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1973-03-07 第71回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年三月七日(水曜日)     午前十時開議  出席分科員    主査代理 藤波 孝生君       足立 篤郎君    小澤 太郎君       瀬戸山三男君    阿部 昭吾君       井上 普方君    斉藤 正男君       田口 一男君    辻原 弘市君       原   茂君    武藤 山治君       岡本 富夫君    高橋  繁君    兼務 今井  勇君 兼務 村岡 兼造君    兼務 土井たか子君 兼務 土橋 一吉君    兼務 中島 武敏君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 久野 忠治君         建 設 大 臣 金丸  信君  出席政府委員         郵政大臣官房長 廣瀬  弘君         郵政大臣官房電         気通信監理官  舘野  繁君         郵政大臣官房電         気通信監理官  牧野 康夫君         郵政省郵務局長 溝呂木 繁君         郵政省貯金局長 石井多加三君         郵政省電波監理         局長      齋藤 義郎君         郵政省人事局長 北 雄一郎君         郵政省経理局長 浅見 喜作君         建設大臣官房長 大津留 温君         建設大臣官房会         計課長     山岡 一男君         建設省都市局長 吉田 泰夫君         建設省河川局長 松村 賢吉君         建設省道路局長 菊池 三男君         建設省住宅局長 沢田 光英君  分科員外出席者         郵政大臣官房資         材部長     田所 文雄君         日本電信電話公         社総裁     米澤  滋君         日本電信電話公         社厚生局長   小沢 春雄君         日本電信電話公         社計画局長   清水 通隆君         参  考  人         (日本住宅公団         総裁)     南部 哲也君     ————————————— 分科員の異動 三月七日  辞任         補欠選任   辻原 弘市君     武藤 山治君   岡本 富夫君     高橋  繁君 同日  辞任         補欠選任   武藤 山治君     田口 一男君   高橋  繁君     近江巳記夫君 同日  辞任         補欠選任   田口 一男君     斉藤 正男君   近江巳記夫君     岡本 富夫君 同日  辞任         補欠選任   斉藤 正男君     井上 普方君 同日  辞任         補欠選任   井上 普方君     原   茂君 同日  辞任         補欠選任   原   茂君     辻原 弘市君 同日  第二分科員土橋一吉君、第三分科員今井勇君、 村岡兼造君、土井たか子君及び中島武敏君が本 分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十八年度一般会計予算郵政省及び建設  省所管  昭和四十八年度特別会計予算郵政省及び建設  省所管  昭和四十八年度政府関係機関予算郵政省所管      ————◇—————
  2. 藤波孝生

    藤波主査代理 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。  前田主査が所用のため出席できませんので、その指名により私が主査の職務を行ないます。  昭和四十八年度一般会計予算及び昭和四十八年度特別会計予算建設省所管を議題といたします。  質疑に先立ち、分科員各位に申し上げます。質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力賜わりますようお願い申し上げます。  なお、政府当局に申し上げますが、質疑時間がたいへん限られておりますので、答弁は必ず的確に要領よく、簡潔に行なわれますようお願いいたします。  質疑の申し出がありますので順次これを許します。今井勇君。
  3. 今井勇

    今井分科員 私は、建設省にかかわる行政のうちの道路及び下水道の問題について若干の質疑をいたしたいと思います。  まず最初に、高速道路のことについてお伺いをいたしたいと思います。  ただいま建設省では鋭意高速道路建設を進めておられますが、ただいまやっておられます七千六百キロの整備、これはいつを目標にして整備を進めておられるのか、お聞かせを願いたいと思います。
  4. 金丸信

    金丸国務大臣 国土開発幹線自動車道全線約七千六百キロについては、昭和六十年の全線供用の当初計画を繰り上げて達成するよう建設を促進する考えでおります。このため、昭和四十八年度を初年度とする第七次道路整備五カ年計画において、昭和五十二年度までに既供用路線九百七十八キロメートルを含めて、三千百キロメートルの供用をはかる所存であります。なお、昭和四十八年度においては、新たに約三百七十キロメートルを供用する計画でございます。
  5. 今井勇

    今井分科員 そのようにして鋭意整備を整えられておられますが、そこでひとつお伺いしたいのは、この高速道路というものはどのような基本的な考え方でその網を設定されているものか。まさかこれは適当にきめられたものでもないと思います。いろいろな産業配置人口配置等を勘案されてきめられておるものだろうと思いますが、その基本的な考え方をお伺いいたしたいと思います。
  6. 菊池三男

    菊池政府委員 ただいま今井先生お話しのように、国土開発幹線自動車道路網をきめるにあたりましては、いろいろな考え方がございます。ただいまの予定路線になっております七千六百キロにつきましては、目標国土の普遍的な利用をはかれるように、そうして産業の立地が進み、国民生活の領域が広がるようにというような考え方で実は考えております。したがいまして、ネットワークというような考え方が非常に強くなっております。  その場合、もっと具体的に申しますと、どの地域からでも二時間帯で高速道路に乗れるようにしたい、どこからでもとにかく二時間あれば高速道路に到達してどこへでも行けるという形にしたいというのが基本的にございまして、それに交通需要あるいはそういう人口のカバーというような問題をからみ合わせまして、七千六百キロをきめているわけでございます。
  7. 今井勇

    今井分科員 この高速道路というのは、日本列島改造のためのきわめて有力な手段であります。しかし、いま道路局長の御答弁を聞きましても、ただいまの七千六百キロだけではとても日本列島改造というものが行なわれるに必ずしも十分でないというふうに私は思います。  たとえば、建設省で出しておられますこの第七次道路整備五カ年計画の概要というのを拝見いたしましても、日本の国と同規模国土を持つ西ドイツに比べて七分の一、イタリアの六分の一でしかないというふうに自分から認めておられます。そこで、私は、もっと延長して列島のすみずみまで行き渡らせることが必要であろう、こういうふうに思います。ただいまの道路局長の御答弁ですと、二時間帯、どこへでも二時間あれば到達すると言われますが、私は必ずしもそうでないように思う。したがって、この高速道路網というものを将来どんどんふやしていくという御意向があるのかないのか、あるとすればどのような考え方でこれをふやそうとされるのか、建設大臣にお伺いいたしたいと思います。
  8. 菊池三男

    菊池政府委員 私から御説明いたします。  実は先ほど大臣昭和六十年に七千六百キロできるというのを繰り上げるというお話がございましたけれども、実は二月になりまして策定されました経済社会基本計画というものにおきましても、また今度の五カ年計画で十九兆五千億というものがオーソライズされておりますけれども、その中でも、高速道路については昭和六十年度までに約一万キロを整備する必要があるということをうたっております。約一万キロという推定は、とにかく現在七千六百キロでありますので、やはりこれは繰り上げ達成と同時に、さらにこれを追加していくということも当然考えなければならないと思います。お話しのように、西ドイツイタリア等々と比べまして高速道路の出発が日本はおくれましたので、なかなか追いつけません。こっちがやると、同時に諸外国でもさらに進んでおりますので、なかなか追いつけない状態でございます。そういう意味では延ばすことは必要があろうと思いますけれども、先ほど申しましたように、二時間帯といっても全国至るところ全部二時間ではないので、まだ若干残っておるところもございますので、そういうところもあわせながらさらに延ばしていくというようなことを考えてまいりたいと思っております。
  9. 今井勇

    今井分科員 そうすると、政府は、今後とも高速道路が現在の延長では必ずしも十分でない、将来の計画に合わせ、あるいは日本国土開発に合わせてこれをふやしていきたいのだ、だからその総延長等については、まだいまのところは成案がないのだというふうに承ったが、それでよろしいかどうか、確認をいたしたいと思います。
  10. 菊池三男

    菊池政府委員 そのとおりでございます。
  11. 今井勇

    今井分科員 そこで、地域的な問題についてお伺いしたいのですが、いよいよ本州四国の架橋も、四十八年度から三橋とも実施に入るというたいへんうれしいニュース四国島民は非常に喜んでおりますが、そこで心配なことが幾つかあります。それは橋はできたが、それに接続する高速道路網が整っていなければ、せっかくの橋が十分な効果が出ないのじゃないか。現在の四国におきます高速道路網整備状況を見ますと、まことに残念ながら心もとない。四つの島の中で、一センチメートルも高速道路がないのはわが四国だけだということであります。したがって、政府は、この本四架橋に合わせて高速道路を一体どのように四国において整備するつもりか、そこらあたり考え方をお聞かせ願いたい、こう思います。
  12. 菊池三男

    菊池政府委員 四国につきましては、お話しのとおりまだ高速自動車国道ができておりません。幸いに四十八年度から連絡橋が三橋同時に着工されるという明るいニュースになっております。これが昭和六十年までに三橋ともできるという計画でおりますので、こういう連絡橋ができますと、当然四国の中の交通状態も変わってまいります。特にそういう大規模レクリエーション開発というようなことも当然出てまいると思いますので、そういう新しい事態というものを踏まえて、先ほどお話ししました延長することがあれば、そういうものを踏まえて十分検討してまいらなければならないと思っております。
  13. 今井勇

    今井分科員 いまの延長の問題はまた追って次に御質問しようと思うのですが、私の聞いておるのは高速道路整備の問題、それを実は聞いているので、それについてのお答えがいまなかったように思います。
  14. 菊池三男

    菊池政府委員 現在の整備の問題につきましては、実は全国的に七千六百キロのうち、約八〇%が基本計画が策定され、五三%、約半分の四千キロが整備計画が出て、工事に着工しているわけでございます。四国につきましては、まだ基本計画が全部出ておりません。一部でございます。整備計画もつい最近、昨年出たばかりでございます。したがいまして、整備状況は、ほかのところと比べますとおくれております。これは五道と申しておりますけれども、やはり日本列島を縦断する五道を早急にやらなければならないという姿勢で、そこに相当な額がつぎ込まれますために、それ以外の、五道以外のところは全国的にまだ十分ではないので、そういう意味では、四国も現在のところはやっと建設が始まったという段階であろうかと思っております。
  15. 今井勇

    今井分科員 これはひとつ政治的な判断も加えられまして大臣にお答え願いたいと思うのは、いまの私の質問に対する道路局長の御答弁、まあ意味がわからぬでもありませんが、私の心配するのは、橋はかかったが高速道路ができてないのでは困るじゃないかということを言っておりますので、ひとつ大臣、御答弁願いたいと思います。
  16. 金丸信

    金丸国務大臣 橋はつくったが、それに伴う高速道路ができ上がっておらない。口のほうはでき上がったが肛門のほうはうまくいってないということ、あるいは途中の食道も狭いということではスムーズな運営はできない。当然高速道路は、橋ができ上がるときにはこれに伴って完成するような方途を講じなければならぬ、当然私そうだと考えております。
  17. 今井勇

    今井分科員 ただいまの大臣の御答弁を聞きまして安心いたしました。ひとつどうぞ大臣の御発言どおり完成を急いでいただきたい、かように思います。  もう一つ四国におきます高速道路路線延長の問題でありますが、先ほどの道路局長答弁どおり政府も現在の高速道路につけ加える延長高速道路を考えておるのだという御答弁でございましたから、これは大事な問題でございますので、建設大臣から御答弁をわずらわしたいと思いますが、わが四国におきましても、四国西南地域の大規模レクリエーション開発というような問題がございまして、現在は縦横十文字、いわゆるX字形高速道路しかないわけであります。これでは四国開発のために必ずしも十分でない。こういうのが四国地域におきます島民の悲願でございますし、希望でもございます。したがいまして、これをいわゆる八の字形高速道路網を設定するということをぜひやってもらいたい、かように考えておりますが、建設大臣の御決意のほどを承りたい、かように思います。
  18. 金丸信

    金丸国務大臣 この問題につきましては道路局も非常に心配いたしまして、いわゆるX字形より八の字形にしろ、こういう先生のお説であろうと思いますが、その方向に向かっていま検討中でございます。
  19. 今井勇

    今井分科員 再度御検討くださいまして、その実現方建設大臣がなお一そう御努力いただきますことをお願い申し上げまして、私の高速道路に関します質問を終わりたいと思います。ひとつよろしくお願いをいたします。  次は、地方道の問題について若干お伺いをいたしたいと思います。  わが自民党は、四十八年度の予算編成にあたりまして、福祉元年ということで国民福祉重点を置くということは、私はまことに時宜に合った施策だと思います。しかしながら、われわれの住んでおります住環境住まい環境を見ますと、住まいはもちろんのことでありますが、特に道路生活環境整備、そういうものが非常に未整備だと私は考えております。その中でも特に市町村道整備がきわめておくれておる。国道はよくなったが、それにつながります県道あるいは市町村道というものの整備をしなければ、ほんとうの意味住民生活が楽になった、快適な生活ができるというふうなわけにはいかないと思います。したがって、私は地方道、特に市町村道整備、この対策をどのように政府は考えておられるのか、まずお伺いをいたしたいと思います。
  20. 菊池三男

    菊池政府委員 ただいまお話しのとおり、生活と密接に結びつきました生活道路というもの、特に市町村道がたいへんおくれておるのが実情でございます。実は市町村道につきましては、従来特殊立法に基づくものを中心に、そのほか特に通学路あるいはバス路線というものについて補助対象としてやっておったわけでありますけれども、これだけではなかなか十分な整備はできませんので、今度の五カ年計画では大幅にもっと生活と結びついた、たとえば主要な集落とそれの関係のある主要な国道、あるいは主要な中心地へ結びつくようなそういう生活道路についても、積極的に補助対象として進めていきたいというふうに考えております。
  21. 今井勇

    今井分科員 私は、実はもうちょっと具体的にお伺いをしたいのです。たとえば全体で何万キロあって、そのうち生活のために必要とするものが幾ら幾らあるのだ、それをこういう目標でやるのだというふうなことを実は期待しておるので、もうちょっと詳しく御答弁願いたい。
  22. 菊池三男

    菊池政府委員 市町村道につきましては、現在約八十六万キロございます。そのうち改良済みが本年度末、四十八年三月で大体一七%、それから舗装が一六%ということになろうかと思います。これは数字としては、率としてはたいへん低いわけでありますけれども、その市町村道の八十六万キロの中には、まだあまり使われてないものも入っております。そこで、その中から特に生活に結びついた重要なものを抜き出したいということで、われわれは二十三万キロ、これは奥地開発等特殊立法も含めてでありますけれども、二十三万キロについて早急に整備をしたい。それからそれ以外の三十万キロにつきましては、これは国の補助対象ではなく、地方単独事業がございます。そういうものによって舗装を進めるということもいま積極的にやっておりますので、三十万キロについてはそういう形で進めたい。そして先ほどの二十三万キロにつきましては、昭和六十年末にはおおむね整備を終わりたいというような考え方長期構想を持っております。
  23. 今井勇

    今井分科員 私は町村道整備、これはもちろん改良して幅広い道路をつくるということはまことにけっこうなんですが、しかし地方住民は、どちらかというと、ある程度車さえ通れれば狭くてもいいから舗装をして、快適な旅行ができるといってはおかしいが、ほこりが立たない、ぬからないような道をつくってほしいというほうがむしろ地域住民の願いではなかろうかと思う。そこで、このような町村道舗装に対してはどのように政府は考えておられるのか、承りたいと思います。
  24. 菊池三男

    菊池政府委員 改良を終わらなくても舗装は早急にやりませんと、改良が終わるまで待っていたのでは、いつまでたっても舗装ができないということになるだろうと思います。まさにそのとおりでございます。  これをたまたまある県道について見ますと、県道につきましても実は全部の改良が終わるのはやはり相当おくれると思いますけれども、これは舗装三カ年計画というものをかつてつくりまして、未改良のところでもどんどん舗装は進めようということでやってまいりまして、これは現在のところもう六〇%近く達成して、五カ年内にはほぼ舗装は完了したいということで、これは県道でございますけれども、考えております。  同じように、市町村道につきましても、必ずしも改良が終わらなくてもある程度の幅があり、交通需要があるところは、補助事業あるいは地方単独事業も合わせまして、舗装舗装としてまた促進したいというふうに考えております。
  25. 今井勇

    今井分科員 そこで、一つの御提案をいたしたいのですが、私は地方道、特に市町村道整備予算をこの際思い切ってふやしていただきまして、しかも建設省はあまりこまかい一本一本の路線、この路線に補助するとかしないということではなく、整備すべき基本方針、そういうふうなものをきちっと建設省できめられまして、そして毎年補助金ワク地方公共団体に与える等の措置をして、そのワクのもとに地方公共団体自分自主財源、あるいはほかの省、農林省もある、いろいろな省があると思うが、そういうふうなほかの省の補助金あるいは交付金等も一緒にしまして、そして網として整備する、そういうふうにしていかなければ、いまのようにこの路線は補助してやるというふうなこともけっこうですが、もう一歩考え方をそこで飛躍をさせまして、転換させまして、網の整備をしていくというふうにしなければ、なかなか私は地方人たちの要望するような町村道整備ができないように思う。こういうことをひとつぜひ検討願いたいと思うし、その検討の結果、実施方向でこれを願いたいと思います。それで、建設大臣から私の提案検討に値するものであるかどうか、そういうようなことについての御所信を承りたい、こう思います。
  26. 金丸信

    金丸国務大臣 非常に速度の速い時代でありますので、いまの建設省自体もそれに即応していくためには人も必要であります。しかし、その人というものは、なかなか言うべくしてふやすわけにはいかないということで、事務の簡素化ということも考えなくちゃならぬ。ただいま先生のおっしゃることはまことに傾聴すべき御意見だと思いますから、十分検討してみたいと思います。
  27. 今井勇

    今井分科員 ただいま前向きで検討するという大臣の御所見を承りましたので、安心いたしました。どうかひとつ十分に御検討くださいまして、すみやかにこの実施に踏み切られんことを要望いたします。  次に、下水道の問題について若干御質問をいたしたいと思います。  ただいま下水道事業都市地域重点的に行なわれております。これは、わが国下水道整備状況を見れば実は当然のことでありますが、整備長期目標あるいは長期計画とでも申しましょうか、それを建設省は一体どのように考えておられるのか、まず承りたいと思います。
  28. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 下水道整備計画につきましては、現在はっきりしておりますものは第三次の下水道整備五カ年計画、四十六年から五十年までの五カ年計画であります。これは総額予備費も入れて二兆六千億円ということで、公害防止計画達成とか生活環境の向上、あるいは都市地域での浸水対策というようなものに重点を置きまして、かなりの進捗率を見ておるわけでございますが、さらに今回政府で策定されました経済社会基本計画、四十八年から五十二年までの五カ年間を対象にしておりますが、この中で一応下水道整備として五兆六千五百億円、現行二兆六千億円に比べて非常に飛躍した数字が考えられております。これは社会資本投資額の中に占めるシェアからいいましても、前回の計画に比べて格段にふえているものでございまして、これをこの数字によって進めますと、昭和四十七年度の総人口普及率、つまり日本人口に対する下水道普及率が一九%から、五十二年末におきまして四二%というふうにふえることになっております。  なお、建設省独自の計画として、従来国土建設長期構想というものをつくっておりますが、新しい経済社会の実態に合わせるために、これの根本的な改定作業実施しつつあります。まだ検討段階でございますが、これは昭和六十年を目途として、下水道のみならず、各般の建設省所管公共施設整備目標建設省なりに推計し、所要額をはじき出したものでございますが、これにつきましては、下水道昭和六十年までには相当程度、ほぼ満足のいくところまで持っていきたいということで、現在内部的に検討しておる次第でござ  います。
  29. 今井勇

    今井分科員 いま御説明のあったような長期計画、そういうものに向かって下水道整備をぜひ進めていただきたいのですが、最近都市部のみならず都市部に近接する農村地帯、そこでも非常に問題が起こっております。というのは、家庭下水、これが未処理のまま農業用水水路などに入ってまいりまして、そのために非常に農業がし一にくくなっておるというふうな実例が非常に多くなってきております。この解決策には、どうしても都市地域のみならず、それに隣接する農村地帯についても下水道事業を拡大して、そうしまして家庭用水の分離といいましょうか、それをしなければならないというふうに私は思います。これは非常に大きな問題になりつつある。建設省ではどのようにこの問題を認識されておるのか、簡潔にお答え願いたいと思います。
  30. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 家庭下水等の流入によりまして、農業水路等水質汚濁の問題が生じていることは事実だと思います。これを抜本的に解決するためには、少なくとも汚水を集めまして処理する、いわゆる下水道計画を立てて整備することしかないと存じます。  ただ、わが国下水道整備はあまりにも従来立ちおくれておりました。御指摘のとおり現在はもっぱら都市地域対象にして、それをようやくのことで、ある水準に持っていこうと努力しておる最中でございます。したがいまして、都市地域以外の農村地域にまで下水道整備を広げるということにつきましては、その必要性は痛感しながらも、なお現在のところそこまで手が伸びていないというのが実情でありますが、御指摘もございますので、今後の方向としては都市地域にとどまらないで、農村地域のうちでも所要地域があると思われますので、そういうところを対象に諸制度等検討してまいりたいと思います。
  31. 今井勇

    今井分科員 最後に、私は具体的な方策があるから実は聞いているので、農林省で、正式の名前は忘れましたが、環境整備をはかるために農村集落等を中心にいたしまして下水道整備をはかる、あるいは生活道路整備をはかろうということを考えている農林省の部局があるのです。それをひとつよくお調べになって、他の省と協力をしてその下水道整備環境整備を進めていただきたいから言っているのであって、そういう意味では建設省だけ独善的にならないで、ほかの省とも協力し合って、要は住民が快適な生活ができればいいわけで、それを国民は望んでいるわけでありますから、ひとつ前向きの姿勢でもってこの下水道の問題に取り組んでいただきたい、かように思いますので、ちょっと建設大臣の御見解を承りたい。
  32. 金丸信

    金丸国務大臣 理想としては、下水道というものは全国民が利用できることが一番理想だと考えておりますが、予算の限界もあることでありますから、これが順次その方向に行くべきであることは当然でございます。しかし、農林省でそういうような考え方をやっておることは私も承知いたしております。協調しながらやっていくことも当然だと思います。
  33. 今井勇

    今井分科員 時間が参りましたのでこれで終わりますが、最後に一つだけ大臣にお願いをし、かつ御見解を承りたいのは国道の昇格の問題であります。私ども最近選挙区に帰りますと、国道の昇格をやってほしいという陳情や要望が非常に多いのです。たぶん大臣のところにもたくさん来ていると思いますが、五カ年計画の改定の時期というのは、一つはそういうようなチャンスであろうかというふうに選挙民の方々も思っているのが非常に多いものですから、その国道の昇格についての御見解をお漏らしいただければありがたい。それで私の質問を終わります。
  34. 金丸信

    金丸国務大臣 この国道昇格というのは五年に一回とか四年に一回ということでやっておるようでございますが、いま先生の御指摘のように、昭和四十八年度を初年度とした新たな道路五カ年計画ができたんだ、確かに一般国民はこの際昇格してほしいという考え方もあろうと思います。しかし、いろいろ五カ年計画の中で、すぐあしたやりましょうというわけにもいきませんが、十分検討して御期待に沿うような方向でいきたい、こう考えております。
  35. 今井勇

    今井分科員 以上で質問を終わります。
  36. 藤波孝生

    藤波主査代理 これにて今井勇君の質疑は終了いたしました。  次に、武藤山治君。
  37. 武藤山治

    武藤(山)分科員 大臣、就任日が浅くて、まだあまり全国の実情あるいは御存じないかもわかりませんが、私は栃木県出身でございまして、私の地元に渡良瀬川遊水池という、群馬、栃木、茨城、埼玉四県の県境に三十三平方キロメートルの広大な遊水池があるわけであります。この遊水池は、かつて田中正造翁が国会議員当時、足尾の鉱毒問題を解決せよと迫った歴史的な、県民にとっては忘れることのできない、一村そっくり、谷中村というのを北海道に強制立ちのきをさせた、そして遊水池をつくった、言うならば栃木県民は、この遊水池を利益追求のためや特定の法人や個人の利益のために使わせるようなことは断じて相ならぬ、そういう県民感情がこびりついている、そういう明治以来の歴史的思い出のある地域であります。その地域にいま建設省で何かレクリエーション施設をつくって有効に活用したい、そういう構想が出ているやに承っておるわけであります。大臣は、その構想あるいはこれをこう活用しようというような建設省部内における話を耳にしたことがありますか。中身はまたあとで聞きます。
  38. 金丸信

    金丸国務大臣 耳にしたことはあります。
  39. 武藤山治

    武藤(山)分科員 そこで、栃木県の皆さんはたいへん関心を持ってその推移を見守っているわけでありますが、事務当局はこの計画について、具体的に本年度これに関係する予算というのはどのくらい確保できたのでございますか。
  40. 松村賢吉

    ○松村政府委員 渡良瀬遊水池を確保する予算に  ついては、目下私どものほうで予定しておるのは約一億で、実地調査費であります。
  41. 武藤山治

    武藤(山)分科員 それはもうすでに四十八年度に予定しておる、予算が議決されれば一億円は利用できる、活用できる、こういう状態になっているわけでございますね。
  42. 松村賢吉

    ○松村政府委員 そうでございます。
  43. 武藤山治

    武藤(山)分科員 その一億円で、まずことしの仕事としてはどの程度のことをやろうか、具体的な計画まで作成できるのか。相当な金のかかる工事でありますから、まだ工事には……。まず一億円で調査の段階、どの程度までを煮詰めるわけですか、ことしの予定は。
  44. 松村賢吉

    ○松村政府委員 ただいま一億円と申しましたのは、渡良瀬川の遊水池を一部貯水池化しよう、それによって新たに水を生み出そうというのが一つと、それからこの周辺を一大観光地にしよう、観光施設をいろいろ考えるというのがその二、こういう総合的な計画でございまして、これの調査費を一億円あれしておるのでございますけれども、本年度につきましては、実はこの調査が全部終わるわけではございません。本年度で終わるというというようなものではなくて、またさらに来年度もかかるわけでございますが、その内容につきましては、この貯水池の中の堆積している砂利と申しますか、こういうものはどんな性質になっているか、いろいろ調べること、あるいはそれを搬出するのにどういうふうにやったら搬出できるかということを調べること、それからまた、その周辺を開発するのにどうしたらいいかという環境的な調査とか、いろいろあります。こういうものをやっていくのでございまして、本年度は終わりましても、その概要はほぼ固まるかと思いますけれども、具体的なはっきりとした計画ができる費用を本年度全部いただいておるというものでもございません。
  45. 武藤山治

    武藤(山)分科員 そういたしますと、調査段階はまだ何年くらい続くのですか。いつごろになれば、構想がきちっと固まって、いよいよこの青写真で着工できるのだ、そういう段階が来るのは何年先くらいになりますか。
  46. 松村賢吉

    ○松村政府委員 現在の調査計画としますと約三年と考えておるのですけれども、各方面といろいろ相談しながらできるだけ早く構想をまとめていきたい、三年も待たずにまとめていきたいというふうに考えております。
  47. 武藤山治

    武藤(山)分科員 いま建設省が考えている構想でまいりますと、総工事費どのくらいかかる予定ですか、大ざっぱに。これはコンクリートされたものじゃないでしょうが、いま建設省が考えている子供向けのレクリエーション施設、青年向け、老人向けとだいぶ構想は大きいようでありますが、総予算というのはどのくらいを必要とするものか。
  48. 松村賢吉

    ○松村政府委員 まだ非常に大ざっぱな計画でございまして、まあ数百億円と申しますか、三百億円とか五百億円というようなオーダーの形になると思います。これははっきりとした数字はございませんので、まだ構想そのものが大きさにおいてはいろいろ変わるわけでございますので、はっきりとした最終的な構想はございませんが、オーダー的にはそういうことでございます。
  49. 武藤山治

    武藤(山)分科員 なかなか大きい構想ですな。三百億か五百億というとかなり大きいものですね。それで、私ら全くしろうとで、水利の問題あるいは貯水の量と堤防の決壊の関係というようなことはわかりませんから素朴な質問になると思いますが、この建設省の構想、一応検討経過をちょっと書類でもらったのでありますが、子供向けのレクリエーション、青少年向け、おとな向けというこのレジャーセンターができる。そして東京の人口が、三百万から四百万の人たちがここへ高速自動車道を利用して、あるいは小山駅まで新幹線が完成すればほんの一時間の近距離にある。だから東京の人口の誘致ができるレジャーセンターだ。これを読んでみてたいへん感心をして、賛成をいたしたいわけなんでありますが、この遊水池の中へ何か施設というのは建物まで考えるのですか、それともそれは、遊水の関係で一切建物を建てないで自然公園的なものなのか。子供向けとなると何か施設がなければならぬのですね。河川管理上そういうようなことはどうなんですか。
  50. 松村賢吉

    ○松村政府委員 いわゆる現在遊水池にしております治水上の問題としまして、河川敷内と申しますか、築堤をずっと考えておりますけれども、一部できておるのでありまして、全部完成しておるわけではございませんが、この中におきまして治水上支障になるような構造物、建物等はできないことになります。その周辺地区にいろいろ考えました総合的構想をやっておりますので、そういうところは別でありますが、河川敷内においてはそういうじゃまになる構造物はつくれません。
  51. 武藤山治

    武藤(山)分科員 そうすると、子供向けというような場合には何も建物がないのですか。この構想の中には、どこかやはり建物のできるところもあるのですね。子供の遊ぶ——いま公園などにあるいろんな遊ぶ施設、そういうものは一切考えてないのですか。
  52. 松村賢吉

    ○松村政府委員 これは公園計画と並行して検討するわけでございますけれども、いま実は私どものほうは、渡良瀬だけではなくて、ほかの各河川に環境整備事業というのをやっておるわけです。それで公園施設も相関連してやっておるわけでございますが、これにおきましてもやはり河川敷そのものにつきましては洪水に支障になるような構造物はできませんので、建物と申しますか、こういうものになりますと、やはり永久建物については河川敷を避けたことになると思います。
  53. 武藤山治

    武藤(山)分科員 そうすると、三百億か五百億かかるその費用というのは、ほとんど堤防の費用、それから地域内における道路、こういうものにかかる予算ということになりますか。
  54. 松村賢吉

    ○松村政府委員 その費用の計算はまだ全部もちろんできてないわけですが、相当大きな部分はやはりそれを貯水池化する費用ですね。たとえばそれを掘ったりあるいはそれに護岸をつくったり、それに付帯する遊園地の——遊園地と申しますか、公園のいろいろなものもございましょうけれども、そういう部分が相当部分を占めております。そのほか先生がいまおっしゃったような道路とかあるいは整地費用とか、公園化すればいろんな費用がございます。そういうものにかかる費用を入れたものであります。
  55. 武藤山治

    武藤(山)分科員 そうすると、これはまだまだ具体的な中身が確定はしないのでございましょうが、この資料を読む限りかなり検討は進んでいると思わざるを得ないのでありますが、自然公園——何ぼか細い木を植えて緑があって、そういう自然公園と認識していいのですか。子供の遊ぶレジャーランド的なものを想像しては間違いですか。
  56. 松村賢吉

    ○松村政府委員 その辺のところが、これから十分各方面と打ち合わせて検討するところでございますが、遊水池の中でございますね、堤防の中、これにつきましては自然公園的色彩と申しますか、これを強くしていかなければならないと思っております。
  57. 武藤山治

    武藤(山)分科員 いまの遊水池の中というと、全部が遊水池の中ではないのですか。たとえばこの図面でいうと、右端のほうのここらですね。ここらはいまほとんど水害の心配のない地帯、こういうようなところは施設ができるのですか。
  58. 松村賢吉

    ○松村政府委員 いま先生の指さされたところは外側の築堤の中ということになりまして、洪水のときにはそこに水が入るわけでございます。したがいまして、ここに大きな構造物はやはりできない。自然公園的なところというのはそこを全部さすわけでございます。
  59. 武藤山治

    武藤(山)分科員 そうすると、これは県民が想像していたような、そういう構想ではないのですね。ただ、ここに子供向けとか、青少年向けとか、おとな向けとか書いてあるものだから、何か特別なそういう施設ができて、かなり遊び場的なものになるのかなあという印象を持ったのでありますが、大部分は自然公園ですか。
  60. 松村賢吉

    ○松村政府委員 遊水池の中は自然公園が大部分なのでありまして、それに隣接地域開発計画とかいうようなものが当然付随してくるのではないか、そういう自然公園をバックにした一つのレクリエーション地帯というか、その周辺にあるいは子供向けのもの等も含めた構想になるのではないかと思います。ですから、これは今後の研究課題と申しておいたほうが正確かと思います。
  61. 武藤山治

    武藤(山)分科員 これに関連して、隣接市町村が遊水池を利用して競艇をやりたい、そういう要請があるいは建設省にあったのじゃなかろうか。その有無についてはいかがですか。
  62. 松村賢吉

    ○松村政府委員 これは、栃木県のほうからそういうような話があったのを私承知しております。それで前向きにやはり地元の皆さま方の御意見を十分参照しないとこういう計画はもちろんできませんので、十分尊重して前向きに、その協定その他もでき得ればやるような方向へ進めていきたいと思っております。
  63. 武藤山治

    武藤(山)分科員 私は競艇反対論者で、実はつくらない方向検討してほしいという立場なのでありますが、せっかく東京都民あるいは近郊都市の住民がいこいの場所に行くのに、そのすぐそばでもってぶうぶう競艇をやられておったのでは、子供がかりにそこへ行っても、これは教育上効果があまりうまくない。だから、できることならいまから建設省は腹をきちっと大臣きめて、こういう年間三百万、五百万のいこいの場所にしてやろうという構想なら、やはり競艇なんというのはその中に認むべきではないのでありまして、いま局長は、どうも認めてやりそうな方向答弁されたので、いささかがっかりしたのですが、その辺いかがですか。
  64. 金丸信

    金丸国務大臣 その競艇ということは、協約というような、契約というような考え方でいま局長は言ったのではないかと思っておるのですが、もちろん競艇なんというものを私は全然考えてはおりません。またすべきではない。ただ、現状の自然環境をこわさず自然公園をつくるというようなことについて、これはけっこうなことではないか。そして、その水が十二分にまた利用もできる。そういう考え方でいくことによって水の需要も満たされる。そしてまた、地元の人たちも迷惑するという場面がもしあるとすれば、そういうことも地域住民の人の意見、市町村の意見も十分聞きながらひとっこれを完成してまいりたい。しかし、それは地域住民の協力なくしてできるとは考えておりません。
  65. 松村賢吉

    ○松村政府委員 先ほどの御質問に対しまして、私、競艇という意味を間違えまして、協約と申しますか、地元の皆さま方と話し合いをつけて、計画についてやっていこうということを申し上げたのでありまして、その競艇については話を聞いておりません。ただ私の聞いているのはボートコース、これについてはいろいろ話を聞いておりまして、いろいろ検討はやっておりますが……。訂正いたします。
  66. 武藤山治

    武藤(山)分科員 船のほうの、ばくちのほうの競艇ですが、これは小山市や栃木市近辺の市で、全部ではないけれども、一部の人たちが市議会あるいは市長などが文書に署名して、たぶん陳情をしていると思うのですね。しかし、そういう地元の陳情があっても、いま大臣がおっしゃるように、レクリエーションの場所なり公的な施設をつくった場合には、その地内にボートの競艇があるというようなことは好ましくないのだと私は思うのでありますが、大臣、せっかくの先ほどの答弁のように、大臣がおやめになるときも次の大臣にきちっと引き継いで、大臣が国会議員をやっておる限りはきょうの答弁は守っていくのだという姿勢で、競艇は許可しないようにしていただきたい、こうお願いしておきたいと思います。  それから河川局長、いまあそこの土地があいておる、もったいない、カモがたくさんくるので鉄砲打ちが非常にいい場所だということで、季節にはもうほんとうに多くの人たちがいまでも猟に行きますね。その権利を東武開発、東武自動車の関連会社に現在貸していますね。あれは年間幾らで貸しているのですか。
  67. 松村賢吉

    ○松村政府委員 ちょっと手元に資料がございませんので、後ほど調べまして答弁さしていただきたいと思います。
  68. 武藤山治

    武藤(山)分科員 そうすると、現在民間の会社にその狩猟権を貸し与えて、東武開発という看板を立てて料金を取って使わしている。その場合、こういう公的な施設をつくるときに、どうなんでしょうか、そういう会社にこれで契約が切れるのだということで、何か補償金みたいなものを国は払うのだろうか。払わずに済むような契約になっておるのですか。もともと契約の条項はどうなっておるのですか。
  69. 松村賢吉

    ○松村政府委員 ただいまのお話については、猟区の、これはいわゆる占用許可というような形でやっておると思いますが、これにつきまして一般的な条項といたしましては、普通の場合、公益のための必要等によってこれを取り除くときには取り除けることになっておるわけです。一般的にはこれを禁止するというか、その権利を取り除くことができるわけなんです。占用許可を取り消すことはできるわけです。しかし、これが許可期間の中にありますと、それに対する損失の補償問題は、これは論議になる問題であります。いろいろケース・バイ・ケースと申しますか、全般的に一律にすることはできないと思います。
  70. 武藤山治

    武藤(山)分科員 ここの場合も、だいぶ栃木県会でもめまして、そういう民間会社に貸し与えるのは、占有権を認めるのはけしからぬ。したがって、これは公にやはり活用すべきだという議論がかなりあって、県会でもめたわけですよ。それに国会議員の中でも、与党の自民党の国会議員同士でけんかになったわけですから、この問題をめぐって。さらに今度補償するなんということになりますと、住民感情からいって私はたいへんな問題を起こすと思うのです。したがって、その契約の中身が何の契約になっているかわかりませんが、この次契約を改めるときには、これは大レクリエーシェン地域にするために公のものに使うんだから、次の契約条件はこうだというような形で検討してしかるべきではなかろうか、そういう点についての局長の見解はいかがですか。
  71. 松村賢吉

    ○松村政府委員 おっしゃるとおりでございまして、私も内容をまだ十分聞いておりませんけれども、おそらく契約期限のそう長いものは、この種のものではないと思います。これを更改する際には、やはりそういう条件、あるいは初めから次の更改の期限をこの事業に間に合うように短くするとか、何らかの措置を当然とるべきだと思いますが、その方向で進めたいと思います。
  72. 武藤山治

    武藤(山)分科員 大臣もいまお聞き及びでありますから、いまの局長答弁のように、特定の政治家が力で動いても、建設省としてはき然とした、公共的な施設に活用するのだという立場を堅持してもらいたい。いまの局長答弁をひとつ大臣が裏打ちをしてくれるように期待をしておきたいと思います。  それから次に、道路局長にちょっとお尋ねをいたしますが、いま栃木、群馬、茨城では、北関東横断自動車道というのを建設省が構想している、一体どこの町からどこを通るのだろうと、賛成、反対それぞれの立場からの心配があるわけでありますが、構想をちょっとお尋ねをしたいと思う。
  73. 菊池三男

    菊池政府委員 ただいまお話しの北関東自動車道の構想は、実はずいぶん前からございます。私の知る限りでは、河野一郎大臣建設大臣のころ、そのころからあったと思います。  ただ、具体的な問題といたしましては最近、四十六年度から経済企画庁から調査調整費が出まして、そういう調査の費用がついて、それが公になったということであります。  そのルートといたしましては、前橋から宇都宮を経て水戸に至る、あるいはまた、さらにそれがそのまま潮来の鹿島港のほうにいくというような考え方もあるようでございますけれども、その構想は、かつて前橋を中心とし、水戸を中心とし、あるいは宇都宮を中心にした百五十万都市構想がありまして、それに水戸の射爆場が返還になってそこに掘り込みの港湾をつくる。そして東京湾の港湾施設が一ぱいだから、そちらのほうをむしろ有効に使おうという、そういう総合的な計画がありまして、その一環として四十六年度から四十七年度にかけて調査をしております。  それが全体の構想でございますが、ただ、どこを通るかということになりますと、百万都市、百五十万都市という構想が実はまだ絵になっておりませんので、道路をどこに通し、どこでとめたらいいのか、どの辺を通ったらいいかというようなこまかい点については、まだそこまで調査はいっておりません。
  74. 武藤山治

    武藤(山)分科員 そうすると、まだずいぶん先の話でございますね。航空写真で大体この辺に引こうかというようなことも、まだ全然やっていない。そうすると、着工というと何年ごろをめどに考えているのですか。
  75. 菊池三男

    菊池政府委員 先ほど申しました、経済企画庁からついています調査調整費、それから四十七年度は首都圏の特定開発事業推進調査費と名前が変わりましたけれども、ここで毎年五千万くらいの金がついておりますので、航空写真もある程度とっておりますし、そういうほかの計画がきまればルーティングを引くまでの段階はできております。ただ、そこら辺がきまっておりませんので、これは今後そういう開発計画と合わせた形で細部をきめるのだろうと思いますので、ちょっと私もいつになったら着工できるか——そういう調査的なものはある程度整備されております。
  76. 武藤山治

    武藤(山)分科員 日立の流通港湾、新たに大きなあれをつくろう、これは水戸の射爆場あとですか、これが完成するのは、大臣、いつごろですか。これは通産省管轄で、大臣の直接管轄ではありませんが、それに関連して海なし県の栃木や群馬に海産物や何かも流通がしやすくなる。おそらくこういう政府の大きな構想からこの横断道路の発想になったと思うのですね。大臣、これはまだ閣議や何かでお聞き及んでおりませんか。
  77. 金丸信

    金丸国務大臣 全然閣議では聞いておりません。私も存じておりません。
  78. 菊池三男

    菊池政府委員 実は、その港の問題につきましては、これは所管は運輸省の港湾局の問題でありますけれども、その全体計画としては、射爆場が返還になる、あと地利用の問題で、あと地をそういう形で使うかどうか、何に使うかということもまだ確定はしていないようであります。ただ、返還になったあとそういうことに使いたいという地元の希望があり、そういうようなことを考えて計画しているという段階と聞いております。
  79. 武藤山治

    武藤(山)分科員 すると、その計画が確定しなくとも道路のほうは道路のほうとして着工しても差しつかえない、こう理解してよろしいですか。もしそうだとすれば、大体予算も幾らかついて調査が完了しているとなれば、何がネックで工事に取りかかれないのか、何かまだ検討すべきあれが残っているのか、なぜその着工の目鼻というのはつかないのですか。
  80. 菊池三男

    菊池政府委員 それは、ただいま申し上げましたように、港湾もいま計画がございますけれども、まだそういうふうに確定はしておりませんし、またそういう港湾があるかないかによってその北関東自動車道の企画あるいは性格なり、そういうものが変わります。それからもう一つ、先ほど申しました百万都市構想あるいは百五十万都市構想というものも、そんな大きな構想になるのかあるいはもう少し小さくなるのかというようなことによって、いろいろ総合的な計画が煮詰まりませんとできません。それからもう一つ、これは非常に規格の高い道路をつくろうとしておりますので、事業費的にも相当かかると思います。今度はそれをやる場合のいろいろな経済効果の問題とかということになってまいりますと、もう少しそれを固めてからでないと着工はむずかしいと思います。
  81. 武藤山治

    武藤(山)分科員 どのくらいかかるのですか。
  82. 菊池三男

    菊池政府委員 私もそれはちょっとわかりません。たとえば一つ考え方としては、高速自動車国道でやるという考え方もございますし、あるいは一般有料道路でやるという考え方もございます。あるいは公共事業国道に認定してやるという考え方もございます。ただ、調査もこれだけ進んでおりますから、いつということになりますとちょっと私もいまここで即答はいたしかねます。
  83. 武藤山治

    武藤(山)分科員 そうすると、この構想は政府道路整備計画の中には含まれていないわけですね。
  84. 菊池三男

    菊池政府委員 はい。いまのところは、そういう大規模道路網の調査段階の中の計画であって、まだ具体的な実施計画の中には含まれておりません。
  85. 武藤山治

    武藤(山)分科員 時間でありますので、終わります。
  86. 藤波孝生

    藤波主査代理 これにて武藤山治君の質疑は終了いたしました。  次に、高橋繁君。
  87. 高橋繁

    高橋(繁)分科員 私は、河川の問題並びに道路問題について、それぞれの担当の局長あるいは大臣質問をいたしたいと思います。  最近公害の進展とともに——もともと河川はきれいでなければならない、このような大原則があるわけですが、最近の河川はどれを見ても汚濁をされておる。東海道を通りましても川らしい川、いわゆる魚がつれ、子供が川ではしゃぐ、そうした川というものがほとんど見られない状況になってきておる。まあ、そうした公害問題と並んで、自然の破壊あるいは河川の汚濁という問題は、たいへんに現状の中で問題になっております。河川法におけるいろいろな問題と、河川に対する考え方をただしてまいりたい。  例を引きながらお願いをいたしたいと思うのですが、河川は、先ほど言いましたように、もともと清潔でなくてはならない。この河川の清潔条件、河川法に示された河川はきれいにしなくてはならない。そうした条件は河川法の第二十九条に示されております。政令でこれを禁止する条件というものが示されております。これは私があえて申し上げなくてもおわかりのことであって、その禁止されておる事項を監視し、保全をしていくために、おそらく河川監理員というのが七十七条で規定されておると私は思う。その河川監理員という人たちは、いわゆる管理者の職員の中から選ばれているというふうに私は理解をするわけですが、一体この河川監理員が従来どういう仕事をしてきたのか、あるいはこんなに河川が汚濁をされておるのに、河川監理員によって現在まで摘発された事件があるのかどうかということをまず第一に聞きたいと思うのです。
  88. 松村賢吉

    ○松村政府委員 河川監理員につきましては、その方法につきましてはいろいろございますけれども、毎日河川の区域を巡視し、あるいはパトロール——パトロールカー的なものを持ってやっておるところもありますし、その他の方法でやっておるところもあります。それで河川の清潔とかその他いろいろのすべての条項について監視を続けているわけでございます。
  89. 高橋繁

    高橋(繁)分科員 もちろんそれは、私が言ったことを局長復唱したようなかっこうですけれども、河川監理員は職員の中から選任されることになっておりますが、一体その役目を果たしているのかどうかということなんです。
  90. 松村賢吉

    ○松村政府委員 これにつきましては私どものほうも常々指導いたしておりますし、その役目をできるだけ果たしておると思っておりますけれども、中にはやはり監理員の手薄その他の関係もございまして、多少の問題は起こっておるところもございます。
  91. 高橋繁

    高橋(繁)分科員 おそらく職員が兼任をしておりますし、職員自体も定員で縛られておりますので、たいへん忙殺されておるという中でこの膨大な河川を管理するということはなかなか困難だろうと思うのです。ほとんど河川の監理員としての使命というか役目は果たされていないじゃないか。ところが、いま河川の汚濁については、ほとんど住民の摘発によってそれがなされておる。あそこにごみを捨てて困るとか河川に変なものが流れているとかいうことを住民の力でやっている。それによってだいぶ問題が提起され、それから河川局、地方自治体の河川課がやっておるというのが現状だ。したがって、河川法が昭和三十九年でしたか新しく改正になりましたけれども、そうした河川管理あるいは監理員の使命というものについて、またそれに対する懲罰規定というものがありますが、私は、これはほとんどざる法に近い法律である、こう考えるわけです。またその懲罰規定についても、あるいは外国、イギリスなんかの例をとりましても非常にきびしくなっておる。たとえば「河川管理局が、もし流水に関し(1)(2)の禁止事項に違反のおそれがありと認められる場合において、」「流水の使用又は土地を使用しもしくはその使用許可を河川管理局に申請したときは、管理局は、県裁判所に申立てて、その判断に従い、その使用禁止又は使用上の条件を附する必要な命令を求めることができる」というように、非常にきびしい条例になっている。ところが、日本の河川法は、そういうふうな懲罰規定というものが非常にゆるやかであるような感じがいたします。したがって、この河川法の監理員あるいはそうした懲罰規定については一考を要すると思うのであります。この河川法のそうした問題について、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  92. 金丸信

    金丸国務大臣 河川法の問題につきまして、いま御指摘の問題でございますが、十分洗い直してみたいと思います。
  93. 高橋繁

    高橋(繁)分科員 ほんとうに洗い直してくださいよ。  それから、一つ例を引きますが、山梨県に端を発します静岡県の富士川ですが、ここでいままでヘドロ処理が行なわれている、第一次、第二次。一体建設省は、何の条件あるいは許可条件で、河川法の何条によっていままでこれを許可いたしたのですか。
  94. 松村賢吉

    ○松村政府委員 田子ノ浦のヘドロにつきまして、これを富士川の河川敷で処理し、推積しているということについては、河川として必ずしも好ましいことではないということは当然でございますけれども、この処理方法その他についてほかによい方法がない、万やむを得ないということで、これは私どものほうで相談を受けまして、環境庁等からの申し入れもありまして、これをこういうふうに措置してきたということでございます。  それでこれの条文についてと申しますと、河川法二十四条、それから二十六条、二十七条、これに伴います河川敷の占用あるいは工作物の設置、土地の形状の変更、こういうものに対する申請を出していただきまして、これによって許可しているという形になっております。
  95. 高橋繁

    高橋(繁)分科員 許可条件は第二十四条、第二十六条、第二十七条等によってやった、こうおっしゃいますが、それと二十九条の河川の清潔、これとの関係はどういうふうに解釈したらよろしいですか。
  96. 松村賢吉

    ○松村政府委員 河川法二十九条の問題につきましては、これは河川法二十九条を受けて、その清潔等について「河川管理上支障を及ぼすおそれのある行為の禁止」、これは施行令の十六条の四にあるわけでございます。みだりに河川に廃棄物その他捨ててはいかぬという規定でございます。それで、これといまの河川敷の占用、工作物の設置、土地形状の変更、それの許可との関連でございますけれども、この二十九条のほうの問題につきましては、みだりにそういうことをしてはいかぬということでございまして、やたらに捨ててはいかぬということで禁止しておるわけでございます。それで二十四条、二十六条、二十七条、これによって河川敷の占用、工作物の設置、土地形状の変更、これを許可をして田子ノ浦のヘドロをここに持ってきて、これを脱水処理しておくということにいたしまして、この河川が清潔を保たれるかどうかということにつきましてもこの際十分検討しておるわけでございます。それを十分検討いたしまして、それに必要な条件を付して許可をしておるという形になっておりますので、いまの二十九条のほうに対する違反と申しますか、これにはなっておらぬと思います。ただし、この二十九条に汚水の排出の届け出についての規制がございます。こういうことにつきましては、河川の占用、工作物、土地の形状変更、これの申請をやった際に、やはりその条項を満たして届け出をやっておりますので、私どものほうは、これも加味して法的に問題ないと実は考えておるわけであります。
  97. 高橋繁

    高橋(繁)分科員 法的に問題ない、これはよろしいですね。その施行令の十六条の四によりますと、河川の区域内に土砂またはごみあるいはふん尿、鳥獣の死体その他の汚物もしくは廃物、こういうことになっておる。もちろんヘドロをあそこで脱水処理するということについては、私もその辺についてはよくわかるわけでありますが、あそこに半永久的にヘドロをかっこうよく、ていさいよくやるわけです。そうしますと、これは全国の河川に適用されることなので、もしかりにあの河川に——いま富士市内でスラッジがたまっておる。あのスラッジをあの河川に捨てたといたします。そうすると、ヘドロをあそこで処理して堆積をする許可をとって堆積をしたというのと、スラッジをあそこへそのまま捨てた、こういうものについてはどうお考えですか。
  98. 松村賢吉

    ○松村政府委員 スラッジをそのまま捨てたということは、当然みだりにあそこに捨てたということになりまして、これに対してもし許可申請が出たとすれば、これは許可できない問題だと思います。片っ方のほうは、ヘドロにつきましては、これは十分処理し、河川管理上最小限度支障ないような措置をすることを前提にいたしまして許可しているわけでございます。
  99. 高橋繁

    高橋(繁)分科員 ところが、これは建設省関係ではないといえばないのですけれども、公害対策委員会のほうで何回も問題になりました。ヘドロの中には最高三四四PPMのPCB、汚水中に溶け込んでいるPCBが二二・八PPM、それから昨年捨てた浸透水の中から八PPB、こういうようなPCBの汚染物質があるということが確認された。それと、先ほどの十六条の四にあります廃物、ごみ処理と同じであるとあなたは理解をするのですか。
  100. 松村賢吉

    ○松村政府委員 この廃物、ごみの中にそういう有害物質が入っておるかどうかということについては疑問がございまして、これは要するに清潔状況のほうでございますので、その有害物質とは区別すべきではないか、これは個人的見解になりますけれども、そう思っております。
  101. 高橋繁

    高橋(繁)分科員 そういうたいへんな汚染物質が入っているということが確認された場合には——いま静岡県は第三次処理を考えておるようであります。これも半永久的に富士川の河川敷に堆積していこう、緑の芝生をつくり公園をつくっていこうということのようでありますが、これにたいへんな汚染物質が入っているということが確認されれば、それについての建設省の考えはどうですか。
  102. 松村賢吉

    ○松村政府委員 これはその汚染物質がその中に入っているかどうかということではなくて、その中にかりに含まれているといたしましても、それが外に影響を及ぼさないような状態に封じ込められているという形なら、これは問題ないと思います。それで、これの許可条件につきましても、いろいろ監視的なこと、その土地に井戸等を掘りまして、それから排出してくる水の状況等を調べるいわゆる規定がありまして、これによってそれが非常に河川管理上好ましくない場合には、これを撤去させるような条項も実はあるわけであります。
  103. 高橋繁

    高橋(繁)分科員 私が心配するのは、そういうような汚染をされておる、また最近非常に問題になっておるPCBを含んだヘドロがそこに堆積をされておる。まあ半永久的になると思うのです。ところが、富士市の地下水というのは千分の一勾配です。千メートルで一メートル下がりますか……。いまあそこにはたいへんな製紙会社がございます。地下水をどんどんくみ上げておる現状で、すでに富士山の一番根元、あの平地との間で塩水がくみ出されておる。ということは、もう地下水を吸い上げ過ぎて、なくなって、海の水が逆流をしておるという状況の中にある。その河川敷の、しかも千分の一の勾配のところにそうしたヘドロ物質を半永久的に置くという——先ほどの、それが流出しないというような方策というものは、これは河川の性質上とれないでしょう。コンクリであそこへちゃんとして、それを埋めるような工作というものができますか。事実上できないじゃないですか。そうしますと、それを半永久的にあそこへ置くことは、地下水が影響されていくということを私は心配をするわけです。しかも、もし大洪水が起こったときには、駿河湾の魚族に影響するでしょう。また、たいへんなたくさんの養殖業者もおります。特産物のエビもあるということを考えますと、あそこで脱水処理をするということは私は別に異議はありませんが、そのヘドロ処理について、半永久的に堆積するということは、私は今後に大きな問題を残すと思うのです。それについてもう一度河川局長なりあるいは大臣のお考えを聞きたい。
  104. 松村賢吉

    ○松村政府委員 いま先生の申されましたような御心配につきましてお答え申し上げますと、まず地下水の勾配につきまして私どものほうで調査したところでは、あそこの廃棄物を処理したところ、これにつきましては、逆勾配と申しますか、川のほうに傾斜しているように私のほうは調べております。それからその後のいろいろな問題で状況の変化、それに対してどうするかということでございますが、これに対しては目下のところ、その心配はないように万全の措置をとっております。河川のいわゆる護岸と申しますか水制と申しますか、河川管理上、そういう洪水にしろ、安全になるようにさらに措置をいたしますし、またいろいろのヘドロの捨て方、その他につきましても慎重にやっておりますので、まずその心配はないわけでございますが、さらに監視につきましても十分今後続けていきたいと思っております。
  105. 高橋繁

    高橋(繁)分科員 勾配が反対になっておる、これはたいへんな問題で、これは、勾配は確かに海に行っているのですよ。ところが、先ほど言ったように製紙会社の地下水のくみ上げで塩水が逆流して、すでに部落から出ているというのです。そこで、先ほどのヘドロ処理をした、堆積をされている、その地下水が流れてくる。もちろん自然であればそれは海のほうに流れていくのですよ。ところが現状そういう結果も出ているんだから、それについて、河川局長としてこの河川を守る立場上、ほんとうのことを言えばあなたも被害者の一人だと思うのです。河川を管理しておる責任者として、河川法に従って河川を最も清潔にしていかなくてはならないということであれは、私はこの際、こういう禍根を残さないためにも、こうした問題についてははっきりした態度で臨むべきである、こう考えます。この点についてもう一度お考えを聞かしてください。
  106. 松村賢吉

    ○松村政府委員 この問題につきましては、冒頭に申し上げましたように、田子浦のヘドロの処理、これをやむを得ず河川敷に処理するという形になったわけでございまして、河川管理者の立場とすれば、確かにあまり好ましいことではないということは当初から申し上げておるところでございます。しかし、河川管理者として河川を維持する上に最小限度の条件が満たされるような措置をして、これをここで処理をするということ以外に現在のところ方法がないということで、各方面、県あるいは環境庁あたりの意見もそういうことでございますので、ここで最小限度河川の維持に支障のないという措置、方法をとった上でこれをやるということにきめたわけでございます。
  107. 高橋繁

    高橋(繁)分科員 最後に一点です。もしその汚染されておるヘドロというものがはっきり出た場合には、これは中止なり、あるいはそこに堆積したヘドロを取り除くということについて、あなたはそういうことを考えますか。命令というか指令といいますか、地方自治体に出しますか。
  108. 松村賢吉

    ○松村政府委員 ヘドロが汚染しておるかどうかという問題ではなくて、そこに堆積されたヘドロからそういう汚染物質がほかに出ていって害を及ぼすというようなことをあれしますけれども、その対策につきましては、その実害がわかったような場合、これにつきましては、これに対する撤去等を含みます措置をするように考えております。
  109. 高橋繁

    高橋(繁)分科員 まだ少し理解いたしませんが、次の問題に参ります。  総理の所信表明の中にもありましたように、私は特に観光開発という点で、何といっても最近週休二日制とかあるいはレジャーブーム等によりまして、特に静岡県の伊豆半島というものは国際的な意味を持つ観光都市、観光地でもあります。その一番の基盤整備という問題については非常に立ちおくれておる。最近の自動車を利用するところの人たちあるいは旅行者というものによって、あの国際的な関係を持つところの伊豆半島の開発について、道路網がたいへんにネックになっておる、そして関東、関西、日本全国からたずねてくる多くの人たちに多大な迷惑をかけておる。そうした国際観光都市であり、あるいは地でありながら、このネックになっておる国道百三十五号線、百三十六号線、この問題について、私は特にその改修あるいはバイパス的要素をなすところの問題等についてお聞きをいたしたいわけでありますが、もう夏のときなんか渋滞がはなはだしいですね。非常に気分をこわすという点でだいぶ建設省でも力を入れておるようでございますが、その大ざっぱな、百三十五、六号線の問題について道路局長のお答えを願いたい。
  110. 菊池三男

    菊池政府委員 伊豆半島の百三十五号は、東側でございます。それから百三十六号が下田から三島に行く西側の道路でございます。百三十五号と百三十六号と両方の問題ということでございますので、たいへん長くなると恐縮でございますので簡単に申し上げますけれども、百三十五号線のほうは、現在スカイライン等によりましてある程度東側のほうは整備がされていると思います。ただ、湯河原から熱海に抜けるあの辺はまだ整備がされておりませんので、若干こんでおると思います。それから百三十六号線の西回りのほうにつきましては、これはまだ未改良区間がだいぶございます。特に土肥から松崎に至ります間、ここはまだ今後数十億のオーダーで事業費がかかると思います。四十七年度にいたしましてもこの区間に十億ほどつけまして鋭意進めてはおりますけれども、この地区は非常に地形のたいへんなところでございまして、わずか三十キロくらいの間にトンネルも十以上つくらなければならない、橋もそれだけつくらなければいかぬということで、たいへん事業費がかかりますけれども、鋭意進めていきたいというふうに考えております。五カ年の五十二年度までにはおおむねこの地区については完成したいと思っております。ただ、船原峠がまだ若干問題は残っております。
  111. 高橋繁

    高橋(繁)分科員 そうしますと、伊豆中央道は有料道路でやってくる、百三十六号線はいま言ったような計画で進められていく。いまちょっと最後におっしゃった船原峠が問題だと思うのですよ。あそこに隧道をあけようということで、県単事業でたしか調査を進めておるはずです。建設省としての建設の見通しなりお考えをお聞きいたしたい。
  112. 菊池三男

    菊池政府委員 船原峠につきましては、お話しのとおりに県の単独で調査費をつけて、四十七年度たしか五百万くらいだったと思いますけれども、調査をしております。ただ、これにつきましては、調査が終わり次第に——この伊豆半島にはたくさん有料道路がございますので、そういう大きなトンネルで事業費のかかるものは有料事業でやるという考え方もあると思いますけれども、船原峠を入れますとまだ百三十六号は約百億、四十八年度以降の残事業がございますので、この辺はまた県と十分打ち合わせまして、有料でも早くやれという考え方もあると思いますし、今後、調査の結果を見て進めていきたいと考えております。
  113. 高橋繁

    高橋(繁)分科員 まだお聞きしたいのですけれども、それに伴って、熱海の市街地における熱函道路の開設に伴って、ものすごい混雑が予想されます。そうした問題、伊豆半島を含めたすばらしい観光地でありますので、どうかひとつその基盤整備である道路整備をすみやかに行なうようにお考えを願いたいと思います。  それからあと一点、こまかな問題でありますが、有料道路において料金を徴収しない車両を定める告示というので出ております。ところが、その沿道の住民、これは通行許可証をもらって無料でそこを通っているわけですが、たいへん事務がおくれがちです。非常に住民に影響しておる。ということは、おやじさんの名義で通行証をもらった、おやじさんがなくなった、たまたま東京あたりに出ておった息子が帰ってきてその名義変更を出した、ところが一年たってもこない、こういう状況で、その一年間というものはその人は通行料を払っておる。市町村で住民登録をしているんですから、市町村からそういう申請が出ていくわけです。もっと簡略に、何も東京支所まで来なくても、地方の支所でそういう問題が処理できるような方法をひとつ考えて、住民本位にそうした問題を考えるべきではないか、その点をお伺いいたします。
  114. 菊池三男

    菊池政府委員 有料道路につきましては全部料金を取るのが原則でございますが、特にもともとその道路のそばにあったお宅あたりには、有料道路になったことによって通行券を出しておることは事実でございます。ただ、無料通行券はやはり野方図になりやすいものでありますので、野方図にならないようにぴしっと押えることが必要だと思います。したがいまして、いまのお話なんかもきっと相続等の問題で名義が変わったり何かしたので事務的におくれていると思いますけれども、しかし、これは住民の方に迷惑のかかりませんように、なるべく早くできるというような形を研究してまいりたいと思います。
  115. 藤波孝生

    藤波主査代理 これにて高橋繁君の質疑は終了いたしました。  次に、田口一男君。
  116. 田口一男

    田口分科員 私は、最近問題になっておるというよりも、これは従来から問題になっておるのですが、治山治水、その中で特に治水関係について、時間がわずか三十分ですから、しぼってお聞きをしたいと思うのです。  これは昨年の国会でも相当論議になったと思うのですが、昨年七月に御承知の集中豪雨がございました。そのことによって全国各地でたいへんながけくずれが起こって、とうとい人命が七十余名も失われた、こういう事実があったわけでございます。一体、集中豪雨でこういったとうとい人命を失うようながけくずれの原因はどこにあるのか。こういう問題については、いろいろと先輩議員のお話なんかを聞くと、去年の国会でも相当議論にはなったようでありますが、一言にして言えば高度経済成長政策、そういったことが原因になって、山林の乱伐、過伐、これに宅地開発とか観光開発といったようなことに名をかりた自然の環境破壊、こういうものが原因であることは間違いないと思うのです。またそういう点について皆さんのほうでも、そういう指摘は正しい、こう言われておるのですが、こういう苦い経験から、これは去年初めて起こった問題ではない、過去に何回か水害、台風による災害ということが起こっているわけですから、そういう問題を受けて、聞くところによりますと、第四次治水事業五カ年計画というものが昭和四十七年度を初年度にして五十一年度まで一応の計画が立っておられると聞いております。治山のほうもそういう計画があると思いますが、きょうは治水の問題にしぼってお伺いします。  そうしますと、ここでまず概要をお聞きをしたいのですが、時間の関係で簡単にしてもらいたいと思うのです。この第四次五カ年計画の大ざっぱな内容、それと計画の第二年度である昭和四十八年度の治水の重点目標というものは一体どこに置いてあるのか、それをまずお聞きをしたいと思います。
  117. 松村賢吉

    ○松村政府委員 第四次治水事業五カ年計画、これについてごく概要を申し上げます。  第四次五カ年計画は、先ほど御指摘がございましたように昭和四十七年から五十一年までの計画でございまして、治水投資の総計は四兆五百億というものでやっておるわけでございます。このうち、河川、ダム、砂防、機械等を含めました治水事業の合計が三兆円、これを五十一年度までに完成しようということで、重要水系の河川をはじめといたしまして、中小河川あるいは都市小河川等に至るまでの河川全般の計画並びに砂防計画あるいはダムの治水上の計画、これもすべて含めた治水事業の総合計画でございます。  それで次にこの五カ年事業を四十八年度にどう予定しているかということでございますけれども、治水事業といたしまして、四十八年度には四千九百六十億の事業費を予定しておりまして、これは四十七年度、四十八年度を含めまして治水事業進捗率が五カ年計画のうち約三三%、これは当初予定いたしましたのは四十七年度、四十八年度の二カ年で約二九%でございますので、これより約四%ほどの繰り上げ施行と申しますか、昨年の災害等にかんがみまして、繰り上げて施行することになっております。それから、これも四十八年度の重点の施策でございますが、この重点の施策につきましては、まず重要水系、これの河川改修の促進並びに、特に昨年大災害がありましたような河川、これを再び災害が起こらないように重点的にやることを含めまして、こういうものの促進を重点にしております。そのほかダムにつきましても、去年の災害等にかんがみまして、緊急にやるべきものを定め、進めていく、砂防等についても同じくであります。  以上、簡単でございますが……。
  118. 田口一男

    田口分科員 そうしますと、五カ年計画というものがあって、このうち四十八年度はいま言った三三%を占める。ところが四十八年度は、いまのお話ですと、そういう計画があるけれども、昨年四十七年にああいう大きな災害があったので、その災害復旧、または二度とそういったところに起こらないようにするところに重点をかけておるのだ、こういうことですか。
  119. 松村賢吉

    ○松村政府委員 さようでございます。
  120. 田口一男

    田口分科員 そういう話は、話としてそれでわかるのですけれども、まあたいへんいやみを言うように聞こえるかもしれませんけれども、それだけではどうも後手後手に回るのではないか。計画というものはあるけれども、去年災害があったからことしはそれの復旧に重点を置くのだ。ところが、これは皆さん専門家ですから従来の経験でよく御存じでしょうけれども、一たん直したところはことし幸い災害がなかった。ところがそれに近接するところにまた災害がことし起こった。そうなると、いまの言い方でいけば、たとえば——も、四十八年の出水期に大きな災害があったとした場合に、じゃ四十九年度、五カ年計画の第三年度に当たる四十九年度はまた四十八年度の災害復旧に重点を置くのだ、こういうあと追い、あと追いということばかりに実はなっていって、治水五カ年計画そのものが結局災害復旧五カ年計画ということになってしまうのじゃないか。その辺のところをもっと未然に防ぐ。先ほど私のほうの前の質問者からお話があったように、河川全体を見た場合に、都市河川の汚濁の問題がある、海岸の問題がある、いろいろとこれは問題の多いことはわかるのですけれども、そういう人命にかかわるような災害を未然に防止をするという治水計画という観点に立ったならば、どうもあと追い、あと追いということに実はなっていく危惧があるのじゃないか、こう思うのです。その辺のところのお考えはどうなのでしょうか。
  121. 松村賢吉

    ○松村政府委員 ただいま申し上げましたのは、災害のあった場所を復旧するということではなしに、この災害にかんがみまして、これを改良計画を含めましてそこのところをやっていくということでございまして、再度災害等が起きないようにやるわけでございます。ただし、その他の危険な個所、それをなおざりにするということではありませんで、その他の、去年災害を受けなかったからといって、ことしそこをないがしろにするということではなくて、そのうちでもやはり危険の伴う個所等、いろいろ調査しておりますので、こういうところはもちろん重点的にやっていくということになるわけでございます。
  122. 田口一男

    田口分科員 私は、すべてがすべてそうだとは、そこまでは断言しませんけれども、ひとつ、二、三具体的な事例を申し上げて——たぶんこれはそういった関係から陳情、要請があって、皆さんの耳に届いておると思いますから、その具体例を申し上げたいのですけれども、たとえば淀川水系の木津川の上流の治水事業ですね。三重県伊賀上野市、ここには御存じのように岩倉峡というたいへん地形の複雑なところがあるのですが、毎年毎年、雨が降るともう水害常襲地帯と言ってもいいところです。こういうところに目をつけられて、この岩倉峡を中心としたいわゆる木津川上流の治水事業の一環として、もうすでに建設省が相当巨額な金を投資して、いまの治水のダムであるとか洪水調節のための遊水地——可動貯留というのですか、事業をやっておることは私も現地に行ってこの目で見てまいりましたが、それが完成をすれば、確かに伊賀上野盆地に住む住民が長年苦しめられた水害常襲の地帯から解放される。これはたいへん喜ばしいことだと思うのです。ところが、同じ木津川のもう一つ上流に、これは小さい部落ですからこういうところで名前をあげてもちょっとおかしいのですが、木津川の支流に長田川というのがございます。その長田川の沿岸に、行政区域は上野市に入るのですが、下郡という小さな部落があるのです。私は、去年の暮れからことしの初めにかけて、現地の強い要請もあって見てきたのですが、これは皆さんのほうもたぶん地図で御存じ願っておると思うのですが、下郡というところを中心にして考えた場合に、下流、上流の川の幅が大体百四、五十メートルございます。ところが下郡というところだけは七十メートルあるかなしですね。六十何メートルだと思うのです。そういう袋状態になったところですから、去年の七月の例の台風の際にたいへんな鉄砲水が出まして、部落民が全部避難をいたしました。市役所のほうから救援車を持ってきたのですけれども、車を目の前にして車に乗ることができぬわけです、もう水に取り囲まれてしまって。幸いに去年の場合は、昼間の水害でありますから人命の被害というものは全くなかったわけでありまして、あれがもし夜中にでもあった場合には相当な被害が出たのじゃないか。こういう苦い経験から、何とかしてもらいたい、川幅を広げるというふうなことも考えられぬだろうかというのが出てきておるのですね。ところが、そういう要望に対して、これははっきり言って長田川は国の直轄管理じゃございませんから、それは県のほうでやらなければならぬだろう、市のほうでやらなければならぬだろうということで、いまのところまだ話が煮詰まっていないように聞いております。しかも、昨年の出水の原因は、これは県で調べたところによりますと、その周辺で近鉄資本が大々的な宅地開発をやったり、それから青蓮寺というところがあるのですが、そこのパイロット事業によって相当な水が出てくる。だから千九百トン程度の流量を予測しなければならぬだろうといっておるのですが、依然として、その下郡というところに限って言うならば、河川改修というものがいつ着工できるのか、どういう方法でやるのかということについて明らかにされていないと、実は地元のほうでは言っておるわけであります。ですから、ことしの六月、七月の出水期を前にして、またぞろ昨年のようなことがあるのじゃないか、どうしようといって戦々恐々としておるのが実情なんです。そういう事例から見ても、私はさっき後手後手という表現を使ったのですが、これはそういう危険な個所が明らかである以上、積極的に災害を未然に防ぐ、先取りをするという意味からやる必要があると思うのです。いま私が一つの例として伊賀盆地の木津川上流の治水事業にからんで、下郡の部落の状態を申し上げたのですが、それについては直轄ではないにしても、中小河川対策ということでどういうふうに対策をとろうとしておるのか、ちょっとお聞かせをいただきたいと思うのです。
  123. 松村賢吉

    ○松村政府委員 ただいま御質問の個所、確かに木津川の上流、これは直轄のさらに上流で、昭和三十年度から中小河川に採択してやっておるところでございます。それで、これにつきましては中小河川で施行中でございますけれども、この下郡地区は、非常に川幅が狭くて大幅な拡幅が必要だということは現在よくわかっておりまして、これの計画を目下立てておるところでございまして、これによりますと百戸ほどの家屋移転が伴うというようなことでございます。それで、これの拡幅の計画について地元に現在説明を大体終わった段階で、家屋移転について三重県と上野市が調整中でございます。この調整がつき次第、私どものほうは重点的に予算措置をやりまして、早急に完成させたいというふうに考えております。
  124. 田口一男

    田口分科員 いまのお話ですと、地元の市並びに三重県でいろいろ話をしておるということなんですが、私が現地で聞いた限りですと、たとえば県の計画は、中小河川はいろいろあるからそう一ぺんに要望があってもできない、これは話としてはわかります。では一体めどはどんなものだ、さらに財源の問題などについてどういう見当をつけておるのかというと、同和対策事業の一環としてそれも含めてやりたい。御承知かと思うのですが、この下郡というところは俗に言う同和地域です。そこで、じゃあ同和関係建設省所管する事業費はことし組まれておるのかどうかということをちょっと聞いてみますと、全く組まれていないのですね。住宅関係については約十二億組んではあるのですけれども、そういう問題については全く同和関係としては組んでいない。そうなってまいりますと、ことしの予算がついてないからという、これは地元の言い方ですよ。ことしの予算がついてないからほうられる。そこへもってきて県のほうではありもしない予算を当てにして、ひとつ同和関係予算も含めて考えてみる。ところがことしはない。そこでいろいろ突っ込んでみると、昭和五十年ごろになれば何とか目鼻がつくのじゃないですか。たいへんのんびりした態度なんですね。ことしの出水期を前にして戦々恐々としておるのに、昭和五十年ごろになったら何とかしましょうという態度では、地元の住民の不安というものはなかなか解消できぬと思うのです。  それから、私は専門家じゃないし、ただ見た感じですから正確な言い方にはならぬですけれども、長田川の下郡という部落は左岸です。右岸に近鉄の伊賀上野線というのが走っておるのですが、左岸から右岸を見た場合、右岸のほうが堤防が高いというのですね。私もちょっとこういうふうにして見たのですけれども、左から右を見るのですから若干高いというふうな感じはないでもないのですけれども、地元の住民の気持ちとしては、おれたちの左岸のほうが低いじゃないか、もし雨が降ったら全部こちらに流れてくるじゃないかという心配。しかもこの長田川の上流、青山の辺には膨大な宅地開発が二カ所、それからレジャーランドといったようなところが二百万坪と言っておるのですが、真偽のほどはわかりませんけれども、相当大きなレジャーランドも開発をする。いますでに着工しようとしておる。そうなってきますと、河川の改修が五十年ごろになる。宅地開発がどんどん進む。ことしちょっとの雨が降っても千九百トンと押えた流量がもっともっとふえていく。しかも地元の住民が不安がっているように、右岸に比べて左岸のほうが低い。そうすると全部こちらに流れ込んでくる。こういう不安があるのですから、こういう問題については、さっきの五カ年計画云々、四十八年度は四十七年度の河川の復旧が重点だということはわかるのですけれども、やはり災害を未然に防ぐという観点から——そういう個所は全国にまだあるだろうと思うのです。私は地元の例を二、三申し上げたのですが、ひとつ早急に改修するように、そういった点についての見通しがあれば、まずここで明らかにしていただきたいと思います。
  125. 松村賢吉

    ○松村政府委員 最近、大河川のみならず中小河川の被害が非常に多いということも事実でございます。それで、河川局の全体の方針といたしまして、やはり中小河川、補助河川の充実ということは年々考えておりまして、予算面におきましても、年々直轄に対する補助の割合というものはふえつつある。こういうことは、やはり中小河川に重点が相当来ておるといいますか、やるということで進めておるわけです。ところが、何ぶん河川の数が非常に多いものでございますから、それを全部一度にやるわけにはいかないわけで、これを特に重要なところ、危険なところからやっていくということになるわけでございます。しかし、また河川を改修するに伴いまして一番大きなネックになるものはやはり用地補償関係の問題、金がついてもできないというところもございますので、こういう危険個所につきましては、私どものほうは、用地についてまず見通しと申しますか、それを進めて、それで金もつけてまいるというふうに考えておりますので、先ほども申し上げましたように、この用地の見通しもだいぶつきかかっておるようでありますので、こういう点が見通しがつけば重点的に相当大幅に資金をつけて、五十年ということでなく、できるだけ早くやるように措置をしていきたい、こう思っております。
  126. 田口一男

    田口分科員 いまの問題についてはこれ以上深く言いませんが、ただ、この際、要望しておきたいのは、そういう治水の五カ年計画がある以上、全国的な中小河川のそういう危険な個所についても一応の調査が終わっておるものと思います。ですから、先ほどから何回も言っておりますように、災害を未然に防ぐ、国土を保全するという観点から、早急にそういった分野についての有効な手を打っていくように強く要望しておきたいと思います。  最後にもう一つ、これは事情を聞きたいのですが、先ほど少し触れました岩倉峡の遊水地というのですか、その計画で現在作業が進められておると思うのですが、地元のほうからの一つの心配、不安は、遊水地に予定した約三百ヘクタール程度のところの国家補償といった問題が明らかになっていないので、その周辺、さっきも言いましたレジャーランドだ何だかんだといって地価がどんどん上がってくる、そういう住民、所有者の不安があるものですから、せっかく岩倉峡の開発というか水害対策に手をつけた以上、早急にそういう住民の不安を一日も早く除去していただくように、またそういう計画が進展しておるならば最後にお尋ねをして、質問を終わりたいと思います。
  127. 松村賢吉

    ○松村政府委員 この遊水地の補償の問題につきましては、非常に重要な問題でございまして、これは当初から非常に慎重に検討しておるわけでございます。また地元の御意見等も伺いまして私ども慎重に検討しておりますが、これもできるだけ早く結論を出して、地元の皆さま方に御安心いただけるような措置を考えていきたいというふうに考えております。
  128. 田口一男

    田口分科員 なるべく早くと言うけれども、まだ具体的な処理がないんですね。
  129. 松村賢吉

    ○松村政府委員 方式がいろいろございまして、このいろいろの案につきまして検討しているわけでございますが、まだこれを一つにまとめるというようなところまで実はいっておりませんので、早急に一つにまとめたいと思っております。
  130. 藤波孝生

    藤波主査代理 これにて田口一男君の質疑は終了いたしました。  次に中島武敏君の質疑に入るのでありますが、本日は同君の質疑に対し、参考人として日本住宅公団総裁南部哲也君が御出席になっております。  なお、御意見は質疑をもって聴取することにいたします。中島武敏君。
  131. 中島武敏

    中島分科員 きょうは非常に時間が制約されておりますので、端的にお伺いしたいと思います。  公団の家賃問題についてお伺いしたいと思うのですが、最初に大臣にお伺いします。  日本住宅公団法第一条の目的の項で「日本住宅公団は、住宅の不足の著しい地域において、住宅に困窮する勤労者のために耐火性能を有する構造の集団住宅及び宅地の大規模な供給を行うとともに、」云々というふうに書いてありまして、住宅に困窮する勤労者のために住宅をつくるという義務を公団は課せられていると思うのです。  そこで、昭和四十八年度の予算を見ますと、公団住宅の賃貸住宅の新築計画が大幅に減っております。四十六年度で五万八千戸、四十七年度六万二千戸そして四十八年度は四万八千戸と激減しておりますが、これはなぜこういうことになっておるか、最初にお伺いしたいと思います。
  132. 沢田光英

    ○沢田政府委員 公団の第一条の目的はそのとおりでございます。公団の全体の戸数が、本年度、四十八年度につきましては、前年度、四十七年度よりも予算案では八千戸減になっております。これは結局土地問題、あるいは地方財政問題、あるいは大都市周辺の各県におきます人口計画、かようないろいろ隘路が急激に出てまいりました。そこで四十七年度におきます公団の建設が非常におくれてまいっております。四十七年度につきましては大体五〇%弱の年度末での発注率になろうか、かような状態でございます。そのよなう状態を踏まえまして、四十八年度の戸数を実は予算案に組んだわけでございますが、その施行能力からいきまして、八千戸減じて八万戸ということにいたしました。  ただ、その内容といたしまして、先生指摘のように、その中で賃貸住宅が前年よりも一万四千戸減じておりまして、これは一つには、地元のほうで賃貸住宅は困る、分譲住宅にしてもらいたいということもございますけれども、それ以上に、私どもといたしましては別の考え方がございまして、この八万戸の中に二万二千戸の長期特別分譲という新しい制度を入れております。これは公団の階層、いわゆる勤労階層でございますが、これの半分より上のほうの階層、この方々は最近持ち家の希望が非常に強うございます。国民全体から申しましても相当強うございますし、特に、公団の階層の中の上半分のほうは持ち家の希望が強いということでございます。その辺を考えまして、それでは賃貸住宅と同じような負担で、しかも勤労者でございますから収入が上がる、こういう条件を加味いたしまして、持ち家にふさわしいようなものを家賃と同じ程度の支払いで持てる新しい制度をつくるというようなかっこうで、先ほど申しました二万二千戸をつくりました。したがいまして、一万四千戸見かけで賃貸は減りましたけれども、その階層にふさわしい住宅供給として新しい制度でカバーしていく。持ち家、借家論だけから申しますと先生のような御議論になるかと思いますけれども、階層の応分の負担による適性な住宅というようなことでは、この三十年にわたります賃貸住宅の並みの割賦ということは、第三の手法ということで必ずしも持ち家、借家では割り切れない、かように感じておる次第でございます。
  133. 金丸信

    金丸国務大臣 先ほどの先生からの御質問でございますが、賃貸住宅の問題につきましてはいま局長が説明したとおりでございますが、さりとて実際問題として賃貸住宅はこれでいいのかということになりますと、希望しておる数というものがこれ以上に多いということも承知しております。そういう意味で、予算委員会で住宅五カ年計画というものをいま一回考え直してみたい、私はこういうことを申し上げておるわけでございますが、一番住宅に困っている人はだれか、それは賃貸住宅を希望しておる人も困っておるということをまず重点に置くべきだ、こうも考えております。
  134. 中島武敏

    中島分科員 いまお話がありましたが、私は持ち家住宅をふやすのが悪いとは思わないのです。これもふやしてもらわなければならない。しかし、同時に大臣が言われたように、賃貸住宅に対する要求も非常に大きいことは事実であります。そして予算委員会大臣が言われたように五カ年計画を考え直してみたいという御発言があって、私も予算委員ですから大臣のその発言を聞いておりました。  そこで、私は具体的な点で御質問したいのですが、ことし一万四千戸賃貸住宅を減らした。このことに関してよろしい、来年度はことし減らした分くらいはもう一度ふやしていこう、こういうような意思がおありかどうかということについて、これまた端的にお伺い申し上げたいと思います。
  135. 沢田光英

    ○沢田政府委員 私ども計画を遂行しておりますもとは五カ年計画でございます。これは四十六年から五十年までの期間の階層別の供給計画、すなわち負担力に応じます政府の援助の施策の戸数を決定してございます。これは結局負担力と住居の質の二つからきめておりまして、それぞれ適当な階層に適当な負担で適当な水準の住宅をという計算方法でやっております。年収百二十六万、これは四十年価格でございますが、これの五十年時点でございますが、これ以上の階層につきましては公営住宅というような、いわゆる手厚い援助のものでいくということで、これは公営住宅といたしまして十二万何がしのものの予算を組んでございます。その上のほうは公団と公庫の融資ということでございまして、これが年収にいたしますと大体百九十三万から百二十六万、こういう階層の方々につきましては公庫の融資あるいは公団の分譲、公団の賃貸のほうはその階層の中でも比較的下のほうに厚くなる、かようなかっこうで実は積み上げております。  したがいまして、一応五カ年計画の上から申しますと、総数が公団につきましてはきまっております。その総数の中で、私、先ほど申し上げましたように、筋から申し上げますればその減った分というものを同じような種類の別の持ち家と申しますか、第三の手法で埋めたということでございますので、私どものほうは基本的には筋は違ってないというふうに感じております。したがいまして、今後のことはこれからの話でございますが、計画に従いますればいままでどおりの線、四十八年度の線の延長でそごがなく五カ年計画が完成されるというふうに感じております。
  136. 中島武敏

    中島分科員 大臣の考えを……。
  137. 金丸信

    金丸国務大臣 私が先ほど申し上げたとおりでございますが、問題はこれからの土地の問題、また全国的な状況の調査、そして三十八万戸という調整戸数もあります。しかし、それを上回るだろうという感じのもとに私はいま考えておるわけですが、変えるということはそういうものも含めてふやすということであると御理解いただきたいと思います。
  138. 中島武敏

    中島分科員 いま大臣がふやす方向で大いに検討したいという。この住宅要求は非常に大きいわけですから、ぜひひとつ来年度さらに大いにふやすようにしていただきたいと思うのです。  次にこの問題に関連しますが、家賃の問題そのものについて伺いたいと思うのですけれども、大体家賃というのは勤労者の収入の何%ぐらいが適当だというふうに大臣はお考えになっておられるでしょうか。
  139. 沢田光英

    ○沢田政府委員 数字的なものがございますので、まず私から申し上げます。  私ども住宅宅地の審議会を大臣の諮問機関として設けてございます。これが四十二年でしたか、そのころに住居費負担はいかにあるべきかということに関しまして中間報告が実は出されておるわけです。これは正式の答申ではございませんが、その後私どもがいろいろ計画を組むときにあたりまして基本になっておるものでございますが、これは谷委員という方がいろいろとやられた結果の報告でございます。これによりますと、大体一五%から二五%——これは所得階層によっても違います。それから家族数によっても違います。地域によっても違います。そういう大きな表があるわけでございますが、そういう間に分布をしておるというかっこうでございまして、実は公団などにつきましては、その中から五カ年計画等では二八ないし二〇というあたりのところをねらって実は私どもも計画をしておるというかっこうでございまして、また、国際的に見ましても大体その辺のところが住居費負担率としては適正なものではないかというふうに考えております。
  140. 中島武敏

    中島分科員 ところでいま一五%ないし二〇%、公団の場合には二八%から二〇%ぐらいをねらわれるというお話でありましたが、公団の賃貸住宅の応募資格で必要な収入というのはどれくらいになっておりますか。
  141. 沢田光英

    ○沢田政府委員 それは家賃の四倍という条件でございます。
  142. 中島武敏

    中島分科員 家賃の四倍。同時にいろいろ便法を講じられて、なかなかこれはたいへんだというので、私の聞いているところによりますと、月収十万といいますか、年収でいえば百二十万ということで扱っておられるようでありますが、これは間違いありませんね。
  143. 沢田光英

    ○沢田政府委員 そのとおりでございます。
  144. 中島武敏

    中島分科員 日本で月収十万以上の労働者は一体どれくらいいるというふうに考えていらっしゃいますか。
  145. 沢田光英

    ○沢田政府委員 労働者というのはちょっとございませんが、都市勤労者に関しましての調査でございますが、昭和四十七年度におきましては七〇%、四十八年度の推定では八〇%程度という数字が出ております。
  146. 中島武敏

    中島分科員 大体七〇ないし八〇%。七、八割ですね。そうすると、一人の方の賃金だけで公団の賃貸住宅にはいれない人が七、八割、こういうことになるわけでありますが、こうなってくると、公団の法律の第一条に掲げられている目的を果たせないということに、率直に申し上げますと実際上はなってくると思うのです。で、これは、公団の目的を一体放棄したものかというような話にもなろうかと思うのですが、いかがですか。
  147. 沢田光英

    ○沢田政府委員 私が先ほど申し上げました数字は十万円以上の世帯でございます。七〇%は十万円以上の世帯ということでございますから、十万円以下のものが三〇%ないしは二〇%ということでございます。
  148. 中島武敏

    中島分科員 それは世帯ですか。
  149. 沢田光英

    ○沢田政府委員 そのとおりでございます。
  150. 中島武敏

    中島分科員 労働者の一人の——勤労者と言ってもいいですが、一人の賃金はどうなっておりますか。
  151. 沢田光英

    ○沢田政府委員 世帯一人当たりの意味でございますか。
  152. 中島武敏

    中島分科員 労働者一人当たり……。
  153. 沢田光英

    ○沢田政府委員 ちょっといま資料を持ち合わせておりません。
  154. 中島武敏

    中島分科員 それは私が調べたところといいますか、政府の発表したところによりますとこうなっているのですね。国税庁の給与所得者の所得階層別分布というのを見ますと、適当な数字がないのですが、百万円以下で五七・八%、百五十万円以下で八二・九%、それから労働省が賃金構造基本調査をやっておられますが、これによりますと、十万円以下が八六・四%、十万円以上が一三・六%ということになるわけであります。つまり労働者一人の賃金ということになりますと、実際には公団の賃貸住宅の応募資格というのはきわめて限定されてくるという結果が出るわけなんです。そこで私は先ほどのような意見を申し上げたわけなんです。その点についてどう考えられるか。この数字自身についてはおそらく間違いないでしょう。
  155. 沢田光英

    ○沢田政府委員 公団に応募いたしますのは世帯単位でございます。したがいまして、一人だけの働き手ということになりますと先生のおっしゃるような条件が当てはまってくるかと思うのです。ただし、公団は大体勤労者の中でも若い都市勤労階層が非常に多うございます。したがいまして、家賃を払うためということではなしに、まあ共働きというケースが非常に多うございます。そういうことで相当の世帯が応募資格を持ってくる。募集に対しての集まり方がそういうふうなかっこうで、共働きの方が実はかなり多いというふうなことでございます。
  156. 中島武敏

    中島分科員 私はいまの答弁は率直に言えば問題だと思うのです。つまり共働きでなければはいれないということは、裏を返していえば、率直に言いますけれども、やはり公団の家賃が高いということを事実上物語っているものだと思うのです。  で、皆さん、公団に入居されている方々の実情というのをどの程度知っていらっしゃるか。私がいろいろ調べたところによりますと、こういう実態になっているんですね。板橋にあります高島平団地とか、あるいはまた北区に豊島五丁目団地というのがありますが、ここで3DKで二万九千六百円から三万六千四百円というように、これは相当高い家賃なんです。しかも傾斜家賃でありますから、五年間は毎年五百円ないし千二百円ずつ上がっていくということになっているのですね。ですから、五年後には、3DKを例にとれば六千円上がって四万二千四百円になるというふうに、非常に高い家賃です。  これは高島平の団地に入居しておられる方の例ですけれども、入居するときに共働きで月収十万円以上あったから入居することができたわけですが、入居後二人目の子供さんができて、しかも保育所がないということで共働きができなくなった。結局御主人だけの月収でやらなければいかぬ。御主人の月収が幾らかというと七万五千円から八万円くらい。ところがこの人は、九階の2DKに住んでいるのですけれども、家賃と共益費合わせて二万七千円です。それからガス、水道、電気、電話、合わせますと一万五千円。それで上の子供さんの保育料が五千円と、子供の医療費が、これは何か特にかかったのでしょうが、六千円かかった。そうしますと、残りは結局二万二千円ないし二万七千円ということになるのです。これは実際なんですね。二万二千円ないし二万七千円、これで応募資格、入居資格はありますから入っているのです。入っているのですけれども、実際にはこの二万二千円あるいは二万七千円というもので親子四人が食べていかなければならないということなんですね。こういう人たちにとりましては、公団の家賃というのは非常に高い。建設省のほうでもこういう実情を知っていらっしゃるでしょうか。
  157. 沢田光英

    ○沢田政府委員 平均で申しますと、全国で公団の家賃というものは都市勤労者の収入に比べて、私どもがねらいました二〇%以下におさまっておるわけでございます。ただし、いまおっしゃいましたような高島平、ああいうふうな非常に中心に近いところ、あるいはそのほか面開発の、もっと下町のほうの再開発のようなかっこうのもの、こういうところでは土地費その他から、先生のおっしゃいますように確かに家賃はかなり高額なものがございます。一方、実は平均より下のものは、高麗川とかそういうところへ行きますと家賃は低うございますが、なかなか足の問題等であき家が出ておる。すなわち、平均論ではだめだというふうなことでございます。しかも、土地、建物の建設費というのは毎年上がってまいりますから、こういうものは押えなければいけない。私どもは全体の家賃の水準というものをできるだけ押えるというふうな方向をまずとりたいと思っておりまして、四十八年度でも家賃計算におきます金利の引き下げ、あるいは傾斜家賃制度の拡大というふうなことで努力をしているわけでございますが、しかしとにかくそういうふうな平均以上のところではかなり高額なところが出てまいりまして、世帯についていえば、さような生活をしなければならぬという方も出てこようかと思います。そこでそういうふうな公共住宅、特に公団などがそうでございますけれども、公共住宅の家賃というものが上がっていく。これはまあ建設原価に基づいて家賃がはじかれるということにも原因があるということで、実は先国会でも問題になりました。先ほど私が申し上げました審議会に、昨年、公共住宅の家賃はいかにあるべきかという諮問を実はいたしました。それの御答申といたしまして、いろいろとあるわけでございましたけれども、その中にやはり原価に基づかない方法、すなわち収入による方法も一つ考え方としてあるから、そういうものも考えてみたらどうかという御答申がありました。しかし、これは基本的に非常に制度の大改革でございますので、いろいろとしかけの上その他でも問題点が多うございます。そこで、私どもはこういうものに関しましては、長期的な目で検討をいたしていくわけでございますが、しかし、とりあえずはそういう問題ではなしに、いま言いましたように金利の引き下げとか、傾斜家賃の拡大あるいは建設費の低下、これは工業化その他によります実際にかかる建設費の低下、こういうことで極力対処していくということをやっておる次第でございます。
  158. 中島武敏

    中島分科員 私はこれはやはり相当思い切った手を打つ必要があると思うのです。こそくな方法をとっておりましては、家賃は都市部においては特に下がらないと私は思いますね。いまや都市部だけじゃないと思うのですけれどもね。そういう点で確かに言われましたように地価が値上がりしておるとか、資材が値上がりするというようなことも私は原因だと思いますけれども、さらにもっとはっきりいえば、私は政府の政策にやはり問題があるということを言わざるを得ないと思うのです。公団に対して、昭和四十年までは政府の出資金を出しておられましたが、これを廃止されるというようなこともやられております。それで私はこれは思い切ってのお話なんですが、用地費を含めての建設費の三分の一ぐらいは政府がめんどうを見るというような思い切ったことをやってはどうかということをひとつ御提案申し上げたいと思うのです。これはひとつ検討していただきたいと思うのです。  それから、いまお話の中にありました金利の引き下げというような問題がありますが、これにからんで、私は利子補給をどれくらい現在やっておられるか、このことについてひとつお伺いしたいと思うのです。
  159. 沢田光英

    ○沢田政府委員 賃貸住宅につきましては、財投の原資が六分二厘で四十八年度から入ります。四十七年度までは六分五厘の原資でございます、簡単な数字でございますが。それをいままでは家賃計算上は五分でやるということでございますから、一分五厘引き下げております。それが今度六分二厘になりますとともに、下のほうにさらに〇・三下げまして、五分を四・七%というふうにこれを引き下げて、その差額を精算で補給をする、かような仕組みになっております。
  160. 中島武敏

    中島分科員 利子補給を一%やりますと、これは建設省で聞いた話なんですが、大体三千円から四千円ぐらい家賃としては下げることができるというふうに聞いておりますが、そうですか。
  161. 沢田光英

    ○沢田政府委員 大体そのようなことであります。
  162. 中島武敏

    中島分科員 いろいろな家賃を下げる方法というのはあると思うのです。いろんな方法があると思いますけれども、私は政府が手っとり早くやれる方法としてもっと利子補給をふやすということをやったらどうか、やるべきじゃないかというふうに考えるわけであります。現在よりも一%下げれば三千円ないし四千円、そうすれば二%利子補給すれば六千ないし八千円というふうになっていくわけですね。この点で三%以下ぐらいに思い切ってするというような考えはないものでしょうかね。
  163. 沢田光英

    ○沢田政府委員 現在の公営住宅の制度は補助制度でございまして、二分の一補助、三分の二補助でございまして、二分の一建設費補助をいわゆる利子補給、利子に換算いたしますと、大体二分五厘とか二分三厘とか、そういうふうな程度の金利のものを与えているのと同じことになります。したがいまして、そうなると公営住宅と同じような制度になるというふうなことでございます、ただ補助と融資の違いだけでございまして。その辺のことになりますと、政策的に整理をする必要があるということになります。もちろん家賃はできるだけ応分の負担にするという必要はございますけれども、制度全体といたしますと、先ほど申し上げましたように、それぞれ収入に応じて応分の負担はしていただく、適正な水準のものに入っていただく、かような原理でございます。  しかし、地価なり建設費なりが上がることに対処いたしまして一体どうするかということが先ほどの諮問以来問題になっております。実は、最近に至りまして建設大臣から、そういうことを含めまして、また先ほどの審議会に、基本的な体系はいかにあるべきかということを諮問いたしておりまして、私ども非常に大きな問題だけに、大きな取り組みをしようということで実は出発をしよう、すべてを検討をするという態度に出ておる次第でございます。
  164. 中島武敏

    中島分科員 検討されるのはけっこうだと思うのです。結局、国民が願っているものというのは安い家賃の住宅をたくさんつくってほしいということであります。そういう点からいって、私先ほど申し上げましたように、いろいろな制度の研究、検討はこれはおやりになるのはけっこうだと思うのですが、利子補給の問題ということになりますと、これは何も法律を改めなくても、御存じのように省令でやれることでありますから、ぜひひとつ大いに政府のほうでこの点を検討した上で、もっと引き下げる、補助するということに努力をしていただきたいと思うのです。  最後に、私はあき家割り増し家賃の問題についてちょっとお尋ねをして終わりたいと思うのですが、これは私は結論からいいますと非常にけしからぬことだというふうに思っております。といいますのは、公団の賃貸住宅の家賃というのは七十年間で償却できるように初めから計算されているわけですね。いわゆる原価主義であります。新しく住宅を建ててから何か費用がかかるかということになりますと、せいぜい修繕費ぐらいのものであります。ところがこの修繕費は、実際は修繕もほとんどやられていないわけなんです。ですから、あき家割り増しを行なうということになりますと、公団のほうは利益をあげるということになるのじゃないか。公団は一体いつから営利団体に転換したのだという議論に当然なってくるわけなんです。この辺について、私はあき家割り増し家賃などということはやめるべきだというふうに考えているのですが、いかがでしょうか。
  165. 沢田光英

    ○沢田政府委員 公団の家賃につきましては、いま申しましたように、原価に基づいて計算をしております。しかし、修繕費が特別にかかった場合、あるいはそのほかのものとの均衡を失するようになったときには、家賃を変更することができる規定もございます。したがいまして、これはもうけるわけではございませんが、変更することはできるわけでございまして、そのときに、あき家をどうするかということでございます。そのときに、もちろん安いままのもので置いておくということもございますが、しかし、内部が陳腐化しておりますから、この際、相当な改修費をかけて新品同様なものにする、そしてその部分は家賃に改修費として乗っけるというふうなことをまずやる。そのほか、家賃のきめ方につきましては、通常のきめ方で再評価していったときの半分ぐらいまで上げるということになるわけでございますが、もしそれから利が出てまいりますれば、高家賃の分をそれで埋めるというふうなことを公団はやっておりまして、公団がもうけるということではないわけでございます。
  166. 中島武敏

    中島分科員 時間が来ましたので、私これで終わりますけれども、いま高家賃のところに回すのだというお話がありました。しかし実際には、これは私調べてみましたらせいぜい二、三百円程度でございましょう。そうなんです。ところが、新しくあき家に入るということになると、四、五千円もよけいにとられるということになるわけでありますから、なかなか公団に入れないということで苦しんできて、あき家が当たって入る。そうすると、一挙に家賃が上げられているという点では、二重の苦しみじゃないかと思うのです。そういう点ではこの割り増し家賃制度というのは、私は率直に言ってやめるべきじゃないかという御意見を申し上げて、私の質問を終わります。
  167. 藤波孝生

    藤波主査代理 これにて中島武敏君の質疑は終了いたしました。  次に、斉藤正男君。
  168. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 私は、河川管理とダム建設並びにダム管理に関係をして簡単に伺いたいと思います。  御承知のように、河川法第一条はその目的を明らかにいたしておりますけれども、「この法律は、河川について、洪水、高潮等による災害の発生が防止され、河川が適正に利用され、及び流水の正常な機能が維持されるようにこれを総合的に管理することにより、国土の保全と開発に寄与し、もって公共の安全を保持し、かつ、公共の福祉を増進することを目的とする。」ということでいろいろいってはおりますけれども、最終的には公共の安全を保持し、かつ公共の福祉を増進することが目的だと明らかな規定があるわけであります。ところが、この河川がダムの建設によって逆に公共の安全が失われ、かつ公共の福祉が後退させられているという事例を間々見るわけであります。  そこで、第一に伺いたい点は、ダムの建設によって昭和四十七年度中にどういう河川で洪水が発生をしたか。すなわち、異常豪雨であったとかあるいは長雨であったとかいう条件はあるにしても、ダム建設が行なわれていなければこのような洪水はなかったはずだ、あるいはダムの操作規程が確実に正確に行なわれていればこのような洪水は防げたはずだという事例が年々発生をいたしておりますけれども、本年度にこのような事例がどこにあったか、建設省としては十分承知をしているはずでありますので、まずお答えを願いたい。
  169. 松村賢吉

    ○松村政府委員 洪水時のダムの操作につきましては、あらかじめ定められた操作規則あるいは操作規程、これによりまして治水目的のダムにありましては洪水調節等を行なわせまして、また利水ダムにあっては流入量以上の放流を行なわないようにさせております。そういう関係でダムによって洪水が起こったという事例は私どもではないという見解をとっております。しかし、非常に雨が多かったというようなことによって洪水被害が起こったダム、こういう事例は最近、昨年各地で起こっております。それでその被害が生じたものでダムがある場合、その操作についていろいろ問題にされたところ、それを申し上げます。  おもなものといたしまして、まず米代川水系のダムでございます。米代川の水系には洪水調節を含みます多目的ダムといたしまして、森吉、萩形、素波里の三つのダムがございます。この三つのダムにおきまして昨年七月八、九日の洪水のときそれぞれ最大毎秒二百十五立方メートル、三百十一立方メートル、それから七百八十二立方メートルの流入量がありまして、それぞれ洪水調節を行ないました。しかし洪水が非常に長く継続した、雨の絶対量が多かったということですが、長く継続いたしまして、森吉、萩形、この二つのダムには最終的には貯水池が一ぱいになりまして、流入量にひとしい放流を行なうような結果になりまして、また素波里ダムにおいては毎秒四十立方メートルの洪水調節を行なったということでございます。森吉、萩形では洪水調節は行なえなかった、しかし入っただけ出したという事例がございます。  それから二番目といたしまして、川内川の鶴田ダムでございます。川内川の鶴田ダムにつきましては、昨年の七月五、六日出水のときに下流の状況等を考慮しながら極力洪水調節につとめたのでありますけれども、異常豪雨による出水のために、結果的には流入量にひとしい放流を行なう結果となったという事例がございます。  それから三番目が太田川水系のダムと高梁川水系のダムでございます。太田川水系は王泊、立岩、樽床の三つのダムがありますし、また高梁川水系には新成羽川、田原、黒鳥、この三つのダムがございますが、いずれもこれは中国電力の発電を目的としたダムでございます。このダムにおきまして昨年の七月十一、十二日の出水の際には所定の水位の低下、これは操作規程にきまっておるのですが、これを事前に行ないまして、操作を行ないまして、結局流入量をこえない放流を行なわせたということでございます。しかし地元ではいろいろこれについて取り上げて問題にはいたしております。  以上であります。
  170. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 建設省はどこでどういう調査をされているか知りませんけれども、ダムの操作規程に基づいて利水ダムにしろあるいは治水ダムにしろ、流入量以上の放水をしなければ洪水にはならないというような判断をされるとするならば、それはたいへん機械的な判断であって、生きものである河川の実態を知らない答弁ではないかと私はいわざるを得ないわけであります。すなわち米代川にしても、太田川にしても、高梁川にしても、川内川にしても、なるほど異常な豪雨であったというようなことはいえるかもしれませんけれども、もしダムの操作規程が完全に行なわれておったり、あるいはダムがなかった場合はこの程度の水では洪水にならぬということを土地の人たちはよく知っているわけです。流域住民は長いこと住んでいてこの程度の雨では洪水にはならなかったのに、ダムができたために洪水になったという事例が非常に多いわけです。四十七年のこの四つの河川の例も、建設省ではダムのせいではないというような判断をされがちでありますけれども、それは間違いだ。もっと詳細に科学的な調査をしたあげく判断を下すべきだというように思うのですが、いま局長答弁を聞きますと、流入量とひとしい放水であって操作規程には違反をしていない。もとをただすとやはり異常な豪雨であって、ダムがあってもなくてもあの洪水は起きたというような言い方にしかとれないのですけれども、そうなんですか。
  171. 松村賢吉

    ○松村政府委員 私どもの調べた結果によりますと、ダムがなくてもその程度の洪水といいますか流量は流れていくであろう。したがいまして、その被害についてもある程度発生したのではないかというふうに考えております。
  172. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 そこに私はやはり問題があると思うのであります。しかし、この問題をやりとりしておりますと時間がかかり過ぎますので、それでは具体的に次のことを伺いたいと思うのであります。  ダムが建設をされるとどうしても堰堤の上流部、すなわち貯水池内に土石が堆積をいたします。私の地元の天竜水系にも数多いダムがありますけれども、たとえば秋葉ダムに今日どのような土石の堆積があるか、さらにその上流の佐久間ダムにどの程度の土石が流入し、堆積しているのか、建設省は的確な数字を持っているはずでありますからお答え願いたい。
  173. 松村賢吉

    ○松村政府委員 佐久間ダム、秋葉ダムの堆砂につきましては、私どものほうは毎年報告を受けております。そのほか天竜川河状調査委員会の審議にも参加しております。  それで佐久間ダムの堆砂の進行状況、これは昭和四十年に四千二百万立方メートル、四十一年には四千三百万立方メートル、四十二年には同じく四千三百万立法メートル、四十三年四千七百万立方メートル、四十四年五千三百万立法メートル、昭和四十五年の十一月には六千万立方メートルというふうになっております。それで総貯水量三億二千七百万立方メートルございますので、約一八%の堆砂率であるということであります。それで昭和四十六年の初めに新豊根発電所の工事がありまして、その都合で水位を低下させたところ、フラッシュ効果によりまして背水の末端から貯水池中流部へ土砂が移動いたしまして、四十五年に比較して若干河床が低下しているというふうに見ております。また昭和四十六年後期の堆砂量は六千百万立方メートルですから、これが最新のデータでございますが、約一九%の堆砂率という形になっております。  それから秋葉ダム、これの堆砂の進行状況を申し上げますと、昭和四十年に八百八十万立方メートル、昭和四十一年に九百五十万立方メートル、昭和四十二年九百九十万立方メートル、昭和四十三年千三十万立方メートル、昭和四十四年千百三十万立方メートル、昭和四十五年千百七十万立方メートル、それから昭和四十六年千二百三十万立方メートルということで、総貯水量の約三六%の堆砂率というふうになっております。
  174. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 御指摘いただきました数字に明らかなように、これは堰堤ができなければ堆積しない土砂だ。土石は自然流下によって下流に流れ、海に出るものであります。ところがダムができたために、堰堤があるがために堆積土砂として貯水池内に貯留される土石であります。これと洪水との関係は無関係といえますか。これだけふえれば、いまお話しのありましたように、佐久間ダムにして総貯水量の一九%、秋葉ダムにして総貯水量の三六%が貯水池内に土石で埋まっているわけであります。したがって、貯水量だけは絶対量が減るけれども、洪水とは関係ないといえますか。いかがですか。
  175. 松村賢吉

    ○松村政府委員 これはこのダムが洪水調節を目的にしたダムで、その貯水容量を利用して洪水調節をやるという場合には、その有効容量に食い込んでおるときには当然洪水調節には影響があります。したがいまして、下流の洪水調節効果が減ってくるということはいえると思います。このダムにつきましては、二つとも発電専用のダムでございますが、これについて洪水の影響はどうかということにつきましては、ダムの操作によりまして下流に対する影響というものはほとんど考えられませんけれども、ダムの貯水池周辺、特に末端近くはこれの影響が相当ある部分があると思います。
  176. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 私は利水ダム、治水ダムの性格から、利水ダムは洪水のことはあまり考えていないのだ、治水ダムについては洪水調節も考えているのだという基本的な考えそのものに全く同意できないのでありますけれども、機能なり構造がそうなっておりますから、これはよいといたしましても、いみじくもおっしゃいましたように、ダムサイトに与える影響というのは、貯水池内に堆積した沈でん物が大きな影響があるわけであります。それで局長よく御存じのように、川というのは生きものでして、水の面というのは水平なんだということでありますけれども、洪水時の貯水池内の水なんというものは場所によって非常な高低落差もあるわけなんです。それは十分御承知のはずです。しかも堰堤があるときないときでまた違うわけです。それで自然流下しておる流水も洪水時には異常な流れ方をするけれども、障害物である堰堤があることによって、その貯水池内の水の状態というのは非常に常識では考えられない動きをするわけなんです。また力も持つわけなんです。そういうことから考えましたときに、私はやはり利水ダムであれ治水ダムであれ、河川法の目的でいっている最終的な目的はどこまでも確保しなければならぬ、利水ダムだからやむを得ない、治水ダムならば何とかできるという考え方は根本的に間違いだというように思うのですけれども、局長答弁を聞いておると、何か利水ダムの場合はある程度はやむを得ない、治水ダムの場合は十分考えているというようにしかとれないのですけれども、その点はいかがですか。
  177. 松村賢吉

    ○松村政府委員 私はそういうふうに申しているわけではございません。もちろん利水ダムにおきましても、洪水がダムができる前より悪くなるようにすることは、これはもう絶対にいかぬわけでございます。ただし、計画的に下流の洪水量を減らして治水に寄与するというようなことは、治水ダム以外、まあ発電ダム等についてはその目的からいって入れられない。ただし悪くすることはもちろんいかぬ。それから、こういうことでありますから、必要なときにはできるだけ——できるだけというよりも、洪水の被害をなくすように協力するといいますか、そのダムを活用するように、私ども操作規程の中においても極力これができるように、操作規程等についても現在再点検等やりまして、改善するようにつとめております。
  178. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 わずか三十分ばかりの間に大きな問題をお尋ねするので要領を得ないわけでありますけれども、たとえば佐久間ダムに総貯水量の三六%になんなんとするような土石がたまってしまったということは、その建設計画なりあるいは建設当初の予想を立てていたはずですね、それとどの程度食い違っていますか。驚くべき速度で予想外の土石の堆積があるということだと思うのですけれども、予想とはどうなんです。
  179. 松村賢吉

    ○松村政府委員 佐久間ダムにおきますと、昭和四十六年末ですでに六千万立方メートルも堆砂しているわけでございます。それで佐久間の計画堆砂量といいますか、予定された堆砂量総量が六千六百万立方メートルでございますので、ほぼそれに近い値に四十六年までの間にたまってしまったということになりますので、計画とは相当違いまして、大幅によけいたまった。これは計画が甘かったと申しますか、推定に疑問があったと申しますか、ずさんだったと申しますか、結果的にはそういう事態になっております。
  180. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 これは当初の計画がずさんであったことなんですよ。要するに治山治水の根本的な対策を具体的に何もやらずに、ただ堰堤をつくり、水をため、電気を起こすということに主力を置いて、流域並びに上流部の治山治水を何ら顧みなかったところに、当然の結果として出てきた。最終的に六千六百万だと思っていたのが、いまにしてもう予定量に達してしまったということはたいへんなことだと思うのですよ。  そこで聞きますけれども、一体このたまった土石はそのままほうっておくのですか。そしてこれが取水塔まで押し寄せてきたときに、取水も不可能になり発電ができないというような状態もあり得るのですけれども、どうするのです、この堆積した土砂は。
  181. 松村賢吉

    ○松村政府委員 まずその堆積した土砂が治水上、河川管理上非常に問題になる場合、これにつきましては私どものほうといたしまして、当然その土砂の措置、これを許可しました電力会社その他に命ずることもありますし、また私どものほうで排除するということも必要かと思っております。ただし、発電の機能がそれによって低下するという面につきましては、河川管理上、河川管理上と申しますか機能としてはもちろんあれですけれども、河川管理としては問題にならないような場合には、電力会社なら電力会社のほうが機能を維持するために取るということはありましょうが、私どものほうで行政的に取らせるということは考える必要ないのじゃないかと思っております。
  182. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 あなたたいへんなことをおっしゃる。そうすると、発電会社は、もうダム全体に土石がたまってしまって発電能力がなくなった。発電をやめる。ダムなり発電所を放棄して引き揚げるといった場合に、建設省はどうするのですか。その構造物なり、たまった土砂なりというものをそのまま置いて発電会社が放棄することを認めるのですか。われわれの世代はいいんですよ。このような状態で全国の各河川の貯水池に土石がたまる日が来るんですよ。そのときに放棄して引き揚げるのを許すのですか。どうなんですか。
  183. 松村賢吉

    ○松村政府委員 現段階においてはそういうような問題はまだ起こっておりませんので、具体的事例はもちろんございません。しかし考え方といたしましては、そういうような事態になったときに、無条件に放棄して引き揚げるということは許される問題じゃないと思います。少なくとも河川の管理上これが支障のないような措置、発電はかりにできないとしても、その他のものに影響を与えては困りますから、それが出ないような措置をした上において撤去といいますか、引き揚げさせるということになるのじゃないかと思います。
  184. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 なるのじゃないかと思いますというような態度では、この狭い日本国土の保全について、とてもじゃないが国民のために責任を持った政府答弁とは思えないですね。いまにして確固たる方針を確立しない限り、私はたいへんなものを次の世代に残すということを心配して言っているわけですけれども、もういい。一ぺん建設委員会へ行って詳細なお尋ねをいたしたいと思います。  時間がありませんので二つだけ聞きますが、この四十七条四項に、「河川管理者は、当該ダムに関する工事又は河川状況の変化その他当該河川に関する特別の事情により、当該操作規程によっては河川管理上支障を生ずると認める場合においては、当該操作規程の変更を命ずることができる。」こういうことで操作規程の変更が四十七条で規定されておりますね。建設省は管理者として、この操作規程の変更をこの条文に基づいて命じたことがありますか。
  185. 松村賢吉

    ○松村政府委員 変更させた事例はございます。
  186. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 それでは具体的にまた後ほどお伺いをいたしますけれども、同じく五十二条に、「河川管理者は、洪水による災害が発生し、又は発生するおそれが大きいと認められる場合において、」云々ということで、緊急措置命令を出す規定もありますね。「必要な措置をとるべきことを指示することができる。」ということですが、この五十二条の適用はやったことありますか。
  187. 松村賢吉

    ○松村政府委員 この五十二条の適用はございません。
  188. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 操作規程の変更なりあるいは緊急指示なりということが法律によって示されておって、操作規程についてはこの四十七条四項を適用し、変更を命じたことがある。しかし緊急指示はしたことがないということであります。  大臣がお見えになりました。前半の質問は聞いていただけなかったのですけれども、河川法第一条の目的からいって、今日のダム建設、あるいはダムの操作規程、あるいは貯水池に堆積をした土石の排除、あるいは今後のその扱い等々から、河川法はこの際改正しなければならぬ多くの問題をかかえている。たとえばこの緊急指示などは、条文にはあるけれども一ぺんも適用したことはない。しかしダム建設にかかわる災害が多発をしているといわれている今日、検討しなければならぬ時期にきているというふうに思うのですけれども、大臣の見解を伺いたい。
  189. 金丸信

    金丸国務大臣 災害を未然に防止するためにあらゆる方途を講ずることは当然であります。そういう意味で、河川法をひとつ私も十分に勉強さしていただいて、先生の御趣旨を十分くんで考えさしていただきたいと思います。
  190. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 せっかくの御答弁でありますけれども、電調審が、御承知のように電源開発についていろいろ審議をし、答申も出しているわけでありますけれども、私はエネルギー源の枯渇、特に火力発電というのが、今日の火主水従からまた水主火従にならざるを得ないときが来る、原子力は御承知のようにいろいろまだ学問的、科学的な問題があって、直ちに大量発電ということが、特に日本国土でできるかどうか、これまた多くの疑問を持つものであります。そうすると、もう一ぺん豊富な日本の水資源というようなものが重視をされ、再検討をされなければならぬときが必ず来る、火主水従は長いこと続かない、水主火従になるときが来ると私は思うのです。こういうときに、良心的に国民的な立場に立って河川法が検討されなければ、電力資源の開発などということはとうてい困難なときが来たというように思うわけであります。したがいまして、そうした大きな視野に立って検討してみたいという大臣のいまのおことばは、率直にそのまま受けとめたいのですけれども、いままでもたびたびこういう問題をやってまいりましたが、なかなか踏み切れなかったというのが現状であります。特にこの際、実力大臣でございますから、金丸さんが在任中にこの河川法にメスを入れて、豊富な水資源の開発が、国民の命と暮らしを脅かすようなことでなくて、ほんとうに第一条に規定されている福祉の増進につながるような検討をぜひともお願いをいたしたい。建設委員会へ行ってまたやらしていただきます。
  191. 藤波孝生

    藤波主査代理 これにて斉藤正男君の質疑は終了いたしました。  午後一時三十分より再開することとし、郵政省所管を審査いたします。  この際、暫時休憩いたします。    午後一時二分休憩      ————◇—————    午後一時三十三分開議
  192. 藤波孝生

    藤波主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  前田主査が所用のため出席できませんので、その指名により、私が主査の職務を行ないます。  昭和四十八年度一般会計予算及び昭和四十八年度特別会計予算郵政省所管並びに昭和四十八年度政府関係機関予算日本電信電話公関係を議題といたします。  この際、政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は必ず的確に要領よく簡潔に行なわれますようお願いをいたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上普方君。
  193. 井上普方

    井上(普)分科員 全逓バッジ、このバッジをつけることによって郵政職員が研修を受けられなかったというような問題がございました。  昨年、私はこの問題について、廣瀬郵政大臣の時代でございましたが、質問したのであります。ところが、その問題がえらい長引きまして、結局、去年の暮れの年末闘争のときにこの問題が解決した。ほんとうですか。どんなです。ひとついきさつを御説明願いたいと思います。
  194. 北雄一郎

    ○北政府委員 昨年三月、先生から予算委員会分科会におきましてそういう御指摘がございました。たとえば、そのときの御指摘では、強制的にはずさせるとか、あるいは出張した者がバッジをつけていたら出張先の局へ入れないとかいうような御指摘であったのでございますが、その当時の郵政大臣が御答弁申し上げまして、それで私どもといたしまして、そういった強制的にはずさせるとか、あるいはその出張者を局へ入れない、これは行き過ぎた行為であるということで、そういったことは管理者としてとるべきでないという指導を当時いたしました。しかし、この問題につきましては、より明確に、また根本的に本省において統一指導すべきじゃないかというふうに考えまして、その後検討を続けてまいったわけでございますが、結果的に昨年の十一月に、今後組合バッジの取りはずしを命令しないということをはっきり組合に表明をした、こういう経過並びに次第でございます。
  195. 井上普方

    井上(普)分科員 大臣、いまのお話をお聞きになったと思うのです。去年の三月に、この委員会において廣瀬郵政大臣が、そういうのは行き過ぎである、したがいまして、バッジをつけておるがために庁舎に入れないとか、あるいはまた講習を受けさせないようなことはやめさせます、こう明言されておるんですね。ところが、本省で統一指導をしなければいかぬのです、いまの御答弁によると。ために十一月まで指導が徹底しなかった。これは一体どうなんです。大臣というのは郵政省全体を統一指導するのが私は大臣の役目だと思う。ところが、三月にお約束して、しかも国会において約束しているんですよ。それが十一月まで延ばされておる事態についてはどうお考えになります。大臣というのは、これは伴食大臣というのがあるようではありますけれども、そんなんじゃ困ると思うのです。どうでございます。
  196. 久野忠治

    ○久野国務大臣 検討し、その実施の時期や指導の時期が延びたということは、たいへん私は遺憾に存じます。このようなことが繰り返されないように十分私は配慮をしていきたいと思います。
  197. 井上普方

    井上(普)分科員 私はその間三池大臣にもこのことを確かめたことがあります。これは、当時十  一月だと思うのです。こういう大臣が国会で答弁し約束されたことが、ともかく七カ月も八カ月もかかるということは、一体 わずか一つのバッジです。この問題でもこれぐらい、ともかく大臣がここで答弁されたことが直ちに実施できない、こういうことがあっていいんだろうか。ともかく郵政省のいままでの労務管理のやり方というものは大臣の意思に反したやり方が行なわれているのじゃないだろうか、こう思わざるを得ないんです。いかがでございますか。
  198. 久野忠治

    ○久野国務大臣 御指摘の点等もちろんのことでございますが、今後そうした問題等につきましては、十分早急に配慮されるよう努力をいたしたいと思います。
  199. 井上普方

    井上(普)分科員 早急に配慮されると言いますが、大臣、はっきり言えばこの国会で国民に対してあなた方は御答弁なさっているんですよ。われわれは国民の代表なんだから、そこで約束されたことが七カ月も八カ月もかかる事態は一体どうなんだということなんであります。しかも、いま御答弁になったその人は、そのときに当時の廣瀬郵政大臣に盛んに耳打ちをし、洋服のそでを引っぱった御本人なんであります。それほど大臣というものの権威、大臣というものの言明がないがしろにされておる郵政省でございましょうか。私は、こういうようなことを考えますと、いまの政党政治というものに対して大きな疑問を持つ。特に郵政省における大臣の指導力の低下といいますか、責任の薄弱さ、発言せられたことが守られない。ともかく大臣がおっしゃったことが十一月までは守られなかったんですからね。これはどうなんです。大臣の役人に対する指導性を実は疑わざるを得ないのです。指導性と申しますか、あなたの部下でしょう。それに対して大臣の言っておることが、ともかく下部に徹底しない。しかも下部といいましても、局長連中に大臣の言うことが徹底しない。これでは一体どうなるのでございます。あなたが幾ら国会で意思を表明せられても、その意思というものが七カ月も八カ月もかかるというようなことでは、私は困ると思うのです。どうでございます。局長あるいはまた役人に対する指導性につきましての確固とした方針をお伺いしたいと思うのです。
  200. 久野忠治

    ○久野国務大臣 今後とも、そうした点については十分私は注意していきたい、かように存じます。
  201. 井上普方

    井上(普)分科員 同じ去年の三月に、そのうしろにおられる方がともかく一緒になって御答弁になったことです。当時大臣のそでを引き洋服のすそを引いておった御本人なんであります。これがこういうように指導ができない。大臣の言明したことができない。まことに残念といいますよりは、大臣の存在価値を疑うのであります。大臣が国会であるいは国民にお約束したことは的確に守って直ちにやっていただかなければならない事柄だ。バッジ一つはずすのに七カ月も八カ月もかかる。バッジをつけたりはずすのはわずか二、三分で済むことなんです。それがそれくらいかかっておる。いまの郵政省の労務管理、これはまさしくおかしいの一語に尽きると思うのであります。今後とも大臣は、大臣としての権威を持ってやっていただきたいことを強くお願いいたしたいのであります。  続きまして、昨年何月ごろでございましたか、三、四、五月ごろからPCB問題が貯金支局あるいはまた郵政職員の間で問題になったのであります。といいますのは、PCBを含んでおる複写紙を貯金関係において使っておる。その紙を集積しておりますところにおきましては、空中におけるPCB濃度がかなり高くあらわれておるということで、職員の間に非常に不安感を醸成したのであります。これを調べてみますと、徳島の貯金支局でございますが、非常に高濃度な空中のPCB濃度が発見せられまして、この問題は全国の郵政職員に動揺を来たしたのであります。たしかあれは去年の夏ですね、この問題について三池大臣当時ですが、私はお伺いしたのでありますが、当時旭川並びに甲府の貯金支局において患者が発生した。その後徳島におきましても四十数名だったと思いますが、要検査人員があらわれたということであったのですが、徳島の場合、このPCBに汚染せられておると思われる人を五人しか検査しておらないのであります。あとの人たちはどうするのだということなんでありますが、PCB問題のその後について、お知りの限りひとつ御説明を承りたいと思うのです。
  202. 北雄一郎

    ○北政府委員 徳島貯金局におきましてPCB関係の用紙を扱っております人たち、すなわち原簿関係の事務従事員が百六名おります。この百六名につきまして、昨年、特定化学物質関係の厚生省の規則に基づいた第一次検診を実施いたしました。その結果、自覚症状等を勘案いたしまして、必要度の高いと思われる五名をまず選びまして、この五名につきまして徳島大学に依頼して精密検診を実施したのであります。これは昨年の七月から十月の終わりまでかかりました。その結果、十月の終わりに徳島大学の医学部から健康診断の結果についてというような報告を受けておりますが、それによりますと、PCBによると思われる症状あるいは検査所見というものは認められないということになっております。実は当初は、先生おっしゃるように、もっと多くの人間について同種の精密検診を行なう予定でございましたけれども、ただいまの五名の者、すなわち一次検診の結果一番その疑いがあるという五名につきまして精密検診をしたわけでございますが、その結果から判断して、それ以上に及ぼす必要はなかろうという大学側の意向もございましたし、また同時期に全国的に他の地方貯金局におきしまても、先ほど申しましたような、厚生省の方針によります一次及び二次の検診をやったわけでございますが、その二次検診の結果からも、PCBによるという異常は認められませんので、そういう全体的な数字からいたしまして、検診を継続しなくてもよいのではないかというふうに考えておる次第でございます。そういう検診の結果から見ましても、そういうことで職員の健康は保持されるものと思っておりますし、こういった検査結果でありますから、そういった全国的な検査結果を当該貯金局におきましても職員に十分周知していくということをやっておりますので、一応徳島貯金局におきましても、これまでのやり方でよいのではないかというふうに思うわけであります。ただ、具体的にどうしてもやってもらいたいという人が出てきた場合には、これはやはり実施するという方向で考えてみたい、かように考えております。
  203. 井上普方

    井上(普)分科員 では、あの当時PCBによって障害を起こしたと思われる旭川並びに甲府のほうの検診はどうなっているのですか。
  204. 北雄一郎

    ○北政府委員 全国的な検診をいたしました結果、五名が一応要治療と申しますか、そういうことであったのでありますが、いずれも肝臓系統の既往の疾患がございまして、それに基因するものであって、PCBに基因するものではないという判定を得ております。
  205. 井上普方

    井上(普)分科員 だれが判定したのですか。
  206. 北雄一郎

    ○北政府委員 それぞれ違いますが、甲府の場合県立中央病院、それから岡山の場合国立岡山病院、広島の場合広島逓信病院、長崎の場合長崎逓信病院、旭川の場合は市立旭川病院、こういうふうになっております。
  207. 井上普方

    井上(普)分科員 人体には個人差というものがあります。そしてまたPCBなどというような、いままでの日本の薬事法の中にも名前の載っておらないものが使われて、それによって障害が起こっているのであります。これはまだ未知なものであります。PCBによって人体にどういうような障害があらわれてくるか、世界の学者だれを集めてきましても、明確なものが出てまいりません。といいますのは、このPCBの問題が起こりましたのは、四十二年のカネミ油症事件からであります。したがいまして、いま五名の要治療があったということで検査した結果、肝臓疾患に由来するものだといってきめつけるのは、私は無理であると思います。私も医者の端くれであります。しかも、徳島あるいは全国的にも百六名につきまして、検査する必要がありと一たん認定されておりながら、わずか五名の検査に二カ月、三カ月を要して、その結果、ほかの者にはあと何も検査する必要なしと打ち切られておる態度は、私どもには納得いかないのであります。したがいまして、これは自発的に、私も受けたいという人があるならば、本人の健康を保持するというためには、進んでともかく検査をさす必要があると思うのです。いかがでしょう、大臣
  208. 久野忠治

    ○久野国務大臣 御指摘の点については、配慮すべき点が多々あろうかと存じます。しかし、必要な検診は一応実施してきたと考えているところでございまして、今後とも職員の健康管理につきましては十分配意してまいりたい、かように存じます。
  209. 井上普方

    井上(普)分科員 大臣、そんな予定原稿を読んでもだめですよ。私が言いますのは、PCBというものは、初めて問題になりましたのが四十二年なんです。したがいまして、これが医学的にいかなる影響を及ぼしてくるか、実はまだわかっておりません。脂肪に蓄積するのだとかいうようなことは言っております。神経系統にどんな影響を及ぼす、肝臓にどんな影響を及ぼすか、あるいは腎臓に、副腎にどのような影響を及ぼしてくるかということは、実は明確にわかっていないのであります。そして、病理的になぜこういうように出てくるのかということすらも、これまたわかっておらないのであります。したがいまして、おかしげな症状が出てきた場合には、的確に直ちに、ともかく全身違和感にいたしましても出てきた場合は、これじゃなかろうかと疑いながら労務管理をやっていく必要があるのじゃなかろうかと私は思うのであります。したがいまして、いまのところこの徳島において、五名は症状なしということでやられておるようでありますが、しかし中に本人が私もどうもおかしいという方がおられたら、進んでともかく検診をさす必要があろうと思うのであります。  といいますのは、労働者は何も自分から好きこのんでPCBをさわっているのじゃない。郵政省が出す書類によって手が汚染せられてきて、そして不安になって、ともかく問題になったのであります。しかも、これはカネミ油症事件が起こってから去年まで使っているのですよ。いいですか、五年間も、有害物質であるということがわかっておりながら、郵政省は使わしたのです、さわらしたのです。そこらの労務管理につきましては、この前三池大臣に対しまして、私はきびしく質問したことがございます。しかしながら、いずれにいたしましても有害物質であるということがわかっておりながら、四年も五年も郵政当局は郵政職員にその有害物質を扱わしてきた。でありますから、責任はすべて郵政省にありと私は思うのであります。したがいまして、PCBの汚染によってからだがいたんだんじゃなかろうかと思われる職員からもし申し出がありました場合には、進んでこれは検診さす、安心感を持たすという処置をとらなければならないと思います。特に、この前も言ったのでありますけれども、有毒物質に対する厚生省の規則なんというものがあるそうであります。こんなものは、医学的に見ますとナンセンスなんであります。人間のからだを法律で検査して、何になりますか。その個人個人の症状に合わして見ていく必要があるのじゃなかろうかと私は思います。したがいまして、先ほどのようにこれはPCBによって起こったものでないなんて断定する医学者がもしありとするならば、私はこれまたその医学者の常識を疑うのであります。  一例をあげれば、これはほかの問題でありますけれども、森永の砒素中毒事件のときに、日本の小児医学界のオーソリティーなる人が七人集まって、これは後遺症はないだろうということを発表しました。ないと断定しました。ところが、その後出てきているじゃありませんか。  こういうようなことでございますので、そこの不安感を持っておる人に対しては、これこそ親切に指導しながら、いい医者にかからして、その不安を除去させる責任が郵政省にあると思うのですが、いかがですか。
  210. 久野忠治

    ○久野国務大臣 専門的な立場からまことに貴重な御意見を御指摘いただいたわけでございます。職員の健康管理に十分配意するということはもう当然のことでございますから、私といたしましては、ただいま御指摘の点等についても十分配慮いたしていきたい、かように存じます。
  211. 井上普方

    井上(普)分科員 では大臣、郵政職員の中にもし、私のからだはPCB汚染にかかっておるのじゃないだろうかという不安があった場合には、直ちに検診を受けさせる、こう考えてさしつかえございませんね。
  212. 久野忠治

    ○久野国務大臣 十分調査をいたしまして、そして適切な処置をいたしたい、かように存じます。
  213. 井上普方

    井上(普)分科員 申し出があってから、何で十分な調査をされるのですか。申し出があれば、郵政省としては労務管理の責任上、進んでこれは直ちに検診を受けさして、本人に安心感を持たすという処置は直ちにとれませんでしょうか、どうでありますか。やったらどうです。
  214. 久野忠治

    ○久野国務大臣 御指摘の点につきましては、私といたしましても理解はできます。しかしやはりお互いに人間でございますから、体質の違いもございましょうし、状況の違いもいろいろありましょうし、いろいろな調査をすべき事項も私はあろうかと思うのです。そういう意味で私は申し上げたのでございます。それを長い間放置しておいて云々という意味ではないのでございまして、やはり疑わしきものにつきましては十分調査をいたしまして、そして職員の健康管理について措置を講じたい、かように存じます。
  215. 井上普方

    井上(普)分科員 何を調査されるのか、私はどうもわからないのです。具体的に何を調査されるのですか。十分調査されるというが、そういう申し出があったときには、何を十分に調査されるのですか。一つ一つ具体的に教えてください。
  216. 北雄一郎

    ○北政府委員 大臣のおっしゃいましたのは、職員がそういうことでいろいろな不安を持っておるということでは、当方としてもいけないと思いますので、そういった不安をなからしめるようにいろいろな手だてをとりたい、こういう御趣旨だろうというふうに存じます。
  217. 井上普方

    井上(普)分科員 いろいろな手だてとは、どんな手だてです。
  218. 北雄一郎

    ○北政府委員 大臣言われましたように、そのよって来たるところをいろいろ調べるとか、あるいは全国的な結果をよりよく周知するとか、あるいは当該局の状況をよく周知するとか、あるいは場合によりましては、また五名以外に客観的な徴候、たとえば先生よく御存じのように湿しんが続くとか、あるいは肝機能障害があるとかというようなものが一番身体的なはっきりした徴候のようでありますので、そういった徴候が今後出てくるような人があった場合には、これはまたよほど精密な検診をするということ、さまざまあると存ずる次第であります。
  219. 井上普方

    井上(普)分科員 あなたがいま六項目にわたっていろいろ説明されましたけれども、どれもこれも的をはずれたものばかりであります。それよりも、主訴として、私はともかくPCB汚染にかかっているのじゃないだろうかといった場合、直ちにやったらどうなんです。しかもPCBを使わしたのはあなた方ですよ。労働者が何も好きこのんでPCBにさわったんじゃない。それによって不安があるなら、その不安を解消さすために直ちに専門医のところへ派遣するということをなぜなさらないのです。なぜそれが言明できないのです。私は、そこに郵政省の労務管理の不明朗さがあると断定してはばからぬのであります。大臣、どうです。あなたは郵政職員の健康をあずかっておる、そういう立場に立つならば。PCBをさわって、ともかく汚染されたんじゃないんだろうか、からだに違和感があるんだがという訴えそれ自体がすでに一つの症状なんであります。その症状に対して、いや過去の実例がどうであるとか、よってきたるところは何だなんて六項目、あなた何を言っているのかさっぱりわからない。人事局長のいまの御答弁はおおよそ科学的なお話じゃありません。大臣、どうなんです。個体には個人差というものがあるのです。これは非常に大きいのです。そしてまた肝機能障害だへったくれだなんて、こんなのは医者が調べて初めてわかってくる事柄なんでしょう。あなたの小便を見て、私はいま肝臓が悪いわい、肝機能障害があるわいということが普通の人にわかりますか。医者にかかって初めてわかるのでしょうが。でございますので、そういう主訴があった場合には、直ちにこれを専門医にかけて、ともかくその職員の不安をなくするという方法をおとりになるお考えはございませんか。大臣どうでしょう。もう時間がございませんので……。
  220. 久野忠治

    ○久野国務大臣 御指摘の点については十分配慮をして処置をいたしたいと存じます。
  221. 井上普方

    井上(普)分科員 十分配慮して処置したいというのじゃなくて、そういう主訴があったら直ちに専門医にかけて調べますということが、大臣なぜ言えないのです。あなたやはりうしろの局長連中がこわいのですか。そうじゃないでしょう。郵政職員の健康というものを大事に考えるなら、ともかくPCB汚染にかかっておると思われる、かかっておるんだという主訴があった場合には、それはいかぬじゃないか、すぐに調査してやろうというぐらいの積極性が私はほしいのであります。またそうしなければならない事柄なんであります。どうでございます。
  222. 北雄一郎

    ○北政府委員 先生がおっしゃるような措置をとらなければならない場合ももちろんあると思います。ただ、御本人がそういうことで不安を訴えるという場合、たとえば貯金局には必ず医務室というものがございまして、お医者がおるわけでございます。したがいまして、一定の医学的知識を持った人がその訴えというものを聞きまして、それが単なる気持ちからきておるものであれば、そういうことを周知するなりいろいろ話すことによって、この不安感は解きほぐせると思いますし、事実、肝機能というものは外部へ肝斑としてあらわれるということは先生のほうがはるかによく御存じだと思いますが、いろいろそういう徴候もあるわけでございますから、そういった場合に、先生御承知のように、専門医にかけるというケースも生じてくる、こういうことを先ほどから申し上げておる次第でございます。
  223. 井上普方

    井上(普)分科員 それでは貯金局のお医者さんの状況はどうなんです。毎日現役のお医者さんが来られていますか。全部はりついていますか。貯金局の医者の勤務状況はどうなんですか、お伺いしたい。人事局長だから知っておるのでしょう。
  224. 北雄一郎

    ○北政府委員 貯金局には医務室がございまして、全二十八局の状況までは把握しておりませんが、徳島の場合はやはり内科の常勤の医者がおる、こういうことでございます。
  225. 井上普方

    井上(普)分科員 ほんとうに常勤だとあなた方はお考えの上でおっしゃっておられるのであれば、大間違いであることを指摘しておきます。いずれこの問題につきまして、もう一度機会を見て質問いたします。終わります。
  226. 藤波孝生

    藤波主査代理 これにて井上普方君の質疑は終了いたしました。  次に、土井たか子君。
  227. 土井たか子

    ○土井分科員 いまの井上議員の徳島貯金局におけるPCBの問題に続きまして、私もPCBに関係のある問題を質問したいと思います。  長野や徳島で母乳から高濃度のPCBが貯金局内部において検出されたというのを大臣は御存じでいらっしゃいますね。
  228. 久野忠治

    ○久野国務大臣 報告は受けております。
  229. 土井たか子

    ○土井分科員 長野や徳島は言うに及ばず、地方貯金局について、その問題での健康管理あるいは追跡調査、それを国は独自の調査としてその後やっていらっしゃるかどうか、それをお聞きしたいと思います。
  230. 北雄一郎

    ○北政府委員 やっておるわけでございます。しかし、先生御承知のように、母乳検査は非常に特殊な検査であるそうでありまして、したがって、その地方貯金局所在の地元の医務機関で引き受けていただけない場合もございますので、そういった場合には、検体すなわち母乳そのものを実施可能機関に運搬するという手はずもあわせ整えまして、その上でこの関係職員、すなわち式紙を扱っておる職員で授乳をしておる職員のうち希望する者全員に対して実施するということを周知いたしました。その結果、現在までに十八名の者が検査を受けております。その検査結果につきましては、検出されたPCBはことごとくごく微量でございまして、特に問題はないというそれぞれ検査機関の判定でございます。なお、これで終わったわけじゃございませんので、残る検査希望者のうち近く出産予定の方も若干名ございますので、これらの方々については授乳を開始される段階で引き続き検査を実施したい、かように考えておる次第でございます。
  231. 土井たか子

    ○土井分科員 問題は、一回、二回の検査でこと足れりというのは困るということがまず第一に問題になると思います。慢性毒性が実は問題なんですね。これはもうすでに例のカネミのライスオイルの問題ではっきりしている事実をごらんになってもよくおわかりのことだと思うのです。したがいまして、こういう問題についての追跡調査のあり方というのは、やはり慢性毒性についてこういう調査のあり方でいいかどうか、検診のあり方でいいかどうかという吟味をやはりしていただきながら、特にいままで明らかにされている限りでは、PCBの感染経路というのは、母体を通じて胎児に、母体を通じて母乳から乳幼児にという経路が予測されるわけですから、この点特にやはり留意をしていただいての検診というあり方が必要だと思うのです。したがって、いまはそういう点では自信を持ってだいじょうぶ、やっておりますとおっしゃっていただけますか。
  232. 北雄一郎

    ○北政府委員 実はそれぞれ一回と申しますか、ある特定の人につきましては、一回採乳をいたしまして、検体をいただきまして、それによって検査をしたわけでございます。ただいま先生おっしゃいますように、一回ではだめだという指御摘でございますが、その点につきましては、さっそく私どももよく調べまして、ふさわしい方法を今後もとってまいりたい、かように考えます。
  233. 土井たか子

    ○土井分科員 特にその検診の対象というのはどういうふうに考えてやっていらっしゃいますか。PCBに関係のある物質に直接職場が関係がある人たちということに限定してお考えか、それともそういうことを限定せずに考えていらっしゃるか、その辺いかがです。
  234. 北雄一郎

    ○北政府委員 原簿事務取り扱い者、すなわち一般的に申し上げますれば、ただいま先生おっしゃいました、その直接関係のある職員というふうに限定をしておるわけであります。
  235. 土井たか子

    ○土井分科員 直接関係のある職員は言うに及ばずでありますけれども、これまたたいへん大事な問題なんですが、PCBの特性からしますと、空気感染もあり得るということでありますから、まことにやっかいであります。したがって、直接ノーカーボン紙等々に関係のある職種でない場合でも、やはり危険性はあり得ると一応考えなければならない。あれだけ多量のノーカーボン紙を使用なすっていた、これは貯金局なのでありますから、そういう点からすると、その部署にいたかいないかということを判定の基準にしながら検診をなさるというのじゃ、やはり私は不十分だろうと思うのです。その点はいかがです。
  236. 北雄一郎

    ○北政府委員 ただいま直接関係のあると申し述べましたのは、要するに原簿関係と申し上げましたが、原簿関係の職員と申しますのは、PCBを使用した式紙を常時多量に保管しておる原簿庫という倉庫がございます。したがって、その倉庫内の大気中のPCBの含有量というものは一般事務室に比べて若干高いわけでございます。むろん許容値よりははるかに下でございますけれども、高いわけでございまして、そういったところへ出入りする職員、こういう職員の中から授乳者のうち希望者全員、こういうふうに選定をした、こういうことでございます。
  237. 土井たか子

    ○土井分科員 そうなると、極論すれば全員と考えていいわけでありますね。希望者をという前提には、やはり全員ということがなければ希望者と、こう出てこないわけでありますから。いかがです。
  238. 北雄一郎

    ○北政府委員 私、説明が悪かったと思いますが、原簿庫へ出入りする職員というのは貯金局の職員全員ではございませんで、職務上常時原簿庫へ出入りしますのは、いわゆる原簿関係事務に従事する職員、こういうことに相なります。
  239. 土井たか子

    ○土井分科員 このノーカーボン紙あるいは原簿そのものの問題はちょっとあと回しにしてお伺いすることにして、先に一つ聞きたいのは、そこで被害者である、それから要治療者である、さらには患者であるということがはっきりしている場合は、その労働者に対する取り扱い、治療対策なり、職場の配置がえなり、公務災害適用なり、いま申し上げたのは三つ問題がありますが、それぞれをどのようにお考えかを一つ一つについてはっきり、端的に答えてください、時間のほうが惜しいですから。
  240. 北雄一郎

    ○北政府委員 ただいままで、さっき申し上げました全職員二千五百名について検診をしました。一次検診、さらにその中から二次検診も二百数十名についていたしました。結果的に五名の要治療者が出たということでありますが、五名のうち四名は軽い肝機能障害でございまして、一名は慢性湿しんということでございます。ところが、この五名いずれも既往症がございまして、その既往症の残りでそういうことになっているのだ、PCBと関係がないという関係機関の判定でございます。したがいまして、ただいま先生がおっしゃいましたような実例は出ておりませんが、将来あるいは万一そういったケースができた場合ということを仮定いたしましてお答え申し上げれば、それはケースにもよると思いますけれども、非常に概括的に申し上げれば、やはり公務災害になるだろう、それから、そういう場合当然職種転換ということも必要が生じてまいるだろう、かように考えます。
  241. 土井たか子

    ○土井分科員 そのことははっきり認めていただかなければならぬと思いますね、配置転換の問題、公務災害の適用ということは。これはもう基本的な問題でありますから、しっかりと認めていただかなければ困ると思います。  さて、問題のノーカーボン紙の取り扱いです。PCBについては、これはほかにもいろいろ問題があるかもしれませんけれども、まずは貯金局で問題にさるべきことはノーカーボン紙でないか、これはもう衆目の一致するところだったわけですね。いま郵政省とされてはノーカーボン紙についてどういう対処のしかたをなすっていますか。
  242. 田所文雄

    ○田所説明員 PBCのノーカーボン紙でございますが、使用済みの分と未使用の分に分けまして申し上げます。  使用済みのものは、地方貯金局の倉庫に厳封をして保管してあります。未使用のものは、郵政局の資材部の倉庫に同じく厳封の上、ほかの式紙と隔離して保管してございます。現在それにかわる式紙を使用しておるわけでございます。
  243. 土井たか子

    ○土井分科員 その隔離保管の問題なんです。現に先ほどの井上議員のほうからの御質問の中でも出たと思うのですが、徳島の貯金局でも原簿の保管庫で多量のPCBの検出があって、そして空気からおそらくは感染したと思われるカネミ油症に似た症状が職員の中に引き起こされたという事例もあるわけですね。幾ら隔離して保管するといっても、原簿としては二十年間保存されなければならない貯金預入申込書などもあるはずです。一年、二年ならともかく、これも専門的にいうとおかしな話でありますけれども、長期にわたって二十年間も保存を要求されるような文書をいかして保存するかという保存方法が、たいへん問題になってくるのではなかろうか。これはだれしも考えるところですね。どういうふうになさいますか。
  244. 田所文雄

    ○田所説明員 問題のPCBの入っております地方貯金局の使用済みの分につきましては、昨年の十一月末にコピーをとりまして、現在は先ほど申しましたように、厳封をして保管をしてある。でありますから、貯金局の仕事の関係で、お話しのありましたように三年あるいは長いものは二十年にわたりまして必要があるわけでございますが、そういうようなものはコピーの終わりました新しい写しによりまして行ないますので、職員の手に触れることはなくなったわけでございます。
  245. 土井たか子

    ○土井分科員 これからの見通しについて、そのままで全部消化できるかどうかという問題が一つは残ろうと思うのです。やはり最終的にはノーカーボン紙についての処理方法、この見通しというものを郵政省郵政省なりにはっきり立てておいてもらなわければ困ると思うのです。たとえば焼却炉、それの専焼炉というものの開発だって考えられなければならない問題じゃないでしょうか。いまその問題については民間に万事依存しているようなかっこうでありますけれども、郵政省とされては、こういうあと処理について、この点は他省との折衝もありましょう、また独自でこうやりたいというお考えもありましょうが、中身はどういうことになっていますか。
  246. 田所文雄

    ○田所説明員 この問題につきましては、通産省の中にPCB入り感圧紙処理技術研究会というものがございまして、これがPCB入り式紙の処理のしかたについて検討しておるのでございますが、昨年通産省からその点につきまして連絡がございまして、その結論が出るまで郵政省においては厳重に保管、管理をしてもらいたいということになっております。
  247. 土井たか子

    ○土井分科員 そうすると、それは通産省まかせということになるわけですか。
  248. 田所文雄

    ○田所説明員 通産省におきましては、ひとり郵政省のみならず、関係の省庁あるいは政府機関等に同じような連絡をしたわけでございまして、政府として統一的な処理方針をきめるまで保管をしてもらいたいということでございますので、郵政省独自でこれを処理するという予定にはなっておりません。
  249. 土井たか子

    ○土井分科員 郵政省管轄の貯金局のみならず、各省、各役所、ノーカーボン紙の使用というのはいままでにもずっとやってきたわけですね。したがってこれの処理については、やはり焼却炉をつくる用意というふうなものが常識から考えてもまず考えられなければならないのじゃないかと思うのです。特にこれは、いろいろと新聞紙上でも貯金局の問題などが取りざたされている郵政省でありますから、郵政省としては率先してそういう問題についてはかなり積極的なものの考え方をお持ちになってふしぎはないと私は思うのです。こういうことについて何らかのお考えがおありになるかどうか、ちょっと聞かしてください。
  250. 田所文雄

    ○田所説明員 御指摘のとおり、郵政省は大ユーザーでございまして、非常な関心を持っておるわけでございます。したがって通産省に対しましても随時督促と申しますか、結論がいつ出ますかというようなことをお聞きしているわけでございます。
  251. 土井たか子

    ○土井分科員 万事通産省まかせみたいなかっこうなんですが、それを押してばかりいるわけにも時間の関係でまいりません。  いままでのノーカーボン紙に対する取り扱いとは別に、今度はノーカーボン紙を使用禁止なさったあと、いま使っていらっしゃる新ノーカーボン紙の問題です。この新ノーカーボン紙というのは中身はアルキルナフタリンとトリフェ二ール等々ですね。これはいまもうすでにまた安全性それ自体について問題視されつつあるわけですけれども、特にこのアルキルナフタリンについては、行政監督機関である、先ほど通産省待ちとおっしゃった、その通産省の見解が未決定なんです。にもかかわらず、いまこの新ノーカーボン紙についてはすでに使用なさっている。先ほどその新ノーカーボン紙について香川県のほうで、その用紙を取り扱っている職員の中から、目まいがする、湿しんができる、そういう症状がだんだん出てきております。またこれについての安全性はまだ言い切れないという学者の見解も出ている。この新ノーカーボン紙の取り扱いについて、このままでいいとお考えかどうか。さらに、この問題については、御承知のとおりに特化則、特定化学物質等障害予防規制がありますけれども、この特化則からするところのチェックのしかたというのは、やはり急性、亜急性の実験結果というのをもとにしているわけですね。慢性毒性についてのチェックのしかたをしながら安全性の確認ということがこの特化則によっては確保されてはおりません。したがいまして、そういう点からしてもやはりかつてあったノーカーボン紙にかわる新しい用紙は、万事が万事安全性の確保というところから出発しなければ、職員に対して申しわけないと思うのですよ。郵政省としては、この新ノーカボン紙についての取り扱いをどのように考えていらっしゃるか。郵政大臣からお願いします。——大臣、どうですか。
  252. 田所文雄

    ○田所説明員 ただいま御指摘のナフタリンでございます。アルキルナフタリンまたはアルキルビフェニールというものを裏に塗布してあるわけでございますが、この両方の溶剤につきましては、いわゆる急性毒性試験、それから亜急性毒性試験というものの結果がわかっております。私の手元にあります資料によりますと、三つの大学におきまして急性毒性と亜急性毒性につきましては安全性が証明されております。しかしながら、慢性毒性につきましてはまだ検査の結果が出ていないわけでございます。
  253. 土井たか子

    ○土井分科員 言われるとおりですね。しかしその急性毒性についても安全性の確認はまだされてないという学者見解もあることをひとつ銘記していただきたい。ですから、この急性毒性については確認されたとおっしゃるその御答弁というのは適切じゃないと、私はまず思います。それから慢性毒性についてはまだ確認はされていない、そういう検査の結果というものがまだ明るみに出ていない、そういう段階なんですね。そのときに思いをいたしていただきたいのは、やはりスモン病の問題であり、水俣病の問題であり、かつてのカネミのライスオイルの問題です。おかされているのはみんな急性、亜急性じゃないのですよ。問題は慢性毒性です。そういう点から考えますと、この新ノーカーボン紙は問題があるのじゃないですか。大臣、いかがですか。ちょっと答弁してください。お願いします。
  254. 田所文雄

    ○田所説明員 慢性毒性につきまして安全の保障がございません。まだ検査の結果が出ておりませんので、郵政省におきましては、これの黒白がはっきりいたしますまでこれの使用をたな上げいたしまして、別の、と申しますか、言いかえますとカーボン紙、ノーカーボン紙でなくてカーボン紙でございます。これを郵便局において使用するようにただいま計画中でございます。
  255. 土井たか子

    ○土井分科員 その計画中とおっしゃるのは、どういう形において具体化なさろうとなさっていますか。
  256. 田所文雄

    ○田所説明員 まず四国郵政局、これは四国四県を管轄するわけでございますが、四国におきましては、地方貯金局というのが徳島に一つございまして、郵政局の管轄範囲と地方貯金局の受け持つ範囲が同じでございますので、非常にぐあいがよろしいということで、まず四国郵政局管内の郵便局に新式紙を入れます。それから逐次全国に及ぼしていく。生産能力の関係とか配給機構の問題がございますので、同じ日に全国一斉にというわけにまいりませんので、順を追って新式紙を納入していく予定であります。
  257. 土井たか子

    ○土井分科員 それは四国については具体的に何日ごろ着手なさり、そして全国についてはどれくらいの期間が必要というぐあいにお考えでありますか。
  258. 田所文雄

    ○田所説明員 四国に入れますのは、予定といたしましては本年の五月でございます。それからあといろいろ配給機構等がございますので、逐次八月、十一月、あるいはおくれるものは来年の四月、こういうふうに考えております。
  259. 土井たか子

    ○土井分科員 そうしますと、一言でいえば新年度内に全国的に何とかするということになりますか。四月一日から始まるのが新年度ですから。
  260. 田所文雄

    ○田所説明員 おおむね年度内でございますが、もし四月になりますと来年度ということになるわけでございます。
  261. 土井たか子

    ○土井分科員 その節、いま使っております新ノーカーボン紙についての処置は、それならばどういうふうになさいますか。
  262. 田所文雄

    ○田所説明員 ただいま使用中のアルキルナフタリンあるいはアルキルビフェニールを塗布しました式紙の処理でございますが、これは当分の間たな上げをいたしまして、慢性毒性も何もないという権威のある決定が出ました暁には、これまた使うかもしれません。そういう決定がない場合、いつまでもたな上げ、あるいはまた通産当局と相談するということになろうかと思います。
  263. 土井たか子

    ○土井分科員 いま新ノーカーボン紙については全国の貯金局にもうすでに出回っているわけですね。したがって、四月の香川県のみならず、全国でも似たようなケースがあるかもしれない。まだ明るみに出てないけれども、これから出てくるかもしれない、そういうことが予想されますから、新ノーカーボン紙使用者についても、かつてのPCB汚染によるところの検診と同じように、追跡調査なり検診なりが必要だというふうにいまお考えになっていらっしゃるかどうか、この辺いかがですか。
  264. 北雄一郎

    ○北政府委員 私ども毎年一回全職員につきまして定期健康診断というのをやっております。その中で、この新ノーカーボン紙を濃密に使用しておる職員の定期健康診断にあたりまして、その点個々に十分注目をして診断をする、こういう計画を立てたいと思っております。
  265. 土井たか子

    ○土井分科員 定期健診というきまった検診の機会以外に受診をするという希望者が出た場合についての措置はいかがなさいますか。
  266. 北雄一郎

    ○北政府委員 これは希望者がございました場合は、各地に逓信病院もございますし、それからまた医療機関は共済組合員として無料で利用できまずから、そういう機関を利用するとか、あるいはどこへ行けばいいかということについては十分あっせんをするということでありますが、制度としては、とりあえず定期健康診断でそういった人たちについて注目をしてまいる、その中で、何もなければそれでいいと思いますが、やはり集団的に何かあるということであれば、その上でまた特別な制度的な一つの診断体系を考えてみてもいい、こういうふうに考えております。
  267. 土井たか子

    ○土井分科員 このPCBそれからアルキルナフタリンに関係のある物質を取り扱う場所というのは、全国にたくさんあったわけですが、特に公の場所として、大手のユーザーという表現が当たるかどうかわかりませんが、大量に使用していた一つ郵政省というところがあると思うのです。したがって、これに対する取り扱いというのは、郵政省の場合が一つのきめ手といいますか参考といいますか、そういう問題を提起すると思うのです。そういう点からすると、これについて郵政省の姿勢というものが非常に注目されているといわざるを得ません。先ほどの検診の問題にしましても、これは聞いておりまして消極的であります。これからどのように取り扱いをなさるかという注目を込めて私は聞いたわけでありますが、この新ノーカーボン紙についての配意と、それからかわってひとつ、安全性ということが基本的に確認されない以上は、本来のあの古いカーボン、あれをベースとした用紙を使用するということ、これを一日も早く実現していただきたいと思います。枝葉末節のような問題かもしれませんけれども、やはり健康管理という問題からすると、予防策としてはなおざりにできない問題だと思いますので、ひとつその辺をはっきりさせていただいて、全国は広うございますから、十年計画みたいなありさまで進められるようでありますけれども、もっと早く、可及的すみやかにその計画は実行に移していただきたい、こういうことを最後に申し上げて終わりにしたいと思います。郵政大臣、よろしゅうございますか。
  268. 久野忠治

    ○久野国務大臣 土井分科員指摘のとおり、職員の健康管理ということは非常に重大な事柄であり、大切な事柄でございます。でありますから、今後とも関係の向きとも十分連絡をとりまして、職員の健康保持について十分配意をしていきたいと思う次第でございます。
  269. 土井たか子

    ○土井分科員 終わります。
  270. 藤波孝生

    藤波主査代理 これにて土井たか子君の質疑は終了いたしました。  次に、原茂君。
  271. 原茂

    ○原(茂)分科員 二、三ちょっとお伺いをしたりそれから意見も述べたいのですが、最初にお伺いしたいのは、最近NHKの聴視料に関して不払いが相当あるように思うのです。ある意味で依然として減っていないどころか、企業、会社関係などはずっと不払いがふえているように思うのです。その実情をちょっとお聞きいたします。
  272. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 NHKの受信契約の問題でございますけれども、必ずしもこれが世の中に正確に伝わっていないようでございます。われわれが説明を受けましたところによりますと、昭和四十八年度末における日本の総世帯数、これが三千百五万という数になっております。その中でテレビを所有している世帯数、これが二千七百十四万、これはいろいろ推定で出した数字でございますが、二千七百十四万、これが四十八年度末でテレビを持っておると推定される世帯でございます。   〔藤波主査代理退席、小澤(太)主査代理着席〕 そのうちで四十八年度中に捕捉される、受信契約を結んでいただく世帯数、これが二千四百二十五万戸でございます。テレビを持っていると推定される世帯数二千七百十四万という数と実際の契約していただく数二千四百二十五万との差額、これが二百八十九万という数字でございますが、これは世帯が新しくできるというような問題、それから転居して廃止しても、なかなか新しく契約を結ぶという手続をとっていただけないという現状でございます。そういうような転居の問題、あるいは何回出かけていっても留守だというような問題、あれこれ考えまして、いままでの経験上の数字といたしまして二百八十九万世帯は昭和四十九年度の契約の対象になるでありましょう。したがいまして、二百八十九万というものが契約を拒否している数じゃございませんで、いずれ四十九年度、あるいは一部はその次年度になる数もあるかもしれませんが、大体において一定の時間を経過いたしますと契約していただける数、こういうことになるわけでございます。したがいまして、契約を拒否している数というものはごく微々たる数字であるというぐあいに説明を受けておるわけでございます。  これが一般世帯でございまして、あとは非世帯、ホテル、旅館、会社、官公署、それから船、病院、飲食店、喫茶店、その他もろもろの非世帯、世帯の契約に入らないテレビの受信機が設置されているところがあるわけでございますが、その数が、統計を見ますと大体百十八万、旅館、ホテルとか事業所とかでこういう数が出てまいります。そのうちで、たとえば十人以下の官公署、会社等はおそらく世帯契約の中にまぎれ込んでおるであろうというようなことで、十人から以下は削除するとか、まあいろんな操作をいたしまして、それで受信者の受信機の数が百十八万のうちでどれくらいあるかということを推定いたしますと、昭和四十八年度末では六十一万という数字が出てまいります。それをNHKでは四十四万捕捉いたします。したがって、世帯のほうでは九〇%の捕捉率といいますか契約率でございますけれども、こちらのほうは七二%、これは非世帯の関係では実地に調査するわけにもまいりませんし、いろいろ捕捉に困難があるようでございます。しかし、まあできるだけ契約率を上げまして収入の確保ということにつとめたい、こういうことを申しておるわけでございます。それで、これもその差額、六十一万あると推定されておりますので、四十四万との差額は十七万でございますけれども、これはやはり主として四十九年度の契約の対象になる数である、こういうぐあいに説明を受けております。
  273. 原茂

    ○原(茂)分科員 まあ数字は確実に捕捉できない点が両方にあるわけですから、通り一ぺんのそういう数字の説明で一応論議するわけですが、ただ拒否している者は微々たるものだというのですが、これは大臣にお伺いしたいのだけれども、拒否している者に関して適切な措置を講ずる必要があるのじゃないかと思うのです。拒否しているのは私の友人にも一人います。これはがんこなんですよ。それで通っているんですよ。現に受信しているのがわかっている。それで、新居でもない、転居でもない、留守でもない、大世帯を張っていながら、がんとして納入しない。こういうのが放置されていていいのか。公平という意味からいってこの点どうでしょう。
  274. 久野忠治

    ○久野国務大臣 たいへんそのことは私は遺憾なことだと思います。やはり放送法第三十二条によりまして、協会の受信をでき得るような施設をした者につきましては、協会と契約を結ばなければならないという規定があるのでございます。その法律の違反になるわけでございますが、原委員御承知のとおり、これには罰則もございません。でありますから、そのような法律がある以上は、これをひとつ守っていただくことが、やはり法治国家の国民としての義務ではないかと私は考えるような次第でございます。
  275. 原茂

    ○原(茂)分科員 大臣のおっしゃるとおり、考えなければいけないと思うのですが、実は、そうおっしゃりながら、通り一ぺんの催促はあるのですけれども、文書によっていまおっしゃったような趣旨の説得活動が行なわれるとか、特別、責任者が行って説得をするとか、一般国民への影響というのは非常に重大なものがありますが、そういうところまではやっておいでにならない。どうも通り一ぺんではいけないと思うのですね。こういうのは実は数がずいぶんあるのですよ。それから会社関係あるいはホテルだなんというところに、いまのようなわずかな十七万の差額だけだなんという捕捉をしていたのでは、これはもう現実に話にならないですね。そういうような数の問題はここでは根拠がはっきりしませんからいいのですけれども、そういう点をもう少し、説得活動というものらしいものをやる必要があると思うのですが、やってないのですか。どうでしょう。これはひとつおやりになる必要があるが、それが一つです。  これに関連しまして、民放の場合、非常に歴史も古く、しかもいまになりますと、国民に定着度が非常に高くて、場所と人によってはNHKよりはもう何々放送のほうがいいんだ、いろいろ週刊誌にも出ていますように、視聴率の問題からなにからいって、相当視聴率の高い民放というのがあるわけですね。このテレビが全然僻地であるために見えない。しかもまじめに受信料は納めている。東京あるいはその他の大都会へ行きますと、拒否している人間ですらが自由自在に民放全部見ることができるわけですね。むしろ、長野県のごとき僻村といわれる地域の多いところは、きまじめに払っていながらNHKしか見えない。今日では放送協会の映像を見せるとともに民放の映像も見せてやるということが郵政省としての配慮でなければいけないと思う。これはもう両方見ないと、ここまで習慣になってまいりますと、ちょうど車の両輪みたいなものでして、NHKだけではかたわな感じになるわけですよ、事実上。また、その内容等からいっても、娯楽中心のものからいいますと、どうしても定着した民放というものは放棄できない、無視できない。ですから、やはり国の立場で、日本放送協会法によって協会はあまねく全国に受信できるように措置しなければならないということをぴしっときめているのですが、民放に対してはそのような免許基準にもきびしい規定がないのじゃないかという感じがするんですね。ラジオコードがどういう範囲のものか私は知りません、最近見ていませんから。しかし、民放がどうも五百や三百の世帯が見えないから、千世帯が見えないからといって、サテライト局をそんなところに建てるなんということは、一局やるだけでもVでも二千万円だ、三千万円だ。とても採算に乗らない。そんなものをふやしたからといってスポンサーがよけい値上げしてくれるわけではないというような事情があるでしょうし、その事情はわかるのですけれども、しかし郵政省が電波監理をする立場からいいますと、NHKという片方の輪にいまや定着してなければいけないもう一つの輪である民放が見えるようにするということが、これはやはり電波行政上の義務ではないかと思うのです。何らかのそこに配慮がされなければいけないのではないか。受信料の不払いと関連して見ても、くそまじめに納入し、まじめに受信料を支払う地域の人々のほうがNHKしか見えないという現象が多いわけですね。特に長野県は多いのですよ。長野県ばかりではありませんけれどもね。こういう点を一緒に考えて、大臣どうお考えになるか、この点どうです。
  276. 久野忠治

    ○久野国務大臣 第一の御質問でございますが、日本放送協会、いわゆるNHKの収入の確保につきましては、一段と努力をするように指導していきたい、かように存じます。私は四十八年度の収支予算事業計画についての意見書の中にもこれを強く指摘をいたしておるような次第でございます。  第二番目の、民放の難視聴解消につきましては、これは事業経営上の問題もありますし、またテレビジョン放送を受信できない地域もまだ相当残されておるわけでございます。でありますから、こうした問題等につきましても、今後われわれといたしましては十分検討をいたしまして、民放につきましても難視聴地域が解消されるような措置をどういう形でやったらよろしいか、これは検討事項としてひとつ研究をしてみたい、かように存ずる次第でございます。  それからもう一つ申し上げておきたいことは、最近、難視聴というのは非常に内容が多岐にわたっておるわけでございます。ただ辺地だとか過疎地域であるとか、こういう場所だけではなくして、都市部にも難視聴地域はいま広範囲に広がりつつあるわけであります。これは高層建築物であるとか、あるいは高い鉄塔であるとか、あるいは高圧電線のための鉄塔であるとか、もういろいろの原因がふくそういたしておりまして、そのことによって難視聴地域がいま拡大しつつあるわけでございますから、昭和四十八年度の予算の案といたしまして私たちは四百七十九万円を計上いたしまして、学識経験者による調査会を設置して、この受信障害の解消の方策についてひとつ検討をしてみたい、かように考えておるような次第でございます。
  277. 原茂

    ○原(茂)分科員 おっしゃるとおりだと思うのです。大臣も委員会における本年度予算の説明で特に取り上げて、山間僻地における受像の拡大を言っておられます。これは非常に必要だと思うのです。難視聴区域がたくさんあるといいながらも、NHKはやはり規定されたとおり努力をしているから、大体二百世帯くらいまでで数も少ない。でも見えないと言えばサテライト局を設けるというような、相当程度の努力をして、今日まあまあの成績をあげている、まだ不十分ですけれども。民放に至っては、特に長野県の場合には、千世帯、千五百世帯、千八百世帯というような、至るところに見えないところがある。何らかの措置をしなければいけない、研究をさせようとおっしゃる。これは非常に大至急やらないといけないかと思いますが、具体的にはやはり民放の場合、採算の問題だろうと思います。NHKがサテライト局をつくるときに、その土地の取得なり建物をつくるときなど、場所によっては民放と共同でその施設をしているところが現にあるのですね。その率もNHKのほうが多額に負担をして、民放は非常に軽く負担をさせられておる。けっこうなことなのですが、その率をどうするかはむずかしいのでしょう、私にはよくわかりませんけれども。そういうことが現に何カ所か行なわれているところを見ますと、郵政省がやったかNHKがやったか知りませんが、もうすでに既成の事実として、難視聴区域対策の一環としては、補助なり助成なりを行なっておるのと同じことが現に行なわれているわけですね。もう一歩進めて、特に長野県のように五十何カ所もまだ民放が見えない。NHKは七十何カ所かやっている。民放は二十何カ所しかやっていない。五十何カ所が全然見えないですから、そういうところを民放としては長野県ではどう処置するのだというと、とにかく今後いまの会社の経理の状態からいくと、気ばっても年に二カ所くらいしかできそうにないというのですね。二十五年かかるわけですね、平たく計算すると。とてもそれは、前段申し上げたような電波行政という上からいって、放置してはいけないと思う。すでに共同施設をつくるときに負担をした事例があるのですから、だから何がしかでも呼び水のように、国の立場で何らかの考慮をして、そうして山間僻地における定着した民放の難視聴区域に関するサテライト局設置についての補助なり助成なりというところまで、金額の問題じゃないですけれども、呼び水として踏み切る必要があるのではないか。そうでなければ、現在のように車の両輪であるべきNHKと民放が、片方だけしか動いていない。現に長野県はそういう状況であるというところを考えると、そういう政治的な配慮が、いま審議をされている中にも入り込んでいって、大臣の強い意思で、そのことを何らかの形で早期に実現させるようにしてもらわないと、二十五年、三十年はちょっとどう考えてもいけないと思うが、いかがでしょう。大臣から……。
  278. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 難視聴解消につきましては、いま大臣からお話し申し上げましたとおりでございますが、郵政省といたしましては、民放の中継局設置をできる限り促進するために、NHK、民放に対しまして、従来から共同建設ということを強く要望して、あるいは指導してまいったわけでございますが、ある程度その成果もあがっておるように見受けられます。全国的にこれを見ますと、全国的な共同建設は、民放のある六百六十六地区、民放が一社でもある地区が全国で六百六十六ございますが、そのうちで約百八十地区、これについては何らかの形で共同建設という事柄が行なわれているわけでございます。ただ、NHKは金を出します場合に、放送法上の制約があるわけでございまして、民放の難視聴のために助成をするとか、あるいは何らかの形で金を出すという事柄は禁止されておるわけでございます。その点につきましては、将来の立法政策は別といたしまして、現行法では問題があろうかと思います。
  279. 原茂

    ○原(茂)分科員 だから、大臣のお答えをぼくは求めたのですが……。おっしゃるとおりなんです。だけれども、負担するウエートが現に違うのですよ。こまかい数字を言ったってしようがないでしょうし、時間もありませんが、そういう部分があるのですから、その点をもう一歩突っ込んで考えていかないと、国の立場の電波行政としては、ちょっと足らないのじゃないかということを申し上げたのです。
  280. 久野忠治

    ○久野国務大臣 御指摘の点は、まことに私は同感でございます。ごもっともだと思います。  そこで、先ほど私は申し上げましたように、調査会を設けて、難視聴対策の原因の究明なり、あるいは制度の改善なり、いろいろ、そこでひとつ早急に結論を出してもらいたいというので、今度は、新しく四十八年度、新年度に予算を計上して、調査会設置に踏み切ったわけでございます。この調査会ができるだけ早い機会に結論を出していただきまして、その趣旨にのっとって適切な措置をとりたい、かように存じております。
  281. 原茂

    ○原(茂)分科員 くどいようですが、だめ押しをしておきますが、私の申し上げておる趣旨に大臣も賛成だ、その趣旨に沿って、突っ込んでいく、こう理解してよろしゅうございますね。
  282. 久野忠治

    ○久野国務大臣 そのとおりでございます。
  283. 原茂

    ○原(茂)分科員 それでは、ぜひそれを早急にお願いします。  最後に、これも小さい問題かもしれませんが、私のところへ家庭生活上の金融の相談に来る人があるのですよ。その人は、聞いてみると、十万か十五万ありますとたいへん助かるような相談が、ことしになってからでも四件来ているのですね。それで、郵便局の定額貯金をやっているか、簡易保険に入っているか、こう聞きますと、みんな入っているのですね。やっているのです。相当持っているのです。定額貯金もやっているわけですね。ところが、いいことに踏み切って、いま定額貯金に対しては、一件十万円ぐらい、私もよく法律の内容を覚えておりませんが、たしか貸すことができるようになったのじゃないかと思うのです。それから簡易保険は、前から相当積み立てていますと、おそらく全体の計算の六割ぐらいは上限なしで貸すことができるか何かだと思うのだが、おまえさん、それは郵便局へ行って相談したらどうだ、持っていきなさい、いつから入っているのだと言ったら、簡易保険はもう十年も前から入っておる。それならおそらく十万や十五万はだいじょうぶだ。定額貯金はどのくらいあるかと言ったら、すでに二十二万円ぐらいだ。それでは、一人の名前では十万円しか貸さないのじゃないか、こう思ったものですから、今後のために二人の名前にしておかないと、二十万にいくということはむずかしい。あれは九割か何かで、上限が十万円か何かあるのじゃないですか。   〔小澤(太)主査代理退席、藤波主査代理着席〕
  284. 久野忠治

    ○久野国務大臣 九割です。
  285. 原茂

    ○原(茂)分科員 九割か十万円じゃないかと思うのです。とにかく持っていって相談しなさいと言ったら、相談して、借りられました、思った必要額の倍も借りられましたと言って、一本持ってお礼に来たりする人もあるのですね。私の申し上げたいのは、せっかくそういう制度があっても、国民が知っていないという点ですね。利用者がまだよく知っていない。少なくとも郵便局で定額貯金をしておるような者には、相当わかりやすい漫画でも入れながら、借りられるのだよということが徹底するようにしたほうがいいのじゃないかと思うのです。定額貯金者に全部ですよ。そのくらいのことを一度おやりになったら、ずいぶん違うのじゃないかと思うのです。四人も来ているのですからね。  それから郵便局にたまたま用があったときに行ってみると、窓口にはあるわけです。それは窓口へ行くのに、とにかく判こを持ってきて、金を入れたり引き出したりして、夢中になってやっているのです。ゆったりとあの郵便局の中を見て、あんなものを読もうという心理にはあまりなれないし、来る人は少ないから、あんな程度の宣伝で事足りていたのでは、郵政省が預金者に対する真のサービスにはならないのじやないかと思うので、もうちょっと徹底したPRを定額貯金者全部に、漫画を入れるか何かして、はっと思うような、借りられますよというようなものをどうしても一ぺん出していただいたほうがいいのじゃないかという気がするのです。それから簡易保険の対象で借りられるというのは、非常にやっかいな計算があるようですが、そのことも簡単に、わかりやすくして、簡易保険の利用者に対して一ぺん教えてやると、ずいぶん助かるのじゃないかという感じがしますので、そういうことをおやりいただきたいということを申し上げるために、いま申し上げたわけです。
  286. 久野忠治

    ○久野国務大臣 周知の方法につきましてはどういう方法が適切であるかはまだ考えておりませんが、その御趣旨のほどは十分理解できることでございますので、できる限り早期にこれが周知徹底できるように措置をいたしたいと思います。
  287. 原茂

    ○原(茂)分科員 これで終わりますが、実はこの問題はうそのように庶民がたくさん助かるんです。非常に助かるんです。ですから、至急検討をして周知徹底をさせるというようにぜひお願いいたします。  これで終わります。
  288. 藤波孝生

    藤波主査代理 これにて原茂君の質疑は終了いたしました。  次に、土橋一吉君。
  289. 土橋一吉

    土橋分科員 私は郵政大臣も米澤総裁もたいへんお忙しいと思うのですが、これから申し上げるあるいは質問をする内容についてよく聞いていただきまして、電電公社当局が、あるいはまたそれと非常に関係の深い電気通信共済会がやっておる財産取得の問題について質問を展開したいと思うのであります。この問題は、すでに新聞紙上、大映という会社が世間の批評によりますれば計画的ないわゆる詐術を中心とする倒産を行なって、そして大映という映画産業を個々的に財産を分割して、そして債権者はそれぞれ一定の利益を得る、そして会社当局はつぶれていくという、こういうことに富士銀行が一役買っておったというように新聞が報道しておるのであります。この事態と全く同じような事態が六九年の当初、日活撮影所をめぐりまして、電電公社の分身ともいうべき、これは資金の面においても役員の構成の面においても電電公社とは非常に深いつながりを持っておる共済会が、日活という映画産業資本家の東京都下調布市にあるところの撮影所約二万坪の土地の購入に関して、全く同じようなことをやっておるという事態でございます。  そのやり方は、当初の推定価格にいたしまして三十億ともいわれ、あるいはそれ以上の土地ではないかといわれる二万坪の地域に広大な撮影所その他付属の施設がございます。これは多摩川の流域に面しまして、こういう映画産業にとっては究竟の場所であると推定できる場所でございます。それのちょうど東側に大映の同じような撮影所がございます。この日活の撮影所あとを、当時住友系の大和土地というのを通じまして、大和証券の子会社であるところの大和土地というのを通じまして、住友財閥から社長の堀久作さんが当時の金にいたしまして約三億円くらいの借財を背負っておりました。それをそのままにいたしまして、大和土地のあっせんに基づきまして電電公社が話を持ちかけて、表向きは、電電公社はいわゆる七カ年計画で膨大な施設を米澤さんも要求し発展の途上にございましたので、しかし電電公社として買うのはまずいということで、ダミーとして電通共済がその表に立ったわけでございます。当時の契約その他の内容については私が申し上げなくてもよく御承知かと存じますが、これは電通共済ではなく、その本体は明らかに電電公社であるということが明瞭でございます。それは当時折衝に参りました調布市議会に対しまして、たとえば十六階建ての建物あるいは十三階建てあるいは十階建ての建物を建てるということで、図面をもちまして懇請をし、その協力方を要請しておる、そういう文書がございます。そういうものを見ましても、明らかにその中には電電公社の建築関係の幹部諸君の名前が出ておりますし、またその地図も明らかに電電公社の策定をした住宅建設のものでございます。したがって、電電公社が、俗に言わしていただくならば陰に隠れておって、共済の山本英也会長を通じましてこれをしゃにむに、現在東京地裁の第九民事部の法廷において明け渡し請求が行なわれておるわけでございます。  当時日活撮影所は、いま申し上げましたように負債その他の関係で四苦八苦しておりまして、金額にしまして大体十三億四、五千万円前後の金で、二カ年の猶予期間を置いてそれが譲渡される、こういう契約を結んでおります。そしてその中には利息金を取ることも規定しておるし、また契約は違約した場合には違約金を徴収することも規定いたしております。でありますから、これは世間に行なわれておる譲渡担保契約であることは明瞭でございまして、この辺は第十回目の裁判で明瞭になると思いますが、それにもかかわりませず、七一年でございますか、訴訟になってから約二年有半を経て明け渡しができない、こういう問題でございます。  そこで一番大きな問題は、堀久作さんをはじめ、いま堀雅彦さんという子供さんが社長でございますが、冒頭申し上げましたように、最近の映画産業というのは、いろいろな関係で特に退廃文化あるいは腐敗文化をまき散らして、粗製乱造したということと、テレビの普及によりまして、必然的な傾向かもわかりませんが非常に斜陽化しているといわれております。そこで、労働組合のほうでは堀一族、社長を中心といたしまして文化的な産業を守らなければいかぬ、それにはいまつくりつつあるところのたとえば「戦争と人間第三部」とか、「母とストライキ」とかあるいは「大地の冬に生きる仲間」であるとか、親子映画のようなものをどんどん上映をして、文化的なかおり高い、一般国民の芸術あるいは文化の指導にも役立つようなものをつくっていこうじゃないかということにやっと最近は会社当局も気づきまして、買い戻し要求をしておるという事態でございます。それにもかかわりませず、依然として山本英也会長を中心として明け渡し請求をしておる、こういうことでございます。  そこで、一体電電公社としてはこういう問題について、積極的に文化産業を守る観点、あるいは千名、家族を入れるなら四千名の争議行為によってもんちゃくを続けておる堀久作社長を先頭とする日活撮影所について、十分な配慮することなくなぜこんなことをやったのか。  特に山本英也会長は、私の記憶に間違いがなければ、昭和二十四、五年前後には郵政省の労務課長か何かをしておったように記憶しております。また二十七年電電公社ができまして、この資料にも見られますように、彼は電電の最高幹部である職員局長あるいはまた経理局長、特に総務理事などを歴任をいたしまして、そして退任をして現在電通共済会の会長になっておるわけです。ちなみに申し上げますと、関西の会長をしておる中山君にいたしましても、大体あのレッドパージ当時の、いわゆる労働者を痛めつけあるいは労働者を職場から追放することについて尽力をしたといわれる幹部の一人でございます。  これがいま申し上げますように非常な戦いになっておることを百も承知の上で、しかも労働組合からは、その日活の財産について債権の担保あるいは場合によっては貸借させるかもわからぬというようなことに対して、やはり一定の債権として担保を供用しております。また労金から借りた金なんかも担保設定をしておるのですが、そういうことを百も承知の上で、そういう状況を知っておりながら、労働組合を堀久作とともになくする、これを要するに壊滅をさせるという野望を持って、策謀を持ってこの売買契約を締結したような節が多分に見受けられるのであります。かようなことは、たとえば同じ日活でも天城のホテルの問題あるいは修善寺にあるところのカントリークラブの売却問題について平和相互銀行というのが一役を買っております。これは藤井丙午氏などとも関係が深いといわれているところでもありますが、こういうことを公社が、しかも公社法の第一条の規定を見ればだれでもわかっておりますように、電信電話業務を通じて国民に奉仕をして社会福祉に貢献しなければならない電電公社がなぜこんなことをやったのか、私は明確な答弁を要求したいと思うのです。また本日山本英也会長は見えておりませんので、一体なぜこんなことを百も承知の上でやっておるのか。この責任は私は郵政大臣には直接ないと思いますけれども、しかし郵政大臣も監督行政上の一つの責任があるんじゃないかというふうに考えておりますので、時間が三十分ですから、いま申し上げたことについて、そうであったかそうでなかったかというふうな簡単な答えでやっていただきたいというふうに思います。
  290. 小沢春雄

    ○小沢説明員 お答えいたします。  ただいまの土橋先生のお尋ねの要点は、昭和四十六年に電気通信共済会が日活多摩川の約二万坪の敷地を買収した。これは同年の三月に所有権移転登記が行なわれておりますが、この件につきまして電電公社が電気通信共済会に命じてと申しますか、身がわりに使ってそういう行為をさせたのではないかという点が重要なお尋ねだと思うのです。  電気通信共済会と申しますのは昭和二十六年ごろから、当時電気通信省時代でございましたが、当時の事務次官並びに全電通従業員組合などがこうしたものをつくって、いわば共済職員の助け合い活動をやろうじゃないかということでいろいろ企てがなされまして、昭和二十七年の二月に発足いたしております。これは御承知のとおり昭和二十七年八月の電電公社法施行より以前でございます。この性格は郵政省の許可によりますところの公益法人でございまして、主として電信電話事業の職員の退職者あるいは遺族……。
  291. 土橋一吉

    土橋分科員 せっかくの小沢説明員の答弁中ですけれども、そんなことは私は百も承知してわかっておるわけです。問題の中心点は、要するに公社としてそういうことを知って、また財産関係のいわゆる土地及び建物の取得をしたかどうかということを簡単に、取得したとかあるいはそういう事情は知らなかったとか知っておったとか、そういう点を答えてもらえればよろしいので、関連についてはよく知っておりますから……。
  292. 小沢春雄

    ○小沢説明員 承知いたしました。私は厚生局長でございまして、電電公社がそうした共済会と契約を締結する場合には、私どものところが窓口になっていろいろと契約を行なっておりますが、過去においてのいろんな資料を調べましたところが、電気通信共済会の日活の土地取得について電電公社がそれを命じたり、あるいはやってくれというふうに依頼したということは一切ございません。
  293. 土橋一吉

    土橋分科員 いま小沢説明員の、そんなことを頼んだ覚えがないんだ、何も関係がないんだ、こういう趣旨に解釈してよろしいのですか。しかし、あなたのほうがこの購入当時、調布市役所にこういう建物を建てたいから市のほうでも了解してもらいたいという、要するにそういう図面を添えたものがございます。その中に明らかに電電公社と書いてある。しかも電電公社の土地関係についての名前も明確に載っておるわけです。そうしてそこに立ち合いに行って、十階建てと十三階建て、十六階建てですか、そういうものをつくりたいということを要請しておる事実から見ても関係ないというのですか。
  294. 小沢春雄

    ○小沢説明員 その件につきましても調査いたしました。確かに先生がおっしゃいますように、電電公社の技術者が、当時日活の土地に共済会がアパートをつくろうという計画を持っていたように聞いておりますが、その際に共済会には技術者がおりません。したがって、この件に限らず共済会から電電公社の建築局のほうへ技術者の応援を求めまして、たとえば、この土地は非常に河川に近いけれども高層な建物が建つであろうかとか、あるいはそのような建物の建て方の技術的な問題はどうだろうかというようなことをいろいろと依頼を受け、たずねてまいる場合がございます。そのような場合には電電公社の技術者が専門的な立場から学識経験者としての意見をいろいろと教えてあげるというようなことはございます。
  295. 土橋一吉

    土橋分科員 明確に、これは電電公社が調布団地計画というので世間にもまれな計画を出して、だれが考えても建物を南の日の当たるところは避けて、そして南北に朝日と夕日が当たるような建物を建てて——これは電電公社と書いてある。あなたはわかりますか。裏にも書いてあります。それから電電公社の職員がちゃんと行っておるわけなんです。これでもあなたのほうはこういうことは知らないというのですか。
  296. 小沢春雄

    ○小沢説明員 先ほど申し上げましたように、そういう図面を建築の専門家がつくりまして、そして建築局の立場から共済会に対しまして、専門技術的に見るとこうした建て方をしたほうがいいでしょうというふうな、いわば頼まれまして建築技術上の資料等を渡すということでございます。
  297. 土橋一吉

    土橋分科員 人的な構成が、先ほど申し上げましたように全電通労働組合が過半数の評議員を持ち、あるいは電電公社が同じく有力な幹部をここに配置をして、そして組合員から三%の資金を集め、また公社側に、一定の利益を得てそして共済関係の仕事をしておるわけです。したがってだれが見ても、現在たとえばあなたのほうの庁舎は共済の建物じゃございませんか。土地所有は公社が持っておって、建物は共済が建てたところにあなた方は入っておる。おまけに一番上には東芝という会社まで入っておる。普通常識では考えられないようなことをこの共済との間にはいろいろやっておるわけですね。その共済に対してこういう事態が起こった。しかもあなたのほうにも労働組合、すなわち日活の労働組合からいろいろな御要請があったと思うのです。しらを切りながら、最後に渡辺君が——公社の諸君があなたのところに押しかけていった、あなたのところに渡辺という課長が逃げ込んでいって、どうすべえということで相談したという事実もちゃんとわかっておる。これらの事実から見られるように、なるほど権利者あるいは訴訟の当事者は共済でしょう。しかしその背後に、あなた方が要求するような七カ年計画に基づく広大な土地建物の取得あるいは設備の使用ということは当然であったと思うのです。その方向に共済が動いておったということも事実なんです。これは共済の規定を見ればちゃんとそういうように書いてあるのです。政府関係及び公共企業体関係の共済の規定の第一条にちゃんと書いてあるのです。またこの規定にもちゃんとそういうことを書いてあるのです。ですからあなたは国会のこの場でそういうことをおっしゃっておるけれども、深いつながりと関係を持っておったということは事実なんです。  それ以外の問題もたくさんございますが、事この日活の撮影所あとの買収あるいは明け渡し請求の問題については、むしろあなたのほうが指図をし、これを要求しておったんじゃないかという節が顕著にうかがわれる。これは全電通労働組合がまとめた、山本という財政部長の報告なんかにもちゃんとそういうことが書いてある。公社が頼んだから、私ども共済の役員は事前了解し、要するに事前の承諾という形でこの話に乗らざるを得なかったということをちゃんと書いておるのです。これも事実なんであります。そういうことから見ると、また日活の渡辺という経理関係のいわゆる専務取締役も、彼が書いておるところのメモを拝見すると——このメモです。これには、相手は公社だとちゃんと書いてあるわけです。なるほど契約当事者やあるいは訴訟をやっておる者は共済会の山本英也君ですけれども、その背後は公社だということは世間周知の事実でもあるし、また世間の人はそう考えておる。でありますから私は、この背後のようなそういう小沢さんの答弁ではなくて、あなたのほうは責任をもってこの問題のすみやかな取り下げと、そして買い戻し請求に応ずるように全努力をすべきじゃないか。しかも千名の労働者が、いま申し上げたようなりっぱな映画をこれからつくろうじゃないか、あるいは独立プロでもりっぱなものをどんどん入れて、スタジオがあかないようにやっていこうじゃないか、天城のホテルも、あるいはまた伊豆のカントリークラブももっと健全なレジャーとして、この労働者やあるいは日活も再建しようじゃないかというふうに努力をしておる、そういう文化的な産業あるいはりっぱなことをやろうとする、いまの堀雅彦さんをはじめとする会社当局や労働組合の、そういうことにまでこの問題を無理押しをしてつぶしてしまおうというような意図があるとすれば、共済本来の目的に反するのではないかというふうに私は考えるのです。ですから、あなたの答弁は大体わかりましたから、総裁は一体こういうことに対してどうお考えになっておられるか、そしてすみやかにこの問題について善処して、そして買い戻しをやらせて——あなたのほうとの約束に基づいて違約金を取るようになっておるのですよ。これは譲渡担保であることは明瞭なんですよ。これは法廷においていま弁護士が八つの項目をあげて具体的に譲渡担保だということを立証しようとしておるし、私が持っておる資料を見ましても譲渡契約、譲渡担保であることは明瞭なんです。その理由を私ちょっと簡単に言いますと、この契約は金銭消費貸借契約を中心としておる。長瀬産業というのが——山本という人が肩がわりをしておるわけです。これは電通共済が肩がわりをしておる。したがって、これは金銭の消費貸借関係に端を発しておるのですよ、内容をずっと見ますと。その次は明け渡し猶予期間というものを二年ほど設定している。この間に堀久作氏は山本英也との間に労働組合をつぶしてしまう、こういう画策をしておることは事実なんです。第三番目は利息債権の設定をしておるわけでしょう。売買代金であれば利息を付することはあり得ないのではないか。今日の一般の通常の観念で利息を付した不動産物件の売買契約なんてちょっと考えられない。あるいは遅延損害金の設定をしておる。明け渡しの日は四十六年二月末日、以後は受領者金利に対して日歩四銭の高利の金銭賠償を要求しておるのですね。あるいは税金というものは、買って、譲渡契約が終わって登記終了すればその者が払うことになって、ところがその公租公課も依然として堀久作氏の側がやっておるのです。それからこの違約金はたいへんな金です。義務不履行の場合は相手方が三億円の違約金を払うことになっておる。そうして執行受託約款付の公正証書まで取りかわしておる。ところが山本君が評議員会において説明しておる内容を拝見してみると、あたかも取れそうな説明を評議員会でやっておる。こういう詐術を評議員会の中で行ないながら、強硬にこの財産を取得しようとする考え方、こういうこと——ことに資料がありますからあなたもごらんになって、よくこれを見てどういうふうにあなたは考えられるか、ちょっと基本的な態度を明確に——これは訴訟内容と同じだから。もう時間がないので……。
  298. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  私は、この財団法人の電気通信共済会のことは実はあまり詳しいことは知りません。事実関係につきましても新聞にちょっと出たというぐらいなことでございまして、この点は先ほど厚生局長が答えたとおりだと思います。電気通信共済会は、会長山本君のもとで独立の法人として仕事をしておるわけでありまして、しかもこれか現在裁判で係争中でありますので、公正な結論がいずれ出るのではないかというふうに思います。したがって、いまここで私これを急に見るわけにもいきませんが、事情はなお調べてはみますけれども、筋といたしまして、現在の時点では公社が介入すべきものではない、こういうふうに考えております。
  299. 土橋一吉

    土橋分科員 ここに山本英也会長あての労働組合の抗議文が出ておるわけです。これはほかの記録にもちゃんと出ておるわけですが、彼、山本英也君が述べておることなのです。こういうことを言っておるのですね。不動産及び物件の売買は経営者の専権であって、そこに働く労働者はどうなってもかまわない、こういう発言をしておるわけです。また別の個所では、倒産を認めて解雇されることを容認した結果だというような、債権設定についてもこういう発言をやっておる。これは電通共済会の最高幹部がこういう発言をし、しかも職員局長をし、また郵政省時代には労務課長をしておったといわれる人がこういう発言をする本心というものは、どういうものの考え方をしておるか、きわめて明瞭なんです。ですから、郵政大臣もおられますので、この問題は、すみやかに訴訟を取り下げて、そして示談あるいはその他の方法によって一定の違約金なりあるいは利息をちゃんと取ることによって問題を平和的に解決をしてもらうように私は強く要望するものであります。これをもしあなた方がどうしても拒むなら、また逓信委員会でも詳しくいろいろ質問もし、山本さんにも来ていただいて、あるいは堀さんにも来ていただいたり、あるいは労働組合、全電通の組合の幹部の方にも御足労願って、やはり白黒を決着つけなければならない。ちょうど平和相互銀行やあるいは大映に富士銀行がやったと同じような手口を電電公社と共済会の幹部がやろうとしておるといっても私は過言ではないというふうに思うわけです。ですからこういう事態について、私は、久野大臣も、突拍子もない、初めてお聞きになったと思いますので、これはちょっと判断がなかなかたいへんでしょうけれども、やはり大臣がこういう問題を——末端の土地、不動産、特に郵政の共済がえらい悪いことをやっておりまして、井出元郵政大臣からも五項目にわたる勧告書といいますか意見書が出ておるように、いま電通共済もまたこれに似たり寄ったりのことをやろうとしておるわけです、土地の投機問題などにつきまして。これは端的な一つのあらわれでございますので、私は郵政大臣がどういうお考えか所見を承りたいと思います。
  300. 久野忠治

    ○久野国務大臣 土橋委員から、私は初めてこの件につきましては詳細にわたりまして伺いました。初めてでございますので、私の意見をいまここで詳細にわたって申し上げることは、私は出しにくいと思うのでございますが、問題は、いま裁判所で係争中の案件でございますから、これが裁判所におきまして公正な結論が出た後、やはり考えてみたい、かように存ずる次第でございます。
  301. 土橋一吉

    土橋分科員 私は率直に申しまして、この種の裁判はなかなか困難であろうと思うのであります。特に問題の中心は、資本家側の堀さんの財産の保全という問題、個人の財産を保全しなければならぬということも私はよくわかります。それにも増して重要なことは、憲法第二十八条で保障されておる労働者のいわゆる団結権なりあるいは労働三権といわれるものの保障、あるいは憲法第二十七条の、要するに労働者の基本的な労働権あるいはその他の諸権利を保障してやるということだと思うのであります。これがもし、いまお話にあったように裁判で決着がかりについて財産を明け渡せとなってくれば、家族を含めて四千名の労働者がみすみす職場を失って、いま私が申し上げるような誇り高いいわゆる映像文化を守ろうとしておる——会社当局もその方向に大体運びをつけておるのに、こういうことをしゃにむに、たった十三億五千万の金を貸しておいて三十億の財産を取るということは、何としても許しがたい投機行為といわなければならないのであります。ですから、裁判の決定がもしさような事態におちいるとするならばまことに重大であります。現在の裁判のいろいろな内容については詳しく存じませんが、もしこれが権利主張で通ったということになれば、せっかくのそういう文化産業を守ろうという、営々として努力された労働組合、家族の皆さん、また文化的な映像環境を守ろうとしてやっておられたそういう方々の希望やまた期待までも全部これを崩壊させて、そして大映がやったような轍、あるいはそこの日活本社、日比谷のかどにある土地と建物を取られた問題と同じような結果を、電電公社や郵政が黙って見ておったという結果に相なるのであります。ですからきわめて重大な問題でありますので、そういうなまぬるいことをおっしゃらないで、きちっとした態度を総裁もとるべきじゃないか、こういうふうに私は考えております。つまり端的に言えば電電の中で働いておられる従業員二十何万の方々の生活権を守ることも大事だ。これは共済法の規定、約款その他によって十分保障してあげなければならない。だからといって、それではほかの労働組合はどうでもいいというような山本英也会長の先ほど読み上げたような態度、これは全く唾棄すべきものであるし、かようなものの考え方でこれが裁判の結果、決定を待つというならば、この国会においてそういう答弁がまかり通るということになれば、私はたいへんな問題だと思うわけです。ですから責任をもってこの善処方をきちっと郵政大臣も米澤総裁もしていただきたいと思うのです。いかがですか。
  302. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  山本会長がどういう発言をしたか、私、山本会長からこの問題について全然話を聞いておりませんのでわかりません。ですからその点につきましては直接お聞きになる以外方法がないのじゃないかと思います。  それから、この問題につきましてはなおただいまの御意見よく伺いまして、私のほうの中でもこの問題について一ぺん相談してみたいと思います。ただ共済会に対しては私のほうは監督権はございませんから、その点だけちょっと申し添えておきます。
  303. 土橋一吉

    土橋分科員 大臣はどうですか。
  304. 久野忠治

    ○久野国務大臣 私も初めてきょうお聞きしたことでございますから、十分調査をいたしまして検討いたしたいと存じます。
  305. 土橋一吉

    土橋分科員 私がいま申し上げましたように、この問題はぜひひとつ国家行政全体の面から、公共事業中心とする電電公社、あるいは組合員の福祉、相互の利益を守る電通の共済がまじめな態度で、やはりいま申し上げましたような事象を冷厳にながめて、電電の労働者のしあわせのため、また映画産業関係の日活の労働者のしあわせのため、経営者の健全な文化を守るというこの意欲を充足させてくださるよう強く要望して、私の質問を終わる次第でございます。
  306. 藤波孝生

    藤波主査代理 これにて土橋一吉君の質疑は終了いたしました。  次に、村岡兼造君。
  307. 村岡兼造

    村岡分科員 電電公社のほうに拡充第五次五カ年計画の内容について質問いたしたいと思います。  この内容を見ますと、電話の拡充、また自動化といろいろ書いてあります。たいへんけっこうな計画であると喜んでおるところでございます。ところで、この内容の中でおもに自動化の問題でお尋ねをいたしますが、いま現在日本全国で自動化になってない局数はどうか、そして特に私東北のほうでございますが、東北の自動化率というものは全国に比べてどうなっておるか、この点をひとつお伺いいたしたいと思います。
  308. 清水通隆

    ○清水説明員 お答えいたします。  全国でまだ自動になっていない電話局、これはほとんど郵政省に委託をいたしております局でございます。大部分といいますか全部でございますが、約二千五百局残っておるわけでございます。ただ、局数ではさようでございますけれども、加入者の数で比率を出しますと、全国的には四十六年度末で九七・一%のダイヤル化率になっておるわけでございます。ただ、いま村岡委員のおっしゃいました東北地方は全国平均を下回っておりまして、九〇・七%というようなことでございます。
  309. 村岡兼造

    村岡分科員 全国が九七・一%で、東北が九〇・七%、こういうようなあれでございますが、いま郵政省に委託しておる職員の方々、郵政省関係だと思いますが、この電話のほうに従事している方々はいま何人ぐらいいらっしゃるのか。
  310. 溝呂木繁

    ○溝呂木政府委員 四十八年度末で予定しておりますのは二万一千二百二十九名でございます。
  311. 村岡兼造

    村岡分科員 この二千五百局の中で二万幾らですか。
  312. 溝呂木繁

    ○溝呂木政府委員 二万一千二百二十九名、これは電話でございます。
  313. 村岡兼造

    村岡分科員 電話だけで二万一千人もいるわけでございますか。  それで、その中で秋田県の自動化率は何%で、そして自動化されてない局は何局かお答え願い方いと思います。
  314. 清水通隆

    ○清水説明員 先ほど東北の平均を申し上げましたが、秋田県はダイヤル化率が八二・三%でございます。なお秋田県でまだ自動にされておりません局数は、ちょっと手元に資料がございませんので……。
  315. 村岡兼造

    村岡分科員 その自動化されてない局のほうは私のほうで承知しておりますから、けっこうでございます。  この自動化されている八二・三%というような平均率というのはたいへんに低い率でございまして、実は私どものほうの住民の方々は、新幹線もこない、鉄道もない、道路もない、そしてまた冬になりますと、電話もない。ようやく集団地域電話をつけていただきましたが、つけた当初はたいへん喜ばれました。ところが一回線に八個もぶら下っておりますので、一日中かけても、正直申しまして話し中、こういうような状況になっておりまして、自動化が進まなければこういうようなことも解消できない。あるいはまた広域時分制というものが採用になると聞いております。これも自動化がなければできない、こう聞いておりますが、そのとおりでございますか。
  316. 清水通隆

    ○清水説明員 私どもが今後進めていきたいと思っておりますいろいろのサービスは、やはり自動にいたしませんといろいろと不都合がございます。そういったことから、自動化の歩みと歩調をそろえながらサービス改善をしていきたいというように考えております。
  317. 村岡兼造

    村岡分科員 全国平均が九七・一%で、秋田県が八二・三%と申しますとたいへん率が低いのでございますが、このおくれた理由、これはどういう理由でございましょうか。
  318. 清水通隆

    ○清水説明員 私どもの自動改式の計画はいろいろな観点から進めておるわけでございます。少し御説明いたしますと、まず局設備が行き詰まっておりまして、そのままでほうっておきますと長い期間にわたって積滞を生じそうな局、これは優先順位を非常に高く計画いたしております。それから郵政局舎の移転の計画のあるような局、それから先ほどの先生の御指摘のようなサービスを改善するという面から見ますと、やはり規模の大きいそういったような局から優先する。そのほかいろいろございますが、これらを総合的に勘案しながら改式計画を立てまして、郵政省と協議をすることにいたしておるわけでございます。東北地方あるいは先生の御指摘の秋田県、こういったところは、私どものいままでの経過から申し上げますと、比較的設備に余裕のある局が多いというようなことで、どうしても優先順位が低かったというようなことでございます。したがいまして、結果的にはおくれてまいったわけでございますが、今後鋭意改善につとめていきたいと思っております。
  319. 村岡兼造

    村岡分科員 二千五百局か自動になっていない。五カ年計画でこれを全部解消するということになりますと平均で五百局ということになりますが、その五百局のうち、おくれておる東北関係は何局ずつ計画になっておるのか、それからまた秋田県は何局くらいになっておるのか。今後計画がありましたらお知らせ願いたいと思います。
  320. 清水通隆

    ○清水説明員 私どもの立てました五次五カ年計画は、全国的なマクロでの局数の算出をいたしておりまして、大体毎年五百局程度ずつ計画を立てておりますが、それの具体的な局名の計画までは実はつくっておりません。ただ四十八年度の予算を現在提案いたしておりますが、それでは、これはまだはっきり確認はいたしておりませんで予定でございますけれども、全国で五百一局を計画いたしておりまして、その中で秋田県は二十局という計画でございます。
  321. 村岡兼造

    村岡分科員 実は今度は具体的になりますけれども、秋田県の中の本荘、由利地方でございますが、ここはまだ十五局自動化になっていない。ところが四十六年、四十七年で二十四局自動化されておるが、私どものところは一局もその中に入っていない。この理由はどうであるか。実は二年くらい前から電気通信部でこの無人局の敷地を買っておる。地域住民はもうすぐ自動化できるのだ、不便も解消するんだ、こういうことで喜んでおったけれども、二年しましても三年しましてもできない。四十六、四十七年で二十四局自動化になっておって、十一カ町村あるわれわれのほうに一局もない。これは何か理由があるのか。秋田県全体が八二・三%の自動化率、これは現在やむを得ない。今後五カ年でこれが一〇〇%になる、たいへんけっこうなことだけれども、秋田県の中でのこういうアンバランス、この問題はどういうわけでこういうふうになったのか、この点をお伺いしたい。
  322. 清水通隆

    ○清水説明員 先ほど御説明いたしましたようないろいろな観点からの改式計画を立てました結果、結果的におくれてまいったということでございまして、何ら他意はございません。
  323. 村岡兼造

    村岡分科員 局長さんは結果的におくれてきたことで他意はない、こういうようなお話でございますけれども、地元の市町村長はじめ、毎年電電公社あるいは郵政省のほうへいろいろお願いをいたしておりますが、なかなか自動化にならない。この理由は、いま電電公社で委託されておるこの小さな局で、一局平均十二、三人程度が電話に従事しており、これは郵政省の職員になっておると思います。この方々の配置転換あるいはその方々の反対、こういうことでわれわれの地方は自動化がされていない、こう聞いておるのでございます。問題は、一万人の人口があって、わずか十二、三人の職員のために自動化がならない、こういうことでは困る。この関係はどういうふうになっておるのか。この小さな局の郵政省あるいは電電公社の関係はどうなっておるのか、お知らせ願いたいと思います。
  324. 清水通隆

    ○清水説明員 先ほど自動改式への計画を立てます場合のいろいろな条件について申し上げました。おもな三つほど申し上げましたが、そのほかにもいろいろな事情と申し上げました中の一つに、ただいま御指摘郵政省側におきます過員の発生しましたあと処理の問題、これも一つの要素といたしております。具体的には、そういう過員の発生状況等も勘案いたしまして、郵政局と通信局というふうに地元で前段階の折衝をいろいろいたしまして、本社、本省間での話し合いに持ち込むわけでございます。
  325. 村岡兼造

    村岡分科員 いまそういう御説明がありましたが、先ほど二千五百局に従事しておる方々二万一千人、こう言いました。この方々がどこへ行くかは別にして、いずれは自動化される考えですか、その点お伺いしておきたいと思います。
  326. 北雄一郎

    ○北政府委員 その点はお説のとおりでございます。ある者はその機会に退職をする、ある者はその機会に公社へ転出する、ある者は郵政部内の他の局へ欠員を埋める形で行く、万やむを得ない場合は若干の過員という形で部内に残る、こういう四通りの方法がいまあるわけでございます。私どもといたしましても、当然電話の自動化につきましての国民の熾烈な要望というものを一方で十分踏まえなければいけない。しかし同時に、このことはこれまでよりも今後にさらに問題が大きいわけでございますけれども、今後自動化対象局というものが山間僻地に急速に重点を移してまいる。そういうことになりますと、ただいま御指摘の要員問題というものがさらに大きな問題になってくるわけでございます。したがいまして、そういった要員措置につきまして従来以上に、この機会に退職を希望する者は退職する、あるいは公社のほうでもいろいろな受け入れ体制を考えてもらっております。そういうことで公社のほうへの転出をもっとやってもらうとか、あるいはその他の郵便局へ回ってもらうというようなことを強くやらなければならないと思っておりますが、いま公社当局からお話がありましたように、それぞれ一つ一つの年度の計画郵政省と公社でよく相談をいたしましてきめていくわけでございますので、その段階で、そういった二つの要素に十分配慮していかなければならない、かように考えております。
  327. 村岡兼造

    村岡分科員 そうしますと、この二万一千人の方々が郵政省に残るか電電公社に移るかということの関係なしに、この第五次五カ年計画達成するのだ、したがって私の地元でのうわさ、いわば職員が動かないから、あるいは転勤がいやだからというようなことで自動化がおくれておるというようなことはないと解釈してもよろしゅうございますね。
  328. 北雄一郎

    ○北政府委員 むろん個々の職員をとりますれば、いままでいた局にいたいというような個人的な希望を持つ人も当然あるわけでございます。しかし私どもは、そういった自動化を予定される郵便局の職員に対しましては、計画がきまりますと事前に十分に、これが国民の大かたの御要望に沿う施策なんだというゆえんを説明し、かたがたそういった将来電話の仕事のなくなりました場合に、そこへ仕事のない人間が残るということになりますと、全体の定員経理を圧迫して郵政事業全体がまたひずんでくる、こういうような趣旨をよく説明いたして、個々の職員あるいはさらに組合の了解をも求めるように努力しております。なお、組合との関係におきましては、かねてからこういった場合の配転に関する協約というものを結んでおりまして、この協約によって個々の配転をやっておる、こういう次第であります。
  329. 村岡兼造

    村岡分科員 いまの御説明でわかりましたけれども、郵政省並びに電電公社は配置転換でたいへん御難儀だと思います。しかし、それにもまして地元の要望では、たった十二、三人の配置転換のために一万人ないしは一万五千人の人が何年も自動化されない、この声が非常に強いわけです。これは一人一人の人間も大事ですが、そのために過疎化が始まり、商売ができない。これは政府全体で、農村工業地域の工場誘致とかあるいはそういう働き場所ということで、過疎地帯の防止ということをやっておるわけですが、チリンチリンの電話では、手動式のところでは、たとえば工場誘致とかいわれたってとても来ない、幾らかねや太鼓で、土地は安いし人間もいるといっても来ないというわけで、この点ひとつ鉄道でなくても、せめて電話だけでも早く自動化してくれという声が強いわけでございます。そういうことで、特にまた私どもの地帯は放射線状になっておりまして、先ほど局長さんあるいは郵政省局長さんから聞きましたけれども、人事の問題ではない、こう言うけれども、やはり私はあるのではないか。幸いきょうは大臣もおられますので、この地元の要望の点をひとつ——特にこれは著しくおくれておるいままでの結果はしかたがないにいたしましても、やはり秋田県内平均の二十局やるならば、地域の分担ということを見まして、おくれている地帯のほうに自動化をされたい。なお、私調べておりますけれども、私どものおります地帯では、電電公社さんが無人局をつくるという場合には、いつでも即座に敷地を提供する、すでに六局ぐらいのところはさまっておるはずでございます。それが二、三年前からきまっておっても、四十七年、八年度では自動化されない、この点ひとつ特に大臣並びに総裁のほうにお願いしておきます。よろしくひとつお願いいたします。
  330. 久野忠治

    ○久野国務大臣 村岡委員から御指摘の、秋田県下における自動化の進捗状況が非常におくれておるという点につきましては十分理解するところでございます。そこで、御指摘地域の自動化につきましては、関係者から実情をよく聞きまして、早期にこれが実現をいたしますように検討いたしたい、かように存じます。
  331. 米澤滋

    ○米澤説明員 ただいま事情をよくお伺いいたしまして、公社といたしましても御趣旨に沿うように十分検討さしていただきたいと思います。
  332. 村岡兼造

    村岡分科員 いま大臣総裁から御答弁いただきましたのでこれ以上申し上げません。いろいろ職員その他特殊な事情、難儀な事情があろうと思います。しかしこういうような自動化の率の状況でございますので、地域住民福祉の向上あるいは経済の向上というような意味で、特におくれているところに電電公社並びに郵政省でひとつ御配慮願って、早期に自動化を願うことを要望いたしまして質問を終わります。
  333. 藤波孝生

    藤波主査代理 これにて村岡兼造君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして昭和四十八年度一般会計及び特別会計予算郵政省所管並びに昭和四十八年度政府関係機関予算日本電信電話公関係に関する質疑は終了いたしました。  次回は明八日午前十時より開会し、建設省所管について審査を行ないます。  本日は、これにて散会いたします。    午後三時五十七分散会