことし上がるはずでございますけれども、実際には二千二、三百円、四十七年まではそうだったと理解しております。実際の仕事は、一般失対あるいは緊就、特開といえども、形はあるいは公共事業であるとか、あるいは請負であるとか、法律的な形態は違いますけれども、実際にしている仕事は、あるいは道路を舗装したり、あるいは学校の校庭をならしたり、あるいはブロック積みをしたり、これは仕事はあまり変わりません。そうして、かつては、さっき安易な失対の滞留と言われましたけれども、田川の市町村長は、田川の道路やあるいは公共事業、学校の校庭やあるいはいろいろな仕事をしていきます上に、筑豊地方では、失対事業の持っております重要性、社会性は高くて、不可欠なものになっております、こういうことが各市町村長から言われております。そして、この田川地帯における、産炭地域における失対事業の意義の重要性を知りますだけに、そしてまた、りっぱな仕事がなされておりますだけに、その賃金給与の点についても、あるいは一般失対について一律五百円アップ、あるいは級地の引き上げ等について、市町村長名あるいは市町村の議会の名前で要望を出してきております。こういう要望に対してどう考えられるかということを次にお尋ねしたいところでありますが、つけ加えて申し上げますと、先ほど言われますように、その地方における同様な仕事をしている人の平均賃金をとってきめるたてまえになっていることも知っております。しかし、私は公務員の地域給の問題を手がけたことがありますけれども、統計のとり方によっては、これは差もできます。たとえば東京、大阪に比べて北九州、福岡というものが低いという数字が初め出ました。詳細に点検をして、購買会やあるいは配給所等の物価調査等を除きますと、東京、大阪に違わない数字が出てまいります。数字のとり方にもよりますが……。そこまで踏み込んで親切に指導されるならば、人間ですから、公務員について差別があるべきではないように、あるいは一般失対についても、あるいは緊就、特開といわれるような人たちについても、人間的な、人間が生きる権利として、あるいは憲法にも保障されておる国民に対する生活の保障、健康にして文化的な生活の保障の精神からいっても、私は、級地をなくすための努力あるいは陳情というのは当然だと思うのです。これらの点について具体的には産炭地の市町村長から要請をいたしておりますが、一般失対の賃金の値上げあるいは級地の引き上げの要望に対して、どのように考えられるか、承りたい。
  151. 桑原敬一

    ○桑原政府委員 失対賃金が、同じような仕事をしておって、他の石炭開就等の事業の賃金と非常に隔たりがあるのではないかという御指摘と、もう一つ地域格差の問題でございます。  第一の問題は、先ほど申し上げましたように、制度の仕組みが非常に違っておりまして、失対事業は賃金原則がきまっておりまして、平たく言えば、地場賃金を考慮してきめていく、こういうふうになっております。したがって、そういったことできまってまいりますわけですけれども、事業の内容なりあるいは就労者の構成というものもやはり当然に勘案して比較しませんと、一がいに比較はむずかしいのではないかと思います。御承知のように、失対につきましては非常に高齢化されておりますし、しかも女子が多くなってきておる、あるいは事業そのものに、まあ能率が三分の一程度でよろしいというような事業運営の方針も出ておりますので、そういったことから勘案いたしますと、決して失対賃金が低くきめられているというふうには私どもは考えておりません。ただ、御指摘のように、失対事業の賃金を作業内容なりそういった応能性できめていきます場合に、賃金の展開自体が、高度の仕事をする人には高い賃金を払えというような御希望が最近非常に強くなっておりまして、その辺はもう少し就労者の実態を十分に見きわめながらこの賃金の展開については考えなければならない、こういうふうに思っております。  第二の地域格差の問題でございますけれども、先ほど申し上げました賃金原則に基づくわけでございまして、現在の私どものデータによりますと、やはり東京、大阪等から比べますと、もう産炭地は失業者が滞留しておりまして、そこの需要関係が非常に労働過剰というような形になっております関係上、賃金がやはり六大都市等から比べますと格差があるということで、先ほどの賃金原則に従っておのずからその格差が出てまいるわけであります。ただ、賃金研究会等の諸先生方も、全体的には地域格差というのは縮小すべき方向にやはり持っていくべきではないかというような御意見もございますので、逐年この地域格差の解消には努力をいたしてきているようなわけでございます。
  152. 吉田法晴

    吉田分科員 時間がございませんので、この統計と、それから地場賃金との比較問題、そのとり方等について詳細に論議をすることができませんが、一般的にいま申し上げておきますけれども、実際にしている仕事、いま言われるような、年齢構成が高い、あるいは女子が多い。女子が多いのも事実です。遠くに行ける者は行っておりますから、残された高齢者、中高年層、それから女子が多いことも、これは事実でしょう。しかし、仕事はそれほど変わっておりません。公共事業の仕事内容あるいは仕事の完成ぐあい等を写真で見られてもおわかりになると思いますが、そこで、とにかく基本的な人間的な考え、人間主張、人権的な、一人一人の値打ちというものあるいは生活が差別があっていいとは思いませんし、またその主張が、一般失対賃金についても、あるいは開就、緊就、特開等についてもございます。それから失対事業についても、産炭地域あるいは同和地域については特別だといわれておりますが、これは社会福祉制度として老齢者の生活保障というなら別問題です。そうでなければ、その仕事の保障をすることが憲法上の責任ならば、働いてからのこの賃金は、同じ仕事をするについては、同一労働同一賃金の主張がされるのは当然だという意味において、地域格差の解消も含んで要望をいたしておきます。  最後にお願いをしたいのは、これは労働大臣おわかりいただけるかどうかわかりませんけれども、私は、日本の低賃金の一番大きな原因は、こういう同じ仕事についての差別された賃金が支給される、あるいは都会でいいましても、あるいは工場でいいましても、一般労働者と下請、孫請というような形での労働構造あるいは賃金構造というものが、日本の賃金を一般的に低くしている一番大きな原因です。そして、いろいろ言われますけれども、円の再切り上げ問題について、通貨問題について国際的にいわれておりますのは、私は、日本の低賃金、低給与というものが論議をされていると思います。それは戦前は、ILOの場で、その当時の日本の中心的な産業であった繊維産業についていわれました。場所はILO。いまは蔵相会議だとか、あるいはIMFだとかいう通貨問題で論議されておりますけれども、しかし実変わっていないものは、日本の賃金構造あるいは賃金水準、給与の水準だと思うのですが、その一番大きな原因はこの点にあると思いますだけに、それを変革するだけの、なくするための努力は労働省としては当然やられなければならぬと思うのです。これは日本の労働問題あるいは労働政策の中で一番大きな問題だと思うのですが、それについてどうお考えになられるかというのが一つ。  それからもう一つ、先ほど申しましたように、六千人以上、一万をこすと思いますが、産炭地域から、筑豊地帯から北九州なり他に出ている。これは朝早くからマイクロバスにゆられながら出かけている。その行っているところは、いま申しました下請、孫請ですね。そしてそこにおける賃金の低さというものが、一般の労働者あるいは公務員を含めまして日本の賃金水準を下げている大きな原因です。ですが、それについて、そのマイクロバスにゆられて運ばれているのは、何々会社と書いてあるバスであります。これは、職安局長も来ておられますけれども、職安局長に関連をいたしますが、直接世話する者があってその会社に使われている。窓口会社窓口、ところが連れていく人間が違う。こういう形で実際に職安法がくずれている。その職安法のくずれと、この下請、孫請、そして差別賃金、これは日本全体の賃金の低さというものが関連があります。あるだけに、私は労働問題の一番大きな問題だと考えますが、その解消のためにどういうぐあいに考えられますか、承りたい。
  153. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 日本の円の力がついたその最大の要素は、日本の低賃金である、こういうような御意見もありますことは、もう十分聞いております。先般来からの予算委員会でも、総理とのいろいろ問答の中にも出ておりますが、従来、何十年前には相当低賃金であったことは間違いありませんが、最近の上昇率は、これはもう世界でも最大のものであります。いろいろな統計などにも触れられましたが、いろいろな統計を見ましても、イタリアを抜き、いまやフランスと同様、イギリスに迫っているということでありますし、この賃金問題はやはり国の形成の最重要な問題で、やはり労働者がこの問題に対しましては大いに協調して、経済の成長に見合った賃金問題も——やはり賃上げする場合は大いに賃上げしなくちゃならぬ。これは国民的、経済的見地に立って労働省といたしましてはこれが指導に当たります。  いまの下請の問題、筑豊地方の問題、孫請の問題、かような問題も、吉田さんはもう北九州市長をなさり、参議院をいたしまして、県下を回りまして専門家でありますので、御指摘のことがこれはいろいろあるとも思われますが、この問題は政府委員から御答弁をさせます。
  154. 道正邦彦

    道正政府委員 御指摘のように、職業紹介に関連いたしまして、労基法をはじめ法律違反の事実がないといえないと私も思います。そういう点がまた賃金問題に関連するということも、御指摘のとおりと考えられます。つきましては、先ほど来大臣あるいは失対部長からお答えいたしておりますとおり、雇用の安定という観点でいろいろやるべきことがあると思いますので、その中の重要な項目の一つとして、法律違反を万々犯すことのないように、今後とも努力をしてまいります。
  155. 倉成正

    倉成主査 新井彬之君。
  156. 新井彬之

    新井分科員 私は、職業安定所の統廃合の問題につきまして若干の質問をいたしたいと思います。  田中総理が、ビジョンだか個人の見解かその辺はっきりしてないのですが、日本列島改造論というのを発表いたしましたが、労働大臣も、昭和六十年の経済状況、それは全く日本列島改造論のようになるというようにお思いになりますか。
  157. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 これは労働大臣といたしましてはなかなか御返答がしにくい。いろいろな影響するところがあります。微妙な点でありますので、なかなかこれは——いろいろ所管外の点もありますし、やはり国土総合開発という見地から、政府の方針としてやっておることは間違いありませんが、これにはいろいろな立場で、いろいろ今後の推移を見なくては、私といたしましてこれに対して確たる御答弁がしかねると思います。
  158. 新井彬之

    新井分科員 私の言っているのは、全般的なそういう問題はございますけれども、要するに労働省として、そういうような推移でいった場合に、労働省所管の分については全うすることができるかということを聞いているわけです。
  159. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 この点は、あの国土総合開発を作成するときから、前大臣も参加いたしまして、労働省の立場として、地域格差の問題、また工場の再配置の問題、出かせぎ、並びに、私の県のことを申して失礼ですが、地方から都会へ行く、これはやはりいろいろなネックの問題がある。このごろはUターンというようなことばがはやりまして、工業再配置の問題、賃金の格差をなくする、そしていろいろな公害問題の解消、こういう見地から、労働省といたしましては、大いに賛成の点があります。全体のことにつきましては、所管外でありますので、意見もありますが、差し控えたいと思います。
  160. 新井彬之

    新井分科員 いま賃金格差ということが答弁に出ましたが、賃金格差をなくするためには、第一次産業から第二次産業、第二次産業から第三次産業ということで、今後そういう一つの労働人口の移動ということがいわれておるわけです。そこで、その労働人口を今後確保するためにはどのように考えているかということをお伺いします。
  161. 道正邦彦

    道正政府委員 本年の二月に決定を見ました経済社会基本計画におきましては、五十二年度におきます就業構造の見込みを立てておるわけでございますが、先ほど来御指摘のように、就業構造はいままでと非常に大きく変わってくると思います。特にその著しい事実は、三次産業が五一%、要するに半数以上になるというようなことでございます。反面、一次産業は一〇%程度に下がってくる。これはわが国の就業構造としては非常に大きな変化だと思います。そういう変化を踏まえまして今後職安行政をどういうふうに進めていくか、これは非常にむずかしいいろいろの問題があると思います。この点につきましては、第二次の雇用対策基本計画、これも閣議決定になっておりまして、いろいろ内容が盛られておるわけでございますが、何と申しましても、今後の多様化する求人求職者の要望に沿い、かつ激変する就業、職業構造に対処していくためには、いままでとは違った新しいくふうが必要かと存じます。われわれといたしましてはいろいろやっておるわけでございますが、一、二御紹介申し上げますならば、昭和四十年以降大型の電子計算機とデータの伝送装置を中核どいたしましたいわゆるIDPシステムというのを実施いたしておりまして、職業紹介、雇用情報の紹介、失業保険業務の機械化というようなことをやり、サービスの充実につとめているということ、それから特に四十四年以降は、求人、求職の照合を即時行なうというような、いわゆるリアルタイム方式というのも導入いたしまして、逐年地域の拡大をはかってやっております。それから、そのほか、いままでは求人、求職を結合いたします場合に、一つ一つこう出しながらやっていたわけでございますが、そういうことはけっこうだ、どんな求人があり、どんな求職があったかということを見せてもらいたいというような意識の変化もございますので、そういう方々に対しましては、求人、求職公開制度も実施いたしております。そのほか、テレホンサービスとか、ディスプレー装置であるとか、われわれとしてはいろいろ検討して、可能な限り新しい時代に対応した業務の刷新をはかっておるつもりでございます。
  162. 新井彬之

    新井分科員 ただいま答弁がございましたが、職業安定所というものは今後非常に大事な役割りがますます出てくるのではないかということを思うわけでございます。  そこで、四十六年度を初年度といたしまして五カ年計画で職業安定所の統廃合という問題が出ておるわけでございますが、その問題について、そういう経緯について御説明を願いたいと思います。
  163. 道正邦彦

    道正政府委員 職業安定所の統廃合につきましては、四十五年十一月の閣議決定に基づきまして実施いたしておるのでございますが、これは職業安定所だけでございませんで、政府全体の方針としてきまったわけでございますが、その一部として私ども職安について実施しておるわけでございます。それはまあいろいろ理由はございますけれども、たとえば交通機関等が著しく発達いたしまして、いままででしたら何時間もかかっておったところが簡単に行けるとか、いろいろ人の動きというようなものも変わってきております。いままで忙しかった仕事がひまになったり、いろいろ逆な場合もあるわけでございます。そういうことで事情が変わってきておりますので、そういう変化に即応して安定所あり方も再検討したらどうとかいうことで、一定の計画に基づきまして統廃合を行なってきておるわけでございます。
  164. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 いま安定局長からお話がありましたとおり、もうこれはただ労働省の問題だけでなく、地方支部局の整理、再編成、これは四十五年に閣議で決定いたしたのでございます。いま実施中でありますが、先ほど新井議員から御指摘のように、前段に国土総合開発の経緯と工場の再配置の問題、いろいろ労働行政の問題から、情勢も変わったんじゃないか、こういうような感じを私最初御質問のときから感じたのでありますが、いまの段階で朝令暮改式に労働省だけが無理を言うというわけにも、これはもう実施の段階でありますので、なかなかむずかしい問題がありますが、要は、何といっても労働行政は親切に地方住民の声を取り入れて、そうして就職の問題を不安のないようにする、こういう見地から、いろいろ知事の意見も聞くとか、いろいろ検討いたしておりますが、いまのように全国で何カ所はいたし方ないという関係にあることだけは、これは御承知していただけると思いますが、最終的にいろいろどうするか。たぶん、これは私の推測でははなはだ申しわけないのでありますが、飾磨の問題をどうするのか……
  165. 新井彬之

    新井分科員 それは聞いてない。
  166. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 これは取り消しいたします。こういうようないろいろな問題に対しましても、いま言ったような地方住民の意思を大いに考えて考慮いたしておる段階であります。
  167. 新井彬之

    新井分科員 地域住民の声を聞くと言われましたね。それから知事の声も聞くと言われましたね。一言で、聞くか聞かないか、はっきり言ってください。大臣でけっこうです。——大臣に聞いているのです。
  168. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 お聞きすることは間違いありません。聞いたから必ずしもそのとおり実行する、こういうことはいろいろな関係でなかなか困難なこともありますが、地方住民の声も大いに聞く、知事の御意見も大いに聞く、こういうことだけは間違いありません。
  169. 新井彬之

    新井分科員 地方住民の声を聞く、それから知事の声を聞くけれども、やることとは関係ないというのはさっぱりわからないんですが、それはやはり、聞くということは、実行が伴うということが当然なくちゃいけないと思います。いまも大臣から答弁がありましたが、この国家公務員の定員削減という問題でございますけれども、それは全体の立場に立ちましてやられるということもわからないわけではありません。しかし、先ほどもお話ししましたように、これからの労働人口、これは非常に大事なときを迎えている。そういうときにおいて、サービス機関であるところのそういう職業安定所をなくすというような問題については、これはやはりやらなければいけない面と、やってはならない面、もっと充実しなければいけない面というのが当然出てくると思うのですね。それを全体的に労働省の割り当てがこれだけだから、これはなくさなければいけないという考え方、これでは、地域住民の声を聞くといっても、あるいは知事の声を聞くといっても、聞けないのじゃないかと思うわけです。  そこで、一つの例をあげますと、姫路市内の飾磨の職業安定所が今回なくなるというようなことを聞いておるのでございますけれども、いままでの利用状況、そうしてまた、統廃合することによって何、がプラスがあるのだということについて、またマイナス面はどういうぐあいになっているか、お聞かせ願いたいと思います。
  170. 道正邦彦

    道正政府委員 利用状況、いろいろ指標があろうかと思いますが、四十五年度、四十六年度の二カ年にわたりまして、たとえば新規の一般求職の申し込み、求人の申し込み、こういう数字を御参考までに申し上げたいと存じます。  飾磨の安定所の四十五年度の新規の一般求職の申し込み件数は四千七百人、四十六年度五千四百十三人でございます。また、新規の一般の求人は二万四千二百五十三、四十六年度は一万五千四百七十八でございます。  いろいろございますが、一、二申し上げました。
  171. 新井彬之

    新井分科員 いま説明がございましたけれども、ここの飾磨の職業安定所は、非常に姫路市におきましても大事なところでございまして、いまの状況からいけば廃止すべきでない、このように考えるわけでございます。そういうことで、地域の住民の方もいろいろとこの件については非常に心配をされておる。いま労働大臣は、地域の方の御意見はよく聞くと言われましたけれども、どのような状態で聞かれておるのか、説明を願いたいと思います。   〔主査退席、三ツ林主査代理着席〕
  172. 道正邦彦

    道正政府委員 御承知のように、職業安定法施行規則第六条に「労働大臣は、公共職業安定所の位置、名称、管轄区域及び事務取扱の範囲を定めるときは、都道府県知事の意見を聞くものとする。」という規定がございます。私どもこの規定に従って仕事をするわけでございますが、確かに知事さんの意見を聞くわけでございますけれども、知事さんの話を聞くかわりに、たとえば部長さんを通じて話を聞くとか、あるいは担当の課長を通じて意向を確かめるということは、現実の問題として行なわれていることでございまするし、それでは聞いたことにならぬじゃないかということには必ずしもならぬだろうというふうに考えるわけでございます。  ただ、安定所の統廃合等につきましては、非常にデリケートな問題でございますので、あまり大っぴらにどうだどうだというふうに前々から聞くのが適当かどうが、いろいろ問題がございます。いろいろデータを比較いたしまして、このケース、このケースということで、どこを選ぶかについては、最終的に私どものほうである程度しぼりまして、しかも非常にデリケートでございますので、内々に県の意向を確かめるということも、実際問題として行政上必要になってくることも御理解いただけるかと思います。そういう意味で、私どものほうといたしましては、この問題は、兵庫県に限らず、各県とも、担当の課長を通じまして知事さんの意向を聞くということで手続を進めてきておるということを御理解いただきたいと思います。
  173. 新井彬之

    新井分科員 担当の課長を通じて聞くというように言われておりますけれども、この件については私もいろいろとお伺いをしたわけでございます。そっちへはどのようにお話がいっているかわかりませんけれども、とにかく兵庫県として知ったのが、一月十七日の西幡所長会議で、県の安定所会議か何かで初めて知ったと思うのですけれども、そういう状態で知っております。知事は正式には知らないということで私は聞いておるわけでございます。  地元との話し合いについても、何も話し合いはついていない。そういうことで地元の方々も一体どこへ何を言ったらいいのかということで、現在、労働大臣のところにもだいぶ陳情等がきておると思いますが、そういうことで地域住民の方々が非常に心配をする、そしてまた、これからまた発展をしていかなければならない地域において大事なことだからというのに、そういう話し合いをしないで一方的に決定をする——まあ決定をしたわけじゃないと思いますけれども、そういうことをするということは、大きな問題だと思うのです。  職業安定所というのは一体だれのためにあるのか、安定局長、これを答えてください。
  174. 道正邦彦

    道正政府委員 職業安定所は、もちろん、求人者あるいは求職者、要するに、一般的に申せば国民に対するサービスをするために置かれていることは、もう申し上げるまでもないと存じます。
  175. 新井彬之

    新井分科員 そういうぐあいに口では言いながら、実際にはそういうぐあいにやっておりません。さっき職業安定法施行規則第六条二項を引かれまして、「労働大臣は、公共職業安定所の位置、名称、管轄区域及び事務取扱の範囲を定めるときは、都道府県知事及び中央職業安定審議会の意見を聞くものとする。」こういうぐあいに法律を出されましたけれども、知事自体がそのことを知らないで、そして労働大臣に対して要望書を出しているわけですね。ここでちょっと読んでみますけれども、   飾磨公共職業安定所の存続について(要望)謹啓 貴台いよいよご健勝のこととおよろこび申し上げます。   平素から本県の労働行政の進展につきましては、多大のご指導、ご援助を賜わり、また、新年度の労働諸施策につきましても、これまた特段のご配慮をねがいつゝありますことにつきまして、ここに衷心より感謝申し上げます。   さて、新年度計画におきまして、本県の飾磨公共職業安定所が統廃合職業安定所として挙げられているやにそく聞いたしますが、同職業安定所は、神戸港とともに特定重要港湾である姫路港を中心として、播磨臨海工業地帯の労働市場を担って三十年その使命を果たしてまいりました。   当地域は新日鉄をはじめとする多くの鉄鋼会社、発電所、石油精製工場、マッチ産業、製鎖、ナット業種等々、日本産業のほとんどの業  種が活動しており、本県としても目下鋭意埋立工事を実施中であり、数年後の同地帯が一大工業地として、また港湾労働対策の面からしても、職安機能の一層の充実を望まれる地域にあることは、論をまたないところであります。   一方町村合併前の旧姫路市の商業地域、旧飾磨市の工業、港湾地域等からする住民感情、或はサービス行政の十全を期するうえからみた住民福祉と利便等からしましてもその重要性は欠かせないものと思料せられるのであります。   かかる事情を充分ご賢察のうえ、同職業安定所の存続について、何分のご配慮を賜わりますよう要望いたす次第でございます。こういうぐあいに要望書が出ているわけでございます。  そして実際問題として、ここに課長に聞けとは書いてありません。知事に聞けとはっきりうたってあるんです。それをなぜ課長に聞くんですか。法律の解釈を一ぺん言ってください。
  176. 道正邦彦

    道正政府委員 私どもの場合でも労働大臣の指揮を受けて仕事をするわけでございますけれども、大臣にかわりまして、大臣の意向を受けていろいろ仕事をする場面があるということは、これは御理解いただけると存じます。同じように、県庁の場合の課長あるいは部長におきましても、もちろん事の軽重その他によりますけれども、全部が全部一々私どもが直接知事さんにお目にかかって意見を聞かなければ知事の意見を聞いたことにならないということではないというふうに思いますので、まあこの件につきまして私どもの手続が十分であったかどうかということにつきましては、あるいはおしかりを受けるような点があろうかと存じますけれども、一般論としてお返事申し上げますれば、そういうことも御理解いただけると存じます。
  177. 新井彬之

    新井分科員 いまのは重大発言ですよ。労働大臣の代理でわれわれは何でもやります、あるいはまた、県の仕事であれば課長だとか部長の責任でやります。その場合に、よしんば県知事が知らないで、そうしてかってにやっていることがあった場合にもそういうことをやるということですか。事実そうなっているんですよ。
  178. 道正邦彦

    道正政府委員 私どもといたしましては、一般論として先ほどお答えしたふうに考えるわけでございますけれども、先生指摘のように、この件につきまして兵庫県の知事さんと安定課長との間に連絡がなく、知事さんの意向、が課長の意見として反映されておらないというのが現実でありますならば、私どもさっそく調査いたしまして、知事さんの御意向をあらためて伺うという手続をとりたいと思います。
  179. 新井彬之

    新井分科員 それじゃ知事はそのときに了解だということを言ったわけですか。どういうぐあいに了解しているんですか。
  180. 道正邦彦

    道正政府委員 これは兵庫県に限りませんで、私どもとして非常につらいことを地方に話しかけるわけでございまして、いや、もうよござんす、統廃合いたしましょうという県は実は一県もないわけでございます。しかし、いろいろデータを示しまして、全国的に見て組織の統廃合ということを行なうという方針が曲げられない限り、君の県のこういうところになるんだけれどもどうだろうかということで話をするわけでございます。そういうときに、まあ、そういうことであればやむを得ないというふうに了承してくれることをわれわれとしては期待しながら話をするわけでございます。
  181. 新井彬之

    新井分科員 どっちにしましても、これは大臣にこの件について聞いておきますけれども、正式な書類できちんとそういう大事なことは問い合わす、そうして正式にはやっぱり文書でもって返事をもらう、それがこの法律に書かれてある条文をきちっと順守したことになるのじゃないかと私は思います。いまのような、電話一本で課長から聞いて、そしてどういうぐあいになっているかということで、こういう大事な問題がやられているということ自体、が——私は、もう一度この問題は白紙に戻しまして、そして地域の住民の方あるいはまた知事、そういう方々に話をして、やはり筋の通った話であれば、だれも反対する者はないと思います。やはりそれ相応に、その地域で必要とするたくさんの方がおればこそ、こういう問題についても、みんながやはり——職業安定所というのは私たちのためにせっかくつくってくれているのだ、それを自分たちが活用して、そしてその本来の自分たちの仕事、豊かな生活を築こうということでやっておるわけでございます。しかもこの地域におきましては、たくさんの陳情書も来ておると思いますけれども、山陽特殊製鋼をはじめとしまして、あと十六社の会社からも、この職業安定所がなくなるということは非常に困るということで来ておるわけであります。私は、この職業安定所がなぜなくなるんだということをお伺いしたときに、非常に距離が近い——実際問題、私もあの地域によくバスなんかに乗る場合がありますけれども、七分で来れるといいますけれども、それは電車に乗って駅まで七分かかるということでございまして、そこまで行くのにバスに乗らなきゃなかなか行けない。長いときには一時間以上かかるわけです。そういうことで、とにかく、バスだって昼間は一時間に一本しか出ていません。そういうような状態の中でそういうものをなくして、そしてみんなのためになっているのだ、こんな考えがあるなら、これはやはりおやめになったほうがよろしかろうと思うわけでございます。そういうことで、どうかこの問題については、大臣は、先ほども答弁がございましたけれども、ほんとうに地域住民のために、国民のために、また知事の意見も聞く、こういうぐあいに力強く御発言になられましたけれども、もう一度その点について御決意のほどをお伺いしておきたいと思います。
  182. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 いま職安局長が知事の問題でちょっと舌足らずのようなあれでありますが、労働省においては、私がちょっとお聞きにならないところまで申し上げたように、いろいろな要望書などが来たときには、さっそく私の手元に——あなたの読まれたものは、これは一番に来たのであります。それから今度のことはいろいろ実は心配いたしておるのであります。閣議で決定したのを、これはまあこの席でお答え——全部の気持ち、私の心中までも申し上げることは、いろいろな関係で、ほんとうは個人加藤としてはという気持ちはあるのでありますが、いろいろ申し上げにくい点もあります。特に飾磨のほうは、私は、ほかの大臣と比べて、いろいろな関係で十何回行ったので、地理はよく知っていますが、近いようでいろいろな御不便がありますし、また特殊な関係もあります。こういうこともよく考慮いたしまして、いま新井分科員からおっしゃったように、地域の住民の声も聞きますし、知事にもできれば私直接お会いするかもわかりません。いろいろな点を考慮いたしまして、いま慎重に検討したい。ここで私の気持ちをこれはちょっとなかなか申し上げにくい点も御了察願いまして、ひとつよろしくお願いいたします。
  183. 新井彬之

    新井分科員 最後に。大臣気持ちよくわかります。ほんとうに国民のためにやっていただくということで、どうかひとつよく事情を聞きまして、最終的には地域方々が安心してちゃんとできるようにお願いしたいと思います。  ありがとうございました。
  184. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林主査代理 芳賀貢君。
  185. 芳賀貢

    芳賀分科員 加藤労働大臣に対して、三つの問題についてお尋ねをいたします。時間が限定されておるので、あらかじめ問題点を申し上げておきます。  第一は、林業労働者の職業病である白ろう病の根本対策について、労働省としてはどのような熱意をもって、これに取り組んでおるかという問題です。  第二点は、国の公共企業体である林野庁のいわゆる国有林の基幹労働者の中で、定員外の職員が相当数おるわけであります。内容を申しますと、季節的な定期作業員がおおよそ二万名ですね。それから日給制の常用作業員が一万七千名ということになっておるわけですが、この中で、特に定期作業員といわれる基幹労働者雇用の安定あるいは身分の保障等の問題について、多年の懸案でありますけれども、これをどのように労働省として処置されるかという点ですね。  第三点は、これは昭和四十五年十一月二十日の閣議決定に基づくあれでありますが、政府行政機構の簡素化、統廃合の問題につきまして、特にその中の労働省所管の公共職業安定所の出張所等に対する五カ年間の統廃合計画というものに関連して、実際どのような実情に即した運営をするのか。  この三点をお尋ねするわけですが、第一点の白ろう病の根絶対策というものは、どの程度まで進行しておるか、その点をお尋ねいたします。
  186. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 もう芳賀分科員とは私ども多年にわたり御懇意な関係上、私からさっそくこれは御答弁をするべきだ、こういうことでありますけれども、とりあえず政府委員からよく話をさせまして、そしてよく——私もまだ就任いたしまして、ほかの方にはかようなことは申しませんが、この問あたりから白ろう病の問題で全国の代表者が来まして、私も聞きましたが、まず政府委員から答弁させて、あとで総合的に私の意見も、率直な思ったとおりの意見を芳賀分科員に申し上げたいと思います。
  187. 渡邊健二

    ○渡邊(健)政府委員 林業労働者等に対します白ろう病につきましては、チェーンソーなどの使用の増加とともに、そういうものがふえておりますこと、私どもまことに遺憾に考えておるところでございまして、こういう職業性疾病を予防するために種々努力をいたしておるところでございますが、先生御承知のように、私どもの指導といたしましては、昭和四十五年に「チェーンソー使用に伴う振動障害の予防について」という通達を全国に出しまして、チェーンソーの選定等については防振装置のついたチェーンソーをなるべく使用するように、あるいはそれの整備あるいはそれの操作上の注意、さらにはチェーンソーの操作時間については一日二時間以内に制限するというようなこと、あるいはチェーンソーを使用する労働者に対して健康診断を行なわしめることとし、その健康診断項目についても指示するというようなことで、チェーンソー等を使う労働者が白ろう病等にかかることのないように、極力指導をいたしておるところでございます。  おおむねこれらの線に沿って実際の作業をしていただけば、白ろう病にかかられる方は生じないものと考えておりますが、なお、なかなかそれが徹底いたしませんで、そういう病気が引き続き出ておりますことは、まことに残念なことでございます。しかしなお、白ろう病とチェーンソーとの関係につきましては、医学的にもまだまだ解明されなければならない問題等も出ておりますので、それらについては専門家にいろいろさらに御検討を願っておるところでございまして、そういう結果を見まして、さらに一そう有効な予防方法等が出ましたならば、それによって現在の通牒にさらにつけ加えまして一そう有効な指導もいたし、そのような職業性疾患の絶滅を期するように今後とも努力をしてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  188. 芳賀貢

    芳賀分科員 いま局長の言われた、基準局長通達等についても承知しておるわけですが、これは一片の通達であって、内容は単なる行政指導にすぎないわけですね。ですから、ないよりはましですけれども、どれだけ実効があがってくるかということになると、これは幾多の問題があるわけです。特に国有林関係については労働省の直接の所管ではありませんが、この白ろう病の原因をなす振動作業機械のチェーンソーあるいは刈り払い機ですが、国有林の場合はチェーンソーが現在六千台使用されておる。刈り払い機の場合は一万四百台ということになっておるが、民有林関係については正確な台数等が把握できないような状態なわけです。しかし、おおよそチェーンソーについては、民有林は国有林の約二十倍のチェーンソーが使用されておる。刈り払い機については国有林の十一倍の台教が使用されておるということになるわけでありますからして、この振動作業機の使用台数から推定すると、白ろう病にかかっておる林業労働者の数というものは、大体国有林労働者の十倍あるいは二十倍に達しておるというふうに思われるわけです。  国有林については、この職業病としての認定を受けた人たちの数は現在一千三百人ということになっておるのだが、レイノー氏現象を訴えておる作業員というのは、この数倍に及んでおるわけです。ただ、これを職業病として認定するまでの相当の経過が必要なわけですから、本人が白ろう現象を訴えたら、すぐに申し出た場合には、これが職業病として認定されるという迅速な措置はいま講ぜられておらぬ。国有林においてさえもこういう状態ですからね。まして民有林関係においては、雇用の状態から見ても、あるいは職業病とか労災に対する国の補償措置が他の産業から見て、まだまだ立ちおくれておるということは、これはもう労働大臣、御承知のとおりであります。  ですから労働省の場合には、この種の問題は、民有林については直接所管をされておるわけですから、振動機械をどのくらいいま使用しておるか。使用する場合に、基準局長の通達に基づいて一日の使用限定度は二時間であっても、連続二時間ではいけない。その間に、休息の時間をはさんで、一日八時間労働の中で二時間以上の使用をしてはいけないというのが通達の内容になっておるわけですし、そういうような現況がどうなっておるかですね。  それから通達に基づいた根本的な治療対策、あるいは休業中の賃金の補償の問題であるとかなんとか——白ろう現象というのは、これはもうこの種の病気の第二期症状ということが専門家から言われておるわけですから、白ろう現象が生ずれば、いまの治療方法では、根本的な治療方法がまだ明確になっていないわけです。それほど職業病としては困難な病気ですから、まず具体的な内容ですね、どうしてこれを根絶するのか。
  189. 渡邊健二

    ○渡邊(健)政府委員 民間にありますチェーンソーの台数等は正確にはわかりませんけれども、大体私どもは十万台程度というふうに推定をいたしておるところでございます。で、これらを使用して働いておる民間労働者につきましては、先ほど申しましたような通達に基づきまして作業が行なわれるよう極力指導をはかっておるところでございます。しかし、先生指摘のように、いま白ろう病にかかりますと、現代の医学ではなかなか治療方法も明確になっていないことは御指摘のとおりでございまして、こういう点、まだまだ学問的に研究されなければならない点が残っておりまして、不明確になっている点があるわけでございます。  そこで、それら今後さらに研究しなければならない問題につきましては、林業労働災害防止協会の中に医者等を含めまして専門家の委員会をつくりまして、そこで白ろう病につきましての健康診断等の研究、さらに治療方法等の御検討を願っておるところでございまして、そういう学問的な検討の今後の進展等を見まして、さらに現在通達いたしております予防のための指導基準等も一そう有効なものにして、すみやかにこういうような疾病が生じないよう、今後ともできる限りつとめてまいりたいと考えておるわけでございます。
  190. 芳賀貢

    芳賀分科員 そこで、一番大事な民有林の労働者の認定者はどれぐらいになっておりますか。
  191. 渡邊健二

    ○渡邊(健)政府委員 いま手元には四十六年の年しかございませんが、四十六年一年間に民間の労働者で白ろう病と認定された者は三十九人ということに相なっております。
  192. 芳賀貢

    芳賀分科員 おかしいじゃないですか。いいですか、労働大臣。国有林の場合は、病気の発生源であるチェーンソーを六千台使用しておる。それで千三百人職業病の認定を受けた人たちがおるわけですね。六千台に対して千三百人。民有林のほうは十二万台あるというわけですから、それで三十九人というのは、おかしいじゃないですか。  私は、民有林のほうがむしろ労働条件は劣悪だと思うんですよ。しかも賃金は国有林の場合もほとんどそうですし、民有林の場合もこれは定額賃金制でないですからね。八時間労働で幾らというのではなくて、出来高払いということになっておるわけですから、ここにやはり問題があるのです。一生懸命無理して働かなければ賃金が受け取れぬというような、そういう状態の中で三十九人なんというのはおかしいじゃないですか。ないにひとしいじゃないですか。だから、四十五年に基準局長が通達を出しましたと言っても、三十九人の認定者しかないなんという状態では、何にも策は講じられていないといっても差しつかえないでしょう。  これからはどうするんです。少なくてけっこうだということでいくのか。実際は何万人も白ろう病になった労働者がおるが、本人申し出をしないとか、あるいは民間の零細な産業ですから、そういうものがわかっても、それを取り上げて進んで認定を受ける、あるいは治療をする、入院をさせる、あるいは労働災害等に基づいて完全な事後の補償をするということが実際には行なわれていないんでしょう。
  193. 渡邊健二

    ○渡邊(健)政府委員 チェーンソーに基づきます白ろう病につきましては私ども四十年に通達を出しまして、これは労働基準法上の職業病になるということで通達をいたしております。したがいまして、そういう申請者があって白ろう病だという診断がされれば、これは林業労働者全部労災保険に加入いたしておりますから、御本人の負担なく補償がなされますわけでございまして、私ども聞いておりますところでは、そう多く申請者が出ておらないというふうに聞いておるわけでございます。  しかし、先生指摘のように必ずしもかかった方の中にも申請をしない人もあるのではないかということも考えられるわけでございますが、私どもといたしましては、これは民間の全労働者ではございませんけれども、巡回健康診断等も林業につきましては出しまして、そして山の中まで入りまして、そういう人たちの健康診断等もつとめておるわけでございまして、そういう際に見つけました方については、業務上の疾病として治療をお受けになるようにもすすめておるわけでございまして、今後とも予防をはかりますとともに、白ろう病にかかられておるという方につきましては、積極的にこれは職業病として認定し、所要の治療その他の労災補償をしていくようにいたしたいと考えておるわけでございます。
  194. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 あとから総合的に言いますが、白ろう病の問題で芳賀議員から御熱心な御質問がありましたが、先般、この国会予算でなかなか時間がとれぬのでありますが、私から喜んで全国の国有林、林野庁の代表の方と会って、白ろう病の問題も十分聞きました。これは行政官庁の労働省の長としての話でありません。  芳賀議員と私も同じようなおい立ちでありますので、議員のときでございますが、お役所のことばを聞くと、何だかこううまくいくように思うが、そう急速にいろいろな問題が、対策が進展せぬという不満を大臣就任前に持っておりました。就任いたしまして調査しますと、いろいろなかなか困難な点もありますが、この問題は、やはり原則はならぬ前に予防する、これが大事なことは間違いありませんが、しかし、これに対する対策を十分——これはもう芳賀議員に対して、私の気持ちはただ答弁するというだけでなく、これに対する対策を当局、政府の職員などを督励いたしまして十分な対策を熱意をもってやりたい所存であります。
  195. 芳賀貢

    芳賀分科員 それではこの点は、大臣がまず担当局長指示し、まず実態を掌握しなければ、三十九名しかおりませんというんじゃ、これどうしようもないでしょう。これ以上議論進めるわけにいかぬですからね。  次にお尋ねしたいのは、国有林労働者雇用安定に関する対策ですが、この点は私ども社会党のほうから毎年のように議員立法として国有林労働者雇用安定に関する法律案を提案しておるわけです。昨年の国会においても提案したわけですが、十一月解散によって継続案件は全部廃案になっておるので、今度の特別国会においても再度提案する方針でありますが、結局は社会党がこれを提案しても、与党、自民党の諸君が内容を理解しないで、積極的な賛成をしないので、これが実現を見ておらないわけです。しかし、この問題についても国会に法案を提出するまでもなく、解決の方法というものは幾多あるわけですよ。  そこで労働省としては、毎年この法案が社会労働委員会に付託されて審議されておるわけですからして、労働省自身として主体的に、国有林の定期作業員の雇用安定については、いかなる抜本策を講ずればいいかということについて明らかにしていただきたい。
  196. 道正邦彦

    道正政府委員 御指摘のとおり国有林の従業員が約三万六千人おる中で、定期作業員が半数以上を占めているというような労務構成、これはいかにも私は不安定だと思います。こういう問題一刻も早く直さなければならないということは、御指摘のとおりでございますが、国有林労働者地域によってかなりの差があると思いますけれども、やはり第一次産業ということで季節的な要因によって左右されるということで、年間を通じて仕事がコンスタントにあるというようにもなかなかいかない。したがって、積雪あるいは豪雨というような場合に、休業手当を支給しながら雇用の安定をはかっていくということも一つ考え方ではあると思いますけれども、国家公務員制度全般に関連する非常に複雑な問題もございます。したがいまして、私どもといたしましては、なお慎重に検討を要すると考えます。  なお、国有林労働者雇用安定につきましては、昨年十二月に林政審議会から総理大臣あてに出された答申におきましても「基幹的な要員については、その常勤的勤務態様にふさわしい身分上の取扱いを可能とする制度の創設等をも含む諸措置について、今後さらに継続して検討を進める必要がある。」というような要請が出されております。私どもといたしましては、農林省等と密接な連携をはかりまして、林業労働者雇用安定対策につきましては十分に協力し、検討してまいりたいと考えておる次第でございます。
  197. 芳賀貢

    芳賀分科員 これは局長も御承知ですが、根本的な解決としては定期作業員を段階的に常用作業員に——いいですか、聞いていますか、定期作業員を全部常用化する。そうしてさらに常用作業員全体に対して常勤制を実現するという、こういう方式で問題の解決が当然できるわけなんですよ。ただ、それには定員法に基づく定員制限とか、いろいろな阻害要因があるので、いまだに季節的な、毎年毎年十年も二十年も反復して再雇用されなければならぬというような、まことに不安定な、しかも国家公務員である定期作業員がおるわけですからね。これは当然根本的な解決をしなければいけないわけですよ。  ただ、これは単に農林省だけ独自で解決するということにはいかないのです。そこは当然労働省はそのための機関ですからして、労働省あたりで大臣が音頭をとって、こういう長年未解決な問題については、この際抜本的な解決をすべきであるというくらいの馬力を加藤さんに少しかけてもらわぬと、これはどの大臣でも簡単にやれるという問題じゃないですよ。こういうのはしろうとでもいいのですよ。こういう重大な問題が放置されておる。いまの政府行政責任の中で放任されておるじゃないか。この際、これは根本的な解決をしなければ大事な林業の発展はあり得ない。問題をのみ込んでおらなければやむを得ぬのですが、そういう大事な点なんですよ。  そこで局長に聞きますが、われわれが主張する特別休業手当制度にするということになれば失業状態が起きなくて済むわけですね。  そこで林野庁が予算から、政府職員の失業者に対する退職手当を、たとえば四十六年度の実績、四十七年度の予算でどれだけこれに対して支出されておるか、また予定されておるか、わかっておれば数字をあげてもらいたいのです。
  198. 道正邦彦

    道正政府委員 先ほど申したことにつきまして若干補足させていただきますが、常用労働者になることが雇用の安定上望ましいことは申すまでもないわけでございまして、林野庁当局におかれましても、いろいろ組合と折衝されまして、数字を見ますと、かなり常用がふえ、定期作業員のほうが減ってきておるわけでございます。したがって、一ころに比べますと、労務構成はかなり改善を見ておるわけでございますが、しかし、現在なお半分も定期作業員がいるということは、いろいろ問題があることは御指摘のとおりでございます。  金額的には、ただいまの御質問については手元に数字がございませんので、員数で申し上げさせていただきますが、定期作業員が四十六年度で一万八千九百五十四人でございますが、そのうち退職者が一万八千九百二十三人、公務員の退職手当の受給者が一万七千三百五十三人、失業保険の受給者が千百三十一人、こういうふうになっております。
  199. 芳賀貢

    芳賀分科員 いいですか大臣、一万八千人の国の公務員の諸君が毎年毎年一たん退職しなければならぬということになる。春になればまた再雇用。長いのはそれを二十年も繰り返しておるのですよ。そして農林大臣から長年精励して御苦労だという表彰状ぐらいはよこす。こういうばかなことはないじゃないですか。しかも四十六年は退職手当を三十一億二千四百五十七万円支払っております。いまのやり方は、民間の失業保険に準じた方式をとっておるわけです。四十七年度の予算を見ると、三十四億六千五百八十二万円が計上されておる。  ですから、私どもの提案した国有林労働者雇用の安定法というものは、毎年毎年こういう退職状態、失業状態を繰り返すことでなくて、積雪等によって通年的な事業が中断される期間、これは本人意思ではないですから、国の事業方針によって一定期間休業してもらわなければならぬという場合には、退職、失業の形でなくて、その一定のやむを得ざる休業期間というものは、国から休業補償、休業手当というものを支出する。そして雇用関係を継続して、また事業再開の場合には一生懸命に国有林事業に協力してもらう。だから、新たに何十億という資金を用意してやるというんではないですよ。いまの実績である大体三十数億円というものを基礎にして、一歩発展した新しい制度にこれを切りかえる。やがては全員常用化あるいは常勤制の実現ということになれば、国有林の事業としても長期発展計画というものは順調に進むということになるわけです。  この点についても、今国会に再び法案を提出するわけですから、その議論の中で大臣としても十分前向きに取り組んでもらいたいと思います。どうですか。
  200. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 いまの芳賀議員の、国有林労働者雇用の安定に関する法律案を毎国会出すことに対しまして、当該大臣としてこれに対する意見というと、国会関係でありますので、議員立法に対して当該大臣がこれはどうだというのは、ちょっと困難な点もありますが、芳賀議員の言われるような趣旨もよくわかります。  従来から林業と水産というのは、季節的な関係とかいろいろの仕事の関係上特殊にいたしておりますが、しかし林業の中でも公務員の問題、これは同じ林業、水産といっても、また立場が違いますし、冬が来るとその間休んで手当をもらう。そしてまた就職をするというような問題は、これは特殊な関係であります。これが改正に御熱心な芳賀議員のお気持ちも十分わかりますので、関係局長その他労働省の全員がこぞって、この問題に対していろいろ研究して——これはただ研究するだけでは進みませんので、よく皆さんと御連絡をとりまして、これに対する対策も私は大いにやりたい、こういうような意思であることだけは、ひとつ御了解をお願いいたしたいと思います。
  201. 芳賀貢

    芳賀分科員 大臣、これは社会党が好んで法律を出すのじゃないですよ。先ほど言ったとおり、政府行政責任で改善ができる問題なんです。たとえば定員法の関係についても、各公共企業体ごとに定員の改正ができるということに、いまの法律もなっておるが、政府、が実行しないでしょう。そういう場合には、立法府ですから国会として議員立法を提出して、それによってこの問題の解決をはかるということになるのですよ。あなた方がやれば、何もわざわざ法案をつくって提案する必要はないのです。眠っておってやらぬから、やらせるためにこの立法措置を講ずるということですから、その点は間違いないようにしてもらいたい。  最後の点ですが、これは大臣がよくわかっておる問題なわけですよ。公共職業安定所の出張所等の整理統合、これはいま始まった問題でないことは、われわれ万事承知ですが、ただ、四十五年十一月二十日に閣議決定がなされました。しかもそれは労働省自身が好んでやるわけではありません。そういうことはやりたくないが、しかし行管の勧告に基づいて閣議で、各省がこういう五カ年計画を立ててやろうというワクを与えられたので、そのワクを消化するために五カ年計画で労働省もやっておるわけですね。しかし、その年次計画の中で不幸にして整理対象になった安定所あるいは出張所の場合、これをいままで十年、二十年、十分利用してきた利用者の立場からいうと、これはたいへんなことになるのですよ。  そういうことで実例をあげれば、私の地元にも北海道の名寄公共職業安定所の士別出張所というのがあるのですよ。これは一市三カ町村を管轄にしておるわけですが、詳しいことは大臣のほうが知っておられるわけですが、これには関係町村びっくりして、そして関係市長並びに町村長が二月の中旬に上京した。局長に会っても審議官に会っても、いやこれは五カ年計画ですから、そう簡単にやめるわけにいきませんと言われて、渋い顔をしておった。  ところが、たまたま加藤労働大臣に直接お会いして切々と要請をしたところが、よしわかった、あなた方の士別出張所というのは廃止させぬようにする、労働大臣として廃止は絶対にさせないから安心して帰ってみんなに伝えてもらいたい、こういう上京結果の報告というものが地元で記者会見で行なわれておる。それで、最初関係市町村は非常に心配しておったが、労働大臣の加藤さんというのは話がわかる。普通の役人なら、しゃくし定木でもってなかなかうんと言わぬが、いまの田中内閣はやはり決断と実行の政治ですから、そういうことで、これはもう絶対心配するなと言われたということで安心しておるわけです。  しかし、われわれの側から考えると、閣議決定に基づく政府行政機構の簡素化の問題等にしても、そう簡単にいままでいっていないわけですから、いささか心配になる点もある。へたをすると、加藤労働大臣の放言に終わるのではないかと思う。放言になるというと、これは、あなたはそれで済むのですよ。しかし地元で真剣に存続を希望しておる市町村長や、あるいは利用者の立場から見ると、それが裏切られたということになると、これはたいへんなことになります。そういう問題もあるので、きょうは、あわせてこの点について明確にしてもらいたいと思うのです。  これは何も法律で、何々安定所を廃止するとか、その出張所を昭和何年に廃止するなんということは、きまっていないわけですから、廃止できないという事情があれば、これは実行できないことは当然ですからね。ですから、こういう問題について、これは大臣からは、あとからでいいです。心配ないと言ってもらえばいいのですが、担当の安定局長がこれは一番責任があるわけだから、局長のほうから——何でもかんでも必要のあるものを、前の内閣の閣議決定で押しつけられて、へいへい言っておったのでは、これは大事な行政というのはできないでしょう。  しかも士別出張所というのは、本所の名寄管轄の取り扱いよりも利用者の数というものは非常に高まっておるわけです。これは一々数字をあげるというと時間がかかるから、資料を局長のほうにやっておきますけれども、この資料によっても、新規求職、紹介、就職、新規加入、資格取得、資格喪失、資格決定、就職支度金、失業保険金、これらの取り扱い件数並びに金額というものは、最近では名寄安定所と大体同じ水準にまで利用状況というものが高まってきておるわけです。ですから、非常に有効にこの出張所というものは利用されておるわけですからして、そういう実績のある出張所をみだりに廃止する、実態もわからぬで、くじを引いたら士別出張所が出てきたから、ことしはこれを廃止するなんというのは、いかぬと思うのです。  しかも現在の労働の需給事情というものはいままでにかつてないような状態でありますし、この地域は農村が主体ですから、農村の出かせぎ労働とかいろいろ労働関係についても困難な事情が山積しておるわけです。むしろそういうような労働事情の激変に備えて、新しい安定所業務の拡大と事業の積極的な運営こそ必要な時代だと私は考えておるのですよ。こういう根本的な問題を踏まえて、具体的にはこの士別出張所の廃止問題というものに対してどう取り扱うのか。これは局長さん、大臣、順序はどっちでもいいですよ。
  202. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 これは最初の御質問は、加藤大臣答弁せいというようなことでありますから、この問題は、私からまず私の方針を申し上げて、あと局長から補足をいたさせたいと思います。  私は北海道のいろいろな関係は、そうほんとうに十分知っておる男ではありません。しかし数回北海道に行きまして、われわれの四国に比べて、これはたいへんだなということを自慢せられますのは、東北から新潟、中国と四国をまぜたくらいな広大な地域であると、ちょっとこれは隣村へ行くのでも、なかなかたいへんなことだ。香川県一つよりも大きい村があると思いますが、これは特殊な北海道の立場でありまして、率直に申し上げますが、この問題は閣議で決定したことで、これは労働省気持ちいかんにかかわらず実行しなければいかぬ。  ところが、ちょうど市町村の方が御上京なさったときが予算委員会の総括質問のときだった。それを時間を待って私引っぱり込まれて、まあ北海道は考えなくちゃならぬ、こういうので前向きな答弁をいたしましたが、野人加藤でありますので、向こうの聞く側から見ると、これは新聞に決定したように載せておりますが、やはり政治家でありますから、それはあとのことはありますが、前向きの答弁をしたことは間違いありません。  これは北海道の特殊性から見て、また全国のいろいろな筋から地元の方が来ますけれども、私はこういうような性格でありますので、偉い方であろうが、議員であろうが、どなたであろうが、お声をひとつ聞きたい、特に声なき方の声は十分聞きたい、こういうような立場でおったところ、いろいろな方から話がありますけれども、北海道の遠方から市町村の方が私だけに会いに来たのであります。そうしてほかの議員の方、これはちょっと言いにくいのでありますが、ほかの議員の方の御意思もそうであるかということを聞きますと、全員一致だ、超党派だ、こういうこともお伺いいたしまして、やや前向きの答弁をいたしましたが、きょうは国会でありますので、ここで加藤大臣どうだということは慎重にすべきと思いますので、芳賀委員も私の心中は大体御想像していただけると思いますが、閣議決定の問題であり、やはり候補地になっておったことは間違いありません。そういう関係から、いま慎重に局長などに研究させまして、これに対処いたしたいと思います。  要は地域住民の不便をなくすること、特に広大な北海道のことは、ほかの地方と違って、これは地域の方がたいへんな不便を招きますし、特にいろいろの問題で困難な事情も私わかりますので、以上のような関係で、ここでお会いいたしまして、前向き的な御答弁申し上げたことは、もう間違いありません。そういう意味で、しからばもう決定かというと、これはまたいろいろな関係もありますので、時間がありませんから喫茶室で話したので、もうこれはこれで、こうお思いになった感もありますけれども、しかし精神そのものは、そういうような諸種の事情から私は十分事情はわかりますけれども、まだ、いまさっそくどうという御返答の時期が来ておりませんので、どうぞこのことは、ひとつ御猶予くださって、よく検討させていただく、こういうことでひとつ御了承を願いたいと思います。  あとは局長から補足して答弁させます。
  203. 道正邦彦

    道正政府委員 大臣の御指示をいただきまして、慎重に検討させていただきます。
  204. 芳賀貢

    芳賀分科員 これで終わりますが、あれは大臣の思いつきの放言であったということにならぬように、その点はいいですか。気楽な放言で終わるということは、これはあり得ないと思うのですがね。
  205. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 ただ気楽な、喜ばすような気持ちの放言とかそういう意味で——決定の話は、これはとり方でありますので、ほんの一分か二分ぐらいでちょっと出て、すぐにあれでありますので、とり方はいろいろとられたと思いますが、これはちょっと、そこを言われますと、放言でないということは、結局もう決定したということにもなりかねないので、いまの段階ではここで私が放言でないか、そうだ、こう申し上げることも、なかなか困難な行政機構の立場もありますので、どうかこの点は、私が申し上げましたように、慎重でありますが前向きで、事情はよくわかっておりますので、芳賀議員の御質問の御心配の点十分考えて——なかなかこれちょっと申し上げにくいのでありますが、研究いたして、要は地元の方の不便、そして北海道の特殊という点を考慮いたしまして、大臣といたしましては、これに対しては研究していきます。
  206. 芳賀貢

    芳賀分科員 それでは、大臣、わかりました。  加藤さんとは二十年来の国会のつき合いですから、あなたを信用するということにして、結果はやがて判明するわけですから、ぜひ放言に終わらぬようにしてもらいたいと思います。
  207. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林主査代理 次回は明三日土曜日、午前十時から開会し、厚生省所管について審査を行ないます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十三分散会